JP2016085240A - 光学塗膜、光学塗膜の製造方法、及び反射防止膜 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】基材上に形成される塗膜よりなる光学塗膜であって、前記塗膜中の空隙(X)の長径(L)と短径(D)とが1<L/D<3であり、20°光沢値が10以下である光学塗膜。
【選択図】なし
Description
れている。
また、特許文献5〜7に開示されている方法で得られた多孔体は、機械的強度に乏しいという問題を有している。さらに、特許文献8及び10に開示されている反射防止膜は、耐候性に改善の余地があるという問題を有している。さらにまた、特許文献9、特許文献11に開示されている塗膜は、斜めから入射する光に対する反射防止特性に改善の余地があるという問題を有している。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
基材上に形成される塗膜よりなる光学塗膜であって、
前記塗膜中の空隙(X)の長径(L)と短径(D)とが1<L/D<3であり、20°光沢値が10以下である光学塗膜。
〔2〕
前記光学塗膜が、金属酸化物(A)及び重合体エマルジョン粒子(B)を含むコーティング組成物を塗布し、乾燥して形成される光学塗膜の前駆体を、500℃以上の温度で焼結することにより形成されたものである、前記〔1〕に記載の光学塗膜。
〔3〕
金属酸化物(A)と重合体エマルジョン粒子(B)とを含むコーティング組成物を塗布
し、25℃で10分以内に乾燥して、光学塗膜の前駆体を形成する工程と、前記前駆体を500℃以上の温度で焼結し、光学塗膜を形成する工程とを有する、光学塗膜の製造方法。
〔4〕
前記光学塗膜が反射防止膜である、前記〔1〕乃至〔3〕のいずれか一に記載の光学塗
膜。
〔5〕
前記〔4〕に記載の反射防止膜を含む太陽電池用ガラス。
〔6〕
前記〔4〕に記載の反射防止膜を含む太陽電池モジュール。
〔7〕
前記〔4〕に記載の反射防止膜を含む太陽電池用集光レンズ。
〔8〕
前記〔4〕に記載の反射防止膜を含む太陽熱発電用鏡。
〔9〕
前記〔4〕に記載の反射防止膜を含む太陽熱発電用集光ガラスチューブ。
本実施形態の光学塗膜は、所定の基材上に形成される塗膜よりなり、当該塗膜中には、少なくとも、長径(L)とそれと直交する短径の最大値(D)の平均値(以下、「空隙サイズ」と記載する場合がある。):((L+D)/2)が、20nm以上の空隙(X)を有する。
また、前記空隙(X)の長径(L)と短径(D)とが、1<L/D<3である。
前記空隙(X)が前記基材との界面において、当該基材と非接触である。
本実施形態の光学塗膜は、所定の基材上に形成されている塗膜よりなる。
基材は、本実施形態の光学塗膜の用途に応じて、種々選択可能である。
基材としては、以下に限定されるものではないが、金属、それらの組み合わせがいずれも適用でき、具体的には、太陽電池用の部材(ガラス、及びモジュール等)、太陽電池用集光レンズ、光電池、液晶ディスプレイ、メガネ、窓ガラス、テレビ等、光透過性の向上及び/又は映り込みの防止を必要としている各種の部材が挙げられる。
その他、太陽光発電用保護材、集光型太陽光発電用ミラー、太陽熱発電用ミラー、太陽チューブ、建築物、鋼構造物、建材、プラスチック、自動車等も基材として挙げられる。
本実施形態の光学塗膜は、当該塗膜中に所定の空隙(X)を有している。
当該空隙(X)は、長径(L)とそれと直交する短径の最大値(D)(以下、単に「短径(D)」と記載する場合がある。)との平均値(空隙サイズ):((L+D)/2)が、20nm以上である。
前記空隙(X)の空隙サイズが20nm以上であることにより、高い反射防止の効果が得られる。前記空隙(X)の空隙サイズは、30nm以上であることが好ましく、40nm以上であることがより好ましい。
ここで、「短径の最大値」とは、空隙の長径(X)に直交する径が複数ある場合、それらの中で最大のものを言う。
前記空隙(X)の空隙サイズを、20nm以上に制御するための方法としては、空隙形成材として用いる後述する重合体エマルジョン粒子(B)の組成を制御する方法、重合体エマルジョン粒子(B)のサイズを制御する行う方法、及び塗膜形成時の乾燥温度、乾燥時間、焼結温度や昇温速度を制御する方法等が挙げられる。
なお、本実施形態の光学塗膜は、上記空隙サイズが20nm以上の空隙(X)以外の空隙を有していてもよい。
前記L/Dは1.2<L/D<2.5であることが好ましく、1.4<L/D<2であることがより好ましい。
前記空隙(X)の長径(L)と、短径(D)との比率を1<L/D<3に制御する方法としては、後述する重合体エマルジョン粒子(B)の架橋度を制御する方法や、乾燥温度、乾燥時間、焼結時の昇温速度を制御する方法が挙げられる。
また、前記空隙(Y)は、前記空隙(X)の周囲に有することが好ましい。ここで「周囲」とは、空隙(X)の表面に直接接触しているか、あるいは化学的に相互作用ができる程度の距離に存在することを意味し、これにより、塗膜強度の向上効果が得られる。
空隙(Y)の空隙サイズは、10nm以下であることが好ましく、5nm未満であることがより好ましい。
空隙(Y)を空隙(X)の周囲に形成し、かつ空隙(Y)の空隙サイズを20nm未満に制御する方法としては、後述する金属酸化物(A)の粒子径や、後述する加水分解性珪素化合物(C)の添加量を制御する方法が挙げられる。
本実施形態の光学塗膜は、前記コーティング組成物中に、金属酸化物(A)及び重合体エマルジョン粒子(B)を含むことにより、金属酸化物(A)と重合体エマルジョン粒子(B)とのヘテロ凝集、又は金属酸化物(A)同士の凝集を形成させることができる。
焼結により(B)成分が除去される結果、空隙(X)、場合に応じて空隙(Y)が形成され、少なくとも空隙(X)は(A)成分の粒子間の空隙として形成される。
コーティング組成物中に加水分解性珪素化合物(C)を含むことにより、前記空隙サイズが20nm未満の空隙(Y)に、前記加水分解性珪素化合物(C)を浸透させることができ、当該空隙(Y)の空隙サイズを制御することができる。
前記コーティング組成物に含まれる金属酸化物(A)は、球状の金属酸化物(a1)及び/又はアスペクト比(長径/短径)が3〜25の非球状の金属酸化物(a2)を含むことが好ましい。
ここで、球状の金属酸化物(a1)及び非球状の金属酸化物(a2)のアスペクト比は、透過型顕微鏡(TEM)で撮影された金属酸化物粒子の短径と長径とを測定し、当該測定値から長径/短径を算出することにより求められる。
なお、短径及び長径とは、各々順に、金属酸化物粒子に外接する面積が最小となる外接長方形の短辺及び長辺である。
ここで、球状の金属酸化物(a1)の平均粒子径とは、当該粒子が一次粒子の形で存在している場合には一次粒子径を、凝集粒子の形で存在している場合は凝集粒子径(二次粒子径)の平均粒子径であるものとし、当該平均粒子径は、以下の方法により求めることができる。
本実施形態の光学塗膜を形成する前記コーティング組成物に含まれる重合体エマルジョン粒子(B)は、所定の重合体により構成されている。
当該重合体としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリ(メタ)アクリレート系、ポリ(メタ)アクリレート−シリコーン系共重合体、ポリビニルアセテート系、ポリブタジエン系、ポリ塩化ビニル系、塩素化ポリプロピレン系、ポリエチレン系、ポリスチレン系、ポリスチレン−(メタ)アクリレート系共重合体、ロジン系誘導体、スチレン−無水マレイン酸共重合体のアルコール付加物等から構成される重合体等が挙げられる。
ビニル単量体(b2)には、後述する2級及び/又は3級アミド基を有するビニル単量体(b2−2)や、アミノ基を有するビニル単量体、これらと共重合可能なその他のビニル単量体(b3)が含まれ得る。
また、当該ビニル単量体(b2)の質量比率は、焼結残分のムラが少なく、外観の良好な塗膜を形成する観点から、重合体エマルジョン粒子(B)中において20質量%以上であることが好ましく、40質量%以上であることがより好ましく、50質量%以上であることがさらに好ましい。
重合体エマルジョン粒子(B)は、前記(b1)と(b2−2)とが重合したもの、(b1)、(b2−2)がそれぞれ重合したものの混合物、複合物のいずれであってもよく、これらの併用であってもよい。
(式(1)中、Wは炭素数1〜20のアルコキシ基、水酸基、炭素数1〜20のアセトキシ基、ハロゲン原子、水素原子、炭素数1〜20のオキシム基、エノキシ基、アミノキシ基、アミド基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基を表す。Rは、直鎖状又は分岐状の炭素数が1〜30個のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、及び置換されていないか又は炭素数1〜20のアルキル基若しくは炭素数1〜20のアルコキシ基若しくはハロゲン原子で置換されている炭素数6〜20のアリール基からなる群より選ばれる少なくとも1種の炭化水素基を表す。xは1以上4以下の整数であり、yは0以上3以下の整数である。また、x+y=4である。)
加水分解性珪素化合物(b1)は、縮合生成物として使用してもよく、かかる場合、縮合生成物のGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)測定によるポリスチレン換算重量平均分子量は、好ましくは200〜5000、より好ましくは300〜1000である。
なお、重合体エマルジョン粒子(B)の質量は、上述した2級及び/又は3級アミド基を有するビニル単量体(b2−2)や、アミノ基を有するビニル重合体(b2−3)、これらと共重合可能なその他のビニル単量体(b3)、さらには加水分解性珪素化合物(b1)が全て重合した場合に得られる重合生成物の質量であるものとする。
前記加水分解性珪素化合物(b1)の含有量は、重合安定性の観点から、重合体エマルジョン粒子(B)100質量%に対して、0.01質量%以上50質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以上30質量%以下がより好ましい。
なお、前記(b1)や(b2−2)等は、水素結合や化学結合等の各種結合によって複合化されていることが好ましいが、その結合の形態や状態等について何らかの限定を行うものではない。さらに、重合体エマルジョン粒子(B)中の一部分のみにおいて上記したような複合化が行われていてもよい。
アルキル部の炭素数が1〜50の(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸メチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ドデシル等が挙げられる。
前記エチレンオキシド基の数が1〜100個の(ポリ)オキシエチレンジ(メタ)アクリレートとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、ジ(メタ)アクリル酸エチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ジエチレングリコール、メトキシ(メタ)アクリル酸ジエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸テトラエチレングリコール等が挙げられる。
なお、本明細書中で、(メタ)アクリルとはメタアクリル又はアクリルを簡便に表記したものである。
当該芳香族ビニル化合物は、重合体エマルジョン粒子(B)を構成する全ビニル単量体中において好ましくは0〜99.9質量%、より好ましくは5〜80質量%である。
当該シアン化ビニル化合物は、重合体エマルジョン粒子(B)を構成する全ビニル単量体中において好ましくは0〜99.9質量%、より好ましくは5〜80質量%である。
乳化剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルスルホン酸、アルキルスルホコハク酸、ポリオキシエチレンアルキル硫酸、ポリオキシエチレンアルキルアリール硫酸、ポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテルスルホン酸等の酸性乳化剤;酸性乳化剤のアルカリ金属(Li、Na、K等)塩、酸性乳化剤のアンモニウム塩、脂肪酸石鹸等のアニオン性界面活性剤;アルキルトリメチルアンモニウムブロミド、アルキルピリジニウムブロミド、イミダゾリニウムラウレート等の四級アンモニウム塩、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩型のカチオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテル等のノニオン型界面活性剤やラジカル重合性の二重結合を有する反応性乳化剤等が挙げられる。
これらの中で、重合触媒のみならず乳化剤としての作用を有する観点から、酸性乳化剤類が好ましく、炭素数が5〜30のアルキルベンゼンスルホン酸がより好ましい。
なお、重合体エマルジョン粒子(B)の数平均粒子径は、後述の実施例に記載する方法により測定することができる。
前記シード(核)となる物質は、特に限定されず、公知のものを用いることもでき、反応条件等に応じて適宜選択することができる。
重合反応は、系中のpHが好ましくは1.0〜10.0、より好ましくは1.0〜6.0の範囲で進行させればよい。pHは、燐酸二ナトリウムやボラックス、又は、炭酸水素ナトリウム、アンモニア等のpH緩衝剤を用いて調節することが可能である。
さらには、重合体エマルジョン粒子(B)は、コア層とシェル層とにおいて、柔軟性が異なるものであることが好ましく、空隙形成の観点からシェル層がコア層よりも硬度が高いことがより好ましい。つまりコア層がシェル層よりも柔軟であることが好ましい。
硬度は、シェル層に加水分解性珪素化合物(b1)を含有させることにより制御できる。
コア層中のビニル単量体(b2)に限れば70質量%以上が好ましく、より好ましくは80質量%以上、さらには好ましくは90質量%以上である。
空隙(X)は、その全部又は一部が、空気層が充填されており、屈折率が1に極めて近い。
空隙(X)の空隙サイズは、長径(L)とそれと直交する短径の最大値(D)との平均値から求めることができる。
空隙(X)の空隙サイズは、20nm≦((L+D)/2)であり、(L+D)/2>20nmであることが好ましく、塗膜の膜厚(d)との関係においては、d>(L+D)/2であることが好ましい。
塗膜の20°光沢値としては10以下が好ましい。より好ましくは9以下、さらに好ましくは8以下である。光沢値が10を超えると斜めからの入射光に対する反射防止性が十分ではない。
本実施形態の光学塗膜は、上述した金属酸化物(A)、重合体エマルジョン粒子(B)に加え、加水分解性珪素化合物(C)を、さらに含有してもよい。
当該加水分解性珪素化合物(C)は、下記式(2)、(3)、及び(4)で表される化合物からなる群より選ばれる1種類以上の加水分解性珪素化合物であることが好ましい。
なお、上述した(b1)加水分解性珪素化合物は、重合体エマルジョン粒子(B)を構成する成分であり、当該(B)成分中に一体として組み込まれており、前記加水分解性珪素化合物(C)は、(A)成分及び(B)成分とは別個独立して添加されるものであり、上述した(b1)加水分解性珪素化合物とは明確に区別される。
(式(2)中、R1は水素原子、ハロゲン基、ヒドロキシ基、メルカプト基、アミノ基、(メタ)アクリロイル基、及びエポキシ基からなる群より選ばれるいずれかを有してもよい、炭素数1〜10のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基又はアリール基を表す。Xは、加水分解性基を表し、nは0〜3の整数である。)
(式(3)中、X3は加水分解性基を表し、R2は炭素数1〜6のアルキレン基又はフェニレン基を表す。nは0又は1である。)
(式(4)中、R3は炭素数1〜6のアルキル基を表す。nは2〜8の整数である。)
本実施形態の光学塗膜を形成するコーティング組成物は、金属酸化物(A)と重合体エマルジョン粒子(B)との質量比率((A):(B))が、1:0.05〜1:10であることが好ましく、1:0.1〜1:5であることがより好ましく、1:0.5〜1:3であることがさらに好ましい。
金属酸化物(A)と加水分解性珪素化合物(C)との質量比率((A):(C))は、強度の観点から、1:0.05〜1:10であることが好ましく、1:0.1〜1:5であることがより好ましく、1:0.5〜1:2であることがさらに好ましい。
または、加水分解性珪素化合物(C)の加水分解縮合物(C’)が、重合体エマルジョン粒子の重合体粒子(B’)の表面に球状の金属酸化物(a1)を介して非球状の金属酸化物(a2)が結合している前駆体から空隙(X)を形成される構造体を有していることが好ましい。
本実施形態の光学塗膜は、金属酸化物(A)と、重合体エマルジョン粒子(B)と、必要に応じて加水分解性珪素化合物(C)を含むコーティング組成物を調製し、当該コーティング組成物を塗布して乾燥し、前駆体を形成する工程と、当該前駆体を500℃以上の温度で焼結する工程とにより製造することができる。
コーティング組成物は、金属酸化物(A)、好ましくは球状の金属酸化物(a1)及び/又はアスペクト比(長径/短径)が3〜25の非球状の金属酸化物(a2)とを含む金属酸化物(A)と、重合体エマルジョン粒子(B)とを配合して混合物を得る第1の工程と、当該混合物に酸を添加する第2の工程により、調製することが好ましい。
前記「酸」として、加水分解触媒、縮合触媒としての酸を添加する場合、配合安定性の観点から、先に金属酸化物(A)及び重合体エマルジョン粒子(B)を配合した後に、当該酸を添加することが好ましい。あるいは、金属酸化物(A)の等電点まで酸を添加することで凝集させた後、塩基で中和して安定化させてから重合体エマルジョン粒子(B)を加えてもよい。あるいは重合体エマルジョン粒子(B)と加水分解性ケイ素化合物(C)とを配合して重合体エマルジョン粒子(B)の周囲に加水分解して縮合した(C)でコーティングしてもよい。
固形分が15質量%以下であると、乾燥後の膜厚を所望の膜厚に制御することが容易となり好ましい。また、固形分が0.1質量%以上であると、所望の乾燥膜厚を得るためにコーティング組成物を厚く塗装する必要がなく、膜厚の制御が容易になり好ましい。
上述のコーティング組成物の粘度としては、好ましくは20℃において0.1〜2000mPa・sであり、好ましくは1〜100mPa・s、さらに好ましくは2〜10mPa・sである。
上述のようにして調製したコーティング組成物を、目的とする所定の材料(基材と記載する。)上に塗布する。
上述のコーティング組成物を基材に塗布する方法としては、特に限定されないが、例えば、スプレー吹き付け法、フローコーティング法、ロールコート法、刷毛塗り法、ディップコーティング法、スピンコーティング法、スクリーン印刷法、キャスティング法、グラビア印刷法、フレキソ印刷法等が挙げられる。生産性の観点からロールコート、スクリーン印刷、グラビア印刷が好ましい。さらには大判の基材上へ塗装する目的ではロールコート法が好ましい。
上述のコーティング組成物を基材に塗布する膜厚としては、100μm以下が好ましく、より好ましくは50μm以下、さらに好ましくは15μm以下が好ましい。
100μmを超えると均一な塗膜が得られず部分的に厚い膜が形成され外観上好ましいとは言えない。
上記のようにコーティング組成物を基材上に塗布した後、乾燥させ、光学塗膜の前駆体を形成する。
前記乾燥方法としては、特に限定されないが、例えば、自然乾燥、冷風乾燥、熱風乾燥、赤外線乾燥等、これらの組み合わせが挙げられる。
前記乾燥温度としては、5〜500℃が好ましく、10〜300℃がより好ましく、20〜200℃がさらに好ましく、25℃〜150℃がさらにより好ましい。
乾燥時間は25℃で0.1分〜60分が好ましい。より好ましくは1分〜45分、さらに好ましくは3分〜20分である。
さらに、前記光学塗膜の前駆体を、空隙形成工程として500℃以上の温度で焼結する。
好ましくは、500℃〜900℃、より好ましくは600℃〜800℃、さらに好ましくは、650℃〜750℃で焼結し、塗膜中に空隙を形成することが可能である。熱処理の他に高圧水銀灯等の紫外線照射等で焼結を行うこともできる。
であることが好ましい。
本実施形態の光学塗膜は、耐候性の観点から、基材上に形成される塗膜であって、金属酸化物(A)及び/又は加水分解性珪素化合物(C)の加水分解縮合物(C’)が、直接基材に結合していることが好ましい。
該反射防止膜の表面水接触角は、例えば40°以下であると親水性の汚れを防ぐ効果があり、40°以上であると親油性の汚れがふき取りやすくなる効果がある。
なお、本実施の形態において、表面水接触角は後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
本実施形態の光学塗膜は、透明性、反射防止特性に優れているので、各種用途の反射防止膜として用いることができる。
具体的には、太陽電池用の部材(ガラス、及びモジュール等)、太陽電池用集光レンズ、太陽熱発電用鏡、太陽熱発電用集光ガラスチューブ、光電池、液晶ディスプレイ、メガネ、窓ガラス、テレビ等において、光透過性の向上及び/又は映り込みの防止を必要としている部材の反射防止膜として用いることができる。
((1)平均粒子径(nm)の測定)
金属酸化物(A)について、50,000〜100,000倍に拡大し、球状の金属酸化物(A)の粒子が100個〜200個写るように調整して透過型顕微鏡写真を撮影した。
次いで、撮影された各金属酸化物(A)の粒子径(長径と短径)を測定し、それらの平均値((長径+短径)/2)を求め、平均粒子径とした。
後述する実施例及び比較例で製造した試験板について、日本国日本電色工業株式会社製濁度計NDH2000を用いて、JIS K7361−1に規定される方法により、全光線透過率を測定した。
後述する実施例及び比較例で製造した光学塗膜から、JIS S6006が規定する試験用鉛筆を製造し、当該試験用鉛筆を用いて、JIS K5400に規定される鉛筆硬度の評価方法に従い、1kg荷重における鉛筆硬度を評価した。
後述する実施例及び比較例で製造した光学塗膜の表面に脱イオン水の滴(1.0μL)を乗せ、25℃で10秒間放置した。その後、日本国協和界面科学製CA−X150型接触角計を用いて初期接触角を測定した。光学塗膜に対する水の接触角が小さいほど、光学塗膜表面の親水性が高いと評価した。
後述する実施例及び比較例で製造した試験板について、加速環境試験器(エスペック(株)製、EHS−411)を用い、温度135℃、湿度85%の環境下、4時間放置する耐候性試験を行った。なお、耐候性試験後の試験板の全光線透過率を上記(2)に記載した方法に従い測定した。
「カンタクロム社製オートソーブ−1」を用い、窒素吸着法によって空隙の容積を測定し、空隙サイズを求めた。
塗膜断面の透過型顕微鏡写真を撮影し、撮影された空隙の長径、短径を3点測定し、これらの平均値をそれぞれ長径(L)、短径(D)として求め、かつ当該平均値のL/Dを求めた。
後述する合成例により製造した重合体エマルジョン粒子(B)の数平均粒子径は、動的光散乱式粒度分布測定装置(日機装社製、商品名マイクロトラックUPA)により測定した。
後述する実施例及び比較例により製造した試験板の、耐候性試験前後の全光線透過率、基材の全光線透過率を用いて、下記式(6)、(7)により、AR値(%)、AR変化率(%)を算出した。
光沢計(BYK−Gardner社製 マイクロトリーグロスμ)を用いて基材の下に白紙を敷いて20°光沢値を測定した。
以下、後述する実施例及び比較例において用いた重合体エマルジョン粒子(B)の合成例を記載する。
<重合体エマルジョン粒子(B−2)水分散体の合成>
還流冷却器、滴下槽、温度計及び撹拌装置を有する反応器に、イオン交換水1600g、及びドデシルベンゼンスルホン酸12gを投入した後、撹拌しながら80℃に加温して混合液(1)を得た。
得られた混合液(1)に、コア層としてジメチルジメトキシシラン185g及びフェニルトリメトキシシラン(b1−3)151gの混合液(2)を、反応容器中の温度を80℃に保った状態で約2時間かけて滴下して混合液(3)を得た。
その後、反応容器中の温度が80℃の状態で混合液(3)を約1時間撹拌した。
次に、得られた混合液(3)に、シェル層としてアクリル酸ブチル150g、テトラエトキシシラン(b1−3)30g、フェニルトリメトキシシラン(b1−3)145g、及び3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(b1−3)1.3gの混合液(4)と、ジエチルアクリルアミド165g、アクリル酸3g、反応性乳化剤(商品名「アデカリアソープSR−1025」、旭電化(株)製、固形分25質量%水溶液)13g、過硫酸アンモニウムの2質量%水溶液40g、及びイオン交換水1900gの混合液(5)とを、反応容器中の温度を80℃に保った状態で約2時間かけて同時に滴下して混合物(6)を得た。
さらに熱養生として、反応容器中の温度が80℃の状態で混合物(6)を約2時間撹拌した。
その後、混合物(6)を室温まで冷却し、100メッシュの金網で濾過し、製水で濃度を調整して数平均粒子径40nmの重合体エマルジョン粒子(B−2)の水分散体(固形分10質量%、pH3.2)を得た。
<重合体エマルジョン粒子(B−3)水分散体の合成>
還流冷却器、滴下槽、温度計及び撹拌装置を有する反応器に、イオン交換水2600g、及びドデシルベンゼンスルホン酸13g、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルの25%水溶液(エマルゲン950、花王(株)製)20部を投入した後、撹拌しながら80℃に加温して混合液(1)を得た。
得られた混合液(1)に、コア層としてメタクリル酸18g、メタクリル酸メチル216g、アクリル酸ブチル216g、及び3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(b1−3)6.9g、メチルトリメトキシシラン101g、過硫酸アンモニウムの2質量%水溶液40g、の混合液(2)を反応容器中の温度を80℃に保った状態で約2時間かけて滴下して混合液(3)を得た。
その後、反応容器中の温度が80℃の状態で混合液(3)を約1時間撹拌した。
次に、得られた混合液(3)に、シェル層としてアクリル酸ブチル245g、メタクリル酸メチル245g、アクリル酸10g、反応性乳化剤(商品名「アデカリアソープSR−1025」、旭電化(株)製、固形分25質量%水溶液)13g、過硫酸アンモニウムの2質量%水溶液40g、及びイオン交換水1900gの混合液(4)とを、反応容器中の温度を80℃に保った状態で約2時間かけて同時に滴下して混合物(5)を得た。
さらに熱養生として、反応容器中の温度が80℃の状態で混合物(5)を約2時間撹拌した。
その後、混合物(5)を室温まで冷却し、100メッシュの金網で濾過し、精製水で濃度を調整して数平均粒子径130nmの重合体エマルジョン粒子(B−3)の水分散体(固形分10質量%、pH3.2)を得た。
光学塗膜形成用の樹脂粒子(B)として、光学塗膜形成用の樹脂粒子(B−1)(アクリルエマルジョン、固形分32%、pH7.7、粘度150mPa・s、酸価39、ガラス転移温度74℃、最低成膜温度−10℃、粒子径100nm)を用いた。
球状の金属酸化物(A)の原料として平均粒子径5nmの水分散コロイダルシリカ(商品名「スノーテックスOXS」(ST−OXS)、日産化学工業(株)製、固形分10質量%)を用いた。
加水分解性珪素化合物(C)としてテトラメトキシシランオリゴマーMS56(三菱化
学(株)製)を用いた。
その後、0.01N塩酸水溶液でpHを2.5に調整し、さらに固形分が2%となるように20%エタノール水で調整してコーティング組成物を得た。
基材(5cm×5cmのエンボスガラス)に、上記コーティング組成物を、スピンコーターを用いて膜厚が150nmとなるよう塗布した後、25℃で3分間乾燥し、光学塗膜形成用前駆体を得た。
さらに電気炉中で600℃、3分間焼結した後に急冷してから塗膜を有する試験板を得た。
なお、(B’)は、前記焼結後に得られる光学塗膜形成用の樹脂粒子(B)に由来する重合体粒子であり、(C’)は、前記焼結後に得られる加水分解性珪素化合物(C)の加水分解縮合物とする。評価結果を表1に示す。
光学塗膜形成用の樹脂粒子(B)として、光学塗膜形成用の樹脂粒子(B−2)(アクリルエマルジョン、固形分32%、pH7.7、粘度150mPa・s、酸価39、ガラス転移温度74℃、最低成膜温度−10℃)と加水分解性珪素化合物(C)としてテトラメトキシシランオリゴマーMS56(三菱化学(株)製)を配合し、その後、0.01N塩酸水溶液でpHを2.5に調整し、樹脂粒子(B)の表面をコーティングした。さらに固形分が2%となるように20%エタノール水で調整してコーティング組成物を得た。
基材(5cm×5cmのエンボスガラス)に、上記コーティング組成物を、スピンコーターを用いて膜厚が150nmとなるよう塗布した後、25℃で3分間乾燥し、光学塗膜形成用前駆体を得た。
さらに電気炉中で600℃、3分間焼結した後に急冷してから塗膜を有する試験板を得た。
なお、(B’)は、前記焼結後に得られる光学塗膜形成用の樹脂粒子(B)に由来する重合体粒子であり、(C’)は、前記焼結後に得られる加水分解性珪素化合物(C)の加水分解縮合物とする。評価結果を表1に示す。
重合体エマルジョン粒子(B)として(合成例1)で合成した重合体エマルジョン粒子(B−2)の水分散体を用いた。球状の金属酸化物(A)の原料として平均粒子径5nmの水分散コロイダルシリカ(商品名「スノーテックスOXS(表1中、「ST−OXS」と記載する)」、日産化学工業(株)製、固形分10質量%)を用いた。
加水分解性珪素化合物(C)としてテトラエトキシシラン(信越化学工業(株)製)を用いた。
これらを、表1に記載の固形分質量比で混合し、固形分2%となるように20%エタノール水で調整した後、攪拌し、コーティング組成物を得た。
このとき塗膜中の組成比(コーティング組成物の固形分換算で計算した各成分の質量比率と同様)は、(A)/(B’)/(C’)=200/100/45となった。
なお、(B’)は、前記焼結後に得られる重合体エマルジョン粒子(B)に由来する重合体粒子であり、(C’)は、前記焼結後に得られる加水分解性珪素化合物(C)の加水分解縮合物とする。評価結果を表1に示す。
重合体エマルジョン粒子(B)を加えなかったこと以外は実施例1と同様にして試験板を得た。得られた試験板の評価結果を表1に示す。
重合体エマルジョン粒子(B)として(合成例2)で合成した重合体エマルジョン粒子(B−3)の水分散体を用いた。その他の条件は、実施例1と同様にして試験板を得た。得られた試験板の評価結果を表1に示す。
重合体エマルジョン粒子(B)として(合成例1)で合成した重合体エマルジョン粒子(B−2)の水分散体を用いた。球状の金属酸化物(A)の原料として平均粒子径5nmの水分散コロイダルシリカ(商品名「スノーテックスOXS(表1中、「ST−OXS」と記載する)」、日産化学工業(株)製、固形分10質量%)を用いた。
加水分解性珪素化合物(C)としてテトラエトキシシラン(信越化学工業(株)製)を用いた。
これらを、表1に記載の固形分質量比で混合し、固形分2%となるように20%エタノール水で調整した後、攪拌し、コーティング組成物を得た。
このとき塗膜中の組成比(コーティング組成物の固形分換算で計算した各成分の質量比率と同様)は、(A)/(B’)/(C’)=200/100/45となった。
なお、(B’)は、前記焼結後に得られる重合体エマルジョン粒子(B)に由来する重合体粒子であり、(C’)は、前記焼結後に得られる加水分解性珪素化合物(C)の加水分解縮合物とする。
一方、比較例1〜2においては、斜めからの入射光に対する反射防止特性が低下したことが確認された。
Claims (9)
- 基材上に形成される塗膜よりなる光学塗膜であって、
前記塗膜中の空隙(X)の長径(L)と短径(D)とが1<L/D<3であり、20°光沢値が10以下である光学塗膜。 - 前記光学塗膜が、金属酸化物(A)及び重合体エマルジョン粒子(B)を含むコーティング組成物を塗布し、乾燥して形成される光学塗膜の前駆体を、500℃以上の温度で焼結することにより形成されたものである、請求項1に記載の光学塗膜。
- 金属酸化物(A)と重合体エマルジョン粒子(B)とを含むコーティング組成物を塗布
し、25℃で10分以内に乾燥して、光学塗膜の前駆体を形成する工程と、前記前駆体を500℃以上の温度で焼結し、光学塗膜を形成する工程とを有する、光学塗膜の製造方法。 - 前記光学塗膜が反射防止膜である、請求項1乃至請求項3のいずれか一に記載の光学塗
膜。 - 請求項4に記載の反射防止膜を含む太陽電池用ガラス。
- 請求項4に記載の反射防止膜を含む太陽電池モジュール。
- 請求項4に記載の反射防止膜を含む太陽電池用集光レンズ。
- 請求項4に記載の反射防止膜を含む太陽熱発電用鏡。
- 請求項4に記載の反射防止膜を含む太陽熱発電用集光ガラスチューブ。
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