JP4367179B2 - 積層体の製造方法および積層体 - Google Patents

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Description

本発明は、積層体の製造方法、この製造方法によって得られる積層体に関する。
従来、液晶表示素子やエレクトロルミネッセンス表示素子、あるいはプラズマ発光表示素子などの平面ディスプレイには、ガラス製の透明基板が使用されている。このような平面ディスプレイにおいては、ディスプレイサイズを大型化する、あるいは携帯機器へと展開する上で、「割れやすい」あるいは「重い」という、透明基板の材料としてガラスが用いられていることに起因する欠点が問題となっているため、透明基板として樹脂よりなるものを用いることが検討されている。
しかしながら、アクリル樹脂やポリカーボネート樹脂などの従来から用いられている透明樹脂を透明基板の材料として用いた場合には、得られる透明基板が十分な耐熱性を有するものとならず、そのため、当該透明基板が平面ディスプレイの製造工程における、例えば透明電極や薄膜トランジスタの形成処理中の工程温度に耐えられないなどの実用上の問題がある。
而して、耐熱性が高く、しかも透明性等の光学特性に優れる環状オレフィン系樹脂を、透明基板の材料として用いることが提案されている(例えば、特許文献1〜特許文献8参照。)。具体的に、特許文献1には、多環式環状オレフィン系単量体(以下、「ノルボルネン系単量体」ともいう。)とエチレンとのランダム共重合体あるいはノルボルネン系単量体の開環重合体が液晶表示素子の透明基板として有用であることが開示されており、特許文献2〜特許文献5には、ノルボルネン系単量体の開環重合体が透明導電基板用の樹脂基板として有用であること、また、液晶表示素子あるいはエレクトロルミネッセンス表示素子の透明基板としても有用であることが開示されており、特許文献6〜特許文献8には、ノルボルネン系単量体の付加重合体が液晶表示素子やエレクトロルミネッセンス表示素子の透明基板として有用であることが開示されている。
しかしながら、ノルボルネン系単量体とエチレンとのランダム共重合体やノルボルネン系単量体の開環重合体としては、そのガラス転移温度が250℃以上であるという特性を有するものを得ることが困難であるため、このような樹脂よりなる透明基板は、アクリル樹脂やポリカーボネート樹脂などの透明樹脂製の透明基板に比しては高い耐熱性が得られるものの、その耐熱性が平面ディスプレイの製造工程における、例えば薄膜トランジスタの形成処理中の工程温度に十分に耐え得るものではない、という問題がある。
また、ノルボルネン系単量体の付加重合体としては、そのガラス転移温度が300℃を超えるという特性を有するものを容易に得ることができるが、一方でガラス転移温度が極めて高温であるため、射出成形法や溶融押出法などの溶融成形法によって成形体を成形することが困難となり、通常、溶融キャスティング法によって成形が行われることとなることから、得られる透明基板がその厚みが小さくて十分な機械的強度を有するものとならず、例えば大型の平面ディスプレイへの適用に制約が生じる、という問題がある。
特開平8−136907号公報 特開平4−370121号公報 特開平5−061026号公報 特開平7−287123号公報 特開2003−068446号公報 特開2002−012624号公報 特開2002−047318号公報 特開2002−146145号公報
本発明は以上のような問題を解決するためになされたものであって、極めて優れた耐熱性、光学特性および機械的強度を有し、平面ディスプレイ用の透明基板として好適に用いられる積層体を製造する方法、およびこの積層体の製造方法によって得られる積層体を提供するものである。
本発明の積層体の製造方法は、下記一般式(1)で表される構造単位(a)を含有し、ポリスチレン換算数平均分子量が10,000〜500,000であり、ガラス転移温度が250℃以上である環状オレフィン系付加重合体よりなる付加重合体フィルム、または下記一般式 (1)で表わされる構造単位(a)を含有し、ポリスチレン換算数平均分子量が10,000〜500,000であり、ガラス転移温度が250℃以上であり、後述の一般式(3)で表わされる環状オレフィンであってアルコキシシリル基を有するものを単量体として用いることによって得られる環状オレフィン系付加重合体の架橋体よりなる架橋体フィルムの少なくとも片面に、溶融押出法によって成形される、下記一般式(2)で表される構造単位(b)を含有し、ポリスチレン換算数平均分子量が6,000〜100,000であり、ガラス転移温度が100〜180℃である環状オレフィン系開環重合体よりなる開環重合体フィルムと、下記一般式(1)で表される構造単位(a)を含有し、ポリスチレン換算数平均分子量が10,000〜500,000であり、ガラス転移温度が250℃以上である環状オレフィン系付加重合体よりなる付加重合体フィルムおよび下記一般式 (1)で表わされる構造単位(a)を含有し、ポリスチレン換算数平均分子量が10,000〜500,000であり、ガラス転移温度が250℃以上であり、後述の一般式(3)で表わされる環状オレフィンであってアルコキシシリル基を有するものを単量体として用いることによって得られる環状オレフィン系付加重合体の架橋体よりなる架橋体フィルムのいずれか一方のフィルムとをこの順に積層する工程を有することを特徴とする。
Figure 0004367179
〔式中、R1 〜R4 は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、および酸素原子、硫黄原子、窒素原子若しくはケイ素原子を含む若しくは含まない、連結基を有していてもよい置換または非置換の炭素数1〜30の有機基を示す。R1 またはR2 と、R3 またはR4 とは一体化して2価の炭化水素基を形成してもよく、また、R1 またはR2 と、R3 またはR4 とは、互いに結合して炭素環または複素環を形成していてもよく、これらの炭素環および複素環は単環構造または多環構造を形成していてもよい。mおよびnは、それぞれ独立に0または1である。〕
Figure 0004367179
〔式中、R5 〜R8 は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、および酸素原子、硫黄原子、窒素原子若しくはケイ素原子を含む若しくは含まない、連結基を有していてもよい置換または非置換の炭素数1〜30の有機基を示す。R5 またはR6 と、R7 またはR8 は一体化して2価の炭化水素基を形成してもよく、また、R5 またはR6 と、R7 またはR8 とは、互いに結合して炭素環または複素環を形成していてもよく、これらの炭素環および複素環は単環構造または多環構造を形成していてもよい。Xは−CH2 CH2 −基または−CH=CH−基を示す。pおよびqは、それぞれ独立に0または1である。〕
本発明の積層体の製造方法においては、波長550nm、温度25℃の条件において測定される、環状オレフィン系付加重合体の屈折率と、環状オレフィン系開環重合体の屈折率との差が0.02以下であることが好ましい。
本発明の積層体は、上記の積層体の製造方法によって得られることを特徴とする。
また、本発明の積層体は、全光線透過率が80%以上であることが好ましい。
本発明の積層体の製造方法によれば、優れた耐熱性および光学特性を有する環状オレフィン系付加重合体および環状オレフィン系開環重合体によって所望の厚みを有する積層体を形成することができるため、極めて優れた耐熱性、光学特性および機械的強度を有し、平面ディスプレイ用の透明基板として好適に用いられる積層体を容易に製造することができる。
従って、本発明の積層体の製造方法によれば、極めて耐熱性に優れた透明積層体を、所望の厚みで容易に得ることができるため、樹脂よりなる、大型の平面ディスプレイ用の透明基板を提供することができ、また、この製造方法によって製造される積層体は、例えばスパッタ処理や蒸着加工処理などの高温条件下において行われる処理を弊害を伴うことなく施すことができることから、タッチパネル等の透明電極基板として用いても好適に用いることができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の積層体の製造方法は、上記一般式(1)で表される構造単位(a)を含有し、ポリスチレン換算数平均分子量が10,000〜500,000であると共にガラス転移温度が250℃以上である環状オレフィン系付加重合体よりなる付加重合体フィルム、または環状オレフィン系付加重合体の架橋体よりなる架橋体フィルムの少なくとも片面に、溶融押出法によって成形される、上記一般式(2)で表される構造単位(b)を含有し、ポリスチレン換算数平均分子量が6,000〜100,000であると共にガラス転移温度が100〜180℃である環状オレフィン系開環重合体よりなる開環重合体フィルムと、付加重合体フィルムおよび架橋体フィルムのいずれか一方のフィルム(以下、「特定フィルム」ともいう。)とをこの順に積層する工程を有するものである。
この積層体の製造方法によれば、第1の特定フィルムよりなる第1層と、開環重合体フィルムよりなる第2層と、第2の特定フィルムよりなる第3層とがこの順に積層されてなる構成を有する積層体(以下、「特定積層体」ともいう。)が得られる。
ここに、第1層を構成する第1の特定フィルムと、第3層を構成する第2の特定フィルムとは、異なる構成を有するものであってもよく、同一の構成を有するものであってもよいが、同一の構成を有するものであることが好ましい。
本発明の積層体の製造方法の好ましい一例としては、図1および図2に示すように、溶融押出法によって第1の特定フィルムの表面に、冷却されることによって開環重合体フィルムとされる、溶融状態の環状オレフィン系開環重合体よりなる溶融樹脂膜を形成した後、直ちにこの溶融樹脂膜上に第2の特定フィルムを配置することによって得られた仮積層体を、互いに圧接された状態で設けられている加圧ローラの間に通過させることにより、第1の特定フィルムと溶融樹脂膜、および溶融樹脂膜と第2の特定フィルムの各々を圧着し、これにより、第1の特定フィルムよりなる第1層上に開環重合体フィルムよりなる第2層および第2の特定フィルムよりなる第3層がこの順に積層されてなる構成を有する特定積層体を形成する手法が挙げられる。
具体的に、図1に示されている積層体製造装置は、第1の特定フィルム用搬送路11Aを介して第1の特定フィルム供給手段11から供給された第1の特定フィルム2の表面(図1において上面)に溶融押出機10によって溶融樹脂膜を形成し、この溶融樹脂膜の表面(図1において上面)に第2の特定フィルム用搬送路12Aを介して第2の特定フィルム供給手段12から供給される第2の特定フィルム3を配置することによって仮積層体を得、この仮積層体を、駆動ローラ15、15によって移動されるベルト16を介して互いに圧接された状態で設けられている加圧ローラ13A、13Bの間に形成されている圧接領域Pを通過させ、これにより特定積層体5を製造する構成のものである。
図1において、14は積層体搬送路である。
また、図2に示されている積層体製造装置は、第1の特定フィルム搬送路11Aを介して第1の特定フィルム供給手段11から供給される第1の特定フィルム2の表面(図2の圧着領域において右面)に溶融押出機10によって溶融樹脂膜を形成し、この溶融樹脂膜の表面(図2の圧着領域Pにおいて右面)に第2の特定フィルム搬送路12Aを介して第2の特定フィルム供給手段12から供給される第2の特定フィルム3を配置することによって仮積層体を得、この仮積層体を、互いに圧接された状態で設けられている加圧ローラ13A、13Bの間に形成されている圧接領域Pを通過させ、これにより特定積層体5を製造する構成のものである。
図2において、17は加圧ローラ13Aに担持されている状態の特定積層体を当該加圧ローラ13Aの表面から分離するための分離手段であり、18は分離手段17によって加圧ローラ13Aから剥離された状態の特定積層体を積層体搬送路14に対して供給するための搬送ローラである。
第1の特定フィルムに開環重合体フィルムを積層するための溶融押出法としては、特に限定されるものではなく、例えば溶融押出機として公知の1軸式押出機あるいは2軸式押出機を用い、成形樹脂材料である環状オレフィン系開環重合体を溶融させ、この溶融状態の成形樹脂材料(以下、「溶融樹脂」ともいう。)を、ギアポンプで定量的に計量し、スリット状の出口を持ったダイから第1の特定フィルムの表面に押し出す手法を用いることができる。
また、押出機には、ギアポンプによって定量された成形樹脂材料中の異物、溶融押出処理中に生成される焼けやゲルなどの夾雑物を除去するためのポリマーフィルターが備えられていることが好ましい。
ここに、押出機としては、L/Dが28〜40であるものが好ましく、また、そのスクリュー径は、押出量により異なるが、通常、30〜125mmである。
スクリュー径が30mm未満である場合には、計量安定性やフィルム生産性が低くなるおそれがあり、一方、スクリュー径が125mmを超える場合には、計量された溶融樹脂が滞留し、これに起因して熱劣化が生じるおそれがある。
ギアポンプとしては、溶融樹脂を潤滑に排出することができることから、外潤式のものが好適に用いられる。
ダイとしては、通常、Tダイが用いられる。Tダイとしては、コートハンガーダイ、フィッシュテールダイなどが挙げられ、これらの中では、コートハンガーダイが好ましい。また、マニーホールドとしては、特に制限はないが、成形樹脂材料の熱劣化を抑制するという観点から、滞留が生じにくい構造を有するものが好適に用いられる。
ポリマーフィルターとしては、溶融樹脂が滞留することを抑制することができることから、リーフディスクタイプのものが好適に用いられる。
また、ポリマーフィルターの濾過精度は、通常、20μm以下であり、好ましくは10μm以下である。
濾過精度が20μmを超える場合には、夾雑物がポリマーフィルターをすり抜け、得られる特定積層体に黒色欠点などの外観不良が生じるおそれがある。
溶融押出機から押し出されて第1の特定フィルムの表面に接触する、溶融状態の環状オレフィン系開環重合体の温度(以下、「押出樹脂温度」ともいう。)は、第1の特定フィルムに係る環状オレフィン系付加重合体のガラス転移温度よりも30℃以上低温であることが好ましく、特に当該ガラス転移温度よりも50℃以上低温であることが好ましい。
押出樹脂温度と環状オレフィン系付加重合体のガラス転移温度との差が30℃未満である場合には、特性積層体を製造するための工程において、第1の特定フィルムが変形し、得られる特定積層体の形状や表面性に問題が生じるおそれがある。
仮積層体を加圧ローラによって加圧する加圧処理中においては、溶融樹脂膜の温度が、当該溶融樹脂膜を構成する環状オレフィン系開環重合体のガラス転移温度以上であると共に第1の特定フィルムに係る環状オレフィン系付加重合体のガラス転移温度よりも30℃以上低温である温度範囲となるように温度制御を行うことが好ましい。このような温度制御を行うことにより、得られる特定積層体における各構成層間の密着性高いものとすることができる。
温度制御の手法としては、例えば溶融押出処理が開始されてから加圧処理が開始されるまでの時間を調整すること、加圧ローラ等の圧着に用いる部材を加温しておくこと、仮積層体を加圧処理に供する前に加熱炉等によって適宜の温度に加温すること、などが挙げられる。
付加重合体フィルムとしては、その厚みが、通常、1〜500μmであるものが用いられ、好ましくは5〜300μmであるものが用いられる。
厚みが1μm未満である場合には、付加重合体フィルムに十分な機械的強度が得られず、特定積層体を製造するための工程における作業性が低下したり、また、得られる特定積層体が十分な耐熱性を有するものとならないおそれがある。
一方、厚みが500μmを超える場合には、付加重合体フィルム中の残留溶媒量を充分に低減することができずに後述する問題が生じるおそれがある。
また、付加重合体フィルムには、本発明の効果を損なわない範囲において、開環重合体フィルムが積層される面に表面処理が施されていてもよい。
表面処理としては、例えばプラズマ処理、コロナ処理、紫外線照射処理あるいは電子線照射処理等の物理的処理、酸やアルカリあるいは溶剤による処理等の化学的処理、もしくはプライマーや粘着剤もしくはホットメルト型接着剤のコーティング処理などが挙げられる。これらの中では、得られる特定積層体の耐熱性や透明性に影響が少ないとされる物理的処理および化学的処理が好ましい。
付加重合体フィルムは、環状オレフィン系付加重合体を成形樹脂材料とし、フィルム状の成形体を成形することによって製造することができる。
付加重合体フィルムを成形するための成形方法としては、特に限定はされないが、成形樹脂材料である環状オレフィン系付加重合体がガラス転移温度が250℃以上と高いものであるため、溶融成形法を用いる場合には熱劣化の問題が不可避となることから、通常は溶液キャスティング法が適用される。
溶液キャスティング法としては、公知の手法が適用でき、例えば環状オレフィン系付加重合体を適当な溶媒に溶解もしくは分散させた後、この重合体溶液をエンドレスベルトやフィルムなどの支持体上にコーティングして塗膜を形成し、この塗膜から溶媒を乾燥除去して更に支持体を除去することにより、環状オレフィン系付加重合体よりなるフィルムを得る手法が用いられる。
付加重合体フィルム中における残留溶媒量は、1重量%以下であることが好ましい。
残留溶媒量が1重量%を超える場合には、特定積層体を製造する工程において、付加重合体フィルムが変形するなどの弊害が生じるおそれがあり、また、得られる特定積層体を平面ディスプレイの構成部材として用いた場合には、その製造工程において残留溶媒が揮散することに起因して平面ディスプレイを製造するための装置が汚染されてしまうおそれがある。
付加重合体フィルムを構成する環状オレフィン系付加重合体においては、その分子量は、ポリスチレン換算数平均分子量が10,000〜500,000であることが必要である。
ポリスチレン換算数平均分子量が10,000未満である場合には、十分な機械的強度を有するフィルムを得ることができず、積層体を製造するための工程において破断が生じやすく、また、得られる積層体の強度が実用上十分なものとならない。
一方、ポリスチレン換算数平均分子量が500,000を超える場合には、付加重合体フィルムの製造工程において、重合体溶液の粘度が高くなり作業性が低下し、また、得られる付加重合体フィルムの表面性が低下するなどの問題が生じることがある。
また、環状オレフィン系付加重合体のガラス転移温度は、250℃以上であることが必要であり、300℃以上であることが好ましい。
ガラス転移温度が250℃未満である場合には、得られる積層体が十分な耐熱性を有するものとならず、この積層体を平面ディスプレイの構成部材として用いた場合には、その製造工程において、当該積層体が工程温度に十分に対応できなくなることがある。
環状オレフィン系付加重合体は、23℃における飽和吸水率が0.05〜1重量%であることが好ましく、特に0.1〜0.5重量%であることが好ましい。
飽和吸水率が0.05重量%未満である場合には、得られる特定積層体を、例えば平面ディスプレイなどの構成部材として用いる場合において、当該平面ディスプレイを構成する他の構成部材、具体的にはインク、接着剤あるいは透明電極などとの密着性や接着性に問題が生じることがある。
一方、飽和吸水率が1重量%を超える場合には、得られる特定積層体に付加重合体フィルムの吸水(湿)変形に起因する問題が生じたり、また、得られる特定積層体を平面ディスプレイの構成部材として用いる場合には、その製造工程において頻繁に用いられる減圧条件下での加工処理中における脱気操作に長時間を要することになり生産性に問題が生じたりすることがある。
環状オレフィン系付加重合体を構成する構造単位(a)は、下記の一般式(3)で表される環状オレフィン(以下、「特定の環状オレフィン(1)」ともいう。)を付加重合することにより形成されるものである。
Figure 0004367179
〔式中、R1 〜R4 は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、および酸素原子、硫黄原子、窒素原子若しくはケイ素原子を含む若しくは含まない、連結基を有していてもよい置換または非置換の炭素数1〜30の有機基を示す。R1 またはR2 と、R3 またはR4 とは一体化して2価の炭化水素基を形成してもよく、また、R1 またはR2 と、R3 またはR4 とは、互いに結合して炭素環または複素環を形成していてもよく、これらの炭素環および複素環は単環構造または多環構造を形成していてもよい。mおよびnは、それぞれ独立に0または1である。〕
このような特定の環状オレフィン(1)の具体例としては、例えば以下の化合物が挙げられるが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
(1)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
(2)5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
(3)5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
(4)5−ヘキシルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
(5)5−シクロヘキシルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
(6)5−シクロオクチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
(7)5−フェニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
(8)5−エチリデンビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
(9)5−ビニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
(10)5,5−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
(11)5,6−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
(12)5−メチル−5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
(13)5−フルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
(14)5−クロロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
(15)トリシクロ[4.3.0.12,5 ]デカ−3−エン
(16)トリシクロ[4.4.0.12,5 ]ウンデカ−3−エン
(17)トリシクロ[6.4.0.12,5 ]トリデカ−3−エン
(18)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]ドデカ−3−エン
(19)8−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 7,10]ドデカ−3−エン
(20)8−エチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 7,10]ドデカ−3−エン
(21)8−シクロヘキシル−テトラシクロ[4.4.0.12,5 7,10]ドデカ−3−エン
(22)8−フェニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 7,10]ドデカ−3−エン
(23)8,8−ジメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 7,10]ドデカ−3−エン(24)8,9−ジメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 7,10]ドデカ−3−エン(25)8−フルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5 7,10]ドデカ−3−エン
(26)8−クロロテトラシクロ[4.4.0.12,5 7,10]ドデカ−3−エン
(27)8−トリクロロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 7,10]ドデカ−3−エン
(28)5−ヒドロキシメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
(29)5−メチル−5−ヒドロキシメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
(30)5−ヒドロキシエチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
(31)5−メチル−5−ヒドロキシエチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
(32)5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
(33)5−メチル−5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(34)5−シアノビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
(35)5−トリメチルシリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
(36)5−トリエチルシリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
(37)5−トリメトキシシリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
(38)5−トリエトキシシリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
(39)5−ジメチルクロロシリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
(40)5−ジメトキシクロロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
(41)8−ヒドロキシメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 7,10]ドデカ−3−エン
(42)8−メチル−8−ヒドロキシメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 7,10]ドデカ−3−エン
(43)8−ヒドロキシエチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 7,10]ドデカ−3−エン
(44)8−メチル−8−ヒドロキシエチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 7,10]ドデカ−3−エン
(45)8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 7,10]ドデカ−3−エン
(46)8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 7,10]ドデカ−3−エン
(47)8−シアノテトラシクロ[4.4.0.12,5 7,10]ドデカ−3−エン
(48)8−トリメチルシリルテトラシクロ[4.4.0.12,5 7,10]ドデカ−3−エン
(49)8−トリエチルシリルテトラシクロ[4.4.0.12,5 7,10]ドデカ−3−エン
(50)8−トリメトキシシリルテトラシクロ[4.4.0.12,5 7,10]ドデカ−3−エン
(51)8−トリエトキシシリルテトラシクロ[4.4.0.12,5 7,10]ドデカ−3−エン
(52)8−ジメチルクロロシリルテトラシクロ[4.4.0.12,5 7,10]ドデカ−3−エン
(53)8−ジメトキシクロロシリルテトラシクロ[4.4.0.12,5 7,10]ドデカ−3−エン
これらは、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、環状オレフィン系付加重合体を構成する構造単位(a)は、ノルボルネン環構造単位と、ノルボルネン環構造単位以外の環状オレフィン構造単位とを有するジエン化合物(以下、「特定の環状ジオレフィン」ともいう。)、もしくは特定の環状ジオレフィンの置換誘導体を付加重合し、これにより得られた重合体における環状オレフィン性不飽和結合を、後述する公知の方法によって水素添加することによっても形成することができる。
特定の環状ジオレフィンの具体例としては、例えば下記の化合物が挙げられる。
(1)トリシクロ[4.3.0.12,5 ]デカ−3,7−ジエン(ジシクロペンタジエン)
(2)トリシクロ[4.4.0.12,5 ]ウンデカ−3,7−ジエン
(3)トリシクロ[4.4.0.12,5 ]ウンデカ−3,8−ジエン
(4)トリシクロ[6.4.0.12,5 ]トリデカ−3,7−ジエン
(5)トリシクロ[6.4.0.12,5 ]トリデカ−3,8−ジエン
(6)トリシクロ[6.4.0.12,5 ]トリデカ−3,9−ジエン
これらは、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
以上の環状オレフィン系付加重合体を得るための単量体である、特定の環状オレフィン(1)および特定の環状ジオレフィンの具体例として例示した化合物の中では、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンもしくは炭化水素基により置換されたビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンの誘導体、あるいはトリシクロ[4.3.0.12,5 ]デカ−3−エンもしくは炭化水素基により置換されたこれらの誘導体であって立体構造がendo型であるもの、トリシクロ[4.3.0.12,5 ]デカ−3,7−ジエンもしくは炭化水素基により置換された誘導体であって立体構造がendo型であるものが好ましい。このような化合物を環状オレフィン系付加重合体を得るために用いることにより、優れた靱性を有する付加重合体フィルムを得ることができる。
また、環状オレフィン系付加重合体を得るための単量体として、酸素原子、硫黄原子、窒素原子もしくはケイ素原子を含有する有機基を有するものを用いた場合には、得られる付加重合体フィルムが、例えばインク、接着剤あるいは透明電極などとの密着性や接着性などの後加工性に優れたものとなる。
環状オレフィン系付加重合体において、構造単位(a)の含有割合は、通常、50モル%以上、好ましくは80モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上である。
構造単位(a)の含有割合が50モル%未満である場合は、環状オレフィン系付加重合体のガラス転移温度が低くなり、十分な耐熱性が得られなくなるおそれがある。
環状オレフィン系付加重合体には、構造単位(a)以外の他の構造単位が含有されていてもよく、また、構造単位(a)がランダムに存在していても、ブロック状に偏在していてもよい。
他の構造単位としては、α−オレフィン化合物に由来する構造単位(c)、特定の環状オレフィン(1)以外の環状オレフィン(以下、「特定の環状オレフィン(2)」ともいう。)を付加重合して得られる構造単位(d)が挙げられる。
環状オレフィン系付加重合体においては、構造単位(c)を含有することによりガラス転移温度を制御することができ、また、構造単位(d)を含有することにより靱性を制御することができる。
構造単位(c)に係るα−オレフィン化合物の具体例としては、例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、トリメチルシリルエチレン、トリエチルシリルエチレン、ビニルシクロヘキサン、スチレン、4−メチルスチレン、2−メチルスチレン、4−エチルスチレンなどが挙げられる。
これらは、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
環状オレフィン系付加重合体において、構造単位(c)の含有割合は、通常、0〜40モル%、好ましくは0〜20モル%である。
構造単位(c)の含有割合が40モル%を超える場合には、環状オレフィン系付加重合体のガラス転移温度が低くなり、十分な耐熱性が得られなくなるおそれがある。
構造単位(d)に係る特定の環状オレフィン(2)の具体例としては、例えばシクロペンテン、シクロヘキセン、シクロへプテン、シクロオクテンなどの単環の環状オレフィンやこれらの置換誘導体、1−メチルシクロペンテン、1−メチルシクロヘキセン、1−メチルシクロへプテン、1−メチルシクロオクテン、1−メトキシシクロペンテン、1−ヒドロキシシクロペンテン、1−クロロシクロペンテンなどが挙げられる。
これらは、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
環状オレフィン系付加重合体において、構造単位(d)の含有割合は、通常、0〜20モル%、好ましくは0〜10モル%である。
構造単位(d)の含有割合が20モル%を超える場合には、環状オレフィン系付加重合体の靱性が低くなり、得られる特定積層体に実用上の問題が生じるおそれがある。
環状オレフィン系付加重合体には、必要に応じて酸化防止剤や紫外線吸収剤などの添加剤が添加されていてもよい。
以上のような環状オレフィン系付加重合体は、特定の環状オレフィン(1)、および必要に応じてα−オレフィン化合物や特定の環状オレフィン(2)などの単量体を付加重合し、必要に応じて水素化することによって製造することができる。
ここに、水素化が必要とされる場合としては、例えば環状オレフィン系付加重合体を得るための単量体として、分子内にオレフィン性不飽和結合を有するものを用いる場合が挙げられ、このような場合には水素化を施すことにより、最終的に得られる特定積層体に熱や光などによる着色および劣化が生じることを防ぐことができる。
また、環状オレフィン系付加重合体は、特定の環状ジオレフィン、もしくは特定の環状ジオレフィンの置換誘導体を付加重合し、水素化することによっても製造することができる。
環状オレフィン系付加重合体を得るための付加重合反応としては、例えば特表平9−508649号公報、特表平11−505877号公報、特開昭60−168708号公報、特開昭61−115912号公報、特開昭61−168708号公報などに記載された公知の手法を用いることができる。
水素化のための水素添加方法としては、例えば特開昭63−218726号公報、特開平1−132626号公報、特開平1−240517号公報、特開平2−10221号公報などに記載された公知の手法を適用することができる。
架橋体フィルムは、環状オレフィン系付加重合体を得るための単量体として、特定の環状オレフィン(1)であってアルコキシシリル基などの加水分解性シリル基を有するものを用いることによって得られた付加重合体フィルムに対して適宜の架橋処理を施すことによって製造することができる。
このような架橋体フィルムは、当該架橋体フィルムを得るために用いた付加重合体フィルムの有する優れた特性を有し、しかも架橋構造が形成されてなるものであることから一層優れた耐熱性や機械的強度が得られ、また、得られる特定積層体は、例えば平面ディスプレイなどの構成部材として用いる場合において、インジウム−スズ酸化物(ITO)などの電極材料との極めて高い密着性を有するものとなる。
架橋体フィルムとしては、その厚みが、通常、1〜500μmであるものが用いられ、好ましくは5〜300μmであるものが用いられる。
また、架橋体フィルムには、本発明の効果を損なわない範囲において、開環重合体フィルムが積層される面に表面処理が施されていてもよい。
溶融押出法によって成形される開環重合体フィルムを構成する環状オレフィン系開環重合体においては、その分子量は、ポリスチレン換算数平均分子量が6,000〜100,000であることが必要である。
ポリスチレン換算数平均分子量が6,000未満である場合には、得られる積層体の強度が実用上十分なものとならないことがある。
一方、ポリスチレン換算数平均分子量が100,000を超える場合には、溶融粘度が高くなり、溶融押出法による成形が困難となることがある。
また、環状オレフィン系開環重合体のガラス転移温度は、100〜180℃であることが必要であり、130〜180℃であることが好ましい。
ガラス転移温度が100℃未満である場合には、得られる積層体が十分な耐熱性を有するものとならず、この積層体を平面ディスプレイの構成部材として用いた場合には、当該平面ディスプレイの製造工程において、当該積層体が工程温度に十分に対応できなくなることがある。
一方、ガラス転移温度が180℃を超える場合には、溶融温度が高温となることに起因して熱劣化が生じたり、また、溶融押出処理中において、押出樹脂温度と付加重合体フィルムを構成する環状オレフィン系付加重合体のガラス転移温度との温度差が小さくなるために付加重合体フィルムに変形が生じ所望の積層体を得ることができなくなるおそれがある。
環状オレフィン系開環重合体は、23℃における飽和吸水率が0.05〜1重量%であることが好ましく、特に0.1〜0.5重量%であることが好ましい。
飽和吸水率が0.05重量%未満である場合には、得られる特定積層体において、特定フィルムよりなる層との密着性に問題が生じることがある。
一方、飽和吸水率が1重量%を超える場合には、得られる特定積層体に開環重合体フィルムの吸水(湿)変形に起因する問題が生じたり、また、得られる特定積層体を平面ディスプレイの構成部材として用いる場合には、その製造工程において頻繁に用いられる減圧条件下での加工処理中における脱気操作に長時間を要することになり生産性に問題が生じたりすることがある。
環状オレフィン系開環重合体中における残留溶媒量は、通常、0.2重量%以下であることが好ましく、特に0.1重量%以下であることが好ましい。
残留溶媒量が0.2重量%を超える場合には、溶融押出処理中に気泡が発生することに起因して得られる特積層体に欠陥が生じたり、例えばダイスやローラなどの特定積層体を製造するために用いられる部材に付着物が付着するなどの問題が生じるおそれがある。
また、環状オレフィン系開環重合体中におけるゲルや異物などの夾雑物の量は、少なければ少ない程好ましいが、通常、1重量%以下であることが好ましい。
夾雑物が1重量%以上存在する場合には、得られる特定積層体にシルバーや黒色欠点などの外観不良が生じるおそれがある。
環状オレフィン系開環重合体を構成する構造単位(b)は、上記一般式(3)で表される特定の環状オレフィン(1)を開環重合することにより形成されるものである。
また、構造単位(b)は、上記特定の環状ジオレフィンを開環重合し、これにより得られた重合体における環状オレフィン性不飽和結合を、後述する公知の方法によって水素化することによっても形成することができる。
ここに、環状オレフィン系開環重合体を得るための単量体である、特定の環状オレフィン(1)および特定の環状ジオレフィンとしては、環状オレフィン系付加重合体を得るための特定の環状オレフィン(1)および特定の環状ジオレフィンとして用いることのできるものを好適に用いることができる。
そして、環状オレフィン系開環重合体を得るための単量体としては、環状オレフィン系付加重合体を得るための単量体として用いるものと同様の構成のものを用いることが好ましい。この場合には、環状オレフィン系付加重合体と環状オレフィン系開環重合体との屈折率差が小さくなり、また、得られる特定積層体において、特定フィルムよりなる層と開環重合体フィルムよりなる層とに優れた密着性が得られる。
環状オレフィン系開環重合体において、構造単位(b)の含有割合は、通常、80モル%以上であり、好ましくは90モル%以上ある。
構造単位(b)の含有割合が80モル%未満である場合には、環状オレフィン系開環重合体のガラス転移温度が低くなり、十分な耐熱性を得られなくなるおそれがある。
環状オレフィン系開環重合体には、構造単位(b)以外の他の構造単位が含有されていてもよい。
他の構造単位としては、上記特定の環状オレフィン(2)を開環重合して得られる構造単位(e)が挙げられる。
環状オレフィン系開環重合体において、構造単位(e)の含有割合は0〜20モル%であることが好ましい。
以上のような環状オレフィン系開環重合体は、特定の環状オレフィン(1)、および必要に応じて特定の環状オレフィン(2)などの単量体を開環重合し、必要に応じて水素化することによって製造することができる。
ここに、水素化が必要とされる場合としては、例えば環状オレフィン系開環重合体を得るための単量体として、分子内にオレフィン性不飽和結合を有するものを用いる場合が挙げれ、このような場合には水素化を施すことにより、最終的に得られる特定積層体に熱や光などによる着色および劣化が生じることを防ぐことができる。
また、環状オレフィン系開環重合体は、特定の環状ジオレフィンを付加重合し、水素化することによって製造することができる。
環状オレフィン系開環重合体を得るための開環重合反応としては、例えば特開昭63−218726号公報、特開平1−132626号公報、特開平1−240517号公報、特開平2−10221号公報などに記載された公知の手法を用いることができる。
水素化のための水素添加方法としては、例えば、特開昭63−218726号公報、特開平1−132626号公報、特開平1−240517号公報、特開平2−10221号公報などに記載された公知の手法を適用することができる。
開環重合体反応によって得られた重合体のオレフィン性不飽和結合の水素添加率は、通常、80%以上、好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上であるが、係るオレフィン性不飽和結合は、架橋反応の起点となって付加重合体フィルムとの密着性を向上させたり、あるいは、得られる特定積層体の機械的強度を向上させたりする作用を有するものであることから、所望の特性に応じて適宜選択することができる。
また、環状オレフィン系開環重合体は、芳香族性の不飽和結合を有する場合には、係る芳香属性の不飽和結合は屈折率などの光学特性に好ましい効果を与えることがあるので、水素化することは必ずしも必要ではない。
本発明の積層体の製造方法としては、異物等のコンタミを防止ことができると共に、高いフィルム生産性が得られ、高品質の特定積層体が得られることから、図1および図2に示されるような手法を用いることが好ましいが、第1の特定フィルムの表面に溶融押出法によって開環重合体フィルムを成形して積層することにより、特定フィルム層上に開環重合体フィルム層が積層されてなる構成の積層体を得、次いで、この積層体における開環重合体フィルムよりなる層の表面に第2の特定フィルムを適宜の手法によって積層することにより、第1の特定フィルムよりなる第1層上に開環重合体フィルムよりなる第2層および第2の特定フィルムよりなる第3層がこの順に積層されてなる構成の特定積層体を得る手法を用いることもできる。
以上のような積層体の製造方法においては、特定フィルムに係る環状オレフィン系付加重合体と開環重合体フィルムに係る環状オレフィン系開環重合体の屈折率の差が小さければ小さい程好ましく、波長550nm、温度25℃の条件において測定される、環状オレフィン系付加重合体の屈折率と、環状オレフィン系開環重合体の屈折率との差が0.02以下であることが好ましく、特に0.01以下であることが好ましい
屈折率差が0.02を超える場合には、環状オレフィン系付加重合体に由来の構成層と環状オレフィン系開環重合体に由来の構成層との界面で界面反射が発生することに起因して全光線透過率が低下するため、得られる特定積層体を平面ディスプレイの構成部材として用いる場合には、画像の視認性に問題が生じるおそれがある。
このような積層体の製造方法によって得られる特定積層体においては、その厚みは所望の特性に応じて決定されるものであり、一義的に決定されるものではないが、通常0.1〜5mmである。
厚みが0.1mm未満である場合には、特定積層体自体の機械的強度が不十分となり、その使用に制約が生じるおそれがある。
一方、厚みが5mmを超える場合には、全光線透過率が低下して透明性に問題が生じるおそれがある。
ここに、特定積層体においては、第1層の厚みが 0.001〜0.5mm(1〜500μm)であり、第2層の厚みが0.09〜4.5mm(9〜450μm)であり、第3層の厚みが0.001〜0.5mm(1〜500μm)であることが好ましく、更に第1層の厚みが0.005〜0.3mm(5〜300μm)であり、第2層の厚みが0.15〜3.0mm(15〜300μm)であり、第3層の厚みが0.005〜0.3mm(5〜300μm)であることが好ましい。
特定積層体は、透明性等の光学特性に優れ、極めて優れた耐熱性を有するものであるため、液晶表示素子、エレクトロルミネッセンス表示素子あるいはプラズマ発光表示素子などの平面ディスプレイ用の透明基板として有用である。
また、特定積層体には、高温スパッタ加工が可能であるため結晶性ITOを形成することができ、係る透明導電層を有する基板は、タッチパネル用基板としても最適である。
特に、特定積層体を平面ディスプレイ等の透明基板として用いる場合には、その全光線透過率は、通常、80%以上であり、好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上である。
以下、本発明を実施例によってさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって何ら制限を受けるものではない。
以下において、各種の特性は下記の方法によって測定した。
(1)分子量
ウォーターズ(WATERS)社製「150C型ゲルパーミエションクロマトグラフィー(GPC)装置」において、東ソー(株)製「Hタイプカラム」を用い、o−ジクロロベンゼンを溶媒として、温度120℃の条件で測定した。得られた分子量は標準ポリスチレン換算値である。
(2)ガラス転移温度
動的粘弾性を表すTanδ(貯蔵弾性率E' と損失弾性率E" との比E" /E' )の温度分散におけるピーク温度をガラス転移温度として測定した。
動的粘弾性の測定は、オリエンテック社製の「レオバイブロンDDV−01FP」を用い、測定周波数が10Hz、昇温速度が4℃/分、加振モードが単一波形、加振振幅が2.5μmの条件によって行った。
(3)残留溶媒量
ヒューレット・パッカード社製「ガスクロマトグラフィーHP−5890」において、同社製のカラム「PoraplotQ」を用い、試料1gをシクロヘキサンに溶解あるいは膨潤したものについて、昇温速度10℃/minで50℃から250℃まで昇温する条件下でシクロヘキサン中における溶媒量を測定することによって定量した。
(4)重合体の屈折率
カルニュー光学工業株式会社製「デジタル精密屈折計KPR−200」を用い、酸化防止剤等の添加剤が添加されていない状態の重合体を試料としてトルエンに溶解し、得られた溶液をガラス板上にキャストし、温度80℃、常圧の条件下で30分間乾燥処理した後、更に温度200℃、減圧の条件下で1時間乾燥することにより得られた厚さ100μmのフィムルを試料として、波長550nm、温度25℃の条件で測定した。
(5)ゲル・異物(夾雑物)量
予め孔径0.1μmのアドバンテック東洋(株)製のメンブランフィルターを用いて濾過を行った25℃のトルエン中に、試料50gを溶解することにより濃度1%溶液を調製し、この溶液を孔径0.1μmのアドバンテック東洋(株)製のメンブランフィルターを用いて濾過し、濾過後のフィルターを乾燥して、その重量の増加量をゲル・異物量として測定した。
(6)全光線透過率
ASTM−D1003に準拠し、積層体を40×40mm角に切り取ったものを試料として用いることによって測定した。
(7)曇価(ヘイズ)
積層体を40×40mm角に切り取ったものを試料とし、スガ試験機株式会社製の直読式ヘイズメーター「ヘイズコンピューターHGM−2DP」を用いて測定した。
(8)耐熱性評価
積層体を100mm×100mm角に切り取ったものを試料とし、温度250℃に設定した熱風乾燥機中に10時間静置した後、熱風乾燥機から取り出して室温まで冷却し、変形、剥離および着色の有無を目視にて観察した。
<合成例1(環状オレフィン系付加重合体の合成例)>
単量体としてビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン94重量部、5−トリエトキシシリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン9.6重量部および5−ヘキシルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン37.8重量部と、溶媒としてトルエン633重量部と、分子量調節剤として1−ヘキセン1.2重量部とを反応容器に窒素雰囲気下において仕込んだ。この反応容器に、オクタン酸ニッケルのヘキサン溶液と六フッ化アンチモン酸とを、−10℃の温度条件下において、オクタン酸ニッケルと六フッ化アンチモン酸とのモル比を1:1として反応させ、副生して沈殿するNi(SbF6 2 を除去して得られたオクタン酸ニッケルの六フッ化アンチモン酸変性体溶液を更にトルエンで希釈することによりニッケル原子換算で濃度0.1モル/リットルとなるよう調製したものを2.2重量部と、メチルアルミノキサンのトルエン溶液(Al原子換算における濃度1.5モル/リットル)1.45重量部と、三フッ化ホウ素エチルエーテラートのトルエン溶液(0.1モル/リットル)6.5重量部とを仕込み、重合反応を開始した。温度30℃の条件下において3時間かけて付加重合処理を行い、この付加重合処理をメタノールを添加することによって停止した。
得られた反応溶液に、水660重量部、乳酸4.3重量部を添加し、攪拌混合することによってこれらを当該反応溶液中に存在する触媒成分と反応させ、付加重合体相と水相とを静止分離した。その後、触媒成分の反応物を含む水相を除去することによって得られた付加重合体溶液を多量のイソプロピルアルコールに注いで付加重合体を凝固し、未反応単量体と残る触媒残査を除去した。
凝固回収した付加重合体を温度80℃、常圧の条件下において60分乾燥した後、再度、トルエンに溶解して濃度20%の水素添加開環重合体の溶液を得た。得られた溶液を多量のイソプロピルアルコール中に注ぎ、凝固物を分離回収した。同様の再溶解・凝固回収処理を3回行った後、得られた乾燥凝固物をクラッシャーで粉砕し、温度100℃、減圧の条件下で12時間乾燥することにより、付加重合体(以下、「付加重合体(1)」ともいう。)を得た。
得られた付加重合体(1)について、 1H−NMR測定(270MHz)を行ったところ、5−トリエトキシシリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンに由来する構造単位の割合は2.8モル%であり、5−ヘキシルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンに由来する構造単位の割合は14.8モル%であり、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンに由来する構造単位の割合は、82.4モル%であった。
また、付加重合体(1)のポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)は102,000であり、重量平均分子量(Mw)は214,000であって、Mw/Mnは2.1であった。また、ガラス転移温度は370℃であり、屈折率は1.531であった。
<合成例2(環状オレフィン系付加重合体の合成例)>
合成例1において、単量体としてビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン94重量部および8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]ドデカ−3−エン58重量部を用いたこと以外は合成例1と同様にして付加重合体(以下、「付加重合体(2)」ともいう。)を得た。
得られた付加重合体(2)について、 1H−NMR測定(270MHz)を行ったところ、8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]ドデカ−3−エンに由来する構造単位の割合は17.5モル%であり、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンに由来する構造単位の割合は、82.5モル%であった。
また、付加重合体(2)のポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)は113,000であり、重量平均分子量(Mw)は227,000であって、Mw/Mnは2.0であった。また、ガラス転移温度は380℃であり、屈折率は1.523であった。
<付加重合体フィルムの製造例1>
付加重合体(1)15重量部をトルエン35重量部中に溶解し、この系に酸化防止剤としてペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]およびトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイトの各々を、付加重合体(1)100重量部に対して0.9重量部添加した。得られた溶液を孔径0.5μmのフィルターによって濾過した後、鏡面を有するエンドレススチールベルト上にキャストし、当該ベルト上において温度80℃の条件下で10分間乾燥処理することによって得られたフィルムを剥離して温度120℃の乾燥炉中において常圧で60分間1次乾燥処理し、次いで温度200℃の乾燥炉中において常圧で30分間2次乾燥処理することにより、厚さ150μmのフィルム(以下、「フィルム(1)」ともいう。)を製造した。
得られたフィルム(1)の残留溶媒量は0.8%であった。
<付加重合体フィルムの製造例2>
付加重合体フィルムの製造例1において、付加重合体(1)に代えて付加重合体(2)を用いたこと以外は付加重合体フィルムの製造例1と同様にして厚さ150μmのフィルム(以下、「フィルム(2)」ともいう。)を製造した。
得られたフィルム(2)の残留溶媒量は0.8%であった。
<架橋体フィルムの製造例1>
付加重合体(1)15重量部および亜リン酸トリブチル0.1重量部をトルエン35重量部中に溶解し、この系に酸化防止剤としてペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]およびトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイトの各々を、付加重合体(1)100重量部に対して0.9重量部添加した。得られた溶液を孔径1μmのフィルターによって濾過した後、鏡面を有するエンドレススチールベルト上にキャストし、当該ベルト上において温度80℃の条件下で10分間乾燥処理することによって得られたフィルムを剥離して温度120℃の乾燥炉中において常圧で60分間1次乾燥処理し、次いで温度200℃の加熱スチーム中において20分間曝露し、最後に温度200℃の燥炉中において常圧で10分間2次乾燥処理することにより、厚さ150μmのフィルム(以下、「フィルム(3)」ともいう。)を製造した。
得られたフィルム(3)の残留溶媒量は0.1%であった。
このフィルム(3)は、温度80℃のトルエンに対しても溶解しないことから、架橋体フィルムであることを確認した。
<合成例3(環状オレフィン系開環重合体の合成例)>
単量体としてビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン23重量部および8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]ドデカ−3−エン227重量部と、分子量調節剤として1−ヘキセン25.5重量部およびトルエン750重量部とを窒素雰囲気下において反応容器に仕込み、この系を攪拌しながら温度60℃に加熱した。
次いで、この系に、重合触媒としてトリエチルアルミニウム(1.5モル/l)のトルエン溶液0.62重量部と、t−ブタノールおよびメタノールで変性した六塩化タングステン(t−ブタノール:メタノール: タングステン=0.35モル:0.3モル:1モル)のトルエン溶液(濃度0.05モル/l)3.7重量部とを添加し、温度80℃で3時間加熱攪拌することにより開環重合反応させて開環重合体溶液を得た。
得られた開環重合体溶液4,000部を別途反応容器に仕込み、この開環重合体溶液に、水素添加触媒としてRuHCl(CO)[P(C6 5 3 3 0.48重量部を添加し、水素ガス圧10MPa、反応温度165℃の条件下において3時間加熱攪拌して水素添加反応を行った。
得られた反応溶液を冷却した後に水素ガスを放圧し、この反応溶液を大量のメタノール中に注いで凝固物を分離回収し、これを再度トルエンに溶解して濃度20%の水素添加開環重合体の溶液を得、更に得られた溶液を多量のメタノール中に注いで凝固物を分離回収した。同様の再溶解・凝固回収処理を3回行った後、得られた乾燥凝固物をクラッシャーで粉砕し、温度100℃の減圧条件下において12時間乾燥することにより開環重合体(以下、「開環重合体(1)」ともいう。)を得た。
なお、最後の再溶解・凝固処理の際には、トルエンおよびメタノールはいずれも孔径0.1μmのフィルターを使用して濾過したものを用い、また、再溶解された溶液は孔径0.5μmのフィルターを用いて濾過した。
得られた開環重合体(1)について、 1H−NMR測定(270MHz)を行ったところ、水素添加率は99.9%であった。
また、開環重合体(1)のポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)は16,000であり、重量平均分子量(Mw)は57,000であって、Mw/Mnは3.56であった。また、開環重合体(1)のガラス転移温度は153℃であり、屈折率は1.514であり、残留溶媒量は0.05%であった。
その後、開環重合体(1)に、酸化防止剤としてペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]およびトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイトの各々を、開環重合体(1)100重量部に対して0.3重量部および0.9重量部添加し、この酸化防止剤を添加した重合体を溶融混練機によって280℃にて溶融混練りして押し出すことによっててペレット(以下、「ペレット(1)」ともいう。)を得た。
得られたペレット(1)中のゲル・異物量は0.6%であった。
<合成例4(環状オレフィン系開環重合体の合成例)>
合成例3において、単量体としてビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン50重量部および8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]ドデカ−3−エン200重量部を用い、分子量調節剤である1−ヘキセンを30.5重量部用いたこと以外は合成例3と同様にして開環重合体(以下、「開環重合体(2)」ともいう。)を得、更にペレット(以下、「ペレット(2)」ともいう。)を得た。
得られた開環重合体(2)について、 1H−NMR測定(270MHz)を行ったところ、水素添加率は99.9%であった。
また、開環重合体(2)のポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)は20,000であり、重量平均分子量(Mw)は64,000であって、Mw/Mnは3.20であった。また、開環重合体(2)のガラス転移温度は105℃であり、屈折率は1.515であり、残留溶媒量は0.05%であった。
また、得られたペレット(2)中のゲル・異物量は0.5%であった。
<実施例1>
ペレット(1)を、窒素循環式除湿乾燥機「NS−200」(日水加工株式会社製)を用いて温度100℃で3時間除湿乾燥した後、押出機のホッパーに移送した。
スクリュー径90mmの押出機「GM−90」(ジーエムエンジニアリング株式会社製)を用い、押出温度280℃、吐出量100kg/hrの条件下において、成形樹脂材料としてペレット(1)を溶融した溶融樹脂をギアポンプで定量し、公称目開き10μmのリーフディスク型ポリマーフィルターに通した後、コートハンガー型マニホールドを有する700mm幅のTダイにより、第1層とされるフィルム(3)上に溶融樹脂膜を形成した。その直後、形成した溶融樹脂膜上に、第3層とされるフィルム(3)を配置し、得られた仮積層体を、その表面が鏡面であって、200℃に加熱された一対の加圧ローラの間を通過させることにより(図1および図2参照)、フィルム(3)よりなる第1層上に、開環重合体(1)製のフィルムよりなる第2層およびフィルム(3)よりなる第3層が積層されてなる構成を有する、厚さ1mmの積層体(以下、「積層体(a)」ともいう。)を得た。
得られた積層体(a)について、その特性を確認した結果を表1に示す。
<実施例2>
実施例1において、ペレット(1)に代えてペレット(2)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、フィルム(3)よりなる第1層上に、開環重合体(2)製のフィルムよりなる第2層およびフィルム(3)よりなる第3層が積層されてなる構成を有する、、厚さ0.5mmの積層体(以下、「積層体(b)」ともいう。)を得た。
得られた積層体(b)について、その特性を確認した結果を表1に示す。
<実施例3>
実施例1において、第3層とされるフィルム(3)に代えてフィルム(1)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、フィルム(3)よりなる第1層上に、開環重合体(1)製のフィルムよりなる第2層およびフィルム(1)よりなる第3層が積層されてなる構成を有する、厚さ1mmの積層体(以下、「積層体(c)」ともいう。)を得た。
得られた積層体(c)について、その特性を確認した結果を表1に示す。
<実施例4>
実施例1において、第3層とされるフィルム(3)に代えてフィルム(2)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、フィルム(3)よりなる第1層上に、開環重合体(1)製のフィルムよりなる第2層およびフィルム(2)よりなる第3層が積層されてなる構成を有する、厚さ1mmの積層体(以下、「積層体(d)」ともいう。)を得た。
得られた積層体(d)について、その特性を確認した結果を表1に示す。
<実施例5>
実施例1において、ペレット(1)に代えてペレット(2)を用い、また、フィルム(3)に代えてフィルム(1)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、フィルム(1)よりなる第1層上に、開環重合体(2)製のフィルムよりなる第2層およびフィルム(1)よりなる第3層が積層されてなる構成を有する、厚さ0.5mmの積層体(以下、「積層体(e)」ともいう。)を得た。
得られた積層体(e)について、その特性を確認した結果を表1に示す。
<実施例6>
実施例5において、フィルム(1)に代えてフィルム(2)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、フィルム(2)よりなる第1層上に、開環重合体(2)製のフィルムよりなる第2層およびフィルム(2)よりなる第3層が積層されてなる構成を有する、厚さ0.5mmの積層体(以下、「積層体(f)」ともいう。)を得た。
得られた積層体(f)について、その特性を確認した結果を表1に示す。
Figure 0004367179
以上の結果から、実施例1〜実施例6に係る積層体の製造方法によれば、必要とされる機械的強度を得るための所望の厚みを有する積層体を容易に製造することができ、また得られる積層体が極めて優れた耐熱性および光学特性を有するものであることが確認された。
特に、実施例1〜実施例6に係る積層体の製造方法においては、第1層および第3層に係る環状オレフィン系付加重合体と第2層に係る環状オレフィン系開環重合体との屈折率の差が0.02以下(具体的には、0.008〜0.017)であることから、得られる積層体が高い全光線透過率を有するものとなった。参考に、第2層の材料として屈折率が1.491のポリメタクリル酸メチル樹脂を用いたこと以外は実施例1と同様にして得られた積層体においては、第1層と第2層とに係る屈折率の差および第3層と第2層とに係る屈折率の差が0.04と大きいため、界面における反射の影響が大きく、全光線透過率が81%と低くなった。
本発明の積層体の製造方法に用いられる積層体製造装置の構成の一例の概要を示す説明図である。 本発明の積層体の製造方法に用いられる積層体製造装置の構成の他の例の概要を示す説明図である。
符号の説明
2 第1の特定フィルム
3 第2の特定フィルム
5 特定積層体
10 溶融押出機
11 第1の特定フィルム供給手段
11A 第1の特定フィルム搬送路
12 第2の特定フィルム供給手段
12A 第2の特定フィルム搬送路
13A、13B 加圧ローラ
14 積層体搬送路
15 駆動ローラ
16 ベルト
17 分離手段
18 搬送ローラ

Claims (4)

  1. 下記一般式(1)で表される構造単位(a)を含有し、ポリスチレン換算数平均分子量が10,000〜500,000であり、ガラス転移温度が250℃以上である環状オレフィン系付加重合体よりなる付加重合体フィルム、または下記一般式 (1)で表わされる構造単位(a)を含有し、ポリスチレン換算数平均分子量が10,000〜500,000であり、ガラス転移温度が250℃以上であり、下記一般式(3)で表わされる環状オレフィンであってアルコキシシリル基を有するものを単量体として用いることによって得られる環状オレフィン系付加重合体の架橋体よりなる架橋体フィルムの少なくとも片面に、溶融押出法によって成形される、下記一般式(2)で表される構造単位(b)を含有し、ポリスチレン換算数平均分子量が6,000〜100,000であり、ガラス転移温度が100〜180℃である環状オレフィン系開環重合体よりなる開環重合体フィルムと、下記一般式(1)で表される構造単位(a)を含有し、ポリスチレン換算数平均分子量が10,000〜500,000であり、ガラス転移温度が250℃以上である環状オレフィン系付加重合体よりなる付加重合体フィルムおよび下記一般式 (1)で表わされる構造単位(a)を含有し、ポリスチレン換算数平均分子量が10,000〜500,000であり、ガラス転移温度が250℃以上であり、下記一般式(3)で表わされる環状オレフィンであってアルコキシシリル基を有するものを単量体として用いることによって得られる環状オレフィン系付加重合体の架橋体よりなる架橋体フィルムのいずれか一方のフィルムとをこの順に積層する工程を有することを特徴とする積層体の製造方法。
    Figure 0004367179
    〔式中、R1 〜R4 は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、および酸素原子、硫黄原子、窒素原子若しくはケイ素原子を含む若しくは含まない、連結基を有していてもよい置換または非置換の炭素数1〜30の有機基を示す。R1 またはR2 と、R3 またはR4 とは一体化して2価の炭化水素基を形成してもよく、また、R1 またはR2 と、R3 またはR4 とは、互いに結合して炭素環または複素環を形成していてもよく、これらの炭素環および複素環は単環構造または多環構造を形成していてもよい。mおよびnは、それぞれ独立に0または1である。〕
    Figure 0004367179
    〔式中、R5 〜R8 は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、および酸素原子、硫黄原子、窒素原子若しくはケイ素原子を含む若しくは含まない、連結基を有していてもよい置換または非置換の炭素数1〜30の有機基を示す。R5 またはR6 と、R7 またはR8 は一体化して2価の炭化水素基を形成してもよく、また、R5 またはR6 と、R7 またはR8 とは、互いに結合して炭素環または複素環を形成していてもよく、これらの炭素環および複素環は単環構造または多環構造を形成していてもよい。Xは−CH2 CH2 −基または−CH=CH−基を示す。pおよびqは、それぞれ独立に0または1である。〕
    Figure 0004367179
    〔式中、R 1 〜R 4 は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、および酸素原子、硫黄原子、窒素原子若しくはケイ素原子を含む若しくは含まない、連結基を有していてもよい置換または非置換の炭素数1〜30の有機基を示す。R 1 またはR 2 と、R 3 またはR 4 とは一体化して2価の炭化水素基を形成してもよく、また、R 1 またはR 2 と、R 3 またはR 4 とは、互いに結合して炭素環または複素環を形成していてもよく、これらの炭素環および複素環は単環構造または多環構造を形成していてもよい。mおよびnは、それぞれ独立に0または1である。〕
  2. 波長550nm、温度25℃の条件において測定される、環状オレフィン系付加重合体の屈折率と、環状オレフィン系開環重合体の屈折率との差が0.02以下であることを特徴とする請求項1に記載の積層体の製造方法。
  3. 請求項1または請求項2に記載の積層体の製造方法によって得られることを特徴とするる積層体。
  4. 全光線透過率が80%以上であることを特徴とする請求項3に記載の積層体。
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