JP5877269B1 - 燃料電池のスタック構造体 - Google Patents
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Abstract
【課題】片持ちスタック構造体であって、セルの燃料ガス排出側端部にてクラックが発生し難いものを提供すること。【解決手段】このスタック構造体は、「長手方向を有し且つ内部に長手方向に沿う燃料ガス流路が形成された、複数の燃料電池セル100」と、「複数のセルの燃料ガス流入側端部を支持する燃料マニホールド200」と、を備える。長手方向が上下方向と一致するように、各セルがマニホールドの上壁から上方に向けてそれぞれ突出している。複数のセルがスタック状に整列している。マニホールドの内部空間と複数のセルの燃料ガス流路のそれぞれの燃料ガス流入側端部とが連通している。隣接する2つのセルの全ての組み合わせについて、2つのセルの燃料ガス排出側端の上下方向の位置の差をΔHとし、2つのセルの間の隙間をTとしたとき、値ΔH/Tが0.1〜3である。【選択図】図9
Description
本発明は、燃料電池のスタック構造体に関する。
従来より、「それぞれが、長手方向を有し且つその内部に前記長手方向に沿う燃料ガス流路が形成された支持基板を含む、複数の燃料電池セル」と、「燃料ガスが導入される内部空間を有するマニホールドであって、前記長手方向が上下方向と一致するように前記各セルがマニホールドの上壁から上方に向けてそれぞれ突出し、且つ、前記複数のセルがスタック状に整列し、且つ、前記内部空間と前記複数のセルの前記燃料ガス流路のそれぞれの燃料ガス流入側の端部とが連通するように、前記各セルの前記支持基板の燃料ガス流入側の端部を前記上壁にて支持するマニホールド」と、を備えた固体酸化物形燃料電池(以下、「SOFC」と呼ぶ)のスタック構造体が知られている(例えば、特許文献1を参照)。この構造体では、各セルの燃料ガス排出側端(上端)が自由端となっている。従って、この構造体は、「片持ちスタック構造体」とも呼ばれる。
係る片持ちスタック構造体では、「各セルの燃料ガス排出側端(上端)の排出口から排出された余剰のガス(発電に使用されなかった燃料ガス)を、同排出口の近傍にて雰囲気中に存在する空気(酸素)との反応によって燃焼させる構成」が採用され得る。この構成によれば、前記燃焼に伴う熱によって各セルが加熱されることによって、例えば、定常運転状態にて、各セルの温度が適切な作動温度近傍に維持され得る。
ところで、この構成が採用される場合、燃料電池の稼働環境によっては、セルの燃料ガス排出側端部(上端部)にてクラックが発生する場合があった。本発明者は、係る問題に対処するために種々の実験等を重ねた。その結果、本発明者は、係るクラックが発生し難い条件を見出した。
本発明の目的は、上述した片持ちスタック構造体であって、セルの燃料ガス排出側端部(上端部)にてクラックが発生し難いものを提供することにある。
理想的には、本発明に係る片持ちスタック構造体では、複数のセルの排出側端の上下方向の位置が一定になるように、複数のセルがマニホールドに組み付けられる。しかしながら、実際には、マニホールドに対する各セルの組み付け(接合・固定)に係る誤差等に起因して、複数のセルの排出側端の上下方向(x軸方向)の位置について、ばらつきが不可避的に発生する(後述する図9を参照)。
本発明に係る片持ちスタック構造体の特徴は、隣接する少なくとも2つの前記セルの組み合わせについて、前記2つのセルの前記支持基板の燃料ガス排出側端の前記上下方向の位置の差をΔHとし、前記2つのセルの間の隙間をTとしたとき、値ΔH/Tが0.1〜3であることにある。
本発明者は、隣接する2つのセルについて、上記値ΔH/Tが0.1〜3である場合に、そうでない場合と比べて、上記2つのセルのうち「燃料ガス排出側端がより上方に位置するセル」について上記クラックが発生し難くなることを見出した。この点の詳細については後述する。
(スタック構造体に使用されるセルの構成の一例)
先ず、本発明に係る固体酸化物形燃料電池(SOFC)のスタック構造体の実施形態に使用されるセル100の一例について、図1〜図2を参照しながら説明する。
先ず、本発明に係る固体酸化物形燃料電池(SOFC)のスタック構造体の実施形態に使用されるセル100の一例について、図1〜図2を参照しながら説明する。
図1に示すセル100は、長手方向(x軸方向)を有する平板状の支持基板10の上下面(互いに平行な両側の主面(平面))のそれぞれに、電気的に直列に接続された複数(本例では、4つ)の発電素子部Aが長手方向において所定の間隔をおいて配置された、所謂「横縞型」と呼ばれる構成を有する。
このセル100の全体を上方からみた形状は、例えば、長手方向(x軸方向)の辺の長さL1が50〜500mmで長手方向に直交する幅方向(y軸方向)の長さL2が10〜100mmの長方形である(L1>L2)。このセル100の厚さL3(z軸方向の距離)は、1〜5mmである(L2>L3)。
このセル100は支持基板10を備える。支持基板10は、電子伝導性を有さない多孔質の材料からなる平板状の焼成体である。支持基板10の内部には、長手方向に延びる複数(本例では、6本)の燃料ガス流路11(貫通孔)が幅方向において所定の間隔をおいて形成されている。支持基板10は、例えば、CSZ(カルシア安定化ジルコニア)で構成され得る。
支持基板10の上下面のそれぞれに配置された各発電素子部Aは、燃料極、固体電解質膜、及び空気極が少なくともこの順に積層された積層焼成体である。燃料極は、例えば、NiO(酸化ニッケル)とYSZ(8YSZ)(イットリア安定化ジルコニア)とで構成され得る。固体電解質膜は、例えば、YSZ(8YSZ)(イットリア安定化ジルコニア)で構成され得る。空気極は、例えば、LSCF=(La,Sr)(Co,Fe)O3(ランタンストロンチウムコバルトフェライト)で構成され得る。
SOFCの作動温度(600〜800℃)に維持された図1に示す「横縞型」のセル100に対して、図2に示すように、支持基板10の燃料ガス流路11内に燃料ガス(水素ガス等)を流すとともに、支持基板10の上下面に沿って酸素を含むガス(空気等)を流すことにより、各発電素子部Aにおいて、固体電解質膜の表裏面間に生じる酸素分圧差によって起電力が発生する。更に、セル100を外部の負荷に電気的に接続すると、下記(1)、(2)式に示す化学反応が起こり、セル100内にて電流が流れる(発電状態)。この発電状態にて、セル100から電力が取り出される。
(1/2)・O2+2e−→O2 − (於:空気極) …(1)
H2+O2 −→H2O+2e− (於:燃料極) …(2)
(1/2)・O2+2e−→O2 − (於:空気極) …(1)
H2+O2 −→H2O+2e− (於:燃料極) …(2)
(スタック構造体の全体構成の一例)
次に、上述したセル100を用いた本発明に係るSOFCのスタック構造体の実施形態(以下、「本実施形態」とも呼ぶ)について説明する。図3に示すように、本実施形態は、多数のセル100と、多数のセル100のそれぞれに燃料ガスを供給するためのマニホールドである燃料マニホールド200と、を備えている。燃料マニホールド200は、長手方向(z軸方向)を有する直方体状の筐体である。
次に、上述したセル100を用いた本発明に係るSOFCのスタック構造体の実施形態(以下、「本実施形態」とも呼ぶ)について説明する。図3に示すように、本実施形態は、多数のセル100と、多数のセル100のそれぞれに燃料ガスを供給するためのマニホールドである燃料マニホールド200と、を備えている。燃料マニホールド200は、長手方向(z軸方向)を有する直方体状の筐体である。
燃料マニホールド200は、例えば、「底壁と側壁とを備え且つ上方に向けて開口する基部210」と、「基部210の上に配置され且つ前記開口を塞ぐ平板状の支持板(上壁)220」と、で構成される。支持板220は、多数のセル100を支持する機能を備える。燃料マニホールド200(=基部210+支持板220)は、例えば、ステンレス鋼等で構成されている。
図3、及び図4に示すように、燃料マニホールド200には、外部から燃料マニホールド200の内部空間に燃料ガスを導入するための導入管230が設けられている。図3、及び図4に示す例では、導入管230は、支持板220の四隅部の1つから上方(x軸正方向)に向けて突出するように、支持板220に対して接合・固定されている。導入管230も、例えば、ステンレス鋼等で構成されている。この導入管230は、例えば、支持板220に形成された貫通孔に挿入された状態にて溶接されることによって、支持板220に接合・固定されている。
各セル100が、支持板220から上方(x軸正方向)に向けてそれぞれ突出するように、且つ、複数のセル100が燃料マニホールド200の長手方向(z軸方向)に沿って互いに離れてスタック状に整列するように、各セル100における支持基板10の長手方向(x軸方向)の燃料ガス流入側の端部(以下、「流入側端部」と呼ぶ)が、支持板220に対して接合材を用いて接合・支持されている。各セル100における支持基板10の長手方向(x軸方向)の燃料ガス排出側の端部(以下、「排出側端部」と呼ぶ)は、自由端となっている。従って、このスタック構造は、「片持ちスタック構造」と表現することができる。
図4に示すように、支持板220(燃料マニホールド200の上壁)には、燃料マニホールド200の内部空間と連通する多数の挿入孔221が、z軸方向において同じ間隔をおいて形成されている。各挿入孔221には、対応するセル100の流入側端部がそれぞれ挿入される。
図4に示すように、各挿入孔221の形状は、長さL4、幅L5のy軸方向に延在する長円形状(L4>L5)を呈している。挿入孔221の長さL4は、セル100の流入側端部の側面の長さL2(図1を参照)より0.2〜3mm大きい。同様に、挿入孔221の幅L5は、セル100の流入側端部の側面の幅L3(図1を参照)より0.2〜3mm大きい。即ち、図6、及び図7に示すように、セル100の流入側端部が挿入孔221に挿入された状態では、挿入孔221の内壁とセル100の流入側端部の外壁との間に隙間が形成される。なお、図6、及び図7(特に、図6)では、前記隙間が誇張して描かれている。
図6、及び図7に示すように、挿入孔221とセル100の流入側端部との接合部のそれぞれにおいて、固化された接合材300が前記隙間に充填されるように設けられている。これにより、各挿入孔221と対応するセル100の流入側端部とがそれぞれ接合・固定されている。図7に示すように、各セル100のガス流路11の流入側端部は、燃料マニホールド200の内部空間と連通している。
接合材300は、結晶化ガラスで構成される。結晶化ガラスとしては、例えば、SiO2−B2O3系、SiO2−CaO系、MgO−B2O3系が採用され得るが、SiO2−MgO系のものが最も好ましい。なお、本明細書では、結晶化ガラスとは、全体積に対する「結晶相が占める体積」の割合(結晶化度)が60%以上であり、全体積に対する「非晶質相及び不純物が占める体積」の割合が40%未満のガラスを指す。接合材300の気孔率は、10%未満である。換言すれば、接合材300は、緻密質である。
また、図7に示すように、隣接するセル100、100の間には、隣接するセル100、100の間(より詳細には、一方のセル100の燃料極と他方のセル100の空気極)を電気的に直列に接続するための集電部材400が介在している。集電部材400は、例えば、金属メッシュ等で構成される。加えて、各セル100について表側と裏側とを電気的に直列に接続するための集電部材500も設けられている。
以上、説明した本実施形態(片持ちスタック構造)を作動させる際には、SOFCの作動温度に維持された本実施形態に対して、図8に示すように、高温(例えば、600〜800℃)の燃料ガス(水素等)及び「酸素を含むガス(空気等)」を流通させる。導入管230から導入された燃料ガスは、燃料マニホールド200の内部空間へと移動し、その後、各挿入孔221を介して対応するセル100のガス流路11にそれぞれ導入される。各ガス流路11を通過した燃料ガスは、その後、各ガス流路11の排出側端(排出口)から外部に排出される。空気は、スタック構造の内部における隣接するセル100間の空間を、セル100の幅方向(y軸方向)に沿って流される。この結果、各セル100が上述した発電状態となり、各セル100(従って、スタック構造体)から電力が取り出される。
上述した本実施形態は、例えば、以下の手順で組み立てられる。先ず、必要な枚数の完成したセル100、並びに、完成したマニホールド200が準備される。次いで、所定の治具等を用いて、複数のセル100がスタック状に整列・固定される。次に、複数のセル100がスタック状に整列・固定された状態が維持されながら、複数のセル100のそれぞれの流入側端部が、(上記ペースト膜が形成された)支持板220の対応する挿入孔221に一度に挿入される。次いで、接合材300用の非晶質材料(非晶質ガラス)のペーストが、挿入孔221とセル100の流入側端部との接合部のそれぞれの隙間に充填される。その際、図7に示すように、ペーストが支持板220の表面から上方に向けてはみ出す程度まで前記接合部に供給されてもよい。
次に、上記のように充填された接合材300用の非晶質材料ペーストに熱処理(結晶化処理)が加えられる。この熱処理によって前記非晶質材料の温度がその結晶化温度まで到達すると、結晶化温度下にて、材料の内部で結晶相が生成されて、結晶化が進行していく。この結果、非晶質材料が固化・セラミックス化されて、結晶化ガラスとなる。これにより、結晶化ガラスで構成される接合材300が機能を発揮し、各セルの流入側端部が対応する挿入孔221にそれぞれ接合・固定される。換言すれば、各セル100の流入側端部が接合材300を用いて支持板220にそれぞれ接合・支持される。その後、前記所定の治具が複数のセル100から取り外されて、上記本実施形態(片持ちスタック構造体)が完成する。
(セルの排出側端部におけるクラックの抑制)
上記本実施形態を作動状態(発電状態、定常運転状態)に維持するためには、各セル100の温度をSOFCの作動温度(600〜800℃)に維持する必要がある。そのため、上記本実施形態では、図9に示すように、「各セル100の排出側端(自由端、上端)の排出口から排出された余剰のガス(発電に使用されなかった燃料ガス)を、同排出口の近傍にて雰囲気中に存在する空気(酸素)との反応によって燃焼させる」構成が採用される。この構成によれば、前記燃焼に伴う熱によって各セル100が加熱されることによって、定常運転状態にて、各セル100の温度がSOFCの作動温度に維持され得る。なお、失火を防止するため、複数のセル100の排出口の近傍に、着火装置(図示せず)が配置されてもよい。
上記本実施形態を作動状態(発電状態、定常運転状態)に維持するためには、各セル100の温度をSOFCの作動温度(600〜800℃)に維持する必要がある。そのため、上記本実施形態では、図9に示すように、「各セル100の排出側端(自由端、上端)の排出口から排出された余剰のガス(発電に使用されなかった燃料ガス)を、同排出口の近傍にて雰囲気中に存在する空気(酸素)との反応によって燃焼させる」構成が採用される。この構成によれば、前記燃焼に伴う熱によって各セル100が加熱されることによって、定常運転状態にて、各セル100の温度がSOFCの作動温度に維持され得る。なお、失火を防止するため、複数のセル100の排出口の近傍に、着火装置(図示せず)が配置されてもよい。
理想的には、上記本実施形態では、複数のセル100の排出側端の上下方向(x軸方向)の位置が一定になるように、複数のセル100が燃料マニホールド200に組み付けられる。ところが実際には、組み付けコスト、及び、組み付け工数等の低減等の観点から、燃料マニホールド200に対する各セル100の組み付け精度を最大限に高めることはできない。この結果、上記本実施形態(片持ちスタック構造体)では、燃料マニホールド200に対する各セル100の組み付け(接合・固定)に係る誤差等に起因して、図9に示すように、複数のセル100の排出側端の上下方向(x軸方向)の位置について、ばらつきが不可避的に発生する。以下、説明の便宜上、図10に示すように、隣接する2つのセル100の間の(積層方向(z軸方向の)隙間を「T(mm)」と呼び、隣接する2つのセル100の排出側端の上下方向の位置の差(高低差)を「ΔH(mm)」と呼ぶことにする。
なお、各セル100の排出側端面が水平面でない場合(例えば、幅方向(y軸方向)の中央部が突出する凸面である場合)、高低差ΔHは、隣接する2つのセル100の排出側端面の最上点同士における上下方向の位置の差を指す。また、隣接するセル100の間の隙間がセル100の長手方向(上下方向、x軸方向)の位置によって異なる場合(例えば、セル100に反りが発生している場合)、隙間Tは、「隣接する2つのセル100のうち排出側端がより下方に位置するセル、の排出側端の上下方向の位置」における「隣接するセル100の間の隙間」を指す。
本実施形態(片持ちスタック構造体)では、通常の環境下(定常運転状態、燃料利用率が一定の運転状態)で稼働される場合には、セル100の排出側端部にクラックが発生しない。しかしながら、本実施形態が、燃料利用率が急激に変化する環境下で稼働されると、図10に示すように、セル100の排出側端部にクラックが発生する場合があった。本発明者は、係るクラックの発生が、隣接する2つのセル100に関する値「ΔH/T」と強い相関があることを見出した。以下、このことを確認した試験について説明する。
(試験A)
この試験では、図3に示したSOFCのスタック構造体について、10個のサンプルが作製された。各サンプル(スタック構造体)では、燃料マニホールド200に対する各セル100の組み付けに際し、その組み付け精度を最大限に高めた状態にて、複数のセル100の排出側端の上下方向(x軸方向)の位置について、所望の大きさのばらつきが意図的且つ正確に与えられた。具体的には、各サンプルは、表1に記載の10種類の水準のそれぞれに対応する「隙間T、及び、高低差ΔHの組み合わせを有する隣接する2つのセル」が1つずつ含まれるように作製された。各サンプル(スタック構造体)のスタック数(セル100の枚数)は、20枚であった。
この試験では、図3に示したSOFCのスタック構造体について、10個のサンプルが作製された。各サンプル(スタック構造体)では、燃料マニホールド200に対する各セル100の組み付けに際し、その組み付け精度を最大限に高めた状態にて、複数のセル100の排出側端の上下方向(x軸方向)の位置について、所望の大きさのばらつきが意図的且つ正確に与えられた。具体的には、各サンプルは、表1に記載の10種類の水準のそれぞれに対応する「隙間T、及び、高低差ΔHの組み合わせを有する隣接する2つのセル」が1つずつ含まれるように作製された。各サンプル(スタック構造体)のスタック数(セル100の枚数)は、20枚であった。
各サンプル(図3に示すSOFCのスタック構造体)について、各セル100は、長さ(x軸方向)が50〜500mm、幅(y軸方向)が10〜100mm、厚さ(z軸方向)が1〜5mmの薄板状を呈していた。各セル100の支持基板100の気孔率は30〜50体積%であった。支持基板100について、焼成温度は1300〜1600℃、焼成時間は1〜20時間であった。各セル100には、1〜20本のガス流路11が形成されていた。隣接するガス流路11のピッチ(y軸方向の間隔)は1〜3mmであった。各ガス流路11の断面は、直径が0.3〜4mmの円形であった。
この試験では、各サンプルについて、800℃の高温雰囲気下、図9に示すように「各セル100の排出側端の排出口から排出された余剰のガス(発電に使用されなかった燃料ガス)を同排出口の近傍にて燃焼させながら、「燃料利用率が80%の定格運転モード」と「燃料利用率が40%の低燃料利用率運転モード」とを、30分の周期で交互に100回繰り返す」耐久試験が実施された。そして、この耐久試験後において、セル100の排出側端部でのクラックの発生の有無が評価された。この評価は、目視、及び、顕微鏡を用いて行われた。この評価結果を表1に示す。
表1から理解できるように、上述した「燃料利用率が急激に変化する耐久試験」を行った後では、値「ΔH/T」が3より大きいと、図10に示すように、「隣接する2つのセル100のうち、排出側端がより上方に位置するセル」の排出側端部にクラックが発生し易い。これは、隙間Tに対して高低差ΔHが相対的に大き過ぎると、「隣接する2つのセル100のうち、排出側端がより上方に位置するセル」の排出側端部が、「隣接する2つのセル100のうち、排出側端がより下方に位置するセル」から発生する燃焼熱の影響を過度に受け易くなることに基づく、と考えられる。一方、燃料マニホールド200に対する各セル100の組み付け精度の観点から、この試験では、値「ΔH/T」が0.1より小さい隣接するセル100の組み合わせを実現することができなかった。以上より、1つのスタック構造体に含まれる「隣接する2つのセル100の全ての組み合わせ」について、値「ΔH/T」が0.1〜3の範囲内に入っていると、前記クラックが発生し難い、ということができる。
なお、本発明者は、通常の条件・環境下(定常運転状態、燃料利用率が一定の運転状態)にて上記本実施形態が使用される場合、値「ΔH/T」が0.1〜3の範囲外となる「隣接する2つのセル100の組み合わせ」が含まれていても、セル100にクラックが発生しないことを別途確認している。
本発明は上記本実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、上記実施形態では、隣り合う発電素子部の間が電気的に接続された所謂「横縞型」のセルが採用されているが、支持基板の表面に発電素子部が1つのみ設けられたセルが採用されてもよい。
また、上記本実施形態では、支持板に形成された1つの挿入孔に1つのセルの流入側端部が挿入されているが、支持板に形成された1つの挿入孔211に2つ以上のセル100の流入側端部が挿入されていてもよい。更には、支持板に形成された1つの(唯一の)挿入孔に複数のセルの流入側端部の全てが挿入されていてもよい。
更には、上記本実施形態では、マニホールド200の天板が多数のセル100を支持するための支持板210を兼ねているが(即ち、支持板210がマニホールド200と一体で構成されているが)、マニホールドの内部空間と複数のセルのガス流路とが連通する限りにおいて、支持板がマニホールドとは別体で構成されていてもよい。
また、上記本実施形態では、平板状の支持基板10の上下面のそれぞれに複数の凹部12が形成され且つ複数の発電素子部Aが設けられているが、支持基板10の片側面のみに複数の凹部12が形成され且つ複数の発電素子部Aが設けられていてもよい。また、上記本実施形態では、支持基板10が平板状を呈しているが、支持基板が円筒状を呈していても良い。この場合、円筒状の支持基板の内側空間がガス流路として機能する。
また、全てのセル100においてクラックの発生を防止するためには、隣接する2つのセル100の全ての組み合わせにおいて、値ΔH/Tが0.1〜3であることが好ましいが、燃料電池のスタック構造体は特にこれに限定されない。例えば、少なくとも一対の隣接するセルにおいて値ΔH/Tが0.1〜3であればよい。これによって、この少なくとも一対の隣接するセルにおいて、クラックの発生を防止することができる。
10…支持基板、11…燃料ガス流路、20…燃料極、40…固体電解質膜、60…空気極、100…セル、200…燃料マニホールド、210…支持板、211…挿入孔、300…接合材、A…発電素子部
Claims (2)
- それぞれが、長手方向を有し且つその内部に前記長手方向に沿う燃料ガス流路が形成された支持基板と、前記支持基板の表面に設けられ且つ少なくとも燃料極、固体電解質、及び空気極がこの順で積層された発電素子部と、を含む複数の燃料電池セルと、
燃料ガスが導入される内部空間を有するマニホールドであって、前記長手方向が上下方向と一致するように前記各セルがマニホールドの上壁から上方に向けてそれぞれ突出し、且つ、前記複数のセルがスタック状に整列し、且つ、前記内部空間と前記複数のセルの前記燃料ガス流路のそれぞれの燃料ガス流入側の端部とが連通するように、前記各セルの前記支持基板の燃料ガス流入側の端部を前記上壁にて支持するマニホールドと、
を備えた燃料電池のスタック構造体であって、
隣接する2つの前記セルの全ての組み合わせについて、前記2つのセルの前記支持基板の燃料ガス排出側端の前記上下方向の位置の差をΔHとし、前記2つのセルの間の隙間をTとしたとき、値ΔH/Tが0.1〜3である、燃料電池のスタック構造体。
- マニホールドと、
支持基板、前記支持基板内を長手方向に延びる燃料ガス流路、及び前記支持基板上に配置される発電素子部を有し、前記マニホールドから上方に延びる隣接する一対の燃料電池セルと、
を備え、
前記一対の燃料電池セルにおいて、各支持基板の燃料ガス排出側端の上下方向の位置の差をΔHとし、前記一対の燃料電池セルの間の隙間をTとしたとき、値ΔH/Tは、0.1〜3である、
燃料電池のスタック構造体。
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