JP2016066720A - 磁気結合型リアクトル - Google Patents
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Abstract
Description
本発明の他の目的は、外部への漏れ磁束を低減すると共に、銅損の増加も抑制した磁気結合型リアクトルを提案することにある。
(a) 対向する一対の外脚と、前記一対の外脚の端部を接続する一対のヨーク部と、前記一対の外脚の間に架設された中脚とを備えた環状コア。
(b) 前記中脚に形成されたギャップ。
(c) 発生する磁束の方向が異なるように、前記環状コアに装着された少なくとも2つのコイル。
このようにすると、少なくとも2つのコイルによって発生する異なる方向の磁束が中脚に案内され、リアクトルの内側を通過することになるため、本発明の第1の目的であるリアクトル外部への漏出を大幅に低減することができる。
(3)前記ギャップ長比B/Aが、0.1以上0.9以下の範囲にあると更に良い。
この(2)とすれば、外部への漏れ磁束を効果的に低減することができことができ、(3)とすれば、漏れ磁束、リップル電流及び銅損を効果的に低減することができ、本発明の第2の目的も達成できる。
(5)前記断面積比D/Cが、0.1以上1.0以下の範囲にあると更に良い。
この(4)とすれば、リップル電流及び銅損を低減することができ、(5)とすれば、漏れ磁束、リップル電流及び銅損を効果的に低減することができ、本発明の第2の目的も達成できる。
(7)前記ギャップ長比B/Aが、0.1以上0.9以下の範囲で、前記断面積比D/Cが、0.1以上1.0以下の範囲にあると更に良い。
この(6)とすれば、ギャップ長比と断面積比の両者を適正な値とすることで、外部への漏れ磁束をより効果的に低減することができ、(7)とすれば、漏れ磁束、リップル電流及び銅損をより効果的に低減することができる。
このようにすると、外脚と中脚を別形状のコアから構成することができ、両者の寸法、形状、断面積などを、要求される磁気結合型リアクトルの性能に合わせて容易に調整することが可能となる。
このようにすると、I字形コアを積層して脚部を構成する際に、中脚も同時に作製できるので、リアクトルの製造工数が削減できる。中脚が脚部を構成するI字形コアによって挟持されるため、環状コア全体の強度も高い。
(13)前記連結コイルが、対向する一方の外脚と他方の外脚で、その巻き数が等しいと良い。
この(12)(13)のように、中脚の両側に配置されたコイルや連結コイルの巻き数や巻き方が同じであると、漏れ磁束や銅損の発生が各脚部で均等になるので、リアクトル外部で発熱する可能性がある金属部品などを対称形に配置することが可能になり、リアクトルの設置が容易になる。一方、金属製品が存在する方向についての漏れ磁束が少なくなるように、コイルの巻き方を積極的に異ならせることで、漏れ磁束量を調整することも可能である。
また、断面積比D/Cやギャップ長比B/Aを適切に選定した場合には、外部への漏れ磁束を低減すると共に、銅損の増加も抑制することができる。
[1.1 構成]
以下、本発明の第1実施形態について、図面を参照して説明する。
図1及び図2に示すように、本実施形態の磁気結合型リアクトルは、2つのU字形コア1a,1bと、2つのI字形コア2a,2bを組み合わせて成るθ形の環状コアと、環状コアの対向する外脚にそれぞれ巻回された2つの連結コイル3a,3bとを備える。
図2及び図6に示すとおり、θ形の環状コアは、U字形コア1a,1bの両端部の間にI字形コア2a,2bの基部(I字形コアの一方の端部)が挟持され、I字形コア2a,2bの先端(I字形コアの他方の端部)の間に外脚と略平行にギャップ4が形成されている。これにより、環状コアには、対向する一対のヨーク部と、ヨーク部と平行に設けられた中央の中脚と、中脚の両側にそれぞれ設けられた一対の外脚が形成されている。
図1及び図2に示すように、2つの連結コイル3a,3bは、U字形コア1a,1bの外脚を構成する部分に、中脚を挟んでその両側にそれぞれ装着されている。各連結コイル3a,3bは、図7に示すように、1本の導体を使用して2つのコイル3a−1,3a−2または3b−1,3b−2を形成したもので、環状コアに装着した状態では、1本の導体が一方の外脚の外周に巻回されて第1のコイル3a−1,3b−1を形成し、同じ導体が反対側の外脚に巻回されて第2のコイル3a−2,3b−2を形成している。そのため、図1及び図2に示すように、1つのコイル3a,3bの巻き始めの端部5と巻き終わりの端部6が、中脚の両側に一つずつ設けられている。コイル3a,3bの巻き始めの端部5と巻き終わりの端部6には、それぞれバスバーが溶接され、そのバスバーの端部にリアクトルの外部配線が接続される。2つのコイル3a−1,3a−2または3b−1,3b−2の連結部7は、コイルの巻軸方向と垂直な面において、平角線が同一平面上で連結されている。
U字形コア1a,1bとI字形コア2a,2bは、それぞれ専用の樹脂成型品10a,10bまたは11内部に埋設されている。各コアは、それぞれの樹脂成型品の金型内にセットされた状態で、金型中に樹脂を注入・固化することにより、樹脂成型品と一体的に形成されている。樹脂成型品は、各コアと連結コイル3a,3bを絶縁する部材であると共に、リアクトルを別途用意したケースや設置箇所に固定するための支持部材を埋設した部材でもある。樹脂成型品の主材料としては、例えば、不飽和ポリエステル系樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、BMC(バルクモールディングコンパウンド)、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、PBT(ポリブチレンテレフタラート)等を用いることができる。
前記のような構成を有する本実施形態のリアクトルは次のようにして製造する。
まず、樹脂成型品の金型内にU字形コア1a,1bまたはI字形コア2a,2bと、その支持金具16またはカラー20をセットし、その後、金型内に樹脂を注入し、固化することで、U字形コア用の樹脂成型品10a,10bとI字形コア用の樹脂成型品11を作製する。
本実施形態の磁気結合型リアクトルを昇圧用コンバータとして使用した場合において、下記の条件でギャップ長比B/Aと漏れ磁束との関係を測定した。漏れ磁束の測定点は、図9に示す通り、リアクトルの外周面から10mm離れた8箇所のポイントについて、代表値である(1)〜(3)の漏れ磁束と、(1)〜(8)の全周囲の漏れ磁束の合計値を測定した。
なお、本発明は、中脚にギャップ4を設けることを前提としているが、比較のために、ギャップ長比B/A=0.0(中脚にギャップを設けない)の場合の漏れ磁束も測定した。
巻数:40ターン(連結コイル1個当たりの巻回数、各外脚に20ターンずつ)
電流:平均電流95A(各コイルに対して)
電圧:DC250V(入力)⇔DC630V(昇圧後の出力)
周波数:8kHz
U字形コアの断面積:11.14cm2
対向する外脚の間隔:25.9mm
対向するヨーク部の間隔:96.64mm
巻線の肉厚:1.3mm 幅:8.0mm
コアの材質:合金系ダストコア
本実施形態では、環状コアの外脚に装着するコイルとして連結コイル3a,3bを使用している。この連結コイル3a,3bが銅損の低減に与える影響について、図14(a)〜(c)の各リアクトルについて検証した。
図14(a)は、2つのU字形コア1a,1bから成る環状コアの脚部にコイル3−1,3−2を装着したリアクトル。
図14(b)は、2つのU字形コア1a,1bから成る環状コアの脚部に2つの連結コイル3a,3bを装着することにより、環状コアの脚部に4つのコイル3a−1〜3b−2を装着したリアクトル。
図14(c)は、本実施形態のリアクトルであって、2つのU字形コア1a,1bに2つのI字形コア2a,2bを組み合わせることで、中脚を有するθ形の環状コアを形成し、その外脚に連結コイル3a,3bを装着することで、中脚を有する環状コアの脚部に4つのコイル3a−1〜3b−2を装着したものである。
本実施形態では、中脚にギャップ4を設けている。このギャップの存在が、リアクトルの特性に与える影響について説明する。図17は、前記図14(c)に示す磁気結合型リアクトルにおいて、各コアの形状やコイルの巻き数などは同一として、対向するI字形コア2a,2bの間にギャップ4を設けた場合と、設けない場合について、その片側リップル電流を計測した結果を示すものである。図17から分かるように、ギャップがないと結合係数が下がり、コアが飽和しやすくなるため、リップル電流が大きくなるのに対して、本実施形態のようにギャップ4を設けた場合には、リップル電流が低下する。具体的には、ギャップがない場合は82Ap−p(ピーク・ツー・ピーク値)であるのに対して、ギャップがある場合のリップル電流は69Ap−pに低下している。
図16は、図14(a)の対向する外脚にひとつずつコイルを装着したリアクトルと、図14(b)の対向する外脚のそれぞれに2つずつコイルを装着したリアクトルの漏れ磁束のパターンである。この図16から明らかなように、各外脚に2つずつコイルを装着すると、磁束が環状コアの内側を通過するため、リアクトル外部に漏出する磁束が減少していることが分かる。
図16(b)に示すように、外脚に2つのコイルを装着した場合、磁束の流れがコイル毎に分割され、環状コアの内側を通過するので、漏れ磁束を低下することが可能になるが、本実施形態では、図18及び図19のように2つのコイルに加えて、更に中脚を設けたことにより、発生した磁束が中脚を流れることになり、環状コア外部への漏れ磁束をより効果的に低減することが可能となる。
以上述べた通り、本実施形態によれば、環状コアにギャップ4を有する中脚を設け、ギャップ長比B/A及び断面積比D/Cを前記の範囲に設定し、更に連結コイル3a,3bを使用することで、漏れ磁束、銅損及びリップル電流が少ない磁気結合型リアクトルを得ることが可能になる。
本発明は、以上の実施形態に限定されるものではない。以上の実施形態は例として提示したものであって、その他の様々な形態で実施されることが可能である。発明の範囲を逸脱しない範囲で、種々の省略や置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲、要旨、その均等の範囲に含まれる。以下、その一例を示す。
2a,2b…I字形コア
3a,3b…連結コイル
4…ギャップ
5…巻き始めの端部
6…巻き終わりの端部
7…連結部
10a,10b…U字形コア用の樹脂成型品
11…I字形コア用の樹脂成型品
12…コイル装着部
13…ヨーク被覆部
14…開口部
15…凹部
16…支持金具
17…隔壁
18…開口部
19…リブ
20…カラー
21…開口部
Claims (16)
- 対向する一対の外脚と、前記一対の外脚の端部を接続する一対のヨーク部と、前記一対の外脚の間に架設された中脚とを備えた環状コアと、
前記中脚に形成されたギャップと、
発生する磁束の方向が異なるように、前記環状コアに装着された少なくとも2つのコイルとを有するリアクトル。 - 前記対向する外脚間の距離Aと前記ギャップの長さBとの比であるギャップ長比B/Aが、0.9以下の範囲にある請求項1のリアクトル。
- 前記ギャップ長比B/Aが、0.1以上0.9以下の範囲にある請求項2に記載のリアクトル。
- 前記外脚の断面積Cと中脚の断面積Dとの比である断面積比D/Cが、0.1以上である請求項1に記載のリアクトル。
- 前記断面積比D/Cが、0.1以上1.0以下の範囲にある請求項4に記載のリアクトル。
- 前記ギャップ長比B/Aが、0.9以下の範囲で、
前記断面積比D/Cが、0.1以上である請求項1に記載のリアクトル。 - 前記ギャップ長比B/Aが、0.1以上0.9以下の範囲で、
前記断面積比D/Cが、0.1以上1.0以下の範囲にある請求項6に記載のリアクトル。 - 前記対向する一対の外脚がそれぞれI字形コアを有するものであり、前記中脚がI字形コアから構成され、前記一対の外脚が前記中脚を構成するI字形コアより接続され、中脚を構成するI字形コアに前記ギャップを形成した請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のリアクトル。
- 前記対向する一対の外脚が複数のコアを外脚の長さ方向に接合して構成され、前記中脚がI字形コアから構成され、前記外脚を構成する複数のコアの間に中脚を構成するI字形コアの基部が挟持され、この中脚を構成するI字形コアに前記ギャップを形成した請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のリアクトル。
- 前記ギャップが、エアギャップである請求項1から請求項9のいずれか1項に記載のリアクトル。
- 前記中脚の両側に配置された外脚にそれぞれ巻回された個々のコイルは、前記中脚の両側において対向する外脚の一方に巻回された第1のコイルと、対向する他方の外脚に巻回された第2のコイルを1本の導体から構成した連結コイルである請求項1から請求項10のいずれか1項に記載のリアクトル。
- 前記外脚には、前記中脚を挟んでその両側にそれぞれコイルが装着され、前記中脚の両側に装着された前記コイルの巻き数が等しい請求項1から請求項11のいずれか1項に記載のリアクトル。
- 前記連結コイルが、対向する一方の外脚と他方の外脚で、その巻き数が等しい請求項11に記載のリアクトル。
- 前記対向する外脚の一方にのみコイルが装着されている請求項1から請求項10のいずれか1項に記載のリアクトル。
- 前記複数のコイルが、互いに反対方向に巻回され、各コイルに通電する電流の向きが同一方向に設定されている請求項1から請求項14のいずれか1項に記載のリアクトル。
- 前記複数のコイルが、同一方向に巻回され、各コイルに通電する電流の向きが反対方向に設定されている請求項1から請求項14のいずれか1項に記載のリアクトル。
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