JP2012219209A - 複合組成物、当該複合組成物を用いた塗膜の製造方法、当該製造方法により得られる塗膜、及び当該塗膜を具備する部材 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(A)非イオン性界面活性剤及び/又は両性界面活性剤と、(B)シリカ源と、(C)重合体粒子とを含有する複合組成物により形成される塗膜であって、前記(A)非イオン性界面活性剤及び/又は両性界面活性剤と(B)シリカ源とが水素結合や共有結合等を介してシリカ複合体を形成し、親水性、反射防止性、強度に優れている塗膜を得る。
【選択図】図1
Description
例えば、太陽電池発電や風力発電等の環境に優しい再生可能なエネルギーは、炭酸ガス等の温暖化を誘発するといわれているガスを排出しないため、クリーンなエネルギーとして研究開発が盛んに行われている。特に、太陽電池や太陽熱発電は、安全性や取扱性に優れていることから、注目を浴びている。
これらの方式は太陽光を反射鏡によって一部分に集光し、その集光熱によって熱電変換により電気エネルギーを得る方式である。そのため、効率良く電気エネルギーを得るためには、集光効率を高めることが重要であるが、集光効率を大きく左右する要因として、反射鏡の汚れによる反射率の低下が特に問題になっている。また同様に、ガラスや耐候性樹脂フィルム等からなる保護カバーによって受光面が保護されている太陽電池においても当該保護カバーが長期間の使用中に煤塵で汚れるため、光透過率が低下し、太陽電池のエネルギー変換効率が低下するという類似の問題がある。
一方、基材表面に反射防止性能を付与する技術として、例えば特許文献2には、アルコキシシランを加水分解、縮合させるゾルゲル法による調製後のゾル液とシリカ微粒子とを併用することによってシリカ系薄膜を形成する技術が開示されている。
また、反射防止性、曇り防止性を付与する技術として、例えば特許文献3には、加水分解性ケイ酸塩オリゴマーである前駆体製剤を基板上にコーティングし、塩基、水、及びオリゴマーの加水分解を抑制する抑制剤を含む気体雰囲気において硬化することによりシリカ様フィルムを形成する方法が開示されている。
さらに、例えば特許文献4には、界面活性剤と珪酸ナトリウムを用いてシリカ複合体を形成した後、界面活性剤を溶媒洗浄して除去したメソポーラスシリカを含有する反射防止膜に関する技術が開示されている。
すなわち、本発明は以下の通りである。
(A)非イオン性界面活性剤及び/又は両性界面活性剤と、
(B)シリカ源と、
(C)重合体粒子と、
を、含有する複合組成物。
〔2〕
(D)加水分解性珪素含有化合物を、さらに含有する前記〔1〕に記載の複合組成物。
〔3〕
(E)数平均粒子径1nm〜400nmの金属酸化物粒子を、さらに含有する前記〔1〕又は〔2〕に記載の複合組成物。
〔4〕
前記(C)重合体粒子が、
(c1)成分:加水分解性珪素化合物と、
(c2)成分:ビニル単量体と、
(c3)成分:乳化剤と、
(c4)成分:水と、
を含む重合原液中で、前記(c1)成分と前記(c2)成分とを重合して得られる重合体エマルジョン粒子であり、数平均粒子径が10nm〜800nmである、前記〔1〕乃至〔3〕のいずれか一に記載の複合組成物。
〔5〕
前記(C)重合体粒子の水相成分の含有率が、15質量%以下である、前記〔1〕乃至〔4〕のいずれか一に記載の複合組成物。
〔6〕
基材の少なくとも一主面に、前記〔1〕乃至〔5〕のいずれか一に記載の複合組成物を塗布する工程(1)を有する塗膜の製造方法。
〔7〕
前記工程(1)の後、20℃〜200℃の温度で養生する工程(2)を有する前記〔6〕に記載の塗膜の製造方法。
〔8〕
前記工程(1)又は工程(2)の後、紫外線を照射する工程(3)を有する前記〔7〕に記載の塗膜の製造方法。
〔9〕
前記工程(3)の後、前記(A)非イオン性界面活性剤及び/又は両性界面活性剤を除去する工程(4)を有する前記〔8〕に記載の塗膜の製造方法。
〔10〕
前記工程(4)において、水又は溶剤を用いた洗浄によって、前記(A)非イオン性界面活性剤及び/又は両性界面活性剤を除去する前記〔9〕に記載の塗膜の製造方法。
〔11〕
前記〔6〕乃至〔10〕のいずれか一に記載の塗膜の製造方法により得られる塗膜。
〔12〕
前記〔11〕に記載の塗膜を具備する部材。
〔13〕
前記〔11〕に記載の塗膜を具備する太陽電池モジュール。
〔14〕
前記〔11〕に記載の塗膜を具備するリフレクター装置。
なお、本発明は、以下の実施形態に制限されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本実施形態の複合組成物は、(A)非イオン性界面活性剤及び/又は両性界面活性剤(以下、単に(A)成分と言うこともある。)と、
(B)シリカ源(以下、単に(B)成分と言うこともある。)と、
(C)重合体粒子(以下、単に(C)成分と言うこともある。)と、
を、含有する。
当該複合組成物によれば、親水性、反射防止性に優れ、鉛筆硬度が高く、厚膜時の耐クラック性が優れる塗膜を得ることができる。
上述したように、本実施形態の複合組成物は、(A)非イオン性界面活性剤及び/又は両性界面活性剤と(B)シリカ源とを含有する。
(A)非イオン性界面活性剤及び/又は両性界面活性剤と(B)シリカ源とが、水素結合あるいは共有結合等を介して、(A)成分あるいは(A)成分の自己組織化構造体の周囲にシリカ構造が形成され、全体としてシリカ複合体を形成するため、得られた塗膜は、親水性を維持しながら、反射防止効果と塗膜強度とを発現することが可能となる。
形成されるシリカ複合体の形状が、球状、ロッド状等様々に制御可能で、その粒子径分布が比較的複雑になるため、粒子間の空隙が形成しやすく、空隙率を高めることにより、塗膜において反射防止効果を発現することができるようになる。
さらには、界面活性剤の効果で前記シリカ複合体はゾル状に安定化するため、取り扱いも容易である。
本実施形態の複合組成物に含有される(A)非イオン性界面活性剤及び/又は両性界面活性剤とは、下記に記載する各種界面活性剤から選ばれる少なくとも1種である。
すなわち、非イオン性界面活性剤と両性界面活性剤とは、それぞれ単独で用いてもよく、組み合わせて用いてもよい。
非イオン性界面活性剤としては、特に制限がなく、エーテル型、エーテルエステル型、エステル型、含窒素型のものを用いることができるが、本実施形態の複合組成物を用いて塗膜を形成する際、塗液の混合反応や、養生を、酸性又は塩基性条件下で行う場合があるため、エステル型では加水分解が予想される点から、エーテル型、含窒素型のものが好ましい。
エーテル型の非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、単一鎖長ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン2級アルコールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエテール、ポリオキシエチレンステロールエーテル、ポリオキシエチレンラノリン誘導体、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール等が挙げられる。
含窒素型の非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルアミン等が挙げられる。
更に具体的に、非イオン性界面活性剤としては、アデカプルロニック(L・p・Fシリーズ)、アデカプルロニック(TRシリーズ)、アデカトール(SOシリーズ)、アデカトール(LOシリーズ)、アデカトール(NP・OPL・OA・LA・SP・PCシリーズ)、アデカPEGシリーズ等が挙げられる。
上述した各種界面活性剤の中でも、シリカ複合体形成の観点から、構造式HO(C2 H4 O)a−(C3 H6 O)b−(C2 H4 O)cH(但し、a、cは10〜110、bは30〜70を示す。)で表される非イオン性界面活性剤が特に好ましく用いられる。
具体的には、プルロニックP103,P123,P85(株式会社ADEKA製 商品名)等が例示される。
1000未満では、得られるシリカ構造体が小さくなり、50000を超えると取り扱い難くなる。
重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC法)により測定することができる。
重量比が0.01より小さいと、シリカ複合体が十分得られず、30を超えるとシリカ複合体が凝集するおそれがある。
(A)非イオン性界面活性剤及び/又は両性界面活性剤の重量に対する水の重量比は、10〜1000の範囲が好ましい。当該数値範囲であると、(A)非イオン性界面活性剤及び/又は両性界面活性剤を、(B)シリカ源と混合した際にシリカ複合体が安定に形成されるので好ましい。
本実施形態の複合組成物に含有される(B)シリカ源とは、活性な水酸基を有するSi化合物である。
例えば、アルコキシシラン類、珪酸、珪酸塩が挙げられる。
取り扱い性の観点から、アルコキシシラン類、コストの観点から珪酸塩、特に珪酸ナトリウムが好ましい。
珪酸ナトリウムとしては、水ガラス3号等の、Si原子周囲の結合状態が全て−O−Si−O−の形である、すなわち(Q4)のものを含むSi化合物も用いることができる。
例えば、水ガラス1号、水ガラス2号、水ガラス3号、水ガラス4号、メタ珪酸ソーダ、珪酸ナトリウムガラス(無水粉末)、オルソ珪酸ナトリウム(フレーク)等が挙げられる。
R1 nSiX4-n ・・・(i)
前記式(i)中、R1は水素原子、ハロゲン基、ヒドロキシ基、メルカプト基、アミノ基、(メタ)アクリロイル基、又はエポキシ基を有していてもよい、炭素数1〜10のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基から選択されるいずれかを示す。
Xは、加水分解性基を示し、nは0〜3の整数である。
前記加水分解性基は、加水分解により水酸基が生じる基であれば、特に限定されず、例えば、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、アミノ基、フェノキシ基、オキシム基等が挙げられる。
X3Si−R2 n−SiX3 ・・・(ii)
前記式(ii)中、Xは加水分解性基を示し、R2は炭素数1〜6のアルキレン基又はフェニレン基を示す。
nは0又は1である。
R3−(O−Si(OR3)2)n−OR3 ・・・(iii)
ここで、前記式(iii)中、R3は、炭素数1〜6のアルキル基を示す。nは2〜8の整数である。
加水分解性珪素含有化合物(b1)及び(b2)として、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ(n−プロポキシ)シラン、テトラ(i−プロポキシ)シラン、テトラ(n−ブトキシ)シラン、テトラ(i−ブトキシ)シラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ−tert−ブトキシシラン、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジメトキシシラン、ジエトキシシラン、メチルジメトキシシラン、メチルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ビス(トリメトキシシリル)メタン、ビス(トリエトキシシリル)メタン、ビス(トリフェノキシシリル)メタン、ビス(トリメトキシシリル)エタン、ビス(トリエトキシシリル)エタン、ビス(トリフェノキシシリル)エタン、1,3−ビス(トリメトキシシリル)プロパン、1,3−ビス(トリエトキシシリル)プロパン、1,3−ビス(トリフェノキシシリル)プロパン、1,4−ビス(トリメトキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリエトキシシリル)ベンゼン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、3−ヒドロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、テトラアセトキシシラン、テトラキス(トリクロロアセトキシ)シラン、テトラキス(トリフルオロアセトキシ)シラン、トリアセトキシシラン、トリス(トリクロロアセトキシ)シラン、トリス(トリフルオロアセトキシ)シラン、メチルトリアセトキシシラン、メチルトリス(トリクロロアセトキシ)シラン、テトラクロロシラン、テトラブロモシラン、テトラフルオロシラン、トリクロロシラン、トリブロモシラン、トリフルオロシラン、メチルトリクロロシラン、メチルトリブロモシラン、メチルトリフルオロシラン、テトラキス(メチルエチルケトキシム)シラン、トリス(メチルエチルケトキシム)シラン、メチルトリス(メチルエチルケトキシム)シラン、フェニルトリス(メチルエチルケトキシム)シラン、ビス(メチルエチルケトキシム)シラン、メチルビス(メチルエチルケトキシム)シラン、ヘキサメチルジシラザン、ヘキサメチルシクロトリシラザン、ビス(ジメチルアミノ)ジメチルシラン、ビス(ジエチルアミノ)ジメチルシラン、ビス(ジメチルアミノ)メチルシラン、ビス(ジエチルアミノ)メチルシラン等が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらは1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本実施形態の複合組成物に含有される(C)重合体粒子とは、不飽和結合を有する単量体成分を、ラジカル、カチオン及びアニオン等の介在によって重合することにより得られる高分子の粒子をいう。
本実施形態の複合組成物が、後述の(E)金属酸化物粒子を含む場合は、(C)重合体粒子は、後述する(E)金属酸化物粒子に囲まれて存在していることが好ましい。
(C)重合体粒子としては、媒体中に分散したエマルジョン粒子、ディスパージョン粒子や不均一に分散したスラリー粒子等を適用できる。
(C)成分は、エマルジョン粒子であることが好ましい。
エマルジョン粒子であることにより、本実施形態の複合組成物を用いて塗膜を調製した場合、後述する(E)成分:金属酸化物粒子と(C)成分:重合体粒子とにより、海島構造を形成させることができる。
海島構造を形成することで塗膜最表面に(E)金属酸化物粒子が局在化し、(E)金属酸化物粒子の水酸基等の親水基によって良好な親水性を発現できる。
前記エマルジョン粒子としては、特に限定されず、例えば、アクリルエマルジョン粒子、スチレンエマルジョン粒子、アクリルスチレンエマルジョン粒子、アクリルシリコンエマルジョン粒子、シリコンエマルジョン粒子、フッ素樹脂エマルジョン粒子等が挙げられる。
(C)成分が、(c1)成分と(c2)成分とを、複合化された状態で含有することにより、部分的に加水分解した後述する(D)加水分解性珪素含有化合物が比較的安定に(C)成分に表面吸着するか、あるいは(C)成分を構成する重合体粒子間に後述する(D)成分が架橋を形成するために好ましい。
(C)成分としては、(c1)成分に由来する水酸基と(c2)成分の重合生成物、すなわちビニル単量体の重合生成物とが、水素結合等により複合化されたものを好適に用いることができる。
(c1)成分:加水分解性珪素化合物とは、加水分解可能な官能基を有する珪素化合物を言う。
(c1)成分としては、例えば下記式(1)で表される化合物やその縮合生成物、シランカップリング剤等が挙げられる。
SiWxRy ・・・(1)
前記式(1)中、Wは炭素数1〜20のアルコキシ基、水酸基、炭素数1〜20のアセトキシ基、ハロゲン原子、水素原子、炭素数1〜20のオキシム基、エノキシ基、アミノキシ基及びアミド基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基を表す。
Rは、直鎖状又は分岐状の炭素数1〜30のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、及び、置換されていないか又は炭素数1〜20のアルキル基若しくは炭素数1〜20のアルコキシ基若しくはハロゲン原子で置換されている炭素数6〜20のアリール基からなる群より選ばれる少なくとも1種の炭化水素基を表す。
xは1以上4以下の整数であり、yは0以上3以下の整数である。
また、x+y=4である。
これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらを含むものを(c1)成分として用いた場合、本実施形態の複合組成物を用いた塗膜の長期防汚染性が良好となり好適である。
このため、ビニル重合性基やチオール基を有するシランカップリング剤を上述した他の(c1)成分と混合若しくは複合化させて用いた場合、(c1)成分の重合生成物と後述する(c2)成分の重合生成物とを化学結合により複合化し得る。
(c1−2)成分を含むものを(c1)成分として用いた場合、本実施形態の複合組成物を用いた塗膜の柔軟性がより良好となり好適である。
(R’2SiO)m ・・・(2)
前記式(2)中、R’は、水素原子、直鎖状又は分岐状の炭素数1〜30のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、及び置換されていないか又は炭素数1〜20のアルキル基若しくは炭素数1〜20のアルコキシ基若しくはハロゲン原子で置換されている炭素数6〜20のアリール基からなる群より選ばれる少なくとも1種を示す。
mは整数であり、2≦m≦20である。
特に、反応性等の観点から、オクタメチルシクロテトラシロキサン等の環状ジメチルシロキサンオリゴマーが好ましい。
上述した(c1)成分は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
後述する(c2)成分の含有量に対する(c1−2)成分の含有量の質量比((c1−2)/(c2))は、重合安定性の観点から、好ましくは0.5/100〜50/100、より好ましくは1.0/100〜20/100である。
(c2)成分は、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、及びエーテル基、アミド基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を有するビニル単量体である。
(c2)成分:ビニル単量体が、かかる官能基を有するビニル単量体であることにより、(C)成分以外の他の成分(例えば、後述する(E)成分の金属酸化物粒子等)が有する官能基と化学結合(例えば縮合等)することが容易となり、相互作用を高めることができる。
エーテル基を有するビニル単量体は、市販品を用いることもでき、例えば、ブレンマーPE−90、PE−200、PE−350、PME−100、PME−200、PME−400、AE−350(以上、日本油脂社製、商品名)、MA−30、MA−50、MA−100、MA−150、RA−1120、RA−2614、RMA−564、RMA−568、RMA−1114、MPG130−MA(以上、日本乳化剤社製、商品名)等が挙げられる。
ここで、ポリオキシエチレン鎖のオキシエチレン単位の数は2〜30が好ましい。2未満では、本実施形態の複合組成物を用いた塗膜の柔軟性が不十分になる傾向があり、30を超えると、塗膜が軟らかくなり、耐ブロッキング性に劣る傾向にある。
(c2)成分は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
(c3)成分としては、特に限定されるものではなく、公知の乳化剤をいずれも使用することができる。例えば、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルスルホン酸、アルキルスルホコハク酸、ポリオキシエチレンアルキル硫酸、ポリオキシエチレンアルキルアリール硫酸、ポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテルスルホン酸等の酸性乳化剤、酸性乳化剤のアルカリ金属(Li、Na、K等)塩、酸性乳化剤のアンモニウム塩、脂肪酸石鹸等のアニオン性界面活性剤;アルキルトリメチルアンモニウムブロミド、アルキルピリジニウムブロミド、イミダゾリニウムラウレート等の四級アンモニウム塩、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩型のカチオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテル等のノニオン型界面活性剤等が挙げられる。
これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
反応性乳化剤としては、例えばスルホン酸基又はスルホネート基を有するビニル単量体、硫酸エステル基を有するビニル単量体、及びそれらのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、ポリオキシエチレン等のノニオン基を有するビニル単量体、並びに、4級アンモニウム塩を有するビニル単量体等が挙げられる。
(c3)成分の使用量は、重合安定性の観点から、(C)成分100質量部に対して、好ましくは10質量部以下、より好ましくは0.001〜5質量部である。
(c4)成分:水の使用量は、重合安定性の観点から、重合原液中の含有率として好ましくは30〜99.9質量%である。
例えば、(c5)成分:(c2)成分と共重合可能な他のビニル単量体をさらに混合することが好ましい。このような(c5)成分を用いることは、生成する重合生成物の特性(ガラス転移温度、分子量、水素結合力、極性、分散安定性、耐候性、(c1)成分である加水分解性珪素化合物の重合生成物との相溶性等)を制御する観点から好適である。
(c5)成分としては、例えば、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル類の他、エポキシ基含有ビニル単量体、カルボニル基含有ビニル単量体、アニオン型ビニル単量体のような官能基を含有する単量体等が挙げられる。
上述した(c5)成分は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
(c5)成分をこの範囲で用いることは、本実施形態の複合組成物のガラス転移温度、分子量、水素結合力、極性、分散安定性、耐候性、(c1)成分である加水分解性珪素化合物の重合生成物との相溶性等を制御する観点から好適である。
(C)成分:重合体粒子を重合する重合原液には、連鎖移動剤を混合することができる。
連鎖移動剤としては、例えば、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタンのようなアルキルメルカプタン類;ベンジルメルカプタン、ドデシルベンジルメルカプタンのような芳香族メルカプタン類;チオリンゴ酸のようなチオカルボン酸又はそれらの塩若しくはそれらのアルキルエステル類、又はポリチオール類、ジイソプロピルキサントゲンジスルフィド、ジ(メチレントリメチロールプロパン)キサントゲンジスルフィド及びチオグリコール、α−メチルスチレンのダイマー等のアリル化合物等が挙げられる。
これらの連鎖移動剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
連鎖移動剤をこの範囲で用いることは、重合安定性の観点から好適である。
さらに、前記重合原液には分散安定剤を混合することができる。
分散安定剤としては、特に限定されず、例えば、ポリカルボン酸及びスルホン酸塩からなる群より選ばれる各種の水溶性オリゴマー類、ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、澱粉、マレイン化ポリブタジエン、マレイン化アルキッド樹脂、ポリアクリル酸(塩)、ポリアクリルアミド、水溶性又は水分散性アクリル樹脂等の合成又は天然の水溶性又は水分散性の各種高分子物質等が挙げられる。
これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(C)成分は、(c1)〜(c3)の各成分、及び(c4)成分(すなわち水)を含む重合原液中で、(c1)成分及び(c2)成分を重合することにより得られる。
上述の重合原液の重合は、所定の重合触媒の存在下で実施するのが好ましい。
(c1)成分の重合触媒としては、例えば塩酸、フッ酸等のハロゲン化水素類;酢酸、トリクロル酢酸、トリフルオロ酢酸、乳酸等のカルボン酸類;硫酸、p−トルエンスルホン酸等のスルホン酸類;アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルスルホン酸、アルキルスルホコハク酸、ポリオキシエチレンアルキル硫酸、ポリオキシエチレンアルキルアリール硫酸、ポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテルスルホン酸等の酸性乳化剤類;酸性又は弱酸性の無機塩;フタル酸、リン酸、硝酸のような酸性化合物類;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメチラート、酢酸ナトリウム、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルアミン、ジアザビシクロウンデセン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、エタノールアミン類、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)−アミノプロピルトリメトキシシランのような塩基性化合物類;ジブチル錫オクチレート、ジブチル錫ジラウレートのような錫化合物等が挙げられる。
(c1)成分の重合触媒の使用量としては、加水分解前の(c1)成分に対して好ましくは0.01質量%〜20質量%である。
なお、(c2)成分の重合速度の促進、及び70℃以下での低温の重合を望む場合、例えば重亜硫酸ナトリウム、塩化第一鉄、アスコルビン酸塩、ロンガリット等の還元剤をラジカル重合触媒と組み合わせて用いると有利である。
乳化重合の方法としては、例えば、(c1)成分及び(c2)成分、さらには、必要に応じて(c3)成分:乳化剤をそのまま、又は乳化した状態で、一括若しくは分割して、又は連続的に反応容器中に滴下し、上述した重合触媒の存在下、好ましくは大気圧から必要により10MPaまでの圧力下で、約30〜150℃の反応温度で重合させる方法等が好ましい方法として挙げられる。
なお、前記圧力条件、及び反応温度条件に限定されるものではない。
全固形分質量(質量%)は、(C)成分を100℃に加温したオーブンに2時間入れて乾燥させた乾燥質量を求め、下記式(I)に基づいて求めることができる。
全固形分質量(質量%)=乾燥質量/(C)成分の質量×100・・・(I)
シード重合法とは、予め水相中にエマルジョン粒子(シード粒子)を存在させて重合させる方法である。
シード重合法を行う際の、重合系中のpHとしては、好ましくは1.0〜10.0、より好ましくは1.0〜6.0である。そのpHは、リン酸二ナトリウム、ボラックス、炭酸水素ナトリウム、アンモニア等のpH緩衝剤を用いて調節することが可能である。
(C)成分:重合体粒子は、本実施形態の複合組成物を用いた塗膜の基材密着性を向上させる観点から、コア層と、当該コア層を被覆する1層又は2層以上のシェル層とを備えたコア/シェル構造を有することが好ましい。
当該コア/シェル構造を形成する方法としては、乳化重合を多段で行う、多段乳化重合が非常に有用である。
コア/シェル構造は、例えば透過型電子顕微鏡等による形態観察や粘弾性測定による解析等により観察することができる。
3段以上の多段乳化重合を実施する場合、例えば、第3段階として、さらに(c1)成分及び(c2)成分、並びに必要に応じて(c5)成分を含む重合原液を添加して重合する方法が挙げられる。このような方法は、重合安定性の観点からも好適である。
なお、体積平均粒子径は、数平均粒子径と同様の方法により測定でき、数平均粒子径は、後述する実施例に記載する方法により測定できる。
また、シェル層の最外層においては、(c1)成分の含有量に対する(c2)成分の含有量の質量比((c2)/(c1))が、0.01/1〜10/1であることが好ましい。
コア層において、質量比((c2)/(c1))を0.01/1以上であることにより、重合安定性がより優れる傾向にあり、1/1以下とすることで、本実施形態の複合組成物を用いた塗膜の耐久性や柔軟性がさらに向上する。
また、シェル層の最外層において、質量比((c2)/(c1))を0.01/1以上とすることにより、後述する(E)成分:金属酸化物粒子との相互作用を大きくでき、10/1以下とすることで相互作用を適度に抑制でき、(C)成分の分散安定性が良好なものとなる傾向がある。
この場合、室温における柔軟性がより優れた塗膜を得ることができるので、クラック等が生じ難い太陽電池用の保護部材を形成することが可能となり、好ましい。
なお、Tgは示差走査熱量測定装置(DSC)にて測定することができる。
(C)成分の水相成分の含有率は、下記式(II)で表される。
(C)成分の水相成分を15質量%以下とすることにより、本実施形態の複合組成物により形成される塗膜は透明性及び親水性に優れるとともに、高温下においても優れた親水性を維持できる。
水相成分の含有率(%)=((C)成分を分画分子量50,000でろ過したろ液の乾燥質量)×(100−全固形分質量)/(前記ろ液の質量−前記ろ液の乾燥質量)×100/全固形分質量 ・・・(II)
(C)成分中の水相成分の含有量の下限は、特に限定されないが、例えば0質量%以上である。
(C)成分:重合体粒子の数平均粒子径を前記範囲にし、後述する数平均粒子径が1nm〜400nmの(E)成分:金属酸化物粒子と組み合わせることにより、本実施形態の複合組成物の塗膜は耐候性が良好となる。
本実施形態の複合組成物の塗膜の透明性向上の観点から、(C)成分:重合体粒子の数平均粒子径は10nm〜100nmであることがより好ましい。
なお、(C)成分:重合体粒子の数平均粒子径は、後述の実施例に記載の方法で測定することができる。
本実施形態の複合組成物は、上述した(A)非イオン性界面活性剤及び/又は両性界面活性剤と(B)シリカ源によるシリカ複合体の強度の観点から、(D)加水分解性珪素含有化合物を含有することが好ましい。
(D)成分:加水分解性珪素含有化合物は、下記式(3)で表される加水分解性珪素含有化合物(d1)、下記式(4)で表される加水分解性珪素含有化合物(d2)、及び下記式(5)で表される加水分解性珪素含有化合物(d3)からなる群より選ばれる1種以上である。
Xは、加水分解性基を示し、nは0〜3の整数である。
前記加水分解性基は加水分解により水酸基が生じる基であれば特に限定されず、例えばハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、アミノ基、フェノキシ基、オキシム基等が挙げられる。
nは0又は1である。
これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
これらは1種単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
同時に添加する場合には、シリカ複合体を形成する(A)成分との比率を勘案し、シリカ複合体を形成する最適な量よりも過剰に添加することができる。このシリカ複合体を形成する最適な量に関しては、(A)成分と(B)成分との比率を考慮することが重要である。すなわち、(B)/(A)は、100/1〜0.01/1であることが好ましく、より好ましくは10/1〜0.1/1、さらに好ましくは3/1〜1/3である。
上記のように、(D)成分:加水分解性珪素含有化合物の量を決定するために、(A)成分と(B)成分との比率を考慮するのは、(D)成分は(B)成分:シリカ源と同じ作用を有する場合もあるためである。
具体的には、最適な(B)/(A)に対して(B)が不足している場合には、(D)成分を過剰に添加すればよく、(B)が十分に足りていれば、粒子間を架橋するために必要な(D)成分を添加すればよい。
シリカ複合体の形成を十分確認した後に、シリカ複合体間の架橋密度を向上し強度を上げるために(D)成分を後で添加したほうが好ましい。
本実施形態の複合組成物は、(E)成分:数平均粒子径が1nm〜400nmの金属酸化物粒子を含むことが好ましい。
(E)成分:金属酸化物粒子は、表面に活性が低いシラノール基を有するものであることが好ましい。
このような(E)金属酸化物粒子を含有させることにより、本実施形態の複合組成物の塗膜において、十分な透明性及び親水性を保持しながら強度を付与することができる。
また、(E)成分は、上述した(C)成分と相互作用することにより、(C)成分の硬化剤として作用する(ただし、作用はこれに限定されない)。当該相互作用としては、特に限定されないが、例えば(E)成分が一般に有する官能基(例えば水酸基等)と、(C)成分が有する官能基(例えば水酸基、カルボキシル基、アミド基、アミノ基、及びエーテル基等)との水素結合、(E)成分が一般に有する官能基と、(C)成分との化学結合(例えば縮合)等を例示することができる。
(E)成分の数平均粒子径を上記範囲とすることで、本実施形態の複合組成物の塗膜や積層体等の光学特性等に寄与し得る。
特に、その数平均粒子径を100nm以下とすることは、得られる塗膜や積層体の光線透過率を大きく向上させ得る。
なお、数平均粒子径(以下、単に「粒子径」と略記することがある。)は、後述する実施例に記載する方法により測定できる。
これらの中でも、表面水酸基が多く、(C)成分との相互作用が特に強いという観点から、二酸化珪素(シリカ)、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化アンチモン、及びそれらの複合酸化物からなる群から選ばれる1種以上が、本実施形態の複合組成物を塗膜とした際に、表面水酸基の多い(E)成分が連続相を形成することができ、塗膜表面の水酸基密度が高くなり、塗膜表面の親水性も高くなるため、より好ましい。
(E)成分の金属酸化物粒子は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ここでいう「分散液」及び「ゾル」とは、(E)成分が、水、親水性有機溶媒あるいはそれらの混合溶媒中に0.01〜80質量%、好ましくは0.1〜50質量%の濃度で、一次粒子あるいは二次粒子の少なくとも一方として分散された状態を意味する。
本実施形態の複合組成物あるいは塗膜に付与できる性質等としては、例えば、反射防止性、耐溶剤性、帯電防止性、耐熱性、ハードコート性、光触媒活性等が挙げられる。
所望の性質に応じて、添加する成分、含有量、さらには数平均粒子径等の物性等について好適なものを選択できる。さらに、特定の性能の効果を高めたい場合や、複合組成物に複数の性能を付与したい場合には、(E)成分として2種以上の金属酸化物粒子を併用することもできる。
かかる観点から、(E)金属酸化物粒子の代表的なものとして、(E1)シリカ、(E2)光触媒、(E3)導電性金属酸化物等の粒子が挙げられる。
以下、これらについて説明する。
(E1)成分は、シリカ(いわゆる二酸化珪素)の粒子であればよく、その製法は特に限定されず、沈殿法、乾式法等によって製造してもよい。
取扱性の観点から、コロイダルシリカの状態で存在することがより好ましい。
(E1)成分がコロイダルシリカである場合には、ゾル−ゲル法により調製でき、市販品を利用することもできる。
(E1)成分としてコロイダルシリカをゾル−ゲル法で調製する場合、Werner Stober et al;J.Colloid and Interface Sci.,26,62−69(1968)、Rickey D.Badley et al;Lang muir 6,792−801(1990)、色材協会誌,61[9]488−493(1988)等に記載の方法を参照して調製することができる。
数平均粒子径が1nm以上であれば、本実施形態の複合組成物及び当該複合組成物を用いた塗膜の貯蔵安定性がより良好となり、100nm以下であると、塗膜の透明性がより良好となる。
上記範囲の粒子径のシリカ粒子を有するコロイダルシリカは、水性分散液の状態で、酸性及び塩基性のいずれであってもよく、本実施形態の複合組成物を調製する際に、共に混合する(C)成分の水性分散体の安定領域に応じて、そのpHを適宜選択することができる。
市販品としては、日産化学工業社製のスノーテックス−20、スノーテックス−30、スノーテックス−C、スノーテックス−C30、スノーテックス−CM40、スノーテックス−N、スノーテックス−N30、スノーテックス−K、スノーテックス−XL、スノーテックス−YL、スノーテックス−ZL、スノーテックスPS−M、スノーテックスPS−L等、旭電化工業社製のアデライトAT−20、アデライトAT−30、アデライトAT−20N、アデライトAT−30N、アデライトAT−20A、アデライトAT−30A、アデライトAT−40、アデライトAT−50等、クラリアントジャパン社製のクレボゾール30R9、クレボゾール30R50、クレボゾール50R50、デュポン社製のルドックス(商標)HS−40、ルドックスHS−30、ルドックスLS、ルドックスSM−30等が挙げられる。
また、コロイダルシリカには、安定剤として無機塩基(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、アンモニア等)や有機塩基(テトラメチルアンモニウム等)が共存してもよい。
ここで、主成分とは、金属酸化物粒子中に50質量%以上、好ましくは70質量%以上含有されている成分のことをいう。
(E2)成分である光触媒の粒子とは、光照射により光触媒活性及び親水性の少なくとも一方を発現する化合物(以下、単に「光触媒」と略記することがある。)の粒子をいう。
(E)成分として、(E2)光触媒を用いることにより、得られる塗膜の表面は汚染有機物質の分解活性(有機物分解性)や耐汚染性に優れるものとなる。
これらの光触媒の中でもTiO2(酸化チタン)は無害であり、化学的安定性にも優れるため好ましい。
酸化チタンとしては、アナターゼ型、ルチル型、ブルッカイト型のいずれも使用できる。
(E3)成分:導電性金属酸化物とは、導電性を有する金属酸化物の粒子を言い、(E)成分として(E3)成分:導電性金属酸化物を用いることにより、本実施形態の複合組成物に、帯電防止性能等を発現させることができる。
(E3)成分:導電性を有する金属酸化物としては、例えば、錫をドープした酸化インジウム(ITO)、アンチモンをドープした酸化錫(ATO)、酸化錫、酸化亜鉛等が挙げられる。
また、上述した(C)成分との相互作用の観点から、例えば酸化アルミニウム、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化錫、酸化ジルコニウム、酸化鉛、酸化鉄、珪酸カルシウム、酸化マグネシウム、酸化ニオブ、酸化セリウム等を併用することもできる。
上述した(C)成分に対する(E)成分の質量比((E)/(C))は、本実施形態の塗膜布の親水性と成膜性の観点から、好ましくは50/100〜10000/100であり、より好ましくは110/100〜1000/100であり、さらに好ましくは150/100〜300/100である。かかる比率とすることで、得られる塗膜の親水性、反射防止性を向上できる。
(D)/(E)が1/100以上であると、得られる塗膜は、高温条件下や高湿条件下でも親水性を維持できる傾向があり、(D)/(E)が1000/100以下であると塗膜とした場合の耐衝撃性をより向上できる傾向がある。
(E)成分の表面積(SE)と(C)成分の表面積(SC)との比((SE)/(SC))は、好ましくは0.001〜1000の範囲である。
なお、各成分の表面積は、(E)成分及び(C)成分の各々の粒子径、各々の質量、及び各々の比重から、粒子の形状を真球と仮定して算出することができる。
(E)成分は、(E1)成分:数平均粒子径が1nm〜400nmのシリカ粒子と、(E2)成分:数平均粒子径が1nm〜2000nmの光触媒粒子と、を含むことが好ましい。
(E1)成分は、上述した(C)成分と相互作用しながら、上述した(C)成分の粒子間に連続相を形成して存在することができる。
この結果、本実施形態の複合組成物の塗膜の最表面には親水性の高いシリカ粒子が存在することになるため、光照射に無関係に塗膜形成直後から高い親水性が得られると共に、透明性、耐候性がより向上し得る。
この場合、(C)成分の含有量に対する(E1)成分と(E2)成分との総含有量の質量比((E1+E2)/(C))が、60/100〜480/100であり、(E1)成分と(E2)成分との総含有量に対する(E1)成分の含有量の質量比((E1)/(E1+E2))が、85/100〜99/100であることがより好ましい。
なお、前記塗膜中の、(E)成分が(C)成分を取り囲んだ構造体の分散形態は、いわゆる海島構造をとることが好ましい。
例えば、(E)成分が海相となり、(C)成分が島相となるようにすることができる。この場合、(E)成分が、(C)成分と相互作用しながら(C)成分の粒子間に連続相を形成して存在することが好ましい。この場合、得られる複合組成物の反射率、耐候性、防汚性がより向上し得る。
本実施形態の複合組成物は、(F)親水性溶媒を含んでもよい。
(F)親水性溶媒は、従来公知のものをいずれも使用することができる。例えば、エチレングリコール、ブチルセロソルブ、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、エタノール、メタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド等のアミド類;ジメチルスルホキシド及びニトロベンゼン、並びに、これらの2種以上の混合物が挙げられる。
特に水への溶解性が高く沸点が200℃以下の溶媒が好ましい。
溶解性の指標として水への溶解度だけでなく、溶解性パラメータを使用することもできる。溶解性パラメータは10以上であることが好ましい。このような親水性溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、エチレングリコールが好ましい。
(F)親水性溶媒の含有量は、複合組成物全体に対して、1〜90質量%であることが好ましく、3〜40質量%であることがより好ましく、5〜20質量%であることがさらに好ましい。
本実施形態では、上記各成分に加えて、その用途及び使用方法等に応じて、通常、塗料や成型用樹脂に添加配合される添加剤成分、例えば、光安定剤、紫外線吸収剤、増粘剤、レベリング剤、チクソ化剤、消泡剤、凍結安定剤、艶消し剤、架橋反応触媒、顔料、硬化触媒、架橋剤、充填剤、皮張り防止剤、分散剤、湿潤剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、レオロジーコントロール剤、成膜助剤、防錆剤、染料、可塑剤、潤滑剤、還元剤、防腐剤、防黴剤、消臭剤、黄変防止剤、静電防止剤又は帯電調整剤等をそれぞれの目的に応じて選択し、組み合わせて配合することができる。
中でも、分子内にラジカル重合性の二重結合を有するラジカル重合性光安定剤が好ましい。
前記紫外線吸収剤としては、例えば、有機系紫外線吸収剤を挙げることができる。このような有機系紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤等が挙げられる。中でも、分子内にラジカル重合性の二重結合を有するラジカル重合性紫外線吸収剤を用いることが好ましい。また、紫外線吸収能の高いベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤が好ましい。
本実施形態の複合組成物を調製する方法としては、(A)非イオン性界面活性剤及び/又は両性界面活性剤と(B)シリカ源とからシリカ複合体を形成する第一工程と、
(C)重合体粒子を添加する第二工程と、
を含む方法が挙げられる。
本実施形態の複合組成物中に、成分(E)、成分(D)及びその他の成分を添加する場合は、前記第二工程で、(C)重合体粒子と共に添加することが好ましい。
第一工程の後に、(A)非イオン性界面活性剤及び/又は両性界面活性剤を除去してもしなくても構わないが、プロセスの簡略化の観点からは、実質的に成分(A)を除去しないことが好ましい。
除去する場合には、高温での焼成、溶媒での洗浄によって、成分(A)を除去することもできる。
(A)非イオン性界面活性剤及び/又は両性界面活性剤と、(B)シリカ源とからシリカ複合体を得る方法としては、例えば、以下のような方法が挙げられる。
以下、(A)成分を界面活性剤と表記し、(B)成分として珪酸ナトリウム、アルコキシシランを用いた場合について説明する。
1)[界面活性剤+酸+水]混合液に珪酸ナトリウムを加え混合反応→(養生)する方法、
2)[界面活性剤+珪酸ナトリウム+水]混合液に酸を加え混合反応→(養生)する方法
3)[界面活性剤+酸+水]混合液にアルコキシシラン類を加え混合反応→(養生)する方法
4)[界面活性剤+塩基+水]混合液にアルコキシシラン類を加え混合反応→(養生)する方法
5)[界面活性剤+アルコキシシラン類+水]混合液に酸を加え混合反応→(養生)する方法
6)[界面活性剤+アルコキシシラン類+水]混合液に塩基を加え混合反応→(養生)する方法
前記2)の方法においては、水、界面活性剤と珪酸ナトリウム混合仕込み液中に酸を加える際、混合仕込み液中、SiO2 として濃度25%以下にした状態で攪拌した中に、酸を添加することが好ましい。均一なシリカ複合体を得る観点から、酸の添加速度は速いほうがよい。
また、混合仕込み液中のSiO2 濃度は、シリカ複合体の組成、均一性の観点から、25%以下が好ましい。より好ましくは15%以下、さらに好ましくは10%以下である。
上記1)、2)の方法による混合反応は、反応を充分に進行させる観点から、シリカ複合体を形成する段階での反応を酸性側で行う場合にはpH4以下、アルカリ側ではpH7〜10が好ましい。
上記3)、4)、5)、6)の方法の場合、あらかじめアルコール類を混合することにより、加水分解速度を制御しやすく、シリカ複合体の形成が容易となる。
上述した本実施形態の複合組成物を所定の基材上に塗布すること(工程(1))により、塗膜を製造することができる。
塗布方法としては、ディップコート、フローコート、ロールコート、スピンコート、スプレーコート、刷け塗り等の公知の方法が使用できる。その後に公知の方法で乾燥し塗膜を基材上に形成することができる。
養生することによって、シラノール基の縮合が促進され、塗膜の強度が向上する。
(A)成分を除去することにより塗膜の空隙が増加し、反射防止性能が向上する。
前記水又は溶剤を用いて洗浄する具体的な方法としては、水が入った容器に塗膜を浸漬し、好ましくは温度を40〜80℃に昇温して10分間放置する。この作業を繰り返すことによって、洗浄がなされる。
本実施形態の塗膜は、上述した複合組成物を用いて形成されたものである。
当該塗膜は、上述した(B)成分と(A)成分とから形成されたシリカ複合体と、(E)成分及び/又は(C)成分とが、各々の粒子間に空隙が形成された構成を有している。
また、複合組成物が(D)成分を含む場合は、シリカ複合体と(E)成分及び/又は(C)成分の粒子表面には、シラノール基が存在するため、これら粒子間は、(D)成分によって架橋されている。
当然、(D)成分同士の架橋状態も存在している。
(D)成分の架橋作用によって、塗膜の強度が向上するようになされている。
23℃における表面水接触角が前記範囲内であると、塗膜の親水性が優れたものとなる。
さらに、90℃、湿度90%の条件下で24時間静置する高温高湿試験後の、塗膜表面の水接触角が30度以下であることが好ましく、20度以下であることがより好ましく、10度以下であることがさらに好ましい。
なお、水接触角は、後述する実施例に記載の方法によって測定される。
また、温度や湿度の制御方法は公知の高温高湿試験機、例えばESPEC社製、SH−661を使用することができる。また、密封容器の中に蒸留水を入れ、密封容器を所定の温度で加熱して飽和蒸気を形成して評価に用いることもできる。
当該反射防止性は、後述する実施例に記載の方法によって測定される。
本実施形態の塗膜の表面の鉛筆硬度は、F以上であることが好ましい。当該鉛筆硬度は、後述する実施例に記載の方法によって測定される。
本実施形態の塗膜の最大塗工膜厚は、300nm以上であることが好ましく、800nm以上であることがより好ましく、1200nm以上であることがさらに好ましい。最大塗工膜厚が前記範囲内であると、塗膜の耐クラック性が良好となる。当該最大塗工膜厚は、後述する実施例に記載の方法によって測定される。
本実施形態の塗膜は、各種部材に適用することができる。
例えば、エネルギー変換装置用部材のコーティング層として好適に用いることができる。
エネルギー変換装置としては、例えば、太陽光を利用した発電装置等が挙げられる。
エネルギー変換装置用部材としては、例えば、太陽光を利用した発電に使用できる部材をいい、より具体的には、太陽電池モジュールに用いられる部材、太陽熱発電システムに用いられる部材等が挙げられる。中でも、太陽電池モジュールの保護部材や、光反射鏡の保護部材に好適に用いることができる。より具体的には、太陽電池モジュールの表面の保護部材であるカバーガラスや裏面の保護部材であるバックシート、封止材、アルミ枠等の型枠、集光型太陽電池のフレネルレンズ、太陽熱発電に用いられる光反射鏡等の保護部材として用いることができる。
例えば、砂漠等において大規模な太陽電池モジュールを設置して使用する場合、風で舞い上がった砂等が太陽電池モジュールの保護部材に付着するので、部材の表面が傷つけられたり、透明性や防汚性の効果が低下したりするといった問題が生じる。
しかしながら、本実施形態の塗膜は、防汚性、透明性、親水性、耐久性(耐衝撃性)に優れ、高温高湿下であっても表面親水性を維持できるため、付着した砂やほこり等を雨水等によって簡便に洗い流すこともできる。
本実施形態の塗膜は、太陽電池モジュールの保護部材用のコーティング層(以下、単に保護部材という場合がある。)とすることができる。
図1は、太陽電池モジュールの一例の概略断面図である。
太陽電池モジュール2は、保護部材20と、前記保護部材20と対向して配置されるバックシート22と、前記保護部材20と前記バックシート22との間に配置される発電素子24と、を備える。
さらに、発電素子24は、封止材26によって封止されている。
太陽電池モジュール2において太陽光Lは、保護部材20側から入射して発電素子24に到達する。
保護部材20は、基材202と塗膜204により構成されており、基材202の表面に本実施形態の塗膜204が塗布形成されている。
この場合、保護部材20は、太陽光を透過する光透過性基板として機能する。
そして、保護部材20は前記塗膜204が形成された面を太陽電池モジュール2の表面側となるように用いることが好ましい。
また、太陽光を有効に活用するために、光学ロスの小さい、透明性の高い部材であることが好ましい。
基材202の材料としては、特に限定されるものではなく、例えば、ガラス基板;ポリエステル樹脂、フッ素樹脂、アクリル樹脂、環状オレフィン(共)重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等からなる樹脂フィルム等が好ましく、これらの中でも、耐候性、耐衝撃性、コストのバランスの観点からガラス基板がより好ましい。
また、耐侯性が特に良好なフッ素樹脂も好適に用いられる。
具体的には、四フッ化エチレン−エチレン共重合体(ETFE)、ポリフッ化ビニル樹脂(PVF)、ポリフッ化ビニリデン樹脂(PVDF)、ポリ四フッ化エチレン樹脂(TFE)、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体(FEP)、ポリ三フッ化塩化エチレン樹脂(CTFE)が挙げられる。耐候性の観点からはポリフッ化ビニリデン樹脂が好ましいが、耐候性及び機械的強度の両立をする観点からは四フッ化エチレン−エチレン共重合体が好ましい。
したがって、保護部材20と同様の材質でバックシートを構成してもよい。すなわち、保護部材20(特に、基材202)において用いることができる上述の各種材料を、バックシートにおいても用いることができる。特に、ポリエステル樹脂、及びガラス基板を好ましく用いることができ、中でも、耐候性、コストの観点から、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)がより好ましい。
補強板としては、例えば、鋼板、プラスチック板、FRP(ガラス繊維強化プラスチック)板等を好ましく使用することができる。
このような樹脂封止シートを熱溶融させることにより、封止対象である発電素子24等に密着し、封止することができる。
かかる封止材26を用いることで、発電素子24のクリープを防止できるとともに、保護部材20やバックシート22に対して優れた接着性を発揮することができる。
例えば、保護部材20/封止材26/発電素子24/封止材26/バックシート22の順に重ね、真空ラミネート装置を用いて150℃、15分間の条件で真空ラミネートすることにより製造できる。
図2は、リフレクター装置の一例の概略斜視図である。
図2のリフレクター装置3は、光反射鏡32と、前記光反射鏡の反射面側に形成された本実施形態の塗膜30と、前記反射鏡32を支持する支持体34とにより構成されている。
本実施形態の塗膜30は、光反射鏡32の保護部材(以下、単に保護部材と言う場合もある。)としての役割を有している。
リフレクター装置3の構成は、特に限定されず、適宜好適な構成に変形することができる。
図2に示すリフレクター装置3と、このリフレクター装置3により集光される太陽光を電気エネルギーに変換する装置と、を組み合わせることにより、太陽熱発電システムとすることができる。
太陽熱発電システムの構成は、特に限定されず、適宜好適な構成に変形することができる。
なお、各種物性は下記の方法で測定及び評価を行った。
また、本実施例及び比較例において、特に断りがない限り、「%」及び「部」は質量基準である。
試料中の固形分含有量が、0.1〜20質量%となるように溶媒を加えて希釈し、湿式粒度分析計(日機装製マイクロトラックUPA−9230)を用いて測定した。
試料の表面(複合組成物により形成した塗膜の表面)に、脱イオン水の水滴を乗せ、23℃で1分間放置した後、接触角測定装置(協和界面科学製 DM−501型接触角計)を用いて測定した。
濁度計(日本電色工業製NDH2000)を用い、JIS K7105に準じて、試料の全光線透過率を測定した。
反射防止性は、基材(青板ガラス)の全光線透過率(T0)と、基材上に塗膜を形成した後の全光線透過率(T1)を測定し、以下の式から求めた。
反射防止性(%)=T1(%)−T0(%)
塗膜表面の鉛筆硬度を、鉛筆硬度計(テスター産業社製)を用いて測定した。
スピンコーターで成膜した後、マイクロスコープ(100倍)で観察した際に、微小クラックの無い良好な膜厚を測定した。
最大塗工膜厚が厚いほど耐クラック性が良好との指標となる。
(重合体エマルジョン粒子(LTX−1)水分散体の合成)
還流冷却器、滴下槽、温度計及び撹拌装置を有する反応器に、イオン交換水1600g、ドデシルベンゼンスルホン酸4gを投入した後、撹拌下で温度を80℃に加温した。
これに、ジメチルジメトキシシラン185g、フェニルトリメトキシシラン117gの混合液を反応容器中の温度を80℃に保った状態で約2時間かけて滴下し、その後、反応容器中の温度が80℃の状態で約1時間撹拌した。
次に、アクリル酸ブチル150g、テトラエトキシシラン30g、フェニルトリメトキシシラン145g、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン1.3gの混合液とジエチルアクリルアミド165g、アクリル酸3g、反応性乳化剤(商品名「アデカリアソープSR−1025」、旭電化社製、固形分25質量%水溶液)13g、過硫酸アンモニウムの2質量%水溶液40g、イオン交換水1900gの混合液とを、反応容器中の温度を80℃に保った状態で約2時間かけて同時に滴下した。
さらに熱養生として、反応容器中の温度を80℃の状態とし約4時間撹拌を行った。
その後、室温まで冷却し、100メッシュの金網で濾過し、固形分14.08質量%、水相成分8.91質量%、数平均粒子径131nmの重合体エマルジョン粒子(LTX−1)水分散体を得た。
重合体エマルジョン粒子(LTX−1)水分散体を、限外ろ過装置を用いてろ過し、水相成分を含有するろ液を得た。
冷却管、撹拌モーター、温度計を取り付けた1Lセパラブルフラスコに、界面活性剤として非イオン系界面活性剤アデカプルロニックP103(株式会社ADEKA製 以下P103と略記することがある。)25.0gと精製水500gを仕込み、室温で撹拌溶解した。
その後、珪酸ナトリウム溶液(水ガラス)3号(キシダ化学株式会社製 SiO2 濃度28〜30% 以下同じ。)50.2gを添加し、撹拌を行いなが35℃に昇温した後、酸源として濃塩酸135mLを添加し、反応温度35℃で4時間撹拌した。
その後、撹拌を停止し、80℃で24時間保持した。
次に、数平均粒子径8nmの粒子を有する水分散コロイダルシリカ(商品名「スノーテックスOS」、日産化学工業社製、固形分20質量%、以下「ST−OS」とも記す。)と、前記〔製造例1〕で作製した重合体エマルジョン粒子(LTX−1)の水分散体とを加えた。
さらに、テトラメトキシシランの部分加水分解縮合物(三菱化学社製「MS−56」)を25℃で加え、1%塩酸水溶液でpH4に調整した。
1時間30分撹拌して複合組成物を得た。
得られた複合組成物を5cm角の青板ガラス基板(小島特殊ガラス株式会社販売 厚み2mm、以下同様とする。)上にディップコートし、70℃30分間乾燥して塗膜を得た。
得られた塗膜の水接触角、反射防止性、鉛筆硬度、最大塗工膜厚を測定した。
冷却管、撹拌モーター、温度計を取り付けた1Lセパラブルフラスコに、界面活性剤として非イオン系界面活性剤アデカプルロニックP103(株式会社ADEKA製 以下P103と略記することがある。)25.0gと精製水250g、エタノール250gを仕込み、室温で撹拌溶解した。
その後、テトラエトキシシラン(和光純薬製)50.2gを添加し、撹拌を行いながら、35℃に昇温した後、5%塩酸でpH4になるように調整した。反応温度35℃で4時間撹拌した。
次に、数平均粒子径8nmの粒子を有する水分散コロイダルシリカ(商品名「スノーテックスOS」、日産化学工業社製、固形分20質量%、以下「ST−OS」とも記す。)と重合体エマルジョン粒子(LTX−1)の水分散体とを加えた。
さらに テトラメトキシシランの部分加水分解縮合物(三菱化学社製「MS−56」)を25℃で加え、1%塩酸水溶液でpH4に調整した。
1時間30分撹拌して複合組成物を得た。
得られた複合組成物を5cm角の青板ガラス基板上にディップコートし、70℃30分間乾燥して塗膜を得た。
得られた塗膜の水接触角、反射防止性、鉛筆硬度、最大塗工膜厚を測定した。
下記表1に示す配合量で、エタノール、水を混合した後に、テトラメトキシシランの部分加水分解縮合物(三菱化学社製「MS−56」)を25℃で加え、1%塩酸水溶液でpH4に調整した。
1時間撹拌した後、5cm角の青板ガラス基板上にディップコートし、70℃30分間乾燥して塗膜を得た。
得られた塗膜の水接触角、反射防止性、鉛筆硬度、最大塗工膜厚を測定した。
数平均粒子径8nmの粒子を有する水分散コロイダルシリカ(商品名「スノーテックスOS」、日産化学工業社製、固形分20質量%、以下「ST−OS」とも記す。)と、前記〔製造例1〕で作製した重合体エマルジョン粒子(LTX−1)の水分散体と、テトラメトキシシランの部分加水分解縮合物(三菱化学社製「MS−56」)を25℃で表1に示す配合量で加え、1%塩酸水溶液でpH4に調整した。1時間30分攪拌して複合組成物を得た。
5cm角の青板ガラス基板上にディップコートし、70℃で30分間乾燥して塗膜を得た。
得られた塗膜の水接触角、反射防止性、鉛筆硬度、最大塗工膜厚を測定した。
(C)成分を添加しなかった以外は、実施例1と同様にして、表1に示す配合量の複合組成物を得た。5cm角の青板ガラス基板上にディップコートし、70℃で30分間乾燥して塗膜を得た。
得られた塗膜の水接触角、反射防止性、鉛筆硬度、最大塗工膜厚を測定した。
20 保護部材
22 バックシート
24 発電素子
26 封止材
202 基材
204 塗膜
3 リフレクター装置
30 塗膜
32 光反射鏡
34 支持体
Claims (14)
- (A)非イオン性界面活性剤及び/又は両性界面活性剤と、
(B)シリカ源と、
(C)重合体粒子と、
を、含有する複合組成物。 - (D)加水分解性珪素含有化合物を、さらに含有する請求項1に記載の複合組成物。
- (E)数平均粒子径1nm〜400nmの金属酸化物粒子を、さらに含有する請求項1又は2に記載の複合組成物。
- 前記(C)重合体粒子が、
(c1)成分:加水分解性珪素化合物と、
(c2)成分:ビニル単量体と、
(c3)成分:乳化剤と、
(c4)成分:水と、
を含む重合原液中で、前記(c1)成分と前記(c2)成分とを重合して得られる重合体エマルジョン粒子であり、数平均粒子径が10nm〜800nmである、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の複合組成物。 - 前記(C)重合体粒子の水相成分の含有率が、15質量%以下である、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の複合組成物。
- 基材の少なくとも一主面に、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の複合組成物を塗布する工程(1)を有する塗膜の製造方法。
- 前記工程(1)の後、20℃〜200℃の温度で養生する工程(2)を有する請求項6に記載の塗膜の製造方法。
- 前記工程(1)又は工程(2)の後、紫外線を照射する工程(3)を有する請求項7に記載の塗膜の製造方法。
- 前記工程(3)の後、前記(A)非イオン性界面活性剤及び/又は両性界面活性剤を除去する工程(4)を有する請求項8に記載の塗膜の製造方法。
- 前記工程(4)において、水又は溶剤を用いた洗浄によって、前記(A)非イオン性界面活性剤及び/又は両性界面活性剤を除去する請求項9に記載の塗膜の製造方法。
- 請求項6乃至10のいずれか一項に記載の塗膜の製造方法により得られる塗膜。
- 請求項11に記載の塗膜を具備する部材。
- 請求項11に記載の塗膜を具備する太陽電池モジュール。
- 請求項11に記載の塗膜を具備するリフレクター装置。
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