JP2016155320A - フィルムの製造方法及びそれから得られるフィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】成形時におけるひずみを小さくすることで光学異方性が非常に小さく、透明性に優れた偏光板保護フィルム等の光学フィルムにも用いることができるフィルムを製造する方法を提供する。
【解決手段】非晶性熱可塑性樹脂(i)を主成分とする組成物の押出成形時、得られるフィルムの幅方向の中央部厚み(Tc)と端部厚み(Tt)の比が特定の規定を満たすことを特徴とするフィルムの製造方法によって、光学異方性が非常に小さく、透明性に優れたフィルムを製造することができる。
【選択図】なし
【解決手段】非晶性熱可塑性樹脂(i)を主成分とする組成物の押出成形時、得られるフィルムの幅方向の中央部厚み(Tc)と端部厚み(Tt)の比が特定の規定を満たすことを特徴とするフィルムの製造方法によって、光学異方性が非常に小さく、透明性に優れたフィルムを製造することができる。
【選択図】なし
Description
本発明は、光学特性に優れたフィルムの製造方法に関するものであり、さらに詳しくは液晶ディスプレイに使用される偏光板を保護する部材として好適に用いることのできるフィルム、及び、それを用いて作製される偏光板、液晶表示装置に関するものである。
近年、液晶ディスプレイが、テレビ、パソコン、デジタルカメラ、携帯電話等の表示装置として広く用いられている。液晶ディスプレイは、表示側を前面側、その反対側(バックライト側)を後面側とするとき、前面側偏光板//液晶//後面側偏光板の構成を有する。偏光板は通常、染色一軸延伸されたポリビニルアルコール膜の偏光膜に、保護フィルム等を貼り合わせた構成である(保護フィルム/偏光膜/保護フィルム)。前面側偏光板を構成する偏光膜の前面側および後面側に配置する保護フィルムをそれぞれ保護フィルムA、保護フィルムBとし、後面側偏光板を構成する偏光膜の前面側および後面側に配置する保護フィルムをそれぞれ保護フィルムC、保護フィルムDとすると、全体的な構成は、前面側から、保護フィルムA/前面側偏光膜/保護フィルムB//液晶//保護フィルムC/後面側偏光膜/保護フィルムDとなる。
この偏光板の保護フィルムは、光学異方性が小さいこと、透明性が高いこと、防湿性や耐熱性、機械的強度に優れていること、異物の付着が少ないこと等が要求される。保護フィルムとしては、高い透明性や光学等方性を有することから、溶液流延法で作製されたトリアセチルセルロースフィルム(以下、TACフィルムと略記することがある)が多く使用されている。
しかし、溶液流延法で作製されたTACフィルムは、光学異方性は小さいが、生産性に劣る、フィルム内に残留する溶剤が揮発し、液晶表示装置内の電子回路や他の部品に悪影響を与えるなどの問題があった。
しかし、溶液流延法で作製されたTACフィルムは、光学異方性は小さいが、生産性に劣る、フィルム内に残留する溶剤が揮発し、液晶表示装置内の電子回路や他の部品に悪影響を与えるなどの問題があった。
そこで、近年、偏光板保護フィルムとして、溶液流延法によるフィルムに代えて、熱可塑性樹脂の溶融押出法によるフィルムが検討されている。例えば、特許文献1では、熱可塑性樹脂としてアクリル系樹脂を用いて、偏光板保護フィルム等に使用可能な光学フィルムを製造している。しかし、このような製造方法では、製膜時や巻き取り時に異物がフィルムに付着しやすく、クリーン度の非常に高い環境で製膜する必要があり、製造設備が限られるという課題があった。また、偏光板の軽量化・薄膜化のために、偏光板保護フィルムの薄膜化が求められるが、このような製造方法で、例えば50μm以下程度の薄いフィルムを作製すると、口金の内壁からのせん断応力や、ドロー比(口金のリップギャップとフィルム膜厚との比)が大きいことなどによりフィルムに歪みがかかりやすく、光学異方性の小さなフィルムを製造することが困難であった。また、このような製造方法では、特に薄膜化したときに、フィルムの巻き取り時にシワが入りやすい、破断しやすいという課題があり、生産性に劣るものであった。
一方、光学異方性を小さくする手段として、特許文献2では、熱可塑性樹脂Aを、これに非接着性の熱可塑性樹脂Bで両面が被覆された状態で共押出し、その後、熱可塑性樹脂A層を剥離することで、せん断応力による歪みが小さく、光学異方性の小さなフィルムを製造することが開示されている。またこの方法では、クリーン度が低い環境でも、熱可塑性樹脂A層への異物の付着が抑制でき、かつ、熱可塑性樹脂A層を薄膜化しても、熱可塑性樹脂B層と共押出しているため、巻き取り時にフィルムにシワが入りにくく、また破断もしにくい。
特許文献1に開示されている方法では、剥離される熱可塑性樹脂Aの原料について、「容易に剥離でき」、「押出し温度が(熱可塑性樹脂Bと)近い」ものがよいと記載されているのみであり、薄く、光学歪みの小さいフィルムを得るための製造方法としては、不十分であった。特に、膜厚50μm以下で、フィルムの面内位相差(RO)および厚み位相差(Rth)が10nm以下のような、光学歪みの非常に小さいフィルムを得るには、特許文献2で開示されている技術だけでは、不十分であった。
本発明の課題は、上記した従来技術の問題点に鑑み、成形時におけるひずみを小さくすることで光学異方性が非常に小さく、透明性に優れたフィルムを製造する方法を提供すること、さらにはその方法で得られたフィルム、及び、偏光板保護フィルム、さらにその偏光板保護フィルムを用いて作製された偏光板、液晶表示装置を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を達成するために鋭意検討を重ねた結果、非晶性熱可塑性樹脂の押出成形時、特定の条件を満たすように押出成形を行うことで、光学異方性が非常に小さく、透明性に優れたフィルムを製造できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、非晶性熱可塑性樹脂(i)を主成分とする組成物の押出成形時、得られるフィルムの幅方向の中央部厚み(Tc)と端部厚み(Tt)の比が以下の(A)を満たすことを特徴とするフィルムの製造方法が提供される。
(A)2< Tt/Tc <100
(A)2< Tt/Tc <100
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、以下の(B)及び(C)を満たすことを特徴とする、フィルムの製造方法が提供される。
(B)ドラフト比 5〜50
(C)幅方向のネックイン率 65%〜95%
(B)ドラフト比 5〜50
(C)幅方向のネックイン率 65%〜95%
さらに、本発明の第3の発明によれば、第1又は第2の発明において、前記押出成形後、両端部分を切断することを特徴とするフィルムの製造方法が提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第1〜3のいずれかの発明において、前記非晶性熱可塑性樹脂(i)が、下記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を含有するポリカーボネート樹脂であることを特徴とする、フィルムの製造方法が提供される。
さらに、本発明の第5の発明によれば、第4の発明において、非晶性熱可塑性樹脂(i)がさらに、下記式(2)で表されるトリシクロデカンジメタノールに由来する構造単位を含有するフィルムの製造方法が提供される。
また、本発明の第6の発明によれば、第1〜5の発明に係る製造方法により得られるフィルムが提供される。
さらに、本発明の第7の発明によれば、第1〜6の発明に係る製造方法により得られる偏光板保護フィルムが提供される。
また、本発明の第8の発明によれば、第7の発明に係る偏光板保護フィルムに変更膜を装着してなる偏光板が提供される。
さらに、本発明の第9の発明によれば、第8の発明に係る偏光板を有する液晶表示装置が提供される。
本発明のフィルムの製造方法により、光学異方性が非常に小さく、透明性に優れたフィルムを生産性よく製造することができる。このフィルムの用途としては、光学フィルム、特に、軽量・薄膜な偏光板用の保護フィルムが好適に挙げられる。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。
1.組成物
本発明の積層熱可塑性樹脂フィルムの製造方法で使用される組成物(A)は、非晶性可塑性樹脂(i)を主成分とする。ここで主成分とは、組成物中の成分として、好ましくは50重量%以上、より好ましくは80重量%以上、さらに好ましくは90重量%以上含むことをいう。
1.組成物
本発明の積層熱可塑性樹脂フィルムの製造方法で使用される組成物(A)は、非晶性可塑性樹脂(i)を主成分とする。ここで主成分とは、組成物中の成分として、好ましくは50重量%以上、より好ましくは80重量%以上、さらに好ましくは90重量%以上含むことをいう。
1−1.非晶性熱可塑性樹脂(i)
非晶性熱可塑性樹脂(i)としては、透明性の観点から、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、アクリル樹脂、環状オレフィン樹脂等が挙げられる。本発明においては高透明性、高強度、高耐熱性、高耐候性等の点より以下に説明するポリカーボネートが特に好ましい。
非晶性熱可塑性樹脂(i)としては、透明性の観点から、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、アクリル樹脂、環状オレフィン樹脂等が挙げられる。本発明においては高透明性、高強度、高耐熱性、高耐候性等の点より以下に説明するポリカーボネートが特に好ましい。
本発明の非晶性熱可塑性樹脂(i)に用いるポリカーボネート樹脂としては、構造の一部に下記式(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を含むポリカーボネート樹脂が好ましい。
より具体的には、下記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物としては、例えば、立体異性体の関係にある、イソソルビド、イソマンニドおよびイソイデットが挙げられる。
前記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物は、生物起源物質を原料として糖質から製造可能なエーテルジオールである。とりわけ、イソソルビドは、澱粉から得られるD−グルコースを水添してから脱水することにより安価に製造可能であって、資源として豊富に入手することが可能である。これら事情により、イソソルビドが最も好ましい。
非晶性熱可塑性樹脂(i)に用いるポリカーボネート樹脂は、前記式(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物に由来する構造単位以外の構造単位を、更に含んでいてもよい。前記式(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物に由来する構造単位以外の構造単位を更に含むことで、加工容易性および耐衝撃性を改良することが可能となる。
前記式(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物に由来する構造単位以外の構造単位のなかでも、芳香族環を有さないジヒドロキシ化合物に由来する構造単位が好ましく用いられる。
より具体的に例えば、国際公開第2004/111106号に記載の脂肪族ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位および国際公開第2007/148604号に記載の脂環式ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を挙げることができる。
前記脂肪族ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位の中でも、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオールおよび1,6−ヘキサンジオールから選ばれる少なくとも1種のジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を含むことが好ましい。
前記脂環式ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位の中でも、5員環構造又は6員環構造を含むものであることが好ましい。6員環構造は共有結合によって椅子形又は舟形に固定されていてもよい。
5員環構造又は6員環構造である脂環式ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を含むことにより、得られるポリカーボネートの耐熱性を高くすることができる。
脂環式ジヒドロキシ化合物に含まれる炭素原子数は通常70以下であることが好ましく、50以下であることがより好ましく、30以下であることがさらに好ましい。
前記5員環構造又は6員環構造を含む脂環式ジヒドロキシ化合物としては、上述の国際公開第2007/148604号に記載のものを挙げることができる。
中でも、シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、アダマンタンジオール及びペンタシクロペンタデカンジメタノールを好適に例示することができる。これらの中でも、シクロヘキサンジメタノール又はトリシクロデカンジメタノールが経済性および耐熱性などからより好ましい。特に、下記式(2)で表されるトリシクロデカンジメタノールに由来する構造単位を含有することが、経済性や耐熱性および、光学特性とのバランスの点で、最も好ましい。これらは1種又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記ポリカーボネート樹脂の、構造の一部に前記式(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物に由来する構造単位の含有割合としては、好ましくは30モル%以上、より好ましくは50モル%以上であって、また、好ましくは90モル%以下、より好ましくは80モル%以下であればよい。
また構造の一部に前記式(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物に由来する構成単位と、脂環式ジヒドロキシ化合物に由来する構成単位とのモル比率は、95:5〜30:70であることが好ましく、80:20〜40:60であることが更に好ましい。モル比率がこの範囲であれば、ガラス転移温度の維持による耐熱性の向上が可能となるため好ましい。
また構造の一部に前記式(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物に由来する構成単位と、脂環式ジヒドロキシ化合物に由来する構成単位とのモル比率は、95:5〜30:70であることが好ましく、80:20〜40:60であることが更に好ましい。モル比率がこの範囲であれば、ガラス転移温度の維持による耐熱性の向上が可能となるため好ましい。
このような範囲とすることによって、カーボネート構造に由来する着色、生物起源物質を原料に用いる故に微量に含有する不純物に由来する着色等を抑制することができ、通常(I)層に要求される透明さを損なわない可能性がある。また、構造の一部に前記式(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物に由来する構造単位のみで構成されるポリカーボネート樹脂等では達成が困難な、適当な成形加工性、機械強度および耐熱性等のバランスを取ることができる。
前記ポリカーボネート樹脂は、構造の一部に前記式(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物に由来する構造単位と、更に脂肪族ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位及び/又は脂環式ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位とからなることが好ましいが、本発明の目的を損なわない範囲で、更にそれら以外のジヒドロキシ化合物に由来する構造単位が含まれていてもよい。
前記ポリカーボネート樹脂は、一般に用いられる重合方法で製造することができ、ホスゲン法または炭酸ジエステルと反応させるエステル交換法のいずれでもよい。なかでも、重合触媒の存在下に、構造の一部に前記式(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物と、脂肪族及び/又は脂環式ジヒドロキシ化合物と、必要に応じて用いられるその他のジヒドロキシ化合物と、炭酸ジエステルとを反応させるエステル交換法が好ましい。
エステル交換法は、構造の一部に前記式(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物と、脂肪族及び/又は脂環式ジヒドロキシ化合物と、必要に応じて用いられるその他のジヒドロキシ化合物と、炭酸ジエステルとを塩基性触媒、さらにはこの塩基性触媒を中和する酸性物質を添加し、エステル交換反応を行う製造方法である。
炭酸ジエステルの代表例としては、ジフェニルカーボネート、ジトリールカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネート、m−クレジルカーボネート、ジナフチルカーネート、ビス(ビフェニル)カーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジブチルカーボネートおよびジシクロヘキシルカーボネートなどが挙げられる。これらのうち、特にジフェニルカーボネートが好ましく用いられる。
このようにして得られた本発明で用いるポリカーボネート樹脂の分子量は、還元粘度で表すことができ、還元粘度の下限は、0.20dl/g以上が好ましく、0.30dL/g以上がより好ましく、0.35dL/g以上が更に好ましく、還元粘度の上限は、1.20dL/g以下が好ましく、1.00dL/g以下がより好ましく、0.80dL/g以下が更に好ましい。
ポリカーボネート樹脂の還元粘度が低すぎると成形品の機械的強度が小さい可能性があり、大きすぎると、成形する際の流動性が低下し、生産性や成形性を低下させる傾向がある。
ポリカーボネート樹脂の還元粘度が低すぎると成形品の機械的強度が小さい可能性があり、大きすぎると、成形する際の流動性が低下し、生産性や成形性を低下させる傾向がある。
なお、ポリカーボネート樹脂の還元粘度は、中央理化社製DT−504型自動粘度計にてウベローデ型粘度計を用い、溶媒として塩化メチレンを用い、ポリカーボネート濃度が0.60g/dlになるように精密に調整した後に、温度20.0℃±0.1℃で、下記に基づき測定する。
溶媒の通過時間t0、溶液の通過時間tから、下記式:
ηrel=t/t0
より相対粘度ηrelを求め、 相対粘度ηrelから、下記式:
ηsp=(η−η0)/η0=ηrel−1
より比粘度ηspを求める。
比粘度ηspを濃度c(g/dl)で割って、下記式:
ηred=ηsp/c
より還元粘度(換算粘度)ηredを求める。
溶媒の通過時間t0、溶液の通過時間tから、下記式:
ηrel=t/t0
より相対粘度ηrelを求め、 相対粘度ηrelから、下記式:
ηsp=(η−η0)/η0=ηrel−1
より比粘度ηspを求める。
比粘度ηspを濃度c(g/dl)で割って、下記式:
ηred=ηsp/c
より還元粘度(換算粘度)ηredを求める。
1−2.その他の成分
組成物(A)には、紫外線吸収剤が含有されていてもよい。組成物(A)に含有される紫外線吸収剤としては、公知のもの、例えば各種市販のものを特に制限なく使用できる。中でも、公知の芳香族ポリカーボネート樹脂への添加に通常用いられるものを好適に用いることができる。
例えば、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−tert−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾールおよび2,2’−メチレンビス(4−クミル−6−ベンゾトリアゾールフェニル)等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤;2,2’−p−フェニレンビス(1,3−ベンゾオキサジン−4−オン)等のベンゾオキサジン系紫外線吸収剤;2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−(ヘキシル)オキシ−フェノール等のヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤、を挙げることができる。
組成物(A)には、紫外線吸収剤が含有されていてもよい。組成物(A)に含有される紫外線吸収剤としては、公知のもの、例えば各種市販のものを特に制限なく使用できる。中でも、公知の芳香族ポリカーボネート樹脂への添加に通常用いられるものを好適に用いることができる。
例えば、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−tert−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾールおよび2,2’−メチレンビス(4−クミル−6−ベンゾトリアゾールフェニル)等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤;2,2’−p−フェニレンビス(1,3−ベンゾオキサジン−4−オン)等のベンゾオキサジン系紫外線吸収剤;2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−(ヘキシル)オキシ−フェノール等のヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤、を挙げることができる。
紫外線吸収剤の融点としては、特に120℃〜250℃の範囲にあるものが好ましい。融点が120℃以上の紫外線吸収剤を使用することにより、紫外線吸収剤が時間経過とともに成形品表面に凝集するブリードアウト現象により成形体表面が汚れたり、口金や金属ロールを用いて成形する場合には、ブリードアウトによりそれらが汚れたりすることを防止し、成形品表面の曇りを減少させ改善することが容易になる。
より具体的には、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’−(3”,4”,5”,6”−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5’−メチルフェニル]ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)]フェノールおよび2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、並びに2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−(ヘキシル)オキシ−フェノール等のヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤を好ましく使用できる。
より具体的には、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’−(3”,4”,5”,6”−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5’−メチルフェニル]ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)]フェノールおよび2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、並びに2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−(ヘキシル)オキシ−フェノール等のヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤を好ましく使用できる。
これらの中でも、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)]フェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−(ヘキシル)オキシ−フェノールが特に好ましい。これらの紫外線吸収剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記紫外線吸収剤の添加量は、本発明で用いる非晶性熱可塑性樹脂(i)100重量部に対して、0.0001重量部以上、5重量部以下の割合で添加することが好ましく、0.0005重量部以上、4重量部以下の割合で添加することがより好ましく、0.001重量部以上、3重量部以下の割合で添加することがさらに好ましい。
かかる範囲で紫外線吸収剤を添加することにより、成形後のフィルム表面への紫外線吸収剤のブリードやフィルムの機械特性低下を生じることなく、本発明の樹脂フィルム被覆金属積層体の耐候性を向上することができる。
かかる範囲で紫外線吸収剤を添加することにより、成形後のフィルム表面への紫外線吸収剤のブリードやフィルムの機械特性低下を生じることなく、本発明の樹脂フィルム被覆金属積層体の耐候性を向上することができる。
組成物中に含まれる紫外線吸収剤以外の添加成分として、各種添加剤を適宜な量添加してもよい。
2.フィルムの製造方法
本発明のフィルムは、以下に記載する(A)の条件を満たすように押出成形をすることにより作製される。
本発明のフィルムは、以下に記載する(A)の条件を満たすように押出成形をすることにより作製される。
押出機の形式としては、任意の適切な形式が採用され得る。例えば、単軸スクリュータイプの押出機を用いてもよく、2軸スクリュータイプの押出機を用いてもよい。押出機に非晶性熱可塑性樹脂(i)を供給し、溶融混練する。
押出機の設定温度(溶融温度)、混練時間、スクリュー速度等は、使用される樹脂の種類等に応じて適宜設定され得るが、概ね80℃以上、好ましくは100℃以上、より好ましくは120℃以上、さらに好ましくは140℃以上であり、かつ、概ね320℃以下、好ましくは300℃以下、より好ましくは280℃以下、さらに好ましくは260℃以下であり、シランカップリング剤などを添加する場合は反応に伴う樹脂圧の増加やフィッシュアイの増加を抑制するために成形温度を低下させることが好ましい。シランカップリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐候安定剤などの各種添加剤は、予め樹脂とともにドライブレンドしてからホッパーに供給してもよいし、予め樹脂等の全ての材料を溶融混合してペレットを作製してから供給してもよいし、添加剤のみを予め樹脂に濃縮したマスターバッチを作製して供給してもよい。
本発明のフィルムの製造方法においては、以下に述べる条件(A)を満たす。
成形されたフィルムは、以下に述べる条件(A)を満たすことが望ましい。
(A)2< Tt/Tc <100
得られるフィルムの幅方向の中央部厚み(Tc)と端部厚み(Tt)の比(Tt/Tc)が上記条件を満たすことで、フィルム中央部の残留ひずみが低くなり、結果として本発明の目的である光学異方性が非常に小さいフィルムが得られる。その原理については定かではないが、ロールの接圧が端部に比べて中央部は小さいからと考えられる。「Tt/Tc」は2〜100であるが、好ましくは5〜80であり、より好ましくは10〜70でありもっとも好ましくは10〜50である。Tt/Tcが100以上である場合、生産歩留まりが悪く、フィルムのフラット性が損なわれる恐れがある。またTt/Tcが2以下である場合、生産性は良くなるが、製膜設備が特殊となり汎用性が悪くなる。
(A)2< Tt/Tc <100
得られるフィルムの幅方向の中央部厚み(Tc)と端部厚み(Tt)の比(Tt/Tc)が上記条件を満たすことで、フィルム中央部の残留ひずみが低くなり、結果として本発明の目的である光学異方性が非常に小さいフィルムが得られる。その原理については定かではないが、ロールの接圧が端部に比べて中央部は小さいからと考えられる。「Tt/Tc」は2〜100であるが、好ましくは5〜80であり、より好ましくは10〜70でありもっとも好ましくは10〜50である。Tt/Tcが100以上である場合、生産歩留まりが悪く、フィルムのフラット性が損なわれる恐れがある。またTt/Tcが2以下である場合、生産性は良くなるが、製膜設備が特殊となり汎用性が悪くなる。
Tt/Tcは、各種成形条件を変えることで変更することができる。特に、下記(B)、(C)の条件を満たすように成形条件を調整することで、Tt/Tcを(A)の条件に合うように制御し易くなる。成形後、中央部に対して厚みを有する両端部分を切断することで膜厚均一なフィルムを得ることができる。一般的には切断する部分は、両端から10〜200mmの幅部分である。
本発明のフィルムの製造方法においては、上記(A)の他、以下に述べる条件(B)及び(C)を満たすものが好ましい。
(B)ドラフト比 5〜50
ドラフト比は口金のリップギャップとフィルム中央部の膜厚の比で定義される。
ドラフト比が上記範囲であることで、フィルムの光学特性が良くなり、結果として本発明の目的である光学異方性が非常に小さいフィルムが得られる。その原理については定かではないが、伸張変形による残留ひずみが小さいと考えられる。本発明の「ドラフト比」は5〜50であるが、好ましくは7〜35であり、より好ましくは10〜30でありもっとも好ましくは10〜25である。ドラフト比が5より小さい場合、生産性が劣り実用的ではない。またドラフト比が50よりも大きい場合、伸張変形量が大きくなりドローレゾナンス現象などの不安定現象が発生する懸念がある。
ドラフト比は口金のリップギャップとフィルム中央部の膜厚の比で定義される。
ドラフト比が上記範囲であることで、フィルムの光学特性が良くなり、結果として本発明の目的である光学異方性が非常に小さいフィルムが得られる。その原理については定かではないが、伸張変形による残留ひずみが小さいと考えられる。本発明の「ドラフト比」は5〜50であるが、好ましくは7〜35であり、より好ましくは10〜30でありもっとも好ましくは10〜25である。ドラフト比が5より小さい場合、生産性が劣り実用的ではない。またドラフト比が50よりも大きい場合、伸張変形量が大きくなりドローレゾナンス現象などの不安定現象が発生する懸念がある。
ドラフト比は、主に口金のリップギャップ、エアギャップ、引取速度を変えることにより変更することができる。
(C)幅方向のネックイン率 65%〜95%
幅方向のネックイン率が上記条件を満たすことで、フィルムの光学特性が良くなり、結果として本発明の目的である光学異方性が非常に小さいフィルムが得られる。その原理については定かではないが、伸張変形による残留ひずみ又はフィルム幅方向の収縮変形による残留ひずみが少ないと考えられる。本発明の「幅方向のネックイン率」は65%〜95%であるが、好ましくは70%〜93%であり、より好ましくは70%〜90%でありもっとも好ましくは70%〜85%である。ネックイン率が65%より小さい場合、幅方向の厚み分布が悪く、生産性も劣る。またドラフト比が95%より大きい場合、生産性は良くなるが、製膜設備が特殊となり汎用性が悪くなる。
幅方向のネックイン率が上記条件を満たすことで、フィルムの光学特性が良くなり、結果として本発明の目的である光学異方性が非常に小さいフィルムが得られる。その原理については定かではないが、伸張変形による残留ひずみ又はフィルム幅方向の収縮変形による残留ひずみが少ないと考えられる。本発明の「幅方向のネックイン率」は65%〜95%であるが、好ましくは70%〜93%であり、より好ましくは70%〜90%でありもっとも好ましくは70%〜85%である。ネックイン率が65%より小さい場合、幅方向の厚み分布が悪く、生産性も劣る。またドラフト比が95%より大きい場合、生産性は良くなるが、製膜設備が特殊となり汎用性が悪くなる。
幅方向のネックイン率は、溶融樹脂の粘度、口金のリップギャップ、エアギャップ、引取速度を変えることにより変更することができる。
4.フィルム及び偏光板保護フィルム
本発明より得られるフィルムは、光学フィルム、特に、軽量・薄膜な偏光板用の偏光板保護フィルムとして適している。
本発明より得られるフィルムは、光学フィルム、特に、軽量・薄膜な偏光板用の偏光板保護フィルムとして適している。
また、本発明の偏光板保護フィルムは、(I)層の表面に、プライマー層や接着層、粘着層、ハードコート層等の機能層が設けられていたり、コロナ処理、プラズマ処理等の表面処理が行われていてもよい。
成形後、中央部に対して厚みを有する両端部分を切断することで膜厚均一なフィルムの膜厚は、前述したとおり、偏光板の薄膜化の観点から、50μm以下が好ましく、40μm以下がより好ましく、30μm以下がさらに好ましい。また、機械強度の観点から、3μm以上か好ましく、5μm以上がより好ましく、10μm以上が更に好ましい。
また、成形後、中央部に対して厚みを有する両端部分を切断することで膜厚均一なフィルムの面内位相差(RO)、及び、厚み位相差(Rth)は10nm以下、好ましくは5nm以下、より好ましくは3nm以下である。10nm以下である場合、光学異方性が小さいため光学フィルムとして適する。前述した製造方法で製膜をし、フィルム両端を切断をすることで、このような光学異方性の小さいフィルムが製造できる。さらに下限については特に定めないが、より好ましくは−10nm以上、さらに好ましくは−5nm以上、特に好ましくは−3nm以上である。
本発明のフィルムにおいて、全光線透過率が、80%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。フィルムの全光線透過率を上記範囲内にする方法としては、押出製膜後に急冷する、にエンボス(凹凸)がつかないようにする、フィルムに結晶核剤をいれ、結晶サイズを微小にする、等が挙げられる。
また、フィルムの機械強度に関して、JIS K7161の方法により測定される引張伸びは好ましくは50%以上、より好ましくは80%以上、特に好ましくは100%以上である。前述したポリカーボーネート樹脂を使用することで、このような引張伸びの優れたフィルムが製造できる。
また、フィルムのJIS K7161の方法により測定される引っ張り最大強度は好ましくは50MPa以上、より好ましくは60MPa以上、特に好ましくは70MPa以上である。前述したポリカーボーネート樹脂を使用することで、このような引張強度の優れたフィルムが製造できる。
また、フィルムのJIS K7128−2の方法により測定される引き裂き強度は好ましくは3kg/cm以上、より好ましくは6kg/cm以上、特に好ましくは8kg/cm以上である。前述したポリカーボーネート樹脂を使用することで、このような引き裂き強度の優れたフィルムが製造できる。
5.偏光板
本発明のフィルムを例えば、偏光板における偏光膜の保護フィルムとして使用する場合、一般的には、偏光膜を接着させるための接着剤を介して偏光膜を貼り合わせる。
接着剤としては、従来公知のものを使用することができ、例えば、ポリビニルアルコール系やウレタン化合物等の水系接着剤、アクリル系化合物やエポキシ系化合物、オキサゾリン化合物等の活性エネルギー線硬化系接着剤が挙げられる。中でも、偏光膜であるポリビニルアルコール(PVA)との接着性や、廃棄物等における環境安全性等の観点より、ポリビニルアルコール系等の水系接着剤が好ましい。
本発明のフィルムを例えば、偏光板における偏光膜の保護フィルムとして使用する場合、一般的には、偏光膜を接着させるための接着剤を介して偏光膜を貼り合わせる。
接着剤としては、従来公知のものを使用することができ、例えば、ポリビニルアルコール系やウレタン化合物等の水系接着剤、アクリル系化合物やエポキシ系化合物、オキサゾリン化合物等の活性エネルギー線硬化系接着剤が挙げられる。中でも、偏光膜であるポリビニルアルコール(PVA)との接着性や、廃棄物等における環境安全性等の観点より、ポリビニルアルコール系等の水系接着剤が好ましい。
本発明のフィルム上に水系接着剤等の接着剤を塗布して接着剤層を形成した後、この上に、例えば一軸延伸され、ヨウ素等で染色されたポリビニルアルコール膜などの偏光膜を貼り合わせる。この偏光膜の反対側にも保護フィルムや位相差フィルム等を貼り合わせて
偏光板とすることができる。
偏光板とすることができる。
6.液晶表示装置
本発明のフィルムは、透明性、寸法安定性、耐湿熱性に優れ、引裂強度等の機械的強度、更には光学特性にも優れ、偏光膜に対して密着性よく接着させることができ、偏光板を液晶から剥す際のハンドリング性にも優れることから、このような本発明のフィルムを用いた本発明の偏光板は、偏光膜の保護効果、機能維持性に優れ、テレビ、パソコン、デジタルカメラ、携帯電話等の液晶表示装置の偏光板として高品質な表示画面を実現することができ、また、液晶表示装置製造時の作業性にも優れる。
本発明のフィルムは、透明性、寸法安定性、耐湿熱性に優れ、引裂強度等の機械的強度、更には光学特性にも優れ、偏光膜に対して密着性よく接着させることができ、偏光板を液晶から剥す際のハンドリング性にも優れることから、このような本発明のフィルムを用いた本発明の偏光板は、偏光膜の保護効果、機能維持性に優れ、テレビ、パソコン、デジタルカメラ、携帯電話等の液晶表示装置の偏光板として高品質な表示画面を実現することができ、また、液晶表示装置製造時の作業性にも優れる。
前述の通り、液晶ディスプレイは、前面側偏光板/液晶/後面側偏光板の構成を有し、偏光板は保護フィルム/偏光膜/保護フィルムの構成を有することから、前面側偏光板を構成する偏光膜の前面側及び後面側に配置する保護フィルムをそれぞれ保護フィルムA、保護フィルムBとし、後面側偏光板を構成する偏光膜の前面側及び後面側に配置する保護フィルムをそれぞれ保護フィルムC、保護フィルムDとすると、全体的な構成は、前面側から、保護フィルムA/前面側偏光膜/保護フィルムB/液晶/保護フィルムC/後面側偏光膜/保護フィルムDとなる。
本発明のフィルムは、一方のフィルム面側には前述の接着剤層を介して偏光膜を接着し、他方のフィルム面側には前述の接着剤層を介して他の機能性フィルムや透明基材を接着することができる。他の機能性フィルムとしては、特に制限はないが、例えば、高屈折率フィルム、低屈折率フィルム、これらを積層した反射防止フィルム、色補正フィルムなどの光学フィルム、ハードコートフィルム、防汚フィルム、電磁波シールドフィルム、赤外線吸収フィルム、紫外線吸収フィルムなどが挙げられる。また、透明基材としては、支持基板としてのガラスや各種透明フィルムが挙げられる。
以下に、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、これらの実施例および比較例により本発明は制限を受けるものではない。なお、実施例では、積層フィルムの流れ方向(引取方向)をMD,その直角方向をTDと記載する。
1.測定方法
<ドラフト比>
口金のリップギャップとフィルムの中央部厚みの比によって、ドラフト比を求めた。
<ネックイン率>
作製した熱可塑性樹脂フィルムの幅を測定し、口金リップ部の幅との比率を求めた。
<ドラフト比>
口金のリップギャップとフィルムの中央部厚みの比によって、ドラフト比を求めた。
<ネックイン率>
作製した熱可塑性樹脂フィルムの幅を測定し、口金リップ部の幅との比率を求めた。
<Tt/Tc>
作製した熱可塑性樹脂フィルムの幅方向中央部厚み(Tc)と端部厚み(Tt)をダイアルゲージにて測定し、Tt/Tcを求めた。
作製した熱可塑性樹脂フィルムの幅方向中央部厚み(Tc)と端部厚み(Tt)をダイアルゲージにて測定し、Tt/Tcを求めた。
<面内位相差(RO)および厚み位相差(Rth)>
作製した熱可塑性樹脂フィルムから切り出し、評価用サンプルとした。これら評価用サンプルを、位相差測定装置(王子計測社製:KOBRA)を用いて測定した。測定結果から、以下のように評価した。
(1)ROの評価基準
○ :ROの絶対値が3nm以下
△ :ROの絶対値が3nmより大きく、5nm以下
× :ROの絶対値が5nmより大きい
(2)Rthの評価基準
○ :Rthの絶対値が7.5nm以下
△ :Rthの絶対値が7.5nmより大きく、10nm以下
× :Rthの絶対値が10nmより大きい
作製した熱可塑性樹脂フィルムから切り出し、評価用サンプルとした。これら評価用サンプルを、位相差測定装置(王子計測社製:KOBRA)を用いて測定した。測定結果から、以下のように評価した。
(1)ROの評価基準
○ :ROの絶対値が3nm以下
△ :ROの絶対値が3nmより大きく、5nm以下
× :ROの絶対値が5nmより大きい
(2)Rthの評価基準
○ :Rthの絶対値が7.5nm以下
△ :Rthの絶対値が7.5nmより大きく、10nm以下
× :Rthの絶対値が10nmより大きい
2.構成材料
以下に、本発明の積層フィルムを作製する際に用いた構成材料を例示する。
<非晶性熱可塑性樹脂(i)>
特開2008−024919号公報に準じた方法により得られた、ジヒドロキシ化合物であるイソソルビドに由来する構造単位とトリシクロデカンジメタノールに由来する構造単位のモル比率がイソソルビド/トリシクロデカンジメタノール=6/4で、ガラス転移温度(Tg)が132℃であるポリカーボネート共重合体。
以下に、本発明の積層フィルムを作製する際に用いた構成材料を例示する。
<非晶性熱可塑性樹脂(i)>
特開2008−024919号公報に準じた方法により得られた、ジヒドロキシ化合物であるイソソルビドに由来する構造単位とトリシクロデカンジメタノールに由来する構造単位のモル比率がイソソルビド/トリシクロデカンジメタノール=6/4で、ガラス転移温度(Tg)が132℃であるポリカーボネート共重合体。
3.実施方法
[実施例1]
上記ポリカーボネート樹脂(三菱化学(株)製、商品名DURABIO T7450A)を、φ65mm単軸押出機に投入し、220〜240℃のバレル設定温度にて溶融混練し、幅1350mm、リップギャップ0.5mmの口金(設定温度240℃)からエアギャップを100mmとして押出したのち、100℃に温調されたキャストロールにて引き取り速度9m/minで引き取った。そのときのフィルムの中央部厚み(Tc)は18μm、端部厚み(Tt)は125mm、フィルム幅は1230mmであった。両端から20mmの幅部分を切断し熱可塑性樹脂フィルム(厚み18μm)を作製した。
[実施例1]
上記ポリカーボネート樹脂(三菱化学(株)製、商品名DURABIO T7450A)を、φ65mm単軸押出機に投入し、220〜240℃のバレル設定温度にて溶融混練し、幅1350mm、リップギャップ0.5mmの口金(設定温度240℃)からエアギャップを100mmとして押出したのち、100℃に温調されたキャストロールにて引き取り速度9m/minで引き取った。そのときのフィルムの中央部厚み(Tc)は18μm、端部厚み(Tt)は125mm、フィルム幅は1230mmであった。両端から20mmの幅部分を切断し熱可塑性樹脂フィルム(厚み18μm)を作製した。
[実施例2]
口金の設定温度を255℃とした以外は、実施例1と同様にして、熱可塑性樹脂フィルムを作製した。そのときのフィルムの中央部厚み(Tc)は18μm、端部厚み(Tt)は210mm、フィルム幅は1215mmであった。両端から20mmの幅部分を切断し熱可塑性樹脂フィルム(厚み18μm)を作製した。
口金の設定温度を255℃とした以外は、実施例1と同様にして、熱可塑性樹脂フィルムを作製した。そのときのフィルムの中央部厚み(Tc)は18μm、端部厚み(Tt)は210mm、フィルム幅は1215mmであった。両端から20mmの幅部分を切断し熱可塑性樹脂フィルム(厚み18μm)を作製した。
[実施例3]
口金両端のリップギャップを広げた以外は、実施例1と同様にして、熱可塑性樹脂フィルムを作製した。そのときのフィルムの中央部厚み(Tc)は18μm、端部厚み(Tt)は430mm、フィルム幅は1160mmであった。両端から20mmの幅部分を切断し熱可塑性樹脂フィルム(厚み18μm)を作製した。
口金両端のリップギャップを広げた以外は、実施例1と同様にして、熱可塑性樹脂フィルムを作製した。そのときのフィルムの中央部厚み(Tc)は18μm、端部厚み(Tt)は430mm、フィルム幅は1160mmであった。両端から20mmの幅部分を切断し熱可塑性樹脂フィルム(厚み18μm)を作製した。
[実施例4]
リップギャップを1.0mmに広げた以外は、実施例1と同様にして、熱可塑性樹脂フィルムを作製した。そのときのフィルムの中央部厚み(Tc)は18μm、端部厚み(Tt)は600mm、フィルム幅は1100mmであった。両端から20mmの幅部分を切断し熱可塑性樹脂フィルム(厚み18μm)を作製した。
リップギャップを1.0mmに広げた以外は、実施例1と同様にして、熱可塑性樹脂フィルムを作製した。そのときのフィルムの中央部厚み(Tc)は18μm、端部厚み(Tt)は600mm、フィルム幅は1100mmであった。両端から20mmの幅部分を切断し熱可塑性樹脂フィルム(厚み18μm)を作製した。
[比較例1]
エアギャップを150mmに広げた以外は、実施例1と同様にして、熱可塑性樹脂フィルムを作製した。そのときのフィルムの中央部厚み(Tc)は18μm、端部厚み(Tt)は1830mm、フィルム幅は1010mmであった。両端から20mmの幅部分を切断し熱可塑性樹脂フィルム(厚み18μm)を作製した。
エアギャップを150mmに広げた以外は、実施例1と同様にして、熱可塑性樹脂フィルムを作製した。そのときのフィルムの中央部厚み(Tc)は18μm、端部厚み(Tt)は1830mm、フィルム幅は1010mmであった。両端から20mmの幅部分を切断し熱可塑性樹脂フィルム(厚み18μm)を作製した。
[比較例2]
エアギャップを200mmに広げた以外は、実施例1と同様にして、熱可塑性樹脂フィルムを作製した。そのときのフィルムの中央部厚み(Tc)は18μm、端部厚み(Tt)は2750mm、フィルム幅は850mmであった。両端から20mmの幅部分を切断し熱可塑性樹脂フィルム(厚み18μm)を作製した。
エアギャップを200mmに広げた以外は、実施例1と同様にして、熱可塑性樹脂フィルムを作製した。そのときのフィルムの中央部厚み(Tc)は18μm、端部厚み(Tt)は2750mm、フィルム幅は850mmであった。両端から20mmの幅部分を切断し熱可塑性樹脂フィルム(厚み18μm)を作製した。
実施例および比較例で作製したフィルムの各種製造条件、及び、評価結果を表1に示す。
Claims (9)
- 非晶性熱可塑性樹脂(i)を主成分とする組成物の押出成形時、得られるフィルムの幅方向の中央部厚み(Tc)と端部厚み(Tt)の比が以下の(A)を満たすことを特徴とするフィルムの製造方法。
(A)2< Tt/Tc <100 - 前記押出成形時、以下の(B)及び(C)を満たすことを特徴とする請求項1に記載のフィルムの製造方法。
(B)ドラフト比 5〜50
(C)幅方向のネックイン率 65%〜95% - 前記押出成形後、両端部分を切断することを特徴とする請求項1又は2に記載のフィルムの製造方法。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法により得られるフィルム。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法により得られる偏光板保護フィルム。
- 請求項7に記載の偏光板保護フィルムに変更膜を装着してなる偏光板。
- 請求項8に記載の偏光板を有する液晶表示装置。
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JP2015035114A JP2016155320A (ja) | 2015-02-25 | 2015-02-25 | フィルムの製造方法及びそれから得られるフィルム |
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2015
- 2015-02-25 JP JP2015035114A patent/JP2016155320A/ja active Pending
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JP7329628B2 (ja) | 2020-01-29 | 2023-08-18 | 富士フイルム株式会社 | 偏光板及び表示装置 |
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