以下、図面を参照して本発明に係る燃料供給装置の実施形態を説明する。本実施形態に係る燃料供給装置1は、自動車に搭載され、同じく自動車に搭載された内燃機関84に燃料を供給するものである。以下の説明では、燃料供給装置1が自動車に搭載された状態を基準として各方向を定める。また、原燃料とは、オクタン価が異なる成分を含む燃料をいい、例えばエタノール等のアルコールがガソリンに混合された混合燃料(例えばエタノール含有ガソリン)を含む。高オクタン価燃料とはオクタン価が高い成分を原燃料よりも多く含む燃料をいい、低オクタン価燃料とはオクタン価が低い成分を原燃料よりも多く含む燃料をいう。原燃料がエタノール含有ガソリンである場合、高オクタン価燃料は主としてエタノールを含み、低オクタン価燃料はエタノール含有量(濃度)が低下したガソリンを含む。
図1に示すように、燃料供給装置1は、原燃料を貯留する原燃料タンク2(第1燃料タンク)を有する。本実施形態では、原燃料タンク2は、樹脂から形成されている。原燃料タンク2の形状は、任意に設定することができる。図1〜図3に示すように、原燃料タンク2は、互いに距離をおいて対向する上壁2A及び底壁2Bと、上壁2A及び底壁2Bの周縁に設けられた側壁2Cとを有し、内部に空間を形成する。本実施形態では、原燃料タンク2は、高さ(側壁2Cの高さ)が比較的小さく形成され、扁平形状を呈する。また、原燃料タンク2は、自動車に搭載された状態で左右方向における長さが前後方向における長さよりも長く形成されている。
図4に示すように、原燃料タンク2は、自動車の車体骨格の底部を構成する車体底部200の下方に配置されている。車体底部200は、車体の後部底部を前後に延びる一対のリヤフレームや、リヤフレーム間に掛け渡され、左右に延びる複数のクロスメンバ、リヤフレーム及びクロスメンバに支持され、車室の床を構成する板状のリヤフロア等を含む。
図2〜図4に示すように、原燃料タンク2の左右の側壁2Cの外面には、板状の結合片2Dがそれぞれ突設されている。各結合片2Dは、ボルトによって車体底部200に締結される。
また、原燃料タンク2は、タンク支持部材201によって車体底部200に支持されている。本実施形態では、タンク支持部材201は、例えば金属から形成された帯状部材(タンクバンド)であり、その両端である前端及び後端が車体底部200に結合され、原燃料タンク2の底壁2Bの下面(外面)に沿って前後に延びている。これにより、原燃料タンク2は、底壁2Bの下方からタンク支持部材201によって支持される。タンク支持部材201と車体底部200との結合態様は、ボルト等による締結や溶接等であってよい。底壁2Bの下面の左右方向における略中央部には、前後に延在する受容溝2Eが凹設されている。タンク支持部材201は受容溝2Eに嵌合し、受容溝2Eに沿って延びている。タンク支持部材201が受容溝2Eに嵌合することによって、タンク支持部材201と原燃料タンク2との相対変位が規制される。
図1〜図3に示すように、上壁2Aには、上壁2Aを厚み方向に貫通する第1開口4及び第2開口5が形成されている。第1開口4は第1リッド7によって開閉可能に閉塞され、第2開口5は第2リッド8によって開閉可能に閉塞される。また、上壁2Aには、外部から原燃料を補給するための給油管9が設けられている。
図1に示すように、燃料供給装置1は、原燃料タンク2の内部に、原燃料タンク2の骨格部材としてのキャリア11と、原燃料を高オクタン価燃料と低オクタン価燃料とに分離する分離装置12(第2燃料タンク)と、分離装置12によって分離された高オクタン価燃料を貯留する高オクタン価燃料タンク13と、分離装置12の一部を原燃料タンク2に対して支持するサブフレーム14(分離装置支持部材)とを有する。
分離装置12は、分離器17、凝縮器18、バッファータンク19、第1〜第3熱交換器21〜23、燃料循環ポンプ25、バキュームポンプ26(負圧ポンプ)を主要構成要素として含む。分離器17及び凝縮器18は、互いに結合され、分離器ユニット20を構成する。分離装置12のうち、分離器17、凝縮器18、バッファータンク19、第1及び第2熱交換器21、22、燃料循環ポンプ25、バキュームポンプ26は、原燃料タンク2の内部かつ高オクタン価燃料タンク13の外部に配置され、第3熱交換器23は高オクタン価燃料タンク13の内部に配置されている。
また、燃料供給装置1は、原燃料タンク2の内部かつ高オクタン価燃料タンク13の外部に、原燃料タンク2の内部かつ高オクタン価燃料タンク13の外部に貯留された燃料(原燃料)を内燃機関84に圧送する原燃料ポンプ28を有し、高オクタン価燃料タンク13の内部に高オクタン価燃料を内燃機関84に圧送する高オクタン価燃料ポンプ29を有する。
図6〜図8に示すように、サブフレーム14は、下部を構成する基部14Aと、基部14Aから上方かつ側方に延びる第1アーム部14Bと、基部14Aから上方かつ第1アーム部14Bと相反する側方に延びる第2アーム部14Cとを有し、略Y字形状に形成されている。基部14Aは、上下に延びる円筒形に形成され、その下端には中央に貫通孔である嵌合孔14Dが形成された底板14Eが設けられている。サブフレーム14は金属から形成されている。
サブフレーム14は、基部14Aの下端に装着される連結部材31を介して原燃料タンク2の底壁2Bの内面(上面)に結合される。連結部材31は、底板31Aを一端に有する有底円筒形(カップ状)に形成され、内側に基部14Aの下端が嵌合することによって、サブフレーム14に装着される。底板31Aの内面の中央には、嵌合孔14Dに嵌合する柱部31Bが形成されている。柱部31Bは、原燃料によって膨潤し、嵌合孔14Dとの係合が一層強固になる。
サブフレーム14の基部14Aは、連結部材31を介して、原燃料タンク2の底壁2Bの上面であって、平面視においてタンク支持部材201と重なる部分に配置されている。詳細には、平面視において基部14Aの中心が連結部材31と重なるように、サブフレーム14は原燃料タンク2に対して配置されている。連結部材31の外面(下面)は、底壁2Bの上面に溶着されている。
第1アーム部14B及び第2アーム部14Cは、平面視においてタンク支持部材201の延在方向と略直交する方向、すなわち前後に延びるタンク支持部材201と直交するように基部14Aから左方及び右方に延びている。第1アーム部14Bは分離器ユニット20(分離器17及び凝縮器18)を支持し、第2アーム部14Cはバキュームポンプ26を支持する。分離器ユニット20及びバキュームポンプ26は、分離装置12のうちで比較的重量が大きい部品である。第1アーム部14B及び分離器ユニット20、第2アーム部14C及びバキュームポンプ26は、例えばねじ等の締結手段によって結合されている。
互いに結合された分離器ユニット20、バキュームポンプ26、及びサブフレーム14の重心が、平面視において基部14Aと重なる位置、より好ましくは基部14Aの中心と重なる位置に配置されるように、第1アーム部14B及び第2アーム部14Cの長さが調整されている。これにより、分離器ユニット20及びバキュームポンプ26を支持するサブフレーム14は、底壁2B上で自立することができ、分離器ユニット20、バキュームポンプ26、及びサブフレーム14の荷重は、基部14Aから連結部材31を介して底壁2Bに下向きに加わる。分離器ユニット20、バキュームポンプ26、及びサブフレーム14から底壁2Bに加わる荷重は、基部14Aの直下に位置するタンク支持部材201によって支持される。
キャリア11は、原燃料タンク2を内側から支持し、原燃料タンク2の変形を抑制するメインフレームとして機能する部材である。図1、図5、図6に示すように、キャリア11は、第1部材11Aと、第1部材11Aに結合される第2部材11Bとを有する。本実施形態では、第1部材11A及び第2部材11Bは、それぞれ樹脂から形成されている。
キャリア11の第1部材11Aは、原燃料タンク2内を前後及び左右に延在する。第1部材11Aは、上方に向けて凹み、下向きに開口する凹部を形成するタンク形成部34を有する。タンク形成部34は、上壁35と、上壁35の周縁から下方に向けて突出した上側側壁36とを有する。上側側壁36の突出端(下端)には、外側に突出した上側フランジ37が形成されている。上側側壁36の突出端面(下端面)及び上側フランジ37は、下向きの上側結合面を形成している。
第2部材11Bは、下壁41と、下壁41の周縁から上方に向けて突出した下側側壁42とを有し、上方に向けて開口した箱形(皿形)に形成されている。下側側壁42の突出端(上端)には、外側に突出した下側フランジ43が形成されている。下側側壁42の突出端面(下端面)及び下側フランジ43は、上向きの下側結合面を形成している。
タンク形成部34と第2部材11Bとは互いに対応する形に形成され、タンク形成部34の上側結合面と第2部材11Bの下側結合面とが結合することによって、タンク形成部34と第2部材11Bとの間に閉空間が形成される。高オクタン価燃料タンク13は、タンク形成部34と第2部材11Bとによって形成される。すなわち、高オクタン価燃料タンク13は、キャリア11によって少なくとも一部が形成されている。本実施形態では、タンク形成部34の上側結合面と第2部材11Bの下側結合面は、概ね水平方向に延在し、互いに溶着されている。
タンク形成部34の上壁35には、厚み方向に貫通する第3開口45が形成されている。第3開口45は、第2開口5の内端側と対向する位置に、第2開口5と概ね同軸に配置されている。
また、キャリア11の第1部材11Aは、上方に向けて開口する凹部47を有している。凹部47内には、燃料循環ポンプ25が配置されている。凹部47は、原燃料タンク2の底壁2B付近に配置され、通常時には凹部47内に原燃料が満たされている。車両の加減速や旋回等によって原燃料に慣性力が加わるときに、凹部47は原燃料の移動を抑制して燃料循環ポンプ25の周囲に原燃料を保持し、燃料循環ポンプ25を原燃料の液面下に維持する。また、第1部材11Aは、上下に延在する複数の板片を有し、原燃料の慣性力による移動を阻害する障壁として機能する。
キャリア11は、上壁2Aの内面(下面)に当接する上当接部48と、底壁2Bの内面(上面)に当接する下当接部49とを有している。上当接部48及び下当接部49は、それぞれ少なくとも1つ設けられている。上当接部48は上壁2Aに溶着され、下当接部49は底壁2Bに溶着されている。本実施形態では、上当接部48は第1部材11Aに形成され、下当接部49は第1部材11A及び第2部材11Bに形成されている。
上当接部48の少なくとも1つは、タンク形成部34の上壁35の上面に形成され、下当接部49の少なくとも1つは、第2部材11Bの下壁41の下面に形成されている。これにより、高オクタン価燃料タンク13を形成するタンク形成部34及び第2部材11Bは、原燃料タンク2の上壁2A及び底壁2Bの間で挟持され、タンク形成部34の上側結合面と第2部材11Bの下側結合面との口開きが抑制される。また、キャリア11によって、上壁2A及び底壁2Bの変形及び相対変位が抑制され、原燃料タンク2の変形が抑制される。
キャリア11は、分離器ユニット20及びバキュームポンプ26を囲むように配置され、分離器ユニット20及びバキュームポンプ26の原燃料タンク2に対する変位を抑制する。なお、キャリア11は、分離器ユニット20及びバキュームポンプ26の側方及び上方を囲むように配置され、分離器ユニット20及びバキュームポンプ26の荷重はキャリア11よりも主にサブフレーム14に加わるようになっている。
図1に示すように、燃料循環ポンプ25は、原燃料タンク2内に貯留された原燃料を加圧し、分離器17に向けて圧送する。燃料循環ポンプ25と分離器17と接続する導管61の経路上には、燃料循環ポンプ25側から凝縮器18、第1熱交換器21、及び第3熱交換器23が順に配置されている。燃料循環ポンプ25から圧送される原燃料は、凝縮器18、第1熱交換器21、及び第3熱交換器23で熱交換することによって、原燃料タンク2内の底部に貯留されている原燃料よりも昇温された状態で分離器17に供給される。凝縮器18、第1熱交換器21、及び第3熱交換器23の詳細については後述する。
分離器17は、透過気化法(パーベーパレーション:PV)に基づいて、原燃料を高オクタン価燃料と、低オクタン価燃料とに分離する。分離器17は、原燃料中の高オクタン価成分を選択的に透過させる分離膜17Aと、分離膜17Aによって区画された第1室17B及び第2室17Cとを有する。分離膜17Aは、例えば孔のない高分子膜や分子レベルの微細孔を有する無機膜であり、原燃料から分離する成分に応じて適宜選択される。例えば、原燃料がエタノール含有ガソリンである場合、分離膜17Aはエタノール及び芳香族を選択的に通過させる膜を選択するとよい。
燃料循環ポンプ25によって凝縮器18、第1熱交換器21、及び第3熱交換器23を通過した高温高圧の原燃料は分離器17の第1室17Bに供給される。第2室17Cは、後述するバキュームポンプ26によって減圧される。これにより、第1室17Bに供給された原燃料中の高オクタン価成分は、気体となって分離膜17Aを透過し、第2室17Cに捕集される。そのため、第2室17Cの燃料は、オクタン価が高い成分を原燃料よりも多く含む高オクタン価燃料となる。一方、第1室17Bに供給された原燃料は、第1室17Bの出口側に進むほどオクタン価が高い成分が分離され、オクタン価が低い成分を原燃料よりも多く含む低オクタン価燃料となる。原燃料がエタノール含有ガソリンである場合、第2室17Cに捕集される高オクタン価燃料は主としてエタノールを含み、第1室17Bを通過する低オクタン価燃料はエタノール含有量(濃度)が低下したガソリンを含む。
凝縮器18は、分離器17の第2室17Cと隣接して配置されていることが好ましい。本実施形態では、図6〜図8に示すように、分離器17は軸線が水平方向に延びた円筒形に形成され、凝縮器18は扁平な箱形に形成されている。凝縮器18は分離器17の下部に結合され、分離器17及び凝縮器18は1つの分離器ユニット20として構成されている。分離器ユニット20は、凝縮器18においてサブフレーム14の第1アーム部14Bに結合されている。
図1に示すように、凝縮器18では、第2室17Cから供給される気体の高オクタン価燃料と、燃料循環ポンプ25から供給される原燃料とが熱交換を行う。この熱交換によって、気体の高オクタン価燃料は冷却されて凝縮し、原燃料は加熱される。
凝縮器18は、導管62によって高オクタン価燃料タンク13に接続されている。導管62の経路上にはバッファータンク19が設けられている。凝縮器18は、バッファータンク19及び高オクタン価燃料タンク13よりも上方に配置され、バッファータンク19は高オクタン価燃料タンク13よりも上方に配置されている。詳細には、凝縮器18内の液面が、バッファータンク19の液面及び高オクタン価燃料タンク13の液面より上方に位置し、バッファータンク19の液面が高オクタン価燃料タンク13の液面より上方に位置するように、凝縮器18、バッファータンク19、及び高オクタン価燃料タンク13の位置関係が設定されている。また、分離器17は、バッファータンク19及び高オクタン価燃料タンク13よりも上方に配置されていることが好ましい。凝縮器18、バッファータンク19、及び高オクタン価燃料タンク13の位置関係によって、凝縮器18において液体となった高オクタン価燃料は、重力によってバッファータンク19に流れ、更にバッファータンク19から高オクタン価燃料タンク13に流れる。
導管62の凝縮器18とバッファータンク19とを接続する部分には、凝縮器18からバッファータンク19に向う流体の流れのみを許容する第1一方向弁64が設けられている。また、導管62のバッファータンク19と高オクタン価燃料タンク13とを接続する部分には、バッファータンク19から高オクタン価燃料タンク13に向う流体の流れのみを許容する第2一方向弁65が設けられている。
バキュームポンプ26の吸気口は、導管67を介してバッファータンク19の上部の気相部分に接続されている。バキュームポンプ26の排気口は、導管68を介して高オクタン価燃料タンク13の下部に接続されている。バキュームポンプ26が駆動すると、導管67、68を介してバッファータンク19の上部の気体が高オクタン価燃料タンク13に輸送され、バッファータンク19が減圧される。バッファータンク19が減圧されることによって、凝縮器18からバッファータンク19に向う流体の流れが促進され、第1一方向弁64が開かれ、バッファータンク19に連通する凝縮器18及び分離器17の第2室17Cが減圧される。このとき、バッファータンク19が減圧されることによって、第2一方向弁65は閉じられ、高オクタン価燃料タンク13は減圧されない。
バキュームポンプ26とバッファータンク19とを連通する導管67は、分岐した枝管69を有する。枝管69の先端部は、原燃料タンク2の気相部分と連通している。本実施形態では、高オクタン価燃料タンク13の上半部をなすタンク形成部34に、高オクタン価燃料タンク13の内部の上部における気相部分と原燃料タンク2の上部の気相部分とを連通する連通管70が設けられており、枝管69は連通管70に接続され、連通管70を介して原燃料タンク2の気相部分と連通している。連通管70は、原燃料タンク2の上壁2Aの内面に近接して配置される一端と、高オクタン価燃料タンク13の上壁35の内面に近接して配置される他端とを有する。図6及び図7に示すように、連通管70の原燃料タンク2側の端部は、原燃料タンク2の上部中央部であって、後述するフロート弁129の近傍に配置されている。
図1に示すように、枝管69の経路上には電磁弁である開閉弁72が設けられている。開閉弁72は、バッファータンク19を減圧するときに閉じられる。開閉弁72が開くと、原燃料タンク2内の気体が連通管70、枝管69及び導管67を介してバッファータンク19に流れ込み、バッファータンク19内の圧力は原燃料タンク2内の圧力と等しくなる。バッファータンク19内の液体の高オクタン価燃料を高オクタン価燃料タンク13に輸送するときには、バキュームポンプ26を停止すると共に、開閉弁72を開くことによって、バッファータンク19内の減圧が解除され、重力によって高オクタン価燃料がバッファータンク19から高オクタン価燃料タンク13側に流れ、第2一方向弁65が開く。
分離器17の第1室17Bの出口は、導管74を介して原燃料タンク2内の空間の下部に連通している。導管74の経路上には、分離器17側から第1熱交換器21、第2熱交換器22、ストレーナ75、及び圧力調整弁76が順に設けられている。
第1熱交換器21は、燃料循環ポンプ25から分離器17に供給される比較的温度が低い原燃料と、分離器17を通過した比較的温度が高い低オクタン価燃料とを熱交換させる。第1熱交換器21は、公知の対向流式の熱交換器であってよい。第1熱交換器21での熱交換によって、燃料循環ポンプ25から分離器17に供給される原燃料は加熱され、分離器17を通過した低オクタン価燃料は冷却される。
第2熱交換器22は、分離器17を通過した比較的温度が高い低オクタン価燃料が通過する内部空間と、原燃料タンク2の壁部の内面に接触する外面とを有し、低オクタン価燃料と原燃料タンク2との壁部とを熱交換させる。本実施形態では、第2熱交換器22は、扁平なシート状に形成され、原燃料タンク2の底壁2Bの内面と接触するように配置されている。本実施形態では、第1熱交換器21及び第2熱交換器22は、互いに結合され、1つのユニットとして構成されている。
原燃料タンク2の底壁2Bの外面には複数のフィン81及びファン82が設けられている。原燃料タンク2の底壁2Bは、燃料供給装置1が搭載される自動車の走行風、及びファン82が供給する空気によって冷却される。
第2熱交換器22を通過した低オクタン価燃料は、ストレーナ75を通過して異物が取り除かれた後、圧力調整弁76を通過して原燃料タンク2内の底部に放出され、原燃料と混合される。低オクタン価燃料が原燃料に混合されることによって、原燃料タンク2内の燃料のオクタン価は低下する。分離のサイクルが進む(分離器17を通過する原燃料の総量が増加する)と、原燃料タンク2内の燃料のオクタン価は低下し、低オクタン価燃料の成分に近付く。圧力調整弁76は、燃料循環ポンプ25から圧力調整弁76に到る経路内の原燃料及び低オクタン価燃料の圧力を調整し、分離器17の第1室17Bの原燃料の圧力を所定の圧力に維持する。具体的には、圧力調整弁76は、燃料循環ポンプ25によって昇圧される原燃料(低オクタン価燃料)が所定の圧力以上になる場合に、原燃料(低オクタン価燃料)を原燃料タンク2内に放出し、圧力を所定値に維持する。
第3熱交換器23は、燃料循環ポンプ25から分離器17に圧送される原燃料と、原燃料タンク2の外部から供給される高温熱媒体とを熱交換させる装置であり、原燃料を加熱する加熱器として使用される。第3熱交換器23は、公知の対向流式の熱交換器であってよい。第3熱交換器23に供給される高温熱媒体は、例えば内燃機関84を通過することによって昇温される冷却水や、内燃機関84やトランスミッションを通過することによって昇温される潤滑油、オートマチックフルード、内燃機関84の排気ガスと熱交換することによって昇温された液体や、排気ガス等であってよい。本実施形態における高温熱媒体は内燃機関84の冷却水であり、内燃機関84の冷却水通路85と連通する媒体輸送管134が第3熱交換器23に接続されている。
図1に示すように、第1開口4の周囲には上壁2Aから上方に突出する円筒形の第1ボス91が形成されている。換言すると、第1開口4は第1ボス91の内孔として形成されている。第1ボス91の外周面には、雄ねじ(不図示)が形成されている。第1リッド7は、円板形に形成され、第1ボス91の突出端面にシール部材(不図示)を介して当接可能となっている。第1リッド7は、第1ボス91に螺着される第1キャップ92によって、第1ボス91に結合される。第1キャップ92は、第1ボス91を受容可能な円筒部と、円筒部の内面に形成され、第1ボス91の雄ねじと螺合する雌ねじと、円筒部の一端側から径方向内向きに突出したフランジとを有する。第1キャップ92が第1ボス91に螺着されることによって、第1リッド7は第1キャップ92のフランジによって第1ボス91側に押圧され、シール部材を介して第1ボス91の突出端面に密着し、第1開口4を閉塞する。
図1及び図9に示すように、第2開口5の周囲には上壁2Aから上方に突出する円筒形の第2ボス101が形成されている。換言すると、第2開口5は第2ボス101の内孔として形成されている。第2ボス101の外周面には、雄ねじ102が形成されている。第2ボス101の突出端には、径方向内向きに突出し、円環状を呈する内向きフランジ103が形成されている。内向きフランジ103は、第2ボス101の突出端面を拡張する。内向きフランジ103の上端面は、第2開口5(第2ボス101)の軸線と直交する平面となっている。内向きフランジ103の上端面には、第2開口5を囲むように延在する環状の第1シール部材104が配置されている。第1シール部材104は可撓性を有し、シールすべき対象の表面に密着可能となっている。上壁2Aの第2ボス101の周囲は、第2ボス101と直交する平板状に形成された第1環状部105となっている。
第3開口45は、第2開口5と略同軸、かつ原燃料タンク2の内側に配置されている。第3開口45の周囲には高オクタン価燃料タンク13の上壁35から上方に突出する円筒形の第3ボス111が形成されている。換言すると、第3開口45は第3ボス111の内孔として形成されている。上壁35の第3ボス111の周囲は、第3ボス111と直交する平板状に形成された第2環状部112となっている。第2環状部112の上面は、第1環状部105の下面と当接している。また、第2環状部112の上面の一部は、上当接部48をなし、第1環状部105の下面に溶着されている。第2環状部112の上当接部48は、第3ボス111を囲むように、環状に形成されている。
第3ボス111は、第2ボス101の内側を上方に向けて延びている。第3ボス111の突出端(上端)は、第2ボス101の内向きフランジ103から下方に離れた位置に配置されている。すなわち、第3ボス111の突出端は、原燃料タンク2内に配置されている。第3ボス111の外径は、第2ボス101の内径よりも小さく形成され、第3ボス111の外周面と第2ボス101の内周面との間に隙間が形成されている。これにより、原燃料タンク2及び高オクタン価燃料タンク13(キャリア11)の寸法誤差や組み付け誤差を許容することができる。第3ボス111の内周面には周方向に延在する係止溝113が凹設されている。係止溝113には、環状の第2シール部材114が装着されている。第2シール部材114は可撓性を有し、シールすべき対象の表面に密着可能となっている。
第2リッド8は、円筒部8Aと、円筒部8Aの一端を閉じる端壁部8Bと、円筒部8Aの外周面から径方向外方に突出し、周方向に延びて環状をなす外向きフランジ8Cとを有する。第2リッド8は、端壁部8Bが上端に位置するように、円筒部8Aが第2開口5及び第3開口45内に挿入される。円筒部8Aの外周面は、第3ボス111の内周面と対向する。第2シール部材114は、円筒部8Aと第3ボス111との間で第3開口45(第3ボス111)の径方向に圧縮され、円筒部8Aと第3ボス111との隙間をシールする。これにより、第3開口45が第2リッド8によって閉塞され、高オクタン価燃料タンク13が閉じられる。
円筒部8Aが第3ボス111に挿入された状態で、外向きフランジ8Cは第1シール部材104を介して第2ボス101の内向きフランジ103と対向する。第2リッド8は、第2ボス101に螺着される第2キャップ117によって、第2ボス101に結合される。第2キャップ117は、第2ボス101を受容可能な円筒部117Aと、円筒部117Aの内面に形成され、第2ボス101の雄ねじ102と螺合する雌ねじ117Bと、円筒部117Aの一端から径方向内向きに突出したキャップ側フランジ117Cとを有する。
第2キャップ117の雌ねじ117Bと第2ボス101の雄ねじ102とが螺合することによって、第2キャップ117は第2ボス101に結合される。第2キャップ117が第2ボス101に対して螺進すると、外向きフランジ8Cはキャップ側フランジ117Cによって第1ボス91側に押圧される。これにより、第1シール部材104は、外向きフランジ8Cと内向きフランジ103との間で、第2開口5(第2ボス101)の軸線方向に圧縮され、外向きフランジ8Cと内向きフランジ103との隙間をシールする。これにより、第2開口5が第2リッド8によって閉塞され、原燃料タンク2が閉じられる。
図1に示すように、第1リッド7には、原燃料ポンプ28と内燃機関84の第1インジェクタ121とを接続する第1燃料ライン122、原燃料ポンプ28の信号線及び電源線を含む第1ケーブル束(不図示)、原燃料タンク2の上部の気相部分と給油管9の上流端部とを接続するブリーザパイプ124、及び原燃料タンク2の上部の気相部分とキャニスタ125とを接続するベーパ管126が貫通している。第1燃料ライン122、第1ケーブル束、ブリーザパイプ124、及びベーパ管126が第1リッド7を貫通する部分は、気密にシールされている。
ブリーザパイプ124は、給油管9を通して給油を行うときに、原燃料タンク2内の気体を給油管9に逃がし、原燃料の原燃料タンク2への流入を促進する。ベーパ管126は、原燃料タンク2内の燃料蒸気をキャニスタ125に逃がし、原燃料タンク2内の圧力を大気圧に維持する。キャニスタ125に送られた燃料蒸気は、キャニスタ125内の活性炭に吸蔵される。キャニスタ125に吸蔵された燃料は、内燃機関84の運転時に吸気通路128の負圧を受けて吸い込まれ、燃焼室において燃焼される。ベーパ管126の原燃料タンク2内における端部には、フロート弁129が設けられている。フロート弁129は、原燃料タンク2内の原燃料の液位に応じて開閉し、ベーパ管126への液体燃料の流入を防止する。
図1、図6及び図7に示すように、フロート弁129は、原燃料タンク2の上部中央部に配置されている。原燃料タンク2の上部中央部は、原燃料タンク内で鉛直位置が最も高い部分であり、原燃料タンク2内の原燃料の液面が最も到達し難くなっている。また、原燃料タンク2の上部中央部は、車両の加減速や旋回等による慣性力によって原燃料が前後左右の側壁2C側に移動するときにも原燃料の液面が到達し難い。前述したように、連通管70はフロート弁129の近傍である原燃料タンク2の上部中央部に配置されている。これにより、連通管70の原燃料タンク2側の端部に、原燃料の液面が到達し難く、連通管70への液体の原燃料の流入が抑制される。
図1に示すように、第2リッド8には、高オクタン価燃料ポンプ29と内燃機関84の第2インジェクタ131とを接続する第2燃料ライン132、高オクタン価燃料ポンプ29の信号線及び電源線を含む第2ケーブル束(不図示)、第3熱交換器23に高温熱媒体を循環させるための媒体輸送管134が貫通している。第2燃料ライン132、第2ケーブル束、及び媒体輸送管134が第2リッド8を貫通する部分は、気密にシールされている。媒体輸送管134は、内燃機関84のウォータジャケットを含む冷却水通路85に接続されており、比較的高温の水が流通する。第2燃料ライン132の第2リッド8よりも第2インジェクタ131側の部分には、燃料中の異物を捕集するストレーナ135が配置されている。
原燃料タンク2内に配置される、燃料循環ポンプ25、分離器17、第1一方向弁64、バッファータンク19、バキュームポンプ26、開閉弁72、第2一方向弁65、第1熱交換器21、第2熱交換器22、ストレーナ75、圧力調整弁76、原燃料ポンプ28、及びフロート弁129、サブフレーム14は、高オクタン価燃料タンク13を一体に含むキャリア11に組み付けられ、組立体を構成する。サブフレーム14は、分離器17及びバキュームポンプ26を介してキャリア11に結合される。キャリア11は原燃料タンク2の内面と係合することによって、原燃料タンク2に対する相対位置が定められている。組立体を構成する各装置は、キャリア11に組み付けられることによって、それぞれの相対位置、及び原燃料タンク2に対する位置が定められている。
上記した燃料供給装置1の製造方法の一例を以下に説明する。最初に、キャリア11を構成する第1部材11A及び第2部材11Bを振動溶着等によって互いに結合し、キャリア11及び高オクタン価燃料タンク13を形成する。次に、第3熱交換器23及び高オクタン価燃料ポンプ29を第3開口45から高オクタン価燃料タンク13の内部に配置する。なお、第1部材11A及び第2部材11Bで第3熱交換器23及び高オクタン価燃料ポンプ29を挟み込んだ後、第1部材11A及び第2部材11Bを互いに結合させてもよい。
次に、高オクタン価燃料タンク13を含むキャリア11に各装置を組み付けて組立体を形成する。このとき、組立体を構成する各装置に付随する導管及び配線も適宜接続する。そして、組立体を挟むように2枚のパリソンを配置し、かつ2枚のパリソンを金型内に配置してブロー成形を行い、原燃料タンク2を成形する。これにより、組立体を内部に備えた原燃料タンク2が形成される。このとき、キャリア11の上当接部48及び下当接部49と、連結部材31とは、原燃料タンク2に溶着される。上当接部48、下当接部49、及び連結部材31は、原燃料タンク2との当接部に複数の微小な凹凸を有する。上当接部48、下当接部49、及び連結部材31の各凹凸は、原燃料タンク2を形成するパリソンに突き刺さり、パリソンの熱を受けて溶融し、パリソンと一体化する。これにより、パリソンが固化するときには、上当接部48、下当接部49、及び連結部材31は原燃料タンク2と一体に結合される。
次に、第1燃料ライン122、第1ケーブル束、ブリーザパイプ124、及びベーパ管126を、第1リッド7を貫通するように配置し、それぞれが第1リッド7を貫通する部分に気密シールを施す。また、第2燃料ライン132、第2ケーブル束、及び媒体輸送管134を、第2リッド8を貫通するように配置し、それぞれが第2リッド8を貫通する部分に気密シールを施す。そして、第1リッド7を第1開口4に取り付けて第1キャップ92によって固定し、第2リッド8を第2開口5及び第3開口45に取り付けて第2キャップ117によって固定する。これにより、燃料供給装置1が構成される。
以上のように構成した燃料供給装置1の作用及び効果について説明する。燃料供給装置1では、原燃料タンク2内の原燃料は、燃料循環ポンプ25によって加圧され、凝縮器18、第1熱交換器21、及び第3熱交換器23を順に通過して分離器17の第1室17Bに送られる。このとき、原燃料は、凝縮器18において高温の高オクタン価燃料の気体と熱交換し、第1熱交換器21において分離器17を通過した高温の低オクタン価燃料と熱交換し、第3熱交換器23において高温熱媒体と熱交換することによって昇温される。
分離器17の第2室17Cは、開閉弁72が閉じられた状態で、バキュームポンプ26が作動することによって減圧される。分離器17では、第2室17Cがバキュームポンプ26の吸引作用によって減圧されたときに、第1室17Bに供給された高温高圧の原燃料から高オクタン価燃料が気体となって分離膜17Aを通過して第2室17Cに捕集される。第2室17Cに捕集された気体の高オクタン価燃料は、凝縮器18に流れ、凝縮器18において燃料循環ポンプ25によって分離器17に送られる原燃料と熱交換し、冷却されて凝縮する。凝縮器18において凝縮した高オクタン価燃料は、重力によってバッファータンク19に流れ、貯留される。
開閉弁72が閉じられ、かつバキュームポンプ26が作動しているときには、第2一方向弁65が閉じられるため、バッファータンク19に貯留された液体の高オクタン価燃料は高オクタン価燃料タンク13に流れることはできない。所定のタイミングで開閉弁72が開き、かつバキュームポンプ26が停止することによって、バッファータンク19の内部と原燃料タンク2の内部とが連通し、バッファータンク19の内部が大気圧になる。バッファータンク19内が大気圧になると、バッファータンク19内の高オクタン価燃料は、重力によって第2一方向弁65を開き、高オクタン価燃料タンク13内に流れる。このようにして、高オクタン価燃料が高オクタン価燃料タンク13に貯留される。原燃料がエタノール含有ガソリンである場合、高オクタン価燃料タンク13はエタノールを主として貯留するエタノールタンクといえる。
分離器17の第1室17Bを通過した低オクタン価燃料は、第1熱交換器21において燃料循環ポンプ25によって分離器17に送られる原燃料と熱交換して冷却され、第2熱交換器22において原燃料タンク2の底壁2Bと熱交換して冷却される。その後、低オクタン価燃料は、ストレーナ75及び圧力調整弁76を通過して原燃料タンク2内に放出され、原燃料タンク2内の原燃料と混合される。
燃料供給装置1では、分離器17を通過する原燃料の総量が増加するにつれて、高オクタン価燃料タンク13に貯留される高オクタン価燃料の量が増加すると共に、原燃料中に含まれる低オクタン価燃料の比率が増加する。燃料循環ポンプ25、バキュームポンプ26及び開閉弁72の制御によって、分離器17を通過する原燃料の量を制御することができる。燃料循環ポンプ25、バキュームポンプ26及び開閉弁72は、高オクタン価燃料タンク13の液位、原燃料中の高オクタン価燃料の濃度、燃料循環ポンプ25の作動継続時間等に基づいて制御されるとよい。
本実施形態に係る燃料供給装置1は、分離装置12及び高オクタン価燃料タンク13が原燃料タンク2の内部に配置されるため、原燃料タンク2を気密に構成することによって、分離装置12、高オクタン価燃料タンク13、及びこれらを接続する継手を気密に構成する必要がなくなり、気密に構成する部材を少なくすることができる。
また、原燃料タンク2の骨格部材として機能するキャリア11が、高オクタン価燃料タンク13を形成するため、原燃料タンク2内に内蔵される部品の容積が減少し、原燃料タンク2の小型化が可能になる。また、高オクタン価燃料タンク13は、キャリア11と一体に形成されるため、キャリア11を介して原燃料タンク2に固定され、原燃料タンク2に対する位置が定まる。
キャリア11は、互いに結合される第1部材11A及び第2部材11Bを有するため、内部空間を有する高オクタン価燃料タンク13の形成が容易である。互いに結合される第1部材11A及び第2部材11Bが凹形に形成されているため、高オクタン価燃料タンク13は、比較的大きな容量を確保することができる。
また、第1部材11Aが原燃料タンク2の上壁2Aと当接し、第2部材11Bが底壁2Bと当接するため、原燃料タンク2は内側から支持され、変形が抑制される。一方、第1部材11A及び第2部材11Bは、原燃料タンク2の上壁2A及び底壁2Bの間で挟持され、位置が安定すると共に、結合面の口開きが抑制される。また、第1部材11Aと上壁2Aとの当接部分が溶着され、第2部材11Bと底壁2Bと当接部分が溶着されているため、原燃料タンク2、第1部材11A、及び第2部材11Bの相対位置が一層安定的に維持される。
第2開口5及び第3開口45は、共通の部材である第2リッド8によって開閉されるため、高オクタン価燃料タンク13の開閉操作が容易である。本実施形態では、第2リッド8と第2ボス101との間をシールする第1シール部材104が圧縮される方向と、第2リッド8と第3ボス111との間をシールする第2シール部材114が圧縮される方向とが異なる。そのため、第2開口5及び第3開口45の相対位置に誤差が生じる場合にも、第1シール部材104は第2リッド8と第2ボス101との間を確実にシールすることができ、第2シール部材114は第2リッド8と第3ボス111との間を確実にシールすることができる。
また、本実施形態では、分離装置12の内で比較的重量が大きい分離器ユニット20(分離器17及び凝縮器18)とバキュームポンプ26とをサブフレーム14に支持させ、サブフレーム14の基部14Aを平面視においてタンク支持部材201と重なる部分に配置したため、分離器ユニット20及びバキュームポンプ26の荷重がタンク支持部材201に支持され、原燃料タンク2の変形が抑制される。特に、分離器ユニット20、バキュームポンプ26、及びサブフレーム14からなる組立体の重心が、平面視においてタンク支持部材201と重なる部分に配置されているため、これらの荷重がタンク支持部材201に確実に支持される。
サブフレーム14は、剛性が高いことが好ましいため、金属材料から形成されている。金属材料から形成されたサブフレーム14の基部14Aには樹脂材料から形成された連結部材31が装着されているため、連結部材31と原燃料タンク2の底壁2Bとを溶着させることにより、サブフレーム14は原燃料タンク2に固定される。
以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されることなく幅広く変形実施することができる。例えば、原燃料タンク2を下方から支持するタンク支持部材201は、帯状部材に限らず、フレーム部材を適用してもよい。タンク支持部材201は、例えば、多角形や円形、溝形、H形との横断面を有する部材を適用することができる。また、タンク支持部材201は、前後に限らず、左右等の任意の方向に延在していてもよい。
また、第2部材11Bは金属から形成されていてもよい。この場合、タンク形成部34の上側結合面と第2部材11Bの下側結合面は、パッキン等を介して互いに締結されるとよい。
また、上記実施形態では、キャリア11の第1部材11Aが高オクタン価燃料タンク13の上半部を形成し、第2部材11Bが高オクタン価燃料タンク13の下半部を形成するようにしたが、第1部材11Aが高オクタン価燃料タンク13の下半部を形成し、第2部材11Bが高オクタン価燃料タンク13の上半部を形成するようにしてもよい。この場合第1部材11Aは下向きに凹み、上方に向けて開口する凹形に形成され、第2部材11Bは上向きに凹み、下方に向けて開口する凹形に形成されるとよい。
また、第2開口5、第3開口45、及び第2リッド8の構成は、図10(A)〜図10(C)に示すような第1〜第3の変形例に置換することができる。図10(A)に示すように、第1の変形例では、第2リッド8の円筒部8Aの内周面が、第3ボス111の外周面と対向する。第2シール部材114は、円筒部8Aの外周面に形成された環状の係止溝141に支持されている。環状の第2シール部材114は、円筒部8Aの内周面と第3ボス111の外周面との間に配置され、第3開口45の径方向に沿って圧縮される。
図10(B)に示すように、第2の変形例では、第2リッド8の円筒部8Aは、先端側に外径が拡径された拡径部8Dを有する。拡径部8Dの外周面は、第2ボス101の内周面と対向する。環状の第1シール部材104は、拡径部8Dの外周面に形成された環状の係止溝142に支持されている。第1シール部材104は、拡径部8Dの外周面と第2ボス101の内周面との間に配置され、第2開口5の径方向に沿って圧縮される。また、第2リッド8の円筒部8Aの端面は、第3ボス111の端面と対向する。環状の第2シール部材114は、円筒部8Aの端面と第3ボス111の端面との間に配置され、第3開口45の軸線方向に沿って圧縮される。
図10(C)に示すように、第3の変形例では、第2リッド8の外向きフランジ8Cの先端に円筒部8Aと同心状となる第2円筒部8Eが設けられている。第2ボス101は、先端部に外径が縮径された縮径部143を有する。第2円筒部8Eの内周面は、第2ボス101の縮径部143の外周面と対向する。環状の第1シール部材104は、縮径部143の外周面に形成された環状の係止溝144に支持されている。第1シール部材104は、縮径部143の外周面と第2円筒部8Eの内周面との間に配置され、第2開口5の径方向に沿って圧縮される。また、第2リッド8の円筒部8Aの端面は、第3ボス111の端面と対向する。環状の第2シール部材114は、円筒部8Aの端面と第3ボス111の端面との間に配置され、第3開口45の軸線方向に沿って圧縮される。