JP2016060670A - ガラス積層体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
特許文献1には、100μm以下の厚みのガラスシート上に、紫外線硬化性組成物を直接塗布し、硬化させることで、該ガラスシートよりも薄い厚みを有する紫外線硬化樹脂層を積層した基板が開示されている。
特許文献2には、500μm以下の厚みのガラスフィルムに、200μm以下の厚みのポリマー層を形成するために、コーティングモジュール、UV照射経路及び乾燥経路を有する製造ラインが開示されている。
すなわち本発明は以下の通りである。
[2]前記積層体を準備する工程は、活性エネルギー線硬化性組成物を含む層、保護フィルム及びガラス板を一度に積層することを特徴とする、[1]に記載の製造方法。
[3]前記積層体を準備する工程は、保護フィルムに活性エネルギー線硬化性組成物を含む層を積層した後、ガラス板に積層して積層体とすることを特徴とする、[1]に記載の製造方法。
[4]前記保護フィルムがポリエチレンテレフタレート樹脂を含むことを特徴とする、[1]〜[3]のいずれかに記載の製造方法。
[5]前記剥離する工程後の、ガラス積層体における硬化樹脂層表面の平均面粗さが30nm以下であることを特徴とする、[1]〜[4]のいずれかに記載の製造方法。
[6]前記ガラス板の両面に硬化樹脂層が形成された、[1]〜[5]のいずれかに記載の製造方法。
本発明に用いられるガラス板は、厚みが100μm以下の板状のものであれば、任意の適切なものが採用され得る。材質としては、例えば、ソーダライムガラス、ホウケイ酸ガラス、無アルカリガラス等、ほぼいかなるガラス組成のものも適用でき、強化、表面処理等の二次加工を施したものも可能であり、いずれも用途により使い分けられる。
市販されている具体例としては、無アルカリガラスである日本電気硝子株式会社製「OA−10G」が挙げられる。
さらに好ましくは80μm以下である。0.1μm以上とすることで、機械的強度の極度の低下を防ぎ、硬化樹脂層が形成された際などのストレスによる破損を防ぐことができる。一方で、100μm以下とすることで、ガラス単体での製造効率を悪化させず、ハンドリング性に優れ、二次加工性改良を一つの目的とした硬化樹脂層の積層を効率良く行うことができる。
ガラス板の全光線透過率は、80%以上が好ましく、85%以上がより好ましく、90%以上が特に好ましい。80%以上であれば、ガラス積層体の光透過性を確保することができる。このようなガラス板は、公知のものを適宜選択することや、公知の方法で作製することで得ることができる。
尚、全光線透過率は、例えば、JIS K 7361に準拠する方法で測定することができる。このとき、例えば、透過率計(村上色彩技術研究所製「HR−100」)を用いることができる。
ガラス板の片面に活性エネルギー線硬化樹脂層が形成される場合には、その他方の面、即ち、硬化樹脂層が形成されない面の平均面粗さは、好ましくは10nm以下、より好ましくは5nm以下、さらに好ましくは2nm以下である。10nm以下であれば、該面上に、導電性やガスバリア性を付与する目的で、炭素及び各種金属、並びにその酸化物や窒化物の薄膜を0.1nmから数十nm程度の厚みで積層させた場合に均一な膜となりやすく、有機ELなどの薄膜デバイスを作製する際に好適に用いることができる。下限は、特には制限されないが、0.1nm以上であることが好ましい。このようなガラス板としては、公知のものを適宜選択することや、公知の方法で作製することで得ることができる。
算術平均粗さ(Sa)の測定方法:
非接触表面・層断面計測システムVertScan2.0(株式会社菱化システム製)を用いガラス板の表面観察(観察視野:93.97μm×71.30μm)を実施し、ガラス板の表面について、平均面粗さ(算術平均粗さSa)を算出する。
本発明に用いられる活性エネルギー線とは、重合反応を誘発するエネルギー線であれば特に限定されず、該活性エネルギー線の照射により硬化する硬化性組成物の組成、性質等に適した活性エネルギー線を用いることができる。例えば、電子線、紫外線、可視光線、赤外線などの、被照射体の電子軌道に影響を与え、ラジカル、カチオン、アニオンなどの重合反応の引き金と成りうるエネルギー線が挙げられる。これらは1種又は2種以上組み合わせて使用することができる。
具体例としては、高圧水銀ランプから発せられる紫外線などが挙げられる。
本発明では、ガラス積層体を準備する工程において、ガラス板の少なくとも片面に、該ガラス板と後述する保護フィルムとに挟まれる形で、活性エネルギー線硬化性組成物を含む層が積層される。
物を含む層を積層してもよい。
活性エネルギー線硬化性組成物は、前記活性エネルギー線によって重合反応が誘発され硬化する組成物であれば、該組成物に含まれる成分は特に限定されないが、少なくとも活性エネルギー線硬化性樹脂を含む。尚、本発明の効果を阻害しない他の成分や、本発明の効果を向上する他の成分を含んでもよい。そのような成分については後述する。
活性エネルギー線硬化性組成物に含まれる硬化性樹脂としては、前記活性エネルギー線によって重合反応が誘発され、硬化する樹脂であれば特に限定されないが、短時間かつ容易に硬化達成可能であることから、紫外線硬化性モノマー及びオリゴマーが好ましい例として挙げることができる。
例えば、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート等のモノマーやオリゴマーが用いられる。
さらに、これらのいくつかを例示すると、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、イソアミルアクリレート、エトキシジエチレングリコールアクリレート、メトキシジエチレングリコールアクリレートなど、1個以上の炭素−炭素二重結合を有する単官能および多官能のアクリルモノマー、メタクリルモノマー類が挙げられる。
なお、これらは1種又は2種以上組み合わせて使用することができる。
市販されている具体例を挙げれば、例えば、ウレタンアクリレートである新中村化学工業製の商品名「NKオリゴUA−122P」などが挙げられる。
本発明で硬化性樹脂が紫外線硬化性モノマー及びオリゴマーである場合、活性エネルギー線硬化性組成物は光重合開始剤を含む。光重合開始剤は、活性エネルギー線を吸収して活性化(励起)し、開裂反応等を介して反応を開始するために用いられるものである。
上記光重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン系、アセトフェノン系、チオキサントン系、フォスフィンオキシド系及びパーオキシド系等の光重合開始剤を挙げることができる。具体例としては、例えば、ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェン、メチルオルトベンゾイルベンゾエイト、4−フェニルベンゾフェノン、t−ブチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン
、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン2−ヒロドキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、2−メチル−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノ−1−プロパノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、メチルベンゾイルホルメート等を例示することができる。これらは1種を単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
市販されている具体例を挙げれば、例えば、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(BASF製、商品名「IRGACURE184」)などが挙げられる。
上記の他にも、例えば、硬化性樹脂の硬化性、吸水性及び硬度などの物性を調整するために、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂等のポリマー成分を任意で添加し、上記硬化性組成物とすることができる。なお、これらは1種又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。
また、シランカップリング剤、増感剤、架橋剤、紫外線吸収剤、重合禁止剤、充填材、熱可塑性樹脂等を、硬化性や透明性、吸水性等の物性に支障とならない範囲で、任意で添加することができる。なお、これらは1種又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。
活性エネルギー線硬化性組成物は、必要によって溶剤を添加して使用することができる。すなわち、上記硬化性組成物を含む溶液として使用することができる。
上記溶剤としては、活性エネルギー線硬化性樹脂を均一に希釈する溶剤であれば特に限定されないが、例えば、メチルイソブチルケトン、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどが挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を併用して用いることができる。尚、加工性の観点から、一旦ガラス、または保護フィルム上に活性エネルギー線硬化性組成物を含む層を形成した後、乾燥後にガラス/樹脂/保護フィルム積層体を形成するような場合には溶剤を添加することが好ましく、ガラス/樹脂/保護フィルム積層体を一度に形成し、溶剤乾燥工程を含まないような場合には溶剤を添加しないことが好ましい。溶剤の種類や添加量は、後述する種々のコーティング方式に応じて適宜選択することができる。
本発明に用いられる活性エネルギー線硬化性組成物を含む層の厚みは、活性エネルギー線の照射により形成される硬化樹脂層の厚みや、後述する種々のコーティング方式に応じて適宜設定することができる。
保護フィルムは、ガラス積層体を有機EL素子などの基材として用いる際などに、剥離工程において初めて剥離される。そのため、ガラス積層体に保護フィルムが積層されることによって、該保護フィルムを有する面における異物の混入を防ぐことができる。
本発明に用いられる保護フィルムは、前記した活性エネルギー線を透過する性質を有する保護フィルムである。その材質は、特に限定されず、ポリエチレン、ポリプロピレン、環状ポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリイミドなどの樹脂から任意に選択することができる。短時間で硬化可能な紫外線による硬化のプロセスを適用する際には、250〜350nmの波長領域の光を透過するポリエチレン、ポリプロピレン、環状ポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレートから選択することが好ましく、機械的強度の観点からは、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリイミドから選択することが好ましい。上記に鑑みて、ポリエチレンテレフタレート樹脂を含む保護フィルムを用いることが特に好ましい。
保護フィルムは、市販のものをそのまま用いてもよく、あるいは、市販のフィルムに必要に応じて表面処理を施してから用いてもよい。
このようなフィルム具体例としては、ポリエチレンテレフタレートフィルムである、三菱樹脂製「T100−100」や、三菱樹脂製「MRF38」、東洋紡製「A4100」などが挙げられる。
表面処理の例としては、シリコーン樹脂、アルキッド樹脂、フッ素樹脂などを表面に予め塗布する離形処理、またはコロナ、プラズマなどの放電処理等が挙げられ、必要に応じて適宜行うことができる。
保護フィルムは、活性エネルギー線硬化性組成物を含む層側の面の平均面粗さが50nm以下であることが好ましく、30nm以下であることがより好ましく、10nm以下であることが特に好ましい。
平均面粗さがこの範囲にあることで、剥離工程後のガラス積層体における硬化樹脂層側表面が平滑となるため、該面上に更に薄膜を積層させる場合に均一な膜となりやすく、有機ELなどの薄膜デバイスを作製する際に好適に用いることができる。
なお、平均面粗さは前述と同様の方法で算出することができる。
や、プレーン面の平均面粗さが0.7nmである東洋紡製「A4100」などが挙げられる。
保護フィルムの厚みは特に限定されないが、ハンドリング性の観点から25〜150μmであることが好ましい。
本発明における活性エネルギー線硬化樹脂層は、上記した活性エネルギー線硬化性組成物を含む層に、活性エネルギー線を照射することで硬化させて得られる層である。
硬化樹脂層の厚みは、好ましくは1μm以上、より好ましくは3μm以上、さらに好ましくは6μm以上である。一方で、好ましくは100μm以下、より好ましくは50μm以下、さらに好ましくは30μm以下であることが特に好ましい。
硬化樹脂層の厚みが1μm以上であることで、ガラス板に加わる衝撃を十分に緩和することができ、ガラス積層体の優れたハンドリング性を実現できる。一方、硬化樹脂層の厚みを100μm以下とすることで、ガラス積層体の厚み方向から荷重がかかった際の変形を防ぎ、ブロッキングを防ぐことができる。また、ガラス積層体を真空プロセスに適用した際にも、水分や低分子量成分からなるアウトガス量をプロセス上許容範囲内に収めることができる。 硬化樹脂層の厚みは、活性エネルギー線硬化性組成物を含む層の厚みや、後述する種々のコーティング方式によって適宜調整することができる。
硬化樹脂層の全光線透過率は、80%以上が好ましく、85%以上がより好ましく、90%以上が特に好ましい。80%以上であれば、ガラス積層体の光透過性を確保することができる。
尚、全光線透過率は、例えば、JIS K 7361に準拠する方法で測定することができる。このとき、例えば、透過率計(村上色彩技術研究所製「HR−100」)を用いることができる。
硬化樹脂層の全光線透過率を調整するには、共役系の短い分子骨格や、結晶性の低い分子骨格を有する硬化性樹脂を適宜選択すればよい。
硬化性組成物を含む層は、ガラス板と保護フィルムとに挟まれる形で積層され、活性エネルギー線の照射により硬化して硬化樹脂層となり、その後、剥離工程において、保護フ
ィルムが剥離される。そのため、剥離工程後のガラス積層体における硬化樹脂層側表面の平均面粗さは、保護フィルムにおける、活性エネルギー線硬化性組成物を含む層側の面の平均面粗さにある程度依存する。
なお、平均面粗さは前述と同様の方法で算出することができる。
硬化樹脂層の平均面粗さを調整するには、塗布、乾燥時の風量、温度、加工時間を適宜調整することや、前述した所定の平均面粗さを有する保護フィルムを用いて製造することで調整できる。
硬化樹脂層の引張弾性率は、好ましくは10MPa以上、より好ましくは20MPa以上、さらに好ましくは30MPa以上である。一方で、好ましくは2000MPa以下、より好ましくは1800MPa以下、さらに好ましくは1500MPa以下である。
10MPa以上の引張弾性率を有することにより、ガラス積層体に外部から衝撃が加わった際、硬化樹脂層がその衝撃を吸収することができるので、ガラス積層体の破損を防止することができる。また、例えば、ガラス積層体をデバイス等の基板として用いる際、ロール巻回等してもブロッキングが発生せず、硬化樹脂層がガラス板から剥離することを防ぐことができる。一方、引張弾性率が2000MPa以下とすることで、ガラス積層体に加わる衝撃がガラス板にかかることを防ぎ、ガラス板の破損を防止することができる。さらに、硬化性樹脂が硬化する際の収縮応力、および硬化性樹脂の熱膨張する際の応力を緩和し、ガラス板の変形や、ガラス積層体の反りを防ぐことができる。
厚み200μm、幅2cm、長さ150mmの短冊状樹脂サンプルを作製し、引張試験機(島津製作所製、AGS−X)を用いて、短冊状樹脂サンプルの長手方向の伸びと応力から引張弾性率を測定できる。試験条件は、チャック間距離を10cm、引っ張り速度を10mm/minとし、また、25℃で測定できる。
硬化樹脂層の引張破断伸度は、好ましくは10%以上、より好ましくは15%以上、さらに好ましくは20%以上である。一方で、好ましくは500%以下、より好ましくは400%以下、さらに好ましくは300%以下である。
引張破断伸度が上記範囲の値を有することにより、カットの際に切断箇所からのクラックの伝搬を抑制することができる。また、ガラス積層体内部で万が一ガラス板が破損した際でも、硬化樹脂層は破断することなく、ガラス積層体としてはその形状を保持するため、ガラスの飛散を防止することが可能となる。
厚み200μm、幅10mm、長さ100mmの短冊状樹脂サンプルを作製し、引張試験機(島津製作所製、AGS−X)を用いて、短冊状樹脂サンプルの引張破断伸度を測定できる。試験条件は、チャック間距離を40mm、引っ張り速度を50mm/minとし、また、25℃で測定できる。
本発明により製造されたガラス積層体は、ガラス板の少なくとも片面に、活性エネルギ
ー線硬化樹脂層が形成されたものである。
活性エネルギー線硬化樹脂層を、ガラス板の少なくとも一方の面、すなわちガラス板の片面もしくは両面に積層するかは、目的、用途により使い分けることが可能であり、例えばガラス板の一方の面に、有機ELなどの薄膜デバイスを形成する場合には、例えば、そのデバイス面の反対側の片面のみに積層することで、100μm以下の厚みを有するガラス板の強度を向上し、ハンドリング性を付与すると同時に、従来のガラス基板と同様のデバイス特性を発現することができる。
一方、ガラス板を表面の傷入りや破損から保護したり、ガラス板表面の汚れや、穴あけ、切断などの二次加工で発生する切削粉による汚染を防ぐために、活性エネルギー線硬化樹脂層をガラス板の両面に積層してもよい。
本発明のガラス積層体における光硬化樹脂層の合計厚みとガラス板の厚みとの比(硬化樹脂層の合計厚み/ガラス板の厚み)は、硬化樹脂層がガラス積層体に加わる衝撃を緩和させ、積層体のハンドリング性を向上させることができることから、好ましくは0.05以上、より好ましくは0.08以上、さらに好ましくは0.1以上である。一方で、ガラス積層体の積層体の可視光透過性を高く維持することができ、また、積層体を真空プロセスに適用した際、水分や低分子量成分からなるアウトガス量を抑制することができることから、好ましくは1.0未満、より好ましくは0.6未満、さらに好ましくは0.5未満である。
当該比は、既に詳細を記載した方法により所望の厚みとした硬化樹脂層及びガラス板を用意することで実現できる。
ガラス積層体の全光線透過率は、80%以上が好ましく、85%以上がより好ましく、90%以上が特に好ましい。80%以上であれば、有機ELなど発光素子の基材として好適に用いることができる。
尚、全光線透過率は、例えば、JIS K 7361に準拠する方法で測定することができる。このとき、例えば、透過率計(村上色彩技術研究所製「HR−100」)を用いることができる。
ガラス積層体の全光線透過率を調整するには、適切なガラス板を選択し、また、共役系の短い分子骨格や、結晶性の低い分子骨格を有する硬化性樹脂を適宜選択すればよい。
ガラス積層体のヘーズは、光散乱によるロスを低下させる観点から、好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下である。
尚、ヘーズは、例えば、JIS K 7136に準拠する方法で測定することができる。このとき、例えば、透過率計(村上色彩技術研究所製「HR−100」)を用いることができる。
ガラス積層体の活性エネルギー線硬化樹脂層側表面の平均面粗さは、既に記載した通りである。
本発明により製造されたガラス積層体は、平滑な面上に更に薄膜を積層させた場合に均一な膜を形成しやすいことから、例えば、有機ELなどの薄膜デバイス基板として好適に用いることができる。有機ELなどの薄膜デバイスの基板として用いる際は、枚葉の形態でバッチ加工されるか、またはロール状に巻き取った状態から、ロール・トゥ・ロール製法によって加工することができる。枚葉でバッチ加工される場合は、一度フレキシブル性
のない支持板に張り付けた状態で加工し、その後支持板から剥がして使用することもできる。
本発明に係るガラス積層体の製造方法は、厚み100μm以下のガラス板の少なくとも片面に、活性エネルギー線硬化性組成物を含む層、及び、活性エネルギー線透過性を有する保護フィルムを、該ガラス板側からこの順に積層した積層体を準備する工程、該積層体に活性エネルギー線照射を行い、該活性エネルギー線硬化性組成物を含む層を硬化して、硬化樹脂層を形成する工程、及び、該硬化樹脂層と該保護フィルムとを剥離する工程を含む。
本発明の製造方法における積層体準備工程は、厚み100μm以下のガラス板の少なくとも片面に、活性エネルギー線硬化性組成物を含む層、及び、活性エネルギー線透過性を有する保護フィルムを、該ガラス板側からこの順に積層した積層体を準備する工程である。
後述する参考例から分かるように、硬化性組成物を含む層がガラス板と保護フィルムに挟まれた積層体を準備することにより、次工程にて活性エネルギー線を照射した際、活性エネルギー線硬化性組成物が酸素と接触せず、酸素による重合阻害を受けないため、短時間で十分に硬化させることができ、均一の厚みの硬化樹脂層を得ることができる。
本工程の好ましい実施形態は、厚み100μm以下のガラス板の片面に、活性エネルギー線硬化性組成物を含む層、及び、活性エネルギー線透過性を有する保護フィルムを、該ガラス板側からこの順に積層した積層体を準備する形態である。
上記したガラス板の片面に、活性エネルギー線硬化性組成物を含む層、及び、保護フィルムを、ガラス板側からこの順に積層できるのであれば、その方法は特に限定されない。
本工程の好ましい他の実施形態は、厚み100μm以下のガラス板の両面に、活性エネルギー線硬化性組成物を含む層、及び、活性エネルギー線透過性を有する保護フィルムを、該ガラス板側からこの順に積層した積層体を準備する形態である。
ガラス板の両面に、活性エネルギー線硬化性組成物を含む層、及び、保護フィルムを、ガラス板側からこの順に積層できるのであれば、その方法は特に限定されない。
例えば、保護フィルムに活性エネルギー線硬化性組成物を含む層を積層し、それらをガラス板の両面に貼り合わせることが好ましい。
また、ガラス板の両面に、活性エネルギー線硬化性組成物を含む層を積層した後、保護フィルムを貼り合わせることも好ましく、この場合は、積層した面の硬化性組成物を含む層が乾燥してから、他方の面に積層してもよい。
いずれの場合も、積層方法は特に限定されないが、例えば上記した方法などが挙げられる。
本発明の製造方法における硬化樹脂層形成工程は、上記した「積層体準備工程」で準備した積層体に活性エネルギー線照射を行い、硬化性組成物を含む層を硬化して硬化樹脂層を形成する工程である。
また高圧水銀灯を使用する場合、80〜160W/cmの光量を有したランプ1灯に対して搬送速度5〜60m/分で硬化させるのが好ましい。
本発明の製造方法における剥離工程は、上記した「硬化樹脂層形成工程」で形成した活性エネルギー線硬化樹脂層と保護フィルムとを剥離する工程である。
保護フィルムは通常良好な離形性を有し、剥離の方法は特に限定されない。
剥離工程は、上記硬化樹脂層形成工程における活性エネルギー線の照射後に行うことで、硬化性組成物の硬化反応が酸素によって阻害されることなく、短時間で十分に硬化させることができる。また、硬化樹脂層表面へのゴミの付着を防止することができる。
実施例で得られた積層体を下記の方法で評価した。結果を表1に示す。
厚み200μm、幅2cm、長さ150mmの短冊状樹脂サンプルを作製し、引張試験機(島津製作所製、AGS−X)を用いて、短冊状樹脂サンプルの長手方向の伸びと応力から引張弾性率を測定した。試験条件は、チャック間距離を10cm、引っ張り速度を10mm/minとし、また、25℃で測定した。
厚み200μm、幅10mm、長さ100mmの短冊状樹脂サンプルを作製し、引張試験機(島津製作所製、AGS−X)を用いて、短冊状樹脂サンプルの引張破断伸度を測定した。試験条件は、チャック間距離を40mm、引っ張り速度を50mm/minとし、また、25℃で測定した。
ガラス積層体を、端面からはさみ(コクヨS&T製「ハサ151B」)で5cm裁断し、裁断方向から伝搬するクラックの状況を以下の基準で評価した。
○:裁断方向からのクラックの伝搬が5mm未満
△:裁断方向からのクラックの伝搬が5mm以上10mm未満
×:裁断方向からのクラックの伝搬が10mm以上
実施例中に記載された、ガラス積層体の硬化樹脂層における、保護フィルムを剥離した側の面の平均面粗さは、下記方法により測定したものである。
即ち、非接触表面・層断面計測システムVertScan2.0(株式会社菱化システム製)を用い硬化樹脂層の表面観察(観察視野:93.97μm×71.30μm)を実
施し、ガラス積層体の硬化樹脂層について、平均面粗さ(算術平均粗さSa)を算出したものである。
紫外線硬化性モノマー(新中村化学工業製、商品名「NKオリゴUA−122P」)97質量%、光重合開始剤として1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(BASF製、商品名「IRGACURE184」)3質量%を、溶剤(メチルイソブチルケトン)で均一に希釈し、紫外線硬化性組成物1(塗料A)を得た。保護フィルムとして用いるPETフィルム(三菱樹脂製「T100−100、厚み100μm」、平均面粗さ16nm)の片面に、上記で調製した塗料Aを、硬化後の厚みが3μmになるようにワイヤーバーコーターを用いて塗布した後、溶剤を乾燥、除去した。さらに、PETフィルムの塗料Aが塗布された面と、ガラス基材(日本電気硝子株式会社製「OA−10G」、厚み:50μm)の片面とを貼り合せ、加圧後にPETフィルム面から高圧水銀ランプ(160W/cm)を照射することによって、ガラス基材側から、紫外線硬化樹脂層、PETフィルムの順に積層されたガラス積層体を得た。そして、得られたガラス積層体からPETフィルムを剥離し、ガラス板に紫外線樹脂硬化層が積層されたガラス積層体1を得た。紫外線硬化樹脂層におけるPETフィルムが剥離された面の平均面粗さを測定したところ、14nmであった。また、紫外線硬化性組成物1から得られた紫外線硬化樹脂の引張弾性率は1500MPa、引張破断伸度は30%であった。
紫外線硬化性モノマー(新中村化学工業製、商品名「NKオリゴUA−122P」)97質量%、光重合開始剤(BASF製、商品名「IRGACURE184」)3質量%を混合し、紫外線硬化性組成物2(塗料B)を得た。ガラス基材(日本電気硝子株式会社製「OA−10G」、厚み:50μm)の片面に、ガラス基材側から塗料B、保護フィルムとして用いる離形PETフィルム(三菱樹脂製「MRF38、厚み38μm」)をこの順で積層し、塗料Bの硬化後の厚みが8μmになるように調整されたニップロールを通した後、PETフィルム面から高圧水銀ランプ(160W/cm)を照射することによって、ガラス基材側から、紫外線硬化樹脂層、PETフィルムの順に積層されたガラス積層体を得た。なお、PETフィルムの離形面(平均面粗さ21nm)が、紫外線硬化樹脂層側に接するように積層した。得られたガラス積層体からPETフィルムを剥離し、ガラス板に紫外線樹脂硬化層が積層されたガラス積層体2を得た。紫外線硬化樹脂層におけるPETフィルムが剥離された面の平均面粗さを測定したところ、20nmであった。また、紫外線硬化性組成物2から得られた紫外線硬化樹脂の引張弾性率は1500MPa、引張破断伸度は30%であった。
保護フィルムとして用いるPETフィルム(東洋紡製「A4100、厚み125μm」)の平滑面(平均面粗さ0.7nm)に、実施例1で使用した塗料Aを、硬化後の厚みが3μmになるようにワイヤーバーコーターを用いて塗布し、乾燥させて溶剤を除去した。次いで、PETフィルムの塗料Aが塗布された面と、ガラス基材(日本電気硝子株式会社製「OA−10G」、厚み:50μm)の片面とを貼り合せ、加圧後にPETフィルム面から高圧水銀ランプ(160W/cm)を照射することによって、ガラス基材側から、紫外線硬化樹脂層、PETフィルムの順に積層されたガラス積層体を得た。そして、得られたガラス積層体からPETフィルムを剥離し、ガラス板に紫外線樹脂硬化層が積層されたガラス積層体3を得た。紫外線硬化樹脂層におけるPETフィルムが剥離された面の平均面粗さを測定したところ、0.6nmであった。
ガラス基材(日本電気硝子株式会社製「OA−10G」、厚み:50μm)の片面に、
実施例1で使用した塗料Aを、硬化後の厚みが3μmになるようにワイヤーバーコーターを用いて塗布した後、溶剤を乾燥、除去し、高圧水銀ランプ(160W/cm)を照射することによって、ガラスに紫外線硬化樹脂層が積層されたガラス積層体4を得た。紫外線硬化樹脂層が表面に露出した状態であるため、表面への異物の付着が容易に起こるため、有機ELなどの薄膜デバイスの基板として用いるには不十分な製法であった。
実施例2において、高圧水銀ランプを通す前にPETフィルムを剥離したところ、塗料Bが流動性を有するため、PETフィルムを剥離した跡が残り、著しく外観を損ねたガラス積層体5を得た。
実施例1で使用した塗料Aを、PETフィルム(三菱樹脂製「T600E50」)の片面に、乾燥後の厚みが3μmになるようにバーコーターで塗布し、乾燥させて溶剤を除去した。その後、高圧水銀ランプにて100mJ/cm2の積算光量の紫外線を照射し、紫外線硬化樹脂層を形成した。形成した紫外線硬化樹脂層の表面にエタノールを1滴滴下し、室温にてエタノールを揮発させた。エタノールが滴下された部分は白化した。
参考例1と同様に、PETフィルム(三菱樹脂製「T600E50」)上に塗料Aを塗布し、乾燥させて溶剤を除去した。離形PETフィルム(三菱樹脂製「MRF38」)の離形面を、塗布面に重ね、ハンドローラーで加圧した。その後、高圧水銀ランプにて100mJ/cm2の積算光量の紫外線を照射し、紫外線硬化樹脂層を形成した。離形PETフィルムを剥離した後、紫外線硬化樹脂層の表面にエタノールを1滴滴下し、室温にてエタノールを揮発させた。エタノールが滴下された部分は透明性を維持した。
Claims (6)
- 厚み100μm以下のガラス板の少なくとも片面に、活性エネルギー線硬化性組成物を含む層、及び、活性エネルギー線透過性を有する保護フィルムを、該ガラス板側からこの順に積層した積層体を準備する工程、
該積層体に活性エネルギー線照射を行い、該活性エネルギー線硬化性組成物を含む層を硬化して、硬化樹脂層を形成する工程、及び、
該硬化樹脂層と該保護フィルムとを剥離する工程
を含む、ガラス積層体の製造方法。 - 前記積層体を準備する工程は、活性エネルギー線硬化性組成物を含む層、保護フィルム及びガラス板を一度に積層することを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
- 前記積層体を準備する工程は、保護フィルムに活性エネルギー線硬化性組成物を含む層を積層した後、ガラス板に積層して積層体とすることを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
- 前記保護フィルムがポリエチレンテレフタレート樹脂を含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
- 前記剥離する工程後の、ガラス積層体における硬化樹脂層表面の平均面粗さが30nm以下であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
- 前記ガラス板の両面に硬化樹脂層が形成された、請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法。
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