JP2015097193A - 燃料電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】ガス流路が内部に形成された多孔質の支持基板のガス排出側端部に緻密なコーティング膜が形成された燃料電池であって、その緻密なコーティング膜の表面にクラックが発生する事態を抑制し得るものを提供すること。【解決手段】この燃料電池は、複数のガス流路11が長手方向に沿って内部に形成された平板状の多孔質の支持基板10と、支持基板10の主面に設けられ、少なくとも燃料極、固体電解質、及び空気極がこの順で積層された発電素子部と、を備えた焼成体である。各ガス流路11の内壁面におけるガス排出側の端部、並びに、支持基板10の長手方向におけるガス排出側の端面に、支持基板10より気孔率が小さい緻密なコーティング膜が形成されている。この緻密なコーティング膜の上に、更に、この緻密なコーティング膜より気孔率が大きい多孔質のコーティング膜が形成されている。【選択図】図1

Description

本発明は、燃料電池に関する。
従来より、「長手方向を有する平板状であり、且つ、1つ又は複数のガス流路が前記長手方向に沿って内部に形成された多孔質の支持基板」と、「前記支持基板の主面に設けられ、少なくとも燃料極、固体電解質、及び空気極がこの順で積層された発電素子部」と、を備えた焼成体である固体酸化物形燃料電池が広く知られている(例えば、特許文献1を参照)。
係る焼成体である燃料電池では、燃料極等の導電性を獲得するため、燃料電池を作動させる前に、燃料電池に対して高温下(例えば、800℃程度)にて還元ガスを供給する熱処理(以下、「還元処理」と呼ぶ。)が行われて、燃料電池が非還元体から還元体に移行される。
係る燃料電池では、「各ガス流路内において長手方向における一方向(同じ方向)にガス(燃料ガス)が流され、各ガス流路のガス排出口から外部空間に排出された余剰のガスが、同ガス排出口の近傍にて、同外部空間内にある空気(酸素)と反応して燃焼させられる構成」が採用され得る。
この構成が採用される場合、支持基板のガス排出側端部にてクラックが発生し易い。これは、以下の理由に基づく、と考えられる。第1に、支持基板が多孔質であることに起因して、支持基板のガス排出側端部の内部に外部空間内にある空気が進入し、上述した余剰のガスが同内部にて空気と反応して燃焼する。この結果、同内部にて、燃焼による発熱に伴う過大な熱応力が局所的に発生してクラックが発生する。第2に、支持基板のガス排出側端部の内部に外部空間内にある空気が進入することによって、還元体である同内部が再酸化される。この結果、同内部にて、再酸化による寸法変化(酸化膨張又は収縮)に伴う過大な応力が局所的に発生してクラックが発生する。
このようなクラックの発生を抑制するため、支持基板のガス排出側端部、具体的には、各ガス流路の内壁面におけるガス排出側の端部、並びに、支持基板の長手方向におけるガス排出側の端面に、支持基板より気孔率が小さい緻密なコーティング膜(第1コーティング膜)が形成される構成が知られている(例えば、特許文献1を参照)。この第1コーティング膜の形成によって、外部空間内にある空気が支持基板のガス排出側端部の内部へ進入し難くなり、この結果、上記の支持基板内部におけるクラックの発生が抑制され得る。
特開2012−9228号公報
ところで、上記のように第1コーティング膜が形成される構成において、第1コーティング膜の表面にクラックが発生する、という新たな問題が発生し易いことが判明した。これは、以下の理由に基づくと考えられる。即ち、第1コーティング膜は、各ガス流路のガス排出口の近傍にて外部空間に対して露呈している。従って、上述のように、前記余剰のガスが、ガス排出口の近傍にて外部空間内にある空気(酸素)と反応して燃焼する際、その燃焼に起因する熱(燃焼熱)が第1コーティング膜の表面に伝わり易い。換言すれば、第1コーティング膜の表面温度の変化度合が非常に大きい。他方、第1コーティング膜は緻密膜であるので、第1コーティング膜のヤング率は大きい。従って、第1コーティング膜では、歪に対して発生する応力が比較的大きくなる。以上のことから、第1コーティング膜の表面に発生する熱応力が特に過大になり易い。この結果、第1コーティング膜の表面にクラックが発生し易い、と考えられる。
第1コーティング膜の表面にクラックが発生すると、外部空間内にある空気が支持基板のガス排出側端部の内部へ進入し易くなり、第1コーティング膜を形成したにもかかわらず、上述した「支持基板内部でのクラックの発生」という問題が再び起こり易くなる。第1コーティング膜の表面におけるクラックの発生を抑制することが望まれているところである。
本発明の目的は、ガス流路が内部に形成された多孔質の支持基板のガス排出側端部に緻密なコーティング膜が形成された燃料電池であって、その緻密なコーティング膜の表面にクラックが発生する事態を抑制し得るものを提供することにある。
本発明に係る燃料電池は、上記と同様の支持基板と発電素子部とを備える。各ガス流路の前記長手方向における一端側及び他端側がそれぞれ、ガス流入側及びガス排出側に対応する。この燃料電池では、少なくとも、前記各ガス流路の内壁面における前記ガス排出側の端部、及び、前記支持基板の前記長手方向における前記ガス排出側の端面に、前記支持基板より気孔率が小さい(緻密な)第1コーティング膜が形成されている。
この燃料電池の特徴は、前記第1コーティング膜の上に、前記第1コーティング膜より気孔率が大きい(多孔質の)第2コーティング膜が形成されたことにある。ここにおいて、前記支持基板の気孔率は、20〜60%であり、前記第1コーティング膜の気孔率は、0.5〜10%であり、前記第2コーティング膜の気孔率は、20〜60%であることが好適である。前記第2コーティング膜は、前記第1コーティング膜の表面の全域に亘って形成されることが好適である。
上記構成によれば、第1コーティング膜の表面に第2コーティング膜が形成されているので、第1コーティング膜は、各ガス流路のガス排出口の近傍にて外部空間に対して露呈しない。従って、第2コーティング膜が形成されていない態様と比べて、前記余剰のガスの燃焼熱が第1コーティング膜の表面に伝わり難く、第1コーティング膜の表面温度の変化度合が小さくなる。この結果、第1コーティング膜の表面に過大な応力が発生し難くなり、第1コーティング膜の表面にクラックが発生し難くなる。
加えて、第2コーティング膜は、各ガス流路のガス排出口の近傍にて外部空間に対して露呈している。従って、前記余剰のガスの燃焼熱が第2コーティング膜の表面に伝わり易い。換言すれば、第2コーティング膜の表面温度の変化度合は比較的大きくなる。しかしながら、第2コーティング膜は多孔質膜であるので、ヤング率が小さい。従って、第2コーティング膜の表面には過大な応力が発生し難いので、第2コーティング膜の表面にもクラックが発生し難い。
本発明の実施形態に係る燃料電池セルを示す斜視図である。 図1に示す燃料電池セルの2−2線に対応する断面図である。 図1に示す支持基板の凹部に埋設された燃料極及びインターコネクタの状態を示した平面図である。 図1に示す燃料電池セルの作動状態を説明するための図である。 図1に示す燃料電池セルの作動状態における電流の流れを説明するための図である。 図1に示す支持基板を示す斜視図である。 図1に示す燃料電池の製造過程における第1段階における図2に対応する断面図である。 図1に示す燃料電池の製造過程における第2段階における図2に対応する断面図である。 図1に示す燃料電池の製造過程における第3段階における図2に対応する断面図である。 図1に示す燃料電池の製造過程における第4段階における図2に対応する断面図である。 図1に示す燃料電池の製造過程における第5段階における図2に対応する断面図である。 図1に示す燃料電池の製造過程における第6段階における図2に対応する断面図である。 図1に示す燃料電池の製造過程における第7段階における図2に対応する断面図である。 図1に示す燃料電池の製造過程における第8段階における図2に対応する断面図である。 図1に示す燃料電池セルの第1変形例の図2に対応する断面図である。 図1に示す燃料電池セルの第2変形例の図3に対応する断面図である。 図1に示す複数の燃料電池セルを含むスタック構造体の全体の斜視図である。 図17に示した燃料ガスマニホールドの全体の斜視図である。 図17に示したスタック構造体の内部におけるガスの流れを示す断面図である。 図17に示したスタック構造体に対して燃料ガス及び空気が供給・排出される様子を示した斜視図である。
(構成)
図1は、本発明に係る固体酸化物形燃料電池(SOFC)のセル100の実施形態を示す。このSOFCセル100は、長手方向(x軸方向)を有する平板状の支持基板10の上下面(互いに平行な両側の主面(平面))のそれぞれに、電気的に直列に接続された複数(本例では、4つ)の同形の発電素子部Aが長手方向において所定の間隔をおいて配置された、所謂「横縞型」と呼ばれる構成を有する。
この実施形態のSOFCセル100の全体を上方からみた形状は、例えば、長手方向の辺の長さL1が50〜500mmで長手方向に直交する幅方向(y軸方向)の長さL2が10〜100mmの長方形である。このSOFCセル100の全体の厚さL3は、1〜5mmである。このSOFCセル100の全体は、厚さ方向の中心を通り且つ支持基板10の主面に平行な面に対して上下対称の形状を有する。以下、図1に加えて、このSOFCセル100の図1に示す2−2線に対応する部分断面図である図2を参照しながら、このSOFCセル100の詳細について説明する。図2は、代表的な1組の隣り合う発電素子部A,Aのそれぞれの構成(の一部)、並びに、発電素子部A,A間の構成を示す部分断面図である。その他の組の隣り合う発電素子部A,A間の構成も、図2に示す構成と同様である。
支持基板10は、電子伝導性を有さない多孔質の材料からなる平板状の焼成体である。後述する図6に示すように、支持基板10の内部には、長手方向に延びる複数(本例では、6本)の燃料ガス流路11(貫通孔)が幅方向において所定の間隔をおいて形成されている。各燃料ガス流路11の断面形状は直径Dが0.5〜3mmの円形である。隣り合う燃料ガス流路11、11の幅方向における間隔(ピッチ)Pは1〜5mmである。なお、各燃料ガス流路11の断面形状は、楕円形、長穴、四隅に円弧を有する四角形等であってもよい。また、本例では、各凹部12は、支持基板10の材料からなる底壁と、全周に亘って支持基板10の材料からなる周方向に閉じた側壁(長手方向に沿う2つの側壁と幅方向に沿う2つの側壁)と、で画定された直方体状の窪みである。
支持基板10は、例えば、CSZ(カルシア安定化ジルコニア)から構成され得る。或いは、NiO(酸化ニッケル)とYSZ(8YSZ)(イットリア安定化ジルコニア)とから構成されてもよいし、NiO(酸化ニッケル)とY(イットリア)とから構成されてもよいし、MgO(酸化マグネシウム)とMgAl(マグネシアアルミナスピネル)とから構成されてもよい。支持基板10の気孔率は、20〜60%である。
なお、気孔率の値は、後述する還元処理後の値である(他の気孔率の値についても同様)。なお、気孔率の測定は,樹脂埋めしたサンプル(還元処理後)の断面を研磨し、同断面についてのSEM(走査型電子顕微鏡)による画像(2次電子像)を解析することによって行われた。具体的には、「断面の総面積」に対する「断面上にて樹脂埋めされた領域に対応する部分の面積の総和」の割合が、その断面の「気孔率」であると定義された。SEMの加速電圧は5kV、SEMの倍率は5000倍、又は7500倍に設定された。気孔率の測定は、サンプルの任意の10箇所の断面について行われ、それらの平均値が気孔率の値として採用された。
支持基板10は、「遷移金属酸化物又は遷移金属」と、絶縁性セラミックスとを含んで構成され得る。「遷移金属酸化物又は遷移金属」としては、NiO(酸化ニッケル)又はNi(ニッケル)が好適である。遷移金属は、燃料ガスの改質反応を促す触媒(炭化水素系のガスの改質触媒)として機能し得る。
また、絶縁性セラミックスとしては、MgO(酸化マグネシウム)、又は、「MgAl(マグネシアアルミナスピネル)とMgO(酸化マグネシウム)の混合物」が好適である。また、絶縁性セラミックスとして、CSZ(カルシア安定化ジルコニア)、YSZ(8YSZ)(イットリア安定化ジルコニア)、Y(イットリア)が使用されてもよい。
このように、支持基板10が「遷移金属酸化物又は遷移金属」を含むことによって、改質前の残存ガス成分を含んだガスが多孔質の支持基板10の内部の多数の気孔を介して燃料ガス流路11から燃料極に供給される過程において、上記触媒作用によって改質前の残存ガス成分の改質を促すことができる。加えて、支持基板10が絶縁性セラミックスを含むことによって、支持基板10の絶縁性を確保することができる。この結果、隣り合う燃料極間における絶縁性が確保され得る。これに対し、支持基板10は、Ni元素を含まない絶縁性セラミックス材料のみ、例えば、MgO−Y、MgO−MgAlで構成されてもよい。
支持基板10の幅は10〜100mmであり、厚さは、1〜5mmである。支持基板10のアスペクト比(幅/厚さ)は、5〜100である。以下、この構造体の形状が上下対称となっていることを考慮し、説明の簡便化のため、支持基板10の上面側の構成についてのみ説明していく。支持基板10の下面側の構成についても同様である。
図2及び図3に示すように、支持基板10の上面(上側の主面)に形成された各凹部12には、燃料極集電部21の全体が埋設(充填)されている。従って、各燃料極集電部21は直方体状を呈している。各燃料極集電部21の上面(外側面)には、凹部21aが形成されている。各凹部21aは、燃料極集電部21の材料からなる底壁と、周方向に閉じた側壁(長手方向に沿う2つの側壁と幅方向に沿う2つの側壁)と、で画定された直方体状の窪みである。周方向に閉じた側壁のうち、長手方向に沿う2つの側壁は支持基板10の材料からなり、幅方向に沿う2つの側壁は燃料極集電部21の材料からなる。
各凹部21aには、燃料極活性部22の全体が埋設(充填)されている。従って、各燃料極活性部22は直方体状を呈している。燃料極集電部21と燃料極活性部22とにより燃料極20が構成される。燃料極20(燃料極集電部21+燃料極活性部22)は、電子伝導性を有する多孔質の材料からなる焼成体である。各燃料極活性部22の幅方向に沿う2つの側面と底面とは、凹部21a内で燃料極集電部21と接触している。
各燃料極集電部21の上面(外側面)における凹部21aを除いた部分には、凹部21bが形成されている。各凹部21bは、燃料極集電部21の材料からなる底壁と、周方向に閉じた側壁(長手方向に沿う2つの側壁と幅方向に沿う2つの側壁)と、で画定された直方体状の窪みである。周方向に閉じた側壁のうち、長手方向に沿う2つの側壁は支持基板10の材料からなり、幅方向に沿う2つの側壁は燃料極集電部21の材料からなる。
各凹部21bには、インターコネクタ30が埋設(充填)されている。従って、各インターコネクタ30は直方体状を呈している。インターコネクタ30は、電子伝導性を有する緻密な材料からなる焼成体である。各インターコネクタ30の幅方向に沿う2つの側面と底面とは、凹部21b内で燃料極集電部21と接触している。
燃料極20(燃料極集電部21及び燃料極活性部22)の上面(外側面)と、インターコネクタ30の上面(外側面)と、支持基板10の主面とにより、1つの平面(凹部12が形成されていない場合の支持基板10の主面と同じ平面)が構成されている。即ち、燃料極20の上面とインターコネクタ30の上面と支持基板10の主面との間で、段差が形成されていない。
燃料極活性部22は、例えば、NiO(酸化ニッケル)とYSZ(8YSZ)(イットリア安定化ジルコニア)とから構成され得る。或いは、NiO(酸化ニッケル)とGDC(ガドリニウムドープセリア)とから構成されてもよい。燃料極集電部21は、例えば、NiO(酸化ニッケル)とYSZ(8YSZ)(イットリア安定化ジルコニア)とから構成され得る。或いは、NiO(酸化ニッケル)とY(イットリア)とから構成されてもよいし、NiO(酸化ニッケル)とCSZ(カルシア安定化ジルコニア)とから構成されてもよい。燃料極活性部22の厚さは、5〜30μmであり、燃料極集電部21の厚さ(即ち、凹部12の深さ)は、50〜500μmである。
このように、燃料極集電部21は、電子伝導性を有する物質を含んで構成される。燃料極活性部22は、電子伝導性を有する物質と酸素イオン伝導性を有する物質とを含んで構成される。燃料極活性部22における「気孔部分を除いた全体積に対する酸素イオン伝導性を有する物質の体積割合」は、燃料極集電部21における「気孔部分を除いた全体積に対する酸素イオン伝導性を有する物質の体積割合」よりも大きい。
インターコネクタ30は、例えば、LaCrO(ランタンクロマイト)から構成され得る。或いは、(Sr,La)TiO(ストロンチウムチタネート)から構成されてもよい。インターコネクタ30の厚さは、10〜100μmである。
燃料極20及びインターコネクタ30がそれぞれの凹部12に埋設された状態の支持基板10における長手方向に延びる外周面において複数のインターコネクタ30が形成されたそれぞれの部分の長手方向中央部を除いた全面は、固体電解質膜40により覆われている。固体電解質膜40は、イオン伝導性を有し且つ電子伝導性を有さない緻密な材料からなる焼成体である。固体電解質膜40は、例えば、YSZ(8YSZ)(イットリア安定化ジルコニア)から構成され得る。或いは、LSGM(ランタンガレート)から構成されてもよい。固体電解質膜40の厚さは、3〜50μmである。
即ち、燃料極20がそれぞれの凹部12に埋設された状態の支持基板10における長手方向に延びる外周面の全面は、インターコネクタ30と固体電解質膜40とからなる緻密層により覆われている。この緻密層は、緻密層の内側の空間を流れる燃料ガスと緻密層の外側の空間を流れる空気との混合を防止するガスシール機能を発揮する。
なお、図2に示すように、本例では、固体電解質膜40が、燃料極20の上面、インターコネクタ30の上面における長手方向の両側端部、及び支持基板10の主面を覆っている。ここで、上述したように、燃料極20の上面とインターコネクタ30の上面と支持基板10の主面との間で段差が形成されていない。従って、固体電解質膜40が平坦化されている。この結果、固体電解質膜40に段差が形成される場合に比して、応力集中に起因する固体電解質膜40でのクラックの発生が抑制され得、固体電解質膜40が有するガスシール機能の低下が抑制され得る。
固体電解質膜40における各燃料極活性部22と接している箇所の上面には、反応防止膜50を介して空気極60が形成されている。反応防止膜50は、緻密な材料からなる焼成体であり、空気極60は、電子伝導性を有する多孔質の材料からなる焼成体である。反応防止膜50及び空気極60を上方からみた形状は、燃料極活性部22と略同一の長方形である。
反応防止膜50は、例えば、GDC=(Ce,Gd)O(ガドリニウムドープセリア)から構成され得る。反応防止膜50の厚さは、3〜50μmである。空気極60は、例えば、LSCF=(La,Sr)(Co,Fe)O(ランタンストロンチウムコバルトフェライト)から構成され得る。或いは、LSF=(La,Sr)FeO(ランタンストロンチウムフェライト)、LNF=La(Ni,Fe)O(ランタンニッケルフェライト)、LSC=(La,Sr)CoO(ランタンストロンチウムコバルタイト)等から構成されてもよい。また、空気極60は、LSCFからなる第1層(内側層)とLSCからなる第2層(外側層)との2層によって構成されてもよい。空気極60の厚さは、10〜100μmである。
なお、反応防止膜50が介装されるのは、SOFC作製時又は作動中のSOFC内において固体電解質膜40内のYSZと空気極60内のSrとが反応して固体電解質膜40と空気極60との界面に電気抵抗が大きい反応層が形成される現象の発生を抑制するためである。
ここで、燃料極20と、固体電解質膜40と、反応防止膜50と、空気極60とが積層されてなる積層体が、「発電素子部A」に対応する(図2を参照)。即ち、支持基板10の上面には、複数(本例では、4つ)の発電素子部Aが、長手方向において所定の間隔をおいて配置されている。
各組の隣り合う発電素子部A,Aについて、一方の(図2では、左側の)発電素子部Aの空気極60と、他方の(図2では、右側の)発電素子部Aのインターコネクタ30とを跨ぐように、空気極60、固体電解質膜40、及び、インターコネクタ30の上面に、空気極集電膜70が形成されている。空気極集電膜70は、電子伝導性を有する多孔質の材料からなる焼成体である。空気極集電膜70を上方からみた形状は、長方形である。
空気極集電膜70は、例えば、LSCF=(La,Sr)(Co,Fe)O(ランタンストロンチウムコバルトフェライト)から構成され得る。或いは、LSC=(La,Sr)CoO(ランタンストロンチウムコバルタイト)から構成されてもよい。或いは、Ag(銀)、Ag−Pd(銀パラジウム合金)から構成されてもよい。空気極集電膜70の厚さは、50〜500μmである。
このように各空気極集電膜70が形成されることにより、各組の隣り合う発電素子部A,Aについて、一方の(図2では、左側の)発電素子部Aの空気極60と、他方の(図2では、右側の)発電素子部Aの燃料極20(特に、燃料極集電部21)とが、電子伝導性を有する「空気極集電膜70及びインターコネクタ30」を介して電気的に接続される。この結果、支持基板10の上面に配置されている複数(本例では、4つ)の発電素子部Aが電気的に直列に接続される。ここで、電子伝導性を有する「空気極集電膜70及びインターコネクタ30」が、前記「電気的接続部」に対応する。
なお、インターコネクタ30は、前記「電気的接続部」における前記「緻密な材料で構成された第1部分」に対応し、気孔率は10%以下である。空気極集電膜70は、前記「電気的接続部」における前記「多孔質の材料で構成された第2部分」に対応し、気孔率は20〜60%である。
以上、説明した「横縞型」のSOFCセル100に対して、図4に示すように、支持基板10の燃料ガス流路11内に燃料ガス(水素ガス等)を流すとともに、支持基板10の上下面(特に、各空気極集電膜70)を「酸素を含むガス」(空気等)に曝す(或いは、支持基板10の上下面に沿って酸素を含むガスを流す)ことにより、固体電解質膜40の両側面間に生じる酸素分圧差によって起電力が発生する。更に、この構造体を外部の負荷に接続すると、下記(1)、(2)式に示す化学反応が起こり、電流が流れる(発電状態)。
(1/2)・O+2e→O2− (於:空気極60) …(1)
+O2−→HO+2e (於:燃料極20) …(2)
発電状態においては、図5に示すように、各組の隣り合う発電素子部A,Aについて、電流が、矢印で示すように流れる。この結果、図4に示すように、このSOFCセル100全体から(具体的には、図4において最も手前側の発電素子部Aのインターコネクタ30と最も奥側の発電素子部Aの空気極60とを介して)電力が取り出される。
(製造方法)
次に、図6に示した「横縞型」のSOFCセル100の製造方法の一例について図6〜図14を参照しながら簡単に説明する。図6〜図14において、各部材の符号の末尾の「g」は、その部材が「焼成前」であることを表す。
先ず、図6に示す形状を有する支持基板の成形体10gが作製される。この支持基板の成形体10gは、例えば、支持基板10の材料(例えば、CSZ)の粉末にバインダー等が添加されて得られるスラリーを用いて、押し出し成形、切削等の手法を利用して作製され得る。以下、図6に示す7−7線に対応する部分断面を表す図7〜図14を参照しながら説明を続ける。
図7に示すように、支持基板の成形体10gが作製されると、次に、図8に示すように、支持基板の成形体10gの上下面に形成された各凹部に、燃料極集電部の成形体21gがそれぞれ埋設・形成される。次いで、図9に示すように、各燃料極集電部の成形体21gの外側面に形成された各凹部に、燃料極活性部の成形体22gがそれぞれ埋設・形成される。各燃料極集電部の成形体21g、及び各燃料極活性部22gは、例えば、燃料極20の材料(例えば、NiとYSZ)の粉末にバインダー等が添加されて得られるスラリーを用いて、印刷法等を利用して埋設・形成される。
続いて、図10に示すように、各燃料極集電部の成形体21gの外側面における「燃料極活性部の成形体22gが埋設された部分を除いた部分」に形成された各凹部に、インターコネクタの成形体30gがそれぞれ埋設・形成される。各インターコネクタの成形体30gは、例えば、インターコネクタ30の材料(例えば、LaCrO)の粉末にバインダー等が添加されて得られるスラリーを用いて、印刷法等を利用して埋設・形成される。
次に、図11に示すように、複数の燃料極の成形体(21g+22g)及び複数のインターコネクタの成形体30gがそれぞれ埋設・形成された状態の支持基板の成形体10gにおける長手方向に延びる外周面において複数のインターコネクタの成形体30gが形成されたそれぞれの部分の長手方向中央部を除いた全面に、固体電解質膜の成形膜40gが形成される。固体電解質膜の成形膜40gは、例えば、固体電解質膜40の材料(例えば、YSZ)の粉末にバインダー等が添加されて得られるスラリーを用いて、印刷法、ディッピング法等を利用して形成される。
次に、図12に示すように、固体電解質膜の成形体40gにおける各燃料極の成形体22gと接している箇所の外側面に、反応防止膜の成形膜50gが形成される。各反応防止膜の成形膜50gは、例えば、反応防止膜50の材料(例えば、GDC)の粉末にバインダー等が添加されて得られるスラリーを用いて、印刷法等を利用して形成される。なお、図12には示していないが、この状態の支持基板の成形体10gのガス排出側端部には、後述するコーティング膜500、及びコーティング膜600(図19を参照)の成形膜も、ディッピング法等を利用して形成される。
そして、このように種々の成形膜が形成された状態の支持基板の成形体10gが、空気中にて1500℃で3時間焼成される。これにより、図1に示したSOFCセル100において空気極60及び空気極集電膜70が形成されていない状態の構造体が得られる。
次に、図13に示すように、各反応防止膜50の外側面に、空気極の成形膜60gが形成される。各空気極の成形膜60gは、例えば、空気極60の材料(例えば、LSCF)の粉末にバインダー等が添加されて得られるスラリーを用いて、印刷法等を利用して形成される。
次に、図14に示すように、各組の隣り合う発電素子部について、一方の発電素子部の空気極の成形膜60gと、他方の発電素子部のインターコネクタ30とを跨ぐように、空気極の成形膜60g、固体電解質膜40、及び、インターコネクタ30の外側面に、空気極集電膜の成形膜70gが形成される。各空気極集電膜の成形膜70gは、例えば、空気極集電膜70の材料(例えば、LSCF)の粉末にバインダー等が添加されて得られるスラリーを用いて、印刷法等を利用して形成される。
そして、このように成形膜60g、70gが形成された状態の支持基板10が、空気中にて1050℃で3時間焼成される。これにより、図1に示したSOFCが得られる。以上、図1に示したSOFCセル100の製造方法の一例について説明した。
なお、この時点では、酸素含有雰囲気での焼成により、支持基板10、及び燃料極20中のNi成分が、NiOとなっている。従って、燃料極20の導電性を獲得するため、その後、支持基板10側から還元性の燃料ガスが流され、NiOが800〜1000℃で1〜10時間に亘って還元処理される。なお、この還元処理は発電時に行われてもよい。
上記実施形態では、図6等に示すように、支持基板10に形成された凹部12の平面形状(支持基板10の主面に垂直の方向からみた場合の形状)が、長方形になっているが、例えば、正方形、円形、楕円形、長穴形状等であってもよい。
また、上記実施形態においては、各凹部12にはインターコネクタ30の全体が埋設されているが、インターコネクタ30の一部のみが各凹部12に埋設され、インターコネクタ30の残りの部分が凹部12の外に突出(即ち、支持基板10の主面から突出)していてもよい。
また、上記実施形態においては、平板状の支持基板10の上下面のそれぞれに複数の凹部12が形成され且つ複数の発電素子部Aが設けられているが、図15に示すように、支持基板10の片側面のみに複数の凹部12が形成され且つ複数の発電素子部Aが設けられていてもよい。
また、上記実施形態においては、燃料極20が燃料極集電部21と燃料極活性部22との2層で構成されているが、燃料極20が燃料極活性部22に相当する1層で構成されてもよい。また、上記実施形態においては、支持基板10が平板状を呈しているが、円筒状を呈していても良い。
加えて、上記実施形態においては、図3に示すように、燃料極集電部21の外側面に形成された凹部21bが、燃料極集電部21の材料からなる底壁と、周方向に閉じた側壁(支持基板10の材料からなる長手方向に沿う2つの側壁と、燃料極集電部21の材料からなる幅方向に沿う2つの側壁)と、で画定された直方体状の窪みとなっている。この結果、凹部21bに埋設されたインターコネクタ30の幅方向に沿う2つの側面と底面とが凹部21b内で燃料極集電部21と接触している。
これに対し、図16に示すように、燃料極集電部21の外側面に形成された凹部21bが、燃料極集電部21の材料からなる底壁と、全周に亘って燃料極集電部21の材料からなる周方向に閉じた側壁(長手方向に沿う2つの側壁と、幅方向に沿う2つの側壁)と、で画定された直方体状の窪みであってもよい。これによれば、凹部21bに埋設されたインターコネクタ30の4つの側面の全てと底面とが凹部21b内で燃料極集電部21と接触する。従って、燃料極集電部21とインターコネクタ30との界面の面積をより一層大きくできる。従って、燃料極集電部21とインターコネクタ30との間における電子伝導性をより一層高めることができ、この結果、燃料電池の発電出力をより一層高めることができる。
(スタック構造体の一例)
次に、上述した複数のセル100を用いたスタック構造体の一例について図17〜図20を参照しながら説明する。図17に示すように、このスタック構造体は、多数のセル100と、多数のセル100のそれぞれに燃料ガスを供給するための燃料ガスのマニホールド200と、を備えている。マニホールド200の全体は、ステンレス鋼等の材料で構成されている。
マニホールド200の天板(換言すれば、ガスタンクの天板(平板))は、多数のセル100を支持するための支持板210を兼ねている。また、マニホールド200には、外部からマニホールド200の内部空間に燃料ガスを導入するための導入通路220が設けられている。各セル100が支持板210の表面から第1長手方向(x軸方向)に沿ってそれぞれ突出し且つ複数のセル100がスタック状に整列するように、各セル100の第1長手方向のガス流入側端部が支持板210に接合・支持されている。各セル100の第1長手方向のガス排出側端部は、自由端となっている。従って、このスタック構造は、「片持ちスタック構造」と表現することができる。
図18に示すように、支持板210(マニホールド200の天板)の表面には、マニホールド200の内部空間と連通する多数の挿入孔211が形成されている。各挿入孔211には、対応するセル100のガス流入側端部がそれぞれ挿入(遊嵌)される。
図19に示すように、挿入孔211とセル100のガス流入側端部との接合部のそれぞれにおいて、接合材300が、挿入孔211の内壁とセル100のガス流入側端部の外壁との間の隙間に充填される。これにより、各挿入孔211と対応するセル100のガス流入側端部とがそれぞれ接合・固定されている。接合材300としては、非晶質ガラス、結晶化ガラス等が使用され得る。各セル100のガス流路11のガス流入側端部は、マニホールド200の内部空間と連通している。
図19に示すように、隣接するセル100、100の間には、隣接するセル100、100の間(より詳細には、一方のセル100の燃料極12と他方のセル100の空気極14)を電気的に直列に接続するための集電部材400が介在している。集電部材400は、例えば、金属メッシュ等で構成される。
また、図19に示すように、各セル100のガス排出側端部(自由端部)には、支持基板10より気孔率が小さい緻密なコーティング膜500が形成されている。図19のZ部の拡大図に示すように、具体的には、コーティング膜500は、セル100の長手方向におけるガス排出側の端面の全域に形成された部分(以下、「端面コーティング膜」と呼ぶ)501と、各ガス流路の内壁面におけるガス排出側の端部に形成された部分(以下、「流路内壁面コーティング膜」と呼ぶ)502と、を含んで構成される。換言すれば、コーティング膜500は、少なくとも、支持基板10の長手方向におけるガス排出側の端面、並びに、各ガス流路11の内壁面におけるガス排出側の端部に形成されている。端面コーティング膜501は、各流路内壁面コーティング膜502と連続している。なお、図19に示す例では、コーティング膜500は、セル100の側面におけるガス排出側の端部にも形成されている。コーティング膜500のうちこの部分503は、端面コーティング膜501と連続している。
各流路内壁面コーティング膜502の長手方向の長さH1(図19のZ部の拡大図を参照)は、10mm以上であることが好ましい。コーティング膜の部分503の長手方向の端部は、支持基板10の外周に形成された固体電解質膜40の長手方向の端部の外側面を覆うように同端部と連続している。
コーティング膜500は、例えば、希土類元素を含むジルコニア(3YSZ、8YSZ、10YSZ)、或いは、ガラス等で構成される。コーティング膜500は、固体電解質膜40と同じ材料(例えば、イットリア安定化ジルコニアYSZ)で構成されてもよいし、支持基板10と同じ材料で構成されてもよい。コーティング膜500は、外部空間から支持基板10への空気の進入を防止できる程度の緻密性を備えており、その気孔率は0.5〜10%である。コーティング膜500は、上述のように、支持基板10、燃料極20及び固体電解質膜40との共焼成によって形成されてもよいし、支持基板10、燃料極20及び固体電解質膜40の焼成後に、真空成膜プロセス法(蒸着法、CVD法(化学気相成長:Chemical Vapor Deposition)等)によって形成されてもよい。
また、図19に示すように、コーティング膜500の表面の全域には、コーティング膜500より気孔率が大きい多孔質のコーティング膜600が形成されている。図19のZ部の拡大図に示すように、具体的には、コーティング膜600は、端面コーティング膜501の表面の全域に形成された部分(以下、「端面コーティング膜」と呼ぶ)601と、各流路内壁面コーティング膜502の表面の全域に形成された部分(以下、「流路内壁面コーティング膜」と呼ぶ)602と、を含んで構成される。換言すれば、コーティング膜600は、少なくとも、支持基板10の長手方向におけるガス排出側の端面、並びに、各ガス流路11の内壁面におけるガス排出側の端部に形成されている。端面コーティング膜601は、各流路内壁面コーティング膜602と連続している。なお、図19に示す例では、コーティング膜600は、コーティング膜500の部分503の表面の全域にも形成されている。コーティング膜600のうちこの部分603は、端面コーティング膜601と連続している。
各流路内壁面コーティング膜602の長手方向の長さH2(図19のZ部の拡大図を参照)は、5mm以上であることが好ましい。コーティング膜の部分603の長手方向の端部は、支持基板10の外周に形成された固体電解質膜40の長手方向の端部の外側面を覆うように同端部と連続している。
コーティング膜600は、例えば、ジルコニア(3YSZ、8YSZ、10YSZ)、或いは、ガラス等で構成される。多孔質のコーティング膜600の気孔率は20〜60%である。コーティング膜600は、上述のように、支持基板10、燃料極20、固体電解質膜40、及びコーティング膜500との共焼成によって形成されてもよいし、支持基板10、燃料極20、固体電解質膜40、及びコーティング膜500の焼成後に、真空成膜プロセス法(、CVD法(化学気相成長:Chemical Vapor Deposition)等)によって形成されてもよい。
コーティング膜500の厚さT1、及びコーティング膜600の厚さT2(図19のZ部の拡大図を参照)はそれぞれ、3〜100μm、及び、3〜100μmである。コーティング膜500の表面粗さ、及びコーティング膜600の表面粗さはそれぞれ、算術平均粗さRaで、0.1〜10μm、及び、1〜50μmである。
以上、説明したスタック構造を稼働させる際には、図20に示すように、高温(例えば、600〜800℃)の燃料ガス(水素等)及び「酸素を含むガス(空気等)」を流通させる。導入通路220から導入された燃料ガスは、マニホールド200の内部空間へと移動し、その後、各挿入孔211を介して対応するセル100のガス流路11にそれぞれ導入される。各ガス流路11を通過した燃料ガスは、その後、各ガス流路11のガス排出側端部(自由端部)から外部に排出される。空気は、スタック構造の内部における隣接するセル100間の隙間に沿って、セル100の幅方向(y軸方向)に流される。
各ガス流路11のガス排出口から外部空間に排出された余剰のガスは、同ガス排出口の近傍にて、同外部空間内にある空気(酸素)と反応して燃焼させられる。ここで、各セル100のガス排出側端部(自由端部)にコーティング膜500、及びコーティング膜600が形成されていることによって、多孔質の支持基板10のガス排出側端部の内部に外部空間内にある空気が進入することが抑制され得る。この結果、同内部への空気の進入に起因して支持基板10のガス排出側端部にクラックが発生する事態の発生が抑制され得る。
上述した片持ちスタック構造は、例えば、以下の手順で組み立てられる。先ず、必要な枚数の完成したセル100、並びに、完成したマニホールド200が準備される。次いで、所定の治具等を用いて、複数のセル100がスタック状に整列・固定される。次に、複数のセル100がスタック状に整列・固定された状態が維持されながら、複数のセル100のそれぞれの一端部が、支持板210の対応する挿入孔211に一度に挿入される。次いで、接合材300用のペーストが、挿入孔211とセル100の一端部との接合部のそれぞれの隙間に充填される。
次に、上記のように充填されたペーストに熱処理が加えられる。これにより、ペーストが乾燥・固化されることによって、接合材300としての機能を発揮し、各セルのガス流入側端部が対応する挿入孔211(従って、支持板210)にそれぞれ接合・固定される。その後、前記所定の治具が複数のセル100から取り外されて、上述した片持ちスタック構造体が完成する。
(作用・効果)
上記実施形態では、上述のように、SOFCセル100のガス排出側端部(自由端部)に緻密なコーティング膜500が形成され、コーティング膜500の上に、多孔質のコーティング膜600が形成されている。即ち、コーティング膜500は、各ガス流路11のガス排出口の近傍にて外部空間に対して露呈しない。従って、コーティング膜600が形成されていない態様と比べて、前記余剰のガスの燃焼熱がコーティング膜500の表面に伝わり難く、コーティング膜500の表面温度の変化度合が小さくなる。この結果、コーティング膜500の表面に過大な熱応力が発生し難くなり、コーティング膜500の表面にクラックが発生し難くなる。
加えて、コーティング膜600は、各ガス流路11のガス排出口の近傍にて外部空間に対して露呈している。従って、前記余剰のガスの燃焼熱がコーティング膜600の表面に伝わり易い。換言すれば、コーティング膜600の表面温度の変化度合は比較的大きくなる。しかしながら、コーティング膜600は多孔質膜であるので、ヤング率が小さい。従って、コーティング膜600の表面には過大な応力が発生し難いので、コーティング膜600の表面にもクラックが発生し難い。
(コーティング膜にクラックが発生する可能性の更なる低減)
上述した還元処理後における図1に示したSOFCでは、通常の環境下で稼働される場合には、コーティング膜500の表面、及び/又はコーティング膜600の表面にクラックが発生しない。しかしながら、SOFCが熱応力的に過酷な環境下で稼働されると、コーティング膜500の表面、及び/又はコーティング膜600の表面にクラックが発生する場合があった。本発明者は、係るクラックの発生が「コーティング膜500の気孔率、及び、コーティング膜600の気孔率の組み合わせ」と強い相関があることを見出した。以下、このことを確認した試験について説明する。なお、この明細書にて「平均」とは、「相加平均」を指す。
(試験)
この試験では、図1に示したSOFCについて、「コーティング膜500気孔率(%)」及び「コーティング膜600の気孔率(%)」の組み合わせが異なる複数のサンプルが作製された。具体的には、表1に示すように、10種類の水準(組み合わせ)が準備された。各水準に対して10個のサンプル(N=10)が作製された。なお、水準1では、コーティング膜600が設けられていない。
各サンプル(図1に示すSOFC)にて、支持基板10は、長手方向(x軸方向)の長さが50〜500mmで、幅方向(y軸方向)の長さが10〜100mmで、厚さが1〜5mmの平板状を呈していた。支持基板10のガス流路11(具体的には、6本)の断面は円形であり、その直径は0.3〜4.5mmであった。支持基板10の気孔率は20〜60%であった。
コーティング膜500は、図19に示すように、部分501、502、503を含むように形成され、コーティング膜600は、図19に示すように、部分601、602、603を含むように形成された。部分502の長手方向の長さH1、及び、部分602の長手方向の長さH2はそれぞれ、10〜20mm、及び、5〜30mmであった。コーティング膜500の厚さT1、及びコーティング膜600の厚さT2(図19のZ部の拡大図を参照)はそれぞれ、3〜100μm、及び、3〜100μmであった。コーティング膜500の表面粗さ、及びコーティング膜600の表面粗さはそれぞれ、算術平均粗さRaで、0.1〜10μm、及び、1〜50μmであった。なお、上記各値は、上記還元処理後の値である。
コーティング膜500、及び、コーティング膜600の気孔率の調整は、それぞれ、スラリー内の粉末の粒径、造孔材の添加量等を調整することによってなされた。コーティング膜500、及びコーティング膜600は、支持基板10との共焼成によって形成された。この共焼成は、1400〜1500℃にて1〜3時間に亘って行われた。各サンプルについて、上記還元処理が、800〜1000℃にて1〜10時間に亘って行われた。
各サンプルについて、「コーティング膜500の気孔率」及び「コーティング膜600の気孔率」の測定が、2層のコーティング膜500、600の(x−z平面に平行な)任意の5箇所の「断面」(図19に示す断面を参照)について行われた。各サンプルについて、コーティング膜毎に、対応する5個の値の平均値がそのコーティング膜の気孔率として採用された。表1に記載された各水準についての「コーティング膜500の気孔率」の値(%)、及び「コーティング膜600の気孔率」の値(%)はそれぞれ、その水準に含まれる10個のサンプル(N=10)の対応する気孔率の値(=10個の値)の平均値である。
この試験では、上記還元処理後の各サンプルについて、「燃料極20に還元性の燃料ガスを流通させながら、雰囲気温度を常温から750℃まで2時間で上げた後に750℃から常温まで4時間で下げるパターン」を10回繰り返す熱サイクル試験を行った。そして、各サンプルについて、「コーティング膜500の表面でのクラック」、及び、「コーティング膜600の表面でのクラック」の発生の有無が確認された。「コーティング膜600の表面でのクラック」の発生の有無は、目視、並びに、顕微鏡を使用した断面の観察によってなされた。「コーティング膜500の表面でのクラック」の発生の有無は、顕微鏡を使用した断面の観察によってなされた。この結果は表1に示すとおりである。
表1にて、水準1では、コーティング膜500の表面(特に、部分501の表面)にクラックが発生し、水準10では、コーティング膜600の表面(特に、部分601の表面)にクラックが発生している。その他の水準ではクラックが発生していない。
表1から理解できるように、コーティング膜600が設けられていないと、コーティング膜500の表面にクラックが発生し易い(水準1)。これは、上記「発明の概要」の欄で記載したように、「コーティング膜500がガス流路11のガス排出口の近傍にて露呈していることによって上記余剰のガスの燃焼に起因する熱がコーティング膜500の表面に伝わり易いこと」、並びに、「緻密膜であるコーティング膜500のヤング率が大きいこと」によって、コーティング膜500の表面に発生する熱応力が特に過大になり易い、ことに基づく、と考えられる。
また、「コーティング膜500の気孔率が0.5〜10%であり、且つ、コーティング膜600の気孔率が20〜60%」であると、コーティング膜500の表面、及び、コーティング膜600の表面共にクラックが発生し難いといえる。一方、コーティング膜600の気孔率が60%より大きいと、コーティング膜600の表面にクラックが発生し易い(水準10)。これは、コーティング膜600の気孔率が大き過ぎると、コーティング膜600の強度が著しく低下することに基づく、と考えられる。
以上より、支持基板10の気孔率が20〜60%である場合において、「コーティング膜500の気孔率が0.5〜10%であり、且つ、コーティング膜600の気孔率が20〜60%」であると、そうでない場合と比べて、上述したSOFCが熱応力的に過酷な環境下で稼働された場合においても、コーティング膜500の表面、及びコーティング膜600の表面にクラックが発生し難くなる、ということができる。
なお、本発明者は、通常の条件・環境下(例えば、常温から750℃まで4時間で上げた後に750℃から常温まで12時間で下げるパターン)にて上記実施形態が使用される場合、「コーティング膜500の気孔率が0.5〜10%であり、且つ、コーティング膜600の気孔率が20〜60%」という条件が成立しない場合であっても、コーティング膜500の表面、及びコーティング膜600の表面にクラックが発生し難いことを別途確認している。
10…支持基板、11…燃料ガス流路、12…凹部、20…燃料極、21…燃料極集電部、21a、21b…凹部、22…燃料極活性部、30…インターコネクタ、40…固体電解質膜、50…反応防止膜、60…空気極、70…空気極集電膜、500…コーティング膜、600…コーティング膜、A…発電素子部

Claims (2)

  1. 長手方向を有する多孔質の支持基板であって1つ又は複数のガス流路が前記長手方向に沿って内部に形成された支持基板と、
    前記支持基板の主面に設けられ、少なくとも燃料極、固体電解質、及び空気極がこの順で積層された発電素子部と、
    を備えた焼成体である燃料電池であって、
    前記各ガス流路の前記長手方向における一端側及び他端側がそれぞれ、ガス流入側及びガス排出側に対応し、
    少なくとも、前記各ガス流路の内壁面における前記ガス排出側の端部、及び、前記支持基板の前記長手方向における前記ガス排出側の端面に、前記支持基板より気孔率が小さい第1コーティング膜が形成され、
    前記第1コーティング膜の上に、前記第1コーティング膜より気孔率が大きい第2コーティング膜が形成された、燃料電池。
  2. 請求項1に記載の燃料電池において、
    前記支持基板の気孔率は、20〜60%であり、前記第1コーティング膜の気孔率は、0.5〜10%であり、前記第2コーティング膜の気孔率は、20〜60%である、燃料電池。
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