JP2016060424A - 車体構造 - Google Patents
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一方、凹凸の無い、または凹凸が殆ど無い平坦なトランクリッドやボンネットにあっては、これらトランクリッドやボンネット全体の変位をラッチ機構で受けることが可能であるが、トランクやエンジンルームの収納スペースが小さくなってしまう。
ここで、車体と蓋部の凹部とを、係合部および被係合部を介して固定する場合、前突や後突時などは、凹部と凸条部との間の稜線を境にして、凸条部が車室側に大きく変位しようとする。すなわち、稜線よりも車幅方向外側が車室側に大きく変位しようとする。しかしながら、上述の構成では、稜線よりも車幅方向外側に、凸条部の車室側への変位を抑制する変位抑制部が設けられているので、蓋部の車室側への変位を抑制することができる。
ここで、車体と蓋部の凹部とを、係合部および被係合部を介して固定する場合、前突や後突時などは、凹部と凸条部との間の稜線を境にして、凸条部が車室側に大きく変位しようとする。すなわち、稜線よりも車幅方向外側が車室側に大きく変位しようとする。しかしながら、稜線よりも車幅方向外側に、凸条部の車室側への変位を抑制する変位抑制部が設けられているので、蓋部の車室側への変位を抑制することができる。
図1は、車体1の左斜め後方からみた斜視図、図2は、車体1の右側から後方をみた斜視図、図3は、エンジンルーム3を斜め後方からみた斜視図である。
なお、以下の説明において、前後上下左右等の向きは、車体1の向きと同一とする。すなわち、以下の説明では、車両進行方向前方を単に前方と称し、車両進行方向後方を単に後方と称し、運転席からみて車幅方向右側を単に右側と称し、車幅方向左側を単に左側と称し、重力方向上側を単に上側と称し、重力方向下側を単に下側と称して説明する。
ホイルハウスアッパインナ11、およびホイルハウスアッパアウタ12の外周部には、それぞれ両者11,12を接合するためのフランジ部11a,12aが一体成形されている。
一方、エンジンルーム3の前端には、後部側隔壁部5に接合されつつ、左右方向両側のホイルハウスアッパインナ11に跨るように、クロスメンバ15が設けられている。このクロスメンバ15は、後部側隔壁部5と協働して閉断面を構成している。
ダンパ部材16は、エンジンルーム3の後側で、且つ車幅方向両側に、それぞれ配置されている。なお、車幅方向両側に配置された2つのダンパ部材16は、それぞれ同一構造となっているので、以下の説明では、右側だけのダンパ部材16について説明し、左側のダンパ部材16については、図示と説明を省略する。
ダンパフェイス18の外周部は、下側に向かって屈曲延出しており、ダンパフェイス18の外周面24を構成している。この外周面24が、上開口部22に内嵌され、ホイルハウスアッパインナ11のフランジ部11aおよびダンパハウジング17に、それぞれスポット溶接により接合されている。また、ダンパハウジング17の中央の大部分には、開口部23aが形成されている。
ステー20は、ボンネット9が閉状態でエンジンルーム3内に収納されている状態(以下、収納状態と称する)において、ステー取付部25からエンジンルーム3の前側で、且つエンジンルーム3の幅方向中央に至る間に延在するように形成され、途中で僅かに屈曲されたステー本体28を有している。
ステー本体28の基端には、このステー本体28に対して略直角に曲折形成された挿入部29が一体成形されている。この挿入部29が、ステー取付部25に形成された不図示の貫通孔に挿入されている。そして、挿入部29の端部には、抜け止めクリップ30が装着され、これにより、ステー取付部25から挿入部29が抜けてしまうことが防止される。
さらに、ステー本体28の先端には、ステー20の収納状態において、車幅方向中央に向かって屈曲延出する係合部32が一体成形されている。この係合部32は、ボンネット9を開状態としたとき、ボンネット9側に設けられた被係合部33に係合させるものである。ここで、係合部32は、ステー20の収納状態において、ラッチ機構19に保持されている。
ラッチ機構19は、クロスメンバ15の車幅方向中央、つまり、エンジンルーム3の前端側で、且つ車幅方向中央に設けられている。ラッチ機構19は、クロスメンバ15に接合されたブラケット41を有している。ブラケット41の後端41aにおける右側には、舌片部42が切り起し形成されている。この舌片部42に、ステー20の係合部32を着脱自在に保持するクリップ43が設けられている。
図4は、キャッチャ49の斜視図、図5は、キャッチャ49の取り付け状態を示す斜視図である。
図3〜図5に示すように、キャッチャ49は、ラッチ機構19を中心にして車幅方向両側に配置され、後部側隔壁部5およびクロスメンバ15に固定されている。キャッチャ49は、幅方向に沿う断面形状が略コの字状となるように形成されており、車幅方向に並んで配置された一対の側壁71と、一対の側壁71の上端を跨るように形成された上壁72と、を有している。
各上部側壁73には、車幅方向からみた平面視で、中央の大部分に開口部73aが形成されている。また、各上部側壁73には、前側縁(後部側隔壁部5側縁)に、それぞれ外フランジ部75が車幅方向に沿って屈曲延出されている。この外フランジ部75が、スポット溶接により後部側隔壁部5に接合される。
また、一対の側壁71の後縁には、ストライカ受部79が延出されている。ストライカ受部79は、後突時にボンネット9に設けられている後述の飛出し防止用ストライカ54を受ける部位である。
さらに、一対のストライカ受部79および弧状周縁部80aの後縁には、互いに対向する側とは反対側に向かって僅かに延出する折り返し部79aが形成されている。
図6は、ボンネット9の閉状態におけるエンジンルーム3の前部の側面図、図7は、ボンネット9の閉状態におけるボンネット9の前部をエンジンルーム3内からみた斜視図である。
図1、図2、図6、図7に示すように、ボンネット9は、車幅方向両側に配置された2つの凸条フード9aと、これら2つの凸条フード9a間に配置された凹フード9bとが一連に形成されたものである。
ここで、ヒンジ部51は、リヤフレーム50の上端に設けられているので、ボンネット9の閉状態においては、車室4側から後方に向かって、ステー20、ダンパ部材16、ヒンジ部51の順で配置されていることになる。
また、凹フード9bの前部には、エンジンルーム3のラッチ機構19に対応する位置に、係合用ストライカ53が設けられている。この係合用ストライカ53が、ボンネット9の閉状態において、ラッチ機構19の2つの鉤部45,46の間に挿入される。これにより、ラッチ機構19に係合用ストライカ53が係合され、ボンネット9の閉状態が保持される。
図6に示すように、通常のボンネット9の閉状態では、キャッチャ49のやや後方に飛出し防止用ストライカ54が位置している。この状態で後突されると、衝撃によってボンネット9が前方(車室4側)に向かって飛び出そうとする。
ここで、ボンネット9は、車幅方向両側に配置された2つの凸条フード9aと、これら2つの凸条フード9a間に配置された凹フード9bとにより構成されており、前後方向に延びる稜線92a,92bを有している。このため、平坦なボンネット9と比較して上下方向の荷重に対する剛性は高いが、前後方向の荷重に対する剛性は若干低くなる。すなわち、稜線92a,92bを境に、両側(凸条フード9aと凹フード9b)が相対的に変位しやすくなる。
一方、凸条フード9aの前部は、エンジンルーム3と直接係合されていないので、大きな慣性力が作用し、前方に向かって変位する(矢印Y1参照)。
ここで、飛出し防止用ストライカ54およびキャッチャ49は、ラッチ機構19および係合用ストライカ53よりも上方に位置しているので、凸条フード9aの前端が前のめりに変位しようとする場合であっても、凸条フード9aの前部をキャッチャ49の全体で受けることができる。このため、キャッチャ49によって、凸条フード9aの変位を確実に抑制できる。
次に、ボンネット9の開作業について説明する。
ボンネット9を閉状態から開状態にするには、まず、車室4内に設けられた不図示のボンネット開作動用のレバーを操作する。すると、ラッチ機構19の他方の鉤部46が回動し、ボンネット9の係合用ストライカ53が僅かに押し上げられる。これに伴い、ボンネット9の前端が僅かに浮き上がる。
そして、そのままボンネット9の前端を把持して持ち上げる。すると、ボンネット9がヒンジ部51を中心に回動し、開状態になる。
さらに、2つの凸条フード9aには、飛出し防止用ストライカ54よりも前側に、ゴム製のストッパ91が設けられている。このため、ボンネット9の閉状態において、2つの凸条フード9aを、ストッパ91を介してキャッチャ49に支持させることができる。このため、ボンネット9の閉状態において、凸条フード9aが撓んでしまうことを防止できる。
さらに、キャッチャ49は、車幅方向に並んで配置された一対の側壁71と、一対の側壁71の上端を跨るように形成された上壁72とにより、幅方向に沿う断面形状が略コの字状となるように形成されている。このため、簡素な構造ながらキャッチャ49の剛性を高めることができる。また、上壁72にかかるストッパ91の荷重を、効率よく側壁71で受けることができる。
また、上述の実施形態では、エンジンルーム3を開閉するボンネット9の後突時の変位を抑制するキャッチャ49や飛出し防止用ストライカ54について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、エンジンルーム3が車体前部に配置されている場合におけるボンネットの前突時の変位を抑制する場合にも上述の実施形態を適用できる。さらに、トランクルームを開閉するトランクリッドにも、上述の実施形態を適用することができる。
3…エンジンルーム(収納部)
3a…開口部
4…車室
9…ボンネット(蓋部)
9a…凸条フード(凸条部)
9b…凹フード(凹部)
15…クロスメンバ
15a…一面
16…ダンパ部材
19…ラッチ機構(係合部)
49…キャッチャ(被係止部)
53…係合用ストライカ(被係合部)
54…飛出し防止用ストライカ(係止部)
71…側壁
72…上壁
75,77…外フランジ部(フランジ部)
81…ビード
91…ストッパ(ストッパ部材)
Claims (10)
- 車体に設けられ、開口部を有する収納部と、
前記開口部を開閉する蓋部と、
を備え、
前記蓋部は、
車幅方向両側に配置され、前後方向に延びる2つの凸条部と、
前記2つの凸条部の間に配置され、前後方向に延びる凹部と、
が一連に形成されたものであり、
前記凹部に、前記車体に設けられた係合部と係合する被係合部を設け、
前記凸条部と前記凹部との間の稜線よりも車幅方向外側に、前記凸条部の車室側への変位を抑制する変位抑制部を設けたことを特徴とする車体構造。 - 前記変位抑制部は、
前記凸条部側に設けられた係止部と、
前記係止部よりも前記車室側に配置され、前記係止部と係止可能な被係止部と、
を備え、
前記被係止部は、前記車体の前後方向に向く一面に接合されていることを特徴とする請求項1に記載の車体構造。 - 前記被係止部は、一面が前記車体の前後方向に向くフランジ部を備えていることを特徴とする請求項2に記載の車体構造。
- 前記凸条部に、前記蓋部の閉状態で前記被係止部と当接する弾性のストッパ部材を設けたことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の車体構造。
- 前記ストッパ部材は、前記蓋部側端部の断面積よりも前記被係止部側端部の断面積が小さく設定されていることを特徴とする請求項4に記載の車体構造。
- 前記被係止部は、
一対の側壁と、該一対の側壁の端部間に跨るように設けられた上壁と、を有し、前記一対の側壁と前記上壁とにより車幅方向に沿う断面形状がコの字状となるように形成されており、
前記蓋部の閉状態で、前記上壁に前記ストッパ部材が当接するように配置されていることを特徴とする請求項5に記載の車体構造。 - 前記一対の側壁に、前記ストッパ部材が当接する方向に沿うビードが形成されていることを特徴とする請求項6に記載の車体構造。
- 前記側壁は、前記ビードの前記ストッパ部材が当接する側とは反対側が、前記車体の前後方向に向く前記一面に接合されていることを特徴とする請求項7に記載の車体構造。
- 前記係合部よりも前記変位抑制部が上方に位置していることを特徴とする請求項1〜請求項8の何れか1項に記載の車体構造。
- 前記凸条部の下方に、車輪の上下動を規制するダンパが取り付けられるダンパ部材を設けたことを特徴とする請求項1〜請求項9の何れか1項に記載の車体構造。
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