JP2016077240A - 製パン練り込み用油脂組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
特許文献3の油脂組成物を用いたパン生地は伸展性が低下しやすく、また得られたパンもソフトではあるがしとり感が不足気味であるという問題に加え、水分含量の低いパンでは体積が小さくなってしまう場合があった。
特許文献4の油脂組成物を用いたパンは、生地物性の改良効果が低く、また、水分含量の高いパンでは効果が低くなってしまうという問題があった。
特許文献5の油脂組成物を用いたパンは体積増加によるソフト性向上効果はあるが、しとり感がやや劣るという問題があった。
また、これらの油脂組成物を使用したパンは、ソフトではあるが歯切れ感が十分ではなく、そのため油脂組成物の添加量を増やしてパンのソフト性を向上させようとした場合、ねちゃついた食感が顕れてしまうという問題があった。
本発明は上記知見に基づいて完成されたものであり、下記(A)、(B)及び(C)成分を下記の(1)及び(2)を共に満たす質量比で含有することを特徴とする製パン練り込み用油脂組成物を提供するものである。
(A)グリセリンモノ脂肪酸エステル
(B)コハク酸モノグリセリド
(C)ジグリセリン脂肪酸エステル
(1)(A+C):(B)=10〜90:90〜10
(2)(A):(C)=35〜85:65〜15
まず、上記(A)グリセリンモノ脂肪酸エステルについて述べる
本発明で使用するグリセリンモノ脂肪酸エステルとしては、公知のグリセリンモノ脂肪酸エステルを使用することができる。グリセリンモノ脂肪酸エステルの脂肪酸に特に制限はなく、飽和酸でも不飽和酸でも問題なく使用可能であり、脂肪酸の鎖長についても制限はないが、好ましくは8〜22、より好ましくは12〜20、さらに好ましくは14〜18であり、最も好ましい脂肪酸としては、ソフト性良好なパンが得られる点から、ステアリン酸、パルミチン酸が挙げられる。
本発明で使用するコハク酸モノグリセリドとしては、公知のコハク酸モノグリセリドを使用することができる。コハク酸モノグリセリドの脂肪酸に特に制限はなく、飽和酸でも不飽和酸でも問題なく使用可能であり、脂肪酸の鎖長についても制限はないが、好ましくは8〜22、より好ましくは12〜20、さらに好ましくは14〜18であり、最も好ましい脂肪酸としては、生地の作業性が良好で、口溶けの良好なパンが得られる点から、ステアリン酸、パルミチン酸が挙げられる。
本発明で使用するジグリセリン脂肪酸エステルとしては、公知のジグリセリン脂肪酸エステルを使用することができる。ジグリセリン脂肪酸エステルの脂肪酸に特に制限はなく、飽和酸でも不飽和酸でも問題なく使用可能であり、脂肪酸の鎖長についても制限はないが、好ましくは8〜22、より好ましくは12〜20、さらに好ましくは14〜18であり、最も好ましい脂肪酸としては、歯切れの良好なパンが得られる点から、オレイン酸、パルミトオレイン酸が挙げられる。
また、脂肪酸の結合数についても特に制限はないが、モノ脂肪酸エステル、及び/又はジ脂肪酸エステルであることが好ましい。
(1)(A+C):(B)=10〜90:90〜10、好ましくは30〜80:70〜20、より好ましくは40〜60:40〜60
(2)(A):(C)=35〜85:65〜15、好ましくは50〜85:50〜15、より好ましくは65〜75:35〜25
また、上記(1)において、(A+C)の質量比が90質量%超であると、生地物性、歯切れ、口溶けが悪化し、乳化剤の風味がでやすくなってしまう。
また、上記(2)において、(A)の質量比が35質量%未満であると、ソフト性及び歯切れの悪いパンとなってしまう。
また、上記(2)において、(A)の質量比が85質量%超であると、口溶けが悪くなる。
ここで、上記合計量が0.5質量%未満であると本発明の効果が得られず、20質量%を超えると得られるパンがねちゃついた食感になってしまう。
尚、油脂の含有量には、後述するその他の成分として油脂分を含む成分を使用した場合には、これらに由来する油脂分も算入するものとする。
上記のその他の成分としては水、蛋白質、糖類、甘味料、上記(A)グリセリンモノ脂肪酸エステル、上記(B)コハク酸モノグリセリド、上記(C)ジグリセリン脂肪酸エステル以外の乳化剤、増粘安定剤、食塩や塩化カリウム等の塩味剤、卵類、無機塩類、乳清ミネラル、乳脂肪球皮膜、アミラーゼ・プロテアーゼ・アミログルコシダーゼ・プルラナーゼ・ペントサナーゼ・セルラーゼ・リパーゼ・ホスフォリパーゼ・カタラーゼ・リポキシゲナーゼ・アスコルビン酸オキシダーゼ・スルフィドリルオキシダーゼ・ヘキソースオキシダーゼ・グルコースオキシダーゼ等の酵素、β―カロチン・カラメル・紅麹色素等の着色料類、酢酸・乳酸・グルコン酸等の酸味料、調味料、原料アルコール、焼酎・ウイスキー・ウオッカ・ブランデー等の蒸留酒、ワイン・日本酒・ビール等の醸造酒、各種リキュール、pH調整剤、食品保存料、日持ち向上剤、果実、果汁、ナッツペースト、香辛料、カカオマス・カカオパウダー等のカカオ製品、コーヒー、紅茶、緑茶、ハーブ、穀類、豆類、野菜類、肉類、魚介類等の食品素材、トコフェロール・茶抽出物等の酸化防止剤、着香料、保存料、苦味料、酸味料、ジャム、フルーツソース、コンソメ・ブイヨン等の植物及び動物エキス、食品添加剤等を添加してもよい。その他の成分は、本発明の目的を損なわない限り、任意に使用することができるが、好ましくは、本発明の製パン練り込み用油脂組成物中、30質量%以下である。
上記の蛋白質の含有量は特に制限はないが、本発明の製パン練り込み用油脂組成物において、好ましくは0〜3質量%、さらに好ましくは0〜1.5質量%、最も好ましくは0〜0.75質量%である。
特に上記の糖類としてブドウ糖、果糖、ショ糖、麦芽糖、乳糖より選ばれた1種又は2種以上を用いることが好ましい。
上記の糖類の含有量は特に制限はないが、本発明の製パン練り込み用油脂組成物において、固形分として好ましくは0〜1.2質量%、さらに好ましくは0〜0.6質量%、最も好ましくは0〜0.3質量%である。
上記の増粘安定剤の含有量は、特に制限はないが、本発明の製パン練り込み用油脂組成物中、好ましくは0〜10質量%、さらに好ましくは0〜5質量%である。
尚、本発明の製パン練り込み用油脂組成物において、上記増粘安定剤が必要でなければ、増粘安定剤を用いなくてもよい。
本発明の製パン練り込み用油脂組成物は、下記(A)、(B)及び(C)成分を下記の(1)及び(2)を共に満たす質量比で含有する油相を溶解した後、冷却し、結晶化させることにより製造することができる。
(A)グリセリンモノ脂肪酸エステル
(B)コハク酸モノグリセリド
(C)ジグリセリン脂肪酸エステル
(1)(A+C):(B)=10〜90:90〜10
(2)(A):(C)=35〜85:65〜15
次に、上記油相を冷却し、結晶化させる。好ましくは冷却可塑化する。冷却条件は、好ましくは−0.5℃/分以上、さらに好ましくは−5℃/分以上とする。この際、徐冷却より急速冷却の方が好ましい。冷却する機器としては、密閉型連続式チューブ冷却機、例えばボテーター、コンピネーター、パーフェクター等のマーガリン製造機やプレート型熱交換機等が挙げられ、また、開放型のダイアクーラーとコンプレクターの組み合わせが挙げられる。
本発明のパン生地は、本発明の製パン練り込み用油脂組成物を用いたものであり、具体的には本発明の製パン練り込み用油脂組成物を生地に練り込むことにより、製造することができる。
また、得られた本発明のパン生地は、冷蔵、冷凍保存することが可能である。
本発明のパンは、上記の本発明のパン生地を、適宜、分割、成形し、必要に応じホイロ、リタード、レストをとった後、加熱処理することにより得ることができる。
また、得られた本発明のパンを、冷蔵、冷凍保存したり、該保存後に電子レンジ加熱することも可能である。
ヨウ素価55のパーム分別軟部油を、ナトリウムメチラートを触媒として、非選択的エステル交換反応を行なった後、漂白(白土3%、85℃、0.93kPa以下の減圧下)、脱臭(250℃、60分間、水蒸気吹き込み量5%、0.4kPa以下の減圧下)を行ない、エステル交換油脂aを得た。
得られたエステル交換油脂aの組成は、全トリグリセリドを構成する全脂肪酸残基のうち、ラウリン酸残基の占める割合が0.5質量%、炭素数20以上の飽和脂肪酸残基の占める割合が0.5質量%であった。
パーム油70質量部とパーム核油24質量部とハイエルシン菜種極度硬化油6質量部からなる油脂配合物を、ナトリウムメチラートを触媒として、ランダムエステル交換反応を行なった後、漂白(白土3%、85℃、0.93kPa以下の減圧下)、脱臭(250℃、60分間、水蒸気吹き込み量5%、0.4kPa以下の減圧下)を行ない、エステル交換油脂bを得た。
得られたエステル交換油脂bの組成は、全トリグリセリドを構成する全脂肪酸残基のうち、ラウリン酸残基の占める割合が16.6質量%、炭素数20以上の飽和脂肪酸残基の占める割合が3.6質量%であった。
エステル交換油脂bと大豆油を95:5で混合した配合油73質量部に、ステアリン酸モノグリセリド3.5質量部、コハク酸ステアリン酸モノグリセリド1.5質量部、ジグリセリンモノ・ジオレイン酸エステル1.5質量部、50%トコフェロール0.01質量部及び香料0.02質量部を、添加、混合及び溶解した油相を65℃に保温した。
一方、水20.47質量部を60℃に調温した。続いて、上記油相へ上記水相を添加、混合し、油中水型の乳化物とした後、殺菌し、急冷可塑化工程(冷却速度―20℃/分)にかけ、本発明の製パン練り込み用油脂組成物Aを得た。製パン練り込み用油脂組成物Aにおけるトランス脂肪酸の含有量は2質量%以下であり、トランス脂肪酸を実質的に含有しないものであった。
尚、(1)(A+C):(B)の質量比、(2)(A):(C)の質量比、及び、(A)、(B)及び(C)を合計した含有量について、表1に記載した。
実施例1における、ステアリン酸モノグリセリド3.5質量部を2.0質量部に、水20.47質量部を21.97質量部に変更した以外は実施例1と同様の配合・製法で、本発明の製パン練り込み用油脂組成物Bを得た。製パン練り込み用油脂組成物Bにおけるトランス脂肪酸の含有量は2質量%以下であり、トランス脂肪酸を実質的に含有しないものであった。
尚、(1)(A+C):(B)の質量比、(2)(A):(C)の質量比、及び、(A)、(B)及び(C)を合計した含有量について、表1に記載した。
実施例1における、ステアリン酸モノグリセリド3.5質量部を5.0質量部に、水20.47質量部を18.97質量部に変更した以外は実施例1と同様の配合・製法で、本発明の製パン練り込み用油脂組成物Cを得た。製パン練り込み用油脂組成物Cにおけるトランス脂肪酸の含有量は2質量%以下であり、トランス脂肪酸を実質的に含有しないものであった。
尚、(1)(A+C):(B)の質量比、(2)(A):(C)の質量比、及び、(A)、(B)及び(C)を合計した含有量について、表1に記載した。
実施例1における、コハク酸ステアリン酸モノグリセリド1.5質量部を1.0質量部に、水20.47質量部を20.97質量部に変更した以外は実施例1と同様の配合・製法で、本発明の製パン練り込み用油脂組成物Dを得た。製パン練り込み用油脂組成物Dにおけるトランス脂肪酸の含有量は2質量%以下であり、トランス脂肪酸を実質的に含有しないものであった。
尚、(1)(A+C):(B)の質量比、(2)(A):(C)の質量比、及び、(A)、(B)及び(C)を合計した含有量について、表1に記載した。
実施例1における、コハク酸ステアリン酸モノグリセリド1.5質量部を4.5質量部に、水20.47質量部を17.47質量部に変更した以外は実施例1と同様の配合・製法で、本発明の製パン練り込み用油脂組成物Eを得た。製パン練り込み用油脂組成物Eにおけるトランス脂肪酸の含有量は2質量%以下であり、トランス脂肪酸を実質的に含有しないものであった。
尚、(1)(A+C):(B)の質量比、(2)(A):(C)の質量比、及び、(A)、(B)及び(C)を合計した含有量について、表1に記載した。
実施例1における、ジグリセリンモノ・ジオレイン酸エステル1.5質量部を1.0質量部に、水20.47質量部を20.97質量部に変更した以外は実施例1と同様の配合・製法で、本発明の製パン練り込み用油脂組成物Fを得た。製パン練り込み用油脂組成物Fにおけるトランス脂肪酸の含有量は2質量%以下であり、トランス脂肪酸を実質的に含有しないものであった。
尚、(1)(A+C):(B)の質量比、(2)(A):(C)の質量比、及び、(A)、(B)及び(C)を合計した含有量について、表1に記載した。
実施例1における、ジグリセリンモノ・ジオレイン酸エステル1.5質量部を4.5質量部に、水20.47質量部を17.47質量部に変更した以外は実施例1と同様の配合・製法で、本発明の製パン練り込み用油脂組成物Gを得た。製パン練り込み用油脂組成物Gにおけるトランス脂肪酸の含有量は2質量%以下であり、トランス脂肪酸を実質的に含有しないものであった。
尚、(1)(A+C):(B)の質量比、(2)(A):(C)の質量比、及び、(A)、(B)及び(C)を合計した含有量について、表1に記載した。
実施例1における配合油を、エステル交換油脂bと大豆油を95:5で混合した配合油73質量部に代えて、エステル交換油脂aと大豆油を80:20で混合した配合油73質量部に変更した以外は実施例1と同様の配合・製法で、本発明の製パン練り込み用油脂組成物Hを得た。製パン練り込み用油脂組成物Hにおけるトランス脂肪酸の含有量は2質量%以下であり、トランス脂肪酸を実質的に含有しないものであった。
尚、(1)(A+C):(B)の質量比、(2)(A):(C)の質量比、及び、(A)、(B)及び(C)を合計した含有量について、表1に記載した。
実施例1における、ステアリン酸モノグリセリド3.5質量部を無添加に、水20.47質量部を23.97質量部に変更した以外は実施例1と同様の配合・製法で、比較例の製パン練り込み用油脂組成物Iを得た。製パン練り込み用油脂組成物Iにおけるトランス脂肪酸の含有量は2質量%以下であり、トランス脂肪酸を実質的に含有しないものであった。
尚、(1)(A+C):(B)の質量比、(2)(A):(C)の質量比、及び、(A)、(B)及び(C)を合計した含有量について、表1に記載した。
実施例1における、コハク酸ステアリン酸モノグリセリド1.5質量部を無添加に、水20.47質量部を21.97質量部に変更した以外は実施例1と同様の配合・製法で、比較例の製パン練り込み用油脂組成物Jを得た。製パン練り込み用油脂組成物Jにおけるトランス脂肪酸の含有量は2質量%以下であり、トランス脂肪酸を実質的に含有しないものであった。
尚、(1)(A+C):(B)の質量比、(2)(A):(C)の質量比、及び、(A)、(B)及び(C)を合計した含有量について、表1に記載した。
実施例1における、ジグリセリンモノ・ジオレイン酸エステル1.5質量部を無添加に、水20.47質量部を21.97質量部に変更した以外は実施例1と同様の配合・製法で、比較例の製パン練り込み用油脂組成物Kを得た。製パン練り込み用油脂組成物Kにおけるトランス脂肪酸の含有量は2質量%以下であり、トランス脂肪酸を実質的に含有しないものであった。
尚、(1)(A+C):(B)の質量比、(2)(A):(C)の質量比、及び、(A)、(B)及び(C)を合計した含有量について、表1に記載した。
実施例1における、ステアリン酸モノグリセリド3.5質量部を4.5質量部に、コハク酸ステアリン酸モノグリセリド1.5質量部を4.5質量部に、ジグリセリンモノ・ジオレイン酸エステル1.5質量部を0.5質量部に、水20.47質量部を17.47質量部に変更した以外は実施例1と同様の配合・製法で、比較例の製パン練り込み用油脂組成物Lを得た。製パン練り込み用油脂組成物Lにおけるトランス脂肪酸の含有量は2質量%以下であり、トランス脂肪酸を実質的に含有しないものであった。
尚、(1)(A+C):(B)の質量比、(2)(A):(C)の質量比、及び、(A)、(B)及び(C)を合計した含有量について、表1に記載した。
実施例1における、ステアリン酸モノグリセリド3.5質量部を0.3質量部に、コハク酸ステアリン酸モノグリセリド1.5質量部を9.0質量部に、ジグリセリンモノ・ジオレイン酸エステル1.5質量部を0.2質量部に、水20.47質量部を17.47質量部に変更した以外は実施例1と同様の配合・製法で、比較例の製パン練り込み用油脂組成物Mを得た。製パン練り込み用油脂組成物Mにおけるトランス脂肪酸の含有量は2質量%以下であり、トランス脂肪酸を実質的に含有しないものであった。
尚、(1)(A+C):(B)の質量比、(2)(A):(C)の質量比、及び、(A)、(B)及び(C)を合計した含有量について、表1に記載した。
実施例1における、ステアリン酸モノグリセリド3.5質量部を1.0質量部に、コハク酸ステアリン酸モノグリセリド1.5質量部を4.5質量部に、ジグリセリンモノ・ジオレイン酸エステル1.5質量部を4.0質量部に、水20.47質量部を17.47質量部に変更した以外は実施例1と同様の配合・製法で、比較例の製パン練り込み用油脂組成物Nを得た。製パン練り込み用油脂組成物Nにおけるトランス脂肪酸の含有量は2質量%以下であり、トランス脂肪酸を実質的に含有しないものであった。
尚、(1)(A+C):(B)の質量比、(2)(A):(C)の質量比、及び、(A)、(B)及び(C)を合計した含有量について、表1に記載した。
実施例1における、ステアリン酸モノグリセリド3.5質量部を5.0質量部に、コハク酸ステアリン酸モノグリセリド1.5質量部を0.5質量部に、ジグリセリンモノ・ジオレイン酸エステル1.5質量部を4.0質量部に、水20.47質量部を17.47質量部に変更した以外は実施例1と同様の配合・製法で、比較例の製パン練り込み用油脂組成物Oを得た。製パン練り込み用油脂組成物Oにおけるトランス脂肪酸の含有量は2質量%以下であり、トランス脂肪酸を実質的に含有しないものであった。
尚、(1)(A+C):(B)の質量比、(2)(A):(C)の質量比、及び、(A)、(B)及び(C)を合計した含有量について、表1に記載した。
<菓子パンの配合及び製法>
強力粉70質量部、生イースト3質量部、イーストフード0.1質量部、上白糖3質量部及び水40質量部をミキサーボウルに投入し、フックを使用し、低速で2分、中速で2分混合し、中種生地を得た。捏ね上げ温度は24℃であった。この中種生地を生地ボックスに入れ、温度28℃、相対湿度85%の恒温室で、4時間中種醗酵を行なった。終点温度は29℃であった。
この中種醗酵の終了した生地を再びミキサーボウルに投入し、更に、強力粉30質量部、上白糖15質量部、脱脂粉乳2質量部、食塩1.2質量部及び水23質量部を添加し、低速で3分、中速で3分本捏ミキシングした。ここで、実施例1〜8及び比較例1〜7で得られた製パン練り込み用油脂組成物20質量部をそれぞれ投入し、フックを使用し、低速で3分、中速で3分、高速で1分ミキシングを行ない、菓子パン生地を得た。得られた菓子パン生地の捏ね上げ温度は28℃であった。
得られた菓子パン生地は、フロアタイムを30分とり、50gに分割した。さらに30分ベンチタイムを取った後、丸め成形をし、38℃、相対湿度85%、50分のホイロを取った後、上火200℃下火200℃のオーブンで10分焼成して実施例9〜16及び比較例8〜14の菓子パンをそれぞれ得た。
尚、丸め成形時の生地物性について、下記評価基準に従って評価し、結果を表2に記載した。
また、得られた菓子パンについて、下記評価基準に従って、ソフト性、歯切れ、及び、口溶けについて焼成1日後及び3日後の評価を行ない、結果を表2に記載した。
・生地状態
◎:ベタつきなく、きわめて扱いやすい状態であった。
○:ベタつきなく、扱いやすい状態であった。
△:若干ベタつきがあり、やや扱い難い状態であった。
×:ベタつきがあり、扱い難い状態であった。
・食感(ソフト性)
◎:きわめて良好
○:良好
△:やや悪い
×:悪い
・食感(歯切れ)
◎:きわめて良好
○:良好
△:やや悪い
×:悪い
・食感(口溶け)
◎:きわめて良好
○:良好
△:やや悪い
×:悪い
Claims (4)
- 下記(A)、(B)及び(C)成分を下記の(1)及び(2)を共に満たす質量比で含有することを特徴とする製パン練り込み用油脂組成物。
(A)グリセリンモノ脂肪酸エステル
(B)コハク酸モノグリセリド
(C)ジグリセリン脂肪酸エステル
(1)(A+C):(B)=10〜90:90〜10
(2)(A):(C)=35〜85:65〜15 - 上記(A)、(B)及び(C)成分を合計して、0.5〜20質量%含有することを特徴とする請求項1記載の製パン練り込み用油脂組成物。
- 請求項1又は2記載の製パン練り込み用油脂組成物を用いたパン生地。
- 請求項3記載のパン生地を加熱してなるパン。
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