JP2016065127A - 赤色蛍光体の製造方法 - Google Patents

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【課題】 発光強度の温度特性に優れた赤色蛍光体を製造する方法を提供すること。【解決手段】 アルカリ土類金属硫化物とガリウム化合物との混晶物にユーロピウムを賦活した化合物を含む赤色蛍光体の製造方法であって、原料を混合する工程において、ガリウム源に酸化ガリウムと窒化ガリウムの混晶物及び/又は混合物を使用することを特徴とする赤色蛍光体の製造方法。【選択図】 図1

Description

本発明は、赤色蛍光体の製造方法に関する。
蛍光灯等の照明や液晶デイスプレイのバックライト用の光源等に用いられる、赤色を発光する蛍光体としてユーロピウムで賦活された硫化ストロンチウム蛍光体が知られている。
特許文献1には、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム等のアルカリ土類金属源と、ガリウム源としての酸化ガリウム、及び、ユーロピウム源としての酸化ユーロピウムを用いて、硫化水素雰囲気下で焼成することにより得られた硫化物蛍光体が開示されている。
特開2007−056235号公報
特許文献1に開示されたような製造方法で製造された硫化物蛍光体は、使用時の周囲温度の上昇によって粉末温度が高くなると発光強度が低下するという問題がある。
そのため、硫化物蛍光体を搭載した照明や液晶デイスプレイのバックライト用の光源等においても使用時間が長くなるにつれ周囲温度が上昇しそれに伴い輝度が低下し、色純度が低下する等の問題があり、周囲温度が上昇しても発光特性が低下しにくい(言い換えると発光強度の温度特性に優れた)、蛍光体が望まれていた。
上記課題を踏まえ、本発明は、発光強度の温度特性に優れた赤色蛍光体を製造する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、赤色蛍光体の原料を混合する工程において、ガリウム源に酸化ガリウムと窒化ガリウムの混晶物及び/又は混合物を使用することにより、発光強度の温度特性に優れた赤色蛍光体を製造することができることを見出し、本発明に想到した。
すなわち、本発明の赤色蛍光体の製造方法は、アルカリ土類金属硫化物とガリウム化合物との混晶物にユーロピウムを賦活した化合物を含む赤色蛍光体の製造方法であって、原料を混合する工程において、ガリウム源に酸化ガリウムと窒化ガリウムの混晶物及び/又は混合物を使用することを特徴とする。
ガリウム源に酸化ガリウムと窒化ガリウムの混晶物及び/又は混合物を使用することによって、発光強度の温度特性に優れた赤色蛍光体が得られる。
酸化ガリウムと窒化ガリウムの混晶物及び/又は混合物をガリウム源として使用することによって発光強度の温度特性が改良される理由は定かではないが、蛍光体の一部に窒素が取り込まれ、格子間結合力が向上した蛍光体が生成する可能性が考えられる。
本発明の赤色蛍光体の製造方法では、酸化ガリウムと窒化ガリウムの混晶物及び/又は混合物中に含まれる窒化ガリウムの量が、0.1重量%〜70.0重量%の範囲であることが望ましい。
また、本発明の赤色蛍光体の製造方法では、上記赤色蛍光体中のユーロピウムの量が、上記アルカリ土類金属硫化物由来のアルカリ土類金属原子のモル数、及び、上記ガリウム化合物由来のアルカリ土類金属原子のモル数を合計したモル数1mol当たり、0.005mol〜0.25molの範囲であることが望ましい。
また、本発明の赤色蛍光体の製造方法では、上記赤色蛍光体中のガリウムの量が上記赤色蛍光体中に含まれる全アルカリ土類金属硫化物1mol当たり、0.011mol〜0.29molの範囲であることが望ましい。
本発明の赤色蛍光体の製造方法では、上記アルカリ土類金属硫化物とガリウム化合物との混晶物に含まれるアルカリ土類金属がストロンチウムであることが望ましい。
また、上記アルカリ土類金属硫化物とガリウム化合物との混晶物中に、更にマグネシウム、カルシウム、及び、バリウムからなる群から選択された少なくとも1種のアルカリ土類金属を含むことが望ましい。
また、上記アルカリ土類金属硫化物とガリウム化合物との混晶物中のストロンチウムのモル数1mol当たり、マグネシウム、カルシウム、及び、バリウムからなる群から選択された少なくとも1種のアルカリ土類金属原子を0.1〜0.95mol含むことが望ましい。
本発明の赤色蛍光体の製造方法によると、発光強度の温度特性に優れた赤色蛍光体を製造することができる。
図1は、実施例1〜6及び比較例1で作製した赤色蛍光体の温度特性の評価結果を示すグラフである。 図2は、実施例1、2及び比較例1で作製した赤色蛍光体の発光スペクトルである。
以下、本発明の赤色蛍光体の製造方法について説明する。
本発明の赤色蛍光体の製造方法は、アルカリ土類金属硫化物とガリウム化合物との混晶物にユーロピウムを賦活した化合物を含む赤色蛍光体の製造方法であって、原料を混合する工程において、ガリウム源に酸化ガリウムと窒化ガリウムの混晶物及び/又は混合物を使用することを特徴とする。
赤色蛍光体は、蛍光体の結晶母材が一般式AS[ただし、Aはアルカリ土類金属(Mg、Ca、Sr又はBa)]で表されるアルカリ土類金属硫化物とガリウム化合物の混晶物であり、この結晶母材を、ユーロピウムで賦活してなる蛍光体である。
アルカリ土類金属硫化物としては、硫化ストロンチウム又は硫化カルシウムであることがより望ましく、硫化ストロンチウムであることが最も望ましい。上記アルカリ土類金属硫化物は、赤色の蛍光を発する結晶母材を構成する。また、アルカリ土類金属硫化物が硫化ストロンチウムであると、鮮やかで蛍光強度が強い赤色蛍光体となる。
ガリウム化合物は、アルカリ土類金属チオガレート[一般式AGa又はAGaで表され、Aはアルカリ土類金属(Mg、Ca、Sr又はBa)]であることが望ましく、ストロンチウムチオガレート(SrGa又はSrGa)、カルシウムチオガレート(CaGa)といった化合物が例示される。とくに、SrGaであることが望ましい。
赤色蛍光体中のガリウムの量は、赤色蛍光体中に含まれる全アルカリ土類金属硫化物1mol当たり0.011mol〜0.29molの範囲であることが望ましい。
なお、ここでいう全アルカリ土類金属硫化物1molとは、ユーロピウムを賦活したあとの赤色蛍光体全体に含まれる全アルカリ土類金属硫化物のmol数を意味する。アルカリ土類金属硫化物を複数種類含むときは、各アルカリ土類金属硫化物のmol数の合計のmol数である。
アルカリ土類金属硫化物とガリウム化合物との混晶物に含まれるアルカリ土類金属としてはストロンチウムであることが望ましく、混晶物中には、更にマグネシウム、カルシウム、及び、バリウムからなる群から選択された少なくとも1種のアルカリ土類金属を含むことがより望ましい。
混晶物中にマグネシウム、カルシウム、及び、バリウムからなる群から選択された少なくとも1種のアルカリ土類金属が含まれていると、赤色蛍光体の極大波長がシフトする。そのため、用途に応じた極大波長を有する赤色蛍光体を選択することができる。
アルカリ土類金属としてストロンチウムを含む混晶物中に更にマグネシウム、カルシウム、及び、バリウムからなる群から選択された少なくとも1種のアルカリ土類金属を含む場合、混晶物中のストロンチウムのモル数1mol当たり、マグネシウム、カルシウム、及び、バリウムからなる群から選択された少なくとも1種のアルカリ土類金属原子を0.1〜0.95mol含むことが望ましい。
上記含有量は、マグネシウム、カルシウム、及び、バリウムからなる群から選択された少なくとも1種のアルカリ土類金属のうちの複数種類を含むときは、各アルカリ土類金属のmol数の合計のmol数として算出する。
上記含有量がこの範囲であると、赤色蛍光体の発光強度を低下させることなく、赤色蛍光体の極大波長をシフトさせることができ、所望の極大波長とすることができる。
ユーロピウムは、一般式AS、AGa及びAGaで表される結晶母材中のAの原子の一部を置換して添加され、赤色蛍光体中のユーロピウムの量は、アルカリ土類金属硫化物由来のアルカリ土類金属原子のモル数、及び、ガリウム化合物由来のアルカリ土類金属原子のモル数を合計したモル数1mol当たり、0.005mol〜0.25molの範囲であることが望ましい。
ユーロピウムの量が0.005mol未満であると充分な発光強度を達成することができず、また0.25molを超えると発光強度は飽和する一方で、別の物性にも影響をおよぼすことがある。
赤色蛍光体には、ユーロピウム以外の共賦活剤をさらに含んでもよい。共賦活剤としては、特に限定されないが、ユーロピウム以外の希土類元素の化合物又はイオンが挙げられる。上記ユーロピウム以外の希土類元素の例としては、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu等からなる群から選択される少なくとも1種以上の元素が挙げられる。また、上記希土類元素の化合物としては、上記元素の炭酸塩、酸化物、塩化物、硫酸塩、硝酸塩、酢酸塩等が挙げられる。
本発明の赤色蛍光体の製造方法では、原料を混合する工程において、ガリウム源に酸化ガリウムと窒化ガリウムの混晶物及び/又は混合物を使用する。
本発明の赤色蛍光体の製造方法では、酸化ガリウムと窒化ガリウムの混晶物及び/又は混合物中に含まれる窒化ガリウムの量が、0.1重量%〜70.0重量%の範囲であることが望ましい。
酸化ガリウムと窒化ガリウムの混晶物(固溶体ともいう)は、酸化ガリウム(Ga)の酸素サイトの一部が窒素に置換された結晶であり、酸化ガリウムの粉末を窒素ガスとアンモニアガスとの混合ガスを用い、気流中で焼成することによって得られる。混合ガス中のアンモニアガスの濃度を10〜70vol%とすることが望ましく、焼成温度は1000〜1400℃、焼成時間は1〜10時間とすることが望ましい。
ガリウム源が酸化ガリウムと窒化ガリウムの混晶物の場合、酸化ガリウムと窒化ガリウムの混晶物に含まれる窒化ガリウムの量は、粉末X線回折パターンから全パターンフィッティング法(WPPF法)により算出される。
そして、粉末X線回折パターンから全パターンフィッティング法により算出される酸化ガリウムと窒化ガリウムの混晶物中の窒化ガリウムの量が0.1重量%〜70.0重量%の範囲であることが望ましく、9.0重量%〜33.5重量%の範囲であることがより望ましい。
粉末X線回折パターンは、粉末X線回折装置(株式会社 リガク製、試料水平型強力X線回折装置 RINT−TTRIII)により、下記条件で測定することにより得られる。
・ターゲット:Cu管球
・測定範囲(2θ):60°〜90°
・ステップ幅:0.02°
・計数時間:1.0 sec.
そして、全パターンフィッティング法による定量は、上記測定法により得られた粉末X線回折パターンを、粉末X線回折パターン総合解析ソフトウェア(JADE Version 7.0、Materials Data. Inc.社製)で解析することにより行うことができる。
酸化ガリウムと窒化ガリウムの混合物は、酸化ガリウムの粒子と窒化ガリウムの粒子を単に混合した混合物である。
ガリウム源が酸化ガリウムと窒化ガリウムの混合物の場合の混合物中の窒化ガリウムの量は、0.1重量%〜70.0重量%の範囲であることが望ましい。混合物中の窒化ガリウムの量は混合時の重量比で定まる。
なお、ガリウム源が酸化ガリウムと窒化ガリウムの混晶物及び酸化ガリウムと窒化ガリウムの混合物の併用である場合、粉末X線回折パターンから全パターンフィッティング法(WPPF法)により混晶物中の窒化ガリウムの量を算出し、酸化ガリウムの粒子と窒化ガリウムの粒子の仕込み量から混合物中の窒化ガリウムの量を算出して、それぞれ算出された窒化ガリウムの量に混晶物と混合物の割合を乗じて、ガリウム源全体に含まれる窒化ガリウムの量を決定すればよい。
ユーロピウム源としては、特に限定されず、例えば炭酸ユーロピウム、酸化ユーロピウム、塩化ユーロピウム、硫酸ユーロピウム、硝酸ユーロピウム、酢酸ユーロピウムなどが挙げられる。
アルカリ土類金属源としてのマグネシウム化合物の例としては、特に限定されないが、
炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、ハロゲン化マグネシウム(塩化マグネシウム等)、硫酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、リン酸水素マグネシウム等が挙げられる。
アルカリ土類金属源としてのカルシウム化合物の例としては、特に限定されないが、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、ハロゲン化カルシウム(塩化カルシウム等)、硫酸カルシウム、硝酸カルシウム、リン酸水素カルシウム等が挙げられる。
アルカリ土類金属源としてのストロンチウム化合物の例としては、特に限定されないが、炭酸ストロンチウム、酸化ストロンチウム、水酸化ストロンチウム、ハロゲン化ストロンチウム(塩化ストロンチウム等)、硫酸ストロンチウム、硝酸ストロンチウム、リン酸水素ストロンチウム等が挙げられる。
アルカリ土類金属源としてのバリウム化合物の例としては、特に限定されないが、炭酸バリウム、酸化バリウム、水酸化バリウム、ハロゲン化バリウム(塩化バリウム等)、硫酸バリウム、硝酸バリウム、リン酸水素バリウム等が挙げられる。
原料を混合する工程においては、これらのガリウム源、ユーロピウム源及びアルカリ土類金属源を所定のモル比で混合する。この工程においては、さらに上述したユーロピウム以外の共賦活剤、分散剤、フラックス成分等が添加されていてもよい。
ガリウム源、アルカリ土類金属源、ユーロピウム源の混合比は、ガリウム:アルカリ土類金属=0.066:1程度のモル比になるようにすることが望ましく、ガリウム:ユーロピウム=0.066:0.005〜0.1程度のモル比になるようにすることが望ましい。
ガリウムとアルカリ土類金属の比率をアルカリ土類金属が過剰量になるよう調整して、硫黄含有ガス雰囲気下で焼成を行うと、ガリウムがアルカリ土類金属及び硫黄とガリウム化合物としてのアルカリ土類金属チオガレートを生成して消費され、残ったアルカリ土類金属は硫黄と反応してアルカリ土類金属硫化物となり、アルカリ土類金属硫化物はガリウム化合物と混晶物を生成する。
ガリウム源、ユーロピウム源、アルカリ土類金属源の混合物には、水を加えてスラリー化し、さらにアルミナボール等の粉砕媒体を混合して湿式粉砕を行うことが望ましい。
粉砕媒体の種類は、特に限定されるものではないが、例えば、アルミナボール、ジルコニアボール、窒化珪素ボール、窒化炭素ボール、ガラスビーズ、ナイロン被覆鉄芯ボール等が挙げられ、直径10mm以下のものが主に使用される。なかでもアルミナボールが好ましい。
粉砕は、公知の粉砕装置により行うことができ、その種類は特に限定されるものではないが、粉砕を効率良く行なうためには粉砕媒体撹拌型粉砕機を備えた反応容器を用いるのが好ましい。ここで、粉砕媒体撹拌型粉砕機とは、粉砕容器内に粉砕媒体を投入し、被粉砕物とともに、粉砕容器を揺動、回転(自転又は公転)させて撹拌するか、粉砕媒体を撹拌部で直接撹拌して、粉砕を行う粉砕機をいう。粉砕媒体撹拌型粉砕機の例としては、特に限定されないが、遊星ミル、ビーズミル、及び振動ミルからなる群から選択されるいずれか1種であるのが好ましい。なかでも、自転、公転を伴う遊星ミルが特に好ましい。
粉砕後、粉砕媒体を分離し、乾燥工程を行うことが望ましい。
乾燥は、通常用いられる任意の乾燥機を用いて、110〜150℃で1〜48時間程度行うことが望ましい。
乾燥により得られた固体は、粉砕、分級により平均粒子径60μm以下の粉末とすることが望ましい。
粉砕は上述した粉砕媒体撹拌型粉砕機により行うことができる。
続いて、硫黄含有ガス雰囲気下で焼成を行い、アルカリ土類金属硫化物とガリウム化合物との混晶物にユーロピウムを賦活した化合物を生成させる。
硫黄源としては硫化水素ガス、硫化水素ガス又は二硫化炭素と不活性ガスとの混合ガス等を用いることができる。なお、不活性ガスとしては、窒素ガス又はアルゴンガスを用いることができる。混合ガスを用いる場合、硫化水素ガス、二硫化炭素などの硫黄化合物の濃度は10体積%以上が望ましい。
焼成条件は、700〜900℃で2〜12時間程度とすることが望ましい。
焼成装置としては、マッフル炉、管状炉等の任意の焼成炉を用いて行うことができる。
焼成により得られた固体は、粉砕により平均粒子径10〜60μm程度の粉末として、分級を行うことにより、最終製造物である赤色蛍光体とすることが望ましい。
上記工程により、アルカリ土類金属硫化物とガリウム化合物との混晶物にユーロピウムを賦活した化合物としての赤色蛍光体を製造することができる。
この赤色蛍光体は発光強度の温度特性に優れるので、蛍光灯等の照明や液晶デイスプレイのバックライト用の光源等の材料として用いることに適している。
本発明を詳細に説明するために、以下に実施例を挙げる。ただし本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
(実施例1)
ガリウム源として酸化ガリウムと窒化ガリウムの混晶物(酸化ガリウム91.0重量%、窒化ガリウム9.0重量%)を準備した。
表1には、準備したガリウム源の形態及び酸化ガリウムと窒化ガリウムの割合を示した。
酸化ガリウム及び窒化ガリウムの量は、粉末X線回折パターンから全パターンフィッティング法により算出した(装置名 株式会社 リガク製、試料水平型強力X線回折装置 RINT−TTRIII)。
原料として炭酸ストロンチウム、酸化ユーロピウム、及び、上記酸化ガリウムと窒化ガリウムの混晶物を秤量し、秤量した上記原料を混合した混合物に水を加えてスラリーとし、φ3mmのアルミナボールを粉砕メディアに用いて、遊星型ボールミルによる湿式法で30分間混合した。
混合比率は、Sr、Ga、Euのモル組成比が(Sr:Ga:Eu=0.982:0.066:0.018)となるように調整した。
次いで、アルミナボールと原料混合物のスラリーを分離し、得られたスラリーを設定温度130℃の乾燥器に入れて、一晩乾燥させた。
得られた固体を乳鉢と乳棒で150μm以下に粉砕及び分級し、更に、これら混合物を石英ボートに入れて、合成石英製の管状炉で900℃、4時間、硫化水素ガス含有雰囲気中で焼成した。硫化水素ガスは純度99.9%品を用い、管状炉中に200mL/分で注入した。
次いで、得られた固体を乳鉢と乳棒で50μm以下に粉砕及び分級し、赤色蛍光体を作製した。
(実施例2〜4)
ガリウム源として、混晶物中の酸化ガリウムと窒化ガリウムの割合が異なる混晶物を準備して使用したほかは、実施例1と同様にして赤色蛍光体を作製した。
混晶物中の酸化ガリウムと窒化ガリウムの割合は表1に示した。
(実施例5、6)
ガリウム源として酸化ガリウムと窒化ガリウムの混合物を準備して使用したほかは、実施例1と同様にして赤色蛍光体を作製した。
混合物中の酸化ガリウムと窒化ガリウムの割合は表1に示した。
(比較例1)
ガリウム源として酸化ガリウムのみを準備して使用したほかは、実施例1と同様にして赤色蛍光体を作製した。
Figure 2016065127
(温度特性)
作製した実施例1〜6及び比較例1の赤色蛍光体を、それぞれ試料ホルダーに充填し、試料ホルダーに充填した蛍光体を分光蛍光光度計外の暗所に設置した冷却加熱ステージ上に固定し、30℃/minの昇温速度で、同一サンプル(蛍光体)を室温〜153℃まで昇温しながら所定の温度毎にスペクトル測定を実施した。
具体的には、試料ホルダーに充填した蛍光体を、56℃、82℃、102℃、153℃、187℃の各測定温度で、粉末温度の安定化を意図に5分間温度を保持するプログラム(工程)を導入し、その保持終了直前にスペクトル測定を実行した。
各温度でのスペクトル測定は、分光蛍光光度計(日本分光株式会社製、FP−6500)外の暗所に設置した冷却加熱ステージ上の測定試料に、青色LEDからの青色光(波長470nm)を照射し、その反射光を光ファイバーにて、分光蛍光光度計付属の蛍光積分球ユニット(日本分光株式会社製、ISF−513型)に導入することで行った。なお、青色LEDは測定時のみ点灯させた。
表2及び図1に、実施例1〜6及び比較例1で作製した赤色蛍光体の温度特性の評価結果を示す。粉末温度25℃で測定した発光強度を100%として、56℃〜187℃の粉末温度でそれぞれ測定した際の発光強度と比較し、相対強度(%)として示した。
Figure 2016065127
(発光特性)
実施例1、2及び比較例1で得られた赤色蛍光体について、蛍光分光光度計を用いて、励起波長を450nmとし、発光スペクトルを測定した。
表3に、実施例1、2及び比較例1の赤色蛍光体の極大波長とフォトルミネッセンス(Photo Luminescence)相対強度を示す。
フォトルミネッセンス相対強度は、比較例1での発光強度を100%とした際の相対強度である。また、図2に、実施例1、2及び比較例1で作製した赤色蛍光体の発光スペクトルを示す。なお、実施例3〜6の赤色蛍光体の極大波長も620〜621nmであった。
Figure 2016065127
表2及び図1に示されるように、本実施例の赤色蛍光体は、比較例1に対して、56℃〜187℃の粉末温度下での相対強度が大きく、発光強度の温度特性を改善させることができた。
また、ガリウム源が混晶物又は混合物であるかを問わず、ガリウム源に窒化ガリウムの結晶相を含んだ原料を使用すれば、同様の温度特性の改善効果が得られた。
また、表3及び図2に示されるように、実施例1の赤色蛍光体は、比較例1に対して、フォトルミネッセンス相対強度を27%向上させることができた。実施例2の赤色蛍光体も、フォトルミネッセンス相対強度を20%向上させることができた。

Claims (7)

  1. アルカリ土類金属硫化物とガリウム化合物との混晶物にユーロピウムを賦活した化合物を含む赤色蛍光体の製造方法であって、原料を混合する工程において、ガリウム源に酸化ガリウムと窒化ガリウムの混晶物及び/又は混合物を使用することを特徴とする赤色蛍光体の製造方法。
  2. 酸化ガリウムと窒化ガリウムの混晶物及び/又は混合物中に含まれる窒化ガリウムの量が、0.1重量%〜70.0重量%の範囲である請求項1に記載の赤色蛍光体の製造方法。
  3. 前記赤色蛍光体中のユーロピウムの量が、前記アルカリ土類金属硫化物由来のアルカリ土類金属原子のモル数、及び、前記ガリウム化合物由来のアルカリ土類金属原子のモル数を合計したモル数1mol当たり、0.005mol〜0.25molの範囲である請求項1又は2に記載の赤色蛍光体の製造方法。
  4. 前記赤色蛍光体中のガリウムの量が前記赤色蛍光体中に含まれる全アルカリ土類金属硫化物1mol当たり、0.011mol〜0.29molの範囲である請求項1〜3のいずれかに記載の赤色蛍光体の製造方法。
  5. 前記アルカリ土類金属硫化物とガリウム化合物との混晶物に含まれるアルカリ土類金属がストロンチウムである請求項1〜4のいずれかに記載の赤色蛍光体の製造方法。
  6. 前記アルカリ土類金属硫化物とガリウム化合物との混晶物中に、更にマグネシウム、カルシウム、及び、バリウムからなる群から選択された少なくとも1種のアルカリ土類金属を含む請求項5に記載の赤色蛍光体の製造方法。
  7. 前記アルカリ土類金属硫化物とガリウム化合物との混晶物中のストロンチウムのモル数1mol当たり、マグネシウム、カルシウム、及び、バリウムからなる群から選択された少なくとも1種のアルカリ土類金属原子を0.1〜0.95mol含む請求項6に記載の赤色蛍光体の製造方法。
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