JP2016060851A - 油性ボールペン用インキ組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来の油性ボールペンインキの欠点を改良するべく、長期間の保管によっても、先漏れが発生せず、かつ滑らかで軽い筆記感を得ることのできる油性ボールペンインキを提供する。【解決手段】疎水性シリカ微粒子、非反応性のシリコーン化合物及び極性有機溶媒を含有するエマルションであって、前記極性有機溶媒を分散媒とし、前記シリコーン化合物を分散質とし、前記疎水性シリカ微粒子が界面に吸着して形成されたエマルションを含有し、前記シリカ微粒子及びシリコーン化合物をインキ組成物全量に対し0.05〜8質量%含有する油性ボールペン用インキ組成物である。【選択図】なし

Description

本発明は、油性ボールペン用インキ組成物に関する。さらに詳しくは、長期間の保管によっても先漏れが発生せず、かつ滑らかで軽い筆記感を得ることのできる油性ボールペン用インキ組成物に関する。
従来より油性ボールペンはインキの粘性が高いために筆記感が重いという欠点があり、特に25℃でのインキ粘度が8,000〜10,000mPa・s前後のものは、その傾向が顕著であった。25℃でのインキ粘度を1,000〜5,000mPa・s前後にすることで筆記感を改善することはできるが、粘度を下げることにより、ペン先を下向きに長期保管した際の先漏れ(ペン先からのインキの漏れ出し)が問題となっていた。
この問題に対し、比表面積が特定の範囲にある親水性または疎水性シリカ微粒子を0.05〜1.0重量%と、ポリビニルピロリドンを0.01〜10重量%含有させることにより、低粘度で軽い筆記感を持ちながら、長期保管時の先漏れを解消する方法が提案されている(例えば、特許文献1〜4参照)。これは、シリカ微粒子がその表面に持っているシラノール基(SiOH)の水素結合によって相互に結びつき、この結合により粘度が上昇しかつ網目構造を構成することにより、ペン先からのインキの漏れ出しを防ぐことを期待していると同時に、ポリビニルピロリドンは、上記網目構造をより効果的に形成し、且つ筆記による剪断力が加わることでその構造を非常に容易に崩し易い状態にすることを期待したものである。
しかしながら、特許文献1等に提案されている油性ボールペン用インキは、配合された極性有機溶剤、ポリビニルピロリドン、着色剤などが吸湿することにより、インキの中に水分が混入する。この水分の混入によって、水と相互作用して溶媒和してしまうために、シリカ間のシラノール結合が阻害されると共に、網目構造を効果的に形成させているはずのポリビニルピロリドンが、水分に対しても相溶性を示すために、本来の増強効果を失い先漏れが発生してしまうという問題がある。また、長期間の保管により、シリカ微粒子同士が凝集、沈降することで、網目構造を形成することができなくなり、先漏れが発生してしまうという問題もある。
インキの先漏れを解消するために、インキにチクソトロピー性を付与することは従来から行われているが、それによりインキの吐出性が悪くなり、特に書き始めの筆記描線のカスレが発生しやすくなる。このカスレを減少させるための対策として、特許文献5〜6には、変性シリコーン化合物を添加したインキが提案されている。特許文献6に開示されたインキは、有機溶剤、樹脂、着色剤及び反応性のアミノ変性シリコーンを加熱撹拌し溶解させた液の濾液に、チクソトロピー性付与剤として微粒子シリカ(アエロジル)を添加し、3本ロールで十分に分散させてインキを得ている。しかし、こうして得られたインキは、アミノ変性シリコーンが反応性が高く経時的にゲル化するため、長期安定性に劣る。
特開平10−204368号公報 特開平11−286642号公報 特開平10−195365号公報 特開平10−204368号公報 特開昭61−012773号公報 特開2001−089691号公報
本発明の目的は、これら従来の油性ボールペンインキの欠点を改良することである。すなわち、長期間の保管によっても、先漏れが発生せず、かつ滑らかで軽い筆記感を得ることのできる油性ボールペンインキを提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討を行った結果、疎水性シリカ微粒子を極性有機溶媒に分散させると共に、水や極性有機溶媒に対して親和性の低いシリコーン化合物を、前記溶媒中にエマルション状態で分散させることにより、シリコーン化合物にシリカ微粒子が吸着し、結果的にシリカ微粒子が乳化剤としての役割を果たし、安定した分散体(いわゆるピッカリングエマルション)になることを見出した。ピッカリングエマルションは、エマルション粒子の表面(液液界面)に微粒子が吸着し、微粒子が乳化剤のように機能し、安定な分散状態を維持したエマルションとして知られており、流体の界面には微粒子が吸着しやすく、吸着すると脱離しない不可逆的吸着であることが、その安定化のメカニズムであると推測されている。
そして、上記の安定した分散状態が維持されることにより、シリカ微粒子のシラノール結合による網目構造は、シリカ微粒子と溶媒を固液分散させたときよりも、先漏れの抑制をより安定的、効果的に発現させることが可能なことを見出した。
さらに、水や極性有機溶媒に対して親和性の低いシリコーン化合物を、エマルションとして液液分散させ、この液液界面に疎水性シリカ微粒子を吸着させることで、極性有機溶媒中でもシリカ微粒子同士が網目構造を形成しやすく、かつ吸湿による水分混入が発生しても、水と相互作用したり溶媒和されにくい状況とすることで、シリカ微粒子間のシラノール結合が阻害されず、先漏れの抑制効果が顕著になることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、疎水性シリカ微粒子、非反応性のシリコーン化合物及び極性有機溶媒を含有するエマルションであって、前記極性有機溶媒を分散媒とし、前記シリコーン化合物を分散質とし、前記疎水性シリカ微粒子が界面に吸着して形成されたエマルションを含有することを特徴とする油性ボールペン用インキ組成物を提供する。
本発明によれば、長期間の保管によっても、先漏れが発生せず、かつ滑らかで軽い筆記感を得ることができる油性ボールペン用インキ組成物を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
本発明の油性ボールペン用インキ組成物は、疎水性シリカ微粒子、シリコーン化合物及び極性有機溶媒を含有するエマルションであって、前記極性有機溶媒を分散媒とし、前記シリコーン化合物を分散質とし、前記シリカ微粒子が界面に吸着して形成されたエマルションを含有することを特徴とする。
本発明のエマルションにおいて、シリカ微粒子が乳化剤として有効に機能する為には、当該シリカ微粒子が、極性の低いシリコーン化合物と極性の高い有機溶媒に対して両親媒性を示すことが重要である。このようなシリカ微粒子としては、疎水性シリカ微粒子が好ましい。これにより、疎水性のシリコーン化合物と相互作用することにより吸着力が高められると共に、極性有機溶媒中でシリカ微粒子同士が網目構造を形成しやすくなり、かつ、吸湿による水分の混入に対して溶媒和されるのを防止できるため、顕著な先漏れ抑制効果を発揮する。
疎水性シリカ微粒子のなかでも、親水性シリカ微粒子の表面をシランまたはシロキサンで部分的に化学的処理した疎水性シリカ微粒子が最適である。このような疎水性シリカ微粒子は、ケイ素同士の親和性などによりシリコーン化合物と親和性が有り、かつ、シラノール基により極性有機溶媒とも親和性があるため、乳化剤として有効に機能する。疎水性シリカ微粒子の市販品としては、例えば、日本アエロジル株式会社製 アエロジルR974、R972、R972CF等が挙げられる。
疎水性シリカ微粒子は、一次平均粒子径が10〜20nmのものが好ましい。一次平均粒子径が10nm以上であれば、粒子の凝集によるインキの粘度上昇を抑制する効果が高く、また、20nm以下であれば、ペン先での目詰まりや書き始めの筆記描線のカスレ発生を抑制する効果が高い。一次平均粒子径は透過型電子顕微鏡(TEM)などによる画像解析法などで測定が可能である。
疎水性シリカ微粒子の含有量は、油性ボールペン用インキ組成物全量に対して0.01〜3.0質量%が好ましく、より好ましくは0.05〜2.0質量%、さらに好ましくは0.1〜1.0質量%である。0.01質量%未満では顕著な効果が得られにくく、3.0質量%を超えるとインキ粘度が高くなったり、粒子が凝集して筆記不能を発生させる要因となったりすることがある。
本発明のエマルションにおいて用いるシリコーン化合物としては、ピッカリングエマルションを形成可能な非反応性のシリコーン化合物であれば特に限定されるものではなく、側鎖型、両末端型、片末端型、側鎖両末端型等を使用可能である。これらのシリコーン化合物は、極性有機溶媒に相溶しないシリコーン化合物であることが望ましい。非反応性のシリコーン化合物のなかでも、非反応性の側鎖型の変性シリコーン化合物は変性された部分が局在しないため、両末端型、片末端型などに比べて、部分的に化学処理された疎水性シリカ微粒子及び極性有機溶剤双方に対して、相対的には幾分かの親和性を示しやすく、安定したエマルションを形成しやすいという利点がある。
非反応性の側鎖型の変性シリコーン化合物としては、
下記[化1]において、有機基がアラルキル基(例えば、C−CH(CH)−CH−)、アルキル基(例えば、−C2a+1)、アルキル基及びアラルキル基(例えば、C−CH(CH)−CH−、−C2a+1)、フロロアルキル基(例えば、−CHCHCF)である、アラルキル変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、アルキル・アラルキル変性シリコーン、フロロアルキル変性シリコーン、フェニル変性シリコーンから選ばれる非反応性の側鎖型変性シリコーンや、
下記[化2]において、R、R’がアルキル基、又は、アルキル基及びアラルキル基である、アルキル変性シリコーン、アルキル・アラルキル変性シリコーンから選ばれる非反応性の側鎖型変性シリコーンが、好ましい化合物として挙げられる。
これらのうち、[化2]においてRがアルキル基、R’がアラルキル基から選ばれるアルキル・アラルキル変性シリコーン化合物がより好ましい。
これらのシリコーン化合物はいずれも、水や極性有機溶媒に対して親和性が低く、これらの溶媒中においては、溶解せず、エマルションとして存在しうるものである。また、反応性の変性シリコーンのように経時的にゲル化や増粘することがないことや、インク中の染料などの他成分の溶解性を阻害することがない。
非反応性の側鎖型変性シリコーンの市販品としては、モメンティブパフォーマンスマテリアルズジャパン合同会社製 アルキル・アラルキル変性シリコーンとして、TSF4420、XF42−334、XF42−B3629や、アルキル変性シリコーンとして、TSF4421、XF42−A3161等が挙げられる。
Figure 2016060851
Figure 2016060851
また、本発明のエマルションにおいて用いるシリコーン化合物として、極性有機溶媒に相溶しない低HLBのポリグリセリン変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、ポリエーテル・アルキル・アラルキル変性シリコーンから選ばれる界面活性剤や非反応性の側鎖型変性シリコーンが、好ましい化合物として挙げられる。これらのシリコーン化合物はいずれも極性基を有しながらも、極性有機溶媒に相溶しない低HLBのものは、水や極性有機溶媒に対して親和性が低く、これらの溶媒中においては、溶解せず、エマルションとして存在しうるものである。
ポリグリセリン変性シリコーンは、シリコーン鎖から分岐したポリグリセリン鎖を有した界面活性剤やシリコーン鎖からポリグリセリン鎖とアルキル鎖を共変性した界面活性剤が挙げられる。このような変性シリコーンの市販品としては、信越シリコーン株式会社製 ポリグリセリン変性シリコーン KF6104、KF6105等が挙げられる。
ポリエーテル変性シリコーンは、上記[化1]において、有機基がポリエーテル基(−R(C2xO)R´、x=2〜3)を有するポリエーテル変性シリコーン化合物が挙げられる。このなかでも、ポリオキシエチレン基、または、ポリオキシエチレン基/ポリオキシプロピレン基を有するポリエーテル変性シリコーン化合物が好ましい。低HLBのシリコーン化合物は、市販のものを用いることができるが、変性することでHLBを調整したものを用いても良い。HLBを高くする効果のある変性基としては、エーテル変性を挙げることができ、HLBを低くする効果のある変性基としては、アルキル変性、フロロアルキル変性を挙げることができる。このような変性シリコーンの市販品としては、信越シリコーン株式会社製 KF945、KF6020、X22−4515等が挙げられる。
シリコーン化合物の含有量は、油性ボールペン用インキ組成物全量に対して0.05〜3.0質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜1.0質量%である。0.05質量%未満では顕著な効果が得られにくいことがあり、3.0質量%を超えるとインキ粘度が高くなったり、凝集、合一によってインキ中で分離するなどの不具合を発生させる要因となることがある。シリコーン化合物は、単独で、または二種以上を組み合わせて使用しても良い。
本発明のエマルションにおいて用いる極性有機溶媒としては、アルコール類、グリコール類、グリコールエーテル類、セロソルブ類などの、後記する着色剤、樹脂、添加剤に対し、油性ボールペン用インキ組成物に求められる溶解能や分散能を発揮する公知の溶剤を使用できる。
具体的には、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、t−ブタノール、ベンジルアルコール、フェノキシエタノール、グリセリン等のアルコール類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール等のグリコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノピロピルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル等のグリコールエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテルアセタート、フェニルセロソルブ等のセロソルブ類;等が挙げられる。これらの極性有機溶媒のなかでも、ベンジルアルコール、フェノキシエタノール、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等が好ましい。極性有機溶媒は、単独で、または2種以上を組合せて使用できる。
極性有機溶媒の含有量は、インキ粘度、シリカの分散性等を考慮すると、油性ボールペン用インキ組成物全量に対し、30.0〜90.0質量%の範囲とすることが好ましく、より好ましくは50.0〜70.0質量%の範囲である。極性有機溶媒は、油性ボールペン用インキとしての基本性能を確保するために必要なものであり、シリカ微粒子、着色剤、樹脂を分散もしくは溶解させることは勿論、適度な筆記線の乾燥性を得るために必要なものである。
本発明のエマルションを含有する油性ボールペン用インキ組成物の製造方法としては、各種方法が採用できる。例えば、疎水性シリカ微粒子を適量の極性有機溶媒に動的光散乱粒度分布測定において0.1μm程度の平均粒子径に分散させた後、この分散系の中にシリコーン化合物を添加し、撹拌して乳化分散させることによりピッカリングエマルションを得ることができる。疎水性シリカ微粒子の分散手段としては、ディスパー等の混合機、サンドミル、ビーズミル、高圧ホモジナイザー、ホモミキサー等の混合装置を使用でき、エマルション作製時の撹拌手段としては、例えば、アンカー翼、タービン翼、パドル翼、ディスパー、ホモミキサー等の均一混合できる方法であれば特に制限はない。分散温度は15〜30℃が好ましく、20〜25℃がより好ましい。分散させる際、エマルションを安定化させるための界面活性剤は、ピッカリングエマルションの形成を阻害しない範囲であれば添加しても良く、添加しなくても良い。シリコーン化合物のエマルション粒子径0.3μm〜5.0μmの範囲を目安として分散させることが、本発明においては安定的で効果的である。なお、エマルションの形成状態及び形成されたエマルション粒子径は、動的光散乱式粒度分布測定機、レーザー回折式粒度分布測定機、光学顕微鏡等により観察、測定することができる。
次いで、得られたエマルションと、着色剤、樹脂、極性有機溶媒、その他添加剤とを均一に撹拌、混合することにより、油性ボールペン用インキ組成物が得られる。撹拌には、ミキサー、ホモジナイザー、ディスパー、ロールなどの撹拌機や分散機による方法を用いることができる。
あるいは、予め、極性有機溶媒、疎水性シリカ微粒子、シリコーン化合物を高濃度で分散させておき、極性有機溶媒で一定濃度に希釈した後、着色剤、樹脂、その他添加剤を添加し、撹拌、混合する方法でも良い。
エマルション形成する際、シリコーン化合物と疎水性シリカ微粒子の含有量が、大きく乖離することのない量であることが好ましい。疎水性シリカ微粒子の割合が多くなると筆記時のカスレが生じ易くなり、反対にシリコーン化合物の割合が多くなると先漏れが発生し易くなる。シリコーン化合物と疎水性シリカ微粒子の含有割合(質量比)は、好ましくは1:0.2〜1:7、より好ましくは1:0.5〜1:5の範囲が望ましい。
本発明の油性ボールペン用インキ組成物では、シリカ微粒子とシリコーン化合物の含有量は、当該インキ組成物全量に対し0.05〜8質量%となるよう、エマルションを配合することが好ましい。0.05質量%未満では先漏れ防止効果が不十分となる恐れがあり、8質量%を超えると保存後の筆記性不良や、書き始めの筆記線にカスレが生じる恐れがある。より好ましい含有量は、インキ組成物全量に対し0.15〜5質量%である。
本発明で用いる着色剤としては、通常、筆記具や塗料用インキに使用される公知の染料や顔料を使用することが可能である。着色剤は、単独で、または2種以上を組み合わせて使用できる。
染料としては、アルコール可溶性染料、油溶性染料、含金染料、塩基性染料、酸性染料、直接染料、及び各種造塩タイプの染料が使用可能である。例えば、ニグロシンベース、スピロンブラックGMHスペシャル、スピロンブルー#111、スピロンバイオレットC−RH、同#510、スピロンレッド#530、同C−GH、同C−BH、スピロンオレンジ#6、同GRH、スピロンイエロー2GH、同C−GH、同#510、同#530、バリファストブラック#1802、同#1805、同#3820、バリファストブルー#1601、バリファストバイオレット#1701、バリファストイエローAUM、同#3104、バリファストレッド#2320、同#1320、オーラミン、ローダミン、メチルバイオレッドベース、ビクトリアブルーベースなどが挙げられる。
顔料としては、無機顔料や有機顔料をそのまま用いることが可能であり、樹脂や界面活性剤などで表面改質した加工顔料や分散トナーを使用することも可能である。例えば、酸化チタン、カーボンブラック、金属粉、フタロシアニン顔料、アゾ顔料、アンスラキノン顔料、キクナドリン顔料、ニトロ顔料、ニトロソ顔料などが挙げられる。着色剤として顔料を配合する場合は、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、アクリル樹脂の他、界面活性剤などの分散剤を添加することができる。
着色剤の含有量は、特に制限はなく、着色剤の溶解度や分散力に応じた量或いは所望の色相や濃度に適した量であれば良い。着色剤の好ましい含有量は、インキ全量に対し5〜40質量%である。
本発明で用いる樹脂としては、ケトン樹脂、ロジン樹脂、スルフォアミド樹脂、マレイン酸樹脂、エステルガム、キシレン樹脂、アルキッド樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルピロリドン、ポリビニルブチラールなどが挙げられ、これらの樹脂は、単独で用いても良いし、2種以上を混合しても良い。樹脂は、インキの保存安定性の観点より、配合する極性有機溶剤に溶解可能な樹脂であることが好ましい。樹脂の好ましい含有量は、インキ全量に対し0.1〜30.0質量%である。
本発明の油性ボールペン用インキ組成物には、その他必要に応じて、本発明による効果を阻害しない限度において、界面活性剤、防腐剤、防錆剤、潤滑剤、pH調整剤など、油性ボールペン用インキに使用されている各種添加剤を用いることが可能である。
油性ボールペン用インキ組成物の粘度は、特に限定されるものでないが、軽い筆記感を得るためには25℃において500〜4,000mPa・sの範囲が好ましく、この粘度範囲では上記したピッカリングエマルションの作用により、長期保管による先漏れを発生することがない。
本発明のボールペンは、インキ収容管、ボール、チップホルダー、ボールを押圧するためのスプリング、それらを組み付けてインキ収容管と接合させるためのジョイント、ペン軸などから構成され、該インキ収容管に前記した本発明のボールペン用インキ組成物を充填したものであるが、ボールペンの構成はこれに限定されるものではない。インキ収容管はリフィールであっても良い。
以下、本発明を実施例及び比較例によって詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1〜10)
表1に示す配合組成に従い、油性ボールペン用インキ組成物を調製した。フェニルグリコール、疎水性シリカ微粒子(下記(*1))をビーズミルに入れ、20〜25℃、5,000rpmで2時間運転させて疎水性シリカ微粒子の分散体を得た。更にシリコーン化合物を上記分散体中に添加し、ホモミキサーで8,000rpm×15分間運転させ、シリコーン化合物と疎水性シリカ微粒子のピッカリングエマルション分散体を得た。その後、ベンジルアルコール、染料、樹脂、ポリビニルピロリドン、リン酸エステル界面活性剤を添加し、溶解、混合させて、油性ボールペン用インキを得た。
なお、ピッカリングエマルションの調整方法は、あらかじめ、フェニルグリコール、疎水性シリカ微粒子、シリコーン化合物を高濃度で分散させておき、フェニルグリコール、ベンジルアルコールで一定濃度に希釈後、染料、ケトン樹脂、ポリビニルピロリドン、界面活性剤を添加していく方法でも良い。
(実施例11〜13)
表1に示す配合組成に従い、油性ボールペン用インキ組成物を調製した。フェニルグリコール、ベンジルアルコール、カーボンブラック、分散剤としてポリビニルブチラールをビーズミルに5,000rpmで2時間運転させて、色材分散体を得た。この時、この色材分散体は高濃度で作製した。一方、フェニルグリコール、疎水性シリカ微粒子をビーズミルに入れ、5,000rpmで2時間運転させて、疎水性シリカ微粒子の分散体を作製後、更にシリコーン化合物を上記分散体中に添加し、ホモミキサーで8,000rpm×15分間運転させ、シリコーン化合物と疎水性シリカ微粒子のピッカリングエマルション分散体を得た。この時、このピッカリングエマルションは高濃度で作製した。上記の高濃度色材分散体、上記高濃度ピッカリングエマルション、フェニルグリコール、ベンジルアルコールを混合させた後、染料、ケトン樹脂、ポリビニルピロリドン、リン酸エステル界面活性剤を添加し、溶解、混合させて油性ボールペン用インキを得た。
(比較例1)
実施例1において、疎水性シリカ微粒子の替わりに親水性シリカ微粒子(アエロジル#200;日本アエロジル(株))を用いた以外は、実施例1と同様の方法で油性ボールペン用インキを得た。
(比較例2)
実施例1において、シリコーン化合物の分量を疎水性シリカ微粒子に全量置き換えた以外は、実施例1と同様の方法で油性ボールペンインキを得た。
(比較例3)
実施例1において、疎水性シリカ微粒子の分量をシリコーン化合物に全量置き換えた以外は、実施例1と同様の方法で油性ボールペンインキを得た。
(*1)アエロジルR974(日本アエロジル(株))一次平均粒子径16nm
(*2)
Figure 2016060851
(*3)ポリグリセリル−3ポリジメチルシロキシエチルジメチコン
(*4)
Figure 2016060851
(*5)
Figure 2016060851
実施例及び比較例で得た油性ボールペン用インキの試験方法は以下の通りである。評価結果を表1に示す。
Figure 2016060851
[粘度]油性ボールペン用インキ組成物の粘度は、東機産業株式会社製 TV−22型粘度計を用いて測定した。測定温度:25℃、ローターNo.01、回転速度10rpm。
[書き味試験];JIS P 3201 に規定される筆記用紙Aを用いて、手書きによる官能試験を行い、その時の書き味の重さ、軽さを評価した。
[先漏れ試験];スプリングを内部に挿入したチップを持つノック式のボールペンの形態で、ペン先を下向きとし、40℃80%環境下に2週間静置した後のチップ先端からのインキの漏れ出しが有るか、無いかを評価した。
[保存後の筆記性];油性ボールペン用インキ組成物を50℃、Dry、4週間静置した後に、JIS P 3201 に規定される筆記用紙Aに筆記した際のカスレ発生の有無を評価した。
表1の結果から、エマルション化した疎水性シリカ微粒子とシリコーン化合物を使用した実施例のインキ組成物は、低粘度で筆記感が軽い上に、先漏れがなく、保存後の筆記性に優れていることがわかる。インキ組成物中の疎水性シリカ微粒子とシリコーン化合物の量を増やすことにより、低粘度で筆記感が非常に軽くなることが認められた。
一方、親水性シリカ微粒子は、低粘度で筆記感が軽いという特性は得られるものの、親水性シリカのシリコーン化合物に対する吸着力が弱く、シリカ微粒子とシリコーン化合物が分離し、凝集してしまう現象に加え、吸湿による水分混入でシリカ微粒子どうしのシラノール結合が低下する現象が見られ、先漏れが発生した。
本発明の油性ボールペン用インキ組成物を用いることにより、長期間の保管によっても先漏れが発生せず、しかも水性ボールペンのような軽い筆記感を有する油性ボールペンを提供することができる。

Claims (9)

  1. 疎水性シリカ微粒子、非反応性のシリコーン化合物及び極性有機溶媒を含有するエマルションであって、前記極性有機溶媒を分散媒とし、前記シリコーン化合物を分散質とし、前記疎水性シリカ微粒子が界面に吸着して形成されたエマルションを含有することを特徴とする油性ボールペン用インキ組成物。
  2. 前記シリコーン化合物が、前記極性有機溶媒に相溶しないシリコーン化合物である請求項1に記載の油性ボールペン用インキ組成物。
  3. 前記シリコーン化合物が、非反応性の側鎖型の変性シリコーン化合物である請求項1または2に記載の油性ボールペン用インキ組成物。
  4. 前記シリコーン化合物が、アルキル基、アラルキル基、アルキル・アラルキル基、フェニル基、フロロアルキル基を有する非反応性の側鎖型の変性シリコーン化合物から選ばれる1種または2種以上の混合物である請求項1〜3のいずれかに記載の油性ボールペン用インキ組成物。
  5. 前記シリコーン化合物が、前記極性有機溶媒に相溶しないポリグリセリン変性シリコーン化合物、ポリエーテル変性シリコーン化合物、ポリエーテル・アルキル・アラルキル変性シリコーンから選ばれる1種または2種以上の混合物である請求項1〜3のいずれかに記載の油性ボールペン用インキ組成物。
  6. 前記シリカ微粒子及び前記シリコーン化合物の含有量が、当該インキ組成物全量に対し0.05〜8質量%であり、かつ、シリカ微粒子とシリコーン化合物の含有割合が、1:0.2〜1:7の範囲である請求項1〜5のいずれかに記載の油性ボールペン用インキ組成物。
  7. さらに、着色剤と、前記極性有機溶剤に溶解可能な樹脂と、を含有する請求項1〜6のいずれかに記載の油性ボールペン用インキ組成物。
  8. 25℃における粘度が500〜4,000mPa・sである請求項7に記載の油性ボールペン用インキ組成物。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の油性ボールペン用インキ組成物を充填したインキ収容管を有することを特徴とする油性ボールペン。
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