JP2017193688A - 親水性付与剤、親水性被膜形成方法、親水性被膜、及び太陽光パネル - Google Patents

親水性付与剤、親水性被膜形成方法、親水性被膜、及び太陽光パネル Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、被処理物に対し、高い親水性を付与できるうえ、太陽光パネルの保護カバーなどの透光性材料に対しては、更に赤外領域の透光性の向上を可能にする新規な親水性付与剤、及び親水性被膜形成方法を提供することを目的とする。又、本発明は、前記親水性被膜形成方法によって形成された親水性被膜、並びに、保護カバーの表面に前記親水性被膜が形成されてなる太陽光パネルを提供することも目的とする。【解決手段】 シリケート又はシリカ、からなるケイ酸系微粒子と、溶媒と、を具備し、且つ、前記ケイ酸系微粒子が、最頻値10nm以下の小径群と、最頻値15〜30nmの大径群と、を少なくとも含んでなり、前記溶媒中に、前記小径群と前記大径群とが、3:1〜1:5の重量比率にて配合されてなる親水性付与剤にて被処理物に親水性を付与する。【選択図】図1

Description

本発明は、被処理物に親水性被膜を形成するための親水性付与剤、及び親水性被膜形成方法に関するものであり、更に、親水性被膜、並びに、保護カバーの表面に前記親水性被膜が形成されてなる太陽光パネルに関する。
太陽光パネル(ソーラーパネル)は、主として太陽からの光エネルギーを受け、光起電力効果によって電気を発生させる発電手段である。前記太陽光パネルは、家屋の屋根等の屋外に設置されるものが多いため、風雨に晒されることになる。そのため、通常、前記太陽光パネルの表面には保護カバーが設けられる。
前記太陽光パネルによって効率の高い光発電を実現するにあたっては、前記太陽光パネルに存するセルにできるだけ多くの光エネルギーを取り込む必要がある。そのため、前記保護カバーには、高い透光性と、汚れ難い性能とが要求される。
最近では、前記保護カバーに親水性を付与し、もって、降雨時に、前記保護カバーの表面に付着した汚れが除去されるようにする手段が開発されている(例えば、下記特許文献1参照。)。
特開2013‐80067号公報
前記特許文献1に開示された塗布液は、帯電防止材料(平均粒径が2nm以下の酸化スズ)と、低屈折材料(平均粒径が10nm以下のシリカ)と、親水性材料(平均粒径2nm以下のアモルファスシリカ)と、を溶媒中に分散させたものである。この塗布液を太陽光パネルの保護カバーに塗布すれば、前記帯電防止材料が前記保護カバーの帯電を抑制することによって汚れが付着し難くなり、又、前記低屈折材料が前記保護カバーの表面反射を抑制することによって光線透過率が向上し、更に、前記親水性材料が前記保護カバーの接触角を下げることによって親水性が付与されると記載されている。
但し、係る手段によって透過率を向上させ得る保護カバーは、いわゆるAR(Anti Reflection)コートがなされていないものに限られる。
通常、ARコートがなされていない保護カバーの光線透過率は、可視光領域から赤外領域にかけて85%前後となる。このARコートがなされていない保護カバーに対し、本発明者が作製した、最頻値10nm以下のシリカを溶媒に分散させた薬液に塗布したところ、可視光領域から赤外領域にかけて0.5〜1%程度、光線透過率が改善されることが確認された。
一方、ARコートがなされた保護カバーの光線透過率は、可視光領域から赤外領域にかけて88%前後のものが一般的である。本発明者が、この保護カバーに対し、前記薬液を塗布したところ、光線透過率が下がることが確認された。現在、太陽光パネルの保護カバーとしてはARコートがなされたものが主流であり、従って、係るARコートがなされた保護カバーの光線透過率を向上させる手段が求められている。
本発明は、前記技術的課題に鑑みて完成されたものであり、被処理物に対し、高い親水性を付与できるうえ、太陽光パネルの保護カバーなどの透光性材料に対しては、更に赤外領域の透光性の向上を可能にする新規な親水性付与剤、及び親水性被膜形成方法を提供することを目的とする。又、本発明は、前記親水性被膜形成方法によって形成された親水性被膜、並びに、保護カバーの表面に前記親水性被膜が形成されてなる太陽光パネルを提供することも目的とする。
前記技術的課題を解決するための本発明の親水性付与剤は、被処理物に親水性被膜を形成するための親水性付与剤であって、シリケート又はシリカからなるケイ酸系微粒子と、溶媒と、を具備し、前記ケイ酸系微粒子が、最頻値10nm以下の小径群と最頻値15〜30nmの大径群とを含んでなり、前記溶媒中に前記小径群と前記大径群とが、3:1〜1:5の重量比率にて配合されてなることを特徴とする(以下、「本発明剤」と称する。)。
前記本発明剤は、前記被処理物に前記親水性被膜を形成するために用いられるものである。前記「被処理物」としては、特に限定されるものではなく、例えば、建物外壁、自動車外装、窓、太陽光パネルの保護カバー等を挙げることができる。
本発明において、前記「ケイ酸系微粒子」は、「シリケートの微粒子又はシリカの微粒子、から選ばれた少なくとも一種以上」を意味する。前記シリケート(ケイ酸塩)は、一個又は複数個のケイ素原子を中心として、酸素等の電気陰性な配位子がこれを取り囲んだ構造を持つアニオンと、ナトリウムイオンやアンモニウムイオンなどのカチオンと、を具備する化合物である。一方、前記シリカ(SiO)は、ケイ素原子周りが負電荷を帯びないため、カチオンを具備しないが、ケイ酸塩の一種とされている。
ここで、前記本発明剤において、前記ケイ酸系微粒子としてシリカの微粒子を用いた場合、形成された前記親水性被膜の前記被処理物に対する結びつきは、主として分子間力によるものとなる。一方、前記本発明剤において、前記ケイ酸系微粒子としてシリケートの微粒子を用いた場合、形成された前記親水性被膜の前記被処理物に対する結びつきは、前記分子間力に加えて、シラノール反応によって生じたシロキサンによる化学的な結合によるものとなる。
そして、前記本発明剤では、前記ケイ酸系微粒子として、最頻値10nm以下(好ましくは、1〜7nm)の小径群と、最頻値15〜30nm(好ましくは、20〜30nm)の大径群と、を少なくとも含むものが用いられる。
本発明において「最頻値」とは、前記ケイ酸系微粒子からなる一群(前記大径群若しくは前記小径群)を母集団とし、レーザー解析・散乱法によって粒度分布測定した場合の、最も出現比率の高い粒径を意味する。本発明においては、前記母集団となる前記ケイ酸系微粒子の一群につき、前記最頻値が、±10%以内(より好ましくは±5%以内)の相違で平均粒径と一致する正規分布に近い粒度分布を有するものを用いることが好ましい。
なお、前記ケイ酸系微粒子には、アンモニア安定化タイプや、ナトリウム安定化タイプなど、表面処理の違いによる各種タイプが存在するが、本発明においてはいずれのタイプを用いても良い。
又、前記本発明剤では、前記溶媒中に、前記小径群と前記大径群とが、3:1〜1:5の重量比率にて配合される。
前記「溶媒」としては、前記ケイ酸系微粒子を分散し得るものであれば、特に限定されるものではなく、例えば、水や、アルコール等の有機溶媒から選択された液状媒体を単独、又は混合して用いることができる。前記被処理物に対する本発明剤の濡れ性を向上させる観点からは、イソプロピルアルコール等の低級アルコールを前記溶媒として用いることが好ましい。但し、溶媒として前記低級アルコールを用いる場合にあっては、消泡性及び引火性を鑑みて、水を40重量%以上(好ましくは、50重量%以上)配合することが好ましい。
なお、前記溶媒中に配合させる前記ケイ酸系微粒子の総量は、被処理物の種類、前記被処理物に対する前記本発明剤の塗布量、塗布回数に応じて決定されるものであり、特に限定されるものではない。但し、塗布回数が多くなれば塗布作業が煩雑なものとなるため、一〜三回程度の塗布作業によって前記親水性被膜が形成され得るように、前記本発明剤中に含まれる前記ケイ酸系微粒子の配合割合を決定することが好ましい。
より具体的な例を挙げると、被処理物がARコートされた保護カバーを有する太陽光パネルの場合にあっては、前記ケイ酸系微粒子の配合割合を0.5±0.2重量%とすることが好ましい。
一方、被処理物がARコートされた保護カバーを有する太陽光パネル以外の場合(ARコートされていない保護カバーを有する太陽光パネルを含む)にあっては、前記ケイ酸系微粒子の配合割合を、1.5±0.5重量%とすることが好ましい。
なお、本発明剤においては、前記溶媒中に前記ケイ酸系微粒子以外の成分を含むことを否定するものではなく、例えば、帯電防止剤等の所望の成分が配合されていても良い。
本発明の親水性被膜形成方法は、被処理物に親水性被膜を形成する親水性被膜形成方法であって、最頻値10nm以下の小径群と最頻値15〜30nmの大径群とを少なくとも含むシリケート又はシリカからなるケイ酸系微粒子が、前記小径群と前記大径群とが3:1〜1:5の重量比となるように溶媒に配合された親水性付与剤を、前記被処理物に、一ないし複数回塗布する塗布工程を実行することを特徴とする(以下、「本発明方法」と称する。)。
前記本発明剤は、前記溶媒中に前記小径群と前記大径群とを共存させた一液タイプのものとなされているが、前記本発明方法を実行するにあたっては、例えば、前記溶媒中に前記小径群を分散させた第一薬液と、前記溶媒中に前記大径群を分散させた第二薬液とを、準備し、前記塗布工程実行時に混合する二液混合タイプを親水性付与剤として用いても良い。又、前記ケイ酸系微粒子を過剰に含んでなる原液を準備し、前記塗布工程実行時に前記溶媒にて希釈することによって所望の濃度の親水性付与剤を調整しても良い。勿論、前記本発明方法を実行するにあたり、前記本発明剤と同様の一液タイプを用いても良い。
前記本発明方法においては、前記塗布工程の実行前に、ポリシラザンを少なくとも含む下処理剤を、前記被処理物に塗布する下処理工程を実行することが好ましい態様となる。
前記ポリシラザンは、「‐(SiHNH)‐」を基本ユニットとする無機ポリマーである。このポリシラザンが有機溶媒等に溶解された下処理剤を前記被処理物に塗布すれば、大気中の水分と反応して脱アンモニア反応が起こり、前記被処理物との密着性に優れた緻密なシリカ被膜が形成される。前記脱アンモニア反応は、比較的ゆっくりと進むため、前記塗布工程の実行前に、前記下処理工程を実行すれば、前記被処理物に対する前記親水性被膜の結びつきがより強固になり、前記親水性被膜の耐久性が向上する。
前記下処理剤中に含まれる前記ポリシラザンの配合割合は、塗布量や塗布回数に応じて決定されるものであり、特に限定されるものではないが、0.1〜1重量%の範囲内(より好ましくは、0.3〜0.7重量%の範囲内)とすることが好ましい。
本発明の親水性被膜は、シリケート又はシリカからなるケイ酸系微粒子を含む親水性皮膜であって、前記ケイ酸系微粒子が、最頻値10nm以下の小径群と最頻値15〜30nmの大径群とを含んでなり、前記小径群と前記大径群とが、3:1〜1:5の重量比率にて含まれてなることを特徴とする(以下、「本発明被膜」と称する。)。
前記本発明被膜においては、接触角5度以下の親水性を有するものが好ましい態様となる。
本発明の太陽光パネルは、保護カバーの表面に、前記本発明被膜が形成されてなることを特徴とする(以下、「本発明パネル」と称する。)。
本発明によれば、被処理物に対し、高い親水性を付与できるうえ、太陽光パネルの保護カバーなどの透光性材料に対しては、特に赤外領域の光線に対する透光性の向上が可能となる。
図1は、ARコートがなされていない保護パネルの光線透過率を示すチャートである。 図2は、ARコートがなされた保護パネルの光線透過率を示すチャートである。
以下、本発明を実施するための形態を説明するが、本発明はこの実施形態に限定されるものではない。
下記表1〜3に実施例1〜24に係る本発明剤の処方、及び比較例1〜18に係る薬液の処方を示す。各実施例に係る本発明剤、及び各比較例に係る薬液は、大径群と小径群の重量比が各表中に記載の値となされたケイ酸系微粒子を、溶媒に分散させることによって調製したものである。
Figure 2017193688
Figure 2017193688
Figure 2017193688
<試験1>
‐被処理物‐
ARコートがなされた太陽光パネル用の保護カバー
‐本発明剤‐
実施例1〜24に係る本発明剤(ケイ酸系微粒子の配合割合を0.5±0.2重量%としたもの)
‐本発明方法‐
前記保護カバーの表面に本発明剤を塗布する塗布工程を実行することによって、本発明被膜を形成する。なお、本発明方法の実行は、下処理工程を実行しない場合と、下処理工程を実行する場合と、の二通りを行った。
‐下処理工程を実行しない場合(NPC)‐
前記保護カバーの片側面を水溶性シリコンオフにて脱脂洗浄した後、前記本発明剤を均一に塗布(10mg/m)する塗布工程を実行し、もって、前記保護カバーの片側面に本発明被膜を形成する。
‐下処理工程を実行する場合(PC)‐
前記保護カバーの片側面を水溶性シリコンオフにて脱脂洗浄した後、下処理剤(0.5重量%ポリシラザン水溶液)を均一に塗布(10ml/m(25℃))する下処理工程を実行する。15分の自然乾燥の後、前記本発明剤を均一に塗布(10ml/m(25℃))する塗布工程を実行し、もって、前記保護カバーの片側面に本発明被膜を形成する。
<評価試験>
‐濡れ性の評価‐
前記塗布工程の実行の際に、前記保護カバーに対する前記本発明剤の濡れ性(塗り易さ)を評価する。なお、濡れ性を評価する記号は、◎◎を最良とし、以下、◎→○→△→×の順に濡れ性が劣っていることを意味する。
‐接触角の測定‐
又、前記塗布工程を実行した後、12時間自然乾燥させることによって、前記保護カバーの片側面に本発明被膜を形成させ、接触角を測定する。なお、前記接触角は、前記本発明被膜の表面に蒸留水1μlを滴下し、1秒経過時の水滴の接触角を、接触角測定装置(CAX‐150(協和界面化学株式会社製))にて測定することによって得られた値である。
‐耐摩耗性の評価‐
更に、前記保護カバーの片側面に形成された前記本発明被膜を、洗車用スポンジで縦横一回ずつ擦り、水道水で洗い流した後、ウェスにて拭き上げるといった摩耗工程を複数回繰り返す。そして、前記摩耗工程を五回施行する度に前記接触角を測定し、前記摩耗工程を何回施行すれば親水性が喪失されるかを評価した。なお、耐摩耗性を評価する記号は、下記を意味するものとする。
◎:50回施行後も接触角を維持する。
○:40回施行後まで接触角を維持する。
△:30回施行後まで接触角を維持する。
×:30回施行までに接触角が大きくなる。
前記評価試験の結果を下記表4に示す。
Figure 2017193688
<比較試験1>
比較試験として、前記比較例1〜18に係る薬液を用い、前記試験1に準じて、前記保護カバーの片側面に形成した被膜についても同様の条件下で評価した。結果を下記表5に示す。
Figure 2017193688
<試験2>
‐被処理物‐
ARコートがなされていない太陽光パネル用の保護カバー
‐本発明剤‐
実施例1〜24に係る本発明剤(ケイ酸系微粒子の配合割合を1.5±0.5重量%としたもの)
‐本発明方法‐
前記保護カバーの表面に本発明剤を塗布する塗布工程を実行することによって、本発明被膜を形成する(その余は、試験1と同様)。
<評価試験>
試験1と同様にして、濡れ性、接触角、耐摩耗性を評価する。前記評価試験の結果を下記表6に示す。
Figure 2017193688
<比較試験1>
比較試験として、前記比較例1〜18に係る薬液を用い、前記試験2に準じて、前記保護カバーの片側面に形成した被膜についても同様の条件下で評価した。結果を下記表5に示す。
Figure 2017193688
<考察>
‐濡れ性‐
濡れ性については、前記ケイ酸系微粒子の最頻値が大きくなるにつれて悪くなる傾向が確認された(表5、表7参照)。但し、前記ケイ酸系微粒子中に前記大径群と前記小径群とを共存させてなる本発明剤については、いずれも十分に良好な濡れ性を示すことが確認された(表4、表6参照)。又、溶媒として水のみを用いた場合よりも、溶媒として低級アルコールを含む液状媒体を用いた場合の方が、良好な濡れ性を示すことが確認された。
‐接触角‐
接触核については、前記ケイ酸系微粒子の最頻値が小さくなるにつれて大きくなり、親水性が低くなる傾向が確認された(表5、表7参照)。但し、前記ケイ酸系微粒子中に前記大径群と前記小径群とを共存させてなる本発明剤によって形成された本発明被膜については、いずれも十分に小さな接触角を示しており、高い親水性を有することが確認された(表4、表6参照)。
‐耐摩耗性‐
耐摩耗性については、前記ケイ酸系微粒子の最頻値が大きくなるにつれて、悪くなることが確認された(表5、表7参照)。但し、前記ケイ酸系微粒子中に前記大径群と前記小径群とを共存させてなる本発明剤によって形成された本発明被膜については、十分な耐摩耗性を有することが確認された(表4、表6参照)。又、前記ケイ酸系微粒子としてシリケートを用いた場合、シラノール反応によって生じたシロキサンによる化学的な結合が、耐摩耗性をより向上させることが確認された。更に、ポリシラザンを含む下処理剤にて下処理工程を実行することによって、より一層耐摩耗性が向上することが確認された。
<試験3>
‐透光性の評価‐
本発明皮膜が形成された太陽光パネル用の保護カバー(試験1及び試験2によって得られたもの)について、波長300nm〜1500nmの範囲の光線透過率を測定することによって、各保護カバーの透光性を評価した。なお、光線透過率の測定は、株式会社島津製作所製、SolidSpec-3700を用いて行った。
図1、及び図2に、波長300nm〜1500nmの範囲の光線透過率を検証したチャートを示す。なお、図1に示すチャートは、ARコートがなされていない保護カバーについての光線透過率を測定したものであり、図2に示すチャートはARコートがなされた保護カバーについての光線透過率を測定したものである。又、チャート中の点線は、本発明方法実行前の未処理の保護カバーについての透光性を示すものであり、チャート中の実線は、前記実施例4に係る本発明剤によって本発明被膜が形成された保護カバー(NPC)についての透光性を示すものである。
図1のチャートに示すように、ARコートがなされてない保護カバーについては、波長300nm〜1500nmの全領域にわたって、光線透過率が向上していることが確認された。
一方、図2のチャートに示すように、ARコートがなされた保護カバーついては、波長450nm未満の光線透過率が、未処理の保護カバーの光線透過率より低くなっている。即ち、ARコートがなされた保護カバーの表面に形成されている本発明被膜は、波長450nm以下の光線の透過を阻害するものと言える。
しかしながら、波長450nm以上の光線については、広範囲にわったって透過率が向上しているため、係る保護カバーを透過し得る光線の総量は、未処理の保護カバーより多くなる。
ここで、波長450nm以上の光線は、赤外領域の光線(赤外線)を多く含むものであり、従って、太陽光パネルの保護カバーに本発明被膜を形成すれば、赤外領域の光線を良好に取り込み得る特性を付与することができる。
そして、赤外領域の光線を良好に取り込み得る特性を有する本発明パネルは、特に、朝夕や曇曇天時の薄暗い時間帯において、効率の良い発電を可能にする。
又、本発明パネルは、保護パネルに親水性の高い本発明被膜が形成されているため、汚れ難い特性を有する。
即ち、本発明パネルは、高い光線透過率と、汚れ難い二つの特性を有するものとなり、安定した発電能力を維持し得るものとなる。実際に1日当たりの発電量を測定すると、未処理の保護カバーの場合と比較して3%以上(3〜5%程度)の発電量の増加が確認された。
なお、図1及び図2に示すチャートは、前記実施例4に係る本発明剤によって本発明被膜が形成された保護カバーについての透光性を検証したものであるが、その他の実施例に係る本発明剤によって本発明被膜が形成された保護カバーについても同様の挙動を示すことが確認されている。
本発明は、その精神又は主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形態で実施することができる。そのため、上述の実施形態(実施例)はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には何ら拘束されない。更に、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、すべて本発明の範囲内のものである。
本発明は、自動車の車体や、建築物の内外装、トイレ、台所、洗面所、浴槽などの水回り製品、看板、標識、プラスチック製品、ガラス製品等の各種製品に対して良好な防汚特性を付与する手段として好適に利用することができる。又、効率の高い光発電を実現する太陽光パネルを構築する手段として好適に利用することもできる。

Claims (7)

  1. 被処理物に親水性被膜を形成するための親水性付与剤であって、
    シリケート又はシリカからなるケイ酸系微粒子と、
    溶媒と、
    を具備し、
    前記ケイ酸系微粒子が、最頻値10nm以下の小径群と最頻値15〜30nmの大径群とを含んでなり、
    前記溶媒中に前記小径群と前記大径群とが、3:1〜1:5の重量比率にて配合されてなることを特徴とする親水性付与剤。
  2. 請求項1に記載の親水性付与剤において、
    前記ケイ酸系微粒子の配合割合が、0.5±0.2重量%となされた親水性付与剤。
  3. 請求項1に記載の親水性付与剤において、
    前記ケイ酸系微粒子の配合割合が、1.5±0.5重量%となされた親水性付与剤。
  4. 被処理物に親水性被膜を形成する親水性被膜形成方法であって、
    最頻値10nm以下の小径群と最頻値15〜30nmの大径群とを少なくとも含むシリケート又はシリカからなるケイ酸系微粒子が、前記小径群と前記大径群とが3:1〜1:5の重量比となるように溶媒に配合された親水性付与剤を、
    前記被処理物に、一ないし複数回塗布する塗布工程を実行することを特徴とする親水性被膜形成方法。
  5. 請求項4に記載された親水性被膜形成方法において、
    前記塗布工程の実行前に、ポリシラザンを少なくとも含む下処理剤を、前記被処理物に塗布する下処理工程を実行する親水性被膜形成方法。
  6. シリケート又はシリカからなるケイ酸系微粒子を含む親水性皮膜であって、
    前記ケイ酸系微粒子が、最頻値10nm以下の小径群と最頻値15〜30nmの大径群とを含んでなり、
    前記小径群と前記大径群とが、3:1〜1:5の重量比率にて含まれてなることを特徴とする親水性被膜。
  7. 保護カバーの表面に、請求項6に記載の親水性被膜が形成されてなることを特徴とする太陽光パネル。
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