以下、適宜図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。
なお、説明中で同じ符号、記号、数字は、特に説明が無い限り、同じ構成要素を示すものとする。また、特に説明が無い限り本発明に必須でない構成要素は図示しないものとする。
(実施の形態1)
以下、図1〜図7を用いて、実施の形態1を説明する。
[1−1.構成]
図1は、実施の形態1におけるLLC方式のスイッチング電源装置28を備えた投写型映像表示装置100の外観の一例を模式的に示す斜視図である。
投写型映像表示装置100は、外部から入力される映像信号に応じて生成した映像光を、スクリーン500へ投写する。投写型映像表示装置100は、投写型映像表示装置の一例である。
図2は、実施の形態1におけるLLC方式のスイッチング電源装置28を備えた投写型映像表示装置100の一構成を概略的に示すブロック図である。なお、図2では、信号の流れを実線の矢印で示し、光の流れを白抜きの矢印で示す。
なお、図2に示す投写型映像表示装置100は、投写型映像表示装置の一例であり、本実施の形態における投写型映像表示装置は何ら図2に示す構成に限定されない。
投写型映像表示装置100は、光源部の一例である光源部10と、光源駆動部20と、制御部の一例である主制御部30と、映像生成部40と、導光光学系50と、投写光学系60と、を備える。
光源部10は、半導体光源素子の一例である半導体レーザダイオード(図2には示さず)を複数備えている。光源部10は、半導体レーザダイオードから出力されるレーザ光を励起光として蛍光体(図示せず)を発光させることができる。そして、光源部10は、この蛍光体の発光光と、レーザ光と、を照明光として出射するように構成されている。
導光光学系50は、各種レンズ、ミラー、およびロッドインテグレータ、等の光学部材(図示せず)を備えている。そして、導光光学系50は、それらの光学部材を用いて、光源部10から出射された照明光を映像生成部40へ導くように構成されている。
映像生成部40は、デジタル・マイクロミラー・デバイス(DMD)または液晶パネル等の、光を空間変調するための素子を備えている。そして、映像生成部40は、その素子を用い、外部から入力される映像信号に応じて、光源部10から出射される照明光を空間変調し、映像光を生成するように構成されている。
投写光学系60は、レンズやミラー等の光学部材を備えている。そして、投写光学系60は、それらの光学部材を用い、映像生成部40で生成された映像光を拡大してスクリーン500へ投写するように構成されている。
主制御部30は、光源駆動部20や映像生成部40等を含む投写型映像表示装置100全般の制御を行うように構成されている。
光源駆動部20は、LLC方式のスイッチング電源装置(以下、単に「スイッチング電源装置」と記す)28を備え、光源部10の駆動に必要な電力を発生して光源部10に供給するように構成されている。スイッチング電源装置28については後述する。
なお、投写型映像表示装置100が備える各ブロックの構成および動作は、光源駆動部20が備えるスイッチング電源装置28および光源部10の構成を除き、一般に用いられているプロジェクタと実質的に同じであるので、詳細な説明は省略する。
次に、本実施の形態におけるスイッチング電源装置28および光源部10の構成について説明する。
図3は、実施の形態1におけるスイッチング電源装置28および光源部10の一構成例を示す回路図である。図3には、光源駆動部20と、光源部10と、主制御部30と、を示す。
光源駆動部20は、スイッチング電源装置の一例であるスイッチング電源装置28と、FET駆動回路25と、を備える。スイッチング電源装置28は、LLC方式のコンバータ装置(電流共振型のスイッチング電源装置)である。なお、光源部10は、スイッチング電源装置28が電力を供給する負荷回路の一例である。
スイッチング電源装置28は、直流電源装置の一例である直流電源Vin、第1スイッチング素子の一例であるスイッチング素子Q1、第2スイッチング素子の一例であるスイッチング素子Q2、トランスの一例であるトランスT、コンデンサCq、共振コンデンサの一例であるコンデンサCr、整流ダイオードの一例であるダイオードD1、D2、D3、D4、第1コンデンサの一例であるコンデンサC1、第2コンデンサの一例であるコンデンサC2、出力電圧切替回路の一例であるスイッチング素子Q3、電流検出回路の一例である電流検出回路23、電圧検出回路の一例である電圧検出回路24、制御部の一例であるマイクロコンピュータ21、および制御部の一例である制御回路22、を備える。
直流電源Vinは、直流の電力を出力可能な電源装置の一例である。なお、直流電源Vinは、スイッチング電源装置28の外部、または、光源駆動部20の外部、に設置されていてもよい。
スイッチング素子Q1、Q2は、電気的に互いに直列に接続されて直流電源Vinの両端子に直列接続されている。直流電源Vinのプラス側にはスイッチング素子Q1が配置され、直流電源Vinのマイナス側(または、接地側)にはスイッチング素子Q2が配置されている。スイッチング素子Q1、Q2のそれぞれの導通と遮断の切り替え(スイッチング動作)は、制御回路22によって制御されている。以下、スイッチング素子における導通状態を「オン」と記し、遮断状態を「オフ」と記す。なお、本実施の形態では、スイッチング素子Q1、Q2に、NチャネルFET(Field Effect Transistor:電界効果トランジスタ)を用いる例を示すが、本開示は何らこの構成に限定されない。
トランスTは、1次巻線L1と2次巻線L2とを備える。1次巻線L1は1次巻線の一例であり、2次巻線L2は2次巻線の一例である。1次巻線L1の一端は、スイッチング素子Q1とスイッチング素子Q2との電気的な接続点に接続されている。そして、直流電源Vinから出力される電流は、スイッチング素子Q1およびその接続点を通って1次巻線L1に供給される。なお、本実施の形態では、トランスTの1次巻線L1の巻数を「n1」と記す。また、本実施の形態では、n1を36ターンとし、2次巻線L2の巻数を24ターンとする例を示すが、本開示は何らこの構成に限定されない。
トランスTの1次巻線L1には、図3に示すように、トランスTの結合係数に応じた励磁インダクタンスLm、漏れインダクタンスLrが存在する。なお、図3には、1次巻線L1と、1次巻線L1の励磁インダクタンスLmと、漏れインダクタンスLrと、をそれぞれ個別に示しているが、1次巻線L1と独立にインダクタンスLr、Lmが存在するわけではない。
1次巻線L1の他端は、コンデンサCrの一端に接続され、コンデンサCrの他端は直流電源Vinのマイナス側(または、接地側)に接続されている。このように、スイッチング電源装置28では、1次巻線L1とコンデンサCrとが電気的に直列に接続されることによって、励磁インダクタンスLm、漏れインダクタンスLrおよびコンデンサCrで電流共振回路が形成される。この電流共振回路は、電流共振回路の一例である。この電流共振回路の共振動作によって、トランスTの2次巻線L2に電圧が誘起される。
コンデンサCqは、スイッチング素子Q1、Q2における電気的な損失を低減するための電圧共振用コンデンサであり、1次巻線L1に電気的に並列に接続されている。
本実施の形態におけるスイッチング電源装置28では、トランスTの2次巻線L2は、4つの巻線単位L21、L22、L23、L24に分割されている。4つの巻線単位L21、L22、L23、L24は、複数の巻線単位の一例である。なお、本実施の形態では、巻線単位L22と巻線単位L23のそれぞれの巻数を「n2」と記し、巻線単位L21と巻線単位L24のそれぞれの巻数を「n3」と記す。また、本実施の形態では、n2を8ターンとし、n3を4ターンとする例を示すが、本開示は何らこの構成に限定されない。
ダイオードD1、D2、D3、D4は、2次巻線L2に発生した電圧を整流するための整流ダイオードの一例である。ダイオードD1のアノードは、巻線単位L21の一端に電気的に接続されている。ダイオードD2のアノードは、巻線単位L21の他端と巻線単位L22の一端との電気的な接続点に電気的に接続されている。ダイオードD3のアノードは、巻線単位L23の他端と巻線単位L24の一端との電気的な接続点に電気的に接続されている。ダイオードD4のアノードは、巻線単位L24の他端に電気的に接続されている。そして、ダイオードD1のカソードとダイオードD4のカソードとは互いに電気的に接続され、ダイオードD2のカソードとダイオードD3のカソードとは互いに電気的に接続されている。なお、ダイオードD1〜D4の各カソードは、複数の電圧出力端の一例である。
コンデンサC1は、電圧を平滑するためのコンデンサの一例である。コンデンサC1は、一端が、ダイオードD1のカソードとダイオードD4のカソードとの電気的な接続点に電気的に接続され、他端が、巻線単位L22の他端と巻線単位L23の一端との電気的な接続点に電気的に接続されている。
コンデンサC2は、電圧を平滑するめのコンデンサの一例である。コンデンサC2は、一端が、ダイオードD2のカソードとダイオードD3のカソードとの電気的な接続点に電気的に接続され、他端が、巻線単位L22の他端と巻線単位L23の一端との電気的な接続点に電気的に接続されている。
このように、コンデンサC1の他端と、コンデンサC2の他端とは、互いに電気的に接続されている。
この構成により、ダイオードD1またはダイオードD4で整流された電圧は、コンデンサC1で平滑される。また、ダイオードD2またはダイオードD3で整流された電圧は、コンデンサC2で平滑される。
スイッチング素子Q3は、トランスTの2次巻線L2に発生する出力電圧を巻線単位で選択して切替えるための出力電圧切替回路の一例である。なお、本実施の形態では、スイッチング素子Q3にNチャネルFETを用いる例を示すが、本開示は何らこの構成に限定されない。
スイッチング素子Q3のドレイン端子は、コンデンサC1の一端(ダイオードD1のカソードとダイオードD4のカソードとの電気的な接続点)に接続され、スイッチング素子Q3のソース端子は、コンデンサC2の一端(ダイオードD2のカソードとダイオードD3のカソードとの電気的な接続点)に接続されている。また、スイッチング素子Q3のソース端子は、光源部10および電圧検出回路24にも電気的に接続されている。スイッチング素子Q3のゲート端子は、マイクロコンピュータ21に接続され、マイクロコンピュータ21から出力される制御信号は、このゲート端子に供給される。これにより、マイクロコンピュータ21は、スイッチング素子Q3のオンとオフの切り替え(スイッチング動作)を制御することができる。
上述したように、スイッチング素子Q3のソース端子には光源部10が接続されている。したがって、スイッチング素子Q3が導通した状態(オン状態)になると、2次巻線L2の出力電圧のうちのダイオードD1またはダイオードD4で整流されコンデンサC1、C2によって平滑されて得られる出力電圧(以下、「第1出力電圧」と記す)が、光源部10に供給される。スイッチング素子Q3が遮断した状態(オフ状態)になると、2次巻線L2の出力電圧のうちのダイオードD2またはダイオードD3で整流されコンデンサC2によって平滑されて得られる出力電圧(以下、「第2出力電圧」と記す)が、光源部10に供給される。
光源部10は、第1光源モジュール11と、第2光源モジュール12と、電流検出用の抵抗Rと、を備える。
第1光源モジュール11および第2光源モジュール12は、光源モジュールの一例である。抵抗Rは、第1光源モジュール11と第2光源モジュール12とに流れる電流を検出するための電流検出用の抵抗の一例である。
抵抗Rは、第1光源モジュール11と第2光源モジュール12との間に直列に接続されている。第1光源モジュール11と第2光源モジュール12とは、抵抗Rを間に挟んで、電気的に直列に接続されている。そして、第1光源モジュール11は、スイッチング素子Q3のソース端子に電気的に接続され、第2光源モジュール12は、コンデンサC1の他端とコンデンサC2の他端との電気的な接続点に、電気的に接続されている。
第1光源モジュール11は、複数の半導体レーザダイオード11aと、FET11bと、FETドライバ11cと、を備える。FET11bは短絡用スイッチング素子の一例である。なお、本実施の形態では、FET11bをNチャネルFETとする例を示すが、本開示は何らこの構成に限定されない。また、第1光源モジュール11が備える半導体レーザダイオード11aの数は、例えば8個であるが、本開示は何らこの数に限定されない。
複数の半導体レーザダイオード11aは、互いに電気的に直列に接続されている。FET11bは、直列に接続された複数の半導体レーザダイオード11aに電気的に並列に配置されている。そして、直列に接続された複数の半導体レーザダイオード11aの一方の端部(アノード)にFET11bのドレイン端子が接続され、他方の端部(カソード)にFET11bのソース端子が接続されている。したがって、FET11bがオン状態になると、直列に接続された複数の半導体レーザダイオード11aの両端子(一方の端部のアノードと、他方の端部のカソード)は短絡された状態となる。
FETドライバ11cは、LED(Light Emitting Diode)と光電池とが一体化された構成を有する。FETドライバ11cでは、LEDが発光すると、光電池に起電力が発生する。FETドライバ11cの光電池は、その光電池の出力がFET11bのゲート端子に供給されるように、FET11bのゲート端子とソース端子との間に電気的に接続されている。そして、そのLEDが発光すると、FET11bはオン状態(導通状態)となり、そのLEDが非発光のときは、FET11bはオフ状態(遮断状態)となる。このように、第1光源モジュール11では、FETドライバ11cのLEDの発光と非発光の切り替えが制御されることで、FET11bのオンとオフの切り替えが制御される。
そして、FET11bがオフ状態になると、FET11bに電流は流れず半導体レーザダイオード11aの方に電流が流れるので、半導体レーザダイオード11aは発光する。また、半導体レーザダイオード11aが故障等により絶縁状態になったときは、FET11bをオン状態にすることでFET11bの方に電流が流れるので、半導体レーザダイオード11aを通さない電流路を確保することができる。
第2光源モジュール12は、第1光源モジュール11と実質的に同じ構成であり、第1光源モジュール11と同様に、複数の半導体レーザダイオード12aと、FET12bと、FETドライバ12cと、を備える。繰り返しの説明になるので、第2光源モジュール12に関する説明は省略する。
電流検出回路23は、電流検出用の抵抗Rの両端に電気的に接続されており、抵抗Rの両端の電圧を計測して光源部10に流れる電流を検出するように構成されている。検出された電流値を示す情報は、電流検出回路23からマイクロコンピュータ21に供給される。
FET駆動回路25は、マイクロコンピュータ21からの制御信号にもとづき、第1光源モジュール11のFETドライバ11cのLED、および第2光源モジュール12のFETドライバ12cのLEDの、それぞれの発光・非発光を制御するように構成されている。これにより、第1光源モジュール11のFET11bおよび第2光源モジュール12のFET12bの、それぞれのオン(導通)とオフ(遮断)の切り替えは、マイクロコンピュータ21により制御される。
例えば、マイクロコンピュータ21は、半導体レーザダイオード12aの故障を検知したときは、FET駆動回路25を介してFET12bをオン状態にする。これにより、光源部10では、半導体レーザダイオード11aに流れる電流の電流路が、オン状態になったFET12bにより確保されるので、半導体レーザダイオード11aの発光を維持することができる。
電圧検出回路24は、スイッチング素子Q3のソース端子に電気的に接続されており、スイッチング素子Q3のソース端子の電圧を検出するように構成されている。これにより、電圧検出回路24は、トランスTの2次巻線L2から光源部10に供給される電力の電圧を検出することができる。検出された電圧値を示す情報は、電圧検出回路24からマイクロコンピュータ21に供給される。
マイクロコンピュータ21は、電圧検出回路24で検出される電圧、すなわち、2次巻線L2の出力電圧、を監視し、その検出された電圧を示す情報を制御回路22に供給するように構成されている。
制御回路22は、スイッチング素子Q1およびスイッチング素子Q2を交互にオン状態にするように構成された発振回路である。以下、単位時間(例えば、1秒間)あたりの、オン状態とオフ状態の繰り返しの回数を、「スイッチング周波数fs」と記す。
制御回路22は、マイクロコンピュータ21から供給される電圧情報にもとづき、スイッチング素子Q1、Q2のスイッチング動作を制御するように構成されている。スイッチング電源装置28では、スイッチング素子Q1、Q2のスイッチング周波数fsが変化すると、2次巻線L2の出力電圧が変化する。したがって、制御回路22が、電圧検出回路24で検出される電圧と、あらかじめ設定された比較用の値と、を比較し、その比較結果にもとづき、スイッチング素子Q1、Q2のスイッチング周波数fsを制御することで、スイッチング電源装置28は、2次巻線L2の出力電圧を実質的に一定に保つことができる。
なお、電圧検出回路24で検出される電圧とあらかじめ設定された比較用の値との比較は、マイクロコンピュータ21で行われてもよい。そして、その比較結果を表す情報がマイクロコンピュータ21から制御回路22に供給されてもよい。
しかしながら、負荷回路に大きな負荷変動が生じると、スイッチング電源装置28の出力電圧を、スイッチング周波数fsによる制御可能範囲を超えて変化させなければならない可能性がある。そして、そのような状況が発生すると、2次巻線L2の出力電圧を、スイッチング周波数fsの制御だけで適切な電圧に保つことは困難である。
そこで、本実施の形態に示すスイッチング電源装置28では、マイクロコンピュータ21が、電流検出回路23で検出される電流を監視し、その結果にもとづきスイッチング素子Q3のスイッチング動作を制御するように構成されている。この動作の詳細は後述する。
メモリ26は、後述する回路の状態に関する情報等を、マイクロコンピュータ21の指示により記憶する。なお、図3には、メモリ26が光源駆動部20の外部に配置された例を示しているが、メモリ26は、スイッチング電源装置28に備えられていてもよく、または、光源駆動部20に備えられていてもよい。あるいは、マイクロコンピュータ21に内蔵されていてもよい。
[1−2.動作]
以下、図3に示したスイッチング電源装置28の動作の概略を説明する。
スイッチング電源装置28では、まず、スイッチング素子Q1がオン状態になり、スイッチング素子Q2がオフ状態になることで、トランスTの1次巻線L1に、直流電源Vinが出力する電流(例えば、正方向の電流)が流れる。次に、スイッチング素子Q1がオフ状態になり、スイッチング素子Q2がオン状態になることで、コンデンサCrからトランスTの1次巻線L1に、先ほどとは逆方向の電流(例えば、負方向の電流)が流れる。この現象は、コンデンサCr、励磁インダクタンスLm、および漏れインダクタンスLrからなる電流共振回路が電流共振することで、生じる。このように、スイッチング電源装置28では、スイッチング素子Q1、Q2が交互にオン・オフを繰り返すことで、トランスTの1次巻線L1に正方向の電流と負方向の電流とが交互に流れる。そして、これらの動作が繰り返されることで、トランスTの2次巻線L2側に電圧が誘起される。
トランスTの2次巻線L2側に誘起された電圧は、ダイオードD1、D2、D3、D4によって整流され、コンデンサC1、C2によって平滑される。このとき、所定の出力電圧が得られるように、スイッチング素子Q1、Q2のスイッチング周波数fsが、制御回路22によって制御される。
一般に、LLC方式のスイッチング電源装置では、電圧と電流がそれぞれ共振するため、第1スイッチング素子(例えば、スイッチング素子Q1)、および第2スイッチング素子(例えば、スイッチング素子Q2)のオン・オフ切り替え時に生じる電力損失およびノイズを低減することができる。しかし、LLC方式のスイッチング電源装置は、PWM制御方式のスイッチング電源装置と比較すると、出力電圧の制御幅が狭い。そのため、LLC方式のスイッチング電源装置は、負荷変動が相対的に大きい負荷回路への電力供給源には不向きである。
ところで、本実施の形態に一例として挙げた投写型映像表示装置100では、光源部10において、複数の半導体レーザダイオード11aが直列接続されて構成された第1光源モジュール11と、複数の半導体レーザダイオード12aが直列接続されて構成された第2光源モジュール12と、が直列接続されている。そのため、複数の半導体レーザダイオード11a、12aのいずれかが故障する等して断線した状態(以下、「オープン故障」と記す)が発生すると、光源部10を流れる電流の電流路が遮断され、正常な半導体レーザダイオードにも電流が流れなくなり、全ての半導体レーザダイオードが非発光状態になる。
このような事態の発生を防止するには、オープン故障した半導体レーザダイオードに並列接続されたスイッチング素子をオン状態にして、光源部10を流れる電流の電流路を確保すればよい。例えば、半導体レーザダイオード12aにオープン故障が生じたときは、FET12bをオン状態にしてFET12bを通る電流路を設けることで、正常な半導体レーザダイオード11aの発光を維持することができる。
しかしながら、このような状態が生じると、スイッチング電源装置28から電力が供給される負荷回路に大きな負荷変動が生じることになる。例えば、上述の例では、FET12bがオン状態になることで、第2光源モジュール12は実質的に短絡状態となる。したがって、スイッチング電源装置28から見た負荷回路の負荷は、第1光源モジュール11と第2光源モジュール12が直列接続された回路から、第1光源モジュール11単体の回路に半減する。逆も同様である。このような大きな負荷変動が負荷回路に生じると、負荷回路に流れる電流が大きく変動する可能性があるので、スイッチング電源装置28の出力電圧を、負荷変動に応じて適切に下げることが望ましい。例えば第2光源モジュール12のオープン故障によりFET12bをオン状態にした場合には、スイッチング電源装置28の出力電圧を適切に下げることで、第1光源モジュール11に、オープン故障発生前と実質的に同じ電流を流すことができる。しかし、そのような場合、単にスイッチング周波数fsを制御するだけでは、スイッチング電源装置28の出力電圧を適切な電圧に保つことは困難である。
本実施の形態に示すスイッチング電源装置28は、このような大きな負荷変動が負荷回路に生じた場合でも、安定した電力を負荷回路に供給できるように構成されている。
以下、半導体レーザダイオード11a、12aが全て正常な場合(第1の動作)と、いずれか一方の半導体レーザダイオードがオープン故障した場合(第2の動作)と、のそれぞれのスイッチング電源装置28の動作を図4〜図7を用いて説明する。
図4〜図7は、実施の形態1におけるスイッチング電源装置28の動作例を概略的に示す図である。なお、図4〜図7では、電流の流れを破線で示す。
[1−2−1.第1の動作]
半導体レーザダイオード11a、12aがともに正常に動作している場合、スイッチング電源装置28から見た負荷回路の負荷は相対的に大きい。そのような場合、スイッチング電源装置28では、出力電圧が低下しないように、マイクロコンピュータ21がスイッチング素子Q3をオン状態にする。
制御回路22は、スイッチング素子Q1をオン状態にし、スイッチング素子Q2をオフ状態にする。これにより、図4に示すように、直流電源Vinから1次巻線L1に電流が流れ、2次巻線L2の巻線単位L22、L21に電圧が誘起される。この誘起された電圧は、ダイオードD1で整流され、コンデンサC1、C2で平滑される。
次に、制御回路22は、スイッチング素子Q1をオフ状態にし、スイッチング素子Q2をオン状態にする。これにより、図5に示すように、コンデンサCrから1次巻線L1に、先ほどとは逆方向の電流が流れ、2次巻線L2の巻線単位L23とL24に電圧が誘起される。この誘起された電圧は、ダイオードD4で整流され、コンデンサC1、C2で平滑される。
これらの動作により、コンデンサC1、C2の両端子間の電圧は第1出力電圧V1となり、この第1出力電圧V1の電力が光源部10に供給される。
このとき、マイクロコンピュータ21は、電圧検出回路24で検出された電圧値にもとづく情報(第1出力電圧V1の電圧値を示す情報)を制御回路22に供給する。制御回路22は、マイクロコンピュータ21から供給される情報にもとづいて、第1出力電圧V1が変動しないように、スイッチング素子Q1、Q2のスイッチング周波数fsを制御(フィードバック制御)する。
[1−2−2.第2の動作]
半導体レーザダイオード11a、12aのいずれか一方または両方にオープン故障が生じると、それまで電流が流れていた電流路に断線が生じ、電流検出用の抵抗Rに電流が流れなくなる。抵抗Rに電流が流れなくなると、そのことが電流検出回路23によって検出され、その検出結果を示す情報が電流検出回路23からマイクロコンピュータ21に供給される。その情報を受けたマイクロコンピュータ21は、半導体レーザダイオードのいずれかにオープン故障が生じていると判断する。そして、マイクロコンピュータ21は、例えば主制御部30を介して、直流電源Vinの出力電圧を一時的に下げる。これは、以下に説明する動作の過程で、負荷回路(例えば、光源部10)に過電圧が加わるのを防止するためである。
抵抗Rに電流が流れなくなったことを示す情報が電流検出回路23からマイクロコンピュータ21に供給された時点では、マイクロコンピュータ21には、第1光源モジュール11と第2光源モジュール12とのどちらにオープン故障が生じたかは、不明である。そこで、マイクロコンピュータ21は、まず、FET駆動回路25を介して第1光源モジュール11のFETドライバ11cを駆動し、FET11bをオン状態にする。これにより、直列接続された半導体レーザダイオード11aの両端子間が短絡される。
半導体レーザダイオード11aにオープン故障が生じていれば、これにより抵抗Rに電流が流れる。したがって、マイクロコンピュータ21は、電流検出回路23から供給される検出結果(抵抗Rに電流が流れたことを示す検出結果)を受けて、第1光源モジュール11にオープン故障が生じている、と判断できる。そして、この判断結果(第1光源モジュール11にオープン故障が生じていることを示す情報)は、マイクロコンピュータ21によりメモリ26に記憶される。
一方、抵抗Rに電流が流れないままであれば、マイクロコンピュータ21は、電流検出回路23における検出結果(抵抗Rに電流が流れていないことを示す検出結果)を通して、第1光源モジュール11以外にオープン故障が生じている、と判断できる。この場合、マイクロコンピュータ21は、FET駆動回路25を介してFET11bをオフ状態に戻す。
次に、マイクロコンピュータ21は、FET駆動回路25を介して第2光源モジュール12のFETドライバ12cを駆動し、FET12bをオン状態にする。これにより、直列接続された半導体レーザダイオード12aの両端子間が短絡される。
半導体レーザダイオード12aにオープン故障が生じていれば、これにより抵抗Rに電流が流れる。したがって、マイクロコンピュータ21は、電流検出回路23から供給される検出結果(抵抗Rに電流が流れたことを示す検出結果)を受けて、第2光源モジュール12にオープン故障が生じている、と判断できる。そして、この判断結果(第2光源モジュール12にオープン故障が生じていることを示す情報)は、マイクロコンピュータ21によりメモリ26に記憶される。
FET11b、またはFET12bがオン状態となって光源部10に電流が流れ始めた時点では、トランスTの2次巻線L2からは、2次巻線L2の巻数(n2+n3)に対応した電圧が発生している。なお、この電圧は、直流電源Vinの出力電圧が下げられている分だけ、第1出力電圧V1よりも低い。
次に、マイクロコンピュータ21は、スイッチング素子Q3をオン状態に維持したままでも、負荷が減少した負荷回路(例えば、光源部10)に対して安定した出力電圧(適切な電流)での電力供給が可能か否か、を判断する。
マイクロコンピュータ21には、あらかじめ、オープン故障した光源モジュールの数と、スイッチング素子Q3のオン・オフとの対応付けが記憶されている。図示はしないが、例えば光源部10が4つの光源モジュールを備えている場合の、その対応付けの一例を挙げる。マイクロコンピュータ21は、例えば、オープン故障した光源モジュールの数が0または1つのときは、スイッチング素子Q3をオンに維持したままでも安定した出力電圧での電力供給は可能である、と判断し、オープン故障した光源モジュールの数が2つ以上のときは、スイッチング素子Q3をオフにしなければ安定した出力電圧での電力供給は困難である(負荷回路に過電流が流れる可能性がある)、と判断するようにあらかじめ設定されていてもよい。なお、これらの数値や対応付けは単なる一例に過ぎず、本開示は何らこれらの数値や対応付けに限定されない。
このように、マイクロコンピュータ21は、安定した出力電圧での電力供給は可能である、と判断した場合は、スイッチング素子Q3をオン状態に維持する。また、マイクロコンピュータ21は、安定した出力電圧での電力供給は困難である(負荷回路に過電流が流れる可能性がある)、と判断した場合は、スイッチング素子Q3をオフ状態にする。そして、マイクロコンピュータ21は、スイッチング素子Q3をオフ状態にしたことを示す情報を、メモリ26に記憶する。
この後、マイクロコンピュータ21は、一時的に下げていた直流電源Vinの出力電圧を、元の電圧値に戻す。
続いて、マイクロコンピュータ21および制御回路22により、スイッチング素子Q1、Q2のオン・オフの切り替え動作が次のように制御されて、トランスTの2次巻線L2に出力電圧が発生する。このとき、スイッチング素子Q3がオン状態であれば、出力電圧は第1出力電圧V1となる。スイッチング素子Q3がオフ状態であれば、出力電圧は以下のようになる。
制御回路22は、スイッチング素子Q1をオン状態にし、スイッチング素子Q2をオフ状態にする。これにより、図6に示すように、直流電源Vinから1次巻線L1に電流が流れ、2次巻線L2の巻線単位L22に電圧が誘起される。この誘起された電圧は、ダイオードD2で整流され、コンデンサC2で平滑される。
この動作により、コンデンサC2の両端子間の電圧は第2出力電圧V2となり、この第2出力電圧V2の電力が光源部10に供給される。このとき、巻線単位(L22+L21)に発生した電圧は、ダイオードD1で整流され、コンデンサC1で平滑される。しかし、スイッチング素子Q3がオフ状態であるので、コンデンサC1に蓄積された電力は光源部10に供給されない。
次に、制御回路22は、スイッチング素子Q1をオフ状態にし、スイッチング素子Q2をオン状態にする。これにより、図7に示すように、コンデンサCrから1次巻線L1に、先ほどとは逆方向の電流が流れ、2次巻線L2の巻線単位L23に電圧が誘起される。この誘起された電圧は、ダイオードD3で整流され、コンデンサC2で平滑される。
この動作により、コンデンサC2の両端子間の電圧は第2出力電圧V2となり、この第2出力電圧V2の電力が光源部10に供給される。このとき、巻線単位(L23+L24)に発生した電圧は、ダイオードD4で整流され、コンデンサC1で平滑される。しかし、スイッチング素子Q3がオフ状態であるので、コンデンサC1に蓄積された電力は光源部10に供給されない。
このように、スイッチング素子Q3がオフ状態の時は、トランスTの2次巻線L2に誘起された電圧のうち、ダイオードD2、D3で整流され、コンデンサC2で平滑された第2出力電圧V2が、スイッチング電源装置28から負荷回路(光源部10)に供給される。この第2出力電圧V2は、2次巻線L2の巻線単位L22、L23の巻数n2に対応した電圧であり、巻線単位L21〜L24の各巻数の比率(n2とn3との比率)に応じて、第1出力電圧V1よりも低い電圧となる。例えば、巻数n2=8、巻数n3=4であれば、第2出力電圧V2は第1出力電圧V1の2/3の電圧となる。
このように、スイッチング素子Q3がオフ状態になった後のスイッチング電源装置28の動作は、発生する第2出力電圧V2が第1出力電圧V1よりも低くなる点を除き、上述の第1の動作で説明したスイッチング電源装置28の動作と実質的に同じである。すなわち、マイクロコンピュータ21は、電圧検出回路24で検出された電圧値にもとづく情報(第2出力電圧V2の電圧値を示す情報)を制御回路22に供給し、制御回路22は、マイクロコンピュータ21から供給される情報にもとづいて、第2出力電圧V2が変動しないように、スイッチング素子Q1、Q2のスイッチング周波数fsを制御(フィードバック制御)する。
なお、実施の形態1に示した動作例では、第1出力電圧V1は、正常動作する第1光源モジュール11と第2光源モジュール12とに適切な電流が流れる電圧に設定され、第2出力電圧V2は、第1光源モジュール11単体、または第2光源モジュール12単体に適切な電流が流れる電圧に設定されているものとする。しかし、本開示は何らこの構成に限定されない。第1出力電圧V1、第2出力電圧V2は、光源部10の構成に応じて適切に設定されることが望ましい。また、光源部10の構成に応じて、第3出力電圧V3や第4出力電圧V4等をスイッチング電源装置28が出力する構成であってもよい。
なお、マイクロコンピュータ21は、投写型映像表示装置100が起動するときに、メモリ26に記憶された情報を読み出し、その読み出された情報にもとづき各種設定を行う。例えば、上述した例の場合、メモリ26には、マイクロコンピュータ21により、光源部10に関する故障情報(例えば、第2光源モジュール12にオープン故障が生じたことを示す情報)、およびスイッチング電源装置28から出力される電力の電圧に関する情報(例えば、スイッチング素子Q3にオフ状態が設定され、第2出力電圧V2が選択されていることを示す情報)が記憶される。この場合、これらの情報がメモリ26に記憶されて以降は、投写型映像表示装置100が起動される度に、マイクロコンピュータ21は以下のように動作する。すなわち、FET駆動回路25を介して第2光源モジュール12のFETドライバ12cを駆動し、FET12bをオン状態にして、直列接続された半導体レーザダイオード12aの両端子間を短絡する。さらに、スイッチング素子Q3をオフ状態にする。そして、これらの設定を施した後、スイッチング電源装置28を作動させる。
[1−3.効果等]
以上のように、本実施の形態において、スイッチング電源装置は、1次巻線と複数の巻線単位に分割された2次巻線とを備えるトランスと、1次巻線を構成要素に含む共振回路を形成する共振コンデンサと、1次巻線側に設けられた第1スイッチング素子および第2スイッチング素子と、2次巻線に誘起される電圧を巻線単位で取り出すための複数の整流ダイオードと、複数の整流ダイオードから取り出される電圧を切替えて出力する出力電圧切替回路と、負荷回路に流れる電流を検出する電流検出回路と、電流検出回路における検出結果にもとづいて出力電圧切替回路を制御する制御部と、を備える。
このスイッチング電源装置は、負荷回路に供給される電圧を検出するように構成された電圧検出回路をさらに備えていてもよい。また、制御部は、電圧検出回路における検出結果にもとづいて第1スイッチング素子および第2スイッチング素子を制御してもよい。
このスイッチング電源装置において、制御部は、電流検出回路における検出結果にもとづいて、1次巻線に供給される電圧を一時的に引き下げてもよい。
本開示における投写型映像表示装置は、光源部と、光源部に電力を供給するスイッチング電源装置と、を備える。そのスイッチング電源装置は、1次巻線と複数の巻線単位に分割された2次巻線とを備えるトランスと、1次巻線を構成要素に含む共振回路を形成する共振コンデンサと、1次巻線側に設けられた第1スイッチング素子および第2スイッチング素子と、2次巻線に誘起される電圧を巻線単位で取り出すための複数の整流ダイオードと、複数の整流ダイオードから取り出される電圧を切替えて出力する出力電圧切替回路と、光源部に流れる電流を検出する電流検出回路と、電流検出回路における検出結果にもとづいて出力電圧切替回路を制御する制御部と、を備える。
この光源部は、電気的に直列に接続された複数の半導体光源素子を有する光源モジュールを複数備えてもよい。複数の光源モジュールは、電流検出用の抵抗を間に挟んで電気的に直列に接続されてもよい。電流検出回路は、その抵抗に流れる電流を検出してもよい。
また光源モジュールのそれぞれは、直列に接続された複数の半導体光源素子の両端子間を短絡できるように構成された短絡用スイッチング素子を備えていてもよい。そして、制御部は、電流検出回路における検出結果にもとづいて短絡用スイッチング素子のそれぞれを制御してもよい。
なお、本実施の形態において、1次巻線L1は1次巻線の一例であり、2次巻線L2は2次巻線の一例である。トランスTはトランスの一例である。コンデンサCrは共振コンデンサの一例であり、励磁インダクタンスLm、漏れインダクタンスLrおよびコンデンサCrで形成される電流共振回路は、共振回路の一例である。スイッチング素子Q1は第1スイッチング素子の一例であり、スイッチング素子Q2は第2スイッチング素子の一例である。スイッチング電源装置28はスイッチング電源装置の一例である。巻線単位L21、L22、L23、L24は、複数の巻線単位の一例である。ダイオードD1、D2、D3、D4は整流ダイオードの一例である。スイッチング素子Q3は出力電圧切替回路の一例である。電流検出回路23は電流検出回路の一例である。マイクロコンピュータ21、制御回路22、および主制御部30、制御部の一例である。電圧検出回路24は電圧検出回路の一例である。光源部10は、光源部の一例であり、負荷回路の一例である。投写型映像表示装置100は投写型映像表示装置の一例である。半導体レーザダイオード11a、11bは半導体光源素子の一例である。第1光源モジュール11、第2光源モジュール12は、光源モジュールの一例である。抵抗Rは電流検出用の抵抗の一例である。FET11b、FET12bは、短絡用スイッチング素子の一例である。
一般的に、LLC方式のスイッチング電源装置は、PWM制御方式のスイッチング電源装置と比較すると、出力電圧の制御幅が狭い。そのため、LLC方式のスイッチング電源装置は、負荷変動が相対的に大きい負荷回路への電力供給源には不向きである。例えば、故障が発生した場合に、故障箇所を短絡するように負荷回路が構成されている場合、負荷回路における負荷は相対的に大きく変動する可能性がある。したがって、そのような負荷回路への電力供給源にLLC方式のスイッチング電源装置は不向きである。
例えば、本実施の形態に示した投写型映像表示装置100は、負荷回路の一例である光源部に備えられた光源モジュールにオープン故障が発生すると、電流検出回路における検出結果にもとづいて故障箇所を特定し、故障箇所を短絡するように短絡用スイッチング素子を制御する。そのため、オープン故障した箇所を避ける電流路を確保して正常な光源モジュールの発光を維持できるが、一方で、負荷回路における負荷は相対的に大きく変動する可能性がある。
しかし、本開示のスイッチング電源装置は、実施の形態1に一実施例を示したように、光源部に備えられた複数の光源モジュールの1つまたは複数がオープン故障により短絡される等して負荷回路に相対的に大きな負荷変動が生じた場合には、出力電圧切替回路の一例であるスイッチング素子Q3をオン状態からオフ状態に切り替えて出力電圧を変更するように構成されている。これにより、トランスTの2次巻線から出力される電圧を、スイッチング素子Q3がオン状態のときの出力電圧である第1出力電圧V1よりも低い第2出力電圧V2にすることができる。したがって、本開示のスイッチング電源装置は、LLC方式のスイッチング電源装置であるが、負荷回路に大きな負荷変動が生じた場合でも、所定の出力電圧に制御して安定した電力供給が可能である。
(他の実施の形態)
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施の形態1を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、変更、置き換え、付加、省略等を行った実施の形態にも適用できる。また、上記実施の形態1で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。
そこで、以下、他の実施の形態を例示する。
実施の形態1では、光源部10が、第1光源モジュール11と第2光源モジュール12の2つの光源モジュールを備える構成を説明した。しかし、本開示は何らこの構成に限定されない。光源部は、投写型映像表示装置において必要とされる光量を発生できるように、適切な数の光源モジュールを備えることが望ましい。例えば、光源部は、3つ以上の光源モジュールを備えていてもよい。なお、光源部が3つ以上の光源モジュールを備えていたとしても、電流検出用の抵抗Rは1つでよい。そのときの抵抗Rの配置位置および電流検出回路は適切に設定されることが望ましい。
実施の形態1では、トランスTの2次巻線L2が、4つの巻線単位L21、L22、L23、L24に分割されて構成される例を説明した。しかし、本開示は何らこの構成に限定されない。トランスTの2次巻線L2は、光源部が備える光源モジュールの数等に応じて、適切な数の巻線単位を備えることが望ましい。例えば、トランスTの2次巻線L2は、6つ以上の巻線単位に分割されていてもよい。また、2次巻線L2が6つ以上の巻線単位に分割される場合は、巻線単位の数に合わせて、電圧整流用のダイオードや電圧平滑用のコンデンサ等が適切に追加されることが望ましい。また、電圧出力端の数に合わせて適切に出力電圧切替回路が構成されることが望ましい。
実施の形態1では説明しなかったが、FET11bがオン状態かつFET12bがオフ状態のときに抵抗Rに電流が流れず、FET11bがオフ状態かつFET12bがオン状態のときにも抵抗Rに電流が流れなければ、マイクロコンピュータ21は、第1光源モジュール11と第2光源モジュール12の双方にオープン故障が生じている、と判断できる。その場合、マイクロコンピュータ21は、例えば、第1光源モジュール11と第2光源モジュール12の双方にオープン故障が生じていることを示すエラーメッセージを表示部(図示せず)に表示してもよい。また、このエラーメッセージは、投写型映像表示装置に備えられたLED等の点灯や点滅等で代替されてもよい。
実施の形態1では、半導体レーザダイオードのいずれかにオープン故障が生じたときに、直流電源Vinの出力電圧を一時的に下げるとしたが、本開示は何らこの動作に限定されない。例えば、マイクロコンピュータ21は、オープン故障を確認した時点で、スイッチング素子Q3をオンからオフにしてもよい。この動作によっても、負荷回路に過電流が流れるのを防止できる。
実施の形態1では、マイクロコンピュータ21と制御回路22と主制御部30とを別体とする構成例を示したが、これらの複数または全部が1つの制御部として一体化されていてもよい。あるいは、電圧検出回路24の出力が、制御回路22に直接入力されるように構成されていてもよい。あるいは、マイクロコンピュータ21が直流電源Vinの出力電圧を直接制御するように構成されていてもよい。