以下図面を用いて、発明を実施するための最良の形態(以下、これを実施の形態とも呼ぶ)について説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
(1)第1の実施の形態
(2)第2の実施の形態
(3)他の実施の形態
(1)第1の実施の形態
(1−1)カラープリンタの内部構成
図1において、1は全体として本発明による一次転写方式のカラープリンタを示す。係るカラープリンタ1は、例えば、図中の右端面が正面2Aとなる略四角箱型のプリンタ筐体2を有している。因みに、以下の説明では、カラープリンタ1を、プリンタ筐体2の正面2Aと対峙して見た場合の図中に矢印a1で示す当該カラープリンタ1の上の方向を、プリンタ上方向とも呼び、そのプリンタ上方向とは逆の方向を、プリンタ下方向とも呼び、これらを特に区別する必要がない場合は、まとめてプリンタ上下方向とも呼ぶ。また、以下の説明では、カラープリンタ1を、プリンタ筐体2の正面2Aと対峙して見た場合の図中に矢印b1で示す当該カラープリンタ1の前の方向を、プリンタ前方向とも呼び、そのプリンタ前方向とは逆の方向を、プリンタ後方向とも呼び、これらを特に区別する必要がない場合は、まとめてプリンタ前後方向とも呼ぶ。さらに、以下の説明では、カラープリンタ1を、プリンタ筐体2の正面2Aと対峙して見た場合の図中に矢印c1で示す当該カラープリンタ1の左の方向を、プリンタ左方向とも呼び、そのプリンタ左方向とは逆の方向を、プリンタ右方向とも呼び、これらを特に区別する必要がない場合は、まとめてプリンタ左右方向とも呼ぶ。
そしてプリンタ1は、印刷画像の形成に用いられる記録紙やフィルム等の媒体(以下、これを印刷媒体とも呼ぶ)5の表面に当該印刷画像を形成するものであり、プリンタ筐体2の上面2Bにおいて前端部に、種々の情報が表示可能な表示部4が配置されると共に、後端部に、印刷画像が形成された長方形の印刷媒体5を受け渡す媒体受渡部2BXと、プリンタ筐体2内から当該印刷媒体5を媒体受渡部2BXへ排出する媒体排出口2BYとが形成されている。またプリンタ筐体2内には、中央部に、印刷媒体5の表面に印刷画像を形成するための画像形成部7が配置されると共に、複数の印刷媒体5が装填される媒体カセット8と、当該媒体カセット8から印刷媒体5を1枚ずつ繰り出す繰出ローラ9とが配置されている。画像形成部7は、4個の第1乃至第4画像形成ユニット10乃至13と、転写ユニット14と、定着ユニット15とを有している。第1乃至第4画像形成ユニット10乃至13は、ブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の4色の現像剤としてのトナーを互いに重複しないように1色分用いて、印刷画像の元になる現像剤画像としてのトナー画像を形成するものであり、例えば、プリンタ後方向に沿ってブラック、イエロー、マゼンタ、シアンに対応するものの順で並べて配置されている。因みに、第1乃至第4画像形成ユニット10乃至13は、それぞれ図中に矢印d1で示す一回転方向へ回転可能に設けられた第1乃至第4感光ドラム20乃至23の表面に、第1乃至第4帯電ローラ24乃至27を介して帯電させたうえで第1乃至第4LED(Light Emitting Diode)ヘッド28乃至31により露光して静電潜像を形成し、その静電潜像を、現像ローラ及び給電ローラを有する第1乃至第4現像部32乃至35により、対応する単色のトナーによって現像してトナー画像を形成するように、同様に構成されている。なお第1乃至第4画像形成ユニット10乃至13は、それぞれ第1乃至第4感光ドラム20乃至23のシャフトが、後述するドラムモータの出力軸に複数のギヤを介して連結されると共に、第1乃至第4現像部32乃至35の現像ローラのシャフト及び給電ローラのシャフトにも複数のギヤを介して順に連結されている。転写ユニット14は、印刷媒体5の表面に第1乃至第4画像形成ユニット10乃至13の表面のトナー画像を転写するものであり、一回転方向とは逆の他回転方向へ回転可能に設けられたベルト駆動ローラ36及び従動ローラ37に無端状の転写ベルト38が張架され、他回転方向へ回転可能に設けられた4個の第1乃至第4転写ローラ39乃至42の表面を、転写ベルト38を介して4個の第1乃至第4感光ドラム20乃至23に押し付けている。因みに、転写ユニット14は、ベルト駆動ローラ36のシャフトが、後述するベルトモータの出力軸に複数のギヤを介して連結されている。定着ユニット15は、印刷媒体5の表面にトナー画像を加熱及び加圧して印刷画像として定着させるものであり、例えば、一回転方向へ回転可能に設けられた中空パイプ状の加熱ローラ43内に、後述する4種類の第1乃至第4ヒータ(図1には図示せず)が互いに、かつ加熱ローラ43の内面に非接触の状態で挿通されると共に、他回転方向へ回転可能に設けられた加圧ローラ44が表面を加熱ローラ43の表面に押し付けている。因みに、定着ユニット15は、加熱ローラ43のシャフトが、後述する定着モータの出力軸に複数のギヤを介して連結されると共に、加圧ローラ44のシャフトにも複数のギヤを介して順に連結されている。なお、定着ユニット15は、加熱ローラ43のシャフトを定着モータの出力軸にのみ複数のギヤ介して連結し、加圧ローラ44を、当該加熱ローラ43の一回転方向への回転に連れ回すようにして他回転方向へ回転させるように構成することもできる。
媒体カセット8は、例えば、A1サイズ、A2サイズ、A3サイズ及びA4サイズの4種類の複数の印刷媒体5を、サイズ毎に媒体長手方向(すなわち、長方形の印刷媒体5の一対の長辺)をプリンタ前後方向と平行にして先端及び左端を、当該媒体カセット8の前内壁及び左内壁に当接させて揃えた状態で装填可能なように形成されている。なお、以下の説明では、4種類の第1乃至第4ヒータを特に区別する必要がない場合、これらを何れも単にヒータとも呼び、A1サイズ、A2サイズ、A3サイズ及びA4サイズの4種類の印刷媒体5も特に区別する必要がない場合、単に印刷媒体5とも呼ぶ。因みに、プリンタ筐体2内には、前下端部に、媒体カセット8から繰り出される印刷媒体5を画像形成部7へ搬送するための媒体供給用搬送路を形成する媒体供給用搬送部45が配置されると共に、後上端部に、定着ユニット15から繰り出される印刷媒体5を媒体排出口2BYへ搬送するための媒体排出用搬送路を形成する媒体排出用搬送部46が配置されている。なお、媒体供給用搬送部45は、媒体供給用搬送路の途中に、印刷媒体5の媒体搬送方向に位置する先端をプリンタ左右方向と平行にして搬送姿勢を矯正しつつ、第1乃至第4画像形成ユニット10乃至13によるトナー画像の形成開始のタイミングを制御するための一対のレジストローラ47が配置されている。またプリンタ筐体2内には、媒体供給用搬送部45と画像形成部7との間に、当該媒体供給用搬送部45から画像形成部7へ搬送される印刷媒体5の通過の有無を、接触又は非接触で検出する媒体検出センサ48が配置されている。ところで、カラープリンタ1は、後述するように印刷画像の形成時、媒体カセット8から繰り出す印刷媒体5を、媒体供給用搬送路、画像形成部7及び媒体排出用搬送路を順次介して媒体排出口2BYへ搬送する。ただし、カラープリンタ1では、媒体カセット8に対し何れのサイズの印刷媒体5も、左端(すなわち、長方形の印刷媒体5の一方の長辺)を当該媒体カセット8の左壁面に当接させて揃える左寄せの状態で装填させており、印刷画像の形成時には媒体カセット8から、その印刷媒体5を左寄せの状態で繰り出している。このためカラープリンタ1では、媒体カセット8から何れのサイズの印刷媒体5を繰り出した場合でも、媒体供給用搬送路、画像形成部7及び媒体排出用搬送路により、当該印刷媒体5を左寄せの状態で左端が搬送方向に沿ったほぼ同一の搬送軌跡を辿るように搬送している。
(1−2)カラープリンタの回路構成
次いで、カラープリンタ1の回路構成について説明する。図2に示すように、カラープリンタ1は、例えば、マイクロプロセッサ構成のプリンタ制御部50、外部の図示しないホストコンピュータと通信するためのホストインタフェース部51、そのホストコンピュータから送信された制御コマンドや印刷データを、ホストインタフェース部51を介して取り込んで所定の処理を施すコマンド/画像処理部52等を有している。そしてプリンタ制御部50は、例えば、内部のメモリに予め記憶された基本プログラムや、画像形成処理プログラムのようなアプリケーションプログラム等の各種プログラムに従って、印刷媒体5に対する画像形成用にカラープリンタ1全体を制御すると共に、所定の演算処理や表示部4に種々の情報を表示する表示処理等の各種処理を実行する。これによりプリンタ制御部50は、ホストコンピュータから例えば、印刷画像の形成を指示する画像形成指示コマンドと、印刷画像を形成すべき印刷媒体5のサイズ(すなわち、このとき媒体カセット8に装填されている印刷媒体5のサイズでもある)を指示するサイズ指示コマンドと、PDL(Page Description Language)のようなページ記述言語で記述された印刷対象のカラー画像を示す印刷データとが送信されると、これらをホストインタフェース部51で受信してコマンド/画像処理部52に取り込む。そしてプリンタ制御部50は、コマンド/画像処理部52から印刷指示コマンド及びサイズ指示コマンドが与えられると、これに応じて印刷媒体5の表面に印刷画像を形成するための印刷画像形成処理を実行する。この際、プリンタ制御部50は、定着モータ53を動作させて、定着ユニット15において加熱ローラ43を一回転方向へ回転させると共に、その回転に連動させて加圧ローラ44を他回転方向へ回転させる。またプリンタ制御部50は、定着ユニット15の上述したヒータ(すなわち、第1乃至第4ヒータ)のうち、サイズ指示コマンドが示す印刷媒体5のサイズに対応するヒータを制御対象とする。そしてプリンタ制御部50は、定着ユニット15に設けられた、ヒータ(すなわち、第1乃至第4ヒータ)、及び温度センサとしてのサーミスタ54からなるヒータユニット55の当該サーミスタ54により加熱ローラ43の表面温度を検出し、その検出結果に応じて低圧電源56を制御する。これによりプリンタ制御部50は、低圧電源56により制御対象のヒータを発熱させるための交流電圧(以下、これをヒータ用交流電圧とも呼ぶ)を生成すると共に、当該生成したヒータ用交流電圧をヒータユニット55の当該制御対象のヒータに印加する。このようにしてプリンタ制御部50は、定着ユニット15において、制御対象のヒータを発熱させて加熱ローラ43を加熱し、当該加熱ローラ43の表面温度を所望の温度にする。
この状態でプリンタ制御部50は、ドラムモータ57を動作させて、第1乃至第4画像形成ユニット10乃至13において第1乃至第4感光ドラム20乃至23を一回転方向へ回転させると共に、その回転に連動させて第1乃至第4現像部32乃至35の現像ローラ及び給電ローラを他回転方向へ回転させる。因みに、第1乃至第4画像形成ユニット10乃至13は、この際、第1乃至第4帯電ローラ24乃至27を、第1乃至第4感光ドラム20乃至23の一回転方向への回転による連れ回りで他回転方向へ回転させる。またプリンタ制御部50は、ベルトモータ58を動作させて、転写ユニット14においてベルト駆動ローラ36を他回転方向へ回転させると共に、これに応じて従動ローラ37と共に転写ベルト38も他回転方向へ回転させる。さらにプリンタ制御部50は、高電圧発生部59によりプラスやマイナスの種々の高電圧を発生させて、対応する第1乃至第4帯電ローラ24乃至27、第1乃至第4現像部32乃至35(すなわち、第1乃至第4現像部32乃至35各々が有する現像ローラ及び給電ローラ)、第1乃至第4転写ローラ39乃至42に印加する。これによりプリンタ制御部50は、第1乃至第4画像形成ユニット10乃至13において第1乃至第4帯電ローラ24乃至27により第1乃至第4感光ドラム20乃至23の表面を所定電位に帯電させると共に、第1乃至第4現像部32乃至35の供給ローラにより現像ローラの表面にトナーを供給して担持させる。そのうえでプリンタ制御部50は、図示しない搬送モータを動作させて、媒体供給用搬送部45及び媒体排出用搬送部46の複数の搬送ローラを一回転方向や他回転方向へ回転させると共に、繰出モータ60を動作させて繰出ローラ9を他回転方向へ回転させることで、その繰出ローラ9により媒体カセット8から印刷媒体5を1枚ずつ繰り出して媒体供給用搬送路を介して画像形成部7へ搬送する。因みに、プリンタ制御部50は、この際、例えば一対のレジストローラ47の回転を停止させて印刷媒体5の先端を突き当てることで搬送姿勢を矯正した後、レジストモータ61を動作させて当該一対のレジストローラ47を互いに逆向きの一回転方向及び他回転方向へ回転させて印刷媒体5を再び画像形成部7へ搬送する。この際、プリンタ制御部50は、コマンド/画像処理部52により印刷データを、印刷対象のカラー画像のブラック、イエロー、マゼンタ及びシアン毎の色成分を表す第1乃至第4ビットマップデータに変換してLEDヘッドインタフェース部62に送出している。そしてプリンタ制御部50は、一対のレジストローラ47により印刷媒体5を再び搬送し始めたタイミングでLEDヘッドインタフェース部62からブラックに対応する第1ビットマップデータを第1LEDヘッド28に送出し始めた後、イエロー、マゼンタ、シアンに対応する第2乃至第4ビットマップデータも順に所定のタイミングで第2乃至第4LEDヘッド29乃至31に送出し始めて、これら第1乃至第4ビットマップデータに基づいて第1乃至第4LEDヘッド28乃至31を順に第1乃至第4感光ドラム20乃至23の表面の露光用にオンオフ制御する。これによりプリンタ制御部50は、第1乃至第4画像形成ユニット10乃至13に対しトナー画像の形成を順次開始させ、上述したように第1乃至第4感光ドラム20乃至23の表面にトナー画像を形成する。またプリンタ制御部50は、媒体供給用搬送路を介して搬送した印刷媒体5を第1乃至第4感光ドラム20乃至23と転写ベルト38との間に挟み込むようにして搬送しながら、これら第1乃至第4感光ドラム20乃至23の表面のトナー画像を第1乃至第4転写ローラ39乃至42により印刷媒体5の表面に順に重ねるように転写する。さらにプリンタ制御部50は、引き続き定着ユニット15において加熱ローラ43及び加圧ローラ44により印刷媒体5を挟み込むようにして搬送しながら加熱及び加圧して当該印刷媒体5の表面にカラーの印刷画像を形成した後、その印刷媒体5を、媒体排出用搬送路を介して媒体排出口2BYまで搬送して媒体受渡部2BXへ排出する。このようにしてプリンタ制御部50は、種々のサイズの印刷媒体5の表面にカラーの印刷画像を形成することができる。
ところで、図3に示すように、低圧電源56は、例えば、電源電圧値が100[V]、及び200[V]の2種類の商用交流電源70の何れも接続可能であり、任意に選定された一方の商用交流電源70が接続されている。そして低圧電源56は、商用交流電源70から供給される電源電圧値が100[V]又は200[V]の交流電圧(以下、これらを商用交流電圧とも呼ぶ)を第1及び第2力率改善回路71及び72に取り込む。第2力率改善回路72は、商用交流電圧を、電圧値が例えば、390[V]の直流電圧に変換してDC−DCコンバータ73に供給する。因みに、第2力率改善回路72の最大消費電力は、例えば、400[W]である。DC−DCコンバータ73は、第2力率改善回路72から与えられた直流電圧をスイッチングして、1次側及び2次側が絶縁されたトランスにより例えば、電圧値が24[V]の直流電圧を生成する。またDC−DCコンバータ73は、第2力率改善回路72から与えられた直流電圧を同様にスイッチングして、1次側及び2次側が絶縁されたトランスより例えば、電圧値が5[V]の直流電圧も生成する。そしてDC−DCコンバータ73は、例えば、24[V]の直流電圧を動作電圧として、上述した定着モータ53、ドラムモータ57及びベルトモータ58等の駆動系に供給すると共に、第1及び第2力率改善回路71及び72、DC−ACインバータ74にも供給する。またDC−DCコンバータ73は、例えば、5[V]の直流電圧を動作電圧として、プリンタ制御部50のようなロジック系に供給すると共に、第1力率改善回路71及びDC−ACインバータ74にも供給する。因みに、DC−DCコンバータ73から各部に供給された5[V]の直流電圧は、その供給先の各部で適宜、3.3[V]等の直流電圧に変換されて動作に使用されている。一方、第1力率改善回路71は、例えば、1500[W]の入力を95[%]の効率で1425[W]の出力に変換するものであり、商用交流電圧を半波整流してスイッチングすることで直流電圧を生成し、当該生成した直流電圧を390[V]の電圧値に昇圧してDC−ACインバータ74に供給する。DC−ACインバータ74は、4個の交流電圧出力端が設けられたスイッチング部75と、これを制御する例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)構成のスイッチング制御部76とを有し、これら4個の交流電圧出力端がヒータユニット55に設けられた第1乃至第4ヒータ80乃至83に個別に接続されている。
ここで、図4に示すように、第1乃至第4ヒータ80乃至83は、例えば、全長がほぼ等しいハロゲンヒータであり、定着ユニット15にそれぞれヒータ長手方向をプリンタ左右方向と平行にし、左端及び右端の位置を揃えた状態で配置されている。そして第1乃至第4ヒータ80乃至83は、左端部及び右端部に設けられた一対のリード線80A、80B乃至83A、83BがそれぞれDC−ACインバータ74の対応する交流電圧出力端に電気的に接続されている。第1ヒータ80は、例えば、A1サイズの印刷媒体5を印刷画像の形成用に加熱するためのものであり、そのA1サイズの印刷媒体5の搬送時の横幅(すなわち、長方形の印刷媒体5の短辺の長さ)に対応する所定の発熱長HL1の発熱部であるフィラメント80Cが一端部から他端部に亘って設けられ、実効値が100[V]のヒータ用交流電圧が印加された場合に1400[W]の電力で発熱するように形成されている。また第2ヒータ81は、例えば、A2サイズの印刷媒体5を印刷画像の形成用に加熱するためのものであり、そのA2サイズの印刷媒体5の搬送時の横幅に対応する所定の発熱長HL2の発熱部であるフィラメント81Cが左端寄りに設けられ、実効値が100[V]のヒータ用交流電圧が印加された場合に1000[W]の電力で発熱するように形成されている。さらに第3ヒータ82は、例えば、A3サイズの印刷媒体5を印刷画像の形成用に加熱するためのものであり、そのA3サイズの印刷媒体5の搬送時の横幅に対応する所定の発熱長HL3の発熱部であるフィラメント82Cが左端寄りに設けられ、実効値が100[V]のヒータ用交流電圧が印加された場合に700[W]の電力で発熱するように形成されている。さらにまた第4ヒータ83は、例えば、A4サイズの印刷媒体5を印刷画像の形成用に加熱するためのものであり、そのA4サイズの印刷媒体5の搬送時の横幅に対応する所定の発熱長HL4の発熱部であるフィラメント83Cが左端寄りに設けられ、実効値が100[V]のヒータ用交流電圧が印加された場合に500[W]の電力で発熱するように形成されている。そしてDC−ACインバータ74では、第1力率改善回路71から390[V]の直流電圧がスイッチング部75に供給され、スイッチング制御部76がプリンタ制御部50の制御のもとスイッチング部75において直流電圧のスイッチング動作を制御することで、制御対象のヒータに印加すべき所定の実効値のヒータ用交流電圧を生成すると共に、当該生成したヒータ用交流電圧を制御対象のヒータ(すなわち、このとき印刷媒体5の加熱に用いる第1乃至第4ヒータ80乃至83の何れか1個)に印加する。これによりDC−ACインバータ74は、制御対象のヒータを発熱させて加熱ローラ43を表面温度が所望の温度となるように加熱することができる。
ここで、図5に示すように、第1力率改善回路71は、DC−DCコンバータ73から動作電圧として供給される24[V]の直流電圧を入力するための動作電圧入力端90が設けられている。また第1力率改善回路71は、その動作電圧入力端90に入力された24[V]の直流電圧によって動作して、当該第1力率改善回路71全体を制御するIC(Integrated Circuit)構成の力率改善回路制御部(以下、これをPFC(Power Factor Correction)制御回路とも呼ぶ)91も設けられている。因みに、PFC制御回路91は、Vcc端子が動作電圧入力端90の+24V端子に接続され、GND端子が当該動作電圧入力端90の0V端子と共に、第1力率改善回路71に設けられた390[V]の直流電圧を出力するための直流電圧出力端92の0V端子に接続されている。また第1力率改善回路71は、商用交流電源70から供給される商用交流電圧がヒューズ93を介してコモンモードチョークコイル94の一対の入力端に印加され、当該コモンモードチョークコイル94の一対の出力端が、整流器であるブリッジダイオード95の一対の交流入力端子に接続されている。またコモンモードチョークコイル94の一対の出力端は、ブリッジダイオード95の半分のダイオードと共に整流器として機能する一対のダイオード96、97を介して、一対の分圧抵抗98、99が直列接続されて形成された第1分圧回路100の一端と、一対の分圧抵抗101、102が直列接続されると共に、当該一方の分圧抵抗102に平滑用のコンデンサ103が並列接続されて形成された第2分圧回路104の一端とに接続されている。さらに第1及び第2分圧回路100及び104各々の他端は、ブリッジダイオード95の一対の出力端子の一方と共に直流電圧出力端92の0V端子に接続されている。そして第1及び第2分圧回路100及び104各々の分圧出力端は、PFC制御回路91の交流電圧入力端子及び開始電圧入力端子に接続されている。また第1力率改善回路71は、例えば、第1及び第2スイッチング回路部110及び111が設けられている。第1スイッチング回路部110は、ゲートドライブ回路112と、昇圧コイル113と、スイッチング素子であるIGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)114と、電圧出力用のダイオード115とを有している。ゲートドライブ回路112は、NPNトランジスタ120及びPNPトランジスタ121各々のベースが抵抗122を介してPFC制御回路91の第1ドライブ信号出力端子に共通接続される共に、これらのエミッタが抵抗123を介してIGBT114のゲートに共通接続され、そのIGBT114のゲート及びエミッタに抵抗124が並列接続されている。またゲートドライブ回路112は、NPNトランジスタ120のコレクタが抵抗125を介して動作電圧入力端90の+24V端子に接続されると共に、PNPトランジスタ121のコレクタがIGBT114のエミッタと共にPFC制御回路91の第1電流検出端子に接続されている。IGBT114は、コレクタが昇圧コイル113を介してブリッジダイオード95の一対の出力端子の他方に接続されると共に、ダイオード115を介して直流電圧出力端92の+390V端子にも接続されている。またIGBT114は、エミッタ及びコレクタにダイオード126が並列接続されると共に、そのエミッタが電流検出抵抗127を介して直流電圧出力端92の0V端子に接続されている。
第2スイッチング回路部111は、NPNトランジスタ130、PNPトランジスタ131、抵抗132、133、134、135からなるゲートドライブ回路136、昇圧コイル137、スイッチング素子であるIGBT138、電圧出力用のダイオード139、ダイオード140及び電流検出抵抗141により第1スイッチング回路部110と同様に形成されている。ただし、第2スイッチング回路部111は、NPNトランジスタ130及びPNPトランジスタ131各々のベースが抵抗132を介してPFC制御回路91の第2ドライブ信号出力端子に共通接続される共に、当該NPNトランジスタ130のコレクタが抵抗135を介して動作電圧入力端90の+24V端子に接続され、PNPトランジスタ131のコレクタがPFC制御回路91の第2電流検出端子に接続されている。また第2スイッチング回路部111は、IGBT138のコレクタが昇圧コイル137を介してブリッジダイオード95の一対の出力端子の他方に接続されると共に、ダイオード139を介して直流電圧出力端92の+390V端子にも接続され、エミッタが電流検出抵抗141を介して直流電圧出力端92の0V端子に接続されている。そして第1力率改善回路71は、直流電圧出力端92の+390V端子及び0V端子間に、平滑部である電解コンデンサ142が並列接続されると共に、一対の分圧抵抗143、144が直列接続されて形成された第3分圧回路145、及び同様に一対の分圧抵抗146、147が直列接続されて形成された第4分圧回路148もそれぞれ並列接続されている。そして第3及び第4分圧回路145及び148は、それぞれ分圧出力端がPFC制御回路91のフィードバック端子及び過電圧検出端子に接続されている。これに加えて第1力率改善回路71は、動作電圧入力端90の+24V端子及び0V端子に正側電源端子及び負側電源端子が接続されて動作するコンパレータ150の非反転入力端子に、第2分圧回路104の分圧出力端が接続されている。また動作電圧入力端90の+24V端子及び0V端子間には、一対の分圧抵抗151、152が直列接続されて形成された第5分圧回路153が並列接続されると共に、その第5分圧回路153の分圧出力端がコンパレータ150の反転入力端子に接続されている。さらにコンパレータ150の出力端子及び正側電源端子にプルアップ抵抗154が並列接続されている。そして第1力率改善回路71には、フォトダイオード160及びフォトトランジスタ161からなるフォトカプラ162が設けられ、当該フォトダイオード160のアノードがコンパレータ150の出力端子に接続される共に、カソードが抵抗163を介してコンパレータ150の負側電源端子に接続されている。またフォトトランジスタ161は、コレクタが例えば、DC−DCコンバータ73から動作電圧として供給される5[V]の直流電圧を入力するための動作電圧入力端子(図示せず)の+5V端子にプルアップ抵抗164を介して接続されると共に、そのコレクタとプルアップ抵抗164との接続中点がプリンタ制御部50に接続され、エミッタが接地されている。
そして第1力率改善回路71は、印刷画像の形成時に商用交流電源70から商用交流電圧が供給され始めると、その商用交流電圧を、コモンモードチョークコイル94を介してブリッジダイオード95に取り込んで半波整流する。この際、第1力率改善回路71は、一対のダイオード96、97と共にブリッジダイオード95の半分でも同様に商用交流電圧を半波整流し、得られた電圧を第1及び第2分圧回路100及び104に印加して分圧することで、第1分圧回路100から分圧電圧をPFC制御回路91の交流電圧入力端子に入力すると共に、第2分圧回路104から分圧電圧を平滑化して当該PFC制御回路91の開始電圧入力端子に入力している。またPFC制御回路91は、第2分圧回路104から平滑化した分圧電圧(以下、これを平滑分圧電圧とも呼ぶ)が与えられると、当該平滑分圧電圧の電圧値を所定の基準電圧の電圧値と比較している。そしてPFC制御回路91は、第1力率改善回路71に商用交流電圧が供給され始めたことで、平滑分圧電圧の電圧値が基準電圧の電圧値よりも大きくなったことを検出すると、これに応じて第1力率改善回路71の各部に対する直流電圧の生成用の制御を開始する。これによりPFC制御回路91は、第1分圧回路100から与えられた分圧電圧に基づき、第1及び第2スイッチング回路部110及び111のスイッチングを制御するための第1及び第2ゲートドライブ信号を生成して、これらを第1及び第2ドライブ信号出力端子から対応する第1及び第2スイッチング回路部110及び111に送出する。因みに、PFC制御回路91は、第1及び第2ゲートドライブ信号により第1及び第2スイッチング回路部110及び111を、力率を極力「1」に近づけた状態でスイッチング動作するように制御している。そして第1及び第2スイッチング回路部110及び111は、PFC制御回路91からゲートドライブ回路112、136に第1及び第2ゲートドライブ信号が与えられると、これらをNPNトランジスタ120及びPNPトランジスタ121とNPNトランジスタ130及びPNPトランジスタ131とによりそれぞれ増幅してIGBT114、138のゲートに供給することで、これらIGBT114、138をオンオフさせる。これにより第1及び第2スイッチング回路部110及び111は、それぞれIGBT114、138のオンオフに応じて、ブリッジダイオード95から半波整流された電圧を昇圧コイル113、137に取り込んで昇圧した後、ダイオード115、139から電解コンデンサ142へ与えて平滑化することにより電圧値が390[V]の直流電圧を生成して直流電圧出力端92からDC−ACインバータ74に出力する。ただし、第1力率改善回路71は、この際、第3分圧回路145により直流電圧を分圧して得られた分圧電圧をフィードバック電圧としてPFC制御回路91に供給すると共に、第4分圧回路148により直流電圧を分圧して得られた分圧電圧を過電圧検出用電圧としてPFC制御回路91に供給している。そしてPFC制御回路91は、そのフィードバック電圧及び過電圧検出用電圧の電圧値に応じて第1及び第2ゲートドライブ信号により、第1及び第2スイッチング回路部110及び111のスイッチング動作(すなわち、IGBT114、138のオンオフ)のデューティ比を変化させている。すなわち、PFC制御回路91は、DC−ACインバータ74の負荷(すなわち、生成するヒータ用交流電圧の実効値)が変化しても、第1及び第2スイッチング回路部110及び111を電圧値が390[V]でほぼ一定の直流電圧を生成するように制御する。このようにしてPFC制御回路91は、第1力率改善回路71に商用交流電源70から商用交流電圧が供給されている間、電圧値を390[V]でほぼ一定にした直流電圧を直流電圧出力端92からDC−ACインバータ74に出力している。因みに、第1力率改善回路71は、商用交流電圧に基づき直流電圧を生成している間、第1及び第2スイッチング回路部110及び111の電流検出抵抗127、141にそれぞれ電流が流れることで生じる検出電圧をPFC制御回路91の対応する第1及び第2電流検出端子に印加している。これによりPFC制御回路91は、これら第1及び第2電流検出端子に印加された検出電圧をそれぞれ所定の閾値と比較し、検出電圧が閾値を超えた場合には、その検出電圧を得た第1スイッチング回路部110又は第2スイッチング回路部111のスイッチング動作を直ちに停止させる等して、IGBT114、138が過電流よって破損することを防止している。
ところで、第1力率改善回路71は、商用交流電源70から商用交流電圧が供給された際、第2分圧回路104から出力された平滑分圧電圧を、PFC制御回路91の開始電圧入力端子に加えて、コンパレータ150の非反転入力端子にも入力している。また第1力率改善回路71は、第5分圧回路153により動作電圧である24[V]の直流電圧を分圧して得られた分圧電圧(以下、これを直流分圧電圧とも呼ぶ)をコンパレータ150の反転入力端に入力している。そして第1力率改善回路71は、コンパレータ150により平滑分圧電圧と直流分圧電圧とを比較し、その比較結果に応じて当該コンパレータ150の出力電圧の電圧値を変化させる。すなわち、第1力率改善回路71は、コンパレータ150の出力電圧の電圧値を、この際、低圧電源56に商用交流電源70から100[V]及び200[V]の何れの商用交流電圧が供給されているのかに応じて(すなわち、この際、カラープリンタ1が接続されている商用交流電源70の種類に応じて)、その商用交流電圧の電源電圧値が100[V]である場合、及び200[V]である場合の一方に対応する論理「L」レベル、又は他方に対応する、プルアップ抵抗154でプルアップした論理「H」レベルに変化させる。これにより第1力率改善回路71は、コンパレータ150の出力電圧の電圧値が論理「L」レベルの場合、フォトカプラ162においてフォトダイオード160を、コンパレータ150からは電流が流れないことで発光させず、これに応じてフォトトランジスタ161をオフさせる。これに対して第1力率改善回路71は、コンパレータ150の出力電圧の電圧値が論理「H」レベルの場合、フォトカプラ162においてフォトダイオード160を、コンパレータ150から出力電圧に応じた電流が流れることで発光させると共に、これに応じてフォトトランジスタ161を、当該発光を受光させてオンさせる。これにより第1力率改善回路71は、フォトカプラ162においてフォトトランジスタ161をオフさせた場合には、プルアップ抵抗164でプルアップした+5[V]のオープンコレクタ出力を、このとき低圧電源56に商用交流電源70から供給されている商用交流電圧の電源電圧値を示す電源電圧検出信号としてプリンタ制御部50に送出し、これに対してフォトトランジスタ161をオンさせた場合には、0[V]のような論理「L」レベルのオープンコレクタ出力を電源電圧検出信号としてプリンタ制御部50に送出する。このようにして第1力率改善回路71では、第2分圧回路104、第5分圧回路153、コンパレータ150、プルアップ抵抗154、フォトカプラ162、抵抗163及びプルアップ抵抗164により、商用交流電源から供給される商用交流電圧の電源電圧値を検出する検出部を構成し、その電源電圧値を電源電圧検出信号としてプリンタ制御部50に通知している。
よってプリンタ制御部50は、例えば、印刷画像の形成用に第1力率改善回路71に対して商用交流電源70からの商用交流電圧の供給が開始されたとき、当該第1力率改善回路71の検出部から与えられる電源電圧検出信号に基づいて現在、低圧電源56に商用交流電源70から供給されている商用交流電圧の電源電圧値が100[V]及び200[V]の何れであるのかを的確に判別することができる。そしてプリンタ制御部50は、低圧電源56に接続されている商用交流電源70が100[V]用である場合と200[V]用である場合とでは供給電力が異なり、カラープリンタ1全体で消費可能な消費電力の最大値も異なるため、その判別結果に応じてカラープリンタ1内の少なくとも一部の制御内容を変更して、当該カラープリンタ1全体を商用交流電源70の種類に応じた最大値以下の消費電力で動作させるように制御する。因みに、200[V]用の商用交流電源70の供給電力よりも100[V]用の商用交流電源70の供給電力が小さいため、商用交流電源70の種類に応じたカラープリンタ1全体で消費可能な消費電力の最大値は、低圧電源56に200[V]用の商用交流電源70が接続されている場合に比して、100[V]用の商用交流電源70が接続されている場合のほうが低い値となる。ところで、プリンタ制御部50は、電源電圧検出信号に基づいて商用交流電圧の電源電圧値を判別すると、これに応じて商用交流電圧の電源電圧値を通知するための電源電圧通知画面データを表示部4に送出する。これによりプリンタ制御部50は、低圧電源56に商用交流電源70から供給されている商用交流電圧の電源電圧値が100[V]である場合、表示部4に電源電圧通知画面データに基づき図6(A)に示すような電源電圧通知画面170を表示する。またプリンタ制御部50は、低圧電源56に商用交流電源70から供給されている商用交流電圧の電源電圧値が200[V]である場合、表示部4に電源電圧通知画面データに基づき図6(B)に示すような電源電圧通知画面171を表示する。この場合、プリンタ制御部50は、これら電源電圧通知画面170、171内に商用交流電圧の電源電圧値を例えば、「AC100V」や「AC200V」のような文字列で通知する電源電圧値通知コメント170A、171Aが表示している。ところで、カラープリンタ1では、上述したように低圧電源56に200[V]用の商用交流電源70が接続されている場合よりも100[V]用の商用交流電源70が接続されている場合は消費電力を抑える必要がある。このためプリンタ制御部50は、例えば、低圧電源56に100[V]用の商用交流電源70が接続された状態でA1サイズの印刷媒体5に印刷画像を形成する場合、低圧電源56に200[V]用の商用交流電源70が接続された状態でA1サイズの印刷媒体5に印刷画像を形成する場合よりも、第1ヒータ80に印加するヒータ用交流電圧の最大となる実効値(以下、これを特に最大実効値とも呼ぶ)を下げている。そしてプリンタ制御部50は、第1ヒータ80に印加するヒータ用交流電圧の最大実効値を下げる分、定着ユニット15で印刷媒体5をトナー画像の加熱及び加圧用に搬送するときの媒体搬送速度を、当該低圧電源56に200[V]用の商用交流電源70が接続された状態でA1サイズの印刷媒体5に印刷画像を形成する場合よりも遅い所定の媒体搬送速度にしている。これによりプリンタ制御部50は、低圧電源56に100[V]用の商用交流電源70が接続された状態でA1サイズの印刷媒体5に印刷画像を形成する場合、媒体搬送速度を遅くして印刷画像形成用の処理速度という機能を低減させているものの、当該低圧電源56に200[V]用の商用交流電源70が接続された状態でA1サイズの印刷媒体5に印刷画像を形成する場合と、定着ユニット15で第1ヒータ80の加熱により印刷媒体5に加える(すなわち、印刷媒体5上のトナー画像に加える)単位面積当たりの熱量をほぼ等しくして同等の加熱特性を得ている。そしてプリンタ制御部50は、このように低圧電源56に接続されている商用交流電源70の種類に応じて、媒体搬送速度を切り換えているため、上述した電源電圧通知画面170、171内に電源電圧値通知コメント170A、171Aに加えて、媒体搬送速度を例えば、「10ppm」や「16ppm」のような文字列で通知する搬送速度通知コメント170B、171Bも表示している。これによりプリンタ制御部50は、印刷画像の形成時、表示部4に表示した電源電圧通知画面170、171を介してユーザに、カラープリンタ1が接続されている商用交流電源70の種類と、その種類に応じて変化する機能とを通知している。
次いで、図7に示すように、DC−ACインバータ74のスイッチング部75は、第1力率改善回路71から供給される390[V]の直流電圧を入力するための直流電圧入力端200と、DC−DCコンバータ73から動作電圧として供給される24[V]の直流電圧を入力するための複数の第1乃至第6動作電圧入力端202乃至207とが設けられている。またスイッチング部75は、第1乃至第4ヒータ80乃至83各々へ印加するヒータ用交流電圧を出力するための第1乃至第4ヒータ用出力端210乃至213が設けられると共に、第1乃至第5スイッチング回路部214乃至218も設けられている。第1スイッチング回路部214は、第1ハイサイドブロック220及び第1ローサイドブロック221を有している。第1ハイサイドブロック220は、NチャネルFET225のゲートが制御信号入力端子に接続されると共に、ドレインが例えば、株式会社東芝(登録商標)製のTLP251のようなゲートドライブICであるフォトカプラ226のカソードに接続され、ソースが接地されている。またフォトカプラ226は、アノードがDC−DCコンバータ73から供給される5[V]の直流電圧を入力するための動作電圧入力端(図示せず)の+5V端子に抵抗227を介して接続されると共に、Vcc端子が第1動作電圧入力端202の+24V端子に接続され、GND端子が当該第1動作電圧入力端202の0V端子に接続されると共に、出力端子が抵抗228を介して、スイッチング素子であるIGBT229のゲートに接続されている。さらにIGBT229は、ゲート及びエミッタに抵抗230が並列接続されると共に、コレクタ及びエミッタにダイオード231が並列接続され、そのコレクタが直流電圧入力端200の0V端子に接続されると共に、エミッタが第1動作電圧入力端202の0V端子に接続されている。第1ローサイドブロック221は、基本的には第1ハイサイドブロック220と同様に構成されており、NチャネルFET235のゲートが制御信号入力端子に接続されると共に、ドレインが株式会社東芝(登録商標)製のTLP251のようなゲートドライブICであるフォトカプラ236のカソードに接続され、ソースが接地されている。またフォトカプラ236は、アノードが抵抗237を介して+5V端子に接続されると共に、Vcc端子が第6動作電圧入力端207の+24V端子に接続され、GND端子が当該第6動作電圧入力端207の0V端子に接続されると共に、出力端子が抵抗238を介して、スイッチング素子であるIGBT239のゲートに接続されている。さらにIGBT239は、ゲート及びエミッタに抵抗240が並列接続されると共に、コレクタ及びエミッタにダイオード241が並列接続され、そのコレクタが第1ハイサイドブロック220のIGBT229のエミッタに接続されている。さらにIGBT239は、エミッタが第6動作電圧入力端207の0V端子に接続されると共に、直流電圧入力端200の+390V端子にも接続されている。
また第2乃至第5スイッチング回路部215乃至218は、それぞれ第2乃至第5ハイサイドブロック245乃至248及び第2乃至第5ローサイドブロック250乃至253を有している。そして第2乃至第5スイッチング回路部215乃至218の第2乃至第5ハイサイドブロック245乃至248は、それぞれNチャネルFET255乃至258、フォトカプラ259乃至262、抵抗263乃至266、267乃至270、271乃至274、IGBT275乃至278、ダイオード279乃至282により、第1スイッチング回路部214の第1ハイサイドブロック220と同様に構成されている。また第2乃至第5スイッチング回路部215乃至218の第2乃至第5ローサイドブロック250乃至253は、それぞれNチャネルFET285乃至288、フォトカプラ289乃至292、抵抗293乃至296、297乃至300、301乃至304、IGBT305乃至308、ダイオード309乃至312により、第1スイッチング回路部214の第1ローサイドブロック221と同様に構成されている。ただし、第2スイッチング回路部215の第2ハイサイドブロック245は、フォトカプラ259のVcc端子及びGND端子がそれぞれ第2動作電圧入力端203の+24V端子及び0V端子に接続されると共に、IGBT275のエミッタも当該第2動作電圧入力端203の0V端子に接続されている。これに加えて第2スイッチング回路部215の第2ローサイドブロック250は、フォトカプラ289のVcc端子及びGND端子がそれぞれ第6動作電圧入力端207の+24V端子及び0V端子に接続されると共に、IGBT305のコレクタが第2ハイサイドブロック245のIGBT275のエミッタに接続され、当該IGBT305のエミッタが第6動作電圧入力端207の0V端子と共に直流電圧入力端200の+390V端子に接続されている。また第3スイッチング回路部216の第3ハイサイドブロック246は、フォトカプラ260のVcc端子及びGND端子がそれぞれ第3動作電圧入力端204の+24V端子及び0V端子に接続されると共に、IGBT276のエミッタも当該第3動作電圧入力端204の0V端子に接続されている。これに加えて第3スイッチング回路部216の第3ローサイドブロック251は、フォトカプラ290のVcc端子及びGND端子がそれぞれ第6動作電圧入力端207の+24V端子及び0V端子に接続されると共に、IGBT306のコレクタが第3ハイサイドブロック246のIGBT276のエミッタに接続され、当該IGBT306のエミッタが第6動作電圧入力端207の0V端子と共に直流電圧入力端200の+390V端子に接続されている。さらに第4スイッチング回路部217の第4ハイサイドブロック247は、フォトカプラ261のVcc端子及びGND端子がそれぞれ第4動作電圧入力端205の+24V端子及び0V端子に接続されると共に、IGBT277のエミッタも当該第4動作電圧入力端205の0V端子に接続されている。これに加えて第4スイッチング回路部217の第4ローサイドブロック252は、フォトカプラ291のVcc端子及びGND端子がそれぞれ第6動作電圧入力端207の+24V端子及び0V端子に接続されると共に、IGBT307のコレクタが第4ハイサイドブロック247のIGBT277のエミッタに接続され、当該IGBT307のエミッタが第6動作電圧入力端207の0V端子と共に直流電圧入力端200の+390V端子に接続されている。さらにまた第5スイッチング回路部218の第5ハイサイドブロック248は、フォトカプラ262のVcc端子及びGND端子がそれぞれ第5動作電圧入力端206の+24V端子及び0V端子に接続されると共に、IGBT278のエミッタも当該第5動作電圧入力端206の0V端子に接続されている。これに加えて第5スイッチング回路部218の第5ローサイドブロック253は、フォトカプラ292のVcc端子及びGND端子がそれぞれ第6動作電圧入力端207の+24V端子及び0V端子に接続されると共に、IGBT308のコレクタが第5ハイサイドブロック248のIGBT278のエミッタに接続され、当該IGBT308のエミッタが第6動作電圧入力端207の0V端子と共に直流電圧入力端200の+390V端子に接続されている。
またスイッチング部75は、第1乃至第4ヒータ用出力端210乃至213にそれぞれ、一方及び他方の端子間に並列接続されたコンデンサ320乃至323と、当該一方の端子側でコンデンサ320乃至323の一端に接続されたインダクタ324乃至327とから形成されたLCフィルタである第1乃至第4平滑回路330乃至333が接続されている。そして第1スイッチング回路部214は、第1ハイサイドブロック220のIGBT229のエミッタと、第1ローサイドブロック221のIGBT239のコレクタとの接続中点(以下、この接続中点を上下対IGBT接続中点とも呼ぶ)が、第1乃至第4平滑回路330乃至333各々のコンデンサ320乃至323の他端に接続されている。また第2スイッチング回路部215は、第2ハイサイドブロック245のIGBT275のエミッタと、第2ローサイドブロック250のIGBT305のコレクタとの上下対IGBT接続中点が、第1平滑回路330のインダクタ324に接続されている。さらに第3スイッチング回路部216は、第3ハイサイドブロック246のIGBT276のエミッタと、第3ローサイドブロック251のIGBT306のコレクタとの上下対IGBT接続中点が、第2平滑回路331のインダクタ325に接続されている。さらに第4スイッチング回路部217は、第4ハイサイドブロック247のIGBT277のエミッタと、第4ローサイドブロック252のIGBT307のコレクタとの上下対IGBT接続中点が、第3平滑回路332のインダクタ326に接続されている。さらに第5スイッチング回路部218は、第5ハイサイドブロック248のIGBT278のエミッタと、第5ローサイドブロック253のIGBT308のコレクタとの上下対IGBT接続中点が、第4平滑回路333のインダクタ327に接続されている。そしてスイッチング部75は、第1ヒータ用出力端210にA1サイズ対応の第1ヒータ80が接続されると共に、第2ヒータ用出力端211にA2サイズ対応の第2ヒータ81が接続され、第3ヒータ用出力端212にA3サイズ対応の第3ヒータ82が接続される共に、第4ヒータ用出力端213にA4サイズ対応の第4ヒータ83が接続されている。
そしてスイッチング部75は、印刷画像の形成時に第1乃至第4ヒータ80乃至83の何れに印加するヒータ用交流電圧を生成する場合でも、第1スイッチング回路部214を当該ヒータ用交流電圧の周波数を決定するために(すなわち、周波数を制御するために)共用する。またスイッチング部75は、残りの第2乃至第5スイッチング回路部215乃至218を、それぞれ対応する第1乃至第4ヒータ80乃至83に印可すべき正弦波であるヒータ用交流電圧の波形を、振幅を変調して(すなわち、振幅を制御して)生成するために第1スイッチング回路部214と組み合わせて用いる。すなわち、スイッチング部75は、A1サイズの印刷媒体5を印刷画像の形成用に加熱する場合、第1ヒータ80に印可するヒータ用交流電圧の生成に第1及び第2スイッチング回路部214及び215を組み合わせてブリッジ回路のように用いる。この際、第1スイッチング回路部214は、第1ハイサイドブロック220及び第1ローサイドブロック221においてNチャネルFET225、235に第3及び第4スイッチング制御信号S3及びS4が入力されることで、当該NチャネルFET225、235をオンオフさせ、これに応じてフォトカプラ226、236を介してIGBT229、239を例えば、50[Hz]の1/2周期で順次交互にオンオフさせる。また第2スイッチング回路部215は、第2ローサイドブロック250においてNチャネルFET285に第2スイッチング制御信号S2が入力されることで、第1ハイサイドブロック220のIGBT229がオンしている間、当該NチャネルFET285を、後述するように50[Hz]よりも高い周波数でオンオフさせると共に、これに連動させてフォトカプラ289を介してIGBT305をオンオフさせる。さらに第2スイッチング回路部215は、第2ハイサイドブロック245においてNチャネルFET255に第1スイッチング制御信号S1が入力されることで、第1ローサイドブロック221のIGBT239がオンしている間、当該NチャネルFET255を、後述するように50[Hz]よりも高い周波数でオンオフさせると共に、これに連動させてフォトカプラ259を介してIGBT275をオンオフさせる。そしてスイッチング部75は、第1ハイサイドブロック220のIGBT229がオンしている間に第2ローサイドブロック250のIGBT305が順次オンすると、その都度、直流電圧入力端200の+390V端子から電流が第1ハイサイドブロック220のIGBT229、第1平滑回路330、第1ヒータ80、当該第2ローサイドブロック250のIGBT305の順に流れると共に、第1ローサイドブロック221のIGBT239がオンしている間に第2ハイサイドブロック245のIGBT275が順次オンすると、その都度、直流電圧入力端200の+390V端子から電流が当該第2ハイサイドブロック245のIGBT275、第1平滑回路330、第1ヒータ80、第1ローサイドブロック221のIGBT239の順に逆向きで流れるため、その第1ヒータ80に交番電圧を印加することができる。ただし、スイッチング部75は、第1平滑回路330により、その交番電圧をスイッチング周波数成分の高周波成分を除去して平滑化して50[Hz]の正弦波であるヒータ用交流電圧に変換している。このようにしてスイッチング部75は、第1及び第2スイッチング回路部214及び215により390Vの直流電圧をスイッチングし、第1平滑回路330により、そのスイッチングした直流電圧を平滑化して所望の実効値のヒータ用交流電圧を生成し、第1ヒータ用出力端210を介して当該第1ヒータ80に印加して発熱させることができる。
またスイッチング部75は、A2サイズの印刷媒体5を印刷画像の形成用に加熱する場合、第2ヒータ81に印可するヒータ用交流電圧の生成に第1及び第3スイッチング回路部214及び216を組み合わせてブリッジ回路のように用いる。この際、スイッチング部75は、第1及び第3スイッチング回路部214及び216を、NチャネルFET225、235、256、286に対する第1及び第2スイッチング制御信号S1及びS2並びに第5及び第6スイッチング制御信号S5及びS6の入力によって、第1及び第2スイッチング回路部214及び215を組み合わせた場合と同様に動作させる。これによりスイッチング部75は、第1及び第3スイッチング回路部214及び216により390Vの直流電圧をスイッチングし、第2平滑回路331により、そのスイッチングした直流電圧を平滑化して所望の実効値のヒータ用交流電圧を生成し、第2ヒータ用出力端211を介して当該第2ヒータ81に印加して発熱させることができる。さらにスイッチング部75は、A3サイズの印刷媒体5を印刷画像の形成用に加熱する場合、第3ヒータ82に印可するヒータ用交流電圧の生成に第1及び第4スイッチング回路部214及び217を組み合わせてブリッジ回路のように用いる。この際も、スイッチング部75は、第1及び第4スイッチング回路部214及び217を、NチャネルFET225、235、257、287に対する第1及び第2スイッチング制御信号S1及びS2並びに第7及び第8スイッチング制御信号S7及びS8の入力によって、第1及び第2スイッチング回路部214及び215を組み合わせた場合と同様に動作させる。これによりスイッチング部75は、第1及び第4スイッチング回路部214及び217により390Vの直流電圧をスイッチングし、第3平滑回路332により、そのスイッチングした直流電圧を平滑化して所望の実効値のヒータ用交流電圧を生成し、第3ヒータ用出力端212を介して第3ヒータ82に印加して発熱させることができる。さらにまたスイッチング部75は、A4サイズの印刷媒体5を印刷画像の形成用に加熱する場合、第4ヒータ83に印可するヒータ用交流電圧の生成に第1及び第5スイッチング回路部214及び218を組み合わせてブリッジ回路のように用いる。この際も、スイッチング部75は、第1及び第5スイッチング回路部214及び218を、NチャネルFET225、235、258、288に対する第1及び第2スイッチング制御信号S1及びS2並びに第9及び第10スイッチング制御信号S9及びS10の入力によって、第1及び第2スイッチング回路部214及び215を組み合わせた場合と同様に動作させる。これによりスイッチング部75は、第1及び第5スイッチング回路部214及び218により390Vの直流電圧をスイッチングし、第4平滑回路333により、そのスイッチングした直流電圧を平滑化して所望の実効値のヒータ用交流電圧を生成し、第4ヒータ用出力端213を介して第4ヒータ83に印加して発熱させることができる。なお、スイッチング部75には、スイッチング素子としてIGBTに代えて、SiFETやSiC FET、GaN FET等のデバイスを用いることも可能である。
ところで、低圧電源56では、DC−DCコンバータ73により例えば、カラープリンタ1の金属フレームが電気的に接続される商用交流電源70のグランドを基準して、上述した24[V]の直流電圧を動作電圧として生成して第1力率改善回路71やDC−ACインバータ74に供給すると、商用交流電源70のコールド側が0[V]でない場合、力率改善回路出力である390[V]の直流電圧の0[V]電位も変動して第1力率改善回路71やDC−ACインバータ74、また当該DC−ACインバータ74からヒータ用交流電圧を供給する第1乃至第4ヒータ870乃至83をショートさせる可能性がある。このためDC−DCコンバータ73には、例えば、第2力率改善回路72から供給される390[V]の直流電圧を降圧して24[V]の直流電圧(以下、これを降圧電圧とも呼ぶ)を生成する所定の降圧部が設けられると共に、その降圧電圧を商用交流電源70から絶縁した24[V]の直流電圧に変換する直流電源回路が設けられている。図8に示すように、DC−DCコンバータ73に設けられる直流電源回路350は、1次側に24[V]の降圧電圧が印加される1次巻線と共に制御巻線が設けられ、そのトランス351により、1次巻線への降圧電圧の印加に応じて2次側の2次巻線に発生した24[V]の直流電圧を1次側からは絶縁して動作電圧出力端352から出力する自励式フライバックコンバータ(すなわち、絶縁型DC−DCコンバータ)である。この場合、トランス351の1次側では、NPNトランジスタ355のベースが起動抵抗356を介して1次巻線の一端に接続されると共に、抵抗357と、並列接続されたダイオード358及びコンデンサ359とを順次介して制御巻線の一端にも接続され、当該NPNトランジスタ355のコレクタ及びエミッタがそれぞれ1次巻線の他端及び制御巻線の他端に接続されている。さらにトランス351の1次側では、制御巻線の他端が電解コンデンサ360にも接続され、その電解コンデンサ360が2個のダイオード361、362を介して当該制御巻線の一端、及びNPNトランジスタ355のベースに接続されている。一方、トランス351の2次側では、2次巻線の一端が動作電圧出力端352の0V端子に接続されると共に、他端がダイオード363を介して当該動作電圧出力端352の+24V端子に接続され、そのダイオード363のカソードと2次巻線の一端とに平滑用の電解コンデンサ364が並列接続されている。またトランス351の2次側では、動作電圧出力端352の+24V端子及び0V端子間に、一対の分圧抵抗365、366が直列接続されて形成された分圧回路367が並列接続されている。さらにトランス351の2次側では、テキサスインスツルメンツ(登録商標)製のTL431やナショナルセミコンダクター(登録商標)製のLM3350等のシャントレギュレータ368のアノードが分圧回路367の一端に接続されると共に、リファレンスが当該分圧回路367の分圧出力端に接続され、そのリファレンスとカソードとにコンデンサ369が並列されている。これに加えて直流電源回路350は、フォトトランジスタ370及びフォトダイオード371からなるフォトカプラ372が設けられている。そしてフォトトランジスタ370は、トランス351の1次側でコレクタが、ダイオード362のカソードとNPNトランジスタ355のベースとの接続中点に接続されると共に、エミッタが当該ダイオード362のアノードに接続されている。またフォトダイオード371は、トランス351の2次側でアノードが抵抗373を介して分圧回路367の他端に接続されると共に、カソードがシャントレギュレータ368のカソードに接続されている。
そして直流電源回路350では、24[V]の降圧電圧がトランス351の1次巻線の一端に印加されると、NPNトランジスタ355が当該1次巻線の一端から起動抵抗356を介して流れるベース電流によってオンしてコレクタ電流を流し初める。これにより直流電源回路350では、トランス351の1次巻線に電流が流れて電圧が印加され、これに応じて制御巻線にNPNトランジスタ355を駆動するための誘起電圧が現れて当該NPNトランジスタ355のコレクタ電流を増加させる。そして直流電源回路350では、NPNトランジスタ355がベース電流の不足によりオフすると、それまでトランス351のコアに蓄積していたエネルギーにより2次巻線に電流を流し、そのエネルギーを2次巻線に流れる電流として放出し終えると、再びNPNトランジスタ355をオンする。このようにして直流電源回路350は、この後、上述と同様にNPNトランジスタ355を繰り返しオンオフすることで、トランス351の2次側に24[V]の直流電圧を発生させて動作電圧出力端352から出力する。ただし、直流電源回路350では、分圧回路367により直流電圧を分圧して得られる分圧電圧をシャントレギュレータ368のリファレンスに入力している。そして直流電源回路350では、DC−ACインバータ74のスイッチング部75のように、24[V]直流電圧を動作電圧として供給している供給先で当該動作電圧が変動し、これに伴い動作電圧出力端352にかかる直流電圧も変動して24[V]よりも大きくなると、シャントレギュレータ368のカソードからアノードへ電流が流れることで、フォトカプラ372においてフォトダイオード371に電流が流れて発光し、その発光を受けてフォトトランジスタ370がオンする。このようにして直流電源回路350は、NPNトランジスタ355のベース電流を減少させてオンオフの期間を調整することで、トランス351の2次側に発生する直流電圧を電圧値が24[V]でほぼ一定となるように制御して動作電圧出力端352から出力している。ここで、DC−ACインバータ74のスイッチング部75では、第1乃至第5ローサイドブロック221、250乃至253のIGBT239、305乃至308のベース及びエミッタ間に、第6動作電圧入力端207からフォトカプラ236、289乃至292を介して動作電圧を印加しており、これらのエミッタが0V端子以外には接続されていない。このためスイッチング部75では、第1乃至第5スイッチング回路部214乃至218により直流電圧をスイッチングした場合でも、これら第1乃至第5ローサイドブロック221、250乃至253のIGBT239、305乃至308に印加している動作電圧が、0V端子の電位(すなわち、0[V])を基準とする電圧値のままほとんど変動しない。しかしながら、スイッチング部75では、第1乃至第5ハイサイドブロック220、245乃至248のIGBT229、275乃至278のベース及びエミッタ間に、第1乃至第5動作電圧入力端202乃至206からフォトカプラ226、259乃至262を介して動作電圧を印加しているものの、これらのエミッタが0V端子以外に上下対IGBT接続中点にも接続されている。そしてスイッチング部75では、第1乃至第5スイッチング回路部214乃至218により直流電圧をスイッチングした場合、上下対IGBT接続中点において電流の流れの有無や向きが変化して電位が変化し、これに伴い、第1乃至第5ハイサイドブロック220、245乃至248のIGBT229、275乃至278に印加している動作電圧が変動する場合がある。よってDC−DCコンバータ73には、DC−ACインバータ74のスイッチング部75に対する動作電圧の供給用として、第1乃至第5動作電圧入力端202乃至206を介して第1乃至第5ハイサイドブロック220、245乃至248に24[V]の直流電圧を個別に供給する5個の直流電源回路350と、第6動作電圧入力端207を介して第1乃至第5ローサイドブロック221、250に24[V]の直流電圧を共通化して供給する1個の直流電源回路350との合計で6個の直流電源回路350が設けられている。また第1力率改善回路71では、動作電圧入力端90の0V端子が各素子のグランド端子や直流電圧出力端92の0V端子等に接続されているため、DC−DCコンバータ73から供給される24[V]の直流電圧はほとんど変動しない。このためDC−DCコンバータ73は、DC−ACインバータ74の第1乃至第5ローサイドブロック221、250に24[V]の直流電圧を供給する1個の直流電源回路350を、第1力率改善回路71への直流電圧の供給にも併用している。このようにしてDC−DCコンバータ73は、より少ない個数の直流電源回路350により、DC−ACインバータ74や第1力率改善回路71等へ電圧値を24[V]でほぼ一定にした直流電圧を動作電圧として供給している。なお、DC−ACインバータ74は、DC−DCコンバータ73に代えて5個の直流電源回路350を設けるように構成することができ、さらにDC−ACインバータ74において第6動作電圧入力端207に接続する1個の直流電源回路350から24[V]の直流電圧を動作電圧として第1力率改善回路71へ供給するように構成することもできる。また第1力率改善回路71も、DC−DCコンバータ73に代えて1個の直流電源回路350を設けるように構成することができ、さらに第1力率改善回路71の1個の直流電源回路350から24[V]の直流電圧を動作電圧としてDC−ACインバータ74の第6動作電圧入力端207に供給するように構成することもできる。
ここで、図9に示すように、DC−ACインバータ74のスイッチング制御部76は、DC−DCコンバータ73から動作電圧として供給される5[V]の直流電圧で動作し、印刷画像の形成時、プリンタ制御部50から例えば、第1乃至第4ヒータ80乃至83に印加すべきヒータ用交流電圧の最大値を指示する電圧値指示信号S11が与えられる。因みに、プリンタ制御部50は、サーミスタ54による加熱ローラ43の表面温度の検出結果に応じて第1乃至第4ヒータ80乃至83に印加すべきヒータ用交流電圧の最大値を選択し、その選択した最大値を例えば、8bitや16bitの分解能で表して指示すると共に、この際の制御対象のヒータ(すなわち、ヒータ用交流電圧を印可すべき何れか1つの第1乃至第4ヒータ80乃至83)を示す電圧値指示信号S11を生成してスイッチング制御部76に与えている。そしてスイッチング制御部76は、電圧値指示信号S11に基づき例えば、パルス幅変調(PWM:Pulse Width Modulation)方式により矩形波である第1乃至第10スイッチング制御信号S1及びS10を生成してスイッチング部75に送出する。これによりスイッチング制御部76は、スイッチング部75において、第1スイッチング回路部214のIGBT229、239と、この際の制御対象のヒータに対応する1つの第2乃至第5スイッチング回路部215乃至218のIGBT275乃至278、305乃至308とを、第1乃至第10スイッチング制御信号S1及びS10が論理「H」レベルのときはオンさせ、当該第1乃至第10スイッチング制御信号S1及びS10が論理「L」レベルのときにはオフさせることで、上述したように直流電圧をスイッチングして例えば、図10(A)乃至(D)に示すようなヒータ用交流電圧の何れかを生成する。そしてスイッチング制御部76は、そのヒータ用交流電圧を制御対象のヒータに印可する。ここで、図10(A)は、最大値が35.25[V](実効値は25[V])のヒータ用交流電圧の波形を示しており、図10(B)は、最大値が70.5[V](実効値は50[V])のヒータ用交流電圧の波形を示しており、図10(C)は、最大値が100[V](実効値は70[V])のヒータ用交流電圧の波形を示しており、図10(D)は、最大値が141[V](実効値は100[V])のヒータ用交流電圧の波形を示している。ところで、スイッチング制御部76は、スイッチング部75により第1乃至第10スイッチング制御信号S1及びS10に応じて直流電圧をスイッチングすることにより、周波数は一定のまま振幅を変調(すなわち、調整)して所望の実効値のヒータ用交流電圧を生成している。また第1乃至第4ヒータ80乃至83は、上述したようにハロゲンヒータであると、冷えている状態で実効値の比較的大きいヒータ用交流電圧が印可されて通電が開始された場合、抵抗値が比較的低いために突入電流が大きくなり破損する可能性がある。このためスイッチング制御部76は、スイッチング部75を制御して、まずは実効値の比較的小さいヒータ用交流電圧を生成して第1乃至第4ヒータ80乃至83に印可し、発熱温度の上昇に応じて徐々に実効値の高いヒータ用交流電圧を生成して第1乃至第4ヒータ80乃至83に印可している。このようなスイッチング制御部76によりヒータ用交流電圧の実効値を徐々に可変する制御は、従来のトライアックに対するヒータ用交流電圧の実効値を徐々に可変するための位相制御と同様な考え方である。因みに、従来の位相制御により商用交流電圧に対し位相角が45度の区間をオンして生成したヒータ用交流電圧は、スイッチング制御部76によって生成する実効値が25[V]のヒータ用交流電圧に相当し、従来の位相制御により商用交流電圧に対し位相角が90度の区間をオンして生成したヒータ用交流電圧は、スイッチング制御部76によって生成する実効値が50[V]のヒータ用交流電圧に相当し、従来の位相制御により商用交流電圧に対し位相角が126度の区間をオンして生成したヒータ用交流電圧は、スイッチング制御部76によって生成する実効値が70[V]のヒータ用交流電圧に相当し、従来の位相制御により商用交流電圧に対し位相角が180度の区間をオンして生成したヒータ用交流電圧は、スイッチング制御部76によって生成する実効値が100[V]のヒータ用交流電圧に相当する。なお、スイッチング部75による実際の回路動作では、ヒータ用交流電圧の実効値を徐々に可変する仕方が、従来の位相制御と完全には等価にならないが、適宜、実験し、また計算等により第1乃至第10スイッチング制御信号S1乃至S10を補正することで容易に対応可能である。ただし、このようなヒータ用交流電圧の実効値を徐々に可変する制御は公知であるため、その説明は省略し、以下には、スイッチング部75で第1ヒータ80に印可するヒータ用交流電圧を生成する場合を例にして、スイッチング制御部76により当該スイッチング部75で実効値の異なるヒータ用交流電圧を生成する方法について説明する。
図11(A)乃至(D)のタイミングチャートに示すように、スイッチング制御部76は、第1スイッチング回路部214に対しヒータ用交流電圧の周波数の制御用として(すなわち、周波数を決定するために)与える第3及び第4スイッチング制御信号S3及びS4を、周波数が50[Hz]の矩形波として生成している(図11(A)及び(B))。ただしスイッチング制御部76は、第3及び第4スイッチング制御信号S3及びS4の論理レベルの変化により第1ハイサイドブロック220及び第1ローサイドブロック221においてIGBT229、239が同時にオンして貫通電流が流れることのないように、これら第3及び第4スイッチング制御信号S3及びS4を、一方の波形に対し他方の波形が反転した関係となる一対の反転信号として生成している。また図12(A)及び(B)に示すように、スイッチング制御部76は、第3及び第4スイッチング制御信号S3及びS4の論理「H」レベルの期間と論理「L」レベルの期間とをそれぞれ正確に1/2周期にすると、仮に、これら第3及び第4スイッチング制御信号S3及びS4の一方に対し他方が遅延した場合、両方同時に論理「H」レベルに変化してIGBT229、239が同時にオンする時間が生じるため、第3及び第4スイッチング制御信号S3及びS4における論理レベルの切換箇所に両方とも論理「L」レベルにする例えば、1[μsec]の期間(以下、これを同時論理「L」レベル期間とも呼ぶ)を設け、これらIGBT229、239が同時にオンすることを回避している。またスイッチング制御部76は、第2スイッチング回路部215に対し、ヒータ用交流電圧の振幅の制御用として与える第1及び第2スイッチング制御信号S1及びS2を、第3及び第4スイッチング制御信号S3及びS4よりも高い所定の周波数の矩形波として生成している(図11(C)及び(D))。ただし、スイッチング制御部76は、第1及び第2スイッチング制御信号S1及びS2についても、第3及び第4スイッチング制御信号S3及びS4と同様に、一方の波形に対し他方の波形が反転した関係となり、かつ図12(C)に示すように、論理レベルの切換箇所に1[μsec]の同時論理「L」レベル期間を設けて生成している。なお、図11には、第1及び第2スイッチング制御信号S1及びS2の波形の変化を理解し易くするために、その第1及び第2スイッチング制御信号S1及びS2を例えば、1.8[kHz](1周期が555.6[μsec])の周波数で生成した場合を例にして簡略的に示している。ただし実際には、IGBT275、305が高速にスイッチング可能な(すなわち、高速にオンオフの切り換えが可能な)スイッチング素子であるため、これらをスイッチングするための第1及び第2スイッチング制御信号S1及びS2の周波数としては、可聴域を超える20[kHz]以上が適している。このため、以下には、スイッチング制御部76により第1及び第2スイッチング制御信号S1及びS2を、図11に示す1.8[kHz]の周波数で生成する場合について説明するが、その第1及び第2スイッチング制御信号S1及びS2を20[kHz]で生成する場合についても合わせて説明する。因みに、スイッチング制御部76は、第1及び第2スイッチング制御信号S1及びS2を、1.8[kHz]及び20[kHz]の何れの周波数で生成する場合でも、これらに1[μsec]の同時論理「L」レベル期間を設けている。なお、DC−ACインバータ74では、第1及び第2スイッチング制御信号S1及びS2の周波数が高くなるほど、直流電圧からヒータ用交流電圧への変換損失が増えるため、スイッチング素子の種類や、生成すべきヒータ用交流電圧の最大値等に応じて適宜、20[kHz]以上の周波数の中で最適な周波数を決定すれば良い。すなわち、第1及び第2スイッチング制御信号S1及びS2の周波数は、スイッチング素子がIGBT275、305であれば20[kHz]程度でも良いが、スイッチング素子として、さらに高速にスイッチング可能なGaN FET等を用いる場合は、20[kHz]よりさらに高くすることもできる。
まず、50[Hz]の矩形波である第3及び第4スイッチング制御信号S3及びS4は、上述したようにスイッチング部75において、正弦波であるヒータ用交流電圧を生成する際の当該ヒータ用交流電圧の周波数を制御するためのものである。言い換えると、第3及び第4スイッチング制御信号S3及びS4は、スイッチング部75に対し、互いの1/2周期ずれた論理「H」レベルで順次交互に、ヒータ用交流電圧の1/2周期の長さに相当する生成対象箇所を連続的に指示するものである。そして矩形波である第1及び第2スイッチング制御信号S1及びS2は、上述したようにスイッチング部75において、ヒータ用交流電圧の波形の振幅を制御するためのものである。言い換えると、第1スイッチング制御信号S1は、第4スイッチング制御信号S4の論理「H」レベルによって指示されたヒータ用交流電圧の生成対象箇所の波形を所望の振幅で生成するためのものである。また第2スイッチング制御信号S2は、第3スイッチング制御信号S3によって論理「H」レベルで指示されたヒータ用交流電圧の生成対象箇所の波形を所望の振幅で生成するためのものである。このためスイッチング制御部76は、第1及び第2スイッチング制御信号S1及びS2を、第3及び第4スイッチング制御信号S3及びS4の周波数よりも高い周波数で生成している。そしてスイッチング制御部76は、第4スイッチング制御信号S4の論理「H」レベルにより第1ローサイドブロック2221のIGBT239をオンしている間、第1スイッチング制御信号S1の複数周期分の波形で第2ハイサイドブロック245のIGBT275を細かくオンオフして直流電圧をスイッチングすることにより、ヒータ用交流電圧の生成対象箇所の波形を生成する。またスイッチング制御部76は、第3スイッチング制御信号S3の論理「H」レベルにより第1ハイサイドブロック220のIGBT229をオンしている間、第2スイッチング制御信号S2の複数周期分の波形で第2ローサイドブロック250のIGBT305を細かくオンオフして直流電圧をスイッチングすることにより、ヒータ用交流電圧の他の生成対象箇所の波形を生成する。実際にスイッチング制御部76は、正弦波であるヒータ用交流電圧を生成するために、第1及び第2スイッチング制御信号S1及びS2を1周期毎の波形が、そのヒータ用交流電圧の最大値と共に正弦波形に応じたデューティ比の波形となるように生成している。ここで、図11と共に図13に示すように、第1の実施の形態では、このような第1及び第2スイッチング制御信号S1及びS2の1周期毎のデューティ比を得るために例えば、ヒータ用交流電圧が50[Hz]の正弦波であり、当該第1及び第2スイッチング制御信号S1及びS2の周波数が1.8[kHz]である場合、その50[Hz]の正弦波の1周期(すなわち、20[msec])が、1.8[kHz]の周波数のほぼ36周期に相当するため、当該正弦波の1周期を1.8[kHz]の周波数の1周期(すなわち、555.6[μsec])で36個の区間に分割する。そして第1の実施の形態では、その正弦波の1周期を分割した区間毎に、当該区間の分割位置でのSIN関数を、(1)式
ABS{SIN(N×(10)°)} ……(1)
N=0〜35
で表されるように求め(図13のSINで示す欄内の値である)、これらを第1及び第2スイッチング制御信号S1及びS2の36周期分の基準デューティ比にしている。ただし、これら基準デューティ比は、最大値が「1」となるSIN関数であるため、このまま第1及び第2スイッチング制御信号S1及びS2の1周期毎のデューティ比に適用したのでは、その第1及び第2スイッチング制御信号S1及びS2により390[V]の直流電圧をスイッチングした場合に、最大値が390[V]の正弦波であるヒータ用交流電圧を生成することになる。このため第1の実施の形態では、例えば、第1ヒータ80への印可用に生成するヒータ用交流電圧の最大値が141[V]であると、そのヒータ用交流電圧の最大値に応じた係数Cを、(2)式
141/390=0.361 ……(2)
で表されるように、基準デューティ比で生成可能なヒータ用交流電圧の最大値である390[V]と、実際に生成するヒータ用交流電圧の最大値である141[V]との比として求める。そして第1の実施の形態では、これら基準デューティ比に係数Cを乗算して、最大値が141[V]のヒータ用交流電圧を生成するための、第1及び第2スイッチング制御信号S1及びS2の36周期分のデューティ比(図13のDutyで示す欄内の値である)を得る。また図14に示すように、第1の実施の形態では、第1ヒータ80への印可用に生成する他のヒータ用交流電圧の最大値が例えば、100[V]、70.7[V]、35.25[V]であると、(1)式と同様に、基準デューティ比で生成可能なヒータ用交流電圧の最大値である390[V]と、実際に生成するヒータ用交流電圧の最大値との比として係数を求める。そして第1の実施の形態では、これらヒータ用交流電圧の最大値毎に求めた係数をそれぞれ各基準ディーティ比に乗算して、最大値が100[V]、70.7[V]、35.25[V]のヒータ用交流電圧をそれぞれ生成するための、第1及び第2スイッチング制御信号S1及びS2の36周期分のデューティ比も得る。因みに、図15(A)乃至(F)に示すように、1.8[kHz]の周波数で生成される第1及び第2スイッチング制御信号S1及びS2は、上述した最大値が141[V](実効値は100[V])のヒータ用交流電圧の生成用に比して、最大値が70.7[V](実効値は50[V])のヒータ用交流電圧の生成用のほうが1周期毎の論理「H」レベルの期間が短く(図15(C)及び(D))、35.25[V](実効値は25[V])のヒータ用交流電圧の生成用では、1周期毎の論理「H」レベルの期間がさらに短くなる(図15(E)及び(F))。なお、図11及び図15には、第3及び第4スイッチング制御信号S3及びS4の論理レベルの切換位置が、生成すべきヒータ用交流電圧のゼロクロスポイントとなり、第1及び第2スイッチング制御信号S1及びS2の1周期毎のデューティ比のうち最大値となるデューティ比が当該ヒータ用交流電圧の最大値の生成用となるように、これら第1乃至第4スイッチング制御信号S1乃至S4の波形を簡略的に示している。
一方、第1の実施の形態では、ヒータ用交流電圧が50[Hz]の正弦波であり、第1及び第2スイッチング制御信号S1及びS2の周波数が20[kHz]である場合、50[Hz]の正弦波の1/2周期の長さは10[msec]であり、20[kHz]の周波数の200サイクルに相当するため、当該正弦波の1/2周期を200個の区間に分割する。そして第1の実施の形態では、正弦波の1/2周期を分割した区間毎に、当該区間の分割位置でのSIN関数を、(3)式
SIN(N×(180/199)°) ……(3)
N=0〜199
で表されるように求め、これらを第1及び第2スイッチング制御信号S1及びS2の200周期分の基準デューティ比にする。そして第1の実施の形態では、この場合も、これら基準デューティ比に上述と同様に係数を乗算することで、種々の最大値のヒータ用交流電圧を生成するための第1及び第2スイッチング制御信号S1及びS2の200周期分のデューティ比を得ることができる。
そしてスイッチング制御部76は、第1ヒータ80に印可すべきヒータ用交流電圧を生成する場合、そのヒータ用交流電圧の最大値に応じた上述の36周期分のデューティ比、又は200周期分のデューティ比を順番に繰り返し用いて、第1及び第2スイッチング制御信号S1及びS2を生成する。ところで、スイッチング制御部76は、ヒータ用交流電圧の異なる最大値毎の、1.8[kHz]の周波数に応じた36周期分のデューティ比、又は20[kHz]の周波数に応じた200周期分のデューティ比を示すデータテーブル(以下、これを最大値対応デューティ比テーブルとも呼ぶ)を予め保持し、その最大値対応デューティ比テーブルを用いて第1及び第2スイッチング制御信号S1及びS2を生成するように構成することができる。またスイッチング制御部76は、例えば、1.8[kHz]の周波数に応じた36周期分の基準デューティ比、又は20[kHz]の周波数に応じた200周期分の基準デューティ比を示すデータテーブル(以下、これを基準デューティ比テーブルとも呼ぶ)を予め保持し、所望の最大値のヒータ用交流電圧を生成する毎に、当該最大値に応じた上述の係数を、基準デューティ比テーブル内の基準デューティ比に乗算し、得られたデューティ比を用いて第1及び第2スイッチング制御信号S1及びS2を生成するように構成することもできる。そしてスイッチング制御部76では、第1ヒータ80に印可する正弦波であるヒータ用交流電圧の歪み率が当該第1ヒータ80の発熱に与える影響は無視し得るので、最大値対応デューティ比テーブルが示すデューティ比や基準デューティ比テーブルが示す基準デューティ比の有効桁数、又は基準デューティ比テーブルが示す基準デューティ比をもとにデューティ比を演算する際のbit数等を適宜削減しても、第1及び第2スイッチング制御信号S1及びS2のデューティ比に応じて生成したヒータ用交流電圧により第1ヒータ80をほぼ的確に発熱させることができる。
ところで、スイッチング制御部76は、第2乃至第4ヒータ81乃至83に印可すべきヒータ用交流電圧を生成する場合、第5乃至第10スイッチング制御信号S5乃至S10も、第1及び第2スイッチング制御信号S1及びS2と同様に生成する。なお、スイッチング制御部76は、第1乃至第4ヒータ80乃至83に印可すべきヒータ用交流電圧の何れを生成する場合でも、図11(A)及び(B)並びに図15(A)及び(B)に示した第3及び第4スイッチング制御信号S3及びS4を生成している。そしてスイッチング制御部76は、第1ヒータ80に印可すべきヒータ用交流電圧を生成する場合、図11(C)及び(D)や図15(C)乃至(F)に示したような第1及び第2スイッチング制御信号S1及びS2を生成して第2スイッチング回路部215を動作させることで、ヒータ用交流電圧を波形の振幅を変調して生成し第1ヒータ80に印可するものの、この際、第5乃至第10スイッチング制御信号S5乃至S10については例えば、第3及び第4スイッチング制御信号S3及びS4の波形と同様の波形を有するように生成することで、第3乃至第5スイッチング回路部216乃至218の動作を停止させて、第2乃至第4ヒータ81乃至83用のヒータ用交流電圧を生成しない。またスイッチング制御部76は、第2ヒータ81に印可すべきヒータ用交流電圧を生成する場合、図11(C)及び(D)や図15(C)乃至(F)に示したような第5及び第6スイッチング制御信号S5及びS6を生成して第3スイッチング回路部216を動作させることで、ヒータ用交流電圧を波形の振幅を辺変調して生成し第2ヒータ81に印可するものの、この際、第1及び第2並びに第7乃至第10スイッチング制御信号S1及びS2並びにS7乃至S10については第3及び第4スイッチング制御信号S3及びS4の波形と同様の波形を有するように生成することで、第2、第4、第5スイッチング回路部215、217、218の動作を停止させて、第1、第3、第4ヒータ80、82、83用のヒータ用交流電圧を生成しない。スイッチング制御部76は、第3ヒータ82や第4ヒータ83に印可すべきヒータ用交流電圧を生成する場合も同様に、第7及び第8スイッチング制御信号S7及びS8や第9及び第10スイッチング制御信号S9及びS10についてはデューティ比を制御して生成することで、対応する第3スイッチング回路部216や第4スイッチング回路部217を動作させ、残りの第1及び第2スイッチング制御信号S1及びS2や第7乃至第10スイッチング制御信号S7乃至S10等については第3及び第4スイッチング制御信号S3及びS4の波形と同様の波形を有するように生成することで、対応する第2スイッチング回路部215や第3スイッチング回路部216等の動作を停止させる。なお、第1の実施の形態では、第1乃至第10スイッチング制御信号S1乃至S10の同時論理「L」レベル期間を何れも1[μsec]としているが、これら第1乃至第10スイッチング制御信号S1乃至S10の周波数や、スイッチング部75に設けるスイッチング素子の種類等に応じて同時論理「L」レベル期間を適宜、1[μsec]以外の時間にすることもできる。
ところで、プリンタ制御部50は、印刷画像の形成用にA2サイズ以下(すなわち、A2サイズ、A3サイズ、A4サイズ)の印刷媒体5の何れを加熱する場合でも、商用交流電源70から供給される商用交流電圧の電源電圧値によらず(すなわち、電源電圧値が100[V]及び200[V]の何れであっても)、DC−ACインバータ74のスイッチング制御部76を制御してスイッチング部75において実効値が0[V]乃至100[V]の範囲のヒータ用交流電圧を生成させる。そしてプリンタ制御部50は、スイッチング部75から生成したヒータ用交流電圧を、この際に加熱すべき印刷媒体5のサイズに対応する第2乃至第4ヒータ81乃至83の何れか1つに印可して発熱させる。またプリンタ制御部50は、定着ユニット15において第2乃至第4ヒータ81乃至82の何れを発熱させる場合でも、商用交流電源70の電源電圧値によらず定着モータ53を同様に制御して、印刷媒体5を一定の所定の媒体搬送速度で搬送し、又は印刷媒体5を第2乃至第4ヒータ81乃至82毎に、その発熱温度に応じた所定の媒体搬送速度で加熱用に搬送している。これによりプリンタ制御部50は、第2乃至第4ヒータ81乃至82を介して印刷媒体5と共に表面上のトナー画像を加熱して印刷画像を形成することができる。またプリンタ制御部50は、商用交流電源70から電源電圧値が200[V]の商用交流電圧が供給されている状態で、印刷画像の形成用にA1サイズの印刷媒体5を加熱する場合、上述したように電源電圧値に応じてカラープリンタ1全体の消費電力を比較的大きくし得るため、DC−ACインバータ74のスイッチング制御部76を制御してスイッチング部75に実効値が0[V]乃至100[V]の範囲のヒータ用交流電圧を生成させて第1ヒータ80に印可して発熱させる。またプリンタ制御部50は、商用交流電源70の電源電圧値に応じて定着モータ53を制御して、定着ユニット15において印刷媒体5を比較的速い例えば、16[ppm]の媒体搬送速度で搬送する。これによりプリンタ制御部50は、第1ヒータ80を介して印刷媒体5と共に表面上のトナー画像を加熱して印刷画像を形成することができる。ただし、プリンタ制御部50は、商用交流電源70から電源電圧値が100[V]の商用交流電圧が供給されている状態で、印刷画像の形成用にA1サイズの印刷媒体5を加熱する場合、上述したように電源電圧値に応じてカラープリンタ1全体の消費電力を1500[W]のように、電源電圧値が200[V]の場合よりも小さくする必要があるため、DC−ACインバータ74のスイッチング制御部76を制御してスイッチング部75に実効値が0[V]乃至70[V]の範囲のヒータ用交流電圧を生成させて第1ヒータ80に印可して発熱させる。またプリンタ制御部50は、電源電圧値が200[V]の場合よりも、第1ヒータ80に印可するヒータ用交流電圧の最大実効値を低くする分、第1ヒータ80の最大発熱温度も低くなるため、商用交流電源70の電源電圧値に応じて定着モータ53を制御して、定着ユニット15において印刷媒体5を上述よりも遅い例えば、10[ppm]の媒体搬送速度で搬送する。これによりプリンタ制御部50は、第1ヒータ80を介して印刷媒体5と共に表面上のトナー画像を、単位面積当たり熱量を16[ppm]の媒体搬送速度で搬送した場合と同等にして加熱して印刷画像を形成することができる。このようにしてプリンタ制御部50は、カラープリンタ1が、電源電圧値の異なる商用交流電源70の何れに接続された場合でも、サイズの異なる印刷媒体5の表面に印刷画像を的確に形成することができる。なお、第1の実施の形態では、第1力率改善回路71で電圧値が390[V]の直流電圧を生成し、DC−ACインバータ74で第1乃至第4ヒータ80乃至81への印可用に実効値が最大で100[V]のヒータ用交流電圧を生成するようにしたが、第1力率改善回路71で390[V]とは異なる電圧値の直流電圧を生成し、DC−ACインバータ74で第1乃至第4ヒータ80乃至81への印可用に100[V]とは異なる最大実効値のヒータ用交流電圧を生成するようにしても良い。
(1−3)第1の実施の形態の動作及び効果
以上の構成において、カラープリンタ1は、電源電圧値が100[V]及び200[V]の商用交流電圧の何れを供給する商用交流電源70に接続された場合でも、低圧電源56において第1力率改善回路71により当該交流電圧をスイッチングすると共に昇圧して電圧値が390[V]の直流電圧を生成する。またカラープリンタ1は、A2サイズ以下の印刷媒体5に印刷画像を形成する場合、商用交流電源70の電源電圧値によらず、DC−ACインバータ74により電圧値が390[V]の直流電圧をスイッチングすることにより、ヒータ用交流電圧の振幅を変調して実効値が0[V]乃至100[V]の範囲のヒータ用交流電圧を生成すると共に、当該生成したヒータ用交流電圧を定着ユニット15において、印刷画像を形成すべき印刷媒体5のサイズに対応する第2乃至第4ヒータ81乃至83に印可して発熱させる。そしてカラープリンタ1は、表面にトナー画像を転写した印刷媒体5を定着ユニット15において所定の媒体搬送速度で搬送しながら第2乃至第4ヒータ81乃至83を介して加熱して、当該印刷媒体5の表面にトナー画像を定着させて印刷画像を形成する。またカラープリンタ1は、電源電圧値が200[V]の商用交流電圧を供給する商用交流電源70に接続された状態で、A1サイズの印刷媒体5に印刷画像を形成する場合、DC−ACインバータ74により電圧値が390[V]の直流電圧をスイッチングすることにより、ヒータ用交流電圧の振幅を変調して実効値が0[V]乃至100[V]の範囲のヒータ用交流電圧を生成すると共に、当該生成したヒータ用交流電圧を定着ユニット15においてA1サイズの印刷媒体5に対応する第1ヒータ80に印可して発熱させる。そしてカラープリンタ1は、定着モータ53を制御することで、表面にトナー画像を転写した印刷媒体5を定着ユニット15において16[ppm]の媒体搬送速度で搬送しながら第1ヒータ80を介して加熱して、当該印刷媒体5の表面にトナー画像を定着させて印刷画像を形成する。これに対してカラープリンタ1は、電源電圧値が100[V]の商用交流電圧を供給する商用交流電源70に接続された状態で、A1サイズの印刷媒体5に印刷画像を形成する場合、DC−ACインバータ74により電圧値が390[V]の直流電圧をスイッチングすることにより、ヒータ用交流電圧の振幅を変調して実効値が0[V]乃至70[V]の範囲のヒータ用交流電圧を生成すると共に、当該生成したヒータ用交流電圧を定着ユニット15においてA1サイズの印刷媒体5に対応する第1ヒータ80に印可して発熱させる。そしてカラープリンタ1は、定着モータ53を制御することで、表面にトナー画像を転写した印刷媒体5を定着ユニット15において10[ppm]の媒体搬送速度で搬送しながら第1ヒータ80を介して加熱して、当該印刷媒体5の表面にトナー画像を定着させて印刷画像を形成する。
以上の構成によれば、カラープリンタ1は、A1サイズの印刷媒体5に対する印刷画像の形成時、商用交流電源70が供給する商用交流電圧の電源電圧値に応じて、第1ヒータ80の最大発熱温度を変更し、また当該第1ヒータ80により印刷媒体5を加熱する際の媒体搬送速度を変更して、最大限の機能を発揮させ、又は機能を制限することができ、その結果、商用交流電源70が供給する商用交流電圧の電源電圧値によらず、A1サイズからA4サイズまでの印刷媒体5に対して印刷画像を形成することができる。このためカラープリンタ1は、ユーザにより導入された際、100[V]用の商用交流電源70に接続されており、その後、ユーザにより200[V]用の商用交流電源70が用意されても、当該200[V]用の商用交流電源70に対応するカラープリンタ1を新たに導入させることなく、接続する商用交流電源70を変更させるだけで、使用させ続けることができる。よってカラープリンタ1は、ユーザの利便性を大幅に向上させることができる。またカラープリンタ1は、このようにマルチ電源に対応可能であるため、製造メーカにとっても、商用交流電源70の電源電圧値に応じて機能の異なるものを製造することなく利便性を向上させることができる。
またカラープリンタ1は、DC−ACインバータ74のスイッチング部75に、第1乃至第5スイッチング回路部214乃至218を設け、第1スイッチング回路部214により直流電圧をスイッチングしてヒータ用交流電圧の周波数を決定すると共に、その第1スイッチング回路部214と組み合わせて他の第2乃至第5スイッチング回路部215乃至218により当該直流電圧をスイッチングしてヒータ用交流電圧の振幅を変調するようにした。これによりカラープリンタ1は、DC−ACインバータ74において第1乃至第4ヒータ80乃至83に印可すべきヒータ用交流電圧の何れの生成にも第1スイッチング回路部214を共用する分、当該DC−ACインバータ74の構成を簡易化することができると共に、これら第1乃至第4ヒータ80乃至83に印可すべき所望の周波数及び所望の実効値のヒータ用交流電圧を容易に生成することができる。
(2)第2の実施の形態
(2−1)カラープリンタの構成
次いで、第2の実施の形態によるカラープリンタ400(図1乃至図3)の構成について説明する。カラープリンタ400は、低圧電源401に設けられるDC−ACインバータ402のスイッチング制御部403の構成を除いて、上述した第1の実施の形態によるカラープリンタ1と同様に構成されている。よって、以下には、第2の実施の形態によるカラープリンタ400において、DC−ACインバータ402のスイッチング制御部403の構成についてのみ説明し、これ以外の構成については、図1乃至図3を用いて上述した第1の実施の形態によるカラープリンタ1の構成を参照することとして、ここでの説明は省略する。
(2−2)DC−ACインバータのスイッチング制御部の構成
スイッチング制御部403は、基本的には上述した第1の実施の形態によるスイッチング制御部76と同様に構成されており、種々の実効値のヒータ用交流電圧の何れを生成する場合でも、スイッチング部75に対して、第1の実施の形態の場合と同様構成の第3及び第4スイッチング制御信号S3及びS4を与えている。またスイッチング制御部403は、第1乃至第4ヒータ80乃至83への印可用に実効値が100[V]のヒータ用交流電圧を生成する場合、スイッチング部75に対して、第1の実施の形態の場合と同様構成の第1及び第2スイッチング制御信号S1及びS2並びに第5乃至第10スイッチング制御信号S5乃至S10を与えている。ただし、スイッチング制御部403は、第1乃至第4ヒータ80乃至83への印可用に実効値が100[V]よりも低いヒータ用交流電圧を生成する場合、スイッチング部75に対して、ヒータ用交流電圧の1/2周期の波形の周波数を高くするように、デューティ比を調整して生成した第1及び第2スイッチング制御信号S1及びS2並びに第5乃至第10スイッチング制御信号S5乃至S10を与えている。これにより例えば、図16(A)乃至(C)に示すように、スイッチング制御部403は、スイッチング部75において直流電圧をスイッチングして、ヒータ用交流電圧を最大値は141[V]で一定にしつつ、50[Hz]の1/2周期の波形の幅を可変して生成する。すなわち、スイッチング制御部403は、実効値が100[V](最大値は141[V])のヒータ用交流電圧については、第1の実施の形態の場合と同様に50[Hz]の正弦波として生成する(図16(A))。またスイッチング制御部403は、実効値が70[V]のヒータ用交流電圧については、50[Hz]の周波数の1/2周期毎に、半波の波形(すなわち、1/2周期の波形)の周波数を50[Hz]の周波数よりも高くするように変調して、当該波形の幅を本来の幅(すなわち、周波数が50[Hz]の正弦波の場合の半波の波形の幅)よりもある程度狭めて生成する(図16(B))。さらにスイッチング制御部403は、実効値が30[V]のヒータ用交流電圧については、50[Hz]の周波数の1/2周期毎に半波の波形の周波数を50[Hz]の周波数よりも、さらに高くするように変調して、当該波形の幅を本来の幅よりも大幅に狭めて生成する(図16(C))。図17(A)乃至(F)及び図18に示すように、スイッチング制御部403は、このような実効値の異なるヒータ用交流電圧の生成を実現するため、実効値が100[V]のヒータ用交流電圧を生成する場合、第1及び第2スイッチング制御信号S1及びS2並びに第5乃至第10スイッチング制御信号S5乃至S10を、第1の実施の形態において実効値が100[V]のヒータ用交流電圧を生成する場合と同様のデューティ比(図18の10[msec]の欄に示すデューティ比)で生成している。またスイッチング制御部403は、例えば、実効値が70[V]のヒータ用交流電圧を生成する場合、第1及び第2スイッチング制御信号S1及びS2並びに第5乃至第10スイッチング制御信号S5乃至S10において、50[Hz]の1/2周期に対応する10[msec]の期間(以下、これを1/2周期対応期間とも呼ぶ)の前側7[msec]の部分については最大値が141[V]で7[msec]の幅の半波の波形を得るための「0」より大きい複数のデューティ比(図18の7[msec]の欄に示すデューティ比)を用いて生成すると共に、後側3[msec]の部分については「0」である複数のデューティ比(図18の7[msec]の欄に示すデューティ比)を用いて生成している(図17(C)及び(D))。さらにスイッチング制御部403は、例えば、実効値が30[V]のヒータ用交流電圧を生成する場合、第1及び第2スイッチング制御信号S1及びS2並びに第5乃至第10スイッチング制御信号S5乃至S10において、1/2周期対応期間の前側3[msec]の部分については最大値が141[V]で3[msec]の幅の半波の波形を得るための「0」より大きい複数のデューティ比(図18の3[msec]の欄に示すデューティ比)を用いて生成すると共に、後側7[msec]の部分については「0」である複数のデューティ比(図18の3[msec]の欄に示すデューティ比)を用いて生成している(図17(E)及び(F))。これによりスイッチング制御部403は、スイッチング部75により直流電圧を、第3及び第4スイッチング制御信号S3及びS4に応じてスイッチングしてヒータ用交流電圧の周波数を50[Hz]に決定すると共に、第1及び第2スイッチング制御信号S1及びS2並びに第5乃至第10スイッチング制御信号S5乃至S10によってもスイッチングすることにより、50[Hz]の1/2周期毎に半波の波形の周波数を変調(すなわち、可変)して0[V]乃至100[V]の範囲の所望の実効値のヒータ用交流電圧を生成している。
なお、図17には、1.8[kHz]の周波数で生成した第1及び第2スイッチング制御信号S1及びS2並びに第5乃至第10スイッチング制御信号S5乃至S10を簡略化して示しており、図18には、当該第1及び第2スイッチング制御信号S1及びS2並びに第5乃至第10スイッチング制御信号S5乃至S10を1.8[kHz]の周波数で生成する場合のデューティ比を示しているが、第1の実施の形態の場合と同様に、スイッチング制御部403が第1及び第2スイッチング制御信号S1及びS2並びに第5乃至第10スイッチング制御信号S5乃至S10を20[kHz]の周波数や、これ以上の周波数で生成することもできる。またスイッチング制御部403は、第1の実施の形態の場合と同様に、第1及び第2スイッチング制御信号S1及びS2並びに第5乃至第10スイッチング制御信号S5乃至S10を、予め保持しているデータテーブルに格納したデューティ比を用いて生成することもできるし、そのデューティ比を演算で求めて生成することもできる。さらにスイッチング制御部403は、第1の実施の形態の場合と同様に、第1乃至第4ヒータ80乃至83への通電開始時には突入電流を抑えるために、第1及び第2スイッチング制御信号S1及びS2並びに第5乃至第10スイッチング制御信号S5乃至S10のデューティ比を順次変えることで、徐々に実効値の大きいヒータ用交流電圧を生成して第1乃至第4ヒータ80乃至83に印可している。ただし、スイッチング制御部403は、第1乃至第4ヒータ80乃至83に対して、通電開始時には第1の実施の形態の場合と同様に、振幅を可変して生成した所望の実効値のヒータ用交流電圧を印可し、発熱温度がある程度まで上昇したら、上述したように周波数を可変して生成した所望の実効値のヒータ用交流電圧を印可するように、第1及び第2の実施の形態の構成を組み合わせて第1乃至第4ヒータ80乃至83の発熱を制御することもできる。因みに、スイッチング制御部403は、このように第1及び第2の実施の形態の構成を組み合わせて第1乃至第4ヒータ80乃至83の発熱を制御する場合、例えば、図18に示すデューティ比をデータテーブルとして予め保持していれば、図中の10[msec]の欄に示すデューティ比に、生成すべきヒータ用交流電圧の最大値に応じた係数を乗算して振幅変調用の所望のデューティ比を容易に得ることができ、そのデューティ比を用いて、振幅を可変して所望の実効値のヒータ用交流電圧を生成するための第1及び第2スイッチング制御信号S1及びS2並びに第5乃至第10スイッチング制御信号S5乃至S10を容易に生成することができる。またスイッチング制御部403は、第1乃至第4ヒータ80乃至83の通電開始時以外でも、第1及び第2の実施の形態の構成を組み合わせて第1乃至第4ヒータ80乃至83の発熱を制御することが可能である。
(2−3)第2の実施の形態の動作及び効果
以上の構成において、カラープリンタ400は、A2サイズ以下の印刷媒体5に印刷画像を形成する場合、商用交流電源70の電源電圧値によらず、DC−ACインバータ402により電圧値が390[V]の直流電圧をスイッチングすることにより、ヒータ用交流電圧の1/2周期の波形の周波数を変調して実効値が0[V]乃至100[V]の範囲のヒータ用交流電圧を生成すると共に、当該生成したヒータ用交流電圧を定着ユニット15において、印刷画像を形成すべき印刷媒体5のサイズに対応する第2乃至第4ヒータ81乃至83に印可して発熱させる。そしてカラープリンタ400は、表面にトナー画像を転写した印刷媒体5を定着ユニット15において所定の媒体搬送速度で搬送しながら第2乃至第4ヒータ81乃至83を介して加熱して、当該印刷媒体5の表面にトナー画像を定着させて印刷画像を形成する。またカラープリンタ400は、電源電圧値が200[V]の商用交流電圧を供給する商用交流電源70に接続された状態で、A1サイズの印刷媒体5に印刷画像を形成する場合、DC−ACインバータ402により電圧値が390[V]の直流電圧をスイッチングすることにより、ヒータ用交流電圧の1/2周期の波形の周波数を変調して実効値が0[V]乃至100[V]の範囲のヒータ用交流電圧を生成すると共に、当該生成したヒータ用交流電圧を定着ユニット15においてA1サイズの印刷媒体5に対応する第1ヒータ80に印可して発熱させる。そしてカラープリンタ400は、定着モータ53を制御することで、表面にトナー画像を転写した印刷媒体5を定着ユニット15において16[ppm]の媒体搬送速度で搬送しながら第1ヒータ80を介して加熱して、当該印刷媒体5の表面にトナー画像を定着させて印刷画像を形成する。これに対してカラープリンタ400は、電源電圧値が100[V]の商用交流電圧を供給する商用交流電源70に接続された状態で、A1サイズの印刷媒体5に印刷画像を形成する場合、DC−ACインバータ402により電圧値が390[V]の直流電圧をスイッチングすることにより、ヒータ用交流電圧の1/2周期の波形の周波数を変調して実効値が0[V]乃至70[V]の範囲のヒータ用交流電圧を生成すると共に、当該生成したヒータ用交流電圧を定着ユニット15において、そのA1サイズの印刷媒体5に対応する第1ヒータ80に印可して発熱させる。そしてカラープリンタ400は、定着モータ53を制御することで、表面にトナー画像を転写した印刷媒体5を定着ユニット15において10[ppm]の媒体搬送速度で搬送しながら第1ヒータ80を介して加熱して、当該印刷媒体5の表面にトナー画像を定着させて印刷画像を形成する。以上の構成によれば、カラープリンタ400は、上述した第1の実施の形態によって得られる効果と同様の効果を得ることができると共に、これに加えて第1乃至第4ヒータ80乃至83に実効値が異なっても最大値が等しいヒータ用交流電圧を印可して発熱させるため、これら第1乃至第4ヒータ80乃至83においてヒータ用交流電圧の印可による特性変動が生じることを回避することができる。
(3)他の実施の形態
(3−1)他の実施の形態1
なお上述した第1及び第2の実施の形態においては、DC−ACインバータ74、402にスイッチング部75及びスイッチング制御部76、403を設け、そのスイッチング制御部76によりスイッチング部75を制御するようにした場合について述べた。しかしながら本発明は、これに限らず、DC−ACインバータ74、402にスイッチング制御部76、403を設けずに、プリンタ制御部50により、スイッチング制御部76、403と同様に、DC−ACインバータ74、402のスイッチング部75を制御するようにしても良い。本発明は、係る構成によれば、DC−ACインバータ74、402の構成を簡易化することができる。
(3−2)他の実施の形態2
また上述した第2の実施の形態においては、DC−ACインバータ402により直流電圧をスイッチングして、ヒータ用交流電圧の1/2周期の波形の周波数(すなわち、幅)を変調して所望の実効値のヒータ用交流電圧を生成するようにした場合について述べた。しかしながら本発明は、これに限らず、DC−ACインバータ402においてスイッチング制御部403からスイッチング部75に対し例えば、第1の実施の形態と同様構成の第1及び第2スイッチング制御信号S1及びS2並びに第5乃至第10スイッチング制御信号S5乃至S10を与えると共に、論理「H」レベルへの立上期間はそのままに当該立上期間の周期を可変した(すなわち、時間的に前後する論理「H」レベルの期間の間に論理「L」レベルの期間を1又は複数挿入する)第3及び第4スイッチング制御信号S3及びS4を与えて直流電圧をスイッチングすることにより、1周期の正弦波の幅は可変せずに当該1周期の正弦波の出現間隔を可変してヒータ用交流電圧を生成するようにしても良い。本発明は、係る構成によれば、従来の一般的な波数制御と同様に所望の実効値のヒータ用交流電圧を生成することができると共に、第1力率改善回路71により生成した直流電圧をもとに、そのヒータ用交流電圧を生成するため、商用交流電源70に接続される他の機器でフリッカ等が発生することも回避することができる。
(3−3)他の実施の形態3
さらに上述した第1及び第2の実施の形態においては、本発明による画像形成装置を、図1乃至図18について上述した一次転写方式のカラープリンタ1、400に適用するようにした場合について述べた。しかしながら本発明は、これに限らず、二次転写方式のカラープリンタや、画像形成ユニットが1個だけ設けられるモノクロ用電子写真式プリンタ(以下、これをモノクロプリンタとも呼ぶ)、A1サイズ対応の第1ヒータ80のみが設けられたカラープリンタ又はモノクロプリンタ、MFP(Multi-Function Peripheral)、ファクシミリ、複合機、複写機等のように、この他種々の構成の画像形成装置に広く適用することができる。
(3−4)他の実施の形態4
さらに上述した第1及び第2の実施の形態においては、媒体を加熱するヒータとして、図1乃至図18について上述したハロゲンヒータである第1乃至第4ヒータ80乃至83を適用するようにした場合について述べた。しかしながら本発明は、これに限らず、少なくとも1個以上のハロゲンヒータやセラミックヒータのように、この他種々の構成のヒータを広く適用することができる。
(3−5)他の実施の形態5
さらに上述した第1及び第2の実施の形態においては、商用交流電源から供給される商用交流電圧をスイッチングして電圧を出力するスイッチング部と、当該スイッチング部から出力される電圧を昇圧する昇圧部と、当該昇圧部により昇圧された電圧を平滑化して直流電圧を生成する平滑部とを有する力率改善部として、図1乃至図18について上述した第1力率改善回路71を適用するようにした場合について述べた。しかしながら本発明は、これに限らず、例えば、ブリッジレス力率改善回路等のように、図5に示す構成とは異なる他の種々の構成の力率改善部を広く適用することができる。
(3−6)他の実施の形態6
さらに上述した第1及び第2の実施の形態においては、力率改善部から供給される直流電圧をスイッチングしてヒータ用交流電圧を生成するインバータとして、図1乃至図18について上述したDC−ACインバータ74を適用するようにした場合について述べた。しかしながら本発明は、これに限らず、スイッチング制御部76が設けられず、プリンタ制御部50によって制御されるDC−ACインバータや、第2乃至第5スイッチング回路部215乃至218毎にヒータ用交流電圧の周波数を決定するための第1スイッチング回路部214が1対1対応で専用に設けられるDC−ACインバータ等のように、この他種々の構成のインバータを広く適用することができる。
(3−7)他の実施の形態7
さらに上述した第1及び第2の実施の形態においては、商用交流電源から供給される商用交流電圧の電源電圧値を検出する検出部として、図1乃至図18について上述した第2分圧回路104、第5分圧回路153、コンパレータ150、プルアップ抵抗154、フォトカプラ162、抵抗163及びプルアップ抵抗164からなる検出部を適用するようにした場合について述べた。しかしながら本発明は、これに限らず、第1力率改善回路71以外の回路ブロックに設けられる検出部や他の構成の検出部を広く適用することができる。
(3−8)他の実施の形態8
さらに上述した第1及び第2の実施の形態においては、検出部により検出された電源電圧値に応じて、ヒータ用交流電圧の最大の実効値を変化させるようにインバータを制御する制御部として、図1乃至図18について上述したプリンタ制御部50及びスイッチング制御部76、403を適用するようにした場合について述べた。しかしながら本発明は、これに限らず、DC−ACインバータ74、402内のスイッチング制御部76、403のみや、プリンタ制御部50のみ、またプリンタ制御部50及びスイッチング制御部76、403以外の、検出部により検出された電源電圧値に応じて、ヒータ用交流電圧の最大の実効値を変化させるようにインバータを制御する専用の制御部等のように、この他種々の構成の制御部を広く適用することができる。
(3−9)他の実施の形態9
さらに上述した第1及び第2の実施の形態においては、検出部により検出された電源電圧値を通知する電圧値通知部として、図1乃至図18について上述した表示部4を適用するようにした場合について述べた。しかしながら本発明は、これに限らず、電源電圧値を通知するための合成音声を出力するスピーカや、電源電圧値を通知する発光素子等のように、この他種々の構成の電圧値通知部を広く適用することができる。
(3−10)他の実施の形態10
さらに上述した第1及び第2の実施の形態においては、検出部により検出された電源電圧値に応じて制御される媒体搬送速度を通知する速度通知部として、図1乃至図18について上述した表示部4を適用するようにした場合について述べた。しかしながら本発明は、これに限らず、媒体搬送速度を通知するための合成音声を出力するスピーカや、媒体搬送速度を通知する発光素子等のように、この他種々の構成の速度通知部を広く適用することができる。