JP2016081708A - リチウムイオン二次電池用負極活物質、およびそれを含む負極並びにリチウムイオン二次電池 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】炭素材料からなる負極活物質粒子と、前記負極活物質粒子の表面にC‐F‐O‐P‐V層を有するリチウムイオン二次電池用負極活物質、前記C‐F‐O‐P‐V層中のVは、前記C‐F‐O‐P‐V層全体に対して0.1〜5atm%にて含まれるリチウムイオン二次電池用負極活物質、前記負極活物質とバインダーとを含むリチウムイオン二次電池用負極,前記負極と正極とセパレータと非水電解質とを備えてなるリチウムイオン二次電池。
【選択図】図1
Description
リチウムイオン二次電池は、主として、正極、負極、セパレータ、非水電解液から構成されており、一般に、正極にリチウム金属複合酸化物、負極にリチウムイオンを吸蔵放出可能な炭素材等を用い、非水電解液として常温で液体の有機溶媒にリチウム塩を溶解させた液状の電解質が用いられている。しかし、負極の炭素材の表面では、有機溶媒が関与する副反応が生じ、期待される放電容量が得られないなど特性に悪影響を及ぼしてしまう。このため、負極が有機溶媒と直接反応しないように、負極表面に被膜を形成するとともに、この被膜の状態や性質を制御することが重要な課題になっている。
上述した課題を解決するために、特許文献1では、負極表面被膜を形成、制御することにより、炭素活物質粒子にマンガン化合物を付着させる提案がなされている。
本実施形態にかかる電極、及びリチウムイオン二次電池について図1を参照して簡単に説明する。
正極集電体12は、導電性の板材であればよく、例えば、アルミニウム又はそれらの合金、ステンレス等の金属薄板(金属箔)を用いることができる。
正極活物質層14は、正極活物質、バインダー、及び、必要に応じた量の導電助剤から主に構成されるものである。
正極活物質としては、リチウムイオンの吸蔵及び放出、リチウムイオンの脱離及び挿入(インターカレーション)、又は、リチウムイオンと該リチウムイオンのカウンターアニオン(例えば、PF6 −)とのドープ及び脱ドープを可逆的に進行させることが可能であれば特に限定されず、公知の電極活物質を使用できる。例えば、コバルト酸リチウム(LiCoO2)、ニッケル酸リチウム(LiNiO2)、リチウムマンガンスピネル(LiMn2O4)、及び、一般式:LiNixCoyMnzMaO2(x+y+z+a=1、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1、0≦a≦1、MはAl、Mg、Nb、Ti、Cu、Zn、Crより選ばれる1種類以上の元素)で表される複合金属酸化物、リチウムバナジウム化合物(LiV2O5、LiVOPO4)、オリビン型LiMPO4(ただし、Mは、Co、Ni、Mn、Fe、Mg、Nb、Ti、Al、Zrより選ばれる1種類以上の元素又はVOを示す)、チタン酸リチウム(Li4Ti5O12)、LiNixCoyAlzO2(0.9<x+y+z<1.1)、Li過剰系等の複合金属酸化物が挙げられる。特に、熱安定性に優れたLiVOPO4、LiFePO4がより好ましい。
バインダーは、正極活物質同士を結合すると共に、正極活物質と正極集電体12とを結合している。バインダーは、上述の結合が可能なものであればよく、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素樹脂が挙げられる。更に、上記の他に、バインダーとして、例えば、セルロース、スチレン・ブタジエンゴム、エチレン・プロピレンゴム、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂等を用いてもよい。また、バインダーとして電子伝導性の導電性高分子やイオン伝導性の導電性高分子を用いてもよい。電子伝導性の導電性高分子としては、例えば、ポリアセチレン等が挙げられる。この場合は、バインダーが導電助剤粒子の機能も発揮するので導電助剤を添加しなくてもよい。イオン伝導性の導電性高分子としては、例えば、リチウムイオン等のイオンの伝導性を有するものを使用することができ、例えば、高分子化合物(ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等のポリエーテル系高分子化合物、ポリフォスファゼン等)のモノマーと、LiClO4、LiBF4、LiPF6等のリチウム塩又はリチウムを主体とするアルカリ金属塩と、を複合化させたもの等が挙げられる。複合化に使用する重合開始剤としては、例えば、上記のモノマーに適合する光重合開始剤または熱重合開始剤が挙げられる。
導電助剤も、正極活物質層14の導電性を良好にするものであれば特に限定されず、公知の導電助剤を使用できる。例えば、黒鉛、カーボンブラック等の炭素系材料や、銅、ニッケル、ステンレス、鉄等の金属微粉、炭素材料及び金属微粉の混合物、ITO等の導電性酸化物が挙げられる。
負極集電体22は、導電性の板材であればよく、例えば、銅、ニッケル、ステンレス又はそれらの合金の金属薄板(金属箔)を用いることができる。
負極活物質層24は、負極活物質、バインダー、及び、必要に応じた量の導電助剤から主に構成されるものである。
本実施形態の負極活物質は、炭素材料からなる粒子表面にC‐F‐O‐P‐V層を有することを特徴とするものである。負極表面上に新たに形成される被膜を抑制することができ、被膜中にリチウムイオンが取り込まれ保持されることがないため、初回充放電効率を非常に高くすることが出来ると考えられる。
導電助剤は特に限定されず、公知の導電助剤を使用できる。例えば、カーボンブラックのような熱分解炭素、コークス類、ガラス状炭素類、有機高分子化合物焼成材料、炭素繊維、あるいは活性炭などの炭素材が挙げられる。また、難黒鉛化炭素、易黒鉛化炭素、黒鉛などの負極活物質材料を、形状を変えて添加してもよい。
バインダー及び導電助剤には、上述した正極10に用いる材料に加え、PAA等のアクリル系樹脂も用いることができる。また、バインダー及び導電助剤の含有量も、負極活物質の体積変化の大きさや箔との密着性を加味しなければならない場合は適宜調整し、上述した正極10における含有量と同様の含有量を採用すればよい。添加する場合にはバインダーの添加量は、負極活物質の質量に対して2〜20質量%であることが好ましい。導電助剤の添加量は、負極活物質の質量に対して0.5〜5質量%であることが好ましい。
セパレータは、電解液に対して安定であり、保液性に優れていれば特に制限はないが、一般的にはポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンの多孔質シート、又は不織布が挙げられる。
電解質は、正極活物質層14、負極活物質層24、及び、セパレータ18の内部に含有させるものである。電解質としては、特に限定されず、例えば、本実施形態では、リチウム塩を含む電解液(電解質水溶液、有機溶媒を使用する電解質溶液)を使用することができる。ただし、電解質水溶液は電気化学的に分解電圧が低いことにより、充電時の耐用電圧が低く制限されるので、有機溶媒を使用する電解液(非水電解質溶液)であることが好ましい。電解液としては、リチウム塩を非水溶媒(有機溶媒)に溶解したものが好適に使用される。リチウム塩としては特に限定されず、リチウムイオン二次電池の電解質として用いられるリチウム塩を用いることができる。例えば、リチウム塩としては、LiPF6、LiBF4、LiClO4、LiFSI、LiBOB、Li2B12F12等の無機酸陰イオン塩、LiCF3SO3、(CF3SO2)2NLi等の有機酸陰イオン塩等を用いることができる。
電解液のリチウム塩の濃度は、電気伝導性の点から、0.5〜2.0Mが好ましい。なお、この電解質の温度25℃における導電率は0.01S/m以上であることが好ましく、電解質塩の種類あるいはその濃度により調整される。
更に、本実施形態の電解液中には、必要に応じて各種添加剤を添加してもよい。添加剤としては、例えば、サイクル寿命向上を目的としたビニレンカーボネート、メチルビニレンカーボネート等や、過充電防止を目的としたビフェニル、アルキルビフェニル等や、脱酸や脱水を目的とした各種カーボネート化合物、各種カルボン酸無水物、各種含窒素及び含硫黄化合物が挙げられる。
ケース50は、その内部に積層体30及び電解液を密封するものである。ケース50は、電解液の外部への漏出や、外部からのリチウムイオン二次電池100内部への水分等の侵入等を抑止できる物であれば特に限定されない。例えば、ケース50として、図1に示すように、金属箔52を高分子膜54で両側からコーティングした金属ラミネートフィルムを利用できる。金属箔52としては例えばアルミ箔を、高分子膜54としてはポリプロピレン等の膜を利用できる。例えば、外側の高分子膜54の材料としては融点の高い高分子、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド等が好ましく、内側の高分子膜54の材料としてはポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等が好ましい。
リード60、62は、アルミ等の導電材料から形成されている。
そして、公知の方法により、リード62、60を正極集電体12、負極集電体22にそれぞれ溶接し、正極10の正極活物質層14と負極20の負極活物質層24との間にセパレータ18を挟んだ状態で、電解液と共にケース50内に挿入し、ケース50の入り口をシールすればよい。
(正極の作製)
正極活物質としてLiVOPO4と(87質量%)、導電助剤としてケッチェンブラック(8質量%)、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン(PVdF)(5質量%)を混合した。そして、溶媒であるN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を加えてスラリーを調製した後、固練りを1時間行った。その後、ドクターブレード法により集電体であるアルミニウム箔に塗布し、100℃で10分間乾燥を行った。なおこの時の正極活物質の塗布量は13.0mg/cm2とし、上記アルミニウム箔の両面に塗布された正極活物質層の塗膜の厚みは、ほぼ同じ膜厚に調整した。上記正極活物質が形成された正極をロールプレス機によって、正極活物質層を正極集電体の両面に圧着させ、正極活物質層の密度が2.4g/cm3なるように正極を作製した。
五酸化バナジウムと、リン酸と、フッ化水素酸と、ジフルオロリン酸と、ポリビニルアルコール(PVA)を水に加え、水に対しこれらが分散した混合物を調整し、C‐F‐O‐P‐V被覆溶液を得た。
上記被覆溶液に負極活物質粒子としての人造黒鉛を浸し、10分浸漬した後、負極活物質粒子を取り出し、アルゴン雰囲気下で100℃で乾燥し、被覆層を形成し、その後電気炉を用いて110℃で5時間熱処理することで負極活物質を得た。このように、被覆溶液に浸漬し、その後負極活物質粒子を取り出し、乾燥する工程を繰り返す回数と熱処理時間を制御することによりC‐F‐O‐P‐V層の組成と膜厚を制御することができる。
上記方法で作製した負極活物質(90質量%)、導電助剤としてカーボンブラック(2質量%)、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン(PVDF)(8質量%)を混合し、溶剤のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)中に分散させ、スラリーを得た。得られたスラリーをドクターブレード法により集電体である電解銅箔(厚さ10μm)に負極活物質の塗布量が5.1mg/cm2となるように塗布し、110℃で乾燥させた。乾燥後に圧延を行い、負極活物質層の密度が1.4g/cm3になるように負極を作製した。
正極と、負極とを、それらの間にポリエチレン微多孔膜からなるセパレータを挟んで積層し、積層体(電池素体)を得た。この積層体を、外装体となるアルミラミネートパック(アルミニウム箔の2つの主面にポリプロピレン(PP)とポリエチレンテレフタラート(PET)とをそれぞれ被覆した積層シートの袋体)に入れた。
電解液はエチレンカーボネート(EC)、ジエチルカーボネート(DEC)を体積比3:7で混合し、支持塩としてLiPF6を1.0mol/Lになるよう溶解した。積層体を入れたアルミラミネートパックに、上記電解液を注入した後、真空シールし、実施例1の評価用セルを作製した。
負極活物質表面のC‐F‐O‐P‐V層の厚み測定は以下の手順で行った。まず、負極活物質粒子の断面をSTEMにて観察し、得られた断面STEM像からC‐F‐O‐P‐V層の部分の面積を画像解析にて2値化処理し算出した。そのC‐F‐O‐P‐V層の断面積を負極活物質粒子の外周で除したものをC‐F‐O‐P‐V層の厚みとした。上記の操作を任意の10粒子それぞれについて行った。たとえば実施例1で得られた図2を用いて具体的に説明すると、C‐F‐O‐P‐V層(図2中のA)の部分の面積を画像解析にて2値化処理して算出し、それを負極活物質粒子(図2中のB)の外周で除することでC‐F‐O‐P‐V層の厚み(図2中のC)とした。なお、隣接する負極活物質同士の被膜が接触していた場合には母材となる負極活物質材料間の距離の半分を被膜の境界として算出することとした。なお、図2中ではC‐F‐O‐P‐V層が被膜として負極活物質の周囲を全面覆っている図を示しているが、必ずしも全面被覆している必要はなく本発明の効果を有する程度であればよい。
負極活物質表面のC‐F‐O‐P‐V層を構成する元素濃度比率の測定は以下の手順で行った。まず、負極活物質粒子の断面を透過型電子顕微鏡(TEM)にて観察し、負極活物質表面のC‐F‐O‐P‐V層に対し、エネルギー分散形X線分析装置(EDS)を用いて元素濃度比率(atm%)を測定した。測定は、任意の領域において10点の点分析の結果を平均として求め、C‐F‐O‐P‐V層の元素濃度比率とした。
[実施例2〜15]
表1に示した被膜の膜厚となるように各実施例を被覆溶液に浸漬−乾燥する工程の繰り返し回数と熱処理時間条件を変更し、水分量を調整したこと以外は実施例1と同様の方法で評価用リチウムイオン二次電池を作製し、実施例2〜15として初回充放電効率の評価を行った。
比較例1にかかるリチウムイオン二次電池用負極およびリチウムイオン二次電池は、表1に示すようにC‐F‐O‐P‐V層による被覆を行わなかったこと以外は、実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池用負極およびリチウムイオン二次電池を作製した。
実施例及び比較例で作製した評価用リチウムイオン二次電池について、二次電池充放電試験装置(北斗電工株式会社製)を用い、充放電特性の測定を行った。0.5Cで4.2Vまで定電流定電圧充電し、1Cで2.5Vまで定電流放電する充放電の初回充放電効率を評価した。
Claims (5)
- 炭素材料からなる負極活物質粒子と、前記負極活物質粒子の表面にC‐F‐O‐P‐V層を有することを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極活物質。
- 前記C‐F‐O‐P‐V層中のVは、前記C‐F‐O‐P‐V層全体に対して0.1atm%以上5atm%以下にて含まれることを特徴とする請求項1に記載のリチウムイオン二次電池用負極活物質。
- 前記C‐F‐O‐P‐V層の膜厚は、20nm以上300nm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のリチウムイオン二次電池用負極活物質。
- 請求項1〜3のうちいずれか一項に記載の負極活物質と、バインダーとを含むリチウムイオン二次電池用負極。
- 請求項4に記載の負極と正極活物質を有する正極と、前記負極と前記正極との間にセパレータと非水電解質と、を備えてなるリチウムイオン二次電池。
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