JP2016053603A - 積層熱可塑性樹脂フィルムの製造方法及びそれから得られる偏光板保護フィルム - Google Patents
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Abstract
Description
(I)層:非晶性熱可塑性樹脂(i)を主成分とする層
(II)層:結晶性熱可塑性樹脂(ii)を主成分とする層
条件(A):非晶性熱可塑性樹脂(i)のガラス転移温度−結晶性熱可塑性樹脂(ii)の結晶化温度≦60℃
条件(B):口金のリップギャップ/積層熱可塑性樹脂フィルムの総膜厚≦19
また、本発明の第4の発明によれば、第1〜3のいずれかの発明において、前記非晶性熱可塑性樹脂(i)が、下記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を含有するポリカーボネート樹脂であることを特徴とする積層熱可塑性樹脂フィルムの製造方法が提供される。
本発明の積層熱可塑性樹脂フィルムの製造方法で使用される(I)層は、非晶性可塑性樹脂(i)を主成分とする。ここで主成分とは、層中の成分として、好ましくは50重量%以上、より好ましくは80重量%以上、さらに好ましくは90重量%以上含むことをいう。(I)層は、単層でも、積層構成であってもよい。
ηrel=t/t0
より相対粘度ηrelを求め、 相対粘度ηrelから、下記式:
ηsp=(η−η0)/η0=ηrel−1
より比粘度ηspを求める。
比粘度ηspを濃度c(g/dl)で割って、下記式:
ηred=ηsp/c
より還元粘度(換算粘度)ηredを求める。
より具体的には、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’−(3”,4”,5”,6”−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5’−メチルフェニル]ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)]フェノールおよび2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、並びに2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−(ヘキシル)オキシ−フェノール等のヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤を好ましく使用できる。
本発明の積層熱可塑性樹脂フィルムの製造方法で使用される(II)層に使用される樹脂組成物の主成分に関しては、(I)層と剥離可能という観点のみでは、非晶性/結晶性樹脂どちらを主成分としてもかまわないが、後述する積層熱可塑性樹脂フィルムの強度やハンドリング性を良好にする観点から、結晶性熱可塑性樹脂(ii)を主成分とすることが好ましい。結晶性熱可塑性樹脂の中でもコストや剥離性、後述する積層熱可塑性樹脂フィルムのハンドリング性等の観点からポリオレフィン系樹脂、特にポリプロピレン、又はポリエチレンであることが好ましい。また(II)層に使用される樹脂組成物については、1種の樹脂を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせてもよい。また(II)層は、単層であっても、積層であってもよい。
本発明の積層熱可塑性樹脂フィルムの積層構造は、少なくとも(II)層が、口金と接する面に存在すればその層構成は特に制限されず、(II)層/(I)層あるいは、(II)層/(I)層/(II)層のような構成が挙げられる。特に、得られる積層熱可塑性樹脂フィルムの強度やカールのしにくさ、フィルムへの歪みのかかりにくさの等の観点から、(II)層/(I)層/(II)層の構成が好ましく例示される。また、この場合、(I)層の一方の面に積層される(II)層と、他方の面に積層される(II)層は、含有される樹脂やその比率、添加剤等の構成が全く同じでもよいし、異なっていてもよい。
本発明の積層熱可塑性樹脂フィルムは、(I)層と(II)層とを共押出することにより作製される。共押出としては、フィードブロック法や、マルチマニホールド法等の、任意の適切な方法が採用され得る。フィードブロック法の具体的な手順の一例は以下の通りである: まず、2台の押出機と共押出用のTダイとを、フィードブロック等を介して接続する。押出機の形式としては、任意の適切な形式が採用され得る。例えば、単軸スクリュータイプの押出機を用いてもよく、2軸スクリュータイプの押出機を用いてもよい。一方の押出機に(I)層に使用する樹脂を供給し、溶融混練する。同様に、他方の押出機に(II)層に使用する樹脂を供給し、溶融混練する。押出機の設定温度(溶融温度)、混練時間、スクリュー速度等は、使用される樹脂の種類等に応じて適宜設定され得る。例えば、前述したポリカーボネート樹脂の溶融温度は、代表的には200〜300℃であり、好ましくは220〜260℃である。また例えば、前述したポリプロピレンやポリエチレンの溶融温度は、代表的には100〜300℃であり、好ましくは150〜260℃である。必要に応じて、使用する樹脂に任意の適切な添加剤(例えば、可塑剤、酸化防止剤、加工助剤、紫外線吸収剤、耐候安定剤)が添加され得る。次に、押出機にて溶融された(I)層および(II)層に使用する樹脂を、それぞれの溶融樹脂供給路からフィードブロックを介してTダイに供給する。このとき、前述したとおり、(II)層は、必ずTダイと接する面に供給する。Tダイの温度もまた、使用される(I)層および(II)層に使用する樹脂の種類等に応じて適宜設定され得る。前述したポリカーボネート樹脂およびポリエチレン、ポリプロピレンを用いた場合、Tダイ温度は、代表的には200〜300℃であり、好ましくは240〜260℃である。Tダイにおいて(I)層および(II)層に使用する樹脂を積層しながら押し出し、冷却(例えば、水冷)して引き取ることにより、(I)層および(II)層を有する積層熱可塑性樹脂フィルムが得られる。(I)層および(II)層の厚みは、フィードブロックの分割比や、押出量等を調整することにより、適切に制御され得る。
上記範囲であることで、結果として本発明の目的である光学異方性が非常に小さいフィルムが得られる。その原理については定かではないが、後述する積層熱可塑性樹脂フィルム製造の際、口金から押し出された直後の溶融状態から、(II)層がなるべく早く結晶化によって固定された方が、フィルムの引き落としや、引き取りなどにより(I)層にかかる歪みが低減され、光学的に等方性になりやすいと考えられる。「非晶性熱可塑性樹脂(i)のガラス転移温度−結晶性熱可塑性樹脂(ii)の結晶化温度」は、60℃以下であるが、50℃以下がより好ましく、40℃以下がさらに好ましい。
リップギャップと積層熱可塑性樹脂フィルムの総膜厚が上記条件を満たすことで、口金から出たあと、所望の膜厚になるまでの変形歪みが低減でき、結果として本発明の目的である光学異方性が非常に小さいフィルムが得られる。口金のリップギャップ/積層熱可塑性樹脂フィルムの総膜厚は、より好ましくは16以下であり、更にこのましくは、14以下である。また、口金のリップギャップ/積層熱可塑性樹脂フィルムの総膜厚の下限については、特に制限されないが、生産性の観点から、1.0より大きいことが好ましく、1.5以上であることがより好ましく、2.0以上であることが更に好ましい。
本発明の積層熱可塑性樹脂フィルムから(II)層を少なくとも1層以上剥離することにより、本発明の目的の、薄膜かつ光学異方性が非常に小さいフィルムが得られる。このフィルムは、光学フィルム、特に、軽量・薄膜な偏光板用の偏光板保護フィルムとして適している。ここで、本発明の偏光板保護フィルムは、最終的に液晶表示装置に組み込まれて使用されるときは(II)層をすべて剥離して使用されることが望ましいが、それまでは、ハンドリング性や(I)層への異物付着抑制の観点から、片面あるいは両面に、(II)層が積層された状態で扱われることが好ましい。
本発明の偏光板は、本発明の積層熱可塑性樹脂フィルムの(I)層が、偏光子の片面あるいは両面に貼りあわされてなる。ここで、本発明の積層熱可塑性樹脂フィルムの構成が、(II)層/(I)層/(II)層の場合、片面の(II)層のみ剥がされた状態で偏光子と貼りあわされ、その後もう片面の(II)層を剥離してもよいし、両面とも(II)層を剥離してから偏光子と貼りあわされてもよいが、前者の方が、フィルムの剛性やハンドリング性の観点から好ましい。また、本発明の積層熱可塑性樹脂フィルムの構成が、(II)層/(I)層の場合、(II)層が積層されていない面と偏光子とを貼り合せてから、(II)層を剥離してもよいし、(II)層を剥離してから偏光子と貼りあわされてもよいが、前者の方が、フィルムの剛性やハンドリング性の観点から好ましい。
また、(I)層/偏光子を接着するための接着剤は、特に制限されず、水系接着剤、UV硬化系接着剤等が適宜選択できる。
本発明の偏光板保護フィルムを備える偏光板は、TN型、STN型、OCB型、HAN型、VA型、IPS型などの各種の駆動方式を有する液晶表示装置に使用できるが、本発明の偏光板保護フィルムの光学異方性が非常に小さい点から、IPS型の駆動方式を有する液晶表示装置に、特に適する。
本実施例に用いた材料、および、作製したフィルムの評価は、以下の方法で行った。
(結晶化温度(Tc)、融点(Tm)、ガラス転移温度(Tg))
示差走査熱量計((株)パーキンエルマー社製、商品名:Pyris1 DSC)を用いて、JIS K7122に準じて、本実施例に用いた材料約10mgを加熱速度10℃/分で室温から250℃まで昇温し、250℃で5分間保持した後、冷却速度10℃/分で室温まで降温した時に測定されたサーモグラムから、発熱ピーク温度を結晶化温度(Tc)として読みとった。また、これを再度加熱速度10℃/分で250℃まで昇温した時に測定されたサーモグラムから、吸熱ピーク温度を融点(Tm)として読みとった。また、同じく再度昇温した時のサーモグラムから、ガラス転移温度(Tg)を読み取った。
(面内位相差(RO)および厚み位相差(Rth))
実施例1〜6については作製した積層熱可塑性樹脂フィルムから(II)層をすべて剥離し、評価用サンプルとした。比較例1については、作製した単層フィルムをそのまま評価用サンプルとした。これら評価用サンプルを、位相差測定装置(王子計測社製、商品名:KOBRA)を用いて測定した。測定結果から、以下のように評価した。
(◎):RO、Rthの絶対値が5nm以下
(○):RO、Rthの絶対値が5nmより大きく、10nm以下
(×):RO、Rthの絶対値が10nmより大きい
(全光線透過率)
実施例1〜6については、作製した積層熱可塑性樹脂フィルムから(II)層をすべて剥離し、評価用サンプルとした。比較例1については、作製した単層フィルムをそのまま評価用サンプルとした。JIS K7105に準じて、ヘーズメーター(日本電色工業(株)社製、商品名:NDH−5000)を用いて、全光線透過率を測定した。
(引張伸びおよび引張最大強度)
実施例1〜6については、作製した積層熱可塑性樹脂フィルムから(II)層をすべて剥離し、MDおよびTDにそれぞれ幅6mmで切り出し、評価用サンプルとした。比較例1については、作製した単層フィルムからMDおよびTDにそれぞれ幅6mmで切り出し、評価用サンプルとした。JIS K7161に準じて、評価用サンプルを試験速度200mm/分で引張試験を行い、その時の伸びおよび引張最大強度を測定し、以下の基準で評価した。
(引裂強度)
実施例1〜6については、作製した積層熱可塑性樹脂フィルムから(II)層を剥離し、評価用サンプルとした。比較例1については、作製した単層フィルムをそのまま評価用サンプルとした。JIS K7128−2に準じて、MDおよびTDの引裂強度を評価した。以下の基準で評価した。
(構成材料)
以下に、本発明の積層シートを作製する際に用いた構成材料を例示する。
非晶性熱可塑性樹脂(i)
・ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を含有するポリカーボネート樹脂(三菱化学(株)製、商品名DURABIO T7450A、Tg:132℃、イソソルバイド構造単位62モル%、トリシクロデカンジメタノール構造単位38モル%)
(II)層用の材料として、以下を用いた。
結晶性熱可塑性樹脂(ii)
・PP(1)(日本ポリプロ(株)製、商品名ノバテックPP MG03B、Tm:155℃、Tc:121℃)
・PP(2)(日本ポリプロ(株)製、商品名ノバテックPP FG3DC、Tm:148℃、Tc:105℃)
・HDPE(日本ポリエチレン(株)製、商品名ノバテックHD HF560、Tm:135℃、Tc:118℃)
・LLDPE(プライムポリマー(株)製、商品名エボリューP SP9048、Tm:84℃、Tc:64℃)
[実施例1]
(I)層用の材料として上記ポリカーボネート樹脂(三菱化学(株)製、商品名DURABIO T7450A)、(II)層用の材料としてPP(1)を、それぞれ、φ65mm単軸押出機、φ40mm単軸押出機に投入し、それぞれ220〜240℃、および、180℃〜240℃のバレル設定温度にて溶融混練し、フィードブロックおよび幅1350mm、リップギャップ0.7mmの口金(設定温度240℃)から共押出したのち、65℃に温調されたキャストロールにて巻き取り、(II)層/(I)層/(II)層の構成の積層熱可塑性樹脂フィルム(各層の厚み15μm)を作製した。
[実施例2]
(II)層用の材料をPP(2)に変更した以外は、実施例1と同様にして、積層熱可塑性樹脂フィルムを作製した。
[実施例3]
(II)層の厚みを20μmにした以外は、実施例2と同様にして、積層熱可塑性樹脂フィルムを作製した。
[実施例4]
(II)層の材料をHDPEに変更し、バレル設定温度を180℃〜250℃にし、キャスト温度を85℃にし、(I)層の厚みを20μmにした以外は、実施例3と同様にして、積層熱可塑性樹脂フィルムを作製した。
[実施例5]
(II)層の厚みを10μmにした以外は、実施例2と同様にして、積層熱可塑性樹脂フィルムを作製した。
[実施例6]
(II)層用の材料をLLDPEに変更し、各層の厚みを20μmにした以外は、実施例1と同様にして、積層熱可塑性樹脂フィルムを作製した。
[比較例1]
(I)層用の材料をφ65mm単軸押出機に投入し、220〜240℃のバレル設定温度にて溶融混練し、幅1350mm、リップギャップ0.5mmの口金(設定温度240℃)から押出したのち、100℃に温調されたキャストロールにて巻き取り、(I)層のみの単層フィルム(厚み20μm)を作製した。
Claims (10)
- 下記(I)層と下記(II)層とを、(II)層は口金と接する面に存在するように共押出し、(I)層と(II)層とが剥離可能であり、(II)層を剥離したあとの(I)層が膜厚50μm以下かつ面内位相差(RO)及び厚み位相差(Rth)が10nm以下であることを特徴とする、積層熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
(I)層:非晶性熱可塑性樹脂(i)を主成分とする層
(II)層:結晶性熱可塑性樹脂(ii)を主成分とする層 - 前記非晶性熱可塑性樹脂(i)及び結晶性熱可塑性樹脂(ii)が下記の条件(A)を満たすことを特徴とする、請求項1に記載の積層熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
条件(A):非晶性熱可塑性樹脂(i)のガラス転移温度−結晶性熱可塑性樹脂(ii)の結晶化温度≦60℃ - 前記(I)層と(II)層を下記の条件(B)を満たすように共押出することを特徴とする、請求項1又は2に記載の積層熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
条件(B):口金のリップギャップ/積層熱可塑性樹脂フィルムの総膜厚≦19 - 前記結晶性熱可塑性樹脂(ii)が、ポリエチレン、ポリプロピレンから選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の積層熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法により得られる積層熱可塑性樹脂フィルム。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法により得られる積層熱可塑性樹脂フィルムから、前記(II)層を少なくとも1層以上剥離してなる偏光板保護フィルム。
- 請求項7又は8に記載のフィルムを用いて作製された偏光板。
- 請求項9に記載の偏光板が設けられた液晶表示装置。
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