JP2016079437A - 耐高温酸化性、高温クリープ強度および高温引張強度に優れたフェライト系ステンレス鋼 - Google Patents

耐高温酸化性、高温クリープ強度および高温引張強度に優れたフェライト系ステンレス鋼 Download PDF

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Abstract

【課題】 高温および腐食燃焼ガス環境下で、耐高温酸化性、高温クリープ強度、Laves相の析出量の体積率および高温引張強度に優れたフェライト系ステンレス鋼を提供する。
【解決手段】 質量%で、C:0.04%以下、Si:0.40〜1.20%、Mn:0.01〜0.40%、P:0.040%以下、S:0.030%以下、Cr:18.00〜25.00%、Al:0.60〜1.40%、Ti:0.10〜0.90、Nb:0.10〜1.20%、N:0.03%以下を含有し、さらにMoまたはWの1種:0.50〜3.00%もしくはMoおよびWの2種:0.50〜3.00%を含有し、かつ、前記の化学成分の範囲において、(Si+Al):1.00〜2.60%、および(Ti+Nb):4(C+N)〜1.60%を満足し、残部がFeおよび不可避不純物からなる、耐高温酸化性、高温クリープ強度および高温引張強度に優れたフェライト系ステンレス鋼。
【選択図】 なし

Description

本発明は、レキュペレータ(復熱装置)熱交換器や他の熱収支を高める熱交換器用などの高温かつ腐食性燃焼ガス環境下において、優れた耐高温酸化性、高温クリープ強度および高温引張強度に優れたフェライト系耐熱鋼に関する。
従来のレキュペレータにおける熱交換器では、鋼材温度は最高で約750℃であり、当該温度域で耐えうる鋼材として、フェライト系耐熱鋼(Cr−Si−Al鋼)として知られているDIN規格鋼種のX10CrAl24などが利用されている。しかし、熱効率のさらなる向上には使用環境温度の上昇例えば800℃以上が必要とされる。高温環境においては酸化や腐食による鋼材の減肉量が著しいため耐高温酸化性が要求されるとともに、高温ではクリープ強度が低下し、鋼材が使用時に変形してしまう。そこで、鋼材の温度上昇により、さらなる耐高温酸化性や、高温クリープ特性や、高温引張特性の向上が必要である。
これに対して、耐用温度の高い鋼材としては、オーステナイト系ステンレス鋼やNi基合金が有用である。しかし、これらはNiなどの合金元素量が多く経済性に優れない。一方で、フェライト系ステンレス鋼はNiなどの合金元素量が少ないことから、経済性に優れており、HfやZrなどのようなレアメタルを添加することによって、高温でのクリープ強度を改善する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。しかし、この提案方法では、600℃を超える温度域でのクリープ強度について考慮されておらず、レアメタルを多種使用しており、原料の安定供給性を欠くものである。
耐高温酸化性を向上させる方法としては、Cu添加などによる手法が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。一般的に、温度の上昇により酸化量は著しく増加することが知られている。この特許文献2では、1000℃で連続酸化試験を行った結果について示されている。しかし、これを超える温度における鋼材の耐酸化性については示されていない。また、クリープ強度が低いことは鋼材が短寿命であることを意味するが、特許文献2では、鋼材の早期破損による設備トラブルや鋼材の早期交換など、経済性を悪化させるクリープ強度の特性については言及されていない。
さらに、耐高温酸化性を向上させる方法の特許が提案されている(例えば、特許文献3参照。)。しかし、この特許文献3はクリープ強度について考慮しておらず、かつ、質量%で、(Mo+W)が4.3%以上と高価な合金元素が多く、コスト増となっている。
さらに、耐高温酸化性を向上させる方法の特許が提案されている(例えば、特許文献4参照。)。しかし、特許文献4は800℃を超える温度域での耐酸化性や、高温クリープ特性や、高温引張特性について考慮されていない。
特開平11−061342号公報 特開平11−256287号公報 特許第4206836号公報 特許第4259151号公報
本発明が解決しようとする課題は、800℃以上の高温かつ腐食燃焼ガス環境下において優れた耐酸化性を有し、高温クリープ強度および高温引張強度に優れ、経済的に優れたフェライト系ステンレス鋼を提供することである。
本発明の課題を解決するための手段は、請求項1の手段では、質量%で、C:0.04%以下、Si:0.40〜1.20%、Mn:0.01〜0.40%、P:0.040%以下、S:0.030%以下、Cr:18.00〜25.00%、Al:0.60〜1.40%、Ti:0.10〜0.90、Nb:0.10〜1.20%、N:0.03%以下を含有し、さらにMoまたはWの1種:0.50〜3.00%もしくはMoおよびWの2種:0.50〜3.00%を含有し、かつ、前記の化学成分の範囲において、(Si+Al):1.00〜2.60%、および(Ti+Nb):4(C+N)〜1.60%、の関係を満足し、残部がFeおよび不可避不純物からなる鋼で、850℃の鋼中において析出するLaves相量は体積率で0.2%以上を満足することを特徴とする耐高温酸化性、高温クリープ強度および高温引張強度に優れたフェライト系ステンレス鋼である。
請求項2の手段では、請求項1の手段の化学成分に加えて、質量%で、Ni:0.01〜2.00%を含有し、かつ、前記の化学成分の範囲において、(Si+Al):1.00〜2.60%、および(Ti+Nb):4(C+N)〜1.60%、の関係を満足し、残部がFeおよび不可避不純物からなる鋼で、850℃の鋼中において析出するLaves相量は体積率で0.2%以上を満足することを特徴とする耐高温酸化性、高温クリープ強度および高温引張強度に優れたフェライト系ステンレス鋼である。
請求項3の手段では、請求項1の手段の化学成分または請求項2の手段の化学成分に加えて、質量%で、Cu、Coのいずれか1種もしくは2種:0.01〜2.00%を含有し、かつ、前記の化学成分の範囲において、(Si+Al):1.00〜2.60%、および(Ti+Nb):4(C+N)〜1.60%の関係を満足し、残部がFeおよび不可避不純物からなる鋼で、850℃の鋼中において析出するLaves相量は体積率で0.2%以上を満足することを特徴とする耐高温酸化性、高温クリープ強度および高温引張強度に優れたフェライト系ステンレス鋼である。
請求項4の手段では、請求項1の手段の化学成分、請求項2の手段の化学成分または請求項3の手段の化学成分のいずれか1項の手段の化学成分に加えて、質量%で、V、Ta、Zrのいずれか1種または2種もしくは3種:0.01〜1.00%を含有し、かつ、前記の化学成分の範囲において、(Si+Al):1.00〜2.60%、および(Ti+Nb):4(C+N)〜1.60%の関係を満足し、残部がFeおよび不可避不純物からなる鋼で、850℃の鋼中において析出するLaves相量は体積率で0.2%以上を満足することを特徴とする耐高温酸化性、高温クリープ強度および高温引張強度に優れたフェライト系ステンレス鋼である。
請求項5の手段では、請求項1の手段の化学成分、請求項2の手段の化学成分、請求項3の手段の化学成分、請求項4の化学成分のいずれか1項の手段の化学成分に加えて、質量%で、Ca、Mgのいずれか1種もしくは2種:0.01%以下を含有し、かつ、前記の化学成分の範囲において、(Si+Al):1.00〜2.60%、および(Ti+Nb):4(C+N)〜1.60%の関係を満足し、残部がFeおよび不可避不純物からなる鋼で、850℃の鋼中において析出するLaves相量は体積率で0.2%以上を満足することを特徴とする耐高温酸化性、高温クリープ強度および高温引張強度に優れたフェライト系ステンレス鋼である。
本発明の耐高温酸化性、高温引張強度および高温クリープ強度に優れたフェライト系ステンレス鋼からなる鋼材は、鋼材の耐用温度域および鋼材寿命を増大させることができ、したがって、鋼材減肉量が大きくなる高温環境かつ酸化性雰囲気であるレキュペレータ用の熱交換器や、その他の高温環境下かつ酸化性雰囲気下にある機器類などに、使用することができるなど工業的に極めて優れた効果を奏するものである。
先ず、本願の請求項の手段における化学成分、およびLaves相の析出量の限定理由について説明する。
C:0.04%以下、望ましくは0.03%以下
Cは、高温でのクリープ強度を向上させる元素であるが、その含有量が0.04%より多い場合には、耐高温酸化性および靱性が低下する。したがって、本成分系においては、Cは0.04%以下と低くする。そこで、Cは0.04%以下、望ましくは0.03%以下とする。
Si:0.40〜1.20%
Siは、製鋼の際に脱酸材として用いられるとともに、製造および溶接の際の溶鋼の流動性を高め、さらに耐高温酸化性を高めるとともに、クリープ強度を向上させるLaves相の形成に必要な元素で、このためには0.40%以上が必要である。しかし、Si含有量が1.20%より多い場合、硬さが上昇して靱性の低下および加工性の低下を招くので、Siは1.20%以下とする。そこで、Siは0.40〜1.20%とする。
Mn:0.01〜0.40%
Mnは、Siと同様に製鋼の際に脱酸材として用いられるとともに、耐酸化性および耐スケール剥離性を向上させる元素である。このためには、Mnは0.01%以上が必要である。しかし、Mnの含有量が0.40%より多い場合、オーステナイト相が形成されて異常酸化の起点を招くとともに、このオーステナイト相は熱膨張係数がフェライト層に比較して大きいため、寸法変化が生じる恐れがあるので、Mnは0.40%以下とする。そこでMnは0.01〜0.40%とする。
P:0.040%以下
Pは、0.040%より多いと得られた鋼材の熱間加工性を低下する。そこで、Pは0.040%以下とする。
S:0.030%以下
Sは、0.030%より多いと得られた鋼材の熱間加工性を低下する。そこで、Sは0.030%以下とする。
Cr:18.00〜25.00%
Crは、フェライト系ステンレス鋼の基本成分の一つでフェライト相を安定させるとともに、高温材料として重要視される耐高温酸化性の改善に重要な元素である。そこで、耐高温酸化性を確保するために、Crは18.00%以上含有させる必要がある。しかし、Crは25%を超えて含有させると、靱性および加工性を低下する。そこで、Crは18.00〜25.00%とする。
Al:0.60〜1.40%
Alは、脱酸能の高い元素であり、SiおよびMnと同様に製鋼の際に脱酸剤として用いられるとともに、高温酸化性環境下で鋼材の表面に緻密な酸化性被膜を形成することで耐酸化性を向上させる元素である。Alは酸化被膜を形成させ、十分な耐高温酸化性向上の効果を得るために0.60%以上が必要である。しかし、Alは1.40%より過剰になると鋼の靱性および加工性が低下する。そこで、Alは0.60〜1.40%とする。
N:0.03%以下
Nは、炭素と共にCrやVやFeと結合して炭窒化物を形成する元素であるが、0.03%を超えると炭窒化物が粗大化して靱性や加工性を劣化させる元素である。したがって、本成分系においては、Nは0.03%以下と低いことが望ましい。そこで、Nは0.03%以下とする。
Ti:0.10〜0.90%、Nb:0.10〜1.20%
Tiは、Nbと共に固溶強化により高温強度を向上させる元素で、TiおよびNbの複合添加によるLaves相の形成により、その効果はより向上される。TiまたはNbの単独添加のみでは、Laves相の析出が困難であり、十分な高温強度の向上の効果が得られないため、TiおよびNbの複合添加が必要である。しかし、TiおよびNbは強力な炭窒化物の形成元素であるため、これら元素が炭窒化物の形成を助長すると、固溶強化およびLaves相の形成による高温強度の効果が得られない。そこで、Tiは0.10%以上、Nbは0.10%以上とする。しかし、添加量が多くなってTiの添加量が0.90%を超え、Nbの添加量が1.20%を超える場合、炭窒化物の量が多くなり、マトリックス中の固溶強化に寄与するCおよびNの量が減り、強度の低下が生じ、あるいは多量の炭窒化物が異常酸化の起点となり、耐高温酸化性が劣化するため、Tiの上限は0.90%、Nbの上限は1.20%とする。そこで、Tiは0.10〜0.90%、Nbは0.10〜1.20%とする。
(Ti+Nb):4(C+N)〜1.60%
(Ti+Nb)は、高温クリープ強度を向上させるために、CおよびN含有量に対して4(C+N)以上の大きさである関係を満足するように、これらの元素の含有量を、上記のTiの範囲およびNbの範囲の下で、限定する必要がある。すなわち、これは、高温クリープ強度を向上させるためには、(Fe、Cr、Si)2(Ti、Nb)からなる析出強化相であるLaves相の形成が有効であるが、Laves相の形成元素であるTiおよびNbはいずれも強力な炭窒化物形成元素であるため、炭窒化物形成元素が促進されるとLaves相の析出量が低減し、高温クリープ強度を向上させるための十分な効果が得られないからである。ところで、TiおよびNbの含有量が多くなると、Laves相の析出量が多くなり、高温クリープ強度の向上に対しては望ましいが、Laves相形成元素であるCrは基地成分における耐酸化性およびフェライト安定化元素であるため、Laves相の析出量が多くなることは、すなわち、基地のCr含有量が低下し、基地の耐酸化性の低下を招くこととなる。したがって、(Ti+Nb)は4(C+N)〜1.60%とする。
(Si+Al):1.00〜2.60%
(Si+Al)は、上記したSiおよびAlの成分組成に加えて、鋼の表面に形成される酸化被膜の構造を一層緻密なものにする。本発明の目的を達成する耐酸化性を得るためには、(Si+Al)は1.00〜2.60%の関係を満足するように、これら元素の含有量を限定する必要がある。そこで、(Si+Al)は1.00〜2.60%とする。
Laves相の析出量:体積率で0.2%以上
Laves相の析出量は、フェライト系ステンレス鋼におけるNbおよびTiの複合添加におけるLaves相の析出量と高温クリープ強度の関係を検討した結果、上記した化学成分からなる組成において、体積率で0.2%以上のLaves相の析出量が形成され、高温クリープ強度の向上へ寄与することを見出した。そこで、良好な高温クリープ強度を得るためには、Laves相の析出量は体積率で0.2%以上とする。
Mo、Wのいずれか1種もしくは2種:0.50〜3.00%
Mo、Wのいずれか1種もしくは2種は、鋼材の高温引張強度の確保に有効な元素であり、このためにMo、Wのいずれか1種もしくは2種は0.50%以上が必要である。しかし、MoおよびWは高価な元素であるので、Mo、Wのいずれか1種もしくは2種の合計で3.00%を超えるとコスト増となる。そこで、Mo、Wのいずれか1種もしくは2種は0.50〜3.00%とする。
Ni:0.01〜2.00%
Niは、鋼の靱性改善に有効な元素である。そのためには、Niは0.01%以上が必要である。しかし、Niは2.00%より多く含有されると、熱間加工性が低下し、かつ高価な元素であるのでコスト増となる。そこで、Niは0.01〜2.00%とする。
Cu、Coのいずれか1種もしくは2種:0.01〜2.00%
Cu、Coのいずれか1種もしくは2種は、鋼材の高温引張強度の改善に有効な元素であり、このためにCu、Coのいずれか1種もしくは2種は0.01%以上が必要である。しかし、Cu、Coの1種もしくは2種の合計で1.00%を超えて含有されると熱間加工性が低下する。さらにCoは高価な元素であるので、2.00%を超えるとコスト増となる。そこで、Cu、Coの1種もしくは2種は0.01〜1.00%とする。
V、Ta、Zrのいずれか1種または2種もしくは3種:0.01〜1.00%
V、Ta、Zrのいずれか1種または2種もしくは3種は鋼材の高温クリープ 強度を改善する元素であり、そのためにはV、Ta、Zrのいずれか1種または2種もしくは3種は0.01〜1.00%を含有する必要がある。しかし、V、Ta、Zrは1.00%より多く含有されると熱間加工性が低下する。さらにV、Zrは高価な元素であるので、1.00%より多く含有されるとコスト増となる。そこで、V、Ta、Zrのいずれか1種または2種もしくは3種は0.01〜1.00%とする。
Ca、Mgのいずれか1種もしくは2種:0.01%以下
Ca、Mgは、精錬時の脱酸に効果があり、かつ鋼材の熱間加工性を改善する元素である。そのためにはCa、Mgのいずれか1種もしくは2種は0.01%以下である必要がある。そこで、Ca、Mgのいずれか1種もしくは2種は0.01%以下とする。
次いで、本願の発明の実施の形態について下記の実施例を踏まえて説明する。なお、本願の発明は、第1の手段では、化学成分としてTiとNbを複合添加することによって、(Fe、Cr、Si)2(Nb、Ti)で表される析出強化相のLaves相を鋼材温度で析出させることで、高温クリープ強度を向上させ、また、鋼の化学成分としてMoまたはWを添加することによって固溶強化によって高温引張強度を向上させるものである。
第2の手段では、第1の手段に、さらにNiを添加することによって、高温引張強度の向上に加えて、靱性を改善したものである。
第3の手段では、第1の手段または第2の手段の化学成分に、さらにCu、Coの1種または2種を加えることで、さらに高温強度の改善を図ったものである。
第4の手段では、第1の手段、第2の手段もしくは第3の手段の化学成分に、さらにV、Ta、Zrのいずれか1種または2種もしくは3種を加えることで、高温硬度をより一層に改善したものである。
さらに、第5の手段では、第1の化学成分、第2の化学成分、第3の化学成分または第4の化学成分に加えてCa、Mgの1種または2種を加えることで、製鋼における脱酸効果を一層に高め、かつ鋼の熱間加工性を改善したものである。
表1に示す化学成分値からなる各発明鋼のNo.1〜29と、表2に示す各比較鋼のNo.30〜39を、100kg真空誘導溶解炉にて溶製し、得られた溶鋼を鋳造してそれぞれの鋼とした。次いで、これらの各発明鋼および比較鋼を1050℃に加熱して、径15mmに鍛造して1050℃に15分保持して水冷し、これらの鋼からなる各供試材の試験片を得た。
Figure 2016079437
Figure 2016079437
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表1に示す化学成分からなるNo.1〜29の各発明鋼と、表2に示すNo.30〜39の各比較鋼のそれぞれの供試材を用いて、以下に記載の試験方法で各供試材の鋼における(1)耐高温酸化性、(2)高温クリープ強度、(3)Laves相の析出量、(4)高温引張特性の評価、およびこれらの総合評価を行なって、下記の表3にNo.1〜29の各発明鋼とNo.30〜39の比較鋼を示している。この場合、MoおよびWにおいて、MoおよびWの2成分を合計した成分値が0.50〜3.00%を満足する場合で、かつMoまたはWのいずれかの成分値が0.50%未満であるとき、その0.50%未満の元素自体は不純物の範囲を示している。しかし、これらのものは請求項に規定する、MoおよびWの2種:0.50〜3.00%、の範囲を満足しているので、その0.50%未満の成分値には下線を付すことなく、表1および表2に記載している。
(1)耐高温酸化性の評価は、カンタル炉で大気雰囲気中において各供試材の試験片を1100℃に100時間保持し、試験後の質量増分を測定した。質量増分を酸化量とし、1cm2当り5.00mg以下の酸化量のものを、表3の評価で○と記載している。
(2)高温クリープ強度の評価は、各供試材の試験片の平行部が径6mmである高温クリープ試験片をJIS Z2271の規格に基づき作製し、850℃にて9.0MPaの引張り応力を負荷させ、破断するまでの時間を測定し、破断時間が200時間を超えるものを、表3の評価で○と記載している。
(3)上記の高温クリープ強度の試験における破断後の各供試材の試験片を電子顕微鏡で撮影し、画像解析によりLaves相の析出量の体積率を算出し、体積率0.2%以上のものを、表3の評価で○と記載している。
高温強度特性としての高温引張強度試験は、JIS G0567に基づき、各供試材からなる、平行部の径が6mmのつば付き棒状の試験片を用い、850℃における降伏強度を測定し、高温引張強度の降伏強度とし、35MPa以上ものを、表3の評価で○と記載している。
Figure 2016079437
表3に、耐高温酸化性、高温クリープ強度、Laves相の析出量および高温引張強度の評価が○であるNo.1〜29の各発明鋼と、○と×であるNo.30〜39の各比較鋼と、並びに耐高温酸化性、高温クリープ強度、Laves相の析出量および高温引張強度の総合評価が○であるNo.1〜29の各発明鋼と、総合評価が×であるNo.30〜39の各比較鋼とを、示している。これらのうち、各比較鋼で×の評価となった項目の値にはアンダーラインを付している。
表1の発明鋼のNo.1〜29のフェライト系ステンレス鋼は、化学成分の最適化によって、炭窒化物析出の影響が軽減されており、表3に見られるように、Laves相による強化により、良好な高温クリープ強度が得られ、高温クリープ強度の評価は○であり、さらに異常酸化を抑制した良好な耐高温酸化性を示し、その酸化増量は1cm2当り4.55mg以下であり、耐高温酸化性の評価は○であり、高温引張強度においても上記したように、850℃における降伏強度が35MPa以上であり評価は○である。したがって、表3に示すように、本発明のNo.1〜29は総合評価は全て○である。
一方、比較鋼のNo.30は表2に示すAlの値が本発明の請求項1に示すAlの下限値の0.60%より少ないので、表3の耐高温酸化性の酸化増量の評価が×である。
No.31は表2に示すCrの値が本発明の請求項1に示すCrの下限値の18.00%より少ないので、表3の耐高温酸化性の酸化増量の評価がで×である。
No.32は表2に示すMo0.01%およびWの0.26%の合計の含有量の0.27%が本発明の請求項1に示すMoおよびWの2種の下限値の0.50%より少ないので、表3で高温引張強度の評価が×である。
No.33は表2に示すSiの値が本発明の請求項1に示すSiの下限値の0.40%より少ないので、表3の耐高温酸化性の酸化増量の評価が×である。
No.34は表2に示すTiの値が本発明の請求項1に示すTiの下限値の0.10%より少ないので、表3の高温クリープ強度の評価およびLaves相の析出量の体積率の各評価が×である。
No.35は表2に示すCの値が本発明の請求項1に示すCの上限値の0.04%より多く、表2に示すNbの値が本発明の請求項1に示すNbの下限値の0.10%より少なく、かつ表2に示すNの値が本発明の請求項1に示すNの上限値の0.03%より多いので、表3の耐高温酸化性の酸化増量、高温クリープ強度およびLaves相の析出量の体積率の各評価が×である。
No.36は表2に示すNbの値が本発明の請求項1に示すNbの上限値の1.20%より多いので、表3の耐高温酸化性の酸化増量の評価が×である。
No.37は表2に示すMoおよびWの合計の含有量の0.32%が本発明の請求項1に示すMoおよびWの合計の下限値の0.50%より少ないので、表3の高温引張強度の評価が×である。
No.38は表2に示すMnの値が本発明の請求項1に示すMnの上限値の0.40%よりも多く、かつ表2に示すNbの値が本願の請求項1に示すNbの下限値の0.10%よりも少ないので、表3の耐高温酸化性の酸化増量、高温クリープ強度およびLaves相の析出量の体積率の各評価が×である。
No.39は表2に示すTiの値が本発明の請求項1に示すTiの上限値の0.90%よりも多いので、表3の耐高温酸化性の酸化増量の評価が×である。
以上の結果、表3に示すように比較鋼のNo.30〜39の総合評価は全て×である。

Claims (5)

  1. 質量%で、C:0.04%以下、Si:0.40〜1.20%、Mn:0.01〜0.40%、P:0.040%以下、S:0.030%以下、Cr:18.00〜25.00%、Al:0.60〜1.40%、Ti:0.10〜0.90、Nb:0.10〜1.20%、N:0.03%以下を含有し、さらにMoまたはWの1種:0.50〜3.00%もしくはMoおよびWの2種:0.50〜3.00%を含有し、かつ、前記の化学成分の範囲において、(Si+Al):1.00〜2.60%、および(Ti+Nb):4(C+N)〜1.60%、の関係を満足し、残部がFeおよび不可避不純物からなる鋼で、850℃の鋼中において析出するLaves相量は体積率で0.2%以上であることを満足することを特徴とする耐高温酸化性、高温クリープ強度および高温引張強度に優れたフェライト系ステンレス鋼。
  2. 請求項1の化学成分に加えて、質量%で、Ni:0.01〜2.00%を含有し、かつ、前記の化学成分の範囲において、(Si+Al):1.00〜2.60%、および(Ti+Nb):4(C+N)〜1.60%、の関係を満足し、残部がFeおよび不可避不純物からなる鋼で、850℃の鋼中において析出するLaves相量は体積率で0.2%以上であることを満足することを特徴とする耐高温酸化性、高温クリープ強度および高温引張強度に優れたフェライト系ステンレス鋼。
  3. 請求項1の化学成分または請求項2の化学成分に加えて、質量%で、Cu、Coのいずれか1種もしくは2種:0.01〜2.00%を含有し、かつ、前記の化学成分の範囲において、(Si+Al):1.00〜2.60%、および(Ti+Nb):4(C+N)〜1.60%の関係を満足し、残部がFeおよび不可避不純物からなる鋼で、850℃の鋼中において析出するLaves相量は体積率で0.2%以上であることを満足することを特徴とする耐高温酸化性、高温クリープ強度および高温引張強度に優れたフェライト系ステンレス鋼。
  4. 請求項1の化学成分、請求項2の化学成分、または請求項3の化学成分のいずれか1項の化学成分に加えて、質量%で、V、Ta、Zrのいずれか1種または2種もしくは3種:0.01〜1.00%を含有し、かつ、前記の化学成分の範囲において、(Si+Al):1.00〜2.60%、および(Ti+Nb):4(C+N)〜1.60%の関係を満足し、残部がFeおよび不可避不純物からなる鋼で、850℃の鋼中において析出するLaves相量は体積率で0.2%以上であることを満足することを特徴とする耐高温酸化性、高温クリープ強度および高温引張強度に優れたフェライト系ステンレス鋼。
  5. 請求項1の化学成分、請求項2の化学成分、請求項3の化学成分、または請求項4の化学成分のいずれか1項の化学成分に加えて、質量%で、Ca、Mgのいずれか1種もしくは2種:0.01%以下を含有し、かつ、前記の化学成分の範囲において、(Si+Al):1.00〜2.60%、および(Ti+Nb):4(C+N)〜1.60%の関係を満足し、残部がFeおよび不可避不純物からなる鋼で、850℃の鋼中において析出するLaves相量は体積率で0.2%以上であることを満足することを特徴とする耐高温酸化性、高温クリープ強度および高温引張強度に優れたフェライト系ステンレス鋼。
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