JP6252626B2 - 粘着シート - Google Patents

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Description

本発明は、粘着シートに関する。詳しくは、パソコン、モバイル端末(PDA)、ゲーム機、テレビ(TV)、カーナビ、タッチパネル、ペンタブレットなどのような画像表示装置及びその構成部材として好適に使用することができる粘着シートに関する。
近年、画像表示装置の視認性を向上させるために、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ(PDP)又はエレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)等の画像表示パネルと、その前面側(視認側)に配置する保護パネルやタッチパネル部材との間の空隙を、粘着シートや液状の接着剤等で充填し、入射光や表示画像からの出射光の空気層界面での反射を抑えることが行われている。
このような画像表示装置用構成部材間の空隙に粘着剤を用いて充填する方法として、紫外線硬化性樹脂を含む液状の接着樹脂組成物を該空隙に充填した後、紫外線を照射し硬化せしめる方法が知られている(特許文献1)。
特許文献2には、重量平均分子量が2万から10万であるウレタン(メタ)アクリレートを主成分とした、25℃における損失正接が1未満であるホットメルトタイプの接着組成物をもちいたシートが開示されている。
特許文献3には、アクリルモノマーを部分的に重合した重合体を含むポリマー・モノマー混合物と、第1波長以下の短波長の放射線により活性化されるモノマーと、第1波長より長波長の放射線によって重合を開始させる光開始剤とを含む放射線硬化性粘着シートが開示されている。
特許文献4には、透明両面粘着シートを介して画像表示装置構成部材が積層されてなる構成を備えた画像表示装置構成用積層体の製造方法であって、少なくとも次の(1)及び(2)の工程を有することを特徴とする画像表示装置構成用積層体の製造方法が開示されている。
(1) 粘着剤樹脂組成物を単層又は多層のシート状に形成し、これを紫外線架橋して1次硬化させることにより2次硬化前透明両面粘着シートを形成する工程。
(2) 2次硬化前透明両面粘着シートを介して2つの画像表示装置構成部材を積層した後、少なくとも一方の画像表示装置構成部材側から紫外線を照射し、この部材を介して、前記2次硬化前透明両面粘着シートを紫外線架橋して2次硬化させる工程。
国際公開2010/027041号パンフレット 国際公開2010/038366号パンフレット 特開2014−213572号公報 特開2012−184423号公報
携帯電話や携帯端末などを中心に画像表示装置の分野では、薄肉化、高精密化に加えて、デザインの多様化が進んでおり、それに伴って新たな課題が生じてきている。例えば、表面保護パネルの周縁部には、枠状に黒色の隠蔽部を印刷するのが一般的である。よって、このような印刷部を備えた構成部材を貼り合わせるための粘着シートには、印刷段差に追従して隅々まで充填することができる印刷段差追従性が求められる。
この際、特許文献2等に開示されている粘着剤などは、光架橋前の粘着性(タック性)がほとんど無いために、貼合作業が容易ではなかった、
そこで本発明は、光架橋可能な粘着シートであって、光架橋前であっても粘着性を有し、貼合時には粘着材が流動し過ぎて粘着剤樹脂組成物がはみだしたり、潰れたりすることがなく、さらに光架橋後は十分な硬度を得ることができる粘着シートを提供せんとするものである。
本発明は、(メタ)アクリル系共重合体(A)100質量部と、架橋剤(B)0.5〜20質量部と、光重合開始剤(C)0.1〜5質量部とを含有する粘着剤樹脂組成物からなる両面粘着シートであって、引張弾性率について、光架橋前の引張弾性率(X)と光架橋後の引張弾性率(X)との比(X /X )が3以上となることを特徴とする粘着シートを提案する。
本発明が提案する粘着シートは、光架橋前後の引張弾性率(X)の差が顕著に大きいという特徴を有しており、光架橋前であっても粘着性を有し、貼合時には粘着材が流動し過ぎて粘着剤樹脂組成物がはみだしたり、潰れたりすることがなく、さらに光架橋後は十分な硬度を得ることができる。
次に、本発明を実施するための形態の一例について説明する。ただし、本発明がこの実施形態の一例に限定されるものではない。
<本粘着シート>
本発明の実施形態の一例に係る両面粘着シート(以下「本粘着シート」と称する)は、(メタ)アクリル系共重合体(A)と、架橋剤(B)と、光重合開始剤(C)とを含有する粘着剤樹脂組成物(以下、「本粘着剤樹脂組成物」と称する。)から形成される粘着シートである。
<本粘着剤樹脂組成物>
本粘着剤樹脂組成物は、上述のように(メタ)アクリル系共重合体(A)と、架橋剤(B)と、光重合開始剤(C)とを含有する樹脂組成物である。
<(メタ)アクリル系共重合体(A)>
ベースポリマーとしての(メタ)アクリル系共重合体(A)は、枝成分としてマクロモノマーを備えたグラフト共重合体(A1)であるのが好ましい。
ここで、「ベースポリマー」とは、本粘着剤樹脂組成物の主成分を為す樹脂の意味である。ベースポリマーの具体的な含有量を規定するものではないが、目安としては、本粘着剤樹脂組成物に含まれる樹脂の50質量%以上、中でも80質量%以上、その中でも90質量%以上(100質量%を含む)を占める樹脂である。なお、ベースポリマーが2種類以上の場合は、それらの合計量が前記含有量に該当する。
(幹成分)
前記グラフト共重合体(A1)の幹成分は、(メタ)アクリル酸エステル由来の繰り返し単位を含有する共重合体成分から構成されるのが好ましい。
前記グラフト共重合体(A1)の幹成分を構成する共重合体のガラス転移温度は−70〜0℃であるのが好ましい。
この際、幹成分を構成する共重合体成分のガラス転移温度とは、グラフト共重合体(A1)の幹成分を組成するモノマー成分のみを共重合して得られるポリマーのガラス転移温度をさす。具体的には、当該共重合体各成分のホモポリマーから得られるポリマーのガラス転移温度と構成比率から、Foxの計算式によって算出される値を意味する。
なお、Foxの計算式とは、以下の式により求められる計算値であり、ポリマーハンドブック〔Polymer HandBook,J.Brandrup,Interscience,1989〕に記載されている値を用いて求めることができる。
1/(273+Tg)=Σ(Wi/(273+Tgi))
[式中、Wiはモノマーiの重量分率、TgiはモノマーiのホモポリマーのTg(℃)を示す。]
前記グラフト共重合体(A1)の幹成分を構成する共重合体成分のガラス転移温度は、室温状態での本粘着剤樹脂組成物の柔軟性や、被着体への本粘着剤樹脂組成物の濡れ性、すなわち接着性に影響するため、本粘着剤樹脂組成物が室温状態で適度な接着性(タック性)を得るためには、当該ガラス転移温度は、−70℃〜0℃であるのが好ましく、中でも−65℃以上或いは−5℃以下、その中でも−60℃以上或いは−10℃以下であるのが特に好ましい。
但し、当該共重合体成分のガラス転移温度が同じ温度であったとしても、分子量を調整することにより粘弾性を調整することができる。例えば共重合体成分の分子量を小さくすることにより、より柔軟化させることができる。
前記グラフト共重合体(A1)の幹成分が含有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーとしては、例えば2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリート、イソオクチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルメタクリレート、メチルアクリレート等を挙げることができる。これらに、親水基や有機官能基などをもつヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、グリシジルアクリレート、アクリルアミド、N、N-ジメチルアクリルアミド、アクリルニトリル、メタクリロニトリル等を用いることもできる。
また、上記アクリルモノマーやメタクリルモノマーと共重合可能な酢酸ビニルやアルキルビニルエーテル、ヒドロキシアルキルビニルエーテル等の各種ビニルモノマーも適宜用いることができる。
また、グラフト共重合体(A1)の幹成分は、疎水性の(メタ)アクリレートモノマーと、親水性の(メタ)アクリレートモノマーとを構成単位として含有するのが好ましい。
グラフト共重合体(A1)の幹成分が、疎水性モノマーのみから構成されると、湿熱白化する傾向が認められるため、親水性モノマーも幹成分に導入して湿熱白化を防止するのが好ましい。
具体的には、上記グラフト共重合体(A1)の幹成分として、疎水性の(メタ)アクリレートモノマーと、親水性の(メタ)アクリレートモノマーと、マクロモノマーの末端の重合性官能基とがランダム共重合してなる共重合体成分を挙げることができる。
ここで、上記の疎水性の(メタ)アクリレートモノマーとしては、極性基を有さないアルキルエステル(但し、メチルアクリレートを除く)が好ましく、例えばn−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−メチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレ−ト、メチルメタクリレート、酢酸ビニルなどを挙げることができる。
上記の親水性の(メタ)アクリレートモノマーとしては、メチルアクリレートや極性基を有するエステルが好ましく、例えばメチルアクリレート、(メタ)アクリル酸、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシプロピルヘキサヒドロフタル酸、N,N−ジメチルアクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリルアミドなどを挙げることができる。
(枝成分:マクロモノマー)
グラフト共重合体(A1)の枝成分として、マクロモノマーを導入し、マクロモノマー由来の繰り返し単位を含有することが好ましい。
マクロモノマーとは、末端の重合性官能基と高分子量骨格成分とを有する高分子単量体である。
マクロモノマーのガラス転移温度(Tg)は、上記グラフト共重合体(A1)を構成する共重合体成分のガラス転移温度よりも高いことが好ましい。
具体的には、マクロモノマーのガラス転移温度(Tg)は、本粘着剤樹脂組成物の加熱溶融温度(ホットメルト温度)に影響するため、マクロモノマーのガラス転移温度(Tg)は30℃〜120℃であるのが好ましく、中でも40℃以上或いは110℃以下、その中でも50℃以上或いは100℃以下であるのがさらに好ましい。
このようなガラス転移温度(Tg)であれば、分子量を調整することにより、優れた加工性や保管安定性を保持できると共に、80℃付近でホットメルトするように調整することができる。
マクロモノマーのガラス転移温度とは、当該マクロモノマー自体のガラス転移温度をさし、示差走査熱量計(DSC)で測定することができる(昇温速度:5℃/分、ベースラインシフトの変曲点よりTgを測定)。
また、室温状態では、枝成分同士が引き寄せ合って本粘着剤樹脂組成物として物理的架橋をしたような状態を維持することができ、しかも、適度な温度に加熱することで前記物理的架橋が解れて流動性を得ることができるようにするためには、マクロモノマーの分子量や含有量を調整することも好ましいことである。
かかる観点から、マクロモノマーは、グラフト共重合体(A1)中に5質量%〜30質量%の割合で含有することが好ましく、中でも6質量%以上或いは25質量%以下、その中でも8質量%以上或いは20質量%以下であるのが好ましい。
また、マクロモノマーの数平均分子量は500以上8000未満であることが好ましく、中でも800以上或いは7500未満、その中でも1000以上或いは7000未満であるのが好ましい。
マクロモノマーは、一般に製造されているもの(例えば、東亜合成社製マクロモノマーなど)を適宜使用することができる。
マクロモノマーの高分子量骨格成分は、アクリル系重合体またはビニル系重合体から構成されるのが好ましい。
前記マクロモノマーの高分子量骨格成分としては、例えば、ポリスチレン、スチレン及びアクリロニトリルの共重合体、ポリ(t−ブチルスチレン)、ポリ(α−メチルスチレン)、ポリビニルトルエン、ポリメチルメタクリレートなどを挙げることができる。
前記マクロモノマーの末端重合性官能基としては、例えば、メタクリロイル基、アクリロイル基、ビニル基などを挙げることができる。
((メタ)アクリル系共重合体(A)の物性)
前記(メタ)アクリル系共重合体(A)は、温度130℃、周波数0.02Hzにおける複素粘度が100〜800Pa・sであることが好ましく、150〜700Pa・sがより好ましく、170〜600Pa・sがさらに好ましい。
前記(メタ)アクリル系共重合体(A)の温度130℃における複素粘度は、当該透明両面粘着材をホットメルトさせて使用するときの粘着剤樹脂組成物の流動性に影響するため、かかる複素粘度が100〜800Pa・sであれば、優れたホットメルト適性を持たせることができる。
前記(メタ)アクリル系共重合体(A)の複素粘度を前記範囲に調整するには、例えばグラフト共重合体(A1)の幹成分を構成する共重合体成分のガラス転移温度を調整することが挙げられる。好ましくは−70℃〜0℃、中でも−65℃以上或いは−5℃以下、その中でも特に−60℃以上或いは−10℃以下に調整すると共に、当該共重合体成分の分子量を調整して粘弾性を調整する方法を挙げることができる。但し、この方法に限定するものではない。
<架橋剤(B)>
架橋剤(B)としては、例えばエポキシ基やイソシアネート基、オキセタン基、シラノール基、(メタ)アクリロイル基などの架橋性基を2個以上有する架橋剤を適宜選択可能である。中でも、反応性や得られる硬化物の強度の点で、(メタ)アクリロイル基を2個以上、中でも3個以上有する多官能(メタ)アクリレートや、エポキシ基やイソシアネート基、シラノール基を有する(メタ)アクリレートが好ましい。
このような多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、グリセリングリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAポリエトキシジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAポリプロポキシジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFポリエトキシジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリオキシエチル(メタ)アクリレート、ε-カプロラクトン変性トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ヒドロキシビバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシビバリン酸ネオペングリコールのε−カプロラクトン付加物のジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンポリエトキシトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート等の紫外線硬化型の多官能モノマー類のほか、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート等の多官能アクリルオリゴマー類や、イソシアネート(メタ)アクリレート、1,1−(ビス(メタ)アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート、2−(2−(メタ)アクリロイルオキシエチルオキシ)エチルイソシアネート、グリシジル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチルアクリレートグリシジルエーテル、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテルを挙げることができる。
上記に挙げた中でも、被着体への密着性や湿熱白化抑制の効果を向上させる観点から、水酸基等の極性官能基を含有する多官能モノマーもしくはオリゴマーが、好ましい。
その中でも、水酸基を有する多官能(メタ)アクリル酸エステルを用いるのが好ましい。
よって、湿熱白化を防止する観点からは、前記グラフト共重合体(A1)の幹成分として、疎水性のアクリレートモノマーと、親水性のアクリレートモノマーとを含有するのが好ましく、さらには、架橋剤(B)として、水酸基を有する多官能(メタ)アクリル酸エステルを用いるのが好ましい。
架橋剤(B)の含有量は、(メタ)アクリル系共重合体(A)100質量部に対して0.5〜20質量部の割合で含有するのが好ましく、中でも1質量部以上或いは15質量部以下、その中でも2質量部以上或いは10質量部以下の割合であるのがさらに好ましい。
架橋剤(B)を上記範囲で含有することで、未架橋状態における本粘着シートの形状安定性と、架橋後の粘着材における耐発泡信頼性とを両立させることができる。但し、他の要素とのバランスでこの範囲を超えてもよい。
<光重合開始剤(C)>
光重合開始剤(C)は、前述の架橋剤(B)の架橋反応における反応開始助剤としての機能を果たすものである。
光重合開始剤は、現在公知のものを適宜使用することができる。中でも、波長380nm以下の紫外線に感応する光重合開始剤が、架橋反応の制御のしやすさの観点から好ましい。
一方、波長380nmより長波長の光に感応する光重合開始剤は、感応する光が本粘着シートの深部まで到達しやすい点で好ましい。
光重合開始剤は、ラジカル発生機構によって大きく2つに分類され、光重合性開始剤自身の単結合を開裂分解してラジカルを発生させることができる開裂型光重合開始剤と、光励起した開始剤と系中の水素供与体とが励起錯体を形成し、水素供与体の水素を転移させることができる水素引抜型光重合開始剤と、に大別される。
これらのうちの開裂型光重合開始剤は、光照射によってラジカルを発生する際に分解して別の化合物となり、一度励起されると反応開始剤としての機能をもたなくなる。このため、架橋反応が終了した後の粘着材中に活性種として残存することがなく、粘着材に予期せぬ光劣化等をもたらす可能性がないため、好ましい。
他方、水素引抜型の光重合開始剤は、紫外線などの活性エネルギー線照射によるラジカル発生反応時に、開裂型光重合開始剤のような分解物を生じないので、反応終了後に揮発成分となりにくく、被着体へのダメージを低減させることができる点で有用である。
前記開裂型光開始剤としては、例えば2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、1-(4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2-ヒロドキシ-1-[4-{4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)ベンジル}フェニル]-2-メチル-プロパン-1-オン、オリゴ(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−(1−メチルビニル)フェニル)プロパノン)、フェニルグリオキシリック酸メチル、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)ブタン-1-オン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイドや、それらの誘導体などを挙げることができる。
前記水素引抜型光開始剤としては、例えばベンゾフェノン、4-メチル-ベンゾフェノン、2,4,6-トリメチルベンゾフェノン、4-フェニルベンゾフェノン、3,3‘-ジメチル-4-メトキシベンゾフェノン、4−(メタ)アクリロイルオキシベンゾフェノン、2−ベンゾイル安息香酸メチル、ベンゾイルぎ酸メチル、ビス(2‐フェニル‐2‐オキソ酢酸)オキシビスエチレン、4-(1,3-アクリロイル-1,4,7,10,13-ペンタオキソトリデシル)ベンゾフェノン、チオキサントン、2-クロロチオキサントン、3-メチルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、2-メチルアントラキノン、2-エチルアントラキノン、2-tert-ブチルアントラキノン、2-アミノアントラキノンやその誘導体などを挙げることができる。
但し、光重合開始剤として前記に挙げた物質に限定するものではない。上記に挙げた開裂型光重合開始剤及び水素引抜型光重合開始剤のうちのいずれか一種を使用してもよいし、二種以上を組み合わせて使用してもよい。
光重合開始剤(C)の含有量は、(メタ)アクリル系共重合体(A)100質量部に対して0.1〜5質量部の割合で含有するのが好ましく、中でも0.5質量部以上或いは3質量部以下、その中でも1質量部以上の割合で含有するのがさらに好ましい。
光重合開始剤(C)の含有量を上記範囲とすることで、活性エネルギー線に対する適度な反応感度を得ることができる。
<その他の成分>
本粘着剤樹脂組成物は、上記以外の成分として、通常の粘着剤樹脂組成物に配合されている公知の成分を含有してもよい。例えば、必要に応じて、粘着付与樹脂や、酸化防止剤、光安定化剤、金属不活性化剤、老化防止剤、吸湿剤、重合禁止剤、紫外線吸収剤、防錆剤、シランカップリング剤、無機粒子などの各種の添加剤を適宜含有させることが可能である。
また、必要に応じて反応触媒(三級アミン系化合物、四級アンモニウム系化合物、ラウリル酸スズ化合物など)を適宜含有してもよい。
<本粘着シートの特徴>
本粘着シートは、常態ではシート状を保持することができ、未架橋状態において加熱すると溶融乃至流動するホットメルト性を有しており、且つ、光硬化することができる光硬化性を有する粘着シートとすることができる。
常態においてシート状を保持することができれば、液状の接着剤に比べて、取扱いが容易である上、液を充填する作業を省くことができるから、生産性に特に優れている。この際さらに、常態、すなわち室温付近において、適度な粘着性、すなわち軽い力で短時間に被着体に接着する性質(“タック性”と称する)を備えていれば、貼着する際の位置決めを行いやすく、作業性に優れる事から、常態、すなわち室温付近においてタック性を備えていることが好ましく、−5℃から20℃の比較的低温域においてもタック性を備えていればより好ましい。メタ)アクリル系共重合体(A)として上記グラフト共重合体(A1)を使用することで、このようなタック性を得ることができる。
また、加熱すると、溶融乃至流動するホットメルト性を備えていれば、加熱して軟化乃至流動化させることにより、印刷段差などの凹凸部に追随して粘着剤を充填することができるから、発泡などを生じることなく充填することができる。
さらに光硬化性を有していれば、最終的に光硬化させることで、しっかりと接着することができる。
上記のように、常態ではシート状を保持することができ、未架橋状態において加熱すると溶融乃至流動するホットメルト性を有しており、且つ、光硬化することができる粘着シートを作製するためには、例えば単層の粘着シートであれば、上記本粘着剤樹脂組成物から単層の粘着シートを作製すればよい。他方、多層の粘着シートとする場合には、例えば本粘着剤樹脂組成物からなる粘着層と、他の粘着剤樹脂組成物からなる粘着層を積層した2種2層構成や、中間樹脂層を介して表裏に、本粘着剤樹脂組成物からなる粘着層を配した2種3層構成や、本粘着剤樹脂組成物からなる粘着層と、中間樹脂組成物からなる中間層と、他の粘着剤樹脂組成物からなる粘着層とをこの順に積層してなる3種3層構成などを挙げることができる。
但し、本粘着シートを形成するための粘着剤樹脂組成物が、本粘着剤樹脂組成物に限定されるものではない。
(ゲル分率)
本粘着シートは、光硬化前の状態ではホットメルト性を発現することができる観点から、光硬化前のゲル分率(a)が5%以下、中でも4%以下、その中でも2%以下であるのが特に好ましい。
また、本粘着シートは、光硬化後に高い凝集力を得ることができ、湿熱環境下での耐発泡信頼性が得られる観点から、光硬化後のゲル分率(b)は50%以上であるのが好ましく、中でも60%以上或いは90%以下、その中でも65%以上或いは80%以下であるのが特に好ましい。
光硬化前のゲル分率(a)及び光硬化後のゲル分率(b)を上記のように調整するには、例えば、(メタ)アクリル系共重合体(A)として、枝成分としてマクロモノマーを備えたグラフト共重合体(A1)を使用すると共に、架橋剤や光重合開始剤の組成比を調整したり、加工時の温度や光照射量を調整したりすればよい。但し、このような方法に限定するものではない。
(引張弾性率)
本粘着シートに関して、光架橋前の引張弾性率(X)と光架橋後の引張弾性率(X)との比(X /X )が3以上になれば、良好な段差吸収性や耐発泡信頼性が得られる。
かかる観点から、光架橋前の引張弾性率(X)と光架橋後の引張弾性率(X)との比(X /X )は3以上であることが好ましく、中でも5以上或いは30以下、その中でも10以上或いは27以下であることがより一層好ましい。
光架橋前の引張弾性率(X)は、0.01MPa以上0.2MPa以下であるのが好ましく、中でも0.05MPa以上或いは0.1MPa以下であるのがさらに好ましい。
他方、光架橋後の引張弾性率(X)は、0.8MPa以上2.0MPa以下であるのが好ましく、中でも1.0MPa以上或いは1.8MPa以下であるのがさらに好ましい。
(引張最大応力(Y))
本粘着シートに関して、光架橋前の引張最大応力(Y)と光架橋後の引張最大応力(Y)との比(Y /Y )が5以上20以下であれば、良好な段差吸収性や耐発泡信頼性が得られる。
かかる観点から、本粘着シートは、光架橋前の引張最大応力(Y)と光架橋後の引張最大応力(Y)との比(Y /Y )が5以上20以下であるのが好ましく、中でも8以上或いは15以下であるのがさらに好ましい。
光架橋前の引張最大応力(Y)は、0.5N以上5N以下であるのが好ましく、中でも0.8N以上或いは2N以下であるのが特に好ましい。
他方、光架橋後の引張最大応力(Y)は、7N以上15N以下であるのが好ましく、中でも9N以上或いは12N以下であるのが特に好ましい。
(引張破断応力(Z))
本粘着シートに関して、光架橋前の引張破断応力(Z)と光架橋後の引張破断応力(Z)との比(Z /Z )が10以上50以下であれば、良好な段差吸収性や耐発泡信頼性が得られる。
かかる観点から、本粘着シートは、光架橋前の引張破断応力(Z)と光架橋後の引張破断応力(Z)との比(Z /Z )が10以上50以下であるのが好ましく、中でも15以上或いは40以下であるのが特に好ましい。
光架橋前の引張破断応力(Z)は0.1N以上2N以下であるのが好ましく、中でも0.2N以上或いは0.6N以下であるのが特に好ましい。
他方、光架橋後の引張破断応力(Z)は7N以上16N以下であるのが好ましく、中でも9N以上或いは12N以下であるのが特に好ましい。
本粘着シートにおいて、引張弾性率、引張最大応力及び引張破断応力を上記範囲に調整するためには、例えば、(メタ)アクリル系共重合体(A)として、枝成分としてマクロモノマーを備えたグラフト共重合体(A1)を使用すると共に、該マクロモノマーの種類や部数を調整すればよい。但し、この方法に限定するものではない。
(メタ)アクリル系共重合体(A)として、枝成分としてマクロモノマーを備えたグラフト共重合体(A1)を使用すると、通常状態においてもシート形状を保持することができ、加熱することで流動性を発揮し段差追従性を満たすことができ、紫外線架橋することで硬化反応が進んで優れた接着信頼性を得ることができる。
<積層構成>
本粘着シートは、単一層からなるシートであっても、2層以上が積層してなる多層シートであってもよい。
本粘着シートを多層の透明両面粘着材とする場合には、最外層は、上記単層の場合と同様に、凹凸追随性と耐発泡信頼性とを兼ね備えているのが好ましいから、上記の本粘着剤樹脂組成物を用いて成形するのが好ましい。
他方、中間層は、画像表示装置構成部材との粘着には寄与しないため、透明性を損なわず、かつ最外層の2次硬化反応を阻害しない程度の光透過性を有し、かつ、カット性及びハンドリング性を高める性質を有しているのが好ましい。
中間層を形成するベースポリマーの種類は、透明樹脂であれば、特に限定するものではない。中間層を形成するベースポリマーは、最外層のベースポリマーと同一の樹脂であっても異なる樹脂であってもよい。中でも、透明性の確保や作製し易さ、さらには積層境界面での光の屈折を防ぐ観点から、最外層のベースポリマーと同一のアクリル系樹脂を用いるのが好ましい。
中間層及び他の樹脂層は、活性エネルギー線硬化性を有していてもいなくてもよい。例えば紫外線架橋によって硬化するように形成してもよいし、熱によって硬化するように形成してもよい。また、特に後硬化しないように形成してもよい。但し、最外層との密着性を考慮すると、後硬化するように形成するのが好ましく、特に紫外線架橋するように形成するのが好ましい。
その際、架橋開始剤の含有量が多くなると光透過率が低下するため、中間層における架橋開始剤の外層における含有率よりも低い含有率で紫外線架橋剤を含むのが好ましい。
本粘着シートを多層の透明両面粘着材とする場合、積層構成としては、具体的には、本粘着剤樹脂組成物と、他の粘着剤樹脂組成物とを積層した2種2層構成や、中間樹脂層を介して表裏に本粘着剤樹脂組成物を配した2種3層構成や、本粘着剤樹脂組成物と、中間樹脂組成物と、他の粘着剤樹脂組成物とをこの順に積層してなる3種3層構成などを挙げることができる。
また、本粘着剤樹脂組成物と他の粘着剤樹脂組成物とを、それぞれ異なる離型フィルム乃至画像表示装置構成部材上にシート状に成形し、両粘着面を積層して本粘着シートを得るようにしてもよいし、また、本粘着剤樹脂組成物と、中間樹脂組成物と、粘着剤樹脂組成物とを、この順に共押出して2種3層の本粘着シートを得るようにしてもよいし、また、中間樹脂層の表裏面に本粘着剤樹脂組成物又は他の粘着剤樹脂組成物を積層して本粘着シートを得るようにしてもよい。
また、例えば、基材に上記本粘着層を形成してなる構成を備えた基材付粘着シートであっても、基材を有さない基材レス粘着シートであってもよい。さらには、上下両側に本粘着層を有する両面粘着シートであってもよいし、上下片面側のみに本粘着層を有する片面粘着シートであってもよい。
<厚み>
本粘着シートの厚みすなわち総厚さは、画像表示装置の薄肉化を妨げないという観点及び段差吸収性という観点から、50μm〜1mmであるのが好ましく、中でも75μm以上或いは500μm以下であるのがさらに好ましい。
本粘着シートの総厚さが50μm以上であれば、高印刷段差等の凹凸への追従することが可能であり、1mm以下であれば、薄肉化の要求にこたえることができる。
さらに、従来の画像表示装置における周縁の隠蔽層の印刷高さがより高く、具体的には80μm程度の段差までをも埋める観点から、本粘着シートの総厚さは75μm以上がより好ましく、特に100μm以上であるのがさらに好ましい。他方、薄肉化の要求にこたえる観点からは、500μm以下であるのが好ましく、特に350μm以下であるのがさらに好ましい。
また、被着体との密着力や衝撃吸収性を妨げないという観点から、最大厚み部分の厚さは5μm以上であるのが好ましく、10μm以上がより好ましく、15μm以上であるのがさらに好ましい。
多層構成とする場合には、各最外層の厚さと中間層の厚さの比率は1:1〜1:20であるのが好ましく、中でも1:2〜1:10であるのがさらに好ましい。
中間層の厚みが、上記範囲であれば、積層体における粘着材層の厚みの寄与が大きくなりすぎず、柔軟すぎて裁断や取回しに係る作業性が劣るようになることがなく好ましい。
また、最外層が上記範囲であれば、凹凸や屈曲した面への追随性に劣ることがなく、被着体への接着力や濡れ性を維持することができて、好ましい。
また、本粘着シートは、最大厚み部分の厚みが250μm以下であるのが好ましい。言い換えれば、本粘着シートは、厚さが均一なシートであっても、部分的に厚さが異なる不均一なシートであってもよく、厚さが不均一なシートの場合には、最も厚さの大きな部分の厚さが250μm以下であるのが好ましい。
<用途>
本粘着シートは、そのままの形態でも使用可能であるが、次のようにしても使用可能である。但し、本粘着シートの利用方法を限定するものではない。
(粘着シート積層体)
本粘着シートは、例えば、本粘着シートの一面又は両面に離型フィルムを積層してなる構成を備えた粘着シート積層体として提供することができる。
(本画像表示装置構成用積層体)
本粘着シートの用途の一例として、2つの画像表示装置用構成部材間を本粘着シートを介して積層してなる構成を備えた画像表示装置構成用積層体(以下、「本画像表示装置構成用積層体」と称する。)を作製することができる。
本画像表示装置構成用積層体は、例えば、少なくとも対面する2つの画像表示装置用構成部材を備え、少なくとも一方の画像表示装置用構成部材は、貼合面に光不透過部と光透過部を有する画像表示装置構成用積層体であって、前記2つの画像表示装置用構成部材の間が本粘着シートで充填されてなる構成を備えた画像表示装置構成用積層体であって、前記画像表示装置用構成部材を介して前記粘着シートに光照射して、当該粘着シートを部分的に光硬化させてなる構成を備えた画像表示装置構成用積層体を挙げることができる。
この際、前記粘着シートの前記光透過部に接する位置のゲル分率が50%以上であって、かつ、前記光不透過部に接する位置のゲル分率が5%未満とすることができる。
ここで、上記画像表示装置用構成部材としては、タッチパネル、画像表示パネル、表面保護パネル及び偏光フィルムからなる群のうちの何れか或いは2種類以上の組み合わせからなる積層体を挙げることができる。
本画像表示装置構成用積層体の一例として、保護パネル/本粘着シート/偏光フィルムの構成から成る積層体のほか、例えば画像表示パネル/本粘着シート/タッチパネル、画像表示パネル/本粘着シート/保護パネル、画像表示パネル/本粘着シート/タッチパネル/本粘着シート/保護パネル、偏光フィルム/本粘着シート/タッチパネル、偏光フィルム/本粘着シート/タッチパネル/本粘着シート/保護パネルなどの構成例を挙げることができる。
保護パネル及び画像表示パネルは、タッチパネルセンサーを保護パネル若しくは画像表示パネル自体に組み込んだものであってもよい。
本画像表示装置構成用積層体は、例えば次の(1)〜(3)の工程を経て製造することができる。
但し、本画像表示装置構成用積層体の製造方法は、少なくとも次の(1)〜(3)の工程を有すればよいから、他の工程を追加したり、各工程の間に他の工程を挿入したりすることは可能である。
(1)(メタ)アクリル系共重合体(A)と、架橋剤(B)と、光重合開始剤(C)とを含有する粘着剤樹脂組成物を調製し、該粘着剤樹脂組成物を用いて単層又は多層のシート状に成形して、本粘着シートを作製する工程。
(2)本粘着シートを介して2つの画像表示装置構成部材を貼着して積層する工程。
(3)少なくとも一方の画像表示装置構成部材の外側から、活性エネルギー線を本粘着シートに照射し、本粘着シートを架橋させて、2つの画像表示装置構成部材を接着させる工程。
(工程(1))
工程(1)では、公知の方法にて本粘着剤樹脂組成物を調製して、該粘着剤樹脂組成物からなる粘着層を備えた単層又は多層の未架橋状態のシート状に成形して本粘着シートを作製する。
本粘着剤樹脂組成物をシート状に成形する方法は、現在公知の方法を任意に採用することができる。
この際、本粘着剤樹脂組成物を、離型フィルムの上に単層又は多層のシート状に成形して、粘着層を備えた単層又は多層の透明両面粘着材を作製するようにしてもよい。
また、本粘着剤樹脂組成物を、画像表示装置構成部材の上に単層又は多層のシート状に成形して、当該画像表示装置構成部材上に、粘着層を備えた単層又は多層の透明両面粘着材を作製するようにしてもよい。
(工程(2))
工程(2)では、前記本粘着シートを介して2つの画像表示装置構成部材を貼着して積層することができる。
この際、本粘着シートのベースポリマーとして上記グラフト共重合体(A1)を用いると、通常状態、すなわち室温状態で、当該マクロモノマー同士が凝集して物理的架橋構造を形成し、本粘着シートに優れた保管安定性や裁断加工性を付与することができる。
また、(メタ)アクリル系共重合体(A)が、温度130℃、周波数0.02Hzにおける複素粘度が100〜800Pa・sであれば、貼合時にホットメルトシートとして用いる際、優れた作業性を享受することができる。
このように工程(2)では、本粘着シートを介して2つの画像表示装置構成部材を貼着して積層することができる。このようにすれば、本粘着シートを被着体に押し付けるだけで簡単に貼りつく程度の粘着性を得ることができるから、粘着材を貼着する位置決めがしやすく、作業上とても便利である。
また、本粘着シートは、形状保持性に優れ、事前に任意の形状に加工しておくことが可能であることから、離型フィルム上に成形した本粘着シートを、積層する画像表示装置構成部材の寸法に合わせて予めカットしておくこともできる。
この際のカット方法は、トムソン刃による打ち抜き、スーパーカッターやレーザーでのカットが一般的であり、離型フィルムを剥がし易いように表裏どちらか一方の離型フィルムを額縁状に残してハーフカットするのがより好ましい。
工程(2)においても、本粘着シート、すなわち透明両面粘着材は未架橋状態である。
(工程(3))
工程(3)では、少なくとも一方の画像表示装置構成部材の外側から、活性エネルギー線を本粘着シートの前記粘着層に照射し、当該粘着層を架橋させて、2つの画像表示装置構成部材を接着させて、本画像表示装置構成用積層体を製造することができる。
本粘着シートは、架橋剤(B)及び光重合開始剤(C)を含有しているから、活性エネルギー線を本粘着シートの前記粘着層に照射し、当該粘着層を架橋させて硬化させることができ、2つの画像表示装置構成部材をしっかりと貼着することができる。
この際、活性エネルギー線としては、熱線、X線、電子線、紫外線、可視光線等の、重合開始剤を感応せしめるエネルギー線を照射すればよい。中でも、画像表示装置構成部材へのダメージ抑制や、反応制御のしやすさの観点から、紫外線、とくに波長380nm以下の紫外線を照射するのが好ましい。
紫外線照射条件について特に制約はない。例えば、粘着材に到達する紫外線の積算光量が、波長365nmにおいて500〜5000mJ/cmとなるよう照射するのが好ましい。作業性を保持しつつ、十分に架橋反応を進行させる観点からである。
但し、紫外線を照射する際に介在する画像表示装置構成部材が、上記波長の光線を遮断する場合は、介在する部材に合わせて、粘着材が感応するエネルギー線の種類を、重合開始剤の種類によって適宜調整するのが好ましい。
(他の工程)
前記工程(2)と前記工程(3)の間に、前記工程(2)で得られた積層物を加熱して透明両面粘着材の粘着層を加熱溶融させる工程を挿入するようにしてもよい。すなわち、工程(2)で貼着した積層物を加熱して本粘着シートの粘着層を加熱溶融(ホットメルト)させるようにしてもよい。
本粘着シートは、加熱すると、マクロモノマー同士の前記凝集が解れて物理的架橋構造が解消して高い流動性を発現させることができる。よって、着面に印刷段差等の凹凸がある場合には、2つの画像表示装置構成部材を積層する際に、本粘着シートを加熱して流動(ホットメルト)させることで、粘着材の凹凸追従性や被着体への濡れ性が高まり、歪みを残さず、部材同士をより強固に一体化させることができる。
この際、60〜100℃に加熱してホットメルトさせるのが好ましい。60℃以上であれば、粘着材の流動性を十分に付与することができ、凹凸部へ十分に粘着剤樹脂組成物を充填させることができる。他方、100℃以下であれば、被着体たる画像表示装置構成部材に熱ダメージを与えるのを抑えることができるばかりか、粘着材が流動し過ぎて粘着剤樹脂組成物のはみだしや潰れが生じることを防ぐこともできる。
このような観点から、ホットメルト温度は、60〜100℃であるのが好ましく、中でも62℃以上或いは95℃以下、その中でも65℃以上或いは90℃以下であるのがさらに好ましい。
(本画像表示装置)
本粘着シート或いは上記画像表示装置構成用積層体を用いて画像表示装置(以下、「本画像表示装置」と称する。)を構成することもできる。
例えば、本画像表示装置は、少なくとも対面する2つの画像表示装置用構成部材を備え、少なくとも一方の画像表示装置用構成部材は、貼合面に光不透過部と光透過部を有する画像表示装置において、前記2つの画像表示装置用構成部材の間が粘着シートで充填されてなる構成を備えた画像表示装置を挙げることができる。この際、前記粘着シートの前記光透過部に接する位置のゲル分率が50%以上であって、かつ、前記光不透過部に接する位置のゲル分率が5%未満とすることができる。
上記本画像表示装置構成用積層体及び本画像表示装置において、画面周囲の印刷部分など、光硬化に必要な波長の光を透過しない部分(本発明では「光不透過部」と称する)と、光硬化に必要な波長の光を透過する部分(本発明では「光透過部」と称する)とを、貼合面に有する画像表示装置用構成部材と、他の画像表示装置用構成部材とを貼合する際、前記光不透過部に接する位置のゲル分率を1%未満とし、前記光透過部に接する位置のゲル分率を40%以上とすることにより、光不透過部によって圧迫されて受ける応力を緩和することができ、この部分に生じる歪みを小さくすることができると共に、高い凝集力をもって被着物同士を強固に接着させることもできる。
本画像表示装置の好ましい製法の具体例の一例について説明する。
先ず、本粘着シートを加熱してホットメルトさせ、印刷部すなわち光不透過部を有する画像表示装置用構成部材と、画像表示装置用構成部材とを、上記本粘着シートを介して積層する。この段階では、本粘着シートは適度に柔らかいから、保管安定性を維持しながら段差に十分に追従することができる。
そして次に、画像表示装置用構成部材の外側から紫外線などの光を照射する。すると、印刷部が光を遮蔽するため、印刷部に接する部分には光は到達しないか、或いは到達する光が顕著に制限される一方、印刷部のない光透過部に接する部分には光が十分に到達し、この部分の架橋反応が進行して光硬化させることができ、優れた耐剥離性及び耐発泡性を実現することができる。
前記2つの画像表示装置用構成部材としては、例えばパソコン、モバイル端末(PDA)、ゲーム機、テレビ(TV)、カーナビ、タッチパネル、ペンタブレットなど、LCD、PDP又はELなどの画像表示装置の構成部材を挙げることができる。より具体的には、例えばタッチパネル、画像表示パネル、表面保護パネル及び偏光フィルムからなる群のうちの何れか、或いは2種類以上の組み合わせからなる積層体を挙げることができる。
<語句の説明など>
一般的に「シート」とは、JISにおける定義上、薄く、その厚さが長さと幅のわりには小さく平らな製品をいい、一般的に「フィルム」とは、長さ及び幅に比べて厚さが極めて小さく、最大厚さが任意に限定されている薄い平らな製品で、通常、ロールの形で供給されるものをいう(日本工業規格JISK6900)。しかし、シートとフィルムの境界は定かでなく、本発明において文言上両者を区別する必要がないので、本発明においては、「フィルム」と称する場合でも「シート」を含むものとし、「シート」と称する場合でも「フィルム」を含むものとする。
また、画像表示パネル、保護パネル等のように「パネル」と表現する場合、板体、シートおよびフィルム、又はこれらの積層体を包含するものである。
本明細書において、「X〜Y」(X,Yは任意の数字)と記載した場合、特にことわらない限り「X以上Y以下」の意と共に、「好ましくはXより大きい」或いは「好ましくはYより小さい」の意も包含するものである。
また、「X以上」(Xは任意の数字)と記載した場合、特にことわらない限り「好ましくはXより大きい」の意を包含し、「Y以下」(Yは任意の数字)と記載した場場合、特にことわらない限り「好ましくはYより小さい」の意を包含する。
以下、実施例でさらに詳しく説明する。但し、これらにより本発明は何ら制限を受けるものではない。
[実施例1]
(メタ)アクリル系共重合体(A)として、ポリメタクリル酸メチルマクロモノマー(Tg:105℃、数平均分子量は2400)15質量部(18mol%)とブチルアクリレート(Tg:−55℃)81質量部(75mol%)とアクリル酸(Tg:106℃)4質量部(7mol%)とがランダム共重合してなるグラフト共重合体(A1)を使用した。
このグラフト共重合体(A1)において、幹成分を構成する共重合体のガラス転移温度は−60℃、マクロモノマーのグラフト共重合体(A1)中の含有量は15質量%であり、温度130℃、周波数0.02Hzにおける複素粘度が260Pa・sであった。
このグラフト共重合体(A1)1kgと、架橋剤(B)としてのグリセリンジメタクリレート(日油社製、製品名:GMR)90gと、光重合開始剤(C)としての2,4,6−トリメチルベンゾフェノン及び4−メチルベンゾフェノンの混合物(Lanberti社製、製品名:エザキュアTZT)15gとを均一混合し、粘着剤樹脂組成物1を作製した。
前記粘着剤樹脂組成物1を、2枚の離型フィルムすなわち剥離処理された2枚のポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱樹脂社製「ダイアホイルMRV−V06」、厚さ100μm/三菱樹脂社製「ダイアホイルMRQ」、厚さ75μm)で挟み、ラミネータを用いて厚さ150μmとなるようシート状に賦形し、粘着シート1(厚さ150μm)を作成した。
[実施例2]
架橋剤(B)として、グリセリンジメタクリレート(新中村化学工業社製、製品名:NKエステル701)(B−1)90gを用いた以外は実施例1と同様に粘着剤樹脂組成物2を作製した。
前記粘着剤樹脂組成物2を用いて、実施例1と同様に粘着シート2(厚さ150μm)を作成した。
[実施例3]
実施例1と同じグラフト共重合体(A1)1kgと、架橋剤(B)として、グリセリンジメタクリレート(日油社製、製品名:GMR)90gと、光重合開始剤(C)としての2,4,6−トリメチルベンゾフェノン及び4−メチルベンゾフェノンの混合物(Lanberti社製、製品名:エザキュアTZT)15gと、紫外線安定化剤(チバジャパン社製、製品名:TIN123)50gとを均一混合し、粘着剤樹脂組成物3を作製した。
そして、この粘着剤樹脂組成物3を用いて実施例1と同様に粘着シート3(厚さ150μm)を作成した。
[実施例4]
(メタ)アクリル系共重合体(A)として、ポリメタクリル酸メチルマクロモノマー(Tg:105℃、数平均分子量は2500)10質量部(12mol%)とブチルアクリレート(Tg:−55℃)88質量部(84mol%)とアクリル酸(Tg:106℃)2質量部(7mol%)とがランダム共重合してなるグラフト共重合体(A2)を使用した。
このグラフト共重合体(A2)において、幹成分を構成する共重合体のガラス転移温度は−60℃、マクロモノマーのグラフト共重合体(A2)中の含有量は10質量%であり、温度130℃、周波数0.02Hzにおける複素粘度が240Pa・sであった。
このグラフト共重合体(A2)1kgと、架橋剤(B)としてのトリメチロールプロパントリアクリレート(新中村化学工業社製、製品名:CLM400)50gと、光重合開始剤(C)としての2,4,6−トリメチルベンゾフェノン及び4−メチルベンゾフェノンの混合物(Lanberti社製、製品名:エザキュアTZT)15gとを均一混合し、粘着剤樹脂組成物4を作製した。
そして、この粘着剤樹脂組成物4を用いて実施例1と同様に粘着シート4(厚さ150μm)を作成した。
[実施例5]
(メタ)アクリル系共重合体(A)として、ポリメタクリル酸メチルマクロモノマー(Tg:105℃、数平均分子量は2500)8質量部(10mol%)とブチルアクリレート(Tg:−55℃)89質量部(85mol%)とアクリル酸(Tg:106℃)3質量部(5mol%)とがランダム共重合してなるグラフト共重合体(A3)を使用した。
このグラフト共重合体(A3)において、幹成分を構成する共重合体のガラス転移温度は−40℃、マクロモノマーのグラフト共重合体(A3)中の含有量は8質量%であり、温度130℃、周波数0.02Hzにおける複素粘度が220Pa・sであった。
このグラフト共重合体(A3)1kgと、架橋剤(B)としてのグリセリンジメタクリレート(日油社製、製品名:GMR)90gと、光重合開始剤(C)としての2,4,6−トリメチルベンゾフェノン及び4−メチルベンゾフェノンの混合物(Lanberti社製、製品名:エザキュアTZT)15gとを均一混合し、粘着剤樹脂組成物5を作製した。
そして、この粘着剤樹脂組成物5を用いて、実施例1と同様に粘着シート5(厚さ150μm)を作成した。
[比較例1]
国際公開2012/032995号公報の実施例に相当するように作製した。
すなわち、(メタ)アクリル系共重合体(A)として、2−エチルヘキシルアクリレート(Tg:−70℃)75質量部(57mol%)と酢酸ビニル(Tg:32℃)20質量部(33mol%)とアクリル酸(Tg:106℃)5質量部(10mol%)とをランダム共重合してなるアクリル系共重合体(A−5)1kgに、架橋剤(B)として、トリメチロールプロパントリアクリレート(B−4)200g及び光重合開始剤(C)として、4−メチルベンゾフェノン(C−3)10gを混合添加して中間層用樹脂組成物を調製した。
この中間層用樹脂組成物を、剥離処理した2枚のポリエチレンテレフタレートフィルム(パナック社製、NP75Z01、厚さ75μm/東洋紡績社製、E7006、厚さ38μm)で挟み、厚さ80μmとなるようシート状に賦形し、中間層用シート(α)を作成した。
続いて、前記アクリル系共重合体(A−5)1kgに対し、光重合開始剤(C)として、4−メチルベンゾフェノン(C−3)20gを添加混合し、接着層用樹脂組成物を調整した。
前記接着層用樹脂組成物を、2枚の離型フィルムすなわち剥離処理された2枚のポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱樹脂社製「ダイアホイルMRA」、厚さ75μm/東洋紡績社製「E7006」、厚さ38μm)で挟み、厚さ35μmとなるようシート状に賦形し、接着層用樹脂シート(β)を作成した。
さらに接着層用樹脂組成物を、剥離処理した2枚のポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱樹脂社製、ダイアホイルMRF、厚さ75μm/東洋紡績社製、E7006、厚さ38μm)で挟み、厚さ35μmとなるようシート状に賦形し、接着層用樹脂シート(β’)を作成した。
中間層用シート(α)の両側のPETフィルムを順次剥離除去すると共に、接着層用樹脂シート(β)及び(β’)の一側のPETフィルムを剥がして、露出した粘着面を中間層用シート(α)の両表面に順次貼合し、(β)/(α)/(β’)からなる3層粘着シートを作製した。
(β)及び(β’)の表面に残るPETフィルムを介して、波長365nmの積算光量が1000mJ/cmとなるよう高圧水銀ランプにて紫外線を照射し、(α)、(β)及び(β’)を紫外線架橋させて、粘着シート6(厚さ150μm)を作成した。
[比較例2]
WO2010/038366の実施例6に準じて粘着シートを作製した。
すなわち、(メタ)アクリル系共重合体(A)の代替として、フェノキシ樹脂(InChem社製、PKHH、重量平均分子量5.2万)650gと、架橋剤(B)の代替として、カーボネート骨格を有するポリウレタンアクリレート(根上工業社製、UN5500、重量平均分子量6.7万)1kg、光重合開始剤(C)として、1−シクロヘキシルフェニルケトン(BASF社製、Irgacure184)43gを均一混合してなる粘着剤樹脂組成物7を作製した。
前記組成物7は、実施例1と同様の方法にて、粘着シート7(厚さ150μm)を作成した。
[評価]
実施例及び比較例で作成した粘着シート及び積層体について、次のように評価した。
(引張弾性率、破断強度、破断伸び)
粘着シート1〜7を巾20mmに裁断し、光架橋前の引張試験測定試料とした。
粘着シート1〜7を巾20mmに裁断した後、365nmの積算光量が2000mJ/cm2となるように、離形PET側から高圧水銀ランプを用いて紫外線を照射して粘着シートを硬化し、23℃50%RHで15時間養生して、光架橋後の引張試験測定試料とした。
上記引張試験測定試料を23℃50%RHの環境下にて、試験速度300mm/分で引張時の引張弾性率、引張破断強度、引張破断伸びを測定した。
なお、引張弾性率の測定条件は変位が30〜50mmとした。
(ゲル分率)
実施例及び比較例で作製した粘着シート1〜7の光透過部に接する箇所、すなわち硬質部と、光不透過部に接する箇所、すなわち軟質部それぞれを取り出したものについて、下記の測定を行った。
1)粘着剤樹脂組成物を秤量し(W1)、予め重さを測った200メッシュのSUSメッシュ(W0)に包む。
2)上記SUSメッシュを100mLの酢酸エチルに24時間浸漬する。
3)SUSメッシュを取り出し、75℃で4時間半乾燥する。
4)乾燥後の重量(W2)を求め、下記式より粘着剤樹脂組成物のゲル分率を測定する。
ゲル分率(%)=100×(W2−W0)/W1
(作業性(保管性))
50mm×50mm角に裁断した粘着シート1〜7を、100mm×100mm四方で厚さ2mmのガラス板2枚の間に挟んで積層体を作製した。500gのおもりを積層体の上に置き、60℃の環境下にて24時間放置後に積層体から粘着剤がはみ出たか目視観察を行った。
作製した積層体を目視観察して、粘着剤が全体的にはみ出たものを「×」、粘着剤が角部のみはみ出たものを「△」、粘着剤がはみ出なかったものを「○」と判定した。
(段差吸収性)
実施例1〜5及び比較例1で作製した光照射前の状態の粘着シート1〜6を、50mm×80mmに裁断し、一方の離型フィルムを剥がして露出した粘着面を、周縁部3mmに厚さ80μmの印刷を施したソーダライムガラス(82mm×53mm×0.5mm厚)の印刷面に、粘着材の4辺が印刷段差にかかるようにして真空プレスを用いてプレス圧着した(絶対圧5kPa、温度80℃、プレス圧0.04MPa)。次いで、残る離型フィルムを剥がし、ゼオノアフィルム(日本ゼオン社製、100μm厚)をプレス貼合した後、オートクレーブ処理(80℃、ゲージ圧0.2MPa、20分)を施して仕上げ貼着した。
次に、印刷を施したソーダライムガラス側から、波長365nmの紫外線がシートXに2000mJ/cmに到達するよう高圧水銀ランプにて紫外線を照射し、印刷の施されていない開口部、すなわち光透過部に接する箇所のシートを硬化させて、評価用積層体1〜6を作成した。
比較例2で作成した粘着シート7については、粘着シート7を用いて、前述と同様の手順で印刷を施したソーダライムガラスとゼオノアフィルム(日本ゼオン社製、100μm厚)との積層体を作成した後、オートクレーブ処理(80℃、ゲージ圧0.2MPa、20分)を施して仕上げ貼着し、評価用積層体7とした。
作製した積層体1〜7を目視観察し、印刷段差近傍で粘着材が追従せず気泡が残ったものを「×」、フィルムが段差近傍で屈曲し、歪むことによる凹凸ムラが見えたものを「△」、気泡なく平滑に貼合されたものを「○」と判定した。
Figure 0006252626
実施例1〜5で作製した粘着シートは、光硬化前後で引張特性が大きく変化するものであった。このような特性を有しているため、実施例1〜5で作製した粘着シートは、光硬化前は優れた段差吸収性を有する一方、光硬化後は優れた耐発泡性を有することができることが確認された。
これに対し、比較例では、光硬化前後で引張特性の変化が不十分であったため、比較例1では光架橋後の変化が不十分な為、信頼性の劣るシートとなり、比較例2では光架橋前で作業性(保管性)の劣るシートとなった。

Claims (10)

  1. (メタ)アクリル系共重合体(A)100質量部と、架橋剤(B)0.5〜20質量部と、光重合開始剤(C)0.1〜5質量部とを含有する粘着剤樹脂組成物からなる両面粘着シートであって、
    前記(メタ)アクリル系共重合体(A)は、枝成分としてマクロモノマーを備えたグラフト共重合体であり、
    引張弾性率について、光架橋前の引張弾性率(X)と光架橋後の引張弾性率(X)との比(X /X )が3以上となることを特徴とする粘着シート。
  2. 前記(メタ)アクリル系共重合体(A)は、前記グラフト共重合体の枝成分としてのマクロモノマーのガラス転移温度が、当該グラフト共重合体の幹成分を構成する共重合成分のガラス転移温度よりも高いことを特徴とする(メタ)アクリル系共重合体である、請求項1に記載の粘着シート。
  3. 前記(メタ)アクリル系共重合体(A)は前記マクロモノマーを5〜30質量%の割合で含有するものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の粘着シート。
  4. 最大引張応力について、光架橋前の最大引張応力(Y)と光架橋後の最大引張応力(Y)との比(Y /Y )が10倍以上となる請求項1〜3の何れかに記載の粘着シート。
  5. 引張破断応力について、光架橋前の引張破断応力(Z)と光架橋後の引張破断応力(Z)との比(Z /Z )が10以上となる請求項1〜の何れかに記載の粘着シート。
  6. 光架橋前のゲル分率が5%以下であって、光架橋後のゲル分率が50%以上となることを特徴とする請求項1〜の何れかに記載の粘着シート。
  7. 請求項1〜の何れかに記載の粘着シートと、離型フィルムとを積層してなる構成を備えた粘着シート積層体。
  8. 少なくとも対面する2つの画像表示装置用構成部材を備え、少なくとも一方の画像表示装置用構成部材は、貼合面に光不透過部と光透過部を有する画像表示装置構成用積層体において、
    前記2つの画像表示装置用構成部材の間が請求項1〜の何れかに記載の粘着シートで充填されてなる構成を備えた画像表示装置構成用積層体であって、
    前記画像表示装置用構成部材を介して前記粘着シートに光照射して、当該粘着シートを部分的に光硬化させてなる構成を備えた画像表示装置構成用積層体。
  9. 前記2つの画像表示装置用構成部材が、タッチパネル、画像表示パネル、表面保護パネル及び偏光フィルムからなる群のうちの何れか、或いは2種類以上の組み合わせからなる積層体であることを特徴とする請求項に記載の画像表示装置。
  10. 請求項8又は9に記載の画像表示装置構成用積層体を用いて構成された画像表示装置。
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