JP2016073243A - 調味液、食品、食品の製造方法、ドリップ防止方法、および食品の風味向上方法 - Google Patents

調味液、食品、食品の製造方法、ドリップ防止方法、および食品の風味向上方法 Download PDF

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Abstract

【課題】食材からのドリップ抑制と、食品の風味向上とのバランスを向上させることが可能な調味液を実現する。
【解決手段】調味液は、加熱調理用食材を被覆するよう前記食材に付着させて用いられる調味液であって、油脂と水を含み、以下の条件により得られる測定試料の、液温25℃においてB型粘度計を用いて測定される回転数12rpm、測定時間7分での粘度η12が、70mPa・s以上である。(条件:前記調味液を液温80℃となるまで加熱し、撹拌して油画分を分離させる。次いで、分離させた前記油画分を液温0℃となるまで冷却した後、液温25℃まで昇温させる。そして、これにより得られる前記油画分を前記測定試料とする。)
【選択図】なし

Description

本発明は、食材表面を被覆するように付着させて用いられる調味液、この調味液を用いて得られる食品、食品の製造方法、ドリップ防止方法、および食品の風味向上方法に関する。
食材の味付けを行うために用いられる調味液に関しては、様々な検討がなされている。このような技術としては、たとえば特許文献1〜7を挙げることができる。
特許文献1は、油相と水相からなる麺サラダ用ソースに関する技術である。より具体的には、全油相中にジアシルグリセロールを5〜99.9重量%含有する油相を全系中20重量%以上含有する麺サラダ用ソースが記載されている。特許文献2は、サラダ用酸性ペースト状水中油型乳化脂に関する技術である。特許文献3は、水中油型乳化脂からなるサラダ具材用コーティング剤に関する技術である。特許文献4は、大豆油70〜98質量%と中鎖脂肪酸トリグリセリド2〜30質量%とをエステル交換する工程を含む油脂組成物の製造方法に関する技術である。特許文献5には、固体脂含有油脂と、水溶性物質と、乳化剤と、水分とを必須成分として含有する流動性食用油脂組成物が記載されている。特許文献6および7は、風味成分を含有してなるO/W型乳化組成物に関する技術である。
特開2005−52081号公報 特開平8−112075号公報 特開平8−154626号公報 特開2014−9号公報 特開平1−252247号公報 特開平9−163952号公報 特開平10−113145号公報
食材を被覆するよう当該食材へ付着させて用いられる調味液として、水と油脂を含むものが検討されている。たとえば食材に調味液を付着させて得た食品を陳列しておく場合など、調味液を付着させた食材を長時間保管しておくことが求められる場合がある。このような場合においては、調味液を付着させた食材からのドリップの発生が懸念される。また、このような調味液においては、食材内部へ味を染み込ませることによって、得られる食品の風味を向上させることが求められる場合もある。しかしながら、食材からのドリップ抑制と、食材内部への味の染み込みによる食品の風味向上とのバランスを向上させることは困難であった。
本発明によれば、
加熱調理用食材を被覆するよう前記食材に付着させて用いられる調味液であって、
油脂と水を含み、
以下の条件により得られる測定試料の、液温25℃においてB型粘度計を用いて測定される回転数12rpm、測定時間7分での粘度η12が、70mPa・s以上である調味液が提供される。
(条件:前記調味液を液温80℃となるまで加熱し、撹拌して油画分を分離させる。次いで、分離させた前記油画分を液温0℃となるまで冷却した後、液温25℃まで昇温させる。そして、これにより得られる前記油画分を前記測定試料とする。)
本発明によれば、
加熱調理用食材を被覆するよう前記食材に付着させて用いられる調味液であって、
油相成分と水相成分を含み、
前記油相成分は、結晶化した油脂を含む調味液が提供される。
本発明によれば、上述の調味液を食材に付着させて得られる食品が提供される。また、本発明によれば、上述の調味液を食材に付着させる工程を備える食品の製造方法が提供される。
本発明によれば、上述の調味液を、食材を被覆するように前記食材へ付着させてドリップを防止する工程を備えるドリップ防止方法が提供される。また、本発明によれば、上述の調味液を、食材を被覆するように前記食材へ付着させて、前記食材中の水分と前記調味液中の水相成分を相互に移行させる食品の風味向上方法が提供される。
本発明によれば、食材からのドリップ抑制と、食品の風味向上とのバランスを向上させることが可能な調味液を実現することができる。
本実施形態に係る調味液の機能を説明するための模式図である。 調理作業性評価における加熱調理後の油はねの状態を示す写真である。 調理作業性評価における加熱調理後の油はねの状態を示す写真である。
以下、実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
本実施形態に係る調味液は、食材を被覆するよう当該食材に付着させて用いられる。また、調味液は、水と油脂を含み、以下の条件により得られる測定試料の、液温25℃においてB型粘度計を用いて測定される回転数12rpm、測定時間7分での粘度η12が、70mPa・s以上である。
(条件:調味液を液温80℃となるまで加熱し、撹拌して油画分を分離させる。次いで、分離させた油画分を液温0℃となるまで冷却した後、液温25℃まで昇温させる。そして、これにより得られる油画分を上記測定試料とする。)
鋭意検討の結果、本発明者は、水と油脂を含む調味液を加熱し、撹拌して分離させた油画分を測定試料とした、液温25℃における回転数12rpmでの粘度η12が高度に制御された場合において、調味液を付着させた食材からの長時間保管時におけるドリップを抑制しつつ、食材への味の染み込みを促進させることができることを見出した。これは、調味液から分離させた油画分を測定試料として粘度η12を測定することによって、食材へ付着させた調味液の挙動をよく再現し得ることによるものと考えられている。本実施形態に係る調味液は、このような知見に基づいて、粘度η12が70mPa・s以上に制御されたものである。したがって、本実施形態によれば、食材からのドリップ抑制と、食品の風味向上と、のバランスを向上させることが可能な調味液を実現することが可能となる。
以下、本実施形態に係る調味液の詳細を説明する。
本実施形態に係る調味液は、食材を被覆するよう当該食材に付着させて用いられる。これにより、前述したように、たとえば20時間という長時間に亘って調味液を付着させた食材を保管する際にも、食材からドリップが生じることを抑制することができる。また、食材からのドリップが抑制されることによって、食材が調味液中の調味料成分により被覆された状態をより安定的に保持することができるため、調味料成分が食材中にしみ込みやすくなる。このため、食材の風味の向上に寄与することも可能となる。なお、ドリップとは、調味液を塗布した食材から外部へ流出した液体であり、肉類や魚介類等の食材から出る液体(滲出液)や、食材へ付着させた調味液がたれ落ちしたものを含む。また、調味液により食材を被覆するとは、食材表面の一部または全部が調味液により覆われている場合を指す。本実施形態においては、ドリップ抑制の観点から、食材表面の全部が調味液により覆われていることがより好ましい。また、調味液を付着させた食材を保管する場合には、たとえば1時間以上という長時間に亘って保管することができ、用途によっては5時間以上という長時間に亘って保管される。調味液を付着させた食材は、たとえば2℃以上14℃以下の温度条件で冷蔵保管することが食材の傷み等を抑える観点から好ましい。なお、調味液が食材に付着するとは、食材に調味液が接触することを指す。
本実施形態においては、調味液を食材へ付着させることにより、たとえば前記食材へ味付けが行われる。調味液を付着させる方法は、とくに限定されないが、たとえば手等により調味液を食材へ塗布する方法、および調味液中に食材を浸す方法等が挙げられる。食材への調味液の塗布は、たとえばタンブリング等の外力をかけつつ食材と調味液をともに揉み込むことにより行うことができる。この場合、食材中への調味料成分のしみ込みを促進することができる。なお、食材への調味液の塗布は、食材と調味液をともに軽く揉み込むことによって行ってもよく、外力をかけずに調味液を食材表面に塗布して行ってもよい。
本実施形態に係る食品は、たとえば食材100重量部に対して2重量部以上30重量部以下、好ましくは3重量部以上20重量部以下、より好ましくは5重量部以上15重量部以下の調味液を付着させることができる。これにより、調味液を付着させた食材からのドリップを効果的に抑制できる。また、調味液中の調味料成分を食材中へしみ込ませつつ、食材本来の成分の流出を抑制することができる。また、本実施形態に係る食品において、食材100重量部に対する油相成分の付着量は、1重量部以上25重量部以下であることが好ましく、2重量部以上20重量部以下であることがより好ましく、3重量部以上15重量部以下であることがとくに好ましい。これにより、食材からのドリップをより効果的に抑制しつつ、食品の風味向上に寄与することが可能となる。
調味液を付着して味付けされた食材に対しては、たとえばその後加熱調理が行われる。すなわち、調味液は、加熱調理用食材を被覆するよう当該食材へ付着させて用いることができる。加熱調理の方法は、とくに限定されず、食材の種類等に応じて適宜選択可能であるが、たとえば焼く、蒸すが挙げられる。本実施形態に係る調味液は、調味液が付着した食材からのドリップを抑え、油相成分によって食材が被覆された状態を保持することができるため、食材の中に調味料成分や滲出液を閉じ込めることができる。調味料成分や滲出液が外部へ露出している状態においては、たとえば食材をフライパンで加熱する際、調味料成分や滲出液の急激な加熱による水分の蒸発に起因した油はね、調味料成分や滲出液中の成分に起因した焦げ付きが懸念される。本実施形態によれば、上述のように油相成分によって食材が被覆された状態を保持できることから、食材を焼く際に焦げ付きや油はねが生じることを抑制することが可能となる。これにより、得られる食品の調理作業性の向上に寄与することができる。
調味液を付着させる食材は、とくに限定されないが、たとえば肉類、魚介類、および野菜類が挙げられる。これらの中でも、滲出液量が多い肉類および魚介類に対して調味液を適用する場合に、本発明の効果はより顕著となる。本実施形態においては、たとえば上記の食材として加熱調理前の生肉、生魚、または生野菜を使用することができる。これらの食材は、たとえば加熱調理用食材として使用される。
ここで、本実施形態の一例に係る調味液の機能を、図を用いて説明する。
図1は、本実施形態に係る調味液の機能を説明するための模式図である。油相成分20と水相成分22を含む調味液は、図1(a)に示すように、食材10を被覆するように食材10へ塗布される。このように調味液が食材10へ塗布されると、図1(b)に示すように水相成分22中に含まれる食塩等による浸透圧の影響によって、食材10から滲出液12が染み出してくる。なお、図1(a)および図1(b)においては、理解のために油相成分20と水相成分22が互いに分離した模式的な構造が示されているが、油相成分20と水相成分22は互いに混ざり合っていてもよく、油相成分20と水相成分22は乳化していてもよい。
滲出液12や水相成分22は食材10となじむことにより、食材10への染み込みと染み出しを繰り返しながら食材10の内部へと染み込んでいく。これにより、図1(c)に示すように、食材10内部に滲出液12と水相成分22が染み込んでなる領域14が生じる。また、水相成分22は食材10へなじむことから食材10の表面を覆うように配置される。一方で、油相成分20は、滲出液12や水相成分22となじまないため、水相成分22と分離し、水相成分22や滲出液12の動きに伴って最外層に配置される。すなわち、食材10を被覆する調味液は、内側に食材10に接した水相成分22が配置され、外側に水相成分22を覆う油相成分20が配置された構造を有することとなる。その後、水相成分22と滲出液12は、図1(d)に示すように食材10の内部へさらに染み込んでいく。また、油相成分20は食材10を覆うように配置される。
たとえば水相成分のみを含む調味液においては、粘性を上げることによってドリップの抑制を図ることができる一方で、ドリップを抑制できる程度の高い粘性とした場合には当該水相成分と食材中の水分が相互に移行しにくくなることから食材へ味が染み込みにくくなる。すなわち、水相成分のみを含む調味液では、耐ドリップ性と風味が互いにトレードオフの関係にあり、これらを両立させることは困難であった。本発明者は、水相成分22と油相成分20を含む上記のような調味液によって、図1(d)に示すように油相成分20によって食材10を被覆することができるため、食材10内部への味の染み込みの促進や、ドリップの抑制、食材10を加熱調理する際の焦げ付きおよび油はね等の抑制を図ることが可能となることを知見した。このため、水相成分のみを含む調味液と比較して優れた効果を示し得るものである。また、油相成分のみを含む調味液と比較した場合には、水相成分の食材内部への染み込みにより風味に優れた食品の実現が可能となる。
しかしながら、水相成分22と油相成分20を含む調味液においても、油相成分20による食材10の被覆を長時間維持することは困難であり、時間の経過に伴い水相成分22、滲出液12、および油相成分20がたれ落ちしてドリップが発生することが懸念された。また、油相成分20による食材10の被覆が維持できないことから、加熱調理時に滲出液や食材の表面に出ている水相成分が直接加熱されることで油はねを引き起こし、焦げつきの原因にもなるおそれがあった。さらには、水相成分22の食材10への染み込みが十分に行われずに、加熱調理用の食材10への下味付与を十分に行うことが困難となる場合もあった。このように、長時間保管した後に加熱調理をする食品に用いられる調味液には、これまで十分な検討がなされていなかった多くの課題が存在していた。
本発明者は、前述のとおり、粘度η12を70mPa・s以上に制御することによって、長時間に亘って油相成分20による食材10の被覆を維持できることを新たに見出した。すなわち、本実施形態にかかる調味液によれば、長時間保管後であってもドリップの発生や、加熱調理時における焦げ付きおよび油はね等を抑制することが可能となる。また、水相成分22と食材10からの滲出液12とが相互に移行することによる水相成分22の食材10への染み込みを促進させ、加熱調理用の食材10への下味付与を十分に行うこともできる。さらには、油相成分20による被覆を維持することによって外観の向上にも寄与することができる。このように、本実施形態に係る調味液は、たとえば食材に調味液を塗布した状態で店頭にて販売される加熱調理用食品等の、食材へ塗布した状態において長時間保管した後に加熱調理をすることが求められる用途に使用される場合において、これまでにない優れた効果を実現することができるものである。
調味液は、液温80℃となるまで加熱して撹拌することにより油画分を分離させることができる。ここでは、油画分と残余に分離することができる。また、分離後に取り出して液温80℃から液温0℃まで冷却させた後、液温25℃まで昇温させた油画分を粘度η12、ならびに後述する粘度η30、粘度η60、移動距離L(20〜30)、移動距離L(20〜40)、および移動距離L(30〜40)を測定する際の測定試料とすることができる。本実施形態において、油画分の分離は、たとえば調味液を80℃まで加熱した状態において、AGI HOMO MIXER 2M−1型(プライミクス(株)製)を使用して、パドルミキサーの回転数60rpm、ホモミキサーの回転数0rpm(停止)、攪拌時間4時間の条件で撹拌することにより行うことができる。80℃から0℃までの冷却は、たとえば分離した油画分200gをプラスチックフィルム製の平袋(13cm×21cm)に入れた後、当該平袋を氷浴槽に入れた十分量の氷水中に2時間浸けることにより行われる。0℃から25℃までの昇温は、たとえば上記平袋を上記氷浴槽から取り出して25℃のインキュベーターに入れて20時間放置することによって行われる。なお、調味液を液温80℃まで加熱しても油画分が分離できない場合には、適宜、遠心分離を行ってもよい。油画分が分離されない場合とは、たとえば乳化状態が維持されているために油画分を抽出することができない場合等が挙げられる。ここでは、油脂を主成分として含む画分を油画分とし、油画分ではない水を主成分として含む画分を残余とする。
上記測定試料は、液温25℃においてB型粘度計を用いて測定される回転数12rpm、測定時間7分での粘度η12が70mPa・s以上である。これにより、上述したように、調味液を付着させた食材からのドリップを抑制することが可能となる。粘度η12の測定は、たとえばB型粘度計により、適切なロータを使用して測定することができる。なお、測定時間とは、ロータの回転開始から粘度を読み取るまでの時間を指す。B型粘度計としては、たとえば東新産業(株)製、TVB−10M型粘度計を用いることができる。また、ロータは、たとえばM1、M2、M3、およびM4から適切なものを選択することができる。M1は、回転数12rpmにおける測定上限粘度が500mPa・s、回転数30rpmにおける測定上限粘度が200mPa・s、回転数60rpmにおける測定上限粘度が100mPa・sである。M2は、回転数12rpmにおける測定上限粘度が2,500mPa・s、回転数30rpmにおける測定上限粘度が1,000mPa・s、回転数60rpmにおける測定上限粘度が500mPa・sである。M3は、回転数12rpmにおける測定上限粘度が10,000mPa・s、回転数30rpmにおける測定上限粘度が4,000mPa・s、回転数60rpmにおける測定上限粘度が2,000mPa・sである。M4は、回転数12rpmにおける測定上限粘度が50,000mPa・s、回転数30rpmにおける測定上限粘度が20,000mPa・s、回転数60rpmにおける測定上限粘度が10,000mPa・sである。本実施形態においては、たとえばM1〜M4のうちの小さい番号のロータを優先的に使用し、測定上限粘度を超える場合に順次大きな番号のロータを選択することができる。なお、測定粘度の数値によっては、他のTVB−10型粘度計を選択することも可能である。
本発明者は、調味液を加熱し、撹拌して分離させた油画分を測定試料とした、回転数12rpmという低速条件における粘度η12が、調味液を付着させた食材を静置状態で保管した際における、調味液の油相成分の食材に対する被覆性に相関していることを新たに知見した。これは、調味液から分離させた油画分を測定試料として粘度η12を測定することによって、食材へ付着させた調味液の挙動をよく再現し得ることによるものと考えられている。そして、上記知見に基づく鋭意検討の結果、粘度η12を70mPa・s以上とすることにより、調味液が付着した食材を長時間に亘って静置状態で保管した場合であっても、調味液の油相成分が十分な被覆性を保ち、食材が調味液の油相成分によって被覆された状態を維持されることを見出した。このような理由から、調味液を用いることにより、長時間保管時の食材からのドリップを抑制しつつ、食品の風味向上に寄与することができるものと推測される。
調味液を付着させた食材からのドリップをより効果的に抑制する観点からは、粘度η12が100mPa・s以上であることがより好ましく、200mPa・s以上であることがとくに好ましい。とくにドリップを抑制する観点からは、粘度η12を300mPa・s以上、好ましくは500mPa・s以上、より好ましくは1000mPa・s以上とすることもできる。一方で、粘度η12の上限値は、とくに限定されないが、たとえば50,000mPa・s以下であることが好ましく、10,000mPa・s以下であることがより好ましい。これにより、調味液を用いて食材を均一に被覆することがより容易となる。
上記測定試料の粘度η12は、たとえば調味液を構成する各原料の種類や配合割合、および調味液の調製方法等をそれぞれ高度に調整することによって所望の範囲内に制御することが可能である。本実施形態においては、たとえば調味液全体に対する油相の配合割合、後述する油脂および乳化剤の種類や配合割合、およびこれら油相の調製方法を適切に選択することがとくに重要であると考えられる。たとえば80℃程度の高温にて油相の調整を行うことが重要となる。また、ペースト状または固形状の油脂を使用する場合には、たとえばこれを溶解させて液状の油脂と混合させた後に、この混合物を急冷することが重要となる。乳化剤を使用する場合においても、たとえば油脂と混合して加熱した後に急冷することにより、粘性を調製することが可能である。
本実施形態においては、上記測定試料の、液温25℃においてB型粘度計を用いて測定される回転数30rpm、測定時間7分での粘度をη30とする。この場合において、η30/η12は、0.9以下であることが好ましく、0.8以下であることがより好ましく、0.7以下であることがとくに好ましい。本実施形態によれば、このようにη30/η12で規定されるチキソトロピー性を制御することより、調味液により食材が被覆された状態をより確実に維持しつつ、食材への調味液の塗布が容易となることから調味液を食材へ均一に被覆することが可能となる。このため、調味液を付着させた食材からのドリップをさらに効果的に抑制することができる。一方で、η30/η12の下限値は、とくに限定されないが、たとえば0.1以上であることが好ましく、0.2以上であることがより好ましい。これにより、調味液の塗布作業性、および食品の風味や口当たり等を向上させることが可能となる。
本実施形態においては、たとえば粘度η30を50mPa・s以上45,000mPa・s以下とすることができる。これにより、上述したη30/η12を所望の範囲に制御することがより容易となる。このため、調味液を付着させた食材からのドリップの抑制に寄与することができる。粘度η30は、上述した粘度η12の測定方法と同様にして測定することが可能である。また、粘度η30は、調味液を構成する各成分の種類や配合割合、および調味液の調製方法等をそれぞれ調整することによって制御することができる。
本実施形態においては、上記測定試料の、液温25℃においてB型粘度計を用いて測定される回転数60rpm、測定時間7分での粘度をη60とする。この場合において、η60/η12は、0.8以下であることが好ましく、0.7以下であることがより好ましく、0.5以下であることがとくに好ましい。本実施形態によれば、このようにη60/η12で規定されるチキソトロピー性を制御することによって、調味液により食材が被覆された状態をより確実に維持しながらも、食材への調味液の塗布がさらに容易となることから調味液を食材へより均一に被覆することが可能となる。このため、調味液を付着させた食材からのドリップをさらに効果的に抑制することができる。一方で、η60/η12の下限値は、とくに限定されないが、たとえば0.1以上であることが好ましく、0.2以上であることがより好ましい。これにより、調味液の塗布作業性、および食品の風味や口当たり等を向上させることが可能となる。
本実施形態においては、たとえば粘度η60を45mPa・s以上40,000mPa・s以下とすることができる。これにより、上述したη60/η12を所望の範囲に制御することがより容易となる。このため、調味液を付着させた食材からのドリップの抑制に寄与することができる。粘度η60は、上述した粘度η12の測定方法と同様にして測定することが可能である。また、調味液の粘度η60は、調味液を構成する各成分の種類や配合割合、および調味液の調製方法等をそれぞれ調整することによって制御することができる。
本実施形態においては、上記測定試料を、表面がアルミニウムであり、かつ表面温度が25℃である傾き2°の傾斜上に500μl滴下したときの、20分経過後から30分経過後までの上記測定試料の移動距離L(20〜30)が20mm以下であることが好ましい。これにより、食材へ塗布された調味液の、食材表面に留まろうとする性能をより効果的に発現させることができる。このため、食材が調味液によって被覆された状態をより効果的に維持し、食材からのドリップをさらに確実に抑制することができる。なお、ドリップを抑制する観点からは、上記測定試料の移動距離L(20〜30)が15mm以下であることがとくに好ましい。一方で、上記測定試料の移動距離L(20〜30)の下限値は、とくに限定されないが、たとえば0mmとすることができる。
本実施形態においては、上記測定試料を、表面がアルミニウムであり、かつ表面温度が25℃である傾き2°の傾斜上に500μl滴下したときの、20分経過後から40分経過後までの上記測定試料の移動距離L(20〜40)が30mm以下であることが好ましい。これにより、食材が調味液によって被覆された状態をさらに効果的に維持し、食材からのドリップをさらに確実に抑制することができる。なお、ドリップを抑制する観点からは、上記測定試料の移動距離L(20〜40)が20mm以下であることがとくに好ましい。一方で、上記測定試料の移動距離L(20〜40)の下限値は、とくに限定されないが、たとえば0mmとすることができる。
本実施形態においては、上記測定試料を、表面がアルミニウムであり、かつ表面温度が25℃である傾き2°の傾斜上に500μl滴下したときの、30分経過後から40分経過後までの上記測定試料の移動距離L(30〜40)が10mm以下であることが好ましい。これにより、食材が調味液によって被覆された状態をさらに効果的に維持し、食材からのドリップをさらに確実に抑制することができる。なお、ドリップを抑制する観点からは、上記測定試料の移動距離L(30〜40)が7mm以下であることがとくに好ましい。一方で、上記測定試料の移動距離L(30〜40)の下限値は、とくに限定されないが、たとえば0mmとすることができる。
移動距離L(20〜30)、L(20〜40)、およびL(30〜40)は、調味液を構成する各成分の種類や配合割合、および調味液の調製方法等をそれぞれ調整することによって制御することができる。なお、移動距離L(20〜30)、L(20〜40)、およびL(30〜40)の測定条件における20分経過後、30分経過後、および40分経過後とは、それぞれ測定試料を滴下した直後から20分経過後、30分経過後、および40分経過後を指す。
調味液は、上述のとおり、油脂と水を含む。水を含むことにより、調味料成分が溶解した調味液中の水と、食材中の水分とを互いに循環させて食材中に調味料成分を効果的にしみ込ませることが可能となる。また、油脂を含むことにより、食材が調味液によって被覆された状態を維持することが可能となり、ドリップの抑制や、調味料成分の食材へのしみ込みに寄与することができる。このように、調味液中に油脂と水をともに含むことによって、調味液を付着させた食材について風味を向上させつつ、食材からのドリップを抑制することが可能となる。なお、調味液に含まれる水は、たとえば純水として添加するものや、後述する液体調味料中に含有されているもの等を含む。
調味液は、油脂を含む油相成分と、水を含む水相成分とを含有している。
本実施形態において、調味液中に含まれる油相成分と水相成分は、たとえば互いに分離している。すなわち、油相成分と水相成分が乳化状態にないものとすることができる。また、調味液中に含まれる油相成分と水相成分は、たとえば懸濁状態とすることもできる。この場合、油相成分と水相成分のいずれが分散媒であってもよい。また、調味液中に含まれる油相成分と水相成分は、乳化状態となっていてもよい。この場合、水中油型の乳化状態であってもよく、油中水型の乳化状態であってもよい。油相成分と水相成分が乳化状態である場合には、たとえばタンブリング等の物理的な力や、食材からのドリップまたは水相の素材への染み込みによって解乳化が起こり、図1に示した機能を示す。なお、本実施形態においては、調味液中の油相成分と水相成分が互いに分離している場合、または懸濁状態にある場合をとくに好ましい態様として採用し得る。本実施形態においては、調味液を80℃まで加熱した状態において、AGI HOMO MIXER 2M−1型(プライミクス(株)製)を使用して、パドルミキサーの回転数60rpm、ホモミキサーの回転数0rpm(停止)、攪拌時間10時間の条件で撹拌した後に、油画分と残余に分離されていることが好ましい。また、本実施形態では、ドリップ抑制等の観点から、上記条件のうち撹拌時間を4時間に変更した場合においても撹拌後に油画分と残余に分離されていることがより好ましく、上記条件のうち撹拌時間を2時間に変更した場合においても撹拌後に油画分と残余に分離されていることがとくに好ましく、上記条件のうち撹拌時間を1時間に変更した場合においても撹拌後に油画分と残余に分離されていることがさらに好ましい。ここでは、油脂を主成分として含む画分を油画分とし、油画分ではない水を主成分として含む画分を残余とする。
以下、油相成分と水相成分についてそれぞれ詳述する。
(油相成分)
油相成分は、上述のとおり、油脂を含んでいる。油相成分は、たとえば油脂を結晶化させる成分を有するものである。これにより、長時間に亘って食材を被覆した状態を維持することができ、ドリップの抑制や調理時の焦げ付きおよび油はねの抑制、食品の風味向上に寄与し得る調味液を実現することが可能となる。これにより、得られる食品の調理作業性の向上に寄与することができる。油脂を結晶化させる成分としては、たとえば特定の油脂や乳化剤等が挙げられる。本実施形態においては、たとえばこの油脂を結晶化する成分の種類や配合割合を制御することによって、ドリップの抑制や調理時の焦げ付きおよび油はねの抑制、食品の風味向上という効果をより顕著に発揮させることが可能となる。本実施形態に係る調味液は、たとえば結晶化した油脂を含むものである。一方で、調味液は、油脂を結晶化させる成分を含むものであり、加熱冷却等の処理を行うことによって油脂の結晶化が進むものであってもよい。
油脂は、食用油脂であればとくに限定されず、植物性油脂および動物性油脂、ならびにこれらに対して水添、エステル交換、または分別等の処理を行った油脂から選択される一種または二種以上を含む。植物性油脂は、たとえば、コーン油、あまに油、桐油、サフラワー油、かや油、胡桃油、芥子油、向日葵油、綿実油、菜種油、大豆油、辛子油、カポック油、米糠油、胡麻油、玉蜀黍油、落花生油、オリーブ油、椿油、ひまし油、椰子油、パーム油、パーム核油、カカオ脂、およびシア脂から選択される一種または二種以上を含むことができる。また、動物性油脂は、たとえば魚油、鯨油、牛脂、豚脂(ラード)、乳脂、および羊脂から選択される一種または二種以上を含むことができる。本実施形態においては、植物性油脂と動物性油脂をともに含む態様を一例として採用することができる。これらのうちの常温で固体またはペースト状である油脂は、常温で液体である油脂を結晶化させる成分となり得るものである。なお、本実施形態における油脂とは、常温で液体である油脂と、常温で固体またはペースト状である油脂の双方を含んだ意味を有するものである。本実施形態に係る油相成分は、これらのうちの少なくとも常温で液体である油脂を含むものである。
本実施形態においては、油脂として、たとえば常温で液体である油脂と、常温で固体またはペースト状である油脂と、の混合物を用いることができる。これにより、粘度η12、粘度η30、粘度η60、移動距離L(20〜30)、移動距離L(20〜40)、および移動距離L(30〜40)を所望の範囲内とすることがより容易となる。このとき、油脂全体に対する常温で固体またはペースト状である油脂の含有率が、1重量%以上70重量%以下であることが好ましく、10重量%以上70重量%以下であることがより好ましく、20重量%以上60重量%以下であることがさらに好ましい。本実施形態の一例としては、菜種油とラードの混合物を油脂として用いる態様が挙げられる。
調味液全体に対する油脂の割合は、たとえば10重量%以上であることが好ましく、15重量%以上とすることがより好ましく、20重量%以上とすることがとくに好ましい。これにより、調味液により食材が被覆された状態をより確実に維持することができ、ドリップ抑制に寄与することが可能となる。一方で、調味液全体に対する油脂の割合は、たとえば90重量%以下とすることが好ましく、80重量%以下とすることがより好ましく、75重量%以下とすることがとくに好ましい。これにより、水相成分をより多く含むことができ食材への味の染み込みをさらに促進させることが可能となる。
油相成分は、たとえば乳化剤を含むことができる。
乳化剤は、たとえばグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレン脂肪酸エステル、およびショ糖脂肪酸エステルから選択される一種または二種以上を含むことができる。これらの中でも、ポリグリセリン脂肪酸エステルを含むことが食材からのドリップを効果的に抑制する観点から好ましい。また、粘度η12、粘度η30、粘度η60、移動距離L(20〜30)、移動距離L(20〜40)、および移動距離L(30〜40)を所望の範囲内とする観点からは、グリセリンまたはポリグリセリンと直鎖状の飽和脂肪酸とのエステルや、グリセリンまたはポリグリセリンと炭素数18以上の高級脂肪酸とのエステル等を含むこと等が好ましい態様の例として挙げられる。また、二種以上のポリグリセリン脂肪酸エステルを含むことも有効である。上記に例示した乳化剤は、油脂を結晶化させる成分となり得るものである。本実施形態においては、乳化剤を適切に選択することにより、調味液中の油脂に結晶構造を作り、上記測定試料の粘性を制御できる。
調味液の油相成分による食材の被覆性を向上させる観点からは、乳化剤のHLB(Hydrophile−Lipophile Balance)が0以上10以下であることがより好ましい。なお、乳化剤を二種以上含む場合には、各乳化剤のHLBを加重平均して求めた値が上記範囲内であることが好ましい。
乳化剤の配合割合は、たとえば油脂100重量部に対して0.07重量部以上であることが好ましく、0.15重量部以上であることがより好ましく0.2重量部以上であることがとくに好ましい。これにより、調味液の油相成分による食材の被覆性を効果的に向上させて、ドリップ抑制に寄与することが可能となる。一方で、乳化剤の配合割合は、たとえば油脂100重量部に対して20重量部以下であることが好ましく、15重量部以下であることがより好ましく、10重量部以下であることがとくに好ましい。これにより、調味液により食材を均一に被覆することがより容易となる。
油相成分は、上述した成分の他、たとえば脂溶性調味成分、脂溶性色剤、および脂溶性香料等に例示される他の脂溶性成分を必要に応じて含むことができる。
調味液全体に対する油相成分の割合は、たとえば10重量%以上であることが好ましく、15重量%以上とすることがより好ましく、20重量%以上とすることがとくに好ましい。これにより、調味液の油相成分により食材が被覆された状態をより確実に維持することができ、ドリップ抑制に寄与することが可能となる。一方で、調味液全体に対する油相成分の割合は、たとえば90重量%以下とすることが好ましく、80重量%以下とすることがより好ましく、75重量%以下とすることがとくに好ましい。これにより、水相成分をより多く含むことができ食材への味の染み込みをさらに促進させることが可能となる。
(水相成分)
水相成分は、上述のとおり水を含んでいる。水相成分中に含まれる水は、たとえば純水として添加するもの、液体調味料中に含まれる水、および他の調味料成分中に含まれる水分等のうちの一種または二種以上を含むものである。また、後述するように、水中には、水溶性の調味料成分が含まれる。
水相成分は、たとえば増粘剤を含むことができる。これにより、水相成分により食材が被覆された状態をより確実に維持することができる。このような状態において、水相成分の粘性を水相成分と食材中の水分の相互の移行が継続的に行い得る程度に調整することによって、食材への味のしみ込みに寄与することが可能となる。このため、得られる食品の風味向上に寄与することができる。また、保管時における食材からのドリップをより効果的に抑制することもできる。
増粘剤は、とくに限定されないが、たとえばキサンタンガム、タマリンドシードガム、ローカストビーンガム、ジェランガム、グアーガム、アラビアガム、デキストリン、寒天、ゼラチン、カードラン、プルラン、カラギーナン、ペクチン、ならびに馬鈴薯澱粉、コーンスターチ、タピオカ澱粉、小麦澱粉、米澱粉、これらに対しアルファ化や架橋などの処理を施した化工澱粉、および湿熱処理澱粉等の澱粉から選択される一種または二種以上を含むことができる。これらの中でも、キサンタンガムを含むことがより好ましい。
増粘剤は、たとえば予め純水に溶解させた後に、他の水相原料と混合される。一方で、増粘剤と、他の水相原料と、を同時に混合させてもよい。
増粘剤の配合割合は、たとえば調味液全体に対して0.005重量%以上であることが好ましく、0.01重量%以上であることがより好ましく、0.02重量%以上とすることがとくに好ましい。これにより、食材の風味向上や、ドリップの抑制、外観の向上により効果的に寄与することができる。外観に優れた食品を得る観点からは、調味液全体に対する増粘剤の含有量を、1重量%以上とすることもできる。一方で、増粘剤の配合割合は、たとえば調味液全体に対して10重量%以下とすることが好ましく、7重量%以下とすることがより好ましく、5重量%以下とすることがとくに好ましい。これにより、調味液の食材への塗布を容易とし、調味液によって食材をより均一に被覆することができる。
水相成分は、たとえば食塩を含むことができる。これにより、食材への味のしみ込みを促進させて、得られる食品の風味を向上させることができる。なお、食塩は、たとえば食塩として添加されるもの、液体調味料中に含まれるもの、および他の調味料成分中に含まれる塩分等のうちの一種または二種以上を含むものである。
調味液全体に対する塩分濃度は、たとえば3重量体積%(W/V%)以上であることが好ましく、5重量体積%以上であることがより好ましく、7重量体積%以上であることがとくに好ましい。これにより、得られる食品の風味をより効果的に向上させることができる。また、食品の外観向上に寄与することも可能である。とくに食材への味の染み込みを効果的に促進させる観点からは、調味液全体に対する塩分濃度が10重量体積%以上であることが好ましく、13重量体積%以上であることがより好ましい。本実施形態においては、食品の風味向上の観点から、たとえば調味液中の塩分濃度を飽和濃度超過とすることもできる。本実施形態によれば、このような高い塩分濃度を有する調味液を用いた場合においても、油相成分による良好な被覆性を維持できることから、塩分の浸透圧による食材からの水分がドリップとして流れ出てしまうことを抑制することができる。一方で、調味液全体に対する塩分濃度は、たとえば50重量体積%以下であることが好ましく、30重量体積%以下であることがより好ましく、25重量体積%以下であることがとくに好ましい。これにより、食塩の不溶分の発生を抑えて食品の外観向上に寄与することができる。
水相成分は、たとえば液体調味料を含むことができる。これにより、食材へ味を十分にしみ込ませることができ、食材における風味の向上を図ることができる。このような液体調味料については、液体調味料がたれ落ちしてしまうこと等に起因して、調味液中に含ませることはこれまで困難であった。本実施形態に係る調味液によれば、油相成分を含み、かつ粘度η12を所望の範囲内とすることにより、調味液を付着させた食材を長時間保管する際においても、液体調味料がたれ落ちせずに食材に付着した状態を維持することができる。このため、食材の風味を向上させつつ、ドリップ抑制に寄与することも可能となる。
液体調味料は、液状であって水溶性の調味料成分であればとくに限定されないが、たとえば醤油、味噌、果実酢または穀物酢を酢酸発酵させた醸造酢および合成酢等の食酢、魚醤、みりん、みりん風調味料、果汁、天然エキス、酵母エキス、肉エキス、魚介類エキス、および野菜エキス等のエキス類、ならびにワインおよび清酒等の酒類から選択される一種または二種以上を含むことができる。
水相成分は、上述した成分の他、たとえばグルタミン酸ナトリウムおよび核酸ナトリウム等のうまみ調味料、クエン酸およびコハク酸等の酸味料、甘味料、アスコルビン酸ナトリウム等の酸化防止剤、糖類、色素、ならびに香料等に例示されるその他の水溶性成分を必要に応じて含むことができる。
調味液全体に対する水相成分の割合は、たとえば10重量%以上であることが好ましく、30重量%以上であることがより好ましく、40重量%以上であることがとくに好ましい。これにより、得られる食品の風味をより効果的に向上させることができる。また、食品の外観向上に寄与することも可能である。一方で、調味液全体に対する水相成分の割合は、たとえば90重量%以下であることが好ましく、80重量%以下であることがより好ましく、75重量%以下であることがとくに好ましい。これにより、食材のドリップ抑制に寄与することが可能となる。
調味液は、たとえば水および油脂のいずれにも溶解しない不溶性成分を含むことができる。このような不溶性成分は、食品中に含まれ得るものであればとくに限定されないが、たとえば生姜、にんにく、たまねぎ、ねぎ、およびトマト等の野菜類を切断、破砕、またはすり下ろししたものが挙げられる。
なお、調味液の調製方法はとくに限定されない。本実施形態においては、たとえば水相と、油相とをそれぞれ別々に作製した後にこれらを混合し撹拌する方法や、油相を構成する各原料と、水相を構成する各原料とを混合させた後にこれらをまとめて撹拌する方法等によって調味液を調製することが可能である。また、たとえば油相または水相に対して加熱処理や冷却処理を行う場合には、油相と水相を混合する前に行ってもよく、油相と水相を混合した後に行ってもよい。本実施形態に係る調味液の調製方法は、調味液に求められる味や粘度特性等の各特性に応じて適切に選択することが可能である。
次に、本実施形態に係る食品について説明する。
本実施形態においては、たとえば食材を被覆するように当該食材に調味液を付着させることによって、食品が得られる。得られた食品は、たとえば商品棚へ陳列されて販売に供される。このような場合においても、本実施形態に係る調味液を用いることにより、陳列されて一時保管状態にある調味液が付着された食材からのドリップを抑制することが可能となる。なお、食品は、たとえば公知の材料からなる包装容器等に包装されて商品棚へ陳列される。また、食品は、たとえば2℃以上14℃以下の温度条件で冷蔵保管された状態において陳列される。
本実施形態に係る食品は、たとえば加熱調理が行われて食用とされる加熱調理用食品である。この場合、食品は、たとえば冷蔵保管された後に加熱調理される。一方で、食品は、加熱調理をせずに食用とされるものであってもよい。
本実施形態に係る食品は、たとえば食材100重量部に対して2重量部以上30重量部以下、好ましくは3重量部以上20重量部以下、より好ましくは5重量部以上15重量部以下の調味液を含むことができる。これにより、調味液を付着させた食材からのドリップを効果的に抑制できる。また、調味液中の調味料を食材中へしみ込ませつつ、食材本来の成分の流出を抑制することができる。また、本実施形態に係る食品は、たとえば食材100重量部に対して1重量部以上25重量部以下、好ましくは2重量部以上20重量部以下、より好ましくは3重量部以上15重量部以下の油相成分を含むことができる。これにより、食材からのドリップをより効果的に抑制しつつ、食品の風味向上に寄与することが可能となる。
本実施形態においては、食材を被覆する調味液の最外層が油相成分により構成されていることが好ましい。この場合、油相成分と水相成分は、食材を被覆した状態において互いに分離していることとなる。なお、このような構成は、水相成分の粘性と、油相成分の粘性と、をそれぞれ適切に制御することにより実現することができる。一方で、食材に付着させた調味液は、水相成分と油相成分が乳化状態であってもよい。
食品は、たとえば撹拌して水相成分と油相成分が均一に混ざった状態である調味液を食材へ付着させることにより製造される。一方で、水相成分と油相成分が分離した状態である調味液と、食材とをともに混合させることによって食品が製造されてもよい。
また、本実施形態においては、たとえば結晶化した油脂を含む油相成分と、水相成分と、を含む調味液が食材に塗布されて食品が製造される。この場合、たとえば結晶化した油脂を含む油相成分を含んだ調味液を製品として流通させることができる。一方で、油脂を結晶化させる成分を含む油相成分と、水相成分と、を含んだ調味液を製品として流通させた後、湯せん等による加熱と冷却によって油脂の結晶化を進行させた当該調味液を食材へ塗布することにより食品が製造されるものであってもよい。この場合、調味液を食材へ塗布する際において、調味液から上述した方法によって得られる測定試料が粘度η12、粘度η30、粘度η60、移動距離L(20〜30)、移動距離L(20〜40)、および移動距離L(30〜40)等の上述の特性を満たすものとなる。
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
なお、上記実施の形態によれば、以下の発明が開示されている。
(付記1)
加熱調理用食材を被覆するよう前記食材に付着させて用いられる調味液であって、
油脂と水を含み、
以下の条件により得られる測定試料の、液温25℃においてB型粘度計を用いて測定される回転数12rpm、測定時間7分での粘度η12が、70mPa・s以上である調味液。
(条件:前記調味液を液温80℃となるまで加熱し、撹拌して油画分を分離させる。次いで、分離させた前記油画分を液温0℃となるまで冷却した後、液温25℃まで昇温させる。そして、これにより得られる前記油画分を前記測定試料とする)
(付記2)
付記1に記載の調味液において、
前記調味液全体に対する塩分濃度が3重量体積%以上50重量体積%以下である調味液。
(付記3)
付記1または2に記載の調味液において、
液温80℃となるまで加熱し、1時間撹拌した場合に油画分が分離されている調味液。
(付記4)
付記1〜3いずれか一項に記載の調味液において、
前記調味液を前記食材へ付着させて得られ、かつその後販売に供される食品を製造するために用いられる調味液。
(付記5)
付記1〜4いずれか一項に記載の調味液において、
前記調味液を前記食材へ付着させて得られ、かつその後冷蔵保管される食品を製造するために用いられる調味液。
(付記6)
付記1〜5いずれか一項に記載の調味液において、
前記調味液全体に対する前記油脂の割合が10重量%以上90重量%以下である調味液。
(付記7)
付記1〜6いずれか一項に記載の調味液において、
液温25℃である前記測定試料の、B型粘度計を用いて回転数30rpm、測定時間7分の条件により測定される粘度をη30として、η30/η12≦0.9を満たす調味液。
(付記8)
付記1〜7いずれか一項に記載の調味液において、
前記測定試料を、表面がアルミニウムであり、かつ表面温度が25℃である傾き2°の傾斜上に500μl滴下したときの、20分経過後から30分経過後までの前記測定試料の移動距離L(20〜30)が20mm以下である調味液。
(付記9)
付記1〜8いずれか一項に記載の調味液において、
乳化剤を含む調味液。
(付記10)
付記1〜9いずれか一項に記載の調味液において、
増粘剤を含む調味液。
(付記11)
付記1〜10いずれか一項に記載の調味液において、
前記食材へ付着させてドリップを防止する調味液。
(付記12)
1〜11いずれか一項に記載の調味液において、
前記食材へ付着させて、前記食材中の水分と前記調味液中の水相成分を相互に移行させる調味液。
(付記13)
加熱調理用食材を被覆するよう前記食材に付着させて用いられる調味液であって、
油相成分と水相成分を含み、
前記油相成分は、結晶化した油脂を含む調味液。
(付記14)
付記1〜13いずれか一項に記載の調味液を食材に付着させて得られる食品。
(付記15)
付記1〜13いずれか一項に記載の調味液を食材に付着させる工程を備える食品の製造方法。
(付記16)
付記15に記載の食品の製造方法において、
前記調味液を前記食材に付着させる前記工程において、前記食材100重量部に対して2重量部以上30重量部以下の前記調味液を前記食材へ付着させる食品の製造方法。
(付記17)
付記15または16に記載の食品の製造方法において、
前記調味液を前記食材へ付着させる前記工程の後において、前記食材を冷蔵保管する工程をさらに備える食品の製造方法。
(付記18)
付記1〜13いずれか一項に記載の調味液を、食材を被覆するように前記食材へ付着させてドリップを防止する工程を備えるドリップ防止方法。
(付記19)
付記18に記載のドリップ防止方法において、
前記調味液を前記食材へ付着させる前記工程は、前記食材100重量部に対して2重量部以上30重量部以下の前記調味液を前記食材へ付着させるドリップ防止方法。
(付記20)
付記1〜13いずれか一項に記載の調味液を、食材を被覆するように前記食材へ付着させて、前記食材中の水分と前記調味液中の水相成分を相互に移行させる食品の風味向上方法。
(付記21)
加熱調理用食材を被覆するよう前記食材に付着させて用いられる調味液であって、
油相成分と水相成分を含み、
前記油相成分は、油脂と、前記油脂を結晶化させる成分と、を含む調味液。
(付記22)
付記21に記載の調味液を、加熱調理用食材を被覆するように前記食材へ付着させてドリップを防止する工程を備えるドリップ防止方法。
(付記23)
結晶化した油脂を含む油相成分と、水相成分と、を含む調味液が加熱調理用食材を被覆するように前記食材に付着されてなる食品。
次に、本発明の実施例について説明する。
(調味液の調整)
実施例1〜11および比較例1〜3について、以下のようにして調味液を調製した。まず、純水、増粘剤、食塩および液体調味料を混合し、増粘剤および食塩が完全に溶解するまで撹拌して水相を得た。一方で、水相とは別に、油相を調整した。実施例1〜11においては、油相原料を混合し、80℃まで昇温して撹拌した後、これを氷浴中で急冷することにより油相を得た。なお、実施例1〜11については、得られた油相が結晶化した油脂を含むことが確認されている。比較例1〜3においては、油脂をそのまま油相として使用した。次いで、得られた水相と油相を混合して調味液を得た。調味液中に含まれる各原料の配合割合は表1および表2に示すとおりである。なお、実施例1において得られた調味液を観察したところ、調味液中の油相成分と水相成分は互いに分離していた。
比較例4、5については、実施例1〜11および比較例1〜3と同様にして水相を調製することにより、油相を含まない調味液を得た。調味液中に含まれる各原料の配合割合は表2に示すとおりである。
表1および表2に示す各油相原料の詳細は以下のとおりである。また、表1および表2中の各原料の配合量は、調整された調味液を100重量%とした場合の配合割合(重量%)を示している。表1中の残部とは、各原料の合計(100重量%)から、残部として示された原料以外の原料の配合割合(重量%)の合計を引いたものである。
<油相原料>
(油脂)
サラダ油:(株)Jオイルミルズ製、ナタネサラダ油
ラード:ミヨシ油脂(株)製、ホワイトキャッスル
(乳化剤)
デカグリセリンベヘン酸エステル(三菱化学(株)製、B−70D(製品名)、HLB=4)
(塩分濃度の測定)
各実施例および各比較例について、得られた調味液の、調味液全体に対する塩分濃度(重量体積%(W/V%))を測定した。測定は、塩分分析計SAT−500(東亜ディーケーケー(株)製)を用いて行った。結果を表1および表2に示す。
(B型粘度計による粘度測定)
各実施例および各比較例について、得られた調味液に対して以下のようにして粘度η12η30、η60の測定を行った。まず、調味液を80℃まで加熱した状態でAGI HOMO MIXER 2M−1型(プライミクス(株)製)を使用して、パドルミキサーの回転数60rpm、ホモミキサーの回転数0rpm(停止)、攪拌時間4時間の条件下で撹拌することにより油画分を分離させた。次いで、得られた油画分200gをプラスチックフィルム製の平袋(13cm×21cm)に入れた後、当該平袋を氷浴槽に入れた十分量の氷水中に2時間浸けることにより、油画分を液温0℃まで急冷させた。次いで、上記平袋を上記氷浴槽から取り出して25℃のインキュベーターに入れて20時間放置することにより、油画分の液温を緩やかに常温(25℃)に戻した。これにより得られた油画分を測定試料とした。次いで、上記測定試料に対し、液温25℃の条件下において、B型粘度計(東新産業(株)製、TVB−10M型粘度計)を用いて粘度測定を行った。ここでは、回転数12rpm、30rpm、60rpmのそれぞれについて粘度を測定した。また、ロータの回転開始から粘度を読み取るまでの時間(測定時間)は7分とし、実施例1、10、11についてはロータとしてM2を、実施例2、3についてはロータとしてM3を、実施例4〜9、比較例1〜3についてはロータとしてM1をそれぞれ使用した。但し、実施例6、9については、回転数60rpmにおける粘度の測定のみロータとしてM2を使用した。このとき、回転数12rpmでの粘度をη12(mPa・s)、回転数30rpmでの粘度をη30(mPa・s)、回転数60rpmでの粘度をη60(mPa・s)とした。また、測定結果から、η30/η12およびη60/η12を算出した。結果を表1および表2に示す。
(流動長測定)
各実施例および各比較例について、得られた調味液に対して以下のようにして流動長の測定を行った。まず、調味液を80℃まで加熱した状態でAGI HOMO MIXER 2M−1型(プライミクス(株)製)を使用して、パドルミキサーの回転数60rpm、ホモミキサーの回転数0rpm(停止)、攪拌時間4時間の条件下で撹拌することにより油画分を分離させた。次いで、得られた油画分200gをプラスチックフィルム製の平袋(13cm×21cm)に入れた後、当該平袋を氷浴槽に入れた十分量の氷水中に2時間浸けることにより、油画分を液温0℃まで急冷させた。次いで、上記平袋を上記氷浴槽から取り出して25℃のインキュベーターに入れて20時間放置することにより、油画分の液温を緩やかに常温(25℃)に戻した。これにより得られた油画分を測定試料とした。次いで、上記測定試料を、アルミニウム板(3.0mm厚)により構成され、かつ表面温度が25℃である傾き2°の傾斜上に500μl(直径約18mmの円状)滴下し、20分経過後から30分経過後までの測定試料の移動距離L(20〜30)(mm)、30分経過後から40分経過後までの測定試料の移動距離L(30〜40)(mm)、20分経過後から40分経過後までの測定試料の移動距離L(20〜40)(mm)をそれぞれ測定した。結果を表1および表2に示す。なお、測定試料が測定開始から360mmを超えて流動してしまったものについては、表中に測定不能として示している。
(耐ドリップ性評価(肉))
各実施例および各比較例について、得られた調味液の肉に対する耐ドリップ性を以下のようにして評価した。まず、手で撹拌して水相成分と油相成分が均一に混ざった状態となった調味液を、鶏ムネ肉の表面全体に塗布した。このとき、鶏ムネ肉100重量部に対して、表1および表2において素材への使用割合として示した量(重量部)の調味液を塗布した。次いで、調味液が塗布された上記鶏ムネ肉を発泡スチロール製トレイ上に載置し、4℃の条件下にて20時間保管した。保管後、上記鶏ムネ肉からトレイ上に流出したドリップの量を計測し、ドリップ量が調味液の塗布量の1重量%以下であるものを○、ドリップ量が調味液の塗布量の1重量%超過であるものを×として、調味液の耐ドリップ性を評価した。結果を表1および表2に示す。
(耐ドリップ性評価(魚))
実施例1〜9および比較例1〜3について、得られた調味液の魚に対する耐ドリップ性を以下のようにして評価した。まず、手で撹拌して水相成分と油相成分が均一に混ざった状態となった調味液を、メカジキの表面全体に塗布した。このとき、メカジキ100重量部に対して、表1および表2において素材への使用割合として示した量(重量部)の調味液を塗布した。次いで、調味液が塗布された上記メカジキを発泡スチロール製トレイ上に載置し、4℃の条件下にて20時間保管した。保管後、上記メカジキからトレイ上に流出したドリップの量を計測し、ドリップ量が調味液の塗布量の1重量%以下であるものを○、ドリップ量が調味液の塗布量の1重量%超過であるものを×として、調味液の耐ドリップ性を評価した。結果を表1および表2に示す。
(官能評価)
各実施例および各比較例について、得られた調味液を用いて作製される食品に対して以下のように官能評価を行った。まず、手で撹拌して水相成分と油相成分が均一に混ざった状態となった調味液を、鶏ムネ肉の表面全体に塗布して食品を得た。このとき、鶏ムネ肉100重量部に対して、表1および表2において素材への使用割合として示した量(重量部)の調味液を塗布した。次いで、上記食品を発泡スチロール製トレイ上に載置し、4℃の条件下で20時間保管した。次いで、10人のパネラーに、上記食品をフライパンによって加熱調理したものを試食してもらい、鶏ムネ肉内部まで味が染み込んでいるか否かを10段階(5が標準、10が最も良く染み込んでいる)で評価してもらった。そして、10人のパネラーによる評価の平均値を算出し、この小数点第1位を四捨五入したものを評価点として算出し、評価点が10〜9であるものを○、8〜5であるものを△、4〜1であるものを×として官能評価を行った。結果を表1および表2に示す。
(調理作業性評価)
各実施例および各比較例について、得られた調味液を用いて作製される食品の調理作業性を次のように評価した。まず、手で撹拌して水相成分と油相成分が均一に混ざった状態となった調味液を、鶏ムネ肉の表面全体に塗布した後、発泡スチロール製トレイ上に載置して4℃の条件下にて20時間保管した。これにより得た食品を、サラダ油を塗布して蓋をしたフライパンによって加熱調理した。このとき、鶏ムネ肉100重量部に対して、表1および表2において素材への使用割合として示した量(重量部)の調味液を塗布した。そして、加熱調理後におけるフライパンの蓋への油の付着具合と、食品の焦げ付き具合を観察した。このとき、油の付着および食品の焦げ付きが観察されないか、もしくは少なかったものを○とし、油の付着または食品の焦げ付きが著しく観察されたものを×として、調理作業性を評価した。結果を表1および表2に示す。
図2および図3は、調理作業性評価における加熱調理後の油はねの状態を示す写真である。ここでは、フライパンの蓋への油の付着具合が示されている。また、図2は実施例7に係る調味液を使用した場合を、図3は比較例5に係る調味液を使用した場合を、それぞれ示している。図2から分かるように、実施例7に係る調味液を使用した場合には、フライパンの蓋への油の付着はほとんど観察されなかった。一方で、図3から分かるように、比較例5に係る調味液を使用した場合には、フライパンの蓋への油の付着が著しく観察された。
表1に示すように、粘度η12が70mPa・s以上である各実施例の調味液については、耐ドリップ性評価において良好な結果が得られた。なお、耐ドリップ性評価(肉)では、各実施例において、食材である鶏ムネ肉表面が、結晶化した油脂を含む油相成分と水相成分とを含む調味液によって被覆された食品が得られていた。また、実施例では、官能評価や調理作業性についても良好な結果が得られた。一方で、表2に示すように、比較例1〜5では耐ドリップ性評価について良好な結果は得られなかった。この結果から、比較例1〜5に係る調味液では、食材を調味液によって被覆した状態を良好に維持できないことが分かる。また、食材に対する液体調味料の使用割合が同等である実施例1と比較例1、実施例4〜6と比較例2、をそれぞれ比較した場合において、実施例の方が官能評価において優れた結果が得られていた。これは、実施例において、鶏ムネ肉表面が調味液中の油相成分によって被覆された状態が維持できていたため味の染み込みが効率的に進行したことによるものと考えられる。
また、参考例として、実施例4における乳化剤の配合割合を調味液全体に対して0.02重量%に変更した調味液を作製した。この参考例に係る調味液は、各実施例における粘度測定や流動長測定と同様の方法により得られる測定試料について、粘度η12が66mPa・s、粘度η30が63mPa・s、粘度η60が60mPa・s、移動距離L(20〜30)が30.7mm、移動距離L(20〜40)が45.2mm、移動距離L(30〜40)が14.5mmであった。上記耐ドリップ性評価および上記官能評価について各実施例と当該参考例を比較したところ、全ての実施例において参考例よりも良い結果が得られた。なお、粘度η12が50,000mPa・s超過である調味液については、食材表面に対して均一に塗布することが各実施例と比較して困難であることが確認されている。また、実施例1においては、調味液を80℃まで加熱した状態でAGI HOMO MIXER 2M−1型(プライミクス(株)製)を使用して、パドルミキサーの回転数60rpm、ホモミキサーの回転数0rpm(停止)、攪拌時間1時間の条件で撹拌した後において、油画分と残余に分離されていることを確認した。
実施例12、13として、実施例2における液体調味料の配合割合と食塩の配合割合を調整することにより塩分濃度を変更した調味液を作製した。実施例12に係る調味液は塩分濃度が3.12重量体積%であり、実施例13に係る調味液は塩分濃度が2.13重量体積%であった。そして、実施例2、12、13について、得られた調味液を用いて作製される食品に対して表1に示した官能評価と同様の条件により評価を行った。このとき、鶏ムネ肉100重量部に対して塗布する調味液の量(重量部)は10重量部とした。
この官能評価の結果、実施例2、12、13の全てにおいて鶏ムネ肉内部まで味が染み込んでいたことが確認された。これらの中でも、実施例2、12は実施例13と比較して味の染み込み具合が良好であり、実施例2において最も良好な評価結果が得られた。また、実施例12、13では、官能評価中の4℃の条件下で20時間保管する工程の後において、調味液の塗布量の1重量%を超えるドリップが生じなかったことを確認した。
10 食材
12 滲出液
14 領域
20 油相成分
22 水相成分
本発明によれば、
加熱調理用食材を被覆するよう前記加熱調理用食材に付着させて用いられる調味液であって、
油脂と水を含み、
以下の条件により得られる測定試料の、液温25℃においてB型粘度計を用いて測定される回転数12rpm、測定時間7分での粘度η12が、70mPa・s以上50,000mPa・s以下であり、
前記調味液は、前記加熱調理用食材を被覆した状態において油相成分と水相成分が分離し、内側に前記水相成分が配置され、外側に前記水相成分を覆う前記油相成分が配置された構造を有し、
前記加熱調理用食材は前記調味液を付着して味付けされた後、加熱調理が行われるものである調味液が提供される。
(条件:前記調味液を液温80℃となるまで加熱し、撹拌して油画分を分離させる。次いで、分離させた前記油画分を液温0℃となるまで冷却した後、液温25℃まで昇温させる。そして、これにより得られる前記油画分を前記測定試料とする。)
本発明によれば、上述の調味液を前記加熱調理用食材に付着させて得られる食品が提供される。また、本発明によれば、上述の調味液を前記加熱調理用食材に付着させる工程を備える食品の製造方法が提供される。
本発明によれば、上述の調味液を、前記加熱調理用食材を被覆するように前記食材へ付着させてドリップを防止する工程を備えるドリップ防止方法が提供される。また、本発明によれば、上述の調味液を、前記加熱調理用食材を被覆するように前記加熱調理用食材へ付着させて、前記加熱調理用食材中の水分と前記調味液中の水相成分を相互に移行させる食品の風味向上方法が提供される。

Claims (20)

  1. 加熱調理用食材を被覆するよう前記食材に付着させて用いられる調味液であって、
    油脂と水を含み、
    以下の条件により得られる測定試料の、液温25℃においてB型粘度計を用いて測定される回転数12rpm、測定時間7分での粘度η12が、70mPa・s以上である調味液。
    (条件:前記調味液を液温80℃となるまで加熱し、撹拌して油画分を分離させる。次いで、分離させた前記油画分を液温0℃となるまで冷却した後、液温25℃まで昇温させる。そして、これにより得られる前記油画分を前記測定試料とする)
  2. 請求項1に記載の調味液において、
    前記調味液全体に対する塩分濃度が3重量体積%以上50重量体積%以下である調味液。
  3. 請求項1または2に記載の調味液において、
    液温80℃となるまで加熱し、1時間撹拌した場合に油画分が分離されている調味液。
  4. 請求項1〜3いずれか一項に記載の調味液において、
    前記調味液を前記食材へ付着させて得られ、かつその後販売に供される食品を製造するために用いられる調味液。
  5. 請求項1〜4いずれか一項に記載の調味液において、
    前記調味液を前記食材へ付着させて得られ、かつその後冷蔵保管される食品を製造するために用いられる調味液。
  6. 請求項1〜5いずれか一項に記載の調味液において、
    前記調味液全体に対する前記油脂の割合が10重量%以上90重量%以下である調味液。
  7. 請求項1〜6いずれか一項に記載の調味液において、
    液温25℃である前記測定試料の、B型粘度計を用いて回転数30rpm、測定時間7分の条件により測定される粘度をη30として、η30/η12≦0.9を満たす調味液。
  8. 請求項1〜7いずれか一項に記載の調味液において、
    前記測定試料を、表面がアルミニウムであり、かつ表面温度が25℃である傾き2°の傾斜上に500μl滴下したときの、20分経過後から30分経過後までの前記測定試料の移動距離L(20〜30)が20mm以下である調味液。
  9. 請求項1〜8いずれか一項に記載の調味液において、
    乳化剤を含む調味液。
  10. 請求項1〜9いずれか一項に記載の調味液において、
    増粘剤を含む調味液。
  11. 請求項1〜10いずれか一項に記載の調味液において、
    前記食材へ付着させてドリップを防止する調味液。
  12. 請求項1〜11いずれか一項に記載の調味液において、
    前記食材へ付着させて、前記食材中の水分と前記調味液中の水相成分を相互に移行させる調味液。
  13. 加熱調理用食材を被覆するよう前記食材に付着させて用いられる調味液であって、
    油相成分と水相成分を含み、
    前記油相成分は、結晶化した油脂を含む調味液。
  14. 請求項1〜13いずれか一項に記載の調味液を食材に付着させて得られる食品。
  15. 請求項1〜13いずれか一項に記載の調味液を食材に付着させる工程を備える食品の製造方法。
  16. 請求項15に記載の食品の製造方法において、
    前記調味液を前記食材に付着させる前記工程において、前記食材100重量部に対して2重量部以上30重量部以下の前記調味液を前記食材へ付着させる食品の製造方法。
  17. 請求項15または16に記載の食品の製造方法において、
    前記調味液を前記食材へ付着させる前記工程の後において、前記食材を冷蔵保管する工程をさらに備える食品の製造方法。
  18. 請求項1〜13いずれか一項に記載の調味液を、食材を被覆するように前記食材へ付着させてドリップを防止する工程を備えるドリップ防止方法。
  19. 請求項18に記載のドリップ防止方法において、
    前記調味液を前記食材へ付着させる前記工程は、前記食材100重量部に対して2重量部以上30重量部以下の前記調味液を前記食材へ付着させるドリップ防止方法。
  20. 請求項1〜13いずれか一項に記載の調味液を、食材を被覆するように前記食材へ付着させて、前記食材中の水分と前記調味液中の水相成分を相互に移行させる食品の風味向上方法。
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