JP6551589B2 - ポリプロピレン系樹脂発泡シート - Google Patents

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Description

本発明は、ポリプロピレン系樹脂発泡シート、これを用いたポリプロピレン系樹脂発泡積層シート及びこれらを用いたポリプロピレン系樹脂発泡成形体に関するものである。
従来より、ポリプロピレン系樹脂の発泡シートは、自動車内装材料、食品包装材料等に広く使用されている。このうち、食品包装材料では、成形が容易で陶器様の良好な外観を得やすいポリスチレン系樹脂の発泡シートも使用されているが、電子レンジで加熱して食する弁当等の需要の高まりから、耐熱性がポリスチレン系樹脂よりも優れたポリプロピレン系樹脂を用いた発泡シートの需要が高まっている。
このような発泡シートに使用されるポリプロピレン系樹脂としては、ポリプロピレンの低発泡性を改良したものが各種提案されており、一般に高溶融張力ポリプロピレン系樹脂(以下、「HMS−PP系樹脂」と称する場合がある。)として知られている(例えば、特許文献1〜3参照。)。このHMS−PP系樹脂は、溶融張力が高いため、発泡時のセル膜延伸時に膜が破れることなく気泡(セル)が成長することにより、発泡適正が高いとされてきた。
しかしながら、HMS−PP系樹脂は、溶融張力は高いものの、溶融破断伸びが低くなる傾向にあるため、同倍率でセル数を多く(セル径を小さく)してセル膜を薄くした場合、セルの破泡が進行し、独立気泡率が低下する傾向にある。その結果、高セル数による陶器様の良好な外観は得られるものの、成形性や強度が低下するという問題が生じていた。また、溶融張力が高すぎると、逆に伸びが低いため、押出発泡のセル成長時にセル膜が破れたり、押出加工性を阻害することにより、良好な外観が得られない傾向にある。
一方、食品包装材料、とりわけ電子レンジ用途に使用される容器等では、軽量性、耐熱性、断熱性に優れることは勿論のこと、商品イメージを高める陶器様の良好な意匠性、各種の容器形状に寸法精度よく成形可能な成形性、持ち運び時に容器が歪んで内容物が漏出しないための剛性が求められるが、このような特性を付与可能な発泡シート、発泡積層シート、それらの成形体を得るのは困難であるのが現状である。
例えば、特許文献1には、密度0.09〜0.4g/cm、厚さ0.5〜8mm、独立気泡率70%以上で、特定の気泡形状を有し、230℃におけるドローダウン性が60m/分以下のポリプロピレン系樹脂からなる成形用無架橋ポリプロピレン系樹脂押出発泡シートが記載されている。この発泡シートは、剛性等の物性が向上し、成形性や、発泡シート自体の外観、更には得られる成形品の外観等も、従来より知られているポリプロピレン系樹脂発泡シートに比べてより優れたものとなるとされている。
しかしながら、特許文献1に記載のポリプロピレン系樹脂発泡シートにおいては、密度が0.151g/cm(樹脂の比重0.91から算出される発泡倍率は6倍に相当する。)以下、即ち、発泡倍率が6倍以上の高倍率でありながら、独立気泡率が85%以上であるという、軽量性かつ成形性を兼ね備える発泡シートが得られていない。
特許文献2には、充填剤を10〜33重量%含有し、230℃におけるメルトテンション(溶融張力)が10〜50cNのポリプロピレン系樹脂(A)10〜50重量%と、230℃におけるメルトテンションが0.01〜6cNのポリプロピレン系樹脂(B)90〜50重量%と(ただし、樹脂(A)+樹脂(B)=100重量%)の混合物からなるポリプロピレン系樹脂組成物からなり、厚みが0.5〜3.0mmであり、厚み方向の平均気泡数が5〜30個であり、且つ独立気泡率が少なくとも50%である発泡シートが記載されている。
しかしながら、特許文献2に記載のポリプロピレン系樹脂発泡シートでは異なるメルトテンションを有するポリプロピレン系樹脂を用いることは記載されているものの、溶融破断伸びについては考慮されていない。また、230℃におけるメルトテンションが測定可能なポリプロピレン系樹脂組成物では、溶融張力が低く、実際には上述した特性を付与可能な発泡シート等は得られない。また、特許文献2の実施例に記載のポリプロピレン系樹脂の発泡倍率は5倍未満であり(前述のように、樹脂の比重と密度から算出される。)、断熱性や軽量性の点で問題がある。
特許文献3には、バージン材の溶融張力が15cN以上25cN以下でバージン材の破断点速度が2.4m/min以上3.0m/min以下であり、且つ押出し機を通過させた後の溶融張力が6cN以上9.4cN以下で押出し機を通過させた後の破断点速度が5m/min以上10m/min以下である高溶融張力ポリプロピレン樹脂を含むポリプロピレン系樹脂成分を主成分とするポリプロピレン系樹脂組成物が押出し機で押出し発泡されて形成された樹脂発泡シートが記載されている。これにより、高強度で、良好な外観を有する樹脂発泡シートを容易に得られるとされている。また、実施例では、高溶融張力ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン、エチレン−α−オレフィン共重合体等の混合物を用いたことが記載されている。
しかしながら、特許文献3に記載のポリプロピレン系樹脂組成物では、高溶融張力ポリプロピレン樹脂以外の樹脂成分の溶融張力及び破断点速度(本発明における「破断伸び」に対応する。)については考慮されていない。また、溶融張力及び破断点速度は230℃における値であり、上述のように、この温度でこれらを測定可能なポリプロピレン系樹脂を用いても、実際には上述した特性を付与可能な発泡シート等は得られない。
特許第3351967号公報 特開2004−149713号公報 特許第5470129号公報
上述のように、例えば電子レンジ用途に使用される容器等の食品包装材料では、軽量性、耐熱性、断熱性、意匠性、成形性、剛性に優れることが求められるが、このような特性を付与可能なポリプロピレン系樹脂発泡シート、ポリプロピレン系樹脂発泡積層シート、それらの成形体を得るのは困難であるのが現状である。
そこで、本発明の目的は、軽量性、耐熱性、断熱性、意匠性、成形性、剛性に優れ、食品包装材料等として好適なポリプロピレン系樹脂発泡シート及びポリプロピレン系樹脂発泡積層シートを提供すること、並びに、上述のような優れた特性を有するそれらの成形体を生産性良く提供することにある。
上述の課題を解決するため、本発明者らは鋭意検討を行った。その結果、特定の2種の高溶融張力ポリプロピレン系樹脂を組み合わせることで初めて、発泡倍率が6〜10倍で、厚みを1〜3mmとしつつ、厚み方向の気泡数が10〜14個と多くすると同時に、高溶融張力ポリプロピレン系樹脂でありながら独立気泡率を85%以上と高独立気泡率のポリプロピレン系樹脂発泡シートが得られること、また、このようなポリプロピレン系樹脂発泡シートを用いることで、上述した食品包装材料等として優れた特性を付与可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。本発明の要旨は以下のとおりである。
(1)260℃における溶融張力[cN]:Mt及び溶融破断伸び[m/min]:Meが以下の範囲であるポリプロピレン系樹脂Aを20〜80重量部と、ポリプロピレン系樹脂Bを80〜20重量部とを含むポリプロピレン系樹脂組成物を押出発泡して得られるポリプロピレン系樹脂発泡シート;
ポリプロピレン系樹脂A:5.0≦Mt≦10.0、4.0≦Me≦8.0、
ポリプロピレン系樹脂B:3.0≦Mt≦5.5、9.0≦Me≦15.0。
(2)発泡倍率6〜10倍、厚み1〜3mm、厚み方向の気泡数が10〜14個、独立気泡率が85%以上である上記(1)記載のポリプロピレン系樹脂発泡シート。
(3)上記(1)又は(2)に記載のポリプロピレン系樹脂発泡シートの少なくとも一方の面に非発泡層を少なくとも1層積層してなるポリプロピレン系樹脂発泡積層シート。
(4)上記(1)又は(2)に記載のポリプロピレン系樹脂発泡シートまたは上記(3)記載のポリプロピレン系樹脂発泡積層シートを熱成形してなるポリプロピレン系樹脂発泡成形体。
本発明によれば、軽量性、耐熱性、断熱性、意匠性、成形性、剛性に優れた食品包装材料等を提供することができる。特に、本発明に係るポリプロピレン系樹脂発泡シート、ポリプロピレン系樹脂積層シート及びこれらの成形体は、電子レンジ用途に使用される容器等の食品包装材料として好適である。
厚み方向の気泡数の測定方法を示すための説明図である。 (a)実施例で成形した成形体の形状を示した平面図である。(b)図2(a)のI−I方向断面図である。(c)図2(a)のII−II方向断面図である。
本発明に係るポリプロピレン系樹脂発泡シートは、発泡倍率が6〜10倍、厚みが1〜3mm、厚み方向の気泡数が10〜14個、独立気泡率が85%以上である。
ポリプロピレン系樹脂発泡シートの発泡倍率が6〜10倍であることにより、得られる成形体を軽量かつ高断熱にすることができる。また、樹脂量が少なくても厚みを大きくすることができることから製造コストを抑制しつつ構造強度を向上させることができる。発泡倍率が6倍より小さいと、軽量性に劣り、10倍より大きいと剛性に劣る傾向にある。
本発明において発泡倍率とは、得られた発泡体の見かけ密度で、ポリプロピレン系樹脂の比重0.91を除した値である。
ポリプロピレン系樹脂発泡シートの厚みが1〜3mmであることにより、得られる成形体の断熱性、剛性が良好で、成形体を成形する際の成形性や生産性が良好である。厚みが1mmより小さいと、断熱性、剛性が低下し、3mmより大きいと、成形時の加熱に要する時間が長くなるため成形性が低下し、加熱成形サイクルが長くなり生産性が低下する傾向にある。
ポリプロピレン系樹脂発泡シートの厚み方向の気泡数(セル数)が10〜14個であることにより、得られる成形体の断熱性が良好で、細かな気泡による平滑な表面性を成形体に付与できる。また、光の透過率を低下させることができるため、陶器様の外観美麗な意匠性を有する成形体が得られる。厚み方向の気泡数が10個より少ない場合は、容器内に充填した内容物の色や、容器内側に積層したフィルムの色が透けて見えるため、外観・意匠性に劣り、14個より多い場合は、厚み方向を横切るセル膜が多くなり、そのため、成形加熱時の熱が伝わりにくく、その結果加熱に要する時間が長くなり、生産性が低下する傾向にある。
本発明において厚み方向の気泡数は、例えば、後述する方法を行って算出される平均気泡数を採用することができる。
ポリプロピレン系樹脂発泡シートの独立気泡率が85%以上であることにより、断熱性、剛性が良好である。また、成形体の加熱成形時に、外観を損ねることなく寸法精度よく成形することができる。そのため、成形不良を低減でき、成形体の生産性を向上できる。
本発明に係るポリプロピレン系樹脂発泡シートでは、上述のように、6〜10倍と高倍率の発泡倍率で、1〜3mmと小さい厚みの中に、10〜14個と多数の気泡を確保しつつ、85%以上と高率の独立気泡率を実現している。このようなポリプロピレン系樹脂発泡シートは、上述した特性に優れた食品包装材料等を提供することができる。特に、食品包装容器では、食品を載せる内側(表側)に色や模様を付与した非発泡シートを発泡シートの表面に積層することが多く、発泡シートの光の透過率が大きい場合、非発泡シートの色等が外側に透けて見えるため、外観上好ましくないとされている。ところが、本発明では、上記の厚み方向の気泡数を上述のように多数有し、独立気泡率も高いため、光の透過率を低くすることができ、陶器様の例えば白色の外観を呈する容器を容易に提供することができる。
また、単位面積当たりの重量である目付けは、軽量性の観点から、100〜450g/mが好ましく、200〜350g/mがより好ましい。100g/mより小さい場合には、剛性に劣ったりする傾向にあり、また目付け量を100g/mより小さくする場合には、独立気泡率が低下する傾向にある。450g/mより大きい場合には、成形時の加熱時に必要な熱量が大きく、その結果加熱に要する時間が長くなり、生産性が低下する傾向にある。また、従来は、発泡シートの目付けをこのように低くしようとすると、後述するような円環状の発泡体を、冷却筒を用いて延伸したときに発泡体のセル膜が破れ独立気泡率が低下したり、発泡体が破断したりする場合があり、本発明のような特性を有する発泡シートを得ることは困難であった。
ポリプロピレン系樹脂発泡シートの幅にはとくに制限はないが、50〜2000mm、さらには500〜2000mmであるのが、経済性、加工性の点から好ましい。
以上のような本発明に係るポリプロピレン系樹脂発泡シートは、次の特性を有する2種のポリプロプレン系樹脂を所定量含むポリプロピレン系樹脂組成物を押出発泡して得ることができる。
即ち、260℃における溶融張力[cN](以下、「Mt」と記載する場合がある。)、及び、260℃における溶融破断伸び[m/min](以下、「Me」と記載する場合がある。)が、それぞれ、5.0≦Mt≦10.0及び4.0≦Me≦8.0であるポリプロピレン系樹脂Aと、260℃におけるMt及びMeが、それぞれ、3.0≦Mt≦5.5及び9.0≦Me≦15.0であるポリプロピレン系樹脂Bとを含むポリプロピレン系樹脂組成物を用いる。
本発明における溶融張力[cN]及び溶融破断伸び[m/min]は、例えば、後述する方法で測定した値により求めることができる。
ポリプロピレン系樹脂A及びBは、何れもHMS−PP系樹脂である。本発明では、このように特定のHMS−PPを2種組み合わせて用いることで、上述の特性に優れたポリプロピレン系樹脂発泡シートを提供することを可能にした。Mtが高いと伸びにくいため破断しやすく(Meが小さく)、上述のような高発泡倍率で厚み方向の気泡数を多くすると破泡し易くなるため、独立気泡率を高くすることができない。そのため気泡数を多くすることは困難になる。また、Mtが小さいと伸び易い(Meが大きく)が強度が低下し、上述のような高発泡倍率で厚み方向の気泡数を多くしても気泡が潰れ易くなるため剛性が低下する。そこで、Mtが相対的に大きく、Meが相対的に小さいポリプロピレン系樹脂Aと、Mtが相対的に小さく、Meが相対的に大きいポリプロピレン系樹脂Bとを所定量組み合わせて用いることで、上述したような高発泡倍率、肉薄で、厚み方向の気泡数を多くかつ高独立気泡率を実現した。
ポリプロピレン系樹脂Aは、好ましくは、5.0≦Mt≦10.0で、かつ、4.0≦Me≦8.0である。ポリプロピレン系樹脂AのMt及びMeがこのような範囲にあることで、独立気泡が高い、高倍率のポリプロピレン系樹脂発泡体の押出発泡が可能となる。また、ポリプロピレン系樹脂AのMt及びMeとしては、より好ましくは、5.0≦Mt≦8.0で、かつ、5.0≦Me≦8.0である。
ポリプロピレン系樹脂Bは、好ましくは、3.0≦Mt≦5.5で、かつ、9.0≦Me≦15.0である。ポリプロピレン系樹脂BのMt及びMeがこのような範囲にあることで、セルを細かくする事ができ、厚み方向のセル数を多くする事が可能である。また、ポリプロピレン系樹脂BのMt及びMeとしては、より好ましくは、3.0≦Mt≦6.0で、かつ、9.0≦Me≦13.0である。
ポリプロピレン系樹脂組成物におけるポリプロピレン系樹脂A及びBの混合比としては、樹脂A及び樹脂Bの樹脂特性を生かし、得られる発泡シートの倍率・独立気泡率・厚み方向のセル数を高くするという観点から、ポリプロプレン系樹脂Aが20〜80重量部、ポリプロピレン系樹脂Bが80〜20重量部であるのが好ましい。尚、ポリプロピレン系樹脂組成物におけるポリプロピレン系樹脂A及びBの合計量は、特に限定はないが、他の樹脂を添加した場合にその樹脂が発泡シートの性状を確保するのを阻害しないという観点からは、90〜100重量%であるのが好ましい。
上記のようなポリプロプレン系樹脂AおよびBとしては、例えば、次のものを適宜選択して使用することができる。(a)ポリプロピレン系樹脂に電子線や過酸化物を作用させて長鎖分岐化させたり、僅かに架橋させたりする、(b)ポリプロピレン系樹脂、イソプレン単量体、ラジカル重合開始剤を溶融混練する、(c)市販のHMS−PP系樹脂を用いる。
以下では、(b)の場合について説明する。
(b)の場合に使用可能なポリプロピレン系樹脂(以下、「原料ポリプロピレン系樹脂」と称する。)としては、プロピレンの単独重合体、プロピレンとほかの単量体とのブロック共重合体、またはプロピレンとほかの単量体とのランダム共重合体などの結晶性の重合体があげられ、剛性が高く、安価であるという点からは前記ポリプロピレン単独重合体が好ましく、剛性および耐衝撃性がともに高いという点からは前記プロピレンとほかの単量体とのブロック共重合体であることが好ましい。前記原料ポリプロピレン系樹脂がプロピレンとほかの単量体とのブロック共重合体またはプロピレンとほかの単量体とのランダム共重合体である場合、ポリプロピレン系樹脂の特徴である高結晶性、高い剛性および良好な耐薬品性を保持する点から、含有されるプロピレン単量体成分が全体の75重量%以上であることが好ましく、全体の90重量%以上であることがさらに好ましい。
原料ポリプロピレン系樹脂において、プロピレンと共重合し得る他の単量体としては、エチレン、α−オレフィン、環状オレフィン、ジエン系単量体およびビニル単量体よりなる単量体の群から選ばれた1種または2種以上の単量体があげられる。これらの単量体のうち、エチレンまたはブテン−1が安価である点等から好ましい。
原料ポリプロピレン系樹脂の分子量(重量平均分子量)は工業的に入手しやすいという点から、5万〜200万の範囲内にあることが好ましく、安価であるという点から、10万〜100万の範囲内にあることがさらに好ましい。
原料ポリプロピレン系樹脂には、必要に応じて、他の樹脂またはゴムを本発明の効果を損なわない範囲内で添加してもよい。前記他の樹脂またはゴムとしては、たとえばポリエチレン;ポリブテン−1、ポリイソブテン、ポリペンテン−1、ポリメチルペンテン−1などのポリα−オレフィン;プロピレン含有量が75重量%未満のエチレン/プロピレン共重合体、エチレン/ブテン−1共重合体、プロピレン含有量が75重量%未満のプロピレン/ブテン−1共重合体などのエチレンまたはα−オレフィン/α−オレフィン共重合体;プロピレン含有量が75重量%未満のエチレン/プロピレン/5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体などのエチレンまたはα−オレフィン/α−オレフィン/ジエン系単量体共重合体;エチレン/酢酸ビニル共重合体、エチレン/アクリル酸共重合体、エチレン/メタクリル酸共重合体、エチレン/アクリル酸エチル共重合体、エチレン/アクリル酸ブチル共重合体、エチレン/メタクリル酸メチル共重合体、エチレン/無水マレイン酸共重合体、エチレン/アクリル酸金属塩共重合体、エチレン/メタクリル酸金属塩共重合体、エチレン/メタクリル酸グリシジル共重合体などのエチレン/ビニル単量体共重合体;ポリブタジエン、ポリイソプレンなどのポリジエン系共重合体;スチレン/ブタジエン/スチレンブロック共重合体などのビニル単量体/ジエン系単量体/ビニル単量体ブロック共重合体;アクリロニトリル/ブタジエン/スチレングラフト共重合体、メタクリル酸メチル/ブタジエン/スチレングラフト共重合体などのビニル単量体/ジエン系単量体/ビニル単量体グラフト共重合体;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレンなどのビニル重合体;塩化ビニル/アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、アクリロニトリル/スチレン共重合体、メタクリル酸メチル/スチレン共重合体などのビニル系共重合体などがあげられる。
原料ポリプロピレン系樹脂に対する、これらの他の樹脂またはゴムの添加量は、この樹脂の種類またはゴムの種類により異なり、前述のように本発明の効果を損なわない範囲内にあればよいものであるが、通常、25重量%程度以下であることが好ましい。
また、この場合、イソプレン単量体に共重合可能な他のビニル単量体を用いてもよい。このような他のビニル単量体としては、たとえば塩化ビニル;塩化ビニリデン;スチレン;アクリロニトリル;メタクリロニトリル;アクリルアミド;メタクリルアミド;酢酸ビニル;アクリル酸;メタクリル酸;マレイン酸;無水マレイン酸;アクリル酸金属塩;メタクリル酸金属塩;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸グリシジルなどのアクリル酸エステル;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸グリシジルなどのメタクリル酸エステルなどが挙げられる。
イソプレン単量体とこの他のビニル単量体とを併用する場合、この他のビニル単量体の添加量が、イソプレン単量体100重量部に対して、100重量部以下であることが好ましく、平均して75重量部以下であることがさらに好ましい。イソプレン単量体に共重合可能な他のビニル単量体の添加量が前記の範囲を超えると、得られるポリプロピレン系樹脂の粘度が著しく低下し、発泡性が低下する場合がある。
溶融混練されるイソプレン単量体の添加量は、溶融混練される原料ポリプロピレン系樹脂の分子量により適宜決められるため、一概には言えないが、ポリプロピレン系樹脂Aについては、得られるポリプロピレン系樹脂に発泡性を付与するという観点から、原料ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して、0.2〜10重量部であることが好ましく、0.3〜8.0重量部であることがより好ましい。また、ポリプロピレン系樹脂Bについては、得られるポリプロプレン系樹脂に発泡性と伸び易さを付与するという観点から、原料ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して、0.1〜8.0重量部であることが好ましく、0.2〜6.0重量部であることがより好ましい。
ラジカル重合開始剤としては、一般に過酸化物またはアゾ化合物などがあげられる。前記ラジカル重合開始剤としては、ケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシジカーボネート、パーオキシエステルなどの有機過酸化物の1種または2種以上があげられる。これらのうち、とくに水素引き抜き能が高いものが好ましく、そのようなラジカル重合開始剤としては、たとえば1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタンなどのパーオキシケタール;ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、α,α´−ビス(t−ブチルパーオキ
シ−m−イソプロピル)ベンゼン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3などのジアルキルパーオキサイド;ベンゾイルパーオキサイドなどのジアシルパーオキサイド;t−ブチルパーオキシオクテート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチ
ルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレートなどのパーオキシエステルなどの1種または2種以上があげられる。
ラジカル重合開始剤の添加量は、溶融混錬されるイソプレン単量体の添加量により適宜決められるため、一概には言えないが、得られるポリプロピレン系樹脂に発泡性を付与するという観点から、ポリプロピレン系樹脂Aについては、原料ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して、0.15〜7.0重量部であることが好ましく、0.2〜6.0重量部であることがより好ましい。また、得られるポリプロプレン系樹脂に発泡性と伸び易さを付与するという観点から、ポリプロピレン系樹脂Bについては、原料ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して、0.1〜5.5重量部であることが好ましく、0.15〜4.5重量部であることがより好ましい。
ポリプロピレン系樹脂A及びポリプロピレン系樹脂Bは原料ポリプロピレン系樹脂の分子量(或いはMFR(メルトフローレート))、ラジカル重合開始剤の配合量、イソプレン単量体の配合量を適宜調整する事により得ることができる。
さらに、前記原料ポリプロピレン系樹脂には必要に応じて、酸化防止剤、金属不活性剤、燐系加工安定剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、蛍光増白剤、金属石鹸、制酸吸着剤などの安定剤、または架橋剤、連鎖移動剤、造核剤、滑剤、可塑剤、充填材、強化材、顔料、染料、難燃剤、帯電防止剤などの添加剤を本発明の効果を損なわない範囲内で添加してもよい。尚、これらの添加剤は、原料ポリプロピレン系樹脂ではなく、ポリプロピレン樹脂組成物に添加してもよい。
これらの原料ポリプロピレン系樹脂、イソプレン単量体、ラジカル重合開始剤およびそのほか添加される材料の混合や溶融混練の順序および方法はとくに制限されるものではなく、たとえば原料ポリプロピレン系樹脂、イソプレン単量体、ラジカル重合開始剤および必要に応じて添加されるそのほかの添加材料を混合したのち溶融混練してもよいし、原料ポリプロピレン系樹脂、ラジカル重合開始剤および必要に応じて添加されるそのほかの添加材料を溶融混練した後にイソプレン単量体を溶融混練してもよいし、前記手法により改質したポリプロピレン系樹脂を得た後に、必要に応じて添加される添加剤や他の樹脂と溶融混練しても良いし、さらに原料ポリプロピレンの一部を改質してマスターバッチとした後に残余の原料ポリプロピレン系樹脂と溶融混練しても良い。
溶融混練時の加熱温度は、樹脂の種類などにより異なるが、通常、130〜400℃であることが、原料ポリプロピレン系樹脂が充分に溶融し、かつ熱分解せず、充分な発泡性をうることができるという点で好ましい。また溶融混練の時間(ラジカル重合開始剤およびイソプレン単量体を混合してからの時間)は、一般に30秒間〜60分間である。
また、前記の溶融混練の装置としては、コニーダー、バンバリーミキサー、ブラベンダー、単軸押出機、2軸押出機などの混練機、2軸表面更新機、2軸多円板装置などの横型攪拌機またはダブルヘリカルリボン攪拌機などの縦型攪拌機など高分子材料を適宜の温度に加熱しえ、適宜の剪断応力を与えながら混練しうる装置があげられる。これらのうち、とくに単軸または2軸押出機が生産性の点から好ましい。また、各々の材料を充分に均一に混合するために、前記溶融混練を複数回繰返してもよい。
以上のようにして、特定の特性を有するポリプロピレン系樹脂A、Bが得られる。
本発明のポリプロピレン系樹脂発泡シートは、例えば、ポリプロピレン系樹脂A及びBと必要に応じて発泡核形成剤を添加して撹拌混合した配合物を押出機内に供給し、溶融させた後、このポリプロピレン系樹脂組成物の溶融物に発泡剤を圧入混合し、押出機内において発泡最適温度に調節し、環状のリップを有するサーキュラーダイスを用い、そのダイスのリップから大気圧中に押し出して円筒状の発泡体を得、次いでその円筒状発泡体を引き取りながら、冷却筒(マンドレル)による成形加工によって、延伸・冷却後、切り開いて、シート状にする方法によって容易に製造される。また、ポリプロピレン系樹脂組成物の製造と連続して押出発泡を行っても良い。
本発明において使用可能な発泡核形成剤としては、例えば、重炭酸ソーダとクエン酸の混合物、タルク、マイカ等が挙げられる。発泡核形成剤を用いることで、気泡径を制御することができる。また、発泡核形成剤の添加量は、ポリプロピレン系樹脂組成物100重量部に対して、0.01〜3重量部であることが好ましい。
本発明において使用可能な発泡剤としてはたとえばプロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素類;シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素類;クロロジフルオロメタン、ジフルオロメタン、トリフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロメタン、ジクロロフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、クロロメタン、クロロエタン、ジクロロトリフルオロエタン、ジクロロフルオロエタン、クロロジフルオロエタン、ジクロロペンタフルオロエタン、テトラフルオロエタン、ジフルオロエタン、ペンタフルオロエタン、トリフルオロエタン、ジクロロテトラフルオロエタン、トリクロロトリフルオロエタン、テトラクロロジフルオロエタン、クロロペンタフルオロエタン、パーフルオロシクロブタンなどのハロゲン化炭化水素類;二酸化炭素、チッ素、空気などの無機ガス;水などの1種または2種以上があげられる。
前記の発泡剤の添加量(混練量)は発泡剤の種類および目標発泡倍率により異なるが、ポリプロピレン系樹脂組成物100重量部に対して、0.5〜10重量部の範囲内にあることが好ましい。
上述のようにして得られたポリプロピレン系樹脂発泡シートは、上述した特定範囲の発泡倍率、厚み、厚み方向の気泡数、独立気泡率を有する。
また、本発明のポリプロピレン系樹脂発泡シートは、熱成形を行って成形体を得ることができる。熱成形としては、例えば、プラグ成形、マッチド・モールド成形、ストレート成形、ドレープ成形、プラグアシスト成形、プラグアシス・トリバースドロー成形、エアスリップ成形、スナップバック成形、リバースドロー成形、フリードローイング成形、プラグ・アンド・リッジ成形、リッジ成形などの方法が挙げられる。また、熱成形に際して、例えば、予備加熱を行った後に低温の金型で成形することができる。予備加熱を行う場合の温度、加熱時間、金型の加熱温度、加熱時間は、発泡シートを構成するポリプロピレン系樹脂組成物の特性等を考慮して適宜決定すればよい。成形体の形状は、用途に応じて適宜選択することができ、比較的底の浅い容器、比較的底の深い容器などの成形が可能である。
尚、予備加熱を行う場合、発泡シートの二次発泡などにより、密度や厚み、独立気泡率が変化する場合がある。
また、本発明のポリプロピレン系樹脂発泡シートは、印刷性、表面性や剛性、加熱成形性などを改良する目的で、発泡シートの少なくとも一方の面に非発泡層を少なくとも1層積層し、ポリプロピレン系樹脂発泡積層シートとしてもよい。このような非発泡層を構成する材料としては、特に限定はないが、熱可塑性樹脂が好ましい。熱可塑性樹脂としては、ポリスチレン系樹脂、変性ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂等を用いることができる。これらは単独または2種以上組み合わせて用いられるが、特に発泡シートとの接着性の点より、ポリプロピレン系樹脂が好ましい。
このような非発泡層を形成する方法としては、特に限定されるものではなく、あらかじめフィルム状またはシート状に成形した樹脂を発泡成形され供給される発泡シートの片面または両面に熱ロールなどにより接着する方法、あらかじめフィルム状またはシート状に成形した樹脂を発泡成形され供給される発泡シートの片面または両面に接着剤を介して接着する方法、多層押出金型を用いて行う共押出積層方法、あらかじめ発泡成形して供給される発泡シートの片面または両面に押出機から供給した非発泡層樹脂組成物を層状に積層し、可塑状態にある非発泡層を冷却ローラーなどによって固着する方法が挙げられる。
非発泡層を構成する熱可塑性樹脂には、必要に応じて、耐衝撃性改良剤、充填剤、滑剤、酸化防止剤、静電防止剤、顔料、安定剤、臭気低減剤、難燃剤、気泡調整剤等を単独または2種以上組み合わせて添加しても良い。
ポリプロピレン系樹脂発泡積層シートは、上述した発泡シートと同様の熱成形によって成形体を得ることができる。
以下に、本発明を実施例に基づき説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(ポリプロピレン系樹脂発泡シートの見かけ密度の測定)
JIS−K6767に準じて算出した。
(ポリプロピレン系樹脂発泡シートの厚み方向のセル数(気泡数)の測定)
発泡シートの幅方向に30mm間隔で測定点を設け、測定点における押出方向に垂直な面で切断した断面の厚み方向のセル数をルーペ(peacock社、pocket・micro×10)を用いて測定した。その後、各点の測定値の平均を厚み方向のセル数とした。図1に、セル数を測定した時の断面の一部拡大写真を示す。図1中、Yで示す方向が、押出方向に垂直方向で、Xで示す方向が発泡シートの幅方向である。
(ポリプロピレン系樹脂発泡シートの厚みの測定)
発泡シートの幅方向に等間隔に40点の測定点を設け、測定点の厚みを厚みゲージ(teclock社、厚みゲージ)を用いて測定した後、各点の測定値の平均を発泡シートの厚みとした。
(ポリプロピレン系樹脂発泡シートの独立気泡率の測定)
発泡シートの幅方向に等間隔に5点の測定箇所を設け、各測定箇所より、サンプルを切り出し、各測定箇所における発泡シートの独立気泡率をASTM D−2856に記載の方法に準じエアピクノメータ(Beckman社Air Comparison pycnometer)により測定した。その後、各点の平均値を計算し、発泡シートの独立気泡率として得た。
(ポリプロピレン系樹脂発泡シートの透過率測定)
発泡シートの幅方向に等間隔に10点の測定点を設け、測定点における透過率を東洋精機社製、TRANSMITANCE METERを用いて、測定した後、各点の測定値の平均値を計算し、透過率とした。
(ポリプロピレン系樹脂発泡シートの目付け量の測定)
発泡シートの幅方向に等間隔に9点の測定箇所を設け、各測定箇所より、100mm×100mmのサンプルを切り出した。切り出した各サンプルの重量を測定し、サンプル重量とサンプル面積より目付け量(g/m)を算出し、各サンプルの平均値より、目付け量を得た。
(ポリプロピレン系樹脂の260℃における溶融張力および溶融破断伸びの測定)
東洋精機製、キャピログラフを用い、先端に口径2.095mm、長さ8mm、流入角90度のオリフィスを装着した口径10mm、長さ350mmのシリンダーを260℃に加熱し、ポリプロピレン系樹脂約15gを充填し、5分間予熱する。予熱後、ポリプロピレン系樹脂をシリンダーと同径のピストンを用いて押出速度が0.167mm/sとなるようにピストンを10mm/minの速度で押出し、オリフィスから押出される押出物を張力検出用プーリ−を通過させて速度0.2m/minから40m/minにて加速させながら巻き取り、押出物が破断するまでの引取りに要する張力を測定した。この破断時の張力をポリプロピレン系樹脂の260℃における溶融張力(Mt)とし、その時の巻き取り速度を260℃における溶融破断伸び(Me)とした。但し、破断しなかった場合においては、速度60m/minでの張力を溶融張力として採用した。
(ポリプロピレン系樹脂発泡積層シートの成形体のリップ強度の測定)
得られた成形容器の短軸方向(図2に示す成形容器にあってはII−II方向に平行な方向である。)を垂直にして立て、成形容器の口部分を昇降台とフォースゲージ(IMADA社DIGITAL FORCE GAUGE DSP−5R)の間にセットした。フォースゲージにて測定される荷重が0.5Nとなるまで、昇降台を上げ、その位置を昇降台の0mm位置とする。昇降台の位置を0mm位置から10mm上昇させ、その時の荷重値を成形容器のリップ強度として測定した。容器10個に関して、同様に測定し、得られたリップ強度の平均値をその容器のリップ強度として得た。
(総合評価)
得られた測定結果および視認評価により、以下の基準にて成形体を評価した。
○:透過率が55%以下であり、成形体リップ強度が4.2N以上である。
△:透過率が56%以上であり、成形体リップ強度が4.2N以上である。または透過率が55%以下であり、成形体リップ強度が4.2Nより小さい。
×:透過率が56%以上であり、成形体リップ強度が4.2Nより小さい。
(製造例1:ポリプロピレン系樹脂(1)の製造方法)
プロピレン単独重合体(プライムポリマー社F113G(MFR=3.0g/10min))100重量部を計量フィーダーを用いて、250kg/hrにて異方向回転2軸押出機(池貝製作所製PCM80)に供給し、押出機途中から液添ポンプを用いて、ラジカル重合開始剤(日本油脂社パーブチルI)を0.35重量部供給し、次いで、液添ポンプを用いて、押出機途中からイソプレン(クラレ社イソプレン)を0.5重量部供給し、前記押出機中にて溶融混錬し、ストランド状に溶融押出しし、水での冷却後、ストランドカッターにてカットすることにより、ポリプロピレン系樹脂(1)のペレットを得た。前記2軸押出機はスクリュー口径が80mmであり、スクリュー有効長(L/D)が38であった。押出条件はラジカル開始材添加までを180℃、ラジカル開始剤添加後以降を200℃とし、スクリュー回転数を120rpmに設定した。
(製造例2:ポリプロピレン系樹脂(2)の製造方法)
ラジカル重合開始剤添加量を0.38重量部、イソプレン添加量を0.7重量部とする以外は製造例1と同様の方法にてポリプロピレン系樹脂組成物(2)のペレットを得た。
(製造例3:ポリプロピレン系樹脂(3)の製造方法)
プロプレン単独重合体をプライムポリマー社J105G(MFR=9.0g/10min)とする以外は製造例1と同様の方法にて、ポリプロピレン系樹脂(3)のペレットを得た。
(製造例4:ポリプロピレン系樹脂(4)の製造方法)
プロプレン単独重合体をプライムポリマー社J105Gとする以外は製造例2と同様の方法にて、ポリプロピレン系樹脂(4)のペレットを得た。
製造例1〜4の各成分の配合及び溶融物性(溶融張力及び溶融破断伸び)を表1に示す。また、対照として用いたプロピレン単独重合体であるプライムポリマー社製、商品名「F113G」(表1中、樹脂(5)として示す)の溶融物性も合わせて表1に示す。尚、表1中、樹脂(1)〜(4)はそれぞれ、ポリプロピレン系樹脂(1)〜(4)を示す。
表1より、ポリプロピレン系樹脂(1)及び(2)は、本発明におけるポリプロピレン系樹脂Aであり、ポリプロピレン系樹脂(3)は、本発明におけるポリプロピレン系樹脂Bである。
また、ポリプロピレン系樹脂(1)〜(3)について、加熱温度を230℃に替えた以外は上述と同様にして溶融物性を測定しようとしたが、オリフィスから押出される押出物を張力検出用プーリ−を通過させるまでに破断し、溶融物性を測定することができなかった。
(実施例1)
<ポリプロピレン系樹脂発泡シートの製造>
ポリプロピレン系樹脂(1)50重量部、ポリプロピレン系樹脂(3)50重量部、合計100重量部のポリプロピレン系樹脂とそのポリプロピレン系樹脂100重量部に対し0.12重量部の気泡核形成剤(大日精化社PE−M MF2820)をリボンブレンダーにて撹拌混合した配合物を115−152mmφタンデム型押出機に供給し、200℃に設定した第1段押出機(115mmφ)中にて溶融させたのち、発泡剤としてイソブタンをポリプロピレン系樹脂(1)と(3)との合計量100重量部に対し2.0重量部圧入混合しポリプロピレン系樹脂組成物を得た。次いで、得られたポリプロピレン系樹脂組成物を145℃に設定した第2段押出機(152mmφ)中で冷却し、サーキュラーダイ(230mmφ)より大気圧下に吐出させ、外径670mmφ長さ1500mmの冷却筒にて成形しながら7.1m/minで引き取りつつ、冷却筒にて延伸・冷却し円筒型発泡体を得、円筒型発泡体の左右をカッターで切り、上下に分割し、上下を別々に巻き取る事により、1050mm幅のポリプロピレン系樹脂発泡シートを得た。
<ポリプロピレン系樹脂発泡積層シートの製造>
上記のようにして得られたポリプロピレン系樹脂発泡シートを18m/minの速度で繰り出し、押出機(口径115mmφ単軸押出機)に連結されたTダイより、205℃のプロピレン単独重合体(プライムポリマー社製J105G)を70kg/hrにて前記ポリプロピレン系樹脂発泡シートの上にフィルム状に押し出すと同時に、押し出されたフィルム状のプロピレン単独重合体の発泡シートと接触する面と反対の面に、ポリプロピレン系樹脂フィルム(サントックス社、CPP、厚み25μ)を繰り出し、発泡シートと溶融したフィルム状のポリプロピレン単独重合体とポリプロピレン系樹脂フィルムを冷却ロールにて圧着・冷却しながら引き取った後巻き取り、3層構成のポリプロピレン系積層発泡シートを得た。即ち、このポリプロピレン系積層発泡シートは、ポリプロピレン系樹脂発泡シートの一方の面にプロピレン単独重合体の非発泡層を形成し、この非発泡層の上面にさらにポリプロピレン系樹脂フィルムの非発泡層を形成したものであり、発泡シートの一方の面に2層の非発泡層を積層した構造を有する。
<ポリプロピレン系樹脂発泡積層シートの成形体の製造>
上記のようにして得られたポリプロピレン系樹脂発泡積層シートを540×540mm角に切り出し、単発成形機(近畿機械工業社、単発自動成形機KF−88T)を用いて、内寸500mm×500mmの枠に固定した後、温度を上側173℃、下側167℃の温調された炉内に30秒間保持した後、非発泡層が容器内側になるようにマッチモールド用金型(金型温度30℃)でクリアランス1.6mmにて嵌合・成形した。得られた成形体をトムソン刃にて切断処理し、図2に示す形状のポリプロピレン系樹脂発泡積層シートの成形容器1を得た。図2において、符号2は成形容器1の内側を示し、符号3は成形容器1の口部分を示し、各記号は以下の寸法(単位:mm)を示す。L1:190、L2:230、L3:265、L4:288、W1:58、W2:105、W3:140、W4:163、D1:35、D2:6、D3:5、t:1.6、R:20。
(実施例2、比較例1〜6)
表2に示すポリプロピレン系樹脂の配合にした以外は、実施例1と同様にして、ポリプロピレン系樹脂発泡シート、ポリプロピレン系樹脂発泡積層シート、ポリプロピレン系樹脂発泡積層シートの成形体を製造した。
実施例及び比較例で用いたポリプロピレン系樹脂の配合並びに得られたポリプロピレン系樹脂発泡シート及びポリプロピレン系樹脂発泡積層シートの成形体の評価結果を表2に示す。
表2から分かるように、本発明のポリプロピレン系樹脂発泡シートは、発泡倍率が高いにもかかわらず、厚み方向のセル数及び独立気泡率を高くすることが可能なため、軽量で、しかも、発泡シートの透過率を低率にするとともに成形体のリップ強度を高くすることができることが分かる。このため、本発明のポリプロピレン系樹脂発泡シートを用いることで、軽量性、意匠性及び剛性に優れた成形体を提供できる。また、独立気泡率及び厚みが所定範囲にあるため、断熱性、成形性に優れ、生産性良く成形体を提供できる。
1 ポリプロピレン系樹脂発泡積層シートの成形容器
2 成形容器の内側

Claims (4)

  1. 260℃における溶融張力[cN]:Mt及び溶融破断伸び[m/min]:Meが以下の範囲であるポリプロピレン系樹脂Aを20〜80重量部と、ポリプロピレン系樹脂Bを80〜20重量部とを含むポリプロピレン系樹脂組成物を押出発泡して得られるポリプロピレン系樹脂発泡シート;
    ポリプロピレン系樹脂A:5.0≦Mt≦10.0、4.0≦Me≦8.0、
    ポリプロピレン系樹脂B:3.0≦Mt≦5.5、9.0≦Me≦15.0。
  2. 発泡倍率6〜10倍、厚み1〜3mm、厚み方向の気泡数が10〜14個、独立気泡率が85%以上である請求項1記載のポリプロピレン系樹脂発泡シート。
  3. 請求項1又は2に記載のポリプロピレン系樹脂発泡シートの少なくとも一方の面に非発泡層を少なくとも1層積層してなるポリプロピレン系樹脂発泡積層シート。
  4. 請求項1又は2に記載のポリプロピレン系樹脂発泡シートまたは請求項3記載のポリプロピレン系樹脂発泡積層シートを熱成形してなるポリプロピレン系樹脂発泡成形体。

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