JP2012015416A - 半導体光素子を製造する方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】Al系III−V化合物半導体層を含む活性層を低いダメージで形成することを可能な、半導体光素子を製造する方法を提供する。
【解決手段】シリコン酸化物層からなるハードマスク29を用いて、半導体領域10から半導体メサ20を形成する。半導体領域10の加工のために、半導体領域10に第1及び第2のエッチングを施す。第1のエッチングでは、炭化水素系エッチャントを含む雰囲気におけるエッチングと酸素を含む雰囲気におけるアッシングとの組み合わせで、該エッチングで形成された活性層側面に保護層を堆積させる。保護層は、カーボンおよびシリコン酸化物を含むので、カーボン系物質からなる堆積物に比べて堅い。第2のエッチングでは、第1導電型クラッド層22の形成に適切な加工条件で第1導電型半導体層12を加工できる。活性層側面はその上に第1のエッチングで形成された保護層で保護されるので、第2のエッチング中における活性層24へのダメージは低減される。
【選択図】図5

Description

本発明は、半導体光素子を製造する方法に関する。
特許文献1には、埋め込み型の半導体レーザの作製方法が記載されている。この方法では、InGaAsP活性層及びその隣接層をウェットエッチングして、幅1μm程度の狭メサストライプを形成する。このメサストライプの両側面を電流ブロック層で埋め込み電流狭窄構造を形成する。
特開平08−250808号公報
特許文献1では、InGaAsP活性層を含む埋め込み型半導体レーザを作製する。この埋め込み型半導体レーザを作製する際、活性層を含む半導体メサを、半導体層のエッチングにより作製する。当該半導体層のエッチングには、RIE等のドライエッチング法を用いることができる。活性層が、Al系III−V化合物半導体からなる半導体層を含むとき、InGaAsPのエッチングと異なり、Al系III−V化合物半導体のエッチングのためには、エッチング時の高周波電力パワーをハイパワーにする必要があり、このため活性層にダメージを与えることになる。
これは以下の理由による:Al系III−V化合物半導体、例えばAlGaInAsにおいてAl−Asの結合エネルギーが高いので、このようなAl系III−V化合物半導体をドライエッチングする際にはInP/InGaAsPのエッチングよりも高いエネルギーが必要になり、この結果、半導体層に例えば結晶欠陥といったエッチングダメージが残る。
エッチングダメージを避けるために、以下の試みがある:Al系III−V化合物半導体層だけを高バイアスパワーでエッチングすると共にその後に例えばInP層といった下地の半導体層を低バイアスパワーでエッチングする。
ところが、Al系III−V化合物半導体層の側面が下地層のエッチング中に低バイアスパワーエッチングに晒されることになり、このエッチング中にAl系III−V化合物半導体層の側面にAl系堆積物が生じ、このAl系堆積物は、後の埋め込み工程において埋め込み不良などの原因となる可能性がある。
本発明は、このような事情を鑑みて為されたものであり、Al系III−V化合物半導体層を含む活性層を低いダメージで形成することを可能な、半導体レーザ素子を製造する方法を提供することを目的とする。
本発明の一側面に係る発明は、半導体光素子を製造する方法である。この方法は、(a)第1導電型クラッド層のためのIII−V化合物半導体層、III構成元素としてアルミニウム、及びV族元素としてヒ素を含み活性層のためのIII−V化合物半導体層、及び第2導電型クラッド層のためのIII−V化合物半導体層を順に基板上に成長して、該基板上に半導体領域を成長する工程と、(b)シリコン酸化物層からなるハードマスクを前記半導体領域上に形成する工程と、(c)真空容器内に前記ハードマスクが形成された基板を導入し、前記ハードマスクを用いて前記半導体領域の前記第2導電型クラッド層及び前記活性層をドライエッチングにより、半導体メサを形成する工程と、(d)前記ハードマスクを用いて、前記半導体メサの側面上に埋め込み層を成長する工程とを備える。前記半導体メサを形成する工程では、前記第2導電型クラッド層の側面及び前記活性層の側面を形成する第1のエッチング工程と、前記第1導電型クラッド層の側面を形成する第2のエッチング工程とを含み、前記第1のエッチング工程では、炭化水素系エッチングガスを含むプラズマ雰囲気におけるエッチングと、当該基板側に所定のバイアスパワーを印加しながら酸素を含むプラズマ雰囲気におけるアッシングとを行い、露出した前記活性層の前記側面にカーボンおよびシリコン酸化物を含む保護層を形成し、その後第2のエッチング工程を行う。
この製造方法によれば、半導体領域に半導体メサを形成するために、半導体領域を加工するための第1及び第2のエッチング工程を含む。半導体領域の加工の前半部分のための第1のエッチング工程における条件は、半導体領域の加工の後半部分のための第2のエッチング工程における条件とは異なるものである。第1のエッチング工程では、該エッチングで形成された活性層側面を形成すると共に、この露出した側面にカーボンおよびシリコン酸化物を含む保護層を形成する。当該保護層の形成は、炭化水素系エッチングガスを含むプラズマ雰囲気におけるエッチングと基板側に所定のバイアスパワーを印加しながら酸素を含むプラズマ雰囲気におけるアッシングとの組み合わせで可能になる。保護層は、カーボンおよびシリコン酸化物を含み、シリコン酸化物を含まない場合に比べて堅く、高パワーのエッチングに対して充分に保護膜として機能する。第1のエッチング工程後に行われる第2のエッチング工程では、第1導電型クラッド層の加工に適切な加工条件で第1導電型クラッド層を形成する。活性層側面はその上に第1のエッチング工程で形成された保護層で保護されるので、第2のエッチング工程中における活性層へのダメージは低減される。
また、本発明の一側面に係る方法では、前記第1のエッチングの前記エッチングにおいて、前記ハードマスクが形成された前記半導体領域のサイドエッチングにより、ハードマスクの庇を形成してもよい。
この製造方法によれば、該ハードマスクによる庇は、エッチン中にイオン及び/ラジカルがメサの側壁上の堆積物に衝突する頻度を下げるために役立つ。第1のエッチング中に側壁に形成された堆積物は、第2のエッチング中では側壁を保護する。
本発明の一側面に係る方法では、前記第2のエッチング工程は、炭化水素系エッチングガスを含むプラズマ雰囲気におけるドライエッチングと、酸素を含むプラズマ雰囲気におけるアッシングとを含み、前記第2のエッチング工程のアッシングでは、基板側に印加するバイアスパワーがゼロ、又は、前記第1のエッチング工程のアッシングにおけるバイアスパワー以下で行われる。
この製造方法によれば、第2のエッチング工程において行われるアッシングでは、基板側に印加するバイアスパワーがゼロ、又は、前記第1のエッチング工程のアッシングにおけるバイアスパワー以下の低いバイアスパワーで行われるので、エッチングによる活性層を含む半導体領域へのダメージの導入を低減することができる。合わせて、アッシングによりハードマスクのエッチングやハードマスクの形状の変化も低減することができる。
本発明の一側面に係る方法では、前記第1のエッチング工程の前記ドライエッチング、および前記第2のエッチング工程の前記ドライエッチングに用いられる前記炭化水素系エッチングガスには、炭化水素と水素とが含まれており、前記第1のエッチング工程の前記エッチングにおける炭化水素の流量F1(HC)と水素の流量F1(H)との比率(F1(HC)/F1(H))は、前記第2のエッチング工程の前記エッチングにおける炭化水素の流量F2(HC)と水素の流量F2(H)との比率(F2(HC)/F2(H))より小さいことが好ましい。
この製造方法によれば、第1のエッチング工程において炭化水素の流量F1(HC)が小さく、これ故に、エッチング雰囲気中における炭化水素ラジカルの量も小さい。これは、保護層の形成に好適な条件である。
本発明の一側面に係る方法では、前記第1のエッチング工程において、前記炭化水素はCHを含み、前記炭化水素の流量は、総流量の0.15以下であることが好ましい。
この製造方法によれば、第1のエッチング工程において、総流量F1(TOTAL)に対する炭化水素の流量F1(HC)の比(F1(HC)/F1(TOTAL))が0.15以下であるので、エッチング雰囲気中における炭化水素ラジカル(例えばCH)の量も小さい。これは、エッチングレートが小さくなり、保護層の形成に好適となる。
本発明の一側面に係る方法は、前記ハードマスクのためのシリコン酸化物層を前記半導体領域のコンタクト層上にプラズマCVD法で成長する工程を更に備えることができる。前記シリコン酸化物が、シリコン原料としてTEOSを用いた誘導性結合プラズマCVD法(ICP−CVD法)を用いて形成される。また、前記ハードマスクを構成する前記シリコン酸化物層の厚さは、500nm以上であることができる。
この製造方法によれば、前記シリコン酸化物層は半導体領域のコンタクト層上に形成される。ハイメサ構造の半導体光素子が提供される。また、シリコン酸化物層の厚さは500nm以上であるので、アッシング時にシリコン酸化物からなるハードマスクの表面がエッチングされる場合でも、充分にハードマスクとしての機能を維持できる。つまり、保護層の形成のためのシリコン酸化物の供給源としての機能と、所定のマスク形状を有するエッチングマスクとしての機能の両方の機能を提供できる。さらに、シリコン原料としてTEOSを用いたICP−CVD法でシリコン酸化物を形成するので、低応力の厚い膜の成膜が可能である。この結果、シリコン酸化物層の厚さが500nm以上の厚い膜であっても、シリコン酸化物層に割れやひび等の不具合が発生することを低減することができる。
本発明の一側面に係る方法は、前記第1および第2のエッチング工程の前記エッチングが、2高周波電源を備えた誘導性結合プラズマ(ICP)―RIE装置を用いて行われる。ICP−RIE装置では、プラズマ発生用高周波電源およびバイアス用高周波電源の2つの高周波電源を有する。プラズマ発生用高周波電源から供給された誘導結合高周波電力(ICPパワー)により、真空容器内に誘導結合高周波プラズマが発生される。さらに、真空容器内に設置された基板を載置する電極板には、バイアス用高周波電源から高周波電力(バイアスパワー)が供給される。所定のバイアスパワーを印加しながらエッチングを行うことにより、Al系活性層、例えばAlGaInAs活性層を所望のエッチングレートを維持しながらドライエッチングすることができる。
本発明の一側面に係る方法は、前記埋め込み層を成長するに先立ち、カーボンおよび前記シリコン酸化物を含む前記保護層を除去するためのエッチングを行う工程を更に備えることができる。
この製造方法によれば、カーボンおよび前記シリコン酸化物を含む前記保護層は、エッチングにより除去可能である。このため、必要な場合には、活性層側面の保護層を除去するためのエッチングを行うことができる。この除去により、その後に行われる埋め込み成長の際に、この保護層に起因する異常成長の発生を低減できる。
本発明の上記の目的および他の目的、特徴、並びに利点は、添付図面を参照して進められる本発明の好適な実施の形態の以下の詳細な記述から、より容易に明らかになる。
以上説明したように、本発明の一側面によれば、Al系III−V化合物半導体層を含む活性層を低いダメージで形成することを可能な、半導体光素子を製造する方法が提供される。
図1は、半導体レーザ素子を製造する方法における主要な工程のために工程フローを示す図面である。 図2は、半導体レーザ素子を製造する方法における工程を模式的に示す図面である。 図3は、半導体レーザ素子を製造する方法における工程を模式的に示す図面である。 図4は、半導体レーザ素子を製造する方法における工程を模式的に示す図面である。 図5は、半導体レーザ素子を製造する方法における工程を模式的に示す図面である。 図6は、アッシング時に印加するバイアスパワーとシリコン酸化物からなるハードマスクのエッチング量の関係を示す図面である。 図7は、アッシング時に印加するバイアスパワーと半導体メサ側面に形成される保護層の厚みとの関係を示す図面である。 図8は、半導体メサの発光層の側面(活性層の側面)に形成された保護層を示す図面である。 図9は、半導体レーザ素子を製造する方法における工程を模式的に示す図面である。
本発明の知見は、例示として示された添付図面を参照して以下の詳細な記述を考慮することによって容易に理解できる。引き続いて、添付図面を参照しながら、本発明の半導体光素子を製造する方法、及び半導体光素子に係る実施の形態を説明する。可能な場合には、同一の部分には同一の符号を付する。
(第1の実施の形態)
本発明の第1実施形態に係る半導体光素子の一例である半導体レーザの製造方法を説明する。図1は、半導体レーザ素子を製造する方法における主要な工程のための工程フローを示す図面である。以下の工程において形成される各半導体層は、有機金属気相成長法(MOVPE)によって成長される。この成長法では、以下の原料及びドーパントが使用可能である。ガリウム原料、インジウム原料、Al原料、リン原料、及びヒ素原料として、トリメチルガリウム(TMGa)、トリメチルインジウム(TMIn)、トリメチルアルミニウム(TMAl)、フォスフィン(PH)、及びアルシン(AsH)を用いる。また、p型半導体のドーパントとしてジエチル亜鉛(DEZn)を用い、n型半導体のドーパントとしてモノシラン(SiH)を用いる。これらは、一例であって、本実施の形態における製造方法は、上記の成長法及びこれらの原料に限定されるものではない。
工程S101では、図2の(a)部に示されるように、結晶成長のための下地を提供する基板を準備する。この基板は、例えば半導体基板であることができる。一実施例では、単結晶InPを提供できる基板であり、n型InP基板が容易に入手可能である。引き続く説明では、InP基板11を準備すると共に、InP基板11の主面11a上に半導体積層を形成する。
成長炉100aにInP基板11を配置した後に、工程S102では、この基板11上に、半導体領域10をエピタキシャルに成長する。例えば、図2の(b)部に示されるように、複数の半導体層12〜17をn型InP基板11の主面11a上の全面に成長する。これらの工程によりエピタキシャル基板Eが作製される。エピタキシャル基板Eでは、n型InP基板11の主面11a上の全面に、以下の半導体層を順に成長する。
III−V化合物半導体からなり第1導電型クラッド層のための半導体層12。
下部光閉じ込め層のための半導体層13。
III構成元素としてアルミニウム及びV族元素としてヒ素を含むIII−V化合物半導体からなり活性層のための半導体層14。
上部光閉じ込め層のための半導体層15。
III−V化合物半導体からなり第2導電型クラッド層のための半導体層16。
コンタクト層のための半導体層17。
これらの成長は、有機金属気相成長装置といった成長炉100aを用いて行われる。これらの成長により、半導体層12〜17からなる半導体積層を含む半導体領域10がInP基板11上に形成される。
本実施形態の半導体層14は、活性層のために設けられる。活性層は例えば単一又は多重量子井戸構造を有している。多重量子井戸構造は、交互に積層されたウエル層14aとバリア層14bとを含み、例えば10層のウエル層14aと11層のバリア層14bとからなる。コンタクト層のための半導体層17は、本実施例の半導体積層部10における表面(半導体領域10の最上層)である。活性層は、III族構成元素としてアルミニウムを含むIII−V化合物半導体からなる。また、活性層のIII−V化合物半導体は、III族構成元素としてガリウム及びインジウムとV族構成元素としてヒ素とを含むことができる。活性層の材料は、例えばAlGaInAs等であることができる。下部光閉じ込め層のための半導体層13、活性層のための半導体層14及び上部光閉じ込め層のための半導体層15は発光層18を構成する。発光層18は、第1導電型クラッド層のための半導体層12と第2導電型クラッド層のための半導体層16との間に設けられる。
エピタキシャル基板Eの一例。
下部クラッドァ層のための半導体層12:SiドープInP膜、厚さ550nm、キャリア密度1.1×1018cm−3
下部光閉じ込め層のための半導体層13:アンドープAlGaInAs膜、厚さ40nm、バンドギャップ波長1000nm。
活性層のための半導体層14:AlGaInAs膜。
ウエル層14a:AlGaInAs膜、厚さ5nm、バンドギャップ波長1310nm。
バリア層14b:AlGaInAs膜、厚さ8nm、バンドギャップ波長1100nm。
なお、バリア層14bとウエル層14aとの歪みは、例えばウエル層14aに1.0%の圧縮歪である。
上部光閉じ込め層のための半導体層15:アンドープAlGaInAs膜、厚さ40nm、バンドギャップ波長1000nm。
クラッド層のための半導体層16:ZnドープInP膜、厚さ150nm、キャリア濃度1.0×1018cm−3
コンタクト層のための半導体層17:ZnドープInGaAs膜、厚さ100nm、キャリア濃度1.5×1018cm−3
必要な場合には、上部光閉じ込め層のための半導体層15とクラッド層のための半導体層16との界面に、回折格子のための周期構造を形成してもよい。この回折格子の形成は例えば以下のように行われる:半導体層12〜15をn型InP基板11上に成長する。半導体層15の表面に周期構造を形成した後、その上に半導体層16及び17を再成長(オーバーグロース)する。
工程S103では、エピタキシャル基板を成長炉から取り出した後に、図2の(c)部に示されるように、ハードマスクのためのシリコン酸化物層19を形成する。シリコン酸化物層19を半導体領域10の表面(本実施例では、コンタクト層上)の全面に形成する。一実施例では、シリコン酸化物層19としてSiO膜をプラズマCVD法により成膜する。この成膜では、Si原料としてテトラエトキシシラン(TEOS:Si(OC)を用い、酸素原料として酸素ガス(O)を用いることができる。例えば、シリコン酸化物層19を形成するために、プラズマ発生用高周波電源およびバイアス用高周波電源の2つの高周波電源を備えた誘導結合高周波プラズマ(ICP)―CVD装置を用いることができる。
シリコン酸化物層19としてのSiO膜を、ICP−CVD装置を用いて形成する方法を以下に説明する。まず、ICPプラズマCVD装置の真空容器100b内に、例えばテトラエトキシシラン(TEOS)、酸素ガス(O)等の原料ガスを供給し、真空容器100b外に設けられた高周波コイルを用いて、真空容器100b内に誘導結合高周波プラズマを発生させる。高周波コイルには、プラズマ発生用高周波電源が接続され、誘導結合高周波電力(ICPパワー)が供給される。例えば、ICPパワーとして、周波数が数十MHzで出力電力が数百W〜数千Wの高周波電力が、プラズマ発生用高周波電源が高周波コイルを介して、真空容器100b内に供給される。一方、真空容器100bには、基板を載置する電極板が設けられ、この電極板には、バイアス用高周波電源が接続される。バイアス用高周波電源は、周波数が数百kHzから数MHzであって出力電力が数十W〜数百Wの高周波電力(バイアスパワー)を出力して電極板に印加するものであり、電極板に印加される電力値に依って、形成されるSiO膜の屈折率、膜歪、緻密性および膜の耐エッチング特性等のSiO膜の特性を制御することができる。
SiO膜の成膜条件として以下のものを用いることができる。
TEOSの流量;11sccm(標準立方センチメートル毎分)。
酸素(O)の流量:300sccm。
成膜温度(真空加熱):600度。
SiO膜の厚さ:1.0μm。
この製造方法によれば、シリコン酸化物層19は半導体領域10のコンタクト層上に形成される。ハイメサ構造の半導体レーザが提供される。また、シリコン酸化物層19の厚さは500nm以上であるとき、メサ側壁への保護層の形成のためのシリコンの供給源と、エッチングマスクとの両方の機能を提供できる。さらに、シリコン原料としてTEOSを用い、2つの高周波電源を備えたICP−CVD装置を用いてシリコン酸化物層19を形成するので、低応力で、かつ厚膜のシリコン酸化物層を形成することが可能である。
ハードマスクを作製する。工程S104では、図3の(a)部に示されるように、シリコン酸化物層19上にレジストマスク21を形成する。具体的には、シリコン酸化物層19上の全面にレジストを塗布した後に、フォトリソグラフィ技術を用いてこのレジストの露光及び現像を行って、レジストマスク21を形成する。レジストマスク21は、半導体領域10の表面に沿って所定方向に延びる。この所定方向は、半導体レーザにおける光導波方向となる。図3の(a)部は、この所定方向と直交する面に沿ってとられた断面を示している。
工程S105では、図3の(b)部に示すように、レジストマスク21を用いてプラズマ・ドライエッチング装置100cでシリコン酸化物層19のエッチングを行って、ハードマスク29を形成する。プラズマ・ドライエッチング装置100cには、プラズマ発生用高周波電源とバイアス用高周波電源の2つの高周波電源を備えた誘導性結合プラズマ(ICP)−RIE装置を用いることができる。ICP−RIE装置の構成は、ICP−CVD装置とほぼ同じであるので、詳細を省略する。プラズマ・ドライエッチング装置(真空容器)100c外には、誘導結合高周波プラズマを発生させるための高周波コイルが設けられ、プラズマ発生用高周波電源から供給された誘導結合高周波電力(ICPパワー)が、真空容器100c内に供給される。一方、真空容器100c内に設置された基板を載置する電極板には、バイアス用高周波電源から高周波電力(バイアスパワー)が印加される。このエッチングにより、シリコン酸化物層19から半導体領域10の一部を覆うエッチングマスク29を形成する。本実施形態では、シリコン酸化物層19に対してフッ素系エッチャントを用いた反応性イオンエッチング(ICP−RIE)を行う。
ICP−RIEエッチングの一実施例が以下に示される。
フッ素系エッチャントガス:CHF
ドライエッチング条件の一例を以下に示す。
ガス流量:150sccm。
ガス圧力:9.5Pa。
ICPパワー:300W。
エッチングレート(SiO):約80nm/分。
バイアスパワー:50W。
工程S106では、図3の(c)部に示すようにレジストマスク21を除去装置100dで除去する。レジストマスク21は、例えばOとCFの混合ガスを用いたアッシングによって除去される。このアッシング条件の一例を以下に示す。なお、プラズマ・ドライエッチング装置100cと除去装置100dとは、同じ装置を用いて、供給ガスを切り替えるようにしてもよい。
ガス種(O):流量200sccm。
ガス種(CF):流量6sccm。
ガス圧力:10.0パスカル。
ICPパワー:300ワット。
バイアスパワー:0ワット。
アッシング時間:3分。
レジストマスク21を除去するために、アッシングに代えてレジスト剥離液を用いたウェットエッチングを行うことができる。
ハードマスク29を作製した後に、工程S107では、図4の(a)部に示されるように、半導体領域10の加工を処理装置100eで行う。この加工では、ハードマスク29を用いて、半導体領域10から半導体メサ20を形成する。本実施形態では、ハードマスク29を用いて、半導体領域10に含まれる複数の半導体層12〜17のドライエッチング及びアッシングを行う。エッチング方法としては、反応性イオンエッチング法(RIE)、より具体的にはICP−RIE法を用いる。半導体領域10の加工は、工程S108における第1のエッチングと工程S109における第2のエッチングを含む。
工程S108では、第1のエッチングを行う。第1のエッチングでは、図5の(a)部に示すように、ハードマスク29を用いて半導体領域10の第2導電型クラッド層のための半導体層16及び発光層18に加工を施す。この第1のエッチングのために、工程S105で用いたプラズマ発生用高周波電源とバイアス用高周波電源の2つの高周波電源を備えたICP−RIE装置を用いることができる。第1のエッチングでは、エッチング(工程S108−1)及びアッシング(工程S108−2)を行う。エッチング(工程S108−1)は、炭化水素系エッチャントを含むプラズマ雰囲気で行われる。アッシング(工程S108−2)は、酸素を含む雰囲気で、基板側に、バイアス用高周波電源から供給される所定のバイアスパワーを印加しながら行われる。第1のエッチングでは、エッチング(工程S108−1)及びアッシング(工程S108−2)が繰り返して行われる。工程S108では、第2導電型クラッド層のための半導体層16及び発光層18(活性層14)にそれぞれ第2導電型クラッド層の側面及び発光層の側面(活性層の側面)を形成する。第1のエッチングでは、半導体層16及び発光層18の加工を確実に行うために、第1導電型クラッド層のための半導体層12の加工を僅かに行うことがある。
工程S108では、上記でも述べたように、上記の発光層18の側面(活性層16の側面)に堆積物(保護層)が堆積される。この保護層にはカーボン及びシリコン酸化物が含まれる。この保護層に含まれるカーボンは、エッチングガスとして用いる炭化水素系エッチングガスがエッチング時に分解して生じたカーボンが半導体メサ側壁に付着したものである。一方、保護層に含まれるシリコン酸化物はアッシング時に所定のバイアスパワーを印加しながら行われることで、ハードマスク29の表面がエッチングされ、このエッチングされたシリコン酸化物が半導体メサ側壁に供給されたものである。エッチング(工程S108−1)及びアッシング(工程S108−2)を繰り返し行うことにより、半導体メサ側面への保護層の形成が促進される。
第1のエッチングの一例は以下のものである。これは、Al系半導体の活性層をエッチングでき、かつ、半導体メサを構成する発光層の側面(活性層24の側面)に堆積物(保護層)を形成するドライエッチングおよびアッシングの条件である。
(ICP-RIEドライエッチング条件)
エッチングガス:CHとHとの混合ガス。
ガス流量:(CH)10.0sccm、(H)90.0sccm。
ガス圧力:1.5パスカル。
ICPパワー:150ワット。
バイアスパワー:15ワット。
エッチングの深さ:0.6μm。
エッチングレート(InP換算):約25nm/分。
エッチング時間:180sec/cycle。
(アッシング条件)
アッシングガス:O
ガス流量:(O)80sccm。
ガス圧力:1.5パスカル。
ICPパワー:300ワット。
バイアスパワー:15ワット。
アッシング時間:105sec/cycle。
このエッチングとアッシングの約50回の繰り返しを行う。
特に、工程S108における第1のエッチングでは、所定のバイアスパワーを印加しながらアッシングを行う(工程S108−2)。一般に、炭化水素系エッチャントを含む雰囲気でドライエッチング法により半導体層をエッチングして半導体メサを形成した場合、半導体メサ側壁には、炭化水素が分解して生じたカーボンが付着する。このため、この半導体メサ側壁に付着したカーボンは、その後のエッチングや、半導体メサ形成後に行われる埋め込み成長の障害となるため、酸素を含む雰囲気でアッシングし、除去される。この場合、通常バイアスパワーは印加しないで行われる。
一方、本実施例において、第1のエッチングにおけるアッシング(工程S108−2)では、所定のバイアスパワーを印加しながらアッシングを行う。この結果、半導体メサ側面に、カーボン及びシリコン酸化物を含む保護層を形成することができる。この保護層を形成するためには、RIEエッチング後に行うアッシング工程において所定のバイアスパワーを印加する必要がある。図6に、アッシング時に印加するバイアスパワーとシリコン酸化物からなるハードマスクのエッチング量の関係を示す。また、図7に、アッシング時に印加するバイアスパワーと半導体メサ側面に形成される保護層の厚みとの関係を示す。図6及び図7において、エッチング条件とアッシング条件については、アッシング時のバイアスパワー以外は、すべて同じ条件で行った。図6から、シリコン酸化物からなるハードマスクのエッチング量が、バイアスパワーに比例して大きくなることがわかる。また、図7において、半導体メサ側面に形成される保護層は、バイアスパワーがゼロのときは形成されない。しかし、バイアスパワーを印加し、バイアスパワーを大きくするにしたがって、バイアスパワーに比例して、保護層の厚みも大きくなることがわかる。この半導体メサの側面に形成される保護層は、アッシング時にバイアスパワーを印加することで、ハードマスク29を構成するSiOの表面が酸素プラズマによりエッチングされる量が増大し、このエッチングされたSiOが、カーボンとともに、半導体メサ側面に付着して堆積することで形成されるものと考えられる。なお、バイアスパワーを印加することで酸素プラズマによりハードマスク29のエッチング量が増大することに起因して、ハードマスク29の形状、寸法等が変更することが考えられる。このハードマスク29の形状、寸法等の変更が生じないように、ハードマスク29は、充分に厚い厚みを有するように形成される。例えば、ハードマスク29の厚みは、好適には500nm以上の厚みを有する。なお、ハードマスク29の厚みが厚い場合でも、TEOS原料を用いたICP−CVD法を用いて形成することにより、シリコン酸化物層の膜応力が所定の範囲内になるように制御することができるので、膜応力に起因したシリコン酸化物層の割れやひび等の不具合が生じることを防止できる。
工程S109では、第2のエッチングを行う。第2のエッチングでは、図5の(b)部に示すように、ハードマスク29を用いて半導体領域10の第1導電型クラッド層のための半導体層12に加工を行う。第2のエッチングでは、エッチング(工程S109−1)及びアッシング(工程S109−2)を行う。エッチング(工程S109−1)は、炭化水素系エッチャントを含む雰囲気で行われる。アッシング(工程S109−2)は酸素を含む雰囲気で行われる。第2のエッチングでは、エッチング(工程S109−1)及びアッシング(工程S109−2)が繰り返して行われる。工程S109では、第1導電型クラッド層12に第1導電型クラッド層22の側面を形成する。
第2のエッチングの一例は以下のものである。これは、活性層下のInPを削るための、低ダメージのドライエッチングおよびアッシングの条件である。特に、アッシングでは、ハードマスク29のエッチングによるハードマスクの変形を低減するために、第1のエッチングにおけるアッシング時に印加するバイアスパワーよりも低いバイアスパワーを印加するか、若しくは、バイアスパワーを印加しない(バイアスパワーをゼロ)で行うことができる。本実施例では、バイアスパワーはゼロにしてアッシングを行った。
(ICP-RIEドライエッチング条件)
エッチングガス:CHとHとの混合ガス。
ガス流量:(CH)12.5sccm、(H)37.5sccm。
ガス圧力:1.5パスカル。
ICPパワー:200ワット。
バイアスパワー:15ワット。
エッチングの深さ:1回目と合わせてトータル2.2μm。
エッチングレート(InP換算):約60nm/分。
エッチング時間:180sec/cycle。
(アッシング条件)
アッシングガス:O
ガス流量:(O)80sccm。
ガス圧力:1.5パスカル。
ICPパワー:300ワット。
バイアスパワー:0ワット。
アッシング時間:105sec/cycle。
このエッチングとアッシングの約20回の繰り返しを行う。
この製造方法によれば、半導体領域10の加工のために、半導体領域10に第1及び第2のエッチングを施す。このとき、半導体領域10の加工おける前半部分のための第1のエッチングおける条件は、半導体領域10の加工における後半部分のための第2のエッチングと異なるものである。第1のエッチングでは、特に、アッシング(工程S108−2)において、半導体メサの露出した活性層の側面に所定の厚みの保護層を形成するために、所定のバイアスパワーを印加しながら行う。このとき、シリコン酸化物からなるハードマスク29の表面が酸素プラズマによりエッチングされ、半導体メサの側面に保護層を形成するためのシリコン酸化物を供給することができる。つまり、第1のエッチングにより、該エッチングで形成された活性層側面にカーボン及びシリコン酸化物を含む保護層を堆積させる。保護層の形成は、炭化水素系エッチャントを含む雰囲気におけるエッチングと酸素を含む雰囲気におけるアッシングとの組み合わせで可能になる。このように保護層は、カーボン及びシリコン酸化物を含み、シリコン酸化物を含まない場合に比べて堅い。第2のエッチングでは、第1導電型クラッド層22の形成に適切な加工条件で第1導電型半導体層12を加工できる。具体的には、低ダメージのドライエッチングおよびアッシングの条件で行うことができる。特に、第2のエッチング工程のアッシングでは、ハードマスク29のエッチングが生じないように、第1のエッチング工程のアッシングで印加するバイアスパワーよりも低いバイアスパワーを印加するか、またはバイアスパワーを印加しない(バイアスパワーをゼロ)で行うことができる。活性層側面はその上に第1のエッチングで形成された堆積物で保護されるので、第2のエッチング中における活性層24へのダメージは低減される。
第1及び第2のエッチングの後に、半導体領域10から半導体メサ20が形成される。半導体メサ20の高さHは、例えば2.2μmである。半導体メサ20は、n型クラッド層22、下部光閉じ込め層23、活性層24、上部光閉じ込め層25、p型クラッド層26、およびコンタクト層27を含む。
図8の(a)部は、半導体メサの発光層の側面(活性層の側面)に形成された保護層を示す走査型電子顕微鏡像を示す図面であり、図8の(b)部は、半導体メサの発光層の側面(活性層の側面)に形成された保護層を模式的に示す図面である。図8の(a)部において、矢印が保護層を指し示している。図8の(a)部に示されるように、顕微鏡像には、図8の(b)部に模式的に示されるように側壁に保護層が観察される。
必要な場合には、工程S110では、カーボン及びシリコン酸化物からなる保護層を除去するためのエッチングを行うことができる。この製造方法によれば、カーボン及びシリコン酸化物は、エッチングにより除去可能である。このため、必要な場合には、活性層側面の保護層を除去するためのエッチングを行うことができる。このカーボン及びシリコン酸化物からなる保護層は、硫酸やフッ酸などで除去できる。その後行われる埋込再成長工程においては、この保護層が半導体メサの側壁に残留することにより、異常成長が発生することがある。この埋め込み成長前に保護層を除去することにより、この保護層に起因した埋め込み成長時の異常成長を低減できる。
工程S111では、図4の(b)部に示されるように、ハードマスク29を用いて、半導体メサ20を埋め込むように埋め込み層31を成長する。この再成長では、活性層24の両側面20a上に埋め込み層が成長炉100fで成長される。
一実施例における再成長は以下のものである。図4の(b)部に示されるように、ハードマスク29を選択成長マスクとして使用して、基板11の表面及び半導体メサ20の周囲に、p型電流ブロック層(第1導電型半導体埋め込み層)33のためのZnドープInP半導体層を成長させる。次に、図4の(c)部に示されるように、n型電流ブロック層(第2導電型半導体埋め込み層)34のためのSiドープInP半導体層をp型電流ブロック層33上に成長する。p型電流ブロック層33及びn型電流ブロック層34の成長は、例えば有機金属気相成長法によって行われる。
これらp型電流ブロック層33及びn型電流ブロック層34の成長後に、工程S112では、図9の(a)部に示されるように、ハードマスク29をフッ酸により除去する。この除去により、コンタクト層27上に残存していた酸化膜も併せて除去される。また、必要な場合には、埋め込み層35の平坦化のための処理を行うことができる。
続いて、図9の(b)部に示されるように、コンタクト層26上の全面に絶縁性の保護膜28を形成する。保護膜28は、半導体メサ20の上部上に開口を有する。アノード電極30aを保護膜28の開口を介してコンタクト層27と接するように形成し、カソード電極30bをn型InP基板11の裏面上に形成する。アノード電極29aは例えばAuZnで構成されることができ、カソード電極29bは例えばAuGeで構成されることができる。その後、n型InP基板11をチップ状に分割することにより、図9の(c)部に示される半導体レーザ素子1が完成する。
活性層24は、III族構成元素としてガリウム及びインジウムとV族構成元素としてヒ素とを含むIII−V化合物半導体からなる。V族構成元素としてのヒ素はIII族構成元素としてのアルミニウムとの結合エネルギーが大きいので、この結合を切断できる加工条件が第1のエッチングにおいて採用される。この加工条件は、活性層24の下地となるクラッド層22にダメージを与える可能性がある。しかしながら、第2のエッチング条件の採用により、このダメージの発生を避けることができ、また活性層24の加工も可能になる。
ハードマスク29の下面と活性層のための半導体層24の上面との距離は600nm以下であることが好ましい。上記の距離が600nm以下であるとき、活性層側面に保護層を形成できる。上記の距離が600nmを越えるとき、SiO2の供給源であるハードマスク29と活性層のための半導体層24との距離が大きいために、保護層が活性層側面に十分に形成されないことがある。
第1導電型クラッド層のための半導体層13のIII−V化合物半導体はInPを含むことができる。第2導電型クラッド層のための半導体層16のIII−V化合物半導体はInPを含むことができる。第1のエッチングにおける半導体層(第1導電型クラッド層)13のInPのエッチングレートは、第2のエッチングにおける半導体層(第2導電型クラッド層)16のInPのエッチングレートより小さいことが好ましい。InPのエッチングレートに関しては、第1のエッチングにおけるInPのエッチングレートは、第2のエッチングにおけるInPのエッチングレートより小さいとき、半導体メサ形成のためにエッチング時間が長くなるため、活性層側面に保護層を形成するための充分な時間が確保できる。一方、第2のエッチングにおける加工においては、エッチングレートがより大きく設定されることでエッチング時間を短縮できるので、第1導電型クラッド層22のダメージを小さくできる。
また、第1のエッチングにおけるエッチング工程のエッチング条件によるサイドエッチング量を大きくすることにより、ハードマスク29の庇が形成されることが好ましい。例えば、第1のエッチングにおける半導体層(第1導電型クラッド層)13のInPのエッチングレートを第2のエッチングにおける半導体層(第2導電型クラッド層)16のInPのエッチングレートより小さくして、半導体メサを形成した場合、サイドエッチング量は増大するので、ハードマスク29の庇を容易に形成することができる。これにより、側壁における堆積物(保護層)の堆積を引き起こすことができる。また、該庇は、エッチン中にイオン及び/ラジカルがメサの側壁上の保護層に衝突する頻度を下げるために役立つ。一方、第1のエッチング中に側壁に形成された保護層は、第1のエッチング中では側壁を保護する。
第1及び第2のエッチングのエッチングは、上記でも述べたようにICP−RIE装置を用いて行われる。第1のエッチングにおけるアッシング工程では、シリコン酸化物からなるハードマスク29の表面が酸素プラズマによりエッチングされ、半導体メサの側面に所定の厚みの保護膜を形成するために、所定のバイアスパワーを印加しながら行うことができ、第2のエッチングにおけるアッシング工程では、シリコン酸化物からなるハードマスク29の表面がエッチングによる形状の変形防止と活性層へのダメージの低減のために、バイアスパワーはゼロまたは第1のエッチング工程のアッシングにおけるバイアスパワー以下の、より小さいバイアスパワーを用いて行われる。一方、第1のエッチングにおけるエッチング工程のためのICPパワーは第2のエッチングにおけるエッチング工程のためのICPパワーより小さいことが好ましい。第1のエッチングにおけるICPパワーを第2のエッチングにおけるICPパワーより小さくするので、エッチング中における炭化水素の分解が少なくなって、エッチング雰囲気中の炭化水素ラジカルの量が少なくなる。炭化水素ラジカルの減少により、活性層のための半導体層14のエッチングレートが小さくなる。この結果、ハードマスク29と活性層のための半導体層14の間に形成された、例えばコンタクト層のための半導体層17およびクラッド層のための半導体層16のサイドエッチングが促進される。これ故に、ハードマスク29の庇が形成され、この庇が、エッチン中にイオン及び/ラジカルがメサの側壁上の保護層に衝突することを妨げて、衝突頻度を下げるために役立つ。
第1のエッチングのエッチング工程における炭化水素の流量F1(HC)と水素の流量F1(H)との比率(F1(HC)/F1(H))は第2のエッチングエッチング工程における炭化水素の流量F2(HC)と水素の流量F2(H)との比率(F2(HC)/F2(H))より小さいことが好ましい。第1のエッチングにおいて炭化水素の流量F1(HC)が小さく、これ故に、エッチング雰囲気中における炭化水素ラジカルの量も小さい。これは、保護層の形成に好適な条件である。第1のエッチングにおいて、総流量F1(TOTAL)に対する炭化水素の流量F1(HC)の比(F1(HC)/F1(TOTAL))が0.15以下であるので、エッチング雰囲気中における炭化水素ラジカル(例えばCH)の量も小さい。これは、エッチングレートが小さくなり、保護層の形成に好適となる。例えば、炭化水素の流量は、総流量の0.15以下であることが好ましい。このエッチングにおいて炭化水素としてはCHを用いることができる。
Al系活性層、例えばAlGaInAs活性層のエッチングについて説明する。発明者の知見によれば、Al系活性層、例えばAlGaInAs活性層においてはAl−Asの結合エネルギーが高い。このため、AlGaInAsをドライエッチングする際にはInGaAsP活性層のドライエッチングよりも高いバイアスパワーを加える。バイアスパワーを高くすることで、プラズマ中のラジカルによる化学エッチング作用(RIE)に加えて、プラズマ中のイオンまたはラジカルによる物理的エッチング作用(イオンミリング)が増大する。この結果、エッチングレートが増大することが考えられる。しかし、この高いバイアスパワーは、エッチングされる半導体層にダメージ(例えば結晶欠陥など)を与え、このダメージは、デバイスの特性や信頼性に係る技術的問題を引き起こす可能性がある。AlGaInAs活性層だけ高バイアスパワーでエッチングすると共に、その後のInP層を低バイアスパワーでエッチングして、少しでも結晶に与えるダメージを減らす方式がある。しかしながら、エッチング中にAlGaInAs活性層の側面が低バイアスパワーのエッチングに晒されることになり、この方式では、AlGaInAs活性層の側面に、Alを含む堆積物が形成される。このAl系堆積物の除去が難しく、その後の工程に影響を与える。
このような背景のもとに、AlGaInAs層を低ダメージにドライエッチングする方法を提供することについて検討してきた。まず、CH/Hガスを用いてAlGaInAs層をドライエッチングすることに加えて、さらにドライエッチング後にOアッシングを行うことで、AlGaInAs活性層の側面に保護膜を形成することについて検討した。ドライエッチング後のアッシングでは、ドライエッチングの際に半導体メサ側壁に付着したカーボンを酸素プラズマ中で化学的に反応させて除去することを目的として行われる。このため、通常、アッシングの際にはバイアスパワーは印加しない。一方、バイアスパワーを印加しながらアッシングを行うことで、AlGaInAs半導体層のエッチング途中の段階でAlGaInAs層の側面が堆積物で覆われることを見出した。この堆積物は、好適なエッチングを得られるときには、カーボン及びシリコン酸化物を含んでいる。さらに、バイアスパワーを印加してアッシングを行った場合、供給するバイアスパワーに比例して、ハードマスクを構成するシリコン酸化物がエッチングされること、およびバイアスパワーに比例して堆積物(保護層)の厚みが大きくなることも分かった。つまり、この堆積物に含まれるシリコン酸化物は、シリコン酸化物マスクがアッシング時にエッチングされて雰囲気中に供給されたものであると考えられる。さらに、RIEエッチングとアッシングを繰り返し行うことで、半導体メサの側面への保護層の形成が、より促進されることも明らかになった。また、炭化水素の流量比を減らす、または誘導結合プラズマ(ICP)パワーを減らす、等に条件設定によりプラズマ中のCHラジカル密度を低くして、Al系活性層でのエッチングレートを遅くする。これによって、Al系活性層よりも上層のサイドエッチングを促進させることができ、Al系活性層の側面に所望の堆積物層(保護層)を形成可能になった。なお、シリコン酸化物マスクをアッシングにより、意図的に削るために、TEOS原料を用いたICP−CVD法を用いて形成したリコン酸化物と組み合わせて用いることが好適である。TEOS原料を用いたICP−CVD法を用いてシリコン酸化物マスクを形成した場合、シリコン酸化物の緻密性や耐エッチング性を容易に制御することができるので、アッシングによるシリコン酸化物のエッチングの制御を好適に行うことができる。また、本実施例では、シリコン酸化物マスクが削られることにより、マスクの形状等の変化が生じることを防止するために、シリコン酸化物マスクを、例えば500nm以上の厚みで厚く形成する。TEOS原料を用いたICP−CVD法を用いてシリコン酸化物マスクを形成した場合は、シリコン酸化物膜の膜応力が所定の範囲内になるように制御することもできるので、シリコン酸化膜マスクを厚く形成した場合でも膜応力に起因したシリコン酸化膜の割れ等の不具合が生じることを防止できるので好適である。
この堆積を利用すると、AlGaInAs活性層側面が十分に保護層(特にシリコン酸化物を含むため、カーボン単独よりも硬くなっている)で覆われているので、その後に活性層より下層をエッチングするエッチング条件でも、AlGaInAs活性層に与えるダメージを低減できる。また、このカーボンおよび前記シリコン酸化物を含む保護層は、ドライエッチング後に、硫酸やフッ酸などで除去できる。
好適な実施の形態において本発明の原理を図示し説明してきたが、本発明は、そのような原理から逸脱することなく配置および詳細において変更され得ることは、当業者によって認識される。本発明は、本実施の形態に開示された特定の構成に限定されるものではない。したがって、特許請求の範囲およびその精神の範囲から来る全ての修正および変更に権利を請求する。
以上説明したように、本実施の形態によれば、Al系III−V化合物半導体層を含む活性層を低いダメージで形成することを可能な、半導体レーザ素子を製造する方法が提供される。
1…半導体レーザ素子、10…半導体領域、11…基板、11a…主面、12〜17…半導体層、14a…バリア層、14b…ウエル層、18…発光層、19…シリコン酸化物層、20…半導体メサ、21…レジストマスク、22…クラッド層、23…下部光閉じ込め層、24…活性層、25…上部光閉じ込め層、26…p型クラッド層、27…コンタクト層、28…保護膜、29…ハードマスク、30a…アノード電極、30b…カソード電極、31…埋め込み層、33…p型電流ブロック層、34…n型電流ブロック層。

Claims (9)

  1. 半導体光素子を製造する方法であって、
    第1導電型クラッド層のためのIII−V化合物半導体層、III構成元素としてアルミニウム、及びV族元素としてヒ素を含み活性層のためのIII−V化合物半導体層、及び第2導電型クラッド層のためのIII−V化合物半導体層を順に基板上に成長して、該基板上に半導体領域を成長する工程と、
    シリコン酸化物層からなるハードマスクを前記半導体領域上に形成する工程と、
    前記ハードマスクが形成された基板を真空容器内に導入し、前記ハードマスクを用いて前記半導体領域の前記第2導電型クラッド層及び前記活性層をドライエッチングにより、半導体メサを形成する工程と、
    前記ハードマスクを用いて、前記半導体メサの側面上に埋め込み層を成長する工程と、
    を備え、
    前記半導体メサを形成する工程では、前記第2導電型クラッド層の側面及び前記活性層の側面を形成する第1のエッチング工程と、前記第1導電型クラッド層の側面を形成する第2のエッチング工程とを含み、
    前記第1のエッチング工程では、炭化水素系エッチングガスを含むプラズマ雰囲気におけるドライエッチングと、当該基板側に所定のバイアスパワーを印加しながら、酸素を含むプラズマ雰囲気におけるアッシングとを行い、露出した前記活性層の前記側面にカーボンおよび前記シリコン酸化物を含む保護層を形成し、その後前記第2のエッチング工程を行う、半導体光素子を製造する方法。
  2. 前記第1のエッチング工程の前記エッチングにおいて、前記ハードマスクが形成された前記半導体領域のサイドエッチングにより、前記ハードマスクの庇を形成する、請求項1に記載の半導体光素子を製造する方法。
  3. 前記第2のエッチング工程は、炭化水素系エッチングガスを含むプラズマ雰囲気におけるドライエッチングと、酸素を含むプラズマ雰囲気におけるアッシングとを含み、前記第2のエッチング工程のアッシングでは、基板側に印加するバイアスパワーがゼロ、又は、前記第1のエッチング工程のアッシングにおけるバイアスパワー以下で行われる、請求項1または請求項2に記載された半導体光素子を製造する方法。
  4. 前記第1のエッチング工程の前記ドライエッチング、および前記第2のエッチング工程の前記ドライエッチングに用いられる前記炭化水素系エッチングガスには、炭化水素と水素とが含まれており、前記第1のエッチング工程の前記ドライエッチングにおける炭化水素の流量F1(HC)と水素の流量F1(H)との比率(F1(HC)/F1(H))は、前記第2のエッチング工程の前記エッチングにおける炭化水素の流量F2(HC)と水素の流量F2(H)との比率(F2(HC)/F2(H))より小さい請求項3に記載された、半導体光素子を製造する方法。
  5. 前記第1のエッチング工程において、前記炭化水素はCHを含み、
    前記炭化水素の流量は、総流量の0.15以下である請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載された、半導体光素子を製造する方法。
  6. 前記ハードマスクのためのシリコン酸化物層を前記半導体領域のコンタクト層上に形成する工程を更に備え、
    前記シリコン酸化物が、シリコン原料としてTEOSを用いた誘導性結合プラズマCVD法(ICP−CVD法)を用いて形成される、請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載された半導体光素子を製造する方法。
  7. 前記ハードマスクを構成する前記シリコン酸化物層の厚さは、500nm以上である請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載された、半導体光素子を製造する方法。
  8. 前記第1および第2のエッチング工程の前記エッチングが、2つの高周波電源を備えた誘導性結合プラズマ(ICP)―RIE装置を用いて行われる、請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載された、半導体光素子を製造する方法。
  9. 前記埋め込み層を成長するに先立ち、カーボンおよび前記シリコン酸化物を含む前記保護層を除去するためのエッチングを行う工程を更に備える請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載された、半導体光素子を製造する方法。
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