JP2012170858A - 機能性塗膜 - Google Patents

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淳一 廣瀬
Kentaro Shiraishi
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Abstract

【課題】親水性、反射防止性、鉛筆硬度に優れ、厚膜時の耐クラック性が良好な機能性塗膜を提供する。
【解決手段】機能性塗膜の製造方法は、(A)重合体粒子及び(B)加水分解性珪素含有化合物を含み、pHが7以下であるコーティング組成物を基材上に塗布した後、塩基性雰囲気下で縮合及び養生する工程を含む。
【選択図】なし

Description

本発明は、機能性塗膜に関する。
近年、世界的な温暖化現象により環境に対する意識が高まり、炭酸ガス等の温暖化ガスを発生しない新しいエネルギーシステムが関心を集めている。太陽電池発電や風力発電等の環境に優しい再生可能なエネルギーは、炭酸ガス等の温暖化を誘発するといわれているガスを排出しないため、クリーンなエネルギーとして研究開発が盛んに行われている。中でも、太陽電池や太陽熱発電は、安全性や扱いやすさに優れることから、注目を浴びている。
代表的な太陽熱発電方法としては集中方式(中央タワー式)、分散方式(パラボリックトラフ)、ディッシュ/スターリング方式がある。これらは太陽光を反射鏡によって一部分に集光し、その集光熱によって熱電変換により電気エネルギーを得る方式である。そのため、これらの方式では、ロスなく光を集光することがカギであるが、効率を大きく左右する要因として、反射鏡の汚れによる反射率の低下が特に問題になっている。また同様に、ガラスや耐候性樹脂フィルム等からなる保護カバーによって受光面が保護されている太陽電池も当該保護カバーが長期間の使用中に煤塵で汚れるため、光透過率が低下し、太陽電池のエネルギー変換効率が低下するという類似の問題がある。
表面の汚れを防止する技術として、例えば特許文献1には、アナターゼ型酸化チタン含有層上に、アンモニア水に溶解させたタングステン酸と蒸留水とを加えたコーティング液を塗布し、700℃で焼付け処理を施して酸化タングステンからなる層を形成して、表面層を形成する技術が開示されている。また、無機成分だけでなく、有機成分も配合することで、防汚性等を向上させようとする試みも行われている。
一方、基材表面に反射防止性能を付与する技術として、例えば特許文献2には、アルコキシシランを加水分解、縮合させるゾルゲル法による調整後のゾル液とシリカ微粒子とを併用することによってシリカ系薄膜を形成する技術が開示されている。
また、反射防止性、曇り防止性を付与する技術として、例えば特許文献3には加水分解性ケイ酸塩オリゴマーである前駆体製剤を基板上にコーティングし、塩基、水、及びオリゴマーの加水分解を抑制する抑制剤を含む気体雰囲気において硬化することによりシリカ様フィルムを形成する方法が開示されている。
特開平10−114545号公報 特開平10−133002号公報 特表2008−542009号公報
しかしながら、特許文献1、特許文献2及び特許文献3に記載の技術では、無機成分のみを配合しているため、太陽電池モジュール、大型反射鏡等の表面に形成させる塗膜とした場合、クラックが生じ易く剥がれ易いという問題がある。したがって、特許文献1をはじめとする従来のコーティング組成物から形成される塗膜は未だ改善の余地がある。
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、親水性、反射防止性、鉛筆硬度に優れ、厚膜時の耐クラック性が優れる機能性塗膜を提供することを目的の一つとする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、(A)重合体粒子及び(B)加水分解性珪素含有化合物とを含み、pHが7以下であるコーティング組成物を基材上に塗布した後、塩基性雰囲気下で縮合及び養生することにより上記課題を解決し得る機能性塗膜が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
〔1〕
(A)重合体粒子及び(B)加水分解性珪素含有化合物を含み、pHが7以下であるコーティング組成物を基材上に塗布した後、塩基性雰囲気下で縮合及び養生する工程を含む、機能性塗膜の製造方法。
〔2〕
前記(A)成分が、
(a1)成分:加水分解性珪素化合物と、
(a2)成分:ビニル単量体と、
(a3)成分:乳化剤と、
(a4)成分:水と、
を含む重合原液中で、前記(a1)成分と前記(a2)成分とを重合して得られる重合体エマルジョン粒子であり、
前記(A)成分の数平均粒子径が10nm〜800nmである、〔1〕に記載の機能性塗膜の製造方法。
〔3〕
前記コーティング組成物が、さらに(C)数平均粒子径1nm〜400nmの金属酸化物粒子を含む、〔1〕または〔2〕に記載の機能性塗膜の製造方法。
〔4〕
前記(A)成分の水相成分の含有率が、15質量%以下である、〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の機能性塗膜の製造方法。
〔5〕
(B)加水分解性珪素含有化合物、(D)水及び(E)酸触媒を含み、pHが7以下である溶液に、
(i)(A)重合体粒子、又は
(ii)(C)数平均粒子径1nm〜400nmの金属酸化物粒子及び(A)重合体粒子
を加えてコーティング組成物を調製する工程を含む、〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の機能性塗膜の製造方法。
〔6〕
〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の製造方法によって得られる機能性塗膜。
〔7〕
太陽電池モジュールの保護部材用である、〔6〕に記載の機能性塗膜。
〔8〕
光反射鏡の保護部材用である、〔6〕に記載の機能性塗膜。
〔9〕
〔6〕に記載の機能性塗膜を含む部材。
〔10〕
〔6〕に記載の機能性塗膜を含む太陽電池モジュール。
〔11〕
〔6〕に記載の機能性塗膜を含むリフレクター装置。
本発明によれば、親水性、反射防止性、鉛筆硬度に優れ、厚膜時の耐クラック性が優れる機能性塗膜を提供することができる。
本実施の形態の太陽電池モジュールの一例の概略断面図である。 本実施の形態のリフレクター装置の一例の概略斜視図である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施の形態」という。)について詳細に説明する。以下の本実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨の範囲内で適宜に変形して実施できる。
本明細書における「(メタ)アクリル」とは「アクリル」及びそれに対応する「メタクリル」を意味し、「(メタ)アクリレート」とは「アクリレート」及びそれに対応するメタクリレート」を意味し、「(メタ)アクリロイル」とは「アクリロイル」及びそれに対応するメタクリロイル」を意味する。
本実施の形態の機能性塗膜の製造方法は、(A)重合体粒子及び(B)加水分解性珪素含有化合物を含み、pHが7以下であるコーティング組成物を基材上に塗布した後、塩基性雰囲気下で縮合及び養生する工程を含む。当該製造方法によれば、親水性、反射防止性、鉛筆硬度に優れ、厚膜時の耐クラック性が優れる機能性塗膜を得ることができる。
本発明者らは、加水分解性珪素含有化合物を重合体粒子存在下にてpH7以下であらかじめ速やかに部分的な加水分解を進めた後に、これらの成分を含むコーティング組成物を基材上へ塗布し、塩基性雰囲気下で、縮合及び養生することによって、親水性、反射防止性、強度に優れた機能性塗膜となると推定している。なお、本実施の形態にいう「塗膜」は、必ずしも連続膜である必要はなく、不連続膜、島状分散膜等の態様であっても構わない。
ここでいう親水性は23℃における表面水接触角で表わすことができる。表面接触角とは、乾燥された塗膜と、その表面に存在する水滴の接線とのなす角度をいい、液滴法によって測定できる。なお、本実施の形態において「親水性」とは、測定対象物の表面に対する水(23℃)の接触角が、好ましくは60度以下、より好ましくは30度以下、更に好ましくは20度以下になることを意味する。
以下、コーティング組成物及び塗膜に配合できる成分について説明する。
〔コーティング組成物〕
本実施の形態の機能性塗膜の製造方法に用いるコーティング組成物は、(A)重合体粒子及び(B)加水分解性珪素含有化合物を含み、pHが7以下である。
本実施の形態で用いる(A)重合体粒子及び(B)加水分解性珪素含有化合物を含むコーティング組成物のpHは、7以下であり、好ましくは4以下であり、より好ましくは3以下である。コーティング組成物のpHを7以下とした場合、(B)成分の部分的な加水分解が速やかに安定的に進行しやすい。その結果、コーティング組成物を基材に塗布した後の縮合及び養生段階で、部分的に加水分解した(B)成分同士の縮合が効果的に進むと共に、後述の(C)成分、(A)成分及び基材の化学結合がバランスよく進行するため、得られた機能性塗膜の親水性を維持しながら反射防止効果と塗膜強度を発現することが可能となる。
コーティング組成物のpHは、例えば、(B)成分を加えた後、pH計で逐次pHを確認しながらゆっくりと酸触媒を添加していくことで調整することができる。(B)成分のコーティング組成物中の濃度によって使用する酸触媒の量や、酸触媒の濃度を適宜調整することができる。(B)成分が安定に部分的加水分解するためには、酸触媒の濃度を1質量%以下、好ましくは0.1質量%以下とすることが好ましい。1質量%以下にすることで、配合時の局所的な加水分解を抑制し、コーティング組成物の凝集を抑制することが可能である。
〈(A)重合体粒子〉
コーティング組成物に含まれる(A)重合体粒子とは、不飽和結合を有する単量体成分を、ラジカル、カチオン及びアニオン等の介在によって重合することにより得られる高分子の粒子をいう。本実施の形態に用いるコーティング組成物が、後述の(C)金属酸化物粒子を含む場合は、(A)重合体粒子は(C)成分に囲まれて存在していることが好ましい。(A)重合体粒子は、媒体中に分散したエマルジョン粒子、ディスパージョン粒子や不均一に分散したスラリー粒子などであっても構わない。
(A)成分は、エマルジョン粒子であることが好ましい。エマルジョン粒子であることにより、後述する塗膜とした場合に(C)成分と(A)成分とにより海島構造を形成することができる。海島構造を形成することで塗膜最表面に金属酸化物が局在化し、金属酸化物の水酸基等の親水基によって良好な親水性を発現できる。エマルジョン粒子としては、特に限定されず、例えばアクリルエマルジョン粒子、スチレンエマルジョン粒子、アクリルスチレンエマルジョン粒子、アクリルシリコンエマルジョン粒子、シリコンエマルジョン粒子、フッ素樹脂エマルジョン粒子等が挙げられる。
(A)成分は、(a1)成分:加水分解性珪素化合物と、(a2)成分:ビニル単量体と、(a3)成分:乳化剤と、(a4)成分:水と、を含む重合原液中で、(a1)成分及び(a2)成分を重合して得られる重合体エマルジョン粒子であることがより好ましい。(A)成分が(a1)成分と(a2)成分とを複合化された状態で含有することにより、部分的に加水分解した(B)加水分解性珪素化合物が比較的安定に表面吸着するか、あるいは粒子間への架橋が生じるために好ましい。このようにして得られる(A)成分としては、(a1)成分に由来する水酸基と(a2)成分の重合生成物とが、水素結合等により複合化されたものを好適に用いることができる。
(a1)成分としては、例えば下記式(1)で表される化合物やその縮合生成物、シランカップリング剤等が挙げられる。
ここで、式(1)中、Wは炭素数1〜20のアルコキシ基、水酸基、炭素数1〜20のアセトキシ基、ハロゲン原子、水素原子、炭素数1〜20のオキシム基、エノキシ基、アミノキシ基及びアミド基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基を表す。Rは、直鎖状又は分岐状の炭素数1〜30個のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、及び、置換されていないか又は炭素数1〜20のアルキル基若しくは炭素数1〜20のアルコキシ基若しくはハロゲン原子で置換されている炭素数6〜20のアリール基からなる群より選ばれる少なくとも1種の炭化水素基を表す。xは1以上4以下の整数であり、yは0以上3以下の整数である。また、x+y=4である。
シランカップリング剤とは、ビニル重合性基、エポキシ基、アミノ基、メタクリル基、メルカプト基、イソシアネート基等の有機物と反応性を有する官能基が分子内に存在するシラン誘導体を意味する。
上記式(1)で表される化合物の具体例としては、例えばテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン等のテトラアルコキシシラン類;メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリエトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−ペンチルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘプチルトリメトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3,3,3−トリフロロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフロロプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−ヒドロキシエチルトリメトキシシラン、2−ヒドロキシエチルトリエトキシシラン、2−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、2−ヒドロキシプロピルトリエトキシシラン、3−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、3−ヒドロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアナートプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアナートプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリ−n−プロポキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリイソプロポキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等のトリアルコキシシラン類;ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジ−n−プロピルジメトキシシラン、ジ−n−プロピルジエトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、ジイソプロピルジエトキシシラン、ジ−n−ブチルジメトキシシラン、ジ−n−ブチルジエトキシシラン、ジ−n−ペンチルジメトキシシラン、ジ−n−ペンチルジエトキシシラン、ジ−n−ヘキシルジメトキシシラン、ジ−n−ヘキシルジエトキシシラン、ジ−n−ヘプチルジメトキシシラン、ジ−n−ヘプチルジエトキシシラン、ジ−n−オクチルジメトキシシラン、ジ−n−オクチルジエトキシシラン、ジ−n−シクロヘキシルジメトキシシラン、ジ−n−シクロヘキシルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン等のジアルコキシシラン類;トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン等のモノアルコキシシラン類等が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
(a1)成分として、フェニル基を有する珪素アルコキシド(例えばフェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン等)を用いることができる。フェニル基を有する珪素アルコキシドを用いた場合、水及び乳化剤の存在下における重合安定性が良好となり好適である。
(a1)成分は、チオール基を有するシランカップリング剤や、(a1−1)成分:ビニル重合性基を有する加水分解性珪素化合物を含んでもよい。これらを(a1)成分として用いた場合、得られる塗膜の長期防汚染性が良好となり好適である。
チオール基を有するシランカップリング剤としては、例えば3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシランが挙げられる。
(a1−1)成分としては、例えば3−(メタ)アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリn−プロポキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、2−トリメトキシシリルエチルビニルエーテル等のビニル重合性基を有するシランカップリング剤等が挙げられる。
これらシランカップリング剤は、後述する(a2)成分との共重合又は連鎖移動反応により化学結合を生成し得る。このため、ビニル重合性基やチオール基を有するシランカップリング剤を上述した他の(a1)成分と混合若しくは複合化させて用いた場合、(a1)成分の重合生成物と後述する(a2)成分の重合生成物とを化学結合により複合化し得る。
(a1−1)成分における「ビニル重合性基」としては、例えばビニル基、アリル基等が挙げられ、これらの中でも3−(メタ)アクリルオキシプロピル基が好ましい。
(a1)成分は、(a1−2)成分:環状シロキサンオリゴマーを含んでいてもよい。(a1−2)成分を用いた場合、得られる塗膜の柔軟性がより良好となり好適である。
環状シロキサンオリゴマーとしては、下記式(2)で表される化合物を例示することができる。
ここで、式(2)中、R’は、水素原子、直鎖状又は分岐状の炭素数1〜30個のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、及び置換されていないか又は炭素数1〜20のアルキル基若しくは炭素数1〜20のアルコキシ基若しくはハロゲン原子で置換されている炭素数6〜20のアリール基からなる群より選ばれる少なくとも1種を示す。mは整数であり、2≦m≦20である。
中でも、反応性等の点からオクタメチルシクロテトラシロキサン等の環状ジメチルシロキサンオリゴマーが好ましい。
上述した(a1)成分は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
(a1)成分として縮合生成物が用いられる場合、当該縮合生成物のポリスチレン換算の重量平均分子量(GPC法による)は、好ましくは200〜5000、より好ましくは300〜1000である。
(A)成分の含有量に対する(a1)成分の含有量の質量比((a1)/(A))は、重合安定性の観点から、好ましくは0.01/100〜80/100、より好ましくは0.1/100〜70/100である。
(A)成分の含有量に対する(a1−1)成分の含有量の質量比((a1−1)/(A))は、重合安定性の観点から、好ましくは0.01/100〜20/100、より好ましくは0.5/100〜10/100である。(a2)成分の含有量に対する(a1−1)成分の含有量の質量比((a1−1)/(a2))は、重合安定性の観点から、好ましくは0.1/100〜100/100、より好ましくは0.5/100〜50/100である。
(A)成分の含有量に対する(a1−2)成分の含有量の質量比((a1−2)/(A))(質量比)は、親水性の観点から、好ましくは0.01/100〜20/100、より好ましくは0.5/100〜5/100である。(a2)成分の含有量に対する(a1−2)成分の含有量の質量比((a1−2)/(a2))は、重合安定性の観点から、好ましくは0.5/100〜50/100、より好ましくは1.0/100〜20/100である。
(a2)成分は、ビニル単量体である。(a2)成分としては、水酸基、カルボキシル基、アミド基、アミノ基、及びエーテル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を有するビニル単量体であることが好ましい。かかる官能基を有するビニル単量体であることにより、(A)成分以外の他の成分(例えば(C)成分の金属酸化物等)が有する官能基と化学結合(例えば縮合等)することが容易となり、相互作用を高めることができる。
(a2)成分として挙げられる水酸基含有ビニル単量体の具体例としては、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート若しくは4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートのような各種のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類;2−ヒドロキシエチルビニルエーテル若しくは4−ヒドロキシブチルビニルエーテルのような各種の水酸基含有ビニルエーテル類;2−ヒドロキシエチルアリルエーテルのような各種の水酸基含有アリルエーテル類;ポリエチレングリコールに代表される種々のポリエーテルポリオールと、(メタ)アクリル酸に代表される種々の不飽和カルボン酸とから得られるポリオキシアルキレングリコールのモノエステル類;上述の各種の水酸基含有単量体類とε−カプロラクトンに代表される種々のラクトン類との付加物;グリシジル(メタ)アクリレートに代表される種々のエポキシ基含有不飽和単量体と酢酸に代表される種々の酸類との付加物;(メタ)アクリル酸に代表される種々の不飽和カルボン酸類と「カーデュラ E」(オランダ国シェル社製の商品名)に代表されるα−オレフィンのエポキサイド以外の種々のモノエポキシ化合物との付加物等が挙げられる。
(a2)成分として挙げられるカルボキシル基含有ビニル単量体の具体例としては、例えば(メタ)アクリル酸、2−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸若しくはフマル酸のような各種の不飽和カルボン酸類;イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノ−n−ブチル、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノ−n−ブチル、フマル酸モノメチル、フマル酸モノ−n−ブチルのような不飽和ジカルボン酸類と飽和1価アルコール類とのモノエステル類(ハーフエステル類);アジピン酸モノビニル若しくはコハク酸モノビニルのような各種の飽和ジカルボン酸のモノビニルエステル類;無水コハク酸、無水グルタル酸、無水フタル酸若しくは無水トリメリット酸のような各種の飽和ポリカルボン酸の無水物類と上述の各種の水酸基含有ビニル系単量体類との付加反応生成物;上述の各種のカルボキシル基含有単量体類とラクトン類とを付加反応して得られる単量体類等が挙げられる。
(a2)成分として挙げられるアミノ基含有ビニル単量体の具体例としては、例えば2−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−ジ−n−プロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、3−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、4−ジメチルアミノブチル(メタ)アクリレート若しくはN−[2−(メタ)アクリロイルオキシ]エチルモルホリンのような各種の3級アミノ基含有(メタ)アクリル酸エステル類;ビニルピリジン、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルキノリンのような各種の3級アミノ基含有芳香族ビニル系単量体類;N−(2−ジメチルアミノ)エチル(メタ)アクリルアミド、N−(2−ジエチルアミノ)エチル(メタ)アクリルアミド、N−(2−ジ−n−プロピルアミノ)エチル(メタ)アクリルアミド、N−(3−ジメチルアミノ)プロピル(メタ)アクリルアミド、N−(4−ジメチルアミノ)ブチル(メタ)アクリルアミド若しくはN−[2−(メタ)アクリルアミド]エチルモルホリンのような各種の3級アミノ基含有(メタ)アクリルアミド類;N−(2−ジメチルアミノ)エチルクロトン酸アミド、N−(2−ジエチルアミノ)エチルクロトン酸アミド、N−(2−ジ−n−プロピルアミノ)エチルクロトン酸アミド、N−(3−ジメチルアミノ)プロピルクロトン酸アミド若しくはN−(4−ジメチルアミノ)ブチルクロトン酸アミドのような各種の3級アミノ基含有クロトン酸アミド類;2−ジメチルアミノエチルビニルエーテル、2−ジエチルアミノエチルビニルエーテル、3−ジメチルアミノプロピルビニルエーテル若しくは4−ジメチルアミノブチルビニルエーテルのような各種の3級アミノ基含有ビニルエーテル類等が挙げられる。
(a2)成分として挙げられるエーテル基含有ビニル単量体の具体例としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン高級脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロック共重合体のような各種のポリエーテル鎖を側鎖に有するビニルエーテル類、アリルエーテル類又は(メタ)アクリル酸エステル類のビニル単量体類が挙げられる。エーテル基含有ビニル単量体は市販品を用いることもでき、例えばブレンマーPE−90、PE−200、PE−350、PME−100、PME−200、PME−400、AE−350(以上、日本油脂社製、商品名)、MA−30、MA−50、MA−100、MA−150、RA−1120、RA−2614、RMA−564、RMA−568、RMA−1114、MPG130−MA(以上、日本乳化剤社製、商品名)等が挙げられる。ここで、ポリオキシエチレン鎖のオキシエチレン単位の数は2〜30が好ましい。2未満では、塗膜の柔軟性が不充分となる傾向にあり、30を超えると、塗膜が軟らかくなり、耐ブロッキング性に劣る傾向にある。
(a2)成分として挙げられるアミド基含有ビニル単量体の具体例としては、例えばN−アルキル又はN−アルキレン置換(メタ)アクリルアミドを例示することができる。より具体的には、例えばN−メチルアクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N−メチル−N−エチルアクリルアミド、N−メチル−N−エチルメタクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−n−プロピルアクリルアミド、N−イソプロピルメタクリルアミド、N−n−プロピルメタクリルアミド、N−メチル−N−n−プロピルアクリルアミド、N−メチル−N−イソプロピルアクリルアミド、N−アクリロイルピロリジン、N−メタクリロイルピロリジン、N−アクリロイルピペリジン、N−メタクリロイルピペリジン、N−アクリロイルヘキサヒドロアゼピン、N−アクリロイルモルホリン、N−メタクリロイルモルホリン、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、N,N’−メチレンビスメタクリルアミド、N−ビニルアセトアミド、ダイアセトンアクリルアミド、ダイアセトンメタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド等が挙げられる。
前記(a2)成分としては、他成分との水素結合性をより向上させる観点から、2級アミド基、3級アミド基あるいはその両方を有するビニル単量体であることが好ましい。特に水素結合力の観点から3級アミド基を有するビニル単量体が好ましい。
上述した(a2)成分は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
(A)成分の含有量に対する(a2)成分の含有量の質量比((a2)/(A))は、重合安定性の観点から、0.01/100〜99/100、好ましくは0.1/100〜60/100、より好ましく0.5/100〜50/100である。
後述の(C1)成分の含有量に対する(a2)成分の含有量の質量比((a2)/(C1))は、(C1)成分との水素結合性や配合安定性の観点から0.0001/100〜90/100、好ましくは0.001/100〜50/100、より好ましくは0.2/1〜25/100である。
(a3)成分としては、例えばアルキルベンゼンスルホン酸、アルキルスルホン酸、アルキルスルホコハク酸、ポリオキシエチレンアルキル硫酸、ポリオキシエチレンアルキルアリール硫酸、ポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテルスルホン酸等の酸性乳化剤、酸性乳化剤のアルカリ金属(Li、Na、K等)塩、酸性乳化剤のアンモニウム塩、脂肪酸石鹸等のアニオン性界面活性剤;アルキルトリメチルアンモニウムブロミド、アルキルピリジニウムブロミド、イミダゾリニウムラウレート等の四級アンモニウム塩、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩型のカチオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテル等のノニオン型界面活性剤等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(a3)成分としては、得られる(A)成分の水分散安定性を向上させる観点、及び、得られる塗膜の長期防汚染性を向上させる観点から、ラジカル重合性の二重結合を有する反応性乳化剤を用いることが好ましい。反応性乳化剤としては、例えばスルホン酸基又はスルホネート基を有するビニル単量体、硫酸エステル基を有するビニル単量体、及びそれらのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、ポリオキシエチレン等のノニオン基を有するビニル単量体、並びに、4級アンモニウム塩を有するビニル単量体等が挙げられる。
スルホン酸基又はスルホネート基を有するビニル単量体としては、例えばラジカル重合性の二重結合を有し、かつスルホン酸基のアンモニウム塩、ナトリウム塩又はカリウム塩のような置換基により一部が置換された、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜4のアルキルエーテル基、炭素数2〜4のポリアルキルエーテル基、フェニル基、ナフチル基、及びコハク酸基からなる群より選ばれる置換基を有する化合物;スルホン酸基のアンモニウム塩、ナトリウム塩又はカリウム塩のような置換基が結合しているビニル基を有するビニルスルホネート化合物等が挙げられる。
硫酸エステル基を有するビニル単量体としては、例えばラジカル重合性の二重結合を有し、かつ硫酸エステル基のアンモニウム塩、ナトリウム塩又はカリウム塩のような置換基により一部が置換された、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜4のアルキルエーテル基、炭素数2〜4のポリアルキルエーテル基、フェニル基、及びナフチル基からなる群より選ばれる置換基を有する化合物等が挙げられる。
スルホン酸基のアンモニウム塩、ナトリウム塩又はカリウム塩のような置換基により一部が置換されたコハク酸基を有する化合物の具体例としては、アリルスルホコハク酸塩等が挙げられる。より詳しくは、例えばエレミノールJS−2(三洋化成社製、商品名)、ラテムルS−120、S−180A又はS−180(花王社製、商品名)等が挙げられる。
スルホン酸基のアンモニウム塩、ナトリウム塩又はカリウム塩のような置換基により一部が置換された、炭素数2〜4のアルキルエーテル基又は炭素数2〜4のポリアルキルエーテル基を有する化合物の具体例としては、例えばアクアロンHS−10又はKH−1025(第一工業製薬社製、商品名)、アデカリアソープSE−1025N又はSR−1025(旭電化工業社製、商品名)等が挙げられる。
ノニオン基を有するビニル単量体として具体的には、例えばα−〔1−〔(アリルオキシ)メチル〕−2−(ノニルフェノキシ)エチル〕−ω−ヒドロキシポリオキシエチレン(商品名:アデカリアソープNE−20、NE−30、NE−40等、旭電化工業社製)、ポリオキシエチレンアルキルプロペニルフェニルエーテル(商品名:アクアロンRN−10、RN−20、RN−30、RN−50等、第一製薬工業社製)が挙げられる。
上述した(a3)成分は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
(a3)成分の使用量は、重合安定性の観点から、(A)成分100質量部に対して、好ましくは10質量部以下、より好ましくは0.001〜5質量部である。
(A)成分は上述の(a1)〜(a3)の各成分、及び(a4)成分(すなわち水)を含む重合原液中で、(a1)成分及び(a2)成分を重合して得られる重合体エマルジョン粒子であることが好ましい。(a4)成分の使用量は、重合安定性の観点から、重合原液中の含有率として好ましくは30〜99.9質量%である。
前記重合原液には、(a1)〜(a4)成分に加え、更に種々の成分を混合することができる。まず、前記重合原液には、(a5)成分:(a2)成分と共重合可能な他のビニル単量体をさらに混合することが好ましい。このような(a5)成分を用いることは、生成する重合生成物の特性(ガラス転移温度、分子量、水素結合力、極性、分散安定性、耐候性、(a1)成分である加水分解性珪素化合物の重合生成物との相溶性等)を制御する観点から好適である。
(a5)成分としては、例えばアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル類の他、エポキシ基含有ビニル単量体、カルボニル基含有ビニル単量体、アニオン型ビニル単量体のような官能基を含有する単量体等が挙げられる。
上述した(a5)成分は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
(a5)成分が全ビニル単量体中に占める割合としては、好ましくは0.001〜30質量%であり、より好ましくは0.05〜10質量%の範囲である。(a5)成分をこの範囲で用いることは、ガラス転移温度、分子量、水素結合力、極性、分散安定性、耐候性、(a1)成分である加水分解性珪素化合物の重合生成物との相溶性等を制御する観点から好適である。
前記重合原液には、連鎖移動剤を混合することができる。連鎖移動剤としては、例えばn−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタンのようなアルキルメルカプタン類;ベンジルメルカプタン、ドデシルベンジルメルカプタンのような芳香族メルカプタン類;チオリンゴ酸のようなチオカルボン酸又はそれらの塩若しくはそれらのアルキルエステル類、又はポリチオール類、ジイソプロピルキサントゲンジスルフィド、ジ(メチレントリメチロールプロパン)キサントゲンジスルフィド及びチオグリコール、α−メチルスチレンのダイマー等のアリル化合物等が挙げられる。これらの連鎖移動剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
これら連鎖移動剤の使用量は、全ビニル単量体の合計量100質量部に対して、好ましくは0.001〜30質量部、より好ましくは0.05〜10質量部である。連鎖移動剤をこの範囲で用いることは、重合安定性の観点から好適である。
さらに、前記重合原液には分散安定剤を混合することができる。分散安定剤としては、特に限定されず、例えばポリカルボン酸及びスルホン酸塩からなる群より選ばれる各種の水溶性オリゴマー類、ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、澱粉、マレイン化ポリブタジエン、マレイン化アルキッド樹脂、ポリアクリル酸(塩)、ポリアクリルアミド、水溶性又は水分散性アクリル樹脂等の合成又は天然の水溶性又は水分散性の各種高分子物質等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
分散安定剤の使用量は、(A)成分の重合体エマルジョン粒子100質量部に対して、好ましくは10質量部以下であり、より好ましくは0.001〜5質量部である。
上述の重合原液の重合は、重合触媒の存在下で実施するのが好ましい。(a1)成分の重合触媒としては、例えば塩酸、フッ酸等のハロゲン化水素類;酢酸、トリクロル酢酸、トリフルオロ酢酸、乳酸等のカルボン酸類;硫酸、p−トルエンスルホン酸等のスルホン酸類;アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルスルホン酸、アルキルスルホコハク酸、ポリオキシエチレンアルキル硫酸、ポリオキシエチレンアルキルアリール硫酸、ポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテルスルホン酸等の酸性乳化剤類;酸性又は弱酸性の無機塩;フタル酸、リン酸、硝酸のような酸性化合物類;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメチラート、酢酸ナトリウム、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルアミン、ジアザビシクロウンデセン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、エタノールアミン類、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)−アミノプロピルトリメトキシシランのような塩基性化合物類;ジブチル錫オクチレート、ジブチル錫ジラウレートのような錫化合物等が挙げられる。これらの中でも、(a1)成分である加水分解性珪素化合物の重合触媒としては、重合触媒のみならず乳化剤としての作用を有する酸性乳化剤類、特に炭素数が5〜30のアルキルベンゼンスルホン酸(ドデシルベンゼンスルホン酸等)等が好ましい。
(a1)成分の重合触媒の使用量としては、加水分解前の(a1)成分に対して好ましくは0.01質量%〜20質量%である。
(a2)成分の重合触媒としては、熱又は還元性物質等によってラジカル分解してビニル単量体の付加重合を起こさせるラジカル重合触媒が好適である。そのようなラジカル重合触媒として、例えば水溶性又は油溶性の過硫酸塩、過酸化物、アゾビス化合物が挙げられ、これらが好ましい。より具体的には、ラジカル重合触媒として、例えば過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素、t−ブチルヒドロパーオキシド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、2,2−アゾビスイソブチロニトリル、2,2−アゾビス(2−ジアミノプロパン)ヒドロクロリド、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等が挙げられる。
(a2)成分の重合触媒の使用量としては、全ビニル単量体100質量部に対して、好ましくは0.001〜5質量部である。なお、重合速度の促進、及び70℃以下での低温の重合を望む場合、例えば重亜硫酸ナトリウム、塩化第一鉄、アスコルビン酸塩、ロンガリット等の還元剤をラジカル重合触媒と組み合わせて用いると有利である。
本実施の形態において、(a1)成分の重合と、(a2)成分の重合とは、別々に実施することも可能であるが、同時に実施すると水素結合等によるミクロな有機・無機複合化が達成できるので好ましい。
(A)成分を得る方法として、乳化剤がミセルを形成するのに充分な量の水の存在下に(a1)成分と(a2)成分とを重合する、いわゆる乳化重合が適している。乳化重合の方法としては、例えば(a1)成分及び(a2)成分、更には必要に応じて(a3)成分をそのまま、又は乳化した状態で、一括若しくは分割して、又は連続的に反応容器中に滴下し、重合触媒の存在下、好ましくは大気圧から必要により10MPaまでの圧力下で、約30〜150℃の反応温度で重合させる方法等が挙げられる。ただし、必要に応じて、これ以上の圧力で、又はこれ以下の温度条件で重合してもよい。
重合原液の各成分の配合について、重合安定性の観点から、全固形分質量が0.1〜70質量%、好ましくは1〜55質量%の範囲になるように(a1)〜(a4)の各成分を配合するのが好ましい。全固形分質量(質量%)は、(A)成分を100℃に加温したオーブンに2時間入れて乾燥させた乾燥質量を求め、下記式(I)に基づいて求めることができる。
乳化重合を行うに際して、得られる(A)成分の粒子径を適度に成長又は制御する観点から、シード重合法を用いることが好ましい。シード重合法とは、予め水相中にエマルジョン粒子(シード粒子)を存在させて重合させる方法である。シード重合法を行う際の重合系中のpHとしては、好ましくは1.0〜10.0、より好ましくは1.0〜6.0である。そのpHは、リン酸二ナトリウム、ボラックス、炭酸水素ナトリウム、アンモニア等のpH緩衝剤を用いて調節することが可能である。
(A)成分を得る方法として、(a1)成分を重合させるのに必要な(a3)成分及び(a4)成分の存在下、(a1)成分及び(a2)成分を、必要により溶剤存在下で重合した後、重合生成物がエマルジョン粒子となるまで水を添加する手法も適用できる。
(A)成分は、得られる塗膜の基材密着性を向上させる観点から、コア層と、当該コア層を被覆する1層又は2層以上のシェル層とを備えたコア/シェル構造を有することが好ましい。当該コア/シェル構造を形成する方法としては、乳化重合を多段で行う、多段乳化重合が非常に有用である。コア/シェル構造は、例えば透過型電子顕微鏡等による形態観察や粘弾性測定による解析等により観察することができる。
(A)成分は、前記コア層を形成するシード粒子を含む前記重合原液中で、前記(a1)成分及び前記(a2)成分を重合して得られる重合体エマルジョン粒子であり、前記シード粒子が、前記(a1)成分、前記(a2)成分及び前記(a5)成分からなる群より選ばれる少なくとも1種以上の成分を重合して得られる粒子であることがより好ましい。この場合も、多段乳化重合が有用である。
多段乳化重合は、具体的には、例えば第1段階として、(a3)成分及び(a4)成分の存在下、(a1)成分、(a2)成分及び(a5)成分からなる群より選ばれる少なくとも1種以上の成分を重合してシード粒子を形成し、第2段階として、当該シード粒子の存在下、(a1)成分及び(a2)成分、並びに必要に応じて(a5)成分を含む重合原液を添加して重合する(2段重合法)。3段以上の多段乳化重合を実施する場合、例えば第3段階として、さらに(a1)成分及び(a2)成分、並びに必要に応じて(a5)成分を含む重合原液を添加して重合することができる。このような方法は、重合安定性の観点からも好適である。
2段重合法を採用する場合、上記第1段階において用いられる重合原液中の固形分質量(M1)と上記第2段階において添加される重合原液中の固形分質量(M2)との質量比((M1)/(M2))は、重合安定性の観点から、好ましくは9/1〜1/9、より好ましくは8/2〜2/8である。
また、上記コア/シェル構造として、重合安定性の観点から、シード粒子の粒径分布(体積平均粒子径/数平均粒子径)が大きく変化することなく、上記第2段階の重合によって粒子径が増大した構造を有することが好ましい。なお、体積平均粒子径は、数平均粒子径と同様に測定し得る。
重合体エマルジョン粒子(A)は、上記コア層において、(a1)成分の含有量に対する(a2)成分の含有量の質量比((a2)/(a1))が、0.01/1〜1/1であると好ましい。シェル層の最外層において、(a1)成分の含有量に対する(a2)成分の含有量の質量比((a2)/(a1))が、0.01/1〜10/1であることが好ましい。コア層において、質量比((a2)/(a1))を0.01/1以上とすることで重合安定性がより優れる傾向にあり、1/1以下とすることで耐久性や柔軟性がさらに向上する。また、シェル層の最外層において、質量比((a2)/(a1))を0.01/1以上とすることで、後述の(C)成分との相互作用を大きくでき、10/1以下とすることで相互作用を適度に抑制でき、充分な安定性を得られる傾向にある。
コア/シェル構造のコア層のガラス転移温度(Tg)は、好ましくは0℃以下である。この場合、室温における柔軟性がより優れた塗膜を得ることができるので、クラック等が生じ難い太陽電池用の保護部材を形成することが可能となり、好ましい。なお、本実施の形態において、Tgは示差走査熱量測定装置(DSC)にて測定することができる。
(A)成分の水相成分の含有率は、15質量%以下であることが好ましい。(A)成分の水相成分の含有率は、下記式(II)で表される。(A)成分の水相成分を15質量%以下とすることにより、得られる塗膜は透明性及び親水性に優れるとともに、高温下においても優れた親水性を維持できる。
式(II)中、ろ液の乾燥質量とは、ろ液を105℃で1時間乾燥後の残渣の質量をいう。
(A)成分中の水相成分の含有率を、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下とすることにより、得られる塗膜は透明性及び親水性に優れるとともに、高温下だけでなく、高湿下、さらには高温高湿下であっても優れた親水性を維持できる。(A)成分中の水相成分の含有率の下限は、特に限定されないが、例えば0質量%である。
(A)成分の数平均粒子径は、10nm〜800nmであることが好ましい。(A)成分の数平均粒子径をこのような範囲に調整し、後述する数平均粒子径が1nm〜400nmの(C)成分と組み合わせてコーティング組成物を形成することにより、得られる塗膜は耐候性、防汚染性がさらに良好となる。得られる塗膜の透明性向上の観点から、(A)成分の数平均粒子径は10nm〜100nmであるとより好ましい。なお、本実施の形態において、数平均粒子径は、後述の実施例に記載の方法で測定することができる。
〈(B)加水分解性珪素含有化合物〉
(B)成分として用いられる加水分解性珪素含有化合物としては、下記式(3)で表される加水分解性珪素含有化合物(b1)、下記式(4)で表される加水分解性珪素含有化合物(b2)、及び下記式(5)で表される加水分解性珪素含有化合物(b3)からなる群より選ばれる1種以上を用いることができる。
ここで、式(3)中、R1は水素原子、あるいは、ハロゲン基、ヒドロキシ基、メルカプト基、アミノ基、(メタ)アクリロイル基又はエポキシ基を有していてもよい、炭素数1〜10のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基若しくはアリール基を示す。Xは、加水分解性基を示し、nは0〜3の整数である。加水分解性基は加水分解により水酸基が生じる基であれば特に限定されず、例えばハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、アミノ基、フェノキシ基、オキシム基等が挙げられる。
ここで、式(4)中、Xは加水分解性基を示し、R2は炭素数1〜6のアルキレン基又はフェニレン基を示す。pは0又は1である。
ここで、式(5)中、R3は炭素数1〜6のアルキル基を示す。qは2〜8の整数である。
加水分解性珪素含有化合物(b1)及び(b2)として具体的には、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ(n−プロポキシ)シラン、テトラ(i−プロポキシ)シラン、テトラ(n−ブトキシ)シラン、テトラ(i−ブトキシ)シラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ−tert−ブトキシシラン、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジメトキシシラン、ジエトキシシラン、メチルジメトキシシラン、メチルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ビス(トリメトキシシリル)メタン、ビス(トリエトキシシリル)メタン、ビス(トリフェノキシシリル)メタン、ビス(トリメトキシシリル)エタン、ビス(トリエトキシシリル)エタン、ビス(トリフェノキシシリル)エタン、1,3−ビス(トリメトキシシリル)プロパン、1,3−ビス(トリエトキシシリル)プロパン、1,3−ビス(トリフェノキシシリル)プロパン、1,4−ビス(トリメトキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリエトキシシリル)ベンゼン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、3−ヒドロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、テトラアセトキシシラン、テトラキス(トリクロロアセトキシ)シラン、テトラキス(トリフルオロアセトキシ)シラン、トリアセトキシシラン、トリス(トリクロロアセトキシ)シラン、トリス(トリフルオロアセトキシ)シラン、メチルトリアセトキシシラン、メチルトリス(トリクロロアセトキシ)シラン、テトラクロロシラン、テトラブロモシラン、テトラフルオロシラン、トリクロロシラン、トリブロモシラン、トリフルオロシラン、メチルトリクロロシラン、メチルトリブロモシラン、メチルトリフルオロシラン、テトラキス(メチルエチルケトキシム)シラン、トリス(メチルエチルケトキシム)シラン、メチルトリス(メチルエチルケトキシム)シラン、フェニルトリス(メチルエチルケトキシム)シラン、ビス(メチルエチルケトキシム)シラン、メチルビス(メチルエチルケトキシム)シラン、ヘキサメチルジシラザン、ヘキサメチルシクロトリシラザン、ビス(ジメチルアミノ)ジメチルシラン、ビス(ジエチルアミノ)ジメチルシラン、ビス(ジメチルアミノ)メチルシラン、ビス(ジエチルアミノ)メチルシラン等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
前記式(5)で表される加水分解性珪素含有化合物(b3)の具体例としては、テトラメトキシシランの部分加水分解縮合物(例えば多摩化学工業社製の商品名「Mシリケート51」、コルコート社製の商品名「MSI51」、三菱化学社製の「MS51」、同「MS56」)、テトラエトキシシランの部分加水分解縮合物(多摩化学工業社製の商品名「シリケート35」、同「シリケート45」、コルコート社製の商品名「ESI40」、同「ESI48」)、テトラメトキシシランとテトラエトキシシランとの共部分加水分解縮合物(多摩化学工業社製の商品名「FR−3」、コルコート社製の商品名「EMSi48」)等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
〈(C)数平均粒子径が1nm〜400nmの金属酸化物粒子〉
本実施の形態に用いるコーティング組成物は、(C)成分:数平均粒子径が1nm〜400nmの金属酸化物粒子を含むことが好ましい。これにより、透明性及び親水性が高い塗膜とすることができる。(C)成分は、(A)成分と相互作用することにより、(A)成分の硬化剤として作用すると考えられる(ただし、作用はこれに限定されない)。当該相互作用としては、特に限定されないが、例えば(C)成分が一般に有する官能基(例えば水酸基等)と、(A)成分が有する官能基(例えば水酸基、カルボキシル基、アミド基、アミノ基、及びエーテル基等)との水素結合、(C)成分が一般に有する官能基と、(A)成分との化学結合(例えば縮合)等を例示することができる。
(C)成分の粒子径は数平均粒子径(一次粒子と二次粒子との混合物であってもよく、一次粒子及び二次粒子のいずれか一方のみであってもよい。)を意味し、1nm〜400nmであり、好ましくは1nm〜100nm、より好ましくは3nm〜80nm、更に好ましくは5nm〜50nmである。(C)成分の数平均粒子径を上記範囲とすることで、得られる塗膜や積層体等の光学特性等に寄与し得る。特に、その数平均粒子径を100nm以下とすることは、得られる塗膜や積層体の光線透過率を大きく向上させ得る。なお、本実施の形態における数平均粒子径(以下、単に「粒子径」と略記することがある。)は、後述する実施例の方法に準じて測定される。
(C)成分に用いられる金属酸化物粒子は、特に限定されず、公知のものを用いることもできるが、(A)成分との相互作用の観点から、二酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化アンチモン、酸化チタン、酸化インジウム、酸化スズ、酸化ジルコニウム、酸化鉛、酸化鉄、珪酸カルシウム、酸化マグネシウム、酸化ニオブ、及び酸化セリウムからなる群から選ばれる1種以上が好ましい。これらの中でも、表面水酸基が多く、(A)成分との相互作用が特に強いという観点から、二酸化珪素(シリカ)、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化アンチモン、及びそれらの複合酸化物からなる群から選ばれる1種以上がより好ましい。後述する塗膜とした際に、表面水酸基の多い(C)成分が連続相を形成することができるため、塗膜表面の水酸基密度が高くなり、それ自身の親水性も高くなるため、上記金属酸化物がより好ましい。(C)成分の金属酸化物粒子は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(C)成分の金属酸化物粒子が存在する形態としては、特に限定されず、例えば粉体、分散液、ゾル等が挙げられる。ここでいう「分散液」及び「ゾル」とは、(C)成分が、水、親水性有機溶媒あるいはそれらの混合溶媒中に0.01〜80質量%、好ましくは0.1〜50質量%の濃度で、一次粒子あるいは二次粒子の少なくとも一方として分散された状態を意味する。
親水性有機溶媒としては、例えばエチレングリコール、ブチルセロソルブ、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、エタノール、メタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド等のアミド類;ジメチルスルホキシド及びニトロベンゼン、並びに、これらの2種以上の混合物が挙げられる。
コーティング組成物あるいは塗膜に付与したい性質等に応じて、上記した成分やその他の成分の中で、適宜好適なものを(C)成分として選択できる。コーティング組成物あるいは塗膜に付与できる性質等としては、例えば反射防止性、耐溶剤性、帯電防止性、耐熱性、ハードコート性、光触媒活性等が挙げられる。所望の性質に応じて、添加する成分、含有量、さらには数平均粒子径等の物性等について好適なものを選択できる。さらに、特定の性能の効果を高めたい場合や、コーティング組成物に複数の性能を付与したい場合には、(C)成分として2種以上の金属酸化物粒子を併用することもできる。かかる観点から代表的なものとして、(C1)シリカ、(C2)光触媒、(C3)導電性金属酸化物等の粒子が挙げられる。以下、これらについて説明する。
(C1)成分は、シリカ(いわゆる二酸化珪素)の粒子であればよく、その製法は特に限定されず、沈殿法、乾式法等によって製造してもよい。取り扱い性の観点から、コロイダルシリカの状態で存在することがより好ましい。(C1)成分がコロイダルシリカの状態で存在する場合には、ゾル−ゲル法で調製して使用することができ、市販品を利用することもできる。コロイダルシリカをゾル−ゲル法で調製する場合、Werner Stober et al;J.Colloid and Interface Sci.,26,62−69(1968)、Rickey D.Badley et al;Lang muir 6,792−801(1990)、色材協会誌,61[9]488−493(1988)等に記載の方法を参照して調製することができる。
コロイダルシリカは、二酸化珪素を基本単位とするシリカの水又は水溶性溶剤の分散体であり、そのシリカ粒子の数平均粒子径は、好ましくは1nm〜400nmであり、より好ましくは1nm〜200nm、更に好ましくは1nm〜100nm、より更に好ましくは5nm〜30nmである。数平均粒子径が1nm以上であれば、塗膜や後述するコーティング組成物の貯蔵安定性がより良好であり、100nm以下であると、塗膜の透明性がより良好となる。上記範囲の粒子径のシリカ粒子を有するコロイダルシリカは、水性分散体の状態で、酸性及び塩基性のいずれであっても用いることができ、共に混合する(A)成分の水性分散体の安定領域に応じて、そのpHを適宜選択することができる。
水を分散媒体とする酸性のコロイダルシリカとしては、例えば市販品として日産化学工業社製のスノーテックス(商標)−O、スノーテックス−OS、スノーテックス−OL、旭電化工業社製のアデライト(商標)AT−20Q、クラリアントジャパン社製のクレボゾール(商標)20H12、クレボゾール30CAL25等が挙げられる。
塩基性のコロイダルシリカとしては、例えばアルカリ金属イオン、アンモニウムイオン又はアミンの添加で安定化したシリカ等が挙げられる。より具体的には、市販品として日産化学工業社製のスノーテックス−20、スノーテックス−30、スノーテックス−C、スノーテックス−C30、スノーテックス−CM40、スノーテックス−N、スノーテックス−N30、スノーテックス−K、スノーテックス−XL、スノーテックス−YL、スノーテックス−ZL、スノーテックスPS−M、スノーテックスPS−L等、旭電化工業社製のアデライトAT−20、アデライトAT−30、アデライトAT−20N、アデライトAT−30N、アデライトAT−20A、アデライトAT−30A、アデライトAT−40、アデライトAT−50等、クラリアントジャパン社製のクレボゾール30R9、クレボゾール30R50、クレボゾール50R50、デュポン社製のルドックス(商標)HS−40、ルドックスHS−30、ルドックスLS、ルドックスSM−30等が挙げられる。
水溶性溶剤を分散媒体とするコロイダルシリカとしては、市販品として、例えば日産化学工業社製のMA−ST−M(数平均粒子径が20nm〜25nmのメタノール分散タイプ)、IPA−ST(数平均粒子径が10nm〜15nmのイソプロピルアルコール分散タイプ)、EG−ST(数平均粒子径が10nm〜15nmのエチレングリコール分散タイプ)、EG−ST−ZL(数平均粒子径が70nm〜100nmのエチレングリコール分散タイプ)、NPC−ST(数平均粒子径が10nm〜15nmのエチレングリコールモノプロピルエーテール分散タイプ)等が挙げられる。
コロイダルシリカは1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。(C)成分の金属酸化物粒子がコロイダルシリカにおけるシリカ粒子を主成分として含む場合、少量成分として、アルミナ、アルミン酸ナトリウム等を含んでいてもよい。また、コロイダルシリカには、安定剤として無機塩基(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、アンモニア等)や有機塩基(テトラメチルアンモニウム等)が共存してもよい。ここで、主成分とは、金属酸化物粒子中に50質量%以上、好ましくは70質量%以上含有されている成分のことをいう。
(C2)成分である光触媒の粒子とは、光照射により光触媒活性及び親水性の少なくとも一方を発現する化合物(以下、単に「光触媒」と略記することがある。)の粒子をいう。(C)成分が光照射により光触媒活性を発現する化合物の粒子である場合、得られる塗膜の表面は汚染有機物質の分解活性(有機物分解性)や耐汚染性に優れる。
光触媒として、より具体的には、例えばTiO2、ZnO、SrTiO3、BaTiO3、BaTiO4、BaTi49、K2NbO3、Nb25、Fe23、Ta25、K3Ta3Si23、WO3、SnO2、Bi23、BiVO4、NiO、Cu2O、RuO2、CeO2、さらにはTi、Nb、Ta、及びVからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を有する層状酸化物(例えば特開昭62−74452号公報、特開平2−172535号公報、特開平7−24329号公報、特開平8−89799号公報、特開平8−89800号公報、特開平8−89804号公報、特開平8−198061号公報、特開平9−248465号公報、特開平10−99694号公報、特開平10−244165号公報等参照)を挙げることができる。これらの光触媒の中でもTiO2(酸化チタン)は無害であり、化学的安定性にも優れるため好ましい。酸化チタンとして、アナターゼ型、ルチル型、ブルッカイト型のいずれも使用できる。
また、得られるコーティング組成物の帯電防止性能等を発現する観点から、(C3)成分として、導電性を有する金属酸化物(導電性金属酸化物)の粒子を用いることができる。このような導電性を有する金属酸化物としては、例えば錫をドープした酸化インジウム(ITO)、アンチモンをドープした酸化錫(ATO)、酸化錫、酸化亜鉛等が挙げられる。また、(A)成分との相互作用の観点から、例えば酸化アルミニウム、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化錫、酸化ジルコニウム、酸化鉛、酸化鉄、珪酸カルシウム、酸化マグネシウム、酸化ニオブ、酸化セリウム等を併用することもできる。
(A)成分に対する(C)成分の質量比((C)/(A))は、親水性と成膜性の観点から、好ましくは50/100〜10000/100であり、より好ましくは110/100〜1000/100であり、更に好ましくは150/100〜300/100である。かかる比率とすることで、得られる塗膜の親水性、反射防止性を向上できる。
(C)成分の表面積(SC)と(A)成分の表面積(SA)との比((SC)/(SA))は、好ましくは0.001〜1000の範囲である。なお、各成分の表面積は、(C)成分及び(A)成分の各々の粒子径、各々の質量、及び各々の比重から、粒子の形状を真球と仮定して算出することができる。
(C)成分に対する(B)成分の質量比((B)/(C))は、好ましくは1/100〜1000/100であり、より好ましくは10/100〜200/100、さらには40/100〜120/100である。(B)/(C)が1/100以上であると、得られる塗膜は高温条件下や高湿条件下でも親水性を維持できる傾向があり、(B)/(C)が1000/100以下であると塗膜とした場合の耐衝撃性をより向上できる傾向がある。
(C)成分は、(C1)成分:数平均粒子径が1nm〜400nmのシリカ粒子と、(C2)成分:数平均粒子径が1nm〜400nmの光触媒粒子と、を含むことが好ましい。(C1)成分は(A)成分と相互作用しながら(A)成分の粒子間に連続相を形成して存在することができる。この結果、塗膜の最表面には親水性の高いシリカ粒子が存在することになるため、光の照射に無関係に塗膜形成直後から高い親水性が得られると共に、透明性、耐候性がより向上し得る。この場合、(A)成分の含有量に対する(C1)成分と(C2)成分との総含有量の質量比((C1+C2)/(A))が、60/100〜480/100であり、(C1)成分と(C2)成分との総含有量に対する(C1)成分の含有量の質量比((C1)/(C1+C2))が、85/100〜99/100であることがより好ましい。
本実施の形態に用いるコーティング組成物が(C)金属酸化物粒子を含む場合、機能性塗膜は、(C)金属酸化物粒子が(A)重合体粒子を囲む構造とすることができ、これらの分散形態として、いわゆる海島構造をとることが好ましい。例えば(C)成分が海相となり、(A)成分が島相となるようにすることができる。(C)成分が、(A)成分と相互作用しながら(A)成分の粒子間に連続相を形成して存在することが好ましい。この場合、得られるコーティング組成物の反射率、耐候性、防汚性がより向上し得る。
さらに、ここで(A)成分は、上記したエマルジョン粒子であることが好ましく、エマルジョン粒子としては、上記した重合体エマルジョン粒子であることが好ましい。かかるエマルジョン粒子、あるいは重合体エマルジョン粒子は、上述したものを用いることができる。
〔コーティング組成物の調製工程〕
本実施の形態で用いるコーティング組成物を調製する工程としては、(B)加水分解性珪素含有化合物と(D)水と(E)酸触媒とを含み、pHが7以下の溶液に、(i)(A)成分、又は(ii)(C)成分及び(A)成分、を加えて調製する工程が好ましい。あらかじめ(B)成分が部分的に加水分解されることで(A)成分などとの配合安定性が確保できる。
〈(D)水〉
(D)成分として用いられる水は、(B)加水分解性珪素含有化合物を加水分解するための成分である。一般的には、加水分解後の安定性を維持するために水の使用量は、コーティング組成物全体に対して、10質量%以下に抑制されるが、本実施の形態においては、溶剤の引火性の観点や、コーティング組成物の形成メカニズムの観点から20質量%以上、好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上であることが好ましい。(D)水の使用量の上限は、99質量%以下であることが好ましい。
〈(E)酸触媒〉
(E)成分として用いられる酸触媒としては、塩酸、フッ酸等のハロゲン化水素類、酢酸、トリクロル酢酸、トリフルオロ酢酸、乳酸等のカルボン酸類、硫酸、p−トルエンスルホン酸等のスルホン酸類、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルスルホン酸、アルキルスルホコハク酸、ポリオキシエチレンアルキル硫酸、ポリオキシエチレンアルキルアリール硫酸、ポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテルスルホン酸等の酸性乳化剤類、酸性又は弱酸性の無機塩、フタル酸、リン酸、硝酸のような酸性化合物類等が挙げられる。これらの中でも、酸性乳化剤類、特に炭素数が5〜30の直鎖型アルキルベンゼンスルホン酸分岐型アルキルベンゼンスルホン酸、例えば直鎖型ドデシルベンゼンスルホン酸、分岐型ドデシルベンゼンスルホン酸等が好ましい。これらを2種以上併用しても構わない。
(E)成分は、コーティング組成物のpH調整剤としても機能する。コーティング組成物のpHが7以下の場合、pH7を超える場合と異なり(B)成分の加水分解が部分的に進行しやすい。そのような場合、アルコールなどの有機溶媒が少ない系では、その加水分解の進行を制御できずに、ゲル化などコーティング液が不安定化しやすい。しかし、そのような場合、アルキルベンゼンスルホン酸のように酸触媒としても働き、界面活性剤的な作用を有する触媒を使用することで、加水分解の進行を制御し、コーティング組成物の安定性を損なうことなく(B)成分の加水分解やオリゴマー化を進めることが可能となる。その結果、(C)成分や(A)成分と混合した際に安定に混合することができる。さらには、基材に塗布した後の縮合及び養生段階で、部分的に加水分解した(B)成分同士の縮合が効果的に進むと共に、(C)成分、(A)成分及び基材の化学結合がバランスよく進行するため、得られた機能性塗膜の親水性を維持しながら反射防止効果と塗膜強度を発現することが可能となる。これらは一例であり、コーティング組成物を基材に塗布する直前にさらにpHを調整するなど目的に応じて使うことができる。
(E)酸触媒の使用量は、(B)成分に対して、0.01〜30質量%であることが好ましく、0.1〜10質量%であることがより好ましく、0.5〜5質量%であることがさらに好ましい。
〈(F)親水性溶媒〉
本実施の形態で用いるコーティング組成物は、(F)親水性溶媒を含んでもよい。(F)親水性溶媒としては、エチレングリコール、ブチルセロソルブ、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、エタノール、メタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド等のアミド類;ジメチルスルホキシド及びニトロベンゼン、並びに、これらの2種以上の混合物が挙げられる。特に水への溶解性が高く沸点が200℃以下の溶媒が好ましい。溶解性の指標として水への溶解度だけでなく、溶解性パラメーターを使用することもできる。溶解性パラメータは10以上であることが好ましい。このような親水性溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、エチレングリコールが好ましい。
(F)親水性溶媒の含有量は、コーティング組成物全体に対して、1〜90質量%であることが好ましく、3〜40質量%であることがより好ましく、5〜20質量%であることがさらに好ましい。
〈その他の添加剤〉
本実施の形態では、上記各成分に加えて、その用途及び使用方法等に応じて、通常、塗料や成型用樹脂に添加配合される添加剤成分、例えば光安定剤、紫外線吸収剤、増粘剤、レベリング剤、チクソ化剤、消泡剤、凍結安定剤、艶消し剤、架橋反応触媒、顔料、硬化触媒、架橋剤、充填剤、皮張り防止剤、分散剤、湿潤剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、レオロジーコントロール剤、成膜助剤、防錆剤、染料、可塑剤、潤滑剤、還元剤、防腐剤、防黴剤、消臭剤、黄変防止剤、静電防止剤又は帯電調整剤等をそれぞれの目的に応じて選択したり、組み合わせたりして配合することができる。
光安定剤としては、例えばヒンダードアミン系光安定剤が好ましく用いられる。中でも、分子内にラジカル重合性の二重結合を有するラジカル重合性光安定剤が好ましい。紫外線吸収剤としては、例えば有機系紫外線吸収剤を挙げることができる。このような有機系紫外線吸収剤としては、例えばベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤等が挙げられる。中でも、分子内にラジカル重合性の二重結合を有するラジカル重合性紫外線吸収剤を用いることが好ましい。また、紫外線吸収能の高いベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤が好ましい。
光安定剤は、有機系紫外線吸収剤と併用することが好ましい。両者を併用することは、得られる塗膜の耐候性向上に寄与し得る。また、これらの有機系紫外線吸収剤や、光安定剤、各種添加剤成分は、(C1)成分及び(A)成分と単に配合することも可能であるし、(A)成分を合成する際に共存させることも可能である。
〔機能性塗膜の製造方法〕
本実施の形態の機能性塗膜の製造方法においては、上記コーティング組成物を基材上に塗布する。塗布する方法としては、ディップコート、フローコート、ロールコート、スピンコート、スプレーコート、刷け塗り、など公知の方法が使用できる。
塗布の後、塩基性雰囲気下、例えば、揮発性塩基性物質(G)を含有する雰囲気下で、縮合及び養生を進めることで、親水性を維持しながら、反射防止性、つまり空隙形成と塗膜の強度を発現することが可能となる。
本実施の形態で使用する揮発性塩基性物質(G)としては、アンモニア、1級アミン、2級アミン、3級アミンなどが挙げられる。例えば、メチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリメチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ブチルアミン、イソブチルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、プロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、ピリジン、ピペリジン、エチレンジアミン、モルホリンなどである。特に沸点が−40℃から90℃のアミン類が好ましい。例えば、アンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ブチルアミン、イソブチルアミン等である。さらに好ましくは揮発性と安全性との観点からアンモニアが好ましい。これらの1種単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
塩基性雰囲気下、例えば、揮発性塩基性物質(G)の雰囲気下で保持する時間は、使用する温度や求める硬度によって適宜選択することができるが、好ましくは0.1〜24時間、さらには0.5〜12時間が生産性と縮合速度とのバランスから好ましい。
〔機能性塗膜〕
本実施の形態の機能性塗膜は、上述の製造方法によって得られる。上述の製造方法により得られる本実施の形態の機能性塗膜は、親水性、反射防止性、鉛筆硬度に優れ、厚膜時の耐クラック性が優れる。
本実施の形態の機能性塗膜は、23℃における表面水接触角が30度以下であることが好ましく、20度以下であることがより好ましく、10度以下であることがさらに好ましい。23℃における表面水接触角が前記範囲内であると、機能性塗膜の親水性が優れる。
さらに、90℃、湿度90%の条件下で24時間静置する高温高湿試験後の塗膜表面の水接触角が30度以下であることが好ましく、20度以下であることがより好ましく、10度以下であることがさらに好ましい。
なお、本実施の形態において、塗膜表面の水接触角は、後述する実施例に記載の方法によって測定される。
また、本実施の形態において、試験で使用する温度や湿度の制御方法は公知の高温高湿試験機、例えばESPEC社製、SH−661を使用することができる。また、密封容器の中に蒸留水を入れ、密封容器を所定の温度で加熱して飽和蒸気を形成して評価に用いることもできる。
本実施の形態の機能性塗膜の反射防止性は、0.5%以上であることが好ましく、0.8%以上であることがより好ましく、1.5%以上であることがさらに好ましい。当該反射防止性は、後述する実施例に記載の方法によって測定される。
本実施の形態の機能性塗膜の表面の鉛筆硬度は、F以上であることが好ましい。当該鉛筆硬度は、後述する実施例に記載の方法によって測定される。
本実施の形態の機能性塗膜の最高塗工膜厚は、300nm以上であることが好ましく、800nm以上であることがより好ましく、1200nm以上であることがさらに好ましい。最高塗工膜厚が前記範囲内であると、塗膜の耐クラック性が良好となる。当該最高塗工膜厚は、後述する実施例に記載の方法によって測定される。
<エネルギー変換装置用部材>
本実施の形態の機能性塗膜は、エネルギー変換装置用部のコーティング層として好適に用いることができる。エネルギー変換装置としては、例えば太陽光を利用した発電装置等が挙げられる。エネルギー用部材とは、例えば太陽光を利用した発電に使用できる部材をいい、より具体的には、太陽電池モジュールに用いられる部材、太陽熱発電システムに用いられる部材等が挙げられる。中でも、太陽電池モジュールの保護部材や、光反射鏡の保護部材に好適に用いることができる。より具体的には、太陽電池モジュールの表面の保護部材であるカバーガラスや裏面の保護部材であるバックシート、封止材、アルミ枠等の型枠、集光型太陽電池のフレネルレンズ、太陽熱発電に用いられる光反射鏡等の保護部材として用いることができる。
特に、本実施の形態の機能性塗膜は、太陽電池モジュールの保護部材として好適である。例えば砂漠等において大規模な太陽電池モジュールを設置して使用する場合、風で舞い上がった砂等が太陽電池モジュールの保護部材に付着するので、部材の表面が傷つけられたり、透明性や防汚性の効果が低下したりするといった問題が生じる。しかしながら、本実施の形態の機能性塗膜は、防汚性、透明性、親水性、耐久性(耐衝撃性)に優れ、高温高湿下であっても表面親水性を維持できるため、付着した砂やほこり等を雨水等によって簡便に洗い流すこともできる。
本実施の形態の部材は、上述の機能性塗膜を含む。該部材としては、太陽電池モジュールやリフレクター装置が挙げられる。
<太陽電池モジュール>
本実施の形態の太陽電池モジュールは、上述の機能性塗膜を含む。
本実施の形態の太陽電池モジュールは、上述の機能性塗膜を、例えば、保護部材用のコーティング層(以下、単に保護部材という場合がある。)として含むことができる。図1は、太陽電池モジュールの一態様の簡略断面図である。太陽電池モジュール2は、保護部材20と、前記保護部材20と対向して配置されるバックシート22と、前記保護部材20と前記バックシート22との間に配置される発電素子24と、を備える。さらに、発電素子24は、封止材26によって封止されている。太陽電池モジュール2において太陽光Lは、保護部材20側から入射して発電素子24に到達する。
保護部材20は、発電素子24等を保護する保護部材である。保護部材20は、基板の表面に本実施の形態の機能性塗膜204が形成されている。この場合、保護部材20は太陽光を透過する光透過性基板として機能する。そして、保護部材20は前記機能性塗膜204が形成された面を太陽電池モジュール2の表面側となるように用いることが好ましい。
保護部材20は、耐候性、撥水性、耐汚染性、機械強度をはじめとして、太陽電池モジュール2の屋外暴露における長期信頼性を確保できるための性能を具備することが好ましい。また、太陽光を有効に活用するために、光学ロスの小さい、透明性の高い部材であることが好ましい。基板202の材料としては、特に限定されず、具体的には、ガラス基板;ポリエステル樹脂、フッ素樹脂、アクリル樹脂、環状オレフィン(共)重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等からなる樹脂フィルム等が好ましく、これらの中でも、耐候性、耐衝撃性、コストのバランスの観点からガラス基板がより好ましい。
ガラス基板を用いる場合には、波長350〜1400nmの光の全光線透過率が80%以上であることが好ましく、より好ましくは90%以上である。かかるガラス基板としては赤外部の吸収の少ない白板ガラスを使用するのが一般的であるが、青板ガラスであっても厚さが3mm以下であれば太陽電池モジュールの出力特性への影響は通常少ない。また、ガラス基板の機械的強度を高めるために熱処理により強化ガラスを得ることができるが、熱処理無しのフロート板ガラスを用いてもよい。
樹脂フィルムとして、透明性、強度、コスト等の観点からポリエステル樹脂が好ましく、とりわけポリエチレンテレフタレート樹脂がより好ましい。また、耐侯性が特に良好なフッ素樹脂も好適に用いられる。具体的には、四フッ化エチレン−エチレン共重合体(ETFE)、ポリフッ化ビニル樹脂(PVF)、ポリフッ化ビニリデン樹脂(PVDF)、ポリ四フッ化エチレン樹脂(TFE)、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体(FEP)、ポリ三フッ化塩化エチレン樹脂(CTFE)が挙げられる。耐候性の観点からはポリフッ化ビニリデン樹脂が好ましいが、耐候性及び機械的強度の両立をする観点からは四フッ化エチレン−エチレン共重合体が好ましい。
機能性塗膜204としては、上述した機能性塗膜を好適に用いることができる。基材202の上に機能性塗膜204を形成する方法についても、上述した方法を用いることができる。
バックシート22としては、特に限定はないが、太陽電池モジュールの最表層に位置するため、上述の保護部材20と同様に、耐候性、機械強度等の諸特性を有することが好ましい。したがって、保護部材20と同様の材質でバックシートを構成してもよい。すなわち、保護部材20(特に、基材202)において用いることができる上述の各種材料を、バックシートにおいても用いることができる。特に、ポリエステル樹脂、及びガラス基板を好ましく用いることができ、中でも、耐候性、コストの観点から、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)がより好ましい。
バックシート22は、太陽光の通過を前提としないため、保護部材20で求められる透明性(透光性)は必ずしも要求されない。そこで、図示はしないが、太陽電池モジュール2の機械的強度を増す目的や、温度変化による歪や反りを防止する目的で、補強板を張り付けてもよい。例えば鋼板、プラスチック板、FRP(ガラス繊維強化プラスチック)板等を好ましく使用することができる。
バックシート22は、2層以上からなる多層構造を有していてもよい。多層構造としては、例えば中央層の両面に、中央層に対して対称の配置となるように同一成分の層が1又は2以上積層された構造等が挙げられる。そのような構造を有するものとしては、例えばPET/アルミナ蒸着PET/PET、PVF(商品名:テドラー)/PET/PVF、PET/AL箔/PET等が挙げられる。
発電素子24は、半導体の光起電力効果を利用して発電できるものであれば特に限定されず、例えばシリコン(単結晶系、多結晶系、非結晶(アモルファス)系)、化合物半導体(3−5族、2−6族、その他)等を用いることができ、中でも、発電性能とコストとのバランスの観点から、多結晶シリコンが好ましい。
封止材26は、発電素子24を封止可能な部材であればよく、その種類は特に限定されず、例えばエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等の樹脂を含む樹脂封止シート等が挙げられる。このような樹脂封止シートを熱溶融させることで封止対象である発電素子24等に密着し、封止することができる。かかる封止材を用いることで発電素子のクリープを防止できるとともに、保護部材20やバックシート22に対して優れた接着性を発揮することができる。
太陽電池モジュールの製造方法としては、特に限定されず、公知の方法を採用することもできる。例えば保護部材20/封止材26/発電素子24/封止材26/バックシート22の順に重ね、真空ラミネート装置を用いて150℃、15分間の条件で真空ラミネートすることにより製造できる。
太陽電池モジュール2の各部材の厚さは特に限定されないが、保護部材20の厚さは、耐候性、耐衝撃性の観点から3mm以上が好ましく、バックシート22の厚さは、絶縁性の観点から75μm以上が好ましく、発電素子24の厚さは、発電性能とコストのバランスの観点から140μm〜250μmが好ましく、封止材26の厚さは、クッション性及び封止性の観点から250μm以上が好ましい。
<リフレクター装置>
本実施の形態のリフレクター装置は、上述の機能性塗膜を含む。
図2は、リフレクター装置の一例の概略斜視図である。リフレクター装置3は、光反射鏡32と、前記光反射鏡の反射面側に形成された機能性塗膜30と、前記光反射鏡32を支持する支持体34と、を備える。機能性塗膜30は、光反射鏡32の保護部材(以下、単に保護部材という場合がある。)として用いられている。リフレクター装置3の構成は、特に限定されず、適宜好適な構成に変形することができる。
<太陽熱発電システム>
本実施の形態では、前記リフレクター装置と、このリフレクター装置により集光される太陽光を電気エネルギーに変換する装置と、を備える太陽熱発電システムとすることができる。太陽熱発電システムの構成は、特に限定されず、適宜好適な構成に変形することができる。
次に、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、各種物性は下記の方法で評価した。また、本実施例において、特に断りがない限り、「%」及び「部」は質量基準である。
・数平均粒子径
試料中の固形分含有量が0.1〜20質量%となるよう溶媒を加えて希釈し、湿式粒度分析計(日機装製マイクロトラックUPA−9230)を用いて測定した。
・水接触角
試料の表面(コーティング組成物の塗工面)に脱イオン水の水滴を乗せ、23℃で1分間放置した後、接触角測定装置(協和界面科学製 DM−501型接触角計)を用いて測定した。
・反射防止性
濁度計(日本電色工業製NDH2000)を用い、JIS K7105に準じて、試料の全光線透過率を測定した。反射防止性は基材(青板ガラス)の全光線透過率(T0)と塗布後の基材の全光線透過率(T1)を測定し、以下の式から求めた。
反射防止性(%)=T1(%)−T0(%)
・鉛筆硬度
塗膜表面の鉛筆硬度は鉛筆硬度計(テスター産業社製)を用いて測定した。
・最高塗工膜厚
スピンコーターで成膜した後、マイクロスコープ(100倍)で観察した際に微小クラックの無い良好な膜厚を測定した。最高塗工膜厚が厚いほど耐クラック性が良好との指標となる。
(製造例1)
・重合体エマルジョン粒子(LTX−1)水分散体の合成
還流冷却器、滴下槽、温度計及び撹拌装置を有する反応器に、イオン交換水1600g、ドデシルベンゼンスルホン酸4gを投入した後、撹拌下で温度を80℃に加温した。これに、ジメチルジメトキシシラン185g、フェニルトリメトキシシラン117gの混合液を反応容器中の温度を80℃に保った状態で約2時間かけて滴下し、その後、反応容器中の温度が80℃の状態で約1時間撹拌を続行した。次に、アクリル酸ブチル150g、テトラエトキシシラン30g、フェニルトリメトキシシラン145g、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン1.3gの混合液とジエチルアクリルアミド165g、アクリル酸3g、反応性乳化剤(商品名「アデカリアソープSR−1025」、旭電化社製、固形分25質量%水溶液)13g、過硫酸アンモニウムの2質量%水溶液40g、イオン交換水1900gの混合液とを、反応容器中の温度を80℃に保った状態で約2時間かけて同時に滴下した。さらに熱養生として、反応容器中の温度が80℃の状態で約4時間撹拌を続行した。その後室温まで冷却し、100メッシュの金網で濾過し固形分14.08質量%、水相成分8.91質量%、数平均粒子径131nmの重合体エマルジョン粒子(LTX−1)水分散体を得た。
重合体エマルジョン粒子(LTX−1)水分散体を、限外ろ過装置を用いてろ過し、水相成分を含有するろ液を得た。得られたろ液を5cm×5cmの青板ガラス上にディップコートした後、90℃で24時間乾燥させることにより、フィルム状の試験板を得た。得られた試験板のフィルム表面に脱イオン水の滴を乗せ、23℃で10秒間放置した後、初期接触角を測定したところ、58°であった。
(製造例2)
・重合体エマルジョン粒子(LTX−2)水分散体の合成
熱養生時間を1時間に変更した以外は製造例1と同様の方法で合成を行い、固形分14.09質量%、水相成分21.93質量%、数平均粒子径130nmの重合体エマルジョン粒子(LTX−2)水分散体を得た。
重合体エマルジョン粒子(LTX−2)水分散体を、限外ろ過装置を用いてろ過し、水相成分を含有するろ液を得た。得られたろ液を5cm×5cmの青板ガラス上にディップコートした後、90℃で24時間乾燥させることにより、フィルム状の試験板を得た。得られた試験板のフィルム表面に脱イオン水の滴を乗せ、23℃で10秒間放置した後、初期接触角を測定したところ、56°であった。
(実施例1)
表1に示す配合量でエタノール、水、及び1%n−ドデシルベンゼンスルホン酸(以下「1%DBS」とも記す。)を混合した後にテトラメトキシシランの部分加水分解縮合物(三菱化学社製「MS−56」)を25℃で加え、pH4になるまで1%塩酸水溶液を加えた。30分間撹拌した後、表1に示す配合量で重合体エマルジョン粒子(LTX−1)を加え、90分間撹拌してコーティング組成物を得た。得られたコーティング組成物を5cm角の青板ガラス基板上にディップコートした後、28%アンモニア水溶液(100g)が入ったテドラーバック(10L)中に静置し、8時間保持して塗膜を得た。得られた塗膜の水接触角、反射防止性能、鉛筆硬度、最高塗工膜厚を測定した。
(実施例2)
表1に示す配合量でエタノール、水、と1%n−ドデシルベンゼンスルホン酸を混合した後にテトラメトキシシランの部分加水分解縮合物(三菱化学社製「MS−56」)を25℃で加え、1%塩酸水溶液でpH4に調整した。1時間撹拌した後、表1に示す配合量で数平均粒子径8nmの粒子を有する水分散コロイダルシリカ(商品名「スノーテックスOS」、日産化学工業社製、固形分20質量%、以下「ST−OS」とも記す。)と重合体エマルジョン粒子(LTX−1)とを加え、30分撹拌してコーティング組成物を得た。得られたコーティング組成物を5cm角の青板ガラス基板上にディップコートした後、28%アンモニア水溶液(100g)が入ったテドラーバック(10L)中に静置し、8時間保持して塗膜を得た。得られた塗膜の水接触角、反射防止性能、鉛筆硬度、最高塗工膜厚を測定した。
(実施例3)
表1に示す配合量でエタノール、水、と1%n−ドデシルベンゼンスルホン酸を混合した後にテトラメトキシシランの部分加水分解縮合物(三菱化学社製「MS−56」)を25℃で加え、1%塩酸水溶液でpH4に調整した。1時間撹拌した後、表1に示す配合量で数平均粒子径8nmの粒子を有する水分散コロイダルシリカ(商品名「スノーテックスOS」、日産化学工業社製、固形分20質量%、以下「ST−OS」とも記す。)と重合体エマルジョン粒子(LTX−2)とを加え、30分撹拌してコーティング組成物を得た。得られたコーティング組成物を5cm角の青板ガラス基板上にディップコートした後、28%アンモニア水溶液(100g)が入ったテドラーバック(10L)中に静置し、8時間保持して塗膜を得た。得られた塗膜の水接触角、反射防止性能、鉛筆硬度、最高塗工膜厚を測定した。
(実施例4)
テトラメトキシシランの部分加水分解縮合物(三菱化学社製「MS−56」)及び重合体エマルジョン粒子(LTX−2)の配合量を表1に示すとおりに変更した以外は実施例3と同様にして塗膜を得た。得られたと塗膜の水接触角、反射防止性能、鉛筆硬度、最高塗工膜厚を測定した。
(比較例1)
表1に示す配合量で、エタノール、水を混合した後にテトラメトキシシランの部分加水分解縮合物(三菱化学社製「MS−56」を25℃で加え、30分撹拌してコーティング組成物を得た。得られたコーティング組成物を5cm角の青板ガラス基板上にスピンコートした後、28%アンモニア水溶液(100g)が入ったテドラーバック(10L)中に静置し、8時間保持して塗膜を得た。得られた塗膜の水接触角、反射防止性能、鉛筆硬度、最高塗工膜厚を測定した。
(比較例2)
表1に示す配合量で、エタノール、水を混合した後にテトラメトキシシランの部分加水分解縮合物(三菱化学社製「MS−56」を25℃で加え、1%塩酸水溶液でpH4に調整した。1時間撹拌した後、表1に示す配合量で数平均粒子径8nmの粒子を有する水分散コロイダルシリカ(商品名「スノーテックスOS」、日産化学工業社製、固形分20質量%)と重合体エマルジョン粒子(LTX−2)とを加え、30分撹拌してコーティング組成物を得た。得られたコーティング組成物を5cm角の青板ガラス基板上にディップコートした後、空気が入ったテドラーバック(10L)中に静置し、8時間保持して塗膜を得た。得られたと塗膜の水接触角、反射防止性能、鉛筆硬度、最高塗工膜厚を測定した。
(比較例3)
表1に示す配合量で、エタノール、水、と1%n−ドデシルベンゼンスルホン酸を混合した後にテトラメトキシシランの部分加水分解縮合物(三菱化学社製「MS−56」を25℃で加え、pH8になるまで5%アンモニア水溶液を加えた。30分間撹拌した後、重合体エマルジョン粒子(LTX−1)を加え、90分間撹拌してコーティング組成物を得た。得られたコーティング組成物を5cm角の青板ガラス基板上にディップコートした後、28%アンモニア水溶液(100g)が入ったテドラーバック(10L)中に静置し、8時間保持して塗膜を得た。得られたと塗膜の水接触角、反射防止性能、鉛筆硬度、最高塗工膜厚を測定した。
実施例及び比較例の結果を表1に示す。
表1に示されるように、各実施例の塗膜は親水性、反射防止性、鉛筆硬度に優れ、厚膜時の耐クラック性が優れることが確認された。
本発明の製造方法で得られた塗膜は、親水性、反射防止性、鉛筆硬度に優れ、厚膜時の耐クラック性が優れるため、太陽電池モジュールや太陽熱発電システム等といった各種エネルギー生産装置の部材等として利用することができ、太陽光の透過性や集光性が良好な太陽電池用の保護部材、太陽熱発電用の光反射鏡の部材等として好適に用いることができる。
2…太陽電池モジュール
20…保護部材
22…バックシート
24…発電素子
26…封止材
202…基盤
204…塗膜
3…リフレクター装置
30…積層体(保護部材)
32…光反射鏡
34…支持体

Claims (11)

  1. (A)重合体粒子及び(B)加水分解性珪素含有化合物を含み、pHが7以下であるコーティング組成物を基材上に塗布した後、塩基性雰囲気下で縮合及び養生する工程を含む、機能性塗膜の製造方法。
  2. 前記(A)成分が、
    (a1)成分:加水分解性珪素化合物と、
    (a2)成分:ビニル単量体と、
    (a3)成分:乳化剤と、
    (a4)成分:水と、
    を含む重合原液中で、前記(a1)成分と前記(a2)成分とを重合して得られる重合体エマルジョン粒子であり、
    前記(A)成分の数平均粒子径が10nm〜800nmである、請求項1に記載の機能性塗膜の製造方法。
  3. 前記コーティング組成物が、さらに(C)数平均粒子径1nm〜400nmの金属酸化物粒子を含む、請求項1または2に記載の機能性塗膜の製造方法。
  4. 前記(A)成分の水相成分の含有率が、15質量%以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の機能性塗膜の製造方法。
  5. (B)加水分解性珪素含有化合物、(D)水及び(E)酸触媒を含み、pHが7以下である溶液に、
    (i)(A)重合体粒子、又は
    (ii)(C)数平均粒子径1nm〜400nmの金属酸化物粒子及び(A)重合体粒子
    を加えてコーティング組成物を調製する工程を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の機能性塗膜の製造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の製造方法によって得られる機能性塗膜。
  7. 太陽電池モジュールの保護部材用である、請求項6に記載の機能性塗膜。
  8. 光反射鏡の保護部材用である、請求項6に記載の機能性塗膜。
  9. 請求項6に記載の機能性塗膜を含む部材。
  10. 請求項6に記載の機能性塗膜を含む太陽電池モジュール。
  11. 請求項6に記載の機能性塗膜を含むリフレクター装置。
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