JP2007063366A - 近紫外及び緑色励起用赤色蛍光体及びその製造方法、及び赤色発光素子 - Google Patents

近紫外及び緑色励起用赤色蛍光体及びその製造方法、及び赤色発光素子 Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明に係る赤色蛍光体は、近紫外励起にて高効率で発光する蛍光体であり、青色、緑色蛍光体と組み合わせて白色発光が可能である。よって、本発明に係る赤色蛍光体を用いて白色LED用蛍光体とし、照明用途や、表示デバイス分野でも、液晶のバックライトやCRT用の蛍光体を提供すること。また、特殊光源、偽造防止印刷用にも応用が可能である。また、FED(電界放射型ディスプレイ)、PDP(プラズマディスプレイ)、EL(エレクトロルミネッセンス)などの電子表示デバイスを提供すること。
【解決手段】 上記課題を解決するために、BaZnS3 を結晶母材とし、発光中心
Mn2+ を高濃度賦活した近紫外及び緑色励起用赤色蛍光体が好ましく採用される。
【選択図】 なし

Description

本発明は、近紫外域に励起帯を持ち、高い発光効率を有する近紫外及び緑色励起用赤色蛍光体及びその製造方法、及び赤色発光素子に関する。
近年、Hgフリー照明として近紫外LEDと、蛍光体を用いた照明が注目されている。その蛍光体は、近紫外LEDの波長領域(390〜420nm)で励起される必要がある。LED赤色蛍光体として、LaS:Euが有望視されているが、近紫外での励起強度が小さく、高い効率をもつ蛍光体の開発が望まれている。
非特許文献1には、BaZnS3 :Mnに関する赤色蛍光体が記載されている。しかし、非特許文献1記載のMn賦活濃度程度では、励起帯は250〜350nmであり、近紫外LED用の蛍光体には充分適応しているとはいえない。また、可視光域に励起帯があると、R、G、Bそれぞれの蛍光体を用いた白色デバイスを作製する際、他の蛍光体の発光を吸収して色目がずれるといった問題がある。
一方、特許文献1には、近紫外域に励起帯を有する窒化物、酸窒化物蛍光体が記載されている。しかし、窒化物、酸窒化物蛍光体は高温・高圧合成が必要であり、製造コストが高く、量産に向かない。また、粒子サイズが大きいなどの理由で実用化されておらず、性能としても満足できるレベルまで達していない。また、図1に示すように、特許文献1に記載されたCa-α-サイアロン(CaSi9Al3ON15:Eu)は、可視光域に励起帯を有する(青色〜緑色)ため、白色化する場合に色目調整が困難である。
第65回応用物理学会学術講演会予稿集(2004年9月、2p−ZL-18) 特開2005−48105号公報
上述したように、従来においては、200〜450nm、特に390〜410nmに励起帯を有し、可視光域に励起帯が存在しない高効率な赤色蛍光体は得られていない。
従って、本発明の目的は、近紫外域に励起帯を持ち、高い発光効率を有する赤色蛍光体を提供することにある。また、かかる赤色蛍光体は、可視光域に励起帯を持たず、他の発光(緑、青)の妨げにならないものであり、また、かかる赤色蛍光体は、近紫外域の励起帯がブロード(フラット)で、励起源であるLEDの波長が多少異なっても発光にはほとんど影響しないものである。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、BaZnS3 を結晶母材とし,発光中心Mn2+ を高濃度賦活した近紫外及び緑色励起用赤色蛍光体は、製造プロセスを最適化することによって、近紫外域の励起帯が向上し、紫外から青色域にかけて幅広い励起帯を有するに至り、上記目的が達成し得ることを知見した。すなわち、従来のBaZnS3 :Mnは、390〜420nmに励起帯をもたないが、焼成温度を制御することで長波長側にシフトすることを知見した。また、Mn2+濃度を高濃度とすることで長波長側にシフトすることを知見したのである。本発明にかかるBaZnS3 :Mnは、可視光域での励起強度は弱いことから、他の蛍光体の発光(青色、緑色)を妨げない特徴がある。また、アニール処理をしたBaSを出発原料に用いることで、更にBaZnS3 :Mnの発光強度が増加することも知見した。
すなわち、本発明は、BaZnS3を結晶母材とし,発光中心Mn2+ を高濃度賦活した近紫外及び緑色励起用赤色蛍光体を提供するものである。Mn2+濃度を高濃度賦活とし、焼成温度を最適化することにより、励起スペクトルが長波長側にシフトもしくはブロード化が生じ、近紫外域、緑色域の励起帯を増加させることができる。また、比較的低温(750 〜 850℃)で合成可能であり,粒径制御も容易となる。また、可視光域の励起帯は,緑色領域のみで、特許文献1に記載されたCa-α-サイアロン(CaSi9Al3ON15:Eu)に比べ色目調整が容易である。
上記赤色蛍光体において、発光中心Mn2+の濃度は,結晶母材に対して1 〜 10 mol%であることが望ましい。より望ましくは、発光中心Mn2+の濃度が,結晶母材に対して2 〜 5 mol%である。1mol%以下、あるいは10mol%以上とすると、発光強度が著しく減少する。特にMn2+の濃度が1 mol%以下の場合は、近紫外域の励起が十分でなく、また緑色域での励起も十分でなく、本発明の目的とする近紫外及び緑色励起用赤色蛍光体が得られない。すなわち、白色蛍光体を構成するR(赤色)成分、G(緑色)成分、B(青色)成分のうち、R(赤色)成分は発光強度が小さく、G(緑色)成分、B(青色)成分よりも多量に混合する必要がある。しかし、R(赤色)成分を増加すると他のG(緑色)成分、B(青色)成分の混合比率が減少して、全体としての発光強度が小さくなる。特にG(緑色)成分減少の影響は大きい。そこで、本発明では近紫外及び緑色励起用赤色蛍光体とすることにより、G(緑色)成分の減少をカバーして強い白色発光を得ることができる。また、かかる特徴を有する本発明の近紫外及び緑色励起用赤色蛍光体は、Mn2+ を高濃度賦活するとともに、以下に説明する特定の焼成条件によって製造することが好ましい。
また、本発明は、上記のいずれかに記載の近紫外及び緑色励起用赤色蛍光体と,該赤色蛍光体の励起光源として特に390〜410nm で強く発光する素子・装置を用いた赤色発光素子である。
また、本発明は、上記記載の赤色発光素子を含む白色発光素子である。
また、本発明は、バリウム化合物成分、亜鉛化合物成分、マンガン化合物成分を、請求項2に記載の量比となるようにした混合物を不活性雰囲気(N or Ar)中で、焼成温度600〜1050℃焼成することを特徴とする近紫外及び緑色励起用赤色蛍光体の製造方法である。焼成温度は、600〜1050℃好ましくは 700 〜 900℃、更に好ましくは750 〜 850℃焼成である。焼成温度が比較的低温で焼成可能であるため、微粒化が容易である。
本発明に係る赤色蛍光体は、近紫外励起にて高効率で発光する蛍光体であり、青色,緑色蛍光体と組み合わせて白色発光が可能である。よって、本発明に係る赤色蛍光体を用いて白色LED用蛍光体とし、照明用途や、表示デバイス分野でも、液晶のバックライトやCRT用の蛍光体としても期待できる。また、特殊光源,偽造防止印刷用にも応用が可能である。また、FED(電界放射型ディスプレイ)、PDP(プラズマディスプレイ)、EL(エレクトロルミネッセンス)などの電子表示デバイスにも好適に用いられる。
次に、本発明に係る赤色蛍光体の好ましい製造方法の一例を説明する。
本発明に係る赤色蛍光体の製造方法では、下記を原料とするのが好ましい。
Baの原料としては、BaS、Znの原料としては、ZnS、Mnの原料としては、MnF2等である。
本発明に係る製造方法では、上記原料を所定の割合になるように秤量し、混合する。混合は、例えばφ3mmのジルコニアボールをメディアに用いてペイントシェーカーやボールミル等で90分程度なされる。
次いで、100μm以下の篩で混合粉体とメディアを分離し、混合粉体を得る。
次に、混合粉体を600〜1050℃、1〜12時間、窒素又はArの雰囲気中で焼成する。焼成温度が600℃未満では固相反応が不十分であり、1050℃を超える高温では原料に低融点物質を用いるため分解し、組成制御が困難になるためであり、好ましくは700〜900℃、更に好ましくは750〜850℃の焼成である。また、焼成時間が1時間未満では物質特性に再現性が得られにくく、12時間を超えると物質分解による組成変動の問題が生じる。
このようにして製造される本発明に係る赤色蛍光体は、一般照明に適用できるほか、表示デバイスの分野でも、液晶のバックライトやEL、FED、CRT用、あるいは偽造防止印刷用の蛍光体としても期待できる。
以上に述べてきた赤色蛍光体は、高い演色性を示す白色発光素子とすることができる。
以下に実施例を示すが、本発明はこれらに限定されて解釈されるものではない。
BaS、ZnS及びMnFを原料とし、BaSを200モル%としたときに、ZnSが100モル%、MnFが1.0モル%となるように秤量し、これをφ3mmのジルコニアボールをメディアに用いてペイントシェーカーで90分混合した。次いで、100μm以下の篩で混合粉体とメディアを分離した。次に、850℃、4時間、Ar雰囲気中で焼成し、BaZnS3 :Mnで示される赤色蛍光体を得た。
この赤色蛍光体の蛍光スペクトルを図2、3に示す。また、図2、3に、比較として赤色蛍光体として有望視されているLaS:Euの典型的なスペクトルを記載した。図2、3から明らかなように、LaS:Euは、400 nm 付近の励起帯が弱く、効率が低いことから近紫外用蛍光体としては,不適当であることが分かる。これに対して、本発明のBaZnS3 :Mnは、400 nm 付近の励起帯が強く、効率が高いことから近紫外用蛍光体としては,適していることが分かる。また、LaS:Euは、Eu3+ 発光スペクトルの輝線が鋭いことから、輝度(積分面積に比例)の点で不利であることが分かる。これに対して、本発明のBaZnS3 :Mnは、発光スペクトルがブロードであり、輝度(積分面積に比例)の点で有利であることがわかる。
また、Mn濃度と、励起スペクトルとの関係を図4に示す。焼成条件 はいずれも850℃、 6時間、 Ar中 とした。発光中心
Mn2+を高濃度賦活とすると、励起スペクトルは、長波長シフトするとともに、550 nm の励起帯が増加することがわかる。このことから、発光中心 Mn2+ を高濃度賦活とすることにより、近紫外域の励起帯が増加し、近紫外励起用赤色蛍光体として適用可能となる。また、緑色励起帯が増加し、緑色励起でも赤色発光が可能となる。
また、焼成温度と励起スペクトルとの関係を図5に示す。Mnは、1 mol%とし、焼成条件は、焼成温度が650〜950℃、 6時間、Ar中である。焼成温度に伴い励起スペクトルが変化し、700〜900℃焼成時に、近紫外域に励起帯が広がることがわかる。よって、近紫外域の励起帯が増加し、近紫外励起用赤色蛍光体として適用可能となる。また、
緑色励起帯が増加し、緑色励起でも赤色発光が可能となることがわかる。以上より、本発明の近紫外及び緑色励起用赤色蛍光体は、Mn2+ を高濃度賦活するとともに、特定の焼成条件(焼成温度、焼成雰囲気)とすることによって製造するのが好ましいことがわかる。
BaS、ZnS及びMnFを原料とし、BaSを200モル%としたときに、ZnSが100モル%、MnFが2.0モル%となるように秤量し、これをφ3mmのジルコニアボールをメディアに用いてペイントシェーカーで90分混合した。次いで、100μm以下の篩で混合粉体とメディアを分離した。次に、850℃、4時間、Ar雰囲気中で焼成し、BaZnS3 :Mnで示される近紫外及び緑色励起用赤色蛍光体を得た。
BaS、ZnS及びMnFを原料とし、BaSを200モル%としたときに、ZnSが100モル%、MnFが5.0モル%となるように秤量し、これをφ3mmのジルコニアボールをメディアに用いてペイントシェーカーで90分混合した。次いで、100μm以下の篩で混合粉体とメディアを分離した。次に、850℃、4時間、Ar雰囲気中で焼成し、BaZnS3 :Mnで示される近紫外及び緑色励起用赤色蛍光体を得た。
BaS、ZnS及びMnFを原料とし、BaSを200モル%としたときに、ZnSが100モル%、MnFが1.0モル%となるように秤量し、これをφ3mmのジルコニアボールをメディアに用いてペイントシェーカーで90分混合した。次いで、100μm以下の篩で混合粉体とメディアを分離した。次に、750℃、4時間、Ar雰囲気中で焼成し、BaZnS3 :Mnで示される近紫外及び緑色励起用赤色蛍光体を得た。
BaS、ZnS及びMnFを原料とし、BaSを200モル%としたときに、ZnSが100モル%、MnFが1.0モル%となるように秤量し、これをφ3mmのジルコニアボールをメディアに用いてペイントシェーカーで90分混合した。次いで、100μm以下の篩で混合粉体とメディアを分離した。次に、950℃、4時間、Ar雰囲気中で焼成し、BaZnS3 :Mnで示される近紫外及び緑色励起用赤色蛍光体を得た。
比較例1
BaS、ZnS及びMnFを原料とし、BaSを200モル%としたときに、ZnSが100モル%、MnFが0.5モル%となるように秤量し、これをφ3mmのジルコニアボールをメディアに用いてペイントシェーカーで90分混合した。次いで、100μm以下の篩で混合粉体とメディアを分離した。次に、850℃、4時間、Ar雰囲気中で焼成し、BaZnS3 :Mnで示される赤色蛍光体を得た。
比較例2
BaS、ZnS及びMnFを原料とし、BaSを200モル%としたときに、ZnSが100モル%、MnFが1.0モル%となるように秤量し、これをφ3mmのジルコニアボールをメディアに用いてペイントシェーカーで90分混合した。次いで、100μm以下の篩で混合粉体とメディアを分離した。次に、650℃、4時間、Ar雰囲気中で焼成し、BaZnS3 :Mnで示される赤色蛍光体を得た。
上記の各実施例、比較例の配合比を表1に示す。
本発明に係る赤色蛍光体は、近紫外励起にて高効率で発光する蛍光体であり、青色、緑色蛍光体と組み合わせて白色発光が可能である。よって、本発明に係る赤色蛍光体を用いて白色LED用蛍光体とし、照明用途や、表示デバイス分野でも、液晶のバックライトやCRT用の蛍光体としても期待できる。また、特殊光源、偽造防止印刷用にも応用が可能である。また、FED(電界放射型ディスプレイ)、PDP(プラズマディスプレイ)、EL(エレクトロルミネッセンス)などの電子表示デバイスにも好適に用いられる。
図1は、従来技術の蛍光スペクトルを示すグラフである。 図2は、実施例1の励起スペクトルを示すグラフである。 図3は、実施例1の発光スペクトルを示すグラフである。 図4は、励起スペクトルを示すグラフである。 図5は、励起スペクトルを示すグラフである。

Claims (6)

  1. Ba2ZnS3 を結晶母材とし,発光中心
    Mn2+ を高濃度賦活した近紫外及び緑色励起用赤色蛍光体。
  2. 発光中心Mn2+の濃度は,結晶母材に対して 1 〜 10 mol%である請求項1記載の近紫外及び緑色励起用赤色蛍光体。
  3. 請求項1〜請求項2のいずれかに記載の近紫外及び緑色励起用赤色蛍光体と,該赤色蛍光体の励起光源として特に390〜410nm で発光する素子・装置を用いた赤色発光素子。
  4. 請求項3記載の赤色発光素子を含む白色発光素子。
  5. バリウム化合物成分、亜鉛化合物成分、マンガン化合物成分を、請求項2に記載の量比となるようにした混合物を不活性雰囲気(N2 or Ar)中で、焼成温度600〜1050℃にて焼成することを特徴とする近紫外及び緑色励起用赤色蛍光体の製造方法。
  6. バリウム化合物成分、亜鉛化合物成分、マンガン化合物としてのMnF2とを、請求項2に記載の量比となるようにした混合物を不活性雰囲気(N2 or Ar)中で、焼成温度700〜900℃にて焼成することを特徴とする近紫外及び緑色励起用赤色蛍光体の製造方法。






















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