JP6037516B2 - ノンシアン金化合物の新規製造方法 - Google Patents
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Description
これらシアン化金塩の中でも溶解度の関係で金めっき液用としては、シアン化第一金カリウムが多用されている。
なお、本発明で使用している金塩の溶液以外の金塩で合成をした場合、反応せず原料が残ってしまったり、別の化合物が生じたりする為、合成が出来ない。今回原料に選んだ、亜硫酸金ナトリウム溶液、亜硫酸金カリウム溶液、亜硫酸金アンモニウム溶液から選ばれる一種又は二種以上である金塩の溶液のように、1価の金塩であり、配位子が交換し易く、かつ、水溶性の化合物でなければ、目的物質であるノンシアン金化合物を合成する事が叶わない。
(1)亜硫酸金ナトリウム溶液、亜硫酸金カリウム溶液、亜硫酸金アンモニウム溶液から選ばれる一種又は二種以上である金塩の溶液と、2−メルカプトベンゾチアゾール類を水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウムから選ばれる一種又は二種以上の水溶液に溶かした溶液の混合溶液をpH7.0〜14.0かつ、温度が0℃〜100℃で反応させることを特徴とする金イオンに2−メルカプトベンゾチアゾール類が配位した下記一般式(1)で表されるノンシアン金化合物の新規製造方法。
一般式(1)
(式中、R1〜R4は、水素原子、ハロゲン原子、−(CH2)nCH3/(n=0〜6)、−O−(CH2)nCH3/(n=0〜6)、−NO2である。)
(2)2−メルカプトベンゾチアゾール類が下記一般式(2)で表される化合物である請求項1に記載のノンシアン金化合物の新規製造方法。
一般式(2)
(式中、R1〜R4は、水素原子、ハロゲン原子、−(CH2)nCH3/(n=0〜6)、−O−(CH2)nCH3/(n=0〜6)、−NO2である。)
本発明では、金塩溶液として亜硫酸金ナトリウム溶液、亜硫酸金カリウム溶液及び亜硫酸金アンモニウム溶液から選ばれる一種又は二種以上を使用し、この金塩の溶液を純水で希釈して攪拌する。この時、pHは7.0〜14.0の間におさまっている。この溶液を攪拌しながら0℃〜100℃好ましくは30℃〜50℃に加温して維持する。そこに、2−メルカプトベンゾチアゾール類を水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウムから選ばれる一種又は二種以上の水溶液に溶かした溶液を添加する。
上記の2−メルカプトベンゾチアゾール類としては、例えば、2−メルカプトベンゾチアゾール、4−メチル−2−メルカプトベンゾチアゾール、5−メチル−2−メルカプトベンゾチアゾール、6−メチル−2−メルカプトベンゾチアゾール、7−メチル−2−メルカプトベンゾチアゾール、5−クロロ−2−メルカプトベンゾチアゾール、5−ブロモ−2−メルカプトベンゾチアゾール、5−メトキシ−2−メルカプトベンゾチアゾール、5−エトキシ−2−メルカプトベンゾチアゾール、5−ニトロ−2−メルカプトベンゾチアゾール等が挙げられる。
反応系を攪拌しながら0℃〜100℃好ましくは30℃〜50℃に維持して1〜15分間、反応を促進する。
結晶が析出したら反応系を30℃以下に冷却し、濾別して析出した結晶を得る。得られた結晶を120℃以下で乾燥してノンシアン金化合物の結晶を得る。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
添加直後、直ぐに結晶が生じるが、反応を完全に終了させる為、添加終了後、そのまま40℃に維持して10分間、攪拌を継続して反応を促進する。
反応終了後、反応系を30℃以下に冷却する。次いで、析出した結晶を濾過、純水で洗浄した後、更にエタノールで追加洗浄をする。得られた結晶は、100℃で乾燥する事により、91.1gの白色粉末状の結晶を得た。(収率:98.8%)
得られた結晶の分析結果は下記の如くであった。
Au:54.2%(計算値:54.23%)、C:23.0%(計算値:23.15%)、N:3.9%(計算値:3.86%)、S:17.5%(計算値:17.66%)
添加直後、直ぐに結晶が生じるが、反応を完全に終了させる為、添加終了後、そのまま40℃に維持して10分間、攪拌を継続して反応を促進する。
反応終了後、反応系を30℃以下に冷却する。次いで、析出した結晶を濾過、純水で洗浄した後、更にエタノールで追加洗浄をする。得られた結晶は、100℃で乾燥する事により、90.5gの白色粉末状の結晶を得た。(収率:98.2%)
得られた結晶の分析結果は下記の如くであった。
Au:54.1%(計算値:54.23%)、C:23.1%(計算値:23.15%)、N:3.8%(計算値:3.86%)、S:17.5%(計算値:17.66%)
添加直後、直ぐに結晶が生じるが、反応を完全に終了させる為、添加終了後、そのまま40℃に維持して10分間、攪拌を継続して反応を促進する。
反応終了後、反応系を30℃以下に冷却する。次いで、析出した結晶を濾過、純水で洗浄した後、更にエタノールで追加洗浄をする。得られた結晶は、100℃で乾燥する事により、88.9gの白色粉末状の結晶を得た。(収率:96.4%)
得られた結晶の分析結果は下記の如くであった。
Au:54.1%(計算値:54.23%)、C:23.1%(計算値:23.15%)、N:3.8%(計算値:3.86%)、S:17.5%(計算値:17.66%)
(比較例1)
得られた塩化第一金59.0g(Au:50.0g)に純水500mlを添加・攪拌して希釈する。この溶液を攪拌しながら40℃に加温して維持する。そこに、2−メルカプトベンゾチアゾール44.6gを10%水酸化ナトリウム溶液200mlに溶解した溶液を添加する。
反応系を40℃に保ったまま攪拌を維持して反応を促進したが、添加して暫くすると、塩化第一金が不均化反応を起こして分解してしまい、目的物質を得る事が出来なかった。
(比較例2)
反応系を40℃に保ったまま攪拌を維持して反応を促進したが、反応が進行せず、目的物質を得る事が出来なかった。
(比較例3)
(比較例4)
なお、本発明の製造条件より高温、または、長時間、若しくは、その両方の製造条件で合成した場合、原料の1つである2−メルカプトベンゾチアゾール類2分子が反応してジスルフィドを形成する際に放出する電子により、原料となる金塩が還元されてしまう。つまり、原料の1つである2−メルカプトベンゾチアゾール類が還元剤として作用してしまう為、目的物質であるノンシアン金化合物を合成する事が出来ない。
また、金水溶液中のフリ−シアン濃度を測定した結果、実施例1、実施例2及び実施例3のノンシアン金化合物を用いた場合、定量下限値(0.1ppm)以下のフリ−シアン濃度であった。KAu(CN)2(シアン化第一金カリウム)を使用した場合、フリ−シアン濃度値は0.3ppmであった。本発明のノンシアン金化合物を使用した場合、シアンを全く含まないことを確認した。
Claims (2)
- 亜硫酸金ナトリウム溶液、亜硫酸金カリウム溶液及び亜硫酸金アンモニウム溶液から選ばれる一種又は二種以上である金塩の溶液と、2−メルカプトベンゾチアゾール類を水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及び水酸化カルシウムから選ばれる一種又は二種以上を含有する水溶液に溶かした溶液の混合溶液をpH7.0〜14.0かつ、温度が0℃〜100℃で反応させることを特徴とする金イオンに2−メルカプトベンゾチアゾール類が配位した下記一般式(1)で表されるノンシアン金化合物の新規製造方法。
一般式(1)
(式中、R1〜R4は、水素原子、ハロゲン原子、−(CH2)nCH3/(n=0〜6)、−O−(CH2)nCH3/(n=0〜6)、−NO2である。) - 2−メルカプトベンゾチアゾール類が下記一般式(2)で表される化合物である請求項1に記載のノンシアン金化合物の新規製造方法。
一般式(2)
(式中、R1〜R4は、水素原子、ハロゲン原子、−(CH2)nCH3/(n=0〜6)、−O−(CH2)nCH3/(n=0〜6)、−NO2である。)
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