JP2022146523A - 乳及び乳製品包装用フィルム、乳及び乳製品用二重袋包装体、および包装体又は容器 - Google Patents

乳及び乳製品包装用フィルム、乳及び乳製品用二重袋包装体、および包装体又は容器 Download PDF

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Abstract

【課題】内容物と接触する側の外層内にスリップ剤などの添加剤を添加しないでも滑り性を確保することができる、新たな乳及び乳製品包装用フィルムを提供する。【解決手段】外層(A)、中間層(B)、内層(C)をこの順に備えた少なくとも3層を有し、下記(1)~(5)を満たす乳及び乳製品包装用フィルム。(1)外層(A)は、JISK7112(1999)B法に基づき測定した密度が0.940g/cm3以上であるポリエチレン系樹脂(a)を20質量%以上、(2)中間層(B)は、ポリアミド系樹脂を主成分、(3)内層(C)は、ポリオレフィン系樹脂を主成分、(4)外層(A)同士のJISK7125(1999)に準拠して測定した動摩擦係数が、温度23℃、相対湿度50%雰囲気下で2.5以下、(5)前記ポリエチレン系樹脂(a)の含有量が、乳及び乳製品包装用フィルム全体を100質量%としたとき、35質量%以下、である。【選択図】図1

Description

本発明は、乳及び乳製品包装用フィルム、包装体および容器に関する。詳細には、牛乳、加工乳等の乳及び乳製品などの液体、粘稠体及び固形物などを包装するために好適な乳及び乳製品包装用フィルム、並びに、乳及び乳製品用二重袋包装体、および、乳及び乳製品を包装した包装体又は容器に関する。
近年、減容化、軽量化、搬送利便性などの観点から、食酢、清酒、醤油、ソース、たれ、スープ、つゆ、各種飲料、マーガリン、調味料、練り餡、チョコレート等の液状物食品や粘稠体食品を充填する包装容器の材質が、金属缶やガラス瓶等から、プラスチックフィルムからなる包装体へ切り替えが進んでいる。
しかし、プラスチックフィルムの包装体は、厚さが薄く軟質で耐久性に乏しいため、輸送中の振動や衝撃、摩擦によってピンホールが発生したり破袋したりして、液状物や粘稠体の内容物が漏れ出す可能性があるという本質的な問題を抱えていた。
このような問題を解決するため、プラスチックフィルムを2枚重ねにした二重袋包装体が提案されている。二重袋包装体によれば、内容物を収容している場合にも、2枚のフィルム間に一定の自由度が存在し、内容物を支えている内側のフィルムと、パレットや他の包装体と接して二重袋包装体を支えている外側のフィルムとの間で、一定の滑りが生じて衝撃が吸収されるため、たとえ輸送中に二重袋包装体に衝撃が加えられたとしても、ピンホールの発生や、破袋が生じるのを防止することができる。
二重袋包装体若しくはそれに用いるインフレーションフィルムに関しては、従来、例えば特許文献1において、二重袋包装体の製袋時において、食品等を熱間充填しても内層同士のブロッキングが発生し難い二重袋包装体用インフレーションフィルムとして、ヒートシール性を有する樹脂からなる外層と、ポリアミド樹脂からなる中間層と、低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)からなる内層を備える二重袋包装体用インフレーションフィルムにおいて、内層を構成するLDPEのビカット軟化点を110℃以上125℃以下として、かつ密度を0.930g/cmを超え0.940g/cm以下とするものが開示されている。
また、特許文献2には、加温物を直接収容しても底シール部が抜けることなく、また手で容易に開封でき、包装充填や輸送保管の衝撃に対して破袋せず、且つ外層樹脂による糸引きが発生しない二重袋包装体として、特定の密度とメルトフローレートを持つポリエチレン系樹脂50質量%以上90質量%以下と、特定のメルトフローレートを持つポリブチレン又はポリプロピレン樹脂10質量%以上50質量%以下で構成され、両者のメルトフローレート比が1.5倍以上であり、厚みが2μm以上6μm未満の外層、ポリアミド樹脂からなる中間層、ポリオレフィン樹脂からなる内層から構成されるインフレーションフィルムを用いた二重袋包装体が開示されている。
特開2007-15725号公報 特開2016-68995号公報
プラスチックフィルムを使用した包装形態においては、包装機とフィルムの滑り性やフィルム同士の滑り性が重要である。この滑り性が確保できなければ、包装機中でフィルムを送ることができないために包装ができなかったり、包装中にシワ入りが発生して適切にシールできないために内容物が漏れたりするなどの問題が発生することがある。
そのため、前記特許文献1及び2に開示されたインフレーションフィルムでは、滑り性を確保するため、外層にスリップ剤が添加されていた(実施例参照)。
しかしながら、本発明が目的とする乳及び乳製品の包装用途においては、「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」(「乳等省令」等と称する。)において添加剤が厳しく制限されており、少なくとも、内容物と接触する側の外層内にスリップ剤を添加することはできない。
そこで本発明は、内容物と接触する側の外層内にスリップ剤などの添加剤を添加せずとも滑り性を確保することができる、新たな乳及び乳製品包装用フィルム、並びに、これを用いた乳及び乳製品用二重袋包装体、および、包装体又は容器を提供せんとするものである。
かかる課題解決のため、本発明は、外層(A)、中間層(B)および内層(C)をこの順に備えた少なくとも3層を有する乳及び乳製品包装用フィルムであって、下記(1)~(5)を満たす、乳及び乳製品包装用フィルムを提案する。
(1)外層(A)は、JIS K7112(1999)B法に基づき測定した密度が0.940g/cm以上であるポリエチレン系樹脂(a)を20質量%以上含む。
(2)中間層(B)は、ポリアミド系樹脂を主成分樹脂として含む。
(3)内層(C)は、ポリオレフィン系樹脂を主成分樹脂として含む。
(4)外層(A)同士のJIS K7125(1999)に準拠して測定した動摩擦係数が、温度23℃、相対湿度50%雰囲気下で2.5以下である。
(5)前記ポリエチレン系樹脂(a)の含有量が、乳及び乳製品包装用フィルム全体を100質量%としたとき、35質量%以下である。
本発明はまた、外層(A)、中間層(B)および内層(C)をこの順に備えた少なくとも3層を有する乳及び乳製品包装用フィルムであって、下記(1-1)~(5)を満たす、乳及び乳製品包装用フィルムを提案する。
(1-1)外層(A)の、JIS K7122(2012)に基づき測定した結晶融解熱量が120J/g以上。
(2)中間層(B)は、ポリアミド系樹脂を主成分樹脂として含む。
(3)内層(C)は、ポリオレフィン系樹脂を主成分樹脂として含む。
(4)外層(A)同士のJIS K7125(1999)に準拠して測定した動摩擦係数が、温度23℃、相対湿度50%雰囲気下で2.5以下である。
(5)前記ポリエチレン系樹脂(a)の含有量が、乳及び乳製品包装用フィルム全体を100質量%としたとき、35質量%以下である。
本発明はまた、前記乳及び乳製品包装用フィルムを、内層(C)同士が対面するように2枚重ねにし、さらに外層(A)同士を重ねて縁部をヒートシールしてなる構成を備えた乳及び乳製品用二重袋包装体を提案する。
本発明はまた、当該乳及び乳製品用二重袋包装体により、乳及び乳製品を包装した包装体又は容器を提案する。
本発明が提案する乳及び乳製品包装用フィルムによれば、内容物と接触する側の外層内にスリップ剤などの添加剤を添加せずとも滑り性を確保することができ、乳等省令に適合したフィルム及び包装体を提供することができる。
(A)は、チューブ状フィルムの断面図、(B)は、そのチューブ状フィルムを折り畳んだ状態の平板状フィルムの断面図である。 原反を巻き出して所定長にカットする工程を概略的に示す図である。 単葉等から二重袋包装体を作製する工程を概略的に示す図である。 図3のP-P線に沿って、紙面手前側から奥方向に表した断面図である。
次に、実施の形態例に基づいて本発明を説明する。但し、本発明が次に説明する実施形態に限定されるものではない。
なお、本発明において、「フィルム」とは、厚いシートから薄いフィルムまでを包括した意を有する。
また、「X~Y」(X、Yは任意の数字)と記載した場合、特にことわらない限り「X以上Y以下」の意とともに、「好ましくはXより大きい」および「好ましくはYより小さい」の意を包含するものである。
さらにまた、「X以上」(Xは任意の数字)と記載した場合、特にことわらない限り「好ましくはXより大きい」の意を包含し、「Y以下」(Yは任意の数字)と記載した場合、特にことわらない限り「好ましくはYより小さい」の意も包含するものである。
また、本発明で規定する数値範囲の上限値および下限値は、本発明が特定する数値範囲内から僅かに外れる場合であっても、当該数値範囲内と同様の作用効果を備えている限り本発明の均等範囲に包含するものとする。
<<本乳及び乳製品包装用フィルム>>
本発明の実施形態の一例に係る乳及び乳製品包装用フィルム(「本乳及び乳製品包装用フィルム」とも称する)は、外層(A)、中間層(B)および内層(C)をこの順に備えた少なくとも3層を有する。
本乳及び乳製品包装用フィルムは、二重袋包装体の作製に好適に利用することができる。例えば、本乳及び乳製品包装用フィルムを、内層(C)同士が対面するように2枚重ねにし、さらに外層(A)同士を重ねて縁部をヒートシールすることにより、二重袋包装体を作製することができる。この際、外層(A)は、内容物となる乳及び乳製品と直接接触する層となり、内層(C)は、内容物とは直接接触しない層となる。
そのため、外層(A)は、二重袋包装用途に用いる場合は、包装適性やハンドリング性を保持するために滑り性を有するのが好ましい。また、包装体として使用するために、ヒートシール性を有しているのが好ましい。
<外層(A)>
外層(A)は、比較的高密度のポリエチレン系樹脂(a)を含み、さらに必要に応じて、比較的低密度のポリエチレン系樹脂(b)を含むのが好ましい。
(ポリエチレン系樹脂(a))
ポリエチレン系樹脂(a)は、JIS K7112(1999)B法に基づき測定した密度が0.940g/cm以上であるのが好ましい。
該密度が0.940g/cm以上であることにより、外層(A)の滑り性を高めることができる。これは、ポリエチレン系樹脂は、その密度又は融解熱量が高いほど結晶化しやすい傾向があるため、ポリエチレン系樹脂(a)の密度が高いことで、外層(A)が結晶化しやすくなり、その結果、例えばフィルムとフィルムをこすり合わせた際に生じるずり応力によるフィルムの変形も小さくなるため、動摩擦係数が小さくなるためであると考えられる。
かかる観点から、ポリエチレン系樹脂(a)は、前記密度が0.940g/cm以上であるのが好ましく、中でも0.941g/cm以上、その中でも0.942g/cm以上であるのがさらに好ましい。
また、密度の上限は特に限定されるものではないが、通常0.990g/cm以下であり、中でも0.975g/cm以下、その中でも0.965g/cm以下である。
このようなポリエチレン系樹脂(a)としては、例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、エチレン-アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン-アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン-メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン-メタクリル酸メチル共重合体(EMMA)、エチレン-アクリル酸メチル共重合体(EMA)、およびこれらのアイオノマーなどを挙げることができる。これらは単独で用いてもよいし、また、これらのうちの二種類以上を混合して用いてもよい。これらの中でも、ヒートシール性、機械的強度のバランスに優れ、かつ安価に入手できることから、高密度ポリエチレン(HDPE)が特に好ましい。
ポリエチレン系樹脂(a)は、フィルム製膜性の観点から、メルトフローレート(MFR)(JIS K7210-1(2014)A法、230℃、荷重2.16kg)が0.5g/10分以上20g/10分以下のものがより好ましく、中でも1.0g/10分以上或いは15g/10分未満のものがさらに好ましい。
ポリエチレン系樹脂(a)の融点は、110℃以上140℃以下であるのが好ましい。
ポリエチレン系樹脂(a)の融点が110℃以上であれば、フィルムをロ―ル上に巻き取る際の外層(A)同士のブロッキングを効果的に防ぐことができる。他方、当該融点が140℃以下であれば、包装機で製袋する際のヒートシール性が向上し、内容物を漏れなくシールすることが容易となる。
かかる観点から、 ポリエチレン系樹脂(a)の融点は、110℃以上140℃以下であるのが好ましく、中でも115℃以上或いは137℃以下であるのがより好ましく、その中でも120℃以上或いは134℃以下であるのがさらに好ましい。
なお、融点は、JIS K7121(2012)に準拠して、示差走査熱量計用いて、窒素雰囲気下で23℃から200℃まで10℃/分で昇温し、1分間保持した後、23℃まで10℃/分で冷却して1分保持し、再度10℃/分で昇温した際に観測される結晶融解ピークのピークトップ温度をいい、以下についても同様である。
外層(A)は、ポリエチレン系樹脂(a)を20質量%以上含有するのが好ましい。
外層(A)が、ポリエチレン系樹脂(a)を20質量%以上含むことで、フィルム外層に添加剤を処方しなくても、外層(A)に滑り性を付与することができる。
かかる観点から、外層(A)は、ポリエチレン系樹脂(a)を20質量%以上含有するのが好ましく、中でも25質量%以上、その中でも30質量%以上含有するのがさらに好ましい。
なお、上限は、特に規定はなく100質量%でもよいが、フィルムが硬くなることによるピンホール発生率の観点などから、90質量%以下であることが好ましく、80質量%以下であることがより好ましく、さらに好ましくは70質量%以下である。
また、外層(A)に含まれるポリエチレン系樹脂(a)の含有量は、本乳及び乳製品包装用フィルム全体の質量を100質量%としたとき、35質量%以下であるのが好ましい。
当該含有量が35質量%以下であれば、フィルム全体での柔軟性を確保することができ、耐屈曲試験でのピンホール発生率の低減や、輸送時の衝撃でのピンホール発生を抑制することができる。
かかる観点から、外層(A)に含まれるポリエチレン系樹脂(a)の含有量は、35質量%以下であることが好ましく、中でも30質量%以下、その中でも25質量%以下であることがさらに好ましい。なお、下限値に関しては、フィルムのヒートシール性や剛性の観点から、3質量%以上であるのが好ましく、中でも5質量%以上であるのがさらに好ましい。
(ポリエチレン系樹脂(b))
外層(A)は、ポリエチレン系樹脂(a)と共に、JIS K7112(1999)B法に基づき測定した密度が0.930g/cm以下であるポリエチレン系樹脂(b)を含むことが好ましい。
外層(A)が、さらにポリエチレン系樹脂(b)を含むことで、外層(A)全体の柔軟性および耐ピンホール性が向上する。
かかる観点から、ポリエチレン系樹脂(b)の密度は、0.930g/cm以下であることが好ましく、中でも0.928g/cm以下、その中でも926g/cm以下、その中でも0.924g/cm以下であるのがさらに好ましい。
該密度の下限は特に限定されるものではないが、フィルムの柔軟性と強度の観点から0.900g/cm以上あることが好ましく、中でも0.905g/cm以上であることが好ましく、その中でも0.910g/cm以上であることが好ましい。
このようなポリエチレン系樹脂(b)としては、例えば、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、高圧法低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、エチレン-アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン-アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン-メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン-メタクリル酸メチル共重合体(EMMA)、エチレン-アクリル酸メチル共重合体(EMA)、およびアイオノマー系樹脂(IO)などを挙げることができる。これらは単独で用いてもよいし、また、これらのうちの二種類以上を混合して用いてもよい。これらの中でも、フィルムの柔軟性や機械強度のバランスやコスト面の観点から、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)が特に好ましい。
ポリエチレン系樹脂(b)は、フィルム製膜性の観点から、メルトフローレート(MFR)(JIS K7210-1(2014)A法、230℃、荷重2.16kg)が0.5g/10分以上20g/10分以下のものがより好ましく、中でも1.0g/10分以上或いは15g/10分未満のものがさらに好ましい。
ポリエチレン系樹脂(b)の融点は、110℃以上130℃以下であるのが好ましい。
ポリエチレン系樹脂(b)の融点が110℃以上であれば、フィルムをロ―ル上に巻き取る際の外層(A)同士のブロッキングを効果的に防ぐことができる。他方、融点が130℃以下であれば、包装機で製袋する際のヒートシール性が向上し、内容物を漏れなくシールすることが容易となる。
かかる観点から、ポリエチレン系樹脂(b)の融点は、110℃以上130℃以下であるのが好ましく、中でも115℃以上或いは127℃以下であるのがより好ましく、その中でも120℃以上或いは125℃以下であるのがさらに好ましい。
外層(A)におけるポリエチレン系樹脂(b)の含有量は、外層(A)のヒートシール性の観点から、外層(A)におけるポリエチレン系樹脂(a)(b)の合計含有量に対して30質量%以上であってもよく、50質量%以上であってもよく、70質量%以上であってもよい。
他方、外層(A)の滑り性の観点から、80質量%以下であってもよく、50質量%以下であってもよく、30質量%以下(0質量%を含む)であってもよい。
外層(A)に含まれるポリエチレン系樹脂(b)の含有量は、本乳及び乳製品包装用フィルム全体の質量を100質量%としたとき、80質量%以下であるのが好ましい。
当該含有量が80質量%以下であれば、ポリエチレン系樹脂(a)の含有率を20%確保することによる滑り性の確保や、外層(A)の耐熱性が確保されることでシール熱板に外層(A)が熱融着するのを抑制することができる。
かかる観点から、外層(A)に含まれるポリエチレン系樹脂(b)の含有量は、本乳及び乳製品包装用フィルム全体の質量を100質量%としたとき、80質量%以下であることが好ましく、中でも75質量%以下、その中でも70質量%以下であることがさらに好ましい。なお、下限値に関しては、フィルム柔軟性の観点から、10質量%以上であるのが好ましく、中でも20質量%以上であるのがさらに好ましい。
(その他の成分)
外層(A)は、本発明の効果を阻害しない範囲において、ポリエチレン系樹脂(a)及び(b)以外の他の樹脂成分を含んでいてもよい。但し、その含有量は、ポリエチレン系樹脂(a)及び(b)それぞれの含有量よりも少ないことが好ましい。
また、外層(A)は、乳等省令を満足することが好ましいが、これに限定されるものではない。例えば、各種添加剤を含有していてもよいが、乳等省令の観点からは、スリップ剤、ブロック防止剤など、乳等省令が規制する添加剤を実質的に含まないことが好ましい。
なお、「スリップ剤、ブロック防止剤など、乳等省令が規制する添加剤を実質的に含まない」とは、乳等省令が規制する添加剤を実質的に含有しないことを意味し、意図的にこれら添加剤を配合しない場合であって不可避不純物としてこれら添加剤を含有する態様も含むものとする。
(厚さ)
外層(A)の厚さは、本乳及び乳製品包装用フィルムの総厚に対して、1%以上50%以下であることが好ましい。
外層(A)の厚さを1%以上にすることにより、ヒートシール性を付与できる。一方、外層(A)の厚さを50%以下にすることにより、フィルム全体での柔軟性および安定したヒートシール性を確保できる傾向となる。
かかる観点から、外層(A)の本乳及び乳製品包装用フィルムの総厚に対する厚さの比率は、1%以上であるのが好ましく、中でも3%以上、その中でも5%以上であるのがさらに好ましい。他方、50%以下であるのが好ましく、中でも40%以下、その中でも35%以下であるのがさらに好ましい。
外層(A)の厚さは、1μm以上50μm以下であるのが好ましい。
外層(A)の厚さを1μm以上とすることで、外層にヒートシール性を持たせることが容易となり、50μm以下とすることで、フィルムの柔軟性低下による輸送ピンホールを抑制することができる傾向となる。
かかる観点から、外層(A)の厚さは、1μm以上50μm以下であるのが好ましく、中でも3μm以上或いは40μm以下、その中でも5μm以上或いは30μm以下であるのがさらに好ましい。
(結晶融解熱量)
外層(A)の、JIS K7122(2012)に基づき測定した結晶融解熱量は、120J/g以上であるのが好ましい。
外層(A)の結晶融解熱量が120J/g以上であれば、外層(A)が結晶化しやすくなり、その結果、例えばフィルムとフィルムをこすり合わせた際に生じるずり応力によるフィルムの変形も小さくなり、動摩擦係数が小さくなる傾向となり好ましい。
かかる観点から、外層(A)の結晶融解熱量は125J/g以上であるのがより好ましく、130J/g以上であるのがさらに好ましく、中でも132J/g以上であるのが特に好ましい。上限は特に限定されるものではないが、低温ヒートシール性の観点から250J/g以下であるのが好ましく、220J/g以下であるのがより好ましく、185J/g以下であるのがさらに好ましい。
なお、結晶融解熱量は、実施例に記載の方法で測定することができる。
外層(A)の結晶融解熱量を上記範囲に調整するには、例えば、フィルム製造条件(押出温度や冷却温度)により調整することができる。外層(A)に0.930g/cm以下であるポリエチレン系樹脂を使用して調整してもよい。但し、かかる方法に限定するものではない。
<中間層(B)>
中間層(B)は、本乳及び乳製品包装用フィルムの機械的強度を担保するための層であり、かかる観点から、ポリアミド系樹脂を主成分樹脂として含むことが好ましい。
なお、本発明において、「主成分樹脂」とは、構成する樹脂成分の合計を100質量%したとき、もっとも多い質量%を占める樹脂成分であることを示し、50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上がさらに好ましい。よって、この場合は、中間層(B)を構成する樹脂成分のうち、ポリアミド系樹脂がもっとも多い質量%を占める樹脂成分であることを示す。他の場合も同様である。
中間層(B)に用いられるポリアミド系樹脂は、特に限定されない。中でも、突き刺し強度に起因する耐ピンホール性、包装機内でシール熱および引張応力がかかった際の寸法安定性の観点から、例えば、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド69、ポリアミド6-66、ポリアミド12、ポリアミド11、ポリアミド6-10、ポリアミド6-12、ポリアミド6I-6T、ポリアミドMXD6等の重合体、または、これら2種以上を重合単位として含む共重合体、または、これら重合体の混合物を用いることが好ましい。これらは単独で用いてもよいし、また、これらのうちの二種類以上を混合して用いてもよい。
これらの中でも、ポリアミド6やポリアミド6-66が、インフレーション法における押出成形性、製膜安定性に優れており、且つコストが安価である等の点から特に好ましい。
ポリアミド系樹脂は、JIS K7112(1999)B法に基づき測定した密度が1.00g/cm以上であるのが好ましい。該密度が1.00g/cm以上であることにより、フィルムがヒートシール時に変形を抑える傾向となる。かかる観点から、ポリアミド系樹脂は、前記密度が1.04g/cm以上であるのが好ましく、中でも1.07g/cm以上、その中でも1.10g/cm以上であるのがさらに好ましい。
また、密度の上限に関しては、特に限定されるものではないが、フィルムの柔軟性の観点から、1.30g/cm以下であるのが好ましく、中でも1.25g/cm以下、その中でも1.20g/cm以下であるのがさらに好ましい。
中間層(B)におけるポリアミド系樹脂の含有量は、フィルムの剛性や寸法安定性の観点から、80質量%以上であるのが好ましく、中でも85質量%以上、その中でも90質量%以上であるのがさらに好ましく、95質量%以上であるのが特に好ましい。
中間層(B)におけるポリアミド系樹脂の含有量は、本乳及び乳製品包装用フィルム全体の質量を100質量%としたとき、70質量%以下であるのが好ましい。
当該含有量が70質量%以下であれば、フィルムの柔軟性を確保することができる。
かかる観点から、中間層(B)におけるポリアミド系樹脂の含有量は、70質量%以下であることが好ましく、中でも60質量%以下、その中でも50質量%以下であることがさらに好ましい。
他方、下限値に関しては、フィルムの剛性や寸法安定性の観点から、20質量%以上であるのが好ましく、中でも30質量%以上であるのがさらに好ましい。
(その他の成分)
中間層(B)は、本発明の効果を阻害しない限りの範囲において、ポリアミド系樹脂以外の他の樹脂成分を含んでいてもよい。但し、その含有量は、ポリアミド系樹脂よりも少ないことが条件となる。
中間層(B)は、本発明の効果を阻害しない範囲で、添加剤を含有してもよい。例えば、顔料を添加した場合、遮光効果による内容物の鮮度保持やフィルム切り片が内容物に混入したとしても発見しやすいというメリットがある。また、色の異なる顔料を使用すると、内容物の種類を包装体の色で判別することもできる。
(厚さ)
中間層(B)の厚さは、本乳及び乳製品包装用フィルムの総厚に対して、10%以上70%以下であることが好ましい。
中間層(B)の厚さを10%以上にすることにより、フィルムの製膜性や寸法安定性を向上することができる。一方、中間層(B)の厚さを70%以下にすることにより、フィルムの剛性が適度となりハンドリング性を向上させることができる。
かかる観点から、中間層(B)の本乳及び乳製品包装用フィルムの総厚に対する厚さの比率は、10%以上であるのが好ましく、中でも15%以上、その中でも20%以上であるのがさらに好ましい。他方、70%以下であるのが好ましく、中でも60%以下、その中でも50%以下であるのがさらに好ましい。
中間層(B)の厚さは、5μm以上であれば、良好な耐ピンホール性が得られ、製袋時に伸びにくいフィルムとなる。また、30μm以下であれば、二重袋包装体に適度な柔軟性を付与できるほか、フィルムコストを抑えることができる。
かかる観点から、中間層(B)の厚さは、5μm以上であるのが好ましく、中でも7μm以上、その中でも10μm以上であるのがさらに好ましい。他方、30μm以下であるのが好ましく、中でも25μm以下、その中でも20μm以下であるのがさらに好ましい。
<内層(C)>
本乳及び乳製品包装用フィルムの内層(C)は、ポリオレフィン系樹脂を主成分樹脂として含むことが好ましい。
本乳及び乳製品包装用フィルムは、ポリオレフィン系樹脂を主成分樹脂として含む内層(C)を備えることにより、二重袋包装体の製造において、外側のフィルムと内側のフィルムをヒートシールにより接着させることができるため、良好な開封性となる。一方、内層同士の融着(ブロッキング)を防ぐことで、二重袋の利点である2枚のフィルムの動きの自由度が確保されて、衝撃を吸収でき、ピンホールの発生や破袋を防止することができる。
内層(C)に含まれるポリオレフィン系樹脂としては、例えば直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、高圧法低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、エチレン-アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン-アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン-メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン-メタクリル酸メチル共重合体(EMMA)、エチレン-アクリル酸メチル共重合体(EMA)、ポリプロピレンおよびこれらのアイオノマーなどを挙げることができる。これらは単独で用いてもよいし、また、これらのうちの二種類以上を混合して用いてもよい。
これらの中でも、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)は柔軟性や機械物性に優れており、且つコストが安価である等の点から特に好ましい。
内層(C)に含まれるポリオレフィン系樹脂としてポリエチレン系樹脂を使用する場合、ポリエチレン系樹脂のメルトフローレート(MFR)(JIS K7210-1(2014)A法、230℃、荷重2.16kg)は、フィルム製膜性の観点から、0.5g/10分以上20g/10分以下であるのが好ましく、中でも1.0g/10分以上或いは15g/10分未満であるのがより好ましい。
また、当該ポリオレフィン系樹脂の融点は、110℃以上130℃以下が好ましい。
当該ポリエチレン系樹脂の融点が110℃以上であれば、チューブ状フィルムとなった際の内層(C)同士のブロッキングを防ぐことができる。他方、当該融点が130℃以下であれば、包装機で製袋する際の内層同士のヒートシール性が向上し、製袋品の開封性を向上させることができる。
かかる観点から、内層(C)に含まれるポリオレフィン系樹脂の融点は、110℃以上130℃以下であるのが好ましく、中でも115℃以上或いは127℃以下、その中でも120℃以上或いは124℃以下であるのがさらに好ましい。
内層(C)におけるポリオレフィン系樹脂の含有量は、フィルムの柔軟性とヒートシール性の観点から、80質量%以上であるのが好ましく、中でも85質量%以上、その中でも90質量%以上であるのがさらに好ましく、95質量%以上であることが特に好ましい。
内層(C)におけるポリオレフィン系樹脂の含有量は、本乳及び乳製品包装用フィルム全体の質量を100質量%としたとき、70質量%以下であるのが好ましい。
当該含有量が70質量%以下であれば、実用上十分なフィルムの剛性と寸法安定性を保つことができる。
かかる観点から、内層(C)におけるポリオレフィン系樹脂の含有量は、70質量%以下であることが好ましく、中でも65質量%以下、その中でも60質量%以下であることがさらに好ましい。
他方、下限値に関しては、フィルムの柔軟性とコストの観点から、10質量%以上であるのが好ましく、中でも15質量%以上であるのがさらに好ましい。
(その他の成分)
内層(C)は、本発明の効果を阻害しない限りの範囲において、ポリオレフィン系樹脂以外の他の樹脂成分を含んでいてもよい。但し、その含有量は、ポリオレフィン系樹脂よりも少ないことが好ましい。
内層(C)は、本発明の効果を阻害しない範囲で、添加剤を含有してもよい。例えば、顔料を添加した場合、遮光効果による内容物の鮮度保持やフィルム切り片が内容物に混入したとしても発見しやすいというメリットがある。また、色の異なる顔料を使用すると、内容物の種類を包装体の色で判別することもできる。
また、内層(C)は、滑り性を付与する目的で、スリップ剤を含んでいてもよい。
スリップ剤としては、滑り性を付与することができれば特に限定されないが、炭化水素系滑剤、脂肪酸系高級アルコール系滑剤、アミド系滑剤、エステル系滑剤などの有機系滑剤を挙げることができる。
代表的なスリップ剤として知られるアミド系滑剤として、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミドなどを挙げることができる。
これらの有機系滑剤の含有量は、内層(C)のブロッキングを改良、防止することができる観点から、内層(C)を構成する樹脂100質量部に対して0.1~0.5質量部であるのが好ましい。
また、スリップ剤としては他に、金属せっけん系滑剤を挙げることができる。
金属せっけん系滑剤としては、ステアリン酸鉛、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム等を挙げることができる。
これらの金属せっけん系滑剤の含有量は、内層(C)を構成する樹脂100質量部に対して0.1質量以上であるのが好ましく、中でも0.5質量部以上、その中でも1質量部以上であるのがさらに好ましい。他方、10質量部以下であるのが好ましく、中でも5質量部以下、その中でも3質量部以下であるのがさらに好ましい。
また、内層(C)は、アンチブロッキング性を付与する目的で、アンチブロッキング剤を含んでいてもよい。
アンチブロッキング剤は、樹脂層表面に微細な凹凸を形成して、隣接する二層が密着するのを抑制することによりブロッキングを防止する機能を発揮するものと思われる。
アンチブロッキング剤としては、アンチブロッキング性を付与することができれば特に限定されないが、無機系のアンチブロッキング剤として、シリカ、タルク、ゼオライトなどを挙げることができる。タルクは潤滑性に富み油脂感のある白色粉末でその表面は親油性・疎水性である。ゼオライトは、アルカリ及びアルカリ土類金属の含水アルミノ珪酸塩で粘着性を防止することができる。
アンチブロッキング剤の含有量は、内層(C)を構成する樹脂100質量部に対して、0.1質量以上であるのが好ましく、中でも0.5質量部以上、中でも1質量部以上であるのがさらに好ましく、他方、10質量部以下であるのが好ましく、中でも5質量部以下、その中でも3質量部以下であるのがさらに好ましい。
(厚さ)
内層(C)の厚さは、本乳及び乳製品包装用フィルムの総厚に対して、1%以上80%以下であることが好ましい。
内層(C)の厚さを1%以上にすることにより、フィルムに十分なヒートシール性を付与することができる。一方、内層(C)の厚さを80%以下にすることにより、フィルムの伸びを抑え寸法安定性を向上させることができる。
かかる観点から、内層(C)の本乳及び乳製品包装用フィルムの総厚に対する厚さの比率は、1%以上であるのが好ましく、中でも5%以上、その中でも10%以上であるのがさらに好ましい。他方、80%以下であるのが好ましく、中でも70%以下、その中でも60%以下であるのがさらに好ましい。
内層(C)の厚さは、内層の厚さを5μm以上にすることにより、耐ピンホール性や柔軟性を維持できる傾向となる。他方、内層の厚さが50μm以下であれば、包装機内でシール熱および引張応力がかかった際の寸法安定性を付与できるため、フィルム伸びによる製袋不良やピッチズレなどを回避できる傾向となる。
かかる観点から、内層(C)の厚さは、5μm以上であるのが好ましく、中でも7μm以上、その中でも10μm以上であるのがさらに好ましい。他方、50μm以下であるのが好ましく、中でも40μm以下、その中でも35μm以下であるのがさらに好ましい。
<積層構成>
本乳及び乳製品包装用フィルムは、外層(A)、中間層(B)および内層(C)をこの順に備えた少なくとも3層を有していれば、必要に応じて、他の層を有してもよい。例えば、接着層、水蒸気バリア層やガスバリア層などの各種バリア層、厚み調整層、各種機能層などを挙げることができる。
なお、これら他の層は、本発明の効果を阻害しない範囲で、添加剤を含有してもよい。例えば、顔料を添加した場合、遮光効果による内容物の鮮度保持やフィルム切り片が内容物に混入したとしても発見しやすいというメリットがある。また、色の異なる顔料を使用すると、内容物の種類を包装体の色で判別することもできる。
(接着層)
本乳及び乳製品包装用フィルムは、外層(A)、中間層(B)および内層(C)の各層を接着するために、接着層を有していてもよい。すなわち、本乳及び乳製品包装用フィルムは、外層(A)/接着層/中間層(B)/接着層/内層(C)の5層をこの順に備えた構成であってもよい。
接着層で使用される接着樹脂は、外層(A)、中間層(B)、内層(C)およびその他の層を必要な強度に接着することができれば特に限定されない。例えば、不飽和カルボン酸又はその誘導体で変性されたポリオレフィン系樹脂を好適に用いることができる。前記不飽和カルボン酸及びその誘導体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、シトラコン酸等又はその誘導体などを挙げることができる。
接着樹脂は、JIS K7112(1999)B法に基づき測定した密度が0.900g/cm以上であるのが好ましい。
該密度が0.900g/cm以上であることにより、各層との接着性を高めやすい傾向となる。
かかる観点から、接着樹脂は、前記密度が0.902g/cm以上であるのがさらに好ましく、中でも0.904g/cm以上、その中でも0.906g/cm以上であるのがさらに好ましい。また、密度の上限に関しては特に限定されるものではないが、フィルムの柔軟性の観点から0.950g/cm以下であるのが好ましく、中でも0.940g/cm以下、その中でも0.930g/cm以下であるのがさらに好ましい。
接着樹脂のメルトフローレート(MFR)(JIS K7210-1(2014)A法、230℃、荷重2.16kg)は、特に限定されないが、フィルムの製膜性の観点から、0.5g/10分以上10.0g/10分以下であるのが好ましく、中でも1.0g/10分以上或いは8.0g/10分以下であるのがより好ましい。
また、接着樹脂として、前記不飽和カルボン酸のエステルや無水物も用いることができ、さらに誘導体としてアクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、酢酸ビニル、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリル酸ナトリウム等を用いることもできる。
接着層の厚さは、3μm以上であることで実用に耐えうる層間接着力を得ることができる傾向となる。一方、接着層の厚さを20μm以下とすることで原料コストを削減することができる。
かかる観点から、接着層の厚さは、3μm以上であるのが好ましく、中でも5μm以上であるのがさらに好ましく、他方、20μm以下であるのが好ましく、中でも15μm以下であるのがさらに好ましい。なお、接着層が複数存在する場合は、各々の接着層の厚みを上記好ましい範囲とするのがよい。
<本乳及び乳製品包装用フィルム>
次に、本乳及び乳製品包装用フィルムの厚さ、物性、その他の特徴について説明する。
(厚さ)
本乳及び乳製品包装用フィルムの厚さ(「総厚」とも称する)は、30μm以上180μm以下であることが好ましい。
本乳及び乳製品包装用フィルムの厚さが30μm以上であることにより、耐ピンホール性や包装機内でシール熱および引張応力がかかった際の寸法安定性を維持できる。一方、本乳及び乳製品包装用フィルムの厚さが180μm以下であることにより、包装機のシール熱がシールされる樹脂まで安定して届くことでシール強度安定性を確保できる。
かかる観点から、本乳及び乳製品包装用フィルムの厚さは、30μm以上であるのが好ましく、中でも35μm以上、その中でも40μm以上であるのがさらに好ましい。他方、180μm以下であるのが好ましく、中でも160μm以下、その中でも140μm以下であるのがさらに好ましい。
(動摩擦係数)
本乳及び乳製品包装用フィルムは、外層(A)同士のJIS K7125(1999)に準拠して測定した動摩擦係数を2.5以下、さらには2.3以下、さらには2.1以下にすることができる。
外層(A)同士の動摩擦係数を2.5以下とすることにより、生産時のフィルム巻き取り時のシワ入りやブロッキングの抑制、包装機にかけた際のフィルム送り時の蛇行やシール漏れの原因となる製袋時のシワ発生を抑制することができる。
本乳及び乳製品包装用フィルムにおいては、外層(A)の樹脂組成、特にポリエチレン系樹脂(a)が高密度であり結晶化し易い点とその含有量の調整によって、外層(A)同士の動摩擦係数を低く調整することができる。
なお、動摩擦係数は実施例に記載の方法で測定することができる。
(耐屈曲性:ピンホール発生数)
本乳及び乳製品包装用フィルムは、5℃で500回ゲルボフレックステスターにより屈曲試験を行った後のピンホール発生数を、40個/0.05m以下、さらには37個/0.05m以下、さらには35個/0.05m以下とすることができる傾向となる。
ピンホール発生数がかかる範囲であれば、本乳及び乳製品用フィルムは耐ピンホール性に優れ、過酷な輸送環境におけるピンホールに起因する内容物の漏れを防ぐことができる。
本乳及び乳製品包装用フィルムにおいては、本乳及び乳製品包装用フィルム全体に占めるポリエチレン系樹脂(a)の含有割合を前述のように調整することにより、外層(A)同士の動摩擦係数を低く調整しつつ、屈曲性を担保することができるため、屈曲試験後のピンホール発生数を抑えることができる。
(乳等省令適合)
食品衛生法において容器包装とは、食品又は添加物を入れ、又は包んでいるものとされている。乳及び乳製品の容器包装の規格基準については、食品衛生法第18条の規定に基づき乳及び乳製品の成分規格等に関する省令(「乳等省令」と称する)及び食品・添加物等の規格基準により、材質別規格、試験方法が定められている。
本乳及び乳製品包装用フィルムは、好ましくは乳等省令に適合したものである。
具体的には、本乳及び乳製品包装用フィルムに関しては、内容物に直接接触する外層(A)は、ポチエチレン系樹脂(PE)であり、添加剤を含有することなく、しかも、指定の溶出試験、材質試験に合格することが容易になるため、乳等省令が定める合成樹脂製容器包装に関する基準に適合することができる。
なお、乳等省令によると、牛乳、特別牛乳、殺菌山羊乳、成分調整牛乳、低脂肪牛乳、無脂肪牛乳、加工乳及びクリームの販売用の合成樹脂製容器包装においては、下記に適合しなければならない。
・内容物に直接接触する部分はPE,LLDPE又はPETであること。
・内容物に直接接触する部分に使用する合成樹脂には添加剤を使用してはならない。ただし,内容物に直接接触する部分にPEを使用する場合であって、指定の溶出試験、物性試験、材質試験に合格する場合にはこの限りではない。
ちなみに、内容物に直接接触する部分がポリエチレンである場合の材質試験は、以下の基準を満たすことが必要である。
・n-ヘキサン抽出物・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2.6%以下
・キシレン可溶物・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11.3%以下
・ヒ素・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・限度試験(2ppm以下)
・重金属・・・・・・・・・・・・・・・限度試験(鉛として20ppm以下)
また、内容物に直接接触する部分がポリエチレンである場合の溶出試験は、以下の基準を満たすことが必要である。
・重金属(浸出用液;4%酢酸)・・・・・・限度試験(鉛として1ppm以下)
・蒸発残留物(浸出用液;4%酢酸、クリームはn-ヘプタン)・・15ppm以下
・過マンガン酸カリウム消費量(浸出溶液;水)・・・・・・・・・5ppm以下
<本乳及び乳製品包装用フィルムの形態>
本乳及び乳製品包装用フィルムの形態は、特に限定されるものではない。例えば、チューブ状を挙げることができる。
本乳及び乳製品包装用フィルムをチューブ状とするためには、次に説明するように、例えばインフレーション成形法またはチューブラー成形法によって作製するのが好ましい。但し、かかる方法に限定するものではない。
<本乳及び乳製品包装用フィルムの製造方法>
本乳及び乳製品包装用フィルムの製造方法は、特に限定されない。例えば、フィルムの構成材料を、無延伸又は延伸フィルムとして得ることができ、柔軟性の観点から、無延伸フィルムとして得ることが好ましい。なお、無延伸フィルムとは、シートの配向を制御する目的で、積極的に延伸しないフィルムであり、例えば、Tダイ法でキャストロールにより引き取る際に配向したフィルムも含まれる。
無延伸フィルムの場合、例えば、各構成材料を溶融混練した後、押出成形し、冷却することにより製造することができる。溶融混練には、単軸又は二軸押出機等の公知の混練機を用いることができる。溶融温度は、樹脂の種類や混合比率、添加剤の有無や種類に応じて適宜調整されるが、生産性等の観点から、180℃以上であることが好ましく、より好ましくは200℃以上である。また、300℃以下であることが好ましく、より好ましくは280℃以下である。成形は、例えば、丸ダイ等の金型を用いた押出成形により行うことができる。
本乳及び乳製品包装用フィルムを製造する場合は、各層の樹脂組成物を積層して積層する共押出法、各層をフィルム状に形成し、これをラミネートする押出ラミネート法、各層をフィルム状に形成し、これらを熱圧着する熱圧着法のいずれを用いて成形してもよい。中でも、残留溶媒の内容物への溶出や生産性の観点から、共押出法で成形することが好ましい。
共押出法には、口金で各層の樹脂組成物が合流するマルチマニホールド法、フィードブロックで合流するフィードブロック法等がある。中でも、厚さ精度に優れるマルチマニホールド法を用いることが好ましい。
本乳及び乳製品包装用フィルムをチューブ状に作製する方法としては、例えばインフレーション成形法またはチューブラー成形法を採用するのが好ましい。
ここでは、本乳及び乳製品包装用フィルムをインフレーション成形法によってチューブ状に製造する方法について説明する。
例えば、各層を構成する原料樹脂組成物を、それぞれ押出機で所定温度まで加熱溶融して昇圧し、環状多層ダイから押出すと共に、内部に空気を吹き込み、外層、中間層および内層を有するチューブ状のフィルムを吐き出させると共に、エアリングで徐冷しながら、ピンチロールで引っ張り上げながら、巻き取り機によりロール状に巻き取るようにすればよい。この際、前記徐冷によって、外層(A)の結晶化を促進することができる。
インフレーション法により製造する際のブロー比は、2.0~4.5以下とするのが好ましく、中でも2.2以上或いは4.3以下、その中でも2.4以上或いは4.0以下とするのが好ましい。
ブロー比がかかる範囲を下回る場合、十分な面配向度が得られず防湿性に劣る場合があり、一方、ブロー比がかかる範囲を上回る場合、フィルム表面の荒れによる透明性の低下や、製膜時におけるバブルの安定性の低下を生じる場合がある。
そして、ロール状に巻き取られたフィルムは、例えば次に説明する二重袋包装体を作製する際の原反とすることができる。
<<本二重袋包装体>>
次に、本発明に係る実施形態の一例として、本乳及び乳製品包装用フィルムを用いた乳及び乳製品用二重袋包装体(「本二重袋包装体」)について説明する。
本二重袋包装体は、本乳及び乳製品包装用フィルムの内層(C)同士が対面するように2枚重ねにし、さらに外層(A)同士を重ねて縁部をシールして袋状にすることにより、二重袋包装体を作製することができる。この際、外層(A)は、内容物となる乳及び乳製品と直接接触する層となり、内層(C)は、内容物とは直接接触しない層となる。
前述のように、インフレーション成形またはチューブラー成形によって、本乳及び乳製品包装用フィルムをチューブ状に成形すれば、内層(C)同士が対面するように2枚重ねになっているから、外層(A)同士が重なるように折り、その端縁部をシールして袋状にすることにより、二重袋包装体を作製することができる。
次に、チューブ状フィルムを用いた二重袋包装体の具体的な製造例について説明する。
図1(A)は、チューブ状フィルム10の断面図、図1(B)は、チューブ状フィルム10を折り畳んだ状態の平板状フィルム10´の断面図である。いずれにおいてもフィルム10、10´は、内層21、中間層22、外層23を備え、それらの内部に空間24が存在する。平板状フィルム10´においては、空間24は押しつぶされて、空気層24となっている。
図2は、原反15を巻き出して所定長にカットする工程を概略的に示す図である。
カットされた単葉30a、30b、30c…それぞれが以下に説明する、折り畳み、ヒートシール工程を経て、二重袋包装体とされる。なお、図2、及び次の図4では、平板状フィルム10´の内層21、中層22、外層23の3層は一枚の層として省略して表されている。
図3は、単葉30a等から二重袋包装体を作製する工程を概略的に示す図である。
まず、単葉30aは、図3(A)に図示される一点鎖線の位置に折り目41~44が形成された折目つき単葉40aとされる。折り目つき単葉40aは、左右の両端が折り目41、42により中央側に折り畳まれる。また下端部が折り目43に沿って上方側に折り返される。これらの折り返しにより、単葉40a左右の重複部分45、及び下端部が折り返されて重複する部分46がヒートシールされる。
図3(B)に表されるこの中間品40bは、上部に開口47を有する容器として観念されるものである。この開口47から、被収容物を中間品40bの内部に収容し、上部開口47を折り目44に沿って下方に折り返し、該折り返しにより生じた重複部48をヒートシールして、収容物入りの二重袋包装体40cが完成し、在庫、流通に供されることが可能な状態となる。
図4は、図3のP-P線に沿って、紙面手前側から奥方向に表した断面図である。
図4の上方が図3の紙面手前側、図4の下方が図3の紙面奥側にあたる。
図4が示すように、被収容物50を挟んで下に各2枚のフィルム30、30が、互いの内層21、21が対向するように配置されている。すなわち貫通方向に関して、片側2枚のフィルム(6層)、全体で4枚のフィルム(12層)で、二重袋包装体40cが構成されていることになる。なお、二つの内層21、21間に表されている空気層24は図ではその厚さが誇張して表されており、実際には二つの内層21、21が密着しない程度に必要な厚さの空隙である。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。但し、本発明は、以下の実施例により何ら限定されるものではない。
<実施例・比較例で使用した原料>
実施例・比較例で使用した原料(表参照)については、下記のものを使用した。
(外層(A)を構成する樹脂)
・PE1:[ポリエチレン系樹脂(a)]:東ソー社製、高密度ポリエチレン樹脂(密度0.942g/cm、MFR3.0g/10分、融点132℃)
・PE2:[ポリエチレン系樹脂(b)]:宇部丸善ポリエチレン社製、低密度直鎖状ポリエチレン樹脂(密度0.924g/cm、MFR2.2g/10分、融点120℃)
・PE3:[ポリエチレン系樹脂(b)]:プライムポリマー社製、低密度直鎖状ポリエチレン樹脂(密度0.930g/cm、MFR2.1g/10分、融点124℃)
・添加剤:PE系樹脂ベースMB:低密度ポリエチレン系樹脂ベースマスターバッチ、密度0.920g/cm)、[オレイン酸アミド 3.0質量%、ステアリン酸カルシウム0.02質量%、:無機粒子(シリカ粒径5μm)6.5質量%、着色剤(青色顔料)2.4質量%]
樹脂の密度は、JIS K7112(1999)B法に基づき測定された密度であり、樹脂のMFRは、JIS K7210-1(2014)A法(230℃、荷重2.16kg)に基づき測定された値であり、JIS K7121(2012)に準拠して前述の方法で測定された値である。他の樹脂の密度についても同様。
(中間層(B)を構成する樹脂)
・PA:ポリアミド6(宇部興産社製、密度1.130g/cm
(内層(C)を構成する樹脂)
・PE3:ポリオレフィン系樹脂:プライムポリマー社製、低密度直鎖状ポリエチレン樹脂(密度0.930g/cm、MFR2.1g/10分、融点124℃)
・添加剤:PE系樹脂ベースMB:低密度ポリエチレン系樹脂ベースマスターバッチ、密度0.920g/cm)、[オレイン酸アミド 3.0質量%、ステアリン酸カルシウム0.02質量%、:無機粒子(シリカ粒径5μm)6.5質量%、着色剤(青色顔料)2.4質量%]
(接着層を構成する樹脂)
・AD:接着樹脂:カルボン酸変性エチレン-酢酸ビニル共重合体(三井化学社製、密度0.910g/cm、MFR5.0g/10分)
<実施例1>
外層(A)を構成する樹脂組成物として、表1に示すように、PE1:30質量%とPE2:70質量%からなるブレンド樹脂組成物を用い、中間層(B)を構成する樹脂組成物としてPA:100質量%からなる樹脂組成物を用い、内層(C)を構成する樹脂組成物としてPE3:92.6質量%、添加剤:7.4質量%からなる樹脂組成物を用い、接着層を構成する樹脂組成物としてAD:100質量%からなる樹脂組成物を用いて、各層を構成する樹脂組成物を、それぞれ押出機で加熱溶融して昇圧し、環状5層ダイから押出すと共に、内部に空気を吹き込み、設定温度30℃、ブロー比2.1の条件にてインフレーション成形を行い、外層(A)/接着層/中間層(B)/接着層/内層(C)からなるチューブ状フィルム(サンプル)を得た。
(実施例2)
外層(A)を構成する樹脂組成物として、PE1:70質量%とPE2:30質量%からなるブレンド樹脂組成物を用いた以外は、実施例1と同様にしてチューブ状フィルム(サンプル)を作製した。
(実施例3)
外層(A)を構成する樹脂組成物として、PE1:100質量%からなる樹脂組成物を用いた以外は、実施例1と同様にしてチューブ状フィルム(サンプル)を作製した。
(実施例4)
各層の層厚を表1に示ように変更した以外は、実施例3と同様にしてチューブ状フィルム(サンプル)を作製した。
(実施例5)
各層の層厚を表1に示ように変更した以外は、実施例3と同様にしてチューブ状フィルム(サンプル)を作製した。
(比較例1)
外層(A)を構成する樹脂組成物として、PE2:100質量%からなる樹脂組成物を用いた以外は、実施例1と同様にしてチューブ状フィルム(サンプル)を作製した。
(比較例2)
外層(A)を構成する樹脂組成物として、PE3:92.6質量%、添加剤:7.4質量%からなる樹脂組成物を用いた以外は、実施例1と同様にしてチューブ状フィルム(サンプル)を作製した。
(比較例3)
各層の層厚を表1に示すように変更した以外は、実施例3と同様にしてチューブ状フィルム(サンプル)を作製した。
<評価方法>
実施例および比較例において作製した各評価用試料フィルムに関し、下記試験による評価を実施した。
(1)動摩擦係数測定
JIS K7125(1999)に準拠して、温度23℃、相対湿度50%雰囲気下で以下に示す条件にて、実施例・比較例で作製したフィルム(サンプル)の外層同士の動摩擦係数を測定した。
(測定方法)
・装置 :EZ―LX 100N(島津製作所社製)
・錘(おもり) :質量200g(サイズ63mm×63mm)
・接触面積 :40cm(63mm×63mm)
・試験速度 :100mm/min
そして、下記基準にて動摩擦係数を評価した。
〇(good):2.5以下
×(poor):2.5を超える
(2)耐屈曲性試験(ピンホール)
実施例・比較例で作製したチューブ状フィルム(サンプル)を一旦平坦なフィルムにした後、8インチ×11インチの大きさに切断して長方形のテストフィルムを得た。
この長方形のテストフィルムを、温度5℃、相対湿度50%の条件下に、24時間以上放置してコンディショニングし、「ゲルボフレックステスター(テスター産業社製、BE-1005型)」を使用して屈曲テストを繰り返し、ピンホール数を計測した。すなわち、長方形テストフィルムを長さ8インチの円筒状にし、当該巻架した円筒状フィルムの一端を上記ゲルボフレックステスターの円盤状固定ヘッドの外周に、他端を上記テスター円盤状可動ヘッドの外周にそれぞれ固定し、上記可動ヘッドを上記固定ヘッドの方向に、平行に対向した両ヘッド(固定ヘッドと可動ヘッドとは7インチ隔てて対向している。)の軸に沿って3.5インチ接近させる間に440゜回転させ、続いて回転させることなしに2.5インチ直進させ、その後、これらの動作を逆に行わせ、上記可動ヘッドを最初の位置に戻すまでの行程を1サイクルとする屈曲テストを、1分あたり40サイクルの速度で、連続して500サイクル行った後に、テストしたフィルムの固定ヘッド、可動ヘッドの外周に固定した部分を除いた7インチ×11インチ内の部分に生じたピンホール数を、「ピンホールテスター(サンコウ電子研究所製、TRD型)」により1KVの電圧を印加して、計測した。
そして、下記基準にて耐屈曲性を評価した。
〇(good):5℃で500回ゲルボフレックステスターにより屈曲試験を行った後のピンホール発生数が40個/0.05m以下。
×(poor):40個/0.05mを超える
(3)ヒートシール性評価
実施例・比較例で作製したチューブ状フィルム(サンプル)を、外層(A)同士が向かい合うように端縁部を重ね、シール時間3秒、シール圧力4.3kg/cmの条件で、シール温度を110℃~130℃の間で1℃毎に設定してフィルム幅方向にヒートシールした。以下基準でヒートシールできるかを確認した。
シール部分を15mm幅の短冊状に切り取り、23℃条件下で引張試験にて200mm/分の引張速度で引っ張り、剥離強度を測定し、シール強度が、3,000gf/15mm以上に達した際の最低シール温度を確認した。
そして、下記基準にてヒートシール性を評価した。
◎(very good):最低シール温度が、128℃以下
〇(good) :最低シール温度が、128℃を超え130℃以下
×(poor) :110℃~130℃のシール温度のいずれにおいてもシール強度が、3,000gf/15mm未満
(4)乳等省令における、材質試験、溶質試験
実施例・比較例で作製したチューブ状フィルム(サンプル)について、内容物(乳及び乳製品)と直接接触する外層(A)が、乳等省令が指定する材質試験及び溶出試験に適合しているかどうか、外部機関に委託して確認した。
なお、乳等省令が指定する溶質試験は、フィルム(全層)の材質試験項目(n-ヘキサン抽出物、キシレン可溶物、ヒ素、重金属)、溶出試験(重金属、過マンガン酸カリウム消費量、蒸発残留物4%酢酸、蒸発残留物ヘプタン)において、それらの値が規格内であるかを確認する試験である。
そして、下記基準にて評価した。
〇(good):乳等省令が指定する材質試験及び溶出試験のいずれにも合格
×(poor):乳等省令が指定する材質試験及び溶出試験のいずれかが不合格
(5)結晶化融解熱量測定試験
各実施例・比較例の外層(A)を構成する樹脂組成物のみから、各実施例・比較例と同様の方法で同様の厚さの単層のフィルムを作製し、これを結晶化融解熱測定試験の測定サンプルとした。
JIS K7122(2012)に準拠して示差走査熱量計(DSC:パーキンエルマージャパン社製「Diamond DSC」)を用いて窒素雰囲気下で23℃から200℃まで10℃/分で昇温し、1分間保持した後、23℃まで10℃/分で冷却して1分保持し、再度10℃/分で昇温した際に観測される結晶融解ピークの面積より、試料1gあたりの結晶化融解熱量(J/g)を算出した。
(6)総合評価
〇(good):全ての評価項目が「○」である。
×(poor):評価項目の一つでも「×」がある。
Figure 2022146523000002
(考察)
外層(A)同士の動摩擦係数について、実施例1~5については、外層(A)における高密度PE系樹脂(a)の含有量が20質量%以上であるため、実用可能な摩擦係数となっていた。この点は、外層(A)中の高密度PE系樹脂(a)の含有割合に比例して外層(A)の融解熱量が高くなっている結果から考察すると、外層(A)が結晶化しやすくなっていることで滑り性が高くなるためであると考えられる。
一方、比較例1については、高密度PE系樹脂(a)を含有していないため、動摩擦係数が測定できないほど高くなっており、フィルムロールでのブロッキングや包装機で滑らないといった問題が発生と考えられ、実用できないものと推定される。
また、比較例2については、添加剤として滑剤を処方しているため、摩擦係数は低いものの、添加剤を処方しているため乳等省令における材質・溶質試験の基準を満たしておらず、乳及び乳製品用の包装用フィルムとして用いることはできないものであった。
耐屈曲性試験については、フィルム全体における高密度PE系樹脂(a)の含有率が高くなるほど、屈曲によるピンホールが多く発生する傾向が認められた。これは、高密度PE系樹脂(a)の含有量が多くなるとフィルムの柔軟性が低下するためであると考えられ、乳及び乳製品包装用フィルム全体に占めるポリエチレン系樹脂(a)の含有量が高い比較例3については、この傾向が顕著に認められた。
乳等省令で規定される材質・溶出試験については、外層Aに添加剤を含む比較例2では、少なくとも、乳等省令で規定される材質試験に適合しない結果であった。なお、比較例2は、材質試験に適合しなかったため、溶出試験は実施していない。
一方、外層Aに添加剤を含まない実施例1~5及び比較例1,3は、乳等省令で規定される材質試験及び溶出試験のいずれにも適合する結果であった。
上記実施例及び比較例、並びに、これまで本発明者が行ってきた試験結果を総合すると、外層(A)、中間層(B)および内層(C)をこの順に備えた少なくとも3層を有する乳及び乳製品包装用フィルムに関しては、少なくとも下記(1)~(5)又は下記(1-1)~(5)を満足すれば、外層(A)内にスリップ剤などの添加剤を添加しないでも、滑り性を確保することができ、乳等省令に適合したフィルム及び乳及び乳製品用二重袋包装体とすることができることが分かった。
(1)外層(A)は、JIS K7112(1999)B法に基づき測定した密度が0.940g/cm以上であるポリエチレン系樹脂(a)を20質量%以上含む。
(2)中間層(B)は、ポリアミド系樹脂を主成分樹脂として含む。
(3)内層(C)は、ポリオレフィン系樹脂を主成分樹脂として含む。
(4)外層(A)同士のJIS K7125(1999)に準拠して測定した動摩擦係数が、温度23℃、相対湿度50%雰囲気下で2.5以下である。
(5)前記ポリエチレン系樹脂(a)の含有量が、乳及び乳製品包装用フィルム全体を100質量%としたとき、35質量%以下である。
(1-1)外層(A)の、JIS K7122(2012)に基づき測定した結晶融解熱量が120J/g以上。
(2)中間層(B)は、ポリアミド系樹脂を主成分樹脂として含む。
(3)内層(C)は、ポリオレフィン系樹脂を主成分樹脂として含む。
(4)外層(A)同士のJIS K7125(1999)に準拠して測定した動摩擦係数が、温度23℃、相対湿度50%雰囲気下で2.5以下である。
(5)前記ポリエチレン系樹脂(a)の含有量が、乳及び乳製品包装用フィルム全体を100質量%としたとき、35質量%以下である。
10 チューブ状フィルム
10´ 平板状フィルム
15 原反
21 内層
22 中間層
23 外層
24 空間(空気層)
30a、30b、30c 単葉
40a 単葉(折目つき)
40b 中間品
40c 二重袋包装袋
41、42、43、44 折り目
45、46、48 重複部分
47 開口
50 被収容物

Claims (10)

  1. 外層(A)、中間層(B)および内層(C)をこの順に備えた少なくとも3層を有する乳及び乳製品包装用フィルムであって、下記(1)~(5)を満たす、乳及び乳製品包装用フィルム。
    (1)外層(A)は、JIS K7112(1999)B法に基づき測定した密度が0.940g/cm以上であるポリエチレン系樹脂(a)を20質量%以上含む。
    (2)中間層(B)は、ポリアミド系樹脂を主成分樹脂として含む。
    (3)内層(C)は、ポリオレフィン系樹脂を主成分樹脂として含む。
    (4)外層(A)同士のJIS K7125(1999)に準拠して測定した動摩擦係数が、温度23℃、相対湿度50%雰囲気下で2.5以下である。
    (5)前記ポリエチレン系樹脂(a)の含有量が、乳及び乳製品包装用フィルム全体を100質量%としたとき、35質量%以下である。
  2. 外層(A)、中間層(B)および内層(C)をこの順に備えた少なくとも3層を有する乳及び乳製品包装用フィルムであって、下記(1-1)~(5)を満たす、乳及び乳製品包装用フィルム。
    (1-1)外層(A)の、JIS K7122(2012)に基づき測定した結晶融解熱量が120J/g以上。
    (2)中間層(B)は、ポリアミド系樹脂を主成分樹脂として含む。
    (3)内層(C)は、ポリオレフィン系樹脂を主成分樹脂として含む。
    (4)外層(A)同士のJIS K7125(1999)に準拠して測定した動摩擦係数が、温度23℃、相対湿度50%雰囲気下で2.5以下である。
    (5)前記ポリエチレン系樹脂(a)の含有量が、乳及び乳製品包装用フィルム全体を100質量%としたとき、35質量%以下である。
  3. さらに下記(6)および(7)を満たす、請求項1または2に記載の乳及び乳製品包装用フィルム。
    (6)前記外層(A)の厚さが、乳及び乳製品包装用フィルムの総厚に対して1%以上50%以下である。
    (7)前記乳及び乳製品包装用フィルムの厚さが、30μm以上180μm以下である。
  4. 前記外層(A)は、JIS K7112(1999)B法に基づき測定した密度が0.930g/cm以下であるポリエチレン系樹脂(b)を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の乳及び乳製品用包装フィルム。
  5. 5℃で500回ゲルボフレックステスターにより屈曲試験を行った後のピンホール発生数が40個/0.05m以下である、請求項1~4のいずれか1項に記載の乳及び乳製品包装用フィルム。
  6. チューブ状である、請求項1~5のいずれか1項に記載の乳及び乳製品包装用フィルム。
  7. 請求項1~6のいずれか1項に記載の乳及び乳製品包装用フィルムであって、インフレーション成形またはチューブラー成形により作製された乳及び乳製品包装用フィルム。
  8. 二重袋包装体に用いる、請求項1~7のいずれか1項に記載の乳及び乳製品包装用フィルム。
  9. 請求項1~8のいずれか1項に記載の乳及び乳製品包装用フィルムを、内層(C)同士が対面するように2枚重ねにし、さらに外層(A)同士を重ねて縁部をヒートシールしてなる構成を備えた乳及び乳製品用二重袋包装体。
  10. 請求項9記載の乳及び乳製品用二重袋包装体により、乳及び乳製品を包装した包装体又は容器。
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