本発明の技術的思想は、あらゆる作業車両に適用することが可能である。本願では、代表的な作業車両であるトラクタを用いて説明する。
まず、トラクタ1について簡単に説明する。
図1は、トラクタ1を示している。図2は、図1の矢印Xから見た図であり、図3は、図1の矢印Yから見た図である。また、図4は、図1の矢印Zから見た図である。なお、図中には、トラクタ1の前後方向、左右方向及び上下方向を表す。
トラクタ1は、主に、フレーム11と、エンジン12と、トランスミッション13と、フロントアクスル14と、リヤアクスル15と、で構成されている。また、トラクタ1は、キャビン16を備えている。キャビン16は、その内側が操縦室になっており、運転座席161のほか、アクセルペダル162やシフトレバー163などが配置されている(図9参照)。
フレーム11は、トラクタ1の前部における骨格をなす。フレーム11は、トランスミッション13やリヤアクスル15とともにトラクタ1のシャシを構成する。以下に説明するエンジン12は、フレーム11によって支持される。
エンジン12は、燃料を燃焼させて得た熱エネルギーを運動エネルギーに変換する。つまり、エンジン12は、燃料を燃やすことによって回転動力を生み出す。なお、エンジン12には、エンジン制御装置が接続されている(図示せず)。エンジン制御装置は、オペレータがアクセルペダル162(図9参照)を操作すると、その操作に応じてエンジン12の運転状態を変更する。また、エンジン12には、排気浄化装置12Eが備えられている。排気浄化装置12Eは、排気に含まれる微粒子や一酸化炭素、炭化水素などを酸化させる。
トランスミッション13は、エンジン12の回転動力をフロントアクスル14やリヤアクスル15に伝達する。トランスミッション13には、連結機構を介してエンジン12の回転動力が入力される。なお、トランスミッション13には、無段変速装置131が備えられている(図5参照)。無段変速装置131は、オペレータがシフトレバー163(図9参照)を操作すると、その操作に応じてトランスミッション13の作動状態を変更する。
フロントアクスル14は、エンジン12の回転動力をフロントタイヤ141に伝達する。フロントアクスル14には、トランスミッション13を介してエンジン12の回転動力が入力される。なお、フロントアクスル14には、操舵装置が並設されている(図示せず)。操舵装置は、オペレータがハンドル164(図9参照)を操作すると、その操作に応じてフロントタイヤ141の舵角を変更する。
リヤアクスル15は、エンジン12の回転動力をリヤタイヤ151に伝達する。リヤアクスル15には、トランスミッション13を介してエンジン12の回転動力が入力される。なお、リヤアクスル15には、PTO出力装置152が設けられている(図5参照)。PTO出力装置152は、オペレータがPTOスイッチ165(図9参照)を操作すると、その操作に応じて牽引する作業機械に回転動力を伝達する。また、リヤアクスル15には、リンク機構35が設けられている(図6参照)。リンク機構35については後述する。
次に、トラクタ1の動力伝達系統について説明する。
図5は、トラクタ1の動力伝達系統を示している。但し、本図は、本願発明の説明に必要な部分のみを簡略的に表している。
上述したように、トランスミッション13は、エンジン12の回転動力をフロントアクスル14やリヤアクスル15に伝達する。即ち、トランスミッション13は、フロントアクスル14に回転動力を伝達する機構と、リヤアクスル15に回転動力を伝達する機構と、を有している。ここでは、フロントアクスル14に回転動力を伝達する機構をフロントドライブ機構33として説明する。
フロントドライブ機構33は、駆動シャフト331と、定速駆動ギヤ332と、増速駆動ギヤ333と、を具備している。また、フロントドライブ機構33は、等速クラッチ334と、等速従動ギヤ335と、増速クラッチ336と、増速従動ギヤ337と、を具備している。更に、フロントドライブ機構33は、出力シャフト338を具備している。
駆動シャフト331は、ベアリングを介して回転自在に支持されている。定速駆動ギヤ332は、駆動シャフト331に取り付けられている。増速駆動ギヤ333も、駆動シャフト331に取り付けられている。そのため、定速駆動ギヤ332と増速駆動ギヤ333は、駆動シャフト331と一体となった状態で回転する。
等速クラッチ334は、ベアリングを介して回転自在に支持されている。等速従動ギヤ335は、定速駆動ギヤ332に噛み合った状態で等速クラッチ334のインナーハブに取り付けられている。そのため、等速従動ギヤ335は、等速クラッチ334のインナーハブと一体となった状態で回転する。一方、増速クラッチ336も、ベアリングを介して回転自在に支持されている。増速従動ギヤ337は、増速駆動ギヤ333に噛み合った状態で増速クラッチ336のインナーハブに取り付けられている。そのため、増速従動ギヤ337は、増速クラッチ336のインナーハブと一体となった状態で回転する。
出力シャフト338は、ベアリングを介して回転自在に支持されている。等速クラッチ334は、そのアウターシリンダが出力シャフト338に取り付けられている。そのため、等速クラッチ334のアウターシリンダは、出力シャフト338と一体となった状態で回転する。一方、増速クラッチ336も、そのアウターシリンダが出力シャフト338に取り付けられている。そのため、増速クラッチ336のアウターシリンダは、出力シャフト338と一体となった状態で回転する。
このような構造により、等速クラッチ334のインナーハブとアウターシリンダが連結すると(等速クラッチ334が作動すると)、駆動シャフト331の回転が出力シャフト338へ伝えられる。すると、プロペラシャフト43が回転し、デファレンシャル機構34を介してフロントタイヤ141が回転されるのである。このように、等速クラッチ334を作動させて四輪駆動とした場合は、リヤタイヤ151の周速度とフロントタイヤ141の周速度が等しくなる(以降「等速四輪駆動」とする:図7(A)の矢印Da参照)。
同様に、増速クラッチ336のインナーハブとアウターシリンダが連結しても(増速クラッチ336が作動しても)、駆動シャフト331の回転が出力シャフト338へ伝えられる。すると、プロペラシャフト43が回転し、デファレンシャル機構34を介してフロントタイヤ141が回転されるのである。このように、増速クラッチ336を作動させて四輪駆動とした場合は、リヤタイヤ151の周速度よりもフロントタイヤ141の周速度が早くなる(以降「増速四輪駆動」とする:図7(B)の矢印Db参照)。
次に、トラクタ1のリンク機構35について説明する。
図6は、トラクタ1のリンク機構35を示している。以下では、リンク機構35にロータリー10が取り付けられた状態を想定する。なお、図7は、ロータリー10の高さ自動制御を示している。図8は、ロータリー10の傾き自動制御を示している。
リンク機構35は、ロータリー10の高さ自動制御や傾き自動制御を実現できる。リンク機構35は、トップブラケット351と、トップリンク352と、を具備している。また、リンク機構35は、ロワブラケット353と、ロワリンク354と、を具備している。更に、リンク機構35は、リフトアーム355と、昇降用アクチュエータ356と、リフトリンク357と、傾倒用アクチュエータ358と、を具備している。
トップブラケット351は、リヤアクスル15の後部に取り付けられている。トップブラケット351は、互いに平行となる二枚のプレートを溶接したヒンジ部を有している。ヒンジ部には、水平方向に二枚のプレートを貫くピン孔が設けられている。
トップリンク352は、トップブラケット351のヒンジ部に取り付けられている。トップリンク352は、基端部に取り付けられたクレビスのピン孔とトップブラケット351のピン孔を重ね合わせた状態でピンP1が挿入されることにより、該ピンP1を中心として回動自在に連結されている。また、トップリンク352は、先端部に取り付けられたクレビスのピン孔とロータリー10のピン孔を重ね合わせた状態でピン(図示せず)が挿入されることにより、該ピンを中心として回動自在に連結されている。
ロワブラケット353は、リヤアクスル15の下部に取り付けられている。ロワブラケット353は、互いに平行となる二枚のプレートを溶接したヒンジ部を有している。ヒンジ部には、水平方向に二枚のプレートを貫くピン孔が設けられている。
ロワリンク354は、ロワブラケット353のヒンジ部に取り付けられている。ロワリンク354は、基端部に設けられたピン孔とロワブラケット353のピン孔を重ね合わせた状態でピンP2が挿入されることにより、該ピンP2を中心として回動自在に連結されている。また、ロワリンク354は、先端部に取り付けられたフックがロータリー10のロッド(図示せず)に掛けられることにより、該ロッドを中心として回動自在に連結されている。
リフトアーム355は、リヤアクスル15の側部に取り付けられている。リフトアーム355は、基端部に設けられたピン孔にリヤアクスル15のピンP3が嵌め込まれることにより、該ピンP3を中心として回動自在に連結されている。また、リフトアーム355は、先端部にクレビスが形成されており、該クレビスにユニバーサルジョイント355Jが取り付けられている。
昇降用アクチュエータ356は、リフトアーム355の中央部に取り付けられている。昇降用アクチュエータ356は、シリンダに取り付けられたクレビスのピン孔とリフトアーム355のピン孔を重ね合わせた状態でピンP4が挿入されることにより、該ピンP4を中心として回動自在に連結されている。また、昇降用アクチュエータ356は、ピストンロッドに取り付けられたクレビスのピン孔とロワブラケット353のピン孔を重ね合わせた状態でピンP5が挿入されることにより、該ピンP5を中心として回動自在に連結されている。
リフトリンク357は、左側のリフトアーム355とロワリンク354に取り付けられている。リフトリンク357は、基端部に取り付けられたクレビスのピン孔とユニバーサルジョイント355Jのピン孔を重ね合わせた状態でピンP6が挿入されることにより、該ピンP6を中心として回動自在に連結されている。また、リフトリンク357は、先端部に取り付けられたクレビスのピン孔とロワリンク354のピン孔を重ね合わせた状態でピンP7が挿入されることにより、該ピンP7を中心として回動自在に連結されている。
傾倒用アクチュエータ358は、右側のリフトアーム355とロワリンク354に取り付けられている。傾倒用アクチュエータ358は、シリンダに取り付けられたクレビスのピン孔とユニバーサルジョイント355Jのピン孔を重ね合わせた状態でピンP8が挿入されることにより、該ピンP8を中心として回動自在に連結されている。また、傾倒用アクチュエータ358は、ピストンロッドに取り付けられたクレビスのピン孔とロワリンク354のピン孔を重ね合わせた状態でピンP9が挿入されることにより、該ピンP9を中心として回動自在に連結されている。
このような構造により、昇降用アクチュエータ356のピストンロッドが摺動して押し出されると(昇降用アクチュエータ356が伸張すると)、リフトアーム355が上方へ回動することとなる。すると、リフトアーム355がリフトリンク357と傾倒用アクチュエータ358を介して左右のロワリンク354を引き上げるので、ロータリー10の高さが高くなるのである(図7(A)の矢印Ra参照)。従って、ロータリー10が沈み込む状況でかかる動作を実現すれば、耕耘深さが一定状態のまま維持されることとなる。
反対に、昇降用アクチュエータ356のピストンロッドが摺動して引き込まれると(昇降用アクチュエータ356が収縮すると)、リフトアーム355が下方へ回動することとなる。すると、リフトアーム355がリフトリンク357と傾倒用アクチュエータ358を介して左右のロワリンク354を押し下げるので、ロータリー10の高さが低くなるのである(図7(B)の矢印Rb参照)。従って、ロータリー10が浮き上がる状況でかかる動作を実現すれば、耕耘深さが一定状態のまま維持されることとなる。
加えて、傾倒用アクチュエータ358のピストンロッドが摺動して押し出されると(傾倒用アクチュエータ358が伸張すると)、傾倒用アクチュエータ358が取り付けられている右側のロワリンク354のみが下方へ回動することとなる。すると、左側のロワリンク354がそのまま維持されるのに対し、右側のロワリンク354が押し下げられるので、ロータリー10が右下がりに傾くのである(図7(A)の矢印Rc参照)。従って、トラクタ1が左側に傾いている状況でかかる動作を実現すれば、ロータリー10が水平状態のまま維持されることとなる。
反対に、傾倒用アクチュエータ358のピストンロッドが摺動して引き込まれると(傾倒用アクチュエータ358が収縮すると)、傾倒用アクチュエータ358が取り付けられている右側のロワリンク354のみが上方へ回動することとなる。すると、左側のロワリンク354がそのまま維持されるのに対し、右側のロワリンク354が引き上げられるので、ロータリー10が右上がりに傾くのである(図7(B)の矢印Rd参照)。従って、トラクタ1が右側に傾いている状況でかかる動作を実現すれば、ロータリー10が水平状態のまま維持されることとなる。
次に、トラクタ1の操縦室について説明する。
図9は、運転座席161とその周囲を示している。また、図10は、オペレータの視界を示している。
上述したように、キャビン16は、その内側が操縦室になっており、運転座席161のほか、アクセルペダル162やシフトレバー163などが配置されている。また、運転座席161の周囲には、ブレーキペダル166やクラッチペダル167、リバーサレバー168、スピードダイヤル169、インストルメントパネル170、コントロールパネル171などが配置されている。オペレータは、運転座席161に座った状態でアクセルペダル162やシフトレバー163などを操作し、トラクタ1を操縦することができる。
更に、本トラクタ1においては、運転座席161の近傍にディスプレイ2を具備している。ディスプレイ2は、オペレータが右手で操作できるよう、運転座席161の右前側に配置されている。以下に、トラクタ1の情報ネットワークについて簡単に説明するとともに、ディスプレイ2及び該ディスプレイ2に関する制御システムについて説明する。
図11は、トラクタ1の情報ネットワークを示している。また、図12は、ディスプレイ2を示している。そして、図13は、ディスプレイ2に関する制御システムを示している。
本トラクタ1は、最大限の性能を発揮できるよう、各所に情報ネットワークが張り巡らされている。具体的には、エンジン12のほか、トランスミッション13、インストルメントパネル170、コントロールパネル171、ディスプレイ2が互いに情報を共有できるコントローラ・エリア・ネットワーク(CAN)を構成している。
本トラクタ1において、ディスプレイ2は、サイドコンソールの上に配置されている(図9、図10参照)。ディスプレイ2は、液晶パネル21と、エンコーダダイヤル22と、エンターボタン23と、を有している。また、ディスプレイ2は、五つのコマンドボタン24・25・26・27・28を有している。
液晶パネル21は、ディスプレイ2の前面中央に設けられている。液晶パネル21は、制御装置3からの指示に基づいて所定の画面を表示できる。例えば、液晶パネル21は、制御装置3からの指示に基づいてオープニング画面S1を表示できる(図14参照)。また、液晶パネル21は、制御装置3からの指示に基づいてその他の画面を表示できる(図15から図19参照)。なお、液晶パネル21は、いわゆるタッチパネルであっても良い。
エンコーダダイヤル22は、ディスプレイ2の上面右側に設けられている。エンコーダダイヤル22は、液晶パネル21に表示された要素の選択に際して、タブをスクロールさせる若しくはハイライトをトラバースさせる旨のオペレータの意思を制御装置3へ伝達できる。例えば、エンコーダダイヤル22は、表示された数字や英文字の選択に際して、タブをスクロールさせる旨のオペレータの意思を制御装置3へ伝達できる(図15参照)。また、エンコーダダイヤル22は、表示されたアイコンの選択に際して、ハイライトをトラバースさせる旨のオペレータの意思を制御装置3へ伝達できる(図16、図17参照)。
エンターボタン23は、エンコーダダイヤル22と一体的に設けられている。エンターボタン23は、液晶パネル21に表示された要素のうち、一の要素を決定した旨のオペレータの意思を制御装置3へ伝達できる。例えば、エンターボタン23は、表示された数字や英文字のうち、一の数字若しくは英文字を決定した旨のオペレータの意思を制御装置3へ伝達できる(図15参照)。また、エンターボタン23は、表示されたアイコンのうち、一のアイコンを決定した旨のオペレータの意思を制御装置3へ伝達できる(図16、図17参照)。なお、本ディスプレイ2において、エンターボタン23は、エンコーダダイヤル22自体が押し込まれる構造となっているが、該エンコーダダイヤル22の上端面に押しボタンを設けた構造であっても良い。
コマンドボタン24・25・26は、ディスプレイ2の前面上部に設けられている。コマンドボタン24・25・26は、液晶パネル21に所定の画面が表示されている場合において、他の画面に切り替える旨のオペレータの意思を制御装置3へ伝達できる。例えば、コマンドボタン24・25は、液晶パネル21にホーム画面S3が表示されている場合において、ショートカット画面(オペレータが任意に設定した画面)に切り替える旨のオペレータの意思を制御装置3へ伝達できる(図16参照)。また、コマンドボタン26は、液晶パネル21にカスタマイズ画面S4が表示されている場合において、ホーム画面S3に切り替える旨のオペレータの意思を制御装置3へ伝達できる(図17参照)。
コマンドボタン27も、ディスプレイ2の前面上部に設けられている。具体的には、コマンドボタン26に隣接した位置に設けられている。コマンドボタン27は、エンターボタン23と同様に、一の要素を決定した旨のオペレータの意思を制御装置3へ伝達できる。例えば、コマンドボタン27は、表示された数字や英文字のうち、一の数字若しくは英文字を決定した旨のオペレータの意思を制御装置3へ伝達できる(図15参照)。また、コマンドボタン27は、表示されたアイコンのうち、一のアイコンを決定した旨のオペレータの意思を制御装置3へ伝達できる(図16、図17参照)。更に、コマンドボタン27は、設定事項を記憶する旨のオペレータの意思を制御装置3へ伝達できる(図18、図19参照)。
コマンドボタン28も、ディスプレイ2の前面上部に設けられている。具体的には、コマンドボタン27に隣接した位置に設けられている。コマンドボタン28は、液晶パネル21に所定の画面が表示されている場合において、一つ前の画面に戻る旨のオペレータの意思を制御装置3へ伝達できる。例えば、コマンドボタン28は、液晶パネル21にカスタマイズ画面S4が表示されている場合において、ホーム画面S3に戻る旨のオペレータの意思を制御装置3へ伝達できる(図17参照)。また、コマンドボタン28は、液晶パネル21にスイッチ設定画面S5・S6が表示されている場合において、カスタマイズ画面S4に戻る旨のオペレータの意思を制御装置3へ伝達できる(図18、図19参照)。
ところで、本トラクタ1の制御装置3は、制御対象ごとに制御態様を設定できる。つまり、制御装置3は、等速クラッチ334、増速クラッチ336、昇降用アクチュエータ356、傾倒用アクチュエータ358などの制御対象ごとに制御態様を設定できる。なお、制御装置3は、記憶部31を有しているため、制御対象ごとに設定された制御態様を記憶して保存することが可能である。
加えて、本トラクタ1の制御システムは、操作具であるスイッチ4を有している(図10参照)。本トラクタ1において、スイッチ4は、ハンドルコラムに配置されている。スイッチ4は、設定された制御態様に一斉に切り替える旨のオペレータの意思を制御装置3へ伝達できる。換言すると、制御装置3は、オペレータがスイッチ4を押せば、設定された制御態様に一斉に切り替えるようにプログラムされている。
このような構成により、制御装置3は、制御対象ごとに設定された制御態様を記憶でき、オペレータがスイッチ4(操作具)を「切」状態とした後に再び「入」状態としても設定された制御態様に基づいて制御を行なう。これにより、本トラクタ1(作業車両)は、オペレータが操作具を「入」状態にすると、必ず設定された制御態様に切り替わる。従って、本トラクタ1(作業車両)は、制御態様の再設定が不要となるので、操作性が向上する。
以下に、制御対象ごとに制御態様を設定するための操作方法について説明する。
図14から図19は、ディスプレイ2に表示される画面を示している。但し、各図は、本願発明の説明に必要な部分のみを簡略的に表している。
まず、ディスプレイ2には、オープニング画面S1が表示される(図14参照)。オープニング画面S1では、中央付近にシンボルマークSmが表示される。シンボルマークSmは、サプライヤメーカを象徴する意匠である。シンボルマークSmは、黒色の背景画像に浮き上がり、オペレータに強い印象を与える。
次に、ディスプレイ2には、ロック解除画面S2が表示される(図15参照)。ロック解除画面S2では、横一列に暗証番号を入力するためのスクロールボックスSb1・Sb2・Sb3・Sb4が表示される。スクロールボックスSb1・Sb2・Sb3・Sb4は、選択されているいずれか一つがハイライトされる(図中のH部参照)。スクロールボックスSb1・Sb2・Sb3・Sb4は、0から9までの数字若しくはAからFまでの英文字をスクロールできる。オペレータは、エンコーダダイヤル22を回すことによって数字若しくは英文字を選択し、エンターボタン23を押すことによって決定できる。
なお、ロック解除画面S2においては、コマンドボタン25・26を押すことによって数字若しくは英文字を選択し、コマンドボタン27を押すことによって決定することができる。また、コマンドボタン28を押すことによって決定を取り消すこともできる。加えて、暗証番号を間違ったときは、その旨のメッセージが表示される。ロック解除画面S2では、オペレータの氏名が記されたダイアログボックスDb1と、作業予定が記されたダイアログボックスDb2と、が表示される。オペレータは、これらのダイアログボックスDb1・Db2から自身の作業予定を把握できる。
次に、ディスプレイ2には、ホーム画面S3が表示される(図16参照)。ホーム画面S3では、上下二列にメニューを選択するためのアイコンIa1・Ia2・Ia3・Ia4・・・Ia8が表示される。アイコンIa1・Ia2・Ia3・Ia4・・・Ia8は、選択されているいずれか一つがハイライトされる(図中のH部参照)。そして、ハイライトは、エンコーダダイヤル22の回転に応じてトラバースされる。オペレータは、エンコーダダイヤル22を回すことによって所望のアイコン(Ia1・Ia2・Ia3・Ia4・・・Ia8のいずれか)を選択し、エンターボタン23を押すことによって決定できる。
なお、ホーム画面S3においては、コマンドボタン(24・25・26・27・28のいずれか)を押すことによってアイコン(Ia1・Ia2・Ia3・Ia4・・・Ia8のいずれか)を選択することはできないが、コマンドボタン27を押すことによって決定することはできる。また、コマンドボタン28を押すと、ロック解除画面S2に戻ることができる。加えて、『前ページ』と記されたボタンBa1若しくは『次ページ』と記されたボタンBa2を選択して決定したときは、別のホーム画面S3に切り替わる。選択できないアイコンについては、グレーアウトされる(図中のG部参照)。
ここでは、『トラクタ設定』と記されたアイコンIa2を選択して決定する。
ディスプレイ2には、カスタマイズ画面S4が表示される(図17参照)。カスタマイズ画面S4では、左右二列にメニューを選択するためのアイコンIb1・Ib2・Ib3・Ib4・・・Ib8が表示される。アイコンIb1・Ib2・Ib3・Ib4・・・Ib8は、選択されているいずれか一つがハイライトされる(図中のH部参照)。そして、ハイライトは、エンコーダダイヤル22の回転に応じてトラバースされる。オペレータは、エンコーダダイヤル22を回すことによって所望のアイコン(Ib1・Ib2・Ib3・Ib4・・・Ib8のいずれか)を選択し、エンターボタン23を押すことによって決定できる。
なお、カスタマイズ画面S4においては、コマンドボタン(24・25・26・27・28のいずれか)を押すことによってアイコン(Ib1・Ib2・Ib3・Ib4・・・Ib8のいずれか)を選択することはできないが、コマンドボタン27を押すことによって決定することはできる。また、コマンドボタン28を押すと、ホーム画面S3に戻ることができる。加えて、『前ページ』と記されたボタンBb1若しくは『次ページ』と記されたボタンBb2を選択して決定したときは、別のカスタマイズ画面S4に切り替わる。選択できないアイコンについては、グレーアウトされる(図示せず)。
次に、カスタマイズ画面S4における『自動スイッチ設定1』と記されたアイコンIb5を選択し、決定した場合を想定する。
ディスプレイ2には、スイッチ設定画面S5が表示される(図18参照)。スイッチ設定画面S5では、縦一列に複数のイラストIc1・Ic2・・・が表示される。そして、各イラストIc1・Ic2・・・の隣には、設定状況を示すセレクトスイッチSc1・Sc2・・・が表示される。以降に、代表的なイラストIc1・Ic2の意味と対応するセレクトスイッチSc1・Sc2の意味について具体的に説明する。
イラストIc1は、直進時における駆動方式について定める部分であることを示している。セレクトスイッチSc1が『ON』である場合は、オペレータがスイッチ4を押すと所定のプログラムが実行され、等速四輪駆動に切り替わることを示している(図7(A)の矢印Da参照)。つまり、セレクトスイッチSc1が『ON』である場合は、オペレータがスイッチ4を押すと制御対象である等速クラッチ334が作動し、等速四輪駆動に切り替わることを示している。一方、セレクトスイッチSc1が『OFF』である場合は、オペレータがスイッチ4を押しても後輪駆動のままで維持することを示している。つまり、セレクトスイッチSc1が『OFF』である場合は、オペレータがスイッチ4を押しても制御対象である等速クラッチ334が作動せず、後輪駆動のままで保たれることを示している。更に、セレクトスイッチSc1が『変更なし』である場合は、オペレータがスイッチ4を押すと制御態様が切り替わるという制御システムから切り離されたことを示している。つまり、セレクトスイッチSc1が『変更なし』である場合は、等速クラッチ334が制御対象から除外されたことを示している。オペレータは、エンコーダダイヤル22を回すことによって『ON』、『OFF』、『変更なし』のいずれかを選択し、エンターボタン23を押すことによって決定できる。
イラストIc2は、旋回時における駆動方式について定める部分であることを示している。セレクトスイッチSc2が『ON』である場合は、オペレータがスイッチ4を押すと所定のプログラムが実行され、ハンドル164を回すと増速四輪駆動に切り替わることを示している(図7(B)の矢印Db参照)。つまり、セレクトスイッチSc2が『ON』である場合は、オペレータがハンドル164を回すと制御対象である増速クラッチ336が作動し、増速四輪駆動に切り替わることを示している。一方、セレクトスイッチSc2が『OFF』である場合は、オペレータがハンドル164を回しても等速四輪駆動のままで維持することを示している。つまり、セレクトスイッチSc2が『OFF』である場合は、オペレータがハンドル164を回しても制御対象である増速クラッチ336が作動せず、等速四輪駆動のままで保たれることを示している。更に、セレクトスイッチSc2が『変更なし』である場合は、オペレータがハンドル164を回すと制御態様が切り替わるという制御システムから切り離されたことを示している。つまり、セレクトスイッチSc2が『変更なし』である場合は、増速クラッチ336が制御対象から除外されたことを示している。オペレータは、エンコーダダイヤル22を回すことによって『ON』、『OFF』、『変更なし』のいずれかを選択し、エンターボタン23を押すことによって決定できる。
このように、制御装置3は、制御対象(等速クラッチ334や増速クラッチ336)ごとに所定の制御を行なう又は行わない若しくは制御対象から除外するのうち一の制御態様を選択できる。これにより、本トラクタ1(作業車両)は、制御対象ごとに詳細な制御態様を選択できるので、それぞれの制御対象が最適な動作を実現できる。
更に、ディスプレイ2は、制御対象(等速クラッチ334や増速クラッチ336)ごとに所定の制御を行なう又は行わない若しくは制御対象から除外するのうち一の制御態様を選択するための画面を表示できる(図18参照)。これにより、本トラクタ1(作業車両)は、オペレータが画面を見ながら制御態様を選択できるので、制御態様を選択する操作が容易となる。
なお、スイッチ設定画面S5においては、コマンドボタン(24・25・26・27・28のいずれか)を押すことによって『ON』、『OFF』、『変更なし』のいずれかを選択することはできないが、コマンドボタン27を押すことによって決定することはできる。また、コマンドボタン28を押すと、カスタマイズ画面S4に戻ることができる。
次に、カスタマイズ画面S4における『自動スイッチ設定2』と記されたアイコンIb6を選択し、決定した場合を想定する。
ディスプレイ2には、スイッチ設定画面S6が表示される(図19参照)。スイッチ設定画面S6では、縦一列に複数のイラストId1・Id2・・・が表示される。そして、各イラストId1・Id2・・・の隣には、設定状況を示すセレクトスイッチSd1・Sd2・・・が表示される。以降に、代表的なイラストId1・Id2の意味と対応するセレクトスイッチSd1・Sd2の意味について具体的に説明する。
イラストId1は、ロータリー10の高さ自動制御について定める部分であることを示している。「Auto」のセレクトスイッチSd1が『ON』である場合は、オペレータがスイッチ4を押すと所定のプログラムが実行され、予め設定された高さ自動制御に切り替わることを示している(図7(A)と(B)の矢印Ra・Rb参照)。つまり、セレクトスイッチSd1が『ON』である場合は、オペレータがスイッチ4を押すと制御対象である昇降用アクチュエータ356が作動し、自動的にロータリー10の高さを維持する制御に切り替わることを示している。一方、セレクトスイッチSd1が『OFF』である場合は、オペレータがスイッチ4を押しても高さ手動制御のままで維持することを示している。つまり、セレクトスイッチSd1が『OFF』である場合は、オペレータがスイッチ4を押しても制御対象である昇降用アクチュエータ356が作動せず、手動でロータリー10の高さを調節する制御が保たれることを示している。更に、セレクトスイッチSd1が『変更なし』である場合は、オペレータがスイッチ4を押すと制御態様が切り替わるという制御システムから切り離されたことを示している。つまり、セレクトスイッチSd1が『変更なし』である場合は、昇降用アクチュエータ356が制御対象から除外されたことを示している。オペレータは、エンコーダダイヤル22を回すことによって『ON』、『OFF』、『変更なし』のいずれかを選択し、エンターボタン23を押すことによって決定できる。
イラストId2は、ロータリー10の傾き自動制御について定める部分であることを示している。「水平」のセレクトスイッチSd2が『ON』である場合は、オペレータがスイッチ4を押すと所定のプログラムが実行され、予め設定された傾き自動制御に切り替わることを示している(図8(A)と(B)の矢印Rc・Rd参照)。つまり、セレクトスイッチSd2が『ON』である場合は、オペレータがスイッチ4を押すと制御対象である傾倒用アクチュエータ358が作動し、自動的にロータリー10の水平を維持する制御に切り替わることを示している。一方、セレクトスイッチSd2が『OFF』である場合は、オペレータがスイッチ4を押しても傾き手動制御のままで維持することを示している。つまり、セレクトスイッチSd2が『OFF』である場合は、オペレータがスイッチ4を押しても制御対象である傾倒用アクチュエータ358が作動せず、手動でロータリー10の傾きを調節する制御が保たれることを示している。更に、セレクトスイッチSd2が『変更なし』である場合は、オペレータがスイッチ4を押すと制御態様が切り替わるという制御システムから切り離されたことを示している。つまり、セレクトスイッチSd2が『変更なし』である場合は、傾倒用アクチュエータ358が制御対象から除外されたことを示している。オペレータは、エンコーダダイヤル22を回すことによって『ON』、『OFF』、『変更なし』のいずれかを選択し、エンターボタン23を押すことによって決定できる。
このように、制御装置3は、制御対象(昇降用アクチュエータ356と傾倒用アクチュエータ358)ごとに所定の制御を行なう又は行わない若しくは制御対象から除外するのうち一の制御態様を選択できる。これにより、本トラクタ1(作業車両)は、制御対象ごとに詳細な制御態様を選択できるので、それぞれの制御対象が最適な動作を実現できる。
更に、ディスプレイ2は、制御対象(昇降用アクチュエータ356と傾倒用アクチュエータ358)ごとに所定の制御を行なう又は行わない若しくは制御対象から除外するのうち一の制御態様を選択するための画面を表示できる(図19参照)。これにより、本トラクタ1(作業車両)は、オペレータが画面を見ながら制御態様を選択できるので、制御態様を選択する操作が容易となる。
なお、スイッチ設定画面S6においては、コマンドボタン(24・25・26・27・28のいずれか)を押すことによって『ON』、『OFF』、『変更なし』のいずれかを選択することはできないが、コマンドボタン27を押すことによって決定することはできる。また、コマンドボタン28を押すと、カスタマイズ画面S4に戻ることができる。
更に、制御装置3は、制御対象(等速クラッチ334、増速クラッチ336、昇降用アクチュエータ356、傾倒用アクチュエータ358)ごとに設定された制御態様からなる制御類型を記憶できる。そして、スイッチ設定画面S5・S6においては、記憶された制御類型のうち一の制御類型(Px・Pyのいずれか)を選択することができる。
具体的に説明すると、スイッチ設定画面S5・S6では、セレクトスイッチSc1・Sc2・・・及びセレクトスイッチSd1・Sd2・・・の上方に制御類型を選択するためのインジケータランプLp1・Lp2が表示される。インジケータランプLp1・Lp2は、選択されているいずれか一方がハイライトされる(図中のH部参照)。そして、ハイライトは、エンコーダダイヤル22の回転に応じてトラバースされる。オペレータは、エンコーダダイヤル22を回すことによって所望の制御類型(Px・Pyのいずれか)を選択し、エンターボタン23を押すことによって決定できる。
このような構成により、オペレータは、農地の状態や作業内容などに応じた制御類型を作成できる。例えば、ある農地における耕耘作業に適した制御類型を作成できる。また、ある農地における畝立作業に適した制御類型を作成できる。そして、オペレータは、複数の制御類型のうち一の制御類型(Px・Pyのいずれか)を選択できるのである。
このように、制御装置3は、制御対象(等速クラッチ334、増速クラッチ336、昇降用アクチュエータ356、傾倒用アクチュエータ358)ごとに設定された制御態様からなる制御類型を記憶でき、複数の制御類型のうち一の制御類型(Px・Pyのいずれか)を選択できる。これにより、本トラクタ1(作業車両)は、農地の状態や作業内容などに応じた制御類型を選択できるので、トラクタ1(作業車両)全体として最適な動作を実現できる。
更に、ディスプレイ2は、複数の制御類型のうち一の制御類型を選択するための画面を表示できる(図18、図19参照)。これにより、本トラクタ1(作業車両)は、オペレータが画面を見ながら制御類型を選択できるので、制御類型を選択する操作が容易となる。
なお、スイッチ設定画面S5・S6においては、コマンドボタン(24・25・26・27・28のいずれか)を押すことによって制御類型(Px・Pyのいずれか)を選択することはできないが、コマンドボタン27を押すことによって決定することはできる。また、コマンドボタン28を押すと、カスタマイズ画面S4に戻ることができる。