JP2016067354A - 油脂の製造方法 - Google Patents
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Abstract
食品の異風味の抑制、または、食品の甘味の増強をする油脂の製造方法を提供する。
【解決手段】
レシチン含有油脂を加熱して得られる油脂の製造方法であって、
レシチン含有油脂を70℃以上160℃以下の温度で加熱処理する加熱工程、
を含む、前記製造方法である。
【選択図】なし
Description
また、大豆タンパク質を含む食肉使用食品(ハンバーグやミートボール等)では、大豆タンパク質由来の不快な臭いや風味が問題となっている。
また、原料は特に問わないが、好ましくは大豆または米糠由来のレシチンであり、より好ましくは大豆由来のレシチンである。
また、レシチンの酸価は10以上40以下が好ましく、10以上35以下がより好ましく、10以上30以下がさらに好ましい。ここでいう酸価は、社団法人日本油化学会制定・基準油脂分析試験法(2.3.1−1996 酸価)に準じて測定されたものである。
また、加熱処理の時間は、好ましくは0.5時間以上240時間以下であり、より好ましくは2.5時間以上120時間以下であり、さらに好ましくは4時間以上80時間以下であり、最も好ましくは4.5時間以上50時間以下である。
また、前記油脂組成物は、加熱処理前のレシチンが0.01質量%以上20質量%以下になるようにレシチン含有油脂を加熱処理して得られる前記油脂を含有することが好ましく、0.05質量%以上12質量%以下がより好ましく、0.05質量%以上8質量%以下がさらに好ましく、0.5質量%以上5質量%以下が特に好ましい。
また、本発明の食品中の前記油脂の含有量は、加熱処理前のレシチンが0.01ppm以上5000ppm以下であることが好ましく、0.05ppm以上4000ppm以下であることがより好ましい。
AY:レシチンAY(株式会社J−オイルミルズ社製;ペースト状レシチン、大豆由来、酸価 19.8)
FA:レシチンFA(株式会社J−オイルミルズ社製;ペースト状レシチン、大豆由来、酸価 23.7)
CL:レシチンCL(株式会社J−オイルミルズ社製;ペースト状レシチン、大豆由来、酸価 26.1)
BE:ベネコート(花王株式会社製;酵素分解レシチン、大豆由来)
SA:SLP−パウダーA(辻製油株式会社製;分別レシチン、大豆由来)
RL:ライスレシチンオイル(築野食品工業株式会社製;ペースト状レシチン、米糠由来)
<油脂>
大豆油(製品名:J 大豆白絞油NS、株式会社J−オイルミルズ社製)
菜種油(製品名:AJINOMOTO さらさらキャノーラ油、株式会社J−オイルミルズ社製)
コーン油(製品名:AJINOMOTO 胚芽の恵みコーン油、株式会社J−オイルミルズ社製)
綿実油(製品名:J 綿実油NS、株式会社J−オイルミルズ社製)
パームオレイン(ヨウ素価67、株式会社J−オイルミルズ社製)
<その他>
PGPR:ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル(SYグリスター CR−ED、阪本薬品工業株式会社製)
SE:ショ糖エルカ酸エステル(リョートーシュガーエステル ER−290、三菱化学フーズ株式会社製)
炊飯した米飯100部に対し、酢(醸造酢、株式会社ミツカン社製)3部添加しよく混ぜ合わせて酢配合米飯を得た。その後下記の材料で炒めて炒飯を作った。調理した炒飯99部に対して油脂組成物1部を添加し混ぜ合わせた。電子レンジで温めた後、食して、酸味・酸臭の抑制効果及び異臭の有無について評価した。
(材料)
酢配合米飯 200g
卵 50g
長ネギ 10g
塩 少々
胡椒 少々
醤油 2g
菜種油15g
鯖の水煮缶詰(Lawson select さば水煮、株式会社マルハニチロ社製)から固形部(鯖)を取り出し、水を切った。得られた鯖98部に対し、油脂組成物2部を添加し混ぜ合わせた。電子レンジで温めた後、食して、魚臭の抑制効果について評価した。
下記に示した配合のハンバーグ生地98部に対し、油脂組成物を2部添加して混ぜ合わせた。フライパンで表裏各2分間焼目をつけた。200℃に予熱したオーブンにて8分間焼成した。粗熱を取った後-20℃冷凍庫で保存した。電子レンジで温めた後、食して、タンパク臭の抑制効果について評価した。
(ハンバーグ生地の配合)
合い挽肉 46g
水戻し粒状大豆蛋白(フジニックエース400、不二製油株式会社製) 10g
玉ねぎ 10g
生パン粉 10g
コーンスターチ 0.7g
卵白 7.5g
食塩 少々
胡椒 少々
ナツメグ 少々
◎:効果が強い
○:効果がある
△:効果が弱い
×:効果なし
食した際に、添加した油脂組成物の香りを感じた場合は異臭と判定した。
(異臭の評価基準)
◎:感じない
○:僅かに感じる
△:弱く感じる
×:強く感じる
レシチン含有油脂を三口フラスコに加え、撹拌しながらオイルバスによる加熱をおこなった。所定温度になるまで加熱した後一定時間保温した。保温後、冷却して加熱処理レシチン含有油脂を得た。
吸光度の測定には紫外可視分光光度計(UV−2450;島津製作所社製、1cmガラスセル)を用いた。
表1に示す濃度になるようレシチンAYを大豆油に添加し、レシチン含有油脂を調製した。各レシチン含有油脂を表1に示す条件で加熱し、加熱処理レシチン含有油脂を得た。表1に示すレシチン濃度となるように、加熱処理レシチン含有油脂を必要に応じて菜種油で希釈した油脂組成物を用いて、異風味の抑制効果の評価をした。また、異臭の確認をおこなった。なお、油脂組成物のレシチン濃度とは、加熱処理前のレシチンを基準とした(以下同じ)。その結果を表1に示す。また、実施例1−4のレシチン含有油脂の加熱処理後の吸光度(400nm)から加熱処理前の吸光度(400nm)を引いた値は0.952であった。
表2、3に示す濃度になるようレシチンAYを大豆油に添加し、レシチン含有油脂を調製した。各レシチン含有油脂を表2、3に示す条件で加熱し、加熱処理レシチン含有油脂を得た。表2、3に示すレシチン濃度となるように加熱処理レシチン含有油脂を必要に応じて菜種油で希釈した油脂組成物を用いて、異風味の抑制効果の評価をした。また、異臭の確認をおこなった。その結果を表2、3に示す。また、実施例3−3のレシチン含有油脂の加熱処理後の吸光度(400nm)から加熱処理前の吸光度(400nm)を引いた値は3.787であった。
表4に示す濃度になるようレシチンAYを大豆油に添加し、レシチン含有油脂を調製した。各レシチン含有油脂を表4に示す条件で加熱し、加熱処理レシチン含有油脂を得た。表4に示すレシチン濃度となるように加熱処理レシチン含有油脂を必要に応じて菜種油で希釈した油脂組成物を用いて、異風味の抑制効果の評価をした。また、異臭の確認をおこなった。その結果を表4に示す。
表5に示す濃度になるようレシチンAYを大豆油に添加し、レシチン含有油脂を調製した。各レシチン含有油脂を表5に示す条件で加熱し、加熱処理レシチン含有油脂を得た。また、各レシチン含有油脂の加熱処理前後の吸光度(400nm)を測定した。表5に示すレシチン濃度となるように加熱処理レシチン含有油脂を必要に応じて菜種油で希釈した油脂組成物を用いて、異風味の抑制効果の評価をした。また、異臭の確認をおこなった。その結果を表5に示す。
表6に示す濃度になるようレシチンAYを大豆油等に添加し、レシチン含有油脂を調製した。各レシチン含有油脂を表6に示す条件で加熱し、加熱処理レシチン含有油脂を得た。表6に示すレシチン濃度となるように加熱処理レシチン含有油脂を必要に応じて菜種油で希釈した油脂組成物を用いて、異風味の抑制効果の評価をした。また、異臭の確認をおこなった。その結果を表6に示す。
表7に示す濃度になるよう種々のレシチンを大豆油に添加し、レシチン含有油脂を調製した。各レシチン含有油脂を表7に示す条件で加熱し、加熱処理レシチン含有油脂を得た。表7に示すレシチン濃度となるように加熱処理レシチン含有油脂を必要に応じて菜種油で希釈した油脂組成物を用いて、異風味の抑制効果の評価をした。また、異臭の確認をおこなった。その結果を表7に示す。
表8に示す濃度になるようレシチンAYを大豆油に添加し、レシチン含有油脂を調製した。各レシチン含有油脂を表8に示す条件で加熱し、加熱処理レシチン含有油脂を得た。加熱処理レシチン含有油脂に表8に記載の乳化剤を添加し、乳化剤配合加熱処理レシチン含有油脂を得た。表8に示すレシチン濃度となるように乳化剤配合加熱処理レシチン含有油脂を必要に応じて菜種油で希釈した油脂組成物を用いて、異風味の抑制効果の評価をした。また、異臭の確認をおこなった。その結果を表8に示す。
下記に示した配合の野菜マリネ98.5部に対し、実施例1−4の油脂組成物1.5部を添加し、混ぜ合わせた。対照として、実施例1−4の油脂組成物の代わりに菜種油を添加したものを作成した。得られた野菜マリネを食して、酸味、酸臭の抑制効果を評価したところ、菜種油と比較して、実施例1−4の油脂組成物は酸味、酸臭を抑制することが確認できた。また、酢角が取れて、甘味を強く感じた。
(野菜マリネの配合)
玉ねぎ 50g
人参 5g
醸造酢 30g
塩 1g
胡椒 0.1g
菜種油 48g
下記に示した配合の自家製ドレッシング96.7部に対し、実施例1−4の油脂組成物3.3部を添加し、混ぜ合わせた。対照として、実施例1−4の油脂組成物の代わりに菜種油を添加したものを作成した。得られた自家製ドレッシングを食して、酸味、酸臭の抑制効果を評価したところ、菜種油と比較して実施例1−4の油脂組成物は酸味、酸臭を抑制することが確認できた。
(自家製ドレッシングの配合)
リンゴ酢(株式会社ミツカン社製) 10g
菜種油 19g
市販のドレッシング(GABANスパイスドレッシング「ハーブレモン」)100部に対し、実施例3−3の油脂組成物2部を添加し、混ぜ合わせた。対照として、実施例3−3の油脂組成物の代わりに菜種油を添加したものを作成した。得られたドレッシングを食して、酸味、酸臭の抑制効果を評価したところ、菜種油と比較して実施例3−3の油脂組成物は酸味、酸臭を抑制することが確認できた。また、酢角が取れて甘味を強く感じた。
市販のドレッシング(GABANスパイスドレッシング「和風醤油&バルサミコ酢」)100部に対し、実施例3−3の油脂組成物2部を添加し、混ぜ合わせた。対照として、実施例3−3の油脂組成物の代わりに菜種油を添加したものを作成した。得られたドレッシングを食して、酸味、酸臭の抑制効果を評価したところ、菜種油と比較して実施例3−3の油脂組成物は酸味、酸臭を抑制することが確認できた。また、酢角が取れて甘味を強く感じた。
市販のミートソースフィリング(プチグルメ あらびきミートのボロネーゼ、ソントン食品工業株式会社製)100部に対し、実施例1−4の油脂組成物2部を添加し、混ぜ合わせた。対照として、実施例1−4の油脂組成物の代わりに菜種油を添加したものを作成した。得られたミートソースフィリングを食して、酸味、酸臭の抑制効果を評価したところ、菜種油と比較して実施例1−4の油脂組成物は酸味、酸臭を抑制することが確認できた。また、酢角が取れて、甘味を強く感じた。
市販のカニクリームフィリング(プチグルメ 紅ズワイガニのカニクリーム、ソントン食品工業株式会社製)100部に対し、実施例1−4の油脂組成物2部を添加し、混ぜ合わせた。対照として、実施例1−4の油脂組成物の代わりに菜種油を添加したものを作成した。得られたカニクリームフィリングを食して、酸味、酸臭、魚介類の生臭さ及び雑味の抑制効果を評価したところ、菜種油と比較して実施例1−4の油脂組成物は酸味、酸臭、魚介類の生臭さ及び雑味を抑制することが確認できた。
市販の明太子フィリング(キユーピー株式会社製)100部に対し、実施例1−4の油脂組成物2部を添加し、混ぜ合わせた。対照として、実施例1−4の油脂組成物の代わりに菜種油を添加したものを作成した。得られた明太子フィリングを食して、酸味、酸臭及び魚介類の生臭さの抑制効果を評価したところ、菜種油と比較して実施例1−4の油脂組成物は酸味、酸臭及び魚介類の生臭さを抑制することが確認できた。
市販のカルボナーラフィリング(具だくさんフィリング カルボナーラ、キユーピー株式会社製)100部に対し、実施例1−4の油脂組成物2部を添加し、混ぜ合わせた。対照として、実施例1−4の油脂組成物の代わりに菜種油を添加したものを作成した。得られたカルボナーラフィリングを食して、酸味、酸臭の抑制効果を評価したところ、菜種油と比較して実施例1−4の油脂組成物は酸味、酸臭を抑制することが確認できた。また、酢角が取れて、甘味を強く感じた。
下記に示した配合の自家製春雨サラダ95部に対し、実施例1−4の油脂組成物5部を添加し、混ぜ合わせた。対照として、実施例1−4の油脂組成物の代わりに菜種油を添加したものを作成した。得られた自家製春雨サラダを食して、酸味、酸臭の抑制効果を評価したところ、菜種油と比較して実施例1−4の油脂組成物は酸味、酸臭を抑制することが確認できた。また、酢角が取れて甘味を強く感じた。
(自家製春雨サラダの配合)
茹で春雨 45g
きゅうり 7.5g
人参 7.5g
醤油 10g
砂糖 2.5g
穀物酢 10g
菜種油 10g
下記に示した配合で自家製マヨネーズを作成した。対照として、実施例1−4の油脂組成物の代わりに菜種油を添加したものを作成した。得られたマヨネーズを食して、酸味、酸臭の抑制効果を評価したところ、菜種油と比較して実施例1−4の油脂組成物は酸味、酸臭を抑制することが確認できた。
(自家製マヨネーズの配合)
菜種油 195g
実施例1−4の油脂組成物 5g
穀物酢 15g
塩 1.5g
グルタミン酸ナトリウム 0.08g
生米(富山県産コシヒカリ、無洗米)を水に90分間浸漬した。その後、水を切り、炊飯釜に移し、生米100部に対し、醸造酢(株式会社ミツカン社製)を1.2部添加し、菜種油を0.76部添加し、実施例1−4の油脂組成物を0.04部添加し、加水し混ぜ合わせた。炊飯し、220部の白米を得た。対照として、実施例1−4の油脂組成物の代わりに菜種油を添加したものを作成した。
得られた白米を真空冷却器で23℃まで冷却した。小分けにした後、電子レンジで温めた後、食して、酸臭、酸味の抑制効果及び異臭の有無について評価したところ、菜種油と比較して実施例1−4の油脂組成物は酸味、酸臭を抑制することが確認できた。また、異臭はなかった。
市販のカレールウ(ゴールデンカレー 中辛、ヱスビー食品株式会社)22gをお湯150gに溶解させたもの100部に対し、実施例3−3の油脂組成物2部を添加し混ぜ合わせ、レトルトパウチに入れ、ヒートシーラーで封をした。対照として、実施例3−3の油脂組成物の代わりに菜種油を添加したものを作成した。
レトルト機にて120℃、20分の条件で加圧加熱殺菌処理を行った。得られたカレールウの入ったレトルトパウチを湯浴で温めた後、カレールウを食して、レトルト臭の抑制効果について評価したところ、菜種油と比較して実施例3−3の油脂組成物はレトルト臭を抑制することが確認できた。
Claims (12)
- レシチン含有油脂を加熱して得られる油脂の製造方法であって、
レシチン含有油脂を70℃以上160℃以下の温度で加熱処理する加熱工程、
を含む、前記製造方法。 - 前記加熱工程の加熱処理する時間が、0.5時間以上240時間以下である請求項1に記載の製造方法。
- 前記レシチン含有油脂の加熱処理後の400nmの吸光度から加熱処理前の400nmの吸光度を引いた値が0.1以上4以下である請求項1または2に記載の製造方法。
- 前記レシチン含有油脂のレシチン含有量が0.01質量%以上20質量%以下である請求項1乃至3のいずれか一項に記載の製造方法。
- 食用油脂にレシチンを添加し、レシチン含有油脂を調製する工程を含む、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の製造方法。
- 請求項1乃至5のいずれか一項に記載の製造方法で得られた油脂を食用油脂に添加する工程を含む、油脂組成物の製造方法。
- 加熱処理前のレシチンが0.01質量%以上20質量%以下になるように前記油脂を添加する、請求項6に記載の製造方法。
- 請求項1乃至5のいずれか一項に記載の製造方法で得られた油脂を食品に添加する工程を含む、食品の製造方法。
- 加熱処理前のレシチンが0.01ppm以上5000ppm以下になるように前記油脂を添加する、請求項8に記載の製造方法。
- 請求項1乃至5のいずれか一項に記載の製造方法で得られた油脂を食品に添加することを特徴とする食品の異風味を抑制する方法。
- 前記異風味が魚臭、タンパク臭、酸味、酸臭およびレトルト臭のいずれか1種又は2種以上である請求項10に記載の方法。
- 請求項1乃至5のいずれか一項に記載の製造方法で得られた油脂を食品に添加することを特徴とする食品の甘味を増強する方法。
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