JP7020486B2 - 積層フィルム - Google Patents

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Description

本発明は、積層フィルムに関する。
液晶表示装置などの表示装置に含まれる部材表面を保護するために、部材表面に保護フィルムが設けられることがある。例えば、液晶表示装置では、視認側又はバックライト側に配置される偏光子の表面に、保護フィルムが設けられることがある。
このような保護フィルムとして、中間層の両側に表面層が積層されている3層構造を有する積層フィルムが提案されている(例えば、特許文献1及び2参照)。
また、有機エレクトロルミネッセンス表示装置(有機EL表示装置)では、視認側に配置される透明部材の表面に保護フィルムが設けられることがある。
特開2015-031753号公報 特開2011-203400号公報
積層フィルムを保護フィルムとして用いるためには、部材を保護すべく、少なくとも積層フィルムの表面硬度が大きいフィルムであることが求められる。
また、保護する部材の大きさに合わせて積層フィルムを切断する必要もある。
フィルムを切断する方法としては、例えば、ナイフを用いた機械的切断方法、及びレーザー光を用いたレーザー切断方法が挙げられる。しかし、機械的切断では、目に見えない傷をフィルムに生じさせる場合がある。
従って、表面硬度が大きく、且つレーザー切断方法により円滑に切断できる積層フィルムが求められている。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、各層における、所定の波長領域の光の平均吸収率が、所定の関係にあり、スキン層を形成する樹脂のガラス転移温度が所定の範囲である積層フィルムが、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明は、下記を提供する。
[1] 熱可塑性樹脂S1で形成された第1スキン層、熱可塑性樹脂Cで形成されたコア層、及び熱可塑性樹脂S2で形成された第2スキン層を、この順に含み、
前記第1スキン層、前記コア層及び前記第2スキン層は、式:
>As1
>As2
を満たし、ここで
は、前記コア層における、9μm以上11μm以下の波長領域の光の平均吸収率であり、
s1は、前記第1スキン層における9μm以上11μm以下の波長領域の光の平均吸収率であり、
s2は、前記第2スキン層における9μm以上11μm以下の波長領域の光の平均吸収率であり、
前記熱可塑性樹脂S1のガラス転移温度Tg(s1)が、150℃以上であり、
前記熱可塑性樹脂S2のガラス転移温度Tg(s2)が、150℃以上であり、
波長380nmの紫外線透過率が10%以下である、積層フィルム。
[2] 前記熱可塑性樹脂S1は、厚さ100μmのフィルムとして測定された押込弾性率が2300MPa以上であり、
前記熱可塑性樹脂S2は、厚さ100μmのフィルムとして測定された押込弾性率が2300MPa以上である、[1]に記載の積層フィルム。
[3] 水蒸気透過率が、10g/(m・day)以下である、[1]又は[2]に記載の積層フィルム。
[4] 前記熱可塑性樹脂S1が、脂環式構造を含有する重合体を含み、
前記熱可塑性樹脂S2が、脂環式構造を含有する重合体を含む、[1]~[3]のいずれか1項に記載の積層フィルム。
[5] 前記熱可塑性樹脂Cが、脂環式構造を含有する重合体を含む、[1]~[4]のいずれか1項に記載の積層フィルム。
本発明によれば、表面硬度が大きく、且つレーザー切断方法により円滑に切断できる積層フィルムを提供できる。
図1は、本発明の一実施形態に係る積層フィルムを模式的に示す断面図である。
以下、本発明について実施形態及び例示物を示して詳細に説明する。ただし、本発明は以下に示す実施形態及び例示物に限定されるものではなく、請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施し得る。
[1.積層フィルムの概要]
図1は、本発明の一実施形態に係る積層フィルムを模式的に示す断面図である。
図1に示すように、本実施形態の積層フィルム100は、第1スキン層110、コア層120及び第2スキン層130を、積層フィルム100の厚み方向においてこの順に含む。通常、第1スキン層110とコア層120とは、間に他の層を介することなく直に接しており、コア層120と第2スキン層130とは、間に他の層を介することなく直に接している。
第1スキン層110は、熱可塑性樹脂S1で形成されている。また、コア層120は、熱可塑性樹脂Cで形成されている。更に、第2スキン層130は、熱可塑性樹脂S2で形成されている。
[2.コア層]
コア層は、第1スキン層及び前記第2スキン層との関係において、下記式を満たす。
>As1
>As2
ここで、Aは、前記コア層における、9μm以上11μm以下の波長領域の光の平均吸収率であり、As1は、前記第1スキン層における9μm以上11μm以下の波長領域の光の平均吸収率であり、As2は、前記第2スキン層における9μm以上11μm以下の波長領域の光の平均吸収率である。
即ち、コア層は、9μm以上11μm以下の波長領域の光の平均吸収率Aが、第1スキン層における9μm以上11μm以下の波長領域の光の平均吸収率As1より大きく、且つ第2スキン層における9μm以上11μm以下の波長領域の光の平均吸収率As2より大きい。
一般に、工業的にはレーザー光として赤外線レーザー光を用いることが多い。ここで、赤外線レーザー光とは、760nm以上1mm未満の赤外線範囲の波長を有するレーザー光をいう。特に、赤外線レーザー光としては、切断面の割れ及び欠けが少なく、作業性が良好であるので、9μm以上11μm以下の範囲に波長を有するCOレーザー光が広く用いられている。
コア層の平均吸収率Aを、第1スキン層の平均吸収率As1及び第2スキン層の平均吸収率As2よりも大きくすることで、波長9μm以上11μm以下のレーザー光(特に、COレーザー光)による積層フィルムの切断を円滑に行うことができる。具体的には、レーザーのエネルギーがコア層に吸収されることにより熱を生じ、かかる熱が第1スキン層及び第2スキン層に伝達することにより、積層フィルムの切断が促進される。
コア層の平均吸収率Aは、好ましくは0.2以上、より好ましくは0.25以上とし得る。コア層の平均吸収率Aの上限は特に限定されないが、例えば4.0以下とし得る。一方、第1スキン層の平均吸収率As1及び第2スキン層の平均吸収率As2は、例えばそれぞれ0.02~0.15とし得る。
本願において、ある層の光の吸収率とは、当該層に入射した光が当該層を通過して出射した場合における、入射した光の強度に対する、当該層を通過することにより減衰した強度の割合である。本願では、当該割合は、入射した光の強度を1とした相対値で表す。平均吸収率は、例えば測定装置としてNICOLET iS5(サーモフィッシャサイエンティフィック社)を用いて、透過法にて、検出器DTGS KBr、分解能4cm-1、積算回数16回にて測定を行い、9μm以上11μm以下の波長領域の吸収率の平均値を求めることにより得られる。
コア層の平均吸収率Aを、第1スキン層の平均吸収率As1よりも大きくすることは、例えば、コア層を形成する熱可塑性樹脂Cを、レーザー吸収剤を含む樹脂とし、第1スキン層を形成する熱可塑性樹脂S1を、レーザー吸収剤を含まない樹脂とすることにより実現できる。また、コア層の平均吸収率Aを、第2スキン層の平均吸収率As2よりも大きくすることは、例えば、コア層を形成する熱可塑性樹脂Cを、レーザー吸収剤を含む樹脂とし、第2スキン層を形成する熱可塑性樹脂S2を、レーザー吸収剤を含まない樹脂とすることにより実現できる。
レーザー吸収剤としては、波長が9μm以上11μm以下の範囲であるレーザー光を吸収可能な化合物を用いることが好ましい。
工業的に汎用されるCOレーザー光には、波長が10.6μmのものと、波長が9.4μmのものがある。そのため、レーザー吸収剤としては、波長9.4μm及び10.6μmに吸収極大を有する化合物を用いることが好ましい。
好ましいレーザー吸収剤としては、エステル化合物が挙げられる。エステル化合物は、通常、極性を有する化合物であり、波長が9μm以上11μm以下の範囲であるレーザー光を効果的に吸収することができる。エステル化合物としては、例えば、リン酸エステル化合物、カルボン酸エステル化合物、フタル酸エステル化合物、及びアジピン酸エステル化合物が挙げられる。中でも、COレーザー光を特に効率良く吸収できるようにする観点から、カルボン酸エステル化合物が好ましい。
上述したエステル化合物の中でも、分子中に芳香環を含むエステル化合物が好ましく、この芳香環にエステル結合が結合しているエステル化合物が特に好ましい。このようなエステル化合物は、レーザー光をより効率良く吸収できる。したがって、上述したエステル化合物の中でも、芳香族カルボン酸エステルが好ましく、中でもレーザー光の吸収効率に優れることからジエチレングリコールジベンゾエート及びペンタエリスリトールテトラベンゾエート等の安息香酸エステルが特に好ましい。
このようなエステル化合物としては、例えば、国際公開第2016/31776号に記載のものが挙げられる。
熱可塑性樹脂Cは、レーザー吸収剤を、1種単独で含んでいてもよく、2種以上の任意の比率の組み合わせとして含んでいてもよい。
レーザー吸収剤の分子量は、好ましくは300以上、より好ましくは400以上、更に好ましくは500以上であり、好ましくは2200以下、より好ましくは1800以下、更に好ましくは1400以下である。レーザー吸収剤の分子量を前記範囲の下限値以上にすることにより、レーザー吸収剤のブリードアウトを抑制することができる。また、上限値以下にすることにより、レーザー吸収剤を可塑剤として機能し易くさせることができ、更に熱がかかってからのレーザー吸収剤の分子の動き出しを早くできるので、積層フィルムの切断を容易にすることができる。
レーザー吸収剤の融点は、好ましくは20℃以上、より好ましくは60℃以上、更に好ましくは100℃以上であり、好ましくは180℃以下、より好ましくは150℃以下、更に好ましくは120℃以下である。レーザー吸収剤の融点を前記範囲の下限値以上にすることにより、レーザー吸収剤のブリードアウトを抑制することができる。また、上限値以下にすることにより、レーザー吸収剤を可塑剤として機能し易くさせることができ、更に熱がかかってからのレーザー吸収剤の分子の動き出しを早くできるので、積層フィルムの切断を容易にすることができる。
熱可塑性樹脂Cにおけるレーザー吸収剤の含有量は、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは1重量%以上、更に好ましくは2重量%以上であり、好ましくは10重量%以下、より好ましくは9重量%以下、更に好ましくは8重量%以下である。
コア層を形成する熱可塑性樹脂Cは、好ましくはUVカット剤を含む。熱可塑性樹脂CにUVカット剤を含有させることにより、積層フィルムの波長380nmにおける紫外線透過率を、低くできる。また、コア層に含まれるUVカット剤は、第1スキン層及び第2スキン層によって移動が妨げられる。よって、熱可塑性樹脂CがUVカット剤を含んでいても、積層フィルムでは、UVカット剤のブリードアウトが抑制される。したがって、コア層におけるUVカット剤の濃度を高めたり、UVカット剤の種類の選択の幅を広げたりできるので、積層フィルムの厚みが薄くても、紫外線の透過抑制能力を高めることができる。
UVカット剤としては、有機化合物としての有機UVカット剤を用いることが好ましい。これにより、可視波長における光線透過率を高めたり、ヘイズを小さくしたりできるので、積層フィルムを表示装置に用いた場合に、表示装置の表示性能を良好にできる。
有機UVカット剤としては、例えば、トリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、アクリロニトリル系紫外線吸収剤、サリシレート系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、アゾメチン系紫外線吸収剤、インドール系紫外線吸収剤、ナフタルイミド系紫外線吸収剤、フタロシアニン系紫外線吸収剤等の、有機紫外線吸収剤が挙げられる。中でも、波長300nm以上380nm以下に紫外線吸収極大λmaxを有し、波長400nm以上の可視光の吸収が少ないものとして、トリアジン系紫外線吸収剤が好ましい。トリアジン系紫外線吸収剤としては、例えば、1,3,5-トリアジン環を有する化合物が好ましい。トリアジン系紫外線吸収剤の具体例としては、2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-[(へキシル)オキシ]-フェノール、及び2,4-ビス(2-ヒドロキシ-4-ブトキシフェニル)-6-(2,4-ジブトキシフェニル)-1,3,5-トリアジンが挙げられる。このようなトリアジン系紫外線吸収剤の市販品としては、例えば、チバスペシャリティーケミカルズ社製「チヌビン1577」、ADEKA社製「LA-F70」、「LA-46」などが挙げられる。紫外線吸収極大λmaxを300nm以上380nm以下とすることで、紫外線を効果的に吸収することができる。更に、紫外線吸収極大λmaxを380nm以下とすることで、積層フィルムの可視光における透過率を向上させることができる。
また、有機UVカット剤として、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤も好ましい。ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の市販品としては、例えば、ADEKA社製「LA-31」が挙げられる。
UVカット剤としては、分子量は400以上であるものが好ましい。更に、UVカット剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。紫外線吸収剤等のUVカット剤の例としては、例えば、特開2017-68227号公報に記載のものが挙げられる。
熱可塑性樹脂CにおけるUVカット剤の量は、好ましくは3重量%以上、より好ましくは4重量%以上、更に好ましくは5重量%以上であり、好ましくは20重量%以下、より好ましくは18重量%以下、更に好ましくは16重量%以下である。UVカット剤の量が、前記範囲の下限値以上であると、積層フィルムが高い紫外線遮断能力を有することができる。また、UVカット剤の量が、前記範囲の上限値以下であると、積層フィルムの可視波長での光線透過率を高くし易く、更に、積層フィルムの製造時にUVカット剤による樹脂のゲル化を抑制できる。
熱可塑性樹脂Cは、UVカット剤を、1種単独で含んでいてもよく、2種以上の任意の比率の組み合わせとして含んでいてもよい。
コア層を形成する熱可塑性樹脂Cは、通常、熱可塑性の重合体を含む。
前記の重合体の種類は、任意である。中でも、機械特性、耐熱性、透明性、低吸湿性、寸法安定性及び軽量性に優れることから、脂環式構造を含有する重合体が好ましい。重合体は、非晶性でもよいし、結晶性であってもよい。耐熱性の観点からは結晶性の重合体が好ましい。脂環式構造を含有する重合体は、例えば、(1)ノルボルネン系重合体、(2)単環の環状オレフィン重合体、(3)環状共役ジエン重合体、(4)ビニル脂環式炭化水素重合体などが挙げられる。これらの中でも、透明性及び成形性の観点から、ノルボルネン系重合体がより好ましい。
ノルボルネン系重合体としては、例えば、ノルボルネン構造を含有するモノマーの開環重合体、ノルボルネン構造を含有するモノマーと開環共重合可能なその他のモノマーとの開環共重合体、及びそれらの水素化物;ノルボルネン構造を含有するモノマーの付加重合体、ノルボルネン構造を含有するモノマーと共重合可能なその他のモノマーとの付加共重合体などが挙げられる。これらの中でも、透明性の観点から、ノルボルネン構造を含有するモノマーの開環重合体水素化物が特に好ましい。
上記の脂環式構造を含有する重合体は、例えば特開2002-321302号公報に開示されている重合体から選択され得る。
脂環式構造を含有する重合体を含む樹脂としては、様々な商品が市販されているので、それらのうち、所望の特性を有するものを適宜選択し、使用できる。かかる市販品の例としては、商品名「ZEONOR」(日本ゼオン社製)、「アートン」(JSR社製)、「アペル」(三井化学社製)、「TOPAS」(ポリプラスチック社製)の製品群が挙げられる。
熱可塑性樹脂Cが含む重合体としては、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
重合体の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは10,000以上、より好ましくは15,000以上、特に好ましくは20,000以上であり、好ましくは100,000以下、より好ましくは80,000以下、特に好ましくは50,000以下である。重量平均分子量がこのような範囲にあるときに、この重合体を含む層の機械的強度および成型加工性が高度にバランスされる。
重合体の分子量分布(Mw/Mn)は、好ましくは1.2以上、より好ましくは1.5以上、特に好ましくは1.8以上であり、好ましくは3.5以下、より好ましくは3.0以下、特に好ましくは2.7以下である。ここで、Mnは、数平均分子量を表す。分子量分布を前記範囲の下限値以上にすることにより、重合体の生産性を高め、製造コストを抑制できる。また、上限値以下にすることにより、低分子成分の量が小さくなるので、高温曝露時の緩和を抑制して、その重合体を含む層の安定性を高めることができる。
前記の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、溶媒としてシクロヘキサン、又は試料がシクロヘキサンに溶解しない場合にはトルエンを用いた、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーにより、ポリイソプレン又はポリスチレン換算の重量平均分子量として測定できる。
熱可塑性樹脂Cのガラス転移温度Tg(c)は、好ましくは100℃以上、より好ましくは110℃以上、特に好ましくは120℃以上であり、好ましくは190℃以下、より好ましくは180℃以下、特に好ましくは170℃以下である。ガラス転移温度Tg(c)が、前記範囲の下限値以上であることにより積層フィルムの耐熱性を向上させることができ、前記範囲の上限値以下であることによりフィッシュアイを効果的に抑制できる。
コア層を形成する熱可塑性樹脂Cにおける重合体の量は、好ましくは80.0重量%以上、より好ましくは82.0重量%以上、特に好ましくは84.0重量%以上であり、好ましくは97.0重量%以下、より好ましくは96.0重量%以下、特に好ましくは95.0重量%以下である。重合体の量を前記範囲に収めることにより、上述した重合体の利点を効果的に発揮できる。
熱可塑性樹脂Cは、重合体、レーザー吸収剤、及びUVカット剤に組み合わせて、更に任意の成分を含んでいてもよい。任意の成分としては、例えば、顔料、染料等の着色剤;可塑剤;蛍光増白剤;分散剤;熱安定剤;光安定剤;帯電防止剤;酸化防止剤;界面活性剤;等が挙げられる。
任意の成分は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
コア層の厚みdは、第1スキン層と第2スキン層の合計厚みds1+ds2に対するコア層dの厚みの比d/(ds1+ds2)が、所定の範囲に収まるように設定されることが好ましい。具体的には、前記の厚み比d/(ds1+ds2)は、好ましくは1.0以下、より好ましくは0.95以下、特に好ましくは0.90以下であり、好ましくは0.30以上、より好ましくは0.35以上、特に好ましくは0.40以上である。厚み比d/(ds1+ds2)が、前記範囲の上限値以下であることにより、コア層に対して第1スキン層及び第2スキン層を相対的に厚くできるので、コア層に含まれ得るUVカット剤、レーザー吸収剤等の任意の成分のブリードアウトを効果的に抑制できる。また、厚み比d/(ds1+ds2)が、前記範囲の下限値以上であることにより、レーザー光により積層フィルムを更に円滑に切断することができる。
前記の厚み比d/(ds1+ds2)は、後述する実施例に記載のように、透過率から計算によって求めてもよい。また、厚み比d/(ds1+ds2)は、積層フィルムをスライスし、そのスライスにより現れた断面を顕微鏡で観察して積層フィルムに含まれる各層の厚みを測定して、求めてもよい。
[3.第1スキン層]
第1スキン層は、熱可塑性樹脂S1で形成されている。そして、熱可塑性樹脂S1のガラス転移温度Tg(s1)は、通常150℃以上、好ましくは155℃以上、より好ましくは160℃以上である。ガラス転移温度Tg(s1)が前記の下限値以上であることにより、熱可塑性樹脂S1の熱によるゲル化を抑制できる。また、積層フィルムの耐熱性を高めることができる。熱可塑性樹脂S1のガラス転移温度Tg(s1)の上限は、熱可塑性樹脂S1の入手を容易にする観点から、好ましくは200℃以下、より好ましくは190℃以下、更に好ましくは180℃以下である。
熱可塑性樹脂S1は、熱可塑性の重合体を含む。
熱可塑性樹脂S1に含まれる重合体の種類は、任意である。中でも、脂環式構造を含有する重合体が好ましく、ノルボルネン系重合体が特に好ましい。これにより、コア層の項において説明したのと同じ利点を得ることができる。更に、コア層を形成する熱可塑性樹脂Cと第1スキン層を形成する熱可塑性樹脂S1の両方としてノルボルネン系重合体を用いることにより、コア層と第1スキン層との接着強度を高めたり、コア層と第1スキン層との界面での反射を抑制したりし易い。また、熱可塑性樹脂S1は、重合体を、1種単独で含んでいてもよく、2種以上の任意の比率の組み合わせとして含んでいてもよい。
熱可塑性樹脂S1に含まれる重合体の重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)は、コア層を形成する熱可塑性樹脂Cに含まれる重合体の重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)の範囲として説明された範囲と同じ範囲に収まることが好ましい。これにより、コア層の項において説明したのと同じ利点を得ることができる。
第1スキン層を形成する熱可塑性樹脂S1における重合体の量は、好ましくは90.0重量%~100重量%、より好ましくは95.0重量%~100重量%である。重合体の量を前記範囲に収めることにより、上述した重合体の利点を効果的に発揮できる。
熱可塑性樹脂S1は、重合体に組み合わせて、重合体以外の任意の成分を含んでいてもよい。任意の成分としては、コア層を形成する熱可塑性樹脂Cが含み得る成分として挙げた成分と同じ成分が挙げられる。また、熱可塑性樹脂S1は、任意の成分を、1種単独で含んでいてもよく、2種以上の任意の比率の組み合わせとして含んでいてもよい。ただし、UVカット剤、レーザー吸収剤等の、任意の成分のブリードアウトを抑制する観点では、熱可塑性樹脂S1は、熱可塑性樹脂Cよりも任意の成分の含有率が低いことが好ましく、任意の成分の総含有率が2%未満であることがより好ましく、任意の成分を含まないことが更に好ましい。具体的には、熱可塑性樹脂S1は、UVカット剤の含有率が1%未満であることが好ましく、レーザー吸収剤の含有率が1%未満であることが好ましく、UVカット剤及びレーザー吸収剤を含まないことがより好ましい。
熱可塑性樹脂S1は、厚さ100μmのフィルムとして測定された押込弾性率が、好ましくは2300MPa以上、より好ましくは2350MPa以上、更に好ましくは2500MPa以上であり、好ましくは4500MPa以下、より好ましくは3500MPa以下、更に好ましくは3000MPa以下である。この押込弾性率が下限値以上であることにより、熱可塑性樹脂S1で形成された第1スキン層の剛性ひいては積層フィルムの剛性を十分に優れたものとすることができ、上限値以下であることにより第1スキン層の可撓性を確保することができる。押込弾性率は、市販の押込弾性率試験機を用いて測定可能であり、具体的には実施例中の評価項目の欄に記載したように測定し得る。
第1スキン層の厚みds1は、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは1μm以上、特に好ましくは10μm以上であり、好ましくは100μm以下、より好ましくは50μm以下、特に好ましくは30μm以下である。第1スキン層の厚みds1が、前記範囲の下限値以上であることにより、コア層に含まれ得るUVカット剤、レーザー吸収剤等の任意の成分のブリードアウトを効果的に抑制できる。また、第1スキン層の厚みds1が、前記範囲の上限値以下であることにより、積層フィルムを薄くできる。
[4.第2スキン層]
第2スキン層は、熱可塑性樹脂S2で形成されている。そして、熱可塑性樹脂S2のガラス転移温度Tg(s2)は、通常150℃以上である。中でも、熱可塑性樹脂S2のガラス転移温度Tg(s2)は、第1スキン層を形成する熱可塑性樹脂S1のガラス転移温度Tg(s1)の範囲として説明された範囲と同じ範囲に収まることが好ましい。ガラス転移温度Tg(s2)が前記の範囲に収まることにより、第1スキン層の項で説明したのと同じ利点を得ることができる。
第2スキン層を形成する熱可塑性樹脂S2としては、ガラス転移温度Tg(s2)が150℃以上である範囲で任意の樹脂を用いることができる。熱可塑性樹脂S2としては、第1スキン層を形成する熱可塑性樹脂S1として説明した熱可塑性樹脂の範囲から選択される任意の熱可塑性樹脂を用いることができる。したがって、熱可塑性樹脂S2が含む成分の種類及び量は、熱可塑性樹脂S2が含む成分の種類及び量として説明した範囲から選択して適用できる。これにより、第1スキン層の項で説明したのと同じ利点を得ることができる。熱可塑性樹脂S2は、脂環式構造を含有する重合体を含むことが好ましい。
熱可塑性樹脂S2は、厚さ100μmのフィルムとして測定された押込弾性率が、好ましくは2300MPa以上、より好ましくは2350MPa以上、更に好ましくは2500MPa以上であり、好ましくは4500MPa以下、より好ましくは3500MPa以下、更に好ましくは3000MPa以下である。この押込弾性率が下限値以上であることにより、熱可塑性樹脂S2で形成された第2スキン層の剛性ひいては積層フィルムの剛性を十分に優れたものとすることができ、上限値以下であることにより第2スキン層の可撓性を確保することができる。
第2スキン層を形成する熱可塑性樹脂S2は、第1スキン層を形成する熱可塑性樹脂S1と異なる樹脂であってもよく、同一の樹脂であってもよい。中でも、熱可塑性樹脂S1及び熱可塑性樹脂S2として同一の樹脂を用いることが好ましい。熱可塑性樹脂S1及び熱可塑性樹脂S2として同一の樹脂を用いることにより、積層フィルムの製造コストを抑制したり、積層フィルムのカールを抑制したりできる。
第2スキン層の厚みds2は、第1スキン層の厚みds1の範囲として説明した範囲から選択される任意の厚みであってよい。これにより、第1スキン層の項で説明したのと同じ利点を得ることができる。中でも、積層フィルムのカールを抑制するためには、第2スキン層の厚みds2は、第1スキン層の厚みds1と同一にすることが好ましい。
[5.任意の層]
積層フィルムは、必要に応じて、上述したコア層、第1スキン層及び第2スキン層以外の任意の層を備え得る。任意の層としては、例えば、易接着層、粘着層、接着層、ハードコート層、インデックスマッチング層、反射防止層、マスキング層、光学異方性層、保護層などを挙げることができる。
[6.積層フィルムの厚み及び特性]
(厚み)
積層フィルムの厚みDは、好ましくは20μm以上、より好ましくは22μm以上、更に好ましくは25μm以上であり、好ましくは60μm以下、より好ましくは58μm以下、更に好ましくは56μm以下である。積層フィルムの厚みDが、前記の下限値以上であることにより、高い機械的強度を得ることができる。また、積層フィルムの厚みDが、前記の上限値以下であることにより、積層フィルムの軽量化及び省スペース化を実現できる。
(波長380nmの紫外線透過率)
本実施形態の積層フィルムは、波長380nmの紫外線透過率が10%以下である。これにより、積層フィルムにより保護される部材が、紫外線により劣化することを抑制できる。積層フィルムにおける波長380nmの紫外線透過率は、低いほど好ましいが、0%以上とし得る。
波長380nmの紫外線透過率は、後述する実施例に記載の測定方法によって測定できる。
積層フィルムにおける、波長380nmの紫外線透過率を10%以下とするには、例えば、コア層を形成する熱可塑性樹脂Cとして、紫外線を遮る能力を有するUVカット剤等の成分を含む樹脂を用いることによって、実現できる。
(水蒸気透過率)
積層フィルムの水蒸気透過率は、好ましくは10g/(m・day)以下、より好ましくは9g/(m・day)以下、特に好ましくは7g/(m・day)以下であり、また、その下限値は、理想的にはゼロであり、0.1g/(m・day)としてもよい。このように水蒸気透過率の低い積層フィルムは、積層フィルムの各層を形成する樹脂を構成し得る複数種類の重合体の中から、低吸湿性又は低透湿性に優れる種類の重合体を選択することによって実現することができる。
[7.積層フィルムの製造方法]
積層フィルムは、特許第3973755号公報、特許第4581691号公報、特許第6094282号公報、特許第6094283号公報などに記載の製造装置を用いて、溶融押出法によって製造できる。この溶融押出法を用いた製造方法は、熱可塑性樹脂S1、熱可塑性樹脂C及び熱可塑性樹脂S2を、ダイから押し出す工程を含む。この際、前記の熱可塑性樹脂を、熱可塑性樹脂S1の層、熱可塑性樹脂Cの層、及び、熱可塑性樹脂S2の層を厚み方向においてこの順に含むフィルム状に押し出すことにより、上述した積層フィルムが得られる。
前記の押出は、熱可塑性樹脂S1、熱可塑性樹脂C及び熱可塑性樹脂S2が溶融した状態で行う。よって、ダイの温度は、通常、熱可塑性樹脂Cのガラス転移温度Tg(c)、熱可塑性樹脂S1のガラス転移温度Tg(s1)、及び、熱可塑性樹脂S2のガラス転移温度Tg(s2)よりも高温に設定される。そして、このように溶融状態の熱可塑性樹脂が押し出された後、冷却されて硬化することにより、樹脂フィルムとして積層フィルムを得ることができる。
積層フィルムの製造方法は、更に、前記の溶融押出によって得られたフィルムに延伸処理を施す工程を含んでいてもよい。延伸処理により、所望の面内レターデーションを発現させることができる。
積層フィルムの製造方法は、前記の工程に組み合わせて、更に任意の工程を含んでいてもよい。例えば、積層フィルムの製造方法は、幅方向の両端を切り除くトリミング処理を行う工程を含んでいてもよい。
[8.積層フィルムの用途]
本発明の積層フィルムの用途に制限は無く、任意の用途に適用することができ、例えば種々の光学用途に適用することができる。特に、本発明の積層フィルムは、表示装置(例、液晶表示装置、有機EL表示装置、プラズマ表示装置、FED(電界放出)表示装置、SED(表面電界)表示装置)を構成する部材の保護フィルムとして好適に用いられる。例えば、本発明の積層フィルムは、偏光子の保護フィルムとして好適に用いられ、さらに具体的には、例えば液晶表示装置の視認側及びバックライト側に配置される偏光子の保護フィルムとして用いることができ、また、有機EL表示装置の視認側に配置されることがある偏光子の保護フィルムとして用いることができる。
また本発明の積層フィルムは、表示装置の視認側に設けられる透明部材の保護フィルムとして好適に用いられる。
本発明の積層フィルムは、単独で用いてもよく、他の任意の部材と組み合わせて用いてもよい。
以下、実施例を示して本発明について具体的に説明する。ただし、本発明は以下に示す実施例に限定されるものでは無く、請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施し得る。以下の説明において、量を表す「%」及び「部」は、別に断らない限り、重量基準である。また、以下に説明する操作は、別に断らない限り、常温常圧大気中において行った。
[評価項目]
(厚み)
第1スキン層、コア層、及び第2スキン層からなる3層構造の積層フィルムの総厚みは、スナップゲージにて測定した。
また、積層フィルムに含まれるコア層の厚みは、紫外可視近赤外分光光度計(日本分光社製「V-7200」)を用いて波長390nmにおける積層フィルムの光線透過率を測定し、得られた光線透過率から計算した。更に、後述する実施例及び比較例においては、第1スキン層及び第2スキン層は同じ厚みの層として形成したので、積層フィルムの総厚みからコア層の厚みを引き算した値を第1スキン層及び第2スキン層の合計厚みとし、かかる合計厚みを2で割ることにより、第1スキン層及び第2スキン層のそれぞれの厚みを計算した。
(ガラス転移温度)
ガラス転移温度は、示差走査熱量計(セイコーインスツルメント製 示差走査熱量計 DSC-6100)で測定した。
(平均吸収率の測定)
下記の熱可塑性樹脂(J0)~熱可塑性樹脂(J3)から、厚み50μmの樹脂フィルムを製造した。製造方法は下記の通りである。
(ガラス転移温度(℃)+130℃)に加熱した樹脂を、ダイスのマニホールドに供給した。ダイスから吐出されたシートを(ガラス転移温度(℃)-10℃)に設定された冷却ロールにて引き取り、厚み50μmの樹脂フィルムを得た。フィルムの厚さは冷却ロールの速度により調節した。これらの樹脂フィルムについて、平均吸収率を測定した。測定装置としてはNICOLET iS5(サーモフィッシャサイエンティフィック社)を用いて、透過法にて、検出器DTGS KBr、分解能4cm-1、積算回数16回にて測定を行い、9μm以上11μm以下の波長領域の吸収率の平均値を求め、各樹脂フィルムについて平均吸収率を得た。
厚み50μmの各樹脂フィルムの平均吸収率から、熱可塑性樹脂(J0)~熱可塑性樹脂(J3)から形成された厚み10μmの層(第1スキン層又は第2スキン層)、又は厚み20μmの層(コア層)の平均吸収率を算出した。
(押込弾性率)
下記の熱可塑性樹脂(J0)及び熱可塑性樹脂(J3)から、厚み100μmの樹脂フィルムを製造した。製造方法は下記の通りである。
(ガラス転移温度(℃)+130℃)に加熱した樹脂を、ダイスのマニホールドに供給した。ダイスから吐出されたシートを(ガラス転移温度(℃)-10℃)に設定された冷却ロールにて引き取り、厚み100μmの樹脂フィルムを得た。フィルムの厚さは冷却ロールの速度により調節した。
各樹脂フィルムについて、押込弾性率試験機(フィッシャーインスツルメンツ社製、商品名「ピコメーター Hm-500」)を用いて押込弾性率(単位:MPa)を測定した。測定に際して、圧子は対面角136°正四角錐ダイヤモンド圧子を用いた。荷重速度は2.5mF/secで一定とし、dF/dtは一定の条件で実施した。最大荷重は50mN、荷重時間は20sec、クリープ時間は60secとした。
(水蒸気透過率)
積層フィルムの水蒸気透過率を、水蒸気透過度測定装置(MOCON社製「PERMATRAN-W」)を用い、JIS K 7129 B法に従って、温度40℃、湿度90%RHの条件にて測定した。
(レーザー光吸収性能)
積層フィルムのレーザー光吸収性能はレーザーを用いて実際にガラス板上で積層フィルムを切断し、ガラス板に傷が生じたか否かを確認することにより評価した。
具体的には、以下の方法でレーザー光吸収性能を評価した。ガラス板(厚さ1.5mm)の上に積層フィルムを置いた。積層フィルムに波長9.4μmのCOレーザー光を照射して、積層フィルムを切断した。レーザー光の出力は、積層フィルムが切断できるよう調整した。具体的には、レーザー光の出力は、最初は低出力に設定し、次第に上げていき、積層フィルムが切断できた時点でレーザー光の照射を停止した。
Good:ガラスに傷がない。
Poor:ガラスに傷がある。
ガラス板に傷がない場合にレーザー光吸収性能が優れていると評価される。
(紫外線透過率)
積層フィルムの光線透過率を、JIS K0115(吸光光度分析通則)に準拠して、分光光度計(日本分光社製、紫外可視近赤外分光光度計「V-570」)を用いて測定した。測定の結果得られた各波長に対応する光線透過率の値から、波長380nmの紫外線透過率の値を抽出した。紫外線透過率を下記基準により評価した。
Good:紫外線透過率が10%以下である。
Poor:紫外線透過率が10%より大きい。
[製造例1.熱可塑性樹脂(J1)の製造]
非晶性のノルボルネン系重合体として、日本ゼオン社製「ゼオノア1600」(ガラス転移温度163℃、以下、熱可塑性樹脂(J0)ともいう。)のペレットを準備した。熱可塑性樹脂(J0)のペレットを、100℃で5時間乾燥させた。乾燥させたペレット100部と、レーザー吸収剤(ペンタエリスリトールテトラベンゾエート、分子量552、融点102.0℃~106.0℃)4.7部と、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(ADEKA社製「LA-31」)12.0部とを、二軸押出機により混合した。得られた混合物を、単軸押出機に接続されたホッパーへ投入し、単軸押出機から溶融押し出して、熱可塑性樹脂(J1)を得た。この熱可塑性樹脂(J1)は、紫外線吸収剤の含有量は10.3重量%であり、レーザー吸収剤の含有量は4.0%であり、ガラス転移温度Tgは126℃であった。
[製造例2.熱可塑性樹脂(J2)の製造]
レーザー吸収剤としてのペンタエリスリトールテトラベンゾエートの量を0部に変更した。以上の事項以外は、製造例1と同じ操作を行って、熱可塑性樹脂(J2)を得た。この熱可塑性樹脂(J2)は、紫外線吸収剤の含有量は10.7重量%であり、ガラス転移温度Tgは129℃であった。
[実施例1]
目開き3μmのリーフディスク形状のポリマーフィルターを備える、ダブルフライト型単軸押出機(スクリューの直径D=50mm、スクリューの有効長さLとスクリュー径Dとの比L/D=32)を用意した。この単軸押出機に、コア層形成用の樹脂として、製造例1で得られた熱可塑性樹脂(J1)を導入し、溶融させた。そして、溶融した熱可塑性樹脂(J1)を、押出機出口温度265℃として、押出機のギヤポンプにて定量を押し出し、マルチマニホールドダイに供給した。このマルチマニホールドダイのダイスリップの表面粗さRaは、0.1μmであった。
他方、目開き3μmのリーフディスク形状のポリマーフィルターを備える、単軸押出機(スクリューの直径D=50mm、スクリューの有効長さLとスクリューの直径Dとの比L/D=32)を用意した。この単軸押出機に、第1スキン層及び第2スキン層形成用の熱可塑性樹脂として、100℃で5時間乾燥させた熱可塑性樹脂(J0)のペレットを導入し、溶融させた。そして、溶融した熱可塑性樹脂(J0)を、押出機出口温度290℃として、押出機のギヤポンプにて定量を押し出し、前記のマルチマニホールドダイに供給した。
次いで、第1スキン層形成用の樹脂の層、コア層形成用の樹脂の層、及び、第2スキン層形成用の樹脂の層の3層を含むフィルム状に吐出されるように、前記の溶融状態の熱可塑性樹脂(J1)及び熱可塑性樹脂(J0)を、マルチマニホールドダイから、ダイ温度277℃で共押し出しした。共押し出しの際、各層の厚みを、押出機のフィーダーからの送り出し量を調整することにより調整した。そして、押し出された熱可塑性樹脂(J1)及び熱可塑性樹脂(J0)を、150℃に温度調整された冷却ロールにキャストして、「熱可塑性樹脂(J0)で形成された第1スキン層」/「熱可塑性樹脂(J1)で形成されたコア層」/「熱可塑性樹脂(J0)で形成された第2スキン層」の2種3層からなる積層フィルム(即ち、2種類の樹脂からなる3層構造のフィルム)を得た。得られた積層フィルムは、幅1450mm、厚み40μmであり、各層の厚みは、第1スキン層が10μm、コア層が20μm、第2スキン層が10μmであった。また、前記の共押し出しでは、エアギャップ量を50mmとし、溶融状態のフィルム状の樹脂を冷却ロールにキャストする方法として、エッジピニングを採用した。こうして得られた積層フィルムの幅方向の両端50mmずつをトリミングして、幅1350mm、長さ4000mの長尺の積層フィルムを得た。
得られた積層フィルムについて、上述した方法で評価を行った。
[比較例1]
コア層形成用の樹脂として、製造例1で得られた熱可塑性樹脂(J1)の代わりに、製造例2で得られた熱可塑性樹脂(J2)を用いた。以上の事項以外は、実施例1と同じ操作によって、積層フィルムの製造及び評価を行った。
Figure 0007020486000001
表1において、「U」は、紫外線吸収剤を示し、「L」はレーザー吸収剤を示す。
表1の結果から、ガラス転移温度が150℃以上である熱可塑性樹脂で第1スキン層及び第2スキン層が形成され、平均吸収率Aが平均吸収率As1より大きく且つ平均吸収率As2より大きい実施例1の積層フィルムは、押込弾性率が大きく且つレーザー光吸収性能評価に優れており、表面硬度が大きく且つCOレーザー光により円滑に切断できることが分かる。
100 積層フィルム
110 第1スキン層
120 コア層
130 第2スキン層

Claims (4)

  1. 熱可塑性樹脂S1で形成された第1スキン層、熱可塑性樹脂Cで形成されたコア層、及び熱可塑性樹脂S2で形成された第2スキン層を、この順に含み、
    前記コア層における、9μm以上11μm以下の波長領域の光の平均吸収率A は、0.2以上であり、
    前記第1スキン層における9μm以上11μm以下の波長領域の光の平均吸収率A s1 は、0.02~0.15であり、
    前記第2スキン層における9μm以上11μm以下の波長領域の光の平均吸収率A s2 は、0.02~0.15であり、
    前記熱可塑性樹脂S1は、厚さ100μmのフィルムとして測定された押込弾性率が2300MPa以上であり、
    前記熱可塑性樹脂S2は、厚さ100μmのフィルムとして測定された押込弾性率が2300MPa以上であり、
    前記熱可塑性樹脂S1のガラス転移温度Tg(s1)が、150℃以上であり、
    前記熱可塑性樹脂S2のガラス転移温度Tg(s2)が、150℃以上であり、
    波長380nmの紫外線透過率が10%以下である、積層フィルム。
  2. 水蒸気透過率が、10g/(m・day)以下である、請求項に記載の積層フィルム。
  3. 前記熱可塑性樹脂S1が、脂環式構造を含有する重合体を含み、
    前記熱可塑性樹脂S2が、脂環式構造を含有する重合体を含む、請求項1又は2に記載の積層フィルム。
  4. 前記熱可塑性樹脂Cが、脂環式構造を含有する重合体を含む、請求項1~のいずれか1項に記載の積層フィルム。
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