JP2016052678A - アーク溶接方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】スプレー移行溶接において、溶け込みを深くする。
【解決手段】第1期間T1中は第1出力電圧E1及び第1溶接電流Iw1を出力し、第2期間T2中は第2出力電圧E2及び第2溶接電流Iw2を出力し、第3期間T3中は第3出力電圧E3及び第3溶接電流Iw3を出力し、0<E2<E3<E1であり、0<Iw2<Iw3<Iw1であり、溶接電流の変化率が基準変化率未満のときは第1出力電圧E1の増加及び/又は第2出力電圧E2の減少を行う。第1期間T1によってワイヤ直下の溶融金属を薄い状態にし、第2期間T2によってアークをワイヤ直下に集中させ、第3期間T3によって溶融池に集中して加熱し、その後は溶融池を穏やかにする。出力電圧E1、E2を修正することによって溶接用ケーブルのインダクタンス値に影響されずに、深い溶け込みを形成することができ、高品質化を図ることができる。
【選択図】 図2

Description

本発明は、溶接ワイヤを送給してスプレー移行状態によって溶接するアーク溶接方法の高品質化に関するものである。
アルゴンガスと炭酸ガスとの混合ガスをシールドガスとしてソリッドワイヤを使用するマグ溶接、炭酸ガスをシールドガスとしてフラックス入りワイヤを使用するアーク溶接、シールドガスを使用しないでセルフシールド用フラックス入りワイヤを使用するセルフシールドアーク溶接等は、溶滴移行形態がスプレー移行形態となる。スプレー移行形態では、アーク熱によって溶接ワイヤ先端が溶融されて細粒となって溶融池へと移行する。スプレー移行形態では、溶滴は短絡移行するのではなく、自由落下によって移行する。
スプレー移行形態によるアーク溶接(以下、スプレー移行溶接という)には、定電圧特性の溶接電源が使用され、溶接ワイヤは定速送給される。スプレー移行溶接では、スパッタの発生量が少なく、ビード外観も良好になる特徴がある。反面、スプレー移行溶接では、アーク長が短絡移行溶接に比べて長くなり、アークが広がった形状になるために、溶け込みが浅くなる。この点は、ワークによっては溶接品質上問題となる場合がある。以下、従来技術のスプレー移行溶接について図面を参照して説明する。
図5は、一般的なスプレー移行溶接における電圧・電流波形図である。同図(A)は溶接電源の定電圧特性の出力値を設定するための出力電圧設定信号Erの時間変化をしめし、同図(B)は溶接ワイヤと母材との間に印加する溶接電圧Vwの時間変化を示し、同図(C)はアークを通電する溶接電流Iwの時間変化を示す。以下、同図を参照して説明する。
同図(A)に示すように、出力電圧設定信号Erは、一定値に設定されている。同図(B)に示すように、溶接電圧Vwは、上下に少し変動しているが、略一定値となっている。同図(C)に示すように、溶接電流Iwも、上下に少し変動しているが、略一定値となっている。溶接電圧Vwの瞬時値が出力電圧設定信号Erによって設定される。溶接電流Iwの平均値は、溶接ワイヤの送給速度によって設定される。
特許文献1の発明では、スプレー移行溶接及びグロビュール移行溶接において、溶接電源の出力電圧を100Hz以上600Hz以下の周波数で周期的に変化させることによって、溶接電流を20A以上100A以下の電流振幅内で変化させて溶接する。
特開2007−229775号公報
そこで、本発明では、スプレー移行溶接において、溶け込みを深くして高品質化を図ることができるアーク溶接方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決するために、請求項1の発明は、
溶接ワイヤを送給し、溶接電源から出力電圧を出力し溶接電流を通電してスプレー移行形態によって溶接するアーク溶接方法において、
第1期間中は第1出力電圧E1を出力して第1溶接電流Iw1を通電し、第2期間中は第2出力電圧E2を出力して第2溶接電流Iw2を通電し、第3期間中は第3出力電圧E3を出力して第3溶接電流Iw3を通電し、0<E2<E3<E1であり、0<Iw2<Iw3<Iw1であり、前記第1期間〜前記第3期間を繰り返し、
前記第1期間〜前記第3期間の各期間を切り換えたときの前記溶接電流の変化率を検出し、この変化率が予め定めた基準変化率未満のときは前記第1出力電圧E1の増加及び/又は前記第2出力電圧E2の減少を行う、
ことを特徴とするアーク溶接方法である。
請求項2の発明は、前記変化率が前記基準変化率未満のときは、警報を発する、
ことを特徴とする請求項1記載のアーク溶接方法である。
請求項3の発明は、前記変化率が前記基準変化率未満のときは、前記第1期間及び/又は前記第2期間を長くする、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のアーク溶接方法である。
本発明によれば、第1期間中は、溶融池に大きなアーク圧力が作用して、溶融池はワイヤ直下が窪んだ凹形状になり、ワイヤ直下の溶融金属が薄い状態となる。続く、第2期間中は、アーク形状は萎んだ形状となり、アークがワイヤ直下の溶融金属が薄い状態となった部分に集中した状態となる。続く、第3期間中は、前半では溶融池の窪んだ部分がアークによって集中して加熱され、後半ではアーク圧力が一定であるので溶融池の窪んだ部分がなくなり穏やかな状態となる。本発明では、これらの第1期間〜第3期間を繰り返すことによって、スプレー移行溶接において、溶け込みを深くして高品質化を図ることができる。さらに、本発明では、溶接用ケーブルのインダクタンス値が大きいために、溶接電流の変化率が小さくなり、基準変化率未満になったときは、第1出力電圧値E1の増加及び/又は第2出力電圧E2の減少を行うことによって、溶接電流の変化率を大きくすることができる。このために、溶接用ケーブルのインダクタンス値の影響を受けることなく、上記の効果を奏することができる。
本発明の実施の形態1に係るアーク溶接方法を実施するための溶接電源のブロック図である。 本発明の実施の形態1に係るアーク溶接方法を示す図1の溶接電源における各信号のタイミングチャートである。 本発明の実施の形態2に係るアーク溶接方法を実施するための溶接電源のブロック図である。 本発明の実施の形態2に係るアーク溶接方法を示す図3の溶接電源における各信号のタイミングチャートである。 従来技術において、一般的なスプレー移行溶接における電圧・電流波形図である。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
[実施の形態1]
図1は、本発明の実施の形態1に係るアーク溶接方法を実施するための溶接電源のブロック図である。以下、同図を参照して各ブロックについて説明する。
電源主回路PMは、3相200V等の商用電源(図示は省略)を入力として、後述する電圧誤差増幅信号Evによるインバータ制御によって出力制御を行い、出力電圧Eを出力する。この電源主回路PMは、図示は省略するが、商用電源を整流する1次整流回路、整流された直流を平滑するコンデンサ、平滑された直流を高周波交流に変換するインバータ回路、高周波交流をアーク溶接に適した電圧値に降圧する高周波変圧器、降圧された高周波交流を整流する2次整流回路、上記の電圧誤差増幅信号Evを入力としてPWM制御等の変調制御を行い上記のインバータ回路を駆動する駆動回路を備えている。この電源主回路PMは、定電圧源となり、後述する出力電圧制御設定信号Ecrを目標値として定電圧制御されて出力電圧Eが出力される。リアクトルWLは、この出力電圧Eを平滑する。したがって、出力電圧Eは、リアクトルWLによって平滑される前の電圧である。
溶接ワイヤ1は、送給モータ(図示は省略)に結合された送給ロール5の回転によって溶接トーチ4内を送給され、母材2との間にアーク3が発生して溶接が行われる。溶接トーチ4内の給電チップ(図示は省略)と母材2との間に溶接電圧Vwが印加し、アーク3中を溶接電流Iwが通電する。溶接電源の一方の出力端子(図示は省略)と溶接トーチ4とは溶接用ケーブル6によって接続され、溶接電源のもう一方の出力端子(図示は省略)と母材2とは溶接用ケーブル7で接続されている。溶接用ケーブル6、7の合算したインダクタンス値がLc(μH)である。溶接ワイヤ1はその種類に応じて、電極マイナス極性(EN)又は電極プラス極性(EP)で溶接される。
出力電圧設定回路ERは、予め定めた出力電圧設定信号Erを出力する。電圧増加値設定回路EURは、予め定めた電圧増加値設定信号Eurを出力する。電圧減少値設定回路EDRは、予め定めた電圧減少値設定信号Edrを出力する。
第1期間設定回路T1Rは、予め定めた第1期間設定信号T1rを出力する。第2期間設定回路T2Rは、予め定めた第2期間設定信号T2rを出力する。第3期間設定回路T3Rは、予め定めた第3期間設定信号T3rを出力する。
出力電圧制御設定回路ECRは、上記の出力電圧設定信号Er、上記の電圧増加値設定信号Eur、上記の電圧減少値設定信号Edr、上記の第1期間設定信号T1r、上記の第2期間設定信号T2r、上記の第3期間設定信号T3r及び後述する変化率判別信号Sdを入力として、以下の処理を行ない、出力電圧制御設定信号Ecr及び期間信号Spを出力する。
1) 第1回目の周期の開始時点から第1期間設定信号T1rによって定まる第1期間T1中は、Ecr=Er+Eurを出力し、第1回目の周期における第1期間T1の出力電圧制御設定値Ecr(1,1)として記憶する。また、この期間中はSp=1を出力する。
2) 続けて、第2期間設定信号T2rによって定まる第2期間T2中は、Ecr=Er−Edrを出力し、第1回目の周期における第2期間T2の出力電圧制御設定値Ecr(1,2)として記憶する。また、この期間中はSp=2を出力する。
3) 続けて、第3期間設定信号T3rによって定まる第3期間T3中は、Ecr=Erを出力する。また、この期間中はSp=3を出力する。
4) 第n回目の周期の開始時点から第1期間設定信号T1rによって定まる第1期間T1中は、第n回目の第1期間T1開始時点の変化率判別信号SdがLowレベルのときはEcr=Ecr(n-1,1)を出力し、HighレベルのときはEcr=Ecr(n-1,1)+Δuを出力する。そして、第n回目の周期における第1期間T1の出力電圧制御設定値Ecr(n,1)として記憶する。Δuは修正量であり、予め定めた正の値である。また、この期間中はSp=1を出力する。
5) 続けて、第2期間設定信号T2rによって定まる第2期間T2中は、第n回目の第1期間T1開始時点の変化率判別信号SdがLowレベルのときはEcr=Ecr(n-1,2)を出力し、HighレベルのときはEcr=Ecr(n-1,2)−Δdを出力する。そして、第n回目の周期における第2期間T2の出力電圧制御設定値Ecr(n,2)として記憶する。Δdは修正量であり、予め定めた正の値である。また、この期間中はSp=2を出力する。
6) 続けて、第3期間設定信号T3rによって定まる第3期間T3中は、変化率判別信号Sdに関わらずEcr=Erを出力する。また、この期間中はSp=3を出力する。
7) 上記の4)〜6)の処理を繰り返す。
上記の出力電圧制御設定回路ECRにおいては、変化率判別信号SdがHighレベルのときの出力電圧制御設定信号Ecrは、第1期間T1中は前周期の値からΔUだけ増加し、第2期間T2中は前周期の値からΔDだけ減少し、第3期間T3中は出力電圧設定信号Erの値のままで変化しない。
出力電圧検出回路EDは、上記の出力電圧Eを検出してインバータ周波数によるリップルを平滑し、出力電圧検出信号Edを出力する。電圧誤差増幅回路EVは、上記の出力電圧制御設定信号Ecr(+)とこの出力電圧検出信号Ed(−)との誤差を増幅して、電圧誤差増幅信号Evを出力する。この電圧誤差増幅回路EVによって、溶接電源は定電圧制御される。
電流検出回路IDは、上記の溶接電流Iwを検出して、電流検出信号Idを出力する。変化率判別回路SDは、この電流検出信号Id及び上記の期間信号Spを入力として、Sp=3からSp=1へと変化した時点からの電流検出信号idの変化率を検出し、この変化率が予め定めた基準変化率未満のときはHighレベルとなり、以上のときはLowレベルとなる変化率判別信号SdをSp=2に変化した時点で出力する。この回路において、Sp=1からSp=2へと変化した時点又はSp=2からSp=3へと変化した時点からの電流検出信号Idの変化率を検出して、それぞれに対応する基準変化率と比較するようにしても良い。溶接用ケーブル6,7の長さが長くなったり、輪を描くように引き回されたりして溶接用ケーブルのインダクタンス値Lcが大きくなると、第1期間〜前記第3期間の各期間を切り換えたときの溶接電流Iwの変化率が緩やかになる。この回路によって、第1期間〜前記第3期間の各期間を切り換えたときの溶接電流Iwの変化率が予め定めた基準変化率よりも緩やかになったことを判別している。
警報回路ARは、上記の変化率判別信号Sdを入力として、変化率判別信号Sd=Highレベルのときは警報を発する。警報は、表示灯の点灯、警報音を鳴らす、警報信号を外部に出力する等によって行う。
図2は、本発明の実施の形態1に係るアーク溶接方法を示す図1の溶接電源における各信号のタイミングチャートである。同図(A)は出力電圧制御設定信号Ecrの時間変化をしめし、同図(B)は溶接電圧Vwの時間変化を示し、同図(C)は溶接電流Iwの時間変化を示し、同図(D)は変化率判別信号Sdの時間変化を示す。以下、同図を参照して説明する。
同図において、溶接開始から時刻t4までの期間は、溶接用ケーブルのインダクタンス値Lcが小さいために溶接電流Iwの変化率が基準変化率以上となり、同図(D)に示すように、変化率判別信号SdはLowレベルのままである。他方、時刻t4以降の期間は、溶接用ケーブルの引き回しが変化してインダクタンス値Lcが大きくなった場合である。溶接用ケーブルのインダクタンス値Lcは、溶接装置の設置環境によって定まるので、溶接中に変化することは稀である。同図では、本実施の形態の動作を分かりやすくするために、溶接中にインダクタンス値Lcが変化した場合としている。
同図(A)に示すように、出力電圧制御設定信号Ecrは、図1の出力電圧制御設定回路ECRによって周期的に振動する波形となる。同図(D)に示すように、変化率判別信号Sdは時刻t1以前はLowレベルであり、第1期間T1の開始時点t1もLowレベルである。このために、同図(A)に示すように、出力電圧制御設定信号Ecrは、時刻t1〜t2の予め定めた第1期間T1中は出力電圧設定信号Erに電圧増加値設定信号Eurを加算した値となり、時刻t2〜t3の予め定めた第2期間T2中は出力電圧設定信号Erから電圧減少値設定信号Edrを減算した値となり、時刻t3〜t4の予め定めた第3期間T3中は出力電圧設定信号Erの値となる。ここで、Er>0、Eur>0、Edr>0、Ecr>0である。
出力電圧Eは、出力電圧制御設定信号Ecrによって設定され、略同一の矩形波形となる。以下、第1期間T1の出力電圧Eを第1出力電圧E1と記載し、第2期間T2の出力電圧Eを第2出力電圧E2と記載し、第3期間T3の出力電圧Eを第3出力電圧E3と記載する。
同図(B)に示すように、溶接電圧Vwは出力電圧Eが振動波形であるので振動波形となり、時刻t1〜t2の第1期間T1中は、第3溶接電圧値Vw3から傾斜を有して増加して略一定値の第1溶接電圧値Vw1となり、時刻t2〜t3の第2期間T2中は、第1溶接電圧値Vw1から傾斜を有して減少して略一定値の第2溶接電圧値Vw2となり、時刻t3〜t4の第3期間T3中は、第2溶接電圧値Vw2から傾斜を有して増加して略一定値の第3溶接電圧値Vw3となる。第1溶接電圧値Vw1はEr+Eurによって設定され、第2溶接電圧値Vw2はEr−Edrによって設定され、第3溶接電圧値Vw3はErによって設定される。
同図(C)に示すように、溶接電流Iwは、溶接電圧Vwとアーク負荷によって定まり、溶接電圧Vwが振動しているので振動波形となり、時刻t1〜t2の第1期間T1中は、第3溶接電流値Iw3から傾斜を有して増加して略一定値の第1溶接電流値Iw1となり、時刻t2〜t3の第2期間T2中は、第1溶接電流値Iw1から傾斜を有して減少して略一定値の第2溶接電流値Iw2となり、時刻t3〜t4の第3期間T3中は、第2溶接電流値Iw2から傾斜を有して増加して略一定値の第3溶接電流値Iw3となる。ここで、0<Iw2<Iw3<Iw1である。第1期間T1中の溶接電流Iwの変化率が基準変化率以上であるので、同図(D)に示すように、変化率判別信号SdはLowレベルのままで変化しない。
同図(D)に示すように、第1期間T1の開始時点t4における変化率判別信号SdがLowレベルである。このために、同図(A)に示すように、出力電圧制御設定信号Ecrは前周期と同一値となり、時刻t4〜t5の第1期間T1中はEr+Eurとなり、時刻t5〜t6の第2期間T2中はEr−Edrとなり、時刻t6〜t7の第3期間T3中はErとなる。
時刻t4から溶接用ケーブルのインダクタンス値Lcが大きくなったために、同図(B)に示すように、溶接電圧Vwの傾斜(変化率)が緩やかになる。このために、溶接電圧Vwは、時刻t4〜t5の第1期間T1中は緩やかに増加し増加途中で期間が終了し、時刻t5〜t6の第2期間T2中は緩やかに減少し減少の途中で期間が終了する。第3期間T3中は、緩やかに増加して略一定値の第3溶接電圧値Vw3となる。
同様に、同図(C)に示すように、溶接電流Iwの傾斜(変化率)も緩やかになる。このために、溶接電流Iwは、時刻t4〜t5の第1期間T1中は緩やかに増加し増加途中で期間が終了し、時刻t5〜t6の第2期間T2中は緩やかに減少し減少の途中で期間が終了する。第3期間T3中は、緩やかに増加して略一定値の第3溶接電流値Iw3となる。すなわち、第1期間T1及び第2期間t2の溶接電流Iwの振幅が小さくなる。ここで、第1期間T1中の溶接電流Iwの変化率が基準変化率未満になるので、同図(D)に示すように、時刻t5において変化率判別信号SdがHighレベルに変化する。
同図(D)に示すように、第1期間T1の開始時点t7における変化率判別信号SdがHighレベルである。このために、同図(A)に示すように、出力電圧制御設定信号Ecrは前周期の値から修正された値となり、時刻t7〜t8の第1期間T1中はEr+Eur+Δuと前周期の値にΔuを加算した値となり、時刻t8〜t9の第2期間T2中はEr−Edr−Δdと前周期の値からΔdを減算した値となり、時刻t9〜t10の第3期間T3中はErと前周期の値のままとなる。
時刻t4から溶接用ケーブルのインダクタンス値Lcが大きくなっているが、第1期間T1中の出力電圧制御設定信号Ecrの値が大きくなり第1出力電圧E1が大きくなり、第2期間T2中の出力電圧制御設定信号Ecrの値が小さくなり第2出力電圧E2が小さくなるために、同図(B)に示すように、溶接電圧Vwの傾斜(変化率)は、時刻t4以前より緩やかであるが時刻t4〜t7の周期よりも急になる。このために、溶接電圧Vwは、時刻t7〜t8の第1期間T1中は、第3溶接電圧値Vw3から傾斜を有して時刻t4以前の値である第1溶接電圧値Vw1近傍まで増加し、時刻t8〜t9の第2期間T2中は、第1溶接電圧値Vw1近傍から傾斜を有して時刻t4以前の値である第2溶接電圧値Vw2近傍まで減少し、時刻t9〜t10の第3期間T3中は、第2溶接電圧値Vw2近傍から傾斜を有して増加して略一定値の第3溶接電圧値Vw3となる。
同様に、同図(C)に示すように、溶接電流Iwの傾斜(変化率)は、時刻t4以前より緩やかであるが、時刻t4〜t7の周期よりは急になる。このために、溶接電流Iwは、時刻t7〜t8の第1期間T1中は、第3溶接電流値Iw3から傾斜を有して時刻t4以前の値である第1溶接電流値Iw1近傍まで増加し、時刻t8〜t9の第2期間T2中は、第1溶接電流値Iw1近傍から傾斜を有して時刻t4以前の値である第2溶接電流値Iw2近傍まで減少し、時刻t9〜t10の第3期間T3中は、第2溶接電流値Iw2近傍から傾斜を有して増加して略一定値の第3溶接電流値Iw3となる。すなわち、第1期間T1及び第2期間t2の溶接電流Iwの振幅は、時刻t4以前と略同一値となる。ここで、第1期間T1中の溶接電流Iwの変化率が基準変化率以上になるので、同図(D)に示すように、時刻t8において変化率判別信号SdがLowレベルに変化する。
同図(D)に示すように、第1期間T1の開始時点t10における変化率判別信号SdがLowレベルである。このために、同図(A)に示すように、出力電圧制御設定信号Ecrは前周期の値と同一値となり、時刻t10〜t11の第1期間T1中はEr+Eur+Δuとなり、時刻t11〜t12の第2期間T2中はEr−Edr−Δdとなり、時刻t12〜t13の第3期間T3中はErとなる。
時刻t4から溶接用ケーブルのインダクタンス値Lcが大きくなっているが、第1期間T1中の出力電圧制御設定信号Ecrの値が大きくなり第1出力電圧E1が大きくなっており、第2期間T2中の出力電圧制御設定信号Ecrの値が大きくなり第2出力電圧E2が小さくなっているために、同図(B)に示すように、溶接電圧Vwの傾斜(変化率)は前周期と同様となる。このために、溶接電圧Vwは前周期と略同一波形となる。
同様に、同図(C)に示すように、溶接電流Iwの傾斜(変化率)も前周期と同様になる。このために、溶接電流Iwは前周期と略同一波形となる。すなわち、第1期間T1及び第2期間t2の溶接電流Iwの振幅は、時刻t4以前と略同一値となる。ここで、第1期間T1中の溶接電流Iwの変化率が基準変化率以上になるので、同図(D)に示すように、変化率判別信号SdはLowレベルのままである。
これ以降は、時刻t10〜t13の周期の動作を繰り返す。同図では、出力電圧制御設定信号Ecrの修正が時刻t7〜t10の1周期だけである場合を例示したが、溶接電流Iwの変化率が基準変化率以上になるまで複数周期連続する場合もある。上述した修正量Δu及びΔdは1〜3V程度に設定される。この値が大きすぎると溶接状態が不安定になり、小さすぎると修正に時間がかかり、修正期間中の溶接品質が悪くなる。修正された第1期間T1中の出力電圧制御設定信号Ecrの値に上限値を設けても良い。修正された第2期間T2中の出力電圧制御設定信号Ecrの値に下限値を設けても良い。
上記の基準変化率は50〜70A/ms程度に設定される。この値が小さすぎると、インダクタンス値Lcが大きいときに溶け込み深さが浅くなり、要求値に達しないことになる。この値が大きすぎると、出力電圧制御設定信号Ecrの修正が必要ないときまで修正されてしまうために、溶接状態が不安定になる場合が生じる。
次に、数値例を挙げることにする。溶接ワイヤにセルフシールド用フラックス入りワイヤ(材質:鉄鋼、直径:1.6mm)を使用し、平均溶接電流が250A、平均溶接電圧が21Vで溶接した場合の数値例である。Er=21V、Eur=10V、Edr=10V、Δu=2V、Δd=2V、T1r=2ms、T2r=4ms、T3r=6ms、基準変化率=65A/msである。この結果、1周期は12msとなり、Vw1=31V、Vw2=11V、Vw3=21Vとなり、Iw1=400A、Iw2=60A、Iw3=250Aとなる。
時刻t4以前の周期における溶接電流Iwの変化率は、第1期間T1中は100A/msとなり、第2期間T2中は113A/msとなり、第3期間T3中は126A/msとなる。時刻t7以降の周期における溶接電流Iwの変化率は、第1期間T1中は75A/msとなり、第2期間T2中は85A/msとなり、第3期間T3中は95A/msとなる。
次に、本実施の形態の作用効果について説明する。まず、時刻t4以前の溶接用ケーブルのインダクタンス値Lcが小さい場合の作用効果について説明する。時刻t1〜t2の第1期間T1中は、溶接電流Iwは最も大きな値である第1溶接電流値Iw1となるので、溶融池に大きなアーク圧力が作用して、溶融池はワイヤ直下が窪んだ凹形状になり、ワイヤ直下の溶融金属が薄い状態となる。時刻t2〜t3の第2期間T2中は、溶接電流Iwは最も小さな値である第2溶接電流値Iw2となるので、アーク形状は萎んだ形状となり、アークがワイヤ直下の溶融金属が薄い状態となった部分に集中した状態となる。時刻t3〜t4の第3期間T3中は、溶接電流Iwは溶接ワイヤの送給速度によって定まる溶接電流値と近い中間の値である第3溶接電流値Iw3となる。この第3溶接電流値Iw3を略一定値に維持することにより、第3期間T3の前半では溶融池の窪んだ部分がアークによって集中して加熱され、後半ではアーク圧力が一定であるので溶融池の窪んだ部分がなくなり穏やかな状態となる。第1期間T1に移行する時点において、溶融池が穏やかな状態になっていないと、第1期間T1中にワイヤ直下が窪んだ形状とならずに歪な形状となり、溶け込みを深くする作用効果が失われることになる。したがって、第3期間T3の終了時点において溶融池を確実に穏やかな状態にするために、第3期間T3は第1期間T1及び第2期間T2よりも長い期間に設定されることが望ましい。これらの作用効果によって、深い溶け込み形状を安定して形成することができる。
第1溶接電流値Iw1によって、溶融池を窪んだ凹形状に変形させることができるように、第1溶接電圧値Vw1(電圧増加値設定信号Eur)及び第1期間T1(第1期間設定信号T1r)を設定する。また、第2溶接電流値Iw2によって、アークを萎んだ形状にしてワイヤ直下に集中させるように、第2溶接電圧値Vw2(電圧減少値設定信号Edr)及び第2期間T2(第2期間設定信号T2r)を設定する。さらに、第3溶接電流値Iw3によって、窪んだ部分に集中して加熱させた後に溶融池が穏やかな状態になるように、第3溶接電圧値Vw3(電圧設定信号Er)及び第3期間T3(第3期間設定信号T3r)を設定する。溶接電流Iwが第1溶接電流値Iw1〜第3溶接電流値Iw3になるように定電流制御しないのは、アーク長を適正値に維持するためには定電圧制御する必要があるためである。したがって、間接的に溶接電流Iwを設定していることになる。このために、アーク負荷状態によって、第1溶接電流値Iw1〜第3溶接電流値Iw3は少し変動することになる。
時刻t4から溶接用ケーブルのインダクタンス値Lcが大きくなったために、時刻t4〜t5の第1期間T1中及び時刻t5〜t6の第2期間T2中の溶接電流Iwの変化率が緩やかになり、振幅が小さくなる。この結果、第1期間T1中の溶接電流Iwの最大値が小さくなり、第2期間T2中の溶接電流Iwの最小値が大きくなる。このために、上述した第1期間T1及び第2期間T2の作用効果が充分でなくなる。このような状態を、溶接電流Iwの変化率が基準変化率未満になったことによって判別している。
溶接電流Iwの変化率が基準変化率未満になったことを判別すると、時刻t7〜t8の第1期間T1中の出力電圧制御設定信号Ecrの値をΔuだけ増加させ、時刻t8〜t9の第2期間T2中の出力電圧制御設定信号Ecrの値をΔdだけ減少させる。この結果、溶接電流Iwの変化率が大きくなり、時刻t4以前の電流波形と略同一となる。このために、上述した時刻t4以前の作用効果を奏することになる。
本実施の形態では、溶接電流Iwの変化率が基準変化率未満のときは、第1期間T1中の出力電圧制御設定信号Ecrの増加(第1出力電圧E1の増加)及び第2期間T2中の出力電圧制御設定信号Ecrの減少(第2出力電圧E2の減少)を行っている。このときに、どちらか一方だけを行うようにしても良い。
上述した実施の形態1によれば、第1期間中は第1出力電圧E1を出力して第1溶接電流Iw1を通電し、第2期間中は第2出力電圧E2を出力して第2溶接電流Iw2を通電し、第3期間中は第3出力電圧E3を出力して第3溶接電流Iw3を通電し、0<E2<E3<E1であり、0<Iw2<Iw3<Iw1であり、第1期間〜第3期間を繰り返し、第1期間〜第3期間の各期間を切り換えたときの溶接電流の変化率を検出し、この変化率が予め定めた基準変化率未満のときは第1出力電圧E1の増加及び/又は第2出力電圧E2の減少を行う。第1期間中は、溶融池に大きなアーク圧力が作用して、溶融池はワイヤ直下が窪んだ凹形状になり、ワイヤ直下の溶融金属が薄い状態となる。続く、第2期間中は、アーク形状は萎んだ形状となり、アークがワイヤ直下の溶融金属が薄い状態となった部分に集中した状態となる。続く、第3期間中は、前半では溶融池の窪んだ部分がアークによって集中して加熱され、後半ではアーク圧力が一定であるので溶融池の窪んだ部分がなくなり穏やかな状態となる。本実施の形態では、これらの第1期間〜第3期間を繰り返すことによって、スプレー移行溶接において、溶け込みを深くして高品質化を図ることができる。このときに、本実施の形態では、溶接用ケーブルのインダクタンス値が大きいために、溶接電流の変化率が小さくなり、基準変化率未満になったときは、第1出力電圧値E1の増加及び/又は第2出力電圧E2の減少を行うことによって、溶接電流の変化率を大きくすることができる。このために、溶接用ケーブルのインダクタンス値の影響を受けることなく、上記の効果を奏することができる。
さらに、本実施の形態によれば、第1期間〜第3期間の各期間を切り換えたときの溶接電流の変化率が基準変化率未満のときは、警報を発する。この警報が解除されずに継続するときは、出力電圧の修正によっても溶接電流の変化率が基準変化率未満の状態であることを示している。溶接作業者は、このような状態のときは、溶け込み深さが要求値に達しない場合が生じることを認識することができる。このために、溶接作業者は、溶接用ケーブルのインダクタンス値が小さくなるように、溶接装置の設置環境を改善する対策を施すことができる。
[実施の形態2]
実施の形態2の発明は、溶接電流の変化率が基準変化率未満のときは、第1期間及び/又は第2期間を長くする。
図3は、本発明の実施の形態2に係るアーク溶接方法を実施するための溶接電源のブロック図である。同図は上述した図1と対応しており、同一ブロックには同一符号を付してそれらの説明は繰り返さない。同図は、図1の出力電圧制御設定回路ECRを第2出力電圧制御設定回路ECR2に置換したものである。以下、同図を参照して、このブロックについて説明する。
第2出力電圧制御設定回路ECR2は、出力電圧設定信号Er、電圧増加値設定信号Eur、電圧減少値設定信号Edr、第1期間設定信号T1r、第2期間設定信号T2r、第3期間設定信号T3r及び変化率判別信号Sdを入力として、以下の処理を行ない、出力電圧制御設定信号Ecr及び期間信号Spを出力する。
1) 第1回目の周期の開始時点から第1期間設定信号T1rによって定まる第1期間T1中は、Ecr=Er+Eurを出力し、第1回目の周期における第1期間T1の出力電圧制御設定値Ecr(1,1)及び第1期間設定値T1r(1)として記憶する。また、この期間中はSp=1を出力する。
2) 続けて、第2期間設定信号T2rによって定まる第2期間T2中は、Ecr=Er−Edrを出力し、第1回目の周期における第2期間T2の出力電圧制御設定値Ecr(1,2)及び第2期間設定値T2r(1)として記憶する。また、この期間中はSp=2を出力する。
3) 続けて、第3期間設定信号T3rによって定まる第3期間T3中は、Ecr=Erを出力する。また、この期間中はSp=3を出力する。
4) 第n回目の周期の開始時点から第n−1回目の周期における第1期間設定値T1r(n-1)によって定まる第1期間T1中は、第n回目の第1期間T1開始時点の変化率判別信号SdがLowレベルのときはEcr=Ecr(n-1,1)を出力しかつT1r(n)=T1r(n-1)とし、HighレベルのときはEcr=Ecr(n-1,1)+Δuを出力しかつT1r(n)=T1r(n-1)+Δtとする。そして、第n回目の周期における第1期間T1の出力電圧制御設定値Ecr(n,1)及び第1期間設定値T1r(n)を記憶する。Δu及びΔtは修正量であり、予め定めた正の値である。また、この期間中はSp=1を出力する。
5) 続けて、第n−1回目の周期における第2期間設定値T2r(n-1)によって定まる第2期間T2中は、第n回目の第1期間T1開始時点の変化率判別信号SdがLowレベルのときはEcr=Ecr(n-1,2)を出力しかつT2r(n)=T2r(n-1)とし、HighレベルのときはEcr=Ecr(n-1,2)−Δdを出力しかつT2r(n)=T2r(n-1)+Δtとする。そして、第n回目の周期における第2期間T2の出力電圧制御設定値Ecr(n,2)及びT2r(n)を記憶する。Δdは修正量であり、予め定めた正の値である。また、この期間中はSp=2を出力する。
6) 続けて、第3期間設定信号T3rによって定まる第3期間T3中は、変化率判別信号Sdに関わらずEcr=Erを出力する。また、この期間中はSp=3を出力する。
7) 上記の4)〜6)の処理を繰り返す。
上記の第2出力電圧制御設定回路ECR2において、出力電圧制御設定信号Ecrの動作は図1の出力電圧制御設定回路ECRと同一である。他方、第2出力電圧制御設定回路ECR2において、変化率判別信号SdがHighレベルのときの第1期間T1は前周期の値からΔtだけ長くなり、第2期間T2は前周期の値からΔtだけ長くなり、第3期間T3は変化しない。この動作が図1の出力電圧制御設定回路ECRとは異なっている。
図4は、本発明の実施の形態2に係るアーク溶接方法を示す図3の溶接電源における各信号のタイミングチャートである。同図(A)は出力電圧制御設定信号Ecrの時間変化をしめし、同図(B)は溶接電圧Vwの時間変化を示し、同図(C)は溶接電流Iwの時間変化を示し、同図(D)は変化率判別信号Sdの時間変化を示す。同図の説明においては、上述した図2の動作と異なる点について説明し、同一の動作についての説明は繰り返さない。以下、同図を参照して説明する。
同図において、時刻t7までの期間の動作は、図2と同一であるので、説明は繰り返さない。
同図(D)に示すように、第1期間T1の開始時点t7における変化率判別信号SdがHighレベルである。このために、同図(A)に示すように、出力電圧制御設定信号Ecrは前周期の値から修正された値となり、時刻t7〜t8の第1期間T1中はEr+Eur+Δuと前周期の値にΔuを加算した値となり、時刻t8〜t9の第2期間T2中はEr−Edr−Δdと前周期の値からΔdを減算した値となり、時刻t9〜t10の第3期間T3中はErと前周期の値のままとなる。同様に、同図に示すように、第1期間T1は前周期の値から修正された値となり、時刻t7〜t8の第1期間T1=T1r+Δtと前周期の値にΔtを加算した値となり、時刻t8〜t9の第2期間T2=T2r+Δtと前周期の値からΔtを加算した値となり、時刻t9〜t10の第3期間T3はT3rと前周期の値のままとなる。
同図(B)に示すように、時刻t7〜t8の第1期間T1中の溶接電圧Vwは、第3溶接電圧値Vw3から図2と同様の傾斜で増加し、第1期間T1が長くなっているので一定値の略第1溶接電圧値Vw1となる。時刻t8〜t9の第2期間T2中の溶接電圧Vwは、第1溶接電圧値Vw1から図2と同様の傾斜で減少し、第2期間T2が長くなっているので一定値の略第2溶接電圧値Vw2となる。時刻t9〜t10の第3期間T3中の溶接電圧Vwは、第2溶接電圧値Vw2から図2と同様の傾斜で増加して略一定値の第3溶接電圧値Vw3となる。
同様に、同図(C)に示すように、時刻t7〜t8の第1期間T1中の溶接電流Iwは、第3溶接電流値Iw3から図2と同様の傾斜で増加し、第1期間T1が長くなっているので一定値の略第1溶接電流値Iw1となる。時刻t8〜t9の第2期間T2中の溶接電流Iwは、第1溶接電流値Iw1から図2と同様の傾斜で減少し、第2期間T2が長くなっているので一定値の略第2溶接電流値Iw2となる。時刻t9〜t10の第3期間T3中の溶接電流Iwは、第2溶接電流値Iw2から図2と同様の傾斜で増加して略一定値の第3溶接電流値Iw3となる。したがって、第1期間T1及び第2期間t2の溶接電流Iwの振幅は、時刻t4以前と略同一値となる。さらに、第1期間T1及び第2期間T2の溶接電流Iwは、図2のときとは異なり変化した後に一定値の部分があるので、溶接用ケーブルのインダクタンス値Lcがさらに大きくなっても時刻t4以前の振幅を確保することができる。
同図(D)に示すように、第1期間T1の開始時点t10における変化率判別信号SdがLowレベルである。このために、同図に示すように、第1期間T1は前周期の値と同一値となり、時刻t10〜t11の第1期間T1=T1r+Δtとなり、時刻t11〜t12の第2期間T2=T2r+Δtとなり、時刻t12〜t13の第3期間T3=T3rとなる。このために、溶接電圧Vw及び溶接電流Iwの波形は、前周期と同一になる。
これ以降は、時刻t10〜t13の周期の動作を繰り返す。上述した修正量Δtは0.1〜1.0ms程度に設定される。この値が大きすぎると溶接状態が不安定になり、小さすぎると修正に時間がかかり、修正期間中の溶接品質が悪くなる。修正された第1期間T1及び第2期間T2に上限値を設けても良い。
本実施の形態では、溶接電流Iwの変化率が基準変化率未満のときは、第1期間T1及び第2期間T2を長くしている。このときに、どちらか一方だけを長くしても良い。
上述した実施の形態2によれば、第1期間〜第3期間の各期間を切り換えたときの溶接電流の変化率が基準変化率未満のときは、第1期間及び/又は第2期間を長くする。これにより、本実施の形態では、実施の形態1の効果に加えて、溶接用ケーブルのインダクタンス値がさらに大きくなっても、第1期間及び第2期間中の溶接電流の振幅を所望値に維持することができるので、深い溶け込みを確保することができる。
1 溶接ワイヤ
2 母材
3 アーク
4 溶接トーチ
5 送給ロール
6、7 溶接用ケーブル
AR 警報回路
E 出力電圧
E1 第1出力電圧
E2 第2出力電圧
E3 第3出力電圧
ECR 出力電圧制御設定回路
Ecr 出力電圧制御設定信号
ECR2 第2出力電圧制御設定回路
ED 出力電圧検出回路
Ed 出力電圧検出信号
EDR 電圧減少値設定回路
Edr 電圧減少値設定信号
ER 出力電圧設定回路
Er 出力電圧設定信号
EUR 電圧増加値設定回路
Eur 電圧増加値設定信号
EV 電圧誤差増幅回路
Ev 電圧誤差増幅信号
ID 電流検出回路
Id 電流検出信号
Iw 溶接電流
Iw1 第1溶接電流
Iw2 第2溶接電流
Iw3 第3溶接電流
Lc 溶接用ケーブルのインダクタンス値
PM 電源主回路
SD 変化率判別回路
Sd 変化率判別信号
Sp 期間信号
T1 第1期間
T1R 第1期間設定回路
T1r 第1期間設定信号
T2 第2期間
T2R 第2期間設定回路
T2r 第2期間設定信号
T3 第3期間
T3R 第3期間設定回路
T3r 第3期間設定信号
Vw 溶接電圧
Vw1 第1溶接電圧値
Vw2 第2溶接電圧値
Vw3 第3溶接電圧値
WL リアクトル
Δd、Δt、Δu 修正量

Claims (3)

  1. 溶接ワイヤを送給し、溶接電源から出力電圧を出力し溶接電流を通電してスプレー移行形態によって溶接するアーク溶接方法において、
    第1期間中は第1出力電圧E1を出力して第1溶接電流Iw1を通電し、第2期間中は第2出力電圧E2を出力して第2溶接電流Iw2を通電し、第3期間中は第3出力電圧E3を出力して第3溶接電流Iw3を通電し、0<E2<E3<E1であり、0<Iw2<Iw3<Iw1であり、前記第1期間〜前記第3期間を繰り返し、
    前記第1期間〜前記第3期間の各期間を切り換えたときの前記溶接電流の変化率を検出し、この変化率が予め定めた基準変化率未満のときは前記第1出力電圧E1の増加及び/又は前記第2出力電圧E2の減少を行う、
    ことを特徴とするアーク溶接方法。
  2. 前記変化率が前記基準変化率未満のときは、警報を発する、
    ことを特徴とする請求項1記載のアーク溶接方法。
  3. 前記変化率が前記基準変化率未満のときは、前記第1期間及び/又は前記第2期間を長くする、
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のアーク溶接方法。

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