特許文献1の電気かみそりによれば、内刃を回転駆動しながら、内刃ユニットの全体を軸心方向へ往復振動させて、引き切り作用によってひげ切断を行える。しかし、内刃ユニットの真下に設けたスライドベースで同ユニットをスライド案内するので、ひげ切断時に毛屑が内刃ユニットとスライドベースのスライド面に詰まって、内刃ユニットの往復動作に支障をきたす恐れがある。
本発明の目的は、ひげ切断時に毛屑が詰まるのを解消して、内刃(回転刃)を常に安定した状態で往復駆動し引き切り作用を発揮できり電気かみそりを提供することにある。
本発明の目的は、よりシンプルな構造で引き切り作用を発揮することができ、従って引き切り機能を備えているにもかかわらず低コスト化できる電気かみそりを提供することにある。
本発明に係る電気かみそりは、図1に示すようにかみそりヘッド2に、横軸回りに回転駆動される回転刃17と、回転刃17を回転自在に軸支する回転刃支持体18と、振動発生源38と、振動発生源38を支持する回転刃駆動体11を設ける。回転刃支持体18は回転刃駆動体11に取外し可能に係合装着する。そして、振動発生源38で発生した振動を、回転刃駆動体11および回転刃支持体18を介して回転刃17に伝動することを特徴とする。
回転刃支持体18と回転刃駆動体11は、互いに凹凸係合する駆動側連結体33と受動側連結体35で連結する。
図7に示すように、振動発生源38は、中空箱状の駆動側連結体33の内部に配置して、駆動側連結体33の周囲壁で支持する。
振動発生源38は、偏心錘40と、偏心錘40を回転駆動するモーター12・39を備えている。
偏心錘40を回転駆動する起振モーター39は、回転刃17を回転駆動するメインモーター12とは別に設ける。
メインモーター12および起振モーター39を起動するスイッチ4を備えている。図6に示すように、スイッチ4がオン操作されるのと同時に起振モーター39を起動し、起振モーター39が起動したのちにメインモーター12を起動させる。
図6に示すように、スイッチ4がオフ操作されるのと同時にメインモーター12を停止させ、メインモーター12が停止したのちに起振モーター39を停止させる。
スイッチ4がオン操作されるのと同時に起振モーター39を起動し、起振モーター39が起動したのちにメインモーター12を起動させる。スイッチ4がオフ操作されるのと同時にメインモーター12を停止させ、メインモーター12が停止したのちに起振モーター39を停止させる。
偏心錘40を、回転刃17を回転駆動するメインモーター12で回転駆動する(図7および図14参照)。
回転刃駆動体11の内部に回転刃17を回転駆動するモーター12を配置する。回転刃駆動体11および回転刃支持体18に、メインモーター12の回転動力を回転刃17に伝動する伝動部24を設ける。図16に示すように、振動発生源38は、メインモーター12と、同モーター12の動力で回転駆動される偏心カム58と、ヘッドケース8に設けた保持溝62で構成して、メインモーター12および伝動部24を回転刃駆動体11に同行して振動発生源38で左右に往復駆動する。
図12および図14に示すように、回転刃駆動体11の内部に左右動可能な振動子55を配置する。回転刃支持体18の受動側連結体35を振動子55に設けた駆動側連結体33に連結する。図12に示すように、振動発生源38は、ヘッドケース8に固定したメインモーター12と、メインモーター12で回転駆動される偏心カム58と、振動子55と、振動子55に設けた受動溝56で構成して、受動溝56と係合する偏心カム58で振動子55を往復駆動する。
振動子55に複数の弾性アーム54を設ける。振動子55は回転刃駆動体11で弾性アーム54を介して左右動可能に支持する。
振動子55は、回転刃駆動体11に固定したガイド軸57で左右スライド自在に案内支持する(図12参照)。
図19に示すように、回転刃17の外形をラジアルクラウンローラー状に形成する。外刃16は外突湾曲状に形成されて回転刃17の周面に密着している。
本発明では、かみそりヘッド2に、回転刃17と回転刃支持体18と振動発生源38と、振動発生源38を支持する回転刃駆動体11を設け、回転刃支持体18を回転刃駆動体11に対して取外し可能に係合装着した。こうした電気かみそりによれば、回転刃17が回転駆動されるとき、振動発生源38で発生した振動を、回転刃駆動体11および回転刃支持体18を介して回転刃17に伝動して、回転刃17をその横軸回りの回転中心軸に沿って往復動できる。従って、回転しながら往復動する回転刃17で引き切りを行って、ひげ切断を行うときの切れ味を向上できる。
また、振動発生源38で発生した振動を、回転刃駆動体11および回転刃支持体18を介して回転刃17に伝動するので、ひげ切断時に毛屑が詰まる余地がなく、従って、内刃17を常に安定した状態で往復駆動して、引き切り作用を発揮させることができる。また、毛屑がスライド面に詰まる場合には、モーター12の駆動負荷が増加するため、電池3が早期に消耗しやすくなるが、こうした不具合も同時に解消できる。
回転刃支持体18と回転刃駆動体11を、互いに凹凸係合する駆動側連結体33と受動側連結体35で連結すると、振動発生源38で発生した振動を、駆動側連結体33と受動側連結体35を介して回転刃17および回転刃支持体18に確実に伝動することができる。従って、回転刃駆動体11から回転刃支持体18へ伝動する振動の伝動効率を向上して、回転刃17を的確に振動させることができる。また、受動側連結体35と駆動側連結体33の係合を解除するだけで、回転刃17および回転刃支持体18の着脱を容易に行うことができるので、回転刃17および回転刃支持体18の交換や清掃をさらに簡便に行える。
振動発生源38を駆動側連結体33の内部に配置して、駆動側連結体33の周囲壁で支持すると、振動発生源38で発生した振動を、先の周囲壁を介して駆動側連結体33に直接伝動できる。従って、振動の伝動経路を最短化して、回転刃駆動体11から回転刃支持体18へ伝動する振動の伝動効率をさらに向上できる。振動伝動経路が短い分だけ、振動の伝達ロスを小さくできる利点もある。
偏心錘40と、同錘40を回転駆動するモーター12・39を有する振動発生源38で振動を発生すると、振動発生のための構造をシンプルにしながら、回転刃17に引き切り作用を発揮させることができる。従って、従来の電気かみそりに比べて、引き切り機能を備えている電気かみそりのコストを低コスト化できる。
偏心錘40を回転駆動する起振モーター39が、メインモーター12とは別に設けてあると、メインモーター12の駆動回転数とは無関係に、回転刃17の駆動振動数を自由に設定できる。従って、回転刃17の駆動回転数や、切刃25のリード角の違いなどに応じて、回転刃17の駆動振動数を最適化することができる。
スイッチ4がオン操作されるのと同時に起振モーター39を起動し、その後でメインモーター12を起動させると、各モーター12・39の起動負荷が同時に電池3に作用するのを防止できる。例えば、メインモーター12が起動して、その駆動電流が安定化した状態で起振モーター39を起動することにより、電池3に作用する起動負荷を軽減して、電池3の消耗を軽減できる。
スイッチ4がオフ操作されるのと同時にメインモーター12を停止させ、メインモーター12が停止したのちに起振モーター39を停止させるのは、メインモーター12が停止したのち起振モーター39を振動させて、外刃16や回転刃17あるいは回転刃支持体18に付着している毛屑を払い落とすためである。また、ひげ切断が終了するごとに、回転刃17や回転刃支持体18などに付着している毛屑を払い落として、毛屑が回転刃17や回転刃支持体18に堆積するのを解消することにより、次回使用時に堆積した毛屑が外刃16からはみ出るのを防止できる。
起振モーター39が起動したのちにメインモーター12を起動させ、メインモーター12が停止したのちに起振モーター39を停止させると、起動時に2次電池3に大きな起動負荷が作用するのを軽減しながら、ひげ切断が終了するごとに、回転刃17や回転刃支持体18などに付着している毛屑を払い落とすことができる。
偏心錘40を、回転刃17用のメインモーター12で回転駆動すると、起振モーター39を使用する必要もなく振動を発生できる。従って、起振モーター39を省略できる分だけ振動発生源38の構造を簡素化して、引き切り機能を備えた電気かみそりのコストを削減できる。
メインモーター12と、偏心カム58と、保持溝62などで振動発生源38を構成し、メインモーター12および伝動部24を回転刃駆動体11に同行して振動発生源38で往復駆動すると、メインモーター12の回転動力を常に安定した状態で回転刃17に伝動できる。例えば、伝動部24がギヤトレインで構成してある場合には、回転刃駆動体11が往復駆動されるとき、メインモーター12および伝動部24が回転刃駆動体11に同行するので、伝動部24において互いに噛み合っているギヤ同士が相対移動し、異音を発生することがないからである。伝動部24は、タイミングベルトを伝動要素とする巻掛伝動機構で構成することができるが、その場合にも、巻掛伝動機構の全体を回転刃駆動体11と同行移動させて、メインモーター12の回転動力を回転刃17に安定した状態で伝動できる。
メインモーター12と、偏心カム58と、振動子55などで振動発生源38を構成し、偏心カム58で振動子55を往復駆動すると、振動子55を機械的かつ強制的に往復駆動することができる。換言すると、確動機構として構成した振動発生源38で、回転刃17および回転刃支持体18を常に一定の往復ストロークで左右方向へ強制的に往復駆動できるうえ、必要に応じて回転刃17の往復ストロークを大きくできる。従って、回転刃17による引き切り作用をさらに的確に発揮させて、ひげ切断時の切れ味を向上できる。
振動子55に複数の弾性アーム54を設け、これらの弾性アーム54を回転刃駆動体11で支持すると、振動子55を左右動可能に支持するための構造をより簡単な構造にして、振動発生源38の構造を簡素化し、そのコストを削減できる。
振動子55を回転刃駆動体11に固定したガイド軸57で左右スライド自在に案内支持すると、振動子55をガイド軸57に沿う平行な向きに限って往復動させることができる。従って、振動子55が無駄な動きを伴いながら往復動するのを防止して、偏心カム58による振動子55の往復駆動を効果的に行うことができる。
回転刃17の外形がラジアルクラウンローラー状に形成され、外刃16が外突湾曲状に形成してあると、3次元平面からなる外突湾曲状の外刃16を肌面に密着させながらひげ切断を行うことができる。従って、より小さな力で外刃16を肌面にフィットさせて、軽快にひげ切断を行える。
(実施例1) 図1ないし図6は、本発明に係る電気かみそりの実施例1を示す。なお、本発明における前後、左右、および上下とは、図2に示す交差矢印、および方向を示す文字表示に従うものとする。図2および図3において、電気かみそりは、グリップを兼ねる本体ケース1と、本体ケース1の上部に設けたかみそりヘッド2を備えている。本体ケース1の内部には2次電池(電池)3および制御基板(図示していない)などを収容し、ケース前面にスイッチ4が設けてある。
かみそりヘッド2には、ヘッドケース8と、同ケース8に装着される外刃ユニット9が設けてあり、これら両者の内部に内刃ユニット(回転刃ユニット)10と、内刃(回転刃)17を強制的に振動させる内刃駆動体(回転刃駆動体)11と、メインモーター(モーター)12などが配置してある。ヘッドケース8は、圧縮コイルばねからなる左右一対のフロートばね13で浮動支持されている。このようにヘッドケース8をフロートばね13で支持することにより、かみそりヘッド2の全体は本体ケース1に対して、前後、左右、上下、および斜めの全方位方向へ傾動可能に浮動支持される。外刃ユニット9は、キャップ状の外刃ホルダー15と、外刃ホルダー15に装着した網刃状の外刃16からなり、外刃16は外刃ホルダー15で逆U字状に保形してある。外刃ホルダー15は、先のヘッドケース8に着脱可能に装着されて、図示していないロック構造で分離不能に固定してある。
内刃ユニット10は、左右方向に横臥した横軸回りに回転駆動される内刃(回転刃)17と、内刃17を回転自在に軸支する内刃支持体(回転刃支持体)18とからなる。図3に示すように内刃17は、丸筒状の刃本体19と、刃本体19の内面を支持する5個のディスク20、および内刃軸(回転刃軸)21とで構成してあり、内刃軸21の一側端に内刃ギヤ22が固定してある。内刃17を回転駆動するために、内刃駆動体11の内部にメインモーター12を横置き配置し、その出力軸に固定した原動ギヤ23と内刃ギヤ22との間にギヤトレイン(伝動部)24を設けている。ギヤトレイン24を構成する各ギヤは、内刃支持体18と内刃駆動体11に設けたギヤ軸で回転自在に支持してある。刃本体19は、ステンレス鋼板にエッチングを施したのち、丸筒状に成形して形成してあり、その周面には多数個の切刃25(図4参照)が形成してある。
内刃駆動体11は、下半側のモーターホルダー部27と、同ホルダー部27の上側に固定される連結部28とで構成する。モーターホルダー部27には、メインモーター12用のホルダー凹部29が設けてあり、その上側に後述する起振モーター39を固定するためのボス30が設けてある。連結部28は、モーターホルダー部27の上部に連続する平板状の座壁31と、座壁31の上面に突設した左右一対の係合リブ32と、座壁31の上面中央に突設した四角形の筒軸からなる駆動側連結体33を備えている。内刃駆動体11は、そのモーターホルダー部27の下部が、ヘッドケース8の底壁に設けた装着座26に固定してある。
内刃ユニット10を内刃駆動体11に対して取外し可能に係合装着するために、内刃支持体18の下半側に先の係合リブ32と係合する四角筒状の連結筒34を設け、その左右中央に駆動側連結体33に外嵌する受動側連結体35を設けている。図5に示すように、受動側連結体35は、連結筒34の前後壁と、前後壁を繋ぐ左右一対の側壁とで四角筒状に形成してある。受動側連結体35を駆動側連結体33に外嵌した状態では、四角筒状の受動側連結体35の内面が駆動側連結体33の外面に密着している。図示していないが、連結筒34は、その前壁から駆動側連結体33にねじ込んだビスで取外し可能に固定してある。
内刃17と外刃16によるひげ切断時に、引き切り作用によってひげ切断を行うために、内刃駆動体11に振動発生源38を設けて、内刃17を振動できるようにしている。図1に示すように振動発生源38は、起振モーター(モーター)39と、その出力軸に固定した偏心錘40とからなる市販品である。起振モーター39の下部は先に説明したボス30に固定してあり、起振モーター39の上部は後述する伝動リブ36で支持してある。ボス30に固定された状態の起振モーター39の上部と偏心錘40は、駆動側連結体33の内部空間に入り込んでいる。振動発生源38は、偏心錘40が回転するときの遠心力による回転モーメントによって、起振モーター39の重心と偏心錘40の重心が合成されたモーター軸上の重心位置において、高速度の振動を発生する。振動発生源38で発生した振動を、連結部28と内刃支持体18を介して内刃17へ効果的に伝動するために、図5に示すように駆動側連結体33の内面に4個の伝動リブ36を設け、これらの伝動リブ36で起振モーター39の周面上部を支持している。振動発生源38で発生した振動は、伝動リブ36を介して駆動側連結体33に伝動するが、伝動リブ36と起振モーター39の間に、密着性を向上するためのゴムなどの弾性体を介在させておくと、起振モーター39の振動を駆動側連結体33へ効果的に伝動して、内刃17をさらに的確に振動させることができる。因みに、内刃17の駆動回転数が3600rpmであるのに対して、振動発生源38で発生された振動の振動数は1分当たり1万回とはるかに大きい。
上記の電気かみそりにおいては、使用開始時と使用停止時におけるメインモーター12と起振モーター39の起動タイミングおよび停止タイミングを異ならせている。詳しくは、図6に示すように、スイッチ4がオン操作されるのと同時に起振モーター39を起動させたのち、一定時間が経過してからメインモーター12を起動させている。また、スイッチ4がオフ操作されるのと同時にメインモーター12を停止させ、メインモーター12が停止したのち、一定時間が経過してから起振モーター39を停止させている。この実施例では、起振モーター39が起動したのち0.1秒後にメインモーター12を起動させて、2次電池3の起動負荷を軽減し、2次電池3の消耗を軽減できるようにしている。なお、両モーター12・39を同時に起動する場合には、瞬間的ではあるが2次電池3に大きな起動負荷が掛かる。また、メインモーター12が停止したのち、起振モーター39を5秒間だけ作動させて内刃17を振動させ、外刃16や内刃17あるいは内刃支持体18に付着している毛屑を払い落とすようにしている。
外刃16や内刃17に付着している毛屑には皮脂が混じっていることが多く、こうした毛屑は粘着性があるため、内刃17を回転駆動するとき、メインモーター12に大きな起動負荷が作用しやすい。しかし、上記のように起振モーター39を起動したのち、メインモーター12を起動すると、起振モーター39の振動で外刃16や内刃17に付着している毛屑を払い落として、毛屑や皮脂混じりの毛屑が回転抵抗になるのを解消できるので、内刃17を起動するときの負荷を軽減できる。また、メインモーター12に大きな起動負荷が作用するのを解消して、その寿命を延ばすことができる。
以上のように構成した電気かみそりによれば、内刃17が回転駆動されるとき、振動発生源38で発生した振動が、内刃駆動体11および内刃支持体18を介して内刃17に伝動される。詳しくは、起振モーター39の振動が、ボス30を介して内刃駆動体11に伝わり、その連結部28に設けた駆動側連結体33から受動側連結体35に伝動して内刃支持体18および内刃17を振動させる。このように、互いに凹凸係合する駆動側連結体33と受動側連結体35を伝動媒体にして振動を伝えると、内刃駆動体11から内刃支持体18へ伝動する振動の伝動効率を向上して、内刃17を少なくとも左右の横軸方向へ的確に振動させることができる。振動発生源38で発生した振動は、係合リブ32と連結筒34の係合部分によっても伝動されるので、内刃駆動体11から内刃支持体18へ伝動する振動の伝動効率をさらに向上できる。
振動発生源38から内刃ユニット10に伝動される振動の振動数は、内刃17の駆動回転数に比べてはるかに大きく、内刃ユニット10に伝動された振動のうち内刃軸21と平行な向きの振動を受けたとき、内刃17の切刃25は外刃16に対して回転しながら内刃軸21と平行な横軸方向へ動くことになる。このときの切刃25の軸心方向の動きによって引き切りを行って、ひげ切断を行うときの切れ味を向上できる。また、内刃17に伝動した振動は外刃16を介して肌面にも作用して、肌面に倒れ込んだひげや、ねじ曲がっているくせ毛を外刃16の刃穴内へ導入できるので、ひげ切断をさらに効果的に行うことができる。
振動発生源38を起振モーター39と偏心錘40で構成して、振動発生源38で発生した振動を内刃ユニット10に伝動して引き切りを行うので、従来の振動発生のための構造に比べて、よりシンプルな構造で振動を発生させて内刃17に引き切り作用を発揮させることができる。さらに、振動発生のための構造を簡素化できる分だけ、引き切り機能を備えている電気かみそりを低コスト化できる。専用の起振モーター39で偏心錘40を回転駆動して振動を発生させるので、メインモーター12の駆動回転数とは無関係に、内刃17の駆動振動数を自由に設定できる。従って、内刃17の駆動回転数や、切刃25のリード角の違いなどに応じて、内刃17の駆動振動数を最適化することができる。
内刃17が交換時期に達して切れ味が低下した場合には、ロック構造をロック解除した状態で外刃ユニット9をヘッドケース8から取外して、内刃ユニット10を露出させる。さらに、駆動側連結体33にねじ込んだビスを取外したのち、内刃支持体18を内刃駆動体11から遠ざかる向きへ引抜いて、まず連結筒34を係合リブ32から分離し、さらに駆動側連結体33と受動側連結体35の係合を解除する。このとき、ギヤトレイン24を構成するギヤのうち、内刃支持体18で支持されたギヤと内刃ギヤ22は、図3に示すように内刃支持体18と共に取外されて内刃駆動体11から分離される。この状態で新規な内刃ユニット10の内刃支持体18を内刃駆動体11に装着して、駆動側連結体33を受動側連結体35に係合し、さらに連結筒34を係合リブ32に係合する。最後に、駆動側連結体33にビスをねじ込んで連結筒34を固定する。なお、連結筒34を駆動側連結体33に固定する固定構造としては、ビスである必要はなく、互いに係合する突起と凹部、あるいは突起と突起などの係合構造であってもよい。
上記の電気かみそりによれば、振動発生源38で発生した振動を内刃駆動体11および内刃支持体18を介して内刃17に伝動し、内刃17を内刃支持体18ごと左右に振動させるので、従来の電気かみそりとは異なり、ひげ切断時に毛屑が詰まる余地がない。従って、ひげ切断時に毛屑が詰まって内刃ユニット10の往復動作に支障をきたすのを一掃し、内刃17を常に安定した状態で往復駆動して、引き切り作用を発揮させることができる。また、上記のように、内刃17の交換時には、内刃17および内刃支持体18と、内刃支持体18に支持されたギヤ22・24を廃棄するが、焼却対象がプラスチック製の内刃支持体18に限られるので、従来の電気かみそりに比べて、内刃交換時の環境負荷(カーボンフットプリント)を軽減できる。さらに、内刃ユニット10は、内刃支持体18に設けた駆動側連結体33および連結筒34を、内刃駆動体11の受動側連結体35および係合リブ32に係合するだけで連結できるので、内刃ユニット10の着脱を容易に行える。従って、内刃ユニット10の交換作業はもちろん、内刃ユニット10を内刃駆動体11から分離して、毛屑や皮脂などの除去および清掃を簡便に行える。実施例1の電気かみそりにおいては、駆動側連結体33の内面に設けた伝動リブ36で起振モーター39の周面上部を支持したがその必要はなく、駆動側連結体33の周囲壁で起振モーター39の周面を直接指示してもよい。
(実施例2) 図7および図8は、本発明に係る電気かみそりの実施例2を示す。そこでは、中空箱状の駆動側連結体33の内部に振動発生源38を配置し、メインモーター12の回転動力を利用して、振動発生源38を回転駆動するようにした。振動発生源38は起振軸43と、同軸43に固定した偏心錘40と、起振軸43を回転駆動するメインモーター12からなる。起振軸43は、駆動側連結体33の上下壁(周囲壁)に設けたベアリング44で回転自在に軸支されており、その下端に設けた継手45・46を介してメインモーター12の回転動力を受継ぐ。
図8に示すように、メインモーター12の出力軸の上端に固定される継手45には、四角軸状の駆動突起47が突設してあり、起振軸43の下端に固定した継手46には、駆動突起47と嵌合する四角形の受動穴48が形成してある。メインモーター12は縦置き配置されて、内刃駆動体11の下部に設けたホルダー凹部29に固定してある。そのため、原動ギヤ23とギヤトレイン24の間にベベルギヤ50・51を設けて、後段側のべベルギヤ51の回転中心軸を水平にしている。他は先の実施例と同じであるので、同じ部材に同じ符号を付して、その説明を省略する。以下の実施例においても同じとする。
上記のように、駆動側連結体33の内部に振動発生源38を組み込むと、偏心錘40で発生した振動を、起振軸43とベアリング44を介して駆動側連結体33に直接伝動できるので、振動の伝動経路を最短化して、内刃駆動体11から内刃支持体18へ伝動する振動の伝動効率をさらに向上できる。振動伝動経路が短い分だけ、振動の伝達ロスを小さくできる利点もある。また、減速される前のメインモーター12の回転動力で偏心錘40を回転駆動するので、振動発生源38から出力される振動の駆動振動数を大きくできる。この実施例においては、内刃17を回転駆動するメインモーター12が起振モーター39を兼ねている。
図9は、実施例2における継手構造の変形例を示す。そこでは、メインモーター12側の継手45に丸軸状の駆動突起47を突設し、起振軸43側の継手46に丸穴状の受動穴48を形成した。この継手構造においては、互いに嵌合する駆動突起47および受動穴48の嵌合面の摩擦と、両継手45・46の接合面の摩擦によって、メインモーター12の回転動力を起振軸43に伝動して偏心錘40を回転駆動する。一対の継手45・46の間の伝動効率は、実施例2の継手構造に比べて幾分低下するが、メインモーター12が停止した後も、しばらくは偏心錘40が自己の運動慣性力で回転を続行して内刃17を振動させることができる。従って、外刃16や内刃17あるいは内刃支持体18に付着している毛屑を払い落とすことができる。
(実施例3) 図10および図11は、本発明に係る電気かみそりの実施例3を示す。そこでは、内刃駆動体11の前後壁に、U字状に屈曲した左右一対ずつの弾性アーム54を設け、弾性アーム54の装着端をヘッドケース8の前後壁に固定して、内刃駆動体11をヘッドケース8に対して内刃軸21と平行な左右方向へ往復動できるように支持した。内刃ユニット10および内刃駆動体11と、メインモーター12の重量は4個の弾性アーム54で支持している。また、内刃駆動体11の内面にボス30を設け、このボス30に実施例1と同じ構造の振動発生源38を装着した。さらに、連結部28の上部に左右に長い長方形状の駆動側連結体33を設け、内刃支持体18の受動側連結体35を駆動側連結体33に外嵌装着して、内刃ユニット10を内刃駆動体11に連結した。この場合の受動側連結体35は連結筒34が兼ねている。この実施例における、メインモーター12から内刃17に至るギヤ伝動構造は、実施例2で説明したベベルギヤ50・51を含むギヤ伝動構造と同じ構造にした。
上記のように、連結部28の上部全体を駆動側連結体33として、内刃支持体18の受動側連結体35を駆動側連結体33に外嵌装着すると、両連結体33・35の連結強度を増強でき、嵌合面積が大きい分だけ振動発生源38の振動を内刃支持体18へさらに的確に伝動できる。連結部28の構造を簡素化できる利点もある。
(実施例4) 図12および図13は、本発明に係る電気かみそりの実施例4を示す。そこでは、内刃駆動体11の内部に振動子55を配置し、その左右壁に前後一対ずつの弾性アーム54を設け、弾性アーム54の装着端を内刃駆動体11の左右壁に固定した。振動子55は下向きに開口する四角箱状に形成してあり、その上面に左右一対の駆動側連結体33が突設され、下面の中央に左右一対の受動壁に挟まれた受動溝56が一体に形成してある。振動子55は、内刃駆動体11に固定したガイド軸57で左右スライド自在に支持してあり、ガイド軸57はギヤトレイン24を構成するひとつのギヤを支持するギヤ軸を兼ねている。振動子55は、メインモーター12の出力軸に固定した偏心カム58で先の受動溝56を往復駆動することにより、内刃軸21と平行な左右方向へ往復振動する。内刃支持体18の下面の左右には、駆動側連結体33に外嵌する受動側連結体35が設けてある。この実施例では振動子55と、ガイド軸57と、偏心カム58と、メインモーター12で振動発生源38を構成して、内刃17を回転駆動するメインモーター12が起振モーター39を兼ねるようにした。
以上のように、確動機構として構成した振動発生源38によれば、内刃17および内刃支持体18を常に一定の往復ストロークで左右方向へ往復駆動できる。従って、往動時と復動時のいずれの場合にも、切刃25を軸心方向へ移動させて引き切りを行って、ひげ切断時の切れ味を向上できる。
(実施例5) 図14は、本発明に係る電気かみそりの実施例5を示す。そこでは、実施例2と同様に、振動発生源38を起振軸43と、同軸43に固定した偏心錘40と、起振軸43を回転駆動するメインモーター12で構成した。また、実施例4と同様に、内刃駆動体11の内部に振動子55を配置して、その上面に内刃支持体18を駆動するための駆動側連結体33を凹み形成した。また、内刃支持体18の下面に駆動側連結体33と係合する受動側連結体35を突設して、振動子55の振動を駆動側連結体33から受動側連結体35へ伝動できるようにした。起振軸43は、メインモーター12の出力軸を上方へ延長して形成してあり、振動子55と内刃駆動体11に設けたベアリング44で回転自在に軸支してある。この実施例においては、内刃17を回転駆動するメインモーター12が起振モーター39を兼ねている。
(実施例6) 図15は、本発明に係る電気かみそりの実施例6を示す。そこでは、実施例1と同様に、振動発生源38を起振モーター39と偏心錘40で構成した。また、メインモーター12を横置き配置して、その回転動力を実施例1と同じギヤ伝動構造で内刃17へ伝動するようにした。この実施例では、内刃支持体18の左右両側に外刃ホルダー15を装着するための装着壁60を設けて、外刃ホルダー15を内刃支持体18に装着しており、この構造が実施例1と異なっている。このように外刃ユニット9が内刃ユニット10に組付けてあると、内刃ユニット10の交換時に外刃ユニット9も同時に取り外して、両ユニット9・10を同時に交換することができる。
(実施例7) 図16および図17は、本発明に係る電気かみそりの実施例7を示す。そこでは、実施例2と同様に、縦置き配置したメインモーター12の回転動力を利用して、振動発生源38を回転駆動するようにした。振動発生源38は、メインモーター12と、その下側の出力軸に固定した偏心カム58と、ヘッドケース8の底壁に設けた保持溝62とからなり、偏心カム58の偏心ピン58aは保持溝62と係合している。また、内刃駆動体11のモーターホルダー部27を、ヘッドケース8の左右壁の間に配置した前後一対のガイド軸63で支持して、内刃駆動体11がガイド軸63に沿って左右方向へ振動できるようにした。駆動側連結体33および受動側連結体35は、実施例3と同じ構造とした。この実施例における振動発生源38では、偏心カム58が回転駆動されるとき、偏心ピン58aが保持溝62から受ける操作反力で内刃駆動体11を左右に振動させる。この実施例においては、メインモーター12を含む内刃駆動体11や、ギヤ伝動構造を含む内刃支持体18の全体が左右に振動するので、ギヤトレイン24において互いに噛み合っているギヤ同士が相対移動するのを防止し、異音の発生を防止できる。この実施例においては、内刃17を回転駆動するメインモーター12が起振モーター39を兼ねている。
図18は、実施例7における振動発生源38の変形例を示す。そこでは、メインモーター12の下側の出力軸に偏心錘40を固定して、振動を発生できるようにした。この実施例においては、振動発生源38で発生した振動によって、内刃駆動体11がガイド軸63に沿って往復振動する。
(実施例8) 図19および図20は、本発明に係る電気かみそりの実施例8を示す。そこでは、実施例7と同様に、縦置き配置したメインモーター12の回転動力を利用して、振動発生源38を回転駆動するようにした。振動発生源38は、メインモーター12の下側の出力軸に偏心錘40を固定して、振動を発生できるようにした。図20に示すように、モーターホルダー部27の前後壁には支点軸64が突設してあり、これらの支点軸64をヘッドケース8の前後壁の内面に設けた軸受ボス65で軸支して、内刃駆動体11が支点軸64を中心にして左右傾動できるようにした。また、ヘッドケース8の底壁とモーターホルダー部27の底壁との間に引張りコイルばね66を掛渡して、傾動した内刃駆動体11を正立姿勢に戻せるようにした。この実施例においては、メインモーター12が起振モーター39を兼ねている。
内刃17はラジアルクラウンローラー状に形成し、これに対応して外刃16を上突湾曲状に形成して、内刃駆動体11が左右に傾動する場合でも、内刃17と外刃16が密着できるようにした。駆動側連結体33および受動側連結体35は、実施例7と同じように形成するが、両連結体33・35の上下の接合壁を、内刃17の膨らみ形状に沿わせて、それぞれ下凹み湾曲状に形成する点が実施例7と異なる。この実施例における内刃17は、振動発生源38の振動を受けて支点軸64の回りに左右傾動する。
(実施例9) 図21は、本発明に係る電気かみそりの実施例9を示す。そこでは、実施例8と同様に、内刃駆動体11に支点軸64を設けて、内刃駆動体11が支点軸64を中心にして左右傾動できるようにし、傾動した内刃駆動体11を引張りコイルばね66で正立姿勢に戻せるようにした。また、内刃17をラジアルクラウンローラー状に形成する点も実施例8と同じである。この実施例では、モーターホルダー部27の上側にボス30を設け、このボス30に実施例1と同様の起振モーター39を固定し、起振モーター39の出力軸に偏心錘40を固定している。この実施例における内刃17は、振動発生源38の振動を受けて支点軸64の回りに左右傾動する。
実施例1から実施例9で説明した電気かみそりは、外刃16と内刃17のせん断作用によってひげ切断を行う、いわゆるせん断刃型の電気かみそりであるが、本発明に係る起振構造は非せん断刃型の電気かみそりに適用してもよい。図22に示すように、非せん断刃型の電気かみそりにおいては、外刃16を省略し、内刃(回転刃)17の周面に密着するガード体69を外刃ホルダー15に固定している。ガード体69は、例えばばね線材を逆U字状に折曲げて形成してあり、内刃17の切刃25が肌面に食い込むのを規制する。他の構成に関しては、実施例1と同様にメインモーター12を横置き配置して、その回転動力を実施例1と同じギヤ伝動構造で内刃17へ伝動するようにした。また、振動発生源38を起振モーター39と偏心錘40で構成し、モーターホルダー部27の上部に設けたボス30に起振モーター39を固定した。
上記の実施例においては、ヘッドケース8を左右一対のフロートばね13で浮動支持する浮動構造を例示したが、その必要はなく、ヘッドケース8は公知の浮動支持構造で支持することができる。また、かみそりヘッド2が本体ケース1に対して左右傾動のみ可能に支持してある支持構造を備えた電気かみそりや、ヘッドケース8が本体ケース1と一体化されて、かみそりヘッド2が傾動不能な電気かみそりであっても、本発明の振動構造を適用することができる。振動発生源38は、本体ケース1の後面にきわ剃りユニットが設けてある電気かみそりにも、支障なく適用することができる。
メインモーター12から内刃17への動力伝動を行う伝動部24はギヤ伝動である必要はなく、タイミングベルトを伝動要素とする巻掛伝動機構で伝動部24を構成することができる。また、必要があればギヤトレインと巻掛伝動機構を組み合わせて伝動部24を構成することができる。伝動部24が巻掛伝動機構で構成してある場合には、タイミングベルトをタイミングプーリーから取外したのち、内刃支持体18を連結部28から取外すとよい。