図1は、本発明の一形態に係るゲーム機2の全体図である。ゲーム機2は、不図示のゲームサーバとネットワークを介して接続されることによりゲームシステム1における端末装置として機能する。ゲームサーバはゲーム機2に対して種々のサービスを提供するが、その機能は本発明の要旨と直接的な関連がないため、以下ではゲーム機2について専ら説明する。ゲーム機2は、多数のユーザにゲームを繰り返しプレイさせて収益を上げることを主たる目的として店舗等の所定の施設に設置される。この種のゲーム機2は、アーケードゲーム機と呼ばれることがある。また、ゲーム機2は、メダルを利用するいわゆるメダルゲーム機である。
ゲーム機2には、複数のステーションユニットSTが設けられている。図1の形態では、ゲーム機2には第1〜第4のステーションユニットST1〜ST4(参照符号STで代表することがある。)が設けられている。第4のステーションユニットST4は裏側に隠れて見えていない。各ステーションユニットSTは、メダルMを利用するメダルゲームの一例としてのプッシャーゲームをユーザにプレイさせるユニットである。ゲーム機2の中心にはセンターゲームユニット11が設けられている。センターゲームユニット11は、各ステーションユニットSTにおけるプッシャーゲームと関連付けられた抽選ゲームをユーザに提供するために設けられている。センターゲームユニット11は、互いに反対側に向けて配置された一対の平坦な表示面(図1では裏側の表示面が隠れて見えない。)を有し、全てのステーションユニットST間で共用される。センターゲームユニット11は各ステーションユニットSTのユーザに所定の抽選ゲームを提供するために設けられているが、その詳細は後述する。一方、隣り合う二つのステーションユニットSTの間にはサブゲームユニット12が設けられている。サブゲームユニット12は、隣り合う二つのステーションユニットSTで共用される。サブゲームユニット12はブック型のスクリーン12aと、スクリーン12aにゲーム画像を表示する不図示のプロジェクタとを有し、スクリーン12aを利用してプッシャーゲーム等と関連付けられた各種の抽選ゲームを提供する。なお、図1では、ゲーム機2に設けられた適宜の部材が省略されている。
図2はステーションユニットSTの拡大図である。各ステーションユニットSTは、一人のユーザを対象に構成されている。なお、サブゲームユニット12を共用する二つのステーションユニットSTは、センターゲームユニット11の一つの表示面に対して同一の側に配置されており、これら二つのステーションユニットSTが設けられた領域が、センターゲームユニット11に対する一つのゲーム提供領域GAとして位置付けられる。以下では、第1及び第2のステーションユニットST1、ST2の側を第1のゲーム提供領域GA1と、第3及び第4のステーションユニットST3、ST4の側を第2のゲーム提供領域GA2と呼ぶことがある(図1参照)。センターゲームユニット11の一つの表示面は、一つのゲーム提供領域GAに含まれた二つのステーションユニットSTで共用される。すなわち、それらのステーションユニットSTのユーザは各ステーションで独自に進行するゲームの状況を確認しながら、センターゲームユニット11の表示面を介して提供される抽選ゲームをプレイすることができる。
各ステーションユニットSTには、ユーザがゲームを操作するための操作部3と、ユーザの操作に応じてゲームが進行するゲームフィールドGFとが設けられている。ステーションユニットSTでは、ゲームフィールドGFに投入されるメダルMの物理的移動を利用してゲームが進行する。なお、ゲームフィールドGFに投入されるメダルMは、ゲーム機2で内部循環するメダルMであり、ユーザが投入し、あるいはユーザに払い出されるメダル(以下、プレイ用メダルということがある。)とは異なる仕様である。詳細は後述する。
ステーションユニットSTの操作部3には、プレイ用メダルをゲーム機2に投入するメダル投入口21と、ゲームフィールドGFにメダルMを投入するための投入操作レバー22と、各種操作のための操作ボタン23と、ユーザのカード4を読み取るためのカードリーダ24と、ゲームフィールドGFのゲーム結果等に応じてユーザにプレイ用メダルを払い出すメダル払出口25(図1参照)とが設けられている。メダル投入口21に投入されたプレイ用メダルは、図示しないメダル検出センサにて検出され、クレジットとしてゲーム機2の適宜の記憶部にステーションユニットST又はユーザの識別情報と対応付けて記憶される。投入操作レバー22を操作することにより、ユーザは、所有するクレジットの範囲でゲームフィールドGFにメダルMを投入することができる。
ステーションユニットSTには、メダルMが載置されるテーブル31と、テーブル31の上面に沿って前後に往復運動するプッシャーテーブル32と、プッシャーテーブル32上にメダルMを供給するメダル供給機構33と、テーブル31の前端に位置し、メダルMが落下する落下部34と、テーブル31の両側でメダルMが回収される回収部35と、回収部35に設けられてメダルMの親落ちを調整する親落ち調整機構36とが設けられている。テーブル31は、ゲームフィールドGFに固定され、プッシャーテーブル32が往復運動することによりプッシャーテーブル32上のメダルMやテーブル31上のメダルMが押し出されて移動する。プッシャーテーブル32は、不図示の駆動機構の動作に応じて往復運動する。ゲームフィールドGFは、メダルMによるゲームが進行する空間を意味し、テーブル31、プッシャーテーブル32、落下部34及び回収部35が含まれる。
メダルMは、識別情報が記録されたICチップ(不図示)を有する樹脂製のメダルである。メダルMには複数の属性が設けられている。一例として、投入操作レバー22の操作に応じてゲームフィールドGF上に供給される1クレジット価値が設定された青メダルM1と、2クレジット価値が設定された緑メダルM2と、3クレジット価値が設定された赤メダルM3と、ビンゴゲームのビンゴシート101(図2の101A、101Bを参照。)の複数のマスにそれぞれ紐付けられたビンゴメダルM4とが設けられている。青メダルM1が落下部34に落下した場合には1クレジットがユーザに付与され、同様に緑メダルM2と赤メダルM3が落下部34に落下した場合にはそれぞれ2クレジット、3クレジットがユーザに付与される。各色メダルM1〜M3は、それぞれの色の透光性を有する樹脂で形成されている。各色メダルM1〜M3のICチップには、各色の識別情報が記録されている。また、ビンゴメダルM4は、黄色の透光性を有する樹脂で形成されている。なお、透光性を有する樹脂としては、透明な樹脂や半透明の樹脂が含まれ、光を通過させる性質を有する樹脂であれば足りる。
メダル供給機構33には、青メダルM1を貯留する青メダル貯留容器41と、緑メダルM2を貯留する緑メダル貯留容器42と、赤メダルM3を貯留する赤メダル貯留容器43と、ビンゴメダルM4を貯留するビンゴメダル貯留容器44と、ゲームフィールドGFに青メダルM1を投入するメダル投入ガイド45と、緑メダルM2、赤メダルM3及びビンゴメダルM4を共通して投入する共通投入ガイド46とが設けられている。落下部34から落下したメダルMは不図示のメダルホッパーに一旦回収され、そのメダルホッパーから適宜のメダル送出機構を介してメダル貯留容器41〜44の上方に送出され、その送出経路上でICリーダにて読み取られた識別情報に従って所定の振分機構によりメダル貯留容器41〜44に属性別に振り分けられて貯留される。なお、緑メダル貯留容器42、赤メダル貯留容器43及びビンゴメダル貯留容器44は、隣り合うステーションユニットSTと共用される。一方、青メダル貯留容器41は、ステーションユニットSTごとに1つずつ設けられる。
センターゲームユニット11の表示面には、各ステーションユニットST(図2の左側のステーションユニットSTを第1ステーションユニットST1、右側のステーションユニットSTを第2ステーションユニットST2と称し区別することがある。)で実行されるビンゴゲームのビンゴシート101A、101Bが表示される。各ビンゴシート101A、101Bは、4行4列の16マスを有し、各マス102には、1〜16のビンゴ数字から選択された適宜の数字が割り当てられている。一方、ビンゴメダルM4には、1〜16のビンゴ数字が割り当てられている。ビンゴメダルM4のICチップには、割り当てられたビンゴ数字の識別情報が記録され、ビンゴメダルM4の表面には、割り当てられたビンゴ数字が表示されている。ただし、一部のビンゴメダルM4には、ビンゴ数字に代えて、ビンゴ数字のルーレット抽選を実行する「抽選」、又はユーザが希望するビンゴ数字を有効にする「指定」の識別情報が記録されている。これらのビンゴメダルM4の表面には、各機能に対応する図柄が表示される。
ゲームフィールドGFでのメダルMの流れの概略は次の通りである。ユーザは、貸与されるプレイ用メダルの枚数に応じてゲーム機2を設置する店舗の運営者に料金を支払い、あるいは仮想通貨を消費する。ユーザがメダル投入口21にプレイ用メダルを投入するとクレジットとしてカウントされ、そのクレジットが適宜の記憶部に記録される。ユーザが投入操作レバー22を操作すると、メダル投入ガイド45を介して青メダルM1がゲームフィールドGF上に供給される。このとき、ユーザが操作部3を操作すると、メダル投入ガイド45の投入方向が変更される。ゲームフィールドGFのテーブル31及びプッシャーテーブル32上には、メダルM1〜M4が互いに接した状態で敷き詰められている。メダルM1が投入されると、プッシャーテーブル32の往復運動による押出し力は、プッシャーテーブル32の前端部からテーブル31の前端部まで敷き詰められているメダルMに伝達され、テーブル31の前端部に位置するメダルMが押し出され、落下部34に落下する。あるいは、テーブル31の側方から落下し、メダルホッパー47に回収される。本形態のプッシャーゲームでは、メダルM1〜M4のみがゲームフィールドGF上に敷き詰められるようにして配置される。落下部34に落下したメダルMは、上記の通り識別情報(属性)が読み取られた後にメダル貯留容器41〜44のいずれかに戻される。読み取られた識別情報に応じて、クレジットの付与、メダル払出口25からのプレイ用メダルの払出し、ビンゴゲームの進行処理、ルーレット抽選の実行等、各種の処理がなされる。
次に、図3〜図10を参照してセンターゲームユニット11の詳細を説明する。図3に示すように、センターゲームユニット11は、抽選機構50と、その抽選機構50を挟む込むように配置される一対の表示装置51A、51Bとを有している。なお、以下では、表示装置の参照符号を51で代表して表示装置51と表記することがある。他の構成要素の参照符号に関しても、同様に添え字A、B…を省略した参照符号にて代表することがある。表示装置51のそれぞれの表面が図1及び図2に示した表示面に相当する。一方の表示装置51Aはその表示面を第1のゲーム提供領域GA1に向けて配置され、他方の表示装置51Bは、その表示面を第2のゲーム提供領域GA2に向けて配置される。各表示装置51には液晶パネルが用いられている。ここでいう液晶パネルは、光源、偏光板、反射板といった不透明な部材を背後に含まず、枠部51aを除くスクリーン51bの全面を透過領域として設定することが可能なタイプの液晶パネルである。表示装置51は、液晶の方向の制御により、適宜の位置に画像を表示してその背後の視認性を低下させることができる。ただし、表示装置51は液晶パネルを用いた例に限らず、スクリーンに透過領域と画像表示領域とを生じさせることが可能な限り、有機ELパネル、プロジェクタといった他の表示装置が用いられてもよい。なお、ここでいう視認性の低下とは、ユーザに対して背後を見えにくくする態様、及びユーザから背後が全く見えない態様のいずれも含まれる。
視認性は画像の濃淡を調整することにより適宜に設定することができる。
図3〜図5に示すように、抽選機構50は、フレーム52と、そのフレーム52に支持された大、中、小の三つの抽選リング53A、53B、53Cと、それらの抽選リング53の内周に遊技媒体としてのボール54(図9参照)を投入する投入機構55とを有している。フレーム52は基部52aと、前後一対の縦フレーム部52bとを有し、抽選リング53は縦フレーム部52bの間に配置されている。表示装置51は縦フレーム部52bの外側に取り付けられている。抽選リング53A〜53Cは、水平方向の旋回軸線AXを中心として互いに同軸的に配置され、各リング53の内周にはボール54の抽選経路56A〜56Cとなるべき隙間が設けられている。抽選リング53のそれぞれの内周には、ボール54が選択的に入るべき複数の抽選位置としての複数のポケット53aが周方向に適宜の間隔を空けて設けられている。抽選リング53A、53B、53Cの直径(あるいは周方向の長さ)の相違により、ポケット53aの個数は大抽選リング53A、中抽選リング53B、小抽選リング53Cの順で減少する。
また、抽選リング53は旋回軸線AXの回りに回転可能な状態でフレーム52に取り付けられている。つまり、抽選リング53の相互間における相対回転は不可能である。抽選リング53は、不図示の駆動装置により、旋回軸線AXの回りに一体的に回転駆動される。駆動装置は、一例として、大抽選リング53Aの外周に接触するローラを電動モータ等の駆動源により回転駆動するように構成される。なお、抽選リング53間の相対回転を許容し、各抽選リング53を個別に駆動装置にて回転駆動してもよい。投入機構55から抽選経路56にボール54が投入され、そのボール54が抽選リング53の回転に伴って抽選経路56の下部領域にて周方向に往復しつつ最終的にいずれか一つのポケット53aに入ることにより抽選が行われる。抽選リング53の旋回軸線AXは、ゲーム機2の周方向に関して、各ゲーム提供領域GAの中心に向けられている。以上から明らかなように、本形態では、抽選リング53A〜53Cと、それらの内周の抽選経路56A〜56Cと、抽選経路56A〜56Cに投入されるボール54とにより、抽選機構50には大、中、小の三つの抽選部LP1〜LP3(参照符号LPで代表することがある。)が設けられている。そして、ゲーム提供領域GAと抽選機構50との間には表示装置51のスクリーン51bが配置されている。したがって、表示装置51のスクリーン51bに画像を表示しない場合、各抽選部LPにおける抽選の様子は、各ゲーム提供領域GAからスクリーン51bの透過領域を介して透かし見ることができる。一方、表示装置51の画像により抽選部LP1〜LP3の視認性を個別選択的に低下させることも可能である。
図6から明らかなように、各抽選リング53の両側面には、導光板57が抽選リング53を一周するように取り付けられている。導光板57にはその外周又は内周から、不図示の照明装置の照明光が照射される。それにより、導光板57が発光し、表示装置51のスクリーン51bを背後から照明することができる。その照明は、スクリーン51bに表示される画像に対するバックライトとして作用する。なお、図示を省略したが、抽選リング53の上部領域(概ね、旋回軸線AXよりも上側の領域)はほぼ全面に亘って導光板で覆われてもよい。抽選リング53の上部領域は、各抽選部LPにおける抽選の実行中にユーザが注目することがなく、スクリーン51bを介してユーザに観察させるべき必要がない領域である。そのため、この上部領域を導光板で覆っても差し支えない。
抽選リング53の各ポケット53aの内部には、ポケット53aに入ったボール54の外周側への抜けを阻止するストッパ53bが設けられている。また、抽選リング53の内周面におけるポケット53aの口元部分には、ボール54の進入に対して適度な抵抗を与えるための突出部53cが設けられている。図7により詳しく示したように、突出部53cはポケット53aの内径より幾らか大きい幅であり、かつポケット53aに対して周方向両側に適度な長さで延ばされている。大抽選リング53A、中抽選リング53Bの内周には、突出部53cの間に位置するようにして突起部58が設けられている。突起部58は、抽選リング53の幅方向中心部から回転方向(図6の矢印R方向)前方に向かって略V字状を描くように延ばされた一対の突条58aを備えている。突条58aのそれぞれの先端は抽選リング53の幅方向両側縁にほぼ達している。
さらに、抽選リング53の幅(旋回軸線AXの方向の寸法)は、ボール54の直径よりも大きく設定されている。したがって、抽選経路56において、ボール54は、突出部53c、あるいは突起部58に当たって移動方向を変えることにより、抽選リング53の周方向のみならず幅方向にも移動を繰り返す。このような動きを与える理由は、抽選リング53の周方向のみならず、幅方向にもボール54を動作させることにより、ボール54の動作によるアイキャッチ効果、あるいは抽選の演出効果を高めるためである。また、突起部58をポケット53a間にさらに設けているのは、抽選リング53の幅方向一方の側にボール54が偏って動作し、両側のゲーム提供領域GA間でボール54の見え方が相違するおそれを排除するためである。すなわち、ポケット53aの口元の突出部53cに対して幅方向一方の側にボール54が移動した場合、何らかの切っ掛けがないとボール54が幅方向同一の側で周方向に揺動を繰り返し、幅方向他方の側のゲーム提供領域GAからはボール54が奧に移動した状態が続くおそれがある。そこで、ポケット53a間の適宜の位置に、ボール54を幅方向一方の側から他方の側へと移動する切っ掛けとなる突起部58を設けている。
さらに、突起部58に一対の突条58aを設けたのは、幅方向に関するボール54の動作の不規則性を高めるためである。すなわち、図8に示したように、一方の突条58aにボール54が当たった場合、そのボール54は突条58aの傾きに従って抽選リング53の幅方向(図8の上下方向)における中央に向かって案内される。しかし、幅方向の中央部で突条58aの方向が切り替わるため、そのボール54は、図8に矢印X1で示すように他方の突条58aを乗り越えて抽選リング53の幅方向反対側へ移動するか、あるいは、同図に矢印X2で示すように他方の突条58aに押されて幅方向一方の側に戻される。ボール54が矢印X1又はX2のいずれの動作を示すかは、突起部58に当たった際のボール54の速度等の物理的パラメータに応じて異なる。したがって、常に決まった位置でボール54が幅方向一方の側から他方の側に移動する、といった規則性を解消し、ボール54の動作に関する不規則性を高めることができる。ちなみに、突起部を、抽選リング53の幅方向一方の側縁から他方の側縁まで一様に傾斜する単一の突条にて構成した場合は、ボール54を幅方向に動作させる切っ掛けを与えることはできても、その突起部にてボール54がほぼ定まった動きを示すようになる。
図9及び図10は投入機構55の詳細を示している。投入機構55は、フレーム52に取り付けられるベース60と、そのベース60の一方の側から弧状に延ばされたボール投入ガイド61A、61Bと、ベース60の他方の側から弧状に延ばされたボール回収ガイド62A、62Bとを備えている。ベース60には、基板63と、基板63に上下方向に並べて取り付けられた三つのボールホルダ64A〜64Cとが設けられている。基板63は、フレーム52の一方の縦フレーム部52bに取り付けられ(図3参照)、それにより投入機構55はフレーム52の上部の定位置に装着される。ボールホルダ64はボール54を1個保持する大きさである。最上段のボールホルダ64Aは、大抽選リング53Aの内周の抽選経路56Aに、中段のボールホルダ64Bは中抽選リング53Bの内周の抽選経路56Bに、最下段のボールホルダ64Bは小抽選リング53Cの内周の抽選経路56Cにそれぞれ配置される。
ボールホルダ64は、上方及びボール投入ガイド61が設けられた側が開口するバケット状に形成され、その周方向の開口部にはボール54の落下を阻止するストッパ65が設けられている。ストッパ65は基板63に取り付けられた駆動機構66により、ボール54をボールホルダ64内に拘束する位置(図9に示された位置)と、ボールホルダ64の開口部から後退してボール54の落下を許容する位置との間で駆動される。駆動機構66は、一例として電磁アクチュエータを駆動源として用い、その駆動源の動作をリンク機構等によりストッパ65の動作に変換するように構成される。ボールホルダ64には、ボール54の有無を検出するセンサ67も取り付けられている。
ボール投入ガイド61、及びボール回収ガイド62は、ボール54を抽選リング53の内周に沿って案内する手段として設けられている。外側のボール投入ガイド61A及びボール回収ガイド62Aは大抽選リング53Aの内周よりも幾らか大きな曲率で湾曲し、内側のボール投入ガイド61B及びボール回収ガイド62Bは中抽選リング53Bの内周よりも幾らか大きな曲率で湾曲する。図3及び図4に示すように、投入機構55のベース60がフレーム52に取り付けられた場合、ボール投入ガイド61A及びボール回収ガイド62Aは大抽選リング53Aに対応する抽選経路56Aの上部領域に、ボール投入ガイド61B及びボール回収ガイド62Bは中抽選リング53Bに対応する抽選経路56Bの上部領域にそれぞれ挿入され、抽選リング53A、53Bの内周に沿うように配置される。
ボールホルダ64は、その内部のボール54が抽選リング53の内周と幾らか接触するように配置されている。ボールホルダ64の周方向の開口部及びボール投入ガイド61は抽選リング53の回転方向(図9の矢印R方向も参照。)の前方に向けられている。したがって、ストッパ65をボールホルダ64から後退させると、抽選リング53の回転に伴ってボール54がボールホルダ64から送り出され、そのボール54がボール投入ガイド61に沿って抽選経路56の下部領域へと落下する。一方、抽選リング53のポケット53aに入ったボール54は抽選リング53にて搬送されるが、上部領域ではボール回収ガイド62と接することによりポケット53aから落下することなくボールホルダ64の上方まで搬送される。ボールホルダ64の真上ではボール回収ガイド62が存在しないため、ボールホルダ64の上方に達したボール54はポケット53aからボールホルダ64に落下し、それによりボール54が投入機構55に回収される。なお、小抽選リング53Cに関してはボール投入ガイドが省略されている。また、図4から明らかなように、ベース60には小抽選リング53Cに対応するボール回収ガイド62Cも設けられている。
さらに、投入機構55には、ポケット53aにボール54が入っているか否かを検出するボールセンサ68(図4)が設けられている。また、抽選リング53の外周には、ポケット53aの割り出し等に用いる検出片69も設けられている。検出片69は、ポケット53aごとに異なる配置で設けられており、その検出片69を抽選リング53の周囲の定位置に固定されたフォトインタラプタ等のセンサで検出することにより、抽選リング53のポケット53aごとにユニークな検出信号を生成し、ポケット53aの識別を行うことができる。例えば、抽選リング53上の所定の位置を基準としてポケット53aにポケット番号を設定し、検出片69によって生成される検出信号とボールセンサ68の信号とを参照することにより、各抽選リング53のいずれのポケット53aにボール54が入ったかを割り出すことができる。なお、ポケット53aの識別及びボール54の検出には種々の手段が用いられてよい。例えば、ポケット53aごとにICチップを取り付けてポケット53aの識別情報をICチップに記録してポケット53aの割り出しに用いてもよい。
次に、図11〜図15を参照して、センターゲームユニット11を用いて行われる各種のゲームの具体例を説明する。上記のように、抽選機構50は三つの抽選部LP1〜LP3を有し、各抽選部LPにおける抽選の様子、すなわち、抽選経路56をボール54が揺れながら移動して最終的に一つのポケット53aに入る様子は、第1のゲーム提供領域GA1、及びその反対側の第2のゲーム提供領域GA2のいずれからも観察することができる。一方、表示装置51のスクリーン51bの適宜の画像を表示することにより、抽選部LPの少なくとも一部を選択してその視認性を透過領域におけるそれよりも相対的に低下させることができる。しかも、表示装置51は抽選機構50の両面に配置されているため、表示装置51に互いに異なる画像を表示することにより、共通の抽選機構50を用いて、第1のゲーム提供領域GA1及び第2のゲーム提供領域GA2のそれぞれに対して、互いに異なる抽選ゲームを同時並行的に提供することができる。
図11は、抽選機構50の一方の側に表示装置51の画像を重ね合わせた一例を示している。この例では、抽選リング53の中心よりも上方の領域(一点鎖線L1よりも上側の領域)と、各抽選リング53の外周と、大抽選リング53Aの下方の領域とに画像100を重ね合わせた例である。この場合は、三つの抽選部LP1〜LP3のそれぞれの抽選経路56A〜56Cと、抽選リング53のポケット53aと、抽選経路56に投入されたボール54とが観察されるようにスクリーン51b上の透過領域が設定され、抽選機構50のその他の部分はスクリーン51bの画像100が重ね合わされることにより視認性が低下した状態にある。これにより、ゲーム提供領域GAのユーザには、三つの抽選部LPを用いた抽選ゲームを提供することができる。画像100内にて各抽選リング53の側面に重ね合わされる部分に、ポケット53aに設定された番号、絵柄、配当等の属性に対応した画像を表示すれば、ユーザに対しては各抽選部LPにてどのような属性が抽選されたかを示すことができる。図11の状態から、例えば小抽選リング53Cの抽選経路56Cを画像で覆えば、ユーザには大抽選リング53A及び中抽選リング53Bを用いた抽選ゲームを提供することができる。このように、本形態ではゲーム提供領域GAに提供すべきゲームにて利用される抽選部LPにおける抽選の様子が観察でき、ゲームにて利用されない抽選部LPにおける抽選の様子は見えない、又は見えにくくなるように画像の表示が制御される。それにより、複数のゲーム提供領域GAのそれぞれに対して、利用されるべき抽選部LPに相違がある抽選ゲームを並行して実行することが可能である。以下、抽選ゲームの具体例を図12〜図15により説明する。
図12は、複数の抽選部LPを順次利用する順次抽選型の抽選ゲーム(順次抽選ゲームと呼ぶことがある。)の表示形態を示している。ここでいう表示形態は、表示装置51によって表示される画像とスクリーン51bを介して透けて見える抽選機構50の一部との組み合わせによってユーザに提示される状景である。ゲーム機2においては、例えば、第1のステーションユニットST1におけるプッシャーゲームにて、落下部34にビンゴメダルM4が落下すると、そのビンゴメダルM4に設定された識別情報が検出され、検出された識別情報に対応する数字が付されたマスがビンゴシート101Aに存在すれば、そのマスが有効になる。ビンゴシート101Aの少なくとも一方向に並べられた全てのマスが有効化されると、その第1のステーションユニットST1のユーザを抽選権利者として順次抽選ゲームが開始される。他のステーションユニットST2〜ST4においても同様である。
順次抽選ゲームでは、まずその第1段階として、中抽選部LP2のみを利用した抽選が行われる。この場合、中抽選部LP2の抽選経路56Bの下から2/3程度の範囲及びその抽選経路56Bの下部に投入されたボール54がスクリーン51bを介して透けて見え、抽選機構50のその他の部分は中抽選部LP2の透けて見える部分と比較して視認性が相対的に低下するようにスクリーン51bに画像が表示される。例えば、中抽選リング53Bの側面に相当する領域には、各ポケット53aに設定された属性(この場合は報酬)を示す数字や図柄等を示すリング状の属性画像110が表示され、大抽選部LP1及びその下方に相当する領域にはビンゴシート101A、101Bを含む下部カバー画像111が表示され、小抽選部LP3の位置には中央カバー画像112が表示され、さらに、抽選機構50の上部に相当する領域(投入機構55が配置されるべき領域)には上部カバー画像113が表示される。これらの画像110〜113により、中抽選部LP2のみを利用した抽選ゲームが提供されていることを、ゲーム提供領域GA1のユーザに確実に認識させることができる。なお、中央カバー画像112にも属性を示す図柄等が含まれているが、その図柄は図13の第2段階に進んだ場合の抽選の選択肢を予告するものである。属性画像110及び中央カバー画像112のそれぞれに表示される属性は抽選リング53の回転に同期して周方向に移動する。
第1段階の抽選にて、ボール54が「NEXT」と表示されたポケット53aに入ると、順次抽選ゲームは図13に示す第2段階の抽選へと進む。「NEXT」以外のポケット53aにボール54が入った場合、順次抽選ゲームは、第2段階に進むことなくボール54が入ったポケット53aに応じた報酬が抽選権利者のユーザに付与されて終了する。第2段階では、図13に示すように、小抽選部LP3のみを利用した抽選が行われる。この場合、小抽選部LP3の抽選経路56Cのほぼ全範囲及びその抽選経路56Cの下部に投入されたボール54がスクリーン51bを介して透けて見え、抽選機構50のその他の部分は視認性が低下するようにスクリーン51bに画像が表示される。例えば、小抽選リング53Cの側面に相当する領域には、各ポケット53aに設定された属性(この場合は報酬)を示す数字や図柄等を示すリング状の属性画像120が表示され、中抽選部LP2から大抽選部LP1の抽選経路56Aに相当する領域にはリング状の中央カバー画像121が表示され、抽選経路56Aよりも下方の領域にはビンゴシート101A、101Bを含む下部カバー画像122が表示され、抽選機構50の上部に相当する領域には上部カバー画像123が表示される。
これらの画像120〜123により、小抽選部LP3のみを利用した抽選ゲームが提供されていることを、ゲーム提供領域GA1のユーザに確実に認識させることができる。なお、小抽選部LP3の中央にはシンボル画像124が表示されるが、その画像124はボール54の視認性に影響を与えない程度に制限される。また、中央カバー画像121にも属性を示す図柄等が含まれているが、その図柄は図12の第1段階における抽選の選択肢を提示するものである。属性画像120及び中央カバー画像121のそれぞれに表示される属性は抽選リング53の回転に同期して周方向に移動する。第2段階の抽選にてボール54がいずれかのポケット53aに入ると順次型の抽選ゲームが終了し、そのポケット53aに設定された報酬が抽選権利者のユーザに付与される。例えば、「ジャックポット」と表示されたポケット53aにボール54が入った場合、ゲーム機2がユーザが消費したクレジット量をユーザの区別なく一定比率で貯留したいわゆるプログレッシブボーナスに相当する報酬がユーザに支払われる。
図14は、単一の抽選部LPのみを利用する単独抽選型の抽選ゲーム(単独抽選ゲームと呼ぶことがある。)の表示形態を示している。この例では、大抽選部LP1のみを利用して抽選が行われる。例えば、プッシャーゲームにて、「抽選」の属性が設定されたビンゴメダルM4が落下部34に落下した場合、ビンゴシート101A、101Bに存在しない番号のビンゴメダルM4が落下部34に落下した場合、あるいは、既に有効化されたマスの番号と同一番号のビンゴメダルM4が落下部34に所定回数落下した場合などに、そのプッシャーゲームをプレイするユーザを抽選権利者として図14の単独抽選ゲームが実行される。
単独抽選ゲームでは、大抽選部LP1の抽選経路56Aの少なくとも下部(ボール54が揺れ動く範囲)及びその抽選経路56Aの下部に投入されたボール54がスクリーン51bを介して透けて見え、抽選機構50のその他の部分は視認性が低下するようにスクリーン51bに画像が表示される。例えば、抽選経路56Aの内側に相当する領域には、中央カバー画像130が表示され、抽選経路56Aの下方に相当する領域にはビンゴシート101A、101Bを含む下部カバー画像131が表示される。さらに、大抽選リング53Aの側面に相当する領域には、各ポケット53aに設定された属性(この場合は番号)を示す属性画像132が表示される。属性画像132に表示される番号は、抽選権利者のビンゴシート101にてまだ有効化されていないマスに設定された番号に対応する。これらの画像130〜132により、大抽選部LP1のみを利用した抽選ゲームであって、しかもビンゴシート101の有効化されていないマスの番号のいずれかを抽選するゲームが提供されていることを、一方のゲーム提供領域GAのユーザに確実に認識させることができる。なお、中央カバー画像130には大抽選リング53Aの一部のポケット53aに対応して「ビンゴナンバー」、「リーチナンバー」といった文字が表示されている。これらの文字は、そのポケット53aにボール54が入ればビンゴが成立(一方向のマスの全てが有効化された状態をいう。)し、あるいはあと一つのマスが有効になればビンゴが成立することを示すものである。属性画像132及び中央カバー画像130の文字は抽選リング53の回転に同期して周方向に移動する。単独抽選ゲームにてボール54がいずれかのポケット53aに入ると抽選ゲームが終了し、そのポケット53aに設定された番号に対応するビンゴシート101上のマスが有効化される。
図15は、複数の抽選部LPを同時に利用する同時並行型の抽選ゲーム(並行抽選ゲームと呼ぶことがある。)の表示形態を示している。この例では、三つの抽選部LP1〜LP3を同時に利用して抽選が行われる。例えば、プッシャーゲームにて、所定の属性が設定されたメダルMが落下部34に落下した場合、あるいはサブゲームユニット12にて提供されるゲームにて所定の当選が得られた場合などに、そのプッシャーゲームをプレイするユーザを抽選権利者として図15の並行抽選ゲームが実行される。
並行抽選ゲームでは、全ての抽選部LPの抽選経路56の少なくとも下部(ボール54が揺れ動く範囲)及び各抽選経路56の下部に投入されたボール54がスクリーン51bを介して透けて見え、抽選機構50のその他の部分は視認性が低下するようにスクリーン51bに画像が表示される。例えば、各抽選リング53の側面に相当する領域には、各抽選リング53のポケット53aに設定された属性(支払われるべきメダル枚数等の報酬を示す文字や数字)を示すリング状の属性画像140A〜140Cが表示され、大抽選部LP1の抽選経路56Aの下方に相当する領域にはビンゴシート101A、101Bを含む下部カバー画像141が表示される。その他に、抽選部LPの上部の領域にも適宜の画像が表示される。これらの画像140、141により、全ての抽選部LPを利用した抽選ゲームが提供されていることを、一方のゲーム提供領域GAのユーザに確実に認識させることができる。並行抽選ゲームでは、各抽選リング53のポケット53aにボール54が入ると終了し、ボール54が入ったポケット53aのそれぞれに設定された報酬の合計量が抽選権利者のユーザに支払われる。ただし、各抽選リング53には、「ボーナス」の属性が設定されたポケット53aが少なくとも一つ存在し、三つの抽選部LPにて全て「ボーナス」のポケット53aにボール54が入ると、特別に加算されたボーナスが抽選権利者のユーザに支払われる。
次に、図16を参照して、上述した各ゲームを二つのゲーム提供領域GAのそれぞれに並行して提供するための制御系の構成を説明する。図16に示したように、ゲーム機2は、ステーションユニットSTと、ゲーム提供領域GAごとに設けられる一対の管理ユニット71と、センターゲームユニット11の抽選機構50に対応して設けられる抽選機構制御ユニット72とを備えている。ステーションユニットSTは、コンピュータとしてのステーション制御部73を含んでいる。ステーション制御部73は、ステーションユニットSTに固有的に行われるべき各種の動作制御あるいは演算処理を実行する。例えば、操作部3の操作状態に応じてメダル供給機構33によるメダル投入動作を制御する処理、落下部34に落下したメダルMの識別情報を読み取る処理、ユーザのカード4に記録された識別情報を読み取ってユーザを識別する処理、ユーザに対して報酬としてのメダルを払い出す処理といったステーションユニットSTごとに固有的に必要な処理をステーション制御部73が担当する。なお、図16では一つのステーションユニットSTのみ詳細を示すが、他のステーションユニットSTの構成も同じである。
管理ユニット71は、コンピュータであって、同一のゲーム提供領域GAに所属する二つのステーションユニットSTのステーション制御部73と連携して、ステーションユニットST間で共用されるべき各種の装置の制御に必要な処理を担当する。例えば、一方の表示装置51Aを利用して提供される抽選ゲームの制御、及びそれに伴う表示画像の制御を管理ユニット71が担当する。サブゲームユニット12の制御も同様に管理ユニット71が担当するが、その詳細は本発明の要旨と関係ないために省略する。抽選機構制御ユニット72は、抽選機構50の動作制御に必要な処理を実行する。例えば、各抽選リング53の回転駆動及びその停止の切り替え、投入機構55におけるストッパ65の位置の切り替えによるボール54の投入動作の制御、ボールセンサ68の信号に基づく各ポケット53aにおけるボール54の有無の判別、ボール54が入ったポケット53aの識別(つまり、いずれのポケット53aにボール54が入ったかの判定)、といった処理を抽選機構制御ユニット72が担当する。なお、ストッパ65の位置は、抽選部LPごとに個別に切り替え制御されてもよいし、全ての抽選部LPにてストッパ65が同一位置にあるように一括して制御されてもよい。前者の場合には抽選部LPごとにボール54の投入又は投入阻止が個別に制御され、後者の場合には全ての抽選部LPに対して一括してボール54の投入又は投入阻止が制御される。
管理ユニット71には、コンピュータハードウエアとソフトウエアとの組み合わせによって実現される論理的装置として、センター抽選制御部74と表示制御部75とが設けられる。センター抽選制御部74は、抽選機構制御ユニット72と連携して、センターゲームユニット11による抽選ゲームの実行に必要な処理を担当する。例えば、抽選機構50を利用した抽選ゲームを実行すべき条件が満たされた場合、センター抽選制御部74は、管理ユニット71の適宜の記憶装置に保持されている抽選ゲーム情報のデータ76を参照して、抽選ゲームで利用されるべき抽選部LPを判別し、その抽選部LPの利用態様に応じた画像を描画するために必要な情報を表示制御部75に提供する。また、センター抽選制御部74は、抽選機構制御ユニット72から提供される抽選結果の情報に基づいて、抽選ゲームの結果を判定し、その判定結果に応じて抽選ゲームの報酬等を決定する。表示制御部75は、センター抽選制御部74と連携して、表示装置51に表示されるべき画像を抽選ゲームの種類に応じて制御する。画像の表示例は図12〜図15で示した通りである。なお、図16に示した2つの管理ユニット71は単一のコンピュータにより構成されてもよい。
抽選ゲーム情報のデータ76は、抽選ゲームの種類に応じて、どの抽選部LPをどのように利用してゲームが行われるかに関する利用対象抽選部の情報、及び、抽選リング53の各ポケット53aにどのような属性を設定すべきかに関する属性設定の情報を含む。例えば、利用対象抽選部の情報では、図17に例示したように、抽選ゲームA、B、C…のそれぞれに対して、ゲームのタイプ(順次型、単独型又は並行型のいずれか)、利用する抽選部LPが指定される。順次型の場合、記述順に従って抽選部が利用され、並行型の場合には、記述された抽選部が同時に利用される。一方、図18に例示したように、属性設定の情報では、抽選ゲームA、B、C…のそれぞれに対して、利用されるべき抽選部LPの各ポケット53aにどのような属性を設定すべきかが指定される。抽選機構50においては、ポケット53aをポケット53a毎にユニークなポケット番号(#1、#2…)で管理し、抽選機構制御ユニット72では、各抽選部LPにおいてボール54が入ったポケット53aのポケット番号が判別される。図18の情報では、抽選部毎に、ポケット番号と対応付けてポケット53aに設定すべき属性が指定される。なお、図14に示した抽選ゲームでは、ポケット53aに設定される属性が、ビンゴシート101上で有効化されていない番号とされる。その場合、属性設定の情報には、各ポケット番号に対して、有効化されていなマスの番号のいずれかを設定すべき情報が指定される。センター抽選制御部74は、ステーション制御部73から有効化されるべきマスの番号、つまり落下部34に落下したビンゴメダルM4の番号を取得してビンゴシート101の各マスの有効/無効の表示を制御することにより、有効化されていないマスの番号を判別して各ポケット番号と対応付けることができる。
次に、図19を参照して、センター抽選制御部74が実行する抽選ゲーム処理を説明する。この処理は、ゲーム提供領域GAのいずれか一方のステーションユニットSTのユーザに関して抽選開始の条件が成立した場合に実行される処理である。図19の抽選ゲーム処理を開始すると、センター抽選制御部74は、まず抽選機構制御ユニット72に対して抽選中か否か、すなわちいずれかの抽選部LPにてボール54が投入されて抽選が行われている途中か否かを問い合せ、抽選中であれば抽選が終わるまで待機する(ステップS11)。抽選が終わると、センター抽選制御部74は、今回実行すべき抽選ゲームの情報をデータ76から取得する(ステップS12)。ここでは、実行すべき抽選ゲームのタイプ、利用する抽選部LP、各ポケット53aに設定すべき属性といった情報がデータ76から取得される。
次に、センター抽選制御部74は、ステップS12で取得した情報に基づいてポケット53aの属性を設定する(ステップS13)。その設定は管理ユニット71の適宜の一時記憶メモリに抽選部LP、ポケット番号及び属性を対応付けたデータを記憶させることにより行われる。図14に例示したようにポケット53aの属性が可変となるべき抽選ゲームが実行される場合には、その属性設定に必要な情報(例えば、ビンゴシート101にて有効化されていないマスの番号)がステップS14で取得され、抽選部LP及びポケット番号と対応付けて属性が設定される。続いて、センター抽選制御部74は、表示制御部75に対して、表示装置51に表示すべき画像を描画するために必要な情報を通知する(ステップS15)。例えば、いずれの抽選ゲームの画像を描画すべきかを指定する情報、画像を重ね合わせて視認性を低下させるべき抽選部LPを指定する情報、各ポケット53aに設定された属性を指定する情報等が表示制御部75に通知される。その通知を受けて、表示制御部75は図12〜図15に例示したような抽選ゲームに応じた画像を表示装置51のスクリーン51bに表示させる。
続いて、センター抽選制御部74は、抽選開始を抽選機構制御ユニット72、及び他方のセンター抽選制御部74に通知する(ステップS16)。この通知により、一対のセンター抽選制御部74のそれぞれは、相手側のセンター抽選制御部74にて抽選開始が指示されたことを知ることができる。その通知を受けた場合、センター抽選制御部74は、いずれかの抽選ゲームに関して抽選条件が成立したものと見なして図19の処理を開始してもよい。例えば、図12の抽選ゲームの開始通知に応答して、反対側のセンター抽選制御部74は、自己が属する側のゲーム提供領域GAに対して図14の抽選ゲームが提供されるように図19の処理を開始してもよい。
抽選機構制御ユニット72は、ステップS16の通知を受け取ると、反対側のセンター抽選制御部74から抽選開始が指示されるか否かを一定時間待ち、抽選開始が指示されるか又は一定時間が経過すると抽選機構50を動作させて抽選を開始する。反対側のセンター抽選制御部74からも抽選開始が指示されると、センターゲームユニット11では共通の抽選機構50を利用して互いに異なる抽選ゲームがゲーム提供領域GA1、GA2に提供される。なお、一定時間待つ理由は、抽選機構50による抽選が適度な時間を要するため、可能な限り各ゲーム提供領域GAに対して並行して抽選ゲームを提供することが望ましいからである。また、抽選機構50にて抽選が行われる場合、全ての抽選部LPに対してボール54が投入されてもよいし、抽選ゲームにて利用されるべき抽選部LPに限ってボール54が投入されてもよい。例えば、一方のゲーム提供領域GAに対して大抽選部LP1が利用され、他方のゲーム提供領域GAに対して中抽選部LP2が利用される場合、全ての抽選部LPにボール54が投入されても、小抽選部LP3における抽選の様子は両側の表示装置51の画像に遮られてユーザからは視認が困難となる。一方、上記の場合において、大抽選部LP1及び中抽選部LP2にボール54が投入され、小抽選部LP3にはボール54が投入されないのであれば、一方の表示装置51では抽選ゲームで利用されない中抽選部LP2の抽選の様子を画像で遮り、他方の表示装置51では抽選ゲームで利用されない大抽選部LP1の抽選の様子を画像で遮ればよい。抽選部LP3ではそもそも抽選が行われていないので、そこに画像を重ね合わせる必要は必ずしもない。
抽選開始を通知した後、センター抽選制御部74は抽選機構制御ユニット72から抽選結果が通知されるまで待機する(ステップS17)。抽選機構制御ユニット72からは、抽選結果として、抽選ゲームで利用される抽選部LPにてボール54が入ったポケット番号が通知されると、センター抽選制御部74はそのポケット番号に対して設定された属性に応じた処理を実行する(ステップS18)。例えば、属性として報酬の量又は額が設定されていれば、その報酬をユーザに支払うための処理が行われる。図12の例で「NEXT」の属性が設定されたポケット53aにボール54が入った場合には、抽選ゲームの第2段階に進むための演出などが行われる。次に、センター抽選制御部74は、ステップS18の処理によって抽選ゲームを終了してよいか否かを判別する(ステップS19)。順次型の抽選ゲームにて次の段階に進む抽選結果が得られている場合にはゲーム終了と判断されず、単独型又は並行型の抽選ゲームであれば一回の抽選でゲーム終了と判断される。
ゲーム終了と判断されない場合、センター抽選制御部74はステップS13に戻る。この場合は、順次型の抽選ゲームにおける次の段階へとゲームが進められる。一方、ゲーム終了と判断された場合、センター抽選制御部74は抽選機構制御ユニット72及び反対側のセンター抽選制御部74に抽選終了を通知して今回の抽選ゲームの処理を終える。以上の処理が管理ユニット71のそれぞれで行われることにより、第1のゲーム提供領域GA1と第2のゲーム提供領域GA2との間で、利用されるべき抽選部LPに差が生じるようにして互いに異なる抽選ゲームを並行して実行し、かつ、それぞれのゲーム提供領域GAに対して、ゲームで利用されない抽選部LPの視認性を、ゲームで利用される抽選部のそれよりも相対的に低下させるように画像を表示することができる。
本発明は上述した形態に限定されることなく、種々の変更又は変形が可能である。例えば、抽選機構の構成は図示の例に限らず、遊技媒体の物理的な動作を利用して一の抽選結果を得ることができる限り、適宜に構成されてよい。遊技媒体はボールに限らず、円板状その他適宜の形状でよい。複数の抽選部を設ける場合、その抽選部の個数は3に限らず、2又は4以上でもよい。さらに、単一の抽選部のみが設けられる場合でも本発明は適用可能である。この場合には、抽選部における抽選の様子を複数のゲーム提供領域のそれぞれで観察できるように画像表示装置の透過領域を設定しつつ、抽選の選択肢の属性を示す画像その他の画像をゲーム提供領域間で相違させて互いに異なるゲームを提供することができる。また、画像表示装置のスクリーンに設けられるべき透過領域は、透過性を有するガラス基板等のスクリーンに対して画像を表示しない領域を設定することによって実現する例に限らない。スクリーンに抜き穴等を設けることにより、常時透過領域として機能する部分がスクリーンに設けられてもよい。典型的には単一の抽選部が設けられる場合、その抽選の様子が観察されるべき部分に抜き穴を形成して透過領域を設けてもよい。物理的な抽選機構の外周に単一の湾曲した表示装置を配置し、抽選機構の周囲の互いに異なる方向に位置する複数のゲーム提供領域に対して互いに異なる画像を表示させることにより、論理的な複数の画像表示装置を設けることも可能である。
上記の形態では、ゲーム提供領域ごとに設けられる管理ユニット71に、ゲーム制御手段としてのセンター抽選制御部74と表示制御手段としての表示制御部75とを設けたが、抽選機構制御ユニット72にて図19の処理を実行し、あるいはステーション制御部73にて図19の処理を実行する、といったように、適宜のコンピュータをゲーム制御手段及び表示制御手段として機能させてよい。
本発明のゲーム機は、メダルゲーム機として構成される例に限らず、カジノゲーミング機として構成することも可能であり、複数のゲーム提供領域間で抽選機構が共用される限りにおいて、適宜の構成とすることができる。抽選機構の抽選と関連付けて実行されるべきゲームの内容も抽選機構それ自体における抽選結果と関連付けてゲームの進行やゲーム結果が定まる限り、適宜の内容としてよい。上記の形態では一つのゲーム提供領域にて複数のユーザがプレイする構成を示したが、ゲーム提供領域とその範囲でプレイするユーザの人数との関係はこれに限定されない。一つのゲーム提供領域で一人のユーザがプレイする形態であってもよい。
上述した実施の形態及び変形例のそれぞれから導き出される本発明の各種の態様を以下に記載する。なお、以下の説明では、本発明の各態様の理解を容易にするために添付図面に図示された対応する部材を括弧書きにて付記するが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
本発明の一態様に係るゲーム機(2)は、遊技媒体(54)の物理的な動作を利用して抽選を行う一以上の抽選部(LP1〜LP3)を有し、前記抽選の様子を複数のゲーム提供領域(GA1、GA2)のそれぞれから観察できるように設けられた抽選機構(50)と、前記複数のゲーム提供領域のそれぞれと前記抽選機構との間に配置されかつ前記抽選部を透かし見ることが可能な透過領域を有するスクリーン(51b)を含み、前記一以上の抽選部の少なくとも一部と重なるようにして前記スクリーン上に画像を表示することが可能な複数の画像表示装置(51)と、前記複数のゲーム提供領域のそれぞれに関して、前記抽選と関連付けて互いに異なるゲームを並行して実行するゲーム制御手段(74)と、各ゲーム提供領域に関して実行されるゲームに応じた画像を各画像表示装置に表示させる表示制御手段(75)とを備えたものである。
上記態様のゲーム機よれば、各画像表示装置のスクリーンの透過領域を介して抽選の様子を観察させつつ、抽選部の少なくとも一部と重なるように画像を表示することにより、その画像の背後の抽選部の一部又は全部の視認性を低下させ、それにより各ゲーム提供領域に提供されるゲームに応じて抽選部を適切に見せることができる。これにより、共通の抽選機構を利用しつつ、ゲーム提供領域間で互いに異なるゲームを抽選と関連付けて提供することができる。その結果、抽選の待ち時間を短縮又は解消し、抽選機構を効率的に稼働させることができる。
本発明の一態様に係るゲーム機において、前記抽選機構には、前記抽選をそれぞれ行う複数の抽選部(LP1〜LP3)が設けられ、前記画像表示装置は、前記スクリーンの前記透過領域が前記複数の抽選部のそれぞれを透かし見ることができるように、かつ前記複数の抽選部に対して前記画像を選択的に重ねて表示できるように設けられ、前記ゲーム制御手段は、一のゲーム提供領域に関して実行されるゲームにて利用されるべき抽選部と、他のゲーム提供領域に関して実行されるゲームにて利用されるべき抽選部との間に差が生じるようにして前記互いに異なるゲームを並行して実行し、前記表示制御手段は、ゲームにて利用される抽選部における抽選の様子が前記透過領域を介して透けて見える一方で、ゲームにて利用されない抽選部における抽選の様子に関する視認性が、前記ゲームにて利用される抽選部における抽選の様子に関する視認性よりも相対的に低下するように、各画像表示装置に画像を表示させてもよい。
上記の態様によれば、一のゲーム提供領域のゲームにて利用されかつ他のゲーム提供領域のゲームにて利用されない抽選部における抽選の様子が、一のゲーム提供領域には明確に提示され、他のゲーム領域では見えにくいか又は見えない状態となる。したがって、複数の抽選部で同時並行的に抽選を実行しつつ、各ゲーム提供領域に対してゲームと関連する抽選の様子を適切に見せることができる。
また、上記態様において、前記複数の抽選部のそれぞれは、前記遊技媒体を所定の移動経路(56A〜56C)上に設けられた複数の抽選位置(53a)のいずれかに入るように動作させて前記抽選を実行するように構成され、前記ゲーム制御手段は、ゲームにて利用される抽選部に設けられた複数の抽選位置に対して複数種類の属性(一例として番号、報酬など)を振り分けて設定し、かつ前記抽選にて選ばれた抽選位置の属性に応じた結果が生じるように前記ゲームを制御し、前記表示制御手段は、前記複数の抽選位置に設定された属性に対応する画像を各画像表示装置に表示させてもよい。これによれば、各抽選位置に設定された属性を各ゲーム提供領域に関して適切に提示し、それにより、抽選の選択肢としての属性を各ゲーム提供領域のユーザに適切に把握させることができる。
さらに、前記抽選部は、前記複数の抽選位置として複数のポケット(53a)が設けられた抽選リング(53A〜53C)に沿って前記遊技媒体を移動させて前記抽選を実行するように構成されてもよい。この場合には、遊技媒体がいずれかのポケットに入ることにより抽選がなされる。遊技媒体が移動する様子を抽選の様子としてスクリーンを介して観察させつつ抽選リングの側面に相当する領域には各ポケットに設定される属性に対応した画像を表示することにより、ゲーム提供領域ごとのゲームに適した表示を行える。
また、前記抽選リングが水平方向の軸線(AX)の回りに旋回可能に設けられ、前記複数の画像表示装置のそれぞれのスクリーンは前記抽選リングを軸線方向に挟むように設けられてもよい。これによれば、抽選リングの軸線方向一方の側と他方の側とで互いに異なるゲームを提供することができる。
また、前記複数の抽選部のそれぞれの抽選リングは同軸的に配置されてもよい。これによれば、比較的簡素かつ小型な構成で複数の抽選部を設けることができる。
本発明の一態様において、前記抽選機構は、前記遊技媒体を所定の移動経路(56A〜6C)上に設けられた複数の抽選位置(53a)のいずれかに入るように動作させて前記抽選を実行するように構成され、前記ゲーム制御手段は、前記複数の抽選位置に対して複数種類の属性を振り分けて設定し、かつ前記抽選にて選ばれた抽選位置の属性に応じた結果が生じるように前記ゲームを制御し、前記複数のゲーム提供領域のそれぞれに関して並行して実行されるゲーム間では、前記複数の抽選位置のそれぞれに対する属性の設定が互いに相違し、前記表示制御手段は、前記複数の抽選位置に設定された属性に対応する画像を各画像表示装置に表示させてもよい。これによれば、一のゲーム提供領域に関して実行されるゲームと、他のゲーム提供領域に関して実行されるゲームとの間で、複数の抽選位置のそれぞれに設定されるべき属性が相違するので、共通の抽選機構にて同一の抽選位置に遊技媒体が入った場合でも、その抽選位置の属性の相違をゲームに反映させて、ゲーム提供領域間で互いに異なるゲーム結果を生じさせることができる。
上記の態様においても、前記抽選機構の前記抽選部は、前記複数の抽選位置として複数のポケット(53a)が設けられた抽選リング(53A〜53C)に沿って前記遊技媒体を移動させて前記抽選を実行するように構成されてもよい。また、前記抽選リングが水平方向の軸線(AX)の回りに旋回可能に設けられ、前記複数の画像表示装置のそれぞれのスクリーンは前記抽選リングを軸線方向に挟むように設けられてもよい。
なお、上述した実施の形態及び変形例のそれぞれからは本発明と異なる発明を導き出すことが可能である。例えば、複数の抽選部(LP1〜LP3)を有する抽選機構(50)を備えたゲーム機(2)において、前記抽選機構と重ね合わせるように配置されかつ前記抽選部を透かし見ることが可能な透過領域を有するスクリーンを含み、前記一以上の抽選部の少なくとも一部と重なるようにして前記スクリーン上に画像を表示することが可能な画像表示装置と、前記抽選と関連付けて複数のゲームを選択的に実行するゲーム制御手段と、実行されるゲームに応じた画像を前記画像表示装置に表示させる表示制御手段とを備えたゲーム機の発明を導き出すことができる。この場合、複数の画像表示装置は必ずしも必要としない。一定方向から抽選機構を観察する場合でも、画像表示装置によって抽選部に選択的に重ね合わされるように画像を表示すれば、ゲームに応じて適切な抽選部をユーザに提示することができる。
また、図7の突起部58に対応した発明を導き出すこともできる。すなわち、水平方向の軸線を中心として旋回する抽選リングの内周に遊技媒体を投入し、抽選リングのいずれかの抽選位置に遊技媒体が入るように抽選を実行する抽選機構において、抽選リングの軸線方向の幅を遊技媒体よりも大きく設定し、かつ抽選リングの内周には、幅方向両側縁から幅方向中心に向かうほど回転方向後方に後退する一対の突条を組み合わせた突起部を設けた抽選機構の発明を導き出すことも可能である。この突起部によれば、抽選リングの幅方向に関して遊技媒体に不規則な動作を生じさせることができる。ただし、一対の突条は図7に示したごとく互いに連なるように設けられる必要は必ずしもなく、両者が幅方向に幾らか離れていてもよい。