JPH0564865A - 位相差板用非晶ポリオレフイン積層シートおよび位相差板 - Google Patents

位相差板用非晶ポリオレフイン積層シートおよび位相差板

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JPH0564865A
JPH0564865A JP3230614A JP23061491A JPH0564865A JP H0564865 A JPH0564865 A JP H0564865A JP 3230614 A JP3230614 A JP 3230614A JP 23061491 A JP23061491 A JP 23061491A JP H0564865 A JPH0564865 A JP H0564865A
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JP
Japan
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amorphous polyolefin
sheet
crystalline polymer
laminated sheet
polymer layer
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JP3230614A
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Inventor
Kenji Tsunashima
研二 綱島
Toshihiko Hiraoka
俊彦 平岡
Taiichi Kurome
泰一 黒目
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 リターデーションRdムラが小さく、しか
も視認性にすぐれた位相差板を提供する。 【構成】 非晶ポリオレフィンに低分子量の水素化し
た炭化水素重合体などを配合し、その表面に特定の結晶
性ポリマーを積層したのち、延伸・熱固定し、位相差板
として使用する直前に表層を剥離する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、液晶表示装置等に適用
しうる位相板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】位相差板は、リターデーション値Rdと
して200〜1200nmの特定の値を有し、しかも、視
認性のすぐれたフィルム又はシートであることが望まれ
ている。すでに各種素材からなる位相差板が提案されて
おり、例えばポリカーボネート系樹脂(例えば特開平2
−12205、特公昭41−12190、特開昭56−
180708など)、ポリオレフィン系樹脂(特開昭6
0−24502など)などが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】Rd値200〜120
0nmの範囲で、面内でのRdむらは10nm以内にしない
と光学的にムラが生ずるため、種々の改良検討がなされ
ている。たとえば、延伸温度ムラを小さくするために均
温性のすぐれたジャケットロールを用いたり、延伸工程
でのネックダウンによる幅方向のRdむらをなくするた
めに、延伸区間を極めて短かくしたり、圧延ロール法を
用いたりする方法が提案されている。しかし、この様な
方法を用いてもRdのムラは多少は改良されても大幅な
改良はできないばかりか、逆に上記の様な操作によって
視認性、すなわち、仰角0°と40°からみた場合のリ
ターデーションの比(R40/R0 )で表わされるよう
に、斜めから見た場合の位相差の角度変化が大きくなっ
てしまうという欠点があった。すなわちR40/R0 の値
で1.0〜1.1の範囲にしないと、見る角度によって
着色したり、表示がぼけたり、さらには明るさが異なっ
たりするという欠点を有していた。この様にリターデー
ションRdむらを小さくして、しかも視認性にすぐれた
位相差板は存在しなかったのである。
【0004】さらに、たとえRdむらが小さくても、ま
た、視認性がよくても意外と別の重大な欠点もあること
が多かった。すなわち、 1.熱分解物、炭化物、などのフィルム内部にある異物 2.口金すじなどの微少表示方向連続厚みむら 3.横だん、すだれなどの幅方向厚みむら などの欠点を有していた。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は上記表面欠点を
解消したRdむらの小さい、視認性のよい位相差板を提
供するものである。すなわち、ガラス転位温度Tgが1
00℃以上の特定の非晶ポリオレフィンシートの少なく
とも片面に特定の結晶性ポリマー層を積層後、結晶性ポ
リマー層を剥離してなる非晶ポリオレフィンシートより
なる位相差板に関するものである。
【0006】非晶ポリオレフィン重合体とは、一般には
熱測定で結晶融点が観測されにくいものであり、本発明
でいう非晶ポリオレフィン重合体(A)の代表的なもの
としてはジシクロペンタンジエンなどの多環モノマーの
開環重合体の水素化物、ジシクロペンタジエンのような
多環モノマーとエチレンとの共重合体の水素化物、およ
びノルボルネン系重合体から選ばれた1種以上で、ガラ
ス転移点が100℃以上、好ましくは130℃以上で、
吸水率が0.1%未満のものをいう。
【0007】多環モノマーとは、環状構造をモノマーに
含むものであって、例えば、一般式
【0008】
【化1】
【0009】(ここでR1 〜R12は水素またはアルキル
基であって、各同一又は異なっていてもよく、またR9
又はR10とR11又はR12とは互に環を形成していてもよ
い。更にnは2であって、複数回繰り返されるR5 〜R
8 は各同一または異なっていてもよい。)で示される様
なものであり、R9 〜R12で互いに環を形成した場合、
【0010】
【化2】
【0011】
【化3】
【0012】(ここでR13〜R20は水素又はアルキル基
であって各同一または異なっていてもよい。)などが挙
げられる。
【0013】さらに具体的には次表で示されるものが挙
げられる。
【0014】
【表1】
【0015】
【表2】
【0016】
【表3】
【0017】ジシクロペンタジエンなどの開環重合体の
水素化物は従来から公知の物質で、例えば特公昭58−
43412号、特開昭63−218727などでよく知
られている。またジシクロペンタジエンなどの多環モノ
マーとエチレンとの共重合体は、特開昭63−3142
20号、特開昭61−120816号などで知られてお
り、ノルボルネン系重合体はUSP2883372号、
特公昭46−14910号、特開平1−149738号
などに示されているようにジシクロペンタジエン類とジ
ェノフィルとの混合物から4環体以上の多環ノルベルネ
ン系化合物を得たのち重合体にしたものなどが知られて
いる。もちろんジシクロペンタジエン類は、そのメチル
やエチル置換体などのアルキル置換体や、エンド異性
体、キキソ異性体またはこれらの混合物なども含むもの
である。
【0018】これらの非晶ポリオレフィン重合体(A)
の分子量は1万以上、好ましくは3万以上と高い方が、
機械的性質・熱的性質などが優れて好ましいが、10万
未満でないと均一な位相板が得られない。もちろん、目
的によっては分子量の異なるもののブレンド体例えば5
万のものと、3万のものとのブレンド体であってもよ
い。なお、非晶ポリオレフィンのガラス転移点は100
℃以上、好ましくは130℃以上と高いものが経日でR
dや屈折率、透明性、機械強度などのフィルム物性が変
化しないばかりか、熱寸法安定性、耐薬品性、低い温度
・湿度膨脹係数、低吸水性、小さく安定した光弾性係数
などの点からも好ましい。
【0019】次にテルペン重合体とは英国特許9933
87号に記載されているような重合体であり、そしてア
ロオシメン、カレン、異性体化したピネン、ピネン、ジ
ペンテン、テルピネン、テルピノレン、リモネン、テレ
ビン、テルペンカット又は留分及び各種の他のテルペン
を含む非環式、単環式及び二環式モノテルペン及びその
混合物のようなテルペン炭化水素の重合及び/又は共重
合によって得られる二量体並びにより高次の重合体を含
む高分子樹脂材料を含む。特に有用な出発材料は少なく
とも20%のβ−ピネン及び/又はリモネン又はジペン
テン(ラセミ態リモネン)及び硫酸塩パルプ法における
副生物として得られる“サルフェートテルペンチン”を
含むテルペン混合物である。
【0020】テルペン又はテルペン混合物の重量は公知
の方法で溶媒を用い又は用いずにそして硫酸、燐酸、フ
ラー土、三弗化硼素、塩化亜鉛又は塩化アルミニウム等
のような両性金属塩化物等のような公知の触媒を用いて
行なうことができる。この重合は実質上すべてのモノテ
ルペンが最小限の二量体の生成で反応する結果を生ずる
条件下で行なうのが好ましい。
【0021】約500以上の平均分子量(ラスト法)及
び70℃を越える軟化点(ハーキュレス環球落下法)を
有する当業上公知の方法によって調整した任意の重合体
を用いることができるが、本発明による改良を与えるの
に特に有効である好ましいテルペン重合体は600を越
える分子量(ラスト法)及び100℃を越える軟化点・
(ハーキュレス環球落下法)を特徴とする。
【0022】水素化した炭化水素重合体とは50より低
い沃素価、約70℃を越える環球軟化点及び約500以
上の平均分子量(ラスト法)を有するものである。この
ような材料には、英国特許1024718号に記載され
ており、そして“ピコペイル(Piccopal
e)”、ベルシコール(Velsicol)X30、ベ
ルシコールAB11−4、パナレッツ(Panare
z)12−210、ネビル(Neville)LX系列
樹脂のような公知の工業的に利用できる材料を含む石油
のデイーブラッキングから導かれる混合した不飽和単量
体の接触重合によって得られる重合体及びアロオシメ
ン、カレン、異性化したピネン、ピネン、ジペンテン、
テルピネン、テルピノレン、リモネン、テルペンチン、
テルペンカット又は留分及び各種の他のテルペンを含む
非環式、単環式及び二環式モノテルペン及びその混合物
のようなテルペン炭化水素の重合及び/又は共重合を行
ない、続いて加圧下で水素化することによって得られる
二量体並びにより高次の重合体が含まれる。“ピコペイ
ル100”はペンシルベイニア・インダストリアル・ケ
ミカル・カンパニー製の樹脂であって、約100±2℃
の軟化点(環球法)、約200の沃素価及び約1170
の平均分子量を有するものであり、ペルシコールX30
及びペルシコールAB11−4はペルシコール・ケミカ
ル・コーポレーション製品で、夫々94〜104℃及び
104〜110℃の範囲の軟化点を有する固体ペトロリ
ウムであると考えられ;パナレッツ12−210はアメ
リカン・オイル・カンパニー製の固体ペトロリウムであ
って、93〜104℃の軟化点を有し;ネビル・ケミカ
ル・カンパニー製の炭化水素樹脂であり、そして95〜
120℃の範囲の軟化点を有する。重合させ次いで水素
化して本発明に用いられる重合体を得ることができる特
に有用な出発原料は実質上石油のディープクラッキング
から導かれるジエン及び反応性オレフィン、分解した石
油の蒸留によって分離されるビニル芳香族炭化水素カッ
ト又は留分及び少くとも20%のβ−ピネン及び/又は
リモネン又はジペンテン(ラセミ態リモネン)を含むテ
ルペン混合物及び硫酸塩パルプ法の副生物として得られ
る“サルフェートテルペンチル”から成る不飽和単量体
の混合物である。
【0023】石油生成物又はテルペン又はテルペン混合
物の重合は公知の方法で溶媒を用い又は用いずにそして
硫酸、燐酸、フラー土、三弗化硼素、塩化亜鉛又は塩化
アルミニウムのような両性金属塩化物等のような公知の
触媒を用いて行なうことができる。この重合は実質上す
べての炭化水素単量体が最少限の二量体生成で反応する
結果を生ずる条件下で行なうのが好ましい。
【0024】この炭化水素重合体の水素化はニッケル、
珪藻土上のニッケル、亜クロム酸銅、炭素上のパラジウ
ム、アルミナ上の白金又は珪藻土上のコバルトおよびジ
ルコニアのような触媒を用いて行なうことができる。こ
の水素化はメチルシクロヘキサン、トルエン、p−メン
タン、水素化したテルペン二量体−三量体等のような溶
媒の存在下で500〜1000psi の範囲の圧力及び1
30〜300℃の範囲の温度を用いて行なうのが好まし
い。
【0025】当業で公知の方法によって調整され、そし
て約500(ラスト法)及びそれ以上の平均分子量、約
50以下の沃素価、約70℃以上の環球軟化点及びポリ
オレフィンとの適合性を有する水素化した炭化水素重合
体はすべて本発明において使用できるが、本発明による
改良を与える点で特に有効な好ましい水素化した炭化水
素重合体は約600(ラスト法)以上の平均分子量、1
00℃を越える軟化点(ハーキュレス、環球落下法)約
15以下の沃素価及びポリオレフィンとの適合性を特徴
とするものである。
【0026】ロジン誘導体とは英国特許1061366
号に記載されており、そしてその中には次のものがあ
る。
【0027】(1) 水素化したロジン、不均化したロジ
ン、重合したロジン、ロジンと不飽和、炭素環化合物と
の縮合アダクツ、水素化した不均化ロジン、水素化した
重合ロジン及びロジンと不飽和炭素環化合物との水素化
した縮合アダクツよりなる群のロジン酸;(2) ジヒドロ
アビエチン酸、テトラヒドロアビエチン酸、デヒドロア
ビエチン酸、ジヒドロデクストロピマリン酸、テトラヒ
ドロデクストロピマリン酸、ジヒドロイソデクストロピ
マリン酸、テトラヒドロイソデクストロピマリン酸及び
その混合物よりなる群のロジン酸;(3)上記(1) に規定
した変性ロジンとロジン酸のメチルエステルの水素化分
解によって導かれるアルコールとのエステル及び上記
(2) に規定したロジン酸とロジン酸のメチルエステルの
水素化分解によって導かれるアルコールとのエステルか
ら成る群のエステル;(4) ジロジンアミン;(5) 一般式
【0028】
【化4】
【0029】(式中Xはジヒドロアビエチル、テトラヒ
ドロアビエチル、デヒドロアビエチル、ジヒドロデクス
トロピマリル、テトラヒドロデクストロピマリル、ジヒ
ドロイソデクストロピマリル及びテトラヒドロイソデク
ストロピマリル基の群からの基であり、そしてYはジヒ
ドロアビエテート、テトラヒドロアビエテート、デヒド
ロアビエテート、ジヒドロデクストロピマレート、テイ
ラヒドロデクストロピマレート、ジヒドロイソデクスト
ロピマレート及びテトラヒドロイソデクストロピマレー
ト基から成る群の基である)のモノアミド;及び(6) 一
般式
【0030】
【化5】
【0031】(式中各Yは上記(5) におけると同じ意味
をもつ)のジアミド。
【0032】本発明の目的に適するロジン誘導体はガム
ロジン、木材ロジン又はトール油ロジンから得ることが
でき、これらはすべて工業的に入手できる。本発明のロ
ジン誘導体は殆んどが公知の物質であって、技術文献及
び特許文献に記載されているものであり、多くは工業製
品である。ロジン及びロジン誘導体の性状及び化学の理
解に役立つものとして、エンサイクロペジア・オブ・ケ
ミカル・テクノロジー第11巻、779〜810ペー
ジ、1953年インターサイエンス・エンサイクロペデ
イアインコーポレーテッド刊、中のジョージ・シー・ハ
リスによる“ロジン及びロジン誘導体”なる表題の優れ
た技術解説がある。
【0033】水素化した炭化水素ポリマーのヨウ素価
は、ジ.アメリカン.オイル.ケミックス.ソサイエテ
イの方法第L8a−57にしたがって測定した。水素化
したまたは水素化しない炭化水素ポリマーの軟化点は、
ハーキュレス.ドロップ法、(ロビンスおよび変態ロビ
ンスの軟化点を測定するハーキュレス.ドロップ法、ハ
ーキュレス第400−432C号、1955に記載のヘ
ルクレス報告による)で測定するごとは、ポリマーが硬
い状態から軟化状態に変化する温度(℃)である。炭化
水素ポリマーの平均分子量はV.A.アルイスによるイ
ンダストリアル.エンジニアリング.ケミストリー(分
析版)13号、365頁(1941)に記載のラスト法
によって測定した。
【0034】本発明で特に好ましい化合物(B)の1つ
としては極性基を実質的に含まない石油樹脂であり、そ
れは水酸基(−OH)、カルボキシル基(−COO
H)、ハロゲン基(−X)、スルフォン基(−SO
3 Y、ただし、YはH、Na、1/2 Mg)などおよびそ
れらの変成体などからなる極性基を有さない石油樹脂、
すなわち石油系不飽和炭化水素を直接原料とするシクロ
ペンタジエン系、あるいは高級オレフィン系炭化水素を
主原料とする樹脂である。さらに該石油樹脂のガラス転
位温度(以下、Tgと略称する)は50℃以上、好まし
くは76℃以上のものが本発明シートにとって好まし
い。なお、上限は特に限定されないが、通常約120℃
以下のものが多い。
【0035】また、該石油樹脂に水素を添加させ、その
水添率を80%以上、好ましくは95%以上とした水添
石油樹脂が本発明フィルムの場合は特に好ましい。代表
的な該樹脂としては、例えばRg76℃以上で水添率9
5%以上の分子量が1万未満のポリジシクロペンタジエ
ン等高Tg完全水添脂環族石油樹脂が本発明に特にふさ
わしい。
【0036】また、他の好ましい化合物(B)の1つと
して極性基を実質的に含まないテルペン樹脂があり、そ
れは水酸基、アルデヒド基、ケトン基、カルボキシル
基、ハロゲン基、スルフォン基など、およびそれらの変
成体などからなる極性基を有さないテルペン樹脂、すな
わち(C5 8 n の組成の炭化水素およびそれらから
導かれる変性化合物である。nは2〜20程度の自然数
である。
【0037】テルペン樹脂のことを別称してテルペノイ
ドと呼ぶこともある。代表的な化合物名としては、ピネ
ン、ジペンテン、カレン、ミルセン、オシメン、リモネ
ン、テルピノレン、テルピネン、サビネン、トリシクレ
ン、ビサボレン、ジンギベレン、サンタレン、カンホレ
ン、ミレン、トタレン、などがあり、本発明フィルムの
場合、水素を付加させ、その水添率を80%以上、好ま
しくは90%以上とするのが望ましく、特に水添βピネ
ン、水添ジペンテンなどが好ましい。
【0038】以上に述べた化合物(B)の分子量は特に
限定はしないが、相溶性の点から1万未満のものが好ま
しい。
【0039】非晶ポリオレフィン重合体(A)と、テル
ペン重合体、水素化した炭化水素重合体、およびロジン
誘導体から選ばれた化合物(B)との配合比率は、重合
体(A)99.5〜55重量%に対して化合物(B)
0.5〜45重量%の範囲であることが好ましい。これ
は、化合物(B)が0.5重量%未満になると、本発明
の目的である非晶ポリオレフィンシートのRdムラが小
さくならず、しかも視認性もよくならないためである。
逆に化合物(B)が45重量%、好ましくは30重量%
を越えると、機械的性質が劣ったものになり、さらに
は、ブリードアウトなどで光学的性質も劣るようになる
ためである。
【0040】なお、非晶ポリオレフィンシートの湿度膨
脹係数は5(10-6/%RH)以下、好ましくは3(1
-6/%RH)以下、さらに好ましくは1(10-6/%
RH)以下でなければ、経日による寸法変化が大きく
て、特に光学用途で問題となることが多い。
【0041】本発明のポリオレフィンシート中に公知の
任意の添加剤、例えば着色防止剤、酸化防止剤、光安定
剤、熱安定剤、結晶核剤、帯電防止剤、接着向上剤、す
べり剤、ブロッキング防止剤、耐候剤、消泡剤、透明化
剤、粘度調整剤などを含有させてもよいことは明かであ
る。特に酸化防止剤としては特開昭61−120816
号などで例示されたフェノール系やリン系、硫黄系の安
定剤が特にすぐれている。
【0042】結晶性ポリマーとは、熱測定で結晶融点の
観測されるものであり、本発明の場合、ポリブチレンテ
レフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリエチレ
ンテレフタレート、ポリヘキサメチレンナフタレート、
ポリヒドロキシベンゾエートおよびその共重合体などで
代表される特定のポリエステルが特に好ましい。
【0043】本発明の場合、この特定の結晶性ポリマー
層をラミネートするために、Rdムラの小さい、しかも
視認性のよい、さらには表面・内部欠点の少ない非晶ポ
リオレフィン位相差板が得られるのである。このために
は、まず、結晶性ポリマー層の延伸張力(FC )は、非
晶ポリオレフィンシートの延伸張力(FA )より大きい
ことが特に好ましく、その比(FC /FA )は1.5以
上、より好ましくは2.0以上であるのが望ましい。
【0044】このことは、非晶ポリオレフィンシートの
延伸時の延伸張力カーブは降伏点を示し、厚みムラの大
きな延伸や、ネックダウンの大きな延伸しかできない
が、延伸張力カーブで降伏点を示さず、しかも延伸張力
の温度依存性の小さくて、延伸張力の絶対値の大きな、
特定の結晶性ポリマー層を積層することにより、該積層
シートの延伸が均一におこなえ、その結果、非晶ポリオ
レフィンシートも均一な延伸ができ、厚みムラの小さな
シートが得られ、これによりリターデーションRdムラ
の小さなシートが得られることになる。
【0045】延伸張力(kg)の絶対値で比較して示した
が、これはもちろん、非晶ポリオレフィンシートの厚さ
とその延伸張力fa (kg/mm2 )、および結晶性ポリマ
ー層の厚さと、その延伸張力fc (kg/mm2 )との相関
で決まるものである。結晶性ポリマー層の全積層シート
厚みに対する厚さ比率は、特に限定されないが、薄い方
が経済的であるために、8〜35%程度のものがよい。
したがって結晶性ポリマー層の延伸張力fc は、非晶ポ
リオレフィンシートの延伸張力fa に比べて大きく、f
c /fa の比で2〜15倍と大きいことが望ましい。も
ちろん、fc の値などは、ポリマーで一義的に決まるも
のではなく、結晶化度や分子量、添加剤などの物理的因
子によって変わるものである。
【0046】また、延伸を均一に行なうために、結晶性
ポリマー層を積層シートの幅方向中央部のみに積層する
のは好ましくない。好ましくは、シートの端部を、結晶
性ポリマー層のみにした特公昭61−42624で示し
たような幅方向積層形態と併用すると、延伸時のネック
ダウンが小さくなり、さらに好ましくなる。このとき、
結晶性ポリマー層のみからなる端部の幅方向での比率
は、特に限定しないが、10〜50%程度におさえるの
がよい。
【0047】次に結晶性ポリマーの溶融時の比抵抗値は
1010オーム以下、好ましくは108 オーム以下である
ことが好ましい。
【0048】測定はN2 ガス下溶融温度で3KV印加に比
抵抗を測定する。これは、溶融積層された結晶性ポリマ
ー層と非晶ポリオレフィンシートとからなる積層シート
を口金から吐出させて、移動式冷却体であるキャスティ
ングドラムなどに密着固化するときに、静電荷を印加す
ると強力な密着力が得られるが、ドラムに接する結晶性
ポリマーの溶融比抵抗値を好ましくは1010オーム以
下、より好ましくは108 オーム以下とすると、この静
電密着力を向上させることができるためである。1010
オームを越える値のときは静電荷による密着力が得られ
にくい。通常ポリエステルの溶融比抵抗値を小さくする
には、金属成分を増やし、リン成分を減らすのがよいこ
とはよく知られている。
【0049】このように特定の結晶性ポリマー層を積層
しておくことによって、Rdムラの小さい、視認性のよ
い非晶ポリオレフィンシートが得られる。位相差板とし
て使用する時には、表層の結晶性ポリマー層を剥離すれ
ばよく、このときの剥離力としては100g/cm以下、
好ましくは20〜0.1g/cm、さらに好ましくは10
〜0.3g/cmの範囲にあるものが実用的である。下限
値は、製膜や加工などの工程で剥離してしまう事を防ぐ
ためである。
【0050】もちろん、この様な結晶性ポリマー層を共
押出法などで積層しているため、押出時の口金すじ欠点
や、延伸時のすり傷欠点、ゴミの付着などの表面欠点を
解消することもできる。
【0051】次に本発明フィルムの製造方法について述
べるが、これに限定されるものではない。
【0052】非晶ポリオレフィン、好ましくは非晶ポリ
オレフィン重合体(A)と、本発明でいう化合物(B)
とを任意の方法で配合したものを、水分、気体、溶融、
揮発物、分解物などの分子量100未満の超低分子揮発
物の含有量を好ましくは0.05重量%以下にしたの
ち、押出機に供給して溶融する。一方、結晶性ポリマー
も水分などの超低分子量を除外したのち、別の押出機に
供給して溶融し、上記非晶ポリオレフィン混合融液とを
複合口金内で、あるいはアダプター内で2層または結晶
性ポリマー層を両面にした3層に積層し、口金リップよ
り溶融シートを吐出させ、冷却ドラムに密着固化させて
キャストシートを得る。キャスト方式は、ニップロール
方式、カレンダー方式、静電印加密着方式、エアーナイ
フ方式、エアーキャンバー方式などを用いることがで
き、本発明の場合、静電印加密着方式が好ましい。ま
た、ドラム材質はクロムメッキ、またはステンレスから
なる表面あらさRmax 0.2μ以下の表面ドラムをもち
いるのがよい。またドラム表面温度は、特に限定しない
が、結晶性ポリマーの結晶性やドラムとの密着性、さら
には非晶ポリオレフィンの光学特性によるが、20〜1
80℃、好ましくは30〜165℃のものがよく用いら
れる。また、ドラフト比は20以下、好ましくは10以
下と小さい方が光学的に等方なフィルムとなるので好ま
しい。
【0053】かくして得られた複合キャストシートを、
充分予熱後、ネックダウンをおさえて長手方向または幅
方向に均一延伸して、所望のリターデーションRd値に
なるようにする。予熱および延伸温度は非晶ポリオレフ
ィン重合体のTg以上でおこなうことが多い。必要に応
じてこのあと熱寸法安定化、Rdの変化防止のために熱
処理をする。熱処理温度は100℃から延伸温度より8
0℃高い温度の範囲でおこなうことが多い。次に位相差
板として使用する直前にカバーフィルムである表層の結
晶性ポリマー層を剥離するのである。かくして得られた
非晶ポリオレフィンシートの厚さは50〜150μmの
範囲のものが広く好んで用いられる。
【0054】
【物性の評価方法】
(1) 湿度膨脹係数β 日本自動制御社製の定荷重伸び試験機(TTL2型)を
用い、温度40℃、湿度90RH%の条件で1昼夜予め
処理したサンプルを取りつけ、温度20℃で湿度30R
H%と70RH%との間における寸法変化を求める。サ
ンプル長は500mm、サプル幅は1/4インチにする。
【0055】(2) ヘイズ JIS K6782に準じトータルヘイズを測定した。
【0056】(3) 機械的強度 25℃で測定した破断のびが100%を越えるものを
○、50〜100%のものを△、50%未満のものを×
とした。測定サンプル長は100mmサンプル幅は10m
m、引張速度は1m/分で行なう。
【0057】(4) 経日変化 幅600mm、長さ250mのフィルムを6インチのプラ
スチック・コアに巻きつけ、ゴム硬度で88°になるよ
うにする。該ロール状サンプルを40℃、80RH%の
雰囲気下に48時間保存し、室温にとり出しフィルムを
広げたとき、フィルムの端部が伸びたりして、フィルム
の平面性が悪化しているものを×、全く平面性が均一で
良好なものを○とする。
【0058】(5) 吸水率 JIS K6911に準じる。
【0059】(6) 光弾性係数およびリターデーションR
d 光弾性率は、幅10mmの試料に1kgの荷重を加えたとき
の複屈折の変化Δnを求め、Δn/Sをもって光弾性係
数とした。ここでSは試料にかかる応力である。その
際、弾性微小変形時の厚み変化は無視できるものとす
る。フィルム面内の複屈折の測定はナトリウムD線(5
89nm)を光源として直交ニコルを備えた偏光顕微鏡に
試料フィルム面が光軸と垂直となるように置き、試料の
複屈折によって生じたリターデーションRdをコンペン
セーターの補償値から求め、Rd/dをもって複屈折と
した。ここでdは試料フィルム厚さである。
【0060】(7) フィルム中の異物 100μ以上の異物数の大小で表わし、以下の基準で評
価する。 20個/m2 未満のとき : ○(良好) 20〜100個/m2 : △ 100個/m2 を越えるとき : ×(不良) 測定は、反射法および直交ニコル下の両手法で観察す
る。
【0061】(8) すり傷などの表面キズ 直交ニコル下にてリターデーションむらとなるもののm
2 当りの個数を測定する。 0個/m2 : ○(良好) 1個/m2 以上 : ×(不良)
【0062】(9) 厚みむら(%) 接触式連続厚み計で10m長測定し、その最大厚みと最
小厚みとの差を平均厚みで割って、%表示したもの。
【0063】(10)視認性 直交ニコル下で、観察の方向が垂直方向(傾き0°)の
ときのリターデーション値R0 と、40°の方向のリタ
ーデーション値R40との比(R40/R0 )で表わし、
1.0の時が理想状態である。その値が1.1を越える
とき、あるいは0.9未満のときは、視認性は不良であ
る。 R40/R0 が1.1未満 : ○(良好) R40/R0 が1.1〜1.2 : △ R40/R0 が1.2を越えるとき : ×(不良)
【0064】(11)リターデーションRdムラ フィルム幅(450mm)方向に測定したRdの値の変化
値の大小で表わす。
【0065】 Rdムラが10nm未満 : ○(良好) Rdムラが10nm以上 : ×(不良)
【0066】(12)ガラス転位温度Tg サンプル5mgをアルミパンに封入し、走査型熱量計(D
SC)にて窒素気流下で昇温速度40℃/分で昇温し
て、ベースラインの偏奇開初温度Tiと終了温度Toと
の算術平均(Ti+To)/2をTgとする。
【0067】(13)延伸張力 60×60mm角にサンプリングし、それをT.M.Lo
ng社製のトランスジューサー付クリップを有したフィ
ルムストレッチャーにセットし、所定の温度で30秒間
予熱後、延伸速度5000%/分で延伸したときの所定
の倍率での張力をいう。
【0068】
【発明の効果】非晶ポリオレフィン重合体に好ましくは
特定の化合物を配合させ、しかもその表面にカバーフィ
ルムとして特定の結晶性ポリマーを積層したので、次の
様な優れた位相差板としての性質を示すのである。
【0069】(1) 熱分解物、炭化物、ゴミなどのフィル
ム内部の異物がなくなる。 (2) 押出時に発生しやすい口金すじの発生などの表面欠
点が皆無となる。 (3) すり傷、ほり傷、粘着むら、ゴミなどの加工時の表
面の欠点がなくなる。 (4) 厚みの均一性が向上し、リターデーションRdムラ
がなくなる。 (5) 幅方向のリターデーションRdムラがなくなる。 (6) さらに視認性が向上し、任意の角度から観察しても
均一にみえる。
【0070】(7) このような優れた特性を有するため
に、液晶表示用位相板として広く用いることができる。
【0071】
【実施例】以下に本発明の効果の理解を助けるために以
下に実施例を示す。
【0072】実施例1 まず非晶ポリオレフィン重合体(A)の作り方を述べ
る。
【0073】窒素置換した1lのオートクレーブに脱水
精製したトルエン400mlとシジクロペンタジエン10
0mlを仕込み、これに分子量調節剤としてl−ヘキセン
0.37ミリモル、六塩化タングステン0.37ミリモ
ル、テトラエチルスズ0.74ミリモルを加え、室温で
5時間重合した。反応終了後モノエタノールアミン5ml
を加え、安定剤として2,6−ジターシャリブチルフェ
ノール(BHT)1gを加えたのち、大量のメタノール
中に反応液を投入してポリマーを沈殿させ、真空乾燥す
ることによりトルエン可溶性のポリマーを得た。収率は
62%であった。この重合体のガラス転移点は129℃
であり、25℃のトルエン中で測定した極限粘度は0.
95dl/gであった。この可溶ポリマーのシクロヘキサ
ン溶液(濃度5%)400gとパラジウムカーボン2g
とを1lのオートクレーブに入れ、水素置換後、攪拌を
しながら140℃で8時間、水素圧を70気圧にして反
応させた。反応物中の触媒を濾過し多量のアセトン−イ
ソプロピルアルコール(1:1)混合溶媒中に沈殿させ
濾過・乾燥した。得られた重合体(A)をプロトンNM
R解析し、オレフィン二重結合プロトンに起因する吸収
の値から水添率を計算したところ、98%であった。該
重合体(A)のガラス転移点は134℃、吸水率は0.
02%、分子量は約5万であった。
【0074】次に化合物(B)としては、分子量1万未
満の完全水添脂環石油樹脂を用いた。具体的にはガラス
転移点76℃、水添率97%、分子量約800として市
販されているエクソン社の“エスコレッ”5320を用
いた。
【0075】重合体(A)を80重量%、化合物(B)
を20重量%配合し、120℃で真空下4時間乾燥さ
せ、低分子揮発物の含有量を50ppm 以下にしたのち、
90mm径の押出機に供給して295℃で溶融させる。
【0076】一方、結晶性ポリマーとして、ポリブチレ
ンテレフタレートPBT(極限粘度1.25dl/g、2
90℃での溶融比抵抗108 オーム)を用い、真空下1
80℃で2時間乾燥させたのち、40mm径の押出機に供
給して290℃で溶融させ、上記90mm押出機から吐出
される非晶ポリオレフィン溶融とを、公知のアダブター
を用いて、厚さ比率10/80/10のPBT/非晶ポ
リオレフィン/PBTからなる3層に均一積層したの
ち、単層の口金で吐出した。該溶融シートに静電荷を印
加させながら、60℃に保たれたクロムメッキロール上
に密着させ、冷却固化させた。かくして得られたキャス
トシートでのPBT層全体の延伸力は非晶ポリオレフィ
ンのものより大きく、155℃2.5倍では1.5倍と
高かった。該シートを155℃に加熱されたジャケット
ロールを用い、長手方向に2.5倍延伸し、つづいて1
30℃および200℃の2段階で熱固定した。かくして
得られた非晶ポリオレフィンシート品質を表3に示す。
該積層シ積層シートからPBT層を剥離(5g/cm)
し、該非晶ポオレフィンからなる位相差板を液晶分子の
ねじれ角が200°である液晶表示装置の液晶セルと偏
光板の間に接着剤を介して貼合した。
【0077】その結果、白黒表示が可能となり、虹模様
等色むらはなく、良好な表示品質の液晶表示装置が得ら
れた。
【0078】
【表4】
【0079】実施例2 実施例1で添加剤として用いた化合物(B)を非晶ポリ
オレフィンに添加しないで、あとは実施例1と全く同様
にした場合を実施例2とした。
【0080】比較例1,2 実施例1および2で積層したPBT層を用いず、単層の
みにして、あとは実施例1および2と全く同様にした場
合を比較例2および比較例1とした。
【0081】比較例3 実施例2で積層したPBT層の代わりに、非晶性のポリ
エステル(ユニチカ製ポリアリレート“Uポリマー”)
を用いる以外は、実施例2と全く同様にした場合を比較
例3とした。このときの“Uポリマー”の290℃での
溶融比抵抗値は1011オームと高く、静電キャストが均
一にかからず、また、この表層シートの延伸張力は小さ
く、非晶ポリオレフィンシートより小さいものであり、
このためか延伸で大きな幅収縮や幅変動がみられた。
【0082】
【表5】
【0083】なお、リターデーション値は570nmにな
るように延伸倍率は設定した。
【0084】この様に、非晶ポリオレフィン単独では、
化合物(B)を添加したものに比べて位相差板としての
特性に劣ることが分かる。また、非晶ポリオレフィンに
特定の化合物を添加し、しかも特定のポリマーをラミネ
ートすることにより、位相差板用シートとしてより適切
なものが得られる。
【0085】実施例3 充分乾燥した500mlのセパラルフラスコに攪拌羽根、
ガス吹込管、温度計及び滴下ロートを取り付け充分窒素
で置換した。このフラスコにモレキュラーシーブで脱水
乾燥したトルエン250mlを入れた。窒素流通下フラス
コに、表1のアの化合物すなわち、12−エチル−ヘキ
サシクロヘプタデセン−4を7.5g、エチルアルミニ
ウムセスキクロリドを2.5ミリモル、滴下ロートにジ
クロロエトキシオキソバナジウムを0.25ミリモル加
えた。ガス吹込管を通して乾燥したエチレン10l/h
r、窒素40l/hrの混合ガスを10℃に制御したフラ
スコに10分間通した。滴下ロートからエチルアルミニ
ウムセスキクロリドを滴下して共重合反応を開始し、前
記の混合ガスを通しながら10℃で30分間共重合反応
を行った。共重合反応中の溶液は均一透明であり、共重
合体の析出は認められなかった。メタノール5mlを重合
体溶液に添加して共重合反応を停止した。反応停止後の
重合液を大量のメタノール中に投入して共重合体を析出
させ、さらにメタノールで洗浄後、60℃で一昼夜真空
乾燥し、非晶ポリオレフィン共重合体5.3gを得た。
13C−NMR分析で測定した共重合体中のエチレン組成
は59モル%、135℃デカリン中で測定した極限粘度
[η]は1.4、ヨウ素価は0.9、ガラス転移点15
0℃であった。
【0086】この化合物90重量%と、完全水添脂環石
油樹脂(ガラス転移点105℃、水添率99%、分子量
4000)10重量%とを配合し、145℃で2時間乾
燥後、115mmの押出機に供給した。
【0087】一方、結晶性ポリマーとして、フェノール
スルホン酸ナトリウムを2モル、共重合した高結晶性ポ
リエチレンテレフタレートPET(極限粘度0.65dl
/g、290℃での溶融比抵抗107 オーム)を用い、
真空下180℃で2時間乾燥させたのち、40mm径の押
出機に供給して、290℃で溶融させ、上記115mm押
出機から吐出される非晶ポリオレフィン溶融体とを、公
知のアダプターを用いて厚さ比率15/70/15のP
ET/非晶ポリオレフィン/PETからなる3層に均一
積層したのち、単層の口金て吐出し、静電荷を印加させ
ながら、40℃保たれた鏡面クロムメッキロール上に密
着させ冷却固化した。かくして得られたシートのうち、
PET層の160℃での2.2倍の延伸張力は2.5kg
/mm2 、非晶ポリオレフィンシートのそれは、0.5kg
/mm2 であり、PETシートトータルの延伸張力は、非
晶ポリオレフィンシートの2.1倍と大きかった。該複
合シートを160℃に加熱された誘導加熱ロールを用
い、長手方向に2.2倍延伸し、つづいて180℃と9
0℃の2段階で熱固定した。
【0088】かくして得られた3層積層フィルムから両
表層に積層してあるPETを剥離し(剥離力は1g/c
m)、液晶表示装置の液晶セルと偏光板との間に貼り合
わせた。この結果、背景色が白、表示部が黒のほぼ白黒
表示が可能となり、虹模様などの色ムラもなく良好な表
示品質の液晶表示装置が得られた。
【0089】
【表6】

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ガラス転位温度Tgが100℃以上の非
    晶ポリオレフィンシートの少なくとも片面に結晶性ポリ
    マー層を積層してなる位相差板用非晶ポリオレフィン積
    層シート。
  2. 【請求項2】 結晶性ポリマー層の延伸張力が、非晶ポ
    リオレフィンシートの延伸張力よりも大きいことを特徴
    とする請求項1の位相差板用非晶ポリオレフィン積層シ
    ート。
  3. 【請求項3】 結晶性ポリマー層の溶融比抵抗値が、1
    10オーム以下であることを特徴とする請求項1又は2
    の位相差板用非晶ポリオレフィン積層シート。
  4. 【請求項4】 シート端部が、結晶性ポリマー層のみか
    らなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載
    の位相差板用非晶ポリオレフィン積層シート。
  5. 【請求項5】 非晶ポリオレフィンが、非晶ポリオレフ
    ィン重合体(A)99.5〜55重量%に対して、テル
    ペン重合体、水素化した炭化水素重合体、およびロジン
    誘導体から選ばれた少なくとも一種の化合物(B)を
    0.5〜45重量%配合してなることを特徴とする請求
    項1〜4のいずれかに記載の位相差板用非晶ポリオレフ
    ィン積層シート。
  6. 【請求項6】 非晶ポリオレフィン重合体(A)が多環
    モノマーの開環重合体の水素化物、多環モノマーとエチ
    レンとの共重合体の水素化物およびノルボルネン系重合
    体から選ばれた1種以上であることを特徴とする請求項
    5に記載の位相差板用非晶ポリオレフィン積層シート。
  7. 【請求項7】 結晶性ポリマーが、ポリブチレンテレフ
    タレート、ポリブチレンナフタレート、ポリヘキサメチ
    レンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリ
    ヒドロキシベンゾエートおよびそれらの共重合体から選
    ばれた1種以上のポリマーであることを特徴とする請求
    項1〜6のいずれかに記載の位相差板用非晶ポリオレフ
    ィン積層シート。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7のいずれかに記載の位相
    差板用非晶ポリオレフィン積層シートから結晶性ポリマ
    ー層を剥離して得られたポリオレフィンシートよりなる
    位相差板。
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