JP2004055881A - 光半導体装置の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】光半導体装置内に形成される回折格子の熱変形を防止するとともに、活性層の発光効率を向上させる。
【解決手段】光半導体装置の製造過程において、活性層に回折格子を形成してウェハを成長装置内に配置し(ステップS1,S2)、この成長装置内で、第1の温度で回折格子表面に熱変形防止層を形成した後(ステップS3)、回折格子の埋め込み層を形成する第2の温度まで昇温する(ステップS4)。そのため、この昇温に伴う回折格子の変形が防止される。さらに、この成長装置内で、熱変形防止層および回折格子の表層部を除去した後(ステップS5)、回折格子の埋め込み層を形成する(ステップS6)。これにより、回折格子の表層部に生じたエッチングダメージや不純物偏析などが除去され、良好な再成長界面上に埋め込み層が形成されるため、活性層の発光効率を向上させることができる。
【選択図】 図1
【解決手段】光半導体装置の製造過程において、活性層に回折格子を形成してウェハを成長装置内に配置し(ステップS1,S2)、この成長装置内で、第1の温度で回折格子表面に熱変形防止層を形成した後(ステップS3)、回折格子の埋め込み層を形成する第2の温度まで昇温する(ステップS4)。そのため、この昇温に伴う回折格子の変形が防止される。さらに、この成長装置内で、熱変形防止層および回折格子の表層部を除去した後(ステップS5)、回折格子の埋め込み層を形成する(ステップS6)。これにより、回折格子の表層部に生じたエッチングダメージや不純物偏析などが除去され、良好な再成長界面上に埋め込み層が形成されるため、活性層の発光効率を向上させることができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は光半導体装置の製造方法に関し、特に内部に回折格子を有して一定波長の光を帰還発振する光半導体装置の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
急速なインターネットの普及や情報技術の進展に伴い、光通信用光源として用いられる光半導体装置には更なる高性能化と低コスト化が求められている。こうした背景の中で、光半導体装置の活性層に回折格子を形成することによって光の導波方向に利得を周期的に変調させたDFB(Distributed Feedback)レーザ(以下「利得結合DFBレーザ」という)が注目されてきている。利得結合DFBレーザは、高い単一波長性と高出力動作を両立でき、かつ、反射戻り光耐性が強い、といった特徴を有している。
【0003】
このような利得結合DFBレーザの製造は、通常、その結晶成長に有機金属気相成長(Metal Organic Chemical Vapor Deposition,MOCVD)法を用いて行われる。ここで、従来の波長1.3μm帯の利得結合DFBレーザの製造方法の一例を図14から図18を参照して説明する。
【0004】
図14は結晶成長工程の説明図である。
まず、n型InP基板100上に、n型InPバッファ層(厚さ0.5μm)101、アンドープのInGaAsP光ガイド層(組成波長1.1μm,厚さ100nm)102を成長する。これに続いて、アンドープの多重量子井戸(Multiple Quantum Well,MQW)活性層(厚さ150nm)103、およびアンドープのInP保護層(厚さ20nm)104を成長する。
【0005】
MQW活性層103は、例えばアンドープのInGaAsP障壁層(組成波長1.1μm,厚さ10nm)の11層と、アンドープのInGaAsP井戸層(組成波長1.38μm,厚さ4nm)の10層とが、交互に積層されて構成される。
【0006】
図15は回折格子形成工程の説明図である。
結晶成長後には、干渉露光とフォトリソグラフィを用いて、InP保護層104上に、周期200nmのレジスト回折格子パターンを形成する。回折格子の長手方向は、例えば、(01−1)方向にする。
【0007】
次いで、レジスト回折格子をマスクにしてInP保護層104およびMQW活性層103の一部を反応性イオンエッチング(Reactive Ion Etching,RIE)などのドライエッチングにより除去する。例えばMQW活性層103のうち上部6層のInGaAsP井戸層をエッチングしてレジストマスクを剥離すると、InP保護層104表面からの深さが約100nmの回折格子状のMQW活性層103が形成されるようになる。
【0008】
この回折格子形成工程では、MQW活性層103の表層部に、ドライエッチング時のプラズマによるエッチングダメージ105が生じる。
図16はエッチングダメージ除去工程の説明図である。
【0009】
回折格子形成工程で生じた図15に示したエッチングダメージ105は、MQW活性層103の表層部をウェットエッチングすることによって除去する。このエッチングダメージ105の除去後に、MQW活性層103上に埋め込み層を形成し、回折格子を埋め込む。なお、図16では、ウェットエッチング前の回折格子形状を破線で示している。
【0010】
図17は回折格子埋め込み前の昇温工程の説明図である。
回折格子の埋め込み前には、まず、このウェハをMOCVD装置内に配置し、V族ガスとしてフォスフィン(PH3)およびアルシン(AsH3)のうちの少なくとも1種を含むH2雰囲気中で、ウェハ温度を回折格子の埋め込み層の形成温度(例えば600℃)まで昇温する。
【0011】
ここで、MQW活性層103の回折格子表面には、エッチングダメージ除去工程でのウェットエッチング後にウェハをMOCVD装置へ移動する際、空気中の酸素、炭素、シリコンなどの不純物が高濃度に偏析し得る。また、この昇温工程における昇温中は、熱が加えられることによって回折格子の表層部にダメージが生じ得る。このように、昇温工程後には、回折格子の表層部に、不純物偏析または熱ダメージ106が生じるようになる。さらに、この昇温工程では、回折格子の凸部の角から凹部へのマストランスポートによって回折格子に熱変形が生じ易い。したがって、昇温工程後には、このような回折格子上に埋め込み層が形成されることになる。
【0012】
図18は埋め込み層形成工程およびその後の再成長工程の説明図である。
昇温工程においてウェハ温度が埋め込み層の形成温度に達したら、アンドープのInP層107を形成し、回折格子状のMQW活性層103を埋め込む。そして、その上に、アンドープのInGaAsP光ガイド層(組成波長1.1μm,厚さ100nm)108、p型InPクラッド層(厚さ2μm)109、p型InGaAsコンタクト層(厚さ0.5μm)110を順に成長する。
【0013】
この再成長工程の後、図示しないが、電極として、n型InP基板側にAuGeを、p型InGaAsコンタクト層側にAu/Zn/Auを蒸着し、波長1.3μm帯の利得結合DFBレーザの基本構造を形成する。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の製造方法では、回折格子上への埋め込み層形成前にウェットエッチングによってエッチングダメージを除去しても、このウェハをMOCVD装置へ移動する間に、その後の再成長界面となる回折格子表面に不純物偏析が生じるため、これが非発光再結合中心となって活性層の発光効率が低下するという問題点があった。
【0015】
さらに、従来の製造方法では、再成長時にウェハ表面からのP原子やAs原子の蒸発を防止する目的で、PH3やAsH3を含むH2雰囲気中でウェハを埋め込み層の形成温度まで昇温するが、その条件が適切でないと、再成長界面に例えばAs/P置換による欠陥が発生し、活性層の発光効率の低下を招くという問題点もあった。
【0016】
このような再成長界面における不純物偏析やAs/P置換による欠陥の発生などの現象により、従来の製造方法では、高い発光効率の活性層を実現するのが困難であった。勿論、この問題は、RIEなどのドライエッチングに替えてウェットエッチングのみで活性層に回折格子を形成した場合にも生じる。
【0017】
また、一般に、回折格子を利用した光半導体装置では、光と回折格子との結合係数が、素子中の光の伝播特性を決定する重要なパラメータであり、これを制御する必要がある。しかし、従来の製造方法では、回折格子上への埋め込み層形成前に埋め込み層の形成温度まで昇温する際、マストランスポートによって回折格子が熱変形し易いため、パラメータの制御が困難になるという問題点があった。
【0018】
このような回折格子の熱変形を防止する方法としては、例えば、非常に薄いGaAs層やInGaAs層を熱変形防止層として用いる方法が開示されている(特開平3−179731号公報)。
【0019】
図19は回折格子熱変形防止方法の一例の説明図である。図19に示すように、InP回折格子基板200上に、回折格子が熱変形しない温度で、GaAsあるいはInGaAsの熱変形防止層201を形成する。そして、このInP回折格子基板200の温度を、回折格子上に形成する埋め込み層の形成温度まで昇温する。この熱変形防止層201により、InP回折格子基板200の回折格子はその熱変形が防止されるようになる。
【0020】
しかし、この方法を利得結合DFBレーザの製造にそのまま適用した場合には次に示すような問題が生じる。
まず、第1の問題としては、熱変形防止層にGaAsを用いた場合に、利得結合DFBレーザのように深い回折格子が形成されている表面を、格子不整合の大きいGaAsで良好に被覆することは困難であるという点が挙げられる。臨界膜厚より厚くなる部位が存在すると、そこからミスフィット転位が発生し、埋め込み層の結晶性や活性層の発光効率を低下させてしまう。また、臨界膜厚より薄くても、熱変形防止層のGaAsは埋め込み層のInPや活性層のInGaAsPよりもバンドギャップが大きいため、活性層への正孔注入効率を低下させてしまう。
【0021】
そして、第2の問題としては、熱変形防止層にInGaAsを用いた場合に、条件によってはInGaAsが活性層よりもバンドギャップが小さくなるため、熱変形防止層が誘導放出光の吸収損失領域となり、レーザ発振の閾値電流を増大させてしまうという点が挙げられる。
【0022】
また、図20は回折格子熱変形防止方法の他の例の説明図である。熱変形防止の他の手段として、InP基板202上に形成された回折格子形成層203の回折格子上の保護層204中に、あらかじめ薄膜のGaAs層を熱変形防止層205として挿入しておく方法がある(特開平2001−168455)。
【0023】
しかし、この方法を利得結合DFBレーザの製造に適用すると、回折格子の変形は防止されるものの、再成長界面への不純物偏析や昇温時の熱ダメージによる活性層の発光効率の低下は依然として解消されない。
【0024】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、活性層に形成された回折格子の変形を防止し、かつ、活性層の発光効率の低下を招く要因を除去することのできる光半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【0025】
【課題を解決するための手段】
本発明では上記課題を解決するために、図1に示す製造フローによって実現可能な光半導体装置の製造方法が提供される。本発明の光半導体装置の製造方法は、半導体基板上の異なる導電性の一対のクラッド層間に活性層を有し、活性層の一部が光の導波方向に対して周期的にエッチングされた回折格子を備えた光半導体装置の製造方法において、活性層に回折格子を形成したウェハを成長装置内に配置し、前記回折格子の表面に前記回折格子の変形を防止するための熱変形防止層を第1の温度で形成する工程と、前記成長装置内で、前記回折格子を埋め込む埋め込み層の形成温度である第2の温度で前記熱変形防止層と前記回折格子の表層部とを除去する工程と、前記成長装置により前記第2の温度で前記埋め込み層を形成する工程と、を有することを特徴とする。
【0026】
このような光半導体装置の製造方法では、活性層に回折格子を形成して(ステップS1)、このウェハを成長装置内に配置し(ステップS2)、その中で、第1の温度で回折格子表面に熱変形防止層を形成した後(ステップS3)、第2の温度にする(ステップS4)。そのため、第2の温度で、あるいは第2の温度に達するまでに回折格子の変形が生じない。さらに、同じ成長装置内で第2の温度で、気相エッチングなどの方法を用いて、熱変形防止層および回折格子の表層部を除去した後(ステップS5)、回折格子の埋め込み層を形成する(ステップS6)。これにより、回折格子の表層部に生じたエッチングダメージ、不純物偏析、昇温時の熱ダメージなどが除去され、清浄な状態のままその上に埋め込み層が形成される。
【0027】
また、本発明では、半導体基板上の異なる導電性の一対のクラッド層間に活性層を有し、活性層の一部が光の導波方向に対して周期的にエッチングされた回折格子を備えた光半導体装置の製造方法において、活性層上に、前記活性層に形成される回折格子の変形を防止するための熱変形防止層と前記熱変形防止層を保護する保護層とを形成する工程と、前記熱変形防止層と前記保護層とが形成された前記活性層に前記回折格子を形成する工程と、前記活性層に前記回折格子が形成されたウェハを成長装置内に配置し、前記成長装置内で、前記回折格子を埋め込む埋め込み層の形成温度で、前記熱変形防止層と前記保護層と前記回折格子の表層部とを除去する工程と、前記成長装置により前記形成温度で前記埋め込み層を形成する工程と、を有することを特徴とする光半導体装置の製造方法が提供される。
【0028】
このような光半導体装置の製造方法によれば、あらかじめ活性層上に熱変形防止層が形成されていることで、埋め込み層の形成温度で、あるいは形成温度に達するまでに、回折格子の熱変形は生じない。さらに、埋め込み層の形成前に成長装置内で熱変形防止層、保護層および回折格子の表層部が除去され、清浄な状態のままその上に埋め込み層が形成される。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
まず、第1の実施の形態について説明する。
【0030】
図1は第1の実施の形態に係る光半導体装置の製造フローを示す図である。
第1の実施の形態に係る光半導体装置の製造は、まず、半導体基板上の異なる導電性の一対のクラッド層間に形成されるべき活性層を下部のクラッド層上に成長した後、この活性層の少なくとも一部を周期的にエッチングして回折格子を形成する(ステップS1)。回折格子の形成は、RIEなどの通常のドライエッチングによって行うことができる。その場合、回折格子の表層部にはプラズマによるエッチングダメージが生じる。
【0031】
次いで、回折格子形成後のウェハを、各層の形成に用いる成長装置内に配置する(ステップS2)。成長装置内にウェハを配置する際には、ウェハの移動に伴い、回折格子表面に空気中の酸素、炭素、シリコンなどの不純物が付着した不純物偏析が生じる。
【0032】
次いで、この成長装置内で、回折格子が変形しない第1の温度で、回折格子表面に熱変形防止層を形成する(ステップS3)。熱変形防止層の材質としては、例えば半導体基板がInPの場合にはGaAsまたはInGaAsを用いることができ、第1の温度として300℃〜450℃の範囲内の温度を設定することができる。第1の温度は、形成する熱変形防止層の材質に応じて設定する。また、熱変形防止層の形成においては、熱が加えられることで回折格子の表層部に多少の熱ダメージが生じる。
【0033】
次いで、表面に熱変形防止層が形成された回折格子を埋め込むため、同じ成長装置内で、ウェハ温度を、回折格子上に形成する埋め込み層の形成温度である第2の温度まで昇温する(ステップS4)。この第2の温度は550℃〜650℃、好ましくは590℃〜610℃の範囲内の温度に設定する。550℃を下回る温度では埋め込み層を良好に成長させることができず、一方、650℃を上回る温度では熱変形防止層自体を熱変形させてしまう可能性が生じるためである。
【0034】
第2の温度まで昇温した後、この成長装置内で、熱変形防止層の全部と回折格子の表層部のエッチングダメージ、不純物偏析、熱ダメージを、気相エッチングにより除去する(ステップS5)。この気相エッチングは、塩化メチル(CH3Cl)など、その組成にハロゲン元素を含んでいる物質をエッチングガスとして成長装置内に導入し、このエッチングガスの熱分解で発生する活性種によってエッチングを行うものである。
【0035】
そして、このステップS5の後、再成長工程としてこの成長装置内で、第2の温度で埋め込み層を形成し(ステップS6)、埋め込み層形成後は、その上に、上部のクラッド層およびコンタクト層を形成する(ステップS7)。
【0036】
最後に、半導体基板側およびコンタクト層側にそれぞれ電極を形成し(ステップS8)、光半導体装置の基本構造を形成する。
このような光半導体装置の製造方法によれば、回折格子が熱変形しない第1の温度で回折格子表面を熱変形防止層で被覆し、その後に回折格子上に形成する埋め込み層の形成温度まで昇温するため、この昇温によっても回折格子の熱変形は生じない。
【0037】
そして、この第1の実施の形態の製造方法において注目すべきは、埋め込み層形成直前に、成長装置内で気相エッチングを行う点である。すなわち、回折格子表面を熱変形防止層で被覆することで、回折格子の形状を保持したまま形成温度まで昇温することができる。そして、この形成温度において埋め込み層形成直前に気相エッチングを行い、熱変形防止層、エッチングダメージ、不純物偏析および熱ダメージを除去するので、非発光再結合中心のない良好な再成長界面に埋め込み層を形成することができる。
【0038】
さらに、この製造方法では、熱分解で生じた活性種を利用した気相エッチングを行うため、再成長界面に新たなエッチングダメージを生じさせてしまうことがほとんどない。
【0039】
このようにMOCVD装置内で埋め込み層形成直前に気相エッチングを行うことで、MOCVD装置外でウェットエッチングを行った場合に比べて、活性層のフォトルミネッセンス強度を約30%増加させることができる。
【0040】
また、この製造方法においては、特に、半導体基板がInPの場合に熱変形防止層としてInPと格子整合できるInGaAsを用いると、回折格子が深い場合でも、その回折格子表面を良好に被覆することができる。
【0041】
この第1の実施の形態に係る光半導体装置の製造方法を、利得結合DFBレーザの製造に適用した場合を例に、図2から図7を参照して具体的に説明する。
ここで、利得結合DFBレーザを構成する各層の形成に必要な結晶成長は、原料にトリメチルインジウム(TMI)、トリエチルガリウム(TEG)、PH3、AsH3、シラン(SiH4)、ジエチル亜鉛(DEZ)を用いたMOCVD法により行う。利得結合DFBレーザの製造において、成長装置としてはMOCVD装置を使用する。以下、各製造工程を順を追って説明する。
【0042】
図2は第1の実施の形態の結晶成長工程の説明図である。
まず、n型(100)InP基板1上に、n型InPバッファ層(厚さ0.5μm)2、アンドープのInGaAsP光ガイド層(組成波長1.1μm,厚さ100nm)3を成長する。これに続き、アンドープのMQW活性層(厚さ150nm)4、およびアンドープのInP保護層(厚さ20nm)5を成長する。
【0043】
MQW活性層4は、アンドープのInGaAsP障壁層(組成波長1.1μm,厚さ10nm,歪量0%)の11層と、アンドープのInGaAsP井戸層(組成波長1.38μm,厚さ4nm,圧縮歪+0.8%)の10層とが、交互に積層されて構成される。
【0044】
図3は第1の実施の形態の回折格子形成工程の説明図である。
結晶成長工程後には、干渉露光とフォトリソグラフィを用い、InP保護層5上に、周期200nmのレジスト回折格子パターンを形成する。光の導波方向は(011)方向とし、回折格子の長手方向は(01−1)方向に形成する。
【0045】
次いで、レジスト回折格子をマスクにしてInP保護層5およびMQW活性層4のうち上部6層のInGaAsP井戸層を、C2H6/H2系RIEでドライエッチングする。その後、レジストマスクを剥離し、InP保護層5表面からの深さが約100nmの回折格子状のMQW活性層4を形成する。
【0046】
この回折格子形成工程では、ドライエッチング時のプラズマにより、MQW活性層4の表層部に深さ約10nmのエッチングダメージ6が生じる。
図4は第1の実施の形態の熱変形防止層形成工程の説明図である。
【0047】
回折格子状のMQW活性層4を形成した後、このウェハを硫酸(H2SO4)水溶液で洗浄してからMOCVD装置内に配置し、PH3を含むH2雰囲気中で、ウェハ温度を第1の温度である400℃まで昇温する。
【0048】
400℃に達したら、V族ガスをPH3からAsH3に切り替え、同時にIII族原料としてTMIとTEGを供給し、MQW活性層4の回折格子上にInGaAs熱変形防止層7を形成する。InGaAs熱変形防止層7の膜厚は、回折格子凹部で約10nmになるように成長時間を制御する。
【0049】
また、このとき、回折格子の表層部には、エッチングダメージ6に加え、ウェハのMOCVD装置内への移動時またはMOCVD装置での昇温時に、不純物偏析または熱ダメージ8が生じる。
【0050】
図5は第1の実施の形態の昇温工程の説明図である。
MQW活性層4に形成した回折格子を埋め込む前に、まず、MOCVD装置内を、AsH3を含むH2雰囲気とし、回折格子上に形成する埋め込み層の形成温度である第2の温度600℃まで昇温する。
【0051】
図6は第1の実施の形態の気相エッチング工程の説明図である。
ウェハ温度が600℃に達したら、まず、MOCVD装置内の雰囲気をPH3およびAsH3のうちの少なくとも1種を含むH2雰囲気に替える。そして、これと同時に、エッチングガスとして塩化メチル(CH3Cl)を導入し、InGaAs熱変形防止層7の全部および回折格子の表層部の厚さ20nm程度を気相エッチングにより除去する。これにより、再成長界面からエッチングダメージ6や、不純物偏析または熱ダメージ8が除去された回折格子状のMQW活性層4が形成される。なお、図6では、気相エッチング前のInGaAs熱変形防止層および回折格子形状を破線で示している。
【0052】
気相エッチングは、エッチングガスの熱分解で発生する活性種によってエッチングを行うため、プラズマの場合と異なり、回折格子の表層部に対して新たなエッチングダメージが生じることはない。この気相エッチングに用いるエッチングガスとしては、上記のCH3Clのほか、塩化水素(HCl)、塩化リン(PCl3)、塩素(Cl2)、四臭化炭素(CBr4)など、その組成にハロゲン元素を含んでいる他の物質を用いることもできる。
【0053】
図7は第1の実施の形態の再成長工程の説明図である。
InGaAs熱変形防止層7の全部および回折格子の表層部の除去後は、CH3Clの導入を停止して気相エッチングを停止する。そして、これと同時に、MOCVD装置内の雰囲気を、PH3を含むH2雰囲気に替え、III族原料としてTMIを導入し、アンドープのInP埋め込み層9を形成する。InP成長は回折格子凸部の上方約30nmの位置で停止する。これにより、MQW活性層4に形成された回折格子は、InP埋め込み層9で埋め込まれて平坦化される。なお、回折格子の埋め込みにここではInPを用いたが、このほかInGaAsPも用いることができる。
【0054】
そして、このInP埋め込み層9の上に、アンドープのInGaAsP光ガイド層(組成波長1.1μm,厚さ100nm)10、p型InPクラッド層(厚さ2μm)11、p型InGaAsコンタクト層(厚さ0.5μm)12を順に成長する。
【0055】
最後に、図示しないが、電極として、n型InP基板1側にAuGeを、p型InGaAsコンタクト層12側にAu/Zn/Auを蒸着すると、波長1.3μm帯の利得結合DFBレーザの基本構造が完成する。
【0056】
以上の製造方法により、回折格子状のMQW活性層4の形状が保持され、かつ、非発光再結合中心のない良好な再成長界面が得られるようになる。したがって、設計通りの素子構造を実現することが可能になり、製造歩留まりが向上するようになる。さらに、再成長界面近傍に生じたエッチングダメージ6や、不純物偏析または熱ダメージ8などを除去することで、MQW活性層4の発光効率を向上させ、閾値電流の低減、高効率動作が図られ、素子特性が向上するようになる。
【0057】
次に、第2の実施の形態について説明する。
図8は第2の実施の形態に係る光半導体装置の製造フローを示す図である。
第2の実施の形態に係る光半導体装置の製造は、まず、半導体基板上の異なる導電性の一対のクラッド層間に形成されるべき活性層を下部のクラッド層上に成長した後、この活性層の上に、あらかじめ熱変形防止層およびこれを保護する保護層の積層構造を形成する(ステップS10)。熱変形防止層の材質としては、例えば半導体基板がInPの場合にはGaAsを用いることができ、保護層の材質としては、InPまたはInGaAsPを用いることができる。
【0058】
次いで、活性層の少なくとも一部を周期的にエッチングして回折格子を形成する(ステップS11)。回折格子の形成は、RIEなどのドライエッチングによって行うことができる。その場合、保護層および回折格子の表層部にはプラズマによるエッチングダメージが生じる。
【0059】
そして、このウェハを成長装置内に配置する(ステップS12)。その際、回折格子表面には、空気中の不純物が付着して不純物偏析が生じる。
次いで、成長装置内で、ウェハ温度を、回折格子上に形成する埋め込み層の形成温度である第2の温度まで昇温する(ステップS13)。第2の温度は、第1の実施の形態で述べたのと同様の理由から、550℃〜650℃、好ましくは590℃〜610℃の範囲内の温度に設定する。昇温時には、保護層および回折格子の表層部に熱ダメージが生じる。
【0060】
第2の温度まで昇温した後、この成長装置内で、熱変形防止層、保護層、および回折格子の表層部のエッチングダメージ、不純物偏析、熱ダメージを、気相エッチングにより除去する(ステップS14)。気相エッチングは、塩化メチル(CH3Cl)などのハロゲンガスをエッチングガスとして用いて、その熱分解で発生する活性種によってエッチングを行う。
【0061】
そして、このステップS14の後、再成長工程として、この成長装置内で、第2の温度で埋め込み層を形成し(ステップS15)、埋め込み層の形成後は、その上に、上部のクラッド層およびコンタクト層を形成する(ステップS16)。
【0062】
最後に、半導体基板側およびコンタクト層側にそれぞれ電極を形成し(ステップS17)、光半導体装置の基本構造を形成する。
このような光半導体装置の製造方法によれば、あらかじめ活性層上に熱変形防止層が形成されていることで、回折格子上に形成する埋め込み層の形成温度まで昇温しても、回折格子に熱変形が生じない。
【0063】
そして、回折格子の埋め込み層形成直前に、成長装置内で気相エッチングして熱変形防止層、保護層、エッチングダメージ、不純物偏析および熱ダメージを除去する。すなわち、あらかじめ形成した熱変形防止層によって埋め込み層形成温度まで回折格子の形状を保持することができ、この形成温度において埋め込み層形成直前に気相エッチングを行うことで、非発光再結合中心のない良好な再成長界面が得られる。
【0064】
さらに、この光半導体装置の製造方法では、気相エッチングを用いるため、再成長界面に新たなエッチングダメージを生じさせてしまうことがない。
また、例えば、活性層、埋め込み層をInGaAsP,InPでそれぞれ形成し、熱変形防止層をGaAsで形成する場合であっても、熱変形防止層をすべて気相エッチングで除去するので、エネルギーギャップに関する不具合が発生しない。したがって、活性層への正孔注入効率の低下を防止することができる。
【0065】
この第2の実施の形態に係る光半導体装置の製造方法を、利得結合DFBレーザの製造に適用した場合を例に、図9から図13を参照して具体的に説明する。
図9は第2の実施の形態の結晶成長工程の説明図である。
【0066】
まず、n型(100)InP基板20上に、n型InPバッファ層(厚さ0.5μm)21、アンドープのInGaAsP光ガイド層(組成波長1.1μm,厚さ100nm)22、アンドープのMQW活性層(厚さ150nm)23を成長する。これに続き、アンドープの第1のInP保護層(厚さ10nm)24、GaAs熱変形防止層(厚さ1nm)25、アンドープの第2のInP保護層(厚さ20nm)26を成長する。
【0067】
MQW活性層23は、アンドープのInGaAsP障壁層(組成波長1.1μm,厚さ10nm,歪量0%)の11層と、アンドープのInGaAsP井戸層(組成波長1.38μm,厚さ4nm,圧縮歪+0.8%)の10層とが、交互に積層されて構成される。
【0068】
図10は第2の実施の形態の回折格子形成工程の説明図である。
結晶成長工程後には、干渉露光とフォトリソグラフィを用いて、第2のInP保護層26上に周期200nmのレジスト回折格子パターンを形成する。光の導波方向は(011)方向とし、回折格子の長手方向は(01−1)方向に形成する。
【0069】
次いで、レジスト回折格子をマスクにして、第2のInP保護層26からMQW活性層23の上部6層のInGaAsP井戸層までを、C2H6/H2系RIEでドライエッチングする。その後、レジストマスクを剥離し、第2のInP保護層26表面からの深さが約115nmの回折格子状のMQW活性層23を形成する。
【0070】
この回折格子形成工程では、ドライエッチング時のプラズマにより、第2のInP保護層26およびMQW活性層23の表層部に厚さ10nm程度のエッチングダメージ27が生じる。
【0071】
図11は第2の実施の形態の昇温工程の説明図である。
回折格子状のMQW活性層23を形成した後、このウェハを硫酸(H2SO4)水溶液で洗浄してからMOCVD装置内に配置し、PH3を含むH2雰囲気中で、ウェハ温度を回折格子の埋め込み層形成温度である600℃に昇温する。
【0072】
その際、第2のInP保護層26およびMQW活性層23の表層部には、エッチングダメージ27に加え、ウェハのMOCVD装置内への移動時およびMOCVD装置での昇温時に、不純物偏析または熱ダメージ28が生じる。また、昇温中に第2のInP保護層26が回折格子凹部にマストランスポートすることがあるが、GaAs熱変形防止層25の存在により回折格子の熱変形は防止される。なお、図11はマストランスポートが生じた場合を図示しており、マストランスポート前の回折格子の形状を破線で示している。
【0073】
図12は第2の実施の形態の気相エッチング工程の説明図である。
昇温工程においてウェハ温度が600℃に達したら、MOCVD装置内の雰囲気をPH3とAsH3の少なくとも1種を含むH2雰囲気に替える。そして、これと同時に、CH3Clを導入し、回折格子凸部の第1,第2の保護層24,26およびGaAs熱変形防止層25、さらに回折格子の表層部を厚さ20nm程度気相エッチングする。これにより、再成長界面からエッチングダメージ27や不純物偏析または熱ダメージ28が除去された回折格子状のMQW活性層23が形成される。なお、図12では、気相エッチング前の回折格子形状を破線で示している。
【0074】
気相エッチングは、第1の実施の形態において述べたのと同様、回折格子の表層部に対して新たなエッチングダメージを生じさせることがなく、また、エッチングガスとして、HCl,PCl3,Cl2,CBr4などの他の物質も用いることができる。
【0075】
図13は第2の実施の形態の再成長工程の説明図である。
第1,第2の保護層24,26、GaAs熱変形防止層25および回折格子の表層部の除去後は、CH3Clの導入を停止して気相エッチングを停止する。そして、これと同時に、MOCVD装置内の雰囲気を、PH3を含むH2雰囲気に替え、III族原料としてTMIを導入し、アンドープのInP埋め込み層29を形成する。InP成長は回折格子凸部の上方約30nmの位置で停止して回折格子をInP埋め込み層29で埋め込み、平坦化する。なお、回折格子の埋め込みにここではInPを用いたが、このほかInGaAsPも用いることができる。
【0076】
そして、このInP埋め込み層29の上に、アンドープのInGaAsP光ガイド層(組成波長1.1μm,厚さ100nm)30、p型InPクラッド層(厚さ2μm)31、およびp型InGaAsコンタクト層(厚さ0.5μm)32を順に成長する。
【0077】
最後に、図示しないが、電極として、n型InP基板20側にAuGeを、p型InGaAsコンタクト層32側にAu/Zn/Auを蒸着すると、波長1.3μm帯の利得結合DFBレーザの基本構造が完成する。
【0078】
以上の製造方法により、回折格子状のMQW活性層23の形状が保持され、かつ、非発光再結合中心のない良好な再成長界面が得られる。したがって、設計通りの素子構造を実現でき、製造歩留まりが向上するようになる。さらに、再成長界面近傍のエッチングダメージ27や不純物偏析または熱ダメージ28を除去することで、MQW活性層23の発光効率を向上させることができる。また、GaAs熱変形防止層25を気相エッチングですべて除去するので、MQW活性層23への正孔注入効率の低下を防止することができる。
【0079】
なお、以上の説明において、MQW活性層4,23に形成する回折格子の長手方向は(01−1)方向としたが、これに限定するものではなく、例えば直交方向である(011)方向にしてもよい。
【0080】
また、MQW活性層4,23に形成する回折格子の周期を200nmとしたが、波長1.55μm帯で発振する利得結合DFBレーザを製造する場合には、回折格子の周期が240nmになるように形成すればよい。
【0081】
また、回折格子はRIEなどのドライエッチングによって形成したが、この回折格子の形成をウェットエッチングによって行ってもよい。このウェットエッチングによってエッチングダメージが生じた場合も、その後の気相エッチングによりこれを除去することができる。
【0082】
また、第1,第2の温度は、上記の例に限定されるものではなく、熱変形防止層や回折格子上に形成する埋め込み層、あるいは気相エッチング条件(エッチングガスや温度など)などに応じて適当に設定することができる。
【0083】
また、以上の説明では、回折格子形状はMQW活性層4,23の一部をエッチングする構造としたが、回折格子の凹部に相当する部分のMQW活性層4,23を全部エッチングした貫通型の回折格子とすることもできる。
【0084】
また、以上の説明において活性層はMQW活性層としたが、1つの厚い層で形成されたバルク活性層であってもよい。
【0085】
【発明の効果】
以上説明したように本発明では、活性層に回折格子を形成してウェハを成長装置内に配置し、回折格子表面に第1の温度で熱変形防止層を形成してから第2の温度で熱変形防止層および回折格子の表層部を除去した後、回折格子を埋め込む。これにより、回折格子の形状を保持でき、設計通りの素子構造を実現できるので、光半導体装置の製造歩留まりを向上させることができる。さらに、良好な再成長界面が得られるので、活性層の発光効率を向上でき、閾値電流の低減や高効率動作を実現でき、光半導体装置の信頼性向上をも図ることができる。
【0086】
また、本発明では、活性層上に熱変形防止層および保護層を形成してから回折格子を形成し、その後、ウェハを成長装置内に配置して埋め込み層の形成温度で熱変形防止層、保護層および回折格子の表層部を除去し、回折格子を埋め込む。これにより、回折格子の変形が防止されるとともに、良好な再成長界面が得られる。これにより、光半導体装置の製造歩留まりの向上、発光効率などの特性向上、および信頼性向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態に係る光半導体装置の製造フローを示す図である。
【図2】第1の実施の形態の結晶成長工程の説明図である。
【図3】第1の実施の形態の回折格子形成工程の説明図である。
【図4】第1の実施の形態の熱変形防止層形成工程の説明図である。
【図5】第1の実施の形態の昇温工程の説明図である。
【図6】第1の実施の形態の気相エッチング工程の説明図である。
【図7】第1の実施の形態の再成長工程の説明図である。
【図8】第2の実施の形態に係る光半導体装置の製造フローを示す図である。
【図9】第2の実施の形態の結晶成長工程の説明図である。
【図10】第2の実施の形態の回折格子形成工程の説明図である。
【図11】第2の実施の形態の昇温工程の説明図である。
【図12】第2の実施の形態の気相エッチング工程の説明図である。
【図13】第2の実施の形態の再成長工程の説明図である。
【図14】結晶成長工程の説明図である。
【図15】回折格子形成工程の説明図である。
【図16】エッチングダメージ除去工程の説明図である。
【図17】回折格子埋め込み前の昇温工程の説明図である。
【図18】埋め込み層形成工程およびその後の再成長工程の説明図である。
【図19】回折格子熱変形防止方法の一例の説明図である。
【図20】回折格子熱変形防止方法の他の例の説明図である。
【符号の説明】
1,20 n型InP基板
2,21 n型InPバッファ層
3,10,22,30 InGaAsP光ガイド層
4,23 MQW活性層
5 InP保護層
6,27 エッチングダメージ
7 InGaAs熱変形防止層
8,28 不純物偏析または熱ダメージ
9,29 InP埋め込み層
11,31 p型InPクラッド層
12,32 p型InGaAsコンタクト層
24 第1のInP保護層
25 GaAs熱変形防止層
26 第2のInP保護層
【発明の属する技術分野】
本発明は光半導体装置の製造方法に関し、特に内部に回折格子を有して一定波長の光を帰還発振する光半導体装置の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
急速なインターネットの普及や情報技術の進展に伴い、光通信用光源として用いられる光半導体装置には更なる高性能化と低コスト化が求められている。こうした背景の中で、光半導体装置の活性層に回折格子を形成することによって光の導波方向に利得を周期的に変調させたDFB(Distributed Feedback)レーザ(以下「利得結合DFBレーザ」という)が注目されてきている。利得結合DFBレーザは、高い単一波長性と高出力動作を両立でき、かつ、反射戻り光耐性が強い、といった特徴を有している。
【0003】
このような利得結合DFBレーザの製造は、通常、その結晶成長に有機金属気相成長(Metal Organic Chemical Vapor Deposition,MOCVD)法を用いて行われる。ここで、従来の波長1.3μm帯の利得結合DFBレーザの製造方法の一例を図14から図18を参照して説明する。
【0004】
図14は結晶成長工程の説明図である。
まず、n型InP基板100上に、n型InPバッファ層(厚さ0.5μm)101、アンドープのInGaAsP光ガイド層(組成波長1.1μm,厚さ100nm)102を成長する。これに続いて、アンドープの多重量子井戸(Multiple Quantum Well,MQW)活性層(厚さ150nm)103、およびアンドープのInP保護層(厚さ20nm)104を成長する。
【0005】
MQW活性層103は、例えばアンドープのInGaAsP障壁層(組成波長1.1μm,厚さ10nm)の11層と、アンドープのInGaAsP井戸層(組成波長1.38μm,厚さ4nm)の10層とが、交互に積層されて構成される。
【0006】
図15は回折格子形成工程の説明図である。
結晶成長後には、干渉露光とフォトリソグラフィを用いて、InP保護層104上に、周期200nmのレジスト回折格子パターンを形成する。回折格子の長手方向は、例えば、(01−1)方向にする。
【0007】
次いで、レジスト回折格子をマスクにしてInP保護層104およびMQW活性層103の一部を反応性イオンエッチング(Reactive Ion Etching,RIE)などのドライエッチングにより除去する。例えばMQW活性層103のうち上部6層のInGaAsP井戸層をエッチングしてレジストマスクを剥離すると、InP保護層104表面からの深さが約100nmの回折格子状のMQW活性層103が形成されるようになる。
【0008】
この回折格子形成工程では、MQW活性層103の表層部に、ドライエッチング時のプラズマによるエッチングダメージ105が生じる。
図16はエッチングダメージ除去工程の説明図である。
【0009】
回折格子形成工程で生じた図15に示したエッチングダメージ105は、MQW活性層103の表層部をウェットエッチングすることによって除去する。このエッチングダメージ105の除去後に、MQW活性層103上に埋め込み層を形成し、回折格子を埋め込む。なお、図16では、ウェットエッチング前の回折格子形状を破線で示している。
【0010】
図17は回折格子埋め込み前の昇温工程の説明図である。
回折格子の埋め込み前には、まず、このウェハをMOCVD装置内に配置し、V族ガスとしてフォスフィン(PH3)およびアルシン(AsH3)のうちの少なくとも1種を含むH2雰囲気中で、ウェハ温度を回折格子の埋め込み層の形成温度(例えば600℃)まで昇温する。
【0011】
ここで、MQW活性層103の回折格子表面には、エッチングダメージ除去工程でのウェットエッチング後にウェハをMOCVD装置へ移動する際、空気中の酸素、炭素、シリコンなどの不純物が高濃度に偏析し得る。また、この昇温工程における昇温中は、熱が加えられることによって回折格子の表層部にダメージが生じ得る。このように、昇温工程後には、回折格子の表層部に、不純物偏析または熱ダメージ106が生じるようになる。さらに、この昇温工程では、回折格子の凸部の角から凹部へのマストランスポートによって回折格子に熱変形が生じ易い。したがって、昇温工程後には、このような回折格子上に埋め込み層が形成されることになる。
【0012】
図18は埋め込み層形成工程およびその後の再成長工程の説明図である。
昇温工程においてウェハ温度が埋め込み層の形成温度に達したら、アンドープのInP層107を形成し、回折格子状のMQW活性層103を埋め込む。そして、その上に、アンドープのInGaAsP光ガイド層(組成波長1.1μm,厚さ100nm)108、p型InPクラッド層(厚さ2μm)109、p型InGaAsコンタクト層(厚さ0.5μm)110を順に成長する。
【0013】
この再成長工程の後、図示しないが、電極として、n型InP基板側にAuGeを、p型InGaAsコンタクト層側にAu/Zn/Auを蒸着し、波長1.3μm帯の利得結合DFBレーザの基本構造を形成する。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の製造方法では、回折格子上への埋め込み層形成前にウェットエッチングによってエッチングダメージを除去しても、このウェハをMOCVD装置へ移動する間に、その後の再成長界面となる回折格子表面に不純物偏析が生じるため、これが非発光再結合中心となって活性層の発光効率が低下するという問題点があった。
【0015】
さらに、従来の製造方法では、再成長時にウェハ表面からのP原子やAs原子の蒸発を防止する目的で、PH3やAsH3を含むH2雰囲気中でウェハを埋め込み層の形成温度まで昇温するが、その条件が適切でないと、再成長界面に例えばAs/P置換による欠陥が発生し、活性層の発光効率の低下を招くという問題点もあった。
【0016】
このような再成長界面における不純物偏析やAs/P置換による欠陥の発生などの現象により、従来の製造方法では、高い発光効率の活性層を実現するのが困難であった。勿論、この問題は、RIEなどのドライエッチングに替えてウェットエッチングのみで活性層に回折格子を形成した場合にも生じる。
【0017】
また、一般に、回折格子を利用した光半導体装置では、光と回折格子との結合係数が、素子中の光の伝播特性を決定する重要なパラメータであり、これを制御する必要がある。しかし、従来の製造方法では、回折格子上への埋め込み層形成前に埋め込み層の形成温度まで昇温する際、マストランスポートによって回折格子が熱変形し易いため、パラメータの制御が困難になるという問題点があった。
【0018】
このような回折格子の熱変形を防止する方法としては、例えば、非常に薄いGaAs層やInGaAs層を熱変形防止層として用いる方法が開示されている(特開平3−179731号公報)。
【0019】
図19は回折格子熱変形防止方法の一例の説明図である。図19に示すように、InP回折格子基板200上に、回折格子が熱変形しない温度で、GaAsあるいはInGaAsの熱変形防止層201を形成する。そして、このInP回折格子基板200の温度を、回折格子上に形成する埋め込み層の形成温度まで昇温する。この熱変形防止層201により、InP回折格子基板200の回折格子はその熱変形が防止されるようになる。
【0020】
しかし、この方法を利得結合DFBレーザの製造にそのまま適用した場合には次に示すような問題が生じる。
まず、第1の問題としては、熱変形防止層にGaAsを用いた場合に、利得結合DFBレーザのように深い回折格子が形成されている表面を、格子不整合の大きいGaAsで良好に被覆することは困難であるという点が挙げられる。臨界膜厚より厚くなる部位が存在すると、そこからミスフィット転位が発生し、埋め込み層の結晶性や活性層の発光効率を低下させてしまう。また、臨界膜厚より薄くても、熱変形防止層のGaAsは埋め込み層のInPや活性層のInGaAsPよりもバンドギャップが大きいため、活性層への正孔注入効率を低下させてしまう。
【0021】
そして、第2の問題としては、熱変形防止層にInGaAsを用いた場合に、条件によってはInGaAsが活性層よりもバンドギャップが小さくなるため、熱変形防止層が誘導放出光の吸収損失領域となり、レーザ発振の閾値電流を増大させてしまうという点が挙げられる。
【0022】
また、図20は回折格子熱変形防止方法の他の例の説明図である。熱変形防止の他の手段として、InP基板202上に形成された回折格子形成層203の回折格子上の保護層204中に、あらかじめ薄膜のGaAs層を熱変形防止層205として挿入しておく方法がある(特開平2001−168455)。
【0023】
しかし、この方法を利得結合DFBレーザの製造に適用すると、回折格子の変形は防止されるものの、再成長界面への不純物偏析や昇温時の熱ダメージによる活性層の発光効率の低下は依然として解消されない。
【0024】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、活性層に形成された回折格子の変形を防止し、かつ、活性層の発光効率の低下を招く要因を除去することのできる光半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【0025】
【課題を解決するための手段】
本発明では上記課題を解決するために、図1に示す製造フローによって実現可能な光半導体装置の製造方法が提供される。本発明の光半導体装置の製造方法は、半導体基板上の異なる導電性の一対のクラッド層間に活性層を有し、活性層の一部が光の導波方向に対して周期的にエッチングされた回折格子を備えた光半導体装置の製造方法において、活性層に回折格子を形成したウェハを成長装置内に配置し、前記回折格子の表面に前記回折格子の変形を防止するための熱変形防止層を第1の温度で形成する工程と、前記成長装置内で、前記回折格子を埋め込む埋め込み層の形成温度である第2の温度で前記熱変形防止層と前記回折格子の表層部とを除去する工程と、前記成長装置により前記第2の温度で前記埋め込み層を形成する工程と、を有することを特徴とする。
【0026】
このような光半導体装置の製造方法では、活性層に回折格子を形成して(ステップS1)、このウェハを成長装置内に配置し(ステップS2)、その中で、第1の温度で回折格子表面に熱変形防止層を形成した後(ステップS3)、第2の温度にする(ステップS4)。そのため、第2の温度で、あるいは第2の温度に達するまでに回折格子の変形が生じない。さらに、同じ成長装置内で第2の温度で、気相エッチングなどの方法を用いて、熱変形防止層および回折格子の表層部を除去した後(ステップS5)、回折格子の埋め込み層を形成する(ステップS6)。これにより、回折格子の表層部に生じたエッチングダメージ、不純物偏析、昇温時の熱ダメージなどが除去され、清浄な状態のままその上に埋め込み層が形成される。
【0027】
また、本発明では、半導体基板上の異なる導電性の一対のクラッド層間に活性層を有し、活性層の一部が光の導波方向に対して周期的にエッチングされた回折格子を備えた光半導体装置の製造方法において、活性層上に、前記活性層に形成される回折格子の変形を防止するための熱変形防止層と前記熱変形防止層を保護する保護層とを形成する工程と、前記熱変形防止層と前記保護層とが形成された前記活性層に前記回折格子を形成する工程と、前記活性層に前記回折格子が形成されたウェハを成長装置内に配置し、前記成長装置内で、前記回折格子を埋め込む埋め込み層の形成温度で、前記熱変形防止層と前記保護層と前記回折格子の表層部とを除去する工程と、前記成長装置により前記形成温度で前記埋め込み層を形成する工程と、を有することを特徴とする光半導体装置の製造方法が提供される。
【0028】
このような光半導体装置の製造方法によれば、あらかじめ活性層上に熱変形防止層が形成されていることで、埋め込み層の形成温度で、あるいは形成温度に達するまでに、回折格子の熱変形は生じない。さらに、埋め込み層の形成前に成長装置内で熱変形防止層、保護層および回折格子の表層部が除去され、清浄な状態のままその上に埋め込み層が形成される。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
まず、第1の実施の形態について説明する。
【0030】
図1は第1の実施の形態に係る光半導体装置の製造フローを示す図である。
第1の実施の形態に係る光半導体装置の製造は、まず、半導体基板上の異なる導電性の一対のクラッド層間に形成されるべき活性層を下部のクラッド層上に成長した後、この活性層の少なくとも一部を周期的にエッチングして回折格子を形成する(ステップS1)。回折格子の形成は、RIEなどの通常のドライエッチングによって行うことができる。その場合、回折格子の表層部にはプラズマによるエッチングダメージが生じる。
【0031】
次いで、回折格子形成後のウェハを、各層の形成に用いる成長装置内に配置する(ステップS2)。成長装置内にウェハを配置する際には、ウェハの移動に伴い、回折格子表面に空気中の酸素、炭素、シリコンなどの不純物が付着した不純物偏析が生じる。
【0032】
次いで、この成長装置内で、回折格子が変形しない第1の温度で、回折格子表面に熱変形防止層を形成する(ステップS3)。熱変形防止層の材質としては、例えば半導体基板がInPの場合にはGaAsまたはInGaAsを用いることができ、第1の温度として300℃〜450℃の範囲内の温度を設定することができる。第1の温度は、形成する熱変形防止層の材質に応じて設定する。また、熱変形防止層の形成においては、熱が加えられることで回折格子の表層部に多少の熱ダメージが生じる。
【0033】
次いで、表面に熱変形防止層が形成された回折格子を埋め込むため、同じ成長装置内で、ウェハ温度を、回折格子上に形成する埋め込み層の形成温度である第2の温度まで昇温する(ステップS4)。この第2の温度は550℃〜650℃、好ましくは590℃〜610℃の範囲内の温度に設定する。550℃を下回る温度では埋め込み層を良好に成長させることができず、一方、650℃を上回る温度では熱変形防止層自体を熱変形させてしまう可能性が生じるためである。
【0034】
第2の温度まで昇温した後、この成長装置内で、熱変形防止層の全部と回折格子の表層部のエッチングダメージ、不純物偏析、熱ダメージを、気相エッチングにより除去する(ステップS5)。この気相エッチングは、塩化メチル(CH3Cl)など、その組成にハロゲン元素を含んでいる物質をエッチングガスとして成長装置内に導入し、このエッチングガスの熱分解で発生する活性種によってエッチングを行うものである。
【0035】
そして、このステップS5の後、再成長工程としてこの成長装置内で、第2の温度で埋め込み層を形成し(ステップS6)、埋め込み層形成後は、その上に、上部のクラッド層およびコンタクト層を形成する(ステップS7)。
【0036】
最後に、半導体基板側およびコンタクト層側にそれぞれ電極を形成し(ステップS8)、光半導体装置の基本構造を形成する。
このような光半導体装置の製造方法によれば、回折格子が熱変形しない第1の温度で回折格子表面を熱変形防止層で被覆し、その後に回折格子上に形成する埋め込み層の形成温度まで昇温するため、この昇温によっても回折格子の熱変形は生じない。
【0037】
そして、この第1の実施の形態の製造方法において注目すべきは、埋め込み層形成直前に、成長装置内で気相エッチングを行う点である。すなわち、回折格子表面を熱変形防止層で被覆することで、回折格子の形状を保持したまま形成温度まで昇温することができる。そして、この形成温度において埋め込み層形成直前に気相エッチングを行い、熱変形防止層、エッチングダメージ、不純物偏析および熱ダメージを除去するので、非発光再結合中心のない良好な再成長界面に埋め込み層を形成することができる。
【0038】
さらに、この製造方法では、熱分解で生じた活性種を利用した気相エッチングを行うため、再成長界面に新たなエッチングダメージを生じさせてしまうことがほとんどない。
【0039】
このようにMOCVD装置内で埋め込み層形成直前に気相エッチングを行うことで、MOCVD装置外でウェットエッチングを行った場合に比べて、活性層のフォトルミネッセンス強度を約30%増加させることができる。
【0040】
また、この製造方法においては、特に、半導体基板がInPの場合に熱変形防止層としてInPと格子整合できるInGaAsを用いると、回折格子が深い場合でも、その回折格子表面を良好に被覆することができる。
【0041】
この第1の実施の形態に係る光半導体装置の製造方法を、利得結合DFBレーザの製造に適用した場合を例に、図2から図7を参照して具体的に説明する。
ここで、利得結合DFBレーザを構成する各層の形成に必要な結晶成長は、原料にトリメチルインジウム(TMI)、トリエチルガリウム(TEG)、PH3、AsH3、シラン(SiH4)、ジエチル亜鉛(DEZ)を用いたMOCVD法により行う。利得結合DFBレーザの製造において、成長装置としてはMOCVD装置を使用する。以下、各製造工程を順を追って説明する。
【0042】
図2は第1の実施の形態の結晶成長工程の説明図である。
まず、n型(100)InP基板1上に、n型InPバッファ層(厚さ0.5μm)2、アンドープのInGaAsP光ガイド層(組成波長1.1μm,厚さ100nm)3を成長する。これに続き、アンドープのMQW活性層(厚さ150nm)4、およびアンドープのInP保護層(厚さ20nm)5を成長する。
【0043】
MQW活性層4は、アンドープのInGaAsP障壁層(組成波長1.1μm,厚さ10nm,歪量0%)の11層と、アンドープのInGaAsP井戸層(組成波長1.38μm,厚さ4nm,圧縮歪+0.8%)の10層とが、交互に積層されて構成される。
【0044】
図3は第1の実施の形態の回折格子形成工程の説明図である。
結晶成長工程後には、干渉露光とフォトリソグラフィを用い、InP保護層5上に、周期200nmのレジスト回折格子パターンを形成する。光の導波方向は(011)方向とし、回折格子の長手方向は(01−1)方向に形成する。
【0045】
次いで、レジスト回折格子をマスクにしてInP保護層5およびMQW活性層4のうち上部6層のInGaAsP井戸層を、C2H6/H2系RIEでドライエッチングする。その後、レジストマスクを剥離し、InP保護層5表面からの深さが約100nmの回折格子状のMQW活性層4を形成する。
【0046】
この回折格子形成工程では、ドライエッチング時のプラズマにより、MQW活性層4の表層部に深さ約10nmのエッチングダメージ6が生じる。
図4は第1の実施の形態の熱変形防止層形成工程の説明図である。
【0047】
回折格子状のMQW活性層4を形成した後、このウェハを硫酸(H2SO4)水溶液で洗浄してからMOCVD装置内に配置し、PH3を含むH2雰囲気中で、ウェハ温度を第1の温度である400℃まで昇温する。
【0048】
400℃に達したら、V族ガスをPH3からAsH3に切り替え、同時にIII族原料としてTMIとTEGを供給し、MQW活性層4の回折格子上にInGaAs熱変形防止層7を形成する。InGaAs熱変形防止層7の膜厚は、回折格子凹部で約10nmになるように成長時間を制御する。
【0049】
また、このとき、回折格子の表層部には、エッチングダメージ6に加え、ウェハのMOCVD装置内への移動時またはMOCVD装置での昇温時に、不純物偏析または熱ダメージ8が生じる。
【0050】
図5は第1の実施の形態の昇温工程の説明図である。
MQW活性層4に形成した回折格子を埋め込む前に、まず、MOCVD装置内を、AsH3を含むH2雰囲気とし、回折格子上に形成する埋め込み層の形成温度である第2の温度600℃まで昇温する。
【0051】
図6は第1の実施の形態の気相エッチング工程の説明図である。
ウェハ温度が600℃に達したら、まず、MOCVD装置内の雰囲気をPH3およびAsH3のうちの少なくとも1種を含むH2雰囲気に替える。そして、これと同時に、エッチングガスとして塩化メチル(CH3Cl)を導入し、InGaAs熱変形防止層7の全部および回折格子の表層部の厚さ20nm程度を気相エッチングにより除去する。これにより、再成長界面からエッチングダメージ6や、不純物偏析または熱ダメージ8が除去された回折格子状のMQW活性層4が形成される。なお、図6では、気相エッチング前のInGaAs熱変形防止層および回折格子形状を破線で示している。
【0052】
気相エッチングは、エッチングガスの熱分解で発生する活性種によってエッチングを行うため、プラズマの場合と異なり、回折格子の表層部に対して新たなエッチングダメージが生じることはない。この気相エッチングに用いるエッチングガスとしては、上記のCH3Clのほか、塩化水素(HCl)、塩化リン(PCl3)、塩素(Cl2)、四臭化炭素(CBr4)など、その組成にハロゲン元素を含んでいる他の物質を用いることもできる。
【0053】
図7は第1の実施の形態の再成長工程の説明図である。
InGaAs熱変形防止層7の全部および回折格子の表層部の除去後は、CH3Clの導入を停止して気相エッチングを停止する。そして、これと同時に、MOCVD装置内の雰囲気を、PH3を含むH2雰囲気に替え、III族原料としてTMIを導入し、アンドープのInP埋め込み層9を形成する。InP成長は回折格子凸部の上方約30nmの位置で停止する。これにより、MQW活性層4に形成された回折格子は、InP埋め込み層9で埋め込まれて平坦化される。なお、回折格子の埋め込みにここではInPを用いたが、このほかInGaAsPも用いることができる。
【0054】
そして、このInP埋め込み層9の上に、アンドープのInGaAsP光ガイド層(組成波長1.1μm,厚さ100nm)10、p型InPクラッド層(厚さ2μm)11、p型InGaAsコンタクト層(厚さ0.5μm)12を順に成長する。
【0055】
最後に、図示しないが、電極として、n型InP基板1側にAuGeを、p型InGaAsコンタクト層12側にAu/Zn/Auを蒸着すると、波長1.3μm帯の利得結合DFBレーザの基本構造が完成する。
【0056】
以上の製造方法により、回折格子状のMQW活性層4の形状が保持され、かつ、非発光再結合中心のない良好な再成長界面が得られるようになる。したがって、設計通りの素子構造を実現することが可能になり、製造歩留まりが向上するようになる。さらに、再成長界面近傍に生じたエッチングダメージ6や、不純物偏析または熱ダメージ8などを除去することで、MQW活性層4の発光効率を向上させ、閾値電流の低減、高効率動作が図られ、素子特性が向上するようになる。
【0057】
次に、第2の実施の形態について説明する。
図8は第2の実施の形態に係る光半導体装置の製造フローを示す図である。
第2の実施の形態に係る光半導体装置の製造は、まず、半導体基板上の異なる導電性の一対のクラッド層間に形成されるべき活性層を下部のクラッド層上に成長した後、この活性層の上に、あらかじめ熱変形防止層およびこれを保護する保護層の積層構造を形成する(ステップS10)。熱変形防止層の材質としては、例えば半導体基板がInPの場合にはGaAsを用いることができ、保護層の材質としては、InPまたはInGaAsPを用いることができる。
【0058】
次いで、活性層の少なくとも一部を周期的にエッチングして回折格子を形成する(ステップS11)。回折格子の形成は、RIEなどのドライエッチングによって行うことができる。その場合、保護層および回折格子の表層部にはプラズマによるエッチングダメージが生じる。
【0059】
そして、このウェハを成長装置内に配置する(ステップS12)。その際、回折格子表面には、空気中の不純物が付着して不純物偏析が生じる。
次いで、成長装置内で、ウェハ温度を、回折格子上に形成する埋め込み層の形成温度である第2の温度まで昇温する(ステップS13)。第2の温度は、第1の実施の形態で述べたのと同様の理由から、550℃〜650℃、好ましくは590℃〜610℃の範囲内の温度に設定する。昇温時には、保護層および回折格子の表層部に熱ダメージが生じる。
【0060】
第2の温度まで昇温した後、この成長装置内で、熱変形防止層、保護層、および回折格子の表層部のエッチングダメージ、不純物偏析、熱ダメージを、気相エッチングにより除去する(ステップS14)。気相エッチングは、塩化メチル(CH3Cl)などのハロゲンガスをエッチングガスとして用いて、その熱分解で発生する活性種によってエッチングを行う。
【0061】
そして、このステップS14の後、再成長工程として、この成長装置内で、第2の温度で埋め込み層を形成し(ステップS15)、埋め込み層の形成後は、その上に、上部のクラッド層およびコンタクト層を形成する(ステップS16)。
【0062】
最後に、半導体基板側およびコンタクト層側にそれぞれ電極を形成し(ステップS17)、光半導体装置の基本構造を形成する。
このような光半導体装置の製造方法によれば、あらかじめ活性層上に熱変形防止層が形成されていることで、回折格子上に形成する埋め込み層の形成温度まで昇温しても、回折格子に熱変形が生じない。
【0063】
そして、回折格子の埋め込み層形成直前に、成長装置内で気相エッチングして熱変形防止層、保護層、エッチングダメージ、不純物偏析および熱ダメージを除去する。すなわち、あらかじめ形成した熱変形防止層によって埋め込み層形成温度まで回折格子の形状を保持することができ、この形成温度において埋め込み層形成直前に気相エッチングを行うことで、非発光再結合中心のない良好な再成長界面が得られる。
【0064】
さらに、この光半導体装置の製造方法では、気相エッチングを用いるため、再成長界面に新たなエッチングダメージを生じさせてしまうことがない。
また、例えば、活性層、埋め込み層をInGaAsP,InPでそれぞれ形成し、熱変形防止層をGaAsで形成する場合であっても、熱変形防止層をすべて気相エッチングで除去するので、エネルギーギャップに関する不具合が発生しない。したがって、活性層への正孔注入効率の低下を防止することができる。
【0065】
この第2の実施の形態に係る光半導体装置の製造方法を、利得結合DFBレーザの製造に適用した場合を例に、図9から図13を参照して具体的に説明する。
図9は第2の実施の形態の結晶成長工程の説明図である。
【0066】
まず、n型(100)InP基板20上に、n型InPバッファ層(厚さ0.5μm)21、アンドープのInGaAsP光ガイド層(組成波長1.1μm,厚さ100nm)22、アンドープのMQW活性層(厚さ150nm)23を成長する。これに続き、アンドープの第1のInP保護層(厚さ10nm)24、GaAs熱変形防止層(厚さ1nm)25、アンドープの第2のInP保護層(厚さ20nm)26を成長する。
【0067】
MQW活性層23は、アンドープのInGaAsP障壁層(組成波長1.1μm,厚さ10nm,歪量0%)の11層と、アンドープのInGaAsP井戸層(組成波長1.38μm,厚さ4nm,圧縮歪+0.8%)の10層とが、交互に積層されて構成される。
【0068】
図10は第2の実施の形態の回折格子形成工程の説明図である。
結晶成長工程後には、干渉露光とフォトリソグラフィを用いて、第2のInP保護層26上に周期200nmのレジスト回折格子パターンを形成する。光の導波方向は(011)方向とし、回折格子の長手方向は(01−1)方向に形成する。
【0069】
次いで、レジスト回折格子をマスクにして、第2のInP保護層26からMQW活性層23の上部6層のInGaAsP井戸層までを、C2H6/H2系RIEでドライエッチングする。その後、レジストマスクを剥離し、第2のInP保護層26表面からの深さが約115nmの回折格子状のMQW活性層23を形成する。
【0070】
この回折格子形成工程では、ドライエッチング時のプラズマにより、第2のInP保護層26およびMQW活性層23の表層部に厚さ10nm程度のエッチングダメージ27が生じる。
【0071】
図11は第2の実施の形態の昇温工程の説明図である。
回折格子状のMQW活性層23を形成した後、このウェハを硫酸(H2SO4)水溶液で洗浄してからMOCVD装置内に配置し、PH3を含むH2雰囲気中で、ウェハ温度を回折格子の埋め込み層形成温度である600℃に昇温する。
【0072】
その際、第2のInP保護層26およびMQW活性層23の表層部には、エッチングダメージ27に加え、ウェハのMOCVD装置内への移動時およびMOCVD装置での昇温時に、不純物偏析または熱ダメージ28が生じる。また、昇温中に第2のInP保護層26が回折格子凹部にマストランスポートすることがあるが、GaAs熱変形防止層25の存在により回折格子の熱変形は防止される。なお、図11はマストランスポートが生じた場合を図示しており、マストランスポート前の回折格子の形状を破線で示している。
【0073】
図12は第2の実施の形態の気相エッチング工程の説明図である。
昇温工程においてウェハ温度が600℃に達したら、MOCVD装置内の雰囲気をPH3とAsH3の少なくとも1種を含むH2雰囲気に替える。そして、これと同時に、CH3Clを導入し、回折格子凸部の第1,第2の保護層24,26およびGaAs熱変形防止層25、さらに回折格子の表層部を厚さ20nm程度気相エッチングする。これにより、再成長界面からエッチングダメージ27や不純物偏析または熱ダメージ28が除去された回折格子状のMQW活性層23が形成される。なお、図12では、気相エッチング前の回折格子形状を破線で示している。
【0074】
気相エッチングは、第1の実施の形態において述べたのと同様、回折格子の表層部に対して新たなエッチングダメージを生じさせることがなく、また、エッチングガスとして、HCl,PCl3,Cl2,CBr4などの他の物質も用いることができる。
【0075】
図13は第2の実施の形態の再成長工程の説明図である。
第1,第2の保護層24,26、GaAs熱変形防止層25および回折格子の表層部の除去後は、CH3Clの導入を停止して気相エッチングを停止する。そして、これと同時に、MOCVD装置内の雰囲気を、PH3を含むH2雰囲気に替え、III族原料としてTMIを導入し、アンドープのInP埋め込み層29を形成する。InP成長は回折格子凸部の上方約30nmの位置で停止して回折格子をInP埋め込み層29で埋め込み、平坦化する。なお、回折格子の埋め込みにここではInPを用いたが、このほかInGaAsPも用いることができる。
【0076】
そして、このInP埋め込み層29の上に、アンドープのInGaAsP光ガイド層(組成波長1.1μm,厚さ100nm)30、p型InPクラッド層(厚さ2μm)31、およびp型InGaAsコンタクト層(厚さ0.5μm)32を順に成長する。
【0077】
最後に、図示しないが、電極として、n型InP基板20側にAuGeを、p型InGaAsコンタクト層32側にAu/Zn/Auを蒸着すると、波長1.3μm帯の利得結合DFBレーザの基本構造が完成する。
【0078】
以上の製造方法により、回折格子状のMQW活性層23の形状が保持され、かつ、非発光再結合中心のない良好な再成長界面が得られる。したがって、設計通りの素子構造を実現でき、製造歩留まりが向上するようになる。さらに、再成長界面近傍のエッチングダメージ27や不純物偏析または熱ダメージ28を除去することで、MQW活性層23の発光効率を向上させることができる。また、GaAs熱変形防止層25を気相エッチングですべて除去するので、MQW活性層23への正孔注入効率の低下を防止することができる。
【0079】
なお、以上の説明において、MQW活性層4,23に形成する回折格子の長手方向は(01−1)方向としたが、これに限定するものではなく、例えば直交方向である(011)方向にしてもよい。
【0080】
また、MQW活性層4,23に形成する回折格子の周期を200nmとしたが、波長1.55μm帯で発振する利得結合DFBレーザを製造する場合には、回折格子の周期が240nmになるように形成すればよい。
【0081】
また、回折格子はRIEなどのドライエッチングによって形成したが、この回折格子の形成をウェットエッチングによって行ってもよい。このウェットエッチングによってエッチングダメージが生じた場合も、その後の気相エッチングによりこれを除去することができる。
【0082】
また、第1,第2の温度は、上記の例に限定されるものではなく、熱変形防止層や回折格子上に形成する埋め込み層、あるいは気相エッチング条件(エッチングガスや温度など)などに応じて適当に設定することができる。
【0083】
また、以上の説明では、回折格子形状はMQW活性層4,23の一部をエッチングする構造としたが、回折格子の凹部に相当する部分のMQW活性層4,23を全部エッチングした貫通型の回折格子とすることもできる。
【0084】
また、以上の説明において活性層はMQW活性層としたが、1つの厚い層で形成されたバルク活性層であってもよい。
【0085】
【発明の効果】
以上説明したように本発明では、活性層に回折格子を形成してウェハを成長装置内に配置し、回折格子表面に第1の温度で熱変形防止層を形成してから第2の温度で熱変形防止層および回折格子の表層部を除去した後、回折格子を埋め込む。これにより、回折格子の形状を保持でき、設計通りの素子構造を実現できるので、光半導体装置の製造歩留まりを向上させることができる。さらに、良好な再成長界面が得られるので、活性層の発光効率を向上でき、閾値電流の低減や高効率動作を実現でき、光半導体装置の信頼性向上をも図ることができる。
【0086】
また、本発明では、活性層上に熱変形防止層および保護層を形成してから回折格子を形成し、その後、ウェハを成長装置内に配置して埋め込み層の形成温度で熱変形防止層、保護層および回折格子の表層部を除去し、回折格子を埋め込む。これにより、回折格子の変形が防止されるとともに、良好な再成長界面が得られる。これにより、光半導体装置の製造歩留まりの向上、発光効率などの特性向上、および信頼性向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態に係る光半導体装置の製造フローを示す図である。
【図2】第1の実施の形態の結晶成長工程の説明図である。
【図3】第1の実施の形態の回折格子形成工程の説明図である。
【図4】第1の実施の形態の熱変形防止層形成工程の説明図である。
【図5】第1の実施の形態の昇温工程の説明図である。
【図6】第1の実施の形態の気相エッチング工程の説明図である。
【図7】第1の実施の形態の再成長工程の説明図である。
【図8】第2の実施の形態に係る光半導体装置の製造フローを示す図である。
【図9】第2の実施の形態の結晶成長工程の説明図である。
【図10】第2の実施の形態の回折格子形成工程の説明図である。
【図11】第2の実施の形態の昇温工程の説明図である。
【図12】第2の実施の形態の気相エッチング工程の説明図である。
【図13】第2の実施の形態の再成長工程の説明図である。
【図14】結晶成長工程の説明図である。
【図15】回折格子形成工程の説明図である。
【図16】エッチングダメージ除去工程の説明図である。
【図17】回折格子埋め込み前の昇温工程の説明図である。
【図18】埋め込み層形成工程およびその後の再成長工程の説明図である。
【図19】回折格子熱変形防止方法の一例の説明図である。
【図20】回折格子熱変形防止方法の他の例の説明図である。
【符号の説明】
1,20 n型InP基板
2,21 n型InPバッファ層
3,10,22,30 InGaAsP光ガイド層
4,23 MQW活性層
5 InP保護層
6,27 エッチングダメージ
7 InGaAs熱変形防止層
8,28 不純物偏析または熱ダメージ
9,29 InP埋め込み層
11,31 p型InPクラッド層
12,32 p型InGaAsコンタクト層
24 第1のInP保護層
25 GaAs熱変形防止層
26 第2のInP保護層
Claims (5)
- 半導体基板上の異なる導電性の一対のクラッド層間に活性層を有し、活性層の一部が光の導波方向に対して周期的にエッチングされた回折格子を備えた光半導体装置の製造方法において、
活性層に回折格子を形成したウェハを成長装置内に配置し、前記回折格子の表面に前記回折格子の変形を防止するための熱変形防止層を第1の温度で形成する工程と、
前記成長装置内で、前記回折格子を埋め込む埋め込み層の形成温度である第2の温度で前記熱変形防止層と前記回折格子の表層部とを除去する工程と、
前記成長装置により前記第2の温度で前記埋め込み層を形成する工程と、
を有することを特徴とする光半導体装置の製造方法。 - 前記成長装置内で、前記回折格子を埋め込む前記埋め込み層の形成温度である前記第2の温度で、前記熱変形防止層と前記回折格子の表層部とを除去する工程においては、
組成にハロゲン元素を含む物質の熱分解で生じる活性種によってエッチングする気相エッチングによって、前記第2の温度で前記熱変形防止層と前記回折格子の表層部とを除去することを特徴とする請求項1記載の光半導体装置の製造方法。 - 前記第1の温度は、前記熱変形防止層を形成するときに前記回折格子が変形しない温度であることを特徴とする請求項1記載の光半導体装置の製造方法。
- 半導体基板上の異なる導電性の一対のクラッド層間に活性層を有し、活性層の一部が光の導波方向に対して周期的にエッチングされた回折格子を備えた光半導体装置の製造方法において、
活性層上に、前記活性層に形成される回折格子の変形を防止するための熱変形防止層と前記熱変形防止層を保護する保護層とを形成する工程と、
前記熱変形防止層と前記保護層とが形成された前記活性層に前記回折格子を形成する工程と、
前記活性層に前記回折格子が形成されたウェハを成長装置内に配置し、前記成長装置内で、前記回折格子を埋め込む埋め込み層の形成温度で、前記熱変形防止層と前記保護層と前記回折格子の表層部とを除去する工程と、
前記成長装置により前記形成温度で前記埋め込み層を形成する工程と、
を有することを特徴とする光半導体装置の製造方法。 - 前記活性層に前記回折格子が形成された前記ウェハを前記成長装置内に配置し、前記成長装置内で、前記回折格子を埋め込む前記埋め込み層の前記形成温度で、前記熱変形防止層と前記保護層と前記回折格子の表層部とを除去する工程においては、
組成にハロゲン元素を含む物質の熱分解で生じる活性種によってエッチングする気相エッチングによって、前記形成温度で前記熱変形防止層と前記保護層と前記回折格子の表層部とを除去することを特徴とする請求項4記載の光半導体装置の製造方法。
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