つぎに、本発明について、例を挙げてさらに詳細に説明する。ただし、本発明は、以下の説明により限定されない。
本発明の突起電極付き板状部材の製造方法は、前述のとおり、
チップを樹脂封止した電子部品用の部材の製造方法であって、
前記部材は、板状部材の片面に突起電極が固定された突起電極付き板状部材であり、
成形型を用いた成形により、前記板状部材と前記突起電極とを同時に成形する成形工程を含むことを特徴とする。
本発明において、「チップ」は、樹脂封止する前の電子部品をいい、具体的には、例えば、IC、半導体チップ等のチップ状の電子部品が挙げられる。本発明において、樹脂封止する前の電子部品は、樹脂封止後の電子部品と区別するために、便宜上「チップ」という。しかし、本発明における「チップ」は、樹脂封止する前の電子部品であれば、特に限定されず、チップ状の電子部品でなくても良い。また、本発明において、単に「電子部品」という場合は、特に断らない限り、前記チップが樹脂封止された電子部品(完成品としての電子部品)をいう。
まず、本発明の突起電極付き板状部材の製造方法において製造することができる本発明の突起電極付き板状部材について、例を挙げて説明する。
本発明の突起電極付き板状部材において、前記突起電極の数は、特に限定されず、任意であり、1でも複数でも良い。前記突起電極の形状は、特に限定されない。また、前記突起電極が複数の場合、それらの形状は、互いに同一でも異なっていても良い。前記突起電極が、変形可能な変形部を含む突起電極であっても良いし、前記変形部を含んでいなくても良い。前記変形部は、前記板状部材の面方向と垂直方向に縮んで変形することが可能であることが好ましい。前記変形部を含む突起電極であれば、例えば、後述するように、前記突起電極の高さを、完成品の電子部品の厚みに厳密に合せて設計する必要がないため好ましい。例えば、前記突起電極の少なくとも一つが、稲妻形突起電極であっても良い。前記稲妻形突起電極は、少なくとも前記変形部が、前記板状部材の面方向と平行方向から見て稲妻形に折れ曲がっていることにより、前記変形部が、前記板状部材の面方向と垂直方向に縮んで変形することが可能であっても良い。前記稲妻形突起電極は、少なくとも前記変形部が前記のとおり稲妻形であれば良く、前記変形部以外の部分は、稲妻形であってもなくても良い。前記稲妻形突起電極の形状は、より具体的には、例えば、後述する図2(A)〜(B)又は図4(A)〜(C)のような形状であっても良い。
また、例えば、前記突起電極の少なくとも一つが、貫通孔付き突起電極であっても良い。より具体的には、前記貫通孔付き突起電極(12)における前記貫通孔が、前記板状部材の面方向と平行方向(板面と平行方向)に貫通する貫通孔(12b)であっても良い。また、前記貫通孔付き突起電極が、前記板状部材に固定された端(12a側)と反対側の端に、前記板状部材の板面と垂直方向に突出する突起(12c)を有していても良い。また、前記貫通孔の周囲が、変形可能な前記変形部であっても良い。前記貫通孔の周囲は、前記板状部材の面方向と垂直方向に縮んで変形することが可能な前記変形部であることが好ましい。このような貫通孔付き突起電極の形状は、より具体的には、例えば、後述する図3(A)〜(C)又は図4(A)〜(C)のような形状であっても良い。また、本発明の前記突起電極付き板状部材において、前記突起電極の前記変形部における変形は、弾性変形でも塑性変形でも良い。すなわち、前記変形部は、弾性変形が可能な部分(弾性部)であっても良いし、塑性変形が可能な部分(塑性部)であっても良い。前記変形が弾性変形であるか塑性変形であるかは、例えば、前記突起電極の材質等による。
本発明の製造方法において、前記突起電極の少なくとも一つが、柱状の形状を有する柱状突起電極であっても良い。前記柱状突起電極の形状としては、例えば、円柱状、角柱状、円錐状、角錐状、円錐台状、角錐台状等が挙げられる。なお、例えば、円柱状の突起電極を用いた場合、その突起電極全体が、板状部材の面方向と垂直方向に縮んで変形することが可能な変形部であっても良い。また、この場合、例えば、前記円柱状の側面が、全体的に膨らんで撓み樽状になっても良い。
また、本発明の製造方法において、前記突起電極の少なくとも一つが、板状突起電極であっても良い。この場合、前記本発明の電子部品の製造方法において、前記チップが、複数であり、前記樹脂封止工程において、前記基板を、前記板状突起電極により複数の領域に区切るとともに、それぞれの前記領域内において、前記電子部品を樹脂封止しても良い。また、前記板状突起電極が、貫通孔及び突起を有し、前記貫通孔は、前記板状突起電極を、前記板状部材の板面と平行方向に貫通し、前記突起は、前記板状突起電極の、前記板状部材に固定された端と反対側の端において、前記板状部材の板面と垂直方向に突出していることが好ましい。また、前記貫通孔の周囲が、変形可能な前記変形部であっても良い。前記貫通孔の周囲は、前記板状部材の面方向と垂直方向に縮んで変形することが可能な前記変形部であることが好ましい。
本発明の製造方法において、前記板状部材は、特に限定されないが、放熱板(ヒートシンク)又はシールド板(遮蔽板)であることが好ましい。前記シールド板は、例えば、前記電子部品から放出される電磁波を遮蔽するものであっても良い。前記放熱板は、前記突起電極固定面と反対側の面に、放熱フィンを有することが好ましい。また、前記板状部材の形状は、前記突起電極が固定されていること以外は、特に限定されない。例えば、前記板状部材が放熱板である場合、前記放熱板は、前記突起電極以外に、放熱効率を良くするための突起が1又は複数結合された形状(例えば、フィン形状)等であっても良い。前記板状部材の材質も特に限定されないが、前記板状部材が放熱板又はシールド板の場合は、例えば、金属材料、セラミックス材料、樹脂、金属蒸着フィルム等を用いることができる。前記金属蒸着フィルムは、特に限定されないが、例えば、アルミニウム、銀などをフィルムに蒸着した金属蒸着フィルムであっても良い。また、前記突起電極の材質も特に限定されないが、例えば、金属材料、セラミックス材料、樹脂等を用いることができる。前記金属材料としては、特に限定されないが、例えば、ステンレス、パーマロイ(鉄とニッケルとの合金)等の鉄系材料、真鍮、銅モリブデン合金、ベリリウム銅等の銅系材料、ジュラルミン等のアルミニウム系材料、等が挙げられる。前記セラミックス材料としては、特に限定されないが、例えば、窒化アルミニウム等のアルミナ系材料、窒化ケイ素等のケイ素系材料、ジルコニア系材料、等が挙げられる。前記樹脂としては、特に限定されないが、例えば、エラストマ樹脂等のゴム系材料、シリコン系の基材に導電性材料を混合した材料、および、これらの材料を押出成形又は射出成形した樹脂材料、等が挙げられる。また、前記突起電極付き板状部材において、前記板状部材の表面等に、めっき、塗装などの表面処理をして導電層を形成しても良い。なお、前記板状部材は、何らかの機能を有する機能部材(作用部材)でもある。例えば、前記板状部材が放熱板(ヒートシンク)である場合は、放熱機能(放熱作用)を有する機能部材(作用部材)であり、シールド板(遮蔽板)である場合は、遮蔽機能(遮蔽作用)を有する機能部材(作用部材)である。
また、前述のとおり、前記板状部材の形状は特に限定されないが、例えば、前記板状部材が、樹脂収容部を有していても良い。より具体的には、例えば、前記板状部材の周縁部が、前記板状部材の前記突起電極固定面側に隆起することにより、前記板状部材の中央部が前記樹脂収容部を形成していても良い。
つぎに、本発明の突起電極付き板状部材の製造方法について、例を挙げて説明する。
本発明の突起電極付き板状部材の製造方法は、前述のとおり、成形型を用いた成形により、前記板状部材と前記突起電極とを同時に成形する成形工程を含む。なお、前記成形型は、特に限定されないが、例えば、金型、セラミックス型、樹脂製の型等が挙げられる。前記成形工程は、例えば、電鋳、圧縮成形、又はトランスファ成形により、前記板状部材と前記突起電極とを同時に成形する工程であっても良い。前記成形型を用いた成形方法としては、特に限定されないが、電鋳、圧縮成形、又はトランスファ成形以外には、例えば、射出成形等が挙げられる。
前記成形工程が、電鋳により、前記板状部材と前記突起電極とを同時に成形する工程である場合において、前記突起電極が、変形可能な変形部を含む突起電極であっても良い。また、前記成形工程が、電鋳により、前記板状部材と前記突起電極とを同時に成形する工程である場合において、前記成形型が、原盤型を用いた成形により製造された成形型であっても良い。前記成形型が、原盤型を用いた成形により製造された成形型である場合において、前記成形型が、複数に分割され、前記複数に分割された成形型を組み立てた状態で前記成形工程を行っても良い。また、この場合において、前記成形型が、前記板状部材の面方向とほぼ平行に、複数に分割されていても良い。
前記成形工程は、例えば、金属により、前記板状部材と前記突起電極とを同時に成形する工程であっても良い。また、例えば、前記成形工程が、導電性樹脂により、前記板状部材と前記突起電極とを同時に成形する工程であっても良い。前記導電性樹脂は、例えば、樹脂および導電性粒子の混合物であっても良い。前記導電性粒子は、特に限定されないが、例えば、金属粒子等が挙げられる。前記金属粒子における金属も、特に限定されないが、例えば、金、銀、銅、ニッケル、錫、その他の任意の金属、及びそれらの2種以上を含む合金等が挙げられる。また、本発明の突起電極板状部材の製造方法において、前記成形工程が、樹脂により、前記板状部材と前記突起電極とを同時に成形する工程であり、さらに、前記突起電極表面および前記板状部材の前記突起電極側の面に導電性膜を付する導電性膜付与工程を含んでいても良い。前記導電性膜は、特に限定されないが、例えば、金属等の膜が挙げられる。前記導電性膜における金属も、特に限定されないが、例えば、金、銀、銅、ニッケル、錫、及びそれらの2種以上を含む合金等が挙げられる。前記導電性膜の形成方法も、特に限定されないが、例えば、メッキ、塗工、スパッタリング、蒸着等が挙げられる。前記メッキは、例えば、無電解メッキでも良いし、電解メッキでも良い。
本発明の突起電極板状部材の製造方法において、前記成形型が、前記板状部材の前記突起電極固定面に対応する型面と、前記型面に形成され前記突起電極の形状に対応した孔とを有し、前記成形工程において、前記型面及び前記孔の内面に、前記突起電極付き板状部材の形成材料を当接させることにより、前記板状部材と前記突起電極とを同時に成形しても良い。また、前記成形型が、前記板状部材の前記突起電極固定面に対応する型面と、前記型面に形成され前記突起電極の形状に対応した突起とを有し、前記成形工程において、前記型面及び前記突起の表面に、前記突起電極付き板状部材の形成材料を当接させることにより、前記板状部材と前記突起電極とを同時に成形しても良い。
また、例えば、前記突起電極の形状は、前述のとおり特に限定されないが、例えば、前記突起電極先端に向かうほど径が細くなる先細り形状であっても良い。前記突起電極がこのような形状であると、後述するように、前記突起電極付き板状部材を成形型から取り外しやすくなる。
つぎに、本発明の電子部品の製造方法について、例を挙げて説明する。
本発明の電子部品の製造方法においては、例えば、前述のとおり、前記突起電極の少なくとも一つが、板状突起電極であり、前記チップが、複数であり、前記樹脂封止工程において、前記基板を、前記板状突起電極により複数の領域に区切るとともに、それぞれの前記領域内において、前記チップを樹脂封止しても良い。
前記樹脂封止工程において、樹脂封止に用いる方法(成形方法)は、特に限定されない。例えば、前記樹脂工程においてトランスファ成形により前記チップを樹脂封止しても良いし、圧縮成形により前記チップを樹脂封止しても良い。
前記樹脂封止工程において、圧縮成形により前記チップを樹脂封止する場合、本発明の製造方法が、さらに、前記突起電極付き板状部材の、前記突起電極が固定された面上に前記樹脂を載置する樹脂載置工程を含んでいても良い。また、この場合、本発明の製造方法が、さらに、前記突起電極付き板状部材を、成形型の型キャビティの位置まで搬送する搬送工程を含んでいても良い。また、前記型キャビティ内において、前記板状部材上に載置された前記樹脂に前記チップを浸漬させた状態で、前記樹脂を前記突起電極付き板状部材及び前記チップとともに圧縮成形することにより、前記樹脂封止工程を行っても良い。
前記樹脂載置工程及び前記搬送工程の順序は特に限定されず、どちらが先でも良いし、同時でも良い。例えば、前記搬送工程において、前記樹脂を、前記突起電極付き板状部材上に載置された状態で、前記突起電極付き板状部材とともに前記成形型の型キャビティの位置まで搬送しても良い。又は、前記搬送工程において、前記突起電極付き板状部材を、樹脂が載置されていない状態で、前記成形型の型キャビティの位置まで搬送しても良い。この場合、本発明の製造方法が、さらに、前記樹脂載置工程に先立ち、前記突起電極付き板状部材を、前記型キャビティ内において加熱する加熱工程を含んでいても良い。そして、前記突起電極付き板状部材が加熱された状態で、前記型キャビティ内において前記樹脂載置工程を行っても良い。
前記搬送工程において、前記突起電極付き板状部材が、前記突起電極が固定された面を上に向けて離型フィルム上に載置された状態で、前記突起電極付き板状部材を前記成形型の型キャビティ内に搬送しても良い。この場合、前記搬送工程において、前記突起電極付き板状部材とともにフレームが前記離型フィルム上に載置され、かつ、前記突起電極付き板状部材が前記フレームにより囲まれた状態で、前記突起電極付き板状部材を前記成形型の型キャビティ内に搬送しても良い。前記樹脂載置工程において、前記突起電極付き板状部材とともに前記フレームが前記離型フィルム上に載置され、かつ、前記突起電極付き板状部材が前記フレームにより囲まれた状態で、前記突起電極付き板状部材および前記フレームにより囲まれた空間内に前記樹脂を供給することによって前記突起電極固定面上に前記樹脂を載置することが好ましい。そのような場合において、前記樹脂載置工程及び前記搬送工程の順序は特に限定されず、どちらが先でも良いし、同時でも良いが、前記搬送工程に先立ち前記樹脂載置工程を行うことが好ましい。
また、前記突起電極付き板状部材の、前記突起電極が固定された面と反対側の面が、粘着剤により前記離型フィルム上に固定されていても良い。
前記搬送工程を行う搬送手段は、前記樹脂を載置した前記板状部材が離型フィルム上に載置された状態で、前記樹脂を前記成形型の型キャビティ内に搬送する手段であっても良い。この場合、前記樹脂封止を行う樹脂封止手段が、離型フィルム吸着手段を有し、かつ、前記離型フィルムを前記離型フィルム吸着手段に吸着させた状態で前記圧縮成形を行う手段であっても良い。また、前記成形型は、特に限定されないが、例えば金型、又はセラミックス型である。
本発明の電子部品の製造方法においては、前述のとおり、前記突起電極付き板状部材の前記板状部材が、樹脂収容部を有していても良い。より具体的には、例えば、前記板状部材の周縁部が、前記板状部材の前記突起電極固定面側に隆起することにより、前記板状部材の中央部が前記樹脂収容部を形成していても良い。また、本発明の電子部品の製造方法は、前記樹脂載置工程において、前記板状部材の前記樹脂収容部内に前記樹脂を載置し、前記樹脂封止工程を、前記樹脂収容部内に前記樹脂が載置された状態で行っても良い。
また、前記樹脂封止工程において、前記配線パターン形成面に前記チップが配置された前記基板を、前記配線パターン形成面を上に向けて基板載置台上に載置し、さらに、前記配線パターン形成面上に前記樹脂を載置した状態で、前記樹脂を押圧しても良い。より具体的には、前記状態で、前記突起電極付き板状部材を前記突起電極側から前記樹脂に押圧しても良い。これによって、電子部品を装着した基板の配線パターンに前記突起電極を接続することができる。
また、前記突起電極付き板状部材における前記板状部材は、前述のとおり、特に限定されないが、例えば、前記板状部材が、放熱板であり、前記放熱板が、前記突起電極固定面と反対側の面に、放熱フィンを有していても良い。
本発明の電子部品の製造方法において、前記樹脂は、特に限定されず、例えば、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂のいずれであっても良い。前記樹脂は、例えば、顆粒状樹脂、粉末状樹脂、液状樹脂、板状樹脂、シート状樹脂、フィルム状樹脂及びペースト状樹脂からなる群から選択される少なくとも一つであっても良い。また、前記樹脂は、例えば、透明樹脂、半透明樹脂、及び不透明樹脂からなる群から選択される少なくとも一つであっても良い。
以下、本発明の具体的な実施形態の例を図面に基づいて説明する。各図は、説明の便宜のため、適宜省略、誇張等をして模式的に描いている。
本実施例では、本発明の突起電極付き板状部材の一例、本発明の突起電極付き板状部材の製造方法の一例、前記突起電極付き板状部材を用いた本発明の電子部品の一例、及び、前記電子部品の製造方法の一例について説明する。
図1の斜視図に、本実施例の突起電極付き板状部材の構造を、模式的に示す。図示のとおり、この突起電極付き板状部材10は、板状部材11の片面に、突起電極12のパターンが固定されて形成されている。突起電極12の長さ(高さ)は、特に限定されないが、例えば、完成品の電子部品(成形パッケージ)の厚さに応じて適宜設定することができる。また、本発明において、前記突起電極のパターンは、本実施例(図1)のパターンに限定されず、任意である。
図1に示す突起電極12の構造は、特に限定されない。突起電極12は、例えば、変形可能な変形部を含む突起電極であっても良い。図2(A)及び(B)の斜視図に、そのような変形部を含む突起電極12の構造の一例を示す。図2(A)及び(B)の斜視図において、紙面上下方向が、板状部材11の面方向と垂直方向を示す。同図(A)に示す突起電極12では、中央部分に変形部12Aを含み、前記中央部分以外の部分が剛性部12B(突起電極12の端部分)で構成されている。変形部12Aは、図示のとおり、板状部材11の面方向と平行方向から見て稲妻形に折れ曲がっている。そして、同図(A)に示すように、突起電極12は、変形部12Aが、ジグザグ状に折れ曲がるようにして前記垂直方向に縮むことが可能である。また、同図(B)に示す突起電極12では、全体が変形部12Aで構成されている。同図(B)の変形部12Aも、板状部材11の面方向と平行方向から見て稲妻形に折れ曲がっている。同図(B)に示す突起電極12では、全体が、くの字状に折れ曲がるようにして前記垂直方向に縮んで変形することが可能である。これにより、例えば、前記突起電極12の高さが、完成品の電子部品(チップを樹脂封止して成形した電子部品)の厚みよりも高く設計された場合であっても、成形時に前記突起電極は損傷することなく前記厚みに倣う。このため、予め前記厚みに合せて前記突起電極の高さを設計する必要がないので、ビア電極(突起電極)及び板状部材の両方を有する電子部品を簡便かつ効率的に製造可能である。
また、突起電極12の形状は、図2のように、変形部12Aが稲妻形(ジグザグ)に折れ曲がっている構造には限定されない。例えば、突起電極12の形状は、前記貫通孔12bを有する形状でも良く、より具体的には、例えば、図3に示す形状でもよい。図3において、右上側の図は、図1の突起電極付き板状部材10の一部を示す斜視図である。また、図3(A)〜(C)は、突起電極12の構造の一例を模式的に示す斜視図である。図3(A)〜(C)にそれぞれ示すとおり、突起電極12の下部12a(板状部材11に接続している側の部分)には孔が開いていない。一方、突起電極12の上部(板状部材11に接続している側と反対側の部分)には、板状部材11の板面と平行方向に、突起電極12を貫通する孔(貫通孔)12bが開いている。また、突起電極12の上端(板状部材11に固定された端と反対側の端)は、その一部が、上方に(板状部材11の板面と垂直方向に)突出し、突起12cを形成している。突起電極12は、突起12cの先端部分で、基板の配線パターン(基板電極)に接することが可能である。なお、図3(A)では、突起電極12cの数が2つである。図3(B)は、突起電極12cの数が1つであり、突起電極12の幅がやや狭いこと以外は、図3(A)と同じである。図3(C)は、突起電極12の幅がさらに狭いこと以外は、図3(B)と同じである。このように、突起12cの数は、特に限定されず、1でも複数でも良い。突起12cの数は、図3(A)〜(C)では1又は2であるが、3以上でも良い。また、孔(貫通孔)12bの数も、図3(A)〜(C)では1であるが、特に限定されず、任意であり、複数でも良い。
突起12cを有することで、突起電極12は、樹脂により妨害されることなく基板の配線パターン(基板電極)に接触しやすくなる。すなわち、突起12cにより、突起電極12と後述する図12における配線パターン22との間の樹脂(例えば溶融樹脂、又は液状樹脂)をかき分けて、配線パターン22に突起12cの先端が当接(物理的に接触)するとともに、電気的に接続される。また、突起電極12が孔12bを有することで、電子部品の樹脂封止がさらに行いやすくなる。すなわち、樹脂が孔12bを通過して流動することができるため、樹脂の流動がさらにスムーズになり、樹脂封止の効率がさらに向上する。この効果は、トランスファ成形により電子部品を製造する(チップを突起電極付き板状部材とともに樹脂封止する)場合に特に顕著である。さらに、突起電極12が配線パターン22に当接(接触)する際に、図3(D)に示すように突起電極12が孔12b近辺で曲がることにより、突起電極12の高さ(長さ)を小さくすることが可能である。すなわち、図3(A)〜(D)に示す形状の突起電極12においては、貫通孔12bの周囲が、板状部材11の面方向と垂直方向に縮むことが可能な前記変形部である。これにより、突起電極12の高さを、電子部品の樹脂厚さ(パッケージ厚さ)に対応して調整することができる。この点を考慮して、突起電極12の高さ(長さ)を、あらかじめ、前記樹脂厚さ(パッケージ厚さ)よりも若干長く設定しても良い。
また、突起電極12は、例えば、前記稲妻形突起電極であり、かつ前記貫通孔付き突起電極であっても良い。すなわち、突起電極12は、板状部材11の面方向と平行方向から見て稲妻形に(ジグザグに)折れ曲がった前記変形部と、板状部材11の面方向と平行方向に貫通する前記貫通孔を、両方有していても良い。図4に、そのような構造の一例を示す。図4において、右上側の図は、図1の突起電極付き板状部材10の一部を示す斜視図である。また、図4の(A)〜(C)は、突起電極12の構造の一例を模式的に示す斜視図である。図4(A)〜(C)の突起電極12は、突起電極12の下部12a(板状部材11に接続している側の、孔が開いていない部分)と、上部(板状部材11に接続している側と反対側の、貫通孔12bが開いている部分)とが、変形部12Aにより接続されて一体化されていること以外は、図3(A)〜(C)と同様である。図4(A)〜(C)において、変形部12Aは、図2(A)と同様、板状部材11の面方向と平行方向から見て稲妻形(ジグザグ)に折れ曲がっており、板状部材11の面方向と垂直方向に縮むことが可能である。また、図4(A)〜(C)の突起電極12は、図3(A)〜(C)と同様、突起電極12が孔12b近辺で曲がることにより、例えば図4(D)に示すように、突起電極12の高さ(長さ)を小さくすることも可能である。
なお、突起電極12の形状は、図2〜4の形状には限定されない。例えば、図2〜4に例示した形状は、変形部12Aを含む突起電極12の例であるが、突起電極12は、変形部を含む突起電極には限定されない。また、突起電極12が変形部12Aを含む場合も、図2〜4の形状には限定されず、図2〜4の形状に加え、又はこれに代えて、他の形状であっても良い。例えば、前述のとおり、突起電極12の少なくとも一つが、柱状の形状を有する柱状突起電極であっても良い。前記柱状突起電極の形状としては、前述のとおり、例えば、円柱状、角柱状、円錐状、角錐状、円錐台状、角錐台状等が挙げられる。
また、前述のとおり、突起電極12の少なくとも一つが、板状突起電極であっても良い。この場合、前述のとおり、本発明の製造方法における前記樹脂封止工程において、前記基板を、前記板状突起電極により複数の領域に区切るとともに、それぞれの前記領域内において、前記電子部品を樹脂封止しても良い。また、前記板状突起電極が、図3(A)〜(C)の突起電極と同様に、貫通孔及び突起を有していても良い。前記貫通孔は、図3(A)〜(C)と同様に、前記板状突起電極を、前記板状部材の板面と平行方向に貫通していても良い。また、前記突起は、図3(A)〜(C)と同様に、前記板状突起電極の、前記板状部材に固定された端と反対側の端において、前記板状部材の板面と垂直方向に突出していることが好ましい。前記板状突起電極の前記貫通孔及び前記突起の数も、特に限定されず任意であるが、複数が好ましい。前記板状突起電極が前記貫通孔及び前記突起を有することで、図3(A)〜(C)の貫通孔12b及び突起12cと同様の利点がある。すなわち、まず、前記板状突起電極が前記突起を有することで、前記板状突起電極は、樹脂により妨害されることなく基板の配線パターン(基板電極)に接触しやすくなる。また、前記板状突起電極が前記貫通孔を有することで、樹脂が前記貫通孔を通過して流動することができるため、樹脂の流動がさらにスムーズになり、樹脂封止の効率がさらに向上する。この効果は、トランスファ成形により電子部品を製造する(チップを突起電極付き板状部材とともに樹脂封止する)場合に特に顕著である。また、さらに、前記板状突起電極が前記貫通孔近辺で曲がることにより、前記板状突起電極の高さ(長さ)を小さくすることが可能である。これにより、前記板状突起電極の高さを、電子部品の樹脂厚さ(パッケージ厚さ)に対応して調整することができる。この点を考慮して、前記板状突起電極の高さ(長さ)を、あらかじめ、前記樹脂厚さ(パッケージ厚さ)よりも若干長く設定しても良い。
さらに、本発明において、前記突起電極の前記変形部は、前記板状部材の面方向と垂直方向に縮むことが可能であることが好ましいが、前記垂直方向に縮む以外にどのような変形をしても良い。例えば、前記変形部は、前記板状部材の面方向と垂直方向に縮むとともに、前記板状部材の面方向(水平面方向)や斜め方向を含む横方向全体に広がるような状態になっても良い。前記変形がどのような変形となるかは、例えば、前記板状部材の材質、形状等による。
つぎに、前記突起電極付き板状部材の製造方法の例について説明する。
本発明の突起電極付き板状部材は、前述のとおり、成形型を用いた成形により、前記板状部材と前記突起電極とを同時に成形する成形工程を含む。
図5(A)〜(C)の工程断面図に、前記成形工程において、電鋳により、前記板状部材と前記突起電極とを同時に成形する例を、模式的に示す。まず、図5(A)に示すように、電鋳用の成形型10Dを準備する。図示のとおり、この成形型10Dは、一方の面(紙面の上側の面)が、前記板状部材の前記突起電極固定面に対応する型面を形成している。前記型面には、前記突起電極の形状に対応した孔12Dが形成されている。電鋳用の成形型10Dの製造方法は、特に限定されないが、例えば、樹脂板又は金属板の機械加工等により製造しても良い。例えば、孔12Dを、機械加工(ミーリング)等により形成しても良い。または、成形型10Dの形状に対応した(成形型10Dの表面形状における凹凸を反転させた)型面を有する原盤型を用いた成形により、成形型10Dを製造しても良い。原盤型を用いた成形方法としては、特に限定されず、例えば、電鋳、圧縮成形、トランスファ成形等が挙げられる。成形型10Dの形成材料は特に限定されず、樹脂、金属、セラミックス等が挙げられるが、電鋳用の成形型として用いる観点から、導電性材料が好ましい。成形型10Dの形成材料が樹脂である場合は、導電性樹脂が好ましい。前記導電性樹脂は、特に限定されないが、例えば、樹脂および導電性粒子の混合物であっても良い。前記導電性粒子は、特に限定されないが、例えば、金属粒子等が挙げられる。前記金属粒子における金属も、特に限定されないが、例えば、金、銀、銅、ニッケル、錫、その他の任意の金属、及びそれらの2種以上を含む合金等が挙げられる。また、成形型10Dは、前記導電性樹脂又は非導電性樹脂の表面に、導電性膜を付与した成形型でも良い。前記導電性膜は、特に限定されないが、例えば、前述のとおり、金属等の膜が挙げられる。前記導電性膜における金属も、特に限定されないが、例えば、金、銀、銅、ニッケル、錫、及びそれらの2種以上を含む合金等が挙げられる。前記導電性膜の形成方法も、特に限定されないが、例えば、メッキ、塗工、スパッタリング、蒸着等が挙げられる。前記メッキは、例えば、無電解メッキでも良いし、電解メッキでも良い。
そして、図5(A)の矢印で示すように、電鋳によって、成形型10Dの前記型面及び孔12Dの内面に、前記突起電極付き板状部材の形成材料を当接させる。すなわち、図5(B)に示すように、成形型10Dの前記型面及び孔12Dの内面に、突起電極付き板状部材10の形成材料を当接させることにより、板状部材11と突起電極12とを同時に成形し(成形工程)、突起電極付き板状部材10を製造する。このように、電鋳により突起電極付き板状部材10を製造する場合、突起電極付き板状部材10の形成材料は、特に限定されないが、例えば、ニッケル、銅等の金属、及びそれらの2種以上を含む合金等が挙げられる。そして、図5(C)に示すように、突起電極付き板状部材10を成形型10Dから取り外して用いる。このとき、成形型10Dの形を保ったまま突起電極付き板状部材10を成形型10Dから取り外しても良い。また、例えば、成形型10Dを溶かすことで突起電極付き板状部材10を成形型10Dから取り外しても良い。この場合、成形型10Dの形成材料が樹脂であることが、簡便性の観点から好ましい。前記樹脂は、例えば、導電性粒子を混合した導電性樹脂等であっても良い。例えば、原盤型を用いて成形型10Dを製造すれば、同形同大の成形型10Dを何度でも簡便に製造できる。これにより、成形型10Dを溶かして使い捨てにしても、突起電極付き板状部材10の製造を効率良く低コストに行うことができる。また、例えば、成形型10Dを溶かして得られた材料を、再度、成形型10Dの形成材料として用いても良い。
なお、本発明の突起電極付き板状部材の製造方法は、前記成形工程(前記板状部材と前記突起電極とを同時に成形する工程)以外の工程を適宜含んでいても良いし、含んでいなくても良い。例えば、図5に示す例では、同図(C)のように突起電極付き板状部材10を成形型10Dから取り外した後に、突起電極付き板状部材10の不要部分を機械加工(例えば切削研磨等)又はエッチング等により除去する工程を含んでいても良いし、含んでいなくても良い。
また、図6〜9に、前記成形工程(前記板状部材と前記突起電極とを同時に成形する工程)を電鋳により行う場合の、いくつかの変形例を示す。
まず、図6に、成形型10Dが凸型である場合の例を示す。すなわち、図5(A)〜(C)では、成形型10Dが凹型である場合を例示した。ここで、凹型とは、図5で説明したように、前記板状部材の前記突起電極固定面に対応する型面と、前記型面に形成され前記突起電極の形状に対応した孔とを有する成形型である。これに対し、凸型とは、前記板状部材の前記突起電極固定面に対応する型面と、前記型面に形成され前記突起電極の形状に対応した突起とを有する成形型をいう。すなわち、図6の成形型10D(凸型)は、図示のとおり、一方の面(紙面の上側の面)が、前記板状部材の前記突起電極固定面に対応する型面を形成している。前記型面には、前記突起電極の形状に対応した突起12Eが形成されている。図6では、図示のとおり、前記成形工程において、前記型面及び突起12Eの表面に、突起電極付き板状部材10の形成材料を当接させることにより、板状部材11と突起電極12とを同時に成形する。図6における突起電極付き板状部材10の製造方法は、電鋳を用いて行うことができる。より具体的には、図6の製造方法は、例えば、成形型10Dとして、図5(A)に示す凹型に代えて図6に示す凸型を用いること以外は、図5(A)〜(C)の製造方法と同様にして行うことができる。
また、図7および8は、突起電極12の形状が、突起電極12先端に向かうほど(板状部材11から遠くなるほど)径が細くなる先細り形状である場合の例である。図7は、凹型の例であり、突起電極12の形状が、突起電極12先端に向かうほど(板状部材11から遠くなるほど)径が細くなる先細り形状であること以外は、図5(B)と同様である。図8は、凸型の例であり、突起電極12の形状が、突起電極12先端に向かうほど(板状部材11から遠くなるほど)径が細くなる先細り形状であること以外は、図6と同様である。図7および8に示すとおり、突起電極12の形状に対応する孔12D又は突起電極12の形状に対応する突起12Eの形状は、突起電極12の形状に対応した形状となっている。すなわち、孔12D及び突起12Eの形状は、突起電極12先端に向かうほど(板状部材11から遠くなるほど)径が細くなる先細り形状である。図7及び8に示す成形型12Dを用いた突起電極付き板状部材10の製造は、図5又は6と同様にして行うことができる。突起電極12がこのような先細り形状であると、突起電極付き板状部材10を成形型10Dから取り外しやすく、好ましい。
また、図9(A)〜(D)の工程断面図は、成形型が複数に分割されている場合の例示である。図9(A)に示すとおり、この成形型は、板状部材の面方向とほぼ平行に、複数に分割されている。具体的には、この成形型は、図示のとおり、突起電極先端側から板状部材側に向かって、成形型10D1、10D2、10D3、及び10D4の4つの成形型に分かれている。成形型10D1は、突起電極先端部に対応する。成形型10D2及び10D3は、突起電極の中央部分である変形部に該当する。成形型10D4は、板状部材及び突起電極の板状部材側部分に対応する。成形型10D4の上面(紙面の上側の面)が、板状部材の突起電極固定面に対応する型面である。成形型10D1、10D2、10D3、及び10D4には、それぞれ、突起電極の形状に対応する孔12D1、12D2、12D3、及び12D4が開いている。孔12D1は、成形型10D1を貫通しておらず、孔12D2、12D3、及び12D4は、成形型10D2、10D3、及び10D4をそれぞれ貫通する貫通孔である。図9(B)に示すとおり、成形型10D1、10D2、10D3、及び10D4を組み立てると、突起電極の形状に対応した孔が前記型面に形成された1つの成形型となる。この成形型においては、孔12D1、12D2、12D3、及び12D4が結合し、前記突起電極の形状に対応した孔となっている。この成形型を用いて、図5(A)〜(C)と同様に、電鋳により突起電極付き板状部材を製造できる。すなわち、図9(B)に示す成形型の前記型面及び前記孔の内面に、突起電極付き板状部材の形成材料を当接させることにより、図9(C)に示すとおり、板状部材11と突起電極12とを同時に成形し(成形工程)、突起電極付き板状部材10を製造する。この突起電極付き板状部材10は、図示のとおり、突起電極12の中央部分が、変形可能な変形部12Aである。そして、図9(D)に示すように、突起電極付き板状部材10を成形型10Dから取り外して用いる。
図9(A)〜(D)のように、板状部材の面方向とほぼ平行に、複数に分割された成形型を用いる方法は、突起電極12の形状が複雑である場合において好ましい。突起電極12の形状が複雑である場合とは、具体的には、例えば、図9(C)及び(D)に示したように、突起電極12が変形部12Aを含む場合が挙げられる。変形部12Aを含む突起電極12の形状は、特に限定されないが、例えば、図2〜4のとおりである。突起電極12の形状が複雑である場合であっても、このように、板状部材の面方向とほぼ平行に、複数に分割された成形型を用いるようにすれば、成形型を製造しやすい。また、前記成形工程(図9(C))後に突起電極付き板状部材10を成形型10Dから取り外す方法は、特に限定されないが、成形型10Dを溶かすことが好ましい。成形型10Dを溶かすことにより、突起電極12の形状が複雑な形状であっても、突起電極付き板状部材10を成形型10Dから容易に取り外すことができる。この場合、成形型10Dは、原盤型を用いて製造することが好ましい。
以上、図5〜9を用いて、突起電極付き板状部材を電鋳により製造する製造方法の例について説明した。電鋳による成形を用いれば、同一形状の突起電極付き板状部材を、きわめて精度よく、かつ効率的に製造できる。また、電鋳によれば、突起電極付き板状部材の形状が、複雑な形状、微細な形状等であっても、精度よく再現することが可能である。
突起電極付き板状部材を用いた電子部品の製造方法は、特に限定されないが、例えば、図12(A)〜(C)の模式的な工程断面図に示す製造工程により、行うことができる。図12(C)の断面図が、前記製造工程により製造される本実施例の電子部品の構造の模式図である。まず、図12(C)に示すとおり、この電子部品20は、基板21、チップ31、樹脂41、板状部材11及び変形部12Aを有する突起電極12を含む。突起電極12は、板状部材11の片面に固定され、板状部材11と突起電極12が一体となって突起電極付き板状部材を形成している。チップ31は、基板21上に固定されているとともに、樹脂41により封止されている。基板21上の、チップ31配置側には、配線パターン22が形成されている。突起電極12は、図1でも説明したとおり、板状部材11の片面に固定されている。また、突起電極12は、前記樹脂41を貫通して配線パターン22に接触している。
つぎに、図12(A)〜(C)の製造工程について説明する。まず、図12(A)に示すとおり、突起電極付き板状部材10及び基板21を準備する。図示のとおり、突起電極付き板状部材10においては、突起電極12が板状部材11の片面に固定され、板状部材11と突起電極12が一体となって突起電極付き板状部材10を形成している。また、図12(A)において、突起電極12の、板状部材11の面方向と垂直方向の長さ(高さ)を、矢印及び符号Mで示している。基板21上にはチップ31が固定されている。基板21上の、チップ31配置側には、配線パターン22が形成されている。そして、突起電極付き板状部材10及び基板21を、図12(A)に示すとおり、突起電極12固定面と配線パターン22形成面とを対向させて配置する。
そして、図12(B)に示すとおり、板状部材11の突起電極12固定面と、基板21の配線パターン22形成面との間で、チップ31を樹脂41により封止する。同図では、変形部12Aを有する突起電極12が縮んでいない。すなわち、突起電極12の、板状部材11の面方向と垂直方向の長さ(高さ)は、図12(A)と同じMのままである。この状態で、突起電極12が配線パターン22に接触しており、かつ、突起電極12の長さが、電子部品の所定の厚みに倣っていれば、これを電子部品20としても良い。突起電極12の長さが、電子部品の所定の厚みに倣っていない場合は、板状部材11の面方向と垂直方向の押圧により、板状部材11と基板21との間隔(距離)を縮めて、電子部品の所定の厚みに倣うようにする。このとき、突起電極12には、基板21の配線パターン22に当接することによる押圧力がかかる。この押圧力によって、突起電極12全体が、相対的に板状部材11の面方向と垂直方向に押圧される。この押圧により、図12(C)に示すように、突起電極12は、その変形部12Aが折れ曲がることにより、板状部材11の面方向と垂直方向に縮む。すなわち、図示のとおり、突起電極12の、板状部材11の面方向と垂直方向の長さ(高さ)は、図12(A)及び(B)のMよりも小さい数値であるNとなる(M>N)。これにより、突起電極12は、前記電子部品の所定の厚み(板状部材11と基板21との間隔)に倣う。また、図12(C)の状態で、突起電極12が配線パターン22に接触した状態とする。このようにして、図示の電子部品20を製造することができる。なお、図12では、説明の便宜上、突起電極12は、稲妻形の変形部12Aを有する形状であるものとして説明した。しかし、前述のとおり、突起電極12の形状は、これに限定されず、前述のとおり、どのような形状でも良い。以下、突起電極12を含む全ての断面図において、同様である。
また、板状部材11は、特に限定されず、例えば、前述のとおり、放熱板、又は遮蔽板(シールド板)等であっても良い。例えば、1つのIC(電子部品)中に複数のチップ(チップ)が配置されている場合等において、それぞれのチップの機能の関係上、遮蔽板(シールド板)により電磁的に遮蔽しても良い。
さらに、突起電極付き板状部材は、1つの基板(1つの電子部品)に対応した板状部材でも良いが、図1に示したように、複数の基板(複数の電子部品)に対応した板状部材(マトリクス型)でも良い。マトリクス型の場合、例えば、それぞれにチップ及び配線パターンが固定された複数の基板を、前記マトリクス型の突起電極付き板状部材とともに樹脂封止する。その後、前記マトリクス型の突起電極付き板状部材を、切断等により、各基板に対応した領域毎に分割しても良い。また、例えば、前述のとおり、前記突起電極の少なくとも一つが、板状突起電極であっても良い。この場合、基板面上における、1つの電子部品(1つの製品単位)に対応する所要の範囲(或る特定の機能を有する範囲)を、前記板状突起電極で区画する(区切る)ことができる。
さらに、チップ31に代えて、すでにチップが樹脂封止された形態の電子部品を用いても良い。この場合、電子部品20は、電子部品31をさらに樹脂封止した形態であるから、チップが複数回樹脂封止されていることになる。
なお、図12(A)〜(C)は、突起電極12が変形部12Aを有する場合について説明した。突起電極12が変形部を有しない場合は、突起電極12の、板状部材11の面方向と垂直方向の長さ(高さ)が、板状部材11の面方向と垂直方向に縮まない。それ以外は、突起電極12が変形部を有しない場合でも、図12(A)〜(C)と同様にして突起電極付き板状部材10を製造できる。しかしながら、突起電極12が変形部12Aを有すると、前述のように、完成品の(樹脂封止した)電子部品の厚みに合せて前記突起電極の高さを設計する必要がない。このため、ビア電極(突起電極)及び板状部材の両方を有する電子部品を簡便かつ効率的に製造可能であり好ましい。例えば、前述のとおり、突起電極12が板状部材11の面方向と垂直方向に縮むことを考慮して、突起電極12の高さ(長さ)を、あらかじめ、完成品の(樹脂封止した)電子部品の樹脂厚さ(パッケージ厚さ)よりも若干長く設定しても良い。
なお、突起電極付き板状部材を用いた電子部品の製造方法を、図12(A)〜(C)において模式的に例示したが、前述のとおり、特にこの方法に限定されるものではない。電子部品の製造方法のさらに具体的な例は、後述の各実施形態において説明する。
つぎに、圧縮成形により突起電極付き板状部材を製造する例について説明する。
図10(A)〜(H)の工程断面図(ただし、図10(A)のみ平面図)に、本実施例の、圧縮成形により突起電極付き板状部材を製造する工程を模式的に示す。なお、図10(A)〜(H)の工程断面図については、便宜上、図10a(図10(A)〜(D))及び図10b(図10(E)〜(H))の2つに分けているが、図10a及び図10bをまとめて、単に図10という。
まず、図10(A)の平面図に示すとおり、金属フレーム(枠)3001を準備する。図示のとおり、この金属フレーム(枠)3001は、矩形(長方形)であり、その中央部分に、長方形の貫通孔(開口部)3001aを有する。ただし、金属フレーム3001及び貫通孔3001aの形状は、矩形に限定されず任意であり、突起電極付き板状部材の形状等に応じて適宜選択することができる。
つぎに、図10(B)の断面図に示すとおり、金属フレーム3001を、金属フレーム3001と同形同大の粘着シート3002の片面に貼付する。粘着シート3002は、金属フレーム3001貼付側の面に粘着剤が付与されている。粘着シート3002における金属フレーム3001貼付側と反対側の面は、成形型の上型に設けた吸着孔(図示せず)により吸引することで、前記上型に吸着させることが可能である。また、粘着シート3002の金属フレーム3001貼付側において、貫通孔3001aから露出した粘着面には、後述するとおり、突起電極付き板状部材を粘着させることが可能である。
つぎに、図10(C)〜(G)に示すとおり、圧縮成形により突起電極付き板状部材を製造する。まず、図10(C)に示すとおり、成形型の上型3003に粘着シート3002及び金属フレーム3001を吸着させる。この吸着は、例えば、前述した上型3003の吸着孔(図示せず)からの吸引による減圧(真空引き)により行うことができる。また、この成形型は、突起電極付き板状部材を製造するための圧縮成形装置の一部である。図10(C)の断面図は、この成形型の一部の構造を示す概略図である。また、同図は、成形型を型締めする前の型開き状態で、かつ、樹脂材料4001を供給した状態を示している。
図10(C)に示すとおり、この成形型は、上型3003と、上型に対向配置された下型3004とを主要構成要素とする。上型3003の型面(下面)には、図示のように、金属フレーム3001を貼付した粘着シート3002を、金属フレーム3001側を下方に向けた状態で吸着(装着)して固定することができる。
上型3003は、上型ベースプレート3011に垂下した状態で装設されている。上型ベースプレート3011上における上型3003の外周位置には、上型外気遮断部材3013が設けられている。上型外気遮断部材3013の上端面(上型ベースプレート3011及び上型外気遮断部材3013に挟まれた部分)には、外気遮断用のOリング3013aが設けられている。また、上型外気遮断部材3013の下端面にも、外気遮断用のOリング3013bが設けられている。また、上型ベースプレート3011には、型内の空間部の空気を強制的に吸引して排出するための上型の孔(貫通孔)3012が設けられている。
また、下型3004は、下型キャビティ底面部材3005a、下型外周部材3006及び下型弾性部材3006aから形成されている。さらに、下型キャビティ底面部材3005aは、その型面(上面)に、樹脂成形用の空間であるキャビティ(下型キャビティ)3005bを含む。下型キャビティ底面部材3005aは、下型キャビティ3005bの下方に設けられている。下型キャビティ底面部材3005aの型面(上面)は、突起電極付き板状部材における板状部材の突起電極固定面側に対応した形状をしている。また、下型キャビティ3005bは、突起電極付き板状部材における突起電極の形状に対応した孔を有する。下型外周部材(下型の枠体、キャビティ側面部材)3006は、下型キャビティ底面部材3005aの周囲を取り囲むように配置されている。下型外周部材3006上面の高さは、下型キャビティ底面部材3005a上面の高さよりも高くなっている。これにより、下型キャビティ底面部材3005a上面と下型外周部材3006内周面とに囲まれた下型キャビティ(凹部)3005bが形成されている。下型キャビティ底面部材3005aと下型外周部材3006との間には、空隙(吸着孔)3006cがある。この空隙3006cを、後述するように、真空ポンプ(図示せず)で減圧にし、離型フィルム等を吸着させることが可能である。また、下型3004(下型キャビティ底面部材3005a、下型外周部材3006及び下型弾性部材3006a)は、下型ベースプレート3005に載置した状態で装設されている。緩衝用の下型弾性部材3006aは、下型外周部材3006と下型ベースプレート3005との間に設けられている。さらに、下型ベースプレート3005上における下型外周部材3006の外周位置には、下型外気遮断部材3021が設けられている。下型外気遮断部材3021の下端面(下型ベースプレート3005及び下型外気遮断部材3021に挟まれた部分)には、外気遮断用のOリング3021aが設けられている。下型外気遮断部材3021は、上型外気遮断部材3013及び外気遮断用のOリング3013bの真下に配置されている。以上の構成を有することにより、上下両型の型締時に、Oリング3013a及び3013bを含む上型外気遮断部材3013と、Oリング3021aを含む下型外気遮断部材3021とを接合することで、少なくとも下型キャビティ3005b内を外気遮断状態にすることができる。
そして、図10(C)に示すとおり、下型キャビティ3005b内に樹脂4001を供給する。図示のとおり、樹脂4001は、離型フィルム5001上に載置されている。離型フィルム5001は、下型キャビティ3005b上面(キャビティ面)に吸着されている。樹脂4001は、離型フィルム5001を介して、下型キャビティ3005b内に配置(セット)されている。離型フィルム5001は、同図の矢印3007に示すとおり、下型の吸着孔3006cを真空ポンプ(図示せず)で吸着して減圧にすることにより、下型キャビティ3005bのキャビティ面に吸着されている。これにより、下型キャビティ3005bのキャビティ面が、離型フィルム5001で被覆されている。なお、離型フィルム5001及び樹脂4001を下型キャビティ3005b内に供給してセットする方法は、特に限定されないが、例えば、後述する図28〜30と同様でも良い。すなわち、まず、離型フィルム5001上に、貫通孔を有する矩形状の枠(フレーム)を載置し、その貫通孔内に樹脂4001を供給した「樹脂供給フレーム」を形成する。その「樹脂供給フレーム」を搬送し、上型3003と下型3004との間(下型キャビティ3005bの位置)に進入させる。そして、前述のとおり離型フィルム5001を下型キャビティ3005bのキャビティ面に吸着させた後に、前記矩形状の枠(フレーム)のみを取り除く。また、図10(C)では、樹脂4001は、溶融した状態で図示している。樹脂4001は、例えば、後述する図28〜30と同様に、顆粒樹脂の状態で上型3003と下型3004との間に搬送しても良い。そして、前記のとおり樹脂4001を下型キャビティ3005b内にセットした後に、下型3004の加熱により溶融させることができる。
つぎに、上下両型を型締めする。まず、図10(D)に示すように、金属フレーム3001下面(粘着シート3002貼付面の反対側)と、離型フィルム5001で被覆された下型外周部材3006上面とを、所要の間隔で保持した状態にする中間的な型締めを行う。すなわち、まず、図10(C)の状態から、下型3004側を、矢印3031の方向に上動させる。これにより、図10(D)に示すように、上型外気遮断部材3013及び下型外気遮断部材3021を、Oリング3013bを挟んだ状態で閉じ合わせる。このようにして、同図に示すとおり、上型3003、下型3004、上型外気遮断部材3013及び下型外気遮断部材3021で囲まれた外気遮断空間部を形成する。この状態で、同図の矢印3014に示すとおり、上型ベースプレート3011に設けられた上型の孔3012を通じて、少なくとも前記外気遮断空間部を、真空ポンプ(図示せず)で吸引して減圧にし、所定の真空度に設定する。
さらに、図10(E)に示すように、金属フレーム3001下面と、離型フィルム5001で被覆された下型外周部材3006上面とを接合して完全型締めを行う。すなわち、図10(D)の状態から、下型3004をさらに上動させる。これにより、図10(E)に示すとおり、上型3003に粘着シート3002を介して装着(吸着)された(固定された)金属フレーム3001を、離型フィルム5001を介して、下型外周部材3006に当接させる。そして、下型ベースプレート3005をさらに上動させることにより、下型キャビティ底面部材3005aを、さらに上動させる。なお、このとき、樹脂4001は流動性を有する状態としておく。下型キャビティ底面部材3005aの上動による押圧力によって、図示のとおり、樹脂4001の上面が、粘着シート3002の、金属フレーム3001における貫通孔3001aから露出した部分に粘着される。このとき、下型弾性部材3006a及びOリング3013a、3013b、3021aが縮んでクッションの機能をする。このようにして、樹脂4001を加圧して圧縮成形する。そして、樹脂4001を硬化させる。これにより、図10(E)〜(H)に示すとおり、板状部材11の片面に突起電極12が形成された突起電極付き板状部材10を成形することができる。
図10(E)〜(H)に示す工程は、例えば、以下のようにして行うことができる。すなわち、まず、図10(E)の状態から、樹脂4001の硬化に必要な所要時間の経過後、真空ポンプを停止させ、上型ベースプレート3011に設けられている上型の孔3012を通じた吸引による減圧(真空引き)を解除する。このとき、下型キャビティ底面部材3005aと下型外周部材3006との間の空隙の減圧(真空引き)は、解除しても良いが、解除せず離型フィルム5001を下型キャビティ底面部材3005aに吸着させたままにすることが好ましい。その方が、以下において突起電極付き板状部材10を離型フィルム5001から離す(離型する)工程が行いやすいためである。次に、下型3004(下型キャビティ底面部材3005a、下型外周部材3006及び下型弾性部材3006a)を、下型ベースプレート3005とともに、矢印3032の方向に下降させる。これにより、上型3003、下型3004、上型外気遮断部材3013及び下型外気遮断部材3021で囲まれた前記外気遮断空間部内を開放して減圧を解除する。これにより、図10(F)に示すとおり、上型3003及び下型3004が型開きされる。そして、同図に示すとおり、突起電極付き板状部材10は、板状部材11における突起電極12固定面と反対側の面が粘着シート3002に粘着した状態で、離型フィルム5001から離される(離型される)。
そして、前述した上型3003の吸着孔(図示せず)からの吸引による減圧(真空引き)を解除する。これにより、図10(G)に示すように、粘着シート3002を、金属フレーム3001及び突起電極付き板状部材10とともに、上型3003から取り出す。さらに、図10(H)に示すように、突起電極付き板状部材10(板状部材11)を、粘着シート3002及び金属フレーム3001から引きはがす。以上のようにして、突起電極付き板状部材10を製造することができる。なお、金属フレーム3001の内周(貫通孔3001a周囲の、板状部材11と接する部分)には、あらかじめ離型剤(特に限定されないが、例えば、フッ素系離型剤等)を塗布しておいても良い。これにより、板状部材11に対する離型性が高くなり、突起電極付き板状部材10を取り除きやすくなる。
また、突起電極付き板状部材10の形成材料も特に限定されないが、例えば、導電性樹脂でも非導電性樹脂であっても良い。前記導電性樹脂は、特に限定されないが、例えば、樹脂および導電性粒子の混合物であっても良い。前記導電性粒子は、特に限定されないが、例えば、金属粒子等が挙げられる。前記金属粒子における金属も、特に限定されないが、例えば、金、銀、銅、ニッケル、錫、その他の任意の金属、及びそれらの2種以上を含む合金等が挙げられる。また、例えば、前記成形型による成形工程後に、前記導電性樹脂又は非導電性樹脂(特に、非導電性樹脂)で形成された突起電極付き板状部材の前記突起電極側の面に導電性膜を付しても良い。前記導電性膜は、特に限定されないが、例えば、金属等の膜が挙げられる。前記導電性膜における金属も、特に限定されないが、例えば、金、銀、銅、ニッケル、錫、及びそれらの2種以上を含む合金等が挙げられる。前記導電性膜の形成方法も、特に限定されないが、例えば、メッキ、塗工、スパッタリング、蒸着等が挙げられる。前記メッキは、例えば、無電解メッキでも良いし、電解メッキでも良い。
また、圧縮成形を用いた突起電極付き板状部材の製造方法は、本例(図10(A)〜(H))に限定されず、適宜変更が可能である。例えば、本例では、貫通孔3001aを有する金属フレーム3001を粘着シート3002に貼付して用いたが、これに代えて、貫通孔を有しない金属プレート又は樹脂シートを用いても良い。前記金属プレート又は樹脂シートは、例えば、粘着シート3002を介さずに、粘着剤により、又は真空ポンプによる吸引(減圧)等により上型3003に貼付しても良い。また、前記金属プレート又は樹脂シートには、突起電極付き板状部材との離型性を高め分離しやすくするために、あらかじめ離型剤(特に限定されないが、例えば、フッ素系離型剤等)を塗布しておいても良い。
つぎに、トランスファ成形により突起電極付き板状部材を製造する例について説明する。
図11の断面図に、板状部材11の片面に突起電極12が固定された突起電極付き板状部材10の製造方法の一例を模式的に示す。この製造方法は、前述のとおり、トランスファ成形を用いた製造方法である。
図11に示すとおり、この製造方法は、一般的なトランスファ成形用の成形型6000を用いて行うことができる。図示のとおり、成形型6000は、上型6001及び下型6002から形成されている。上型6001の型面には樹脂成形用の型キャビティ6003が設けられ、下型6002の型面には、実施例2(図10)と同様の金属フレーム3001を貼付した粘着シート3002を供給セットするセット部6004が設けられて構成されている。また、上型の型キャビティ6003は、図示のとおり、板状部材11及び突起電極12の凹凸に対応した(前記凹凸を反転させた)形状を有する。
また、上型6001には、樹脂材料供給用の樹脂通路(孔)6005が設けられている。樹脂通路6005には、樹脂加圧用のポット6006およびプランジャ6007が接続されている。
図11の装置を用いたトランスファ成形の方法は、特に限定されず、一般的なトランスファ成形方法に従って行っても良い。すなわち、まず、図示のとおり、下型6002の型面(上面)のセット部6004に、金属フレーム3001を貼付した粘着シート3002を、金属フレーム3001を上に(下型6002の型面と反対側に)向けた状態で供給セットする。さらに、ポット6006内に樹脂タブレット、液状樹脂(例えば熱硬化性樹脂)等の樹脂材料を供給する。そして、上下両型6001及び6002を型締めする。つぎに、ポット6006内で樹脂を加熱して溶融化し、ポット6006内の溶融樹脂4001を、プランジャ6007で加圧することにより、上型6001の樹脂通路6005内から上型6001の型キャビティ6003内に溶融樹脂を注入することができるように構成されている。このとき、前記プランジャ6007にて型キャビティ6003内の樹脂に所要の樹脂圧を加えることができる。
硬化に必要な所要時間の経過後、上下両型6001及び6002を型開きすることにより、型キャビティ6003内で、板状部材11の片面に突起電極12が固定された突起電極付き板状部材10を成形することができる。
なお、トランスファ成形の条件等は、図11の条件に限定されず、任意の変更が可能である。例えば、上型6001の離型性(成形後の突起電極付き板状部材10との分離しやすさ)を高めるために、例えば、上型6001の型キャビティ6003を離型フィルムで被覆しても良いし、上型6001にエジェクターピンを設けても良い。また、例えば、図11では金属フレーム3001及び型キャビティ6003が上を向いているが、これを上下逆にし、金属フレーム3001及び型キャビティ6003が下を向いた構成としても良い。すなわち、上型6001に代えて下型6002に型キャビティ6003を設け、下型6002に代えて上型6001にセット部6004を設けても良い。
また、トランスファ成形における成形の際は、例えば、型キャビティ内等を所定の真空度に設定してトランスファ成形しても良い。前記所定の真空度に設定する方法も、特に限定されず、例えば、一般的なトランスファ成形による方法に従っても良い。
前記トランスファ成形に用いる装置は、特に限定されず、例えば、一般的なトランスファ成形用装置と同様でも良い。また、前記樹脂封止工程の具体的な条件も、特に限定されず、例えば、一般的なトランスファ成形と同様でも良い。
つぎに、本発明の突起電極付き板状部材を用いた電子部品の製造方法の例について説明する。本実施例では、トランスファ成形により電子部品を製造する例について説明する。
図13の断面図に、図12の電子部品の製造方法の一例を模式的に示す。この製造方法は、前述のとおり、トランスファ成形を用いた製造方法である。また、同図では、突起電極12が変形部12Aを有する場合について説明する。
図13に示すとおり、この製造方法は、一般的なトランスファ成形用の成形型50を用いて行うことができる。図示のとおり、成形型50は、上型51及び下型52から形成されている。上型51の型面には樹脂成形用の型キャビティ56が設けられ、下型52の型面には、チップ31と配線パターン22とが設けられた基板21を供給セットする基板セット部57が設けられて構成されている。
また、下型52には、樹脂材料供給用のポット(孔)54が設けられており、ポット内に樹脂加圧用のプランジャ53が嵌装されている。
図13の装置を用いたトランスファ成形の方法は、特に限定されず、一般的なトランスファ成形方法に従って行っても良い。すなわち、まず、前記ポット54内に樹脂タブレット、液状樹脂(例えば熱硬化性樹脂)等の樹脂材料を供給し、且つ、前記基板セット部57に基板21を供給セットし、前記上型51及び下型52を型締めする。このとき、図13に示すように、突起電極12は、変形部12Aが折れ曲がることにより、板状部材11の面方向と垂直方向に縮む。これにより、突起電極12は、樹脂封止部品の所定の厚みに倣う。次に、前記ポット54内で樹脂を加熱して溶融化し、ポット54内の溶融樹脂41を、プランジャ53を上動して加圧することにより、下型52のポット54内から樹脂通路(カル、ランナ、ゲート)55を通して、上型51の型キャビティ56内に溶融樹脂を注入することができるように構成されている。このとき、プランジャ53にて型キャビティ56内の樹脂に所要の樹脂圧を加えることができる。
硬化に必要な所要時間の経過後、上型51及び下型52を型開きすることにより、型キャビティ56内でキャビティの形状に対応したパッケージ(樹脂成形体)内にチップ31等を封止成形することができる(図12に示す電子部品20を参照)。
本実施例において、図13に示す製造方法(図12に示す電子部品20の製造)は、例えば、以下のようにして行うことができる。すなわち、まず、下型52の型面上(基板セット部)に、上型51の型キャビティに対応する位置で、チップ31と配線パターン22とが設けられた基板21を配置し、その上に、板状部材11及び突起電極12を、完成品の電子部品20(図12)と同じ位置関係となるように配置する。このとき、図13に示すように、基板21の、チップ31配置側と反対側が下型52と接するようにし、チップ31配置側の面上に、突起電極付き板状部材(板状部材11及び突起電極12)が載せられることになり、配線パターン22と突起電極12の先端部とは、物理的に、電気的に接続されることになる。
なお、基板21、チップ31、板状部材11及び突起電極12は、図13と上下を反転させた状態で下型52の型面上に載せても良い。すなわち、板状部材11の、突起電極12形成面とは反対側となる面が下型52と接するようにし、前記突起電極12形成面側に、基板21及びチップ31を配置しても良い。
つぎに、図13に示すように、上型51と下型52とを型締めする。このとき、上型51を下型52上に載せ、上型の型キャビティ内に基板21、チップ31、板状部材11及び突起電極12は収容され、板状部材11は型キャビティの天面に当接することになる。このとき、前述のとおり、前記型締めの過程で、突起電極12は、変形部12Aが折れ曲がることにより、板状部材11の面方向と垂直方向に縮む。これにより、突起電極12は、前記電子部品の厚みに倣う。
この状態で、さらに、図13に示すように、プランジャ53にて、下型52のポット54から上型51の型キャビティ内に樹脂通路55を通して樹脂41を注入する。これにより、基板21上に配置されたチップ31を、板状部材11及び突起電極12とともに樹脂封止する。このようにして、図12に示した電子部品20を製造することができる。
なお、型キャビティ56内への樹脂の注入時において、型キャビティ56内で、樹脂(溶融樹脂)41は、突起電極12間を流れ、又は突起電極12の孔12b内を通過して流動することができる。
また、上記においては、下型の型面上に、基板及び突起電極付き板状部材を両方とも載置してから型締めする方法を説明したが、本発明は、これに限定されない。例えば、下型52の型面に基板21を供給セットし、上型51の型キャビティ天面に突起電極付き板状部材(板状部材11)を装着し、上型51と下型52とを型締めし、型キャビティ内に樹脂を注入しても良い。このとき、前述のように、板状部材11及び基板21の位置を上下に逆にしても良い。
また、トランスファ成形における成形(樹脂封止)の際は、例えば、型キャビティ内等を所定の真空度に設定してトランスファ成形しても良い。前記所定の真空度に設定する方法も、特に限定されず、例えば、一般的なトランスファ成形による方法に従っても良い。
前記トランスファ成形に用いる装置は、特に限定されず、例えば、一般的なトランスファ成形用装置と同様でも良い。また、前記樹脂封止工程の具体的な条件も、特に限定されず、例えば、一般的なトランスファ成形と同様でも良い。
なお、突起電極12と配線パターン22との接続をより確実にするために、あらかじめ、突起電極12と配線パターン22との間に半田を挿入しておいても良い。この場合、例えば、前記樹脂封止工程後に、リフロー等により前記半田を溶融させ、突起電極12と配線パターン22とを接合しても良い。以下の各実施形態においても同様である。
また、図13では、突起電極12が変形部12Aを有する場合について説明したが、突起電極12が変形部12Aを有しない場合も、突起電極12が縮まない以外は同様にして電子部品を製造できる。しかし、突起電極12が変形部12Aを有すると、予め電子部品の樹脂厚みに合せて突起電極12の高さを設計する必要がないので、ビア電極(突起電極)及び板状部材の両方を有する電子部品を簡便かつ効率的に製造可能である。後述する各実施形態(圧縮成形により電子部品を製造する場合)においても、同様である。
また、本発明によれば、このように、ビア電極を形成するために、樹脂にビア形成孔(溝又は孔)を穿つ必要がない。このため、例えば、下記(1)〜(5)の効果が得られる。ただし、これらの効果は例示であり、本発明を限定しない。
(1)樹脂にビア形成孔を穿つ必要がないため、樹脂封止されたチップ(パッケージ)の厚みのばらつき等に起因して、基板の配線パターン上で、ビア形成孔の深さ等が正しく適切に形成されないということがない。
(2)樹脂にビア形成孔を穿つ必要がないので、樹脂材料に含まれるフィラーが、基板の配線パターンの上に残ることがない。
(3)樹脂にビア形成孔を穿つ必要がないため、チップが搭載された基板上の配線パターンに損傷を与えることがない。
(4)樹脂にビア形成孔を穿つ必要がないため、電子部品の製造条件が、樹脂材料のフィラー密度の影響を受けることがない。
(5)上記(1)〜(4)の影響により、電子部品を簡便かつ効率的に製造できて、歩留まりが良い。さらに、基板の配線パターンと突起電極(ビア電極)との接続等が良好になるため、電子部品の性能向上、又は不良品発生率の低下等にも寄与する。
つぎに、図14〜図17を用いて、本発明の別の実施例について説明する。本実施例では、圧縮成形を用いた前記電子部品の製造方法の一例について説明する。なお、本実施例に用いられる突起電極付き板状部材の突起電極は、変形部を有している。しかし、実施例3で説明したとおり、突起電極が変形部を有しない場合も、前記突起電極が変形しない(縮まない)以外は同様に製造できる。
まず、圧縮成形装置(電子部品の製造装置)を準備する。図14の工程断面図に、この圧縮成形装置の一部である成形型の一部の構造を示す。図示のとおり、この圧縮成形装置は、上型101と、下型111と、中間型(中間プレート)102とを主要構成要素とする。下型111は、下型キャビティ底面部材111aと、下型外周部材(下型本体)112及び113とを含む。下型外周部材(下型本体)112及び113は、枠体状の下型キャビティ側面部材である。より具体的には、下型外周部材112は、下型キャビティ底面部材111aの周囲を取り囲むように配置され、下型外周部材113は、さらに、下型外周部材112の外周を取り囲むように配置されている。下型キャビティ底面部材111aと下型外周部材112との間には、空隙(吸着孔)111cがある。下型外周部材112と下型外周部材113との間には、空隙(吸着孔)111dがある。これらの空隙111c及び111dを、後述するように、真空ポンプ(図示せず)で減圧にし、離型フィルム等を吸着させることが可能である。下型外周部材112上面の高さは、下型キャビティ底面部材111a及び下型外周部材113上面の高さよりも高くなっている。これにより、下型キャビティ底面部材111a上面と下型外周部材112内周面とに囲まれた下型キャビティ(凹部)111bが形成されている。また、上型101には、孔(貫通孔)103が開いている。後述するように、型締め後、孔103から、真空ポンプ(図示せず)で吸引することにより、少なくとも下型キャビティ111b内を減圧にすることができる。中間型(中間プレート)102は、枠状(環状)の形状であり、下型外周部材113の真上に位置するように配置されている。中間型102下面と下型外周部材113上面との間で、離型フィルム100を把持して固定することができる。中間型102の上面の周縁部には、弾力性を有するOリング102aが取り付けられている。また、この圧縮成形装置は、図示のとおり、図の左右両側に、ロール104を有する。そして、1枚の長尺の離型フィルム100の両端が、左右のロール104に、それぞれ巻き取られている。左右のロール104により、離型フィルム100を、図14の右から左へ、又は左から右へ送り出すことが可能である。これにより、後述するように、突起電極付き板状部材を、離型フィルム100の上に載置した状態で、前記下型キャビティの位置まで搬送することができる。すなわち、ロール104は、前記突起電極付き板状部材を、成形型の型キャビティの位置まで搬送する搬送手段に該当する。また、図示していないが、この圧縮成形装置(電子部品の製造装置)は、さらに、樹脂載置手段を含む。前記樹脂載置手段は、前記突起電極付き板状部材の前記突起電極形成面上に樹脂を載置する。
つぎに、図14に示すとおり、チップ31が片面に固定された基板21を、クランパ101aにより、上型101の下面に固定する。このとき、基板21のチップ31形成面が下を向くようにする。なお、基板21及びチップ31は、実施例1と同様であり、基板21には、実施例1と同様に配線パターン22が形成されている。さらに、前記樹脂載置手段により、図示のとおり、板状部材11の突起電極12固定面上に、樹脂材料(樹脂)41aを載置する(樹脂載置工程)。なお、板状部材11、突起電極12及び樹脂41は、実施例1と同様である。樹脂材料41aの形態は、特に限定されないが、前記樹脂載置工程において、樹脂材料41aが、板状部材11の突起電極12固定面上からこぼれ落ちないようにすることが好ましい。例えば、前記樹脂載置工程において、シート状の樹脂材料41aを、板状部材11の突起電極12固定面上にラミネート(積層)させて押圧しても良い。さらに、図示のとおり、離型フィルム100上に、樹脂材料41aを載置した板状部材11を載置する。このとき、図示のとおり、板状部材11の樹脂材料41a載置面(突起電極12形成面)が上を向くように(すなわち、突起電極12形成面と反対側の面が、離型フィルム100上面と接するように)する。また、図示していないが、粘着剤(接着層)が離型フィルム100上面と板状部材11との間に存在し、前記粘着剤(接着層)により板状部材11が離型フィルム100上面に固定されていても良い。このように前記粘着剤(接着層)が存在すると、例えば、板状部材11に孔が開いていても、前記孔から樹脂41が漏れにくい等の利点があり好ましい。さらに、前記搬送手段により、図14に示すように、樹脂材料41aを、板状部材11、突起電極12及び離型フィルム100とともに下型キャビティ111bの位置まで搬送する。
つぎに、図15の矢印114に示すように、下型キャビティ底面部材111aと下型外周部材112との間の隙間(空隙111c)を、真空ポンプ(図示せず)で減圧にする。それとともに、同図の矢印115に示すように、下型外周部材112と下型外周部材113との間の隙間(空隙111d)を、真空ポンプ(図示せず)で減圧にする。さらに、中間型102を、Oリング102aと共に下降させ、中間型102下面と下型外周部材113上面との間で、離型フィルム100を把持する。これらにより、離型フィルム100を、下型外周部材112、及び下型外周部材113の上面に固定する。また、下型キャビティ111b内の減圧114にて、離型フィルム100を下型キャビティ111bの面に被覆させることができる。そうすることで、図示のとおり、樹脂材料41aを、板状部材11上に載置された状態で、下型キャビティのキャビティ面上に載置することができる。
つぎに、図16〜17に示すとおり、前記樹脂封止工程を行う。なお、図16では、便宜上、クランパ101aの図示を省略している。
すなわち、まず、図16に示すように、下型111(下型キャビティ底面部材111aと、下型外周部材112及び113)を、中間型102および外気遮断用のOリング102aとともに上昇させる。このとき、上型101の型面とOリング102aの上面側とを接合することにより、少なくとも下型キャビティ111b内を外気遮断状態に設定して上下中型(3枚型)に外気遮断空間部を形成することができる。この状態で、矢印107に示すとおり、上型101の孔103を通じて、少なくとも下型キャビティ111b内(外気遮断空間部内)を真空ポンプ(図示せず)で吸引し、減圧にすることができる。さらに、下型111と中間型102とを一体にして上昇させる。このとき、離型フィルム100を介して下型外周部材112の上面(下型111)と基板21の面とを接合することができる。
次に、下型キャビティ底面部材111aを上昇させる。このとき、図16に示すように、樹脂材料(樹脂)41aを、加熱等により、流動性樹脂(樹脂)41bの状態にしておく。これにより、まず、下型キャビティ111b内において、流動性樹脂41bにチップ31を浸漬させ、次に、下型キャビティ111b内の流動性樹脂41bを下型キャビティ底面部材111aで加圧することができる。従って、図17に示すように、下型キャビティ111b内で基板21に装着したチップ31(突起電極及び配線パターン22を含む)を硬化樹脂からなる封止樹脂(樹脂)41内に圧縮成形(樹脂成形)し、下型キャビティ111bの形状に対応した成形パッケージ(樹脂成形体)とすることができる。このとき、板状部材11は、前記成形パッケージの基板21とは反対側の天面側に装着された状態となる。なお、このとき、基板21と離型フィルム100との間に若干のクリアランス(空隙)があっても良い。
前述したように、矢印107に示すとおり、上型101の孔103を通じて、少なくとも下型キャビティ111b内を真空ポンプ(図示せず)で吸引し、減圧にする。そして、その状態で、流動性樹脂41bを、板状部材11、突起電極12、チップ31、及び基板21とともに圧縮成形し、チップ31を樹脂封止する。このとき、突起電極12を基板21の配線パターン22に当接することによる押圧力によって、突起電極12全体が相対的に垂直方向に押圧される。この押圧により、図示のとおり、流動性樹脂41bの厚みよりも高く設計された突起電極12は、変形部12Aが折れ曲がる。これにより、突起電極12は、板状部材11の面方向と垂直方向に縮み(すなわち、面方向と垂直方向の長さが短くなり)、樹脂封止部品の所定の厚みに倣う。また、このとき、突起電極12が、基板21上に形成された配線パターン22に接触するようにする。さらに、流動性樹脂41bを硬化させ、図17に示すように、硬化樹脂からなる封止樹脂(樹脂)41とする。このようにして、前記「樹脂封止工程」を行い、電子部品を製造することができる。
なお、前述のとおり、下型キャビティ111b内の樹脂にチップ31を浸漬させるとき、前記樹脂は、流動性を有する流動性樹脂41bの状態とする。この流動性樹脂41bは、例えば、液体の樹脂(硬化前の熱硬化性樹脂等)であっても良いし、又は、顆粒状、粉末状、ペースト状等の固体状の樹脂を加熱して溶融化した溶融状態でも良い。樹脂材料41aの加熱は、例えば、下型キャビティ底面部材111aの加熱等により行うこともできる。また、例えば、樹脂材料41aが熱硬化性樹脂であって流動性を有している(すなわち、すでに流動性樹脂41bの状態である)場合、下型キャビティ111b内の樹脂材料41a(流動性樹脂41b)を加熱し、かつ加圧して熱硬化させても良い。これにより、下型キャビティの形状に対応した樹脂成形体(パッケージ)内にチップ31を樹脂封止成形(圧縮成形)することができる。このようにすれば、例えば、樹脂成形体(パッケージ)の上面(基板とは反対側の面)に板状部材11を露出した状態で形成することも可能である。
圧縮成形(樹脂封止)後、すなわち流動性樹脂41bを硬化させて封止樹脂41とした後、図17に示すとおり、下型キャビティ底面部材111aと下型外周部材112との間の空隙の減圧(真空引き)を解除する。矢印116で示すとおり、逆に、前記空隙に空気を送り込んでも良い。つぎに、下型111(下型キャビティ底面部材111aと、下型外周部材112及び113)を、中間型102およびOリング102aとともに下降させる。これにより、下型キャビティ111b内を開放して減圧を解除する。これにより、図示のとおり、離型フィルム100が、下型キャビティ底面部材111aの上面から離れる。このとき、下型外周部材112と113との間の空隙の減圧(真空引き)は解除されていない。また、中間型102は、下型外周部材113とともに離型フィルム100を把持したままである。このため、離型フィルム100は、図示のように、下型外周部材112及び113上面に吸着(固定)され続けている。かつ、基板21は、クランパ101aにより、上型101下面(型面)に固定され続けている。そして、封止樹脂41及び板状部材11は、基板21及びチップ31とともに圧縮成形されているので、下型111の下降により、基板21、板状部材11、突起電極12、チップ31及び封止樹脂41により形成された電子部品から、離型フィルム100が剥離される。そして、ロール104により離型フィルム100を図右方向又は左方向に繰り出す(巻き取る)。
本発明においては、例えば本実施例で示したように、チップの樹脂封止を行う際に、下型キャビティ111b内の流動性樹脂41b(溶融樹脂、又は液状樹脂)の中に、突起電極12全体が存在する。この状態で、前述のように下型キャビティ底面部材111aを上動させると、流動性樹脂41b中で、突起電極12の先端部と、基板21の配線パターン22とが物理的に当接して接続される。このようにすることで、例えば、チップの樹脂封止後にビア形成孔を穿つ方法と比較して、突起電極の先端と基板の配線パターンとが、それらの間に樹脂が入り込むことなく接触しやすい。すなわち、突起電極と基板の配線パターンとの電気的な接続が有利になりやすい。このことは、例えば、板状部材がシールド板である場合のシールド性能面で有利である。また、前述のとおり、突起電極12は、変形部12Aを有しなくても良いが、変形部12Aを有すると、突起電極12の高さを、完成品の電子部品の厚みに厳密に合せて設計する必要がないため好ましい。例えば、稲妻形(ジグザグ)の変形部が折れ曲がることに代えて、又はこれに加え、図3(A)〜(D)又は図4(A)〜(D)に示したように、突起電極12が縮む(高さが小さくなる)ことが可能であっても良い。すなわち、突起電極12の高さが樹脂41の厚さよりも若干高くても、突起12cの先端が配線パターン22に当接したとき、突起12cが孔12b側の空隙に弾性的に移動する(下がる)ことにより、突起電極12が縮むことが可能である。これにより、前述のとおり、突起電極12の高さを、電子部品の樹脂厚さ(パッケージ厚さ)に対応して調整することができる。
つぎに、図18〜19について説明する。図14〜17では、樹脂材料41aを板状部材11上に載置する「樹脂載置工程」を行い、その後、突起電極付き板状部材を型キャビティの位置まで搬送する「搬送工程」を行う方法について説明した。しかし、前述のとおり、前記樹脂載置工程と、前記搬送工程との順序は、特に限定されない。図18〜19に、前記搬送工程後に前記樹脂載置工程を行う、前記電子部品の製造方法の例を示す。図示のとおり、この方法に用いる圧縮成形装置(電子部品の製造装置)は、樹脂供給手段60を有すること以外は、図14〜17の圧縮成形装置(電子部品の製造装置)と同じである。ただし、図18〜19においては、簡略化のため、上型101、上型の孔(貫通孔)103、クランパ101a、基板21、配線パターン22及びチップ31は、図示を省略している。樹脂供給手段60は、図示のとおり、樹脂供給部61と、下部シャッタ62とから構成されている。樹脂供給部61は、上端及び下端に開口が形成された枠状の形状である。樹脂供給部(枠)61下端の開口は、シャッタ62により閉じられている。これにより、図18に示すとおり、樹脂供給部(枠)61と下部シャッタ62とに囲まれた空間内に、樹脂材料41aを収容可能である。この状態で、図18に示すとおり、樹脂供給手段60を、下型キャビティ111bの真上(下型111と上型101との間の空間内)に進入させる。そして、図19に示すとおり、下部シャッタ62を引いて樹脂供給部(枠)61下端の開口を開くことにより、前記開口から樹脂材料41aを落下させ、下型キャビティ111b内に供給(載置)することができる。なお、樹脂材料41aは、図18及び19では顆粒樹脂であるが、特にこれに限定されない。また、図14〜17の工程に先立つ前記樹脂載置工程において、図18〜19と同様に、樹脂供給部61と、下部シャッタ62とから構成された樹脂供給手段60を用いても良い。
図18〜19に示す方法においては、まず、前記搬送工程において、板状部材11上に樹脂材料41aを載置しないこと以外は図14〜15と同様の工程を行う。これにより、図18に示すように、突起電極付き板状部材(板状部材11及び突起電極12)が、樹脂材料41aを載置していないこと以外は図15と同じ状態で、下型キャビティ111bのキャビティ面上に(離型フィルム100を介して)載置される。
つぎに、前記樹脂載置工程に先立ち、図18に示した状態で、突起電極付き板状部材を、下型キャビティ内において加熱する(加熱工程)。前記加熱は、例えば、下型キャビティ底面部材111aの加熱等により行うことができる。この加熱工程において、突起電極付き板状部材を十分に熱膨張させることが好ましい。すなわち、後に行う樹脂封止工程において、加熱による突起電極付き板状部材の膨張が起こらないようにすることが好ましい。これにより、前記樹脂封止工程において、突起電極12と配線パターン22との位置ずれが起こりにくくなり、位置合わせがしやすくなる。
さらに、図19に示すように、下型キャビティ111b内において、板状部材11の突起電極12固定面上に樹脂材料41aを載置する(樹脂載置工程)。この工程は、例えば、下部シャッタ62を引いて樹脂供給部(枠)61下端の開口を開くことにより、前記開口から樹脂材料41aを落下させ、下型キャビティ111b内に供給(載置)する。その後、図16〜17と同様にして前記樹脂封止工程を行う。なお、樹脂材料41aは、図19では顆粒樹脂であるが、これに限定されない。例えば、樹脂材料41aが熱可塑性樹脂(例えば、顆粒樹脂、粉末樹脂等)であり、突起電極付き板状部材の熱により樹脂材料41aを溶融化して流動性樹脂41bとしたのちに、冷却して固化させ、封止樹脂41としても良い。また、前述のように、樹脂材料41aが、硬化する前の液状の熱硬化性樹脂であり、突起電極付き板状部材の熱により硬化させても良い。
また、本実施例において、圧縮成形装置の構造は、図14〜17に示した構造に限定されず、どのような構造でも良く、例えば、一般的な圧縮成形装置の構造と同様又はそれに準じても良い。具体的には、前記圧縮成形装置の構造は、例えば、特開2013−187340号公報、特開2005−225133号公報、特開2010−069656号公報、特開2007−125783号公報、特開2010−036542号公報等に示した構造と同様又はそれに準じても良い。例えば、圧縮成形装置は、図14〜17に示した構造に代えて、特開2013−187340号公報の図2〜6と同様の構造(中間型を有さない代わりに、上型にフィルム押さえが付属している構造)でも良い。このような圧縮成形装置を用いた圧縮成形方法(電子部品の製造方法)は、例えば、同公報に記載の方法と同様にして行うことができる。また、樹脂供給手段については、図18及び19の樹脂供給手段60に代わる任意の構成でも良い。例えば、前記樹脂供給手段は、特開2010−036542号公報に記載された樹脂材料の配布手段(樹脂材料の投入手段、計量手段、ホッパ、リニア振動フィーダ等を含む)でも良い。又は、前記樹脂供給手段は、特開2007−125783号公報に記載の樹脂供給機構のように、貯蔵部、計量部、投入部、供給部、シャッター、トレイ、スリット等を備えた構成でも良い。また、例えば、図14〜17に図示していない下型の上下動機構等については、前記特開2005−225133号公報、特開2010−069656号公報等と同様又はそれに準じても良く、例えば、下型キャビティ底面部材の下方に弾性部材を接続しても良い。
また、本実施例では、下型キャビティ内を減圧にして圧縮成形する方法を用いた。しかし、本発明はこれに限定されず、他の圧縮成形(コンプレッションモールド)を用いても良い。
また、本発明の製造方法は、前述のとおり、前記樹脂封止工程を含む製造方法であるが、例えば、本実施例で示したように、その他の任意の工程を含んでいても良い。
本実施例では、前述のとおり、離型フィルム上に、前記突起電極付き板状部材を載置し、その状態で、前記突起電極付き板状部材を成形型の型キャビティ内に搬送する。これにより、例えば、板状部材及びその搬送手段の構造を単純化しやすい。また、本実施例では、前述のとおり、前記突起電極付き板状部材を前記離型フィルム上に載置した状態で、前記突起電極付き板状部材上に前記樹脂を載置する。これにより、例えば、図14〜17において、樹脂(樹脂材料41a、流動性樹脂41b及び封止樹脂41)と下型キャビティ底面部材111aとの接触、及び、下型111と下型外周部材112との空隙内に前記樹脂が入り込むことを防止できる。
なお、本発明において、前記突起電極付き板状部材(樹脂を載置した状態、又は載置しない状態)を搬送する手段(機構)は、図14〜17の構成には限定されず、他の任意の構成を有する搬送手段(搬送機構)でも良い。例えば、前記離型フィルムの形状は、図14〜17では、長尺の離型フィルムをロール巻にした離型フィルムであるが、これには限定されない。例えば、前記離型フィルムの形状は、短尺の離型フィルム、長尺の離型フィルム、ロール巻の離型フィルム等、どのような形状であっても良い。例えば、長尺の離型フィルム又はロール巻の離型フィルムを、本発明の製造方法に供するに先立ち、カット(プリカット)して短尺の離型フィルムとしても良い。プリカットした離型フィルムを用いる場合、前記搬送工程(前記突起電極付き板状部材を、成形型の型キャビティの位置まで搬送する工程)は、例えば、特開2013−187340号公報の図1及びその説明と同様に行っても良い。
つぎに、本発明のさらに別の実施例について説明する。本実施例では、圧縮成形を用いた電子部品の製造方法のさらに別の例を示す。
図20〜23の工程断面図に、本実施例の製造方法を模式的に示す。図示のとおり、本実施例は、離型フィルム100を用いないことと、板状部材11の形状が異なる点で、実施例5(図14〜17)と相違する。
本実施例では、板状部材11の周縁部が隆起して中央部が樹脂収容部となっている。より具体的には、図示のとおり、板状部材11の周縁部が、板状部材11の突起電極12固定面側に隆起することにより、壁状部材11bを形成している。これにより、板状部材11の中央部が、樹脂収容部11cを形成している。すなわち、板状部材11は、その周縁部が隆起して壁状部材11bを形成することにより、トレイ型(上面が開放された箱型)の形状をしている。そして、板状部材11の中央部が、板状部材11の本体(底面部)と壁状部材(周縁部)11bとに囲まれた樹脂収容部(前記トレイ型形状の凹部)11cを形成している。なお、突起電極12は、図示のとおり、板状部材11本体(底面部)における前記樹脂収容部(凹部)11c側の面に固定されている。また、壁状部材11bは、板状部材11の一部であり、突起電極12とは異なる。壁状部材11bは、例えば、放熱部材、又は、電磁波をシールドするシールド部材としての機能を有していても良い。板状部材11が壁状部材11bを有する場合、突起電極12の形状は、特に限定されず任意であるが、例えば、突起電極12の少なくとも一つが、前記板状突起電極であることが好ましい。本実施例では、樹脂収容部11cのため、離型フィルムを用いなくても、樹脂(樹脂材料41a、流動性樹脂41b及び封止樹脂41)と下型キャビティ底面部材との接触、及び、前記樹脂が下型外周部材と下型キャビティ底面部材との間の空隙内に入り込むことを抑制又は防止できる。このため、離型フィルム省略によるコスト節減とともに、離型フィルムを張り付けたり吸着させたりする工程を省略できるため、電子部品の製造効率の向上につながる。
本実施例において、成形型(上型及び下型)を含む圧縮成形装置は、図20〜23に示すとおり、離型フィルムのロールおよび中間型を有しない以外は実施例5と同じものを用いることができる。具体的には、図示のとおり、前記圧縮成形装置は、上型1001と、下型1011とを主要構成要素とする。下型1011は、下型キャビティ底面部材1011aと、下型外周部材(下型本体)1012とを含む。下型外周部材(下型本体)1012は、枠体状の下型キャビティ側面部材である。より具体的には、下型外周部材1012は、下型キャビティ底面部材1011aの周囲を取り囲むように配置されている。下型キャビティ底面部材1011aと下型外周部材1012との間には、空隙(吸着孔)1011cがある。この空隙1011cを、図21及び22の矢印1014に示すように、真空ポンプ(図示せず)で減圧にし、板状部材を吸着させることが可能である。また、圧縮成形後は、図23の矢印1016に示すように、この空隙1011cから逆に空気を送り込み、前記板状部材を脱離させることが可能である。下型外周部材1012上面の高さは、下型キャビティ底面部材1011a上面の高さよりも高くなっている。これにより、下型キャビティ底面部材1011a上面と下型外周部材1012内周面とに囲まれた下型キャビティ(凹部)1011bが形成されている。また、上型1001には、孔(貫通孔)1003が開いている。これにより、図22の矢印1007に示すとおり、型締め後、孔1003から、真空ポンプ(図示せず)で吸引することにより、少なくとも下型キャビティ1011b内を減圧にすることができる。下型外周部材1012上面の周縁部には、弾力性を有するOリング1012aが取り付けられている。また、図示していないが、この圧縮成形装置(電子部品の製造装置)は、さらに、樹脂載置手段及び搬送手段を含む。前記樹脂載置手段は、前記突起電極付き板状部材の前記突起電極形成面上に樹脂を載置する。前記搬送手段は、前記突起電極付き板状部材を、成形型の型キャビティの位置まで搬送する。
本実施例の製造方法は、図20〜23に示すとおり、離型フィルムを用いずに、樹脂収容部11cに樹脂材料41aを載置した板状部材11を、下型キャビティ1011bの位置まで搬送する。また、離型フィルムを下型及び下型外周押えに吸着させることに代えて、図21の矢印1014に示すとおり、下型外周部材1012と下型キャビティ底面部材1011aとの間の空隙1011cを真空ポンプ(図示せず)で減圧にすることで、板状部材11を、下型キャビティ1011b(下型キャビティ底面部材1011a上面及び下型外周部材1012内周面)に吸着させる。それら以外は、本実施例(図20〜23)の製造方法は、実施例5の図14〜17と同様に行うことができる。
図22〜23に示す工程(樹脂封止工程)は、より具体的には、例えば、以下のようにして行うことが可能である。すなわち、まず、図21の状態から下型1011を上動させ、上型1001の型面を下型のOリング1012aの上端に当接させる。このとき、上型面(上型1001の型面)と下型面(下型1011の型面)との間に所要の間隔を保持させておく。すなわち、上型1001と下型1011との完全型締めに先立ち、両者の間に所要の間隔を保持させた中間型締めを行う。この中間型締めのとき、Oリング1012aにて、少なくとも、上下両型面間とキャビティ空間部とを外気遮断状態に設定して外気遮断空間部を形成することができる。また、このとき、図22の矢印1007に示すとおり、前記外気遮断空間部内の空気を上型の孔1003から強制的に吸引して排出し、前記外気遮断空間部内を所定の真空度に設定することができる。つぎに、上型面(上型1001の型面)と下型面(下型1011の型面)とを閉じ合わせて完全型締めを行う。さらに、キャビティ底面部材1011aを上動させる。なお、このとき、図22に示すように、樹脂材料41aを、流動性樹脂41bの状態としておく。これにより、図22に示すように、突起電極12と配線パターン22とを接合し、かつ、樹脂41にチップ31を浸漬させ、さらに下型キャビティ1011b内の流動性樹脂41bを加圧する。さらに、後述するように、流動性樹脂41bを硬化させて、図23に示すように、硬化樹脂からなる封止樹脂(樹脂)41とする。これによって、基板11に装着したチップ31を所要形状の封止樹脂(硬化樹脂)41内に圧縮成形(封止成形)することができる。より具体的には、図23に示すように、下型キャビティ1011b内で基板21に装着したチップ31(突起電極及び配線パターン22を含む)を、硬化樹脂からなる封止樹脂(樹脂)41内に圧縮成形(樹脂成形)し、下型キャビティ1011bの形状に対応した成形パッケージ(樹脂成形体)とすることができる。このとき、板状部材11は、前記成形パッケージの基板21とは反対側の天面側に装着された状態となる。そして、このとき、キャビティ底面部材1011aの上動による押圧力によって、突起電極12全体が、相対的に、板状部材11の面方向と垂直方向に押圧される。この押圧により、図示のとおり、流動性樹脂41bの厚みよりも高く設計された突起電極12は、変形部12Aが折れ曲がる。これにより、突起電極12は、板状部材11の面方向と垂直方向に縮み、樹脂封止部品の所定の厚みに倣う。そして、流動性樹脂41bの硬化に必要な所要時間の経過後、図23に示すとおり、上下両型を型開きする。具体的には、下型1011(下型キャビティ底面部材1011aと、下型外周部材1012)を、Oリング1012aとともに下降させる。これにより、下型キャビティ1011b内を開放して減圧を解除する。このとき、下型キャビティ底面部材1011aと下型外周部材1012との間の空隙の減圧(真空引き)を解除する。矢印1016で示すとおり、逆に、前記空隙に空気を送り込んでも良い。これにより、樹脂収容部11cを有する板状部材11、基板21、チップ31、配線パターン22、及び突起電極12を有する電子部品(成形品)を得ることができる。
また、本実施例は、これに限定されず、例えば、実施例5の図18〜19と同様に、前記搬送工程後に前記樹脂載置工程を行っても良い。この場合、実施例5と同様に、前記樹脂載置工程に先立ち、突起電極付き板状部材を、下型キャビティ内において加熱することが好ましい(加熱工程)。また、この加熱工程において、実施例5と同様の理由により、突起電極付き板状部材を十分に熱膨張させることが好ましい。
なお、本発明において、前記板状部材の形状は、本実施例及び実施例1〜5の形状に限定されず、どのような形状でも良い。例えば、前記板状部材の形状は、突起電極が片面に固定されていること以外は特許文献2(特開2013−187340)に例示された板状部材と同様の形状であっても良い。図24及び25に、板状部材の形状を変更した製造方法(変形例)の一例を、それぞれ示す。図24は、板状部材11が、突起電極12固定面と反対側の面(同図において、下型キャビティ底面部材111aと対向する側の面)に放熱フィン11aを有すること以外は、図14〜17(実施例5)と同様であり、図14〜17と同様の圧縮成形装置を用いて実施例5と同様に行うことができる。図25は、板状部材11が、突起電極12固定面と反対側の面(同図において、下型キャビティ底面部材1011aと対向する側の面)に放熱フィン11aを有すること以外は、図20〜23(実施例6)と同様であり、図20〜23と同様の圧縮成形装置を用いて実施例6と同様に行うことができる。なお、図25の圧縮成形装置では、図示のとおり、下型キャビティ底面部材1011a上面に、放熱フィン11aの凹凸形状と嵌合することが可能な凹凸形状が形成されている。このようにすると、下型キャビティ内で板状部材11が安定し、かつ、下型キャビティ底面部材1011a上面が、放熱フィンによる損傷を受けにくいという利点がある。また、放熱フィン11aは、図25に示すように、下型外周部材1012と板状部材11との間に隙間ができないような形状とすることが好ましい。このようにすると、下型キャビティ内において、減圧による吸引(矢印1014)を効果的に行いやすい。
つぎに、図26〜27を用いて、本発明のさらに別の実施例について説明する。本実施例では、電子部品の製造方法のさらに別の例を示す。
図26の断面図に、本実施例の製造方法を模式的に示す。図示のとおり、この製造方法は、下型121、上型(マウンター)122及び真空チャンバー123を用いて行う。下型121上面は、平坦面になっており、電子部品の基板を載置可能である。真空チャンバー123は、電子部品の形状に合わせた筒状の形状であり、前記電子部品の基板上に載置可能である。上型122は、真空チャンバー123の内壁に嵌合可能である。
本実施例の製造方法では、まず、片面にチップ31及び配線パターン22が固定された基板21の、前記チップ31及び配線パターン22固定面上に、液状樹脂(熱硬化性樹脂)からなる樹脂材料(樹脂)41aを印刷する。つぎに、板状部材11の片面に突起電極12が固定された突起電極付き板状部材の突起電極12を、液状樹脂41aを貫通させて配線パターン22に接触させる。これにより、基板21、チップ31、液状樹脂41a、板状部材11及び突起電極12が、完成品の電子部品20(図12)と同じ位置関係となるように配置される。そして、例えば、図26に示すとおり、下型121上面に、基板21、チップ31、液状樹脂41a、板状部材11及び突起電極12を、前記位置関係(配置)となるように配置する。このとき、図示のとおり、基板21の、チップ31配置側と反対側が下型121上面と接するようにし、チップ31配置側の面上に、突起電極付き板状部材(板状部材11及び変形部12Aを有する突起電極12)を配置するようにする。
つぎに、基板21上面周縁部の、液状樹脂41aが配置(載置)されていない部分に、真空チャンバー123を載置する。これにより、チップ31、樹脂41、板状部材11及び突起電極12の周囲が、真空チャンバー123で囲まれる。そして、チップ31、液状樹脂41a、板状部材11及び突起電極12の上方から、上型122を下降させ、真空チャンバー123の内壁に嵌合させる。これにより、板状部材11、真空チャンバー123及び上型122に囲まれて密閉された内部空間内に、チップ31、液状樹脂41a及び突起電極12が収容される。さらに、前記内部空間内を、真空ポンプ(図示せず)で減圧にする。これにより、チップ31、液状樹脂41a、板状部材11及び突起電極12が、上型122で押圧される。このとき、変形部12Aを有する突起電極12が基板21の配線パターン22に当接する。さらに、上型122の押圧力によって、突起電極12全体が、相対的に、板状部材11の面方向と垂直方向に押圧される。この押圧により、液状樹脂41aの厚みよりも高く設計された突起電極12は、変形部12Aが折れ曲がる。これにより、突起電極12は、板状部材11の面方向と垂直方向に縮み、樹脂封止部品の所定の厚みに倣う。そして、その状態で、液状樹脂(熱硬化性樹脂)41aを加熱し、硬化させて、チップ31を、板状部材11及び突起電極12とともに樹脂封止する。液状樹脂41aの加熱は、例えば、下型121の加熱により行うことができる。このようにして、図12に示した電子部品20と同様の電子部品を製造できる。
なお、本実施例においては、例えば、真空チャンバーによる減圧を省略しても良い。ただし、例えば、板状部材と樹脂との間の空気や隙間が許されない場合等は、真空チャンバーによる減圧を行うことが好ましい。また、真空チャンバーによる減圧を省略する場合、上型(マウンター)による押圧は、行っても良いし、行わなくても良い。
また、図27の断面図に、本実施例の製造方法の変形例を、模式的に示す。同図の製造方法は、基板21の、前記チップ31及び配線パターン22固定面上に、液状樹脂(熱硬化性樹脂)41aを、印刷に代えて塗布すること、及び、板状部材11が、突起電極12固定面と反対側の面(同図において、上型122と対向する側の面)に放熱フィン11aを有すること以外は、図26の製造方法と同様である。なお、図26の製造方法において、図27と同様に放熱フィンを有する突起電極付き板状部材を用いても良いし、逆に、図27の製造方法において、図26と同様に放熱フィンを有しない突起電極付き板状部材を用いても良い。また、例えば、図26又は27において、樹脂の印刷又は塗布に代えて、シート樹脂のラミネート、樹脂のスピンコート等により、基板21の、前記チップ31及び配線パターン22固定面上に、樹脂41又は41aを配置しても良い。
つぎに、本発明のさらに別の実施例について説明する。本実施例では、圧縮成形を用いた電子部品の製造方法のさらに別の例を示す。
本実施例では、プリカットした離型フィルムと、貫通孔(樹脂供給部)を有する矩形状の枠(フレーム)とを用いる電子部品の製造方法及び圧縮成形装置(チップの樹脂封止装置)について説明する。本実施例では、前記突起電極付き板状部材に樹脂材料(顆粒樹脂)を載置した状態で、下型キャビティの位置まで搬送し、下型キャビティ内に供給セットする。
本実施例では、プリカットした離型フィルムの上にフレームを配置し、フレーム貫通孔(樹脂供給部)内の離型フィルム上に、顆粒樹脂を載置した突起電極付き板状部材を配置する。これにより、前記顆粒樹脂が前記突起電極付き板状部材上からこぼれ落ちることを防止できる。なお、本実施例では、樹脂材料が顆粒樹脂である場合について説明するが、顆粒樹脂以外の任意の樹脂(例えば、粉末状樹脂、液状樹脂、板状樹脂、シート状樹脂、フィルム状樹脂、ペースト状樹脂等)についても、同様に行うことができる。
以下、図28〜31を用いて、本実施例について、さらに具体的に説明する。
まず、図28を用いて、本実施例における圧縮成形装置(電子部品の製造装置)について説明する。同図は、前記圧縮成形装置の一部である成形型の一部の構造を示す概略図である。また、同図は、この成形型に樹脂材料を供給する前の型開き状態を示している。
図28の圧縮成形装置は、実施例6(図20〜23)に対し、成形型が上型及び下型を含む点で同様であるが、上型外気遮断部材及び下型外気遮断部材を含む点が異なる。より具体的には、以下のとおりである。すなわち、図28の圧縮成形装置は、図示のとおり、上型2001と、上型に対向配置された下型2011を主要構成要素とする。上型2001は、上型ベースプレート2002に垂下した状態で装設されている。上型ベースプレート2002上における上型2001の外周位置には、上型外気遮断部材2004が設けられている。上型外気遮断部材2004の上端面(上型ベースプレート2002及び上型外気遮断部材2004に挟まれた部分)には、外気遮断用のOリング2004aが設けられている。また、上型外気遮断部材2004の下端面にも、外気遮断用のOリング2004bが設けられている。また、上型ベースプレート2002には、型内の空間部の空気を強制的に吸引して排出するための孔2003が設けられている。上型2001の型面(下面)には、チップ31を装着した基板21を、チップ31装着面側を下方に向けた状態で供給セット(装着)する基板セット部2001aが設けられている。基板21は、例えば、クランパ(図示せず)等により基板セット部2001aに装着することができる。なお、基板21におけるチップ31装着面には、前記各実施例と同様、配線パターン22が設けられている。
また、下型2011は、下型キャビティ底面部材2011a、下型外周部材2012及び弾性部材2012aから形成されている。さらに、下型2011は、その型面に、樹脂成形用の空間であるキャビティ(下型キャビティ)2011bを含む。下型キャビティ底面部材2011aは、下型キャビティ2011bの下方に設けられている。下型外周部材(下型の枠体、キャビティ側面部材)2012は、下型キャビティ底面部材2011aの周囲を取り囲むように配置されている。下型外周部材2012上面の高さは、下型キャビティ底面部材2011a上面の高さよりも高くなっている。これにより、下型キャビティ底面部材2011a上面と下型外周部材2012内周面とに囲まれた下型キャビティ(凹部)2011bが形成されている。下型キャビティ底面部材2011と下型外周部材2012との間には、空隙(吸着孔)2011cがある。この空隙2011cを、後述するように、真空ポンプ(図示せず)で減圧にし、離型フィルム等を吸着させることが可能である。また、下型2011(下型キャビティ底面部材2011a、下型外周部材2012及び弾性部材2012a)は、下型ベースプレート2010に載置した状態で装設されている。緩衝用の弾性部材2012aは、下型外周部材2012と下型ベースプレート2010との間に設けられている。さらに、下型ベースプレート2010上における下型外周部材2012の外周位置には、下型外気遮断部材2013が設けられている。下型外気遮断部材2013の下端面(下型ベースプレート2010及び下型外気遮断部材2013に挟まれた部分)には、外気遮断用のOリング2013aが設けられている。下型外気遮断部材2013は、上型外気遮断部材2004及び外気遮断用のOリング2004bの真下に配置されている。以上の構成を有することにより、上下両型の型締時に、Oリング2004a及び2004bを含む上型外気遮断部材2004と、Oリング2013aを含む下型外気遮断部材2013とを接合することで、少なくとも下型キャビティ内を外気遮断状態にすることができる。
つぎに、この圧縮成形装置を用いた本実施例の電子部品の製造方法について説明する。すなわち、まず、図28に示すとおり、上型2001の型面(基板セット部2001a)に、前述のように基板21を装着する。さらに、図示のとおり、貫通孔を有する矩形状の枠(フレーム)70を用いて、下型キャビティ2011b内に顆粒樹脂(樹脂材料)41aを供給する。より具体的には、図示のとおり、予め所要の長さに切断された(プリカットした)離型フィルム100上に、フレーム70を載置する。このとき、フレーム70の下面で、プリカットした離型フィルム100を吸着して固定しても良い。つぎに、フレーム70貫通孔の上側の開口部(樹脂供給部)から、離型フィルム100の上に、板状部材11の片面に突起電極12が固定された突起電極付き板状部材を載置する。このとき、突起電極12を上方に(離型フィルム100と反対側に)向けた状態とする。なお、本実施例では、突起電極付き板状部材は、実施例5(図14〜17)と同じく、壁状部材11b及び樹脂収容部(凹部)11cを有していない。さらに、板状部材11の突起電極12固定面上に、顆粒樹脂41aを、平坦化した状態で供給(載置)する。このようにして、図28に示すとおり、板状部材11及びフレーム70に囲まれた空間内に樹脂41が供給され、それらが離型フィルム100上に載置された「樹脂供給フレーム」を形成することができる。さらに、前記樹脂供給フレームを搬送し、図28に示すように、型開き状態にある上型2001と下型2011との間(下型キャビティ2011bの位置)に進入させる。
つぎに、下型2011の型面上に、前記樹脂供給フレームを載置する。このとき、図29に示すように、フレーム70と下型外周部材2012とで離型フィルム100を挟むとともに、下型キャビティ2011bの開口部(下型面)に、フレーム70貫通孔の下側の開口部を合致させる。さらに、同図の矢印2014に示すとおり、下型の吸着孔2011cを、真空ポンプで吸着して減圧にする。これにより、図示のとおり、下型キャビティ2011bのキャビティ面に離型フィルム100を吸着させて被覆するとともに、顆粒樹脂41を下型キャビティ2011b内に供給してセットする。さらに、下型2011を加熱することで、図示のとおり、顆粒樹脂41aを溶融させ、流動性樹脂41bの状態とする。その後、減圧2014により下型キャビティ2011bのキャビティ面に離型フィルム100を吸着させたまま、フレーム70を除去する。
つぎに、上下両型を型締めする。まず、図30に示すように、基板面(基板21のチップ31固定面)と下型面とを所要の間隔で保持した状態にする中間的な型締めを行う。すなわち、まず、図29からフレーム70を除去した状態で、下型2011側を上動させる。これにより、図30に示すように、上型外気遮断部材2004及び下型外気遮断部材2013を、Oリング2004bを挟んだ状態で閉じ合わせる。このようにして、同図に示すとおり、上型2001、下型2011、上型外気遮断部材2004及び下型外気遮断部材2013で囲まれた外気遮断空間部を形成する。この状態で、同図の矢印2007に示すとおり、上型ベースプレート2002の孔2003を通じて、少なくとも前記外気遮断空間部を、真空ポンプ(図示せず)で吸引して減圧にし、所定の真空度に設定する。
さらに、図31に示すように、基板面と下型面とを接合して完全型締めを行う。すなわち、図30の状態から、下型2011をさらに上動させる。これにより、図31に示すとおり、上型2001に供給セットされた基板21の基板面(チップ31固定面)に、下型外周部材2012の上面を、離型フィルム100を介して(挟んで)当接させる。そして、下型ベースプレート2010をさらに上動させることにより、下型キャビティ底面部材2011aを、さらに上動させる。このとき、前述のとおり、樹脂は、流動性樹脂41bの状態としておく。これにより、図31に示すとおり、基板21の配線パターン22に突起電極12の先端を当接する(接触させる)とともに、下型キャビティ2011b内において、流動性樹脂41bにチップ31を浸漬させ、さらに、流動性樹脂41bを加圧する。このとき、下型キャビティ底面部材2011aの押圧力によって、突起電極12全体が、相対的に、板状部材11の面方向と垂直方向に押圧される。この押圧により、図示のとおり、流動性樹脂41bの厚みよりも高く設計された突起電極12は、変形部12Aが折れ曲がる。これにより、突起電極12は、板状部材11の面方向と垂直方向に縮み、樹脂封止部品の所定の厚みに倣う。なお、このとき、図示のとおり、弾性部材2012a及びOリング2004a、2004b、2013aが縮んでクッションの機能をする。これにより、前述のとおり樹脂41を加圧して圧縮成形する。そして、流動性樹脂41bを硬化させて封止樹脂とする。このようにして、板状部材11における突起電極12固定面と、基板21の配線パターン22形成面との間で、チップ31を前記封止樹脂により封止するとともに、突起電極12を配線パターン22に接触させることができる(樹脂封止工程)。流動性樹脂41bの硬化に必要な所要時間の経過後、実施例1、5又は6(図10(F)、17又は23)と同様の手順で上下両型を型開きする。これにより、下型キャビティ2011b内で、基板21、チップ31、配線パターン22、樹脂(封止樹脂)41、突起電極12及び板状部材11からなる成形品(電子部品)を得ることができる。
なお、本実施例において、圧縮成形装置(電子部品の製造装置)の構造は、図28〜31の構造に限定されず、例えば、一般的な圧縮成形装置の構造と同様又はそれに準じても良い。具体的には、例えば、特開2013−187340号公報、特開2005−225133号公報、特開2010−069656号公報、特開2007−125783号公報、特開2010−036542号公報等に示した構造と同様又はそれに準じても良い。
本発明は、上述の実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、必要に応じて、任意にかつ適宜に組み合わせ、変更し、又は選択して採用できるものである。
例えば、突起電極付き板状部材における前記突起電極の形状は、図2〜4に示した形状に限定されず、どのような形状でも良い。一例として、前述のとおり、前記突起電極のうち、少なくとも一部が、板状の形状をしていても良い。そして、基板面上において、1個の電子部品(1個の製品単位)に対応する所要の範囲を、前記板状の電極で区画しても良い。