JP4367179B2 - 積層体の製造方法および積層体 - Google Patents
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Description
しかしながら、アクリル樹脂やポリカーボネート樹脂などの従来から用いられている透明樹脂を透明基板の材料として用いた場合には、得られる透明基板が十分な耐熱性を有するものとならず、そのため、当該透明基板が平面ディスプレイの製造工程における、例えば透明電極や薄膜トランジスタの形成処理中の工程温度に耐えられないなどの実用上の問題がある。
また、ノルボルネン系単量体の付加重合体としては、そのガラス転移温度が300℃を超えるという特性を有するものを容易に得ることができるが、一方でガラス転移温度が極めて高温であるため、射出成形法や溶融押出法などの溶融成形法によって成形体を成形することが困難となり、通常、溶融キャスティング法によって成形が行われることとなることから、得られる透明基板がその厚みが小さくて十分な機械的強度を有するものとならず、例えば大型の平面ディスプレイへの適用に制約が生じる、という問題がある。
また、本発明の積層体は、全光線透過率が80%以上であることが好ましい。
従って、本発明の積層体の製造方法によれば、極めて耐熱性に優れた透明積層体を、所望の厚みで容易に得ることができるため、樹脂よりなる、大型の平面ディスプレイ用の透明基板を提供することができ、また、この製造方法によって製造される積層体は、例えばスパッタ処理や蒸着加工処理などの高温条件下において行われる処理を弊害を伴うことなく施すことができることから、タッチパネル等の透明電極基板として用いても好適に用いることができる。
本発明の積層体の製造方法は、上記一般式(1)で表される構造単位(a)を含有し、ポリスチレン換算数平均分子量が10,000〜500,000であると共にガラス転移温度が250℃以上である環状オレフィン系付加重合体よりなる付加重合体フィルム、または環状オレフィン系付加重合体の架橋体よりなる架橋体フィルムの少なくとも片面に、溶融押出法によって成形される、上記一般式(2)で表される構造単位(b)を含有し、ポリスチレン換算数平均分子量が6,000〜100,000であると共にガラス転移温度が100〜180℃である環状オレフィン系開環重合体よりなる開環重合体フィルムと、付加重合体フィルムおよび架橋体フィルムのいずれか一方のフィルム(以下、「特定フィルム」ともいう。)とをこの順に積層する工程を有するものである。
ここに、第1層を構成する第1の特定フィルムと、第3層を構成する第2の特定フィルムとは、異なる構成を有するものであってもよく、同一の構成を有するものであってもよいが、同一の構成を有するものであることが好ましい。
図1において、14は積層体搬送路である。
図2において、17は加圧ローラ13Aに担持されている状態の特定積層体を当該加圧ローラ13Aの表面から分離するための分離手段であり、18は分離手段17によって加圧ローラ13Aから剥離された状態の特定積層体を積層体搬送路14に対して供給するための搬送ローラである。
また、押出機には、ギアポンプによって定量された成形樹脂材料中の異物、溶融押出処理中に生成される焼けやゲルなどの夾雑物を除去するためのポリマーフィルターが備えられていることが好ましい。
スクリュー径が30mm未満である場合には、計量安定性やフィルム生産性が低くなるおそれがあり、一方、スクリュー径が125mmを超える場合には、計量された溶融樹脂が滞留し、これに起因して熱劣化が生じるおそれがある。
ダイとしては、通常、Tダイが用いられる。Tダイとしては、コートハンガーダイ、フィッシュテールダイなどが挙げられ、これらの中では、コートハンガーダイが好ましい。また、マニーホールドとしては、特に制限はないが、成形樹脂材料の熱劣化を抑制するという観点から、滞留が生じにくい構造を有するものが好適に用いられる。
また、ポリマーフィルターの濾過精度は、通常、20μm以下であり、好ましくは10μm以下である。
濾過精度が20μmを超える場合には、夾雑物がポリマーフィルターをすり抜け、得られる特定積層体に黒色欠点などの外観不良が生じるおそれがある。
押出樹脂温度と環状オレフィン系付加重合体のガラス転移温度との差が30℃未満である場合には、特性積層体を製造するための工程において、第1の特定フィルムが変形し、得られる特定積層体の形状や表面性に問題が生じるおそれがある。
温度制御の手法としては、例えば溶融押出処理が開始されてから加圧処理が開始されるまでの時間を調整すること、加圧ローラ等の圧着に用いる部材を加温しておくこと、仮積層体を加圧処理に供する前に加熱炉等によって適宜の温度に加温すること、などが挙げられる。
厚みが1μm未満である場合には、付加重合体フィルムに十分な機械的強度が得られず、特定積層体を製造するための工程における作業性が低下したり、また、得られる特定積層体が十分な耐熱性を有するものとならないおそれがある。
一方、厚みが500μmを超える場合には、付加重合体フィルム中の残留溶媒量を充分に低減することができずに後述する問題が生じるおそれがある。
表面処理としては、例えばプラズマ処理、コロナ処理、紫外線照射処理あるいは電子線照射処理等の物理的処理、酸やアルカリあるいは溶剤による処理等の化学的処理、もしくはプライマーや粘着剤もしくはホットメルト型接着剤のコーティング処理などが挙げられる。これらの中では、得られる特定積層体の耐熱性や透明性に影響が少ないとされる物理的処理および化学的処理が好ましい。
付加重合体フィルムを成形するための成形方法としては、特に限定はされないが、成形樹脂材料である環状オレフィン系付加重合体がガラス転移温度が250℃以上と高いものであるため、溶融成形法を用いる場合には熱劣化の問題が不可避となることから、通常は溶液キャスティング法が適用される。
残留溶媒量が1重量%を超える場合には、特定積層体を製造する工程において、付加重合体フィルムが変形するなどの弊害が生じるおそれがあり、また、得られる特定積層体を平面ディスプレイの構成部材として用いた場合には、その製造工程において残留溶媒が揮散することに起因して平面ディスプレイを製造するための装置が汚染されてしまうおそれがある。
ポリスチレン換算数平均分子量が10,000未満である場合には、十分な機械的強度を有するフィルムを得ることができず、積層体を製造するための工程において破断が生じやすく、また、得られる積層体の強度が実用上十分なものとならない。
一方、ポリスチレン換算数平均分子量が500,000を超える場合には、付加重合体フィルムの製造工程において、重合体溶液の粘度が高くなり作業性が低下し、また、得られる付加重合体フィルムの表面性が低下するなどの問題が生じることがある。
ガラス転移温度が250℃未満である場合には、得られる積層体が十分な耐熱性を有するものとならず、この積層体を平面ディスプレイの構成部材として用いた場合には、その製造工程において、当該積層体が工程温度に十分に対応できなくなることがある。
飽和吸水率が0.05重量%未満である場合には、得られる特定積層体を、例えば平面ディスプレイなどの構成部材として用いる場合において、当該平面ディスプレイを構成する他の構成部材、具体的にはインク、接着剤あるいは透明電極などとの密着性や接着性に問題が生じることがある。
一方、飽和吸水率が1重量%を超える場合には、得られる特定積層体に付加重合体フィルムの吸水(湿)変形に起因する問題が生じたり、また、得られる特定積層体を平面ディスプレイの構成部材として用いる場合には、その製造工程において頻繁に用いられる減圧条件下での加工処理中における脱気操作に長時間を要することになり生産性に問題が生じたりすることがある。
(1)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
(2)5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
(3)5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
(4)5−ヘキシルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
(5)5−シクロヘキシルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
(6)5−シクロオクチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
(7)5−フェニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
(8)5−エチリデンビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
(9)5−ビニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
(10)5,5−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
(11)5,6−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
(12)5−メチル−5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
(13)5−フルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
(14)5−クロロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
(16)トリシクロ[4.4.0.12,5 ]ウンデカ−3−エン
(17)トリシクロ[6.4.0.12,5 ]トリデカ−3−エン
(18)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]ドデカ−3−エン
(20)8−エチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 17,10]ドデカ−3−エン
(21)8−シクロヘキシル−テトラシクロ[4.4.0.12,5 17,10]ドデカ−3−エン
(22)8−フェニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 17,10]ドデカ−3−エン
(23)8,8−ジメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 17,10]ドデカ−3−エン(24)8,9−ジメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 17,10]ドデカ−3−エン(25)8−フルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5 17,10]ドデカ−3−エン
(26)8−クロロテトラシクロ[4.4.0.12,5 17,10]ドデカ−3−エン
(27)8−トリクロロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 17,10]ドデカ−3−エン
(29)5−メチル−5−ヒドロキシメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
(30)5−ヒドロキシエチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
(31)5−メチル−5−ヒドロキシエチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
(32)5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
(33)5−メチル−5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(34)5−シアノビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
(35)5−トリメチルシリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
(36)5−トリエチルシリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
(37)5−トリメトキシシリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
(38)5−トリエトキシシリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
(39)5−ジメチルクロロシリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
(40)5−ジメトキシクロロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
(42)8−メチル−8−ヒドロキシメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 17,10]ドデカ−3−エン
(43)8−ヒドロキシエチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 17,10]ドデカ−3−エン
(44)8−メチル−8−ヒドロキシエチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 17,10]ドデカ−3−エン
(45)8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 17,10]ドデカ−3−エン
(46)8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 17,10]ドデカ−3−エン
(47)8−シアノテトラシクロ[4.4.0.12,5 17,10]ドデカ−3−エン
(48)8−トリメチルシリルテトラシクロ[4.4.0.12,5 17,10]ドデカ−3−エン
(49)8−トリエチルシリルテトラシクロ[4.4.0.12,5 17,10]ドデカ−3−エン
(50)8−トリメトキシシリルテトラシクロ[4.4.0.12,5 17,10]ドデカ−3−エン
(51)8−トリエトキシシリルテトラシクロ[4.4.0.12,5 17,10]ドデカ−3−エン
(52)8−ジメチルクロロシリルテトラシクロ[4.4.0.12,5 17,10]ドデカ−3−エン
(53)8−ジメトキシクロロシリルテトラシクロ[4.4.0.12,5 17,10]ドデカ−3−エン
これらは、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
(1)トリシクロ[4.3.0.12,5 ]デカ−3,7−ジエン(ジシクロペンタジエン)
(2)トリシクロ[4.4.0.12,5 ]ウンデカ−3,7−ジエン
(3)トリシクロ[4.4.0.12,5 ]ウンデカ−3,8−ジエン
(4)トリシクロ[6.4.0.12,5 ]トリデカ−3,7−ジエン
(5)トリシクロ[6.4.0.12,5 ]トリデカ−3,8−ジエン
(6)トリシクロ[6.4.0.12,5 ]トリデカ−3,9−ジエン
これらは、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
構造単位(a)の含有割合が50モル%未満である場合には、環状オレフィン系付加重合体のガラス転移温度が低くなり、十分な耐熱性が得られなくなるおそれがある。
他の構造単位としては、α−オレフィン化合物に由来する構造単位(c)、特定の環状オレフィン(1)以外の環状オレフィン(以下、「特定の環状オレフィン(2)」ともいう。)を付加重合して得られる構造単位(d)が挙げられる。
環状オレフィン系付加重合体においては、構造単位(c)を含有することによりガラス転移温度を制御することができ、また、構造単位(d)を含有することにより靱性を制御することができる。
これらは、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
構造単位(c)の含有割合が40モル%を超える場合には、環状オレフィン系付加重合体のガラス転移温度が低くなり、十分な耐熱性が得られなくなるおそれがある。
これらは、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
構造単位(d)の含有割合が20モル%を超える場合には、環状オレフィン系付加重合体の靱性が低くなり、得られる特定積層体に実用上の問題が生じるおそれがある。
ここに、水素化が必要とされる場合としては、例えば環状オレフィン系付加重合体を得るための単量体として、分子内にオレフィン性不飽和結合を有するものを用いる場合が挙げられ、このような場合には水素化を施すことにより、最終的に得られる特定積層体に熱や光などによる着色および劣化が生じることを防ぐことができる。
このような架橋体フィルムは、当該架橋体フィルムを得るために用いた付加重合体フィルムの有する優れた特性を有し、しかも架橋構造が形成されてなるものであることから一層優れた耐熱性や機械的強度が得られ、また、得られる特定積層体は、例えば平面ディスプレイなどの構成部材として用いる場合において、インジウム−スズ酸化物(ITO)などの電極材料との極めて高い密着性を有するものとなる。
また、架橋体フィルムには、本発明の効果を損なわない範囲において、開環重合体フィルムが積層される面に表面処理が施されていてもよい。
ポリスチレン換算数平均分子量が6,000未満である場合には、得られる積層体の強度が実用上十分なものとならないことがある。
一方、ポリスチレン換算数平均分子量が100,000を超える場合には、溶融粘度が高くなり、溶融押出法による成形が困難となることがある。
ガラス転移温度が100℃未満である場合には、得られる積層体が十分な耐熱性を有するものとならず、この積層体を平面ディスプレイの構成部材として用いた場合には、当該平面ディスプレイの製造工程において、当該積層体が工程温度に十分に対応できなくなることがある。
一方、ガラス転移温度が180℃を超える場合には、溶融温度が高温となることに起因して熱劣化が生じたり、また、溶融押出処理中において、押出樹脂温度と付加重合体フィルムを構成する環状オレフィン系付加重合体のガラス転移温度との温度差が小さくなるために付加重合体フィルムに変形が生じ所望の積層体を得ることができなくなるおそれがある。
飽和吸水率が0.05重量%未満である場合には、得られる特定積層体において、特定フィルムよりなる層との密着性に問題が生じることがある。
一方、飽和吸水率が1重量%を超える場合には、得られる特定積層体に開環重合体フィルムの吸水(湿)変形に起因する問題が生じたり、また、得られる特定積層体を平面ディスプレイの構成部材として用いる場合には、その製造工程において頻繁に用いられる減圧条件下での加工処理中における脱気操作に長時間を要することになり生産性に問題が生じたりすることがある。
残留溶媒量が0.2重量%を超える場合には、溶融押出処理中に気泡が発生することに起因して得られる特定積層体に欠陥が生じたり、例えばダイスやローラなどの特定積層体を製造するために用いられる部材に付着物が付着するなどの問題が生じるおそれがある。
夾雑物が1重量%以上存在する場合には、得られる特定積層体にシルバーや黒色欠点などの外観不良が生じるおそれがある。
また、構造単位(b)は、上記特定の環状ジオレフィンを開環重合し、これにより得られた重合体における環状オレフィン性不飽和結合を、後述する公知の方法によって水素化することによっても形成することができる。
そして、環状オレフィン系開環重合体を得るための単量体としては、環状オレフィン系付加重合体を得るための単量体として用いるものと同様の構成のものを用いることが好ましい。この場合には、環状オレフィン系付加重合体と環状オレフィン系開環重合体との屈折率差が小さくなり、また、得られる特定積層体において、特定フィルムよりなる層と開環重合体フィルムよりなる層とに優れた密着性が得られる。
構造単位(b)の含有割合が80モル%未満である場合には、環状オレフィン系開環重合体のガラス転移温度が低くなり、十分な耐熱性を得られなくなるおそれがある。
他の構造単位としては、上記特定の環状オレフィン(2)を開環重合して得られる構造単位(e)が挙げられる。
環状オレフィン系開環重合体において、構造単位(e)の含有割合は0〜20モル%であることが好ましい。
ここに、水素化が必要とされる場合としては、例えば環状オレフィン系開環重合体を得るための単量体として、分子内にオレフィン性不飽和結合を有するものを用いる場合が挙げれ、このような場合には水素化を施すことにより、最終的に得られる特定積層体に熱や光などによる着色および劣化が生じることを防ぐことができる。
また、環状オレフィン系開環重合体は、芳香族性の不飽和結合を有する場合には、係る芳香属性の不飽和結合は屈折率などの光学特性に好ましい効果を与えることがあるので、水素化することは必ずしも必要ではない。
屈折率差が0.02を超える場合には、環状オレフィン系付加重合体に由来の構成層と環状オレフィン系開環重合体に由来の構成層との界面で界面反射が発生することに起因して全光線透過率が低下するため、得られる特定積層体を平面ディスプレイの構成部材として用いる場合には、画像の視認性に問題が生じるおそれがある。
厚みが0.1mm未満である場合には、特定積層体自体の機械的強度が不十分となり、その使用に制約が生じるおそれがある。
一方、厚みが5mmを超える場合には、全光線透過率が低下して透明性に問題が生じるおそれがある。
ここに、特定積層体においては、第1層の厚みが 0.001〜0.5mm(1〜500μm)であり、第2層の厚みが0.09〜4.5mm(9〜450μm)であり、第3層の厚みが0.001〜0.5mm(1〜500μm)であることが好ましく、更に第1層の厚みが0.005〜0.3mm(5〜300μm)であり、第2層の厚みが0.15〜3.0mm(15〜300μm)であり、第3層の厚みが0.005〜0.3mm(5〜300μm)であることが好ましい。
また、特定積層体には、高温スパッタ加工が可能であるため結晶性ITOを形成することができ、係る透明導電層を有する基板は、タッチパネル用基板としても最適である。
特に、特定積層体を平面ディスプレイ等の透明基板として用いる場合には、その全光線透過率は、通常、80%以上であり、好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上である。
(1)分子量
ウォーターズ(WATERS)社製「150C型ゲルパーミエションクロマトグラフィー(GPC)装置」において、東ソー(株)製「Hタイプカラム」を用い、o−ジクロロベンゼンを溶媒として、温度120℃の条件で測定した。得られた分子量は標準ポリスチレン換算値である。
(2)ガラス転移温度
動的粘弾性を表すTanδ(貯蔵弾性率E' と損失弾性率E" との比E" /E' )の温度分散におけるピーク温度をガラス転移温度として測定した。
動的粘弾性の測定は、オリエンテック社製の「レオバイブロンDDV−01FP」を用い、測定周波数が10Hz、昇温速度が4℃/分、加振モードが単一波形、加振振幅が2.5μmの条件によって行った。
(3)残留溶媒量
ヒューレット・パッカード社製「ガスクロマトグラフィーHP−5890」において、同社製のカラム「PoraplotQ」を用い、試料1gをシクロヘキサンに溶解あるいは膨潤したものについて、昇温速度10℃/minで50℃から250℃まで昇温する条件下でシクロヘキサン中における溶媒量を測定することによって定量した。
(4)重合体の屈折率
カルニュー光学工業株式会社製「デジタル精密屈折計KPR−200」を用い、酸化防止剤等の添加剤が添加されていない状態の重合体を試料としてトルエンに溶解し、得られた溶液をガラス板上にキャストし、温度80℃、常圧の条件下で30分間乾燥処理した後、更に温度200℃、減圧の条件下で1時間乾燥することにより得られた厚さ100μmのフィムルを試料として、波長550nm、温度25℃の条件で測定した。
(5)ゲル・異物(夾雑物)量
予め孔径0.1μmのアドバンテック東洋(株)製のメンブランフィルターを用いて濾過を行った25℃のトルエン中に、試料50gを溶解することにより濃度1%溶液を調製し、この溶液を孔径0.1μmのアドバンテック東洋(株)製のメンブランフィルターを用いて濾過し、濾過後のフィルターを乾燥して、その重量の増加量をゲル・異物量として測定した。
(6)全光線透過率
ASTM−D1003に準拠し、積層体を40×40mm角に切り取ったものを試料として用いることによって測定した。
(7)曇価(ヘイズ)
積層体を40×40mm角に切り取ったものを試料とし、スガ試験機株式会社製の直読式ヘイズメーター「ヘイズコンピューターHGM−2DP」を用いて測定した。
(8)耐熱性評価
積層体を100mm×100mm角に切り取ったものを試料とし、温度250℃に設定した熱風乾燥機中に10時間静置した後、熱風乾燥機から取り出して室温まで冷却し、変形、剥離および着色の有無を目視にて観察した。
単量体としてビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン94重量部、5−トリエトキシシリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン9.6重量部および5−ヘキシルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン37.8重量部と、溶媒としてトルエン633重量部と、分子量調節剤として1−ヘキセン1.2重量部とを反応容器に窒素雰囲気下において仕込んだ。この反応容器に、オクタン酸ニッケルのヘキサン溶液と六フッ化アンチモン酸とを、−10℃の温度条件下において、オクタン酸ニッケルと六フッ化アンチモン酸とのモル比を1:1として反応させ、副生して沈殿するNi(SbF6 )2 を除去して得られたオクタン酸ニッケルの六フッ化アンチモン酸変性体溶液を更にトルエンで希釈することによりニッケル原子換算で濃度0.1モル/リットルとなるよう調製したものを2.2重量部と、メチルアルミノキサンのトルエン溶液(Al原子換算における濃度1.5モル/リットル)1.45重量部と、三フッ化ホウ素エチルエーテラートのトルエン溶液(0.1モル/リットル)6.5重量部とを仕込み、重合反応を開始した。温度30℃の条件下において3時間かけて付加重合処理を行い、この付加重合処理をメタノールを添加することによって停止した。
凝固回収した付加重合体を温度80℃、常圧の条件下において60分間乾燥した後、再度、トルエンに溶解して濃度20%の水素添加開環重合体の溶液を得た。得られた溶液を多量のイソプロピルアルコール中に注ぎ、凝固物を分離回収した。同様の再溶解・凝固回収処理を3回行った後、得られた乾燥凝固物をクラッシャーで粉砕し、温度100℃、減圧の条件下で12時間乾燥することにより、付加重合体(以下、「付加重合体(1)」ともいう。)を得た。
また、付加重合体(1)のポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)は102,000であり、重量平均分子量(Mw)は214,000であって、Mw/Mnは2.1であった。また、ガラス転移温度は370℃であり、屈折率は1.531であった。
合成例1において、単量体としてビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン94重量部および8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]ドデカ−3−エン58重量部を用いたこと以外は合成例1と同様にして付加重合体(以下、「付加重合体(2)」ともいう。)を得た。
また、付加重合体(2)のポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)は113,000であり、重量平均分子量(Mw)は227,000であって、Mw/Mnは2.0であった。また、ガラス転移温度は380℃であり、屈折率は1.523であった。
付加重合体(1)15重量部をトルエン35重量部中に溶解し、この系に酸化防止剤としてペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]およびトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイトの各々を、付加重合体(1)100重量部に対して0.9重量部添加した。得られた溶液を孔径0.5μmのフィルターによって濾過した後、鏡面を有するエンドレススチールベルト上にキャストし、当該ベルト上において温度80℃の条件下で10分間乾燥処理することによって得られたフィルムを剥離して温度120℃の乾燥炉中において常圧で60分間1次乾燥処理し、次いで温度200℃の乾燥炉中において常圧で30分間2次乾燥処理することにより、厚さ150μmのフィルム(以下、「フィルム(1)」ともいう。)を製造した。
得られたフィルム(1)の残留溶媒量は0.8%であった。
付加重合体フィルムの製造例1において、付加重合体(1)に代えて付加重合体(2)を用いたこと以外は付加重合体フィルムの製造例1と同様にして厚さ150μmのフィルム(以下、「フィルム(2)」ともいう。)を製造した。
得られたフィルム(2)の残留溶媒量は0.8%であった。
付加重合体(1)15重量部および亜リン酸トリブチル0.1重量部をトルエン35重量部中に溶解し、この系に酸化防止剤としてペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]およびトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイトの各々を、付加重合体(1)100重量部に対して0.9重量部添加した。得られた溶液を孔径1μmのフィルターによって濾過した後、鏡面を有するエンドレススチールベルト上にキャストし、当該ベルト上において温度80℃の条件下で10分間乾燥処理することによって得られたフィルムを剥離して温度120℃の乾燥炉中において常圧で60分間1次乾燥処理し、次いで温度200℃の加熱スチーム中において20分間曝露し、最後に温度200℃の燥炉中において常圧で10分間2次乾燥処理することにより、厚さ150μmのフィルム(以下、「フィルム(3)」ともいう。)を製造した。
得られたフィルム(3)の残留溶媒量は0.1%であった。
このフィルム(3)は、温度80℃のトルエンに対しても溶解しないことから、架橋体フィルムであることを確認した。
単量体としてビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン23重量部および8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]ドデカ−3−エン227重量部と、分子量調節剤として1−ヘキセン25.5重量部およびトルエン750重量部とを窒素雰囲気下において反応容器に仕込み、この系を攪拌しながら温度60℃に加熱した。
次いで、この系に、重合触媒としてトリエチルアルミニウム(1.5モル/l)のトルエン溶液0.62重量部と、t−ブタノールおよびメタノールで変性した六塩化タングステン(t−ブタノール:メタノール: タングステン=0.35モル:0.3モル:1モル)のトルエン溶液(濃度0.05モル/l)3.7重量部とを添加し、温度80℃で3時間加熱攪拌することにより開環重合反応させて開環重合体溶液を得た。
得られた反応溶液を冷却した後に水素ガスを放圧し、この反応溶液を大量のメタノール中に注いで凝固物を分離回収し、これを再度トルエンに溶解して濃度20%の水素添加開環重合体の溶液を得、更に得られた溶液を多量のメタノール中に注いで凝固物を分離回収した。同様の再溶解・凝固回収処理を3回行った後、得られた乾燥凝固物をクラッシャーで粉砕し、温度100℃の減圧条件下において12時間乾燥することにより開環重合体(以下、「開環重合体(1)」ともいう。)を得た。
なお、最後の再溶解・凝固処理の際には、トルエンおよびメタノールはいずれも孔径0.1μmのフィルターを使用して濾過したものを用い、また、再溶解された溶液は孔径0.5μmのフィルターを用いて濾過した。
また、開環重合体(1)のポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)は16,000であり、重量平均分子量(Mw)は57,000であって、Mw/Mnは3.56であった。また、開環重合体(1)のガラス転移温度は153℃であり、屈折率は1.514であり、残留溶媒量は0.05%であった。
得られたペレット(1)中のゲル・異物量は0.6%であった。
合成例3において、単量体としてビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン50重量部および8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]ドデカ−3−エン200重量部を用い、分子量調節剤である1−ヘキセンを30.5重量部用いたこと以外は合成例3と同様にして開環重合体(以下、「開環重合体(2)」ともいう。)を得、更にペレット(以下、「ペレット(2)」ともいう。)を得た。
得られた開環重合体(2)について、 1H−NMR測定(270MHz)を行ったところ、水素添加率は99.9%であった。
また、開環重合体(2)のポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)は20,000であり、重量平均分子量(Mw)は64,000であって、Mw/Mnは3.20であった。また、開環重合体(2)のガラス転移温度は105℃であり、屈折率は1.515であり、残留溶媒量は0.05%であった。
また、得られたペレット(2)中のゲル・異物量は0.5%であった。
ペレット(1)を、窒素循環式除湿乾燥機「NS−200」(日水加工株式会社製)を用いて温度100℃で3時間除湿乾燥した後、押出機のホッパーに移送した。
スクリュー径90mmの押出機「GM−90」(ジーエムエンジニアリング株式会社製)を用い、押出温度280℃、吐出量100kg/hrの条件下において、成形樹脂材料としてペレット(1)を溶融した溶融樹脂をギアポンプで定量し、公称目開き10μmのリーフディスク型ポリマーフィルターに通した後、コートハンガー型マニホールドを有する700mm幅のTダイにより、第1層とされるフィルム(3)上に溶融樹脂膜を形成した。その直後、形成した溶融樹脂膜上に、第3層とされるフィルム(3)を配置し、得られた仮積層体を、その表面が鏡面であって、200℃に加熱された一対の加圧ローラの間を通過させることにより(図1および図2参照)、フィルム(3)よりなる第1層上に、開環重合体(1)製のフィルムよりなる第2層およびフィルム(3)よりなる第3層が積層されてなる構成を有する、厚さ1mmの積層体(以下、「積層体(a)」ともいう。)を得た。
得られた積層体(a)について、その特性を確認した結果を表1に示す。
実施例1において、ペレット(1)に代えてペレット(2)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、フィルム(3)よりなる第1層上に、開環重合体(2)製のフィルムよりなる第2層およびフィルム(3)よりなる第3層が積層されてなる構成を有する、、厚さ0.5mmの積層体(以下、「積層体(b)」ともいう。)を得た。
得られた積層体(b)について、その特性を確認した結果を表1に示す。
実施例1において、第3層とされるフィルム(3)に代えてフィルム(1)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、フィルム(3)よりなる第1層上に、開環重合体(1)製のフィルムよりなる第2層およびフィルム(1)よりなる第3層が積層されてなる構成を有する、厚さ1mmの積層体(以下、「積層体(c)」ともいう。)を得た。
得られた積層体(c)について、その特性を確認した結果を表1に示す。
実施例1において、第3層とされるフィルム(3)に代えてフィルム(2)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、フィルム(3)よりなる第1層上に、開環重合体(1)製のフィルムよりなる第2層およびフィルム(2)よりなる第3層が積層されてなる構成を有する、厚さ1mmの積層体(以下、「積層体(d)」ともいう。)を得た。
得られた積層体(d)について、その特性を確認した結果を表1に示す。
実施例1において、ペレット(1)に代えてペレット(2)を用い、また、フィルム(3)に代えてフィルム(1)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、フィルム(1)よりなる第1層上に、開環重合体(2)製のフィルムよりなる第2層およびフィルム(1)よりなる第3層が積層されてなる構成を有する、厚さ0.5mmの積層体(以下、「積層体(e)」ともいう。)を得た。
得られた積層体(e)について、その特性を確認した結果を表1に示す。
実施例5において、フィルム(1)に代えてフィルム(2)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、フィルム(2)よりなる第1層上に、開環重合体(2)製のフィルムよりなる第2層およびフィルム(2)よりなる第3層が積層されてなる構成を有する、厚さ0.5mmの積層体(以下、「積層体(f)」ともいう。)を得た。
得られた積層体(f)について、その特性を確認した結果を表1に示す。
特に、実施例1〜実施例6に係る積層体の製造方法においては、第1層および第3層に係る環状オレフィン系付加重合体と第2層に係る環状オレフィン系開環重合体との屈折率の差が0.02以下(具体的には、0.008〜0.017)であることから、得られる積層体が高い全光線透過率を有するものとなった。参考に、第2層の材料として屈折率が1.491のポリメタクリル酸メチル樹脂を用いたこと以外は実施例1と同様にして得られた積層体においては、第1層と第2層とに係る屈折率の差および第3層と第2層とに係る屈折率の差が0.04と大きいため、界面における反射の影響が大きく、全光線透過率が81%と低くなった。
3 第2の特定フィルム
5 特定積層体
10 溶融押出機
11 第1の特定フィルム供給手段
11A 第1の特定フィルム搬送路
12 第2の特定フィルム供給手段
12A 第2の特定フィルム搬送路
13A、13B 加圧ローラ
14 積層体搬送路
15 駆動ローラ
16 ベルト
17 分離手段
18 搬送ローラ
Claims (4)
- 下記一般式(1)で表される構造単位(a)を含有し、ポリスチレン換算数平均分子量が10,000〜500,000であり、ガラス転移温度が250℃以上である環状オレフィン系付加重合体よりなる付加重合体フィルム、または下記一般式 (1)で表わされる構造単位(a)を含有し、ポリスチレン換算数平均分子量が10,000〜500,000であり、ガラス転移温度が250℃以上であり、下記一般式(3)で表わされる環状オレフィンであってアルコキシシリル基を有するものを単量体として用いることによって得られる環状オレフィン系付加重合体の架橋体よりなる架橋体フィルムの少なくとも片面に、溶融押出法によって成形される、下記一般式(2)で表される構造単位(b)を含有し、ポリスチレン換算数平均分子量が6,000〜100,000であり、ガラス転移温度が100〜180℃である環状オレフィン系開環重合体よりなる開環重合体フィルムと、下記一般式(1)で表される構造単位(a)を含有し、ポリスチレン換算数平均分子量が10,000〜500,000であり、ガラス転移温度が250℃以上である環状オレフィン系付加重合体よりなる付加重合体フィルムおよび下記一般式 (1)で表わされる構造単位(a)を含有し、ポリスチレン換算数平均分子量が10,000〜500,000であり、ガラス転移温度が250℃以上であり、下記一般式(3)で表わされる環状オレフィンであってアルコキシシリル基を有するものを単量体として用いることによって得られる環状オレフィン系付加重合体の架橋体よりなる架橋体フィルムのいずれか一方のフィルムとをこの順に積層する工程を有することを特徴とする積層体の製造方法。
- 波長550nm、温度25℃の条件において測定される、環状オレフィン系付加重合体の屈折率と、環状オレフィン系開環重合体の屈折率との差が0.02以下であることを特徴とする請求項1に記載の積層体の製造方法。
- 請求項1または請求項2に記載の積層体の製造方法によって得られることを特徴とするる積層体。
- 全光線透過率が80%以上であることを特徴とする請求項3に記載の積層体。
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