JP2016069449A - ポリプロピレン系樹脂発泡シート - Google Patents
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Abstract
【解決手段】発泡倍率6〜10倍、厚み1〜3mm、厚み方向の気泡数が10〜14個、独立気泡率が85%以上であることを特徴とするポリプロピレン系樹脂発泡シートにより、上記課題が解決される。
【選択図】なし
Description
しかしながら、特許文献1に記載のポリプロピレン系樹脂発泡シートにおいては、密度が0.151g/cm3(樹脂の比重0.91から算出される発泡倍率は6倍に相当する。)以下、即ち、発泡倍率が6倍以上の高倍率でありながら、独立気泡率が85%以上であるという、軽量性かつ成形性を兼ね備える発泡シートが得られていない。
しかしながら、特許文献2に記載のポリプロピレン系樹脂発泡シートでは異なるメルトテンションを有するポリプロピレン系樹脂を用いることは記載されているものの、溶融破断伸びについては考慮されていない。また、230℃におけるメルトテンションが測定可能なポリプロピレン系樹脂組成物では、溶融張力が低く、実際には上述した特性を付与可能な発泡シート等は得られない。また、特許文献2の実施例に記載のポリプロピレン系樹脂の発泡倍率は5倍未満であり(前述のように、樹脂の比重と密度から算出される。)、断熱性や軽量性の点で問題がある。
しかしながら、特許文献3に記載のポリプロピレン系樹脂組成物では、高溶融張力ポリプロピレン樹脂以外の樹脂成分の溶融張力及び破断点速度(本発明における「破断伸び」に対応する。)については考慮されていない。また、溶融張力及び破断点速度は230℃における値であり、上述のように、この温度でこれらを測定可能なポリプロピレン系樹脂を用いても、実際には上述した特性を付与可能な発泡シート等は得られない。
そこで、本発明の目的は、軽量性、耐熱性、断熱性、意匠性、成形性、剛性に優れ、食品包装材料等として好適なポリプロピレン系樹脂発泡シート及びポリプロピレン系樹脂発泡積層シートを提供すること、並びに、上述のような優れた特性を有するそれらの成形体を生産性良く提供することにある。
(2)260℃における溶融張力[cN]:Mt及び溶融破断伸び[m/min]:Meが以下の範囲であるポリプロプレン系樹脂Aを20〜80重量部と、ポリプロピレン系樹脂Bを80〜20重量部とを含むポリプロピレン系樹脂組成物を押出発泡して得られる上記(1)記載のポリプロピレン系樹脂発泡シート;
ポリプロピレン系樹脂A:5.0≦Mt≦10.0、4.0≦Me≦8.0、
ポリプロピレン系樹脂B:3.0≦Mt≦5.5、9.0≦Me≦15.0。
(3)上記(1)又は(2)に記載のポリプロピレン系樹脂発泡シートの少なくとも一方の面に非発泡層を少なくとも1層積層してなるポリプロピレン系樹脂発泡積層シート。
(4上記(1)又は(2)に記載のポリプロピレン系樹脂発泡シートまたは上記(3)記載のポリプロピレン系樹脂発泡積層シートを熱成形してなるポリプロピレン系樹脂発泡成形体。
(5)260℃における溶融張力[cN]:Mt及び溶融破断伸び[m/min]:Meが以下の範囲であるポリプロプレン系樹脂Aを20〜80重量部と、ポリプロピレン系樹脂Bを80〜20重量部とを含むポリプロピレン系樹脂組成物を押出発泡する工程を含むポリプロピレン系樹脂発泡シートの製造方法;
ポリプロピレン系樹脂A:5.0≦Mt≦10.0、4.0≦Me≦8.0、
ポリプロピレン系樹脂B:3.0≦Mt≦5.5、9.0≦Me≦15.0。
本発明において発泡倍率とは、得られた発泡体の見かけ密度で、ポリプロピレン系樹脂の比重0.91を除した値である。
本発明において厚み方向の気泡数は、例えば、後述する方法を行って算出される平均気泡数を採用することができる。
ポリプロピレン系樹脂発泡シートの幅にはとくに制限はないが、50〜2000mm、さらには500〜2000mmであるのが、経済性、加工性の点から好ましい。
即ち、260℃における溶融張力[cN](以下、「Mt」と記載する場合がある。)、及び、260℃における溶融破断伸び[m/min](以下、「Me」と記載する場合がある。)が、それぞれ、5.0≦Mt≦10.0及び4.0≦Me≦8.0であるポリプロピレン系樹脂Aと、260℃におけるMt及びMeが、それぞれ、3.0≦Mt≦5.5及び9.0≦Me≦15.0であるポリプロピレン系樹脂Bとを含むポリプロピレン系樹脂組成物を用いる。
(b)の場合に使用可能なポリプロピレン系樹脂(以下、「原料ポリプロピレン系樹脂」と称する。)としては、プロピレンの単独重合体、プロピレンとほかの単量体とのブロック共重合体、またはプロピレンとほかの単量体とのランダム共重合体などの結晶性の重合体があげられ、剛性が高く、安価であるという点からは前記ポリプロピレン単独重合体が好ましく、剛性および耐衝撃性がともに高いという点からは前記プロピレンとほかの単量体とのブロック共重合体であることが好ましい。前記原料ポリプロピレン系樹脂がプロピレンとほかの単量体とのブロック共重合体またはプロピレンとほかの単量体とのランダム共重合体である場合、ポリプロピレン系樹脂の特徴である高結晶性、高い剛性および良好な耐薬品性を保持する点から、含有されるプロピレン単量体成分が全体の75重量%以上であることが好ましく、全体の90重量%以上であることがさらに好ましい。
ポリプロピレン系樹脂A及びポリプロピレン系樹脂Bは原料ポリプロピレン系樹脂の分子量(或いはMFR(メルトフローレート))、ラジカル重合開始剤の配合量、イソプレン単量体の配合量を適宜調整する事により得ることができる。
尚、予備加熱を行う場合、発泡シートの二次発泡などにより、密度や厚み、独立気泡率が変化する場合がある。
JIS−K6767に準じて算出した。
発泡シートの幅方向に30mm間隔で測定点を設け、測定点における押出方向に垂直な面で切断した断面の厚み方向のセル数をルーペ(peacock社、pocket・micro×10)を用いて測定した。その後、各点の測定値の平均を厚み方向のセル数とした。図1に、セル数を測定した時の断面の一部拡大写真を示す。図1中、Yで示す方向が、押出方向に垂直方向で、Xで示す方向が発泡シートの幅方向である。
発泡シートの幅方向に等間隔に40点の測定点を設け、測定点の厚みを厚みゲージ(teclock社、厚みゲージ)を用いて測定した後、各点の測定値の平均を発泡シートの厚みとした。
発泡シートの幅方向に等間隔に5点の測定箇所を設け、各測定箇所より、サンプルを切り出し、各測定箇所における発泡シートの独立気泡率をASTM D−2856に記載の方法に準じエアピクノメータ(Beckman社Air Comparison pycnometer)により測定した。その後、各点の平均値を計算し、発泡シートの独立気泡率として得た。
発泡シートの幅方向に等間隔に10点の測定点を設け、測定点における透過率を東洋精機社製、TRANSMITANCE METERを用いて、測定した後、各点の測定値の平均値を計算し、透過率とした。
発泡シートの幅方向に等間隔に9点の測定箇所を設け、各測定箇所より、100mm×100mmのサンプルを切り出した。切り出した各サンプルの重量を測定し、サンプル重量とサンプル面積より目付け量(g/m2)を算出し、各サンプルの平均値より、目付け量を得た。
東洋精機製、キャピログラフを用い、先端に口径2.095mm、長さ8mm、流入角90度のオリフィスを装着した口径10mm、長さ350mmのシリンダーを260℃に加熱し、ポリプロピレン系樹脂約15gを充填し、5分間予熱する。予熱後、ポリプロピレン系樹脂をシリンダーと同径のピストンを用いて押出速度が0.167mm/sとなるようにピストンを10mm/minの速度で押出し、オリフィスから押出される押出物を張力検出用プーリ−を通過させて速度0.2m/minから40m/minにて加速させながら巻き取り、押出物が破断するまでの引取りに要する張力を測定した。この破断時の張力をポリプロピレン系樹脂の260℃における溶融張力(Mt)とし、その時の巻き取り速度を260℃における溶融破断伸び(Me)とした。但し、破断しなかった場合においては、速度60m/minでの張力を溶融張力として採用した。
得られた成形容器の短軸方向(図2に示す成形容器にあってはII−II方向に平行な方向である。)を垂直にして立て、成形容器の口部分を昇降台とフォースゲージ(IMADA社DIGITAL FORCE GAUGE DSP−5R)の間にセットした。フォースゲージにて測定される荷重が0.5Nとなるまで、昇降台を上げ、その位置を昇降台の0mm位置とする。昇降台の位置を0mm位置から10mm上昇させ、その時の荷重値を成形容器のリップ強度として測定した。容器10個に関して、同様に測定し、得られたリップ強度の平均値をその容器のリップ強度として得た。
得られた測定結果および視認評価により、以下の基準にて成形体を評価した。
○:透過率が55%以下であり、成形体リップ強度が4.2N以上である。
△:透過率が56%以上であり、成形体リップ強度が4.2N以上である。または透過率が55%以下であり、成形体リップ強度が4.2Nより小さい。
×:透過率が56%以上であり、成形体リップ強度が4.2Nより小さい。
プロピレン単独重合体(プライムポリマー社F113G(MFR=3.0g/10min))100重量部を計量フィーダーを用いて、250kg/hrにて異方向回転2軸押出機(池貝製作所製PCM80)に供給し、押出機途中から液添ポンプを用いて、ラジカル重合開始剤(日本油脂社パーブチルI)を0.35重量部供給し、次いで、液添ポンプを用いて、押出機途中からイソプレン(クラレ社イソプレン)を0.5重量部供給し、前記押出機中にて溶融混錬し、ストランド状に溶融押出しし、水での冷却後、ストランドカッターにてカットすることにより、ポリプロピレン系樹脂(1)のペレットを得た。前記2軸押出機はスクリュー口径が80mmであり、スクリュー有効長(L/D)が38であった。押出条件はラジカル開始材添加までを180℃、ラジカル開始剤添加後以降を200℃とし、スクリュー回転数を120rpmに設定した。
ラジカル重合開始剤添加量を0.38重量部、イソプレン添加量を0.7重量部とする以外は製造例1と同様の方法にてポリプロピレン系樹脂組成物(2)のペレットを得た。
プロプレン単独重合体をプライムポリマー社J105G(MFR=9.0g/10min)とする以外は製造例1と同様の方法にて、ポリプロピレン系樹脂(3)のペレットを得た。
プロプレン単独重合体をプライムポリマー社J105Gとする以外は製造例2と同様の方法にて、ポリプロピレン系樹脂(4)のペレットを得た。
表1より、ポリプロピレン系樹脂(1)及び(2)は、本発明におけるポリプロピレン系樹脂Aであり、ポリプロピレン系樹脂(3)は、本発明におけるポリプロピレン系樹脂Bである。
また、ポリプロピレン系樹脂(1)〜(3)について、加熱温度を230℃に替えた以外は上述と同様にして溶融物性を測定しようとしたが、オリフィスから押出される押出物を張力検出用プーリ−を通過させるまでに破断し、溶融物性を測定することができなかった。
<ポリプロピレン系樹脂発泡シートの製造>
ポリプロピレン系樹脂(1)50重量部、ポリプロピレン系樹脂(3)50重量部、合計100重量部のポリプロピレン系樹脂とそのポリプロピレン系樹脂100重量部に対し0.12重量部の気泡核形成剤(大日精化社PE−M MF2820)をリボンブレンダーにて撹拌混合した配合物を115−152mmφタンデム型押出機に供給し、200℃に設定した第1段押出機(115mmφ)中にて溶融させたのち、発泡剤としてイソブタンをポリプロピレン系樹脂(1)と(3)との合計量100重量部に対し2.0重量部圧入混合しポリプロピレン系樹脂組成物を得た。次いで、得られたポリプロピレン系樹脂組成物を145℃に設定した第2段押出機(152mmφ)中で冷却し、サーキュラーダイ(230mmφ)より大気圧下に吐出させ、外径670mmφ長さ1500mmの冷却筒にて成形しながら7.1m/minで引き取りつつ、冷却筒にて延伸・冷却し円筒型発泡体を得、円筒型発泡体の左右をカッターで切り、上下に分割し、上下を別々に巻き取る事により、1050mm幅のポリプロピレン系樹脂発泡シートを得た。
上記のようにして得られたポリプロピレン系樹脂発泡シートを18m/minの速度で繰り出し、押出機(口径115mmφ単軸押出機)に連結されたTダイより、205℃のプロピレン単独重合体(プライムポリマー社製J105G)を70kg/hrにて前記ポリプロピレン系樹脂発泡シートの上にフィルム状に押し出すと同時に、押し出されたフィルム状のプロピレン単独重合体の発泡シートと接触する面と反対の面に、ポリプロピレン系樹脂フィルム(サントックス社、CPP、厚み25μ)を繰り出し、発泡シートと溶融したフィルム状のポリプロピレン単独重合体とポリプロピレン系樹脂フィルムを冷却ロールにて圧着・冷却しながら引き取った後巻き取り、3層構成のポリプロピレン系積層発泡シートを得た。即ち、このポリプロピレン系積層発泡シートは、ポリプロピレン系樹脂発泡シートの一方の面にプロピレン単独重合体の非発泡層を形成し、この非発泡層の上面にさらにポリプロピレン系樹脂フィルムの非発泡層を形成したものであり、発泡シートの一方の面に2層の非発泡層を積層した構造を有する。
上記のようにして得られたポリプロピレン系樹脂発泡積層シートを540×540mm角に切り出し、単発成形機(近畿機械工業社、単発自動成形機KF−88T)を用いて、内寸500mm×500mmの枠に固定した後、温度を上側173℃、下側167℃の温調された炉内に30秒間保持した後、非発泡層が容器内側になるようにマッチモールド用金型(金型温度30℃)でクリアランス1.6mmにて嵌合・成形した。得られた成形体をトムソン刃にて切断処理し、図2に示す形状のポリプロピレン系樹脂発泡積層シートの成形容器1を得た。図2において、符号2は成形容器1の内側を示し、符号3は成形容器1の口部分を示し、各記号は以下の寸法(単位:mm)を示す。L1:190、L2:230、L3:265、L4:288、W1:58、W2:105、W3:140、W4:163、D1:35、D2:6、D3:5、t:1.6、R:20。
表2に示すポリプロピレン系樹脂の配合にした以外は、実施例1と同様にして、ポリプロピレン系樹脂発泡シート、ポリプロピレン系樹脂発泡積層シート、ポリプロピレン系樹脂発泡積層シートの成形体を製造した。
2 成形容器の内側
Claims (5)
- 発泡倍率6〜10倍、厚み1〜3mm、厚み方向の気泡数が10〜14個、独立気泡率が85%以上であることを特徴とするポリプロピレン系樹脂発泡シート。
- 260℃における溶融張力[cN]:Mt及び溶融破断伸び[m/min]:Meが以下の範囲であるポリプロプレン系樹脂Aを20〜80重量部と、ポリプロピレン系樹脂Bを80〜20重量部とを含むポリプロピレン系樹脂組成物を押出発泡して得られる請求項1記載のポリプロピレン系樹脂発泡シート;
ポリプロピレン系樹脂A:5.0≦Mt≦10.0、4.0≦Me≦8.0、
ポリプロピレン系樹脂B:3.0≦Mt≦5.5、9.0≦Me≦15.0。 - 請求項1又は2に記載のポリプロピレン系樹脂発泡シートの少なくとも一方の面に非発泡層を少なくとも1層積層してなるポリプロピレン系樹脂発泡積層シート。
- 請求項1又は2に記載のポリプロピレン系樹脂発泡シートまたは請求項3記載のポリプロピレン系樹脂発泡積層シートを熱成形してなるポリプロピレン系樹脂発泡成形体。
- 260℃における溶融張力[cN]:Mt及び溶融破断伸び[m/min]:Meが以下の範囲であるポリプロプレン系樹脂Aを20〜80重量部と、ポリプロピレン系樹脂Bを80〜20重量部とを含むポリプロピレン系樹脂組成物を押出発泡する工程を含むポリプロピレン系樹脂発泡シートの製造方法;
ポリプロピレン系樹脂A:5.0≦Mt≦10.0、4.0≦Me≦8.0、
ポリプロピレン系樹脂B:3.0≦Mt≦5.5、9.0≦Me≦15.0。
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