JP2016076612A - 量子カスケードレーザ、及び量子カスケードレーザを製造する方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】半導体メサの高さを低くできるとともに埋込領域の厚みを増大できる構造を有する量子カスケードレーザ、ならびに、該量子カスケードレーザを製造する方法を提供する。【解決手段】量子カスケードレーザ1は、基板10の主面上に設けられ、量子カスケードレーザ1のための活性層12を含む半導体メサ20と、基板10の主面上に設けられ、基板10の主面の法線方向に順に配列された第1部分31及び第2部分32を含む埋込領域30と、半導体メサ20の上面に接触を成し、埋込領域30上に設けられた導体領域40と、を備える。第1部分31は、半導体メサ20を埋め込み、第2部分32は、第2開口35を有し、半導体メサ20及び第2開口35は、基板10の主面の法線方向に順に配列され、導体領域40は、第2開口35に位置する。【選択図】図1

Description

本発明は、量子カスケードレーザ、及び量子カスケードレーザを製造する方法に関する。
特許文献1は、埋め込みヘテロ構造を持つ量子カスケードレーザを開示する。また、非特許文献1は、半絶縁性InP層の電気特性について開示する。
特開2008−218915号公報
O. Ostinelli etal.,"Growth and characterization of iron-dopedsemi-insulating InP buffer layers for Al-free GaInP/GaInAs high electronmobility transistors", Journal of Applied Physics, USA,American Institute of Physics, December 2010, Vol.108, p.114502.
埋め込みヘテロ構造の量子カスケードレーザにおいて、半絶縁性InP層は、半導体メサの埋込領域として用いられている。量子カスケードレーザは、通信用の半導体レーザと異なり、埋込領域に高い耐電圧性を求める。埋込領域の耐電圧性を向上させるために、埋込領域が厚くなっている。ただし、埋込領域の厚みに合わせて半導体メサも高くすると、半導体メサのエッチング時に、半導体メサにサイドエッチが生じて、メサ幅が不均一となる。
本発明の一側面は、半導体メサの高さを低くできるとともに、埋込領域の厚みを増大できる構造を有する量子カスケードレーザを提供することを目的とする。本発明の別の側面は、この量子カスケードレーザを製造する方法を提供することを目的とする。
本発明の一側面に係る量子カスケードレーザは、基板の主面上に設けられ、量子カスケードレーザのための活性層を含む半導体メサと、基板の主面上に設けられ、基板の主面の法線方向に順に配列された第1部分及び第2部分を含む埋込領域と、半導体メサの上面に接触を成し、埋込領域上に設けられた導体領域と、を備え、第1部分は、半導体メサを埋め込み、第2部分は、開口を有し、半導体メサ及び開口は、基板の主面の法線方向に順に配列され、導体領域は、開口に位置し、第2部分の上端における開口の第1幅は、第2部分の下端における開口の第2幅より大きく、開口の幅は、第1幅から第2幅に単調に変化し、導体領域は、金属又は半導体からなる。
本発明の別の側面に係る量子カスケードレーザを製造する方法は、量子カスケードレーザのための活性層を含む半導体積層を基板の主面上に成長する工程と、半導体積層の上にマスクを形成する工程と、マスクを用いた反応性イオンエッチング法によって、半導体積層から半導体メサを形成する工程と、半導体原料ガス及びハロゲン系ガスを成長炉に供給しながら、半導体メサを埋め込む下部埋込領域を成長すると共に下部埋込領域の上に上部埋込領域を形成して、半導体メサ上に開口を有する埋込領域を主面上に成長する工程と、埋込領域を成長した後に、マスクを除去して開口に半導体メサの上面を露出させる工程と、マスクを除去した後に、半導体及び金属の少なくとも一つを含む導体領域を埋込領域の開口に形成する工程と、を備え、半導体メサを埋め込む第1部分の厚みは、半導体メサの上面までの高さとほぼ同じであり、導体領域は、半導体メサの上面に接触する。
本発明の一側面によれば、本発明の一側面は、半導体メサの高さを低くできるとともに、埋込領域の厚みを増大できる構造を有する量子カスケードレーザを提供することができる。本発明の別の側面は、この量子カスケードレーザを製造する方法を提供することができる。
本発明の第1実施形態に係る量子カスケードレーザを概略的に示した断面図である。 本発明の第1実施形態に係る量子カスケードレーザを製造する方法を示す流れ図である。 本発明の第1実施形態に係る図2に示す方法の主要な工程における生産物を示す断面図である。 本発明の第1実施形態に係る図2に示す方法の主要な工程における生産物を示す断面図である。 本発明の実施例に係る基板上の半導体積層の主面上に形成されたマスクの形状を示す図である。 本発明の実施例に係るハロゲン系ガスを添加しないで半導体メサを埋め込むように成長された埋込領域の断面を模式的に示す図である。 本発明の実施例に係る埋込領域の耐電圧と埋込領域の厚みとの関係を示す図である。 本発明の第2実施形態に係る量子カスケードレーザを概略的に示した断面図である。 本発明の第2実施形態に係る量子カスケードレーザを製造する方法を示す流れ図である。 本発明の第2実施形態に係る図9に示す方法の主要な工程における生産物を示す断面図である。 本発明の第3実施形態に係る量子カスケードレーザを概略的に示した断面図である。 本発明の第3実施形態に係る量子カスケードレーザを製造する方法を示す流れ図である。 本発明の第3実施形態に係る図12に示す方法の主要な工程における生産物を示す断面図である。 本発明の第1実施形態に係る量子カスケードレーザとともに、比較例に係る量子カスケードレーザを概略的に示した断面図である。
本発明の一側面に係る量子カスケードレーザは、基板の主面上に設けられ、量子カスケードレーザのための活性層を含む半導体メサと、基板の主面上に設けられ、基板の主面の法線方向に順に配列された第1部分及び第2部分を含む埋込領域と、半導体メサの上面に接触を成し、埋込領域上に設けられた導体領域と、を備え、第1部分は、半導体メサを埋め込み、第2部分は、開口を有し、半導体メサ及び開口は、基板の主面の法線方向に順に配列され、導体領域は、開口に位置し、第2部分の上端における開口の第1幅は、第2部分の下端における開口の第2幅より大きく、開口の幅は、第1幅から第2幅に単調に変化し、導体領域は、金属又は半導体からなる。
この量子カスケードレーザによれば、埋込領域では、第1部分の上に第2部分が設けられ、この第2部分は、埋込領域の厚みが半導体メサの高さを超えるように設けられることができる。このため、量子カスケードレーザにおいては、メサ幅の均一性が得られるように半導体メサの高さを抑えた上で、耐電圧性に必要な厚さの埋込領域を有する構造を提供できる。また、第2部分の上端における開口の第1幅は、第2部分の下端における開口の第2幅より大きく、開口の幅は、第1幅から第2幅に単調に変化するので、開口は導体領域で満たされ、この導体領域を介して良好な放熱性能を提供できる。
上記の量子カスケードレーザでは、半導体メサは、活性層の上または下に回折格子を含むことが好ましい。この量子カスケードレーザによれば、単色性に優れ単一縦モードで発振することができる。
上記の量子カスケードレーザでは、基板の主面から埋込領域の第1部分の上面までの高さが、基板の主面から半導体メサの上面までの高さとほぼ同じであってもよい。
上記の量子カスケードレーザでは、導体領域はIII−V族化合物半導体を含むことが好ましい。この量子カスケードレーザによれば、半導体メサが、III−V族化合物半導体を含む導体領域を介して、上部電極に電気的に接続される。
上記の量子カスケードレーザでは、導体領域はTi、Pt及びAuを含むことが好ましい。この量子カスケードレーザによれば、Ti、Pt及びAuを含む導体領域が、半導体メサと上部電極とを電気的に接続する。また、この導体領域は、より良好な放熱性能を提供する。
上記の量子カスケードレーザでは、埋込領域の第1部分と第2部分との間に、中間開口を有する中間部分を更に有し、中間開口の幅が、半導体メサの幅とほぼ同じであってもよい。
本発明の別の側面に係る量子カスケードレーザを製造する方法は、量子カスケードレーザのための活性層を含む半導体積層を基板の主面上に成長する工程と、半導体積層の上にマスクを形成する工程と、マスクを用いた反応性イオンエッチング法によって、半導体積層から半導体メサを形成する工程と、半導体原料ガス及びハロゲン系ガスを成長炉に供給しながら、半導体メサを埋め込む下部埋込領域を成長すると共に下部埋込領域の上に上部埋込領域を形成して、半導体メサ上に開口を有する埋込領域を主面上に成長する工程と、埋込領域を成長した後に、マスクを除去して開口に半導体メサの上面を露出させる工程と、マスクを除去した後に、半導体及び金属の少なくとも一つを含む導体領域を埋込領域の開口に形成する工程と、を備え、半導体メサを埋め込む第1部分の厚みは、半導体メサの上面までの高さとほぼ同じであり、導体領域は、半導体メサの上面に接触する。
この量子カスケードレーザを製造する方法によれば、半導体原料ガス及びハロゲン系ガスが成長炉に供給されて埋込領域を成長する。これ故に、半導体メサの上部の縁付近における異常成長を抑制しながら、半導体メサの高さよりも厚い埋込領域が成長される。さらに、開口によって、半導体メサと導体領域とが良好に電気的に結合される。
いくつかの実施形態に係る量子カスケードレーザ及び量子カスケードレーザを製造する方法を、以下に図面を参照しつつ説明する。以下の説明では、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付する。
(第1の実施の形態)
図1は、第1実施形態に係る量子カスケードレーザを概略的に示した断面図である。図1では、量子カスケードレーザとして、埋め込みヘテロ構造(BH)型の量子カスケードレーザが示される。量子カスケードレーザ1は、基板10、半導体メサ20、埋込領域30、及び導体領域40を備える。本実施形態において、導体領域40は上部クラッド41及びコンタクト層42を含む。
基板10は、III−V族化合物半導体からなり、このIII−V族化合物半導体は、例えばInP、GaAs、GaSb、及びInSbなどであることができる。基板10には、n型ドーパントとしてSnなどがドープされている。基板10の厚みは、例えば100μmである。第1実施形態の半導体メサ20は、メサ上面20Aを有し、また、基板10の一部10Pを含むことができる。半導体メサ20では、量子カスケードレーザのための活性層12と、クラッド層13とが、半導体メサ20の高さ20H(基板10の一部10Pの上に順に配列される。基板10の上面10Aから半導体メサ20のメサ上面20Aまでの距離)は、例えば2μm〜4μmである。本実施例では、半導体メサ20の高さ20Hは、4μmである。半導体メサ20のメサ幅20Wは、例えば3μm〜10μmである。半導体メサ20は、例えば基板10のIII−V族半導体の<011>方向に沿って延在する。半導体メサ20は、基板10の主面上に設けられ、この主面は、例えば(100)面を有する。
量子カスケードレーザ1では、半導体メサ20が、埋込領域30によって埋め込まれている。埋込領域30の表面は、上面30A、第1斜面30C、及び第2斜面30Dによって構成される。第1斜面30C及び第2斜面30Dは、上面30Aに対して傾斜している。埋込領域30の厚み30H(基板10の上面10Aから埋込領域30の上面30Aまでの距離)は、半導体メサ20の高さ20Hに比べて高く、例えば5μm〜10μmである。本実施例では、埋込領域30の厚み30Hは、8μmである。埋込領域30の上面30Aには、例えば(100)面が現れる。埋込領域30は、第1斜面30C及び第2斜面30Dに、例えば(1−11B)面が現れる。埋込領域30は、基板10の主面の法線方向に順に配列された第1部分31、第2部分32、及び中間部分33を有する。第1部分31は、基板10の主面に至る第1開口34を有し、第2部分32は、第1開口34に繋がる第2開口(開口)35を有している。中間部分33は、第1部分31と第2部分32との間に位置し、中間開口36を有する。第1開口34は、中間開口36を介して、第2開口35に接続している。中間開口36は、前記第1開口34の幅(半導体メサ20の上面の幅)とほぼ同じ幅を有することができる。半導体メサ20は、第1開口34に位置し、導体領域40の上部クラッド41は、第2開口35に位置する。第1開口34、中間開口36、及び第2開口35は、基板10の主面の法線方向Nxに延在する。
第2開口35の上端35Aにおける第1幅W1は、第2開口35の下端35Bにおける第2幅W2より大きく、第2開口35の幅は、第1幅W1から第2幅W2に単調に変化している。本実施例では、第2開口35は、主面の法線方向Nxに徐々に拡大している。第1斜面30C及び第2斜面30Dは、第2開口35を規定するように導波路方向に延在する。第2開口35の幅は、半導体メサ20の延在方向Ax1と基板10の主面の法線方向Nxとに直交する方向に規定される。
第1実施形態の量子カスケードレーザ1によれば、埋込領域30では、第1部分31の上に第2部分32が設けられ、この第2部分32は、埋込領域30の厚みが半導体メサ20の高さ20Hを超えるように設けられることができる。このため、量子カスケードレーザ1においては、メサ幅20Wの均一性が得られるように半導体メサ20の高さ20Hを抑えた上で、耐電圧性に必要な厚さの埋込領域30を有する構造を提供できる。また、第2開口35の上端35Aにおける第1幅W1は、第2開口35の下端35Bにおける第2幅W2より大きく、第2開口35の幅は、第1幅W1から第2幅W2に単調に変化するので、第2開口35は導体領域40で満たされ、この導体領域40を介して良好な放熱性能を提供できる。
埋込領域30は、例えば、半絶縁性III−V族化合物からなり、より具体的には、例えば半絶縁性のInPなどからなることができる。半絶縁性のInPは、例えばFeといったドーパントを含み、このFeドーピングのための原料には、例えばフェロセンが用いられる。InPの原料としては、例えば、III族原料のトリメチルインジウム、及びV族原料のホスフィンなどが用いられる。
半導体メサ20において、活性層12は、超格子構造を有し、超格子構造は、例えばInGaAsとAlInAsとを含む。活性層12は、例えば発光部と注入部とからなる数100層の積層構造を有している。活性層12の厚みは、例えば2μmである。クラッド層13は、III−V族化合物半導体からなり、例えばInPを備える。クラッド層13は、例えばSiといったドーパントを備え、n型のInPからなることができる。クラッド層13の厚みは、例えば500nmである。基板10の一部10Pの厚みは、例えば500nmである。
クラッド層13及び埋込領域30の上には、導体領域40の上部クラッド41が設けられる。導体領域40は、第2開口35において、導波路方向に延在する。上部クラッド41は、例えば、III−V族化合物半導体からなる。上部クラッド41は、例えばSiといったドーパントを備え、n型のInPからなることができる。上部クラッド41の厚みのうち、上部クラッド41の上面41Aから埋込領域30の上面30Aまでの厚み41Dは、例えば1μmである。また、上部クラッド41の上面41Aから半導体メサ20のメサ上面20Aまでの厚み41Hは、例えば2μm〜7μmである。上部クラッド41は、第2開口35に収容される。また、本実施例では、上部クラッド41の上に、導体領域40のコンタクト層42が設けられる。コンタクト層42は、例えば、III−V族化合物半導体からなり、例えばInGaAsを備える。コンタクト層42は、例えばSiといったドーパントを備え、n型のInGaAsからなることができる。コンタクト層42の厚みは、例えば500nmである。
コンタクト層42の上には、パッシベーション膜43が設けられている。パッシベーション膜43は、例えばSiN又はSiONといったSi系無機絶縁層などからなる。パッシベーション膜43の厚みは、例えば300nmである。パッシベーション膜43には、開口部44が設けられている。開口部44は、半導体メサ20の上に位置する。
量子カスケードレーザ1には、上部電極45が形成されている。上部電極45は、例えば金属膜からなり、また、この金属膜は、例えばTi、Pt及びAuからなる積層構造を有する。上部電極45の上面45Aからパッシベーション膜43の上面42Aまでの厚み45Dは、例えば5μmである。上部電極45は、パッド電極45Eを有する。量子カスケードレーザ1では、基板10の裏面10Bに、下部電極46が設けられている。下部電極46は、例えばAuGeNi、Ti及びAuからなる。下部電極46は、例えば蒸着法で形成されることができる。下部電極46の厚みは、例えば1μmである。
図2は、第1実施形態に係る量子カスケードレーザを製造する方法を示す流れ図である。図3及び図4は、図2に示す方法M1の主要な工程における生産物を示す断面図である。引き続いて、量子カスケードレーザとして、図1に示された量子カスケードレーザ1の製造を説明する。この説明において、理解を容易にするために、可能な場合には、図1に示された量子カスケードレーザ1の構成物の参照符号を用いる。
初めに、例えばInPウェハを基板10として用意する。工程S1では、基板10上に半導体積層11の成長が行われる。図3の(a)部に示されるように、工程S1では、基板10の面方位(100)の主面上に、半導体積層11がエピタキシャル成長される。この成長において、工程S1aでは、基板10の主面上に活性層12が成長される。引き続く説明において、半導体層の結晶成長には、例えば分子線エピタキシー(MBE)法又は有機金属気相成長(MOCVD)法などが適用できる。工程S1bでは、活性層12の上に、クラッド層13が成長される。工程S1cでは、クラッド層13の上に、キャップ層14が成長される。キャップ層14は、例えばSiがドープされたn型のInGaAsを含む。キャップ層14の厚みは、例えば10nmである。本実施例では、活性層12、クラッド層13、及びキャップ層14が、半導体積層11を構成する。
工程S2では、図3の(b)部に示されるように、半導体積層11上に半導体メサ20の形成のためのマスク21が形成される。マスク21は、例えばSi系無機絶縁層を備え、より具体的には、例えばSiN膜、SiON、及びSiOなどからなる。本実施例では、マスク21にはSiN膜が用いられ、このSiN膜は、例えばプラズマCVD法によって形成される。SiN膜の厚みは、例えば500nmである。
図5は、基板上の半導体積層の主面上に形成されたマスクの形状を示す図である。図中、X方向は<011>軸を表し、Y方向は<0−1−1>軸を表す。マスク21は、例えばストライプ状パターン21Pを有する。このストライプ状パターン21Pは、例えば、フォトリソグラフィ法などによって転写されて、例えば基板10の面方位(0−1−1)に垂直なX方向に延在する。ストライプ状パターン21Pは、例えば、5μmのライン幅21Wを有する。
工程S3では、図3の(c)部に示されるように、例えば誘導結合型反応性イオンエッチング(ICP−RIE)装置を用いたエッチングによって、半導体積層11をエッチングして半導体メサ20を形成する。エッチングのためのエッチングガスとしては、例えばCl,SiCl,HI,HCl,BClなどのハロゲンガスが用いられる。半導体メサ20の形成においては、半導体積層11だけでなく、基板10の上面10Aもエッチングされるので、半導体メサ20は、基板10の一部、活性層12、クラッド層13、及びキャップ層14を有する。
工程S4では、図3の(d)部に示されるように、マスク21を除去することなく、埋込領域30が成長される。この埋込成長では、半導体原料ガスに加えて例えばハロゲン系ガスを成長炉に供給して埋込領域30を成長する。このハロゲン系ガスとしては、例えばCl及びHCl,CBrなどが用いられることができる。ハロゲン系ガスを添加しながらInPの埋込結晶成長を行うと、半導体メサ20のメサ上面20A上のマスク21上に開口を形成しながら半導体メサ20の高さより厚い埋込領域30を形成できる。また、ハロゲン系ガスの添加により、半導体メサ20の第1側面20C及び第2側面20Dに係る結晶成長において異常成長が抑制されて、マスク21上の開口と、埋込領域30の上面30Aに平坦な(100)面とを形成できる。また、ハロゲン系ガスの添加によって、マスク21の上にデポジションが形成されることなく、埋込領域30が、半導体メサ20の高さを超えて成長することが可能となる。ハロゲン系ガスの添加は、第1部分31を成長する時から始めてもよく、また、第1部分31の上に中間部分33成長する時、或いは、中間部分33を成長する時から始めてもよい。
図6は、ハロゲン系ガスを添加しないで半導体メサを埋め込むように成長された埋込領域の断面を模式的に示す図である。ハロゲン系ガスが添加されないと、マスク21の上部にも埋込領域30Yが成長して、マスク21の上面が覆われる。この形状によれば、埋込領域30の厚みも半導体メサ20の高さを超えられない。実効的な埋込領域30Yの厚みは、例えば、半導体メサ20の高さと同程度である。
工程S5では、図3の(e)部に示されるように、埋込領域30の成長の後に、マスク21及びキャップ層14が除去される。本実施例では、マスク21が、例えばフッ酸によって除去され、キャップ層14が、例えば、りん酸と過酸化水素水との混合液によって除去される。
工程S6では、図3の(f)部に示されるように、導体領域40が成長される。クラッド層13及び埋込領域30の上に上部クラッド41が導体領域40として成長され、続いて、上部クラッド41の上にコンタクト層42が成長される。コンタクト層42は、例えばInGaAsなどであることができる。
工程S7では、図4の(a)部に示されるように、パッシベーション膜43が形成される。パッシベーション膜43は、例えばプラズマCVD法などを用いて、コンタクト層42の上に形成される。
工程S8では、図4の(b)部に示されるように、パッシベーション膜43に開口部44が形成される。開口部44は、半導体メサ20の上に位置する。例えばフォトリソグラフィ法を用いて形成されたマスクを用いて、パッシベーション膜43に開口部44が、例えばフッ酸溶液でのエッチングにより形成される。
工程S9では、図4の(c)部に示されるように、開口部44が形成された後に、開口部44に上部電極45が形成される。上部電極45は、パッシベーション膜43の上にリフトオフにより形成される。具体的には、上部電極45のため金属膜が、例えば蒸着法により形成される。フォトリソグラフィ法によってパターンを有するリフトオフマスクが作製された後、マスクを除去すると、パッド電極45Eが形成される。
工程S10では、図4の(d)部に示されるように、基板10の裏面10Bが研磨される。研磨後の基板10の厚みは、例えば100μmである。研磨後の裏面10Bには、下部電極46が、例えば蒸着法によって形成され、これらの工程により、基板生成物が形成される。次いで、例えばヘキ開によって基板生成物が分離されて、レーザチップが形成される。工程S10によって、量子カスケードレーザ1が完成する。
図7は、埋込領域の耐電圧と埋込領域の厚みとの関係を示す図である。埋込領域30は、FeドープInPからなる。このInPのドーパントの濃度は、1×1016cm−3である。図7では、埋込領域30の耐電圧は、埋込領域30の厚み30Hとともに増大し、例えば、厚み30Hが5μmのときには、埋込領域30は、約200Vの耐電圧性を有する。また、例えば、厚み30Hが8μmのときには、埋込領域30は、約450Vの耐電圧性を有する。
本実施形態では、半導体メサ20が例えば4μmの低い高さを有する一方で、埋込領域30は、半導体メサ20の高さ20Hと独立して、例えば8μm又はそれ以上の厚みであることができる。半導体メサ20の高さ20Hが4μm程度であるとき、ウェハ面内に配列される多数の半導体メサ20における高さ20Hのエッチングばらつきは、例えば0.2μm以内である。一方、埋込領域30の厚み30Hは、半導体メサ20の高さ20Hより大きな値、例えば8μm又はそれ以上であるので、所望の耐電圧性を有する。さらに、埋込領域30の上面30Aには、InPの(100)面が現れるので、埋込領域30の上面30Aは、実質的に平坦であり、厚さの点だけでなく、この平坦さによっても、埋込領域30では電界の集中が低減されて絶縁破壊電圧が高くなる。
第1実施形態の量子カスケードレーザを製造する方法M1によれば、半導体原料ガス及びハロゲン系ガスが成長炉に供給されて埋込領域30を成長する。これ故に、半導体メサ20の上部の縁付近における異常成長を抑制しながら、半導体メサ20の高さよりも厚い埋込領域30が成長される。さらに、第2開口35によって、半導体メサ20と導体領域40とが良好に電気的に結合される。
(第2の実施の形態)
図8は、第2実施形態に係る量子カスケードレーザを概略的に示した断面図である。図8を参照すると、第1実施形態とは上部電極の形状の点において異なるBH型の量子カスケードレーザ2が示される。量子カスケードレーザ2は、基板10及び半導体メサ20を備える。基板10は、例えばSn添加の(100)主面を有するInPからなる。半導体メサ20は、基板10の主面上に設けられる。基板10の厚みは、例えば100μmである。第2実施形態の半導体メサ20は、その最下部に基板10の一部10Pを含み、この基板10の一部10Pの上に、活性層12、クラッド層13、及びキャップ層14を有する。半導体メサ20の高さ20Hは、例えば2μm〜4μmである。半導体メサ20のメサ幅20Wは、例えば3μm〜10μmである。半導体メサ20は、例えば基板10の面方位(0−1−1)に垂直な<011>方向に沿って設けられている。
半導体メサ20は、第1実施形態と同様に、埋込領域30によって埋め込まれる。第1実施形態と同様に、埋込領域30の厚み30Hは、半導体メサ20の高さ20Hに比べて高くなっており、埋込領域30の上面30Aには、例えば(100)面が現れる。また、埋込領域30の第1斜面30C及び第2斜面30Dに、例えば(11−1)B面が現れる。埋込領域30は、基板10の主面の法線方向に順に配列された第1部分31及び第2部分32を有する。第2実施形態では、第1実施形態と異なり、キャップ層14、埋込領域30の平坦な上面30A、第1斜面30C及び第2斜面30Dの上に、パッシベーション膜43Lが設けられる。パッシベーション膜43Lは、例えばSiN又はSiONといったSi系無機絶縁層などからなる。パッシベーション膜43Lの厚みは、例えば300nmである。
パッシベーション膜43Lには、半導体メサ20の上に開口部44Lが設けられ、パッシベーション膜43L及び開口部44Lを通してキャップ層14の上に、導体領域40としての上部電極45Lが設けられる。上部電極45Lは、例えば蒸着法により形成される金属膜を含み、例えばTi、Pt及びAuからなる積層構造を有する。第2実施形態の上部電極45Lの厚みのうち、上部電極45の上面45Aからキャップ層14までの厚み45Hは、例えば8μm〜11μmである。第2実施形態の上部電極45Lの厚みのうち、上部電極45の上面45Aからパッシベーション膜43Lの上面42Aまでの厚み45Dは、例えば5μmである。厚み45Hは、厚み45Dよりも大きな値を有する。上部電極45Lには、パッド電極45Eが形成される。基板10の裏面10Bに、例えばAuGeNi、Ti及びAuからなる下部電極46が設けられている。下部電極46は、例えば蒸着膜であることができる。下部電極46の厚みは、例えば1μmである。
図9は、第2実施形態に係る量子カスケードレーザを製造する方法を示す流れ図である。図10は、図9に示す方法M2の主要な工程における生産物を示す断面図である。量子カスケードレーザとして、別タイプの量子カスケードレーザ2が製造される。
第2実施形態では、初めに第1実施形態と同様の工程S1〜S4に従って、図3の(d)部までの生産物が得られる。続いて、第2実施形態では、工程S25において、図10の(a)部に示されるように、工程S4における埋込領域30の成長の後に、マスク21が、例えばフッ酸によって除去される。第2実施形態では、キャップ層14は除去されない。
工程S26では、図10の(b)部に示されるように、パッシベーション膜43Lが形成される。パッシベーション膜43Lは、例えばプラズマCVD法などを用いて、キャップ層14及び埋込領域30の上に形成される。
工程S27では、図10の(c)部に示されるように、パッシベーション膜43Lに開口部44Lが形成される。開口部44Lは、半導体メサ20の上に位置する。工程S27では、開口部44L用のマスクが、例えばフォトリソグラフィ法を用いて形成される。次に、マスクを用いたエッチングとフッ酸溶液でのエッチングとによって、開口部44L用のパターンに従って開口部44Lの形状が形成される。
工程S28では、図10の(d)部に示されるように、開口部44Lが形成された後に、導体領域40の上部電極45Lが形成される。具体的には、パッシベーション膜43L及びキャップ層14の上に、上部電極45Lがリフトオフにより形成される。上部電極45L上には、パッド電極45Eが形成される。
工程S29では、図10の(e)部に示されるように、基板10の裏面10Bの研磨、下部電極46の形成、及びヘキ開などによる分離を行って、レーザチップが形成される。これらの工程によって、量子カスケードレーザ2が完成する。
第2実施形態の量子カスケードレーザ2では、第1実施形態の量子カスケードレーザ1と同様に、埋込領域30の厚み30Hが大きいので、量子カスケードレーザ2は高耐電圧を有する。加えて、第2実施形態の上部電極45Lが半導体メサ20に接触するので、量子カスケードレーザ2は放熱性により優れる。また、量子カスケードレーザ2では、上部電極45Lに設けられたパッド電極45Eが、垂直面ではなく順テーパ面へ電極を引き回すので、より断線し難くなっている。
(第3の実施の形態)
図11は、第3実施形態に係る量子カスケードレーザを概略的に示した断面図である。図11では、量子カスケードレーザとして、BH型の分布帰還型(DFB)量子カスケードレーザ3が示される。DFB量子カスケードレーザ3は、基板10及び半導体メサ20を備える。DFB量子カスケードレーザ3は、半導体メサ20内において、活性層12の上に、回折格子層15及び平坦化のための半導体層16を有する。半導体メサ20の高さ20Hは、例えば3μm〜4μmである。半導体メサ20のメサ幅20Wは、例えば3μm〜10μmである。半導体メサ20は、例えば基板10の半導体の<011>方向に沿って設けられている。
回折格子層15は、回折格子構造を有する。回折格子層15は、例えばIII−V族化合物半導体からなり、具体的には、例えばInGaAs又はInGaAsPなどを備える。回折格子層15は、例えばSiといったドーパントを備えることができ、n型のInGaAs又はInGaAsPからなることができる。回折格子層15の厚みは、例えば500nmである。
回折格子15Gは、平坦化のための半導体層16によって埋め込まれる。半導体層16は、例えばInPなどのIII−V族化合物半導体からなり、また、例えばSiといったドーパントを備え、より具体的にはn型のInPなどからなる。半導体層16の厚み16Hは、例えば500nmである。
DFB量子カスケードレーザ3の半導体メサ20は、第1実施形態と同様に、埋込領域30によって埋め込まれる。第1実施形態と同様に、埋込領域30の厚み30Hは、半導体メサ20の高さ20Hに比べて高くなっており、埋込領域30の上面30Aには、例えば(100)面が現れる。また、埋込領域30の第1斜面30C及び第2斜面30Dに、例えば(100)B面が現れる。埋込領域30は、基板10の主面の法線方向に順に配列された第1部分31及び第2部分32を有する。
半導体層16及び埋込領域30の上に導体領域40が設けられる。導体領域40は、上部クラッド41とコンタクト層42とを含む。上部クラッド41は、例えばn型のInPからなることができる。上部クラッド41の厚みのうち、上部クラッド41の上面40Aから埋込領域30の上面30Aまでの厚み40Dは、例えば1μmである。また、上部クラッド41の上面40Aから半導体メサ20のメサ上面20Aまでの厚み41Hは、例えば2μm〜7μmである。コンタクト層42は、例えば、例えばSiといったドーパントを備え、n型のInGaAsからなることができる。コンタクト層42の厚みは、例えば500nmである。コンタクト層42の上には、パッシベーション膜43が設けられる。パッシベーション膜43は、例えばSiN又はSiONといったSi系無機絶縁層などからなる。パッシベーション膜43の厚みは、例えば300nmである。
パッシベーション膜43には、半導体メサ20の上に開口部44が設けられ、パッシベーション膜43及び開口部44を通してキャップ層14の上に、上部電極45が設けられる。上部電極45は、例えば蒸着法により形成される金属膜を含み、例えばTi、Pt及びAuからなる積層構造を有する。上部電極45には、パッド電極45Eが形成される。基板10の裏面10Bに、例えばAuGeNi、Ti及びAuからなる下部電極46が設けられている。下部電極46は、例えば蒸着膜であることができる。下部電極46の厚みは、例えば1μmである。第3実施形態のDFB量子カスケードレーザ3では、メサ高さよりも絶縁体である埋め込み層の厚みを厚くすることができるので、埋込領域30における絶縁性能の変動がより低減されている。第3実施形態の上部電極45の上面45Aからパッシベーション膜43の上面42Aまでの厚み45Dは、例えば5μmである。第3実施形態の半導体メサ20は、第1実施形態の半導体メサ20に適用することができる。
図12は、第3実施形態に係る量子カスケードレーザを製造する方法を示す流れ図である。図13は、図12に示す方法M3の主要な工程における生産物を示す断面図を示す断面図である。図13には、XYZ座標系が描かれており、XYZ座標系によって生産物の向きが示される。第3実施形態では、量子カスケードレーザとして、DFB量子カスケードレーザ3が製造される。
第3実施形態の方法M3の工程S31では、半導体積層11の成長が行われる。図13の(a)部に示されるように、工程S31aでは、基板10の面方位(100)の主面上に、活性層12が成長される。活性層12の上に、回折格子のための半導体層17が成長される。回折格子のための半導体層17は、III−V族化合物半導体からなり、例えばInGaAs又はInGaAsPを備える。回折格子のための半導体層17は、例えばSiといったドーパントを備え、n型のInGaAs又はInGaAsPであることができる。回折格子のための半導体層17の厚みは、例えば500nmである。
工程S31bでは、図13の(b)部に示されるように、回折格子のための半導体層17上に回折格子形成のための回折格子マスク18が形成される。回折格子マスク18は、例えばSi系無機絶縁層を備え、より具体的には、例えばSiN膜、SiO、及びSiONなどからなる。例えば、SiN膜はプラズマCVD法によって形成される。SiN膜の厚みは、例えば100nmである。回折格子マスク18は、例えばフォトリソグラフィ法などによって転写された回折格子パターン(回折格子15Gのためのパターン)を有する。回折格子パターンは、例えば基板10の面方位(0−1−1)に平行な方向に回折格子15Gが延在するように形成される。また、回折格子パターン16Pは、例えば、ライン幅15Wが3μm〜10μmのラインアンドスペースパターンであることができる。
工程S31cでは、図13の(c)部に示されるように、回折格子15Gが形成される。ICP−RIE装置内に、例えばハロゲンガスといったエッチングガスが供給されて、エッチングにより、回折格子のための半導体層17に回折格子15Gが形成される。回折格子15Gの高さ15Hは、例えば、50〜400nmである。
工程S31dでは、図13の(d)部に示されるように、回折格子15Gを埋め込むように半導体層16が成長される。工程S31dでは、更に、半導体層16の上に、キャップ層14が成長される。キャップ層14は、例えば、III−V族化合物半導体からなり、具体的には、InGaAsなどを備える。キャップ層14は、例えばSiといったドーパントを備え、n型のInGaAsなどからなることができる。キャップ層14の厚みは、例えば10nmである。
第3実施形態の作製方法では、工程S31の後に、第1実施形態において図2に示される方法M1の工程S2以降と同様の作製工程を、DFB量子カスケードレーザ3の製造に適用できる。工程S10では、ヘキ開などによって基板生成物が分離されて、レーザチップが形成される。これらの工程の後に、図13の(e)部に示されるように、DFB量子カスケードレーザ3が完成する。
第3実施形態のDFB量子カスケードレーザ3は、回折格子15Gを備えているので、単色性に優れ単一縦モードで発振することができる。なお、本実施形態では、回折格子15Gが、活性層12の上に形成されるが、活性層の下に形成されてもよい。
図14は、第1実施形態に係る量子カスケードレーザとともに、比較例に係る量子カスケードレーザを概略的に示した断面図である。図14の(a)部は、比較例に係る量子カスケードレーザの断面を示し、図14の(b)部は、第1実施形態に係る量子カスケードレーザの断面を示す。図14の(a)部には、量子カスケードレーザとして、高抵抗埋め込み(SIBH)型の量子カスケードレーザ4が示される。量子カスケードレーザ4は、SnがドープされたInPからなる基板10と、その基板10の面方位(100)の主面上に半導体メサ20Mとを備える。基板10の厚みは、約100μmである。比較例の半導体メサ20は、その最下部に基板10の一部10Pを含み、この基板10の一部10Pの上に、活性層12M、クラッド層13M、及びキャップ層14Mを有する。基板10の一部10Pの厚みは、約500nmである。半導体メサ20Mの高さ20Hは、約7μmである。半導体メサ20Mのメサ幅20Wは、約5μmである。半導体メサ20Mは、基板10の面方位(0−1−1)に垂直な<011>方向に沿って設けられている。
量子カスケードレーザ4は、埋込領域30Mを備え、半導体メサ20Mが、埋込領域30Mによって埋め込まれている。埋込領域30Mの厚み30Hは、半導体メサ20Mの高さ20Hとほぼ等しく、約7μmである。埋込領域30Mは、半絶縁性III−V族化合物層からなる。半絶縁性III−V族化合物層は、Feがドープされた半絶縁性のInPからなる。キャップ層14M及び埋込領域30Mの上には、パッシベーション膜43Mが設けられている。パッシベーション膜43の厚みは、約300nmである。パッシベーション膜43には、開口部44Mが設けられている。開口部44Mは、半導体メサ20の上に位置する。量子カスケードレーザ4には、上部電極45Mが形成されている。上部電極45Mの厚みは、約500nmである。上部電極45Mは、パッド電極45Eを有する。下部電極46Mが設けられる。下部電極46Mの厚みは、約1μmである。
本比較例では、埋込領域30の厚み30Hは、約7μm以上であるので、量子カスケードレーザの駆動時に求められる埋込領域30Mにおける高電圧耐性を有することができる。しかし、本比較例では、半導体メサ20Mの高さ20Hも埋込領域30Mの厚み30Hと同程度になるので、量子カスケードレーザを作製するためのウェハにおける多数の量子カスケードレーザの半導体チップにおいて、半導体メサ20Mの高さ20Hのウェハ内のばらつきが、約0.5μm以上となる。このため、作製される量子カスケードレーザにおける絶縁性能の変動が大きくなり、半導体チップの歩留まりが低下する。
実施形態の量子カスケードレーザ1,2及び3では、半導体メサ20の高さ20Hを埋込領域30の厚み30Hよりも低くする。埋込領域30は、半導体メサ20を埋め込む第1部分31と、半導体メサ20のメサ上面20A上に位置する第2開口35を有する第2部分32とを含む。第2部分32の第2開口35は、基板10から導体領域40への方向に広がる幅を有する部分を備える。第2開口35は、導体領域で満たされ、この導体領域を介して良好な放熱性能を提供できる。
以上、好適な実施の形態において本発明の原理を図示し説明してきたが、本発明は、そのような原理から逸脱することなく配置及び詳細において変更され得ることは、当業者によって認識される。本発明は、本実施の形態に開示された特定の構成に限定されるものではない。したがって、特許請求の範囲及びその精神の範囲から来る全ての修正及び変更に権利を請求する。
本実施形態によれば、半導体メサの高さを低くできるとともに、埋込領域の厚みを増大できる構造を有する量子カスケードレーザを提供できる。また、この量子カスケードレーザを製造する方法を提供できる。
1…量子カスケードレーザ、10…基板、11…半導体積層、12…活性層、13…クラッド層、20…半導体メサ、20A…メサ上面(半導体メサの上面)、30…埋込領域、31…第1部分、32…第2部分、34…第1開口、35…第2開口(開口)、35A…上端、35B…下端、40…導体領域、W1…第1幅、W2…第2幅。

Claims (7)

  1. 量子カスケードレーザであって、
    基板の主面上に設けられ、前記量子カスケードレーザのための活性層を含む半導体メサと、
    前記基板の前記主面上に設けられ、前記基板の前記主面の法線方向に順に配列された第1部分及び第2部分を含む埋込領域と、
    前記半導体メサの上面に接触を成し、前記埋込領域上に設けられた導体領域と、
    を備え、
    前記第1部分は、前記半導体メサを埋め込み、
    前記第2部分は、開口を有し、
    前記半導体メサ及び前記開口は、前記基板の前記主面の法線方向に順に配列され、
    前記導体領域は、前記開口に位置し、
    前記第2部分の上端における前記開口の第1幅は、前記第2部分の下端における前記開口の第2幅より大きく、
    前記開口の幅は、前記第1幅から前記第2幅に単調に変化し、
    前記導体領域は、金属又は半導体からなる、量子カスケードレーザ。
  2. 前記半導体メサは、前記活性層の上または下に回折格子を含む、請求項1に記載の量子カスケードレーザ。
  3. 前記基板の前記主面から前記埋込領域の前記第1部分の上面までの高さが、前記基板の前記主面から前記半導体メサの前記上面までの高さとほぼ同じである、請求項1又は請求項2に記載の量子カスケードレーザ。
  4. 前記導体領域は、III−V族化合物半導体を含む、請求項1又は請求項2に記載の量子カスケードレーザ。
  5. 前記導体領域は、Ti、Pt及びAuの少なくとも一つを含む、請求項1又は請求項2に記載の量子カスケードレーザ。
  6. 前記埋込領域の前記第1部分と前記第2部分との間に、中間開口を有する中間部分を更に有し、
    前記中間開口の幅は、前記半導体メサの幅とほぼ同じである、請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載された量子カスケードレーザ。
  7. 量子カスケードレーザを製造する方法であって、
    前記量子カスケードレーザのための活性層を含む半導体積層を基板の主面上に成長する工程と、
    前記半導体積層の上にマスクを形成する工程と、
    前記マスクを用いた反応性イオンエッチング法によって、前記半導体積層から半導体メサを形成する工程と、
    半導体原料ガス及びハロゲン系ガスを成長炉に供給しながら、前記半導体メサを埋め込む第1部分を成長すると共に前記第1部分の上に第2部分を成長して、前記半導体メサ上に開口を有する埋込領域を前記主面上に形成する工程と、
    前記埋込領域を成長した後に、前記マスクを除去して前記開口に半導体メサの上面を露出させる工程と、
    前記マスクを除去した後に、半導体及び金属の少なくとも一つを含む導体領域を前記埋込領域の開口に形成する工程と、
    を備え、
    前記半導体メサを埋め込む前記第1部分の厚みは、前記半導体メサの上面までの高さとほぼ同じであり、
    前記導体領域は、前記半導体メサの前記上面に接触する、量子カスケードレーザを製造する方法。
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