JP6651283B2 - 難燃性付与方法 - Google Patents

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本発明は、難燃性の積層体に関する。
近年、省エネが見直されており、機械産業、電子機器産業、自動車産業等において、エネルギーの効率化のための材料の軽量化が求められている。特に、上記したような分野では透明性、表面強度及び難燃性に優れるガラス材料が広く用いられている。しかし、ガラス材料は、比重が大きいことが欠点であり、軽量化が求められている。
一方、近年、防災の観点から、高層建築物の各部位に適用される材料には、その難燃性、防火性又は難燃性の性能について厳しい制限が課されており、上記したような種々の産業においても、高層建築物に適用される基準と同等の高い難燃性等が求められる傾向にある。
特に、樹脂フィルムは、周辺で燃焼が起きた際、当該フィルムが溶解し、自重に耐えきれずに落下する場合がある。さらに、落下した溶解樹脂が着火していた場合、火災が発生・拡大するおそれがあり、使用できる用途が限られていた。
この様な問題を解決するため、従来、難燃性のフィルムとして、フッ素樹脂を用いたフィルムや薄板ガラスが開発されている。しかし、フッ素樹脂は高価であると共に、上記の基準からすると、難燃性の面で不十分と考えられている。また、薄板ガラスは安価で難燃性や耐湿性に優れているものの、柔軟性が不十分であり、用途が極めて限定されるという問題があった。そこで、特許文献1においては、リキッドセラミックス及び合成樹脂エマルションからなるコーティング材が提案されている。
また、ポリイミドのような耐熱性の高い樹脂に粘土等の無機化合物を混合したフィルムが報告されているが、樹脂と無機物を混合したフィルムは透明性に問題があった。そこで、特許文献2においては、透明性を確保しつつ難燃性の高いシリカ系のコーティング剤が提案されている。
特開2000−43183号公報 国際公開第2012/169591号パンフレット
しかしながら、特許文献1,2に記載の技術で得られるフィルムは、柔軟性が不十分であるとともに脆いため、基材の変形によりクラックを発生しやすく、難燃性の発現が不十分である。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、密着性と外観ないし透明性と機械特性との良好なバランスを確保した上、より優れた難燃性を発現する難燃積層体を提供することにある。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1]
基材に難燃性を付与する方法であって、
(A)金属酸化物、(B)水系重合体エマルション及び(C)加水分解性金属酸化物を含むコーティング組成物を、前記基材の全ての面に塗布し、分散媒を揮発させることで、前記基材上にコーティング層を形成して難燃積層体を得る工程を含み、
前記(A)金属酸化物が、二酸化珪素であり、かつ、前記(B)水系重合体エマルションが、水及び乳化剤の存在下に(b1)加水分解性珪素化合物と(b2)2級及び/又は3級アミド基を有するビニル単量体を重合して得られる水系重合体エマルションであり、かつ、前記(C)加水分解性金属酸化物が、加水分解性珪素化合物であり、
前記(A)金属酸化物と前記(B)水系重合体エマルションとが相互作用することにより、当該(B)水系重合体エマルションが硬化され、
前記難燃積層体が、UL94規格V試験法において、10秒間着火を2回繰り返し、火炎落下が発生しない難燃積層体であり、
前記基材が、ポリカーボネート樹脂である、難燃性付与方法。
[2]
前記コーティング組成物における、下記数式(1)で表される加水分解性珪素化合物のSiOH基換算での質量(Cw)の質量比率(Y)が、0.01以上0.20以下を満たす、[1]に記載の難燃性付与方法。
[数式1]
(Y)=(Cw)/((Aw)+(Bw)+(Cw)) (1)
(式中、(Aw)は(A)金属酸化物の固形分質量を表し、(Bw)は(B)水系重合体エマルションの固形分質量を表し、(Cw)は(C)加水分解性金属酸化物のSiOH基換算での質量を表す。)
[3]
前記コーティング組成物における、前記(A)金属酸化物と(B)水系重合体エマルションとの質量比率(X)((A)金属酸化物/(B)水系重合体エマルション)が、0.2以上8.0以下である、[1]又は[2]に記載の難燃性付与方法
[4
JIS−K5600−5−1(1999)に準拠した円筒形マンドレル法による耐屈曲性試験において、前記基材の割れの起こるマンドレル直径が8mm以下である、[1]〜[]のいずれかに記載の難燃性付与方法。

前記難燃積層体における全光線透過率の維持率(100×前記難燃積層体の全光線透過率/前記基材の全光線透過率)が、90%以上である、[1]〜[]のいずれかに記載の難燃性付与方法。
本発明によれば、密着性と外観ないし透明性と機械特性との良好なバランスを確保した上、より優れた難燃性を発現する難燃積層体を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について詳細に説明する。以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨の範囲内で適宜変形して実施できる。
〔難燃積層体〕
本実施形態の難燃積層体は、基材と、当該基材の少なくとも1つの面に形成され、かつ、(A)金属酸化物、(B)水系重合体エマルション及び(C)加水分解性金属酸化物を含むコーティング層と、を有する。本実施形態の難燃積層体は、上記のように構成されているため、密着性と外観ないし透明性と機械特性との良好なバランスを確保した上、より優れた難燃性を発現することができる。以下、本実施形態の難燃積層体を構成する各材料について詳細に説明する。
本実施形態におけるコーティング層は、(A)金属酸化物、(B)水系重合体エマルション及び(C)加水分解性金属酸化物を含む(D)コーティング組成物から形成することができる。このようなコーティング層を有することにより、本実施形態の難燃積層体は実用十分な透明性及び機械的強度を確保しつつ、より優れた難燃性を発現することができるといえる。より詳細には、本実施形態における(D)コーティング組成物が含有する(B)水系重合体エマルションの作用により、柔軟性が付与されるため、燃焼時の基材変形による塗膜の割れを抑制することができる。さらに、(D)コーティング組成物が含有する(C)加水分解性珪素化合物の作用としては、(C)加水分解性金属酸化物がシラノール基を有する場合、(A)金属酸化物の表面に存在する水酸基と当該シラノール基との間の縮合反応によって結合が形成される、あるいは、(C)加水分解性金属酸化物と(A)金属酸化物との間に水素結合が形成されることにより、塗膜の硬度がより増加すると考えられる。
本実施形態の難燃積層体においては、UL94規格による垂直燃焼試験であるV試験において、10秒間2回繰り返し、火炎落下が発生しないことが好ましい。なお、上記試験の具体的な試験方法については、後述する実施例における試験方法と同様にすることができる。上記試験の基準に合致する場合、十分な難燃性を備えていることを示されるため、好ましい。
本実施形態の難燃積層体においては、JIS−K5600−5−1に準拠した耐屈曲性(円筒形マンドレル法)試験において、基材の割れの起こるマンドル直径が8mm以下であることが好ましい。このような結果が得られる場合、難燃コーティング材が熱による基材の変形に追従し、クラック発生をより効果的に抑制できるため、前述のV試験において、火炎落下をより効果的に抑制できる傾向にある。なお、上記試験による耐屈曲性の評価は、後述する実施例に記載の方法で行うことができる。
本実施形態の難燃積層体においては、全光線透過率の維持率(100×前記難燃積層体の全光線透過率/前記基材の全光線透過率)が、90%以上であることが好ましい。このような結果が得られる場合、例えば窓ガラスとして使用する際、採光性の低下が極めて低く、透過性の極めて高いガラスの代替として適用できる傾向にある。同様の観点から、上記全光線透過率の維持率は、98%以上であることがより好ましい。なお、全光線透過率の維持率は、後述する実施例に記載の方法で行うことができる。
((A)金属酸化物)
本実施形態において、(A)金属酸化物は、強度向上と難燃性向上の役割を果たすものである。(A)金属酸化物の形状としては特に限定されるものではなく、球状でも球状の粒子が連なった鎖状でもよい。また、(A)金属酸化物の存在形態としては、特に限定されるものではなく、一次粒子であっても、凝集粒子であってもよい。
本実施形態において、(A)金属酸化物の組成は特に限定されない。例えば、ケイ素、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、亜鉛、スズ、インジウム、ガリウム、ゲルマニウム、アンチモン、モリブデンなどの酸化物が挙げられる。上記酸化物は、単独で使用してもよく、また適宜複数組み合わせて使用することもできる。なお、コストと配合時の分散安定性の観点から、(A)金属酸化物が二酸化珪素を含むことが好ましい。
本実施形態において、(A)金属酸化物の平均粒子径は、透明性と機械的強度を確保する観点から、1nm以上100nm以下であることが好ましい。より好ましくは1nm以上50nm以下であり、さらに好ましくは1nm以上10nm以下である。ここで、平均粒子径とは、粒子が一次粒子の形で存在している場合には一次粒子径を、凝集粒子の形で存在している場合は凝集粒子径(二次粒子径)を指し、(A)金属酸化物の粒子が100個〜200個写るように調整して撮影した透過型顕微鏡(TEM)写真の中に存在している該当の粒子の粒子径(二軸平均径、すなわち、短径と長径との平均値)の平均値を求めることにより決定することができる。
本実施形態のコーティング組成物には、(A)金属酸化物の他に、例えば、ホウ素、リン等を含む金属酸化物が含まれていてもよい。
((B)水系重合体エマルション)
本実施形態において、(B)水系重合体エマルションは、柔軟性付与と基材への密着性向上の役割を果たすものである。(B)水系重合体エマルションを構成する重合体としては、特に限定されないが、例えば、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリ(メタ)アクリレート系、ポリビニルアセテート系、ポリブタジエン系、ポリ塩化ビニル系、塩素化ポリプロピレン系、ポリエチレン系、ポリスチレン系、ポリスチレン−(メタ)アクリレート系共重合体、ロジン系誘導体、スチレン−無水マレイン酸共重合体のアルコール付加物、セルロース系樹脂などのポリカルボニル化合物などから構成される重合体等を挙げることができる。
本実施形態における(B)水系重合体エマルションの調製方法としては、特に限定されないが、水及び乳化剤の存在下に(b1)加水分解性珪素化合物と(b2)2級及び/又は3級アミド基を有するビニル単量体を重合して得られるものであることが好ましい。このようにして得られる(B)水系重合体エマルションは、基材への密着性により優れる傾向にある。
本実施形態における(B)水系重合体エマルションの粒子径としては、特に限定されないが、数平均粒子径で10nm以上800nm以下であることが好ましい。(B)水系重合体エマルションの数平均粒子径が上記範囲を満たす場合、全光線透過率がより高くなる傾向にある。なお、数平均粒子径は、後述する実施例に記載の方法で測定することができる。
本実施形態において、(D)コーティング組成物中の(A)金属酸化物を、(B)水系重合体エマルションと相互作用させることにより、(B)水系重合体エマルションを硬化させることもできる。この場合、(D)コーティング組成物から得られる塗膜の機械的強度が向上する傾向にあるため好ましい。
(A)金属酸化物と(B)水系重合体エマルションとの上記相互作用としては、例えば、水素結合や化学結合等が挙げられる。具体的には、(A)金属酸化物が有する水酸基と(B)水系重合体エマルションが有する2級及び/又は3級アミド基との水素結合や、(A)金属酸化物が有する水酸基と(B)水系重合体エマルションを構成する加水分解性金属化合物の重合生成物との縮合(化学結合)等が挙げられる。
水及び乳化剤の存在下に(b1)加水分解性珪素化合物と(b2)2級及び/又は3級アミド基を有するビニル単量体を重合して(B)水系重合体エマルションを製造する場合に用いる(b1)加水分解性珪素化合物としては、特に限定されず、下記化学式(1)で表される化合物やその縮合生成物、シランカップリング剤等を例示することができる。
[化1]
SiWxy (1)
(式中、Wは炭素数1〜20のアルコキシ基、水酸基、炭素数1〜20のアセトキシ基、ハロゲン原子、水素原子、炭素数1〜20のオキシム基、エノキシ基、アミノキシ基、アミド基から選ばれた少なくとも1種の基を表す。Rは、直鎖状又は分岐状の炭素数が1〜30個のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、及び置換されていないか又は炭素数1〜20のアルキル基若しくは炭素数1〜20のアルコキシ基若しくはハロゲン原子で置換されている炭素数6〜20のアリール基から選ばれる少なくとも1種の炭化水素基を表す。xは1以上4以下の整数であり、yは0以上3以下の整数である。また、x+y=4である。)
シランカップリング剤とは、ビニル重合性基、エポキシ基、アミノ基、メタクリル基、メルカプト基、イソシアネート基等の有機物と反応性を有する官能基が分子内に存在する、加水分解性珪素化合物である。
(b1)加水分解性珪素化合物としては、特に限定されないが、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン等のテトラアルコキシシラン類;メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリエトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−ペンチルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘプチルトリメトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3,3,3−トリフロロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフロロプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−ヒドロキシエチルトリメトキシシラン、2−ヒドロキシエチルトリエトキシシラン、2−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、2−ヒドロキシプロピルトリエトキシシラン、3−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、3−ヒドロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアナートプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアナートプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリn−プロポキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリイソプロポキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等のトリアルコキシシラン類;ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジ−n−プロピルジメトキシシラン、ジ−n−プロピルジエトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、ジイソプロピルジエトキシシラン、ジ−n−ブチルジメトキシシラン、ジ−n−ブチルジエトキシシラン、ジ−n−ペンチルジメトキシシラン、ジ−n−ペンチルジエトキシシラン、ジ−n−ヘキシルジメトキシシラン、ジ−n−ヘキシルジエトキシシラン、ジ−n−ヘプチルジメトキシシラン、ジ−n−ヘプチルジエトキシシラン、ジ−n−オクチルジメトキシシラン、ジ−n−オクチルジエトキシシラン、ジ−n−シクロヘキシルジメトキシシラン、ジ−n−シクロヘキシルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン等のジアルコキシシラン類;トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン等のモノアルコキシシラン類等を挙げることができる。また、これらの(b1)加水分解性珪素化合物は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
(b1)加水分解性珪素化合物が、縮合生成物として使用される場合、当該縮合生成物のゲル浸透クロマトグラフ(GPC)測定によるポリスチレン換算重量平均分子量は、乳化重合時の粒子安定性の観点から、好ましくは200〜5000、より好ましくは300〜1000である。
上述の(b1)加水分解性珪素化合物の中で、フェニル基を有する珪素アルコキシド、例えばフェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン等は、水及び乳化剤の存在下における重合安定性に優れるため好ましい。
また、上述の(b1)加水分解性珪素化合物の中で、3−(メタ)アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリn−プロポキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、2−トリメトキシシリルエチルビニルエーテル等のビニル重合性基を有するシランカップリング剤や、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等のチオール基を有するシランカップリング剤は、上述した(b2)2級及び/又は3級アミド基を有するビニル単量体と共重合又は連鎖移動反応して化学結合を生成することが可能である。
本実施形態において、基材密着性をより高める観点から、(b1)加水分解性珪素化合物の使用量は、得られる(B)水系重合体エマルション(添加するビニル単量体((b2)及び場合により添加する(b3))が全て重合した場合に得られるビニル(共)重合体と、(b1)加水分解性珪素化合物が全て重合した場合に得られる重合生成物の質量(計算値)の合計)に対する質量比(b1)/(B)として、0.005以上0.5以下であることが好ましい。
(b1)加水分解性珪素化合物としてビニル重合性基を有するシランカップリング剤を用いることが耐候性の観点からより好ましい。その配合量は、重合安定性の観点から、(B)水系重合体エマルション100質量部に対して0.01以上20質量部以下であることが好ましく、0.1以上10質量部以下がより好ましい。
本実施形態における(B)水系重合体エマルションを製造するのに用いる(b2)2級及び/又は3級アミド基を有するビニル単量体としては、特に限定されないが、例えば、N−アルキル又はN−アルキレン置換(メタ)アクリルアミド等を例示することができる。具体的には、例えば、N−メチルアクリルアミド、N−メチルメタアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−エチルメタアクリルアミド、N−メチル−N−エチルアクリルアミド、N−メチル−N−エチルメタアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−n−プロピルアクリルアミド、N−イソプロピルメタアクリルアミド、N−n−プロピルメタアクリルアミド、N−メチル−N−n−プロピルアクリルアミド、N−メチル−N−イソプロピルアクリルアミド、N−アクリロイルピロリジン、N−メタクリロイルピロリジン、N−アクリロイルピペリジン、N−メタクリロイルピペリジン、N−アクリロイルヘキサヒドロアゼピン、N−アクリロイルモルホリン、N−メタクリロイルモルホリン、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、N,N’−メチレンビスメタクリルアミド、N−ビニルアセトアミド、ダイアセトンアクリルアミド、ダイアセトンメタアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタアクリルアミド等を挙げることができる。
(B)水系重合体エマルションを製造するために用いるビニル単量体(b2)のアミド基は、2級アミド基、3級アミド基のいずれであってもよいが、3級アミド基を有するビニル単量体を用いる場合、得られる(B)水系重合体エマルションの、(A)金属酸化物との間の水素結合性が強まる傾向にあるため好ましい。その中でも、特に、N,N−ジエチルアクリルアミドは、水及び乳化剤の存在下における重合安定性に非常に優れるとともに、上述した(b1)加水分解性珪素化合物の重合生成物の水酸基や(A)金属酸化物の水酸基と強固な水素結合を形成できる傾向にあるため、さらに好ましい。
(b2)2級及び/又は3級アミド基を有するビニル単量体の使用量は、得られる(B)水系重合体エマルションに対する質量比(b2)/(B)として、0.1以上0.5以下であることが好ましく、(A)金属酸化物に対する質量比(b2)/(A)として、0.01以上1.0以下であることがより好ましい。上記範囲でビニル単量体(b2)が存在する場合、(B)水系重合体エマルションと(A)金属酸化物の間の水素結合力が十分得られると共に、(A)金属酸化物の粒子(a1)、(a2)が(B)水系重合体エマルションの表面に十分付着するようになり、塗膜の機械的強度と表面親水性がより向上する傾向にあるため好ましい。
(b1)加水分解性珪素化合物として、ビニル重合性基やチオール基を有するシランカップリング剤を、単独で又は上述した珪素アルコキシド、その他のシランカップリング剤、及びそれらの縮合生成物と混合若しくは複合化させて用いることができる。また、(B)水系重合体エマルションを構成する(b1)加水分解性珪素化合物の重合生成物と(b2)2級及び/又は3級アミド基を有するビニル単量体の重合生成物とは、水素結合や化学結合により複合化していてもよい。なお、本実施形態では、上記したとおり、(b1)成分や(b2)成分等は、水素結合や化学結合等の各種結合によって複合化されていることが好ましいが、その結合の形態や状態等について、本実施形態の必須の構成とする趣旨ではない。更に、本実施形態では、例えば、(B)水系重合体エマルション中の一部分のみにおいて上記したような複合化が行われていてもよい。
(B)水系重合体エマルションとして、ビニル重合性基やチオール基を有するシランカップリング剤である(b1)加水分解性珪素化合物と(b2)2級及び/又は3級アミド基を有するビニル単量体を重合して得られたものを用いると、耐候性、耐薬品性、光学特性、強度等がさらに優れる塗膜を形成できる傾向にあるため、より好ましい。
ビニル重合性基やチオール基を有するシランカップリング剤の配合量は、(b2)2級及び/又は3級アミド基を有するビニル単量体100質量部に対して0.1以上100質量部以下であることが重合安定性の観点から好ましく、0.5以上50質量部以下がより好ましい。
(b2)2級及び/又は3級アミド基を有するビニル単量体の重合を、これと共重合可能な他のビニル単量体(b3)と共に行う場合、生成する重合生成物の特性(ガラス転移温度、分子量、水素結合力、極性、分散安定性、耐候性、(b1)加水分解性珪素化合物の重合生成物との相溶性等)をより効果的に制御できる傾向にあるため好ましい。
ビニル単量体(b3)としては、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸エステル、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物の他、カルボキシル基含有ビニル単量体、水酸基含有ビニル単量体、エポキシ基含有ビニル単量体、カルボニル基含有ビニル単量体のような官能基を含有する単量体等を挙げることができる。なお、本明細書において、「(メタ)アクリル」とはメタアクリルとアクリルとを含む意義で簡便に表記したものである。
上記(メタ)アクリル酸エステルとしては、特に限定されないが、例えば、アルキル部の炭素数が1〜50の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、エチレンオキシド基の数が1〜100個の(ポリ)オキシエチレンジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記(メタ)アクリル酸エステルとしては、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸メチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ドデシル等が挙げられる。
上記(ポリ)オキシエチレンジ(メタ)アクリレートとしては、特に限定されないが、例えば、ジ(メタ)アクリル酸エチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ジエチレングリコール、メトキシ(メタ)アクリル酸ジエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸テトラエチレングリコール等が挙げられる。
芳香族ビニル化合物としては、特に限定されないが、例えば、スチレン、ビニルトルエン等が挙げられる。
シアン化ビニル化合物としては、特に限定されないが、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられる。
カルボキシル基含有ビニル単量体としては、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、無水マレイン酸、又はイタコン酸、マレイン酸、フマル酸などの2塩基酸のハーフエステル等が挙げられる。カルボキシル酸基含有のビニル単量体を用いる場合、本実施形態における(B)水系重合体エマルションにカルボキシル基を導入することができ、粒子間の静電的反発力をもたせることでエマルションとしての安定性を向上させ、例えば攪拌時の凝集といった外部からの分散破壊作用への抵抗力が向上する傾向にある。この際、静電的反発力をさらに向上させる観点から、上記導入したカルボキシル基は、一部又は全部を、アンモニアやトリエチルアミン、ジメチルエタノールアミン等のアミン類やNaOH、KOH等の塩基で中和することもできる。
上記カルボキシル基含有ビニル単量体の使用量(複数のカルボキシル基含有ビニル単量体を使用する場合には、その合計量)は、全ビニル単量体((b2)+(b3))中において0〜50質量%であることが耐水性の観点から好ましい。より好ましくは0.1〜10質量%、さらに好ましくは0.1〜5質量%である。
上記水酸基含有ビニル単量体としては、特に限定されないが、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸のヒドロキシアルキルエステル;ジ−2−ヒドロキシエチルフマレート、モノ−2−ヒドロキシエチルモノブチルフマレート等のフマル酸のヒドロキシアルキルエステル;アリルアルコールやエチレンオキシド基の数が1〜100個の(ポリ)オキシエチレンモノ(メタ)アクリレート;プロピレンオキシド基の数が1〜100個の(ポリ)オキシプロピレンモノ(メタ)アクリレート;、さらには、「プラクセルFM、FAモノマー」(ダイセル化学(株)製の、カプロラクトン付加モノマーの商品名)や、その他のα,β−エチレン性不飽和カルボン酸のヒドロキシアルキルエステル類などを挙げることができる。
上記(ポリ)オキシエチレン(メタ)アクリレートとしては、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸エチレングリコール、メトキシ(メタ)アクリル酸エチレングリコール、(メタ)アクリル酸ジエチレングリコール、メトキシ(メタ)アクリル酸ジエチレングリコール、(メタ)アクリル酸テトラエチレングリコール、メトキシ(メタ)アクリル酸テトラエチレングリコール等が挙げられる。
(ポリ)オキシプロピレン(メタ)アクリレートとしては、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸プロピレングリコール、メトキシ(メタ)アクリル酸プロピレングリコール、(メタ)アクリル酸ジプロピレングリコール、メトキシ(メタ)アクリル酸ジプロピレングリコール、(メタ)アクリル酸テトラプロピレングリコール、メトキシ(メタ)アクリル酸テトラプロピレングリコール等が挙げられる。
(b2)成分と共重合可能な他のビニル単量体(b3)として、水酸基含有ビニル単量体を用いる場合、(A)金属酸化物と(b2)2級及び/又は3級アミド基を有するビニル単量体の重合生成物の水素結合力を制御することが容易となるとともに、(B)水系重合体エマルションの水分散安定性が向上する傾向にある。
全ビニル単量体中における上記水酸基含有ビニル単量体の使用量としては、より優れた耐水性を付与する観点から、好ましくは0〜80質量%、より好ましくは0.1〜50質量%、さらに好ましくは0.1〜10質量%である。
上記エポキシ基含有ビニル単量体としては、特に限定されないが、例えば、グリシジル基含有ビニル単量体等が挙げられる。グリシジル基含有ビニル単量体としては、特に限定されないが、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル、アリルジメチルグリシジルエーテル等を挙げることができる。
上記カルボニル含有ビニル単量体としては、特に限定されないが、例えば、ダイアセトンアクリルアミド等が挙げられる。
(b2)と共重合可能な他のビニル単量体(b3)として、グリシジル基含有ビニル単量体や、カルボニル基含有ビニル単量体を使用する場合、(B)水系重合体エマルションが反応性を有するものとなり、ヒドラジン誘導体、カルボン酸誘導体及びイソシアネート誘導体等により架橋させることによって耐溶剤性等の優れた塗膜の形成が可能となる傾向にある。全ビニル単量体中におけるグリシジル基含有ビニル単量体やカルボニル基含有ビニル単量体の使用量は、乳化重合時の粒子安定性を高める観点から、好ましくは0〜50質量%である。
また、上記以外のビニル単量体(b3)の具体例としては、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリルアミド、エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン類、ブタジエン等のジエン類、塩化ビニル、塩化ビニリデンフッ化ビニル、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン等のハロオレフィン類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、n−酪酸ビニル、安息香酸ビニル、p−t−ブチル安息香酸ビニル、ピバリン酸ビニル、2−エチルヘキサン酸ビニル、バーサチック酸ビニル、ラウリン酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル類、酢酸イソプロペニル、プロピオン酸イソプロペニル等のカルボン酸イソプロペニルエステル類、エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル等のビニルエーテル類、酢酸アリル、安息香酸アリル等のアリルエステル類、アリルエチルエーテル、アリルフェニルエーテル等のアリルエーテル類、さらに4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6,−テトラメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルオキシ−1,2,2,6,6,−ペンタメチルピペリジン、パーフルオロメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロプロピル(メタ)アクリレート、パーフルオロプロピロメチル(メタ)アクリレート、ビニルピロリドン、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アリル等やそれらの併用が挙げられる。
本実施形態においては、(b2)2級及び/又は3級アミド基を有するビニル単量体の重合生成物(上記ビニル単量体(b3)を用いた場合には、(b2)と(b3)の共重合組成物)の分子量を制御する目的で、連鎖移動剤を使用してもよい。上記連鎖移動剤としては、特に限定されないが、例えば、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタンのようなアルキルメルカプタン類;ベンジルメルカプタン、ドデシルベンジルメルカプタンのような芳香族メルカプタン類;チオリンゴ酸のようなチオカルボン酸又はそれらの塩若しくはそれらのアルキルエステル類、又はポリチオール類、ジイソプロピルキサントゲンジスルフィド、ジ(メチレントリメチロールプロパン)キサントゲンジスルフィド及びチオグリコール、さらにはα−メチルスチレンのダイマー等のアリル化合物等を挙げることができる。全ビニル単量体に対するこれら連鎖移動剤の使用量は、良好な塗膜強度を確保する観点から、好ましくは0.001〜30質量%、より好ましくは0.05〜10質量%の範囲で用いることができる。
(B)水系重合体エマルションの合成に際して、乳化剤を使用してもよい。上記乳化剤としては、特に限定されないが、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルスルホン酸、アルキルスルホコハク酸、ポリオキシエチレンアルキル硫酸、ポリオキシエチレンアルキルアリール硫酸、ポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテルスルホン酸等の酸性乳化剤;酸性乳化剤のアルカリ金属(Li、Na、K等)塩、酸性乳化剤のアンモニウム塩、脂肪酸石鹸等のアニオン性界面活性剤;アルキルトリメチルアンモニウムブロミド、アルキルピリジニウムブロミド、イミダゾリニウムラウレート等の四級アンモニウム塩、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩型のカチオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテル等のノニオン型界面活性剤やラジカル重合性の二重結合を有する反応性乳化剤等が挙げられる。
これらの乳化剤の中で、ラジカル重合性の二重結合を有する反応性乳化剤を選択すると、(B)水系重合体エマルションの水分散安定性がより一層良好になるとともに、耐水性、耐薬品性、光学特性、強度等に優れた塗膜が形成される傾向にあるため、さらに好ましい。
反応性乳化剤としては、特に限定されないが、例えば、スルホン酸基又はスルホネート基を有するビニル単量体、硫酸エステル基を有するビニル単量体、それらのアルカリ金属塩又はアンモニウム塩;ポリオキシエチレン等のノニオン基を有するビニル単量体;4級アンモニウム塩を有するビニル単量体等が挙げられる。
スルホン酸基又はスルホネート基を有するビニル単量体の塩としては、特に限定されないが、例えば、ラジカル重合性の二重結合を有し、かつ、スルホン酸基のアンモニウム塩、ナトリウム塩又はカリウム塩である基により一部が置換された、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜4のアルキルエーテル基、炭素数2〜4のポリアルキルエーテル基、炭素数6又は10のアリール基及びコハク酸基からなる群から選ばれる置換基を有する化合物;スルホン酸基のアンモニウム塩、ナトリウム塩又はカリウム塩である基が結合しているビニル基を有するビニルスルホネート化合物等が挙げられる。
上記スルホン酸基のアンモニウム塩、ナトリウム塩又はカリウム塩である基により一部が置換されたコハク酸基を有する化合物としては、特に限定されないが、例えば、アリルスルホコハク酸塩等が挙げられる。これらは市販品を用いることもでき、例えば、エレミノールJS−2(商品名)(三洋化成(株)製)、ラテムルS−120、S−180A又はS−180(商品名)(花王(株)製)等が挙げられる。
上記スルホン酸基のアンモニウム塩、ナトリウム塩又はカリウム塩である基により一部が置換された、炭素数2〜4のアルキルエーテル基又は炭素数2〜4のポリアルキルエーテル基を有する化合物としては、特に限定されないが、例えば、アクアロンHS−10又はKH−1025(商品名)(第一工業製薬(株)製)、アデカリアソープSE−1025N又はSR−1025(商品名)(旭電化工業(株)製)等を挙げることができる。
上記スルホン酸基のアンモニウム塩、ナトリウム塩又はカリウム塩である基により一部が置換されたアリール基を有する化合物としては、特に限定されないが、例えば、p−スチレンスルホン酸のアンモニウム塩、ナトリウム塩及びカリウム塩等が挙げられる。
上記スルホン酸基のアンモニウム塩、ナトリウム塩又はカリウム塩である基が結合しているビニル基を有するビニルスルホネート化合物としては、特に限定されないが、例えば、2−スルホエチルアクリレート等のアルキルスルホン酸(メタ)アクリレートやメチルプロパンスルホン酸(メタ)アクリルアミド、アリルスルホン酸等のアンモニウム塩、ナトリウム塩及びカリウム塩が挙げられる。
硫酸エステル基を有するビニル単量体としては、特に限定されないが、例えば、ラジカル重合性の二重結合を有し、かつ、硫酸エステル基のアンモニウム塩、ナトリウム塩又はカリウム塩である基により一部が置換された、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜4のアルキルエーテル基、炭素数2〜4のポリアルキルエーテル基及び炭素数6又は10のアリール基からなる群から選ばれる置換基を有する化合物等が挙げられる。
上記硫酸エステル基を有するビニル単量体がアンモニウム塩、ナトリウム塩又はカリウム塩により一部が置換された炭素数2〜4のアルキルエーテル基又は炭素数2〜4のポリアルキエーテル基を有する化合物としては、特に限定されないが、例えば、スルホネート基により一部が置換されたアルキルエーテル基を有する化合物等が挙げられる。
ノニオン基を有するビニル単量体としては、特に限定されないが、例えば、α−〔1−〔(アリルオキシ)メチル〕−2−(ノニルフェノキシ)エチル〕−ω−ヒドロキシポリオキシエチレン(商品名:アデカリアソープNE−20、NE−30、NE−40等、旭電化工業(株)製)、ポリオキシエチレンアルキルプロペニルフェニルエーテル(商品名:アクアロンRN−10、RN−20、RN−30、RN−50等、第一製薬工業(株)製)等が挙げられる。
本実施形態における上記乳化剤の使用量としては、得られる(B)水系重合体エマルション100質量部に対して、10質量部以下であることが好ましい。この範囲にある場合、より良好な耐水性が付与される傾向にある。同様の観点から、0.001〜5質量部となる範囲内がより好ましい。
上記乳化剤以外に、(B)水系重合体エマルションの水分散安定性をより向上させる目的で分散安定剤を使用することもできる。上記分散安定剤としては、特に限定されないが、例えば、ポリカルボン酸及びスルホン酸塩からなる群から選ばれる各種の水溶性オリゴマー類や、ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、澱粉、マレイン化ポリブタジエン、マレイン化アルキッド樹脂、ポリアクリル酸(塩)、ポリアクリルアミド、水溶性あるいは水分散性アクリル樹脂などの合成若しくは天然の水溶性又は水分散性の各種水溶性高分子物質等が挙げられる。これらは1種又は2種以上の混合物として使用することができる。
本実施形態において、上記分散安定剤を使用する場合、その使用量としては、(B)水系重合体エマルション100質量部に対して、10質量部以下であることが好ましい。この範囲にある場合、より良好な耐水性が付与される傾向にある。同様の観点から、0.001〜5質量部となる範囲内がより好ましい。
(b1)加水分解性珪素化合物及び(b2)2級及び/又は3級アミド基を有するビニル単量体の重合は、重合率向上と重合時間短縮の観点から、重合触媒存在下で実施するのが好ましい。
(b1)加水分解性珪素化合物の重合触媒としては、重合に用いる単量体の成分等に応じて適宜選択でき、例えば、塩酸、フッ酸等のハロゲン化水素類、酢酸、トリクロル酢酸、トリフルオロ酢酸、乳酸等のカルボン酸類;硫酸、p−トルエンスルホン酸等のスルホン酸類;アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルスルホン酸、アルキルスルホコハク酸、ポリオキシエチレンアルキル硫酸、ポリオキシエチレンアルキルアリール硫酸、ポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテルスルホン酸等の酸性乳化剤類;酸性又は弱酸性の無機塩、フタル酸、リン酸、硝酸のような酸性化合物類;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメチラート、酢酸ナトリウム、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルアミン、ジアザビシクロウンデセン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、エタノールアミン類、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)−アミノプロピルトリメトキシシランのような塩基性化合物類;ジブチル錫オクチレート、ジブチル錫ジラウレートのような錫化合物等が挙げられる。これらの中で、重合触媒のみならず乳化剤としての作用を発揮させる観点から、酸性乳化剤類が好ましく、炭素数が5〜30のアルキルベンゼンスルホン酸がさらに好ましい。
(b2)2級及び/又は3級アミド基を有するビニル単量体の重合触媒としては、熱又は還元性物質などによってラジカル分解してビニル単量体の付加重合を起こさせるラジカル重合触媒が好適であり、水溶性又は油溶性の過硫酸塩、過酸化物、アゾビス化合物等が使用される。その例としては、特に限定されないが、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素、t−ブチルヒドロパーオキシド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、2,2−アゾビスイソブチロニトリル、2,2−アゾビス(2−ジアミノプロパン)ヒドロクロリド、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等が挙げられる。なお、その配合量としては、全ビニル単量体100質量部に対して、0.001〜5質量部であることが重合時の粒子安定性の観点から好ましい。なお、重合速度の促進及び70℃以下での低温の重合を行う場合には、例えば、重亜硫酸ナトリウム、塩化第一鉄、アスコルビン酸塩、ロンガリット等の還元剤をラジカル重合触媒と組み合わせて用いることが望ましい。
上述したように、(B)水系重合体エマルションは、水及び乳化剤の存在下で、(b1)加水分解性珪素化合物と(b2)2級及び/又は3級アミド基を有するビニル単量体(必要に応じてこれと共重合可能な他のビニル単量体(b3)を用いてもよい)を、好ましくは重合触媒存在下で、重合することにより得ることができる。
(b1)加水分解性珪素化合物と、(b2)2級及び/又は3級アミド基を有するビニル単量体との重合は、別々に実施することもできるが、同時に実施することにより、両者の間で水素結合等によるミクロな有機・無機複合化が達成できる傾向にあるので好ましい。
(B)水系重合体エマルションの数平均粒子径、特に(B)水系重合体エマルションの一次粒子の数平均粒子径は、10〜800nmであると好ましい。(B)の粒子径を上記範囲に調整することにより、耐候性、耐薬品性、光学特性、更には防汚性、防曇性、帯電防止性等がより一層優れた塗膜を形成できる傾向にある。また、得られる塗膜の透明性が向上する観点から、上記数平均粒子径は50〜300nmであることがより好ましい。
このような数平均粒子径の(B)水系重合体エマルションを得る方法としては、特に限定されないが、乳化剤がミセルを形成するのに十分な量の水の存在下に(b1)加水分解性珪素化合物及び(b2)2級及び/又は3級アミド基を有するビニル単量体を重合する、いわゆる乳化重合が好ましい。
上記乳化重合の方法としては、特に限定されないが、例えば、(b1)加水分解性珪素化合物及び(b2)2級及び/又は3級アミド基を有するビニル単量体(必要に応じてこれと共重合可能な他のビニル単量体(b3))は、そのままあるいは乳化した状態で、一括若しくは分割して、又は連続的に反応容器中に滴下し、上記重合触媒の存在下、好ましくは大気圧から必要により10MPaの圧力下で、約30〜150℃の反応温度で重合させる方法が挙げられる。必要に応じて、圧力や反応温度を変更してもよい。(b1)加水分解性珪素化合物及び全ビニル単量体量の総量と、水との比率については、特に限定されないが、最終固形分量(添加する単量体が全て重合した場合に得られる重合体(ビニル(共)重合体及び(b1)加水分解性珪素化合物の重合生成物)の質量の合計(計算値)を元に計算される値)が0.1〜70質量%、好ましくは1〜55質量%の範囲になるように設定することが乳化重合時の粒子安定性の観点から好ましい。
上記乳化重合を行うにあたり、粒子径を成長させる又は制御するために、予め水相中にエマルション粒子を存在させて重合させるシード重合法によるものとすることができる。これにより粒子径がより均一な重合体エマルション粒子を得ることができる傾向にある。シード(核)となる物質は特に限定されず、公知のものを用いることもでき、反応条件等に応じて適宜選択することができる。重合反応は、系中のpHが好ましくは1.0〜10.0、より好ましくは1.0〜6.0の範囲で進行させればよい。pHは、燐酸二ナトリウムやボラックス、又は、炭酸水素ナトリウム、アンモニアなどのpH緩衝剤を用いて調節することができる。
(B)水系重合体エマルションを得る方法として、(b1)加水分解性珪素化合物を重合させるのに必要な水及び乳化剤、及び必要に応じて溶剤、の存在下に、(b1)加水分解性珪素化合物及び(b2)2級及び/又は3級アミド基を有するビニル単量体を重合した後、重合生成物がエマルションとなるまで水を添加する方法も採用できる。
(B)水系重合体エマルションは、2層以上の層から形成される、コア/シェル構造であることが好ましい。上記のような構造である場合、機械的物性(強度と柔軟性のバランス等)に優れた塗膜が得られる傾向にある。なお、コア部分は柔軟性に、シェル部分は硬さに、それぞれ寄与する。コアの最内層における、(b1)加水分解性珪素化合物に対する(b2)2級及び/又は3級アミド基を有するビニル単量体の質量比(b2)/(b1)は1.0以下であり、かつシェルの最外層の質量比(b2)/(b1)が0.1以上5.0以下であることがより好ましい。上記のような質量比である場合、得られる塗膜の耐候性、機械的物性がさらに向上する傾向にある。
コア/シェル構造の(B)水系重合体エマルションを製造する方法は、特に限定されず、公知の方法を採用することができるが、コア/シェル構造の簡便な形成の観点から多段乳化重合法が好ましい。ここで、多段乳化重合法とは、2種類以上の異なった組成の(b1)加水分解性珪素化合物や(b2)2級及び/又は3級アミド基を有するビニル単量体(必要に応じてこれと共重合可能な他のビニル単量体(b3))を調製し、これらを別々の段階に分けて重合することを意味する。
多段乳化重合法の中で、簡便かつ有用な2段乳化重合による(B)水系重合体エマルションの合成としては、特に限定されないが、以下の方法を例示できる。すなわち、水及び乳化剤の存在下に(b2)2級及び/又は3級アミド基を有するビニル単量体(及び、必要に応じて、これと共重合可能な他のビニル単量体(b3))及び/又は(b1)加水分解性珪素化合物を重合して得られたシード粒子(コア)の存在下に、(b1)加水分解性珪素化合物及び(b2)2級及び/又は3級アミド基を有するビニル単量体を重合する方法が挙げられる。
上記2段乳化重合による(B)水系重合体エマルションの合成は、第1系列(2級及び/若しくは3級アミド基を有するビニル単量体(b2)(及び、必要に応じて、これと共重合可能な他のビニル単量体(b3))及び/又は(b1)加水分解性珪素化合物)を供給して乳化重合する第1段の重合工程と、第1段の重合工程の後に、第2系列((b1)加水分解性珪素化合物と、2級及び/又は3級アミド基とを有するビニル単量体(b2)(及び、必要に応じて、これと共重合可能な他のビニル単量体(b3)))を供給し、水性媒体中において乳化重合する第2段の重合からなる2段階の重合工程と、を少なくとも行う。第1系列中の固形分質量(M1)(第1段の重合工程の際に添加される単量体(ビニル単量体(b2)(及び(b3))及び(b1)加水分解性珪素化合物)がすべて重合した場合の重合体の質量(計算値))と第2系列中の固形分質量(M2)(第2段の重合工程の際に添加される単量体(第1段の重合工程の際に添加される単量体(ビニル単量体(b2)(及び(b3))及び(b1)加水分解性珪素化合物)がすべて重合した場合の重合体の質量(計算値))の質量比は、特に限定されないが、硬さと柔軟性を両立させ、優れた機械的物性を付与する観点から、好ましくは(M1)/(M2)=9/1〜1/9、より好ましくは8/2〜2/8である。
好ましいコア/シェル構造の重合体として、第1段の重合で得られたシード粒子の粒子径が粒径分布(体積平均粒子径/数平均粒子径)の大きな変化を伴わず(好ましくは単分散の状態で)、第2段の重合によって粒子径が増大するものを挙げることができる。コア/シェル構造の確認は、例えば、透過型電子顕微鏡等による形態観察や粘弾性測定による解析等により行うことができる。
(B)水系重合体エマルションを、水及び乳化剤の存在下に(b1)加水分解性珪素化合物を重合して得られたシード粒子の存在下に、(b1)加水分解性珪素化合物及び(b2)2級及び/又は3級アミド基を有するビニル単量体を重合した場合は、重合安定性に優れる傾向があり、好ましい。
本実施形態において使用する(B)水系重合体エマルションには、その用途及び使用方法などに応じて、通常、塗料や成型用樹脂に添加配合される成分、例えば、増粘剤、レベリング剤、チクソ化剤、消泡剤、凍結安定剤、艶消し剤、架橋反応触媒、顔料、硬化触媒、架橋剤、充填剤、皮張り防止剤、分散剤、湿潤剤、光安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、レオロジーコントロール剤、消泡剤、成膜助剤、防錆剤、染料、可塑剤、潤滑剤、還元剤、防腐剤、防黴剤、消臭剤、黄変防止剤、静電防止剤又は帯電調整剤等を配合することができる。すなわち、本実施形態における(D)コーティング組成物には上記の成分が包含されるものとすることができる。しかしながら、上記の成分に限定されるものではない。
((C)加水分解性金属酸化物)
本実施形態において、(C)加水分解性金属酸化物は、強度向上と難燃性付与の役割を果たすものである。(C)加水分解性金属酸化物は、より優れた塗膜強度を付与する観点から、下記化学式(2)及び(3)で表される化合物からなる群より選ばれる1種類以上の加水分解性珪素化合物であることが好ましい。なお、加水分解性珪素化合物のほか、本実施形態における(C)加水分解性金属酸化物としては、例えば、オルトチタン酸テトラエチル等を挙げることができる。
[化2]
1 aSiX4-a (2)
(化学式(2)中、R1は水素原子、あるいはハロゲン基、ヒドロキシ基、メルカプト基、アミノ基、(メタ)アクリロイル基又はエポキシ基を有してもよい、炭素数1〜10のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基もしくはアリール基を表す。Xは、加水分解性基を表し、aは0〜3の整数である。)
上記式(2)で表される(C)加水分解性金属酸化物としては、特に限定されないが、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン等のテトラアルコキシシラン類;メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリエトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−ペンチルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘプチルトリメトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3,3,3−トリフロロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフロロプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−ヒドロキシエチルトリメトキシシラン、2−ヒドロキシエチルトリエトキシシラン、2−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、2−ヒドロキシプロピルトリエトキシシラン、3−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、3−ヒドロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアナートプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアナートプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリn−プロポキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリイソプロポキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等のトリアルコキシシラン類;ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジ−n−プロピルジメトキシシラン、ジ−n−プロピルジエトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、ジイソプロピルジエトキシシラン、ジ−n−ブチルジメトキシシラン、ジ−n−ブチルジエトキシシラン、ジ−n−ペンチルジメトキシシラン、ジ−n−ペンチルジエトキシシラン、ジ−n−ヘキシルジメトキシシラン、ジ−n−ヘキシルジエトキシシラン、ジ−n−ヘプチルジメトキシシラン、ジ−n−ヘプチルジエトキシシラン、ジ−n−オクチルジメトキシシラン、ジ−n−オクチルジエトキシシラン、ジ−n−シクロヘキシルジメトキシシラン、ジ−n−シクロヘキシルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン等のジアルコキシシラン類;トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン等のモノアルコキシシラン類等を挙げることができる。また、これらの加水分解性珪素化合物は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
[化3]
3−(O−Si(OR32c−OR3 (3)
(化学式(3)中、R3は炭素数1〜6のアルキル基を表す。cは2〜8の整数である。)
上記式(3)で表される(C)加水分解性金属酸化物としては、特に限定されないが、例えば、三菱化学社製 MKCシリケート MS56等を挙げることができる。
(基材)
本実施形態における基材については、本実施形態におけるコーティング層により特に優れた難燃性を付与される対象として位置付け、種々の材料を基材として採用することができる。なお、本実施形態においては、基材が樹脂製であることが好ましい。上記基材が樹脂製である場合には、燃焼溶解した樹脂を塗膜が保持し、より効果的に落下を防止できる傾向にあると考えられる。上記樹脂製の基材としては、特に限定されないが、例えば、合成樹脂や天然樹脂等の有機基材を挙げることができる。
上記合成樹脂としては、熱可塑性樹脂と硬化性樹脂(熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂、湿気硬化性樹脂等)を使用することができる。より詳細には、例えば、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、フッ素樹脂、アルキド樹脂、アミノアルキド樹脂、ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリケトン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリスルフォン樹脂、ポリフェニレンスルホン樹脂ポリエーテル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン−アクリル樹脂等を挙げることができる。しかしながら、上記に限定されるものではない。
また、上記天然樹脂としては、特に限定されないが、例えば、セルロース系樹脂、天然ゴム等のイソプレン系樹脂、カゼイン等のタンパク質系樹脂等を挙げることができる。
本実施形態において、樹脂板の表面は、コロナ放電処理やフレーム処理、プラズマ処理等の表面処理がされてあっても構わないが、これらの表面処理は必須ではない。
本実施形態において使用される基材の種類、厚さや表面処理により形成される膜の厚さは特に限定されず、用途に応じて適宜設定することができる。
(難燃積層体の製造方法)
本実施形態に係る難燃積層体の製造方法としては、(A)金属酸化物、(B)水系重合体エマルション及び(C)加水分解性金属酸化物を含む(D)コーティング組成物を、基材の片面又は両面に塗布し、分散媒を揮発させることにより得られることが好ましい。このようにして製造される難燃積層体は、透明性が高く、クラック発生等の塗膜欠陥の少ない塗膜を形成できる傾向にある。
上記した製造方法において、(A)金属酸化物、(B)水系重合体エマルション及び(C)加水分解性金属酸化物を含む(D)コーティング組成物を調製する第1の工程と、(D)コーティング組成物を、基材の片面又は両面に塗布する第2の工程と、分散媒を揮発させる第3の工程と、に区分することもできる。
上記第1の工程において、本実施形態における(D)コーティング組成物に含まれる(A)金属酸化物と(B)水系重合体エマルションの質量比率(X)((A)金属酸化物/(B)水系重合体エマルション)を、0.2以上となるように調製することが好ましい。上記Xがこのような範囲を満たすように(D)コーティング組成物を調製することで、膜の透明性及び難燃性がより向上する傾向にある。同様の観点から、Xのより好ましい範囲は0.3以上であり、更に好ましくは0.5以上である。また、上記Xは、8.0以下が好ましく、5.0以下であることがより好ましく、3以下であることが更に好ましい。上記Xがこのような範囲を満たすように(D)コーティング組成物を調製することで、塗膜の成膜性低下によるクラック発生や膜の柔軟性が低下を防止できる傾向にある。つまり、基材の熱膨張や熱変形に膜が追従できず、クラック等の膜破壊が起こることを防止できる傾向にある。特に、基材が燃焼することにより溶融した基材の自重に耐えきれず、当該基材が火炎落下するといった難燃性の低下をより効果的に防止できる傾向にある。
本実施形態における(D)コーティング組成物は、数式(1)で表される加水分解性珪素化合物のSiO2換算での質量(Cw)の質量比率(Y)が、0.01以上0.20以下を満たすように調製されることが好ましい。
[数1]
(Y)=(Cw)/((Aw)+(Bw)+(Cw)) (1)
(式中、(Aw)は(A)金属酸化物の固形分質量を表し、(Bw)は(B)水系重合体エマルションの固形分質量を表し、(Cw)は(C)加水分解性金属酸化物のSiO2換算での質量を表す。)
(D)コーティング組成物中の質量比率(Y)が上記の範囲に含まれる場合、塗膜の柔軟性を保持し、変形時のクラック発生を抑制できる傾向にある。
上記質量比率(Y)は、より優れた膜硬度を確保する観点から、0.01以上が好ましく、より好ましくは0.02以上、さらに好ましくは0.03以上である。また、質量比率(Y)はまた、塗膜の柔軟性低下に起因する熱変形及び屈曲によるクラック発生とそれに伴う難燃性低下をより効果的に防止する観点から、0.20以下が好ましく、より好ましくは0.18以下、さらに好ましくは0.15以下である。
本実施形態における(D)コーティング組成物は、中和を行うと(B)水系重合体エマルション中のカルボン酸がイオン化し、密着性が向上する傾向にあるため、コーティング組成物のpHを6〜10に調整することが好ましく、より好ましくは6.5〜9.5であり、更に好ましくは、7.0〜9.0である。上記中和に際しては、(A)金属酸化物と(B)水系重合体エマルションと(C)加水分解性金属酸化物とを混合して得られる(D)コーティング組成物をpH2〜5の酸性状態で撹拌する第1工程により、加水分解性金属酸化物(C)の加水分解を実施した後、pHを6〜10に中和する第2工程を実施するのが、加水分解速度の観点から好ましい。上記中和に用いる中和剤としてはアンモニア、ジエチルアミン、エチルアミン、ジメチルアミノエタノール、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、等が挙げられ、塗膜の耐水性の観点からアンモニアが好ましい。
本実施形態における上記第2の工程に関して、(D)コーティング組成物を用いた塗膜の形成方法としては、例えばスプレー吹き付け法、フローコーティング法、ロールコート法、刷毛塗り法、ディップコーティング法、スピンコーティング法、スクリーン印刷法、キャスティング法、グラビア印刷法、フレキソ印刷法等により、基材上にコーティング組成物を塗布することが挙げられる。
さらに、本実施形態においては、硬化速度向上、生産性向上の観点から、上記塗膜を上記基材上で乾燥した後、好ましくは15℃〜150℃、より好ましくは30℃〜130℃での熱処理や紫外線照射等を行うことができる。
上記塗膜(コーティング層)の厚みとしては、透明性、屈曲性の面から、0.05〜20μmが好ましく、0.1〜10μmがより好ましい。なお、塗膜の厚み(膜厚)は、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
以下の実施例及び比較例により本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
実施例及び比較例中において、各種の物性を下記の方法により評価した。
1.塗膜硬度
JIS−K5600−5−4に準じ、鉛筆硬度(皮膜のすり傷)として求めた。
2.透明性
日本電色工業製濁度計NDH2000を用いて、JIS−K7361に準じて全光線透過率を測定した。透明性はコーティング後の全光線透過率の維持率(%)で評価した。すなわち、透明性を全光線透過率の維持率(%)で評価した。なお、全光線透過率の維持率(%)は、100×前記難燃積層体の全光線透過率/前記基材の全光線透過率により得ることとした。
3.V試験による燃焼性試験
得られた難燃フィルムについて、UL94規格による垂直燃焼試験であるV試験に従い、各試験片(長さ127mm、幅13mm)を作成した。炎の大きさは20mmとした。なお、接炎時間は10秒間とし、火が消えると同時に2回目の接炎を10秒間行って、接炎後の、落下する火種により試験片の下に置いた綿が発火するか否かについて評価した。火種の落下がないサンプルを合格とし、落下する火種により試験片の下に置いた綿が発火したサンプルを不合格とした。
4.耐屈曲性
得られた難燃フィルムについて、JIS−K5600−5−1に準拠した方法で耐屈曲性(円筒形マンドレル法)試験を実施した。試験方法は、8mm径マンドレルを使用し、試験後の塗膜表面をマイクロスコープで観察した結果、フィルム割れやひび割れのない試験片を合格とした。すなわち、次のように評価するものとした。
○:変化なし
△:クラックの発生
×:剥がれ
5.密着性試験(碁盤目試験)
得られた難燃フィルムについて、JIS−K5600−5−6に準拠した方法で1mm角100マスの碁盤目試験において、次のように評価した。
◎:100マス残る
○:80〜99マス残る
×:80マス以下残る
6.塗膜平均膜厚
FE−3000型反射分光膜厚計(大塚電子株式会社製)により測定した。
7.表面外観の評価
目視による外観観察ないし以下の基準に基づき、各例で得られた試験版を評価した。なお、HAZEの値はJIS−K7361に準拠して求められる値を採用した。
良好:表面にブツなどの凝集による異物がなく、曇り度(HAZE)1未満
淡白色:表面にブツなどの凝集による異物がなく、曇り度(HAZE)1以上5未満
白濁:表面にブツなどの凝集による異物がなく、曇り度(HAZE)5以上
クラック少:亀裂が複数認められるが、これらは繋がっておらず点在する
クラック多:亀裂が複数認められ、これらが全面に繋がっている
膜厚斑:6cm角、厚さ100μmのポリカーボネートフィルムに塗装したコーティング組成物の面内5点測定の膜厚の最大値と最小値の差が100%以上(例:面内膜厚が100nm〜250nmと広い範囲で分布する場合)
〔合成例1〕
重合体エマルション粒子(B−1)水分散体の合成
還流冷却器、滴下槽、温度計及び撹拌装置を有する反応器に、イオン交換水1600g、ドデシルベンゼンスルホン酸7gを投入した後、撹拌下で温度を80℃に加温した。これに、ジメチルジメトキシシラン185g、フェニルトリメトキシシラン117gの混合液を反応容器中の温度を80℃に保った状態で約2時間かけて滴下し、その後、反応容器中の温度を80℃に保持して約1時間撹拌を続けた。次に、アクリル酸ブチル150g、テトラエトキシシラン30g、フェニルトリメトキシシラン145g、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン1.3gの混合液とジエチルアクリルアミド165g、アクリル酸3g、反応性乳化剤(商品名「アデカリアソープSR−1025」、旭電化(株)製、固形分25質量%水溶液)13g、過硫酸アンモニウムの2質量%水溶液40g、イオン交換水1900gの混合液とを、反応容器中の温度を80℃に保持して約2時間かけて同時に滴下した。さらに熱養生として、反応容器中の温度を80℃に保持して約2時間撹拌を続けた。その後室温まで冷却し、100メッシュの金網で濾過し、固形分14.09質量%、数平均粒子径86nmの重合体エマルション粒子(B−1)水分散体を得た。
〔合成例2〕
重合体エマルション粒子(B−2)水分散体の合成
還流冷却器、滴下槽、温度計及び撹拌装置を有する反応器に、イオン交換水1600g、ドデシルベンゼンスルホン酸7gを投入した後、撹拌下で温度を80℃に加温した。これに、ジメチルジメトキシシラン185g、フェニルトリメトキシシラン117gの混合液を反応容器中の温度を80℃に保持して約2時間かけて滴下し、その後、反応容器中の温度を80℃に保持して約1時間撹拌を続けた。次に、アクリル酸ブチル150g、メタクリル酸メチル165gテトラエトキシシラン30g、フェニルトリメトキシシラン145g、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン1.3gの混合液と、アクリル酸3g、反応性乳化剤(商品名「アデカリアソープSR−1025」、旭電化(株)製、固形分25質量%水溶液)13g、過硫酸アンモニウムの2質量%水溶液40g、イオン交換水1900gの混合液とを、反応容器中の温度を80℃に保持して約2時間かけて同時に滴下した。さらに熱養生として、反応容器中の温度を80℃に保持して約2時間撹拌を続けた。その後室温まで冷却し、100メッシュの金網で濾過し、固形分14.09質量%、数平均粒子径87nmの重合体エマルション粒子(B−2)水分散体を得た。
〔実施例1〕
(B)水系重合体エマルションとして合成例1で合成した重合体エマルション粒子(B−1)水分散体35.36g、(A)金属酸化物として平均粒子径10nmの水分散コロイダルシリカ(商品名「スノーテックスOS」、日産化学工業(株)製、固形分20質量%)24.75g、及び(C)加水分解性金属酸化物としてテトラエトキシシラン(信越化学工業(株)製)0.35g、蒸留水101.5g、エタノール(和光純薬工業(株)製)38.0gを混合後、25℃で2時間攪拌しコーティング組成物(D−1)を得た。
膜厚100μmのポリカーボネートフィルム(AGC社製)に上記コーティング組成物(D−1)を、サスバットに100cc入れ、基材を沈めた後、20℃の環境で30分間乾燥させた。その後、70℃で10分間乾燥することにより、試験板(E−1)を得た。コーティング組成物(D−1)の乾燥膜厚は両面の平均が0.69μmであった。塗膜表面は良好で、全光線透過率の維持率は100%と非常に透明性の高い塗膜であった。また鉛筆硬度はHBであり、良好な硬度を示した。得られた試験板(E−1)の各評価結果を表2に示す。また、表1に各原料の配合量を示す。
〔実施例2〕
(B)水系重合体エマルションとして合成例1で合成した重合体エマルション粒子(B−1)水分散体34.84g、(A)金属酸化物として平均粒子径10nmの水分散コロイダルシリカ(商品名「スノーテックスOS」、日産化学工業(株)製、固形分20質量%)24.39g、及び(C)加水分解性金属酸化物としてテトラエトキシシラン(信越化学工業(株)製)0.87g、蒸留水101.9g、エタノール(和光純薬工業(株)製)38.0gを混合後、25℃で2時間攪拌しコーティング組成物(D−2)を得た。
膜厚100μmのポリカーボネートフィルム(AGC社製)に上記コーティング組成物(D−2)を、サスバットに100cc入れ、基材を沈めた後、20℃の環境で30分間乾燥させた。その後、70℃で10分間乾燥することにより、試験板(E−2)を得た。コーティング組成物(D−2)の乾燥膜厚は両面の平均が0.69μmであった。塗膜表面は良好で、全光線透過率の維持率は100%と非常に透明性の高い塗膜であった。また鉛筆硬度はHBであり、良好な硬度を示した。得られた試験板(E−2)の各評価結果を表2に示す。また、表1に各原料の配合量を示す。
〔実施例3〕
(B)水系重合体エマルションとして合成例1で合成した重合体エマルション粒子(B−1)水分散体34.01g、(A)金属酸化物として平均粒子径10nmの水分散コロイダルシリカ(商品名「スノーテックスOS」、日産化学工業(株)製、固形分20質量%)23.81g、及び(C)加水分解性金属酸化物としてテトラエトキシシラン(信越化学工業(株)製)1.7g、蒸留水102.5g、エタノール(和光純薬工業(株)製)38.0gを混合後、25℃で2時間攪拌しコーティング組成物(D−3)を得た。
膜厚100μmのポリカーボネートフィルム(AGC社製)に上記コーティング組成物(D−3)を、サスバットに100cc入れ、基材を沈めた後、20℃の環境で30分間乾燥させた。その後、70℃で10分間乾燥することにより、試験板(E−3)を得た。コーティング組成物(D−3)の乾燥膜厚は両面の平均が0.61μmであった。塗膜表面は良好で、全光線透過率の維持率は100%と非常に透明性の高い塗膜であった。また鉛筆硬度はFであり、良好な硬度を示した。得られた試験板(E−3)の各評価結果を表2に示す。また、表1に各原料の配合量を示す。
〔実施例4〕
(B)水系重合体エマルションとして合成例1で合成した重合体エマルション粒子(B−1)水分散体28.57g、(A)金属酸化物として平均粒子径10nmの水分散コロイダルシリカ(商品名「スノーテックスOS」、日産化学工業(株)製、固形分20質量%)20.00g、及び(C)加水分解性金属酸化物としてテトラエトキシシラン(信越化学工業(株)製)7.14g、蒸留水106.3g、エタノール(和光純薬工業(株)製)38.0gを混合後、25℃で2時間攪拌しコーティング組成物(D−4)を得た。
厚さ100μmのポリカーボネートフィルム(AGC社製)に上記コーティング組成物(D−4)を、サスバットに100cc入れ、基材を沈めた後、20℃の環境で30分間乾燥させた。その後、70℃で10分間乾燥することにより、試験板(E−4)を得た。コーティング組成物(D−4)の乾燥膜厚は両面の平均が0.60μmであった。塗膜表面は良好で、全光線透過率の維持率は102%と非常に透明性の高い塗膜であった。また鉛筆硬度はHであり、非常に良好な硬度を示した。得られた試験板(E−4)の各評価結果を表2に示す。また、表1に各原料の配合量を示す。
〔実施例5〕
(B)水系重合体エマルションとして合成例1で合成した重合体エマルション粒子(B−1)水分散体47.62g、(A)金属酸化物として平均粒子径10nmの水分散コロイダルシリカ(商品名「スノーテックスOS」、日産化学工業(株)製、固形分20質量%)10.00g、及び(C)加水分解性金属酸化物としてテトラエトキシシラン(信越化学工業(株)製)4.76g、蒸留水99.6g、エタノール(和光純薬工業(株)製)38.0gを混合後、25℃で2時間攪拌しコーティング組成物(D−5)を得た。
厚さ100μmのポリカーボネートフィルム(AGC社製)に上記コーティング組成物(D−5)を、サスバットに100cc入れ、基材を沈めた後、20℃の環境で30分間乾燥させた。その後、70℃で10分間乾燥することにより、試験板(E−5)を得た。コーティング組成物(D−5)の乾燥膜厚は両面の平均が0.72μmであった。塗膜表面は淡白色で、全光線透過率の維持率は98%と非常に透明性の高い塗膜であった。また鉛筆硬度はHであり、非常に良好な硬度を示した。得られた試験板(E−5)の各評価結果を表2に示す。また、表1に各原料の配合量を示す。
〔実施例6〕
(B)水系重合体エマルションとして合成例1で合成した重合体エマルション粒子(B−1)水分散体42.02g、(A)金属酸化物として平均粒子径10nmの水分散コロイダルシリカ(商品名「スノーテックスOS」、日産化学工業(株)製、固形分20質量%)14.71g、及び(C)加水分解性金属酸化物としてテトラエトキシシラン(信越化学工業(株)製)4.2g、蒸留水101.1g、エタノール(和光純薬工業(株)製)38.0gを混合後、25℃で2時間攪拌しコーティング組成物(D−6)を得た。
厚さ100μmのポリカーボネートフィルム(AGC社製)に上記コーティング組成物(D−6)を、サスバットに100cc入れ、基材を沈めた後、20℃の環境で30分間乾燥させた。その後、70℃で10分間乾燥することにより、試験板(E−6)を得た。コーティング組成物(D−6)の乾燥膜厚は両面の平均が0.72μmであった。塗膜表面は淡白色で、全光線透過率の維持率は98%と非常に透明性の高い塗膜であった。また鉛筆硬度はHであり、非常に良好な硬度を示した。得られた試験板(E−6)の各評価結果を表2に示す。また、表1に各原料の配合量を示す。
〔実施例7〕
(B)水系重合体エマルションとして合成例1で合成した重合体エマルション粒子(B−1)水分散体32.47g、(A)金属酸化物として平均粒子径10nmの水分散コロイダルシリカ(商品名「スノーテックスOS」、日産化学工業(株)製、固形分20質量%)22.73g、及び(C)加水分解性金属酸化物としてテトラエトキシシラン(信越化学工業(株)製)3.25g、蒸留水103.6g、エタノール(和光純薬工業(株)製)38.0gを混合後、25℃で2時間攪拌しコーティング組成物(D−7)を得た。
厚さ100μmのポリカーボネートフィルム(AGC社製)に上記コーティング組成物(D−7)を、サスバットに100cc入れ、基材を沈めた後、20℃の環境で30分間乾燥させた。その後、70℃で10分間乾燥することにより、試験板(E−7)を得た。コーティング組成物(D−7)の乾燥膜厚は両面の平均が0.67μmであった。塗膜表面は良好で、全光線透過率の維持率は101%と非常に透明性の高い塗膜であった。また鉛筆硬度はHであり、非常に良好な硬度を示した。得られた試験板(E−7)の各評価結果を表2に示す。また、表1に各原料の配合量を示す。
〔実施例8〕
(B)水系重合体エマルションとして合成例1で合成した重合体エマルション粒子(B−1)水分散体22.32g、(A)金属酸化物として平均粒子径10nmの水分散コロイダルシリカ(商品名「スノーテックスOS」、日産化学工業(株)製、固形分20質量%)31.25g、及び(C)加水分解性金属酸化物としてテトラエトキシシラン(信越化学工業(株)製)2.23g、蒸留水106.2g、エタノール(和光純薬工業(株)製)38.0gを混合後、25℃で2時間攪拌しコーティング組成物(D−8)を得た。
厚さ100μmのポリカーボネートフィルム(AGC社製)に上記コーティング組成物(D−8)を、サスバットに100cc入れ、基材を沈めた後、20℃の環境で30分間乾燥させた。その後、70℃で10分間乾燥することにより、試験板(E−8)を得た。コーティング組成物(D−8)の乾燥膜厚は両面の平均が0.67μmであった。塗膜表面は良好で、全光線透過率の維持率は102%と非常に透明性の高い塗膜であった。また鉛筆硬度はHであり、非常に良好な硬度を示した。得られた試験板(E−8)の各評価結果を表2に示す。また、表1に各原料の配合量を示す。
〔実施例9〕
(B)水系重合体エマルションとして合成例1で合成した重合体エマルション粒子(B−1)水分散体11.52g、(A)金属酸化物として平均粒子径10nmの水分散コロイダルシリカ(商品名「スノーテックスOS」、日産化学工業(株)製、固形分20質量%)40.32g、及び(C)加水分解性金属酸化物としてテトラエトキシシラン(信越化学工業(株)製)1.15g、蒸留水109.0g、エタノール(和光純薬工業(株)製)38.0gを混合後、25℃で2時間攪拌しコーティング組成物(D−9)を得た。
厚さ100μmのポリカーボネートフィルム(AGC社製)に上記コーティング組成物(D−9)を、サスバットに100cc入れ、基材を沈めた後、20℃の環境で30分間乾燥させた。その後、70℃で10分間乾燥することにより、試験板(E−9)を得た。コーティング組成物(D−9)の乾燥膜厚は両面の平均が0.66μmであった。塗膜表面は良好で、全光線透過率の維持率は102%と非常に透明性の高い塗膜であった。また鉛筆硬度はHであり、非常に良好な硬度を示した。得られた試験板(E−9)の各評価結果を表2に示す。また、表1に各原料の配合量を示す。
〔実施例10〕
(B)水系重合体エマルションとして合成例1で合成した重合体エマルション粒子(B−1)水分散体7.76g、(A)金属酸化物として平均粒子径10nmの水分散コロイダルシリカ(商品名「スノーテックスOS」、日産化学工業(株)製、固形分20質量%)43.48g、及び(C)加水分解性金属酸化物としてテトラエトキシシラン(信越化学工業(株)製)0.78g、蒸留水110.0g、エタノール(和光純薬工業(株)製)38.0gを混合後、25℃で2時間攪拌しコーティング組成物(D−10)を得た。
厚さ100μmのポリカーボネートフィルム(AGC社製)に上記コーティング組成物(D−10)を、サスバットに100cc入れ、基材を沈めた後、20℃の環境で30分間乾燥させた。その後、70℃で10分間乾燥することにより、試験板(E−10)を得た。コーティング組成物(D−10)の乾燥膜厚は両面の平均が0.69μmであった。塗膜表面は良好で、全光線透過率の維持率は98%と非常に透明性の高い塗膜であった。また鉛筆硬度はHであり、非常に良好な硬度を示した。得られた試験板(E−10)の各評価結果を表2に示す。また、表1に各原料の配合量を示す。
〔実施例11〕
(B)水系重合体エマルションとして合成例1で合成した重合体エマルション粒子(B−1)水分散体32.47g、(A)金属酸化物として平均粒子径10nmの水分散コロイダルシリカ(商品名「スノーテックスOS」、日産化学工業(株)製、固形分20質量%)22.73g、及び(C)加水分解性金属酸化物としてテトラエトキシシラン(信越化学工業(株)製)3.25g、蒸留水103.6g、エタノール(和光純薬工業(株)製)38.0gを混合後、25℃で2時間攪拌したのち、15%アンモニア水でpHを8.5に調整しコーティング組成物(D−11)を得た。
膜厚100μmのポリカーボネートフィルム(AGC社製)に上記コーティング組成物(D−11)を、サスバットに100cc入れ、基材を沈めた後、20℃の環境で30分間乾燥させた。その後、70℃で10分間乾燥することにより、試験板(E−11)を得た。コーティング組成物(D−11)の乾燥膜厚は両面の平均が0.68μmであった。塗膜表面は良好で、全光線透過率の維持率は102%と非常に透明性の高い塗膜であった。また鉛筆硬度はHBであり、良好な硬度を示した。得られた試験板(E−11)の各評価結果を表2に示す。また、表1に各原料の配合量を示す。
〔比較例1〕
(B)水系重合体エマルションとして合成例1で合成した重合体エマルション粒子(B−1)水分散体35.71g、(A)金属酸化物として平均粒子径10nmの水分散コロイダルシリカ(商品名「スノーテックスOS」、日産化学工業(株)製、固形分20質量%)25.00g、蒸留水101.3g、エタノール(和光純薬工業(株)製)38.0gを混合後、25℃で2時間攪拌しコーティング組成物(D−17)を得た。
厚さ100μmのポリカーボネートフィルム(AGC社製)に上記コーティング組成物(D−17)を、サスバットに100cc入れ、基材を沈めた後、20℃の環境で30分間乾燥させた。その後、70℃で10分間乾燥することにより、試験板(E−17)を得た。コーティング組成物(D−17)の乾燥膜厚は両面の平均が0.63μmであった。塗膜表面はクラックが発生していた。全光線透過率の維持率は101%と非常に透明性の高い塗膜であった。また鉛筆硬度は2Bであり、やや硬度が低い塗膜であった。得られた試験板(E−17)の各評価結果を表4に示す。また、表3に各原料の配合量を示す。
〔実施例12〕
(B)水系重合体エマルションとして合成例1で合成した重合体エマルション粒子(B−1)水分散体35.54g、(A)金属酸化物として平均粒子径10nmの水分散コロイダルシリカ(商品名「スノーテックスOS」、日産化学工業(株)製、固形分20質量%)24.88g、及び(C)加水分解性金属酸化物としてテトラエトキシシラン(信越化学工業(株)製)0.18g、蒸留水101.4g、エタノール(和光純薬工業(株)製)38.0gを混合後、25℃で2時間攪拌しコーティング組成物(D−12)を得た。
厚さ100μmのポリカーボネートフィルム(AGC社製)に上記コーティング組成物(D−12)を、サスバットに100cc入れ、基材を沈めた後、20℃の環境で30分間乾燥させた。その後、70℃で10分間乾燥することにより、試験板(E−12)を得た。コーティング組成物(D−12)の乾燥膜厚は両面の平均が0.69μmであった。塗膜表面は良好であった。全光線透過率の維持率は100%と非常に透明性の高い塗膜であった。また鉛筆硬度はBであった。得られた試験板(E−12)の各評価結果を表2に示す。また、表1に各原料の配合量を示す。
〔比較例2〕
厚さ100μmのポリカーボネートフィルム(AGC社製)のみの試験板(E−0)で評価を行った。鉛筆硬度はBであった。その他、得られた試験板(E−0)の各評価結果を表4に示す。また、表3に各原料の配合量を示す。
〔比較例3〕
(A)金属酸化物として平均粒子径10nmの水分散コロイダルシリカ(商品名「スノーテックスOS」、日産化学工業(株)製、固形分20質量%)41.67g、及び(C)加水分解性金属酸化物としてテトラエトキシシラン(信越化学工業(株)製)5.95g、蒸留水114.4g、エタノール(和光純薬工業(株)製)38.0gを混合後、25℃で2時間攪拌しコーティング組成物(D−18)を得た。
厚さ100μmのポリカーボネートフィルム(AGC社製)に上記コーティング組成物(D−18)を、サスバットに100cc入れ、基材を沈めた後、20℃の環境で30分間乾燥させた。その後、70℃で10分間乾燥することにより、試験板(D−18)を得た。コーティング組成物(D−18)の乾燥膜厚は両面の平均が0.62μmであった。塗膜表面はクラックが多数発生していた。全光線透過率の維持率は93%と透明性の高い塗膜であった。また鉛筆硬度はクラックによる剥がれが発生し、測定が困難であった。得られた試験板(E−18)の各評価結果を表4に示す。また、表3に各原料の配合量を示す。
〔比較例4〕
(C)加水分解性金属酸化物としてテトラエトキシシラン(信越化学工業(株)製)35.71g、蒸留水126.3g、エタノール(和光純薬工業(株)製)38.0gを混合後、25℃で2時間攪拌しコーティング組成物(D−19)を得た。
6cm角、厚さ100μmのポリカーボネートフィルム(AGC社製)に上記コーティング組成物(D−19)を、サスバットに100cc入れ、基材を沈めた後、20℃の環境で30分間乾燥させた。その後、70℃で10分間乾燥することにより、試験板(E−19)を得た。コーティング組成物(D−19)の乾燥膜厚は両面の平均が0.70μmであった。塗膜表面は膜厚の斑が発生していた。全光線透過率の維持率は97%と透明性の高い塗膜であった。また鉛筆硬度はHであり、非常に良好な硬度を示した。得られた試験板(E−19)の各評価結果を表4に示す。また、表3に各原料の配合量を示す。
〔比較例5〕
(B)水系重合体エマルションとして合成例1で合成した重合体エマルション粒子(B−1)水分散体71.43g、蒸留水90.60g、エタノール(和光純薬工業(株)製)38.0gを混合後、25℃で2時間攪拌しコーティング組成物(D−20)を得た。
厚さ100μmのポリカーボネートフィルム(AGC社製)に上記コーティング組成物(D−20)を、サスバットに100cc入れ、基材を沈めた後、20℃の環境で30分間乾燥させた。その後、70℃で10分間乾燥することにより、試験板(E−20)を得た。コーティング組成物(D−20)の乾燥膜厚は両面の平均が0.65μmであった。塗膜表面良好であった。全光線透過率の維持率は96%と透明性の高い塗膜であった。また鉛筆硬度はBであった。得られた試験板(E−20)の各評価結果を表4に示す。
また、表3に各原料の配合量を示す。
〔比較例6〕
(A)金属酸化物として平均粒子径10nmの水分散コロイダルシリカ(商品名「スノーテックスOS」、日産化学工業(株)製、固形分20質量%)50g、蒸留水112.0g、エタノール(和光純薬工業(株)製)38.0gを混合後、25℃で2時間攪拌しコーティング組成物(D−21)を得た。
厚さ100μmのポリカーボネートフィルム(AGC社製)に上記コーティング組成物(D−21)を、サスバットに100cc入れ、基材を沈めた後、20℃の環境で30分間乾燥させた。その後、70℃で10分間乾燥することにより、試験板(E−21)を得た。コーティング組成物(D−21)の乾燥膜厚は両面の平均が0.61μmであった。塗膜はクラックが多数発生しており、基材に密着しておらず、鱗片状に剥がれる状態であった。全光線透過率の維持率は88%と透明性に劣る塗膜であった。また鉛筆硬度はクラックによる剥がれが発生し、測定が困難であった。得られた試験板(E−21)の各評価結果を表4に示す。また、表3に各原料の配合量を示す。
〔実施例13〕
(B)水系重合体エマルションとして合成例2で合成した重合体エマルション粒子(B−2)水分散体22.32g、(A)金属酸化物として平均粒子径10nmの水分散コロイダルシリカ(商品名「スノーテックスOS」、日産化学工業(株)製、固形分20質量%)31.25g、及び(C)加水分解性金属酸化物としてテトラエトキシシラン(信越化学工業(株)製)2.23g、蒸留水106.2g、エタノール(和光純薬工業(株)製)38.0gを混合後、25℃で2時間攪拌しコーティング組成物(D−13)を得た。
厚さ100μmのポリカーボネートフィルム(AGC社製)に上記コーティング組成物(D−13)を、サスバットに100cc入れ、基材を沈めた後、20℃の環境で30分間乾燥させた。その後、70℃で10分間乾燥することにより、試験板(E−13)を得た。コーティング組成物(D−13)の乾燥膜厚は両面の平均が0.69μmであった。塗膜は淡白色であった。全光線透過率の維持率は92%と透明性の高い塗膜であった。また鉛筆硬度はクラックによる剥がれが発生し、測定が困難であった。得られた試験板(E−13)の各評価結果を表2に示す。また、表1に各原料の配合量を示す。
〔実施例14〕
(B)水系重合体エマルションとして合成例1で合成した重合体エマルション粒子(B−1)水分散体26.46g、(A)金属酸化物として平均粒子径10nmの水分散コロイダルシリカ(商品名「スノーテックスOS」、日産化学工業(株)製、固形分20質量%)18.52g、及び(C)加水分解性金属酸化物としてテトラエトキシシラン(信越化学工業(株)製)9.26g、蒸留水107.8g、エタノール(和光純薬工業(株)製)38.0gを混合後、25℃で2時間攪拌しコーティング組成物(D−14)を得た。
厚さ100μmのポリカーボネートフィルム(AGC社製)に上記コーティング組成物(D−14)を、サスバットに100cc入れ、基材を沈めた後、20℃の環境で30分間乾燥させた。その後、70℃で10分間乾燥することにより、試験板(E−14)を得た。コーティング組成物(D−14)の乾燥膜厚は両面の平均が0.66μmであった。全光線透過率の維持率は101%と非常に透明性の高い塗膜であった。また鉛筆硬度はHであり、非常に良好な硬度を示した。得られた試験板(E−14)の各評価結果を表2に示す。また、表1に各原料の配合量を示す。
〔実施例15〕
(B)水系重合体エマルションとして合成例1で合成した重合体エマルション粒子(B−1)水分散体51.02g、(A)金属酸化物として平均粒子径10nmの水分散コロイダルシリカ(商品名「スノーテックスOS」、日産化学工業(株)製、固形分20質量%)7.14g、及び(C)加水分解性金属酸化物としてテトラエトキシシラン(信越化学工業(株)製)5.10g、蒸留水98.7g、エタノール(和光純薬工業(株)製)38.0gを混合後、25℃で2時間攪拌しコーティング組成物(D−15)を得た。
厚さ100μmのポリカーボネートフィルム(AGC社製)に上記コーティング組成物(D−15)を、サスバットに100cc入れ、基材を沈めた後、20℃の環境で30分間乾燥させた。その後、70℃で10分間乾燥することにより、試験板(E−15)を得た。コーティング組成物(D−15)の乾燥膜厚は両面の平均が0.69μmであった。塗膜は白色で濁りがあった。全光線透過率の維持率は91%と透明性の高い塗膜であった。また鉛筆硬度はHBであった。得られた試験板(E−15)の各評価結果を表2に示す。また、表1に各原料の配合量を示す。
また、各実施例及び比較例において、段落[0101],[0102]に記載のとおりに算出した(X),(Y)の値を表1,3に併せて示す。
Figure 0006651283
Figure 0006651283
Figure 0006651283
Figure 0006651283
表2に示すように、各実施例の塗膜は非常に良好な難燃性を示した。一方、表4に示す比較例では、難燃性を発現する結果は得られなかった。すなわち、難燃性を除く物性の優劣に関しては、各実施例・比較例の間で様々であったものの、難燃性については全ての実施例について比較例より優れているものと認められた。このように、実施例に係る難燃積層体は、密着性と外観ないし透明性と機械特性との良好なバランスを確保した上、より優れた難燃性を発現するものと認められた。
本実施形態により得られる難燃積層体は、燃えやすい材料を基材として使用した場合であっても、高い難燃性を簡単かつ安価に付与できると共に、密着性と外観ないし透明性と機械特性とのバランスに優れており、基材を特に選ばない。よって、機械分野、電子機器分野、建材分野、自動車分野等、難燃性が求められるあらゆる分野に使用可能な、安価な難燃材料を提供できる。

Claims (5)

  1. 基材に難燃性を付与する方法であって、
    (A)金属酸化物、(B)水系重合体エマルション及び(C)加水分解性金属酸化物を含むコーティング組成物を、前記基材の全ての面に塗布し、分散媒を揮発させることで、前記基材上にコーティング層を形成して難燃積層体を得る工程を含み、
    前記(A)金属酸化物が、二酸化珪素であり、かつ、前記(B)水系重合体エマルションが、水及び乳化剤の存在下に(b1)加水分解性珪素化合物と(b2)2級及び/又は3級アミド基を有するビニル単量体を重合して得られる水系重合体エマルションであり、かつ、前記(C)加水分解性金属酸化物が、加水分解性珪素化合物であり、
    前記(A)金属酸化物と前記(B)水系重合体エマルションとが相互作用することにより、当該(B)水系重合体エマルションが硬化され、
    前記難燃積層体が、UL94規格V試験法において、10秒間着火を2回繰り返し、火炎落下が発生しない難燃積層体であり、
    前記基材が、ポリカーボネート樹脂である、難燃性付与方法。
  2. 前記コーティング組成物における、下記数式(1)で表される加水分解性珪素化合物のSiOH基換算での質量(Cw)の質量比率(Y)が、0.01以上0.20以下を満たす、請求項1に記載の難燃性付与方法。
    [数式1]
    (Y)=(Cw)/((Aw)+(Bw)+(Cw)) (1)
    (式中、(Aw)は(A)金属酸化物の固形分質量を表し、(Bw)は(B)水系重合体エマルションの固形分質量を表し、(Cw)は(C)加水分解性金属酸化物のSiOH基換算での質量を表す。)
  3. 前記コーティング組成物における、前記(A)金属酸化物と(B)水系重合体エマルションとの質量比率(X)((A)金属酸化物/(B)水系重合体エマルション)が、0.2以上8.0以下である、請求項1又は2に記載の難燃性付与方法。
  4. JIS−K5600−5−1(1999)に準拠した円筒形マンドレル法による耐屈曲性試験において、前記基材の割れの起こるマンドレル直径が8mm以下である、請求項1〜のいずれか一項に記載の難燃性付与方法。
  5. 前記難燃積層体における全光線透過率の維持率(100×前記難燃積層体の全光線透過率/前記基材の全光線透過率)が、90%以上である、請求項1〜のいずれか一項に記載の難燃性付与方法。
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