JP2016097793A - 後輪転舵制御装置 - Google Patents
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Abstract
Description
しかし、前述のように、車両が走行している路面状態の影響など、外部要因により、システムの性能限界を超える駆動力が必要になった場合なども、車両走行性能に悪影響を及ぼす可能性があり、その具体的対策については特に記載がない。
前記アクチュエータ14,15の回転角を検出する回転角検出器33または前記アクチュエータ14,15の絶対位置を検出する絶対位置検出器34と、
上位の制御手段9から入力される転舵指令値に従って前記アクチュエータ14,15を制御する電子制御装置130と、
を備え、
前記電子制御装置130は、
前記上位の制御手段9から入力される後輪10,11の転舵指令値と、前記回転角検出器33で検出される回転角または前記絶対位置検出器34で検出される絶対位置のいずれか一方または両方とを監視して所定の異常判定規則により異常な転舵状態を検知する異常検知部55aと、
この異常検知部55aが異常な転舵状態を検知したとき、後輪10,11への転舵指令を解除する転舵指令解除手段55bとを有することを特徴とする。
前記「異常な転舵状態」について、上位の制御手段9からの転舵指令があるが、例えば、回転角検出器33からの回転角信号が一定時間経過しても所望の値に到達せず、且つ、アクチュエータ14,15の駆動源27の電流値が定められた値を超えている場合、異常な転舵状態と判断する。この場合、対象となる後輪10,11に異常な外力が加えられている可能性がある。
前記一定時間、前記所望の値、前記定められた値、および前記所定の異常判定規則は、それぞれ試験やシミュレーション等の結果により定められる。
図1は、この実施形態に係る後輪転舵制御装置を適用する後輪転舵装置を搭載した自動車の概略説明図である。自動車1の左右の前輪2,3は、ステアリングホイール4の操舵角を、例えばラックアンドピニオンからなる主転舵装置である前輪転舵装置5に伝達することで左右に転舵される。ステアリングホイール4の操舵軸に対して設けた舵角センサ6、車速センサ7、およびヨーレートセンサ8の出力は、電子制御ユニット9に入力される。この電子制御ユニット9は、自動車1の全体の協調制御、統括制御等の制御を行うメインの制御手段であり、ECUまたはVCUと略称される。
図1および図2に示すように、後輪転舵装置12は、前輪転舵角に対して後輪10、11を同位相、逆位相に転舵する第1及び第2のアクチュエータ14,15を有する。第1のアクチュエータ14は左側の後輪10を転舵する駆動手段であり、第2のアクチュエータ15は右側の後輪11を転舵する駆動手段である。
第2のアクチュエータ15についても、同様にモータ駆動により第2のアクチュエータ15に対応するシャフト17の雄ねじ17aが減速機24で減速されて回転する。このシャフト17の回転量に応じて、ロッド16Rが軸方向に移動し、同ロッド16Rの先端に固定された図示外のボールジョイントを介して、図1に示すナックルアームNbを動かして後輪11のトー角を調整する。
シャフト17の端面に形成した内径部17cには、連結軸38L、スラスト軸受39、軌道輪40、およびスペーサ41がそれぞれ挿入される。連結軸38Lには、スラスト力を受けるフランジ38aが形成されている。スラスト軸受39は、保持器付でありフランジ38aの両側に設けられる。軌道輪40はスラスト軸受39の転走面となる。
図1および図2に示すように、第1のアクチュエータ14のロッド16Lを左右に移動すると、ロッド16Lと連結される左の後輪10が転舵され、トー角が調整される。第2のアクチュエータ15のロッド16Rを移動すると、ロッド16Rと連結される右の後輪11が転舵され、トー角が調整される。後輪転舵装置12がシャシー(車体)に固定される方式でありながら、左右の後輪10、11を左右独立に転舵し得る。
なお、ここではハウジング32L、32R、45は3つに分割されているが、これらをねじ締結して一体化したものを1つのハウジングとして呼ぶ。
後輪転舵制御装置13は電子制御装置130を有し、この電子制御装置130は、一対の電子制御部130L、130Rを有する。これら電子制御部130L、130Rは、それぞれ左右の後輪10、11(図1)の転舵を行う第1,第2のアクチュエータ14、15を独立して制御する。これら電子制御部130L、130Rは互いに同じ制御構成となっている。また、第1のアクチュエータ14の構成部品であるモータ27L、回転角検出器33L、絶対位置検出器34Lは、第2のアクチュエータ15についても同一の構成部品を有する。
マイクロプロセッサ50では、転舵モータ27Lの制御を実行するため、モータ制御目標値演算部56で演算された結果(この実施形態では、転舵角から算出されたモータ27Lの回転数)に基づくモータ駆動指令が、出力インターフェース部53を経由してモータ駆動部54へ送信される。
本課題は、上位制御手段である電子制御ユニット9から転舵指令が入力され、後輪を転舵させるアクチュエータの駆動源となるモータを駆動させようとする場合、次のような課題が発生し得る。例えば、路面にある段差などの影響で車両の転舵行動力に反する外力が作用した場合などでは、モータの制御性能の限界値を超える可能性があり、所定の時間内に転舵を実行できない、または、最悪の場合駆動自体を阻害してしまう可能性がある(以降、この状態を「異常な転舵状態」と記す)。
その結果、当初の目的とする車両性能を発揮できないうえに、制御を無理に続行させようとするために、その間無駄なエネルギー浪費に加え、車両が不安定な時間帯を無駄に費やす可能性がある。
マイクロプロセッサ50は、本課題の解決のため、異常処理部55および相互監視部58を備える。また、モータ駆動部54には、モータ電流検出部59を備える。以降、異常処理部55、相互監視部58それぞれの役割を説明する。
異常処理部55は、「異常な転舵状態」を即座に検知するため、異常な転舵状態の検知を行う異常検知部55aと、この異常な転舵状態の検知時の処理を実施する転舵指令解除手段55bとを有する。
なお、「異常な転舵状態」を監視する信号は、絶対位置検出器34Lからの位置信号P0でも構わない。
一対の電子制御部130L,130Rは、自己診断機能や、例えば、それぞれの制御目標を相互演算しその比較結果の一致/不一致でマイクロプロセッサ50の異常な状態やソフトウェアの暴走などを互いに監視し、いずれか一方の電子制御部130L(130R)で異常が発生した場合は、相互監視部58および通信手段60を経由して他方の電子制御部130R(130L)へ、その情報を送信する。
他方の電子制御部130R(130L)は、その異常な状態に応じて制御を中断したり、モータ駆動力を停止する等の処置を実施する。
優先順位としては、左右の後輪がいずれも転舵していない直進状態、次に後輪がトーイン状態、最後に左右の後輪のうちの少なくとも一方の後輪が直進状態であることを前提とした処置をとっている。
また、「異常な転舵状態」は、システムの異常ではないため、「異常な転舵状態」から車両が脱出した際には、正常な制御への復旧が可能である。
図5に示すように、左右の後輪10,11が共に転舵していない直進状態である場合に、電子制御ユニット9から転舵指令を受けた際、少なくとも後輪10,11の一方の後輪10(11)に対応する電子制御部130L(130R)における異常検知部55aが「異常な転舵状態」を検知した場合、この電子制御部130L(130R)における転舵指令解除手段55bが即座に転舵指令をキャンセルする。
前記「異常な転舵状態」の情報は、相互監視部58および通信手段60を経由して他方の電子制御部130L(130R)へ通知される。他方の電子制御部130L(130R)の異常処理部55は、対応するトーイン側に向いた他方の後輪10(11)を、直進状態にする。
10,11…後輪
12…後輪転舵装置
13…後輪転舵制御装置
14,15…アクチュエータ
33…回転角検出器
34…絶対位置検出器
55a…異常検知部
55b…転舵指令解除手段
58…相互監視部
130…電子制御装置
130L,130R…電子制御部
Claims (5)
- 車両の左右の後輪をアクチュエータによりそれぞれ独立に転舵する後輪転舵装置を制御する後輪転舵制御装置であって、
前記アクチュエータの回転角を検出する回転角検出器または前記アクチュエータの絶対位置を検出する絶対位置検出器と、
上位の制御手段から入力される転舵指令値に従って前記アクチュエータを制御する電子制御装置と、
を備え、
前記電子制御装置は、
前記上位の制御手段から入力される後輪の転舵指令値と、前記回転角検出器で検出される回転角または前記絶対位置検出器で検出される絶対位置のいずれか一方または両方とを監視して所定の異常判定規則により異常な転舵状態を検知する異常検知部と、
この異常検知部が異常な転舵状態を検知したとき、後輪への転舵指令を解除する転舵指令解除手段と、
を有することを特徴とする後輪転舵制御装置。 - 請求項1に記載の後輪転舵制御装置において、前記電子制御装置は、前記上位の制御手段から入力される転舵指令値に従って、前記左右の後輪を共に転舵していない直進状態からトーイン側またはトーアウト側に転舵駆動するとき、前記異常検知部がいずれか一方の後輪または両方の後輪につき異常な転舵状態を検知すると、前記転舵指令解除手段は、前記左右の後輪への転舵指令を解除する後輪転舵制御装置。
- 請求項1または請求項2に記載の後輪転舵制御装置において、前記電子制御装置は、前記上位の制御手段から入力される転舵指令値に従って、前記左右の後輪をトーイン状態から直進状態に戻すとき、前記異常検知部がいずれか一方の後輪または両方の後輪につき異常な転舵状態を検知すると、前記転舵指令解除手段は、前記左右の後輪をトーイン状態に維持する後輪転舵制御装置。
- 請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の後輪転舵制御装置において、前記電子制御装置は、前記上位の制御手段から入力される転舵指令値に従って、前記左右の後輪を同相または逆相に転舵している状態から直進状態に戻すとき、前記異常検知部がトーイン側またはトーアウト側に向いた一方の後輪につき異常な転舵状態を検知すると、前記転舵指令解除手段は、異常と検知されない他方の後輪を元の転舵状態から逆転舵状態または直進状態にする後輪転舵制御装置。
- 請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の後輪転舵制御装置において、前記アクチュエータは、前記左右の後輪をそれぞれ独立に転舵する一対のアクチュエータであり、前記電子制御装置は、前記各アクチュエータをそれぞれ制御する一対の電子制御部を有し、前記一対の電子制御部のうち一方の電子制御部における前記異常検知部が異常な転舵状態を検知したとき、正常な他方の電子制御部へ前記一方の電子制御部における異常な転舵状態の情報を伝達する相互監視部を、前記各電子制御部にそれぞれ設けた後輪転舵制御装置。
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