JP2016088920A - 金化合物の新規製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、無電解及び電解めっき液の金供給源として利用可能な或いは金レジネートペースト用の材料となり得るシアンを含まない金化合物の製造方法を提供する。【解決手段】亜硫酸金ナトリウム溶液、亜硫酸金カリウム溶液及び亜硫酸金アンモニウム溶液から選ばれる一種又は二種以上である金塩の溶液と、チオール基を有する有機化合物を水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及び水酸化カルシウムから選ばれる一種又は二種以上を溶解した水溶液とを混合し、この混合溶液をpH7.0〜14.0に調整し、0℃〜100℃の温度で反応させることによりノンシアン金化合物が収率よく得られる。【選択図】なし

Description

本発明は、金化合物の新規製造方法に関し、詳しくは、金めっき用の金供給源として利用可能なシアンを含まない金化合物或いは、金レジネートペースト用の導電性材料として有用な金化合物の新規製造方法に関する。
従来、一般に電解めっき、無電解めっき法で用いられる金めっき用金化合物としては、NaAu(CN)(シアン化第一金ナトリウム)、NaAu(CN)(シアン化第二金ナトリウム)、KAu(CN)(シアン化第一金カリウム)、KAu(CN)(シアン化第二金カリウム)及びNH4Au(CN)(シアン化第一金アンモニウム)等のアルカリ金属のシアン化金塩やシアン化金アンモニウム塩が用いられている。
これらシアン化金化合物の中でも溶解度の関係で金めっき液用としては、シアン化第一金カリウムが多用されている。
しかし、シアン化第一金カリウム等のシアン系金化合物は毒性が強いことから作業安全、排水処理の観点から好ましくないという問題がある。また、シアン系金めっき液を使用した場合、めっき液中に存在するシアンイオンが各種金めっき反応に影響を及ぼす可能性がある。
金めっき浴中へ配合するシアン化カリウムの添加量を減らす手段として例えば、シアン化第一金カリウムを使用して金めっき液を調製する際に通常使用されるクエン酸カリウムとクエン酸の粉末を混合することによって粉末状のクエン酸酸性カリウム塩を生産し、これに水を加えた粉末状シアン化第一金カリウムと混合し、シアン化第一金カリウムとクエン酸酸性カリウムとの混合結晶とされるクエン酸金カリウムを製造し、得られたクエン酸金カリウムである金化合物を金めっき液の金化合物として使用することが知られている(例えば、特許文献1)。
また、塩化第二金溶液を80〜85℃に維持し、これにクエン酸カリウム溶液を滴下し、さらにエチレンジアミン四酢酸溶液を添加し、残りのクエン酸カリウム溶液とマロノ二トリル溶液を滴下し溶液のpHを8〜9に調製して合成反応を終了後、冷却して得られた白色沈殿をろ過、乾燥し、めっき用クエン酸金カリウムの製造方法も知られている(例えば、特許文献2)。
しかしながら、これらクエン酸金カリウムを用いた金めっき液は、金めっき特性で従来のシアン化第一金カリウムに劣っていたり、大量製造が困難であったりと満足されるものではなかった。
また、従来、基板上に膜状電極等の導電性パターンを形成するため導電性ペーストとして金レジネートペーストが知られている。
このような金レジネートペーストの代表的な用途としては、ファクシミリー等のプリンターヘッドとして使用されているサーマルプリンターヘッドの電極作成が挙げられる。
この出願に関連する先行技術としては、金化合物として、α―ピネン、α―ターピネオール、イソボルネオールのメルカプタン金、またはサルフィド金、アベチエン酸金、ネオデカン酸金、2−エチルヘキサン酸金、ナフテン酸金等の1種又は2種以上を用い、これにロジウム化合物、ビスマス化合物、クロム化合物、鉛化合物、ケイ素化合物、有機樹脂、有機溶媒を配合した金レジネートペーストを用い、セラミック基板にスクリーン印刷した後、800〜850℃で焼成し、金薄膜を得ることが知られている(例えば、特許文献3)。
また、別の先行技術として、金レジネートペーストの高温焼成における難点を改良して250℃以下の低温焼成によってもシート抵抗を有する金皮膜を形成できる金レジネートペーストに適した金化合物の材料も知られている(例えば、特許文献4、特許文献5)。
しかしながら、このような従来の金レジネートペーストの金供給源として利用される金化合物の製造方法は、非常に難しく、知識および、経験豊富な熟練者でないと出来ないという課題があった。
本発明者は、上記課題を解決するためシアンを含まない金化合物について鋭意検討を行なった結果、塩化金酸から合成される塩化第一金化合物化ナトリウム、塩化カリウム等のアルカリ金属塩およびチオール基を持つ有機化合物を水溶液中に懸濁後、アルゴンガス又は窒素ガス等の不活性ガスの存在下、pH7.0〜13.5、温度10℃〜90℃の条件にて反応させ、反応終了後、析出した結晶を洗浄、場合によっては、有機溶媒にてカラム精製することにより得られた結晶は、シアンを含まない金化合物である。この金化合物は、金めっき液の金供給源として、利用出来る可能性があり、めっき浴中にシアンイオンが全く含まれないこと、また、金レジネートペースト用の材料となり得ることを知見し、特願2014−187431として既に特許出願している。
しかしながら、上記の製造方法では、製造工程が複雑かつ、多く、また、アルゴンガス又は窒素ガス等の不活性ガスの存在下でないと反応せず、目的の金化合物を得る事が出来なかった。また、多くの副生成物質が生じてしまうためアルコールにてカラム精製をしないと単離出来ず、大量のアルコールを要し、収率も低いという問題があった。
CN101781784 A 公報 CN101172946 B 公報 特開平5−144318号 公報 特許第5526271号 公報 特許第5526272号 公報
本発明は、無電解及び電解めっき液の金供給源として利用可能なシアンを含まない金化合物或いは金レジネートペースト用の材料となり得る金化合物の提供することを目的とする。
本発明者は、上記の問題点を改良すべく更に研究を進めた結果、亜硫酸金ナトリウム溶液、亜硫酸金カリウム溶液及び亜硫酸金アンモニウム溶液から選ばれる一種又は二種以上である金塩の溶液と、チオール基を有する有機化合物を水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及び水酸化カルシウムから選ばれる一種又は二種以上を溶解した水溶液とを混合し、この混合溶液をpH7.0〜14.0に調整し、0℃〜100℃の温度で反応させることにより金化合物が収率よく得られることを知見して本発明に到達した。
なお、本発明で使用している金塩の溶液以外の金塩を用いて合成をした場合、反応せず原料が残ってしまったり、別の化合物が生じたりするため本発明の金化合物は合成することが出来なかった。今回原料に選んだ、亜硫酸金ナトリウム溶液、亜硫酸金カリウム溶液及び亜硫酸金アンモニウム溶液から選ばれる一種又は二種以上である金塩の溶液は1価の金塩であり、このような金塩でないと配位子交換が容易でなく、また、水溶性の化合物でなければ目的物質である金化合物を合成することが困難であった。
すなわち、本発明は、以下の内容をその発明の要旨とするものである。
(1)亜硫酸金ナトリウム溶液、亜硫酸金カリウム溶液及び亜硫酸金アンモニウム溶液から選ばれる一種又は二種以上である金塩の溶液と、チオール基を有する有機化合物を水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及び水酸化カルシウムから選ばれる一種又は二種以上を溶解した水溶液とを混合した混合溶液をpH7.0〜14.0に調整し、0℃〜100℃の温度で反応させることを特徴とする金イオンにチオール基を有する有機化合物が配位した下記一般式(1)で表される金化合物の新規製造方法。
一般式(1)
(1)

(式中、Rは、1価のアルキル基、アリール基、アルケニル基、シリル基、アルキニル基および、1価の炭化水素環系または、複素環系の芳香族有機基を示し、環上の水素原子の一部が反応に関与しない基で置換されていてもよい。)
(2)チオール基を持つ有機化合物が下記一般式(2)で表される化合物である請求項1に記載の金化合物の新規製造方法。
一般式(2)
(2)

(式中、Rは、1価のアルキル基、アリール基、アルケニル基、シリル基、アルキニル基および、1価の炭化水素環系または、複素環系の芳香族有機基を示し、環上の水素原子の一部が反応に関与しない基で置換されていてもよい。)
本発明の金化合物の製造方法によれば、従来の製造方法とは異なり不活性ガスが不要である。また、製造工程が短く簡便である。更に、反応時間が短時間であり、副生成物質が生じないのでアルコールにてカラム精製しなくて済む。そのため大量のアルコールを使用せずに高収率で目的とする反応生成物を得ることができる。それゆえ、製造工程におけるエネルギーの削減や製造時間の短縮、使用薬品の削減および量産化が容易になる。
したがって、製造コストの低減および環境負荷の低減ができ、その工業的利用価値大である。
以下、本発明の金化合物の新規製造方法について詳細に説明する。
本発明で使用する亜硫酸金ナトリウム溶液、亜硫酸金カリウム溶液、亜硫酸金アンモニウム溶液から選ばれる一種又は二種以上である金塩の溶液を純水で希釈して攪拌する。この時、pHは7.0〜14.0の間におさまっている。この溶液を攪拌しながら0℃〜100℃好ましくは30℃〜50℃に加温して維持する。そこに、チオール基を持つ有機化合物を水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウムから選ばれる一種又は二種以上の水溶液に溶かした溶液を添加する。
反応系を攪拌しながら0℃〜100℃好ましくは30℃〜50℃に維持して1〜15分間、反応を促進する。
結晶が析出したら反応系を30℃以下に冷却し、濾別して析出した結晶を得る。得られた結晶を120℃以下で乾燥して金化合物の結晶を得る。
上記の方法でチオール基を持つ有機化合物が2−ベンズイミダゾールチオールを用いて合成して得られた白色粉末状結晶を成分分析した結果、理論値と略一致する Au:56.8%(計算値:56.90%)、C:24.3%(計算値:24.29%)、N:8.1%(計算値:8.09%)、S:9.1%(計算値:9.26%)であった。また、全シアン濃度の測定結果は0.00%であり、検出されなかった。したがって、本発明の金化合物は、上記一般式(1)で表される結晶であることを確認した。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
Au:100g/lの亜硫酸金ナトリウム溶液(小島化学薬品株式会社製)500ml(Au:50.0g)に純水500mlを添加・攪拌して希釈する。この時のpHは10.7であった。この溶液を攪拌しながら40℃に加温して維持する。そこに、2−ベンズイミダゾールチオール40.1gを10%水酸化ナトリウム溶液200mlに溶解した溶液を添加する。
添加直後、直ぐに結晶が生じるが、反応を完全に終了させる為、添加終了後、そのまま40℃に維持して10分間、攪拌を継続して反応を促進する。
反応終了後、反応系を30℃以下に冷却する。次いで、析出した結晶を濾過、純水で洗浄した後、更にエタノールで追加洗浄をする。得られた結晶は、100℃で乾燥する事により、85.9gの白色粉末状の結晶を得た。(収率:97.8%)
得られた結晶の分析結果は下記の如くであった。
Au:56.8%(計算値:56.90%)、C:24.3%(計算値:24.29%)、N:8.1%(計算値:8.09%)、S:9.1%(計算値:9.26%)
Au:100g/lの亜硫酸金アンモニウム溶液(小島化学薬品株式会社製)500ml(Au:50.0g)に純水500mlを添加・攪拌して希釈する。この時のpHは10.5であった。この溶液を攪拌しながら40℃に加温して維持する。そこに、2−ベンズイミダゾールチオール40.1gを10%水酸化ナトリウム溶液200mlに溶解した溶液を添加する。
添加直後、直ぐに結晶が生じるが、反応を完全に終了させる為、添加終了後、そのまま40℃に維持して10分間、攪拌を継続して反応を促進する。
反応終了後、反応系を30℃以下に冷却する。次いで、析出した結晶を濾過、純水で洗浄した後、更にエタノールで追加洗浄をする。得られた結晶は、100℃で乾燥する事により、86.3gの白色粉末状の結晶を得た。(収率:98.2%)
得られた結晶の分析結果は下記の如くであった。
Au:56.7%(計算値:56.90%)、C:24.2%(計算値:24.29%)、N:8.0%(計算値:8.09%)、S:9.1%(計算値:9.26%)
Au:100g/lの亜硫酸金カリウム溶液(小島化学薬品株式会社製)500ml(Au:50.0g)に純水500mlを添加・攪拌して希釈する。この時のpHは10.4であった。この溶液を攪拌しながら40℃に加温して維持する。そこに、2−ベンズイミダゾールチオール40.1gを10%水酸化ナトリウム溶液200mlに溶解した溶液を添加する。
添加直後、直ぐに結晶が生じるが、反応を完全に終了させる為、添加終了後、そのまま40℃に維持して10分間、攪拌を継続して反応を促進する。
反応終了後、反応系を30℃以下に冷却する。次いで、析出した結晶を濾過、純水で洗浄した後、更にエタノールで追加洗浄をする。得られた結晶は、100℃で乾燥する事により、84.6gの白色粉末状の結晶を得た。(収率:96.3%)
得られた結晶の分析結果は下記の如くであった。
Au:56.8%(計算値:56.90%)、C:24.2%(計算値:24.29%)、N:8.0%(計算値:8.09%)、S:9.2%(計算値:9.26%)
(比較例1)
塩化金酸四水和物(小島化学薬品株式会社製)200.0gを高真空中の条件下で100℃に加熱し、完全に水分を除去する。次いで、間接加熱にて160℃〜180℃を保ちながら結晶化するまで分解を促進して反応を進める。反応終了後、冷却して淡黄色結晶の塩化第一金90.1gを得た。
得られた塩化第一金59.0g(Au:50.0g)に純水500mlを添加・攪拌して希釈する。この溶液を攪拌しながら40℃に加温して維持する。そこに、2−ベンズイミダゾールチオール40.1gを10%水酸化ナトリウム溶液200mlに溶解した溶液を添加する。
反応系を40℃に保ったまま攪拌を維持して反応を促進したが、添加して暫くすると、塩化第一金が不均化反応を起こして分解してしまい、目的物質を得る事が出来なかった。
(比較例2)
KAu(CN)(シアン化第一金カリウム)(小島化学薬品株式会社製)73.1g(Au:50.0g)に純水500mlを添加・攪拌して希釈する。この溶液を攪拌しながら40℃に加温して維持する。そこに、2−ベンズイミダゾールチオール40.1gを10%水酸化ナトリウム溶液200mlに溶解した溶液を添加する。
反応系を40℃に保ったまま攪拌を維持して反応を促進したが、反応が進行せず、目的物質を得る事が出来なかった。
(比較例3)
比較例2のKAu(CN)(シアン化第一金カリウム)をKAu(CN)(シアン化第二金カリウム)に代えて同様の実験を実施したが、比較例2と同様、目的物質を得る事が出来なかった。
(比較例4)
比較例2のKAu(CN)(シアン化第一金カリウム)及び、比較例3のKAu(CN)(シアン化第二金カリウム)を塩化金酸四水和物(小島化学薬品株式会社製)に代えて同様の実験を実施したが、比較例2及び、比較例3と同様、目的物質を得る事が出来なかった。
実施例1、実施例2、実施例3で得られた金化合物を用い、金として50g/Lの水溶液を調整し、フリーシアンメーターにより水溶液中のフリ−シアン濃度を測定した。また、結晶中の全シアン濃度も併せて測定した。その結果を表1に示す。
一方、比較のため市販品のKAu(CN)(シアン化第一金カリウム)を用い、金として50g/Lの水溶液を調整し、フリーシアンメーターにより水溶液中のフリ−シアン濃度を測定した。また、結晶中の全シアン濃度も併せて測定した。その結果を表1に示す。
結晶中の全シアン濃度を測定した結果、実施例1、実施例2、実施例3の金化合物を用いた場合、定量下限値(0.1ppm)以下の全シアン濃度であった。KAu(CN)(シアン化第一金カリウム)を使用した場合、全シアン濃度値は17.9%であった。
また、金水溶液中のフリ−シアン濃度を測定した結果、実施例1、実施例2、実施例3の金化合物を用いた場合、定量下限値(0.1ppm)以下のフリ−シアン濃度であった。KAu(CN)(シアン化第一金カリウム)を使用した場合、フリ−シアン濃度値は0.3ppmであった。本発明の金化合物を使用した場合、シアンを全く含まないことを確認した。
(参考例1)
置換型無電解金めっきテスト基板上に、市販の無電解金めっきプロセス(上村工業株式会社製)を用い、酸性脱脂⇒エッチング⇒酸浸漬⇒パラジウム触媒付与⇒無電解ニッケルめっきを施した後、実施例1で得た金化合物を用いた置換金めっき液を使用し、銅電極上に無電解金(約0.04μm)/ニッケル皮膜(約5μm)を形成した。また、実施例2も実施例1と同様に実施した結果、銅電極上に無電解金(約0.04μm)/ニッケル皮膜(約5μm)を形成した。また、実施例3も実施例1又は実施例2と同様に実施した結果、銅電極上に無電解金(約0.04μm)/ニッケル皮膜(約5μm)を形成した。
置換型無電解金めっきは、純水1.2Lを投入したビ−カ−へ市販の置換型無電解金めっき薬品(商品名:TKK−51上村工業社製品)0.2L配合し、次いで実施例1、実施例2及び実施例3で得た夫々の金化合物について、その必要量を10%水酸化ナトリウム溶液0.6Lに溶解した溶液を投入し、置換型無電解金めっき液を建浴した。金めっき液の基本操作条件は、金濃度を1.0g/L、めっき温度を85℃、めっき時間を10分間とした。
上記した実施形態に対する比較として、実施例1、実施例2及び実施例3で得た金化合物に替えKAu(CN)(シアン化第一金カリウム)を金属塩に用い、上記と同様にして置換型無電解金めっき液を建浴した。また、操作条件も同様とした。
上記の工程で、無電解ニッケルめっき皮膜上に置換型無電解金めっき皮膜形成を行なった。その結果、析出速度約0.05μm/10分でレモンイエロ−の色調を有する金めっきが析出した。セロハン粘着テ−プを用い、金皮膜の密着性をJIS Z 1522に基づいて実施した。その結果、良好な密着性を示した。また、この金めっき液を連続使用した場合でも、金めっき液の分解は生じないことが確認された。
本めっき液を用い連続金めっきテストを行なった。不足する金属塩は、実施例1、実施例2及び実施例3で得られた金化合物を補充した。連続使用(MTO)の進行に伴い、析出速度が低下する傾向を示した。これは、KAu(CN)(シアン化第一金カリウム)使用時と同じ、析出挙動であった。また、表2及び表3に示すように、長期間使用した場合(2MTO)でも、レモンイエロ−の色調を有し、密着性に優れた金めっき皮膜が得られることが確認された。








(参考例2)
電解金めっきテスト基板上に、脱脂⇒エッチング⇒酸浸漬⇒電解ニッケル(約5μm)を施し、市販の電解金めっき薬品(商品名:K−710ピュアゴ−ルド 小島化学薬品社製品)を用い0.3μmの金めっき皮膜を析出させた。電解金めっき薬品2Lに実施例1、実施例2及び実施例3の金化合物の必要量を10%水酸化ナトリウム溶液に溶解した溶液を投入し、金めっき液を建浴した。金めっき液の基本操作条件は、金濃度を3.0g/L、めっき温度を60℃、電流密度を0.2A/dm、めっき時間を140秒間とし、電解金めっきテストを行なった。
上記した実施形態に対する比較として、KAu(CN)(シアン化第一金カリウム)を金属塩に用い、上記と同様に電解金めっき液を建浴した。また、操作条件も同様とした。
その結果、KAu(CN)(シアン化第一金カリウム)を使用した場合と同様に、金化合物を用いた場合も、レモンイエロ−の色調で、密着性に優れた金めっきが析出した。析出速度および析出皮膜状態も同じような傾向を示した。
(参考例3)
電解金めっきテスト基板上に、脱脂⇒エッチング⇒酸浸漬⇒電解ニッケル(約5μm)を施し、市販の硬質電解金−コバルトめっき薬品(商品名:K−750ハードゴールド 小島化学薬品社製品)を用い、0.3μmの金めっき皮膜を析出させた。電解金めっき薬品2Lに実施例1、実施例2及び実施例3の金化合物の必要量を10%水酸化ナトリウム溶液に溶解した溶液を投入し、金めっき液を建浴した。金めっき液の基本操作条件は、金濃度を5.0g/L、めっき温度を55℃、電流密度を2.0A/dm、めっき時間を80秒間とし、硬質電解金−コバルトめっきテストを行なった。
上記した実施形態に対する比較例として、KAu(CN)(シアン化第一金カリウム)を金属塩に用い、上記と同様にして電解金めっき液を建浴した。また、操作条件も同様とした。
その結果、KAu(CN)(シアン化第一金カリウム)を使用した場合と同様に、本発明の金化合物を用いた場合も、レモンイエロ−の色調で、密着性に優れた金めっきが析出した。析出速度も同じような傾向を示した。
Au:100g/lの亜硫酸金ナトリウム溶液(小島化学薬品株式会社製)500ml(Au:50.0g)に純水500mlを添加・攪拌して希釈する。この時のpHは10.4であった。この溶液を攪拌しながら40℃に加温して維持する。そこに、2−メルカプトベンゾチアゾール44.6gを10%水酸化ナトリウム溶液200mlに溶解した溶液を添加する。
添加直後、直ぐに結晶が生じるが、反応を完全に終了させる為、添加終了後、そのまま40℃に維持して10分間、攪拌を継続して反応を促進する。
反応終了後、反応系を30℃以下に冷却する。次いで、析出した結晶を濾過、純水で洗浄した後、更にエタノールで追加洗浄をする。得られた結晶は、100℃で乾燥する事により、91.1gの白色粉末状の結晶を得た。(収率:98.8%)
得られた結晶の分析結果は下記の如くであった。
Au:54.2%(計算値:54.23%)、C:23.0%(計算値:23.15%)、N:3.9%(計算値:3.86%)、S:17.5%(計算値:17.66%)
Au:100g/lの亜硫酸金アンモニウム溶液(小島化学薬品株式会社製)500ml(Au:50.0g)に純水500mlを添加・攪拌して希釈する。この時のpHは10.6であった。この溶液を攪拌しながら40℃に加温して維持する。そこに、2−メルカプトベンゾチアゾール44.6gを10%水酸化ナトリウム溶液200mlに溶解した溶液を添加する。
添加直後、直ぐに結晶が生じるが、反応を完全に終了させる為、添加終了後、そのまま40℃に維持して10分間、攪拌を継続して反応を促進する。
反応終了後、反応系を30℃以下に冷却する。次いで、析出した結晶を濾過、純水で洗浄した後、更にエタノールで追加洗浄をする。得られた結晶は、100℃で乾燥する事により、90.5gの白色粉末状の結晶を得た。(収率:98.2%)
得られた結晶の分析結果は下記の如くであった。
Au:54.1%(計算値:54.23%)、C:23.1%(計算値:23.15%)、N:3.8%(計算値:3.86%)、S:17.5%(計算値:17.66%)
Au:100g/lの亜硫酸金カリウム溶液(小島化学薬品株式会社製)500ml(Au:50.0g)に純水500mlを添加・攪拌して希釈する。この時のpHは10.5であった。この溶液を攪拌しながら40℃に加温して維持する。そこに、2−メルカプトベンゾチアゾール44.6gを10%水酸化ナトリウム溶液200mlに溶解した溶液を添加する。
添加直後、直ぐに結晶が生じるが、反応を完全に終了させる為、添加終了後、そのまま40℃に維持して10分間、攪拌を継続して反応を促進する。
反応終了後、反応系を30℃以下に冷却する。次いで、析出した結晶を濾過、純水で洗浄した後、更にエタノールで追加洗浄をする。得られた結晶は、100℃で乾燥する事により、88.9gの白色粉末状の結晶を得た。(収率:96.4%)
得られた結晶の分析結果は下記の如くであった。
Au:54.1%(計算値:54.23%)、C:23.1%(計算値:23.15%)、N:3.8%(計算値:3.86%)、S:17.5%(計算値:17.66%)
(比較例5)
塩化金酸四水和物(小島化学薬品株式会社製)200.0gを高真空中の条件下で100℃に加熱し、完全に水分を除去する。次いで、間接加熱にて160℃〜180℃を保ちながら結晶化するまで分解を促進して反応を進める。反応終了後、冷却して淡黄色結晶の塩化第一金90.5gを得た。
得られた塩化第一金59.0g(Au:50.0g)に純水500mlを添加・攪拌して希釈する。この溶液を攪拌しながら40℃に加温して維持する。そこに、2−メルカプトベンゾチアゾール44.6gを10%水酸化ナトリウム溶液200mlに溶解した溶液を添加する。
反応系を40℃に保ったまま攪拌を維持して反応を促進したが、添加して暫くすると、塩化第一金が不均化反応を起こして分解してしまい、目的物質を得る事が出来なかった。
(比較例6)
KAu(CN)(シアン化第一金カリウム)(小島化学薬品株式会社製)73.1g(Au:50.0g)に純水500mlを添加・攪拌して希釈する。この溶液を攪拌しながら40℃に加温して維持する。そこに、2−メルカプトベンゾチアゾール44.6gを10%水酸化ナトリウム溶液200mlに溶解した溶液を添加する。
反応系を40℃に保ったまま攪拌を維持して反応を促進したが、反応が進行せず、目的物質を得る事が出来なかった。
(比較例7)
比較例6のKAu(CN)(シアン化第一金カリウム)をKAu(CN)(シアン化第二金カリウム)に代えて同様の実験を実施したが、比較例6と同様、目的物質を得る事が出来なかった。
(比較例8)
比較例6のKAu(CN)(シアン化第一金カリウム)及び、比較例7のKAu(CN)(シアン化第二金カリウム)を塩化金酸四水和物(小島化学薬品株式会社製)に代えて同様の実験を実施したが、比較例6及び比較例7と同様、目的物質を得る事が出来なかった。
実施例4、実施例5及び実施例6で得られた金化合物を用い、金として50g/Lの水溶液を調整し、フリーシアンメーターにより水溶液中のフリ−シアン濃度を測定した。また、結晶中の全シアン濃度も併せて測定した。その結果を表4に示す。
一方、比較のため市販品のKAu(CN)(シアン化第一金カリウム)を用い、金として50g/Lの水溶液を調整し、フリーシアンメーターにより水溶液中のフリ−シアン濃度を測定した。また、結晶中の全シアン濃度も併せて測定した。その結果を表4に示す。
結晶中の全シアン濃度を測定した結果、実施例4、実施例5及び実施例6の金化合物を用いた場合、定量下限値(0.1ppm)以下の全シアン濃度であった。KAu(CN)(シアン化第一金カリウム)を使用した場合、全シアン濃度値は17.9%であった。
また、金水溶液中のフリ−シアン濃度を測定した結果、実施例4、実施例5及び実施例6の金化合物を用いた場合、定量下限値(0.1ppm)以下のフリ−シアン濃度であった。KAu(CN)(シアン化第一金カリウム)を使用した場合、フリ−シアン濃度値は0.3ppmであった。本発明の金化合物を使用した場合、シアンを全く含まないことを確認した。
Au:100g/lの亜硫酸金ナトリウム溶液(小島化学薬品株式会社製)500ml(Au:50.0g)に純水500mlを添加・攪拌して希釈する。この時のpHは10.5であった。この溶液を攪拌しながら40℃に加温して維持する。そこに、2−メルカプトエタノール20.8gを純水で希釈して200mlにした溶液を添加する。
添加直後、直ぐに結晶が生じるが、反応を完全に終了させる為、添加終了後、そのまま40℃に維持して10分間、攪拌を継続して反応を促進する。
反応終了後、反応系を30℃以下に冷却する。次いで、析出した結晶を濾過、純水で洗浄した後、更にエタノールで追加洗浄をする。得られた結晶は、100℃で乾燥する事により、67.9gの淡黄色粉末状の結晶を得た。(収率:97.6%)
得られた結晶の分析結果は下記の如くであった。
Au:71.8%(計算値:71.9%)、S:11.6%(計算値:11.7%)
Au:100g/lの亜硫酸金アンモニウム溶液(小島化学薬品株式会社製)500ml(Au:50.0g)に純水500mlを添加・攪拌して希釈する。この時のpHは10.3であった。この溶液を攪拌しながら40℃に加温して維持する。そこに、2−メルカプトエタノール20.8gを純水で希釈して200mlにした溶液を添加する。
添加直後、直ぐに結晶が生じるが、反応を完全に終了させる為、添加終了後、そのまま40℃に維持して10分間、攪拌を継続して反応を促進する。
反応終了後、反応系を30℃以下に冷却する。次いで、析出した結晶を濾過、純水で洗浄した後、更にエタノールで追加洗浄をする。得られた結晶は、100℃で乾燥する事により、67.3gの淡黄色粉末状の結晶を得た。(収率:96.7%)
得られた結晶の分析結果は下記の如くであった。
Au:71.7%(計算値:71.9%)、S:11.5%(計算値:11.7%)
Au:100g/lの亜硫酸金カリウム溶液(小島化学薬品株式会社製)500ml(Au:50.0g)に純水500mlを添加・攪拌して希釈する。この時のpHは10.3であった。この溶液を攪拌しながら40℃に加温して維持する。そこに、2−メルカプトエタノール20.8gを純水で希釈して200mlにした溶液を添加する。
添加直後、直ぐに結晶が生じるが、反応を完全に終了させる為、添加終了後、そのまま40℃に維持して10分間、攪拌を継続して反応を促進する。
反応終了後、反応系を30℃以下に冷却する。次いで、析出した結晶を濾過、純水で洗浄した後、更にエタノールで追加洗浄をする。得られた結晶は、100℃で乾燥する事により、66.7gの淡黄色粉末状の結晶を得た。(収率:95.9%)
得られた結晶の分析結果は下記の如くであった。
Au:71.8%(計算値:71.9%)、S:11.5%(計算値:11.7%)
(比較例9)
塩化金酸四水和物(小島化学薬品株式会社製)200.0gを高真空中の条件下で100℃に加熱し、完全に水分を除去する。次いで、間接加熱にて160℃〜180℃を保ちながら結晶化するまで分解を促進して反応を進める。反応終了後、冷却して淡黄色結晶の塩化第一金90.8gを得た。
得られた塩化第一金59.0g(Au:50.0g)に純水500mlを添加・攪拌して希釈する。この溶液を攪拌しながら40℃に加温して維持する。そこに、2−メルカプトエタノール20.8gを純水で希釈して200mlにした溶液を添加する。
反応系を40℃に保ったまま攪拌を維持して反応を促進したが、添加して暫くすると、塩化第一金が不均化反応を起こして分解してしまい、目的物質を得る事が出来なかった。
(比較例10)
KAu(CN)(シアン化第一金カリウム)(小島化学薬品株式会社製)73.1g(Au:50.0g)に純水500mlを添加・攪拌して希釈する。この溶液を攪拌しながら40℃に加温して維持する。そこに、2−メルカプトエタノール20.8gを純水で希釈して200mlにした溶液を添加する。
反応系を40℃に保ったまま攪拌を維持して反応を促進したが、反応が進行せず、目的物質を得る事が出来なかった。
(比較例11)
比較例10のKAu(CN)(シアン化第一金カリウム)をKAu(CN)(シアン化第二金カリウム)に代えて同様の実験を実施したが、比較例10と同様、目的物質を得る事が出来なかった。
(比較例12)
比較例10のKAu(CN)(シアン化第一金カリウム)及び、比較例11のKAu(CN)(シアン化第二金カリウム)を塩化金酸四水和物(小島化学薬品株式会社製)に代えて同様の実験を実施したが、比較例10及び比較例11と同様、目的物質を得る事が出来なかった。
Au:100g/lの亜硫酸金ナトリウム溶液(小島化学薬品株式会社製)500ml(Au:50.0g)に純水500mlを添加・攪拌して希釈する。この時のpHは10.6であった。この溶液を攪拌しながら40℃に加温して維持する。そこに、1−プロパンチオール20.3gを純水で希釈して200mlにした溶液を添加する。
添加直後、直ぐに結晶が生じるが、反応を完全に終了させる為、添加終了後、そのまま40℃に維持して10分間、攪拌を継続して反応を促進する。
反応終了後、反応系を30℃以下に冷却する。次いで、析出した結晶を濾過、純水で洗浄した後、更にエタノールで追加洗浄をする。得られた結晶は、100℃で乾燥する事により、68.2gの淡黄色粉末状の結晶を得た。(収率:98.7%)
得られた結晶の分析結果は下記の如くであった。
Au:72.3%(計算値:72.4%)、S:11.7%(計算値:11.8%)
Au:100g/lの亜硫酸金アンモニウム溶液(小島化学薬品株式会社製)500ml(Au:50.0g)に純水500mlを添加・攪拌して希釈する。この時のpHは10.2であった。この溶液を攪拌しながら40℃に加温して維持する。そこに、1−プロパンチオール20.3gを純水で希釈して200mlにした溶液を添加する。
添加直後、直ぐに結晶が生じるが、反応を完全に終了させる為、添加終了後、そのまま40℃に維持して10分間、攪拌を継続して反応を促進する。
反応終了後、反応系を30℃以下に冷却する。次いで、析出した結晶を濾過、純水で洗浄した後、更にエタノールで追加洗浄をする。得られた結晶は、100℃で乾燥する事により、67.7gの淡黄色粉末状の結晶を得た。(収率:98.0%)
得られた結晶の分析結果は下記の如くであった。
Au:72.2%(計算値:72.4%)、S:11.7%(計算値:11.8%)
Au:100g/lの亜硫酸金カリウム溶液(小島化学薬品株式会社製)500ml(Au:50.0g)に純水500mlを添加・攪拌して希釈する。この時のpHは10.4であった。この溶液を攪拌しながら40℃に加温して維持する。そこに、1−プロパンチオール20.3gを純水で希釈して200mlにした溶液を添加する。
添加直後、直ぐに結晶が生じるが、反応を完全に終了させる為、添加終了後、そのまま40℃に維持して10分間、攪拌を継続して反応を促進する。
反応終了後、反応系を30℃以下に冷却する。次いで、析出した結晶を濾過、純水で洗浄した後、更にエタノールで追加洗浄をする。得られた結晶は、100℃で乾燥する事により、67.1gの淡黄色粉末状の結晶を得た。(収率:97.1%)
得られた結晶の分析結果は下記の如くであった。
Au:72.3%(計算値:72.4%)、S:11.7%(計算値:11.8%)
(比較例13)
塩化金酸四水和物(小島化学薬品株式会社製)200.0gを高真空中の条件下で100℃に加熱し、完全に水分を除去する。次いで、間接加熱にて160℃〜180℃を保ちながら結晶化するまで分解を促進して反応を進める。反応終了後、冷却して淡黄色結晶の塩化第一金89.9gを得た。
得られた塩化第一金59.0g(Au:50.0g)に純水500mlを添加・攪拌して希釈する。この溶液を攪拌しながら40℃に加温して維持する。そこに、1−プロパンチオール20.3gを純水で希釈して200mlにした溶液を添加する。
反応系を40℃に保ったまま攪拌を維持して反応を促進したが、添加して暫くすると、塩化第一金が不均化反応を起こして分解してしまい、目的物質を得る事が出来なかった。
(比較例14)
KAu(CN)(シアン化第一金カリウム)(小島化学薬品株式会社製)73.1g(Au:50.0g)に純水500mlを添加・攪拌して希釈する。この溶液を攪拌しながら40℃に加温して維持する。そこに、1−プロパンチオール20.3gを純水で希釈して200mlにした溶液を添加する。
反応系を40℃に保ったまま攪拌を維持して反応を促進したが、反応が進行せず、目的物質を得る事が出来なかった。
(比較例15)
比較例14のKAu(CN)(シアン化第一金カリウム)をKAu(CN)(シアン化第二金カリウム)に代えて同様の実験を実施したが、比較例14と同様、目的物質を得る事が出来なかった。
(比較例16)
比較例14のKAu(CN)(シアン化第一金カリウム)及び比較例15のKAu(CN)(シアン化第二金カリウム)を塩化金酸四水和物(小島化学薬品株式会社製)に代えて同様の実験を実施したが、比較例14及び比較例15と同様、目的物質を得る事が出来なかった。
Au:100g/lの亜硫酸金ナトリウム溶液(小島化学薬品株式会社製)500ml(Au:50.0g)に純水500mlを添加・攪拌して希釈する。この時のpHは10.5であった。この溶液を攪拌しながら40℃に加温して維持する。そこに、メルカプト酢酸24.6gを純水で希釈して200mlにした溶液を添加する。
添加直後、直ぐに結晶が生じるが、反応を完全に終了させる為、添加終了後、そのまま40℃に維持して10分間、攪拌を継続して反応を促進する。
反応終了後、反応系を30℃以下に冷却する。次いで、析出した結晶を濾過、純水で洗浄した後、更にエタノールで追加洗浄をする。得られた結晶は、100℃で乾燥する事により、71.9gの淡黄色粉末状の結晶を得た。(収率:98.3%)
得られた結晶の分析結果は下記の如くであった。
Au:68.4%(計算値:68.4%)、S:11.0%(計算値:11.1%)
Au:100g/lの亜硫酸金アンモニウム溶液(小島化学薬品株式会社製)500ml(Au:50.0g)に純水500mlを添加・攪拌して希釈する。この時のpHは10.4であった。この溶液を攪拌しながら40℃に加温して維持する。そこに、メルカプト酢酸24.6gを純水で希釈して200mlにした溶液を添加する。
添加直後、直ぐに結晶が生じるが、反応を完全に終了させる為、添加終了後、そのまま40℃に維持して10分間、攪拌を継続して反応を促進する。
反応終了後、反応系を30℃以下に冷却する。次いで、析出した結晶を濾過、純水で洗浄した後、更にエタノールで追加洗浄をする。得られた結晶は、100℃で乾燥する事により、71.1gの淡黄色粉末状の結晶を得た。(収率:97.2%)
得られた結晶の分析結果は下記の如くであった。
Au:68.3%(計算値:68.4%)、S:11.0%(計算値:11.1%)
Au:100g/lの亜硫酸金カリウム溶液(小島化学薬品株式会社製)500ml(Au:50.0g)に純水500mlを添加・攪拌して希釈する。この時のpHは10.5であった。この溶液を攪拌しながら40℃に加温して維持する。そこに、メルカプト酢酸24.6gを純水で希釈して200mlにした溶液を添加する。
添加直後、直ぐに結晶が生じるが、反応を完全に終了させる為、添加終了後、そのまま40℃に維持して10分間、攪拌を継続して反応を促進する。
反応終了後、反応系を30℃以下に冷却する。次いで、析出した結晶を濾過、純水で洗浄した後、更にエタノールで追加洗浄をする。得られた結晶は、100℃で乾燥する事により、71.3の淡黄色粉末状の結晶を得た。(収率:97.5%)
得られた結晶の分析結果は下記の如くであった。
Au:68.3%(計算値:68.4%)、S:11.1%(計算値:11.1%)
(比較例17)
塩化金酸四水和物(小島化学薬品株式会社製)200.0gを高真空中の条件下で100℃に加熱し、完全に水分を除去する。次いで、間接加熱にて160℃〜180℃を保ちながら結晶化するまで分解を促進して反応を進める。反応終了後、冷却して淡黄色結晶の塩化第一金89.1gを得た。
得られた塩化第一金59.0g(Au:50.0g)に純水500mlを添加・攪拌して希釈する。この溶液を攪拌しながら40℃に加温して維持する。そこに、メルカプト酢酸24.6gを純水で希釈して200mlにした溶液を添加する。
反応系を40℃に保ったまま攪拌を維持して反応を促進したが、添加して暫くすると、塩化第一金が不均化反応を起こして分解してしまい、目的物質を得る事が出来なかった。
(比較例18)
KAu(CN)(シアン化第一金カリウム)(小島化学薬品株式会社製)73.1g(Au:50.0g)に純水500mlを添加・攪拌して希釈する。この溶液を攪拌しながら40℃に加温して維持する。そこに、メルカプト酢酸24.6gを純水で希釈して200mlにした溶液を添加する。
反応系を40℃に保ったまま攪拌を維持して反応を促進したが、反応が進行せず、目的物質を得る事が出来なかった。
(比較例19)
比較例18のKAu(CN)(シアン化第一金カリウム)をKAu(CN)(シアン化第二金カリウム)に代えて同様の実験を実施したが、比較例18と同様、目的物質を得る事が出来なかった。
(比較例20)
比較例18のKAu(CN)(シアン化第一金カリウム)及び比較例19のKAu(CN)(シアン化第二金カリウム)を塩化金酸四水和物(小島化学薬品株式会社製)に代えて同様の実験を実施したが、比較例18及び比較例19と同様、目的物質を得る事が出来なかった。
Au:100g/lの亜硫酸金ナトリウム溶液(小島化学薬品株式会社製)500ml(Au:50.0g)に純水500mlを添加・攪拌して希釈する。この時のpHは10.6であった。この溶液を攪拌しながら40℃に加温して維持する。そこに、3−メルカプトプロピオン酸28.3gを純水で希釈して200mlにした溶液を添加する。
添加直後、直ぐに結晶が生じるが、反応を完全に終了させる為、添加終了後、そのまま40℃に維持して10分間、攪拌を継続して反応を促進する。
反応終了後、反応系を30℃以下に冷却する。次いで、析出した結晶を濾過、純水で洗浄した後、更にエタノールで追加洗浄をする。得られた結晶は、100℃で乾燥する事により、75.5gの淡黄色粉末状の結晶を得た。(収率:98.4%)
得られた結晶の分析結果は下記の如くであった。
Au:65.2%(計算値:65.2%)、S:10.5%(計算値:10.6%)
Au:100g/lの亜硫酸金アンモニウム溶液(小島化学薬品株式会社製)500ml(Au:50.0g)に純水500mlを添加・攪拌して希釈する。この時のpHは10.4であった。この溶液を攪拌しながら40℃に加温して維持する。そこに、3−メルカプトプロピオン酸28.3gを純水で希釈して200mlにした溶液を添加する。
添加直後、直ぐに結晶が生じるが、反応を完全に終了させる為、添加終了後、そのまま40℃に維持して10分間、攪拌を継続して反応を促進する。
反応終了後、反応系を30℃以下に冷却する。次いで、析出した結晶を濾過、純水で洗浄した後、更にエタノールで追加洗浄をする。得られた結晶は、100℃で乾燥する事により、73.2gの淡黄色粉末状の結晶を得た。(収率:95.4%)
得られた結晶の分析結果は下記の如くであった。
Au:65.1%(計算値:65.2%)、S:10.5%(計算値:10.6%)
Au:100g/lの亜硫酸金カリウム溶液(小島化学薬品株式会社製)500ml(Au:50.0g)に純水500mlを添加・攪拌して希釈する。この時のpHは10.4であった。この溶液を攪拌しながら40℃に加温して維持する。そこに、3−メルカプトプロピオン酸28.3gを純水で希釈して200mlにした溶液を添加する。
添加直後、直ぐに結晶が生じるが、反応を完全に終了させる為、添加終了後、そのまま40℃に維持して10分間、攪拌を継続して反応を促進する。
反応終了後、反応系を30℃以下に冷却する。次いで、析出した結晶を濾過、純水で洗浄した後、更にエタノールで追加洗浄をする。得られた結晶は、100℃で乾燥する事により、74.8gの淡黄色粉末状の結晶を得た。(収率:97.5%)
得られた結晶の分析結果は下記の如くであった。
Au:65.1%(計算値:65.2%)、S:10.6%(計算値:10.6%)
(比較例21)
塩化金酸四水和物(小島化学薬品株式会社製)200.0gを高真空中の条件下で100℃に加熱し、完全に水分を除去する。次いで、間接加熱にて160℃〜180℃を保ちながら結晶化するまで分解を促進して反応を進める。反応終了後、冷却して淡黄色結晶の塩化第一金91.1gを得た。
得られた塩化第一金59.0g(Au:50.0g)に純水500mlを添加・攪拌して希釈する。この溶液を攪拌しながら40℃に加温して維持する。そこに、3−メルカプトプロピオン酸28.3gを純水で希釈して200mlにした溶液を添加する。
反応系を40℃に保ったまま攪拌を維持して反応を促進したが、添加して暫くすると、塩化第一金が不均化反応を起こして分解してしまい、目的物質を得る事が出来なかった。
(比較例22)
KAu(CN)(シアン化第一金カリウム)(小島化学薬品株式会社製)73.1g(Au:50.0g)に純水500mlを添加・攪拌して希釈する。この溶液を攪拌しながら40℃に加温して維持する。そこに、3−メルカプトプロピオン酸28.3gを純水で希釈して200mlにした溶液を添加する。
反応系を40℃に保ったまま攪拌を維持して反応を促進したが、反応が進行せず、目的物質を得る事が出来なかった。
(比較例23)
比較例22のKAu(CN)(シアン化第一金カリウム)をKAu(CN)(シアン化第二金カリウム)に代えて同様の実験を実施したが、比較例22と同様、目的物質を得る事が出来なかった。
(比較例24)
比較例22のKAu(CN)(シアン化第一金カリウム)及び比較例23のKAu(CN)(シアン化第二金カリウム)を塩化金酸四水和物(小島化学薬品株式会社製)に代えて同様の実験を実施したが、比較例22及び比較例23と同様、目的物質を得る事が出来なかった。
比較例1から比較例24では、目的物質である金化合物を得る事が出来ない。これは、本発明で原料として使用している亜硫酸金ナトリウム溶液、亜硫酸金カリウム溶液、亜硫酸金アンモニウム溶液から選ばれる一種又は二種以上である金塩の溶液以外の金塩で合成をした場合、反応せず原料が残ってしまったり、分解が生じてしまったり、副生成物(別の化合物)が生じたり、原料の金塩が還元したりする為である。今回原料に選んだ、亜硫酸金ナトリウム溶液、亜硫酸金カリウム溶液、亜硫酸金アンモニウム溶液から選ばれる一種又は二種以上である金塩の溶液のように、1価の金塩であり、配位子が交換し易く、かつ、水溶性の化合物でなければ、目的物質である金化合物を合成する事が叶わない。
なお、本発明の製造条件より高温、または、長時間、若しくは、その両方の製造条件で合成した場合、原料の1つであるチオール基を持つ有機化合物2分子が反応してジスルフィドを形成する際に放出する電子により、原料となる金塩が還元されてしまう。つまり、原料の1つであるチオール基を持つ有機化合物が還元剤として作用してしまう為、目的物質である金化合物を合成する事が出来ない。





















すなわち、本発明は、以下の内容をその発明の要旨とするものである。
(1)亜硫酸金ナトリウム溶液、亜硫酸金カリウム溶液及び亜硫酸金アンモニウム溶液から選ばれる一種又は二種以上である金塩の溶液と、チオール基を有する有機化合物を水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及び水酸化カルシウムから選ばれる一種又は二種以上を溶解した水溶液とを混合した混合溶液をpH7.0〜14.0に調整し、0℃〜100℃の温度で反応させることを特徴とする金イオンにチオール基を有する有機化合物が結合した下記一般式(1)で表される金化合物の新規製造方法。
一般式(1)
(1)

(式中、Rは、1価のアルキル基、アリール基、アルケニル基、シリル基、アルキニル基および、1価の炭化水素環系または、複素環系の芳香族有機基を示し、環上の水素原子の一部が反応に関与しない基で置換されていてもよい。)
(2)チオール基を持つ有機化合物が下記一般式(2)で表される化合物である請求項1に記載の金化合物の新規製造方法。
一般式(2)
(2)

(式中、Rは、1価のアルキル基、アリール基、アルケニル基、シリル基、アルキニル基および、1価の炭化水素環系または、複素環系の芳香族有機基を示し、環上の水素原子の一部が反応に関与しない基で置換されていてもよい。)

Claims (2)

  1. 亜硫酸金ナトリウム溶液、亜硫酸金カリウム溶液及び亜硫酸金アンモニウム溶液から選ばれる一種又は二種以上である金塩の溶液と、チオール基を有する有機化合物を水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及び水酸化カルシウムから選ばれる一種又は二種以上を溶解した水溶液とを混合し、この混合溶液をpH7.0〜14.0に調整し、0℃〜100℃の温度で反応させることを特徴とする金イオンにチオール基を有する有機化合物が配位した下記一般式(1)で表される金化合物の新規製造方法。
    一般式(1)
    (1)

    (式中、Rは、1価のアルキル基、アリール基、アルケニル基、シリル基、アルキニル基および、1価の炭化水素環系または、複素環系の芳香族有機基を示し、環上の水素原子の一部が反応に関与しない基で置換されていてもよい。)
  2. チオール基を有する有機化合物が下記一般式(2)で表される化合物である請求項1に記載の金化合物の新規製造方法。
    一般式(2)
    (2)

    (式中、Rは、1価のアルキル基、アリール基、アルケニル基、シリル基、アルキニル基および、1価の炭化水素環系または、複素環系の芳香族有機基を示し、環上の水素原子の一部が反応に関与しない基で置換されていてもよい。)





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