JP6114727B2 - リアクトル - Google Patents

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本発明は、例えば、電気自動車やハイブリッド車などの車両に使用されるリアクトルに関する。
リアクトルは、コアの周囲にコイルを装着することで構成されている。コアは、コイルとの絶縁などの目的から、その全部あるいは一部をモールド成型により樹脂内部に埋設したり、筒状の樹脂成型品内に挿入している。このようなコアとその周囲に装着されたコイルを備えたリアクトル本体を、例えば、防塵、保護、放熱などの理由からアルミニウムなどの金属製のケース内に収納したリアクトルも従来から知られている。
この種のリアクトルにおいて、リアクトル本体をケースに固定するものとして、種々の構成が提案されている。その一つに、コアを埋設あるいは挿入した樹脂成型品の内部に、金属製の支持金具の基部をモールド成型により埋設し、樹脂成型品から露出した支持金具先端をケースにボルトなどのねじ止めするものが知られている。
この場合、例えば、特許文献1や特許文献2に示す従来技術では、リアクトル本体の対角に支持金具を4箇所突出させ、ケースに固定していた。このように支持金具をリアクトルの対角に設けた場合、一般的なリアクトル本体は、コア全体がその四隅が面取りされた角丸四角形状であることから、四角形のケースを使用した場合に、デッドスペースの有効利用となる利点があった。
特開2013−197567号公報 特開2013−229406号公報
この種のリアクトルでは、通電時におけるコアの発熱により発生するリアクトル本体とケース間には線膨張差が存在することから、両者を固定している固定部材の一部に振動や熱膨張を吸収する弾性部を設ける必要がある。すなわち、従来技術では、リアクトル本体の一端をケースに対して移動不能に定位置で固定すると共に、リアクトル本体の他端をケースに対して弾力部を用いて移動可能に固定することで、通電時の発熱よる線膨張差を吸収していた。しかし、リアクトル本体の一端を移動不能に固定し、他端を移動可能に固定した場合、線膨張差はすべて移動可能な部分に集中するため、弾性部で吸収する移動量が大きくなり、それを考慮して、移動可能側の固定部材の寸法、形状が大型化する問題があった。
また、ケース内部に収容する場合、両者の上下方向の寸法誤差(平面度差)を吸収することが望ましいが、平面度差までも前記弾性部で吸収するには更に支持金具が大型化するが、従来技術では、支持金具の大きさに制限があることから、リアクトル本体の長手方向に現れる線膨張差を吸収するのが精一杯で、平面度差を吸収できるような弾性部を設けることができなかった。
本発明は、前記のような従来技術の問題点を解決するために提案されたものである。本発明の目的は、リアクトル本体とケースとの線膨張差を小型化された支持金具で吸収することができるリアクトルを提供することである。
(1)本発明のリアクトルは、次のような構成を有することを特徴とする。
(a) コアとその周囲に装着されたコイルとを有するリアクトル本体。
(b) 前記リアクトル本体の収容部材。
(c) 前記リアクトル本体における対向する2辺にそれぞれ設けられて、前記リアクトル本体と前記収容部材を可動的に固定する第1の固定部。
(d) 前記リアクトル本体における前記複数の第1の固定部の間に設けられて、前記リアクトル本体と前記収容部材を定位置で固定する第2の固定部。
(2)リアクトル本体の通電時において、前記各第1の固定部にはリアクトル本体と前記収容部材との間に線膨張差が発生し、前記第2の固定部の位置は、前記各第1の固定部のそれぞれに発生する線膨張差の割合が所定値以下の場所であると良い。この場合、前記線膨張差が等しいと更に良い。すなわち、あまり片側によると、一方の第1の固定部のみが線膨張差を吸収することになるので、中央でなくても良いが、ある程度は中央に近い部分(所定値は、2つの第1の固定部がそれぞれ吸収することのできる線膨張差の割合、例えば7:3とか6:4などによって決まる)に設けると良い。
(3)前記リアクトル本体が対向する2つの短辺と対向する2つの長辺を有し、前記第1の固定部が前記各短辺にそれぞれ設けられ、前記第2の固定部が、リアクトル本体の中央部近傍に設けられていると良い。
(4)前記第2の固定部が、前記2つの長辺のそれぞれに設けられていると良い。
(5)前記コアと一体化された樹脂成型品を備え、前記第1の固定部は、前記樹脂成型品にその一部またはすべてを固定した支持金具と、この支持金具を収容部材に固定する固定部材を備えていると良い。
(6)前記第1の固定部は、その基部が前記樹脂成型品に固定されており、その先端部が前記樹脂成型品からその外方に突出した支持金具と、前記支持金具に設けられ、リアクトル本体の長手方向及び平面度差方向の変位を吸収する弾性部を備えると良い。
(7)前記弾性部が、前記リアクトル本体の外方に向かって突出した第1の湾曲部と、前記リアクトル本体の内方に向かって凹んだ第2の湾曲部とを連続して形成した略S字形であると良い。
(8)前記第2の固定部は、前記樹脂成型品に前記第2の固定部を前記収容部に固定する第2の固定部材の挿入孔が形成され、この挿入孔内に挿入された前記第2の固定部材により、前記リアクトル本体と前記収容部材とが固定されていると良い。
(9)前記収容部材が、前記リアクトル本体を収容するケースであると良い。
本発明によれば、第2の固定部の両側に第1の固定部を設けたため、第2の固定部と2つの第1の固定部間の距離が小さくなる。その結果、2つの第1の固定部に現れる線膨張差の量を例えば半減することが可能になり、第1の固定部の変形量を小さくすることができる。
第1実施形態の斜視図。 第1実施形態のリアクトル本体、充填材及びケースの分解斜視図。 第1実施形態の分解斜視図である。 第1実施形態における環状コアの斜視図。 第1実施形態における各コアとその樹脂成型品の組み合わせを示す分解斜視図。 第1実施形態におけるU字形コアとその樹脂成型品の分解斜視図。 第1実施形態におけるT字形コアとその樹脂成型品の分解斜視図。 第1実施形態における第1の固定部を示す斜視図。 第1実施形態における支持金具の上方と下方の斜視図。 第1実施形態における第2の固定部の斜視図。 第1実施形態におけるリアクトル本体1の下部を示す斜視図。 第1実施形態における第1と第2の固定部の位置を示す平面図。 第1実施形態の連結コイルを示す斜視図。 第1実施形態の環状コアにおけるギャップ長比B/Aと断面積比D/Cを示す平面図。 第1実施形態における漏れ磁束の測定ポイントを示す平面図。 ギャップ長比B/Aと漏れ磁束の関係を示すグラフ。 断面積比D/Cと漏れ磁束の関係を示すグラフ。 ギャップ長比B/Aとリップル電流及び銅損との関係を示すグラフ。 断面積比D/Cとリップル電流及び銅損との関係を示すグラフ。 環状コアに対するコイルの装着状態を示す平面図。 連結コイルを使用した磁気結合型リアクトルの銅損の特性を示すグラフ。 環状コアにおいてコイルの配置と漏れ磁束との関係を示す平面図。 第1実施形態におけるギャップの有無と片側リップル電流の関係を示すグラフ。 本発明の他の実施形態を示す平面図。 本発明の他の実施形態を示す平面図。
[1.第1実施形態]
[1.1 構成]
以下、本発明の第1実施形態について、図面を参照して説明する。
図1及び図2に示すように、本実施形態のリアクトルは、上面が開口したアルミニウムなどの金属製のケース2と、その内部に収容されたリアクトル本体1と、ケース2とリアクトル本体1との間に注入固化された充填材3とを有する。
(1)リアクトル本体
リアクトル本体1は、図3に示す通り、2つのU字形コア4a,4bと2つのT字形コア5a,5bを組み合わせて成るθ状の環状コアと、環状コアの脚部に巻回された2つの連結コイル6a,6bとを備える。リアクトル本体1は、2つの長辺と2つの短辺とを有する角丸長方形(角が丸くなっている長方形)をしており、ケース2もそれに合わせて上面が開口した直方体をしている。
(2)コア
図4に示すとおり、環状コアは、U字形コア4a,4bの両端部とT字形コア5a,5bの左右の端部を突き合わせ、その間にスペーサ8を配置して接着すると共に、対向するT字形コア5a,5bの中央突起部7a,7b間に所定のギャップ10が形成されるように組み合わせる。これにより、環状コアには、対向する一対のヨーク部と、ヨーク部と平行に設けられた中央の中脚と、中脚の両側にそれぞれ設けられた一対のコイル6a,6b装着用の脚部(以下、外脚という)が形成されている。本実施形態のU字形コア4a,4b及びT字形コア5a,5bとしてはダストコアを使用するが、その他フェライトコアやケイ素鋼を積層した積層コアを単独あるいは組み合わせて用いることができる。また、スペーサ8を用いることなく、U字形コア4a,4bの両端部とT字形コア5a,5bの左右の端部を直接突き合わせても良い。ギャップ10も、エアギャップでも、スペーサを設けたギャップでも良い。
図14(a)に示すように、環状コアにおいては、対向する外脚間の距離Aとギャップの長さBとの比であるギャップ長比B/Aが、0.1以上0.9以下の範囲に設定されている。図14(b)に示すように、外脚の断面積Cと中脚の断面積Dとの比である断面積比D/Cが、0.1以上1.0以下の範囲に設定されている。
(3)コイル
図1及び図2に示すように、2つの連結コイル6a,6bは、U字形コア4a,4bの外脚を構成する部分に、中脚を挟んでその両側にそれぞれ装着されている。各連結コイル6a,6bは、図13に示すように、1本の導体を使用して2つのコイル6a−1,6a−2または6b−1,6b−2を形成したもので、環状コアに装着した状態では、1本の導体が一方の外脚の外周に巻回されて第1のコイル6a−1,6b−1を形成し、同じ導体が反対側の外脚に巻回されて第2のコイル6a−2,6b−2を形成している。そのため、図1及び図2に示すように、1つのコイル6a,6bの巻き始めの端部11と巻き終わりの端部12が、中脚の両側に一つずつ設けられている。コイル6a,6bの巻き始めの端部11と巻き終わりの端部12には、それぞれバスバーが溶接され、そのバスバーの端部にリアクトルの外部配線が接続される。図13に示すように、2つのコイル6a−1,6a−2または6b−1,6b−2の連結部63は、コイルの巻軸方向と垂直な面において、平角線が同一平面上で連結されている。
コイル6a,6bとしては、各種の導体を巻回したものを使用することができるが、本実施形態では、平角線の導体をエッジワイズ巻きしたエッジワイズコイルを使用する。各コイル6a,6bの巻き始めと巻き終わりの端部11,12は、コイル6aのように中脚側に設けても良いし、コイル6bのようにヨーク部側に設けても良いものであって、2つのコイル6a,6bの両方を中脚側かヨーク部側のいずれかに設けても良い。
2つのコイル6a,6bは、そのコイル6a,6bから発生する直流磁束が互いに打ち消される方向で巻回されている。2つのコイル6a,6bから発生する直流磁束が互いに打ち消される方向で巻回するため、本実施形態では、コイルに通電する電流の方向を同一とし、コイルの巻回方向を逆にしたが、コイルの巻回方向は同一として、通電する電流の方向を反対にしても良い。各コイル6a,6bは、樹脂成型品に埋設されたU字形コア4a,4bとT字形コア5a,5bをθ状に接着する際に、予め筒状に巻回したコイル6a,6bを外脚に嵌め込むことにより、コアに巻回されている。
2つのコイル6a,6bから発生する直流磁束が互いに打ち消される方向で巻回され、2つのコイル6a,6bは、リアクトル本体1の外周における磁束密度が、リアクトル本体1の長辺方向において、リアクトル本体1を挟んで位置する2つの空間において低くなるように、環状コアに装着されている。すなわち、環状コアには中脚が形成されていることから、リアクトルの通電時には、環状コアの短辺であるヨーク部の周辺において磁束密度が低くなっている。
(4)樹脂成型品
U字形コア4a,4bとT字形コア5a,5bは、それぞれ専用の樹脂成型品内部に埋設されている。各コアは、それぞれの樹脂成型品の金型内にセットされた状態で、金型中に樹脂を注入・固化することにより、樹脂成型品と一体的に形成されている。樹脂成型品は、各コアとコイル6a,6bを絶縁する部材であると共に、リアクトル本体1をケース2に固定するための支持部材を固定した部材でもある。樹脂成型品の主材料としては、例えば、不飽和ポリエステル系樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、BMC(バルクモールディングコンパウンド)、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、PBT(ポリブチレンテレフタラート)等を用いることができる。
図5及び図6に示すとおり、U字形コア用の樹脂成型品13a,13bは、U字形コア4a,4bの左右の脚部を覆うコイル装着部15と、U字形コア4a,4bのヨーク部を覆うヨーク被覆部16とを備える。コイル装着部15におけるU字形コア4a,4bとT字形コア5a,5bとの接合面に相当する部分にはU字形コア4a,4bの端面が露出する開口部が設けられ、この開口部の周囲にはT字形コア用の樹脂成型品14a,14bの端部を挿入するためのリブ17が設けられている。
ヨーク被覆部16の上部におけるリアクトル本体1の幅方向中央部には、リアクトル本体1をケース2に固定するための板状の支持金具18の基部が固定されている。板状の支持金具18の基部は、U字形コア用の樹脂成型品13a,13bの成型加工時に、U字形コア4a,4bと共に金型内にセットされ、モールド成型される。
図5及び図7に示すとおり、T字形コア用の樹脂成型品14a,14bは、T字形コア5a,5bの脚部を覆うコイル装着部19と、T字形コア5a,5bの中央突起部7a,7bを覆う中脚被覆部20とを備える。コイル装着部19におけるU字形コア4a,4b側の端面は、内部のT字形コア5a,5bの端面が露出する開口部になっている。この開口部の周囲には、U字形コア用の樹脂成型品13a,13bに設けたリブ17が嵌合する凹部21が形成されている。
T字形コア5a,5bの中央突起部7a,7bの端面は、ギャップ10を介してT字形コア5a,5bの中央突起部7a,7bの端面と対向するため、中脚被覆部20のこの部分はT字形コア5a,5bの端面全体を被覆している。ギャップの代わりにスペーサを用いてギャップを形成したり、全くギャップを形成しない場合には、中脚被覆部20に開口部を設けて中央突起部7a,7bの端面を露出させても良い。
T字形コア用の樹脂成型品14a,14bの中脚被覆部20の反対側には、リアクトル本体1をケース2に固定する際に、固定部材であるボルト23を挿入する筒状のカラー22が埋設されている。この筒状のカラー22は、U字形コア用の樹脂成型品13a,13bの成型加工時に、U字形コア4a,4bと共に金型内にセットされ、モールド成型される。
図6及び図7に示すとおり、U字形コア用の樹脂成型品13a,13bとT字形コア用の樹脂成型品14a,14bは、各コアの突き合わせ部分を除き各コアの周囲を被覆するものであるが、各コアや支持金具を金型内に位置決めするための治具を使用する必要があることから、治具に相当する部分には樹脂が存在しない開口部が形成され、その部分に各コアの表面が露出している。
図11に示すとおり、T字形コア用の樹脂成型品14a,14bの底部には、位置決め用の突起30a,30bが設けられている。この突起30a,30bは、樹脂成型品14a,14bにおけるコイル装着部19を避けた部分に設けられ、コイル6a,6bをコアに装着した状態でも、リアクトル本体1の底部に突出している。この突起30a,30bは、リアクトル本体1をケース2内に収容する場合、ケース2の底部に設けられた凹部(図示せず)に嵌め込まれ、リアクトル本体1とケース2との位置決めを行う。
(5)支持金具
図1に示すとおり、リアクトル本体1は、各樹脂成型品に一体化された支持金具18と、ボルト23などの固定部材によってケース2に固定されている。第1の固定部Aは、リアクトル本体1の対向する2辺、本実施形態では、リアクトル本体1の短辺(ヨーク部)にそれぞれ設けられて、リアクトル本体1とケース2とに線膨張差による一定の力が加わった場合に、両者の相対位置が変化できるように可動的に固定している。第2の固定部Bは、2つの第1の固定部Aの間、本実施形態では、リアクトル本体1の対向する各長辺(外脚)の中央部近傍に設けられて、リアクトル本体1とケース2とをその相対位置が変化しないように定位置で固定している。
第2の固定部Bの位置は、あまり片側によると一方の第1の固定部Aのみが線膨張差を吸収することになるので、中央でなくても良いが、ある程度は中央に近い部分に設けることが望ましい。具体的には、第2の固定部の位置は、複数の第1の固定部が分担する線膨張差の負担割合に応じて決定される所定の位置に設ける。例えば、2つの第1の固定部がそれぞれ吸収することのできる線膨張差のバランス、例えば7:3とか6:4などによって決まる位置とする。
図8は、第1の固定部Aにおいて、可動側の支持金具18と固定部材であるボルト23により、リアクトル本体1をケース2に固定する状態を示す。図9に示すように、可動側の支持金具18は、リアクトル本体1の短辺の中央に設けられ、リアクトル本体1の幅方向に延びる基部と、その基部からケース2側に突出した2つの
アーム24a,24bを備えている。基部は樹脂成型品に固定されており、その先端部が樹脂成型品からケース2側に向かって外方に突出している。すなわち、本実施形態において、支持金具の基部は、リアクトル本体1からの支持金具18の突出方向(リアクトル本体の外方)に対して、直交方向に伸びている。
図8及び図9に示すように、2つのアーム24a,24bには、リアクトル本体1の外方に向かって突出した第1の湾曲部181と、リアクトル本体1の内方に向かって凹んだ第2の湾曲部182とを連続して形成した略S字形の弾性部が設けられている。2つのアーム24a,24bの先端は連結部25により接続され、その連結部25に可動側の支持金具18とケース2との固定部材の挿入孔27が設けられている。可動側の支持金具18の基部と連結部25は、リアクトル本体1の水平断面に対して平行な板状部材であり、U字形コア用の樹脂成型品13a,13bに固定した可動側の支持金具18の基部に対して、連結部25はリアクトル本体1の上下方向を基準として下方に位置している。これにより、可動側の支持金具18のS字状の弾性部は、ケース2の上縁に設けられたねじ穴26の位置に合わせて、縦型に配置される。ケース2とリアクトル本体1との位置関係によっては、連結部25をリアクトル本体1の上下方向を基準として上方に位置させることも可能である。
図7及び図10に示すように、第2の固定部Bは、T字形コア用の樹脂成型品14a,14bに設けられた挿入孔と、この挿入孔内に埋設された筒状のカラー22と、この筒状のカラー22の内部に挿入されるボルト23を有する。このボルト23をケース2の上縁に設けられたねじ穴26に締結することにより、リアクトル本体1がケース2と相対的に移動することなく固定される。
図12に示すとおり、第2の固定部Bは、リアクトル本体1の長辺の中央部に設けられ、第1の固定部Aはリアクトル本体1の短辺の中央に設けられている。そのため、リアクトル本体1をケース2に定位置で固定する第2の固定部Bから、その両側に設けられて、リアクトル本体1をケース2に可動的に固定する第1の固定部Aまでの距離が等しい。その結果、本実施形態では、第2の固定部Bを中心として、両側の第1の固定部Aに対してリアクトル本体1とケース2の線膨張差が等しく現れる。
(6)収容部材
リアクトル本体1を収容するケース2は、図1及び図2に示す通り、上面に開口を有する箱型に形成されており、リアクトル本体1の大きさに合わせた寸法の収容空間を有する。ケース2の上部には、リアクトル本体1をケース2に固定するためのボルト23を締結するためのねじ穴26が設けられている。ケース2は熱伝導性の高い金属で形成され、リアクトル本体1を収容するとともにリアクトル本体1から発生する熱の放熱部材としての機能を有する。熱伝導性の高い金属としては、アルミニウムやマグネシウムを用いることができる。また、必ずしも金属である必要はなく、熱伝導性に優れた樹脂や、樹脂の一部に金属製の放熱板を埋設したものを使用することも可能である。
(7)充填材
リアクトル本体1とケース2との隙間には、充填材3が充填、固化されている。充填材3としては、固化しても多少の弾力性を有する樹脂を使用することが望ましい。例えば、酸化アルミニウムや窒化アルミニウム等の放熱用の材料を混入したエポキシ系、ポリアクリレート系、シリコーン系の樹脂製ポッティング剤をその硬化度を調整することで使用できる。
[1.2 製造方法]
前記のような構成を有する本実施形態のリアクトルは次のようにして製造する。
まず、樹脂成型品の金型内にU字形コア4a,4bまたはT字形コア5a,5bと、その支持金具18やカラー22をセットし、その後、金型内に樹脂を注入し、固化することで、U字形コア用の樹脂成型品13a,13bとT字形コア用の樹脂成型品14a,14bを作製する。
次いで、図5に示すように、それぞれ樹脂成型品内部にコアと支持金具18やカラー22が固定された2つのU字形コア4a,4bとT字形コア5a,5bを、その外脚をコイル6a,6bの内側に挿入しながら、全体をθ状に接合することより、リアクトル本体1を作製する。その場合、樹脂成型品から露出している各コアの端面の間にスペーサ8を配設してこれらを接着剤により固定すると共に、T字形コア用の樹脂成型品14a,14bの端部に設けた凹部21の外周に、U字形コア用の樹脂成型品13a,13bの端部に設けたリブ17を嵌め込む。これにより、各樹脂成型品及びコアの正確な位置決めが可能になる。
このようにして作製されたリアクトル本体1を、T字形コア用の樹脂成型品14a,14bに設けたカラー22内にボルト23を挿入し、ケース2のねじ穴26に締結することで、リアクトル本体1の中央部分をケース2に対して移動することがないように固定する。また、U字形コア用の樹脂成型品13a,13bに設けた弾性部を有する可動側の支持金具18に設けた挿入孔27にボルト23を挿入し、そのボルト23をケース2のねじ穴26に締結することで、リアクトル本体1の両端部をケース2に対して可動的に固定する。この場合、可動的とは通常のリアクトルの使用時においては、リアクトル本体1とケース2は移動することなく固定されているが、通電時の発熱などによりリアクトル本体1とケース2との間に線膨張差が生じた場合には、ケース2に対してリアクトル本体1が移動して、線膨張差を吸収できる程度の強さで固定されていることを言う。
また、リアクトル本体1とケース2を固定する場合に、両者間に製造上の公差などにより、リアクトル本体1中央部と両端部とで平面度差があっても、第1の固定部Aの支持金具18に設けたS字状の弾性部が、リアクトル本体1の長手方向と上下方向の2つの方向に変形することで、平面度差を吸収することができる。
このようにしてリアクトル本体1とケース2とを固定した後は、両者の隙間に充填材3を注入し、固化させる。これにより、リアクトル本体1をケース2に対してより強固に固定することが可能になると共に、両者の隙間に塵埃が入り込むことを防止することができると共に、リアクトル本体1の絶縁性も確保できる。更に、充填材3として熱伝導性の高いフィラーを混合したものを使用した場合には、リアクトル本体1の発熱をケース2に対して効率良く放熱することができる。
[1.3 効果]
上記のような構成を有する本実施形態のリアクトルの効果は、以下のとおりである。
(1)支持金具18を、リアクトル本体1の短辺の中央に設け、その基部を樹脂成型品に固定すると共に、その先端部を樹脂成型品から外方に突出させたので、支持金具18をケース2とリアクトル本体1のデッドスペースに配置していたような制限がなくなる。その結果、支持金具18の形状や寸法の自由度が向上し、一カ所の支持金具18により、リアクトル本体1とケース2との線膨張差及び平面度差を吸収することができる。また、支持金具18における樹脂成型品表面との境界部分(支持金具の口元部)の形状も、樹脂成型品に応力が集中しない幅の広い板状のものとすることが可能になり、樹脂成型品のひび割れ防止も可能となる。
(2)第2の固定部Bを境として、第2の固定部Bとその両側に位置する2つの第1の固定部A間の線膨張差がほぼ等しくなり、リアクトル本体の片側のみに弾性部を設けた第1の固定部を設けた従来技術に比較して、2つの第1の固定部Aがそれぞれ吸収する線膨張差が半減する。
(3)支持金具18として、リアクトル本体1の幅方向に延びる板状の基部と、その基部から突出した複数のアーム24a,24bを有するものを使用して、各アーム24a,24bに弾性部を設けている。このようにすると、樹脂成型品と接触する口元部を大きくして応力集中を防止できると共に、弾性部は容易に変形して線膨張差及び平面度差を効果的に吸収できる。
(4)弾性部が、リアクトル本体1の外方に向かって突出した第1の湾曲部181と、リアクトル本体1の内方に向かって凹んだ第2の湾曲部182とを連続して形成した略S字形である。そのため、1部材でリアクトル本体1の長手方向と上下方向の変位を吸収することが可能になり、少ない部品点数で各方向の変位を吸収できる。
(5)アーム24a,24bの先端を連結部25により接続し、その連結部25に支持金具18とケース2との固定部材の挿入孔27を設けている。その結果、アーム24a,24b部分の弾性部により大きな変形量を確保しつつ、固定部材の挿入孔27をリアクトル本体1の短辺の中心に配置することができ、一カ所の固定部材でリアクトル本体1とケース2とを固定することができ、作業性が向上する。
(6)支持金具18の基部と連結部25とをリアクトル本体1の水平断面に対して平行な板状部材とし、樹脂成型品に固定した支持金具18の基部に対して、連結部25をリアクトル本体1の上下方向を基準として下方に位置させている。その結果、支持金具18の基部と連結部25の間に縦方向のS字形アーム24a,24bを配置することが可能となり、リアクトル本体1及びケース2の長手方向の寸法を増大させることなく、大きな変形量を確保できる。
(7)リアクトル本体1とケース2とを固定するためのすべての支持金具18に本発明を適用する必要はなく、一部の支持金具18については、リアクトル本体1とケース2とをその相対位置が変化することがないように定位置で固定し、残余の支持金具18にのみ本発明を適用しても良い。本実施形態のように、リアクトル本体1の長手方向両端の支持金具18をいずれも線膨張差及び平面度差を吸収できるようにすれば、大きな線膨張差及び/または平面度差でも効果的に吸収できる。
(8)T字形コア5a,5bと一体化された樹脂成型品とケース2を、定位置で固定することが可能であるから、複数のT字形コア5a,5bをケース2に対して正確に位置決めすることができる。その結果、ケース2とリアクトル本体1との線膨張差などがあっても、T字形コア5a,5b間の相対的な位置関係は変化することがない。
(9)2つのT字形コア5a,5bの中央突起部7a,7bの間に形成されたギャップ10の寸法を精度良く維持できるため、リアクトルのリップル電流や銅損を小さくすることができ、また外部への漏れ磁束を効果的に低減させることができる。その結果、環状コアにおける磁束の流れを円滑にしてリアクトルの性能向上に寄与できると共に、磁気吸引力に起因する騒音や振動を抑制することが可能になる。
(10)複数のT字形コア5a,5bが、T字形コアの樹脂成型品14a,14b内部にモールド成型により埋設されているため、予め成型した樹脂成型品内にT字形コア5a,5bを後から嵌め込む場合に比較して、T字形コア5a,5bと樹脂成型品の位置決めを精度良く行うことができ、ケース2と樹脂成型品を第2の固定部Bによりケース2に強固に固定する構成との相乗効果により、対向するT字形コア5a,5b間の位置決め精度を向上させることができる。
[1.3 作用効果 その2]
(1)ギャップ長比B/Aと断面積比D/C
本実施形態の磁気結合型リアクトルを昇圧用コンバータとして使用した場合において、下記の条件でギャップ長比B/Aと漏れ磁束との関係を測定した。漏れ磁束の測定点は、図15に示す通り、リアクトルの外周面から10mm離れた8箇所のポイントについて、代表値である(1)〜(3)の漏れ磁束と、(1)〜(8)の全周囲の漏れ磁束の合計値を測定した。
なお、本発明は、中脚にギャップ10を設けることを前提としているが、比較のために、ギャップ長比B/A=0.0(中脚にギャップを設けない)の場合の漏れ磁束も測定した。
巻数:40ターン(連結コイル1個当たりの巻回数、各外脚に20ターンずつ)
電流:平均電流95A(各コイルに対して)
電圧:DC250V(入力)⇔DC630V(昇圧後の出力)
周波数:8kHz
U字形コアの断面積:11.14cm
対向する外脚の間隔:25.9mm
対向するヨーク部の間隔:96.64mm
巻線の肉厚:1.3mm 幅:8.0mm
コアの材質:合金系ダストコア
その結果、図16のグラフに示すように、ギャップ長比B/Aが0.0〜0.9の範囲が漏れ磁束が低減され、0.0〜0.65の範囲がより低減され、0.0〜0.35の範囲で更に低減されていることが確認できた。同様な条件で、断面積比D/Cと漏れ磁束との関係を確認したところ、図17に示すように、断面積比D/Cが0.1以上の場合に、漏れ磁束が低減されていることが確認できた。特に、断面積比D/Cが、0.7以上がより良く、1.0以上が更に良いことが確認できた。
この図16と図17の結果から、本実施形態においては、ギャップ長比B/Aが0.0〜0.9の範囲で、且つ断面積比D/Cが0.1以上の場合に漏れ磁束が低減され、ギャップ長比B/Aが0.0〜0.35の範囲で、断面積比D/Cが1.0以上の範囲で最も低減されることが判明した。特に、本実施形態のリアクトルは対称形に構成されているので、各場所の漏れ磁束は、(1)と(5)は同等、(2)と(4)(6)(8)は同等で、(1)と(5)及び(2)(4) (6)(8)のポイントが漏れ磁束が少ないことが確認された。
同様にして、ギャップ長比B/A及び断面積比D/Cと、リップル電流及び銅損の関係について検証した。図18に示すように、ギャップ長比B/Aが0.1〜0.9の範囲で、リップル電流及び銅損が低減していることが確認できた。特に、ギャップ長比B/Aが0.1〜0.65がより良く、0.1〜0.35が更に良いことが確認できた。また、図19に示すように、断面積比D/Cが0.1.〜1.0の範囲で、リップル電流及び銅損が低減していることが確認できた。特に、0.1〜0.75がより良く、0.4〜0.75が更に良いことが確認できた。図18及び図19において、片側リップルは一方のコイルに流れるリップル電流を、合成リップルとは両方のコイルに流れるリップル電流の合成値を言う。この図18と図19の結果から、本実施形態においては、ギャップ長比B/Aが0.1〜0.9の範囲で、且つ断面積比D/Cが0.1〜1.0の場合に、リップル電流と銅損が最も少なくなることが判明した。
以上の図16〜図19の結果から、本実施形態において、漏れ磁束、リップル電流及び銅損のいずれもが低減するギャップ長比B/Aは0.1〜0.9の範囲であり、漏れ磁束、リップル電流及び銅損のいずれもが低減する断面積比D/Cは0.1〜1.0であることが判明した。その結果、ギャップ長比B/Aと断面積比D/Cとの両方を、前記範囲内とすれば、漏れ磁束、リップル電流及び銅損のいずれをも効果的に低減することのできる磁気結合型リアクトルを得られることが確認できた。
(2)コイル
本実施形態では、環状コアの外脚に装着するコイルとして連結コイル6a,6bを使用している。この連結コイル6a,6bが銅損の低減に与える影響について、図20(a)〜(c)の各リアクトルについて検証した。
図20(a)は、2つのU字形コア4a,4bから成る環状コアの脚部にコイル6−1,6−2を装着したリアクトル。
図20(b)は、2つのU字形コア4a,4bから成る環状コアの脚部に2つの連結コイル6a,6bを装着することにより、環状コアの脚部に4つのコイル6a−1〜6b−2を装着したリアクトル。
図20(c)は、本実施形態のリアクトルであって、2つのU字形コア4a,4bに2つのT字形コア5a,5bを組み合わせることで、中脚を有するθ形の環状コアを形成し、その外脚に連結コイル6a,6bを装着することで、中脚を有する環状コアの脚部に4つのコイル6a−1〜6b−2を装着したものである。
これら3つのリアクトルについて、前記(1)と同条件で、測定ポイント(1)における外部への漏れ磁束を計測したところ、図20(a)のリアクトルは40mT、(b)のリアクトルは18mT、(c)のリアクトルは15mTと、連結コイルの使用が外部への漏れ磁束の低減に効果があることが確認された。また、図21に示すように、図20(a)〜(c)のリアクトルについて、コイル1ターン毎の損失を測定したところ、(c)の連結コイル6a,6bと中脚の組み合わせが、ターン数の大小にかかわらず、銅損を低く抑えることができることを確認した。このように、中脚を有するθ形の環状コアを有する磁気結合型リアクトルにおいて、連結コイル6a,6bは漏れ磁束と銅損の低減に効果がある。なお、図21において、コイルのターン数が20となっているのは、連結コイル6a,6bの片側のコイル6a−1,6b−1のデータのみを示したものである。
(3)ギャップの有無
本実施形態では、中脚にギャップ10を設けている。このギャップの存在が、リアクトルの特性に与える影響について説明する。図23は、前記図20(c)に示す磁気結合型リアクトルにおいて、各コアの形状やコイルの巻き数などは同一として、対向するT字形コア5a,5bの間にギャップ10を設けた場合と、設けない場合について、その片側リップル電流を計測した結果を示すものである。図23から分かるように、ギャップがないと結合係数が下がり、コアが飽和しやすくなるため、リップル電流が大きくなるのに対して、本実施形態のようにギャップ10を設けた場合には、リップル電流が低下する。具体的には、ギャップがない場合は82Ap−p(ピーク・ツー・ピーク値)であるのに対して、ギャップがある場合のリップル電流は69Ap−pに低下している。
(4)コイルの巻き方
図22は、図20(a)の対向する外脚にひとつずつコイルを装着したリアクトルと、図20(b)の対向する外脚のそれぞれに2つずつコイルを装着したリアクトルの漏れ磁束のパターンである。この図22から明らかなように、各外脚に2つずつコイルを装着すると、磁束が環状コアの内側を通過するため、リアクトル外部に漏出する磁束が減少していることが分かる。
(5)中脚の存在
図22(b)に示すように、外脚に2つのコイルを装着した場合、磁束の流れがコイル毎に分割され、環状コアの内側を通過するので、漏れ磁束を低下することが可能になるが、本実施形態では、図20及び図24のように2つのコイルに加えて、更に中脚を設けたことにより、発生した磁束が中脚を流れることになり、環状コア外部への漏れ磁束をより効果的に低減することが可能となる。
(6)結論
以上述べた通り、本実施形態によれば、環状コアにギャップ10を有する中脚を設け、ギャップ長比B/A及び断面積比D/Cを前記の範囲に設定し、更に連結コイル6a,6bを使用することで、漏れ磁束、銅損及びリップル電流が少ない磁気結合型リアクトルを得ることが可能になる。
[2.他の実施形態]
本発明は、以上の実施形態に限定されるものではない。以上の実施形態は例として提示したものであって、その他の様々な形態で実施されることが可能である。発明の範囲を逸脱しない範囲で、種々の省略や置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲、要旨、その均等の範囲に含まれる。以下、その一例を示す。
(1)図示の実施形態は、リアクトル本体1の収容部材としてケース2を使用したが、必ずしもケースに固定する場合にのみ限定されるものではない。板状あるいはブロック状の収容部材にリアクトル本体を固定する場合にも適用することができる。この場合、第1及び第2の固定部に使用する支持金具18としては、断面クランク形や断面L字形の部材を使用することもできる。本実施形態における収容部材であるケース2はアルミニウムを使用したが、その材質は限定されない。線膨張率が高く、発熱時においてリアクトル本体1との間で大きな線膨張差が発生する材質の収容部材に対して使用すると特に高い効果を発揮する。ただし、アルミニウムよりも線膨張率の低い酸化マグネシウムやステンレス鋼の収容部材であっても効果がある。
(2)図示の実施形態は、リアクトル本体を短辺と長辺を有する角丸長方形としたが、正方形、円形、楕円形など他の形状のリアクトル本体にも適用できる。
(3)第2の固定部は、複数の第1の固定部の間に設けられていれば良く、図示の実施形態のように、リアクトル本体1の長辺の中央部に設けることに限定されない。リアクトル本体の中心部に1箇所のみ第2の固定部を設けて、リアクトル本体1を収容部材に対して定位置で固定し、第2の固定部の周囲、例えば2つの長辺の中央部や短辺の中央部に第1の固定部を設けて、リアクトル本体1を収容部材に対して可動的に固定することもできる。長辺の中央部とリアクトル本体の中心部の両方に第2の固定部を設けて、リアクトル本体を定位置で固定することも可能である。この場合、第2の固定部に樹脂製のボルトなどを使用すると、磁束の影響を受け難く、固定部の発熱を防止できる。
(4)第2の固定部Bは、必ずしも2つの第1の固定部Aの中央部に設ける必要はなく、可動支持部材の弾性部が吸収する線膨張差に合わせて中央部からずれた位置に設けることができる。例えば、第1の固定部Aに使用する支持金具18の形状や肉厚が異なる場合には、各支持金具18の弾性部が吸収するリアクトル本体1とケース2の線膨張差に応じて、第2の固定部Bの位置を変更すると良い。また、同一の支持金具18であっても、リアクトル本体1やケース2の形状に応じて、第2の固定部Bの位置を中央部からずらせても良い。すなわち、本発明において、第2の固定部の位置は、複数の第1の固定部が分担する線膨張差の負担割合に応じて決定される所定の位置に設けることが望ましい。その場合、リアクトル本体1の一端に第1の固定部Aを設け、他端の第2の固定部Bを設ける場合に比較して、両側の第1の固定部Aが分担して線膨張差を吸収するので、第1の固定部Aの小型化が可能となる。
(5)上記実施形態では、T字形の脚部コアを備えたθ字状の環状コアを使用したが、コアの形状はこれに限らない。例えば、脚部コアを一つあるいは複数のI字形コアとしたり、2つのU字形やJ字形の分割コアを組み合わせた角丸四角形の環状コアや、2つのE字形の分割コアを備えたθ字状の環状コアにも適用可能である。2つのT字形や2つのE字形コアの代わりに、一方をE字形状とし、もう一方をI字形状とし、この2つのコアを環状にする構成としても良い。図24(a)のように、U字形コア4a,4bを複数のI字形コアを組み合わせて構成することもできる。
(6)T字形コアの代わりに、Y字形コアを使用することもでき、その場合、2つのY字形コアの中央突起部を対向させて、その先端の間に前記ギャップを設ける。T字形コアを1部材から構成する代わりに、2つのL字形コアを組み合わせてT字形コアを構成しても良い。U字形コアとT字形コアとの間にI字形コアを配置することで、外脚を構成することも可能である。
(7)環状コアの中脚は1本に限らず、2本以上の中脚を有する環状コアについても、適用できる。その場合、各外脚に複数のT字形コアを配置することで、複数の中脚を構成することができる。また、2つの櫛歯状の分割コアを対向させて配置することで、複数の中脚を有す環状コアを形成しても良い。
(8)コアに巻回するコイル6a,6bの形状も適宜変更可能であり、θ状のコアの左右の脚部にそれぞれコイル6a,6bを装着するものや、θ状のコアのヨーク部分にコイル6a,6bを装着しても良い。円形あるいは角形のループ状のコアを使用した場合には、左右の脚部のそれぞれにコイル6a,6bを装着しても良いし、図24(b)のように、中脚の両側に装着するコイル6a,6bの巻回数や配置を非対称形としても良い。図24(c)のように2つの脚部の一方のみに2つのコイル6a,6bを巻回し、他方はコイルを装着しなくても良い。また、コイルをコアに装着する方法としては、樹脂成型品に線材を巻回してコイルとしても良いし、予め巻回したコイルを樹脂成型品にはめ込んでも良い。
(9)樹脂成型品としては、内部にコアをインサート成型するものの他に、中空になった筒状あるいは箱状の樹脂成型品のみを予め作製し、その内部にコアを嵌合するものや接着剤で固定するものを使用しても良い。また、分割コアの接合後において、環状になったコアを樹脂成型品内部にインサート成型したり、組み込むこともできる。中脚を構成する2つのT字形コアを、1つの樹脂成型品内に埋設したり、嵌合あるいは接着することで一体化し、その樹脂成型品を収容部材に固定しても良い。
(10)弾性部を有する支持金具18としては、複数のアーム24a,24bを有するもの以外に、全体が幅の広い1枚の板状部材から構成されアームが1本のものを使用できる。弾性部の形状は、図示のような縦型のS字状に限らず、長手方向に余裕がある場合には、S字状の弾性部を水平に配置することもできる。また、線膨張差と平面度差を吸収することが可能であれば、S字状に限定されるものでなく、線膨張差と平面度差のいずれかを平らな板状の部分が湾曲することで吸収し、他方をU字状やV字状などの湾曲部あるいは屈曲部の変形により吸収するものを使用しても良い。アーム24a,24bの幅を調整したり、アーム24a,24bの間の開口部の寸法を変化させることで、弾性力を適宜調整することができる。支持金具18に代えて、合成樹脂やゴムなどの弾性材料でリアクトル本体1とケース2とを、弾力的あるいはリジッドに固定することも可能である。
(11)支持金具18の形状は、線膨張差や平面度差のいずれかの吸収量が少ない場合には、吸収量の大きい部分を湾曲部あるいは屈曲部の変形により、吸収量の小さな部分はこれら湾曲部あるいは屈曲部と、支持金具18の基部あるいは先端部の接続部分の変形により吸収しても良い。すなわち、必ずしも、S字状のような複数の湾曲部の組み合わせでなくても良い。固定部材の挿入孔27の代わりに、U字形の切欠部のような係合部を設けても良い。
(12)第2の固定部Bにより、リアクトル本体1をケース2に固定するには、樹脂成型品内部に埋設したカラー22以外に、弾性部を持たない板状の支持金具18の基部を樹脂成型品に固定し、樹脂成型品から突出した部分に固定部材の挿入孔27や固定部材との係合部を設けたものを使用できる。また、カラー22を使用する代わりに、樹脂成型品に単なる挿入孔のみを設け、そこにボルトを挿入しても良い。固定部材の挿入孔27は、1箇所に限らず複数設けることもできる。
(13)固定部材としては、ボルト23などのねじ止めに限定されず、溶着、接着、リベット、ピンの圧入、固定部材に設けた突起をケース2の孔に圧入するなど、種々の構成を採用しても良い。
(14)中脚に設けるギャップは、図24に示した中脚を分断するもの以外に、図25(a)に示すように、中脚に中空部10aを形成したものでも良い。図25(b)に示すように、中空部10aを複数設けても良い。また、図25(c)に示すように、対向するT字形コア5a,5bの先端を円錐状や半球状に尖らせたり、図25(d)に示すように先端を切り欠いたコアを突き合わせたりすることで、中脚の一部に切欠部10bを形成したものでも良い。また、一方のT字形コアのみを切り欠いてもよい。これらの中空部10aや切欠部10bの寸法は、図24に示したギャップ10によって中脚に形成される空間部(ギャップの寸法×中脚の断面積)の体積と等しいものが好ましい。これらの中空部10aや切欠部10bを形成することにより、ギャップ10を設けた場合と同様の効果を期待することができる。
(15)また、ギャップ10の形状は、横方向から見たときに、直線形状ではなく、クランク形状をしていてもよい。その場合、T字形コア5a、5bの中央突起部7a、7bの対向する面が、横方向から見てそれぞれ凸部分と凹部分を有する。7aの凸部分と7bの凹部分、7aの凹部分と7bの凸部分とが、お互いに組み合いながら向かい合っている。このようにして、中央突起部7aと7bのギャップ10がクランク形状となる。
1…リアクトル本体
2…ケース
3…充填材
4a,4b…U字形コア
5a,5b…T字形コア
6a,6b…コイル
7a,7b…中央突起部
8…スペーサ
10…ギャップ
11…巻き始めの端部
12…巻き終わりの端部
13a,13b…U字形コア用の樹脂成型品
14a,14b…T字形コア用の樹脂成型品
15…コイル装着部
16…ヨーク被覆部
17…リブ
18…支持金具
181…第1の湾曲部
182…第2の湾曲部
19…コイル装着部
20…中脚被覆部
21…凹部
22…カラー
23…ボルト
24a,24b…アーム
25…連結部
26…ねじ穴
27…挿入孔
30a,30b…突起
A…第1の固定部
B…第2の固定部

Claims (9)

  1. コアとその周囲に装着されたコイルとを有するリアクトル本体と、
    前記リアクトル本体の収容部材と、
    前記リアクトル本体における対向する2辺にそれぞれ設けられて、前記リアクトル本体と前記収容部材を可動的に固定する複数の第1の固定部と、
    前記リアクトル本体における前記複数の第1の固定部の間に設けられて、前記リアクトル本体と前記収容部材を定位置で固定する第2の固定部を有するリアクトル。
  2. リアクトル本体の通電時において、前記各第1の固定部にはリアクトル本体と前記収容部材との間に線膨張差が発生し、前記第2の固定部の位置は、前記各第1の固定部のそれぞれに発生する線膨張差の割合が所定値以下の場所である請求項1に記載のリアクトル。
  3. 前記リアクトル本体が対向する2つの短辺と対向する2つの長辺を有し、前記第1の固定部が前記各短辺にそれぞれ設けられ、
    前記第2の固定部が、前記リアクトル本体の中央部近傍に設けられている請求項1または請求項2に記載のリアクトル。
  4. 前記第2の固定部が、前記2つの長辺のそれぞれに設けられている請求項3に記載のリアクトル。
  5. 前記コアと一体化された樹脂成型品を備え、前記第1の固定部は、前記樹脂成型品にその一部またはすべてを固定した支持金具と、この支持金具を前記収容部材に固定する固定部材を備えている請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のリアクトル。
  6. 前記第1の固定部は、その基部が前記樹脂成型品に固定されており、その先端部が前記樹脂成型品からその外方に突出した支持金具と、前記支持金具に設けられ、前記リアクトル本体の長手方向及び平面度差方向の変位を吸収する弾性部を備える請求項5に記載のリアクトル。
  7. 前記弾性部が、前記リアクトル本体の外方に向かって突出した第1の湾曲部と、前記リアクトル本体の内方に向かって凹んだ第2の湾曲部とを連続して形成した略S字形である請求項6に記載のリアクトル。
  8. 前記第2の固定部は、前記樹脂成型品に前記第2の固定部を前記収容部に固定する第2の固定部材の挿入孔が形成され、この挿入孔内に挿入された前記第2の固定部材により、前記リアクトル本体と前記収容部材とが固定されている請求項5から請求項7のいずれか1項に記載のリアクトル。
  9. 前記収容部材が、前記リアクトル本体を収容するケースである請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のリアクトル。
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