JP2016081837A - 燃料マニホールド - Google Patents
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Abstract
【課題】燃料電池のスタック構造体に使用される燃料マニホールドであって、外力によって基部及び支持板が変形した場合において基部と支持板との接合部に剥離が生じ難い構造を備えたものを提供すること。【解決手段】燃料マニホールド200は、基部210と、支持板220とを備える。基部の側壁212は、基部の底壁211の周縁部の全周から上方に向けて延在する第1側壁部212aと、第1側壁部212aの上端部の全周から横方向外側に向けて延在する第2側壁部212bと、第2側壁部212bの横方向外側端部の全周から上方に向けて延在する第3側壁部212cとを備える。「支持板220の周縁部の下面及び基部の第2側壁部212bの上面」、並びに、「支持板220の周縁部の側面及び基部の第3側壁部212cの内側面」が、全周に亘って接合材240を介して接合される。【選択図】図9
Description
本発明は、燃料電池のスタック構造体に使用される燃料マニホールドに関する。
従来より、「それぞれの内部に燃料ガス流路が形成された複数の燃料電池セル」が設けられた「燃料マニホールド」が広く知られている(例えば、特許文献1を参照)。この燃料マニホールドは、その内部空間内の燃料ガスを前記複数の燃料電池セルのそれぞれの前記燃料ガス流路に供給する機能を果たす。
上記文献に記載の燃料マニホールドは、「底壁と周方向に閉じた側壁とを備え、上方に向けて開口する基部」と、「前記複数の燃料電池セルを支持する平板状の支持板であって、前記開口を塞ぐように前記基部の側壁と支持板の周縁部とが全周に亘って接合材を介して接合された支持板」と、で構成された筐体である。
一般に、燃料マニホールド内で高温の燃料ガスが流通する燃料電池の稼働中などでは、燃料マニホールドを構成する基部及び支持板に対して熱応力等に起因する外力が作用し易い。基部及び支持板は、外力を受けることによって変形し得る。基部及び支持板が変形すると、基部と支持板との接合部に応力が作用して、前記接合部に剥離が発生するという問題が発生し得る。外力によって基部及び支持板が変形した場合において基部と支持板との接合部に剥離が生じ難い構造を備えた燃料マニホールドの到来が望まれているところである。
以上より、本発明は、燃料電池のスタック構造体に使用される燃料マニホールドであって、外力によって基部及び支持板が変形した場合において基部と支持板との接合部に剥離が生じ難い構造を備えたものを提供することを目的とする。
本発明に係る燃料マニホールドの特徴は、前記基部の側壁が、「前記基部の底壁の周縁部の全周から上方に向けて延在する、周方向に閉じた第1側壁部」と、「前記第1側壁部の上端部の全周から横方向外側に向けて延在する、周方向に閉じた第2側壁部」と、「前記第2側壁部の横方向外側端部の全周から上方に向けて延在する、周方向に閉じた第3側壁部」とを備え、「前記支持板の周縁部の下面及び前記基部の第2側壁部の上面」、並びに、「前記支持板の周縁部の側面及び前記基部の第3側壁部の内側面」が、全周に亘って前記接合材を介して接合されたことにある。
ここにおいて、前記接合材における「前記支持板の周縁部の下面及び前記基部の第2側壁部の上面を全周に亘って接合する第1接合部」と、前記接合材における「前記支持板の周縁部の側面及び前記基部の第3側壁部の内側面を全周に亘って接合する第2接合部」とは、連続していても、分離していてもよい。前記基部の側壁は、前記基部用の板状部材に対して深絞り加工を行うことによって形成されることが好適である。なお、前記「周方向」とは、燃料マニホールドを上方からみたときの「周方向」を指す。
上記構成によれば、接合材における「第1接合部」と「第2接合部」とによって、燃料マニホールドの基部と支持板とが全周に亘って強固に接合される。従って、外力によって基部及び支持板が変形した場合においても、基部と支持板との接合部に剥離が生じ難い。
上記本発明に係る燃料マニホールドにおいては、前記接合材における「第1接合部」と「第2接合部」とが連続しており、前記接合材が「前記第2接合部の全周から連続するとともに、前記支持板の周縁部の上面を全周に亘って覆う第3接合部」を備えることが好適である。これによれば、支持板の周縁部の下面及び側面を基部と接合する接合材が、支持板の周縁部の上面を覆うことによって、基部からの支持板の剥離を強固に抑制することができる。
また、上記本発明に係る燃料マニホールドにおいては、前記基部の側壁が、「前記第3側壁部の上端部の全周から横方向外側に向けて延在する、周方向に閉じた第4側壁部」と、「前記第4側壁部の横方向外側端部の全周から下方に向けて延在する、周方向に閉じた第5側壁部」とを備えることが好適である。
(スタック構造体に使用されるセルの構成の一例)
先ず、本発明の実施形態に係る燃料マニホールドが使用された、固体酸化物形燃料電池(SOFC)のスタック構造体に使用されるセル100の一例について、図1〜図2を参照しながら説明する。
先ず、本発明の実施形態に係る燃料マニホールドが使用された、固体酸化物形燃料電池(SOFC)のスタック構造体に使用されるセル100の一例について、図1〜図2を参照しながら説明する。
図1に示すセル100は、長手方向(x軸方向)を有する平板状の支持基板10の上下面(互いに平行な両側の主面(平面))のそれぞれに、電気的に直列に接続された複数(本例では、4つ)の発電素子部Aが長手方向において所定の間隔をおいて配置された、所謂「横縞型」と呼ばれる構成を有する。
このセル100の全体を上方からみた形状は、例えば、長手方向(x軸方向)の辺の長さL1が50〜500mmで長手方向に直交する幅方向(y軸方向)の長さL2が10〜100mmの長方形である(L1>L2)。このセル100の厚さL3(z軸方向の距離)は、1〜5mmである(L2>L3)。
このセル100は支持基板10を備える。支持基板10は、電子伝導性を有さない多孔質の材料からなる平板状の焼成体である。支持基板10の内部には、長手方向に延びる複数(本例では、6本)の燃料ガス流路11(貫通孔)が幅方向において所定の間隔をおいて形成されている。支持基板10は、例えば、CSZ(カルシア安定化ジルコニア)で構成され得る。
支持基板10の上下面のそれぞれに配置された各発電素子部Aは、燃料極、固体電解質膜、及び空気極が少なくともこの順に積層された積層焼成体である。燃料極は、例えば、NiO(酸化ニッケル)とYSZ(8YSZ)(イットリア安定化ジルコニア)とで構成され得る。固体電解質膜は、例えば、YSZ(8YSZ)(イットリア安定化ジルコニア)で構成され得る。空気極は、例えば、LSCF=(La,Sr)(Co,Fe)O3(ランタンストロンチウムコバルトフェライト)で構成され得る。
図1に示す「横縞型」のセル100に対して、図2に示すように、支持基板10の燃料ガス流路11内に燃料ガス(水素ガス等)を流すとともに、支持基板10の上下面に沿って酸素を含むガス(空気等)を流すことにより、各発電素子部Aにおいて、固体電解質膜の表裏面間に生じる酸素分圧差によって起電力が発生する。更に、セル100を外部の負荷に接続すると、下記(1)、(2)式に示す化学反応が起こり、セル100内にて電流が流れる(発電状態)。この発電状態にて、セル100から電力が取り出される。
(1/2)・O2+2e−→O2− (於:空気極) …(1)
H2+O2−→H2O+2e− (於:燃料極) …(2)
(1/2)・O2+2e−→O2− (於:空気極) …(1)
H2+O2−→H2O+2e− (於:燃料極) …(2)
(スタック構造体の全体構成の一例)
次に、上述したセル100を用いた本発明の実施形態に係る固体酸化物形燃料電池(SOFC)のスタック構造体について説明する。図3に示すように、このスタック構造体は、多数のセル100と、多数のセル100のそれぞれに燃料ガスを供給するためのマニホールドである燃料マニホールド200と、を備えている。燃料マニホールド200は、長手方向(z軸方向)を有する直方体状の筐体である。
次に、上述したセル100を用いた本発明の実施形態に係る固体酸化物形燃料電池(SOFC)のスタック構造体について説明する。図3に示すように、このスタック構造体は、多数のセル100と、多数のセル100のそれぞれに燃料ガスを供給するためのマニホールドである燃料マニホールド200と、を備えている。燃料マニホールド200は、長手方向(z軸方向)を有する直方体状の筐体である。
燃料マニホールド200は、例えば、「底壁と側壁とを備え且つ上方に向けて開口する基部210」と、「基部210の上に配置され且つ前記開口を塞ぐ平板状の支持板(上壁)220」と、で構成される。支持板220は、多数のセル100を支持する機能を備える。燃料マニホールド200(=基部210+支持板220)は、例えば、ステンレス鋼等で構成されている。基部210と支持板220との形状、並びに、両者の接合・固定については、後に詳述する。
図3、及び図4に示すように、燃料マニホールド200には、外部から燃料マニホールド200の内部空間に燃料ガスを導入するための導入管230が設けられている。図3、及び図4に示す例では、導入管230は、支持板220の四隅部の1つから上方(x軸正方向)に向けて突出するように、支持板220に対して接合・固定されている。導入管230も、例えば、ステンレス鋼等で構成されている。この導入管230は、例えば、支持板220に形成された貫通孔に挿入された状態にて溶接されることによって、支持板220に接合・固定されている。
各セル100が、支持板220から上方(x軸正方向)に向けてそれぞれ突出するように、且つ、複数のセル100が燃料マニホールド200の長手方向(z軸方向)に沿って互いに離れてスタック状に整列するように、各セル100における支持基板10の長手方向(x軸方向)の燃料ガス流入側の端部(一端部)が、支持板220に対して接合材を用いて接合・支持されている。各セル100における支持基板10の長手方向(x軸方向)の燃料ガス排出側の端部(他端部)は、自由端となっている。従って、このスタック構造は、「片持ちスタック構造」と表現することができる。
図4に示すように、支持板220(燃料マニホールド200の上壁)には、燃料マニホールド200の内部空間と連通する多数の挿入孔221が、z軸方向において同じ間隔をおいて形成されている。各挿入孔221には、対応するセル100の前記一端部がそれぞれ挿入される。
図4に示すように、各挿入孔221の形状は、長さL4、幅L5のy軸方向に延在する長円形状(L4>L5)を呈している。挿入孔221の長さL4は、セル100の一端部の側面の長さL2(図1を参照)より0.2〜3mm大きい。同様に、挿入孔221の幅L5は、セル100の一端部の側面の幅L3(図1を参照)より0.2〜3mm大きい。即ち、図6、及び図7に示すように、セル100の前記一端部が挿入孔221に挿入された状態では、挿入孔221の内壁とセル100の前記一端部の外壁との間に隙間が形成される。なお、図6、及び図7(特に、図6)では、前記隙間が誇張して描かれている。
図6、及び図7に示すように、挿入孔221とセル100の前記一端部との接合部のそれぞれにおいて、固化された接合材300が前記隙間に充填されるように設けられている。これにより、各挿入孔221と対応するセル100の前記一端部とがそれぞれ接合・固定されている。図7に示すように、各セル100のガス流路11の前記一端部は、燃料マニホールド200の内部空間と連通している。
接合材300は、結晶化ガラスで構成される。結晶化ガラスとしては、例えば、SiO2−B2O3系、SiO2−CaO系、MgO−B2O3系が採用され得るが、SiO2−MgO系のものが最も好ましい。なお、本明細書では、結晶化ガラスとは、全体積に対する「結晶相が占める体積」の割合(結晶化度)が60%以上であり、全体積に対する「非晶質相及び不純物が占める体積」の割合が40%未満のガラス(セラミックス)を指す。結晶化ガラスの結晶化度は、具体的には、例えば、「XRD等を用いて結晶相を同定し、SEM及びEDS、或いは、SEM及びEPMA等を用いて結晶化後のガラスの組織や組成分布を観察した結果に基づいて、結晶相領域の体積割合を算出する」ことによって得ることができる。接合材300の気孔率は、10%未満である。換言すれば、接合材300は、緻密質である。
また、図7に示すように、隣接するセル100、100の間には、隣接するセル100、100の間(より詳細には、一方のセル100の燃料極と他方のセル100の空気極)を電気的に直列に接続するための集電部材400が介在している。集電部材400は、例えば、金属メッシュ等で構成される。加えて、各セル100について表側と裏側とを電気的に直列に接続するための集電部材500も設けられている。
以上、説明した燃料電池の片持ちスタック構造を稼働させる際には、図8に示すように、高温(例えば、600〜800℃)の燃料ガス(水素等)及び「酸素を含むガス(空気等)」を流通させる。導入管230から導入された燃料ガスは、燃料マニホールド200の内部空間へと移動し、その後、各挿入孔221を介して対応するセル100のガス流路11にそれぞれ導入される。各ガス流路11を通過した燃料ガスは、その後、各ガス流路11の他端(自由端)から外部に排出される。空気は、スタック構造の内部における隣接するセル100間の空間を、セル100の幅方向(y軸方向)に沿って流される。この結果、各セル100が上述した発電状態となり、各セル100(従って、スタック構造体)から電力が取り出される。
上述した片持ちスタック構造は、例えば、以下の手順で組み立てられる。先ず、必要な枚数の完成したセル100、並びに、完成したマニホールド200が準備される。次いで、所定の治具等を用いて、複数のセル100がスタック状に整列・固定される。次に、複数のセル100がスタック状に整列・固定された状態が維持されながら、複数のセル100のそれぞれの一端部が、(上記ペースト膜が形成された)支持板220の対応する挿入孔221に一度に挿入される。次いで、接合材300用の非晶質材料(非晶質ガラス)のペーストが、挿入孔221とセル100の一端部との接合部のそれぞれの隙間に充填される。その際、図7に示すように、ペーストが支持板220の表面から上方に向けてはみ出す程度まで前記接合部に供給されてもよい。
次に、上記のように充填された接合材300用の非晶質材料ペーストに熱処理(結晶化処理)が加えられる。この熱処理によって前記非晶質材料の温度がその結晶化温度まで到達すると、結晶化温度下にて、材料の内部で結晶相が生成されて、結晶化が進行していく。この結果、非晶質材料が固化・セラミックス化されて、結晶化ガラスとなる。これにより、結晶化ガラスで構成される接合材300が機能を発揮し、各セルの一端部が対応する挿入孔221にそれぞれ接合・固定される。換言すれば、各セル100の一端部が接合材300を用いて支持板220にそれぞれ接合・支持される。その後、前記所定の治具が複数のセル100から取り外されて、上述した片持ちスタック構造体が完成する。
(基部及び支持板の形状、並びに、両者の接合)
以下、燃料マニホールド200(=直方体状の筐体)の構成部品である「基部210」と「支持板220」との形状、並びに、両者の接合・固定について述べる。図9、及び図10に示すように、基部210は、長方形状の底壁211と、底壁211の周縁部の全周から上方に向けて延在する側壁212と、を備える。換言すれば、基部210は、上方に向けて開口する(上壁がない)直方体状の枠体である。
以下、燃料マニホールド200(=直方体状の筐体)の構成部品である「基部210」と「支持板220」との形状、並びに、両者の接合・固定について述べる。図9、及び図10に示すように、基部210は、長方形状の底壁211と、底壁211の周縁部の全周から上方に向けて延在する側壁212と、を備える。換言すれば、基部210は、上方に向けて開口する(上壁がない)直方体状の枠体である。
長方形状の薄板体である支持板220の周縁部の下面には、下方に向けて突出した(上方からみて)周方向に閉じた突起部222が、全周に亘って設けられている。この突起部222は、例えば、支持板220用の板状部材に対してプレス加工を行うことによって形成され得る。支持板220の周縁部は、基部210の前記開口を塞ぐように、基部210の側壁212と、全周に亘って接合材240を介して接合されている。接合材240の材料としては、例えば、上述した接合材300と同じ材料(即ち、結晶化ガラス等)が使用され得る。
より具体的には、基部210の側壁212は、基部210の底壁211の周縁部の全周から上方に向けて延在する第1側壁部212aと、第1側壁部212aの上端部の全周から横方向(水平方向)外側に向けて延在する第2側壁部212bと、第2側壁部212bの横方向外側端部の全周から上方に向けて延在する第3側壁部212cと、第3側壁部212cの上端部の全周から横方向(水平方向)外側に向けて延在する第4側壁部212dと、第4側壁部212dの横方向外側端部の全周から下方に向けて延在する第5側壁部212eと、を備える。第1〜第5側壁部212a〜212eは全て、(上方からみて)周方向に閉じている。この側壁212(=212a〜212e)は、例えば、基部210用の板状部材に対して深絞り加工を行うことによって形成され得る。
「支持板22の周縁部の下面、及び、基部210の第2側壁部212bの上面」、並びに、「支持板220の周縁部の側面、及び、基部210の第3側壁部212cの内側面」が、全周に亘って接合材240を介して接合されている。
以下、接合材240における「支持板220の周縁部の下面及び基部210の第2側壁部212bの上面を全周に亘って接合する部分」を「第1接合部」と呼び、接合材240における「支持板220の周縁部の側面及び基部210の第3側壁部212cの内側面を全周に亘って接合する部分」を「第2接合部」と呼ぶ。図9、及び図10に示した例では、第1、第2接合部が連続しているが、第1、第2接合部が分離していてもよい。
上述した燃料マニホールド200は、例えば、以下の手順で組み立てられる。先ず、深絞り加工等を経て完成した基部210、及び、プレス加工等を経て完成した支持板220が準備される。次いで、接合材240用の非晶質材料(非晶質ガラス)のペースト膜が、「支持板220の周縁部の下面及び側面」、及び/又は、「基部210の第2側壁部212bの上面及び基部210の第3側壁部212cの内側面」に形成される。
次に、「支持板220の周縁部の下面及び基部210の第2側壁部212bの上面」、並びに、「支持板220の周縁部の側面及び基部210の第3側壁部212cの内側面」が、前記ペースト膜を介してそれぞれ接触するように、支持板220の周縁部が基部210の第2側壁部212bの上面に載置される。
そして、上記接合材240用のペースト膜に熱処理(結晶化処理)が加えられる。この熱処理によって非晶質材料が固化・セラミックス化されて、前記ペースト膜が結晶化ガラスとなる。これにより、結晶化ガラスで構成される接合材240が機能を発揮し、基部210と支持板220とが全周に亘って接合・固定される。これにより、燃料マニホールド200が完成する。
(作用・効果)
上記実施形態(燃料マニホールド200)では、支持板220に関し、上記「周方向に閉じた突起部222」が「枠体」として機能し得る。従って、支持板220は、外力を受けた場合に変形し難い構造を備えている。従って、「支持板220の変形に起因する複数のセル100間の相対的な位置及び姿勢のずれ」に基づく「セル100間の電気的接続に関する信頼性が低下」などの問題が発生し難くなる。
上記実施形態(燃料マニホールド200)では、支持板220に関し、上記「周方向に閉じた突起部222」が「枠体」として機能し得る。従って、支持板220は、外力を受けた場合に変形し難い構造を備えている。従って、「支持板220の変形に起因する複数のセル100間の相対的な位置及び姿勢のずれ」に基づく「セル100間の電気的接続に関する信頼性が低下」などの問題が発生し難くなる。
また、上記実施形態(燃料マニホールド200)では、燃料マニホールド200の基部210と支持板220との接合に関し、接合材240における「第1接合部」と「第2接合部」とによって、基部210と支持板220とが全周に亘って強固に接合される。従って、外力によって基部210及び支持板220が変形した場合においても、基部210と支持板220との接合部に剥離が生じ難い。
また、上記実施形態(燃料マニホールド200)では、基部210の側壁212が、第1〜第3側壁部212a〜212cに加えて、第4側壁部212d及び第5側壁部212eを備える。これにより、
本発明は上記実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、上記実施形態では、支持板220の周縁部の下面に、下方に向けて突出した周方向に閉じた突起部222が全周に亘って設けられているが(図10を参照)、図11に示すように、支持板220の周縁部の上面に、上方に向けて突出した周方向に閉じた突起部222が全周に亘って設けられていてもよい。図11に示す突起部222も、図10に示す突起部222と同様、例えば、支持板220用の板状部材に対してプレス加工を行うことによって形成され得る。
また、図12に示すように、支持板220の周縁部の下面に、下方に向けて突出した周方向に閉じた突起部222が全周に亘って設けられていてもよいし、図13に示すように、支持板220の周縁部の上面に、上方に向けて突出した周方向に閉じた突起部222が全周に亘って設けられていてもよい。図12、及び、図13に示す突起部222は、例えば、切削加工(所謂、削りだし)を行うことによって形成され得る。また、図10及び図11に示した下方及び上方に突出した2種類の突起部222の両方が支持板220に設けられてもよいし、図12及び図13に示した下方及び上方に突出した2種類の突起部222の両方が支持板220に設けられてもよい。
また、上記実施形態では、基部210と支持板220とを接合する接合材240が、全周に亘って互いに連続する「第1接合部」と「第2接合部」のみで構成されているが(図10を参照)、図14に示すように、接合材240が、互いに連続する「第1接合部」と「第2接合部」とに加えて、「第2接合部の全周から連続するとともに、支持板220の周縁部の上面を全周に亘って覆う第3接合部」を更に備えていてもよい。これによれば、支持板220の周縁部の下面及び側面を基部210と接合する接合材が、支持板220の周縁部の上面を覆うことによって、基部210からの支持板220の剥離を強固に抑制することができる。
また、上記実施形態では、基部210の側壁212が、第1〜第3側壁部212a〜212cに加えて、第4側壁部212d及び第5側壁部212eを備えているが(図10を参照)、図15に示すように、基部210の側壁212が、第1〜第3側壁部212a〜212cのみで構成されてもよい(即ち、第4側壁部212d及び第5側壁部212eがなくてもよい)。
また、上記実施形態では、隣り合う発電素子部の間が電気的に接続された所謂「横縞型」のセルが採用されているが、支持基板の表面に発電素子部が1つのみ設けられたセルが採用されてもよい。
また、上記実施形態では、支持板に形成された1つの挿入孔に1つのセルの前記一端部が挿入されているが、支持板に形成された1つの挿入孔に2つ以上のセル100の前記一端部が挿入されていてもよい。更には、支持板に形成された1つの(唯一の)挿入孔に複数のセルの前記一端部の全てが挿入されていてもよい。
また、上記実施形態では、平板状の支持基板10の上下面のそれぞれに複数の発電素子部Aが設けられているが、支持基板の片側面のみに複数の発電素子部Aが設けられていてもよい。また、上記実施形態では、支持基板10が平板状を呈しているが、支持基板が円筒状を呈していても良い。この場合、円筒状の支持基板の内側空間がガス流路として機能する。
10…支持基板、11…燃料ガス流路、100…セル、200…マニホールド、210…基部、211…底壁、212…側壁、212a…第1側壁部、212b…第2側壁部、212c…第3側壁部、212d…第4側壁部、212e…第5側壁部、220…支持板、221…挿入孔、222…突起部、240…接合材、A…発電素子部
Claims (4)
- それぞれの内部に燃料ガス流路が形成された複数の燃料電池セルが設けられた燃料マニホールドであり、燃料マニホールドの内部空間内の燃料ガスを前記複数の燃料電池セルのそれぞれの前記燃料ガス流路に供給する燃料マニホールドであって、
底壁と周方向に閉じた側壁とを備え、上方に向けて開口する基部と、
前記複数の燃料電池セルを支持する平板状の支持板であって、前記開口を塞ぐように前記基部の側壁と支持板の周縁部とが全周に亘って接合材を介して接合された支持板と、
を備え、
前記基部の側壁は、
前記基部の底壁の周縁部の全周から上方に向けて延在する、周方向に閉じた第1側壁部と、
前記第1側壁部の上端部の全周から横方向外側に向けて延在する、周方向に閉じた第2側壁部と、
前記第2側壁部の横方向外側端部の全周から上方に向けて延在する、周方向に閉じた第3側壁部と、
を備え、
前記支持板の周縁部の下面及び前記基部の第2側壁部の上面、並びに、前記支持板の周縁部の側面及び前記基部の第3側壁部の内側面が、全周に亘って前記接合材を介して接合された、燃料マニホールド。 - 請求項1に記載の燃料マニホールドにおいて、
前記接合材における前記支持板の周縁部の下面及び前記基部の第2側壁部の上面を全周に亘って接合する第1接合部と、前記接合材における前記支持板の周縁部の側面及び前記基部の第3側壁部の内側面を全周に亘って接合する第2接合部と、が連続しており、
前記接合材は、前記第2接合部の全周から連続するとともに、前記支持板の周縁部の上面を全周に亘って覆う第3接合部を備えた、燃料マニホールド。 - 請求項1又は請求項2に記載の燃料マニホールドにおいて、
前記基部の側壁は、
前記第3側壁部の上端部の全周から横方向外側に向けて延在する、周方向に閉じた第4側壁部と、
前記第4側壁部の横方向外側端部の全周から下方に向けて延在する、周方向に閉じた第5側壁部と、
を備えた、燃料マニホールド。 - 請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載の燃料マニホールドにおいて、
前記基部の側壁は、前記基部用の板状部材に対して深絞り加工を行うことによって形成された、燃料マニホールド。
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