JP2016068995A - 二重袋用インフレーションフィルムおよび二重袋包装体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 特定の密度とメルトフローレートを持つポリエチレン系樹脂50質量%以上90質量%以下と、特定のメルトフローレートを持つポリブチレン又はポリプロピレン樹脂10質量%以上50質量%以下で構成され、両者のメルトフローレート比が1.5倍以上であり、厚みが2μm以上6μm未満の外層、ポリアミド樹脂からなる中間層、ポリオレフィン樹脂からなる内層から構成されるインフレーションフィルム、及びそれを用いた二重袋包装体。
【選択図】 なし
Description
樹脂組成物A:主成分が密度0.930g/cm3以上且つメルトフローレート(温度190℃、荷重2.16kg条件)3.0g/10分以上6.0g/10分未満のポリエチレン系樹脂である樹脂組成物
樹脂組成物B:主成分がメルトフローレート(温度230℃、荷重2.16kg条件)2.0g/10分以下のポリブチレンまたはポリプロピレンである樹脂組成物本発明の要旨は、に存する。
引いては、イージーピール樹脂が飛散し内容物に混入するというリスクも低くなり、本発明の工業的価値は高い。
なお、本発明におけるイージーピール性とは、二重袋包装体を開封する際に、イージーピール層自体が凝集破壊して、イージーピール層が剥離面の両側に残るものである。
本発明のフィルムは、外側のフィルムと内側のフィルムの双方に用いられ、外側のフィルムと内側のフィルムの内層同士を向い合せて2枚重ねにして、二重袋を形成するものである。
本発明のフィルムのイージーピール性を有する外層(以下、「イージーピール層」という場合がある。)は、外層全体の質量を100質量%として、以下で示される50質量%以上90質量%以下の樹脂組成物Aと10質量%以上50質量%以下の樹脂組成物Bを備えて構成されるものである。
樹脂組成物A:樹脂組成物Bの配合比率(質量%比)は、好ましくは、60〜90:40〜10、更に好ましくは70〜85:30〜15である。
ここで、ポリエチレン系樹脂には、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体(EMMA)、エチレン−アクリル酸メチル共重合体(EMA)、およびこれらのアイオノマーを挙げることができる。これらは単独で用いても良いし、混合して用いても良い。
樹脂組成物AのMFRの下限が3.0g/10分未満の場合、樹脂組成物BのMFRに近づくため、分散樹脂粒子径が小さくなりイージーピール強度が低下してしまう。樹脂組成物AのMFRが高いと、糸引きが発生してしまう。
その観点で、本発明のフィルムにおける樹脂組成物AのMFR(温度190℃、荷重2.16kg)の樹脂組成物BのMFR(温度230℃、荷重2.16kg)に対する比(A/B)は、1.5以上が好ましい。
95℃での凝集力が5.88N/15mm以上であることにより、80℃以上に加温された内容物を充填してもシール部分の底が抜けず、冷却されるまでの間に衝撃等によりシール侵食やシール抜けが発生しない。
また、常温での凝集力が15.69N/15mm未満であることにより、手による開封性が良好となる。
外層の主成分である樹脂組成物AのMFRが6g/10分未満と低いので、外層厚みを薄くしても、ヒートシール時に樹脂が流出せず、イージーピール層として十分に存在し得るので凝集破壊を起こすことができる。しかし、外層の厚みが2μmよりも薄過ぎると、イージーピールの安定性が劣り、またフィルム製膜し難くなる。
一方、外層厚みが厚過ぎると、樹脂が溶け出す量が増え、シール熱板と包装体に糸状に固化した状態でこびりつき易くなる。
本発明のフィルムの中間層は、ポリアミド樹脂により構成される。ポリアミド樹脂の種類は特に限定されないが、耐ピンホール性の観点から、例えば、6ナイロン、66ナイロン、69ナイロン、6−66ナイロン、12ナイロン、11ナイロン、610ナイロン、612ナイロン、6I−6Tナイロン、MXD6ナイロン等の重合体、またはこれら2種以上を重合単位として含む共重合体、さらにはこれら重合体の混合物を用いることが好ましい。これらの中でも、6ナイロンや6−66ナイロンが、インフレーション法における押出成形性、製膜安定性に優れており、且つコストが安価である等の点から特に好ましい。
5μm以上の厚みにより、良好な耐ピンホール性が得られ、伸びにくいフィルムとなる。また、30μm以下の厚みにより、二重袋包装体に適度なスクイズ性(内容物の絞り出し易さ)を付与できる。
本発明のフィルムの内層は、ポリオレフィン樹脂から構成される。
この内層により、二重袋包装体の製造において、外側のフィルムと内側のフィルムをヒートシールにより接着させることができる。
一方、内層同士の融着(ブロッキング)を防ぐことで、二重袋の利点である2枚のフィルムの動きの自由度が確保されて、衝撃を吸収でき、ピンホールの発生や破袋を防止することができる。
特に、PPは、ヒートシール性と耐ブロッキング性との両立を良好に行うことができる。PPとしては、ホモポリマーや、プロピレンとエチレン等とのランダムコポリマー等が挙げられ、密度0.900g/cm3以上が好ましい。
用いるLLDPEの密度は、下限は0.930g/cm3、好ましくは0.935g/cm3、さらに好ましくは0.937g/cm3であり、上限は0.940g/cm3である。
また、ビカット軟化点が高く高密度な樹脂の使用により、熱によるフィルムの伸びを最小限に抑えることもできる。
内層の厚みを10μm以上にすることにより、耐ピンホール性と耐熱性を維持できる。一方、内層の厚みを50μm以下にすることにより、二重袋包装体に適度なスクイズ性が与えられ、内容物を絞り出す作業が良好となる。
本発明において、中間層と外層および/または内層との間に、少なくとも1層のエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物樹脂(以下、「EVOH」と表す場合がある。)層を有していてもよい。これにより、本発明のフィルムに酸素ガスバリア性を付与できる。
EVOHのエチレン含有量およびケン化度を上記範囲に保つことにより、本発明のフィルムの共押出性、フィルムの強度を良好なものとすることができる。
EVOH層の厚みの下限値を5μmとすることにより十分な酸素バリア性が得られる。また上限値を30μmとすることによりフィルムの共押出性を悪化することもなく、かつ良好なフィルム強度を保持できる。
また、中間層と外層および/または内層との間には、少なくとも1層の接着樹脂層を設けることができる。
接着樹脂層で使用される接着樹脂は、必要な接着強度が得られれば特に限定されないが、不飽和カルボン酸またはその誘導体で変性されたポリオレフィン系樹脂を好適に用いることができる。
不飽和カルボン酸およびその誘導体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、シトラコン酸およびその誘導体等が挙げられる。不飽和カルボン酸の誘導体としては、不飽和カルボン酸のエステルや無水物を挙げることができ、例えば、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、酢酸ビニル、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリル酸ナトリウム等が挙げられる。
内層または/および外層には、スリップ剤やアンチブロッキング剤を添加することができる。
水素系滑剤、脂肪酸系高級アルコール系滑剤、アミド系滑剤、エステル系滑材、金属せっけん系滑剤等が挙げられる。
アミド系滑剤の添加量は、各層を構成する樹脂100質量部に対して、0.1〜0.5質量部の範囲が一般的であり、この添加量で内層同士のブロッキングを改良、防止することができる。
金属せっけん系滑剤の添加量は、各層を構成する樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上、好ましくは0.5質量部以上、さらに好ましくは1質量部以上であり、かつ10質量部以下、好ましくは5質量部以下、さらに好ましくは3質量部以下である。
タルクは、潤滑性に富み油脂感のある白色粉末でその表面は親油性・疎水性である。
ゼオライトは、アルカリおよびアルカリ土類金属の含水アルミノ珪酸塩であり、粘着性を防止することができる。
例えば、顔料を添加した場合、遮光効果による内容物の鮮度保持やフィルム切り片が内容物に混入したとしても発見しやすいというメリットがある。また、色の異なる顔料を使用すると、内容物の種類を包装体の色で判別することもできる。
なお、顔料は、内容物と接触しない外層側もしくは中間層に添加することが好ましい。
層(D)、および接着樹脂層(E)で表した場合、例えば、以下の層構成を形成することができる。
(1)A/E/B/E/D
(2)A/E/C/B/E/D
(3)A/E/B/C/E/D
ロール状に巻き取られたフィルムは、二重袋包装体を作製する際の原反となる。
その為、内容物を残さず取り出すことが容易にでき、また、再度ヒートシールして密封することも出来るので、内容物の無駄な廃棄を減らすことも出来る。
フィルムの各層成分と厚み、評価結果を表に示す。
<評価用フィルムの作製>
実施例1〜2および比較例1〜3において、以下に示すそれぞれ5層からなる共押出しインフレーションフィルムを製造した。
内層は円筒形フィルムの軸芯側の層であり、外層はその反対側の層である。
第1層(外層、イージーピール層)):直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)+ポリブチレン−1樹脂(PB−1)(3μm)
第2層(接着樹脂層):カルボン酸変性エチレン−酢酸ビニル共重合体(8μm)
第3層(中間層):6ナイロン(11μm)
第4層(接着樹脂層):カルボン酸変性エチレン−酢酸ビニル共重合体(8μm)
第5層(内層):直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)(20μm)
総厚み60μm
接着性樹脂層を構成する接着性樹脂としては、カルボン酸変性エチレン−酢酸ビニル共重合体(三菱化学社製、モディック)を用いた。
中間層には、6ナイロン(ディーエスエムエンジニアリングプラスチック社製ノバミッド6Ny)を用いた。
内層には、密度0.935g/cm3、ビカット軟化点120℃のLLDPE(プライムポリマー社製モアテック)に対して、該LLDPE全体を100質量部として、スリップ剤としてアミド系滑剤を1.8質量部、アンチブロッキング剤として無機系アンチブロッキング剤を1.8質量部添加した組成物を用いた。
外層に、密度0.938g/cm3、MFR3.8g/10分のLLDPE(プライムポリマー社製エボリュー)70質量%と、MFR1.3g/10分のPP(日本ポリプロピレン社製ノバティックPP)30質量%のブレンド樹脂に、該ブレンド樹脂全体を100質量部として、スリップ剤としてアミド系滑剤を0.3質量部添加した組成物を用いた。
外側の中間層に、6ナイロン(ディーエスエムエンジニアリングプラスチック社製ノバミッド6Ny)、6μm厚を用いた。
内側の中間層に、EVOH(クラレ社製エバール)、5μm厚を用いた。
内層に、密度0.900、ビカット軟化点110℃のPP(日本ポリプロピレン社製ノバティックPP)に対して、該PP全体を100質量部として、スリップ剤としてアミド系滑剤を1.8質量部、アンチブロッキング剤として無機系アンチブロッキング剤を1.8質量部添加した組成物を用いた。
その他は、実施例1と同様にしてインフレーションフィルムを作製した。
外側の中間層に、6ナイロン(ディーエスエムエンジニアリングプラスチック社製ノバミッド6Ny)、6μm厚を用いた。
内側の中間層に、EVOH(クラレ社製エバール)、5μm厚を用いた。
その他は、実施例1と同様にしてインフレーションフィルムを作製した。
内層に、密度0.900、ビカット軟化点110℃のPP(日本ポリプロピレン社製ノバティックPP)に対して、スリップ剤としてアミド系滑剤を1.8質量部、アンチブロッキング剤として無機系アンチブロッキング剤を1.8質量部添加した組成物を用いた他は、実施例1と同様にしてインフレーションフィルムを作製した。
外層に、密度0.931g/cm3、MFR20g/10分のLLDPE(宇部丸善ポリエチレン社製ユメリット)80質量%と、MFR1.8g/10分のポリブチレン−1樹脂(三井化学社製タフマー)20質量%のブレンド樹脂に、該ブレンド樹脂全体を100質量部として、実施例1と同様のスリップ剤およびアンチブロッキング剤を添加した組成物を用いた以外は、実施例1と同様にしてインフレーションフィルムを作製した。
外層の厚みを8μm、内層の厚みを17μmと代えた以外は実施例1と同様にしてインフレーションフィルムを作製した。
外層に、密度0.925g/cm3、MFR8g/10分のLLDPE(東ソー社製ニポロン)80質量%と、MFR1.8g/10分のポリブチレン−1樹脂(三井化学社製タフマー)20質量%のブレンド樹脂に、該ブレンド樹脂全体を100質量部として、実施例1と同様のスリップ剤およびアンチブロッキング剤を添加した組成物を用いた以外は、実施例1と同様にしてインフレーションフィルムを作製した。
(1)フィルムの各層厚み測定
フィルムをエポキシ樹脂に包埋し、ミクロトームを用いてフィルムを垂直に切削し、フィルム断面の顕微鏡観察から、各層厚みを計測した。
ポリエチレン系樹脂は温度190℃、荷重2.16kgの条件で、ポリプロピレン樹脂は温度230℃、荷重2.16kgの条件で、ポリブチレン樹脂は温度190℃、荷重2.16kgの条件で測定した。
各フィルムのイージーピール層同士を向かい合わせて、シール温度を140℃〜170℃の間で10℃毎に設定し、シール時間1.5秒、シール圧力3.1kg/cm2でフィルム幅方向にヒートシールした。
そのシール部分を15mm幅の短冊状に切り取り、95℃条件下と23℃条件下とでそれぞれ引張試験にて200mm/分の引張速度で引っ張り、応力(剥離強度)を測定した。表には、測定した最小値を示す。
イージーピール層の剥離強度から、5.8N/15mm幅以上が良好である。
各フィルムを縦ピロー包装機(オリヒロ社製ONP−2550)にかけて二重袋包装体を作製し、シール温度170℃で、95℃熱水5kgを充填し、以下の評価、試験を行った。
二重袋包装体の作製において、フィルムを構成する樹脂の一部が融け出て、シール熱板及び二重袋包装体に樹脂がこびりつくか否かを目視で観察した。樹脂のこびりつき(糸引き)が発生しなかったものを「○」、発生したものを「×」と評価した。
各フィルムを縦ピロー包装機(オリヒロ社製ONP−2550)にかけて二重袋包装体を作製し、シール温度170℃で熱水(95℃)5kgを充填した。熱水の荷重がかかる底シール部分が、シール抜けしなかった場合を「○」、シール侵食やシール抜けがあった場合を「×」と評価した。
各フィルムを縦ピロー包装機(オリヒロ社製ONP−2550)にかけて二重袋包装体を作製し、シール温度170℃で熱水(95℃)5kgを充填した二重袋包装体を高さ80cmから水平に10回、落下させた。
破袋やシール漏れが起きなかったものを「○」、破袋やシール漏れが発生したものを「×」と評価した。
と安定した剥離強度で良好だった。
また、二重袋の作製において糸引きは発生しなかった。
このことにより、食酢、清酒、醤油、ソース、たれ、スープ、つゆ、各種飲料、マーガリン、調味料、練り餡、チョコレート等の液状物や粘稠体食品を充填する包装容器を、金属缶やガラス瓶等から二重袋へ切り替えることを広範に進めることが可能となり、減容化、軽量化、搬送利便性等に大きく貢献することが出来る。
Claims (2)
- イージーピール性を有し厚みが2μm以上6μm未満の外層、ポリアミド樹脂からなる中間層、ポリオレフィン樹脂からなる内層を備えて構成される二重袋包装体用インフレーションフィルムにおいて、外層が50質量%以上90質量%以下の樹脂組成物Aと10質量%以上50質量%以下の樹脂組成物Bで構成され、樹脂組成物Aのメルトフローレートが樹脂組成物Bのメルトフローレートに対して1.5倍以上であることを特徴とするフィルム、及びそれを用いた二重袋包装体。
樹脂組成物A:主成分が密度0.930g/cm3以上且つメルトフローレート(温度190℃、荷重2.16kg条件)3.0g/10分以上6.0g/10分未満のポリエチレン系樹脂である樹脂組成物
樹脂組成物B:主成分がメルトフローレート(温度230℃、荷重2.16kg条件)2.0g/10分以下のポリブチレンまたはポリプロピレンである樹脂組成物 - 内層がポリプロピレン樹脂からなる請求項1に記載のフィルム、及びそれを用いた二重袋包装体。
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