≪感放射線性樹脂組成物≫
本発明に係る感放射線性樹脂組成物(以下、単に「感放射線性樹脂組成物」ともいう。)は、La、Ce、Nd、Gd、Ho、Lu、Hf、及びTaからなる群より選択される少なくとも1種の元素の単体、上記元素の酸化物、上記元素のキレート化合物、上記元素の塩、並びに上記元素の合金からなる群より選択される1種以上を含み、平均粒子径が200nm以下である充填材(以下、「(A)充填材」ともいう。)と、アルカリ可溶性樹脂(以下、「(B)アルカリ可溶性樹脂」ともいう。)と、多官能モノマー(以下、「(C)多官能モノマー」ともいう。)と、光重合開始剤(以下、「(D)光重合開始剤」ともいう。)とを含有する。本発明に係る感放射線性樹脂組成物は、(A)充填材及び(C)多官能モノマーを含有することにより、特に、硬化(ポストベーク)前でも、基板との密着性及びフォトリソグラフィー特性に優れる。よって、本発明に係る感放射線性樹脂組成物を用いることにより、上記感放射線性樹脂組成物の硬化(ポストベーク)前でも、良好なパターンを形成しやすく、透明電導膜基板のエッチングにおける工程を削減しやすい。その結果、例えば、液晶パネル等の表示装置を効率よく製造することができる。
本発明に係る感放射線性樹脂組成物は、厚さ2μmの試料を用いて測定を行う場合に波長400nmの光の透過率が90%以上である膜を形成可能なものであることが好ましい。(A)充填材を含む透明膜では、光の波長が短いほど吸収が大きくなる傾向がある。このため、感放射線性樹脂組成物を用いて形成される透明絶縁膜の透過率が、波長400nmで90%以上であれば、透明絶縁膜は可視光の波長域において十分に高い透明性を有する。このような理由から、波長400nmにおける光の透過率を、透明絶縁膜の透明性の指標としている。
以下、感放射線性樹脂組成物に含まれる各成分について説明する。
〔(A)充填材〕
(A)充填材は、La、Ce、Nd、Gd、Ho、Lu、Hf、及びTaからなる群より選択される少なくとも1種の元素の単体、上記元素の酸化物、上記元素のキレート化合物、上記元素の塩、並びに上記元素の合金からなる群より選択される1種以上を含み、平均粒子径が200nm以下である。上記元素は、電子密度が高い。このため、上記元素の単体、上記元素の酸化物、上記元素のキレート化合物、上記元素の塩、及び上記元素の合金は誘電率が高い。また、上記元素の単体、上記元素の酸化物、上記元素のキレート化合物、上記元素の塩、及び上記元素の合金は、感放射線性樹脂組成物を用いて形成される膜において、膜を構成するマトリックス中に分散された状態で、可視光の透過を阻害しにくい。このため、上述の(A)充填材を含む感放射線性樹脂組成物を用いて形成される透明絶縁膜は、誘電率が高く、透明性に優れる傾向にある。上記元素の単体、上記元素の酸化物、上記元素のキレート化合物、上記元素の塩、及び上記元素の合金の各々は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
上記元素の酸化物に含まれる上記元素の原子価は特に制限されない。
上記元素のキレート化合物において、上記元素とキレートを形成する配位子としては、ピリジン、トリフェニルホスフィン、一酸化炭素、エチレンジアミン、ビピリジン、カテコール、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)等が挙げられる。
上記元素の塩は、無機酸の塩であっても、有機酸の塩であってもよい。好ましい塩としては、ハロゲン化物、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、酢酸塩、ギ酸塩、プロピオン酸塩、及び安息香酸塩等が挙げられる。塩を構成する上記元素の原子価は特に制限されない。
上記元素の合金に含まれる金属(元素)の組み合わせは特に限定されない。また、合金中に含まれる複数の金属(元素)の混合比率も特に限定されない。
上記元素の単体、上記元素の酸化物、上記元素のキレート化合物、上記元素の塩、及び上記元素の合金の中では、組成物中で安定であることや、感放射線性樹脂組成物を用いて透明性に優れる膜を形成しやすいことから、酸化物が好ましい。上記元素の酸化物の好適な具体例としては、La2O3、CeO2、Nd2O3、Gd2O3、Ho2O3、Lu2O3、HfO2、及びTa2O5が挙げられる。
(A)充填材の形状は特に限定されない。(A)充填材の平均粒子径は、200nm以下であり、好ましくは150nm以下であり、より好ましくは100nm以下である。(A)充填材の平均粒子径が200nm以下であると、分散液中において(A)充填材が沈殿しにくく、液状の形態の感放射線性樹脂組成物を得やすい。また、(A)充填材の平均粒子径の下限は、特に限定されず、好ましくは40nm以上であり、より好ましくは45nm以上である。(A)充填材の平均粒子径の下限が40nm以上であると、(A)充填材の表面がコーティングされやすくなり、感放射線性樹脂組成物を用いて得られる膜は、誘電率が低下しにくく、リーク電流が発生しにくく、また、(A)充填材は凝集しにくい。
なお、本明細書において、平均粒子径とは、動的光散乱測定法(DLS)で測定された体積平均粒子径をいう。
感放射線性樹脂組成物中の(A)充填材の含有量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。感放射線性樹脂組成物中の(A)充填材の含有量は、典型的には、(B)アルカリ可溶性樹脂と(C)多官能モノマーとの合計100質量部に対して7.5〜15質量部であることが好ましく、8〜12質量部であることがより好ましい。感放射線性樹脂組成物にこのような範囲の量の(A)充填材を配合すると、基板との密着性及びフォトリソグラフィー特性に優れる感放射線性樹脂組成物を得やすい。
〔(B)アルカリ可溶性樹脂〕
本明細書において、アルカリ可溶性樹脂とは、樹脂濃度20質量%の樹脂溶液(溶媒:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)により、膜厚1μmの樹脂膜を基板上に形成し、2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(以下、TMAHともいう。)水溶液に1分間浸漬した際、0.01μm以上溶解するものをいう。本発明に係る感放射線性樹脂組成物は、(B)アルカリ可溶性樹脂を含有するため、感放射線性樹脂組成物膜を形成する対象となる基材に上記感放射線性樹脂組成物を塗布した後に、塗布膜に対して、選択的露光と、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの水溶液のようなアルカリ現像液を用いる現像とを行うことで、パターニングされた感放射線性樹脂組成物膜を形成することができる。(B)アルカリ可溶性樹脂は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
(B)アルカリ可溶性樹脂としては、特に限定されず、例えば、ノボラック樹脂、ポリヒドロキシスチレン樹脂、アクリル樹脂等が挙げられる。感放射線性樹脂組成物の固形分中の(B)アルカリ可溶性樹脂の含有量は、20〜99質量%が好ましく、30〜80質量%がより好ましく、40〜70質量%が更により好ましい。
(B)アルカリ可溶性樹脂としては、製膜性に優れる点や、単量体の選択によって樹脂の特性を調整しやすいこと等から、エチレン性不飽和二重結合を有する単量体の重合体が好ましい。エチレン性不飽和二重結合を有する単量体としては、(メタ)アクリル酸;(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸アミド;クロトン酸;マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸、これらジカルボン酸の無水物;酢酸アリル、カプロン酸アリル、カプリル酸アリル、ラウリン酸アリル、パルミチン酸アリル、ステアリン酸アリル、安息香酸アリル、アセト酢酸アリル、乳酸アリル、及びアリルオキシエタノールのようなアリル化合物;ヘキシルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、デシルビニルエーテル、エチルヘキシルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、エトキシエチルビニルエーテル、クロロエチルビニルエーテル、1−メチル−2,2−ジメチルプロピルビニルエーテル、2−エチルブチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ジエチレングリコールビニルエーテル、ジメチルアミノエチルビニルエーテル、ジエチルアミノエチルビニルエーテル、ブチルアミノエチルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、テトラヒドロフルフリルビニルエーテル、ビニルフェニルエーテル、ビニルトリルエーテル、ビニルクロロフェニルエーテル、ビニル−2,4−ジクロロフェニルエーテル、ビニルナフチルエーテル、及びビニルアントラニルエーテルのようなビニルエーテル;ビニルブチレート、ビニルイソブチレート、ビニルトリメチルアセテート、ビニルジエチルアセテート、ビニルバレート、ビニルカプロエート、ビニルクロロアセテート、ビニルジクロロアセテート、ビニルメトキシアセテート、ビニルブトキシアセテート、ビニルフエニルアセテート、ビニルアセトアセテート、ビニルラクテート、ビニル−β−フェニルブチレート、安息香酸ビニル、サリチル酸ビニル、クロロ安息香酸ビニル、テトラクロロ安息香酸ビニル、及びナフトエ酸ビニルのようなビニルエステル;スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、ジエチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、ヘキシルスチレン、シクロヘキシルスチレン、デシルスチレン、ベンジルスチレン、クロロメチルスチレン、トリフルオロメチルスチレン、エトキシメチルスチレン、アセトキシメチルスチレン、メトキシスチレン、4−メトキシ−3−メチルスチレン、ジメトキシスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、トリクロロスチレン、テトラクロロスチレン、ペンタクロロスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン、ヨードスチレン、フルオロスチレン、トリフルオロスチレン、2−ブロモ−4−トリフルオロメチルスチレン、及び4−フルオロ−3−トリフルオロメチルスチレンのようなスチレン又はスチレン誘導体;エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−エチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、及び1−エイコセンのようなオレフィンが挙げられる。
アルカリ可溶性及び透明性の点で、感放射線性樹脂組成物に含有させる(B)アルカリ可溶性樹脂としては、エチレン性不飽和二重結合を有する単量体の重合体であって、不飽和カルボン酸に由来する単位を含む樹脂が好ましい。
不飽和カルボン酸の例としては、(メタ)アクリル酸;(メタ)アクリル酸アミド;クロトン酸;マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸、これらジカルボン酸の無水物が挙げられる。アルカリ可溶性樹脂として使用されるエチレン性不飽和二重結合を有する単量体の重合体に含まれる、不飽和カルボン酸に由来する単位の量は、樹脂が所望するアルカリ可溶性を有する限り特に限定されない。(B)アルカリ可溶性樹脂中の、不飽和カルボン酸に由来する単位の量は、(B)アルカリ可溶性樹脂全体に対して、5〜25質量%が好ましく、8〜16質量%がより好ましい。
以上例示した単量体から選択される1種以上の単量体の重合体である、エチレン性不飽和二重結合を有する単量体の重合体の中では、(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸エステルから選択される1種以上の単量体の重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリスチレン等が好ましい。これらの中では、透明性、製膜性、硬度のような機械的特性のバランスがよいことから、(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸エステルから選択される1種以上の単量体の重合体が好ましい。以下、(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸エステルから選択される1種以上の単量体の重合体について説明する。
(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸エステルから選択される1種以上の単量体の重合体の調製に用いられる、(メタ)アクリル酸エステルは、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、公知の(メタ)アクリル酸エステルから適宜選択される。
(メタ)アクリル酸エステルの好適な例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、t−オクチル(メタ)アクリレート等の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル(メタ)アクリレート;クロロエチル(メタ)アクリレート、2,2−ジメチルヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フルフリル(メタ)アクリレート;エポキシ基を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステル;脂環式骨格を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。エポキシ基を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステル、及び脂環式骨格を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルの詳細については後述する。
(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸エステルから選択される1種以上の単量体の重合体の中では、感放射線性樹脂組成物を用いて形成される感放射線性樹脂組成物膜の基材への密着性や機械的強度が優れる点から、エポキシ基を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位を含む樹脂が好ましい。
エポキシ基を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルは、鎖状脂肪族エポキシ基を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルであっても、後述するような、脂環式エポキシ基を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルであってもよい。
エポキシ基を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルは、芳香族基を含んでいてもよい。芳香族基を構成する芳香環の例としては、ベンゼン環、ナフタレン環が挙げられる。芳香族基を有し、かつ、エポキシ基を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルの例としては、4−グリシジルオキシフェニル(メタ)アクリレート、3−グリシジルオキシフェニル(メタ)アクリレート、2−グリシジルオキシフェニル(メタ)アクリレート、4−グリシジルオキシフェニルメチル(メタ)アクリレート、3−グリシジルオキシフェニルメチル(メタ)アクリレート、及び2−グリシジルオキシフェニルメチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
鎖状脂肪族エポキシ基を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルの例としては、エポキシアルキル(メタ)アクリレート、及びエポキシアルキルオキシアルキル(メタ)アクリレート等のような、エステル基(−O−CO−)中のオキシ基(−O−)に鎖状脂肪族エポキシ基が結合する(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。このような(メタ)アクリル酸エステルが有する鎖状脂肪族エポキシ基は、鎖中に1又は複数のオキシ基(−O−)を含んでいてもよい。鎖状脂肪族エポキシ基の炭素数は、特に限定されないが、3〜20が好ましく、3〜15がより好ましく、3〜10が特に好ましい。
鎖状脂肪族エポキシ基を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルの具体例としては、グリシジル(メタ)アクリレート、2−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシブチル(メタ)アクリレート、6,7−エポキシヘプチル(メタ)アクリレート等のエポキシアルキル(メタ)アクリレート;2−グリシジルオキシエチル(メタ)アクリレート、3−グリシジルオキシ−n−プロピル(メタ)アクリレート、4−グリシジルオキシ−n−ブチル(メタ)アクリレート、5−グリシジルオキシ−n−ヘキシル(メタ)アクリレート、6−グリシジルオキシ−n−ヘキシル(メタ)アクリレート等のエポキシアルキルオキシアルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。
エポキシ基を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位を含む、(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸エステルから選択される1種以上の単量体の重合体における、エポキシ基を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位の含有量は、樹脂の重量に対して、1〜95質量%が好ましく、30〜70質量%がより好ましい。
また、(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸エステルから選択される1種以上の単量体の重合体の中では、感放射線性樹脂組成物を用いて透明性に優れる膜を形成しやすいことから、脂環式骨格を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位を含む樹脂も好ましい。
脂環式骨格を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルにおいて、脂環式骨格を有する基は、脂環式炭化水素基を有する基であっても、脂環式エポキシ基を有する基であってもよい。脂環式骨格を構成する脂環式基は、単環であっても多環であってもよい。単環の脂環式基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。また、多環の脂環式基としては、ノルボルニル基、イソボルニル基、トリシクロノニル基、トリシクロデシル基、テトラシクロドデシル基等が挙げられる。
脂環式骨格を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルのうち、脂環式炭化水素基を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば下記式(b2−1)〜(b2−8)で表される化合物が挙げられる。これらの中では、下記式(b2−3)〜(b2−8)で表される化合物が好ましく、下記式(b2−3)又は(b2−4)で表される化合物がより好ましい。
上記式中、Rb1は水素原子又はメチル基を示し、Rb2は単結合又は炭素数1〜6の2価の脂肪族飽和炭化水素基を示し、Rb3は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を示す。Rb2としては、単結合、直鎖状、又は分枝鎖状のアルキレン基、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、エチルエチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基が好ましい。Rb3としては、メチル基、エチル基が好ましい。
脂環式骨格を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルのうち、脂環式エポキシ基を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルの具体例としては、例えば下記式(b3−1)〜(b3−16)で表される化合物が挙げられる。これらの中でも、膜形成用樹脂組成物の現像性を適度なものとするためには、下記式(b3−1)〜(b3−6)で表される化合物が好ましく、下記式(b3−1)〜(b3−4)で表される化合物がより好ましい。
上記式中、Rb4は水素原子又はメチル基を示し、Rb5は炭素数1〜6の2価の脂肪族飽和炭化水素基を示し、Rb6は炭素数1〜10の2価の炭化水素基を示し、nは0〜10の整数を示す。Rb5としては、直鎖状又は分枝鎖状のアルキレン基、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、エチルエチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基が好ましい。Rb6としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、エチルエチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、フェニレン基、シクロヘキシレン基、−CH2−Ph−CH2−(Phはフェニレン基を示す)が好ましい。
(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸エステルから選択される1種以上の単量体の重合体が、脂環式骨格を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位を含む樹脂である場合、樹脂中の脂環式骨格を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位の量は、5〜95質量%が好ましく、10〜90質量%がより好ましく、30〜70質量%が更により好ましい。
また、脂環式骨格を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位を含む、(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸エステルから選択される1種以上の単量体の重合体の中では、(メタ)アクリル酸に由来する単位と、脂環式エポキシ基を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位とを含む樹脂が好ましい。このような樹脂は、透明絶縁膜が形成される基材に対する密着性に優れる。また、このような樹脂を用いる場合、樹脂に含まれるカルボキシル基と、脂環式エポキシ基との自己反応を生じさせることが可能である。このため、このような樹脂を含む感放射線性樹脂組成物を用いると、膜を加熱する方法等を用いて、カルボキシル基と、脂環式エポキシ基との自己反応を生じさせることによって、形成された膜の硬度のような機械的物性を向上させることができる。
(メタ)アクリル酸に由来する単位と、脂環式エポキシ基を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位とを含む樹脂において、樹脂中の、(メタ)アクリル酸に由来する単位の量は、1〜95質量%が好ましく、10〜50質量%がより好ましい。(メタ)アクリル酸に由来する単位と、脂環式エポキシ基を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位とを含む樹脂において、樹脂中の、脂環式エポキシ基を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位の量は、1〜95質量%が好ましく、30〜70質量%がより好ましい。
(メタ)アクリル酸に由来する単位と、脂環式エポキシ基を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位とを含む、(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸エステルから選択される1種以上の単量体の重合体の中では、(メタ)アクリル酸に由来する単位と、鎖状脂肪族エポキシ基を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位と、脂環式エポキシ基を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位と、スチレン又はスチレン誘導体に由来する単位とを含む樹脂が好ましい。
(メタ)アクリル酸に由来する単位と、鎖状脂肪族エポキシ基を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位と、脂環式エポキシ基を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位と、スチレン又はスチレン誘導体に由来する単位とを含む樹脂において、樹脂中の、(メタ)アクリル酸に由来する単位の量は、1〜95質量%が好ましく、10〜50質量%がより好ましい。
(メタ)アクリル酸に由来する単位と、鎖状脂肪族エポキシ基を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位と、脂環式エポキシ基を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位と、スチレン又はスチレン誘導体に由来する単位とを含む樹脂において、樹脂中の、鎖状脂肪族エポキシ基を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位の量は、1〜95質量%が好ましく、10〜70質量%がより好ましい。
(メタ)アクリル酸に由来する単位と、鎖状脂肪族エポキシ基を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位と、脂環式エポキシ基を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位と、スチレン又はスチレン誘導体に由来する単位とを含む樹脂において、樹脂中の、脂環式エポキシ基を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位の量は、1〜95質量%が好ましく、30〜70質量%がより好ましい。
(メタ)アクリル酸に由来する単位と、鎖状脂肪族エポキシ基を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位と、脂環式エポキシ基を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位と、スチレン又はスチレン誘導体に由来する単位とを含む樹脂において、樹脂中の、スチレン又はスチレン誘導体に由来する単位の量は、1〜95質量%が好ましく、10〜70質量%がより好ましい。
アルカリ可溶性樹脂の質量平均分子量は、1000〜40000であることが好ましく、2000〜30000であることがより好ましい。上記の範囲とすることにより、良好な現像性を得ながら、十分な耐熱性、膜強度を得ることができる。なお、本明細書において、質量平均分子量とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定されたポリスチレン換算による値をいう。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸とメタクリル酸との両方を意味する。また、「(メタ)アクリレート」は、アクリレートとメタクリレートとの両方を意味する。更に、本明細書において、「(メタ)アクリロイル」という用語は、アクリロイルとメタクリロイルの両方を意味する。加えて、「(メタ)アクリルアミド」は、アクリルアミドとメタクリルアミドとの両方を意味する。
〔(C)多官能モノマー〕
本発明に係る感放射線性樹脂組成物は、(B)アルカリ可溶性樹脂と(C)多官能モノマーと(D)光重合開始剤とを含有するため、感放射線性を有し、かつ、感放射線性樹脂組成物膜を形成する対象である基材に上記感放射線性樹脂組成物を塗布した後に、上記感放射線性樹脂組成物膜に対して、選択的露光と、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの水溶液のようなアルカリ現像液による現像とを行うことで、上記感放射線性樹脂組成物膜からなるパターンを製造するのに用いることができる。(C)多官能モノマーは、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
(C)多官能モノマーとしては、エチレン性不飽和基を有するものを好ましく用いることができる。(C)多官能モノマーとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシポリエトキシフェニル)プロパン、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、フタル酸ジグリシジルエステルジ(メタ)アクリレート、グリセリントリアクリレート、グリセリンポリグリシジルエーテルポリ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート(すなわち、トリレンジイソシアネート)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートとヘキサメチレンジイソシアネート等と2−ビドロキシエチル(メタ)アクリレートとの反応物、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミドメチレンエーテル、多価アルコールとN−メチロール(メタ)アクリルアミドとの縮合物、トリアクリルホルマール、2,4,6−トリオキソヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン−1,3,5−トリスエタノールトリアクリレート、及び2,4,6−トリオキソヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン−1,3,5−トリスエタノールジアクリレート、トリス((メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、トリメチロールプロパンEO変性トリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。中でも、基材への密着性の点から、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等の、5官能以上の多官能モノマーが好ましい。
(C)多官能モノマーの含有量は、(B)アルカリ可溶性樹脂100質量部に対して25〜55質量部であることが好ましく、30〜50質量部であることがより好ましい。感放射線性樹脂組成物中の(C)多官能モノマーの含有量を上記の範囲とすることにより、基板との密着性及びフォトリソグラフィー特性に優れる感放射線性樹脂組成物を得やすい。
〔(D)光重合開始剤〕
(C)多官能モノマーとともに使用される(D)光重合開始剤は、従来から(C)多官能モノマー用の重合開始剤として使用されている種々の光重合開始剤を用いることができる。(D)光重合開始剤は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
好適な(D)光重合開始剤の具体例としては、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、ビス(4−ジメチルアミノフェニル)ケトン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾル−3−イル],1−(o−アセチルオキシム)、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、4−ベンゾイル−4’−メチルジメチルスルフィド、4−ジメチルアミノ安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸ブチル、4−ジメチルアミノ−2−エチルヘキシル安息香酸、4−ジメチルアミノ−2−イソアミル安息香酸、ベンジル−β−メトキシエチルアセタール、ベンジルジメチルケタール、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、o−ベンゾイル安息香酸メチル、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、チオキサンテン、2−クロロチオキサンテン、2,4−ジエチルチオキサンテン、2−メチルチオキサンテン、2−イソプロピルチオキサンテン、2−エチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノン、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキシド、クメンパーオキシド、2−メルカプトベンゾイミダール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体、ベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、4,4’−ビスジメチルアミノベンゾフェノン(すなわち、ミヒラーズケトン)、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン(すなわち、エチルミヒラーズケトン)、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、3,3−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、アセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、p−ジメチルアミノプロピオフェノン、ジクロロアセトフェノン、トリクロロアセトフェノン、p−tert−ブチルアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−tert−ブチルトリクロロアセトフェノン、p−tert−ブチルジクロロアセトフェノン、α,α−ジクロロ−4−フェノキシアセトフェノン、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ジベンゾスベロン、ペンチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス−(9−アクリジニル)ヘプタン、1,5−ビス−(9−アクリジニル)ペンタン、1,3−ビス−(9−アクリジニル)プロパン、p−メトキシトリアジン、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(フラン−2−イル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−n−ブトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(3−ブロモ−4−メトキシ)フェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(2−ブロモ−4−メトキシ)フェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(3−ブロモ−4−メトキシ)スチリルフェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(2−ブロモ−4−メトキシ)スチリルフェニル−s−トリアジン、「IRGACURE OXE02」、「IRGACURE OXE01」、「IRGACURE 369」、「IRGACURE 651」、「IRGACURE 907」(商品名:BASF製)、「NCI−831」(商品名:ADEKA製)等が挙げられる。これらの中でも、オキシム系の光重合開始剤を用いることが、感度の面で特に好ましい。
また、上記の他に、下記式(E1)で表されるオキシムエステル化合物や、下記式(E2)で表されるオキシムエステル化合物も、(D)光重合開始剤として好適に使用される。
(R
E11は、1価の有機基、アミノ基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基からなる群より選択される基であり、aは0〜4の整数であり、bは0又は1であり、R
E12は、置換基を有してもよいフェニル基、又は置換基を有してもよいカルバゾリル基であり、R
E13は、水素原子、又は炭素数1〜6のアルキル基である。)
(dは1〜5の整数であり、eは1〜8の整数であり、fは0〜(d+3)の整数であり、R
E21は、置換基を有してもよい炭素数1〜11のアルキル基、又は置換基を有してもよいアリール基であり、R
E22は下記式(E21)〜(E23):
で表される置換基のいずれかであり、R
E23は炭素数1〜11のアルキル基であり、R
E24は置換基を有してもよいアリール基であり、R
E25は水素原子、置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキル基、又はアリール基であり、R
E26は置換基を有してもよいアリール基である。)
上記の(D)光重合開始剤の例の中では、感放射線性樹脂組成物を用いてパターンを製造しやすいことから、下記式(E1)で表されるオキシムエステル化合物、又は下記式(E2)で表されるオキシムエステル化合物が好ましい。以下、式(E1)で表されるオキシムエステル化合物、及び式(E2)で表されるオキシムエステル化合物について順に説明する。
(式(E1)で表されるオキシムエステル化合物)
以下、(D)光重合開始剤として好適な下記式(E1)で表されるオキシムエステル化合物について説明する。
(R
E11は、1価の有機基、アミノ基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基からなる群より選択される基であり、aは0〜4の整数であり、bは0又は1であり、R
E12は、置換基を有してもよいフェニル基、又は置換基を有してもよいカルバゾリル基であり、R
E13は、水素原子、又は炭素数1〜6のアルキル基である。)
上記式(E1)中、RE11が1価の有機基である場合、RE11は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、種々の有機基から適宜選択される。RE11が有機基である場合の好適な例としては、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルコキシ基、飽和脂肪族アシル基、アルコキシカルボニル基、飽和脂肪族アシルオキシ基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいフェノキシ基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよいフェノキシカルボニル基、置換基を有してもよいベンゾイルオキシ基、置換基を有してもよいフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトキシ基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよいナフトキシカルボニル基、置換基を有してもよいナフトイルオキシ基、置換基を有してもよいナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、1、又は2の有機基で置換されたアミノ基、モルホリン−1−イル基、及びピペラジン−1−イル基等が挙げられる。aが2〜4の整数である場合、RE11は同一であっても異なっていてもよい。また、置換基の炭素数には、置換基が更に有する置換基の炭素数は含まない。
RE11がアルキル基である場合、その炭素数は1〜20が好ましく、1〜6がより好ましい。また、RE11がアルキル基である場合、直鎖であっても、分岐鎖であってもよい。RE11がアルキル基である場合の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、tert−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、sec−オクチル基、tert−オクチル基、n−ノニル基、イソノニル基、n−デシル基、及びイソデシル基等が挙げられる。また、RE11がアルキル基である場合、アルキル基は炭素鎖中にエーテル結合(−O−)を含んでいてもよい。炭素鎖中にエーテル結合を有するアルキル基の例としては、メトキシエチル基、エトキシエチル基、メトキシエトキシエチル基、エトキシエトキシエチル基、プロピルオキシエトキシエチル基、及びメトキシプロピル基等が挙げられる。
RE11がアルコキシ基である場合、その炭素数は1〜20が好ましく、1〜6がより好ましい。また、RE11がアルコキシ基である場合、直鎖であっても、分岐鎖であってもよい。RE11がアルコキシ基である場合の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、sec−ブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、n−ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、sec−ペンチルオキシ基、tert−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、イソオクチルオキシ基、sec−オクチルオキシル基、tert−オクチルオキシ基、n−ノニルオキシ基、イソノニルオキシ基、n−デシルオキシ基、及びイソデシルオキシ基等が挙げられる。また、RE11がアルコキシ基である場合、アルコキシ基は炭素鎖中にエーテル結合(−O−)を含んでいてもよい。炭素鎖中にエーテル結合を有するアルコキシ基の例としては、メトキシエトキシ基、エトキシエトキシ基、メトキシエトキシエトキシ基、エトキシエトキシエトキシ基、プロピルオキシエトキシエトキシ基、及びメトキシプロピルオキシ基等が挙げられる。
RE11がシクロアルキル基、又はシクロアルコキシ基である場合、その炭素数は3〜10が好ましく、3〜6がより好ましい。RE11がシクロアルキル基である場合の具体例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、及びシクロオクチル基等が挙げられる。RE11がシクロアルコキシ基である場合の具体例としては、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロヘプチルオキシ基、及びシクロオクチルオキシ基等が挙げられる。
RE11が飽和脂肪族アシル基、又は飽和脂肪族アシルオキシ基である場合、その炭素数は2〜20が好ましく、2〜7がより好ましい。RE11が飽和脂肪族アシル基である場合の具体例としては、アセチル基、プロパノイル基、n−ブタノイル基、2−メチルプロパノイル基、n−ペンタノイル基、2,2−ジメチルプロパノイル基、n−ヘキサノイル基、n−ヘプタノイル基、n−オクタノイル基、n−ノナノイル基、n−デカノイル基、n−ウンデカノイル基、n−ドデカノイル基、n−トリデカノイル基、n−テトラデカノイル基、n−ペンタデカノイル基、及びn−ヘキサデカノイル基等が挙げられる。RE11が飽和脂肪族アシルオキシ基である場合の具体例としては、アセチルオキシ基、プロパノイルオキシ基、n−ブタノイルオキシ基、2−メチルプロパノイルオキシ基、n−ペンタノイルオキシ基、2,2−ジメチルプロパノイルオキシ基、n−ヘキサノイルオキシ基、n−ヘプタノイルオキシ基、n−オクタノイルオキシ基、n−ノナノイルオキシ基、n−デカノイルオキシ基、n−ウンデカノイルオキシ基、n−ドデカノイルオキシ基、n−トリデカノイルオキシ基、n−テトラデカノイルオキシ基、n−ペンタデカノイルオキシ基、及びn−ヘキサデカノイルオキシ基等が挙げられる。
RE11がアルコキシカルボニル基である場合、その炭素数は2〜20が好ましく、2〜7がより好ましい。RE11がアルコキシカルボニル基である場合の具体例としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロピルオキシカルボニル基、イソプロピルオキシカルボニル基、n−ブチルオキシカルボニル基、イソブチルオキシカルボニル基、sec−ブチルオキシカルボニル基、tert−ブチルオキシカルボニル基、n−ペンチルオキシカルボニル基、イソペンチルオキシカルボニル基、sec−ペンチルオキシカルボニル基、tert−ペンチルオキシカルボニル基、n−ヘキシルオキシカルボニル基、n−ヘプチルオキシカルボニル基、n−オクチルオキシカルボニル基、イソオクチルオキシカルボニル基、sec−オクチルオキシルカルボニル基、tert−オクチルオキシカルボニル基、n−ノニルオキシカルボニル基、イソノニルオキシカルボニル基、n−デシルオキシカルボニル基、及びイソデシルオキシカルボニル基等が挙げられる。
RE11がフェニルアルキル基である場合、その炭素数は7〜20が好ましく、7〜10がより好ましい。また、RE11がナフチルアルキル基である場合、その炭素数は11〜20が好ましく、11〜14がより好ましい。RE11がフェニルアルキル基である場合の具体例としては、ベンジル基、2−フェニルエチル基、3−フェニルプロピル基、及び4−フェニルブチル基が挙げられる。RE11がナフチルアルキル基である場合の具体例としては、α−ナフチルメチル基、β−ナフチルメチル基、2−(α−ナフチル)エチル基、及び2−(β−ナフチル)エチル基が挙げられる。RE11が、フェニルアルキル基、又はナフチルアルキル基である場合、RE11は、フェニル基、又はナフチル基上に更に置換基を有していてもよい。
RE11がヘテロシクリル基である場合、ヘテロシクリル基は、1以上のN、S、Oを含む5員又は6員の単環であるか、かかる単環同士、又はかかる単環とベンゼン環とが縮合したヘテロシクリル基である。ヘテロシクリル基が縮合環である場合は、環数3までのものとする。かかるヘテロシクリル基を構成する複素環としては、フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、チアジアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドール、イソインドール、インドリジン、ベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、カルバゾール、プリン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、フタラジン、シンノリン、及びキノキサリン等が挙げられる。RE11がヘテロシクリル基である場合、ヘテロシクリル基は更に置換基を有していてもよい。
RE11が1又は2の有機基で置換されたアミノ基である場合、有機基の好適な例は、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数2〜20の飽和脂肪族アシル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよい炭素数7〜20のフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよい炭素数11〜20のナフチルアルキル基、及びヘテロシクリル基等が挙げられる。これらの好適な有機基の具体例は、RE11と同様である。1、又は2の有機基で置換されたアミノ基の具体例としては、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、n−プロピルアミノ基、ジ−n−プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、n−ブチルアミノ基、ジ−n−ブチルアミノ基、n−ペンチルアミノ基、n−ヘキシルアミノ基、n−ヘプチルアミノ基、n−オクチルアミノ基、n−ノニルアミノ基、n−デシルアミノ基、フェニルアミノ基、ナフチルアミノ基、アセチルアミノ基、プロパノイルアミノ基、n−ブタノイルアミノ基、n−ペンタノイルアミノ基、n−ヘキサノイルアミノ基、n−ヘプタノイルアミノ基、n−オクタノイルアミノ基、n−デカノイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、α−ナフトイルアミノ基、及びβ−ナフトイルアミノ基等が挙げられる。
RE11に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が更に置換基を有する場合の置換基としては、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜7の飽和脂肪族アシル基、炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜7の飽和脂肪族アシルオキシ基、炭素数1〜6のアルキル基を有するモノアルキルアミノ基、炭素数1〜6のアルキル基を有するジアルキルアミノ基、モルホリン−1−イル基、ピペラジン−1−イル基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基等が挙げられる。RE11に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が更に置換基を有する場合、その置換基の数は、本発明の目的を阻害しない範囲で限定されないが、1〜4が好ましい。RE11に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が、複数の置換基を有する場合、複数の置換基は、同一であっても異なっていてもよい。
RE11の中では、化学的に安定であることや、立体的な障害が少なく、オキシムエステル化合物の合成が容易であることや、溶媒に対する溶解性が高いこと等から、ニトロ基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、及び炭素数2〜7の飽和脂肪族アシル基からなる群より選択される基が好ましく、ニトロ基、又は炭素数1〜6のアルキルがより好ましく、ニトロ基、又はメチル基が特に好ましい。
RE11がフェニル基に結合する位置は、RE11が結合するフェニル基について、フェニル基とオキシムエステル化合物の主骨格との結合手の位置を1位とし、メチル基の位置を2位とする場合に、4位、又は5位が好ましく、5位がより好ましい。また、aは、0〜3の整数が好ましく、0〜2の整数がより好ましく、0、又は1が特に好ましい。
RE12は、置換基を有してもよいフェニル基、又は置換基を有してもよいカルバゾリル基である。また、RE12が置換基を有してもよいカルバゾリル基である場合、カルバゾリル基上の窒素原子は、炭素数1〜6のアルキル基で置換されていてもよい。
RE12において、フェニル基、又はカルバゾリル基が有する置換基は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。フェニル基、又はカルバゾリル基が、炭素原子上に有してもよい好適な置換基の例としては、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルコキシ基、炭素数2〜20の飽和脂肪族アシル基、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜20の飽和脂肪族アシルオキシ基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいフェノキシ基、置換基を有してもよいフェニルチオ基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよいフェノキシカルボニル基、置換基を有してもよいベンゾイルオキシ基、置換基を有してもよい炭素数7〜20のフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトキシ基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよいナフトキシカルボニル基、置換基を有してもよいナフトイルオキシ基、置換基を有してもよい炭素数11〜20のナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、置換基を有してもよいヘテロシクリルカルボニル基、アミノ基、1、又は2の有機基で置換されたアミノ基、モルホリン−1−イル基、及びピペラジン−1−イル基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基等が挙げられる。
RE12がカルバゾリル基である場合、カルバゾリル基が窒素原子上に有してもよい好適な置換基の例としては、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数2〜20の飽和脂肪族アシル基、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよいフェノキシカルボニル基、置換基を有してもよい炭素数7〜20のフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよいナフトキシカルボニル基、置換基を有してもよい炭素数11〜20のナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、及び置換基を有してもよいヘテロシクリルカルボニル基等が挙げられる。これらの置換基の中では、炭素数1〜20のアルキル基が好ましく、炭素数1〜6のアルキル基がより好ましく、エチル基が特に好ましい。
フェニル基、又はカルバゾリル基が有してもよい置換基の具体例について、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルコキシ基、飽和脂肪族アシル基、アルコキシカルボニル基、飽和脂肪族アシルオキシ基、置換基を有してもよいフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、及び1、又は2の有機基で置換されたアミノ基に関しては、RE11と同様である。
RE12において、フェニル基、又はカルバゾリル基が有する置換基に含まれるフェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が更に置換基を有する場合の置換基の例としては、炭素数1〜6のアルキル基;炭素数1〜6のアルコキシ基;炭素数2〜7の飽和脂肪族アシル基;炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基;炭素数2〜7の飽和脂肪族アシルオキシ基;フェニル基;ナフチル基;ベンゾイル基;ナフトイル基;炭素数1〜6のアルキル基、モルホリン−1−イル基、ピペラジン−1−イル基、及びフェニル基からなる群より選択される基により置換されたベンゾイル基;炭素数1〜6のアルキル基を有するモノアルキルアミノ基;炭素数1〜6のアルキル基を有するジアルキルアミノ基;モルホリン−1−イル基;ピペラジン−1−イル基;ハロゲン;ニトロ基;シアノ基が挙げられる。フェニル基、又はカルバゾリル基が有する置換基に含まれるフェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が更に置換基を有する場合、その置換基の数は、本発明の目的を阻害しない範囲で限定されないが、1〜4が好ましい。フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が、複数の置換基を有する場合、複数の置換基は、同一であっても異なっていてもよい。
RE12の中では、感放射線性樹脂組成物が感度に優れる点から、下記式(E11)、又は(E12)で表される基が好ましく、下記式(E11)で表される基がより好ましく、下記式(E12)で表される基であって、AがSである基が特に好ましい。
(R
E14は、1価の有機基、アミノ基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基からなる群より選択される基であり、AはS又はOであり、cは、0〜4の整数である。)
(R
E15及びR
E16は、それぞれ、1価の有機基である。)
式(E11)におけるRE14が有機基である場合、本発明の目的を阻害しない範囲で、種々の有機基から選択できる。式(E11)においてRE14が有機基である場合の好適な例としては、炭素数1〜6のアルキル基;炭素数1〜6のアルコキシ基;炭素数2〜7の飽和脂肪族アシル基;炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基;炭素数2〜7の飽和脂肪族アシルオキシ基;フェニル基;ナフチル基;ベンゾイル基;ナフトイル基;炭素数1〜6のアルキル基、モルホリン−1−イル基、ピペラジン−1−イル基、及びフェニル基からなる群より選択される基により置換されたベンゾイル基;炭素数1〜6のアルキル基を有するモノアルキルアミノ基;炭素数1〜6のアルキル基を有するジアルキルアミノ基;モルホリン−1−イル基;ピペラジン−1−イル基;ハロゲン;ニトロ基;シアノ基が挙げられる。
RE14の中では、ベンゾイル基;ナフトイル基;炭素数1〜6のアルキル基、モルホリン−1−イル基、ピペラジン−1−イル基、及びフェニル基からなる群より選択される基により置換されたベンゾイル基;ニトロ基が好ましく、ベンゾイル基;ナフトイル基;2−メチルフェニルカルボニル基;4−(ピペラジン−1−イル)フェニルカルボニル基;4−(フェニル)フェニルカルボニル基がより好ましい。
また、式(E11)において、nは、0〜3の整数が好ましく、0〜2の整数がより好ましく、0、又は1であるのが特に好ましい。nが1である場合、RE14の結合する位置は、RE14が結合するフェニル基が硫黄原子と結合する結合手に対して、パラ位であるのが好ましい。
式(E12)におけるRE15は、本発明の目的を阻害しない範囲で、種々の有機基から選択できる。RE15の好適な例としては、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数2〜20の飽和脂肪族アシル基、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよいフェノキシカルボニル基、置換基を有してもよい炭素数7〜20のフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよいナフトキシカルボニル基、置換基を有してもよい炭素数11〜20のナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、及び置換基を有してもよいヘテロシクリルカルボニル基等が挙げられる。
RE15の中では、炭素数1〜20のアルキル基が好ましく、炭素数1〜6のアルキル基がより好ましく、エチル基が特に好ましい。
式(E12)におけるRE16は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、種々の有機基から選択できる。RE16として好適な基の具体例としては、炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいナフチル基、及び置換基を有してもよいヘテロシクリル基が挙げられる。RE16として、これらの基の中では置換基を有してもよいフェニル基がより好ましく、2−メチルフェニル基が特に好ましい。
RE14、RE15、又はRE16に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が更に置換基を有する場合の置換基としては、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜7の飽和脂肪族アシル基、炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜7の飽和脂肪族アシルオキシ基、炭素数1〜6のアルキル基を有するモノアルキルアミノ基、炭素数1〜6のアルキル基を有するジアルキルアミノ基、モルホリン−1−イル基、ピペラジン−1−イル基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基等が挙げられる。RE14、RE15、又はRE16に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が更に置換基を有する場合、その置換基の数は、本発明の目的を阻害しない範囲で限定されないが、1〜4が好ましい。RE14、RE15、又はRE16に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が、複数の置換基を有する場合、複数の置換基は、同一であっても異なっていてもよい。
式(E1)におけるRE13は、水素原子、又は炭素数1〜6のアルキル基である。RE13としては、メチル基、又はエチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。RE13がメチル基である場合、式(E1)で表される化合物からなる光重合開始剤は、特に感度に優れる。
式(E1)で表されるオキシムエステル化合物は、bが0である場合、例えば、下記スキーム1に従って合成することができる。具体的には、下記式(E1−1)で表される芳香族化合物を、下記式(E1−2)で表されるハロカルボニル化合物を用いて、フリーデルクラフツ反応によりアシル化して、下記式(E1−3)で表されるケトン化合物を得、得られたケトン化合物(E1−3)を、ヒドロキシルアミンによりオキシム化して下記式(E1−4)で表されるオキシム化合物を得、次いで式(E1−4)のオキシム化合物と、下記式(E1−5)で表される酸無水物((RE13CO)2O)、又は下記式(E1−6)で表される酸ハライド(RE13COHal、Halはハロゲン。)とを反応させて、下記式(E1−7)で表されるオキシムエステル化合物を得ることができる。なお、下記式(E1−2)において、Halはハロゲンであり、下記式(E1−1)、(E1−2)、(E1−3)、(E1−4)、及び(E1−7)において、RE11、RE12、RE13、及びaは、式(E1)と同様である。
式(E1)で表されるオキシムエステル化合物は、bが1である場合、例えば、下記スキーム2に従って合成することができる。具体的には、下記式(E2−1)で表されるケトン化合物に、塩酸の存在下に下記式(E2−2)で表される亜硝酸エステル(RONO、Rは炭素数1〜6のアルキル基。)を反応させて、下記式(E2−3)で表されるケトオキシム化合物を得、次いで、下記式(E2−3)で表されるケトオキシム化合物と、下記式(E2−4)で表される酸無水物((RE13CO)2O)、又は下記式(E2−5)で表される酸ハライド(RE13COHal、Halはハロゲン。)とを反応させて、下記式(E2−6)で表されるオキシムエステル化合物を得ることができる。なお、下記式(E2−1)、(E2−3)、(E2−4)、(E2−5)、及び(E2−6)において、RE11、RE12、RE13、及びaは、式(E1)と同様である。
また、式(E1)で表されるオキシムエステル化合物は、bが1であり、RE11がメチル基であって、RE11が結合するベンゼン環に結合するメチル基に対して、RE11がパラ位に結合する場合、例えば、下記式(E2−7)で表される化合物を、スキーム1と同様の方法で、オキシム化、及びアシル化することによって合成することもできる。なお、下記式(E2−7)において、RE12は、式(E1)と同様である。
式(E1)で表されるオキシムエステル化合物の中でも特に好適な化合物としては、下記式の化合物が挙げられる。
(式(E2)で表されるオキシムエステル化合物)
以下(D)光重合開始剤として好適な、下記式(E2)で表されるオキシムエステル化合物について説明する。
(dは1〜5の整数であり、eは1〜8の整数であり、fは0〜(d+3)の整数であり、R
E21は、置換基を有してもよい炭素数1〜11のアルキル基、又は置換基を有してもよいアリール基であり、R
E22は下記式(E21)〜(E23):
で表される置換基のいずれかであり、R
E23は炭素数1〜11のアルキル基であり、R
E24は置換基を有してもよいアリール基であり、R
E25は水素原子、置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキル基、又はアリール基であり、R
E26は置換基を有してもよいアリール基である。)
上記式(E2)中、dは1〜3が好ましく、1又は2がより好ましい。eは1〜8が好ましく、1〜4がより好ましく、2が特に好ましい。
RE21がアルキル基である場合に有してもよい置換基としては、フェニル基、ナフチル基等が好ましく例示される。また、RE21がアリール基である場合に有してもよい置換基としては、炭素数1〜5のアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子等が好ましく例示される。
上記式(E2)中、RE21としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、フェニル基、ベンジル基、メチルフェニル基、ナフチル基等が好ましく例示され、これらの中でも、メチル基又はフェニル基がより好ましい。
上記式(E2)中、RE23としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、フェニル基等が好ましく例示され、これらの中でも、メチル基がより好ましい。
上記式(E21)及び(E22)中、RE24であるアリール基が有してもよい置換基としては、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、ハロゲン原子等が好ましく例示される。上記式(E21)及び(E22)中、RE25がアルキル基である場合に有してもよい置換基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基、フェニル基、ナフチル基等が好ましく例示される。
上記式(E21)及び(E22)中、RE24としては、フェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、2−エチルフェニル基、3−エチルフェニル基、4−エチルフェニル基、2,3−ジメチルフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基、2,5−ジメチルフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基、ナフチル基、2−メトキシ−1−ナフチル基、9−アントラセニル基等が好ましい。
上記式(E21)及び(E22)中、RE25としては、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル、n−ヘキシル基、フェニル基、3−メチルブチル基、3−メトキシブチル基等が好ましく例示され、これらの中でも、エチル基がより好ましい。
上記式(E23)中、RE26であるアリール基が有してもよい置換基としては、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、ハロゲン原子等が好ましく例示される。RE26としては、フェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、2−エチルフェニル基、3−エチルフェニル基、4−エチルフェニル基、2,3−ジメチルフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基、2,5−ジメチルフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基、ナフチル基、p−tert−ブチルフェニル基、p−メトキシフェニル基等が好ましく例示され、これらの中でも、フェニル基がより好ましい。
式(E2)で表されるオキシムエステル化合物の中で特に好ましい具体例としては、下記式の化合物を好ましく例示することができる。
感放射線性樹脂組成物中の(D)光重合開始剤の含有量は、感放射線性樹脂組成物の固形分の合計100質量部に対して0.1〜50質量部が好ましく、0.5〜10質量部がより好ましい。上記範囲内の量で(D)光重合開始剤を用いることにより、感放射線性樹脂組成物を放射線により十分に硬化させることができ、感放射線性樹脂組成物を用いて良好なパターンを製造することができる。
〔(S)有機溶剤〕
感放射線性樹脂組成物は、塗布性の改善や、粘度調整のため、(S)有機溶剤(以下、「(S)成分」ともいう。)を含んでいてもよい。(S)成分は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
(S)有機溶剤として具体的には、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等の他のエーテル類;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン等のケトン類;2−ヒドロキシプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル等の乳酸アルキルエステル類;2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、蟻酸n−ペンチル、酢酸i−ペンチル、プロピオン酸n−ブチル、酪酸エチル、酪酸n−プロピル、酪酸i−プロピル、酪酸n−ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸n−プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸エチル等の他のエステル類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;等が挙げられる。これらの中でも、アルキレングリコールモノアルキルエーテル類、アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、上述した他のエーテル類、乳酸アルキルエステル類、上述した他のエステル類が好ましく、アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、上述した他のエーテル類、上述した他のエステル類がより好ましい。
感放射線性樹脂組成物中の(S)成分の含有量は、特に限定されない。感放射線性樹脂組成物中の(S)成分の含有量は、感放射線性樹脂組成物膜を形成する対象である基材に感放射線性樹脂組成物を塗布することができる範囲内の量で、塗布膜厚に応じて適宜設定される。感放射線性樹脂組成物の固形分濃度は、典型的には、1〜50質量%が好ましく、5〜30質量%がより好ましく、5〜15質量%が更により好ましい。
〔その他の成分〕
感放射線性樹脂組成物には、必要に応じて各種の添加剤を加えてもよい。具体的には、単官能モノマー、増感剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、消泡剤、密着増強剤、界面活性剤、熱重合禁止剤等が例示される。いずれの添加剤も、従来公知のものを用いることができる。添加剤の使用量は本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、添加剤の種類に応じて適宜決定される。添加剤は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
単官能モノマーとしては、エチレン性不飽和基を有するものを好ましく用いることができる。単官能化合物としては、(メタ)アクリルアミド、メチロール(メタ)アクリルアミド、メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、プロポキシメチル(メタ)アクリルアミド、ブトキシメトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、クロトン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、tert−ブチルアクリルアミドスルホン酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルフタレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノ(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、フタル酸誘導体のハーフ(メタ)アクリレート等が挙げられる。消泡剤としては、シリコーン系、フッ素系化合物等が挙げられる。密着増強剤としては、従来公知のシランカップリング剤が挙げられる。界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系等の化合物が挙げられる。熱重合禁止剤としては、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノエチルエーテル等が挙げられる。
≪感放射線性樹脂組成物の製造方法≫
感放射線性樹脂組成物の製造方法は特に限定されない。感放射線性樹脂組成物は、以上説明した、各成分を、公知の混合装置により均一に混合することにより製造できる。感放射線性樹脂組成物が、室温で固体であったり高粘度のゲルであったりする場合には、ニーダーや、二本ロール、及び三本ロールのような溶融混練装置を用いて、各成分を混合してもよい。
≪パターン製造方法≫
本発明に係るパターン製造方法は、本発明に係る感放射線性樹脂組成物を用いて感放射線性樹脂組成物膜を形成する感放射線性樹脂組成物膜形成工程と、上記感放射線性樹脂組成物膜を位置選択的に露光する露光工程と、露光された上記感放射線性樹脂組成物膜を現像する現像工程とを含む。
感放射線性樹脂組成物膜形成工程において、感放射線性樹脂組成物膜は、好ましくは基材上に形成される。基材としては、例えば、ITO膜基板等の透明電導膜基板が挙げられる。感放射線性樹脂組成物膜形成工程において感放射線性樹脂組成物膜を形成する方法は、特に限定されない。感放射線性樹脂組成物が固体や高粘度のゲルである場合、例えば、所定量の感放射線性樹脂組成物を基材上に供給した後、感放射線性樹脂組成物を、適宜加熱しながら、プレスする方法で、感放射線性樹脂組成物膜を形成することができる。感放射線性樹脂組成物が液体である場合、例えば、ロールコーター、リバースコーター、バーコーター、スリットコーター等の接触転写型塗布装置や、スピンナー(回転式塗布装置)、カーテンフローコーター等の非接触型塗布装置を用いる方法により、感放射線性樹脂組成物膜を形成することができる。
露光工程において、例えば、マスクを介して露光を行う方法等で、感放射線性樹脂組成物膜を位置選択的に露光することができる。露光は、ArFエキシマレーザー、KrFエキシマレーザー、F2エキシマレーザー、極紫外線(EUV)、真空紫外線(VUV)、電子線、X線、軟X線等の放射線を照射して行われる。露光量は感放射線性樹脂組成物の組成によっても異なるが、例えば、10〜600mJ/cm2程度が好ましい。
現像工程において、現像方法としては、特に限定されず、浸漬法、スプレー法等を用いることができる。現像液の具体例としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の有機系のものや、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、アンモニア、4級アンモニウム塩等の水溶液が挙げられる。
以上の通りにして、パターンを製造することができる。本発明に係る感放射線性樹脂組成物は、フォトリソグラフィー特性に優れるため、この感放射線性樹脂組成物から製造されるパターンは矩形性に優れたものとなりやすい。また、上記パターンは密着性に優れる。よって、上記パターンをITO膜基板等の透明電導膜基板上に形成し、上記パターンをマスクとして上記透明電導膜基板をシュウ酸等のエッチング液でエッチングした場合、上記パターンが上記エッチング液により上記透明電導膜基板から剥離するのを効果的に抑制することができる。
≪透明絶縁膜及び表示装置≫
本発明に係る感放射線性樹脂組成物を用いると、上記で説明したような、塗布、プレス、露光等の簡易な方法で透明絶縁膜を形成することができる。また、このようにして形成される透明絶縁膜は、透明性に優れ、誘電率が高いため、種々の方式の表示装置を製造する際に、好適に使用される。このようにして形成される透明絶縁膜は、これらの利点から、従来、液晶ディスプレイのような表示装置において使用されている、窒化ケイ素からなる透明絶縁膜の代替材料として期待される。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
<材料>
[充填材]
充填材1:CeO2、平均粒子径100nm
充填材2:CeO2、平均粒子径50nm
充填材3:La2O3、平均粒子径100nm
充填材4:TiO2、平均粒子径100nm
充填材5:BaTiO3、平均粒子径100nm
[樹脂]
樹脂1〜3:下記式で表される構造単位I〜IVからなり、各構成単位の量が表1に示す通りである樹脂
[多官能モノマー]
多官能モノマー1:6官能の多官能モノマー、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
多官能モノマー2:3官能の多官能モノマー、トリメチロールプロパントリアクリレート
多官能モノマー3:3官能の多官能モノマー、トリス(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート
多官能モノマー4:3官能の多官能モノマー、トリメチロールプロパンEO変性トリアクリレート
多官能モノマー5:4官能の多官能モノマー、ペンタエリスリトールテトラアクリレート
[光重合開始剤]
光重合開始剤1:下記式で表される化合物
[感放射線性樹脂組成物の調製]
表2に記載の種類及び量の樹脂、多官能モノマー、光重合開始剤、及び充填材を、溶剤である3−メトキシブチルアセテートとプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートとジエチレングリコールエチルメチルエーテルとの混合溶剤と均一に混合して、固形分12質量%の感放射線性樹脂組成物を調製した。上記混合溶剤の組成比は、3−メトキシブチルアセテート:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート:ジエチレングリコールエチルメチルエーテル=2:6:2(質量比)とした。
[密着性の評価]
感放射線性樹脂組成物をITO膜基板上にスピンコートした。次いで、ITO膜基板上の塗膜をホットプレート上で80℃にて120秒加熱乾燥させて、ITO膜基板上に感放射線性樹脂組成物膜を形成させた。上記ITO膜基板を5質量%シュウ酸に浸漬し、感放射線性樹脂組成物膜がITO膜基板から剥離するまでの時間を測定した。結果を表2に示す。なお、下記フォトリソグラフィー特性の評価の結果、パターンが形成されなかった場合には、密着性の評価を行わなかった。
[フォトリソグラフィー特性の評価]
感放射線性樹脂組成物をITO膜基板上にスピンコートした。次いで、ITO膜基板上の塗膜をホットプレート上で80℃にて120秒加熱乾燥させて、ITO膜基板上に感放射線性樹脂組成物膜を形成させた。その後、プロキシミティ露光装置(製品名:TME−150RTO、株式会社トプコン製)を使用し、露光ギャップを25μmとして、直径10μmのホールパターンの形成されたネガマスクを介して、露光量を20、30、及び40mJ/cm2の3段階として、感放射線性樹脂組成物膜を露光した。露光後の感放射線性樹脂組成物膜を、23℃の2.38質量%TMAH水溶液で100秒間現像し、以下の基準でフォトリソグラフィー特性を評価した。結果を表2に示す。なお、各実施例又は各比較例において、露光量が異なっていても、フォトリソグラフィー特性の評価の結果は同一であった。
×:感放射線性樹脂組成物膜にホールパターンが形成されなかった。
△:感放射線性樹脂組成物膜にテーパー形状のホールパターンが形成された。
○:感放射線性樹脂組成物膜に矩形性が良好なホールパターンが形成された。
◎:感放射線性樹脂組成物膜に矩形性がより良好なホールパターンが形成された。
*質量%は、樹脂と多官能モノマーとの合計に対する値である。
表2から分かる通り、比較例1及び2ではフォトリソグラフィー特性が得られなかったのに対し、本発明に係る感放射線性樹脂組成物は、基板との密着性及びフォトリソグラフィー特性に優れる。特に、多官能モノマーが5官能以上の多官能モノマーである場合、多官能モノマーの含有量がアルカリ可溶性樹脂100質量部に対して25〜55質量部である場合、又は、充填材の含有量がアルカリ可溶性樹脂と多官能モノマーとの合計100質量部に対して7.5〜15質量部である場合に、基板との密着性及びフォトリソグラフィー特性に優れる。