JP2016079068A - アルミナセラミックス接合体及びその製造方法 - Google Patents

アルミナセラミックス接合体及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】耐熱衝撃性の向上を図りうるセラミックス接合体を提供する。
【解決手段】アルミナセラミックス接合体は、アルミナセラミックス焼結体間を接合層により接合したであって、接合層は、アルミナを主材とし、チタン化合物がチタニア換算で0.05質量%未満であり、厚さが8μm〜50μmであり、接合層において、気孔の平均径が5μm以下、気孔の存在割合が3%以下、2000μmの面積中に存在する径が5μmを超える気孔が2個以下である。
【選択図】なし

Description

本発明は、アルミナセラミックス接合体及びその製造方法に関する。
アルミナセラミックス焼結体は、耐熱性、絶縁性、耐磨耗性に優れ、半導体製造装置など各種装置の構造用部材として用いられている。アルミナセラミックス焼結体を構造用部材として使用する場合、形状によっては分割した形状の焼結体を接合したアルミナセラミックス接合体とすることが必要となる。
アルミナセラミックス焼結体を接合材を介在させないで接合し、アルミナセラミックス接合体を製造する方法が提案されている(特許文献1参照)。
特開2012−71995号公報
しかしながら、特許文献1に記載されたアルミナセラミックス接合体は、耐熱衝撃性が低い。例えば加熱体の冷却プレートとしてアルミナセラミックス接合体を使用した場合、その中空部には室温以下の冷却媒体(例えば水)が流され、200℃程度の高温と室温との間で急激な温度上昇及び温度下降が繰り返される。このような場合、アルミナセラミックス接合体の耐熱衝撃性が低いと、製品寿命が短くなる。
そこで、本発明は、耐熱衝撃性の向上を図りうるアルミナセラミックス接合体及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を行った結果、アルミナセラミックス接合体の接合層における気孔が所定の条件を満たした場合に、耐熱衝撃性が向上することを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明のアルミナセラミックス接合体は、アルミナセラミックス焼結体間を接合層により接合したアルミナセラミックス接合体であって、前記接合層は、アルミナを主材とし、チタン化合物がチタニア換算で0.05質量%未満であり、厚さが10μm〜50μmであり、前記接合層において、気孔の平均径が5μm以下、前記気孔の存在割合が3%以下、2000μmの面積中に存在する径が5μmを超える前記気孔が2個以下であることを特徴とする。
本発明のアルミナセラミックス接合体によれば、本発明の実施例に記載するように、耐熱衝撃性の向上を図ることができる。
接合層におけるチタン化合物がチタニア換算で0.05質量%を超えると、1500〜1600℃での接合処理の場合、接合層の粒成長を促進する効果が発現され、接合強度の低下を招くため、好ましくない。
なお、チタン源は固溶せずに、極少量のチタン酸アルミニウムとしてアルミナ粒界に存在しても良い。チタン化合物として、例えば、チタニア、チタン炭酸塩、あるいは、チタン硝酸塩等が挙げられる。
また、接合層の厚さが8μm未満であると、接合前のアルミナセラミックス焼結体の接合面の平面度又は表面粗さを補完できないため、接合層の気孔などの欠陥の存在数が増大することから、接合強度や耐熱衝撃性の低下を招くので、好ましくない。接合面に対して鏡面仕上げを行えば、接合層の厚さが8μm未満とすることも可能であるが、作業工数が大幅に増えるので好ましくない。一方、接合層の厚さが50μmを超えると、接合層の気孔などの欠陥の存在数が増大することから、接合強度や耐熱衝撃性の低下を招くため、好ましくない。
本発明のアルミナセラミックス接合体は、接合強度が250MPa以上、耐熱衝撃性が180℃以上となる。なお、本発明において耐熱衝撃性とは、JIS R1648に規定される水中落下法に準拠して測定される値である。
本発明のアルミナセラミックス接合体の製造方法は、アルミナセラミックス焼結体間を接合層により接合したアルミナセラミックス接合体の製造方法であって、平均粒子径1.0μm以下のアルミナ粉末を主材とし、薄膜旋回法により、バインダー及び可塑剤を混合してペースト化したものであって、アルミナ粉末割合が60質量%以上、チタン化合物がチタニア換算で0.05質量%未満である接合材と、複数のアルミナセラミックス焼結体を用意する工程と、前記アルミナセラミックス焼結体の接合面に、それぞれ10μm〜50μmの範囲の厚さで前記接合材を印刷する工程と、前記アルミナセラミックス焼結体の接合面に0.98MPa〜3.57MPaの圧力を加えると共に1500℃〜1600℃の範囲の温度で加熱する工程とを備えることを特徴とする。
本発明のアルミナセラミックス接合体の製造方法によれば、本発明の実施例に記載するように、製造されるアルミナセラミックス接合体の耐熱衝撃性の向上を図ることができる。
[アルミナセラミックス接合体の製造方法]
アルミナセラミックス接合体の製造方法について説明する。
まず、粒度1.0μm以下、純度99%以上のアルミナ粉末を用いて、アルミナ成形部材を形成する工程が行われる。
アルミナ成形部材の形成は、2次原料を得るために、上記アルミナ粉末に、焼結助剤、添加剤、バインダー、分散剤等を添加したものを攪拌混合してスラリーを得た後、スラリーを噴霧造粒法(スプレードライ法)により噴霧乾燥し、2次原料が造粒される。焼結助剤として、例えば、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ケイ素が挙げられる。添加剤として、例えば、色調調整や高強度化用のものが挙げられる。
造粒された2次原料は、所定形状のゴム型内へ投入され、静水圧プレス成形法(ラバープレス法)により成形された後、アルミナ成形体がゴム型から取り外され、所定形状となるように切削加工が行われ、アルミナ成形部材が形成される。なお、成形型として金型を用いてもよい。
次に、アルミナ成形部材を焼成してアルミナセラミックス焼結体を形成する工程が行われる。
アルミナセラミックス焼結体を形成する工程は、常圧焼結やホットプレス法(熱間加圧法)を含む加圧焼結、反応焼結等の焼結方法を用いて行うことが可能であり、アルミナセラミックス焼結体に求められる特性に適した焼結方法を用いればよい。例えば、ホットプレス焼結では脱脂不良や色ムラが生じるおそれがあるので、ホットプレス焼結以外の常圧焼結などで焼結を行うことが好ましい。
アルミナセラミックス焼結体の純度は99%以上で、平均粒子径は3μm〜20μm以下で、密度は3.90g/cm以上あることが好ましい。この好ましい平均粒子径は、後工程であるホットプレス焼結の条件と、接合材の条件とに依存する。
次に、アルミナセラミックス焼結体を所定の形状及び寸法に研削する機械加工が行われる。
アルミナセラミックス焼結体の機械加工は、アルミナセラミックス焼結体の接合面の表面粗さRa(JIS B0601−2001)が2.0μm以下、平面度が直径300mmの円板形状に対して20μm以下になるように砥石やブラシ等を用いた通常の平面研削機で研削することにより行われる。従って、鏡面仕上げを行う必要はない。
次に、接合材を用意する工程が行われる。
接合材の主材はアルミナであり、添加材などに不可避的に含まれるチタン化合物はチタニア換算で0.05質量%未満である。なお、チタン化合物としては、例えば、チタニア、チタン炭酸塩、あるいはチタン硝酸塩等が挙げられる。
接合材の主材として用いられるアルミナは、平均粒子径1.0μm以下、純度99.5%以上、より好ましくは99.9%以上である。平均粒子径が1.0μmを超える場合、アルミナセラミックス焼結体の接合面の表面粗さに由来する凹部にアルミナ粒子が入り込まず、接合強度が低下する。また、純度が99.5%未満の場合、接合材によりアルミナセラミックス焼結体の接合面付近のアルミナの融点が過度に下がるため、接合温度も過度に下がり、接合制御がし難くなり、変形する場合がある。
チタン化合物の含有率が0.05質量%を超える場合、1500〜1600℃での接合処理したとき、接合層の粒成長を促進する効果が発現され、接合強度の低下を招く。
接合材は、アルミナ粉末を主材として、薄膜旋回法により、可塑剤及びバインダーを加えて混合しペースト状にしたものであって、アルミナ粉末割合が60質量%以上である。なお、分散媒、分散剤などを混合してもよい。分散媒、分散剤等の配合は、所望性状のペーストを得るために調整することができる。
薄膜旋回法は、薄膜旋回型攪拌機を用いて、遠心力により撹拌容器内に収容された原料を均一な混合、分散状態に形成する方法である。薄膜旋回型攪拌機は、円筒状の撹拌容器内に、撹拌容器より僅かに小径の撹拌具が同心に設けられ、撹拌具が高速回転することよって、撹拌容器内に収容された原料が撹拌容器の壁面に押し付けられ強大なずり力によって原料中の溶液が薄膜状に拡がって、原料を均一に混合、分散する装置である。薄膜旋回型撹拌機としては公知の装置を用いることができ、遊星高速ミル機や、プライミクス株式社製のフィルミックスなどが挙げることができる。
従来、ペースト状の接合材を作製する場合、超音波振動を与えて原料を分散させる超音波分散機、又は、回転数の異なる3本のロールから構成され、ロール間圧力を利用した圧縮作用と速度の異なるロール間でのせん断作用により分散を行う3本ローラミル機が用いられる。
しかし、これらを用いてペースト状の接合材を作製する際、バインダーを均一に分散させることが困難であり、アルミナセラミックス接合体の接合層内にバインダーの凝縮した部分が大きな気孔となって残存することがあった。
本発明では、薄膜旋回法によりペースト状の接合材を作製しているので、バインダーが均一に分散され、アルミナセラミックス接合体の接合層内に大きな気孔が残存して、接合強度及び耐熱衝撃性が低下することの防止を図ることができる。
そして、ペースト状の接合材においてアルミナ粉末割合が60質量%以上である。アルミナ粉末割合が60質量%未満である場合、アルミナセラミックス接合体の接合層内に残存する気孔の大きさ及び割合が増加して、接合強度及び耐熱衝撃性が低下することの防止を図ることができる。さらに、この場合、後述する熱処理時に、接合材の収縮が大きくなり、接合層にクラックが発生するおそれもある。
ペースト状の接合材においてアルミナ粉末割合は80質量%以下であることが好ましい。ペースト状の接合材においてアルミナ粉末割合は80質量%を超える場合、スクリーン印刷をする際に、厚さむらが生じるので綺麗に印刷できず、大型のアルミナセラミックス焼結体に接合材を印刷することが困難になるためである。
次に、アルミナセラミックス焼結体の接合面に、それぞれ10μm〜50μmの範囲の厚さで前記接合材を印刷する工程が行われる。
接合材は、例えばスクリーン印刷により、アルミナセラミックス焼結体のそれぞれの接合面に均一に印刷される。
接合層の厚さが10μm未満である場合、接合前のアルミナセラミックス焼結体の接合面の平面度又は表面粗さを補完できないため、接合層の気孔などの欠陥の存在数が増大することから、接合強度や耐熱衝撃性の低下を招くので、好ましくない。接合面に対して鏡面仕上げを行えば、接合層の厚さが8μm未満とすることも可能であるが、作業工数が大幅に増えるので好ましくない。一方、接合層の厚さが50μmを超えると、接合層の気孔などの欠陥の存在数が増大することから、接合強度や耐熱衝撃性の低下を招くため、好ましくない。
なお、ドクターブレードなどを用いて接合材をシート状とした場合、バインダー成分を除去する脱脂工程において、シートの強度が低下して、接合する際の熱処理時にシートにクラックするおそれがあり、好ましくない。
次に、アルミナセラミックス焼結体の間に、上記接合材を介在させて熱処理を行うことにより、アルミナセラミックス接合体を形成する工程が行われる。
熱処理は、アルミナセラミックス焼結体の間に、上記接合材を介在させて、アルミナセラミックス焼結体を接合した状態で、ホットプレス装置内に収容した後、ホットプレス焼結することにより行われる。ホットプレス焼結は、酸化を防止するため、アルゴン(Ar)、窒素(N)等の不活性雰囲気や真空雰囲気下で行うことが好ましい。不活性雰囲気は、例えば、アルゴン98%程度の状態である。真空化雰囲気は、13.3Pa〜1.3×10−2Pa程度の真空状態である。
そして、アルミナセラミックス焼結体の接合面に対して、0.98MPa〜3.57MPa、より好ましくは1.47MPa〜3.57MPaの圧力で加圧しながら、1500℃〜1600℃に加熱する。加圧加熱状態は、3時間〜6時間保持する。
熱処理圧力が0.98MPa未満の場合、接合層を介したアルミナセラミックス焼結体同士の接合が不十分となり、また、接合層における気孔の径及び割合が高くなって緻密化が良好でなく、接合強度及び耐熱衝撃性が低下する。一方、3.57MPaを超える場合、アルミナセラミックス接合体の変形量が大きく、また接合強度も低下し、さらには接合層の一部で接合が不十分となり、剥離が発生する場合がある。
また、熱処理温度が1500℃未満の場合、接合材とアルミナセラミックス焼結体との溶融不足となり、接合が不十分となり、剥離が発生する場合があり、耐熱衝撃性も劣る。一方、1600℃を超える場合、アルミナセラミックス焼結体の変形量が大きく、また接合強度及び耐熱衝撃性も低下する。
[アルミナセラミックス接合体]
形成されたアルミナセラミックス接合体は、アルミナセラミックス焼結体間に接合層を有するように形成されている。そして、接合強度が250MPa以上であり、耐熱衝撃性が180℃以上であって、一体成形されたアルミナセラミックス焼結体と同程度の機械的強度及び耐熱衝撃性を有する。なお、本発明において耐熱衝撃性とは、JIS R1648に規定される水中落下法に準拠して測定される値である。
接合層は、アルミナを主材とし、チタン化合物がチタニア換算で0.05質量%未満であり、厚さが8μm〜50μmであり、接合層において、気孔の平均径が5μm以下、気孔の存在割合が3%以下、2000μmの面積中に存在する径が5μmを超える気孔が2個以下である。このように熱衝撃を受けた際のクラックの起点となる欠陥(気孔)の数が少ないので、耐熱衝撃性の向上を図ることができる。また、接合焼結時に収縮がほとんど生じず、良好な寸法精度を維持している。
さらに、上記特許文献1では、気孔が一直線上に並ぶので、ある気孔を起点として発生したクラックが伸展して、破壊に至り易いので、耐熱衝撃性は低くなる。一方、本発明では、2000μmの面積中に存在する径が5μmを超える気孔が2個以下であり、クラックの起点となり易い5μmを超える気孔の傍に気孔があまり存在していない。そのため、クラックは伸展し難いので、耐熱衝撃性の向上を図ることができる。
以下、実施例及び比較例を示して説明する。
(実施例1)
[アルミナセラミックス接合体の作製]
原料となるアルミナ粉末に、イソプロピルアルコール及び有機バインダーと可塑剤を添加混合し、スプレードライをすることでアルミナ顆粒を得た。この顆粒をCIP成形し、所定の焼成温度で6時間の常圧焼成することで、純度99.5%以上、密度3.90g/cm以上、φ300×20mmの円板形状のアルミナセラミックス焼結体を形成した。形成された焼結体に研削する機械加工を施して、平面度が20μm、接合面の表面粗さRaが0.7μmとなるようにした。
接合材の主材である純度99.9%、平均粒径0.7μmのアルミナ粉末に対して、バインダーとしてのエチルセルロース、及び可塑剤としてのフタル酸ブチルを添加し、プライミクス株式社製のフィルミックス(型式:56−30型)という薄膜旋回型攪拌機を用いて、混合し、ペーストを作製した。作製されたペースト状の接合材は、アルミナ粉末割合が70質量%であって、チタン化合物はチタニア換算で0.01質量%未満であった。
2つの円板状のアルミナセラミックス焼結体を用意し、それぞれの接合面にペースト状の接合材を、スクリーン印刷により、厚さ30μmとなるように均一に塗布した。
そして、これらのアルミナセラミックス焼結体の接合面同士をはり合わせた。これを大気中480℃で1時間保持して脱脂した後、ホットプレス焼成炉を用いて、0.1MPaの98%のアルゴン雰囲気中で、接合面に1.47MPaの圧力を加えながら、1550℃で熱処理した。そして、アルミナセラミックス接合体を形成した。
[評価]
アルミナセラミックス接合体を切断し、切断断面を鏡面研磨した後、エッチング処理を施し、走査型電子顕微鏡により接合層を観察し、接合層の厚さ(μm)、接合層における気孔の平均径(μm)、気孔の存在割合(%)、及び、2000μmの面積中に存在する径が5μmを超える気孔の最大個数(個)を測定した。
また、得られた接合体から、接合層が中央に位置するように曲げ試験片を切り出して4点曲げ試験(JIS R1601)により接合強度(MPa)を測定した。また、JIS R1648に規定される水中落下法に準拠して、耐熱衝撃性(℃)を測定した。
(実施例2)
接合材におけるアルミナ粉末割合を60質量%としたほかは、実施例1と同一条件で実施例2のアルミナセラミックス接合体を作製した。
(実施例3)
接合材の厚さを10μmとしたほかは、実施例1と同一条件で実施例3のアルミナセラミックス接合体を製造した。
(実施例4)
熱処理における焼成温度を1500℃としたほかは、実施例1と同一条件で実施例4のアルミナセラミックス接合体を製造した。
(実施例5)
熱処理において接合面に加える圧力を0.98MPaとしたほかは、実施例1と同一条件で実施例5のアルミナセラミックス接合体を製造した。
(実施例6)
熱処理において接合面に加える圧力を2.94MPaとしたほかは、実施例1と同一条件で実施例6のアルミナセラミックス接合体を製造した。
(実施例7)
熱処理において接合面に加える圧力を3.57MPaとしたほかは、実施例1と同一条件で実施例7のアルミナセラミックス接合体を製造した。
(実施例8)
熱処理における焼成温度を1600℃としたほかは、実施例1と同一条件で実施例8のアルミナセラミックス接合体を製造した。
(実施例9)
接合材の厚さを50μmとしたほかは、実施例1と同一条件で実施例9のアルミナセラミックス接合体を製造した。
(実施例10)
接合材におけるアルミナ粉末割合を80質量%としたほかは、実施例1と同一条件で実施例10のアルミナセラミックス接合体を作製した。
(比較例1)
接合材におけるアルミナ粉末割合を55質量%としたほかは、実施例1と同一条件で比較例1のアルミナセラミックス接合体を製造した。
(比較例2)
接合材の厚さを5μmとしたほかは、実施例1と同一条件で比較例2のアルミナセラミックス接合体を製造した。
(比較例3)
熱処理における温度を1475℃としたほかは、実施例1と同一条件で比較例3のアルミナセラミックス接合体を製造した。
(比較例4)
熱処理において接合面に加える圧力を0.75MPaとしたほかは、実施例1と同一条件で比較例4のアルミナセラミックス接合体を製造した。
(比較例5)
接合材の厚さを55μmとしたほかは、実施例1と同一条件で比較例5のアルミナセラミックス接合体を製造した。
(比較例6)
超音波分散機を用いて接合材を作製したほかは、実施例1と同一条件で比較例6のアルミナセラミックス接合体を製造した。
(比較例7)
3本ロールミル機を用いて接合材を作製したほかは、実施例1と同一条件で比較例7のアルミナセラミックス接合体を製造した。
接合材の混合方法、アルミナ粉末の割合(質量%)及び厚さ(μm)と、熱処理における焼成温度(℃)及び接合面加圧圧力(MPa)とを、表2に示す。表1中、「※」は本実施形態の好適範囲外の値を示す。
Figure 2016079068
接合層の厚さ(μm)、接合層における気孔の平均径(μm)、気孔の存在割合(%)及び2000μmの面積中に存在する径が5μmを超える気孔の個数(個)、アルミナセラミックス接合体の接合強度(MPa)及び耐熱衝撃性(℃)を表2に示す。表2中、「※」は本実施形態の好適範囲外の値を示す。なお、表2中、「10>」は10個を超えたことを示す。
Figure 2016079068
表1及び表2の実施例1〜実施例10では、アルミナ粉末を主材とし、薄膜旋回法により、バインダー及び可塑剤を混合してペースト化したものであって、アルミナ粉末割合が60質量%以上、チタン化合物がチタニア換算で0.05質量%未満である接合材を、アルミナセラミックス焼結体の接合面にそれぞれ10μm〜50μmの範囲の厚さで印刷し、アルミナセラミックス焼結体の接合面に0.98MPa〜3.57MPaの圧力を加えると共に1500℃〜1600℃の範囲の温度で加熱した。
これにより、接合層の厚さが8μm〜50μmであり、接合層において、気孔の平均径が5μm以下、気孔の存在割合が3%以下、2000μmの面積中に存在する径が5μmを超える気孔が2個以下であるアルミナセラミックス接合体が得られた。これらのアルミナセラミックス接合体は、接合強度が250MPa以上、耐熱衝撃性が180℃以上であった。
比較例1は、接合材におけるアルミナ粉末割合が60質量%未満の55質量%であって少なかった。そのため、接合材における固形分が少なく、アルミナセラミックス接合体の接合層における気孔の平均径が6μmと大きく、気孔の存在割合が5.0%と高く、さらに、2000μmの面積中に存在する径が5μmを超える気孔が3個であって大きな気孔が密集していた。このため、アルミナセラミックス接合体の接合強度は240MPaに低下し、耐熱衝撃性も160℃に低下した。
比較例2は、接合材の厚さが10μmより薄い5μmであった。そのため、アルミナセラミックス焼結体の接合面における平面度20μm、表面粗さRa0.7μmを十分に補完できずに、接合層の厚さが5μmと薄く、気孔の存在割合が10%を超えてと高く、さらに、2000μmの面積中に存在する径が5μmを超える気孔が10個を超えてと大きな気孔が密集していた。このため、アルミナセラミックス接合体の接合強度は140MPaに低下し、耐熱衝撃性も100℃に低下した。
比較例3は、熱処理における焼成温度が1500℃より低い1475℃であった。そのため、接合材とアルミナセラミックス焼結体との溶融不足となり、接合が不十分であり、アルミナセラミックス接合体の接合層の厚さが60μmと厚く、接合層における気孔の平均径が10μmと大きく、気孔の存在割合が5.0%と高く、さらに、2000μmの面積中に存在する径が5μmを超える気孔が5個であって大きな気孔が密集していた。このため、アルミナセラミックス接合体の接合強度は180MPaに低下し、耐熱衝撃性も150℃に低下した。
比較例4は、熱処理において接合面に加える加圧圧力が0.98MPaより小さい0.75MPaであった。そのため、アルミナセラミックス接合体の接合層が十分に緻密化されずに接合が不十分となり、接合層の厚さが60μmと厚く、接合層における気孔の平均径が10μmと大きく、気孔の存在割合が5.0%と高く、さらに、2000μmの面積中に存在する径が5μmを超える気孔が3個であって大きな気孔が密集していた。このため、アルミナセラミックス接合体の接合強度は180MPaに低下し、耐熱衝撃性も150℃に低下した。
比較例5は、接合材の厚さが50μmより厚い55μmであった。そのため、アルミナセラミックス接合体の接合層の体積が増大することにより、接合層内の気孔の存在数が増大するために、気孔の存在割合が4.0%と高く、さらに、2000μmの面積中に存在する径が5μmを超える気孔が3個であって大きな気孔が密集していた。このため、アルミナセラミックス接合体の接合強度は250MPaと十分であるものの、耐熱衝撃性は170℃に低下した。
比較例6は、薄膜旋回型攪拌機ではなく、超音波分散機を用いて接合材を作製した。そのため、接合材においてバインダーを均一に分散させることができず、アルミナセラミックス接合体の接合層における気孔の平均径が10μmと大きく、気孔の存在割合が8.0%と高く、さらに、2000μmの面積中に存在する径が5μmを超える気孔が5個であって大きな気孔が密集していた。このため、アルミナセラミックス接合体の接合強度は220MPaに低下し、耐熱衝撃性も150℃に低下した。
比較例7は、薄膜旋回型攪拌機ではなく、3本ロールミル機を用いて接合材を作製した。そのため、接合材においてバインダーを均一に分散させることができず、アルミナセラミックス接合体の接合層における気孔の平均径が10μmと大きく、気孔の存在割合が6.0%と高く、さらに、2000μmの面積中に存在する径が5μmを超える気孔が4個であって大きな気孔が密集していた。このため、アルミナセラミックス接合体の接合強度は230MPaに低下し、耐熱衝撃性も160℃に低下した。

Claims (3)

  1. アルミナセラミックス焼結体間を接合層により接合したアルミナセラミックス接合体であって、
    前記接合層は、アルミナを主材とし、チタン化合物がチタニア換算で0.05質量%未満であり、厚さが8μm〜50μmであり、前記接合層において、気孔の平均径が5μm以下、前記気孔の存在割合が3%以下、2000μmの面積中に存在する径が5μmを超える前記気孔が2個以下であることを特徴とするアルミナセラミックス接合体。
  2. 請求項1に記載のアルミナセラミックス接合体であって、
    接合強度が250MPa以上、耐熱衝撃性が180℃以上であることを特徴とするアルミナセラミックス接合体。
  3. アルミナセラミックス焼結体間を接合層により接合したアルミナセラミックス接合体の製造方法であって、
    平均粒子径1.0μm以下のアルミナ粉末を主材とし、薄膜旋回法により、バインダー及び可塑剤を混合してペースト化したものであって、アルミナ粉末割合が60質量%以上、チタン化合物がチタニア換算で0.05質量%未満である接合材と、複数のアルミナセラミックス焼結体を用意する工程と、
    前記アルミナセラミックス焼結体の接合面に、それぞれ10〜50μmの範囲の厚さで前記接合材を印刷する工程と、
    前記アルミナセラミックス焼結体の接合面に0.98MPa〜3.57MPaの圧力を加えると共に1500℃〜1600℃の範囲の温度で加熱する工程とを備えることを特徴とするアルミナセラミックス接合体の製造方法。
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