JP2004027081A - 中芯式多色マーキングペンとそのためのインク - Google Patents

中芯式多色マーキングペンとそのためのインク Download PDF

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Abstract

【課題】時間の経過の後も、安定して、グラデーション効果の高い筆跡を与える中芯式多色マーキングペンとそのための水性顔料インクを提供する。
【解決課題】本発明による中芯式多色マーキングペン用水性顔料インクは、温度20℃でのE型回転粘度計による粘度測定において、せん断速度200s−1 のときの粘度が3〜12mPa・sの範囲にあり、せん断速度10s−1 のときの粘度/せん断速度200s−1 のときの粘度で定義されるTI値が1.2〜4の範囲にあると共に、温度20℃での応力下の粘度測定において、応力が0.01Paのときの粘度が45mPa・s以上であり、応力が10Paのときの粘度が12mPa・s以下であることを特徴とする。
【選択図】なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、中芯式多色マーキングペンとそのためのインクに関し、詳しくは、経時的に安定して、所謂グラデーション効果を有する筆跡を与える中芯式多色マーキングペンとそのための水性顔料インクに関する。
【0002】
【従来の技術】
一軸のペン先を有しながら、筆記したとき、描いた線のほぼ中心線が第1の色と第2の色の混合色からなり、その中心線から幅方向にそれぞれ第1の色と第2の色に無段階に色が変化する筆跡、即ち、所謂グラデーション効果を有する筆跡を与える中芯式多色マーキングペンは、例えば、特開2000−43469公報や実用新案登録第3064273号公報に記載されているように、既に、知られている。
【0003】
このような中芯式多色マーキングペンは、これを用いて筆記すると、それぞれのインクがそれぞれのインクタンクからインク供給体を経てペン先に供給されて、上述したようなグラデーション効果を有する筆跡を与えるようにしたものであるが、しかし、従来の多色マーキングペン用インクにおいては、時間が経過すれば、それぞれのインクタンクから共通のインク供給体に供給されたそれぞれのインクがこのインク供給体で混合して、実質的に単一色のインクを形成するので、グラデーション効果の鮮明な筆跡を得ることができなかった。他方、インク供給体におけるインクの混合を避けるために、インクを余りに高い粘度とすれば、ペン先からインクが円滑に流れなくなって、筆記性が悪くなるという問題があった。
【0004】
また、多色マーキングペンにおいては、筆跡が堅牢性や隠蔽性にすぐれるところから、従来、着色剤として顔料インクが好んで用いられるが、反面、顔料インクは、経時的に中芯内で顔料が沈降して、筆跡に濃淡(色別れ)を生じたり、また、ペン先でインクが目詰まりを起こして、筆記のかすれを引起し、場合によっては、筆記を不可能とすることさえあった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、顔料インクを用いる従来の中芯式多色マーキングペンにおける上述したような問題を解決するためになされたものであって、時間の経過の後も、安定して、グラデーション効果の高い筆跡を与える中芯式多色マーキングペンとそのための水性顔料インクを提供することを目的とする。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明による中芯式多色マーキングペン用水性顔料インクは、温度20℃でのE型回転粘度計による粘度測定において、せん断速度200s−1 のときの粘度が3〜12mPa・sの範囲にあり、せん断速度10s−1 のときの粘度/せん断速度200s−1 のときの粘度で定義されるTI値が1.2〜4の範囲にあると共に、温度20℃での応力下の粘度測定において、応力が0.01Paのときの粘度が45mPa・s以上であり、応力が10Paのときの粘度が12mPa・s以下であることを特徴とする。
【0007】
また、本発明による中芯式多色マーキングペンは、中空筒状のペン軸と、このペン軸内に収容した2以上のインクタンクと、先端を上記ペン軸から突出させて一軸のペン先を形成させると共に、基端部を分割してそれぞれ上記2以上のインクタンクに挿通させたインク供給体とからなる多色マーキングペンにおいて、上記2以上のインクタンクにそれぞれ上述した特性を有する色の相違するインクを充填してなることを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明による中芯式多色マーキングペンの一実施例を示す要部断面図であり、図2は、インク供給体を示す平面図である。
【0009】
本発明において、多色マーキングペンとは、図1及び図2に示したように、中空筒状のペン軸1と、このペン軸内に収容した2以上、通常、2又は3のインクタンク2と、先端を上記ペン軸から突出させて一軸のペン先3を形成させると共に、基端部を分割してそれぞれ上記2以上のインクタンクに挿通させたインク供給体4とからなる。
【0010】
このような多色マーキングペンにおいて、上記インクタンク中には中芯(又は中綿)と呼ばれるインク含浸体にインクを含浸させて、インクが貯蔵されている。このインク含浸体は、通常、繊維束から形成されており、インク供給体は、例えば、フェルトチップ、繊維束、プラスチツク成形物等から形成されている。筆記に際しては、インクは、上記インク含浸体から毛細管現象を利用して、インク供給体を経て、ペン先に供給され、かくして、筆記が可能となる。
【0011】
例えば、第1の色のインクのインクタンクと第2の色のインクのインクタンクとを有する多色マーキングペンを例にとれば、一軸のペン先を有しながら、筆記したとき、描いた線のほぼ中心線が第1の色と第2の色の混合色からなり、その中心線から幅方向にそれぞれ第1の色と第2の色に無段階に色が変化する筆跡、即ち、所謂グラデーション効果を有する筆跡を与える。
【0012】
本発明によれば、このような多色マーキングペンのためのインクとして、温度20℃でのE型回転粘度計による粘度測定において、せん断速度200s−1 のときの粘度が3〜12mPa・sの範囲にあり、せん断速度10s−1 のときの粘度/せん断速度200s−1 のときの粘度で定義されるTI値が1.2〜4の範囲にあると共に、温度20℃での応力下の粘度測定において、応力が0.01Paのときの粘度(以下、静的粘度ということがある。)が45mPa・s以上であり、応力が10Paのときの粘度(以下、動的粘度ということがある。)が12mPa・s以下であるものが用いられる。
【0013】
このような本発明による多色マーキングペンのためのインクは、通常、溶剤、隠蔽剤、着色剤、定着用樹脂及び増粘剤を含み、更に、必要に応じて、湿潤剤、乾燥促進剤、レベリング剤等を含む。
【0014】
本発明によれば、上記溶剤として、水が用いられる。インクにおける水の量は、特に、限定されるものではないが、通常、50〜90重量%、好ましくは60〜85重量%の範囲である。
【0015】
また、本発明によるインクは、筆跡に隠蔽性(不透明性)を与えるために、隠蔽剤を含む。このような隠蔽剤としては、例えば、酸化チタン、中空樹脂粒子、偏平樹脂粒子、板状アルミナ、フレーク状窒化ホウ素等が用いられるが、これらに限定されるものではない。しかし、本発明によれば、隠蔽剤として、白色顔料である酸化チタンが好ましく用いられる。このような隠蔽剤は、通常、インクにおいて、1〜30重量%の範囲、好ましくは、2〜15重量%の範囲で用いられる。インクにおいて、隠蔽剤の割合が30重量%を越えるときは、得られるインクの粘度が高すぎて、筆記時にペン先で目詰まりを起こしやすい。しかし、インクにおける割合が1重量%よりも少ないときは、得られるインクが隠蔽力に劣る。
【0016】
本発明によれば、着色剤として、有彩色顔料、黒色顔料、着色樹脂粒子、アルミニウム粉顔料等が用いられる。上記有彩色顔料は、無機顔料でも有機顔料でもよい。このような着色剤は、インクにおいて、通常、1〜50重量%の範囲、好ましくは、3〜30重量%の範囲で用いられる。インクにおける着色剤の割合が50重量%を越えるときは、得られるインクの粘度が高すぎて、筆記時にペン先で目詰まりを起こしやすい。しかし、インクにおける割合が1重量%よりも少ないときは、実用的な濃度の筆跡が得られない。
【0017】
本発明によれば、上述した隠蔽剤や着色剤は、これらを、予め、分散剤を用いて、水に分散させた分散体として、用いることが好ましい。上記分散剤としては、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体等の樹脂や界面活性剤が好ましく用いられるが、しかし、これらに限定されるものではない。また、酸化チタンや着色した樹脂球のそのような分散体は、市販品としても入手することができる。
【0018】
更に、本発明によるインクには、適宜の筆記面上に筆記し、水が揮散した後に、筆跡を筆記面に定着させるために、常温で造膜性を有する定着用樹脂が用いられる。この定着用樹脂としては、通常、水溶性樹脂が用いられる。このような水溶性樹脂としては、例えば、水不溶性の樹脂も、エマルジョンとして用いられる。従って、常温で造膜性を有する定着用樹脂の具体例として、例えば、ポリビニルアルコールやポリビニルピロリドン等のような水溶性樹脂のほか、ポリアクリル酸、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体等をアルカリ金属やアンモニア等にて可溶化したアルカリ水溶液可溶性樹脂を挙げることができる。
【0019】
しかし、水不溶性樹脂であっても、エマルジョンとして用いることができる。このような樹脂エマルジョンとしては、例えば、酢酸ビニル樹脂や種々の酢酸ビニル共重合体の樹脂エマルジョン、アクリル樹脂、スチレン−アクリル酸共重合体、ウレタン樹脂等のエマルジョンを挙げることができる。
【0020】
このような定着用樹脂は、本発明によれば、インクにおいて、通常、1〜15重量%の範囲、好ましくは、1.5〜10重量%の範囲で用いられる。インクにおいて、定着用樹脂の割合が15重量%を越えるときは、得られるインクの粘度が高すぎて、筆記時にペン先で目詰まりを起こす。他方、インクにおける割合が1重量%よりも少ないときは、筆跡が定着性に劣る。
【0021】
本発明によるインクは、増粘剤を含み、これによって、温度20℃でのE型回転粘度計による粘度測定において、せん断速度200s−1 のときの粘度が3〜12mPa・sの範囲にあり、せん断速度10s−1 のときの粘度/せん断速度200s−1 のときの粘度で定義されるTI値が1.2〜4の範囲にあると共に、温度20℃での応力下の粘度測定において、応力が0.01Paのときの粘度が45mPa・s以上であり、応力が10Paのときの粘度が12mPa・s以下であるように、それぞれの粘度が調節されている。
【0022】
本発明によれば、温度20℃において、応力が0.01Paのときの粘度が45mPa・sよりも小さいインクは、時間の経過につれて、顔料が中芯内で沈降し、一方、応力10Paのときの粘度が12mPa・sよりも大きいインクは、筆記に際して、ペン先からの流出性がよくなく、筆跡にかすれを生じる。
【0023】
次に、従来よりマーキングペン用インクとして、一般に用いられているインクは、ほぼニュートン流体の性質を有しており、そのようなインクは、動的粘度と静的粘度が共に低く、且つ、ほぼ等しい値を有する。従って、このようなインクは、インク供給体中で相互に混じり合って、単色のインクを形成するので、多色マーキングペン用インクとして使用することができない。しかしながら、本発明のインクによれば、動的粘度は、従来のニュートン流体の性質を有するマーキングペン用インクと同じ程度に低いので、従来のマーキングペンと同様に筆記することができるが、不使用時には、静的粘度が動的粘度に比べて著しく高く、チキソトロピーを有するので、多色マーキングペン用インクとして用いるとき、インク供給体中で相互に混じり合うことがなく、相互に分離しており、そして、筆記すれば、グラデーション効果を有する筆跡を与えるのである。
【0024】
このように、本発明によるインクは、温度20℃におけるE型回転粘度計による粘度条件と温度20℃における応力下の粘度条件(即ち、静的粘度と動的粘度に関する条件)の両方を満足することによって、経時的な色別れや顔料の沈降が起こらず、しかも、インク供給体におけるインクの混合を防止して、時間が経過しても、グラデーション効果が高い筆跡を安定して形成することができる。
【0025】
本発明によるインクおいては、上記増粘剤として、通常、水溶性樹脂が好ましく用いられる。具体例として、例えば、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸アルカリ金属塩、例えば、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等や、ポリアクリル酸有機アミン塩、例えば、アンモニウム塩、トリエチルアミン塩、トリエタノールアミン塩等や、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、カルボキシメチルセルロース、ポリ−N−ビニルアセトアミド、ポリオールやポリエーテル、なかでも、種々の変性ポリオールや変性ポリエーテル等を挙げることができる。これらのなかでは、特に、ポリアクリル酸やポリアクリル酸アンモニウム塩が好ましく用いられる。
【0026】
このような増粘剤は、インクにおいて、得られるインクが上述した範囲の粘度を有するように配合される。従って、増粘剤の配合量は、一律に定めることができないが、例えば、ポリアクリル酸やポリアクリル酸アンモニウム塩の場合であれば、インクに基づいて、通常、0.01〜4重量%の範囲、好ましくは、0.5〜3重量%の範囲で用いられる。
【0027】
本発明によるインクには、必要に応じて、湿潤剤が用いられる。この湿潤剤としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の多価アルコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等のアルキレングリコールモノアルキルエーテル等を挙げることができる。このような湿潤剤は、通常、インクにおいて、20重量%以下、好ましくは、10重量%以下の範囲で用いられる。
【0028】
他方、必要に応じて、インクの乾燥促進剤も用いられる。乾燥促進剤としては、例えば、エタノール、イソプロピルアルコール等の低級脂肪族アルコールが好ましく用いられる。乾燥促進剤も、インクにおいて、20重量%以下、好ましくは、10重量%以下の範囲で用いられる。
【0029】
また、必要に応じて、レベリング剤も用いられる。レベリング剤としては、界面活性剤が好ましく用いられる。そのような界面活性剤の具体例としては、例えば、ジアルキルスルホ琥珀酸エステルナトリウム(例えば、第一工業製薬(株)製ネオコールYSK)、アルキルスルホ琥珀酸ナトリウム(例えば、サンノプコ(株)製ノプコウェット50)、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物(例えば、ダイキン工業(株)製ユニダインDS−401)、アセチレングリコール(例えば、日信化学工業(株)製サーフィノール104H)等を挙げることができる。
【0030】
そのほか、本発明によるインクにおいては、必要に応じて、防錆剤、防腐防かび剤、pH調節剤、消泡剤等が適宜に用いられる。
【0031】
本発明によるこのようなインクは、特に、中芯が糸密度0.150〜0.260g/cm3 の繊維束からなるものを用いた中芯式多色マーキングペンに用いたときに、特に、経時的な筆跡の色別れや中芯での顔料の沈降がなく、安定して、グラデーション効果が高い筆跡を与える高性能の中芯式多色マーキングペンを得ることができる。
【0032】
更に、本発明において用いるインクは、その製造方法において何ら限定されるものではないが、例えば、顔料分散体を攪拌しながら、これに隠蔽剤を加え、pHを調節した後、定着用樹脂、増粘剤を加え、必要に応じて、その他を加え、攪拌することによって得ることができる。
【0033】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。以下の実施例及び比較例において、成分量は重量%にて示されており、残部は水である。
【0034】
実施例1(インクAの調製)
着色樹脂粒子分散体1)                     45.0
酸化チタン分散体2)                       5.0
定着用樹脂(スチレン−アクリル酸共重合体ジョンクリルJ623)) 5.0
増粘剤(ポリアクリル酸アンモニウム4))             3.0
エチレングリコール                       3.0
界面活性剤剤(アセチレングリコール5))             0.5
防腐防かび剤                          0.3
【0035】
実施例2(インクBの調製)
酸化チタン分散体                       15.0
フタロシアニンブルー分散体6)                 25.0
定着用樹脂(スチレン−アクリル酸共重合体ジョンクリルJ62)  2.0
増粘剤(ポリアクリル酸アンモニウム)              4.0
エチレングリコール                       4.0
界面活性剤剤(アセチレングリコール)              0.5
防腐防かび剤                          0.3
【0036】
実施例3(インクCの調製)
酸化チタン分散体                       20.0
アゾ系黄色顔料分散体7)                    20.0
定着用樹脂(スチレン−アクリル酸共重合体ジョンクリルJ62)  3.0
増粘剤(ポリアクリル酸アンモニウム)              5.0
エチレングリコール                       3.0
界面活性剤(ジアルキルスルホ琥珀酸エステルナトリウム)     0.2
防腐防かび剤                          0.3
【0037】
実施例4(インクDの調製)
着色樹脂粒子分散体8)                     45.0
酸化チタン分散体                        5.0
定着用樹脂(スチレン−アクリル酸共重合体ジョンクリルJ709)) 5.0
増粘剤(ウレタンポリオール10) )                4.0
プロピレングリコール                      4.0
界面活性剤剤(アセチレングリコール)              0.5
防腐防かび剤                          0.3
【0038】
実施例5(インクEの調製)
アゾ系黄色顔料分散体                     20.0
アルミニウム粉顔料ペースト11)                  6.0
定着用樹脂(スチレン−アクリル酸共重合体ジョンクリルJ62)  5.0
定着用樹脂(スチレン−アクリル酸共重合体ジョンクリルJ153512) 
8.0増粘剤(ポリアクリル酸アンモニウム)              3.0
エチレングリコール                       3.0
界面活性剤(ジアルキルスルホ琥珀酸エステルナトリウム)     0.3
界面活性剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩)    0.5
防腐防かび剤                          0.3
【0039】
実施例6(インクFの調製)
フタロシアニンブルー分散体                  25.0
アルミニウム粉顔料ペースト                   6.0
定着用樹脂(スチレン−アクリル酸共重合体ジョンクリルJ62)  4.0
定着用樹脂(スチレン−アクリル酸共重合体ジョンクリルJ1535)6.0
増粘剤(ポリアクリル酸アンモニウム)              5.0
エチレングリコール                       3.0
界面活性剤(ジアルキルスルホ琥珀酸エステルナトリウム)     0.3
界面活性剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩)    0.7
防腐防かび剤                          0.3
【0040】
比較例1(インクGの調製)
着色樹脂粒子分散体1)                            45.0
酸化チタン分散体(固形分65%)                5.0
定着用樹脂(スチレン−アクリル酸共重合体ジョンクリルJ62)  5.0
増粘剤(ポリアクリル酸13) )                  0.1
エチレングリコール                       3.0
界面活性剤剤(アセチレングリコール)              0.5
防腐防かび剤                          0.3
【0041】
比較例2(インクHの調製)
着色樹脂粒子分散体8)                     45.0
酸化チタン分散体                        5.0
定着用樹脂(スチレン−アクリル酸共重合体ジョンクリルJ70)  5.0
増粘剤(ウレタンポリオール)                  4.5
プロピレングリコール                      4.0
界面活性剤剤(アセチレングリコール)              0.5
防腐防かび剤                          0.3
【0042】
比較例3(インクIの調製)
酸化チタン分散体                       15.0
フタロシアニンブルー分散体                  25.0
定着用樹脂(スチレン−アクリル酸共重合体ジョンクリルJ62)  2.0
エチレングリコール                       4.0
界面活性剤(ジアルキルスルホ琥珀酸エステルナトリウム)     0.5
防腐防かび剤                          0.3
【0043】
比較例4(インクJの調製)
酸化チタン分散体                       20.0
アゾ系黄色顔料分散体                     20.0
偏平樹脂球分散体14)                      15.0
定着用樹脂(スチレン−アクリル酸共重合体ジョンクリルJ62)  3.0
エチレングリコール                       3.0
界面活性剤(ジアルキルスルホ琥珀酸エステルナトリウム)     0.2
防腐防かび剤                          0.3
【0044】
(注)1)日本蛍光化学(株)製ルミコールNKW−2104(オレンジ、固形分55重量%)
2)酸化チタン55重量部とスチレン−アクリル酸共重合体9重量部にアンモニア水を加えて、スチレン−アクリル酸共重合体を溶解させた後、ボールミルで分散させて、固形分(酸化チタン)濃度65重量%の酸化チタン分散体とした。
3)ジョンソンポリマー(株)製スチレン−アクリル酸共重合体溶液
4)クラリアント社製MOWIPLAS XW−330(固形分30重量%)
5)日信化学工業(株)製サーフィノール104H
6)フタロシアニンブルー5重量部とスチレン−アクリル酸共重合体1重量部に水酸化ナトリウム水溶液を加え、スチレン−アクリル酸共重合体を溶解させた後、ボールミルで分散させて、平均粒径0.08μmの顔料分散体とした。固形分濃度は10重量%とした。
7)アゾ系黄色顔料(C.I.ピグメント・イエロー14)5重量部とスチレン−アクリル酸共重合体2重量部にアンモニア水を加え、スチレン−アクリル酸共重合体を溶解させた後、ボールミルで分散させて、平均粒径0.18μmの顔料分散体とした。固形分濃度は10重量%とした。
8)日本蛍光化学(株)製ルミコールNKW−2105(イエロー、固形分55重量%)
9)ジョンソンポリマー(株)製スチレン−アクリル酸共重合体溶液
10)旭電化(株)製アデカノールUH−752
11)東洋アルミニウム(株)製アルペーストWXM0660、アルミニウム粉顔料含有量60重量%
12)ジョンソンポリマー(株)製スチレン−アクリル酸共重合体エマルジョン13)三晶(株)製ケルザン
14)三井化学(株)製スチレン系樹脂粒子分散体ミューティクルPP240D
上記実施例及び比較例によるインキ組成物を糸密度0.185g/cm3 の繊維束からなる中芯に充填し、これにフェルトチップをペン先として取付けて試験用マーキングペンとし、これを用いて以下の試験を行った。結果を表1に示す。
【0045】
保存性
温度50℃において、ペン先を上向き、下向き又は横向きの状態で1か月保存した後、筆記して、筆跡の濃度が保存前と比べて変化のないときを○とし、変化のあるときを×とした。
【0046】
筆記性
室温において、荷重50g、筆記角度65°、筆記速度20cm/秒の条件下に筆記し、筆跡が正常であるときを○、筆跡にかすれがあるときを×とした。
【0047】
筆跡のグラデーション効果
ペン先の太字側を用いて筆記したとき、目視でグラデーションを確認することができるときを◎、目視によってはグラデーションを確認することができないが、しかし、ペン先の両側のエッジで筆記すれば、筆跡の色が相違することが目視で確認することができるときを○、ペン先の両側のエッジで筆記しても、筆跡の色の相違を目視で確認することができないときを×とした。結果を表2に示す。
【0048】
応力下の粘度測定
Haake社製粘度計RS75を用いて、20℃において、DG41ALローターでのCS−フローカーブを測定した。
【0049】
E型回転粘度計による粘度測定
トキメック社製E型粘度計ELDを用いて、20℃において、せん断速度Dが10S−1 (1°34’R24コーンで2.5rpmの回転数で測定したときのせん断粘度)のときと、せん断速度Dが200S−1 (1°34’R24コーンで50rpmの回転数で測定したときのせん断粘度)のときについて粘度を測定した。
【0050】
【表1】
Figure 2004027081
【0051】
【表2】
Figure 2004027081
【0052】
表1中の実施例に示されているように、温度20℃でのE型回転粘度計による粘度測定において、せん断速度200s−1 のときの粘度が3〜12mPa・sの範囲にあり、せん断速度10s−1 のときの粘度/せん断速度200s−1 のときの粘度で定義されるTI値が1.2〜4の範囲にあると共に、温度20℃において、応力が0.01Paのときの粘度(静的粘度)が45mPa・s以上であり、応力が10Paのときの粘度(動的粘度)が12mPa・s以下であるインクを用いた多色マーキングペンによれば、時間の経過の後にも、筆記の際に色別れが起こらず、また、中芯中で顔料の沈降がない。しかも、このようなインクを色違いで組合わせて、多色マーキングペン用インクとして用いるとき、表2に示すように、いずれの組合わせによっても、初期及び経時において、グラデーション効果にすぐれる筆跡を得ることができる。
【0053】
これに対して、表1中の比較例に示されているように、インクGは、増粘剤の配合量が少なすぎるので、応力τ=0.01Paのときの粘度(静的粘度)が低く、保存性に劣るのみならず、表2に示すように、このインクをインクAと組合わせて多色マーキングペンに用いるとき、筆跡は経時のグラデーション効果に劣る。インクHは、応力τ=10Paのときの粘度(動的粘度)が高すぎるので、筆記性に劣るのみならず、このインクをインクBと組合わせて多色マーキングペンに用いるとき、同様に、筆跡は経時のグラデーション効果に劣る。インクIとJも、応力τ=0.01Paのときの粘度(静的粘度)が低く、保存性に劣るのみならず、表2に示すように、このインクをそれぞれインクH及びIと組合わせて多色マーキングペンに用いるとき、筆跡は経時のグラデーション効果に劣り、初期もよくない。
【0054】
【発明の効果】
以上のように、本発明による中芯式多色マーキングペン用水性顔料インクによれば、増粘剤を配合して、TI値を規定すると共に、静的粘度と動的粘度とを規定することによって、経時的な色別れや隠蔽剤の沈降がなく、しかも、インク供給体でのインクの混合を防止して、時間の経過にかかわらず、グラデーション効果の高い筆跡を安定して形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による多色マーキングペンの一例を示す要部断面図である。
【図2】インク供給体を示す平面図である。
【符号の説明】
1…ペン軸
2…インクタンク
3…ペン先
4…インク供給体

Claims (6)

  1. 温度20℃でのE型回転粘度計による粘度測定において、せん断速度200s−1 のときの粘度が3〜12mPa・sの範囲にあり、せん断速度10s−1 のときの粘度/せん断速度200s−1 のときの粘度で定義されるTI値が1.2〜4の範囲にあると共に、温度20℃での応力下の粘度測定において、応力が0.01Paのときの粘度が45mPa・s以上であり、応力が10Paのときの粘度が12mPa・s以下であることを特徴とする中芯式多色マーキングペン用水性顔料インク。
  2. 増粘剤としてポリアクリル酸、ポリアクリル酸アルカリ金属塩、ポリアクリル酸有機アミン塩及びポリオールから選ばれる少なくとも1種を含有する請求項1に記載の中芯式多色マーキングペン用水性顔料インク。
  3. 隠蔽剤として酸化チタン、中空樹脂粒子、偏平樹脂粒子、板状アルミナ及びフレーク状窒化ホウ素から選ばれる少なくとも1種を含有する請求項1に記載の中芯式多色マーキングペン用水性顔料インク。
  4. 着色剤として有彩色顔料、着色樹脂粒子及びアルミニウム粉顔料から選ばれる少なくとも1種を含有する請求項1に記載の中芯式多色マーキングペン用水性顔料インク。
  5. 請求項1に記載の色の相違する少なくとも2種のインクの組合わせからなる中芯式多色マーキングペン用水性顔料インク。
  6. 中空筒状のペン軸と、このペン軸内に収容した2以上のインクタンクと、先端を上記ペン軸から突出させて一軸のペン先を形成させると共に、基端部を分割してそれぞれ上記2以上のインクタンクに挿通させたインク供給体とからなる多色マーキングペンにおいて、上記2以上のインクタンクにそれぞれ請求項1から4のいずれかに記載の色の相違する水性顔料インクを充填してなることを特徴とする中芯式多色マーキングペン。
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