JP2007328053A - 位相差フィルム、および、位相差フィルムの製造方法 - Google Patents

位相差フィルム、および、位相差フィルムの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、レターデーション値が長波長側よりも短波長側のほうが小さい逆分散型の波長依存性を示し、かつ、生産性に優れた位相差フィルムを提供することを主目的とする。
【解決手段】本発明は、ウレタン系樹脂を含有する位相差層を有し、レターデーション値の波長依存性が逆分散型であることを特徴とする位相差フィルムを提供することにより上記課題を解決するものである。
【選択図】図1

Description

本発明は、液晶表示装置の視野角補償フィルム等に用いられる位相差フィルムおよびその製造方法に関するものである。
液晶表示装置は、その省電力、軽量、薄型等といった特徴を有することから、従来のC
RTディスプレイに替わり、近年急速に普及している。一般的な液晶表示装置としては、例えば図4に示すように、入射側の偏光板102Aと、出射側の偏光板102Bと、液晶セル104とを有するものを挙げることができる。偏光板102Aおよび102Bは、所定の振動方向の振動面を有する直線偏光(図中、光の振動方向を矢印で模式的に図示)のみを選択的に透過させるように構成されたものであり、それぞれの振動方向が相互に直角の関係になるようにクロスニコル状態で対向して配置されている。また、液晶セル104は画素に対応する多数のセルを含むものであり、偏光板102Aと102Bとの間に配置されている。
ここで、このような液晶表示装置100において、液晶セル104が、負の誘電異方性
を有するネマチック液晶が封止されたVA(Vertical Alignment)方式(図中、液晶のダイレクターを点線で模式的に図示)を採用している場合を例に挙げると、入射側の偏光板102Aを透過した直線偏光は、液晶セル104のうち非駆動状態のセルの部分を透過する際に、位相シフトされずに透過し、出射側の偏光板102Bで遮断される。これに対し、液晶セル104のうち駆動状態のセルの部分を透過する際には、直線偏光が位相シフトされ、この位相シフト量に応じた量の光が出射側の偏光板102Bを透過して出射される。これにより、液晶セル104の駆動電圧をセル毎に適宜制御することにより、出射側の偏光板102B側に所望の画像を表示することができる。なお、液晶表示装置100としては、上述したような光の透過および遮断の態様をとるものに限らず、液晶セル104のうち非駆動状態のセルの部分から出射された光が出射側の偏光板102Bを透過して出射される一方で、駆動状態のセルの部分から出射された光が出射側の偏光板102Bで遮断されるように構成された液晶表示装置も考案されている。
一方、液晶表示装置は上述したような利点を有するが、その特有の問題点として、液晶セルの有する屈折率異方性に起因する視野角依存性の問題点がある。この視野角依存性の問題は、液晶表示装置を正面から見た場合と、斜め方向から見た場合とで、視認される画像の色味やコントラストが変化してしまう問題である。このような視野角特性の問題は、近年の液晶表示装置の大画面化に伴って、さらにその問題の重要性が増している。
このような視野角依存性の問題を改善するため、現在までに様々な技術が開発されており、その代表的な方法として位相差フィルムを用いる方法がある。この位相差フィルムを用いる方法は、図4に示すように所定の光学特性を有する位相差フィルム30を、液晶セル104と偏光板102Bとの間に配置することにより、視野角依存性の問題を改善する方法である。この方法は位相差フィルム30を液晶表示装置に組み込むことのみで上記視野角依存性の問題点を改善できることから、簡便に視野角特性に優れた液晶表示装置を得ることが可能な方法として広く用いられるに至っている。
ここで、上記位相差フィルムとしては、例えば、透明基板上に、規則的に配列した液晶材料を含有する位相差層が形成された構成を有するものや、延伸フィルムからなるものが一般的に知られている。
ところで、上記位相差フィルムは屈折率異方性を示すことにより、上記液晶セルで生じる位相差を相殺し、液晶表示装置の視角依存性の問題を改善するものであるため、従来の位相差フィルムにおいては、上記位相差を適切に相殺できるようにレターデーション値が特定の範囲内となることが厳密に求められてきた。
しかしながら、近年では、単に特定の波長におけるレターデーション値が所定の範囲内であることのみではなく、レターデーション値の波長依存性が特定の挙動を示すことが求められるようになっている。
特に、二本の光軸を備える二軸性フィルムや、面内方向に一本の光軸を備える一軸性フィルムにおいてはレターデーション値が長波長側よりも短波長側の方が小さい波長依存性、いわゆる逆分散型の波長依存性を有することが理想とされる場合が多い。
しかしながら、上記液晶材料を含有する位相差層を有する位相差フィルムにおいては、一般的に上記液晶材料のレターデーション値が長波長側よりも短波長側の方が大きい、いわゆる正分散型の波長依存性を示すことから、このような液晶材料を用いて逆分散性の位相差フィルムを得ることが困難であった。
この点、特許文献1にはポリカーボネートを延伸したフィルムからなる位相差フィルムであって、逆分散型の波長依存性を示す位相差フィルムが開示されている。このような位相差フィルムは、汎用性の高い樹脂材料を用いて、簡便に位相差フィルムを作製することができるため工業的実用性に富むという利点を有している。
しかしながら、ポリカーボネートは溶媒に対する溶解性が乏しいため、このようなポリカーボネートを用いて位相差フィルムを製造する方法は、生産性に劣る溶融押出法に限られてしまうという欠点がある。このため、特許文献1に記載されたような位相差フィルムは実用性に乏しいという問題点があった。
このようなことから、逆分散型の波長分散を示す位相差フィルムであって、生産性に優れた位相差フィルムを得ることは困難であった。
特開2000−137116号公報
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、レターデーション値が長波長側よりも短波長側のほうが小さい逆分散型の波長依存性を示し、かつ、生産性に優れた位相差フィルムを提供することを主目的とするものである。
上記課題を解決するために本発明は、ウレタン系樹脂を含有する位相差層を有し、レターデーション値の波長依存性が逆分散型であることを特徴とする位相差フィルムを提供する。
本発明によれば、レターデーション値の波長依存性が逆分散型であり、かつ、汎用性の高い樹脂材料であるウレタン系樹脂を含有する位相差層を有することにより、レターデーション値の波長依存性が逆分散型である位相差フィルムを得ることができる。
また、ウレタン系樹脂は塗工適性に優れるため、このようなウレタン系樹脂を用いることにより、本発明の位相差フィルムを生産性の高いものにすることができる。
このようなことから、本発明によればレターデーション値の波長依存性が逆分散型であり、かつ、生産性に優れた位相差フィルムを得ることができる。
本発明においては、上記ウレタン系樹脂が、ウレタンアクリレートモノマーが重合してなるウレタンアクリレートであることが好ましい。
また、本発明においては上記ウレタンアクリレートモノマーが、ウレタン結合部とアクリロイル基との間に屈折率異方性を有する原子団を有するものであることが好ましい。
さらに、本発明においては上記屈折率異方性を有する原子団が、複数のカプロラクトンの構成単位を含有するものであることが好ましい。
このようなウレタン系樹脂を用いることにより本発明の位相差フィルムを位相差性の発現性に優れたものにできるからである。
また本発明の位相差フィルムは、上記位相差層が、透明基板上に密着するように形成された構成を有するものであっても良い。このような構成を有することにより上記位相差層に経時で寸法変化が生じることを抑制できるため、本発明の位相差フィルムを光学特性の経時安定性に優れたものにできるからである。
また、上記課題を解決するために本発明は、ウレタン系樹脂を含有する位相差層を形成する位相差層形成工程と、上記位相差層を延伸する延伸工程とを有し、レターデーション値の波長依存性が逆分散型である位相差フィルムを製造することを特徴とする位相差フィルムの製造方法を提供する。
本発明によれば、上記位相差層形成工程がレターデーション値の波長依存性が逆分散型であり、かつ、成膜適性に優れるウレタン系樹脂を含有する位相差層を形成するものであることにより、高生産性でレターデーション値の波長依存性が逆分散型である位相差フィルムを製造することができる。
本発明においては、上記位相差層形成工程がウレタンアクリレートモノマーと溶媒とを含有する位相差層形成用塗工液を用い、透明基板上に上記位相差層形成用塗工液を塗工した後、上記ウレタンアクリレートモノマーに重合処理を行うことによって、上記透明基板上にウレタンアクリレートを含有する位相差層が密着するように形成された構成を有する光学積層体を製造するものであり、かつ、上記延伸工程が上記光学積層体を延伸するものであることが好ましい。これによって本発明により製造される位相差フィルムにおいて上記位相差層の経時寸法変化を少なくすることができるため、本発明により高生産性で位相差フィルムを製造することができるからである。
本発明は、レターデーション値が長波長側よりも短波長側のほうが小さい逆分散型の波長依存性を示し、かつ、生産性に優れた位相差フィルムを得ることができるという効果を奏する。
本発明は、位相差フィルム、および、位相差フィルムの製造方法に関するものである。
なお、本発明においては、レターデーション値の波長依存性を「波長分散」と称する場合がある。
また、一般的に、レターデーション値が長波長側よりも短波長側のほうが小さい波長分散(即ち、レタデーション値が波長の増加関数である)の類型を「逆分散型」と称するが、本発明において「逆分散型」とは、波長450nmにおけるレターデーション値(Re450)と、波長550nmにおけるレターデーション値(Re550)との比(Re450/Re550)(以下、単に「Re比」と称する場合がある。)が1より小さいことを意味するものとする。
また、一般的にレターデーション値が長波長側よりも短波長側のほうが大きい波長分散(即ち、レタデーション値が波長の減少関数である)の類型を「正分散型」と称するが、本発明における「正分散型」とは、上記Re比が1より大きいことを意味するものとする。
さらに、一般的にレターデーション値に波長依存性を有さない波長分散の類型を「フラット型」と称するが、本発明における「フラット型」とは、上記Re比が1であること意味するものとする。
ここで、上記レターデーション値(以下、単に「Re」と称する場合がある。)とは、面内方向に於ける遅相軸方向の屈折率をnx、面内方向に於ける進相軸方向の屈折率をny、厚み方向の屈折率をnzとしたときに、Re=(nx−ny)×dで表される量である。
また、本発明における上記「Re450」および上記「Re550」は、それぞれ波長450nmおよび550nmにおけるレターデーション値を意味するものとする。
以下、本発明の位相差フィルム、および、位相差フィルムの製造方法について順に説明する。
A.位相差フィルム
まず、本発明の位相差フィルムについて説明する。本発明の位相差フィルムは、ウレタン系樹脂を含有する位相差層を有し、位相差フィルム全層(透明基材/位相差層)としてのレターデーション値の波長依存性が逆分散型であることを特徴とするものである。
このような本発明の位相差フィルムについて図を参照しながら説明する。図1は本発明の位相差フィルムの一例を示す概略図である。図1に例示するように本発明の位相差フィルム10、10’はウレタン系樹脂を含有する位相差層1を有するものであり、位相差層1のみから構成されるものであっても良く(図1(a))、または、透明基板2上に位相差層1が密着するように積層された構成を有するものであっても良い(図1(b))。
このような例において、本発明の位相差フィルム位相差フィルム10、10’は、全体としてのレターデーション値の波長依存性が逆分散型であることを特徴とするものである。
本発明によれば、レターデーション値の波長依存性が逆分散型であり、かつ、汎用性の高い樹脂材料であるウレタン系樹脂を含有する位相差層を有することにより、レターデーション値の波長依存性が逆分散型である位相差フィルムを得ることができる。
また、ウレタン系樹脂は塗工適性に優れるため、このようなウレタン系樹脂を用いることにより、本発明の位相差フィルムを生産性の高いものにすることができる。
このようなことから、本発明によればレターデーション値の波長依存性が逆分散型であり、かつ、生産性に優れた位相差フィルムを得ることができる。
本発明の位相差フィルムは、少なくとも上記位相差層を有するものであり、必要に応じて他の構成を有しても良いものである。
以下、本発明の位相差フィルムに用いられる各構成について順に説明する。
1.位相差層
まず、本発明に用いられる位相差層について説明する。本発明に用いられる位相差層は、ウレタン系樹脂を含有することを特徴とするものである。
以下、このような位相差層について詳細に説明する。
(1)ウレタン系樹脂
まず、本発明に用いられるウレタン系樹脂について説明する。本発明に用いられるウレタン系樹脂は、屈折率異方性を備えるものであり、かつ、レターデーション値の波長依存性が逆分散型であるものである。
本発明に用いられるウレタン系樹脂としては、位相差層に所望の位相差性を付与することが可能な程度の屈折率異方性を備えるものであり、かつ、レターデーション値の波長依存性が逆分散型であるものであれば特に限定されるものではない。
ここで、上記「屈折率異方性」とは、入射される光に対する屈折率が、光の入射方向によって異なることを意味するものである。
また、本発明に用いられるウレタン系樹脂のレターデーション値の波長依存性(波長分散性)は、逆分散型であれば特に限定されるものではなく、本発明の位相差フィルムの用途等に応じて適宜その程度を調整して用いることができる。なかでも本発明に用いられるウレタン系樹脂は、上記Re比が0.6以上、1.0未満の範囲内であることが好ましく、特に0.7〜0.95の範囲内であることが好ましく、さらには0.8〜0.9の範囲内であることが好ましい。
ここで、上記ウレタン系樹脂のRe比は、ガラス基板などの光学的等方性基材上に評価対象のウレタン系樹脂からなる膜を成膜し、波長450nmにおけるレターデーション値(Re450)と、波長550nmにおけるレターデーション値(Re550)とを測定することにより算出することができる。
上記レターデーション値は、例えば、王子計測機器株式会社製 KOBRA−WRを用い、平行ニコル回転法により測定することができる。
さらに、本発明に用いられるウレタン系樹脂は、30℃における複素引張弾性率が800MPa以下であること好ましく、なかでも1MPa〜800MPaの範囲内であることが好ましく、特に10MPa〜600MPaの範囲内であることが好ましい。上記複素引張弾性率がこのような範囲内であることにより、例えば、本発明の位相差フィルムを製造する工程において位相差層を延伸することが容易になる等の利点を有するからである。
ここで、上記複素引張弾性率(E*)は、貯蔵引張弾性率(E’’)と、損失引張弾性率(E’)とにより、以下の式で表されるものである。
E*=√((E’)+(E’’)
また、上記複素引張弾性率(E*)は、株式会社ユービーエム製「Rheogel−E4000」により以下の測定条件で、貯蔵引張弾性率(E’’)と、損失引張弾性率(E’)を測定し、上記式に準じて求めることができる。
チャック間距離 : 15mm
サンプル幅 : 5mm
歪み : 100μm
昇温速度 : 3℃/min
周波数 : 10Hz
このようなウレタン系樹脂としては、分子内にウレタン結合部(−O−CO−N<)を有するものであれば特に限定されるものではなく、本発明の位相差フィルムの用途や、本発明の位相差フィルムの製造方法等に応じて任意のウレタン系樹脂を用いることができる。
本発明に用いられるウレタン系樹脂としては、例えば、ポリウレタンやウレタンアクリレート等を挙げることができる。なかでも本発明においては、上記ウレタン系樹脂としてウレタンアクリレートを用いることが好ましい。ウレタンアクリレートは、例えば、ウレタン結合部間に屈折率異方性を備える原子団を結合させて変性することにより、位相差性の発現特性を任意に制御することが可能である等の利点を有するからである。
なお、上記ウレタン系樹脂は、ウレタン結合部(−O−CO−N<)のレターデーション値の波長依存性が分散型であることから、樹脂全体としてのレターデーション値の波長依存性が逆分散型となるのである。
上記ウレタンアクリレートとしては、ウレタン結合部とアクリロイル基とを有するウレタンアクリレートモノマーが重合してなるものであれば特に限定されるものではない。
ここで、上記ウレタンアクリレートモノマーに含まれるアクリロイル基の数は、1つであっても良く、または、複数であっても良い。
また、上記ウレタンアクリレートモノマーに含まれるウレタン結合部の数は、1つであっても良く、または、複数であっても良い。
本発明に用いられるウレタンアクリレートを構成するウレタンアクリレートモノマーは、ウレタン結合部と、アクリロイル基との間に、屈折率異方性を備える原子団を有するものであることが好ましい。このようなウレタンアクリレートモノマーが重合してなるウレタンアクリレートは、延伸することにより上記屈折率異方性を備える原子団が一方向に配列するため、位相差性の発現性に優れるからである。
また、上記屈折率異方性を備える原子団を有するウレタンアクリレートモノマーとしては、上記ウレタン結合部と上記アクリロイル基との間に存在する原子団を構成する元素の原子量の総和が100〜1000の範囲内であること好ましく、なかでも200〜600の範囲内であることが好ましく、特に400〜600の範囲内であることが好ましい。上記原子量の総和が上記範囲よりも少ないと、位相差性の発現に寄与する原子団が少なくなる結果、本発明における位相差層に所望の位相差性を付与することが困難となる可能性があるからである。また、上記範囲より多いと上記ウレタンアクリレートモノマーが重合してなるウレタンアクリレート中に存在するウレタン結合部が少なくなる結果、本発明の位相差フィルムの上記Re比を所望の程度に制御することが困難となるおそれがあるからである。
上記屈折率異方性を備える原子団の種類としては、本発明の位相差フィルムの用途や本発明の位相差フィルムの製造方法等に応じて、本発明の位相差フィルムに所望の位相差性を付与できるものであれば特に限定されるものではない。このような屈折率異方性を備える原子団としては、例えば、エステル結合を含むエステル系原子団、エーテル結合を含むエーテル系原子団等を挙げることができる。本発明においては上記のいずれの原子団であっても好適に用いることができるが、なかでもエステル系原子団を用いることが好ましい。上記エステル系原子団を用いることにより、上記ウレタンアクリレートをさらに位相差性の発現性に優れたものにできるからである。また、上記エステル系原子団を有するウレタンアクリレートモノマーは比較的容易に合成することができるため、本発明の位相差フィルムを製造適性に優れたものにできるからである。
上記エステル系原子団としては、ラクトンの構成単位を含有するラクトン系原子団、ポリカーボネートの構成単位を含有するポリカーボネート系原子団、および、アジペートの構成単位を含有するアジペート系原子団を挙げることができる。本発明においてはこれらのいずれの原子団であっても好適に用いることができるが、なかでもラクトン系原子団を用いることが好ましい。ラクトン系原子団は屈折異方性が高く、位相差性の発現性に優れているからである。
また、本発明においては、上記ラクトン系原子団のなかでもカプロラクトンの構成単位を含むカプロラクトン変性原子団を用いることが好ましい。カプロラクトン変性原子団は屈折率異方性がより大きいため、樹脂材料の位相差発現性をさらに向上することができるからである。
また、上記カプロラクトン変性原子団は、単一のカプロラクトンの構成単位を含むものであっても良く、または、複数のカプロラクトンの構成単位を含むものであっても良い。
ここで、上記カプロラクトン変性原子団が複数のカプロラクトンの構成単位を含むものである場合、当該カプロラクトン変性原子団に含有されるカプロラクトンの構成単位の数は、2〜5の範囲内であることが好ましい。
なお、本発明に用いられる上記ウレタンアクリレートは、単一のウレタンアクリレートモノマーが重合してなるものであっても良く、または、複数種類のウレタンアクリレートモノマーが重合してなるものであっても良い。
(2)その他の化合物
本発明における位相差層には、上記ウレタン系樹脂以外に他の化合物が含まれていても良い。このような他の化合物としては、位相差層が発現する位相差性やレターデーション値の波長依存性を損なわないものであれば特に限定されるものではなく、本発明の位相差フィルムの用途等に応じて任意の化合物を用いることができる。
本発明に用いられる上記他の化合物としては、例えば、位相差層の位相差性の発現性に寄与する屈折率異方性を有する化合物を挙げることができる。このような化合物を用いることにより、例えば、上記ウレタン系樹脂のみでは位相差層に所望の位相差性の付与することが困難である場合に、位相差性を増加させることができるからである。このような屈折率異方性を有する化合物としては、例えば、液晶化合物や、屈折率異方性を備える無機化合物等を挙げることができる。
また、本発明における位相差層に含有されるウレタン系樹脂として、上記ウレタンアクリレートを用いる場合、上記他の化合物として光重合開始剤を用いることが好ましい。本発明に用いられる光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4,4−ビス(ジメチルアミン)ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミン)ベンゾフェノン、α−アミノ・アセトフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4−メチルジフェニルケトン、ジベンジルケトン、フルオレノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、p−tert−ブチルジクロロアセトフェノン、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、ベンジルメトキシエチルアセタール、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、アントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、2−アミルアントラキノン、β−クロルアントラキノン、アントロン、ベンズアントロン、ジベンズスベロン、メチレンアントロン、4−アジドベンジルアセトフェノン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)シクロヘキサン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)−4−メチルシクロヘキサノン、2−フェニル−1,2−ブタジオン−2−(o−メトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1,3−ジフェニル−プロパントリオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−3−エトキシ−プロパントリオン−2−(o−ベンゾイル)オキシム、ミヒラーケトン、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン、ナフタレンスルホニルクロライド、キノリンスルホニルクロライド、n−フェニルチオアクリドン、4,4−アゾビスイソブチロニトリル、ジフェニルジスルフィド、ベンズチアゾールジスルフィド、トリフェニルホスフィン、カンファーキノン、アデカ社製N1717、四臭化炭素、トリブロモフェニルスルホン、過酸化ベンゾイン、エオシン、メチレンブルー等の光還元性色素とアスコルビン酸やトリエタノールアミンのような還元剤との組み合わせ等を例示できる。本発明では、これらの光重合開始剤を1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記光重合開始剤を用いる場合には、光重合開始助剤を併用することが好ましい。このような光重合開始助剤としては、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン等の3級アミン類や、2−ジメチルアミノエチル安息香酸、4−ジメチルアミド安息香酸エチル等の安息香酸誘導体を例示することができるが、これらに限られるものではない。
本発明に用いられる位相差層の厚みとしては、上記ウレタン系樹脂の種類に応じて、本発明の位相差フィルムに所望の位相差性を付与することができる範囲内であれば特に限定されるものではない。なかでも本発明における上記位相差層の厚みは、通常、0.5μm〜20μmの範囲内であることが好ましい。
2.その他の構成
本発明の位相差フィルムは、上記位相差層を有するものであれば特に限定されるものではない。したがって、本発明の位相差フィルムの構成は上記位相差層のみからなるものであっても良く、または、上記位相差層以外の他の構成を有するものであっても良い。
本発明に用いられる上記他の構成としては、本発明の位相差フィルムの用途等に応じて、本発明の位相差フィルムに所望の特性や機能を付与できるものを適宜選択して用いることができる。なかでも本発明においては、上記位相差層を支持する透明基板を用いることが好ましい。このような透明基板を用い、上記位相差層を上記透明基板上に密着するように積層することにより、上記位相差層の寸法が経時で変化することを防止できるため、本発明の位相差フィルムを光学特性の経時安定性に優れたものにできるからである。
以下、上記他の構成として用いられる透明基板等について説明する。
(1)透明基板
本発明に用いられる透明基板としては、上記位相差層を支持できるものであれば特に限定されるものではなく、本発明の位相差フィルムの用途等に応じて任意の基板を用いることができる。なかでも本発明に用いられる透明基板は、可視光領域における透過率が80%以上であるものが好ましく、90%以上であるものがより好ましい。可視光領域における透過率がこのよう範囲内であることにより、例えば、本発明の位相差フィルムを液晶表示装置用の光学補償フィルムとして用いた場合に、画像の視認性が低下することを防止できるからである。
ここで、上記透明基板の透過率は、JIS K7361−1(プラスチックー透明材料の全光透過率の試験方法)により測定することができる。
また、本発明に用いられる透明基板は、貯蔵引張弾性率×断面積で表される値が上記位相差層のそれよりも大きく、かつ、寸法収縮率が上記位相差層の寸法収縮率よりも小さいことが好ましい。このような特徴を有する透明基板を用いることにより位相差層に経時で寸法変化が生じることをより効果的に防止できるため、光学特性の経時安定性に優れた位相差フィルムを得ることができるからである。
ここで、本発明において上記透明基板として、貯蔵引張弾性率×断面積で表される値が上記位相差層のそれよりも大きく、かつ、寸法収縮率が上記位相差層の寸法収縮率よりも小さいものを用いることにより、光学特性の経時安定性に優れた位相差フィルムを得ることができる理由は次の通りである。
すなわち、上記位相差層に含有されるウレタン系樹脂は、該材料分子が一方向に配列することにより位相差性を発現する性質を有するものであるため、本発明の位相差フィルムに上記透明基板を用いる場合、通常、上記位相差層は一方向に延伸され、上記ウレタン系樹脂の分子が一方向に配列した状態で上記透明基板上に形成されることになる。このため、上記位相差層には、通常、延伸の状態を緩和する方向、すなわち、位相差層が収縮する方向に応力が働くことになる。
このとき、上記位相差層が収縮して寸法変化が生じると、一旦配向した分子が元に戻り位相差層が発現する位相差性に変動が生じてしまうことになる。
この点、上記透明基板として、上記位相差層よりも貯蔵引張弾性率×断面積が大きいものを用いることにより、収縮時の復元応力を位相差層よりも透明基材の方が大きくなる様になるため、本発明の位相差フィルムの寸法変化に対する力学的な支配関係を、上記位相差層よりも上記透明基板が優位になるようにすることができる。また、上記透明基板として上記位相差層よりも寸法収縮率が小さいものを用いることにより、上記位相差層のみから構成される位相差フィルムと比較して、位相差層の寸法がより収縮率の小さく且つ復元応力も大きい透明基材の寸法に強制(矯正)される結果、本発明の位相差フィルムを寸法変化の少ないものとすることができる。
このため、このような特徴を有する透明基板を用いることにより、寸法変化に対する力学的な支配関係を上記位相差層よりも上記透明基板が優位とすることができ、かつ、この力学的に優位な透明基板の寸法収縮率が小さいことにより、位相差フィルム全体として寸法変化が少ないものにできるのである。
本発明に用いられる透明基板の貯蔵引張弾性率×断面積で表される値としては、上述した位相差層の貯蔵引張弾性率×断面積で表される値よりも大きい範囲であれば特に限定されるものではない。このような貯蔵引張弾性率×断面積で表される値は、上記位相差層に含有されるウレタン系樹脂等の種類や、本発明の位相差フィルムの用途等に応じて適宜好適な範囲に調整することができる。なかでも本発明に用いられる透明基板の貯蔵引張弾性率×断面積で表される値は、上記位相差層の貯蔵引張弾性率×断面積で表される値の10倍以上であることが好ましく、特に20倍以上であることが好ましく、さらには35倍以上であることが好ましい。透明基板の貯蔵引張弾性率×断面積で表される値が上記範囲内であることにより、本発明の位相差フィルムの寸法安定性を、より透明基板の力学特性に支配的なものにすることができることから、例えば、透明基板の力学特性を制御することで位相差フィルム全体の力学特性を制御することが可能になるため、本発明の位相差フィルムの光学特性の経時安定性を設計することが容易になる等の利点を有するからである。
本発明に用いられる透明基板の貯蔵引張弾性率×断面積で表される値の具体的な範囲としては、10000N〜5000000Nの範囲内、より好ましくは10000N〜1000000Nの範囲内、さらに好ましくは50000N〜500000Nの範囲内程度とされる。
ここで、上記貯蔵引張弾性率×断面積で表される値は、例えば、株式会社ユービーエム社製「Rheogel−E4000」を用い、以下の条件により貯蔵引張弾性率を測定し、その測定値に透明基板の断面積を乗ずることにより求めることができる。
・チャック間距離 : 15mm
・サンプル幅 : 5mm
・歪み : 100μm
・昇温速度 : 3℃/min
・周波数 : 10Hz
また、本発明の位相差フィルムにおいて上述した位相差層が透明基板に浸透するなどして、上記の方法で透明基板単独の貯蔵引張弾性率を測定することが困難な場合においては、一般的に知られている、圧縮方向の動的な弾性率とせん断方向の動的な弾性率の関係、すなわち(せん断方向の弾性率=圧縮方向の弾性率/3)という関係を利用できる。つまり、透明基板単独の貯蔵引張弾性率を測定することが困難である場合は、上記貯蔵引張弾性率に替えて上記圧縮弾性率を用いることが可能である。この場合、本発明の位相差フィルムは、透明基板が位相差層よりも圧縮弾性率×断面積が大きいものとなる。
上記貯蔵引張弾性率に替えて上記圧縮弾性率を用いる場合、透明基板の圧縮弾性率×断面積で表される値としては、上述した位相差層の圧縮弾性率×断面積で表される値よりも大きい範囲内であれば特に限定されるものではない。なかでも本発明における透明基板の圧縮弾性率×断面積の値は、透明基板の幅が1m、位相差層の塗工幅が1mである場合に、30000N〜15000000Nの範囲内であることが好ましく、特に30000N〜3000000Nの範囲内であることが好ましく、さらには150000N〜1500000Nの範囲内であることが好ましい。
ここで、上記圧縮弾性率は、株式会社エリオニクス ENT−1100a用い、以下の条件で測定した値を用いるものとする。
・測定深度 : 500nm
・測定 : 500pointで区切り、1pointあたりのステップインターバルを10msecとする。
なお、本発明における上記「断面積」は、透明基板の平面方向に対して垂直方向の断面の断面積(透明基板の厚み×透明基板の幅)を意味するものとする。
また、本発明に用いられる透明基板の寸法収縮率は、上記位相差層の寸法収縮率よりも小さい範囲であれば特に限定されるものではない。なかでも本発明に用いられる透明基板の寸法収縮率は0.01%〜1%範囲内であることが好ましく、特に0.01%〜0.1%の範囲内であることが好ましく、さらには0.01%〜0.02%の範囲内であることが好ましい。
ここで、上記寸法収縮率で表される値は、例えば、透明基板を元の長さの1.4倍の長さまで延伸した長さをLa、延伸後1日経過後の長さをLbを測定することにより、以下の式に基いて求めることができる。
寸法収縮率=(La−Lb)/La
さらに、本発明に用いられる透明基板は高温高湿雰囲気下における寸法安定性に優れたものであることが好ましい。上記透明基板として高温高湿雰囲気下における寸法安定性に優れたものを用いることにより、位相差フィルム全体としての高温高湿雰囲気下における寸法安定性を向上することができる結果、高温高湿雰囲気下においても光学特性の安定性が良好な位相差フィルムを得ることができるからである。なかでも本発明に用いられる透明基板は、温度90℃、相対湿度90%RHの環境下において1hr経過させた際の寸法変化率が25%以下であることが好ましく、特に0.1%〜10%の範囲内であることが好ましく、さらには0.1%〜5%の範囲内であることが好ましい。
また、本発明に用いられる透明基板のレターデーション値は、本発明の位相差フィルムの用途等に応じて、本発明の位相差フィルムに所望のレターデーション値を付与できる範囲内であれば特に限定されるものではない。なかでも本発明においては、波長550nmにおけるレターデーション値が0nm〜50nmの範囲内であることが好ましく、特に0nm〜40nmの範囲内であることが好ましい。
ここで、上記レターデーション値は、例えば、王子計測機器株式会社製 KOBRA−WRを用い、平行ニコル回転法によって測定することができる。
また、透明基板の上記レターデーション値の波長依存性としては、上述した位相差層のレターデーション値の波長依存性の程度に応じ、本発明の位相差フィルム全体(全層)のレターデーション値の波長依存性を逆分散型にできるものであれば特に限定されるものではない。したがって、本発明に用いられる透明基板のレターデーション値の波長依存性は逆分散型であっても良く、または、フラット型であっても良い。また、本発明の位相差フィルム全体のレターデーション値の波長依存性を逆分散型にできる範囲内であれば正分散型であっても良い。
なかでも本発明に用いられる透明基板のレターデーション値の波長依存性は逆分散型またはフラット型であることが好ましく、特に逆分散型であることが好ましい。このようなレターデーション値の波長依存性を有する透明基板を用いることにより、本発明の位相差フィルムのレターデーション値の波長依存性を逆分散型とすることが容易になるからである。
本発明の透明基板としてレターデーション値の波長依存性が逆分散型であるものを用いる場合、上記Re比は0.5〜1.0の範囲内であることが好ましく、なかでも0.6〜1.0の範囲内であることが好ましい。
さらに、本発明に用いられる透明基板は、波長550nmにおける厚み方向のレターデーション(Rth)は特に制限は無いが、通常は、0nm〜100nmの範囲内であることが好ましく、なかでも0nm〜60nmの範囲内であることが好ましい。上記Rthがこのような範囲内であることにより、本発明の位相差フィルムを液晶表示装置用の光学補償フィルムとして好適なものにすることができるからである。
上記Rthがこのような範囲内であることにより、本発明の位相差フィルムを液晶表示装置用の光学補償フィルムとして好適なものにすることができるからである。
ここで、上記厚み方向のレターデーション(Rth)は、面内における遅相軸方向の屈折率nxと、面内の進相軸方向の屈折率nyと、厚み方向の屈折率nzと、透明基板の厚みd(nm)とにより、Rth={(nx+ny)/2−nz}×dの式で表される値である。本発明における厚み方向のレターデーション(Rth)の値は、例えば、王子計測機器(株)製 KOBRA−WRにより測定することができる。
また、本発明に用いられる透明基板の厚みは、本発明の位相差フイルムの用途等に応じて、必要な自己支持性が得られる範囲内であれば特に限定されるものではない。なかでも本発明においては10μm〜188μmの範囲内であることが好ましく、特に20μm〜125μmの範囲内であることが好ましく、さらには30μm〜100μmの範囲内であることが好ましい。透明基板の厚みが上記の範囲よりも薄いと、本発明の位相差フイルムに必要な自己支持性を付与できない場合があるからである。また、厚みが上記の範囲よりも厚いと、例えば、本発明の位相差フィルムを裁断加工する際に、加工屑が増加したり、裁断刃の磨耗が早くなってしまう場合があるからである。
このような透明基板としては、例えば、セルロース誘導体、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルアルコール、ポリイミド、ポリアリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、アモルファスポリオレフィン、変性アクリル系ポリマー、ポリスチレン、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリエステル類、および、ノルボルネン系ポリマー等のシクロオレフィン系ポリマー等からなる基板を挙げることができる。或いは硝子等の無機材料を用いることも可能である。なかでも本発明においては、セルロース誘導体からなる基板を用いることが好ましい。セルロース誘導体は光学的等方性に優れるため、このようなセルロース誘導体からなる基板を用いることにより、本発明の位相差フィルムの光学特性の設計が容易になるからである。
上記セルロース誘導体としては、セルロースエステル類を用いることが好ましく、さらに、セルロースエステル類の中では、セルロースアシレート類を用いることが好ましい。セルロースアシレート類は工業的に広く用いられていることから、入手容易性の点において有利だからである。
上記セルロースアシレート類としては、炭素数2〜4の低級脂肪酸エステルが好ましい。低級脂肪酸エステルとしては、例えばセルロースアセテートのように、単一の低級脂肪酸エステルのみを含むものでもよく、また、例えばセルロースアセテートブチレートやセルロースアセテートプロピオネートのような複数の脂肪酸エステルを含むものであっても良い。
また本発明においては、上記低級脂肪酸エステルの中でもセルロースアセテートを特に好適に用いることができる。セルロースアセテートとしては、平均酢化度が57.5〜62.5%(置換度:2.6〜3.0)のトリアセチルセルロースを用いることが最も好ましい。トリアセチルセルロースは光学的等方性に優れるため、本発明の位相差フィルムの光学特性の設計が容易になるからである。また、トリアセチルセルロースは、比較的嵩高い側鎖を有する分子構造を有することから、このようなトリアセチルセルロースからなる透明基板を用いることにより、透明基板と上記位相差層との密着性をより向上することできるからである。
ここで、酢化度とは、セルロース単位質量当りの結合酢酸量を意味する。酢化度は、ASTM:D−817−91(セルロースアセテート等の試験方法)におけるアセチル化度の測定および計算により求めることができる。なお、トリアセチルセルロースフイルムを構成するトリアセチルセルロースの酢化度は、フィルム中に含まれる可塑剤等の不純物を除去した後、上記の方法により求めることができる。
本発明における透明基板の構成は、単一の層からなる構成に限られるものではなく、複数の層が積層された構成を有するものであっても良い。
また、複数の層が積層された構成を有する場合は、同一組成の層が積層されたものであっても良く、または、異なる組成を有する複数の層が積層されたものであっても良い。
本発明の位相差フィルムに透明基板を用いる場合、本発明の位相差フィルムは上記位相差層が上記透明基板上に密着するように形成された構成を有するものとなる。このときの上記位相差層と上記透明基板との密着の程度としては、上記透明基板の力学特性により上記位相差層の力学特性を制御することが可能な範囲内であれば特に限定されるものではない。なかでも本発明においては上記密着の程度が、クロスカット法での評価結果が20/100〜100/100の範囲内であることが好ましい。
なお、上記「クロスカット法」とは、日本工業規格JISK5600‐5‐6「塗料一般試験方法‐第5部:塗膜の機械的性質‐第6節:付着性(クロスカット法)に準ずる評価法であり、塗工面側に1mm角の切れ目を碁盤目状にいれ、接着テープ(ニチバン社製、セロテープ(登録商標))を貼り付け、その後テープを引き剥がし、1mm角100個中残った個数を数えることにより付着性を評価するものである。
また、上記クロスカット法による評価結果は、100箇所の碁盤目状評価部位のうち残った数を表すものであり、例えば、上記「20/100」は、100箇所の評価部位のうち剥れずに残った箇所が20箇所であること意味するものであり、また、上記「100/100」は、100箇所の評価部位のうち、100箇所すべてが剥れずに残ることを意味するものである。
また、透明基板を用いることにより、本発明の位相差フィルムを上記位相差層が上記透明基板上に密着する形成された構成を有するものとする場合、上記透明基板と、上記位相差層とが積層された態様としては、上記透明基板と上記位相差層とが独立した層として積層された態様であっても良く、または、上記透明基板と位相差層との間に明確な界面がなく、両者の間において上記ウレタン系樹脂の含有量が連続的に変化するように積層された態様であっても良い。
このような上記透明基板と上記位相差層とが積層された態様について図を参照しながら説明する。図2は本発明の位相差フィルムにおいて、上記透明基板と上記位相差層とが積層された態様の一例を示す概略図である。図2に例示するように、本発明の位相差フィルム10’は、上記透明基板2と上記位相差層1とが独立した層として積層された態様であっても良く(図2(a))、または、上記透明基板2と位相差層1’との間に明確な界面がなく、両者の間において上記ウレタン系樹脂の含有量が連続的に変化するように積層された態様であっても良い(図2(b))。
(2)その他
本発明の位相差フィルムに用いられる他の構成としては、上記透明基板以外に、例えば、上記位相差層上に形成され、上記位相差層を保護する機能を有するハードコート層およびオーバーコート層、上記位相差層上に形成され、本発明の位相差フィルムに反射防止機能を付与するAG(アンチグレア)層およびAR(アンチリフレクション)層等を挙げることができる。
また、本発明において上記透明基板を用いる場合は、上記位相差層と上記透明基板との間に形成され、上記位相差層と上記透明基板と密着性を向上させる機能を有するアンカー層を用いることもできる。
ここで、このような他の構成については一般的に液晶表示装置用の位相差フィルムに用いられるものとして公知のものを用いることができるため、ここでの詳しい説明は省略する。
また、上記他の構成として上記透明基板を用いない場合においては、位相差層を固定し、位相差層に経時で寸法変化が生じることを防止するための固定部を用いても良い。このような固定部を用いる態様としては、上記位相差層の寸法変化を防止できる態様であれば特に限定されるものではないが、例えば、上記固定部として外枠を用い、上記位相差層を当該外枠に固定して用いる態様を挙げることができる。
3.位相差フィルム
本発明の位相差フィルムは位相差フィルム全体(全層)としてのレターデーション値の波長依存性が逆分散型であることを特徴とするものである。すなわち、本発明の位相差フィルムは上記Re比が1より小さいことを特徴とするものである。ここで、本発明の位相差フィルムの上記Re比は1より小さい範囲内であれば特に限定されるものではなく、本発明の位相差フィルムの用途に応じて適宜決定することができる。なかでも本発明の位相差フィルムは、上記Re比が0.6〜1.0の範囲内であることが好ましく、特に0.7〜0.95の範囲内であることが好ましい。上記Re比がこのような範囲内であることにより、本発明の位相差フィルムを液晶表示装置の視野角補償フィルムとして好適に用いられるものにできるからである。
また、本発明の位相差フィルムのNzファクターは特に限定されるものではなく、本発明の位相差フィルムの用途に応じて、本発明の位相差フィルムが所定の位相差性を発現できる範囲内で任意に調整することができる。なかでも本発明の位相差フィルムのNzファクターは、本発明の位相差フィルムをIPS方式の液晶表示装置の視野角補償フィルムとして用いる場合には、0.5〜1.0の範囲内であることが好ましく、一方、本発明の位相差フィルムをVA方式の液晶表示装置の視野角補償フィルム(Aプレート)として用いる場合には、1.0〜2.0の範囲内であることが好ましい。
ここで、上記Nzファクターは屈折率楕円体の形状を規定するパラメーターであり、面内方向における遅相軸方向の屈折率nxと、面内方向における進相軸方向の屈折率nyと、厚み方向の屈折率nzとにより、以下の式で表されるものである。
Nz=(nx−ny)/(nx−nz)
さらに、本発明の位相差フィルムが液晶表示装置の視野角補償フィルムとして用いられる場合、面内方向における遅相軸方向の屈折率nxと、面内方向における進相軸方向の屈折率nyと、厚み方向の屈折率nzとの間に、nx>ny≧nzの関係が成立することが好ましい。上記nx,nyおよびnzの間にこのような関係が成立することにより、本発明の位相差フィルムを液晶表示装置の視野角補償フィルムとして好適に用いられるものにできるからである。
上記nx,nyおよびnzに上記nx>ny≧nzの関係が成立する態様としては、nx>ny=nzの関係が成立する一軸性の位相差フィルムと、nx>ny>nzの関係が成立する二軸性の位相差フィルムとを挙げることができる。
本発明の位相差フィルムが上記一軸性の位相差フィルムである場合においては、波長550nmにおけるレターデーション(Re)が0nm<Re550<300nmの範囲内であることが好ましい。
また、波長550nmにおける厚み方向のレターデーション(Rth)は0nm〜150nmの範囲内であることが好ましい。上記レターデーション(Re)および上記厚み方向のレターデーション(Rth)が上記範囲内であることにより、本発明の位相差フィルムを液晶表示装置の視野角補償フィルムとして好適なものにできるからである。
一方、本発明の位相差フィルムが上記二軸性の位相差フィルムである場合においては、波長550nmにおけるレターデーション(Re)が0nm<Re550<300nmの範囲内であることが好ましい。
また、波長550nmにおける厚み方向のレターデーション(Rth)は0nm〜300nmの範囲内であることが好ましい。上記レターデーション(Re)および上記厚み方向のレターデーション(Rth)が上記範囲内であることにより、本発明の位相差フィルムを液晶表示装置の視野角補償フィルムとして好適なものにできるからである。
なお、本発明の位相差フィルムの形態は、本発明の位相差フィルムの用途等に応じて所望の形態とすることができる。したがって、例えば、長尺に形成され、ロール状に巻き取られた形態であっても良く、所定のサイズに切断加工されたシート状の形態であっても良い。
4.位相差フィルムの用途
本発明の位相差フィルムは、液晶表示装置に用いられる視野角補償フィルム、楕円偏光板、輝度向上フィルム等として用いることができる。
本発明の位相差フィルムを液晶表示装置の視野角補償フィルムとして用いる場合においては、本発明の位相差フィルムを単体で用いることも可能であり、また、本発明の位相差フィルムと他の光学機能フィルムと積層して用いることも可能である。さらに、本発明の位相差フィルムに用いられる基板の上記位相差層が形成された側とは反対面上に、他の位相差層を直接積層して用いることも可能である。
本発明の位相差フィルムと、他の光学機能フィルムとを積層して用いる例としては、例えば、本発明の位相差フィルムがネガティブCプレートと積層された構成を有するVA方式用光学補償フィルム、および、発明の位相差フィルムがポジティブCプレートと積層された構成を有するIPS方式用光学補償フィルム等を挙げることができる。
また、本発明の位相差フィルムは、本発明の位相差フィルム上に、ポジティブCプレートと、コレステリック配列した液晶分子を含有する液晶層とをこの順で積層することにより、液晶表示装置用の輝度向上フィルムとして用いることも可能である。
さらに本発明の位相差フイルムは、偏光子と貼り合わせることにより、偏光板としての用途にも用いることができる。すなわち、偏光板は、通常、偏光子とその両表面に形成された偏光板保護フイルムとからなるものであるが、本発明においては、例えば、その一方の偏光板保護フイルムとして本発明の位相差フイルムを用いることにより、液晶表示装置の視野角補償機能を備える偏光板として用いることができる。
5.位相差フィルムの製造方法
本発明の位相差フィルムの製造方法としては、上記構成を有する位相差フィルムを製造できる方法であれば特に限定されるものではない。このような製造方法としては、例えば、後述する「B.位相差フィルムの製造方法」の項において説明する方法を用いることができる。
B.位相差フィルムの製造方法
次に、本発明の位相差フィルムの製造方法について説明する。本発明の位相差フィルムの製造方法は、ウレタン系樹脂を含有する位相差層を形成する位相差層形成工程と、上記位相差層を延伸する延伸工程とを有し、レターデーション値の波長依存性が逆分散型である位相差フィルムを製造することを特徴とするものである。
このような本発明の位相差フィルムの製造方法について図を参照しながら説明する。図3は本発明の位相差フィルムの製造方法の一例を示す概略図である。図3に例示するように、本発明の位相差フィルムの製造方法は、透明基板2を用い、上記透明基板2上にウレタン系樹脂を含有する位相差層1が密着するように積層された光学積層体20を形成する位相差層形成工程(図3(a))と、上記光学積層体20を延伸することにより、上記位相差層1を延伸する延伸工程(図3(b))とを有し、レターデーション値の波長依存性が逆分散型である位相差フィルム10’を製造するものである。
なお、上記図3においては上記位相差層形成工程の例として、透明基板上に位相差層が積層された光学積層体を形成する例を示したが、本発明に用いられる位相差層形成工程はこのような態様のものに限定されるものではなく、例えば、位相差層単体を形成する態様であっても良い。
本発明によれば、上記位相差層形成工程がレターデーション値の波長依存性が逆分散型であり、かつ、成膜適性に優れるウレタン系樹脂を含有する位相差層を形成するものであることにより、高生産性でレターデーション値の波長依存性が逆分散型である位相差フィルムを製造することができる。
本発明の位相差フィルムの製造方法は、少なくとも上記位相差層形成工程と、上記延伸工程とを有するものである。
以下、本発明の位相差フィルムの製造方法を構成する各工程について順に説明する。
1.位相差層形成工程
まず、本発明に用いられる位相差層形成工程について説明する。本工程は、ウレタン系樹脂を含有する位相差層を形成する工程である。
本工程において位相差層を形成する態様としては、位相差層単体のみを形成する態様(第1実施態様)と、位相差層が透明基板上に密着するように積層された構成を有する光学積層体を形成する態様(第2実施態様)とを挙げることができる。
以下、各実施態様に分けて本工程について詳細に説明する。
1−1.第1実施態様
まず、本工程の第1実施態様について説明する。本態様は位相差層として位相差層単体のみを形成する態様である。
本態様において位相差層を形成する方法としては、所望のウレタン系樹脂を含有する位相差層を形成できる方法であれば特に限定されるものではない。このような方法としては、例えば、任意の支持体上に、レターデーション値の波長依存性が逆分散型であり、かつ、屈折率異方性を備えるウレタン系樹脂を生成可能なモノマー化合物および溶媒を含有する位相差層形成用塗工液を塗工し、上記モノマー化合物に重合処理を行うことによってウレタン系樹脂を含有する樹脂フィルムを成膜した後、これを剥離する方法(第1態様)、および、任意の支持体上に、レターデーション値の波長依存性が逆分散型であり、かつ、屈折率異方性を備えるウレタン系樹脂を含有する位相差層形成用組成物を塗工することにより、上記ウレタン系樹脂を含有する樹脂フィルムを成膜した後、これを剥離する方法(第2態様)を挙げることができる。
以下、上記各態様の方法について順に説明する。
i.第1態様
まず、上記第1態様の方法について説明する。本態様の方法は、任意の支持体上にレターデーション値の波長依存性が逆分散型であり、かつ、屈折率異方性を備えるウレタン系樹脂を生成可能なモノマー化合物および溶媒を含有する位相差層形成用塗工液を塗工し、上記モノマー化合物に重合処理を行うことによってウレタン系樹脂を含有する樹脂フィルムを成膜した後、これを剥離することにより位相差層を形成する方法である。
以下、このような方法について詳細に説明する。
(1)位相差層形成用塗工液
まず、本態様に用いられる位相差層形成用塗工液について説明する。本工程に用いられる位相差層形成用塗工液は、レターデーション値の波長依存性が逆分散型であり、かつ、屈折率異方性を備えるウレタン系樹脂を生成可能なモノマー化合物および溶媒とを含有するものである。
a.モノマー化合物
本態様に用いられるモノマー化合物としては、重合させることによりレターデーション値の波長依存性が逆分散型であり、かつ、屈折率異方性を備えるウレタン系樹脂を生成可能なるものであれば特に限定されるものではない。なかでも本態様においては、上記モノマー化合物として、ウレタンアクリレートモノマーや、イソシアヌル基を有するイソシアネート化合物とポリオール化合物との混合物を用いることが好ましい。このようなモノマー化合物を用いることにより、ウレタン系樹脂を含有する位相差層を容易に形成することが可能であるからである。
ここで、上記モノマー化合物としてウレタンアクリレートモノマーを用いた場合、本態様により形成される位相差層中に含有されるウレタン系樹脂はウレタンアクリレートとなる。
一方、上記モノマー化合物として上記イソシアネート化合物とポリオール化合物との混合物を用いた場合、本態様により形成される位相差層中に含有されるウレタン系樹脂はポリウレタンとなる。
なお、上記「生成可能」とは、重合することによりレターデーション値の波長依存性が逆分散型であり、かつ、屈折率異方性を備えるウレタン系樹脂を得ることが可能であることを意味するものである。
なお、本態様に用いられる上記ウレタンアクリレートモノマーとしては、上記「A.位相差フィルム」の項に記載したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
また、上記イソシアネート化合物およびポリオール化合物については、一般的にポリウレタンを合成する際に用いられるイソシアネート化合物およびポリオール化合物と同様であるため、ここでの詳しい説明は省略する。
b.溶媒
本態様に用いられる溶媒としては、上記モノマー化合物を所望の濃度で溶解できるものであれば特に限定されるものではない。このような溶媒としては、例えば、ベンゼン、ヘキサン等の炭化水素系溶媒;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン等のケトン系溶媒;テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン等のエーテル系溶媒:クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化アルキル系溶媒;酢酸メチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒、およびジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒を挙げることができる。
なかでも本工程においては、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、およびメチルシクロヘキサノンを用いることが好ましい。
なお、本態様に用いられる溶媒としては、単一溶媒からなるものであってもよく、複数の溶媒の混合溶媒であっても良い。
c.その他の化合物
本態様に用いられる位相差層形成用塗工液は、本発明の目的を損なわない範囲であれば、上記モノマー化合物および溶媒以外の他の化合物が含有されるものであっても良い。このような他の化合物としては、本発明により製造される位相差フィルムの用途等に応じて所望の機能を有する化合物を用いることができる。
ここで、本態様に用いられる上記他の化合物としては、上記「A.位相差フィルム」の項において、位相差層に用いられる「他の化合物」として説明したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
(2)支持体
本態様に用いられる支持体は、平滑な表面を有し、上記位相差層形成用塗工液を用いてウレタン系樹脂を含有する樹脂フィルムを成膜できるものであれば特に限定されるものではない。このような支持体としては、例えば、ガラスからなるものや、ステンレス等の金属材料からなるものを挙げることができる。
また、本態様に用いられる支持体の形態としては、例えば、所定のサイズに加工された板状のものであっても良く、または、エンドレスベルト状のものであっても良い。
(3)位相差層の形成方法
本態様において上記支持体上に上記位相差層形成用塗工液を塗工する方法としては、上記支持体上に、所定量の位相差層形成用塗工液を塗工できる方法であれば特に限定されるものではない。このような塗工方法としては、例えば、グラビアコート法、リバースコート法、ナイフコート法、ディップコート法、スプレーコート法、エアーナイフコート法、スピンコート法、ロールコート法、プリント法、浸漬引き上げ法、カーテンコート法、ダイコート法、キャスティング法、バーコート法、エクストルージョンコート法、E型塗布方法など挙げることができる。
また、上記位相差層形成用塗工液の塗膜の乾燥方法は、加熱乾燥方法、減圧乾燥方法、ギャップ乾燥方法等、一般的に用いられる乾燥方法を用いることができる。また、本態様における乾燥方法は、単一の方法に限られず、例えば塗膜中に残留する溶媒量に応じて順次乾燥方式を変化させる等の態様により、複数の乾燥方式を採用してもよい。
本態様において上記位相差層形成用塗工液を上記支持体上に塗工した後、塗膜中に含有される上記モノマー化合物に対して行う重合処理としては、上記モノマー化合物が有する重合性官能基の種類に応じて任意に決定すれば良い。このような重合処理としては、例えば、紫外線等の活性放射線を照射する処理や、加熱処理等を挙げることができる。
なお、本態様において上記支持体上に成膜された樹脂フィルムを剥離する方法としては、特に限定されるものではなく、任意の方法で剥離することができる。
ii.第2態様
次に、上記第2態様の方法について説明する。本態様の方法は任意の支持体上に、レターデーション値の波長依存性が逆分散型であり、かつ、屈折率異方性を備えるウレタン系樹脂を含有する位相差層形成用組成物を塗工することにより、上記ウレタン系樹脂を含有する樹脂フィルムを成膜した後、これを剥離する方法である。
(1)位相差層形成用組成物
まず、本態様に用いられる位相差層形成用組成物について説明する。本態様に用いられる位相差層形成組成物は、レターデーション値の波長依存性が逆分散型であり、かつ、屈折率異方性を備えるウレタン系樹脂を含有するものである。
本態様に用いられる上記ウレタン系樹脂としては、レターデーション値の波長依存性が逆分散型であり、かつ、屈折率異方性を備えるものであれば特に限定されるものではない。
ここで、本態様に用いられる上記ウレタン系樹脂としては、上記「A.位相差フィルム」の項に記載したものと同様のものを用いることができるため、ここでの説明は省略する。
本態様に用いられる位相差層形成用組成物の態様としては、所望量の上記ウレタン系樹脂が含有され、これを用いて支持基板上に樹脂フィルムを成膜できる態様であれば特に限定されるものではない。このような位相差層形成用組成物としては、上記ウレタン系樹脂が溶媒に溶解(或いは分散)されたものである態様と、上記ウレタン系樹脂が溶融されたものである態様とを挙げることができる。
本態様に用いられる位相差層形成用組成物は、本発明の目的を損なわない範囲であれば、上記ウレタン系樹脂以外の他の化合物が含有されるものであっても良い。このような他の化合物としては、本発明により製造される位相差フィルムの用途等に応じて所望の機能を有する化合物を用いることができる。このような他の化合物としては、上記「A.位相差フィルム」の項において、位相差層に用いられる「他の化合物」として説明したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
(2)支持体
本態様に用いられるについては、上記「i.第1態様」の項において説明したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
(3)位相差層の形成方法
次に、本態様において位相差層を形成する方法について説明する。本態様において上記支持体上に樹脂フィルムを成膜する方法としては、上記位相差層形成用組成物の態様に応じて、所望のウレタン系樹脂を含有する樹脂フィルムを成膜できる方法であれば特に限定されるものではない。
ここで、本態様に用いられる位相差層形成用組成物が、上記ウレタン系樹脂が溶媒に溶解されたものである態様の場合、上記樹脂フィルムを成膜する方法としては、通常、上記支持体上に当該位相差層形成用組成物を塗工する方法が用いられる。この際に用いられる塗工方法としては、上記支持体上に、所定量の位相差層形成用組成物を塗工できる方法であれば特に限定されるものではない。このような塗工方法としては、上記「i.第1態様」の項において、支持体上に位相差層形成用塗工液を塗工する方法として説明した方法と同様の方法を用いることができるため、ここでの説明は省略する。
また、上記位相差層形成用組成物の塗膜の乾燥方法についても、上記「i.第1態様」の項において説明した方法と同様の方法を用いることができるため、ここでの説明は省略する。
一方、本態様に用いられる位相差層形成用組成物が、上記ウレタン系樹脂が加熱により溶融されたものである態様の場合、本態様において位相差層を形成する方法としては、通常、上記支持体上に当該位相差層形成用組成物を溶融押出しする方法が用いられる。この際に用いられる溶融押出法としては、上記支持体上に、所定の厚みの樹脂フィルムを成膜できる方法であれば特に限定されるものではない。このような方法としては、一般的に高分子フィルムを成膜するのに用いられる方法として公知の方法を用いることができるため、ここでの詳しい説明は省略する。
なお、本態様において上記支持体上に成膜された樹脂フィルムを剥離する方法としては、特に限定されるものではなく、任意の方法で剥離することができる。
1−2.第2実施態様
次に、本工程の第2実施態様について説明する。本態様は位相差層を、位相差層と透明基板とが積層された構成を有する光学積層体の形態で形成する態様である。
本態様において透明基板上に位相差層を積層し、光学積層体を形成する方法としては、レターデーション値の波長依存性が逆分散型であり、かつ、屈折率異方性を備えるウレタン系樹脂を生成可能なモノマー化合物および溶媒を含有する位相差層形成用塗工液を上記透明基板上に塗工した後、上記モノマー化合物に重合処理を行う方法(第1態様)、および、上記ウレタン系樹脂を含有する位相差層形成用組成物を用いて透明基板上に位相差層を成膜する方法(第2態様)を挙げることができる。
以下、上記各態様の方法について順に説明する。
i.第1態様
まず、上記第1態様の方法について説明する。本態様の方法は、レターデーション値の波長依存性が逆分散型であり、かつ、屈折率異方性を備えるウレタン系樹脂を生成可能なモノマー化合物および溶媒を含有する位相差層形成用塗工液を上記透明基板上に塗工した後、上記モノマー化合物に重合処理を行うことにより、透明基板上に位相差層が形成された光学積層体を形成する方法である。
(1)位相差層形成用塗工液
本工程に用いられる位相差層形成用塗工液は、レターデーション値の波長依存性が逆分散型であり、かつ、屈折率異方性を備えるウレタン系樹脂を生成可能なモノマー化合物および溶媒とを含有するものである。
ここで、本態様に用いられる上記位相差層形成用塗工液については、上記「1−1.第1実施態様」の項において説明したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
(2)透明基板
本態様に用いられる透明基板は、本工程において形成される位相差層を支持できるものであれば特に限定されるものではない。このような透明基板としては、上記「A.位相差フィルム」の項において記載したものと同様のものを用いることができるため、ここでの説明は省略する。
(3)位相差層の形成方法
本態様において上記透明基板上に上記位相差層形成用塗工液を塗工する方法としては、上記透明基板上に、所定量の位相差層形成用塗工液を塗工できる方法であれば特に限定されるものではない。
ここで、上記塗工方法については、上記「1−1.第1実施態様」の項において支持体上に位相差層形成用塗工液を塗工する方法として記載した方法と同様であるため、ここでの説明は省略する。
また、上記位相差層形成用塗工液の塗膜の乾燥方法および上記モノマー化合物に対して行う重合処理についても、上記「1−1.第1実施態様」の項において説明した方法と同様であるため、ここでの説明は省略する。
ii.第2態様
次に、上記第2態様の方法について説明する。本態様の方法はレターデーション値の波長依存性が逆分散型であり、かつ、屈折率異方性を備えるウレタン系樹脂を含有する位相差層形成用組成物を用いて、透明基板上に位相差層が積層された光学積層体を形成する方法である。
(1)位相差層形成用組成物
本態様に用いられる位相差層形成組成物は、レターデーション値の波長依存性が逆分散型であり、かつ、屈折率異方性を備えるウレタン系樹脂を含有するものである。
ここで、本態様に用いられる位相差層形成用組成物は、上記「1−1.第1実施態様」の項において説明したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
(2)透明基板
本態様に用いられる透明基板は、本工程において形成される位相差層を支持できるものであれば特に限定されるものではない。このような透明基板としては、上記「A.位相差フィルム」の項において記載したものと同様のものを用いることができるため、ここでの説明は省略する。
(3)位相差層の形成方法
本態様において上記透明基板上に位相差層を成膜する方法としては、上記位相差層形成用組成物の態様に応じて、所望のウレタン系樹脂を含有する位相差層を成膜できる方法であれば特に限定されるものではない。
ここで、本態様において上記位相差層を成膜する方法としては、上記「1−1.第1実施態様」において、支持体上に樹脂フィルムを成膜する方法として記載した方法と同様であるため、ここでの説明は省略する。
2.その他
本工程において位相差層を形成する態様として、上記いずれの態様であっても好適に用いることができるが、なかでも上記第2実施態様を用いることが好ましく、また上記第2実施態様のなかでも上記第1態様を用いることが好ましい。より具体的には、ウレタンアクリレートモノマーと溶媒とを含有する位相差層形成用塗工液を用い、透明基板上に上記位相差層形成用塗工液を塗工した後、上記ウレタンアクリレートモノマーに重合処理を行うことによって、上記透明基板上にウレタンアクリレートを含有する位相差層が密着するように形成された構成を有する光学積層体を形成することが好ましい。
2.延伸工程
次に、本発明に用いられる延伸工程について説明する。本工程は、上記位相差層形成工程において形成された位相差層を延伸する工程である。本工程により上記位相差層に含有されるウレタン系樹脂の分子を配列させることができるため、位相差層に所望の位相差性を付与することができる。
なお、上記位相差層形成工程において上記透明基板上に位相差層が積層された構成を有する光学積層体を形成した場合、本工程においては上記光学積層体を延伸することにより、上記位相差層を延伸することになる。
本工程において、上記位相差層を延伸する方法としては本発明により製造される位相差フィルムに所望の位相差性を付与できる方法であれば特に限定されるものではない。なかでも本工程においては、面内方向における遅相軸方向の屈折率nxと、面内方向における進相軸方向の屈折率nyと、厚み方向の屈折率nzとの間に、nx>ny≧nzの関係が成立するように延伸することが好ましい。このように延伸することにより、本発明により製造される位相差フィルムを液晶表示装置用の視野角補償フィルムとして好適なものにできるからである。
本工程において、上記nx、nyおよびnzにnx>ny≧nzの関係が成立するように位相差層を延伸する態様としては、一軸延伸することにより、上記nx、ny、および、nzの間にnx>ny=nzの関係が成立するように延伸する態様(第1態様)と、二軸延伸することにより、上記nx、ny、および、nzの間にnx>ny>nzの関係が成立するように延伸する態様(第2態様)と、を挙げることができる。
上記第1態様および上記第2態様において上記位相差層を延伸する方法としては、上記位相差層を所望の延伸倍率に延伸できる方法であれば特に限定されるものではない。このような方法としては、例えば、ロール延伸法、長間隙沿延伸法、テンター延伸法、チューブラー延伸法等を挙げることができる。
なお、本工程においては、通常、上記位相差層が加熱された状態で延伸されるが、このときの加熱温度としては、上記位相差層を所望の倍率で延伸できる範囲内であれば特に限定されない。なかでも本発明においては、通常、ガラス転移温度以上、かつ、融点温度以下とされる。
3.位相差フィルムの製造方法
本発明の位相差フイルムの製造方法は、上記位相差層形成工程および上記延伸工程以外に他の工程を有するものであっても良い。このような他の工程としては、本発明により製造される位相差フィルムの用途等に応じて、本発明により所望の機能を有する位相差フィルムを製造できるものを適宜選択して用いることができる。
また、本発明の位相差フィルムが実施される態様としては、上記位相差層形成工程および上記延伸工程が実施される態様であれば特に限定されるものではない。このような態様としては、例えば、上記透明基板として長尺に形成されたものを用い、Roll to Rollプロセス(巻取状で供給される帯状フィルムを巻出し、走行させて連続加工し、而かる後に巻取る加工法)により連続的に上記位相差層形成工程および上記延伸工程が実施される態様であっても良く、または、所定のサイズ(枚葉)にシート加工された透明基板を用い、当該透明基板を順次移動させながら、上記位相差層形成工程および上記延伸工程を実施する態様であっても良い。
4.位相差フイルム
本発明により製造される位相差フィルムは、ウレタン系樹脂を含有し、位相差フィルム全体としてのレターデーション値の波長依存性が逆分散型のものとなる。
ここで、本発明により製造される位相差フイルムについては、上記「A.位相差フイルム」の甲において説明したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と、実質的に同一の構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなる場合であっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下に実施例を示し、本発明についてさらに具体的に説明する。
<実施例1>
(1)位相差層形成工程
樹脂材料としてウレタンアクリレートモノマー(UV−3200B:日本合成化学社製)を用い、これをメチルエチルケトンに40質量%になるように溶解させ、さらに重合開始剤を固形分に対して4質量%加えることにより、位相差層形成用塗工溶液を調製した。
次いで、透明基板として貯蔵引張弾性率2.7×10MPaのTACフィルム基材(厚み:80μm)を用い、当該TACフィルム基材の表面に上記位相差層形成用塗工液をバーコーティングにより塗工した。
その後、90℃で4分間加熱して溶剤を乾燥除去し、塗工面に紫外線を照射することにより、上記ウレタンアクリレートモノマーを固定化して乾燥後の塗膜が6μmの位相差層(貯蔵引張弾性率3.6MPa)を形成した。
このようにして、透明基板上に位相差層が積層された光学積層体を作製した。このとき、光学積層体は上記位相差層の幅は150mmであり、上記透明基板の幅は200mmであった。また、上記位相差層および上記透明基板の貯蔵引張弾性率×断面積はそれぞれ3.24N、43200Nであった。
(2)延伸工程
上記光学積層体を延伸実験機により、延伸倍率が1.4倍になるように165℃で加熱しながら面内方向に一軸延伸して、位相差フィルムを作製した。
(3)評価
作製した位相差フィルムの波長450nmにおけるReおよび、波長550nmにおけるReはそれぞれ22.5nm、25nmであり、Re450/Re550は0.90であった。
また、クロスカット法による密着性試験の評価結果は100%であった(密着度=(剥がれなかった部分/テープを貼り付けた領域)×100)。また、温度90℃、90%RHの環境下において1時間放置するという環境試験後のReおよび寸法変化は、環境試験前に比べてそれぞれ+3.1%および+0.013%の変化量であった。
<実施例2>
(1)位相差層形成工程
樹脂材料としてウレタンアクリレートモノマー(KAYARAD DPCA−120:日本化薬社製)を用い、これをメチルエチルケトンに40質量%になるように溶解させ、さらに重合開始剤を固形分に対して4質量%加えることにより、位相差層形成用塗工溶液を調製した。
次いで、透明基板として貯蔵引張弾性率2.7×10MPaのTACフィルム基材(厚み:80μm)を用い、当該TACフィルム基材の表面に上記位相差層形成用塗工液をバーコーティングにより塗工した。
その後、90℃で4分間加熱して溶剤を乾燥除去し、塗工面に紫外線を照射することにより、上記ウレタンアクリレートモノマーを固定化して乾燥後の塗膜が6μmの位相差層(貯蔵引張弾性率1.3×10MPa)を形成した。
このようにして、透明基板上に位相差層が積層された光学積層体を作製した。このとき、光学積層体は上記位相差層の幅は150mmであり、上記透明基板の幅は200mmであった。また、上記位相差層および上記透明基板の貯蔵引張弾性率×断面積はそれぞれ117N、43200Nであった。
(2)延伸工程
上記光学積層体を延伸実験機により、延伸倍率が1.4倍になるように165℃で加熱しながら面内方向に一軸延伸して、位相差フィルムを作製した。
(3)評価
作製した位相差フィルムの波長450nmにおけるReおよび、波長550nmにおけるReはそれぞれ25.6nm、28.1nmであり、Re450/Re550は0.91であった。また、温度90℃、90%RHの環境下において1時間放置するという環境試験後のReおよび寸法変化は、環境試験前に比べてそれぞれ+2.8%および+0.012%の変化量であった。
<実施例3>
(1)位相差層形成工程
樹脂材料としてウレタンアクリレートモノマー(EB284:ダイセルユーシービー社製)を用い、これをメチルエチルケトンに40質量%になるように溶解させ、さらに重合開始剤を固形分に対して4質量%加えることにより、位相差層形成用塗工溶液を調製した。
次いで、透明基板として貯蔵引張弾性率2.7×10MPaのTACフィルム基材(厚み:80μm)を用い、当該TACフィルム基材の表面に上記位相差層形成用塗工液をバーコーティングにより塗工した。
その後、90℃で4分間加熱して溶剤を乾燥除去し、塗工面に紫外線を照射することにより、上記ウレタンアクリレートモノマーを固定化して乾燥後の塗膜が6μmの位相差層(貯蔵引張弾性率2.4×10MPa)を形成した。
このようにして、透明基板上に位相差層が積層された光学積層体を作製した。このとき、光学積層体は上記位相差層の幅は150mmであり、上記透明基板の幅は200mmであった。また、上記位相差層および上記透明基板の貯蔵引張弾性率×断面積はそれぞれ216N、43200Nであった。
(2)延伸工程
上記光学積層体を延伸実験機により、延伸倍率が1.4倍になるように165℃で加熱しながら面内方向に一軸延伸して、位相差フィルムを作製した。
(3)評価
作製した位相差フィルムの波長450nmにおけるReおよび、波長550nmにおけるReはそれぞれ24.5nm、26.9nmであり、Re450/Re550は0.91であった。また、温度90℃、90%RHの環境下において1時間放置するという環境試験後のReおよび寸法変化は、環境試験前に比べてそれぞれ+2.9%および+0.014%の変化量であった。
<実施例4>
位相差層形成工程
押出ラミネート機により熱可塑性ウレタン(ディーアイシーバイエルポリマー株式会社製:T−2198)を押出し、ダイスより押し出されてくる薄膜状の熱可塑性ウレタンを2枚のセパレーターの間に内側にして鋏み込み、冷却ロールとニップロールとの間を通すことによりラミネート成形してセパレーター/位相差層/セパレーターからなる積層体を得た。ここで、上記セパレーターとしては、反応性シリコーン等で表面を離型処理してあるPETフィルムを用いた。また、上記押出ラミネート機としては単軸の押出機を利用し、樹脂の予備乾燥を90℃、6時間、シリンダー温度を200℃、ダイス温度を205℃、スクリーンは120メッシュ、スクリュー回転数を30rpmで押し出した。
次いで、得られたセパレーター/位相差層/セパレーターからなる積層体から、セパレーターを剥離し、位相差層を光学粘着剤(日東電工製CS−9621)を介してTACフィルム基材(厚み:80μm)にラミネーターにて貼り合せた。
このようにして、透明基板上に位相差層が積層された光学積層体を作製した。
(2)延伸工程
上記光学積層体を延伸実験機により、延伸倍率が1.4倍になるように165℃で加熱しながら面内方向に一軸延伸して、位相差フィルムを作製した。
(3)評価
作製した位相差フィルムのRe450/Re550は0.89であった。また、クロスカット法による密着性試験の評価結果は100%であった(密着度=(剥がれなかった部分/テープを貼り付けた領域)×100)。
<比較例>
(1)位相差層形成工程
樹脂材料としてペンタエリスリトールトリアクリレート(PET−30:日本化薬社製)を用い、これをメチルエチルケトンに40質量%になるように溶解させ、さらに重合開始剤を固形分に対して4質量%加えることにより、位相差層形成用塗工溶液を調製した。
次いで、透明基板として貯蔵引張弾性率2.7×10MPaのTACフィルム基材(厚み:80μm)を用い、当該TACフィルム基材の表面に上記位相差層形成用塗工液をバーコーティングにより塗工した。
その後、90℃で4分間加熱して溶剤を乾燥除去し、塗工面に紫外線を照射することにより、上記ペンタエリスリトールトリアクリレートを固定化して乾燥後の塗膜が6μmの位相差層を形成した。
このようにして、透明基板上に位相差層が積層された光学積層体を作製した。
(2)延伸工程
上記光学積層体を延伸実験機により、延伸倍率が1.1倍になるように165℃で加熱しながら面内方向に一軸延伸して、位相差フィルムを作製した。
(3)評価
作製した位相差フィルムの波長450nmにおけるReおよび、波長550nmにおけるReはそれぞれ10.5nm、10.4nmであり、Re450/Re550は1.01であった。
また、クロスカット法による密着性試験の評価結果は100%であった(密着度=(剥がれなかった部分/テープを貼り付けた領域)×100)。
本発明の位相差フイルムの一例を示す概略図である。 本発明の位相差フイルムの他の例を示す概略図である。 本発明の位相差フイルムの製造方法の一例を示す概略図である。 従来の液晶表示装置の一例を示す概略図である。
符号の説明
1、1’、1’’ … 位相差層
2 … 透明基板
10、10’、10’’… 位相差フイルム
20 … 光学積層体
30 … 位相差フイルム
100 … 液晶表示装置
102A、102B … 偏光板
104 … 液晶セル

Claims (7)

  1. ウレタン系樹脂を含有する位相差層を有し、レターデーション値の波長依存性が逆分散型であることを特徴とする、位相差フィルム。
  2. 前記ウレタン系樹脂がウレタンアクリレートモノマーが重合してなるウレタンアクリレートであることを特徴とする、請求項1に記載の位相差フィルム。
  3. 前記ウレタンアクリレートモノマーが、ウレタン結合部とアクリロイル基との間に屈折率異方性を有する原子団を有するものであることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の位相差フィルム。
  4. 前記屈折率異方性を有する原子団が、複数のカプロラクトンの構成単位を含有するものであることを特徴とする、請求項3に記載の位相差フィルム。
  5. 前記位相差層が、透明基板上に密着するように形成された構成を有することを特徴とする、請求項1から請求項4までのいずれかの請求項に記載の位相差フィルム。
  6. ウレタン系樹脂を含有する位相差層を形成する位相差層形成工程と、
    前記位相差層を延伸する延伸工程とを有し、レターデーション値の波長依存性が逆分散型である位相差フィルムを製造することを特徴とする、位相差フィルムの製造方法。
  7. 前記位相差層形成工程が、ウレタンアクリレートモノマーと溶媒とを含有する位相差層形成用塗工液を用い、透明基板上に前記位相差層形成用塗工液を塗工した後、前記ウレタンアクリレートモノマーに重合処理を行うことによって、前記透明基板上にウレタンアクリレートを含有する位相差層が密着するように積層された構成を有する光学積層体を形成するものであり、かつ、前記延伸工程が前記光学積層体を延伸するものであることを特徴とする、請求項6に記載の位相差フィルムの製造方法。
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