JP2017036424A - 塗膜及びその製造方法 - Google Patents

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一也 伊勢田
Kazuya Iseda
一也 伊勢田
高野橋 寛朗
Hiroaki Takanohashi
寛朗 高野橋
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Abstract

【課題】透明性及び帯電防止性に優れ、さらに高温高湿環境下に24時間以上曝露された場合であっても優れた密着性を維持できる塗膜を提供する。【解決手段】本発明に係る塗膜は、金属酸化物(A)と、重合体粒子(B)と、を含み、前記(A)に対する前記(B)の質量比(A/B)が、0.3以上5.0以下であり、屈折率が1.43以上1.60未満である。【選択図】なし

Description

本発明は、塗膜及びその製造方法に関する。
近年、世界的な温暖化現象や化石資源の枯渇といった問題から、環境保全、省エネルギーに対する意識が高まっている。特に自動車産業においては車体の軽量化による燃費改善、炭酸ガス排出量の削減、省エネルギーが大きな課題の一つであり、その観点からガラスの樹脂基材への代替を目指した樹脂基材の高機能化、高性能化に関する研究、開発が数多く為されている。
プラスチック等の樹脂の高機能化、高性能化の方法としては、基材成型時の添加剤の利用、コーティング剤による基材表面の改質などが挙げられる。その中でもコーティング剤による樹脂基材の高機能化は近年盛んに研究、開発がなされている分野の一つである。
上述のコーティング剤による樹脂基材の高機能化、高性能化において、良加工性、柔軟性、密着性等の有機重合体の長所と、耐候性、難燃性、帯電防止性、耐薬品性等の無機物質の長所との両立を目指し、有機・無機複合材料からなるコーティング剤の開発が近年数多く為されている。
有機・無機複合材料からなるコーティング剤による樹脂基材の高機能化の例として、特許文献1、特許文献2では種々の基材に対し上述のコーティング剤を塗布することにより防汚性、透明性、帯電防止性、親水性に優れた塗膜が作製可能であることが報告されている。
国際公開第2007/069596号 国際公開第2010/104146号
しかしながら、特許文献1、特許文献2をはじめとする従来のコーティング組成物から作製された塗膜は、無機成分を多く含んでいるために樹脂基材への密着性が低く、特に高温、高湿環境下に曝露されることにより密着性が著しく低下するという問題を有している。このような密着性不良は塗膜の性能低下につながるため、密着性、耐久性に優れた塗膜が求められている。
本発明は、上述した従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、透明性及び帯電防止性に優れ、さらに高温高湿環境下に24時間以上曝露された場合であっても優れた密着性を維持できる塗膜を提供することを目的の一つとする。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、金属酸化物粒子(A)と、重合体粒子(B)とを所定の比率で含み、所定の屈折率を有する塗膜が、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
〔1〕
金属酸化物(A)と、重合体粒子(B)と、を含み、
前記(A)に対する前記(B)の質量比(A/B)が、0.3以上5.0以下であり、
屈折率が1.43以上1.60未満である、塗膜。
〔2〕
加水分解性珪素化合物(D)をさらに含む、〔1〕に記載の塗膜。
〔3〕
前記重合体粒子(B)が、水及び乳化剤の存在下で、加水分解性珪素化合物(b1)と、2級及び/又は3級アミド基を有するビニル単量体(b2)と、を重合して得られる重合体粒子を含む、〔1〕又は〔2〕に記載の塗膜。
〔4〕
金属酸化物(A)と、重合体粒子(B)と、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド及びN−メチルピロリドンからなる群より選ばれる少なくとも一種を含む重合体粒子親和性溶剤(C)と、エタノール水溶液と、を含むコーティング組成物であって、前記(A)に対する前記(B)の質量比(A/B)が、0.3以上5.0以下であり、かつ、前記(C)の含有量が1質量%〜10質量%であるコーティング組成物を調製する工程と、
前記コーティング組成物を基材に塗布し、20〜130℃で0.5〜24時間乾燥する工程と、
を含む、塗膜の製造方法。
本発明によれば、透明性及び帯電防止性に優れ、さらに高温高湿環境下に24時間以上曝露された場合であっても優れた密着性を維持できる塗膜を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について、詳細に説明する。以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨の範囲内で適宜変形して実施できる。
本実施形態に係る塗膜は、金属酸化物(A)と、重合体粒子(B)と、を含み、前記(A)に対する前記(B)の質量比(A/B)が、0.3以上5.0以下であり、屈折率が1.43以上1.60未満である。このように構成されているため、本実施形態に係る塗膜は、透明性及び帯電防止性に優れ、さらに高温高湿環境下に24時間以上曝露された場合であっても優れた密着性を維持できる。なお、上記透明性については、例えば、後述する実施例に記載のヘーズ値測定により確認することができ、上記帯電防止性については、後述する実施例に記載の表面抵抗率が低いことにより確認することができる。さらに、高温高湿環境下に24時間以上曝露された場合の密着性については、後述する実施例に記載の耐候性試験及び密着性評価を行い、確認することができる。
本実施形態の塗膜において、金属酸化物(A)と重合体粒子(B)との質量比((A)/(B))は、0.3以上5.0以下である。上記(A)/(B)が、0.3以上であることにより、帯電防止性に優れ、5.0以下であることにより、密着性に優れる。上記同様の観点から、好ましくは0.3以上3.0以下であり、より好ましくは0.5以上2.0以下である。なお、後述するコーティング組成物を用いて塗膜を形成する場合、本実施形態の塗膜における上記質量比(A)/(B)は、当該コーティング組成物中の質量比(A)/(B)に依存する傾向にある。すなわち、後述するコーティング組成物における(A)、(B)の配合量を質量比(A)/(B)として0.3以上5.0以下に調整することにより、上記範囲とすることができる。
本実施形態の塗膜において、屈折率は1.43以上1.60未満である。屈折率が、1.43以上であることにより、密着性に優れ、1.60未満であることにより、透明性に優れる。上記同様の観点から、好ましくは1.43以上1.55以下であり、より好ましくは1.43以上1.50以下である。なお、上記屈折率は、後述する実施例に記載の方法により確認することができる。また、上記屈折率は、後述するコーティング組成物における(A)、(B)、(C)の配合量を適宜調整すること等により、上記範囲とすることができる。
本実施形態の塗膜の膜厚としては、100μm以下が好ましく、より好ましくは50μm以下、さらに好ましくは15μm以下である。
100μm以下とする場合、均一な塗膜が得やすく、部分的に厚い膜が形成されることが防止される傾向にあり、外観上好ましいといえる。
<金属酸化物(A)>
本実施形態における金属酸化物(A)としては、特に限定されないが、例えば、珪素、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、亜鉛、スズ、インジウム、ガリウム、ゲルマニウム、アンチモン、モリブデンなどの酸化物が挙げられる。
本実施形態において、金属酸化物(A)の平均粒子径は、1nm〜400nmであることが好ましく、より好ましくは1nm〜100nm、さらに好ましくは1nm〜80nm、よりさらに好ましくは1nm〜50nmである。金属酸化物(A)の平均粒子径が上記範囲内であることにより、得られる塗膜の透明性と機械的強度がより向上する傾向にある。
ここで、金属酸化物(A)の平均粒子径とは、当該粒子が一次粒子の形で存在している場合には一次粒子径を、凝集粒子の形で存在している場合は凝集粒子径(二次粒子径)の平均粒子径であるものとし、当該平均粒子径は、以下の方法により求めることができる。
すなわち、球状の金属酸化物(A)の粒子が100個〜200個写るように調整して撮影した透過型顕微鏡(TEM)写真の中に存在している該当の粒子の粒子径(二軸平均径、すなわち、短径と長径との平均値)を測定し、当該測定された各粒子径の平均値を算出することにより求めることができる。
金属酸化物(A)を形成するための材料としては、以下に限定されるものではないが、例えば、日産化学工業株式会社製「スノーテックス−O(登録商標)」、同社製「スノーテックス−OS(登録商標)」、同社製「スノーテックス−OXS(登録商標)」、「ライトスター(登録商標)」、NalcoCompany製水分散コロイダルシリカ 商品名「NALCO1115」、同社製「ナノユースZR−40BL(登録商標)」、同社製「ナノユースZR−30BS(登録商標)」同社製「ナノユースZR−30BFN(登録商標)」同社製「ナノユースZR−30AL(登録商標)」同社製「ナノユースZR−20AS(登録商標)」同社製「ナノユースZR−30AH(登録商標)」同社製「セルナックスCX−Z330H(登録商標)」同社製「セルナックスCX−Z610M(登録商標)」同社製「セルナックスCX−Z410K(登録商標)」等が挙げられる。
<重合体粒子(B)>
本実施形態の塗膜に含まれる重合体粒子(B)は、所定の重合体により構成されている。
当該重合体としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリ(メタ)アクリレート系、ポリ(メタ)アクリレート−シリコーン系共重合体、ポリビニルアセテート系、ポリブタジエン系、ポリ塩化ビニル系、塩素化ポリプロピレン系、ポリエチレン系、ポリスチレン系、ポリスチレン−(メタ)アクリレート系共重合体、ロジン系誘導体、スチレン−無水マレイン酸共重合体のアルコール付加物等から構成される重合体等が挙げられる。
前記重合体粒子(B)は、塗膜強度の観点から、ビニル単量体(b2)を重合単量体として含むことが好ましい。
ビニル単量体(b2)には、後述する2級及び/又は3級アミド基を有するビニル単量体(b2−2)や、アミノ基を有するビニル単量体、これらと共重合可能なその他のビニル単量体(b3)が含まれ得る。
前記重合体粒子(B)は、塗膜強度の観点から、加水分解性珪素化合物(b1)を含むことが好ましく、さらに好ましくは、前記ビニル単量体(b2)として特に2級及び/又は3級アミド基を有するビニル単量体(b2−2)を、重合単量体として含むことが好ましい。具体的には、耐候性試験後の密着性の観点から、重合体粒子(B)が、水及び乳化剤の存在下で、加水分解性珪素化合物(b1)と、2級及び/又は3級アミド基を有するビニル単量体(b2−2)とを重合して得られる重合体粒子を含むことがより好ましい。
重合体粒子(B)は、前記(b1)と(b2)とが重合したもの、(b1)と(b2)がそれぞれ重合したものの混合物、複合物のいずれであってもよく、これらの併用であってもよい。
前記金属酸化物(A)と重合体粒子(B)との相互作用としては、特に限定されないが、例えば、水素結合や化学結合、イオン結合等が挙げられる。具体的には、金属酸化物(A)が有する水酸基由来のアニオン性官能基と、重合体粒子(B)が有するアミノ基由来のカチオン性官能基とのイオン結合や、重合体粒子(B)が有するアミド基、エーテル基との水素結合や、金属酸化物(A)が有する水酸基と、重合体粒子(B)を構成する加水分解性金属化合物の重合生成物との縮合(化学結合)等が挙げられる。
前記のように、水及び乳化剤の存在下で、加水分解性珪素化合物(b1)と、2級及び/又は3級アミド基を有するビニル単量体(b2−2)とを重合して重合体粒子(B)を製造する場合に用いられる加水分解性珪素化合物(b1)としては、以下に限定されるものではないが、例えば、下記式(1)で表される化合物やその縮合生成物、シランカップリング剤等が挙げられる。
SiWxy ・・・(1)
(式(1)中、Wは炭素数1〜20のアルコキシ基、水酸基、炭素数1〜20のアセトキシ基、ハロゲン原子、水素原子、炭素数1〜20のオキシム基、エノキシ基、アミノキシ基及びアミド基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基を表す。Rは、直鎖状又は分岐状の炭素数が1〜30個のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、及び置換されていないか又は炭素数1〜20のアルキル基若しくは炭素数1〜20のアルコキシ基若しくはハロゲン原子で置換されている炭素数6〜20のアリール基からなる群より選ばれる少なくとも1種の炭化水素基を表す。xは1以上4以下の整数であり、yは0以上3以下の整数である。また、x+y=4である。)
前記加水分解性珪素化合物(b1)の一例である前記シランカップリング剤とは、ビニル重合性基、エポキシ基、アミノ基、メタクリル基、メルカプト基、イソシアネート基等の有機物と反応性を有する官能基が分子内に存在する、加水分解性珪素化合物である。
前記加水分解性珪素化合物(b1)としては、以下に限定されるものではないが、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン等のテトラアルコキシシラン類;メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリエトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−ペンチルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘプチルトリメトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3,3,3−トリフロロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフロロプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−ヒドロキシエチルトリメトキシシラン、2−ヒドロキシエチルトリエトキシシラン、2−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、2−ヒドロキシプロピルトリエトキシシラン、3−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、3−ヒドロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアナートプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアナートプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリn−プロポキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリイソプロポキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等のトリアルコキシシラン類;ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジ−n−プロピルジメトキシシラン、ジ−n−プロピルジエトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、ジイソプロピルジエトキシシラン、ジ−n−ブチルジメトキシシラン、ジ−n−ブチルジエトキシシラン、ジ−n−ペンチルジメトキシシラン、ジ−n−ペンチルジエトキシシラン、ジ−n−ヘキシルジメトキシシラン、ジ−n−ヘキシルジエトキシシラン、ジ−n−ヘプチルジメトキシシラン、ジ−n−ヘプチルジエトキシシラン、ジ−n−オクチルジメトキシシラン、ジ−n−オクチルジエトキシシラン、ジ−n−シクロヘキシルジメトキシシラン、ジ−n−シクロヘキシルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン等のジアルコキシシラン類;トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン等のモノアルコキシシラン類等が挙げられる。
また、これらの加水分解性珪素化合物(b1)は、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
加水分解性珪素化合物(b1)は、縮合生成物として使用してもよく、かかる場合、縮合生成物のGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)測定によるポリスチレン換算重量平均分子量は、好ましくは200〜5000、より好ましくは300〜1000である。
上述の加水分解性珪素化合物(b1)の中で、フェニル基を有する珪素アルコキシド、例えばフェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン等は、水及び乳化剤の存在下における重合安定性に優れるため好ましい。
また、上述の加水分解性珪素化合物(b1)の中で、3−(メタ)アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリn−プロポキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、2−トリメトキシシリルエチルビニルエーテル等のビニル重合性基を有するシランカップリング剤や、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等のチオール基を有するシランカップリング剤は、上述した2級及び/又は3級アミド基を有するビニル単量体(b2−2)と共重合又は連鎖移動反応して化学結合を生成することが可能である。
加水分解性珪素化合物(b1)の使用量は、得られる重合体粒子(B)に対する質量比(b1)/(B)として0.005以上0.5以下の範囲となることが好ましい。
なお、重合体粒子(B)の質量は、上述した2級及び/又は3級アミド基を有するビニル単量体(b2−2)や、アミノ基を有するビニル重合体(b2−3)、これらと共重合可能なその他のビニル単量体(b3)、さらには加水分解性珪素化合物(b1)が全て重合した場合に得られる重合生成物の質量であるものとする。上述のとおり、塗膜中の重合体粒子(B)の質量は、コーティング組成物中のBの配合量として把握することができる。また、次のような方法で塗膜中の重合体粒子(B)の質量を求めることもできる。すなわち、走査型電子顕微鏡(SEM)、あるいは透過型電子顕微鏡(TEM)写真の中に存在する(A)、および(B)の単位面積当たりの占有面積を測定し、それぞれの密度(既知)から単位面積当たりの質量を計算することができる。なお、それらの比により塗膜中のA/B質量比率を確認することもできる。
前記加水分解性珪素化合物(b1)としては、ビニル重合性基を有するシランカップリング剤を用いることが、本実施形態の塗膜の耐候性の観点からより好ましい。
前記加水分解性珪素化合物(b1)の含有量は、重合安定性の観点から、重合体粒子(B)100質量%に対して、0.01質量%以上50質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以上30質量%以下がより好ましい。
重合体粒子(B)を製造するために用いる、前記2級及び/又は3級アミド基を有するビニル単量体(b2−2)としては、以下に限定されるものではないが、例えば、N−メチルアクリルアミド、N−メチルメタアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−エチルメタアクリルアミド、N−メチル−N−エチルアクリルアミド、N−メチル−N−エチルメタアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−n−プロピルアクリルアミド、N−イソプロピルメタアクリルアミド、N−n−プロピルメタアクリルアミド、N−メチル−N−n−プロピルアクリルアミド、N−メチル−N−イソプロピルアクリルアミド、N−アクリロイルピロリジン、N−メタクリロイルピロリジン、N−アクリロイルピペリジン、N−メタクリロイルピペリジン、N−アクリロイルヘキサヒドロアゼピン、N−アクリロイルモルホリン、N−メタクリロイルモルホリン、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、N,N’−メチレンビスメタクリルアミド、N−ビニルアセトアミド、ダイアセトンアクリルアミド、ダイアセトンメタアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタアクリルアミド等が挙げられる。
重合体粒子(B)を製造するために用い得る、ビニル単量体(b2−2)のアミド基は、2級及び/又は3級アミド基であるが、3級アミド基を有するビニル単量体を用いると、得られる重合体粒子(B)の、金属酸化物(A)との間の水素結合性が強まり好ましい。その中でも、特に、N,N−ジエチルアクリルアミドは、水及び乳化剤の存在下における重合安定性に非常に優れるとともに、上述した加水分解性珪素化合物(b1)の重合生成物の水酸基や金属酸化物(A)の水酸基と強固な水素結合を形成することが可能であるため、さらに好ましい。
重合体粒子(B)を製造するために用いる、前記アミノ基を有するビニル単量体(b2−3)としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート四級化物などが挙げられる。
なお、上述した加水分解性珪素化合物(b1)としては、上述した各種化合物の他、ビニル重合性基やチオール基を有するシランカップリング剤を、単独で又は上述した珪素アルコキシド、その他のシランカップリング剤、及びそれらの縮合生成物と混合若しくは複合化させたものも用いることができる。
また、重合体粒子(B)が、加水分解性珪素化合物(b1)の重合生成物と2級及び/又は3級アミド基を有するビニル単量体(b2−2)の重合生成物とにより構成される場合、これらは、水素結合や化学結合により複合化していてもよい。
なお、前記(b1)や(b2−2)等は、水素結合や化学結合等の各種結合によって複合化されていることが好ましいが、その結合の形態や状態等について何らかの限定を行うものではない。さらに、重合体粒子(B)中の一部分のみにおいて上記したような複合化が行われていてもよい。
重合体粒子(B)として、ビニル重合性基やチオール基を有するシランカップリング剤である加水分解性珪素化合物(b1)と、2級及び/又は3級アミド基を有するビニル単量体(b2−2)とを重合して得られたものを用いると、耐候性、耐薬品性、光学特性、強度等がさらに優れる塗膜を形成できるため、より好ましい。
ビニル重合性基やチオール基を有するシランカップリング剤である加水分解性珪素化合物(b1)の配合量は、2級及び/又は3級アミド基を有するビニル単量体(b2−2)100質量部に対して0.1質量部以上100質量部以下であることが重合安定性の観点から好ましく、0.5質量部以上50質量部以下がより好ましく、さらには0.5質量部以上5質量部以下が好ましい。
本実施形態の塗膜において、重合体粒子(B)を得るために用い得る2級及び/又は3級アミド基を有するビニル単量体(b2−2)は、これと共重合可能なその他のビニル単量体(b3)と共重合することができる。これにより、生成する重合生成物の特性(ガラス転移温度、分子量、水素結合力、極性、分散安定性、耐候性、加水分解性珪素化合物(b1)の重合生成物との相溶性等)をより効果的に制御することが可能となり好ましい。
前記2級及び/又は3級アミド基を有するビニル単量体(b2−2)と共重合可能なその他のビニル単量体(b3)としては、以下に限定されるものではないが、例えば、(メタ)アクリル酸エステル、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物の他、カルボキシル基含有ビニル単量体、水酸基含有ビニル単量体、エポキシ基含有ビニル単量体、カルボニル基含有ビニル単量体のような官能基を含有する単量体等が挙げられる。
前記(メタ)アクリル酸エステルとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、アルキル部の炭素数が1〜50の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、エチレンオキシド基の数が1〜100個の(ポリ)オキシエチレンジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
アルキル部の炭素数が1〜50の(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸メチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ドデシル等が挙げられる。
前記エチレンオキシド基の数が1〜100個の(ポリ)オキシエチレンジ(メタ)アクリレートとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、ジ(メタ)アクリル酸エチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ジエチレングリコール、メトキシ(メタ)アクリル酸ジエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸テトラエチレングリコール等が挙げられる。
なお、本明細書中で、「(メタ)アクリル」とはメタアクリル又はアクリルを簡便に表記したものである。
前記ビニル単量体(b3)としての(メタ)アクリル酸エステルの使用量(複数の(メタ)アクリル酸エステルを使用する場合には、その合計量)は、重合体粒子(B)を構成する全ビニル単量体中において好ましくは0〜99.9質量%、より好ましくは5〜80質量%、さらに好ましくは20〜50質量%である。
前記ビニル単量体(b3)としての芳香族ビニル化合物としては、特に限定されるものではなく、例えば、スチレン、ビニルトルエン等が挙げられる。
当該芳香族ビニル化合物は、重合体粒子(B)を構成する全ビニル単量体中において好ましくは0〜99.9質量%、より好ましくは5〜80質量%である。
前記ビニル単量体(b3)としてのシアン化ビニル化合物としては、特に限定されるものではなく、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられる。
当該シアン化ビニル化合物は、重合体粒子(B)を構成する全ビニル単量体中において好ましくは0〜99.9質量%、より好ましくは5〜80質量%である。
前記ビニル単量体(b3)としてのカルボキシル基含有ビニル単量体としては、特に限定されるものではないが、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、無水マレイン酸、又はイタコン酸、マレイン酸などの2塩基酸のハーフエステル等が挙げられる。これらのカルボキシル酸基含有のビニル単量体を用いることによって、重合体粒子(B)にカルボキシル基を導入することができ、当該重合体粒子間に静電的反発力をもたせることができ、エマルジョンとしての安定性を向上させ、例えば攪拌時の凝集といった、外部からの分散破壊作用に対して抵抗力を持たせることが可能となる傾向にある。この際、導入したカルボキシル基は、静電的反発力をさらに向上させるために、一部又は全部を、アンモニアやトリエチルアミン、ジメチルエタノールアミン等のアミン類やNaOH、KOH等の塩基で中和してもよい。
前記カルボキシル基含有ビニル単量体の使用量(複数のカルボキシル基含有ビニル単量体を使用する場合には、その合計量)は、重合体粒子(B)を構成する全ビニル単量体((b2)+(b3))中において0〜50質量%であることが耐水性の観点から好ましい。より好ましくは0.1〜10質量%、さらに好ましくは0.1〜5質量%である。
前記ビニル単量体(b3)としての水酸基含有ビニル単量体としては、特に限定されるものではないが、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸のヒドロキシアルキルエステル;ジ−2−ヒドロキシエチルフマレート、モノ−2−ヒドロキシエチルモノブチルフマレート等のフマル酸のヒドロキシアルキルエステル;アリルアルコールやエチレンオキシド基の数が1〜100個の(ポリ)オキシエチレンモノ(メタ)アクリレート;プロピレンオキシド基の数が1〜100個の(ポリ)オキシプロピレンモノ(メタ)アクリレート;さらには、「プラクセルFM、FAモノマー」(ダイセル化学(株)製の、カプロラクトン付加モノマーの商品名)や、その他のα,β−エチレン性不飽和カルボン酸のヒドロキシアルキルエステル類等が挙げられる。
前記ビニル単量体(b3)として、水酸基含有ビニル単量体を用いると、金属酸化物(A)と2級及び/又は3級アミド基を有するビニル単量体(b2−2)との水素結合力を制御することが容易となるとともに、重合体粒子(B)の水分散安定性を向上させることが可能となる。
前記水酸基含有ビニル単量体の使用量は、重合体粒子(B)を構成する全ビニル単量体中において、好ましくは0〜80質量%、より好ましくは0.1〜50質量%、さらに好ましくは0.1〜10質量%である。
前記ビニル単量体(b3)としてのエポキシ基含有ビニル単量体としては、以下に限定されるものではないが、例えば、グリシジル基含有ビニル単量体等が挙げられる。当該グリシジル基含有ビニル単量体としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル、アリルジメチルグリシジルエーテル等を挙げることができる。
前記ビニル単量体(b3)としてのカルボニル含有ビニル単量体としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ダイアセトンアクリルアミド等が挙げられる。
前記ビニル単量体(b3)として、前記グリシジル基含有ビニル単量体や、前記カルボニル基含有ビニル単量体を使用すると、重合体粒子(B)が反応性を有するものとなり、ヒドラジン誘導体、カルボン酸誘導体及びイソシアネート誘導体等により架橋させることによって耐溶剤性等の優れた塗膜の形成が可能となる傾向にある。グリシジル基含有ビニル単量体やカルボニル基含有ビニル単量体の使用量は、重合体粒子(B)を構成する全ビニル単量体中において好ましくは0〜50質量%である。
重合体粒子(B)の合成の際には、乳化剤を使用してもよい。
乳化剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルスルホン酸、アルキルスルホコハク酸、ポリオキシエチレンアルキル硫酸、ポリオキシエチレンアルキルアリール硫酸、ポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテルスルホン酸等の酸性乳化剤;酸性乳化剤のアルカリ金属(Li、Na、K等)塩、酸性乳化剤のアンモニウム塩、脂肪酸石鹸等のアニオン性界面活性剤;アルキルトリメチルアンモニウムブロミド、アルキルピリジニウムブロミド、イミダゾリニウムラウレート等の四級アンモニウム塩、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩型のカチオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテル等のノニオン型界面活性剤やラジカル重合性の二重結合を有する反応性乳化剤等が挙げられる。
これらの乳化剤の中で、ラジカル重合性の二重結合を有する反応性乳化剤を選択すると、重合体粒子(B)の水分散安定性がより一層良好になるとともに、耐水性、耐薬品性、光学特性、強度等に優れた塗膜が形成される傾向にあるため、さらに好ましい。
前記ラジカル重合性の二重結合を有する反応性乳化剤としては、以下に限定されるのではないが、例えば、スルホン酸基又はスルホネート基を有するビニル単量体、硫酸エステル基を有するビニル単量体、それらのアルカリ金属塩又はアンモニウム塩;ポリオキシエチレン等のノニオン基を有するビニル単量体;4級アンモニウム塩を有するビニル単量体等が挙げられる。
前記反応性乳化剤としてのスルホン酸基又はスルホネート基を有するビニル単量体の塩は、以下に限定されるものではないが、例えば、ラジカル重合性の二重結合を有し、かつスルホン酸基のアンモニウム塩、ナトリウム塩又はカリウム塩である基により一部が置換された、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜4のアルキルエーテル基、炭素数2〜4のポリアルキルエーテル基、炭素数6又は10のアリール基及びコハク酸基からなる群から選ばれる置換基を有する化合物;スルホン酸基のアンモニウム塩、ナトリウム塩又はカリウム塩である基が結合しているビニル基を有するビニルスルホネート化合物等が挙げられる。
前記スルホン酸基のアンモニウム塩、ナトリウム塩又はカリウム塩である基により一部が置換されたコハク酸基を有する化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、アリルスルホコハク酸塩等が挙げられる。これらは市販品を用いることもでき、特に限定されず、例えば、エレミノールJS−2(商品名)(三洋化成(株)製)、ラテムルS−120、S−180A又はS−180(商品名)(花王(株)製)等が挙げられる。
スルホン酸基のアンモニウム塩、ナトリウム塩又はカリウム塩である基により一部が置換された、炭素数2〜4のアルキルエーテル基又は炭素数2〜4のポリアルキルエーテル基を有する化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、アクアロンHS−10又はKH−1025(商品名)(第一工業製薬(株)製)、アデカリアソープSE−1025N又はSR−1025(商品名)(旭電化工業(株)製)等が挙げられる。
前記反応性乳化剤としてのノニオン基を有するビニル単量体としては、以下に限定されるものではないが、例えば、α−〔1−〔(アリルオキシ)メチル〕−2−(ノニルフェノキシ)エチル〕−ω−ヒドロキシポリオキシエチレン(商品名:アデカリアソープNE−20、NE−30、NE−40等、旭電化工業(株)製)、ポリオキシエチレンアルキルプロペニルフェニルエーテル(商品名:アクアロンRN−10、RN−20、RN−30、RN−50等、第一製薬工業(株)製)等が挙げられる。
重合体粒子(B)の合成の際の乳化剤の使用量としては、得られる重合体粒子(B)100質量部に対して、10質量部以下となる範囲内が好ましく、0.001〜5質量部となる範囲内がより好ましい。
重合体粒子(B)の合成の際、加水分解性珪素化合物(b1)及び2級及び/又は3級アミド基を有するビニル単量体(b2−2)や必要に応じてその他のビニル単量体(b3)の重合は、重合触媒存在下で実施することが好ましい。
加水分解性珪素化合物(b1)の重合触媒としては、重合に用いる単量体の成分等に応じて適宜選択でき、以下に限定されるものではないが、例えば、塩酸、フッ酸等のハロゲン化水素類、酢酸、トリクロル酢酸、トリフルオロ酢酸、乳酸等のカルボン酸類;硫酸、p−トルエンスルホン酸等のスルホン酸類;アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルスルホン酸、アルキルスルホコハク酸、ポリオキシエチレンアルキル硫酸、ポリオキシエチレンアルキルアリール硫酸、ポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテルスルホン酸等の酸性乳化剤類;酸性又は弱酸性の無機塩、フタル酸、リン酸、硝酸のような酸性化合物類;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメチラート、酢酸ナトリウム、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルアミン、ジアザビシクロウンデセン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、エタノールアミン類、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)−アミノプロピルトリメトキシシランのような塩基性化合物類;ジブチル錫オクチレート、ジブチル錫ジラウレートのような錫化合物等が挙げられる。
これらの中で、重合触媒のみならず乳化剤としての作用を有する観点から、酸性乳化剤類が好ましく、炭素数が5〜30のアルキルベンゼンスルホン酸がより好ましい。
2級及び/又は3級アミド基を有するビニル単量体(b2−2)の重合触媒としては、熱又は還元性物質等によってラジカル分解してビニル単量体の付加重合を起こさせるラジカル重合触媒が好ましく、以下に限定されるものではないが、例えば、水溶性又は油溶性の過硫酸塩、過酸化物、アゾビス化合物等が挙げられ、当該重合触媒の具体例としては、以下に限定されるものではないが、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素、t−ブチルヒドロパーオキシド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、2,2−アゾビスイソブチロニトリル、2,2−アゾビス(2−ジアミノプロパン)ヒドロクロリド、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等が挙げられる。
前記2級及び/又は3級アミド基を有するビニル単量体の重合触媒の配合量としては、重合体粒子(B)を構成する全ビニル単量体100質量部に対して、0.001〜5質量部が好ましい。なお、重合速度の促進、及び70℃以下での低温の重合を目的として、例えば、重亜硫酸ナトリウム、塩化第一鉄、アスコルビン酸塩、ロンガリット等の還元剤をラジカル重合触媒と組み合わせて用いることが好ましい。
上述したように、重合体粒子(B)は、水及び乳化剤の存在下で、加水分解性珪素化合物(b1)と、2級及び/又は3級アミド基を有するビニル単量体(b2)、さらには、必要に応じて前記ビニル単量体(b2−2)と共重合可能な他のビニル単量体(b3)を用いて、好ましくは重合触媒存在下で、重合することにより得ることができる。
加水分解性珪素化合物(b1)と、2級及び/又は3級アミド基を有するビニル単量体(b2−2)との重合は、別々に実施することも可能であるが、同時に実施することにより、両者の間で水素結合等によるミクロな有機・無機複合化が達成できるので好ましい。
重合体粒子(B)の数平均粒子径(一次粒子径;重合体粒子(B)の一次粒子の数平均粒子径)は、10〜400nmであることが好ましい。重合体粒子(B)の数平均粒子径を上記範囲に調整することにより、耐候性、耐薬品性、光学特性、防汚性、防曇性、帯電防止性等がより一層優れた塗膜が形成される傾向にある。また、得られる塗膜の透明性が向上する観点から、重合体粒子(B)の数平均粒子径は200nm以下であることがより好ましく、100nm以下であることがさらに好ましい。
なお、重合体粒子(B)の数平均粒子径は、後述の実施例に記載する方法により測定することができる。
このような数平均粒子径の重合体粒子(B)を得る方法としては、特に限定されないが、乳化剤がミセルを形成するのに十分な量の水の存在下で、加水分解性珪素化合物(b1)及び2級及び/又は3級アミド基を有するビニル単量体(b2−2)、必要に応じてその他のビニル重合体(b3)を重合する、いわゆる乳化重合によって、重合体粒子(B)を合成する方法が挙げられる。
前記重合体粒子(B)の乳化重合方法としては、特に限定されないが、例えば、加水分解性珪素化合物(b1)及び2級及び/又は3級アミド基を有するビニル単量体(b2−2)、必要に応じて当該2級及び/又は3級アミド基を有するビニル単量体(b2−2)と共重合可能な他のビニル単量体(b3)を、そのまま、又は乳化した状態で、一括、分割、又は連続的に反応容器中に滴下し、前記重合触媒の存在下、好ましくは大気圧から必要により10MPaの圧力下で、約30〜150℃の反応温度で重合させる方法が挙げられる。必要に応じて、圧力や反応温度を変更してもよい。加水分解性珪素化合物(b1)及び全ビニル単量体量の総量と、水との比率については、特に限定されないが、最終固形分量(添加する単量体が全て重合した場合に得られる重合体(ビニル(共)重合体及び加水分解性珪素化合物(b1)の重合生成物)の質量の合計(計算値)を元に計算される値)が、0.1〜70質量%とすることが好ましく、1〜55質量%の範囲になるように設定することがより好ましい。
前記重合体粒子(B)の乳化重合を行うにあたり、重合体粒子(B)の粒子径を成長又は制御するために、予め水相中にエマルジョン粒子を存在させて重合させるシード重合法を行ってもよい。これにより粒子径がより均一な重合体粒子を得ることができる。
前記シード(核)となる物質は、特に限定されず、公知のものを用いることもでき、反応条件等に応じて適宜選択することができる。
重合反応は、系中のpHが好ましくは1.0〜10.0、より好ましくは1.0〜6.0の範囲で進行させればよい。pHは、燐酸二ナトリウムやボラックス、又は、炭酸水素ナトリウム、アンモニア等のpH緩衝剤を用いて調節することが可能である。
重合体粒子(B)を得る方法としては、重合に必要な水、乳化剤、及び必要に応じて溶剤の存在下で、加水分解性珪素化合物(b1)及び2級及び/又は3級アミド基を有するビニル単量体(b2−2)を重合した後、重合生成物がエマルジョンとなるまで水を添加する方法も採用してもよい。
重合体粒子(B)は、コア/シェル層構造を有していることが好ましい。
さらには、重合体粒子(B)は、コア層とシェル層とにおいて、柔軟性が異なるものであることが好ましく、空隙形成の観点からシェル層がコア層よりも硬度が高いことがより好ましい。つまりコア層がシェル層よりも柔軟であることが好ましい。
硬度は、シェル層に加水分解性珪素化合物(b1)を含有させることにより制御できる。
硬度は、前記加水分解性珪素化合物(b1)として、加水分解性官能基を3個以上含む加水分解性珪素化合物(b1−3)を用い、当該加水分解性官能基を3個以上含む加水分解性珪素化合物(b1−3)の、前記2級及び/又は3級アミド基を有するビニル単量体(b2−2)と全加水分解性珪素化合物(b1)の合計量に対する質量比率を規定することにより制御することができる。
さらに、シェル層中における、加水分解性官能基を3個以上含む加水分解性珪素化合物(b1−3)成分の割合が、全加水分解性珪素化合物(b1)と、前記2級及び/又は3級アミド基を有するビニル単量体(b2−2)との合計量に対する質量比率で、0.01<(b1−3)/((b1)+(b2−2))<0.20が好ましく、0.1<(b1−3)/((b1)+(b2−2))<0.3がより好ましい。これにより塗膜の強度がより向上する傾向にある。
さらにまた、塗膜強度をより向上させる観点から、コア層中における、加水分解性官能基を3個以上含む加水分解性珪素化合物(b1−3)成分の割合が、全加水分解性珪素化合物(b1)と、前記2級及び/又は3級アミド基を有するビニル単量体(b2−2)との合計量に対する質量比率で、(b1−3)/((b1)+(b2−2))≧0.20とすることが好ましく、より好ましくは0.35以上である。
なお、塗膜強度及び光学性能の観点から、前記重合体粒子(B)に含まれる、ビニル単量体(b2)の質量比率は、20質量%以上であることが好ましく、より好ましくは40%質量%以上、さらに好ましくは50質量%以上である。
コア層中のビニル単量体(b2)に限れば70質量%以上が好ましく、より好ましくは80質量%以上、さらには好ましくは90質量%以上である。
上述したように、本実施形態の塗膜においては、重合体粒子(B)のコア層がシェル層よりも柔軟であることが好ましい。これにより、本実施形態の所望の塗膜が効率よく形成される傾向にある。
前記加水分解性官能基を3個以上含む加水分解性珪素化合物(b1−3)としては、以下に限定されるものではないが、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン等のテトラアルコキシシラン類;メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリエトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−ペンチルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘプチルトリメトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3,3,3−トリフロロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフロロプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−ヒドロキシエチルトリメトキシシラン、2−ヒドロキシエチルトリエトキシシラン、2−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、2−ヒドロキシプロピルトリエトキシシラン、3−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、3−ヒドロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアナートプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアナートプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリn−プロポキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリイソプロポキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等のトリアルコキシシラン類が挙げられる。
重合体粒子(B)には、その用途及び使用方法等に応じて、通常、塗料や成型用樹脂に添加配合される成分、例えば、増粘剤、レベリング剤、チクソ化剤、消泡剤、凍結安定剤、艶消し剤、架橋反応触媒、顔料、硬化触媒、架橋剤、充填剤、皮張り防止剤、分散剤、湿潤剤、光安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、レオロジーコントロール剤、消泡剤、成膜助剤、防錆剤、染料、可塑剤、潤滑剤、還元剤、防腐剤、防黴剤、消臭剤、黄変防止剤、静電防止剤又は帯電調整剤等を配合することができる。
<加水分解性珪素化合物(D)>
本実施形態の塗膜は、上述した金属酸化物(A)、重合体粒子(B)に加え、加水分解性珪素化合物(D)を、さらに含有してもよい。
当該加水分解性珪素化合物(D)は、下記式(2)、(3)、及び(4)で表される化合物からなる群より選ばれる1種類以上の加水分解性珪素化合物であることが好ましい。
なお、上述した(b1)加水分解性珪素化合物は、重合体粒子(B)を構成する成分であり、当該(B)成分中に一体として組み込まれており、前記加水分解性珪素化合物(D)は、(A)成分及び(B)成分とは別個独立して添加されるものであり、上述した(b1)加水分解性珪素化合物とは明確に区別される。
1 nSiX4-n ・・・(2)
(式(2)中、R1は水素原子、ハロゲン基、ヒドロキシ基、メルカプト基、アミノ基、(メタ)アクリロイル基、及びエポキシ基からなる群より選ばれるいずれかを有してもよい、炭素数1〜10のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基又はアリール基を表す。Xは、加水分解性基を表し、nは0〜3の整数である。)
3Si−R2 n−SiX3 ・・・(3)
(式(3)中、X3は加水分解性基を表し、R2は炭素数1〜6のアルキレン基又はフェニレン基を表す。nは0又は1である。)
3−(O−Si(OR32n−OR3 ・・・(4)
(式(4)中、R3は炭素数1〜6のアルキル基を表す。nは2〜8の整数である。)
本実施形態の塗膜は、前記金属酸化物(A)や、前記加水分解性珪素化合物(D)に起因して、表面親水性が付与される場合、親水性の汚れに対する防汚効果が向上する傾向にある。すなわち、本実施形態の塗膜は、汚れが付着した場合でも雨水等によって容易に汚れを洗い流すことができ、加水分解性珪素化合物(D)がさらに含まれている場合はその効果がより向上する傾向にある。
〔塗膜の製造方法〕
本実施形態に係る塗膜の製造方法としては、特に限定されないが、例えば、金属酸化物(A)と、重合体粒子(B)と、重合体粒子親和性溶剤(C)と、必要に応じて加水分解性珪素化合物(D)を含むコーティング組成物を調製し、基材と、該基材の少なくとも一方の表面に当該コーティング組成物を塗布及び乾燥することにより製造する方法等を挙げることができる。
〔コーティング組成物〕
本実施形態におけるコーティング組成物は、(A)数平均粒子径が1nm〜400nmの金属酸化物粒子と、(B)数平均粒子径が10nm〜400nmの重合体粒子と、(C)重合体粒子親和性溶剤からなるコーティング組成物。透明性の観点からは、(A)及び(B)の粒子径が200nm以下であることがより好ましく、100nm以下であることがさらに好ましい。
上記(C)重合体粒子親和性溶剤としては、特に限定されないが、上記(B)に対し100重量部以上添加した場合でも凝集物が生じない溶剤であることが好ましい。(C)重合体粒子親和性溶剤の例としては、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、並びに、これらの2種以上の混合物が挙げられる。
上記(C)の含有量は、コーティング組成物中の1〜10質量%、より好ましくは1.5〜9.5質量%、さらに好ましくは2〜8質量%である。水溶性溶剤の含有量が上記範囲内であることにより、得られる塗膜の光学特性、高温高湿試験後の塗膜の密着性が向上する傾向にある。
本実施形態におけるコーティング組成物は、金属酸化物(A)と、重合体粒子(B)とが、水素結合や縮合(化学結合)等の相互作用によりヘテロ凝集したものが存在していてもよい。このような相互作用をすることのより、本実施形態におけるコーティング組成物から得られる塗膜は、機械的強度がより向上する傾向にある。
本実施形態の塗膜は、例えば、金属酸化物(A)及び重合体粒子(B)及び重合体粒子親和性溶剤(C)を含むコーティング組成物を塗布し、乾燥して形成することができる。
本実施形態において、金属酸化物(A)及び重合体粒子(B)を含むコーティング組成物を用いることにより、金属酸化物(A)と重合体粒子(B)とのヘテロ凝集、又は金属酸化物(A)同士の凝集が促進される傾向にある。
前記コーティング組成物において、上述の加水分解性珪素化合物(D)をさらに含むことが好ましい。
前記コーティング組成物において、加水分解性珪素化合物(D)をさらに含む場合、加水分解性珪素化合物(D)のシラノール基と前記金属酸化物(A)の表面に存在する水酸基との間の縮合反応により結合が形成したり、あるいは、加水分解性珪素化合物(D)と金属酸化物(A)との間に水素結合が形成したりする。これにより、前記コーティング組成物から得られる本実施形態の塗膜は、機械的強度がより増加する傾向にある。
本実施形態におけるコーティング組成物は、金属酸化物(A)と重合体粒子(B)との質量比率((A):(B))が、1:0.2〜1:3.3であることが好ましく、1:0.33〜1:3.3であることがより好ましく、1:0.5〜1:2であることがさらに好ましい。
金属酸化物(A)と加水分解性珪素化合物(D)との質量比率((A):(D))は、機械的強度、耐候性の観点から、1:0.05以上であることが好ましい。なお加水分解性珪素化合物(D)の質量とは、加水分解性珪素化合物(D)が加水分解、縮合した後のSiO2換算での質量であるものとする。
(コーティング組成物の調製)
コーティング組成物は、金属酸化物(A)と、重合体粒子(B)と、重合体粒子親和性溶剤(C)とを配合して混合物を得る第1の工程と、当該混合物に酸を添加する第2の工程により、調製することが好ましい。
前記酸は、以下に限定されるものではないが、例えば、塩酸、フッ酸等のハロゲン化水素類;酢酸、トリクロル酢酸、トリフルオロ酢酸、乳酸等のカルボン酸類;硫酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等のスルホン酸類;アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルスルホン酸、アルキルスルホコハク酸、ポリオキシエチレンアルキル硫酸、ポリオキシエチレンアルキルアリール硫酸、ポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテルスルホン酸等の酸性乳化剤類;酸性又は弱酸性の無機塩、フタル酸、リン酸、硝酸のような酸性化合物類等が挙げられる。
前記「酸」として、加水分解触媒、縮合触媒としての酸を添加する場合、配合安定性の観点から、先に金属酸化物(A)及び重合体粒子(B)及び重合体粒子親和性溶剤(C)を配合した後に、当該酸を添加することが好ましい。あるいは、金属酸化物(A)の等電点まで酸を添加することで凝集させた後、塩基で中和して安定化させてから重合体粒子(B)を加えてもよい。あるいは重合体粒子(B)と加水分解性珪素化合物(D)とを配合して重合体粒子(B)の周囲に加水分解して縮合した(D)でコーティングしてもよい。
本実施形態の塗膜の製造方法は、塗膜の透明性、及び、耐候性試験後における密着性の観点から、金属酸化物(A)と、重合体粒子(B)と、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド及びN−メチルピロリドンからなる群より選ばれる少なくとも一種を含む重合体粒子親和性溶剤(C)と、エタノール水溶液と、を含むコーティング組成物であって、前記(A)に対する前記(B)の質量比(A/B)が、0.3以上5.0以下であり、かつ、前記(C)の含有量が1質量%〜10質量%であるコーティング組成物を調製する工程と、前記コーティング組成物を基材に塗布し、20〜130℃で0.5〜24時間乾燥する工程と、を含むことが好ましい。
(用途)
本実施形態の塗膜は、透明性、密着性、光学特性、帯電防止性に優れ、高温高湿の環境下に曝露する耐候性試験後においても高い密着性を維持可能であることから、家電製品やエレクトロニクス分野の帯電防止フィルム、ヘッドランプカバーやメーターパネルのような車両内外装用保護フィルム、屋外で使用される樹脂製基材の保護フィルムなど、長期の密着性が求められる用途においても樹脂基材用コーティング剤として用いることができる。
〔基材〕
本実施形態における基材は、本実施形態の塗膜の用途に応じて、種々選択可能である。基材としては、以下に限定されるものではないが、例えば、金属、ガラス、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、環状オレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
その他、太陽光発電用保護材、集光型太陽光発電用ミラー、太陽熱発電用ミラー、太陽チューブ、建築物、鋼構造物、建材、プラスチック、自動車等も基材として挙げられる。
以下、本実施形態について、具体的な実施例及び比較例を挙げて説明するが、本実施形態はこれらに限定されるものではない。
(1)ヘーズの測定
後述する実施例及び比較例で製造した試験板について、日本国日本電色工業株式会社製濁度計NDH2000を用いて、JIS K7361−1に規定される方法により、ヘーズを測定した。
(2)塗膜屈折率の測定
後述する実施例及び比較例で製造した塗膜について、大塚電子製、商品名「FE−3000」を用い、積層された塗膜ならびに基材の屈折率を測定した。
(3)耐候性試験
後述する実施例及び比較例で製造した塗膜について、小型環境試験器(エスペック(株)製)を用い、温度85℃、湿度85%の環境下、24時間放置する耐候性試験を行った。なお、耐候性試験後の試験板の密着性を下記(4)に記載した方法に従い測定した。
(4)密着性評価
後述する実施例及び比較例で製造した塗膜について、上記(3)に記載した耐候性試験後の密着性を、JIS K5600−5−6に規定される方法により評価した。
(5)表面抵抗率
後述する実施例及び比較例で製造した塗膜について、超絶縁抵抗/微小電流計(日本国アドバンテスト製TR8601)を用いて測定した。
((6)重合体粒子の数平均粒子径)
後述する合成例により製造した重合体粒子(B)の数平均粒子径は、動的光散乱式粒度分布測定装置(日機装社製、商品名マイクロトラックUPA)により測定した。
(7)A,B成分の質量
各例で調製したコーティング組成物における組成比に基づいて、塗膜中におけるA,B成分の質量を特定した。また、これらの質量については、後述するSEM観察でも確認することとした。
〔合成例〕
以下、後述する実施例及び比較例において用いた重合体粒子(B)の合成例を記載する。
(合成例1)
<重合体粒子(B−1)水分散体の合成>
還流冷却器、滴下槽、温度計及び撹拌装置を有する反応器に、イオン交換水1600g、及びドデシルベンゼンスルホン酸12gを投入した後、撹拌しながら80℃に加温して混合液(1)を得た。
得られた混合液(1)に、コア層としてジメチルジメトキシシラン185g及びフェニルトリメトキシシラン(b1−3)151gの混合液(2)を、反応容器中の温度を80℃に保った状態で約2時間かけて滴下して混合液(3)を得た。
その後、反応容器中の温度が80℃の状態で混合液(3)を約1時間撹拌した。
次に、得られた混合液(3)に、シェル層としてアクリル酸ブチル150g、テトラエトキシシラン(b1−3)30g、フェニルトリメトキシシラン(b1−3)145g、及び3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(b1−3)1.3gの混合液(4)と、ジエチルアクリルアミド165g、アクリル酸3g、反応性乳化剤(商品名「アデカリアソープSR−1025」、旭電化(株)製、固形分25質量%水溶液)13g、過硫酸アンモニウムの2質量%水溶液40g、及びイオン交換水1900gの混合液(5)とを、反応容器中の温度を80℃に保った状態で約2時間かけて同時に滴下して混合物(6)を得た。
さらに熱養生として、反応容器中の温度が80℃の状態で混合物(6)を約2時間撹拌した。
その後、混合物(6)を室温まで冷却し、100メッシュの金網で濾過し、製水で濃度を調整して数平均粒子径40nmの重合体粒子(B−1)の水分散体(固形分14質量%、pH3.2)を得た。
〔実施例1〕
重合体粒子(B)として合成例1で合成した重合体粒子(B−1)の水分散体4.08g、球状の金属酸化物(A)の原料として平均粒子径5nmの水分散コロイダルシリカ(商品名「スノーテックスOXS」(ST−OXS)、日産化学工業(株)製、固形分10質量%)5.71g、加水分解性珪素化合物(D)としてテトラエトキシシラン(信越化学工業(株)製、固形分28質量%)0.20gを混合した。その後固形分が6%となるように20%エタノール水で調整し、水溶性溶剤としてジメチルホルムアミド(和光純薬工業(株)製)0.60gを混合及び撹拌し、コーティング組成物(E−1)を得た。
基材(5cm×5cmのポリカーボネート)に、上記コーティング組成物を、スピンコーターを用いて膜厚が400nmとなるよう塗布した後、25℃で24時間以上乾燥し、塗膜(F−1)を得た。塗膜F−1のヘーズは0.38、屈折率は1.43、表面抵抗率は3.5×1010 Ωであった。組成比から求めた質量比(A/B)は1.0であった。また、塗膜の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察し、得られた写真中に存在する(A)、および(B)の単位面積当たりの占有面積を測定し、それぞれの密度から単位面積当たりの質量を計算した。このようにして算出された(A)、および(B)の質量比(A/B)も1.0であった。なお、後述する実施例2〜6及び比較例1〜6についても上記と同様にして、コーティング組成物における組成比から質量比(A/B)を求め、SEM観察によりその質量比が塗膜中の質量比(A/B)に一致することを確認した。
得られた塗膜(F−1)の耐候性試験後の密着性は分類0であり、良好な密着性を示した。
〔実施例2〕
重合体粒子(B)として合成例1で合成した重合体粒子(B−1)の水分散体4.08g、球状の金属酸化物(A)の原料として平均粒子径5nmの水分散コロイダルシリカ(商品名「スノーテックスOXS」(ST−OXS)、日産化学工業(株)製、固形分10質量%)5.71g、加水分解性珪素化合物(D)としてテトラエトキシシラン(信越化学工業(株)製、固形分28質量%)0.20gを混合した。その後固形分が6%となるように20%エタノール水で調整し、水溶性溶剤としてジメチルホルムアミド(和光純薬工業(株)製)1.20gを混合及び撹拌し、コーティング組成物(E−2)を得た。
基材(5cm×5cmのポリカーボネート)に、上記コーティング組成物を、スピンコーターを用いて膜厚が400nmとなるよう塗布した後、25℃で24時間以上乾燥し、塗膜(F−2)を得た。得られた塗膜F−2のヘーズは1.04、屈折率は1.43、表面抵抗率は5.0×1010 Ωであった。
得られた塗膜(F−2)の耐候性試験後の密着性は分類0であり、良好な密着性を示した。
〔実施例3〕
重合体粒子(B)として合成例1で合成した重合体粒子(B−1)の水分散体5.36g、球状の金属酸化物(A)の原料として平均粒子径5nmの水分散コロイダルシリカ(商品名「スノーテックスOXS」(ST−OXS)、日産化学工業(株)製、固形分10質量%)3.75g、加水分解性珪素化合物(D)としてテトラエトキシシラン(信越化学工業(株)製、固形分28質量%)0.27gを混合した。その後固形分が6%となるように20%エタノール水で調整し、水溶性溶剤としてジメチルホルムアミド(和光純薬工業(株)製)0.75gを混合及び撹拌し、コーティング組成物(E−3)を得た。
基材(5cm×5cmのポリカーボネート)に、上記コーティング組成物を、スピンコーターを用いて膜厚が400nmとなるよう塗布した後、25℃で24時間以上乾燥し、塗膜(F−3)を得た。得られた塗膜F−3のヘーズは0.76、屈折率は1.47、表面抵抗率は2.0×109 Ωであった。
得られた塗膜(F−3)の耐候性試験後の密着性は分類0であり、良好な密着性を示した。
〔実施例4〕
重合体粒子(B)として合成例1で合成した重合体粒子(B−1)の水分散体2.76g、球状の金属酸化物(A)の原料として平均粒子径5nmの水分散コロイダルシリカ(商品名「スノーテックスOXS」(ST−OXS)、日産化学工業(株)製、固形分10質量%)7.74g、加水分解性珪素化合物(D)としてテトラエトキシシラン(信越化学工業(株)製、固形分28質量%)0.14gを混合した。その後固形分が6%となるように20%エタノール水で調整し、水溶性溶剤としてジメチルホルムアミド(和光純薬工業(株)製)1.16gを混合及び撹拌し、コーティング組成物(E−4)を得た。
基材(5cm×5cmのポリカーボネート)に、上記コーティング組成物を、スピンコーターを用いて膜厚が400nmとなるよう塗布した後、25℃で24時間以上乾燥し、塗膜(F−4)を得た。得られた塗膜F−4のヘーズは0.85、屈折率は1.45、表面抵抗率は2.0×108 Ωであった。
得られた塗膜(F−4)の耐候性試験後の密着性は分類0であり、良好な密着性を示した。
〔実施例5〕
重合体粒子(B)として合成例1で合成した重合体粒子(B−1)の水分散体2.09g、球状の金属酸化物(A)の原料として平均粒子径5nmの水分散コロイダルシリカ(商品名「スノーテックスOXS」(ST−OXS)、日産化学工業(株)製、固形分10質量%)8.78g、加水分解性珪素化合物(D)としてテトラエトキシシラン(信越化学工業(株)製、固形分28質量%)0.105gを混合した。その後固形分が6%となるように20%エタノール水で調整し、水溶性溶剤としてジメチルホルムアミド(和光純薬工業(株)製)1.46gを混合及び撹拌し、コーティング組成物(E−5)を得た。
基材(5cm×5cmのポリカーボネート)に、上記コーティング組成物を、スピンコーターを用いて膜厚が400nmとなるよう塗布した後、25℃で24時間以上乾燥し、塗膜(F−5)を得た。得られた塗膜F−5のヘーズは0.53、屈折率は1.46、表面抵抗率は1.6×108 Ωであった。
得られた塗膜(F−10)の耐候性試験後の密着性は分類0であり、良好な密着性を示した。
〔実施例6〕
重合体粒子(B)として合成例1で合成した重合体粒子(B−1)の水分散体4.29g、球状の金属酸化物(A)の原料として平均粒子径5nmの水分散コロイダルシリカ(商品名「スノーテックスOXS」(ST−OXS)、日産化学工業(株)製、固形分10質量%)6.00gを混合した。その後固形分が6%となるように20%エタノール水で調整し、水溶性溶剤としてジメチルホルムアミド(和光純薬工業(株)製)0.30gを混合及び撹拌し、コーティング組成物(E−6)を得た。
基材(5cm×5cmのポリカーボネート)に、上記コーティング組成物を、スピンコーターを用いて膜厚が400nmとなるよう塗布した後、25℃で24時間以上乾燥し、塗膜(F−6)を得た。得られた塗膜F−6のヘーズは0.80、屈折率は1.45、表面抵抗率は1.3×1010 Ωであった。
得られた塗膜(F−10)の耐候性試験後の密着性は分類0であり、良好な密着性を示した。
〔比較例1〕
重合体粒子(B)として合成例1で合成した重合体粒子(B−1)の水分散体4.08g、球状の金属酸化物(A)の原料として平均粒子径5nmの水分散コロイダルシリカ(商品名「スノーテックスOXS」(ST−OXS)、日産化学工業(株)製、固形分10質量%)5.71g、加水分解性珪素化合物(D)としてテトラエトキシシラン(信越化学工業(株)製、固形分28質量%)0.20gを混合した。その後固形分が6%となるように20%エタノール水で調整し、コーティング組成物(E−7)を得た。
基材(5cm×5cmのポリカーボネート)に、上記コーティング組成物を、スピンコーターを用いて膜厚が400nmとなるよう塗布した後、25℃で24時間以上乾燥し、塗膜(F−7)を得た。得られた塗膜F−7のヘーズは1.60、屈折率は1.37、表面抵抗率は1.0×1010 Ωであった。
得られた塗膜(F−7)の耐候性試験後の密着性は分類5であり、著しい密着性の低下が確認された。
〔比較例2〕
重合体粒子(B)として合成例1で合成した重合体粒子(B−1)の水分散体4.08g、球状の金属酸化物(A)の原料として平均粒子径5nmの水分散コロイダルシリカ(商品名「スノーテックスOXS」(ST−OXS)、日産化学工業(株)製、固形分10質量%)5.71g、加水分解性珪素化合物(D)としてテトラエトキシシラン(信越化学工業(株)製、固形分28質量%)0.20gを混合した。その後固形分が6%となるように20%エタノール水で調整し、水溶性溶剤としてアセトン((株)製)0.60gを混合、撹拌し、コーティング組成物(E−8)を得た。
基材(5cm×5cmのポリカーボネート)に、上記コーティング組成物を、スピンコーターを用いて膜厚が400nmとなるよう塗布した後、25℃で24時間以上乾燥し、塗膜(F−8)を得た。得られた塗膜F−8のヘーズは1.63、屈折率は1.36、表面抵抗率は8.9×109 Ωであった。
得られた塗膜(F−8)の耐候性試験後の密着性は分類5であり、著しい密着性の低下が確認された。
〔比較例3〕
重合体粒子(B)として合成例1で合成した重合体粒子(B−1)の水分散体4.08g、球状の金属酸化物(A)の原料として平均粒子径5nmの水分散コロイダルシリカ(商品名「スノーテックスOXS」(ST−OXS)、日産化学工業(株)製、固形分10質量%)5.71g、加水分解性珪素化合物(D)としてテトラエトキシシラン(信越化学工業(株)製、固形分28質量%)0.20gを混合した。その後固形分が6%となるように20%エタノール水で調整し、水溶性溶剤としてアセトン((株)製)1.20gを混合、撹拌し、コーティング組成物(E−9)を得た。
基材(5cm×5cmのポリカーボネート)に、上記コーティング組成物を、スピンコーターを用いて膜厚が400nmとなるよう塗布した後、25℃で24時間以上乾燥し、塗膜(F−9)を得た。得られた塗膜F−9のヘーズは1.61、屈折率は1.37、表面抵抗率は9.1×109 Ωであった。
得られた塗膜(F−9)の耐候性試験後の密着性は分類5であり、著しい密着性の低下が確認された。
〔比較例4〕
重合体粒子(B)として合成例1で合成した重合体粒子(B−1)の水分散体8.57gを固形分が6%となるように20%エタノール水で調整し、水溶性溶剤としてジメチルホルムアミド(和光純薬工業(株)製)0.60gを混合及び撹拌し、コーティング組成物(E−10)を得た。
基材(5cm×5cmのポリカーボネート)に、上記コーティング組成物を、スピンコーターを用いて膜厚が400nmとなるよう塗布した後、25℃で24時間以上乾燥し、塗膜(F−10)を得た。得られた塗膜F−10のヘーズは0.79、屈折率は1.32、表面抵抗率は8.4×1014 Ωであった。
得られた塗膜(F−10)の耐候性試験後の密着性は分類0であり、良好な密着性を示した。
〔比較例5〕
重合体粒子(B)として合成例1で合成した重合体粒子(B−1)の水分散体4.08g、球状の金属酸化物(A)の原料として平均粒子径5nmの水分散コロイダルシリカ(商品名「スノーテックスOXS」(ST−OXS)、日産化学工業(株)製、固形分10質量%)5.71g、加水分解性珪素化合物(D)としてテトラエトキシシラン(信越化学工業(株)製、固形分28質量%)0.20gを混合した。その後固形分が6%となるように20%エタノール水で調整し、水溶性溶剤としてジメチルホルムアミド(和光純薬工業(株)製)0.05gを混合及び撹拌し、コーティング組成物(E−11)を得た。
基材(5cm×5cmのポリカーボネート)に、上記コーティング組成物を、スピンコーターを用いて膜厚が400nmとなるよう塗布した後、25℃で24時間以上乾燥し、塗膜(F−11)を得た。塗膜F−11のヘーズは1.42、屈折率は1.39、表面抵抗率は1.2×1010 Ωであった。
得られた塗膜(F−10)の耐候性試験後の密着性は分類5であり、著しい密着性の低下が確認された。
〔比較例6〕
重合体粒子(B)として合成例1で合成した重合体粒子(B−1)の水分散体2.09g、球状の金属酸化物(A)の原料として平均粒子径5nmの水分散コロイダルシリカ(商品名「スノーテックスOXS」(ST−OXS)、日産化学工業(株)製、固形分10質量%)8.78g、加水分解性珪素化合物(D)としてテトラエトキシシラン(信越化学工業(株)製、固形分28質量%)0.105gを混合した。その後固形分が6%となるように20%エタノール水で調整し、水溶性溶剤としてジメチルホルムアミド(和光純薬工業(株)製)0.15gを混合及び撹拌し、コーティング組成物(E−12)を得た。
基材(5cm×5cmのポリカーボネート)に、上記コーティング組成物を、スピンコーターを用いて膜厚が400nmとなるよう塗布した後、25℃で24時間以上乾燥し、塗膜(F−12)を得た。塗膜F−12のヘーズは0.62、屈折率は1.42、表面抵抗率は1.3×108 Ωであった。
得られた塗膜(F−12)の耐候性試験後の密着性は分類5であり、著しい密着性の低下が確認された。
上述した実施例1〜6及び比較例1〜6の組成及び評価結果を表1〜2に示す。なお、表1〜2中の各成分の数値は(B)を100質量部とする質量部表示である。
表1に示すように、各実施例の塗膜は表面抵抗率(帯電防止性)、ヘーズ値、耐候性試験後の密着性の全てが良好であった。一方、表2に示すように、比較例の塗膜については上述の全てが良好となるものは確認されなかった。
本発明に係る塗膜は、帯電防止性、透明性、耐久性に優れ、さらに従来品では不十分であった耐候性試験後の密着性についても優れているため、ほこり付着防止機能が求められる家電製品の帯電防止フィルム、静電気障害が問題となるエレクトロニクス分野における帯電防止フィルム、液晶保護フィルム、屋外で使用される樹脂製基材の保護フィルムなど、帯電防止性、及び長期の密着性が求められる用途において樹脂基材用コーティング剤として用いることができる。

Claims (4)

  1. 金属酸化物(A)と、重合体粒子(B)と、を含み、
    前記(A)に対する前記(B)の質量比(A/B)が、0.3以上5.0以下であり、
    屈折率が1.43以上1.60未満である、塗膜。
  2. 加水分解性珪素化合物(D)をさらに含む、請求項1に記載の塗膜。
  3. 前記重合体粒子(B)が、水及び乳化剤の存在下で、加水分解性珪素化合物(b1)と、2級及び/又は3級アミド基を有するビニル単量体(b2)と、を重合して得られる重合体粒子を含む、請求項1又は2に記載の塗膜。
  4. 金属酸化物(A)と、重合体粒子(B)と、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド及びN−メチルピロリドンからなる群より選ばれる少なくとも一種を含む重合体粒子親和性溶剤(C)と、エタノール水溶液と、を含むコーティング組成物であって、前記(A)に対する前記(B)の質量比(A/B)が、0.3以上5.0以下であり、かつ、前記(C)の含有量が1質量%〜10質量%であるコーティング組成物を調製する工程と、
    前記コーティング組成物を基材に塗布し、20〜130℃で0.5〜24時間乾燥する工程と、
    を含む、塗膜の製造方法。
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