JP2016101518A - 摺動性被覆層保有医療用具およびシリンジ - Google Patents
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Abstract
Description
特に薬液を充填した状態で長期間保管するプレフィルドシリンジにおいては、薬液の安定性を維持し続けられる、潤滑剤不要のものが望まれている。
そこで、上記の課題を解決するものとして、特許文献1(特開昭62−32970号公報)、特許文献2(特開2002−089717号公報)、特許文献3(米国特許7111848号公報)など、ガスケットの表面をガスケット本体材料より摩擦係数の低い材料であるフッ素系樹脂で被覆することにより、潤滑剤を不要としたプレフィルドシリンジが提案されている。
また、本出願人は、フッ素系樹脂、ケイ素系樹脂及びウレタン系樹脂により構成された被覆層を有するガスケットに関する特許文献4(特開2004−321614号公報)、摺動性付与成分と柔軟性付与成分とを含有する組成物により形成された被膜と、ガスケットに粗面表面を形成するため該被膜に保持された固体の微粒子とからなる被覆層を有するガスケットに関する特許文献5(特開2006−167110号公報)、特許文献6(特開2008−287号公報、米国公開2007−0299402)を提案している。さらには特許文献7(WO2009−084646号公報、米国公開2010−0324501)にて、摺動性付与成分、柔軟性付与成分及び密着性成分を含有する組成物を考案して、該固体の微粒子を含まない被覆層を有するガスケットも提案している。
すなわちシリンジポンプを用いた薬液投与においては、目視では確認できない程の極低速条件下(例えば、直径約24mmのシリンジにおいて、1mL/時間で吐出させた場合の移動速度は約2mm/時間程度である)において薬液を吐出させた場合、脈動と呼ばれる不安定な吐出の状態が生じがちであり、薬液の正確な投与が妨げられるおそれがあった。
液密性と摺動性を両立するものとして提案された、特許文献4(特開2004−321614号公報)及び特許文献5(特開2006−167110号公報)、特許文献6(特開2008−287号公報、米国公開2007−0299402)に示されたガスケットは、液密性を備えかつ、摺動面に潤滑剤を付与することなく、安定した摺動性を有するものである。しかし、前者においては被覆層を形成する材料が多種にわたり製造上およびコスト上の問題がある。後者においてはさらに被覆層に保持された固体の微粒子が離脱してしまい薬液中に不溶性微粒子が発生してしまう問題があった。特許文献7(WO2009−084646号公報、米国公開2010−0324501)で示されたガスケットはこれら問題点を解決できたものではある。しかしながら、末端シラノール基を有する反応性シリコーンを触媒の有機スズ化合物を使用して縮合反応により硬化させて被覆層を形成させる製造原理であるため、触媒の有機スズ化合物が必須の構成要件となっている。近年、その毒性や環境への影響の問題により地域や用途に応じて有機スズ化合物の使用を規制する検討が活発に行われている。
医療用部材内面もしくは体腔内面に接触して移動する医療用具であって、該医療用具は、前記医療用部材もしくは体腔と接触する部分に設けられた摺動性被覆層を備え、該摺動性被覆層は、無溶剤型硬化性シリコーン系樹脂を含有する組成物からなるものである摺動性被覆層保有医療用具。
特に、本発明の摺動性被覆層保有医療用具の摺動性被覆層は、無溶剤型硬化性シリコーン系樹脂を含有する組成物からなるものであるから、無溶媒の組成物により被覆層を形成でき、乳化剤の使用の必要がなく、水洗浄も不要であり、摺動性被覆層の形成が良好かつ容易であり、さらに、被覆層形成時の硬化反応時に触媒として有機スズ化合物の使用の必要はなく、有機スズ化合物の使用が規制された場合においても、市場に安定して供給することができる。
さらに、本発明の摺動性被覆層保有医療用具の摺動性被覆層は、低速摺動時に良好な摺動性を有するとともに、保存時に医療用部材(例えば、シリンジ用外筒)と摺動性被覆層保有医療用具(例えば、ガスケット)間の貼り付きが生じることがなく、使用時に滑らかな初動が可能となる。
本発明の摺動性被膜保有医療用具1は、医療用部材内面もしくは体腔内面に接触して移動する医療用具であり、医療用部材もしくは体腔と接触する部分に設けられた摺動性被覆層3を備える。摺動性被覆層3は、固体微粒子を含まず、無溶剤型硬化性シリコーン系樹脂を含有する組成物からなるものである。
本発明の実施例であるガスケットについて説明する。
図1は、本発明の実施例であるガスケットの正面図である。図2は、図1に示すガスケットの断面図である。図3は、図1に示すガスケットの平面図である。図4は、図1に示すガスケットの底面図である。図5は、図1に示すガスケットを使用するプレフィルドシリンジの断面図である。
この実施例の摺動性被膜保有医療用具は、シリンジ用ガスケット1であり、医療用部材であるシリンジ用外筒11の内部に液密かつ摺動可能に収納されるものである。
本発明の摺動性被膜保有医療用具であるガスケット1は、シリンジの外筒内に摺動可能に接触するガスケットであって、シリンジと接触する部分に設けられた被覆層3を備えており、かつ、被覆層3は、固体微粒子を含まず、無溶剤型硬化性シリコーン系樹脂を含有する組成物により形成されている。
また、血管確保の確認のために行われる事の多い吸引操作を行った場合でも、微粒子が入っている被覆層を有するガスケットでは、その微粒子の離脱の可能性が否定できないが、微粒子が無くなることにより薬液中に浮遊するリスクが皆無となるメリットを有している。
この実施例のガスケット1は、シリンジ用ガスケット1であり、シリンジ用外筒11の内部に液密かつ摺動可能に収納されるものである。また、ガスケット1は、外筒11と接触する部分に設けられた被覆層3を備えており、かつ、被覆層3は、後述する特定のシリコーン系樹脂を含有している。このガスケット1は、ガスケット本体(言い換えれば、コア部)2と、少なくともコア部2の外面であって外筒内面と接触する部分に設けられた被覆層3とを備えている。なお、コア部2の外面全体に被覆層3を設けてもよい。
環状リブ7a,7bは、シリンジ用外筒11の内径より若干大きく作製されているため、外筒11内で圧縮変形するものとなっている。また、実施例において、環状リブは、2つ設けられているが、1つあるいは3つ以上設けられていてもよい。
なお、本発明のガスケットに形成された被覆層3では、「固体微粒子」を含まないものとなっている。ここでいう「固体微粒子」とは、被覆層3を形成した場合にその外表面の粗度に影響を与える程度の大きさを有する粒子をいい、具体的には被覆層3の厚みに対して10%より大きい粒径を有するものをいう。
以上のように被覆層3を有することにより、本発明のガスケット1は、摺動面に潤滑剤を付与することなく安定した摺動性を有するとともに、薬剤収納空間内の密封性を維持することができる。そして、被覆層(言い換えれば、被膜を有するガスケット)は、初期摺動抵抗値が動的摺動抵抗値の最高値以下であることが好ましい。このようなものであれば、良好な初期摺動が開始でき、かつ、過剰な初期移動を起こすこともない。
被覆層を構成する被膜の形成方法は、コーティング液を清浄なガスケット表面に対して塗布させた後、硬化させることで得られる。このとき、ガスケット表面に塗布させる方法としては、浸漬法、噴霧法等、従来公知の方法で行うことができる。特に、被覆対象物を回転(具体的には、100〜600rpm)させた状態にて、被覆液を噴霧塗布(スプレー塗布)することが好ましい。さらに、噴霧塗布を行う場合には、ガスケットの被覆対象部位を60〜120℃程度に加熱処理した後に行うことが好ましい。このようにすることにより、被覆対象表面に対して、速やかに被覆液が定着し、被膜が形成される。
コーティング液の硬化方法としては、液の性質によって異なり、通常は常温放置でもよいが、加熱硬化が好ましい。加熱硬化させる方法としては、ガスケット基材を変質、あるいは変形させない方法であれば特に限定されるものではないが、熱風乾燥、赤外線を使用した乾燥炉などが挙げられる。あるいは減圧乾燥機を用いる方法など従来公知の方法で行うこともできる。形成される被覆層の厚さは、1〜30μm程度で良く、好ましくは3〜10μmである。このような被膜を形成するにあたっては、コーティング液である混合液の濃度、あるいは浸漬手法、噴霧手法を適当に制御することで、容易に形成可能である。
本発明で使用する無溶媒のコーティング液の処方について説明する。
コーティング液の有効成分は大きく分けて3種類の成分がある。反応性シリコーンである成分1、成分1の反応触媒、さらに必要に応じて反応抑制剤である成分2、被覆層3がコア部2からの剥がれ、それ自体が破壊してしまわないための助剤である成分3である。さらに必要に応じて添加剤を配合することができる。
また、コーティング液は、硬化前状態で25℃における粘度が、30〜500mPa・s以下であることが好ましい。30mPa・sより小さいものは調製が困難であり、500mPa・sより大きいものを使用した場合、被覆層3の厚みが50μmより大きいものとなってしまい、摺動抵抗値が大きいものとなってしまう。粘度測定は、振動式粘度計(VM−100A、セコニック社製)を用いて25℃にて実施できる。
成分1は、被覆層3のシリコーン系樹脂の主成分として含有されるポリシロキサンであり、成分1は、2種類(成分1a、成分1b)の組み合わせである。
成分1aは、一分子中に少なくとも2個のビニル基を有し、分岐構造を有するポリシロキサンであり、その粘度は、25℃における粘度が30〜1,000mPa・sであることが、基材への噴霧塗布等による、コーティングのし易さから好適である。被覆層3を直鎖構造を有するポリシロキサンで形成すると、ポリシロキサンの粘度が非常に高く、噴霧塗布やコーティングにより所定の厚みにする事は困難であり、水性エマルジョンの形態や溶剤を用いることが必須であった。
この実施例では、成分1として、分岐構造を有するポリシロキサンを用いている。分岐構造を有するポリシロキサンを用いることにより、直鎖構造のものと比較して、同じ分子量であっても、高粘度にはならず、低粘度とすることができ、溶剤の使用を必須としない。なお、成分1aとして、粘度調整のために分岐構造であるポリシロキサンに、両末端にビニル基を有する直鎖構造であるポリシロキサンを混合してもよい。
少なくとも2個のビニル基を有し、分岐構造を有するシリコーン(ポリシロキサン)は、例えば、1,5−ジエテニル−3,3−ビス[(エテニルジメチルシリル)オキシ]−1,1,5,5−テトラメチルペンタントリシロキサンと、1,3,5,7−テトラビニルテトラメチルシクロテトラシロキサンおよび/またはオクタメチルシクロテトラシロキサンをトリフルオロメタンスルホン酸等の酸触媒の下、80〜120℃、好ましくは80〜90℃で数時間の加熱反応を行い、酸触媒を炭酸カルシウム等で中和、そのろ液から低沸点物を除去する事で調製できる。
また、少なくとも2個のビニル基を有し、分岐構造を有するシリコーン(ポリシロキサン)としては、1,3,5,7−テトラビニルテトラメチルシクロテトラシロキサンないしオクタメチルシクロテトラシロキサンのいずれか/あるいは両方を、1,5−ジエテニル−3,3−ビス[(エテニルジメチルシリル)オキシ]−1,1,5,5−テトラメチルペンタントリシロキサンと重合させたものであることが好ましい。
また、連鎖増量剤としての役割も兼ねて、両末端に水素基を有するポリジメチルシロキサン、両末端に水素基を有するポリフェニル(ジメチルハイドロシロキシシロキサン、両末端に水素基を有するポリ(メチルハイドロシロキサン−フェニルメチルシロキサン)などを添加してもよい。
成分1bのポリシロキサンの粘度は、2〜100mPa・s、より好ましくは10〜50mPa・sである。ケイ素原子に結合した水素基の含有率(対ケイ素原子)は、両末端にトリメチルシリル基を有するポリメチルハイドロシロキサンでは、100mol%、両末端にトリメチルシリル基を有するポリ(メチルハイドロシロキサン−ジメチルシロキサン)、両末端にトリメチルシリル基を有するポリ(メチルハイドロシロキサン−オクチルメチルシロキサン)では3〜50mol%、両末端に水素基を有するポリシロキサンでは0.01〜0.5mol%である。成分1bのコーティング液への配合量は、成分1aのビニル基量に対して成分1bの水素基量がモル比で0.5〜2.0、好ましくは0.8〜1.5となる量である。
特に、成分1aと成分1bの主体がポリシロキサンであるため、それらとの相溶性の点で、白金とビニルシロキサンとの錯体が好ましく、具体的には白金とビニルシロキサンカルボニルシクロビニルメチルシロキサン錯体のビニルメチル環状シロキサン溶液、白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体の両末端ビニルポリジメチルシロキサン溶液、白金−シクロビニルメチルシロキサン錯体の環状メチルビニルシロキサン溶液が挙げられる。
上記溶液中の白金濃度は、1〜3wt%が好ましい。また、上記白金系触媒のコーティング液への配合量は、成分1aのポリシロキサンに対して、白金量換算で1〜1,000ppmであり、好ましくは5〜500ppm、さらには50〜200ppmの範囲とすることが最適である。
また、コーティング液には、成分1aと成分1bとの反応抑制剤を添加してもよい。反応抑制剤としては、具体的にはコーティング液の保管期間中、作業中に成分1aのビニル基と成分1bの水素基とのヒドロシリル化を適度に抑制して安定性を獲得する付加反応抑制剤が用いられる。反応抑制剤としては、3−メチル−1−ブチン−3−オール、3−メチル−1−ペンチン−3−オール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、1−エチニルシクロヘキサノール、3−メチル−3−トリメチルシロキサン−1−ブチン、3−メチル−3−トリメチルシロキサン−1−ペンチン、3−メチル−3−トリメチルシロキサン−1−ヘキシン、1−エチニル−1−トリメチルシロキシシクロヘキサン、ビス(2,2−ジメチル−3−ブチノキシ)ジメチルシラン、1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラビニルシクロテトラシロキサン、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジビニルジシロキサンなどが挙げられる。コーティング液への反応抑制剤の配合量は、成分1aのポリシロキサンに対して0.1〜10wt%、より好ましくは0.1〜2wt%である。
好適なものとして、アルキルアルコキシシラン、フェニルアルコキシシラン、フェノキシアルコキシシラン、アルキルフェノキシシラン、アミノアルキルアルコキシシランまたはグリシドキシアルキルアルコキシシランなどの架橋性のアルコキシシラン類が挙げられる。
アルキルアルコキシシランとしては、炭素数が1〜20の少なくとも一個のアルキル基および炭素数が1〜4の少なくとも一個のアルコキシ基を有する。例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソブトキシシラン、メチルトリブトキシシラン、メチルsec−トリオクチルオキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、ジイソブチルジメトキシシラン、n−オクチルメトキシシロキサン、エチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、メチルトリ(アクリロイルオキシエトキシ)シラン、オクチルトリエトキシシラン、ラウリルトリエトキシシラン、ステアリルトリメトキシシラン、ステアリルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ペンチルトリメトキシシラン、ペンチルトリエトキシシラン、ヘプチルトリメトキシシラン、ヘプチルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、ノニルトリメトキシシラン、ノニルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、ウンデシルトリメトキシシラン、ウンデシルトリエトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン、トリデシルトリメトキシシラン、トリデシルトリエトキシシラン、テトラデシルトリメトキシシラン、テトラデシルトリエトキシシラン、ペンタデシルトリメトキシシラン、ペンタデシルトリエトキシシラン、ヘキサデシルトリメトキシシラン、ヘキサデシルトリエトキシシラン、ヘプタデシルトリメトキシシラン、ヘプタデシルトリエトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、ノナデシルトリメトキシシラン、ノナデシルトリエトキシシラン、エイコシルトリメトキシシラン、エイコシルトリエトキシシランなどが好適である。
アルキルフェノキシシランとしては、例えば、メチルトリフェノキシシランなどが好適である。また、フェノキシアルコキシシランとしては、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシランなどが好適である。
上記の助剤のコーティング液への配合量は、成分1aのポリシロキサンに対して0.1〜10wt%であることが好ましく、より好ましくは0.1〜5wt%である。0.1wt%より少ないと架橋が不十分なものとなり、十分な密着性が得られにくい。10wt%を越えると架橋が過ぎて被覆層3の柔軟性や伸張性が低下してしまい、コア部2への被覆層3の追従性が不十分となり、密着性が不十分なものになってしまう。
本発明の医療用具の一例としてシリンジが挙げられる。具体的には、シリンジ10は、図5に示すように、先端部に注射針取付部15が設けられ後端部にフランジ16が対向して設けられたシリンジ用外筒11と、シリンジ用外筒11の内面12を液密かつ気密に摺動可能なシリンジ用ガスケット1と、シリンジ用ガスケット1に取り付けられもしくは取り付け可能なプランジャー17と、シリンジ用外筒11の注射針取付部15を封止する封止部材18と、封止部材18と外筒内面12とシリンジ用ガスケット1との間に形成された薬剤26を収納する薬剤収納部19からなる。なお、注射針取付部15には、封止部材18ではなく、注射針が取り付けられていてもよい。また、封止部材としては、図5に示すように、両頭針を用いて投与できるよう、両頭針を直接挿通可能な刺通部を有するタイプであっても良いし、封止部材を外し、開口させることではじめて薬剤の排出が可能になるタイプであっても良い。また、ガスケット1は、上述した被覆層3を備えている。そして、このシリンジ10では、外筒11内でのガスケット1の低速摺動時(100mm/min)における動的摺動抵抗値が20N以下であることが好ましい。このような低動的摺動抵抗値は、ガスケット1が上述した被覆層3を有することにより得ることができる。特に、外筒11内でのガスケット1の低速摺動時(100mm/min)における動的摺動抵抗値は、1N〜20Nであることが好ましい。
シリンジ10は、上述した薬剤が充填されていないシリンジと同様の構造を有しており、シリンジ用外筒11は、先端部に注射針取付部15が設けられ、後端部にフランジ部16が設けられた円筒状部材である。シリンジ用外筒11は、透明もしくは半透明材料により形成されている。プレフィルドシリンジ用であるので、好ましくは充填される薬剤に応じて、酸素透過性、水蒸気透過性の少ない材料により形成されている。また、形成材料としては、110℃以上のガラス転移点、または融点を有する材料であることが好ましい。
外筒11の形成材料としては、汎用される各種硬質プラスチック材料、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ(4−メチルペンテン−1)、環状ポリオレフィン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、非晶性ポリアレート等のポリエステル、ポリスチレン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、アクリル樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、非晶性ポリエーテルイミドなどが好ましく、特に、ポリプロピレン、ポリ(4−メチルペンテン−1)、環状ポリオレフィン、ポリエチレンナフタレート、及び非晶性ポリエーテルイミドが透明性、熱滅菌耐性の点で好ましい。これらの樹脂は外筒に限らず、薬剤を収納可能な容器に共通して使用可能なものである。さらに、ガラスを形成材料として用いてもよい。
そして、この実施例のシリンジ10の内部には、薬剤26が収納されている。薬剤26としては、液剤であっても粉末剤や凍結乾燥剤などの固形剤であっても良いが、特に、界面活性剤を含む薬液等の低粘稠かつ浸透力の高い薬液などの薬液を収納した場合は、シリコーンオイルを必要としないシリンジでありながら、ガスケットの摺動性と液密性を両立することが困難な薬剤でもあるにもかかわらず好適に収納することができるので好ましい。また、収納された薬剤に接する部分にも被覆層3をシリンジ用ガスケット1に設けた場合は、難水溶性の薬剤を含有した薬液等の吸着性の高い薬液であっても薬剤吸着等を防止できるので、このような薬剤を収納することが好ましい。
そして、プランジャー17および封止部材18の構成材料としては、ポリ塩化ビニル、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、アクリル樹脂等の硬質もしくは半硬質樹脂を用いることが好ましい。なお、ここに記載のない上記外筒11の形成材料を用いることもできる。
図6に示す実施例のガイドワイヤーは、剛性の高い本体部52aと、本体部52aより細径であり剛性の低い先端部52bとが一体に形成された内芯52と、内芯52の先端に設けられた高X線造影部54と、高X線造影部54を設けた内芯52の全体を被包する摺動性被覆層53を備えている。また、摺動性被覆層53は、上述した被覆層3と同じものが用いられる。
内芯52としては、超弾性金属、ステンレス鋼などが好ましい。超弾性金属としては、49〜58原子%NiのTiNi合金、38.5〜41.5重量%ZnのCu−Zn合金、1〜10重量%XのCu−Zn−X合金(X=Be,Si,Sn,Al,Ga)、36〜38原子%AlのNi−Al合金等の超弾性金属体が好適に使用される。特に好ましくは、上記のTiNi合金である。
摺動性被覆層53としては、上述した実施例のガスケットにおいて説明した摺動性被覆層3と同じものが好適に使用できる。
摺動性被膜の外径は、0.25〜1.04mm、好ましくは0.30〜0.64mm、内芯52の本体部52a上での肉厚は、0.25〜1.04mm、好ましくは0.30〜0.64mmである。
なお、この実施例のガイドワイヤー50では、内芯52の全体が摺動性被覆層53により被覆されているが、このようなものに限定されるものではない。摺動性被覆層53は、内芯52の一部のみを被覆するもの、例えば、内芯52の先端部のみを被覆するもの、内芯52の本体部のみを被覆するものであってもよい。
コーティング液は、実施例1〜7、比較例1〜4の通りに調製した。
実施例1
(成分1a)
1,5−ジエテニル−3,3−ビス[(エテニルジメチルシリル)オキシ]−1,1,5,5−テトラメチルペンタントリシロキサン43g、オクタメチルシクロテトラシロキサン445g、トリフルオロメタンスルホン酸1.5gを1Lナスフラスコに量り採り、撹拌下にて80℃で6時間反応させた。反応物を室温に戻し、炭酸カルシウム1.2gを添加して3時間撹拌を行った後、ろ過操作により炭酸カルシウムを除去して重合を完了させた後、反応物を減圧下(3kPa)にて150℃で2時間ストリッピングを行った。重合にて、分岐構造を有するポリシロキサンを得た。得られたポリシロキサンの粘度は、53mPa・s、ビニル基の含有量は2.2wt%であった。得られた調製品を成分1aとして使用した。
両末端がトリメチルシリル基であるポリメチルハイドロジェンシロキサン(ケイ素原子に結合する水素基含有量100mol%、粘度30mPa・s、分子量2,100)を成分1bとして使用した。
(成分2)
白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体の両末端がビニル基であるポリジメチルシロキサン(粘度50mPa・s、白金含量3wt%)、及び該ポリジメチルシロキサンに対して10wt%のエチニルシクロヘキサノールを混合して成分2として使用した。
(成分3)
メチルトリエトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、およびγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを成分3として使用した。
(コーティング液)
成分1aを100g、成分1bを7.4g、成分2を0.33g、成分3のメチルトリエトキシシランを1g、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシランを1g、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを5gとを混合してコーティング液を調製した。コーティング液の粘度(25℃)は、46mPa・sであった。
(成分1a)
1,5−ジエテニル−3,3−ビス[(エテニルジメチルシリル)オキシ]−1,1,5,5−テトラメチルペンタントリシロキサン22g、オクタメチルシクロテトラシロキサン593g、トリフルオロメタンスルホン酸1.5gを1Lナスフラスコに量り採り、撹拌下にて80℃で6時間反応させた。反応物を室温に戻し、炭酸カルシウム1.2gを添加して3時間撹拌を行った後、ろ過操作により炭酸カルシウムを除去して重合を完了させた後、反応物を減圧下(3kPa)にて150℃で2時間ストリッピングを行った。重合にて、分岐構造を有するポリシロキサンを得た。得られたポリシロキサンの粘度は168mPa・s、ビニル基の含有量は0.9wt%であった。得られた調製品を成分1aとして使用した。
(成分1b)
両末端がトリメチルシリル基である、メチルハイドロジェンシロキサン−ジメチルシロキサン共重合体(ケイ素原子に結合する水素基含有量30mol%、粘度35mPa・s、分子量2,000)を成分1bとして使用した。
白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体の両末端がビニル基であるポリジメチルシロキサン(粘度50mPa・s、白金含量3wt%)、及び該ポリジメチルシロキサンに対して10wt%のエチニルシクロヘキサノールを混合して成分2として使用した。
(成分3)
無水マレイン酸62gをエタノール200gに溶解させたものにγ−アミノプロピルトリエトキシシラン140gを室温で滴下し、続いて80℃でエタノール還流下にて15時間反応させた。得られた反応物、フェニルトリエトキシシランおよびγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを成分3として使用した。
(コーティング液)
成分1aを100g、成分1bを9.7g、成分2を0.67g、成分3のフェニルトリエトキシシランを1g、上記反応物を5g、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを1gとを混合してコーティング液を調製した。コーティング液の粘度(25℃)は、143mPa・sであった。
(成分1a)
1,5−ジエテニル−3,3−ビス[(エテニルジメチルシリル)オキシ]−1,1,5,5−テトラメチルペンタントリシロキサン43g、1,3,5,7−テトラビニルテトラメチルシクロテトラシロキサン18g、オクタメチルシクロテトラシロキサン445g、トリフルオロメタンスルホン酸1.5gを1Lナスフラスコに量り採り、撹拌下にて80℃で6時間反応させた。反応物を室温に戻し、炭酸カルシウム1.2gを添加して3時間撹拌を行った後、ろ過操作により炭酸カルシウムを除去して重合を完了させた後、反応物を減圧下(3kPa)にて150℃で2時間ストリッピングを行った。重合にて、分岐構造を有するポリシロキサンを得た。得られたポリシロキサンの粘度は136mPa・s、ビニル基の含有量は3.2wt%であった。得られた調製品を成分1aとして使用した。
(成分1b)
両末端がトリメチルシリル基であるポリメチルハイドロジェンシロキサン(ケイ素原子に結合する水素基含有量100mol%、粘度30mPa・s、分子量2,100)を成分1bとして使用した。
白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体の両末端がビニル基であるポリジメチルシロキサン(粘度50mPa・s、白金含量3wt%)、及び該ポリジメチルシロキサンに対して10wt%のエチニルシクロヘキサノールを混合して成分2として使用した。
(成分3)
メチルトリエトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、およびγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを成分3として使用した。
(コーティング液)
成分1aを100g、成分1bを10.7g、成分2を0.33g、成分3のメチルトリエトキシシランを1g、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシランを5g、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを3gとを混合してコーティング液を調製した。コーティング液の粘度(25℃)は、122 mPa・sであった。
(成分1a)
1,5−ジエテニル−3,3−ビス[(エテニルジメチルシリル)オキシ]−1,1,5,5−テトラメチルペンタントリシロキサン22g、1,3,5,7−テトラビニルテトラメチルシクロテトラシロキサン88g、オクタメチルシクロテトラシロキサン445g、トリフルオロメタンスルホン酸1.5gを1Lナスフラスコに量り採り、撹拌下にて80℃で6時間反応させた。反応物を室温に戻し、炭酸カルシウム1.2gを添加して3時間撹拌を行った後、ろ過操作により炭酸カルシウムを除去して重合を完了させた後、反応物を減圧下(3kPa)にて150℃で2時間ストリッピングを行った。重合にて、分岐構造を有するポリシロキサンを得た。得られたポリシロキサンの粘度は108mPa・s、ビニル基の含有量は5.8wt%であった。得られた調製品を成分1aとして使用した。
(成分1b)
両末端がトリメチルシリル基であるポリメチルハイドロジェンシロキサン(ケイ素原子に結合する水素基含有量100mol%、粘度30mPa・s、分子量2,100)を成分1bとして使用した。
白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体の両末端がビニル基であるポリジメチルシロキサン(粘度50mPa・s、白金含量3wt%)、及び該ポリジメチルシロキサンに対して10wt%のエチニルシクロヘキサノールを混合して成分2として使用した。
(成分3)
無水マレイン酸62gをエタノール200gに溶解させたものにγ−アミノプロピルトリエトキシシラン140gを室温で滴下し、続いて80℃でエタノール還流下にて15時間反応させた。得られた反応物、メチルトリエトキシシランおよびγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを成分3として使用した。
(コーティング液)
成分1aを100g、成分1bを19.5g、成分2を0.33g、成分3のメチルトリエトキシシランを1g、上記反応物を1g、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを5gとを混合してコーティング液を調製した。コーティング液の粘度(25℃)は、91mPa・sであった。
(成分1a)
1,5−ジエテニル−3,3−ビス[(エテニルジメチルシリル)オキシ]−1,1,5,5−テトラメチルペンタントリシロキサン11g、1,3,5,7−テトラビニルテトラメチルシクロテトラシロキサン88g、オクタメチルシクロテトラシロキサン371g、トリフルオロメタンスルホン酸1.5gを1Lナスフラスコに量り採り、撹拌下にて80℃で6時間反応させた。反応物を室温に戻し、炭酸カルシウム1.2gを添加して3時間撹拌を行った後、ろ過操作により炭酸カルシウムを除去して重合を完了させた後、反応物を減圧下(3kPa)にて150℃で2時間ストリッピングを行った。重合にて、分岐構造を有するポリシロキサンを得た。得られたポリシロキサンの粘度は460mPa・s、ビニル基の含有量は6.3wt%であった。得られた調製品を成分1aとして使用した。
(成分1b)
両末端がトリメチルシリル基である、メチルハイドロジェンシロキサン−ジメチルシロキサン共重合体(ケイ素原子に結合する水素基含有量30mol%、粘度35mPa・s、分子量2,000)を成分1bとして使用した。
白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体の両末端がビニル基であるポリジメチルシロキサン(粘度50mPa・s、白金含量3wt%)、及び該ポリジメチルシロキサンに対して10wt%のエチニルシクロヘキサノールを混合して成分2として使用した。
(成分3)
フェニルトリエトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、およびγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを成分3として使用した。
(コーティング液)
成分1aを100g、成分1bを70.2g、成分2を0.67g、成分3のフェニルトリエトキシシランを1g、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシランを5g、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを3gとを混合してコーティング液を調製した。コーティング液の粘度(25℃)は、422mPa・sであった。
(成分1a)
1,3,5,7−テトラビニルテトラメチルシクロテトラシロキサン18g、オクタメチルシクロテトラシロキサン445g、トリフルオロメタンスルホン酸1.5gを1Lナスフラスコに量り採り、撹拌下にて80℃で6時間反応させた。反応物を室温に戻し、炭酸カルシウム1.2gを添加して3時間撹拌を行った後、ろ過操作により炭酸カルシウムを除去して重合を完了させた後、反応物を減圧下(3kPa)にて150℃で2時間ストリッピングを行った。重合にて、分岐構造を有するポリシロキサンを得た。得られたポリシロキサンの粘度は641mPa・s、ビニル基の含有量は5.4wt%であった。得られた調製品10g、実施例1での分岐構造を有するポリシロキサンの調製品90gを混合したものを成分1aとして使用した。
(成分1b)
両末端がトリメチルシリル基である、メチルハイドロジェンシロキサン−ジメチルシロキサン共重合体(ケイ素原子に結合する水素基含有量30mol%、粘度35mPa・s、分子量2,000)を成分1bとして使用した。
白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体の両末端がビニル基であるポリジメチルシロキサン(粘度50mPa・s、白金含量3wt%)、及び該ポリジメチルシロキサンに対して10wt%のエチニルシクロヘキサノールを混合して成分2として使用した。
(成分3)
無水マレイン酸62gをエタノール200gに溶解させたものにγ−アミノプロピルトリエトキシシラン140gを室温で滴下し、続いて80℃でエタノール還流下にて15時間反応させた。得られた反応物、フェニルトリエトキシシランおよびγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを成分3として使用した。
(コーティング液)
成分1aを100g、成分1bを23.4g、成分2を0.33g、成分3のフェニルトリエトキシシランを1g、上記反応物を5g、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを5gとを混合してコーティング液を調製した。コーティング液の粘度(25℃)は、86mPa・sであった。
(成分1a)
両末端がビニル基である、直鎖構造であるポリジメチルシロキサン(ビニル基含有量0.04wt%、粘度1,860mPa)20g、実施例3での調製品80gを混合したものを成分1aとして使用した。
(成分1b)
両末端がトリメチルシリル基であるポリメチルハイドロジェンシロキサン(ケイ素原子に結合する水素基含有量100mol%、粘度30mPa・s、分子量2,100)を成分1bとして使用した。
(成分2)
白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体の両末端がビニル基であるポリジメチルシロキサン(粘度50mPa・s、白金含量3wt%)、及び該ポリジメチルシロキサンに対して10wt%のエチニルシクロヘキサノールを混合して成分2として使用した。
(成分3)
メチルトリエトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、およびγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを成分3として使用した。
(コーティング液)
成分1aを100g、成分1bを44.8g、成分2を0.33g、成分3のメチルトリエトキシシランを1g、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシランを1g、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを5gとを混合してコーティング液を調製した。コーティング液の粘度(25℃)は、457 mPa・sであった。
(成分1a)
1,3,5,7−テトラビニルテトラメチルシクロテトラシロキサン18g、オクタメチルシクロテトラシロキサン445g、トリフルオロメタンスルホン酸1.5gを1Lナスフラスコに量り採り、撹拌下にて80℃で6時間反応させた。反応物を室温に戻し、炭酸カルシウム1.2gを添加して3時間撹拌を行った後、ろ過操作により炭酸カルシウムを除去して重合を完了させた後、反応物を減圧下(3kPa)にて150℃で2時間ストリッピングを行った。重合にて、直鎖構造であるポリシロキサンを得た。得られた直鎖構造であるポリシロキサンの粘度は641mPa・s、ビニル基の含有量は1.2wt%であった。得られた調製品を成分1aとして使用した。
(成分1b)
両末端がトリメチルシリル基である、メチルハイドロジェンシロキサン−ジメチルシロキサン共重合体(ケイ素原子に結合する水素基含有量30mol%、粘度35mPa・s、分子量2,000)を成分1bとして使用した。
(成分2)
白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体の両末端がビニル基であるポリジメチルシロキサン(粘度50mPa・s、白金含量3wt%)、及び該ポリジメチルシロキサンに対して10wt%のエチニルシクロヘキサノールを混合して成分2として使用した。
(成分3)
無水マレイン酸62gをエタノール200gに溶解させたものにγ−アミノプロピルトリエトキシシラン140gを室温で滴下し、続いて80℃でエタノール還流下にて15時間反応させた。得られた反応物、フェニルトリエトキシシランおよびγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを成分3として使用した。
(コーティング液)
成分1aを100g、成分1bを12.9g、成分2を0.33g、成分3のフェニルトリエトキシシランを1g、上記反応物を1g、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを5gとを混合してコーティング液を調製した。コーティング液の粘度(25℃)は、608mPa・sであった。
(成分1a)
1,3,5,7−テトラビニルテトラメチルシクロテトラシロキサン9g、オクタメチルシクロテトラシロキサン445g、トリフルオロメタンスルホン酸1.5gを1Lナスフラスコに量り採り、撹拌下にて80℃で6時間反応させた。反応物を室温に戻し、炭酸カルシウム1.2gを添加して3時間撹拌を行った後、ろ過操作により炭酸カルシウムを除去して重合を完了させた後、反応物を減圧下(3kPa)にて150℃で2時間ストリッピングを行った。重合にて、重合にて、直鎖構造であるポリシロキサンを得た。得られた直鎖構造であるポリシロキサンの粘度は887mPa・s、ビニル基の含有量は0.6wt%であった。得られた調製品を成分1aとして使用した。
(成分1b)
両末端がトリメチルシリル基であるポリメチルハイドロジェンシロキサン(ケイ素原子に結合する水素基含有量100mol%、粘度30mPa・s、分子量2,100)を成分1bとして使用した。
(成分2)
白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体の両末端がビニル基であるポリジメチルシロキサン(粘度50mPa・s、白金含量3wt%)、及び該ポリジメチルシロキサンに対して10wt%のエチニルシクロヘキサノールを混合して成分2として使用した。
(成分3)
メチルトリエトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、およびγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを成分3として使用した。
(コーティング液)
成分1aを100g、成分1bを2g、成分2を0.67g、成分3のメチルトリエトキシシランを1g、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシランを5g、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを3gとを混合してコーティング液を調製した。コーティング液の粘度(25℃)は、857mPa・sであった。
(成分1a)
両末端がビニル基である、直鎖構造であるポリジメチルシロキサン(ビニル基含有量0.4wt%、粘度500mPa・s)を成分1aとして使用した。
(成分1b)
両末端がトリメチルシリル基であるポリメチルハイドロジェンシロキサン(ケイ素原子に結合する水素基含有量100mol%、粘度30mPa・s、分子量2,100)を成分1bとして使用した。
(成分2)
白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体の両末端がビニル基であるポリジメチルシロキサン(粘度50mPa・s、白金含量3wt%)、及び該ポリジメチルシロキサンに対して10wt%のエチニルシクロヘキサノールを混合して成分2として使用した。
(成分3)
無水マレイン酸62gをエタノール200gに溶解させたものにγ−アミノプロピルトリエトキシシラン140gを室温で滴下し、続いて80℃でエタノール還流下にて15時間反応させた。得られた反応物、メチルトリエトキシシランおよびγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを成分3として使用した。
(コーティング液)
成分1aを100g、成分1bを1.3g、成分2を0.67g、成分3のメチルトリエトキシシランを1g、上記反応物を5g、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを5gとを混合してコーティング液を調製した。コーティング液の粘度(25℃)は、468mPa・sであった。
(成分1a)
両末端がビニル基である、直鎖構造であるポリジメチルシロキサン(ビニル基含有量0.04wt%、粘度1,860mPa)を成分1aとして使用した。
(成分1b)
両末端がトリメチルシリル基である、メチルハイドロジェンシロキサン−ジメチルシロキサン共重合体(ケイ素原子に結合する水素基含有量30mol%、粘度35mPa・s、分子量2,000)を成分1bとして使用した。
(成分2)
白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体の両末端がビニル基であるポリジメチルシロキサン(粘度50mPa・s、白金含量3wt%)、及び該ポリジメチルシロキサンに対して10wt%のエチニルシクロヘキサノールを混合して成分2として使用した。
(成分3)
フェニルトリエトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、およびγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを成分3として使用した。
(コーティング液)
成分1aを100g、成分1bを0.4g、成分2を0.33g、成分3のフェニルトリエトキシシランを1g、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシランを5g、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを5gとを混合してコーティング液を調製した。コーティング液の粘度(25℃)は、1,829mPa・sであった。
そして、室温、常圧環境下において、上述のように作製したガスケットコア部材を、90℃、30分間加熱処理した後、その中心軸を中心として回転(300rpm)させるとともに、ガスケットの回転する側面側より、実施例1〜7、比較例1〜4のコーティング液をスプレー塗布した後、150℃、30分間乾燥させることによって、本発明のガスケットを作製した。なお、コア部材の表面に形成された被覆層の平均厚さは、表1の通りであった。
シリンジ用外筒の形成材料として、ポリプロピレン(日本ポリケム株式会社製)を用いて、射出成形により、図5に示す形状のシリンジ用外筒を作製した。シリンジ用外筒の円筒部分の内径は、29mm、長さは、121mmであった。また、プランジャーの形成材料として、ポリプロピレン(日本ポリケム株式会社製)を用いて、射出成形により、図5に示す形状のプランジャーを作製した。
そして、上記のシリンジ用外筒、実施例1〜7及び比較例1〜4の各ガスケット、上記のプランジャーを組み立て、シリンジを作製した。
各シリンジの摺動抵抗値を、オートグラフ(機種名 EZ−Test、会社名 島津製作所)により測定した。具体的には、シリンジの先端およびプランジャーの後端をオートグラフの測定対象物固定部に固定し、プランジャーを100mm/minの速度で60mm降下させたときの初期摺動抵抗値及び最大摺動抵抗値(N)を計測したところ、表2に示すような結果となった。
また、上記のシリンジ用外筒、実施例1〜7及び比較例1の各ガスケット、上記のプランジャーを組み立て、シリンジを作製した。その後、精製水40mLを注射筒内へ注入し、注射筒の先端部に封止部材を嵌めて密封し、オートクレーブ滅菌を行った後、上記同様、オートグラフ(機種名 EZ−Test、島津製作所株式会社製)により摺動抵抗値を測定した。試験速度20〜500mm/minにおける初期摺動抵抗値及び最大摺動抵抗値(N)を計測したところ、表3に示すような結果となった。
なお、各試験におけるサンプル数は10とし、表の数値はそれらの平均値である。
また、シリンジ用外筒の形成材料として、ガラス(塩谷硝子株式会社製)を用いて、図5に示す形状のシリンジ用外筒を作製した。シリンジ用外筒の円筒部分の内径は、23mm、長さは、76mmであった。また、プランジャーの形成材料として、ポリプロピレン(日本ポリケム株式会社製)を用いて、射出成形により、図5に示す形状のプランジャーを作製した。
そして、上記のシリンジ用外筒、実施例1〜7及び比較例1〜2のガスケット、上記のプランジャーを組み立て、シリンジを作製した。その後、精製水20mLを外筒内へ注入し、上記同様、オートグラフ(機種名 EZ−Test、島津製作所株式会社製)により摺動抵抗値を測定した。具体的には、シリンジの先端およびプランジャーの後端をオートグラフの測定対象物固定部に固定し、プランジャーを20、50、100、500mm/minの速度で45mm降下させたときの最大摺動抵抗値(N)を計測したところ、表4に示すような結果となった。
シリンジ用外筒の形成材料として、ポリプロピレン(日本ポリケム株式会社製)を用いて、射出成形により、図5に示す形状のシリンジ用外筒を作製した。シリンジ用外筒の円筒部分の内径は、29mm、長さは、121mmであった。また、プランジャーの形成材料として、ポリプロピレン(日本ポリケム株式会社製)を用いて、射出成形により、図5に示す形状のプランジャーを作製した。
そして、上記のシリンジ用外筒、実施例1〜7及び比較例1〜2の各ガスケット、上記のプランジャーを組み立て、シリンジを作製した。
滅菌済みのプラスチック製の注射筒であり、そのまま直ちに使用でき、かつ、1回限りの使用で使い捨てる滅菌済み注射筒基準(平成10年12月11日医薬発第1079号医薬安全局長通知)における圧力試験に規定されている試験を実施した。その結果を表2に示した。
なお、試験におけるサンプル数は5とし、全て適合した場合、「適合」とした。
シリンジ用外筒の形成材料として、ポリプロピレン(日本ポリケム株式会社製)を用いて、射出成形により、図5に示す形状のシリンジ用外筒を作製した。シリンジ用外筒の円筒部分の内径は、29mm、長さは、121mmであった。また、プランジャーの形成材料として、ポリプロピレン(日本ポリケム株式会社製)を用いて、射出成形により、図5に示す形状のプランジャーを作製した。
そして、上記のシリンジ用外筒、実施例1〜7及び比較例1〜2の各ガスケット、上記のプランジャーを組み立て、シリンジを作製した。
その後、プラスチック製軟包材ヒートシール部の密封性試験に用いられるエージレス(登録商標)チェッカー(三菱瓦斯化学株式会社製)を用い、密封性試験(シリンジの先端部に封止部材を嵌めて40mLを密封)を実施した。室温で一晩放置し、ガスケット摺動部からの液漏れを目視観察した結果を表2に示した。
なお、試験におけるサンプル数は5とし、全て適合した場合、「適合」とした。
シリンジ用外筒の形成材料として、ポリプロピレン(日本ポリケム株式会社製)を用いて、射出成形により、図5に示す形状のシリンジ用外筒を作製した。シリンジ用外筒の円筒部分の内径は、29mm、長さは、121mmであった。また、プランジャーの形成材料として、ポリプロピレン(日本ポリケム株式会社製)を用いて、射出成形により、図5に示す形状のプランジャーを作製した。
そして、上記のシリンジ用外筒、実施例1、4、5、比較例1の各ガスケット、上記のプランジャーを組み立て、シリンジを作製した。その後、40℃、60℃、80℃恒温槽内で各々1日、さらに60℃恒温槽内で10日、20日、30日各々静置した。静置後のサンプルについて、ガスケットのシリンジ用外筒への固着度を評価するために、各シリンジの初期摺動抵抗値を、オートグラフ(機種名 EZ−Test、島津製作所株式会社製)により測定した。具体的には、シリンジの先端およびプランジャーの後端をオートグラフの測定対象物固定部に固定し、プランジャーを100mm/minの速度で60mm降下させたときの初期摺動抵抗値(N)を計測したところ、表5に示すような結果となった。
シリンジ用外筒の形成材料として、ポリプロピレン(日本ポリケム株式会社製)を用いて、射出成形により、図5に示す形状のシリンジ用外筒を作製した。シリンジ用外筒の円筒部分の内径は、29mm、長さは、121mmであった。また、プランジャーの形成材料として、ポリプロピレン(日本ポリケム株式会社製)を用いて、射出成形により、図5に示す形状のプランジャーを作製した。 そして、上記のシリンジ用外筒、実施例1、4、5、比較例1の各ガスケット、上記のプランジャーを組み立て、シリンジを作製した。
その後、蒸留水40mLを注射筒内へ注入し、注射筒の先端部に封止部材を嵌めて密封し、オートクレーブ滅菌を行い、プレフィルドシリンジを製造した後、該プレフィルドシリンジを10分間激しく振とう後の精製水中の不溶性微粒子を測定した。結果を表6に示した。
シリンジポンプ(TE−331、テルモ株式会社製)を用い、シリンジの流量精度評価を実施した。シリンジ用外筒の形成材料として、ポリプロピレン(日本ポリケム株式会社製)を用いて、射出成形により、図5に示す形状のシリンジ用外筒を作製した。シリンジ用外筒の円筒部分の内径は、29mm、長さは、121mmであった。また、プランジャーの形成材料として、ポリプロピレン(日本ポリケム株式会社製)を用いて、射出成形により、図5に示す形状のプランジャーを作製した。
そして、上記のシリンジ用外筒、実施例1、4、5、比較例1の各ガスケット、上記のプランジャーを組み立て、シリンジを作製した。
その後、精製水40mLを注射筒内へ注入し、注射筒の先端部に封止部材を嵌めて密封し、オートクレーブ滅菌を行った後、各シリンジをシリンジポンプへセットして、5mL/hの流量で精製水を8時間吐出させ、電子天秤を用いて、その重量を30秒間隔で経時的に測定したところ、実施例1及び7、比較例1の各ガスケットは安定した吐出であることが確認された。
(1) 医療用部材内面もしくは体腔内面に接触して移動する医療用具であって、該医療用具は、前記医療用部材もしくは体腔と接触する部分に設けられた摺動性被覆層を備え、該摺動性被覆層は、無溶剤型硬化性シリコーン系樹脂を含有する組成物からなるものである摺動性被覆層保有医療用具。
(2) 前記組成物は、スズ系化合物を含有しないものである上記(1)に記載の摺動性被覆層保有医療用具。
(3) 前記無溶剤型硬化性シリコーン系樹脂は、硬化前の25℃における粘度が30〜500mPa・sである上記(1)または(2)に記載の摺動性被覆層保有医療用具。
(4) 前記無溶剤型硬化性シリコーン系樹脂は、少なくとも2つのビニル基を有するとともに分岐構造を有するシリコーンと、同じケイ素原子と結合した少なくとも2つの水素基を有するシリコーンとの付加反応物である上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の摺動性被覆層保有医療用具。
(5) 前記組成物の前記シリコーン系樹脂は、前記ビニル基を有するとともに分岐構造を有するシリコーンの前記ビニル基と、前記ケイ素原子と結合した水素基を有するシリコーンの前記水素基と結合しているケイ素とのヒドロシリル化により結合したシリコーン系樹脂である上記(4)に記載の摺動性被覆層保有医療用具。
(6) 前記分岐構造を有するシリコーンは、25℃における粘度が30〜1,000mPa・sである上記(4)または(5)に記載の摺動性被覆層保有医療用具。
(7) 前記分岐構造を有するシリコーンは、1,3,5,7−テトラビニルテトラメチルシクロテトラシロキサンないしオクタメチルシクロテトラシロキサンのいずれか/あるいは両方を、1,5−ジエテニル−3,3−ビス[(エテニルジメチルシリル)オキシ]−1,1,5,5−テトラメチルペンタントリシロキサンと重合させたものである上記(4)ないし(6)のいずれかに記載の摺動性被覆層保有医療用具。
(8) 前記ケイ素原子と結合した水素基を有するシリコーンは、両末端にトリメチルシリル基を有するポリメチルハイドロシロキサンのホモポリマー、あるいはコポリマーである上記(4)ないし(7)のいずれかに記載の摺動性被覆層保有医療用具。
(9) 前記ケイ素原子と結合した水素基を有するシリコーンは、両末端に水素基を有するポリジメチルシロキサンのホモポリマー、あるいはコポリマーである上記(4)ないし(7)のいずれかに記載の摺動性被覆層保有医療用具。
(11) 前記組成物は、アルキルアルコキシシランまたはフェニルアルコキシシランを含有し、さらに、グリシドキシアルキルアルコキシシランを含有している上記(1)ないし(10)のいずれかに記載の摺動性被覆層保有医療用具。
(12) 前記組成物は、ウレイド基またはウレイレン基を有するアルコキシシラン、または/およびアミノ基を有するアルコキシシランとカルボン酸無水物との反応生成物を含有している上記(1)ないし(11)のいずれかに記載の摺動性被覆層保有医療用具。
(13) 前記被覆層は、固体微粒子及び乳化剤を含まないものである上記(1)ないし(12)のいずれかに記載の摺動性被覆層保有医療用具。
(14) 前記無溶剤型硬化性シリコーン系樹脂は、熱硬化性型シリコーン系樹脂である上記(1)ないし(13)のいずれかに記載の摺動性被覆層保有医療用具。
(15) 前記被覆層は、厚さが1〜30μmである上記(1)ないし(14)のいずれかに記載の摺動性被覆層保有医療用具。
(16) 前記医療用具は、ガイドワイヤまたはカテーテルである上記(1)ないし(15)のいずれかに記載の摺動性被覆層保有医療用具。
(17) 前記医療用部材は、シリンジ用外筒であり、前記医療用具は、前記シリンジ用外筒内に摺動可能に収納されるシリンジ用ガスケットであり、該ガスケットは、弾性体からなるガスケット本体と、少なくとも前記シリンジ用外筒と接触する部分に設けられた前記摺動性被覆層を備えている上記(1)ないし(15)のいずれかに記載の摺動性被覆層保有医療用具。
(18) 前記医療用部材は、プラスチック製シリンジ外筒であり、前記医療用具は、前記プラスチック製シリンジ外筒用のガスケットである上記(17)に記載の摺動性被覆層保有医療用具。
(19) シリンジ用外筒と、上記(17)または(18)の摺動性被覆層保有医療用具でありかつ前記外筒内に摺動可能に収納されたシリンジ用ガスケットと、前記ガスケットに取り付けられた、あるいは取り付け可能なプランジャーとを有するシリンジ。
(20) 前記シリンジは、薬液が充填されたものである上記(19)に記載のシリンジ。
(21) 前記外筒内での前記ガスケットの低速摺動時(100mm/min)における動的摺動抵抗値が20N以下である上記(19)または(20)に記載のシリンジ。
(22) 前記外筒は、プラスチック製外筒である上記(19)ないし(21)のいずれかに記載のシリンジ。
医療用部材内面もしくは体腔内面に接触して移動する医療用具であって、該医療用具は、前記医療用部材もしくは体腔と接触する部分に設けられた摺動性被覆層を備え、該摺動性被覆層は、無溶剤型硬化性シリコーン系樹脂を含有する組成物からなるものであり、さらに、前記組成物の前記無溶剤型硬化性シリコーン系樹脂は、少なくとも2つのビニル基を有するとともに分岐構造を有するシリコーンの前記ビニル基と、ケイ素原子と結合した水素基を有するシリコーンの前記水素基と結合しているケイ素とのヒドロシリル化により結合したシリコーン系樹脂である摺動性被覆層保有医療用具。
(1) 医療用部材内面もしくは体腔内面に接触して移動する医療用具であって、該医療用具は、前記医療用部材もしくは体腔と接触する部分に設けられた摺動性被覆層を備え、該摺動性被覆層は、無溶剤型硬化性シリコーン系樹脂を含有する組成物からなるものであり、さらに、前記組成物の前記無溶剤型硬化性シリコーン系樹脂は、少なくとも2つのビニル基を有するとともに分岐構造を有するシリコーンの前記ビニル基と、ケイ素原子と結合した水素基を有するシリコーンの前記水素基と結合しているケイ素とのヒドロシリル化により結合したシリコーン系樹脂である摺動性被覆層保有医療用具。
(2) 前記組成物は、スズ系化合物を含有しないものである上記(1)に記載の摺動性被覆層保有医療用具。
(3) 前記無溶剤型硬化性シリコーン系樹脂は、硬化前の25℃における粘度が30〜500mPa・sである上記(1)または(2)に記載の摺動性被覆層保有医療用具。
(4) 前記無溶剤型硬化性シリコーン系樹脂は、少なくとも2つのビニル基を有するとともに分岐構造を有するシリコーンと、同じケイ素原子と結合した少なくとも2つの水素基を有するシリコーンとの付加反応物である上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の摺動性被覆層保有医療用具。
(5) 前記無溶剤型硬化性シリコーン系樹脂は、前記分岐構造を有するシリコーンと両末端にビニル基を有する直鎖構造であるポリシロキサンとの混合物であるシリコーンと、前記ケイ素原子と結合した水素基を有するシリコーンとの付加反応物である上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の摺動性被覆層保有医療用具。
(6) 前記分岐構造を有するシリコーンは、25℃における粘度が30〜1,000mPa・sである上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の摺動性被覆層保有医療用具。
(7) 前記分岐構造を有するシリコーンは、1,3,5,7−テトラビニルテトラメチルシクロテトラシロキサンないしオクタメチルシクロテトラシロキサンのいずれか/あるいは両方を、1,5−ジエテニル−3,3−ビス[(エテニルジメチルシリル)オキシ]−1,1,5,5−テトラメチルペンタントリシロキサンと重合させたものである上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の摺動性被覆層保有医療用具。
(8) 前記ケイ素原子と結合した水素基を有するシリコーンは、両末端にトリメチルシリル基を有するポリメチルハイドロシロキサンのホモポリマー、あるいはコポリマーである上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の摺動性被覆層保有医療用具。
(9) 前記ケイ素原子と結合した水素基を有するシリコーンは、両末端に水素基を有するポリジメチルシロキサンのホモポリマー、あるいはコポリマーである上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の摺動性被覆層保有医療用具。
Claims (22)
- 医療用部材内面もしくは体腔内面に接触して移動する医療用具であって、該医療用具は、前記医療用部材もしくは体腔と接触する部分に設けられた摺動性被覆層を備え、該摺動性被覆層は、無溶剤型硬化性シリコーン系樹脂を含有する組成物からなるものであることを特徴とする摺動性被覆層保有医療用具。
- 前記組成物は、スズ系化合物を含有しないものである請求項1に記載の摺動性被覆層保有医療用具。
- 前記無溶剤型硬化性シリコーン系樹脂は、硬化前の25℃における粘度が30〜500mPa・sである請求項1または2に記載の摺動性被覆層保有医療用具。
- 前記無溶剤型硬化性シリコーン系樹脂は、少なくとも2つのビニル基を有するとともに分岐構造を有するシリコーンと、同じケイ素原子と結合した少なくとも2つの水素基を有するシリコーンとの付加反応物である請求項1ないし3のいずれかに記載の摺動性被覆層保有医療用具。
- 前記組成物の前記シリコーン系樹脂は、前記ビニル基を有するとともに分岐構造を有するシリコーンの前記ビニル基と、前記ケイ素原子と結合した水素基を有するシリコーンの前記水素基と結合しているケイ素とのヒドロシリル化により結合したシリコーン系樹脂である請求項4に記載の摺動性被覆層保有医療用具。
- 前記分岐構造を有するシリコーンは、25℃における粘度が30〜1,000mPa・sである請求項4または5に記載の摺動性被覆層保有医療用具。
- 前記分岐構造を有するシリコーンは、1,3,5,7−テトラビニルテトラメチルシクロテトラシロキサンないしオクタメチルシクロテトラシロキサンのいずれか/あるいは両方を、1,5−ジエテニル−3,3−ビス[(エテニルジメチルシリル)オキシ]−1,1,5,5−テトラメチルペンタントリシロキサンと重合させたものである請求項4ないし6のいずれかに記載の摺動性被覆層保有医療用具。
- 前記ケイ素原子と結合した水素基を有するシリコーンは、両末端にトリメチルシリル基を有するポリメチルハイドロシロキサンのホモポリマー、あるいはコポリマーである請求項4ないし7のいずれかに記載の摺動性被覆層保有医療用具。
- 前記ケイ素原子と結合した水素基を有するシリコーンは、両末端に水素基を有するポリジメチルシロキサンのホモポリマー、あるいはコポリマーである請求項4ないし7のいずれかに記載の摺動性被覆層保有医療用具。
- 前記組成物は、白金族金属系触媒を含有するものである請求項1ないし9のいずれかに記載の摺動性被覆層保有医療用具。
- 前記組成物は、アルキルアルコキシシランまたはフェニルアルコキシシランを含有し、さらに、グリシドキシアルキルアルコキシシランを含有している請求項1ないし10のいずれかに記載の摺動性被覆層保有医療用具。
- 前記組成物は、ウレイド基またはウレイレン基を有するアルコキシシラン、または/およびアミノ基を有するアルコキシシランとカルボン酸無水物との反応生成物を含有している請求項1ないし11のいずれかに記載の摺動性被覆層保有医療用具。
- 前記被覆層は、固体微粒子及び乳化剤を含まないものである請求項1ないし12のいずれかに記載の摺動性被覆層保有医療用具。
- 前記無溶剤型硬化性シリコーン系樹脂は、熱硬化性型シリコーン系樹脂である請求項1ないし13のいずれかに記載の摺動性被覆層保有医療用具。
- 前記被覆層は、厚さが1〜30μmである請求項1ないし14のいずれかに記載の摺動性被覆層保有医療用具。
- 前記医療用具は、ガイドワイヤまたはカテーテルである請求項1ないし15のいずれかに記載の摺動性被覆層保有医療用具。
- 前記医療用部材は、シリンジ用外筒であり、前記医療用具は、前記シリンジ用外筒内に摺動可能に収納されるシリンジ用ガスケットであり、該ガスケットは、弾性体からなるガスケット本体と、少なくとも前記シリンジ用外筒と接触する部分に設けられた前記摺動性被覆層を備えている請求項1ないし15のいずれかに記載の摺動性被覆層保有医療用具。
- 前記医療用部材は、プラスチック製シリンジ外筒であり、前記医療用具は、前記プラスチック製シリンジ外筒用のガスケットである請求項17に記載の摺動性被覆層保有医療用具。
- シリンジ用外筒と、請求項17または18の摺動性被覆層保有医療用具でありかつ前記外筒内に摺動可能に収納されたシリンジ用ガスケットと、前記ガスケットに取り付けられた、あるいは取り付け可能なプランジャーとを有することを特徴とするシリンジ。
- 前記シリンジは、薬液が充填されたものである請求項19に記載のシリンジ。
- 前記外筒内での前記ガスケットの低速摺動時(100mm/min)における動的摺動抵抗値が20N以下である請求項19または20に記載のシリンジ。
- 前記外筒は、プラスチック製外筒である請求項19ないし21のいずれかに記載のシリンジ。
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